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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20230725BHJP
   H02K 3/38 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K3/38 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019221363
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021093780
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】石原 考二
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/102574(WO,A1)
【文献】特開2006-180674(JP,A)
【文献】実開昭56-004326(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、前記ステータコアの一端側部分を収容する第1ハウジングと、前記ステータコアの他端側部分を収容する第2ハウジングと、前記ステータコアに巻装された3つのコイルとを備えた回転電機において、
前記3つのコイルにそれぞれ引き出された3つの端末部と
前記3つの端末部とそれぞれ接続された3つのコイル給電端子と、
前記第1ハウジングに取り付けられ、前記3つのコイル給電端子が前記ステータコアの軸方向に垂直な方向に配列された状態で取り付けられた端子台と、
前記3つの端末部のうち両端に位置する2つの第1端末部にそれぞれ装着され、前記3つの端末部と前記第1ハウジングとを電気的に絶縁する2つの絶縁チューブとを備え、
前記絶縁チューブは、前記第1端末部が挿入される筒状部と、前記筒状部に連続して配置された溝部と、前記溝部から前記筒状部に対して前記コイル給電端子の配列方向の外側に前記2つの第1端末部の間に配置された第2端末部まで張り出した張出部とを有し、
前記筒状部は、前記絶縁チューブの一端側に設けられていると共に、前記コイル給電端子側に位置し、
前記溝部及び前記張出部は、前記絶縁チューブの他端側に設けられていると共に、前記第1ハウジング側に位置している回転電機。
【請求項2】
前記張出部は、前記溝部から前記筒状部に対して前記コイル給電端子の配列方向の両外側に張り出している請求項記載の回転電機。
【請求項3】
前記筒状部は、接着テープにより前記コイル給電端子に固定されている請求項1または2記載の回転電機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転電機としては、例えば特許文献1に記載されているモータが知られている。特許文献1に記載のモータは、ロータと、このロータの外側に配置されたステータとを備えている。ステータは、ハウジングと、このハウジングの内周側に固定されたステータコアと、このステータコアに巻装されたコイルとを備えている。ステータコアの一端部には、ターミナルユニットが取り付けられている。ターミナルユニットには、コイルの端末部と接続された複数のコイル給電端子が突設されている。ターミナルユニットの外周部には、コイルの端末部とコイル給電端子との接続部を被覆する絶縁カバーが配置されている。絶縁カバーによって、接続部の近傍とハウジングとの間の絶縁性が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-125308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、絶縁カバーとしては、合成樹脂製の熱収縮チューブが使用されている。従って、絶縁カバーを熱収縮させるために、絶縁カバーの加熱工程が必要となる。また、絶縁カバーの熱収縮後に、絶縁カバーと接続部との密着力が強い場合には、後工程においてコイルの端末部を曲げることが困難になる。一方、絶縁カバーの熱収縮後に、絶縁カバーと接続部との密着力が弱い場合には、後工程においてコイルの端末部を曲げたときに、絶縁カバーが剥がれてしまう虞がある。
【0005】
本発明の目的は、コイルの端末部とハウジングとを絶縁する部材の加熱工程を不要としつつ、広範囲の絶縁性を確保することができる回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ステータコアと、ステータコアの少なくとも一部を収容するハウジングと、ステータコアに巻装されたコイルとを備えた回転電機において、コイルの端末部と接続されたコイル給電端子と、コイル給電端子が取り付けられた端子台と、端末部に装着され、端末部とハウジングとを電気的に絶縁する絶縁チューブとを備え、絶縁チューブは、端末部が挿入される筒状部と、筒状部に連続して配置された溝部と、溝部から筒状部に対して端末部の挿入方向に垂直な方向の外側に張り出した張出部とを有する。
【0007】
このような回転電機において、コイルの端末部と接続されたコイル給電端子を端子台に取り付けるときは、まず絶縁チューブをコイルの端末部に装着する。このとき、溝部及び張出部が筒状部よりもハウジング側に位置するように、コイルの端末部を筒状部に挿入する。そして、コイルの端末部を曲げて、コイル給電端子を端子台に固定する。コイル給電端子が端子台に取り付けられた状態では、絶縁チューブによってコイルの端末部とハウジングとが電気的に絶縁される。このようにコイルの端末部とハウジングとを絶縁する部材として、絶縁チューブを使用することにより、コイルの端末部とハウジングとを絶縁する部材の加熱工程が不要となる。また、絶縁チューブにおいて、張出部は、溝部から筒状部に対してコイルの端末部の挿入方向に垂直な方向の外側に張り出している。このため、絶縁チューブの絶縁範囲は、筒状部に対してコイルの端末部の挿入方向に垂直な方向の外側に広くなる。これにより、絶縁チューブによる広範囲の絶縁性が確保される。
【0008】
筒状部は、絶縁チューブの一端側に設けられていると共に、コイル給電端子側に位置し、溝部及び張出部は、絶縁チューブの他端側に設けられていると共に、ハウジング側に位置していてもよい。このような構成では、絶縁チューブの構造を簡単化しつつ、ハウジングとの広範囲の絶縁性が確保される。
【0009】
張出部は、溝部から筒状部に対して端末部の挿入方向に垂直な方向の両外側に張り出していてもよい。このような構成では、絶縁チューブの絶縁範囲は、筒状部に対してコイルの端末部の挿入方向に垂直な方向の両外側に広くなる。従って、筒状部に対してコイルの端末部の挿入方向に垂直な方向の両外側において、ハウジングとの絶縁性が確保される。
【0010】
筒状部は、接着テープによりコイル給電端子に固定されていてもよい。このような構成では、絶縁チューブがコイルの端末部から外れることが確実に防止されるため、絶縁チューブによる広範囲の絶縁性が十分に確保される。
【0011】
端末部及びコイル給電端子の数は、3つであり、3つの端末部は、ステータコアの軸方向に垂直な方向に配列された状態で端子台に取り付けられており、絶縁チューブは、3つの端末部のうち両端に位置する2つの端末部に装着されており、張出部は、溝部から筒状部に対して端末部の挿入方向に垂直な方向の外側に2つの端末部の間に配置された端末部まで張り出していてもよい。このような構成では、3つのコイル端末部のうち真ん中に位置するコイルの端末部に絶縁チューブを装着しなくても、両端に位置する2つの端末部に装着された絶縁チューブの張出部によって、真ん中に位置するコイルの端末部とハウジングとの絶縁性が確保される。従って、使用する絶縁チューブの数と回転電機の製作に関する工数とが削減される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コイルの端末部とハウジングとを絶縁する部材の加熱工程を不要としつつ、広範囲の絶縁性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る回転電機を示す斜視図である。
図2図1に示された絶縁チューブの斜視図である。
図3図2に示された絶縁チューブを形成する手法を示す斜視図である。
図4】回転電機の製作工程において、コイル端末部に絶縁チューブが装着された状態を示す正面図である。
図5】回転電機の製作工程において、接着テープにより絶縁チューブの筒状部がコイル給電端子に固定された状態を示す正面図である。
図6】接着テープにより筒状部をコイル給電端子に固定する様子を示す概略図である。
図7】回転電機の製作工程において、端子台にコイル給電端子が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る回転電機を示す斜視図である。図1において、本実施形態の回転電機1は、例えばフォークリフトの荷役用油圧ポンプを回転駆動させる荷役モータとして使用される。荷役モータは、ここでは三相交流モータである。なお、回転電機1は、フォークリフトの車輪を回転駆動させる走行モータとして使用することも可能である。
【0016】
回転電機1は、ロータ2と、このロータ2の外側に配置されたステータコア3と、このステータコア3の一端側部分を収容するハウジング4と、ステータコア3の他端側部分を収容するハウジング5とを備えている。
【0017】
ロータ2は、回転軸(図示せず)と一体化されている。ハウジング4,5は、導電性を有する金属材料からなっている。ハウジング4,5を形成する金属材料としては、例えばステンレス鋼等が用いられる。ハウジング4,5同士は、複数組のボルト6及びナット7より締結されている。
【0018】
ステータコア3には、3相のコイル8(図4及び図5参照)が巻装されている。3相のコイル8は、U相コイル、V相コイル及びW相コイルである。コイル8は、エナメル等の絶縁材料で絶縁された電線である。各相のコイル8には、コイル端末部9A~9C(端末部)がそれぞれ引き出されている。コイル端末部9A~9Cは、ステータコア3の軸方向(X方向)に垂直なステータコア3の幅方向(Y方向)に等間隔で配列されている。コイル端末部9Bは、コイル端末部9A,9Cの間に配置されている。
【0019】
コイル端末部9A~9Cの先端部には、コイル給電端子10A~10Cがそれぞれ電気的及び物理的に接続されている。コイル給電端子10Aは、U相コイル給電端子である。コイル給電端子10Bは、V相コイル給電端子である。コイル給電端子10Cは、W相コイル給電端子である。コイル給電端子10A~10Cは、コイル8に電力を供給するための端子である。コイル端末部9A~9Cとコイル給電端子10A~10Cとは、例えば熱カシメ(ヒュージング)等により接続されている。
【0020】
また、回転電機1は、ハウジング4に取り付けられた端子台11と、3つのコイル端末部9A~9Cのうち両端に位置するコイル端末部9A,9Cにそれぞれ装着された2つの絶縁チューブ12とを備えている。3つのコイル端末部9A~9Cのうち真ん中に位置するコイル端末部9Bには、絶縁チューブ12が装着されていない。
【0021】
端子台11は、コイル給電端子10A~10Cがそれぞれ取り付けられた端子電極(図示せず)を有する樹脂製の平板状の台である。端子台11を形成する樹脂材料としては、例えばポリアミド合成樹脂等が用いられる。端子台11は、複数組のボルト13及びナット14によりハウジング4に締結されている。
【0022】
コイル給電端子10A~10Cは、ステータコア3の幅方向(Y方向)に等間隔で配列されている。コイル給電端子10A~10Cは、ボルト15及びナット16により端子台11の端子電極にそれぞれ締結されている。
【0023】
絶縁チューブ12は、コイル端末部9A~9Cとハウジング4とを電気的に絶縁するチューブである。絶縁チューブ12は、円筒状を有している。絶縁チューブ12は、電気的に絶縁性を有する絶縁材料で形成されている。そのような絶縁材料としては、例えばシリコンガラスチューブ等が挙げられる。
【0024】
絶縁チューブ12は、図2に示されるように、コイル端末部9A,9Cが挿入される筒状部17と、この筒状部17に連続して配置された溝部18と、この溝部18から筒状部17に対して筒状部17の径方向の外側に張り出した2つの張出部19とを有している。筒状部17は、絶縁チューブ12の一端側に設けられている。溝部18及び張出部19は、絶縁チューブ12の他端側に設けられている。
【0025】
筒状部17の径方向(J方向)は、筒状部17の軸方向(I方向)に垂直な方向に相当する。また、筒状部17の軸方向は、筒状部17におけるコイル端末部9A,9Cの挿入方向に相当する。このため、筒状部17の径方向は、コイル端末部9A,9Cの挿入方向に垂直な方向に相当する。
【0026】
筒状部17は、円筒状を呈している。溝部18は、半円筒状を呈している。溝部18は、コイル端末部9A,9Cに載置される。張出部19は、溝部18の周方向の端部から筒状部17に対して筒状部17の径方向の左右両外側に張り出している。このとき、2つの張出部19の張出量は、等しくてもよいし、異なっていてもよい。2つの張出部19の張出量が異なる場合は、2つの張出部19のうち絶縁すべき範囲が広い側に配置された張出部19の張出量を大きくするのが望ましい。張出部19は、平坦状を呈している。
【0027】
上記の絶縁チューブ12は、以下のようにして形成される。即ち、図3に示されるように、全体的に円筒状を呈する絶縁チューブ20を用意し、その絶縁チューブ20の片端から絶縁チューブ20の中央部まで絶縁チューブ20の軸方向に延びる切り込み21を入れると共に、切り込み21から絶縁チューブ20の周方向の左右両側に延びる切り込み22を入れる。その状態で、切り込み21を起点として絶縁チューブ20を切り込み22に沿って絶縁チューブ20の径方向に開く。これにより、図2に示されるように、筒状部17、溝部18及び2つの張出部19を有する絶縁チューブ12が得られる。
【0028】
絶縁チューブ12は、筒状部17がコイル給電端子10A,10C側に位置し、溝部18及び張出部19がハウジング4側に位置するように、コイル端末部9A,9Cに装着されている。このとき、コイル給電端子10A,10C側においてコイル端末部9A,9Cがむき出し状態とならないように、コイル端末部9A,9Cが筒状部17に挿入されている。
【0029】
絶縁チューブ12の一方の張出部19は、コイル端末部9A~9Cとハウジング4との間において、溝部18から筒状部17に対して筒状部17の径方向の外側にコイル端末部9Bまで張り出している。そして、絶縁チューブ12の一方の張出部19同士は、コイル端末部9Bにおいて重なり合っている。従って、コイル端末部9A,9Cだけでなく、コイル端末部9Bもハウジング4と電気的に絶縁されることになる。これにより、コイル端末部9A~9Cは、2つの絶縁チューブ12により保護される。なお、絶縁チューブ12の他方の張出部19は、ハウジング4の内壁面に当接している。
【0030】
また、筒状部17は、電気的な絶縁性を有する接着テープ23によりコイル給電端子10A,10Cに固定されている。接着テープ23としては、例えばフッ素樹脂粘着テープが使用される。
【0031】
以上のような回転電機1の製作工程において、コイル端末部9A~9Cとそれぞれ接続されたコイル給電端子10A~10Cを端子台11の端子電極(図示せず)に取り付けるときは、まず図4に示されるように、コイル端末部9A~9Cのうち両端に位置するコイル端末部9A,9Cに絶縁チューブ12を装着する。
【0032】
具体的には、コイル給電端子10A~10Cが上部に位置するようにステータコア3を縦置きする。そして、筒状部17が溝部18及び張出部19よりも上側に位置した状態でコイル端末部9A,9Cが筒状部17に挿入されるように、絶縁チューブ12をコイル端末部9A,9Cに装着する。
【0033】
続いて、図5に示されるように、接着テープ23により絶縁チューブ12の筒状部17をコイル給電端子10A,10Cに接着固定する。このとき、図6に示されるように、筒状部17とコイル給電端子10A,10Cとの境界を含む領域を接着テープ23により複数回巻くことにより、筒状部17とコイル給電端子10A,10Cとを固定する。
【0034】
その後、図7に示されるように、ステータコア3にハウジング4,5を取り付けると共に、ハウジング4に端子台11を取り付ける。そして、コイル端末部9A~9Cを端子台11側に曲げてから、コイル端末部9A~9Cをハウジング5側に曲げた後、ボルト15及びナット16によりコイル給電端子10A~10Cを端子台11の端子電極(図示せず)に固定する。
【0035】
以上のように本実施形態にあっては、コイル端末部9A~9Cと接続されたコイル給電端子10A~10Cを端子台11に取り付けるときは、まず絶縁チューブ12をコイル端末部9A,9Cに装着する。このとき、溝部18及び張出部19が筒状部17よりもハウジング4側に位置するように、コイル端末部9A,9Cを筒状部17に挿入する。そして、コイル端末部9A~9Cを曲げて、コイル給電端子10A~10Cを端子台11に固定する。コイル給電端子10A~10Cが端子台11に取り付けられた状態では、絶縁チューブ12によってコイル端末部9A~9Cとハウジング4とが電気的に絶縁される。
【0036】
このようにコイル端末部9A~9Cとハウジング4とを絶縁する部材として、絶縁チューブ12を使用することにより、コイル端末部9A~9Cとハウジング4とを絶縁する部材の加熱工程が不要となる。従って、回転電機1の製作に関する工数の削減を図ることができる。また、絶縁チューブ12をコイル端末部9A,9Cに装着した後でも、コイル端末部9A,9Cを容易に曲げることができる。さらに、コイル端末部9A,9Cを曲げても、絶縁チューブ12が剥がれにくい。
【0037】
また、絶縁チューブ12において、張出部19は、溝部18から筒状部17に対してコイル端末部9A,9Cの挿入方向に垂直な方向の外側に張り出している。このため、絶縁チューブ12の絶縁範囲は、筒状部17に対してコイル端末部9A,9Cの挿入方向に垂直な方向の外側に広くなる。これにより、絶縁チューブ12による広範囲の絶縁性が確保される。
【0038】
また、本実施形態では、筒状部17は、絶縁チューブ12の一端側に設けられていると共に、コイル給電端子10A,10C側に位置し、溝部18及び張出部19は、絶縁チューブ12の他端側に設けられていると共に、ハウジング4側に位置している。従って、絶縁チューブ12の構造を簡単化しつつ、ハウジング4との広範囲の絶縁性が確保される。
【0039】
また、本実施形態では、張出部19は、筒状部17に対してコイル端末部9A,9Cの挿入方向に垂直な方向の両外側に張り出している。このため、絶縁チューブ12の絶縁範囲は、筒状部17に対してコイル端末部9A,9Cの挿入方向に垂直な方向の両外側に広くなる。従って、筒状部17に対してコイル端末部9A,9Cの挿入方向に垂直な方向の両外側において、ハウジング4との絶縁性が確保される。
【0040】
また、本実施形態では、筒状部17は、接着テープ23によりコイル給電端子10A,10Cに固定されている。従って、絶縁チューブ12がコイル端末部9A,9Cから外れることが確実に防止されるため、絶縁チューブ12による広範囲の絶縁性が十分に確保される。
【0041】
また、本実施形態では、張出部19は、溝部18から筒状部17に対してコイル端末部9A,9Cの挿入方向に垂直な方向の外側にコイル端末部9A,9Cの間に配置されたコイル端末部9Bまで張り出している。このため、コイル端末部9A~9Cのうち真ん中に位置するコイル端末部9Bに絶縁チューブ12を装着しなくても、両端に位置するコイル端末部9A,9Cに装着された絶縁チューブ12の張出部19によって、コイル端末部9Bとハウジング4との絶縁性が確保される。従って、使用する絶縁チューブ12の数と回転電機1の製作に関する工数とが削減される。
【0042】
また、本実施形態では、筒状部17、溝部18及び張出部19を有する絶縁チューブ12は、円筒状の絶縁チューブ20に軸方向に延びる切り込み21及び周方向に延びる切り込み22を入れた状態で、絶縁チューブ20を切り込み21を起点として切り込み22に沿って開くことにより形成されている。従って、絶縁チューブ20全体が有効利用されることになり、絶縁チューブ20の一部を廃棄しなくて済む。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、絶縁チューブ12において、張出部19が溝部18から筒状部17に対して筒状部17の径方向の両方の外側に張り出しているが、特にその形態には限られず、張出部19が溝部18から筒状部17に対して筒状部17の径方向の片方の外側のみに張り出していてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、絶縁チューブ12の筒状部17がコイル給電端子10A,10Cにテープ止めされているが、絶縁チューブ12がコイル給電端子10A,10Cから外れることが無ければ、特に筒状部17をコイル給電端子10A,10Cにテープ止めしなくてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、筒状部17は、絶縁チューブ12の一端側に設けられ、溝部18及び張出部19は、絶縁チューブ12の他端側に設けられているが、特にそのような形態には限られない。例えば回転電機1の構造等によっては、絶縁チューブ12の軸方向中央部に筒状部17が設けられ、絶縁チューブ12の両端側に溝部18及び張出部19が設けられていてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、筒状部17は円筒状を呈しているが、特にその形態には限られず、筒状部17は角筒状を呈していてもよい。この場合、溝部18は、例えば半角筒状を呈することになる。
【0047】
また、必要に応じて絶縁チューブ12の寸法を適宜大きくしてもよい。この場合には、張出部19の張出量が増えることになるため、コイル端末部9A~9Cとハウジング4との絶縁をより確実に行うことができる。
【0048】
また、上記実施形態では、ハウジング4,5は、何れもステータコア3の一部を収容しているが、特にその形態には限られず、ステータコア3を全体的に収容するハウジングが備えられていてもよい。要は、ハウジングは、ステータコア3の少なくとも一部を収容していればよい。
【0049】
また、上記実施形態では、絶縁チューブ12は、コイル端末部9A~9Cのうち両端に位置するU相のコイル端末部9A及びW相のコイル端末部9Cに装着されているが、特にその形態には限られず、必要に応じてコイル端末部9A,9Cの間に位置するV相のコイル端末部9Bにも絶縁チューブ12を装着してもよい。
【0050】
また、上記実施形態の回転電機1は、フォークリフトに搭載されたモータとして使用されているが、本発明は、フォークリフト以外の車両にも適用可能であり、或いは車両以外の駆動系等にも適用可能である。
【0051】
また、上記実施形態の回転電機1は、三相交流モータであるが、本発明は、単相モータにも適用可能である。この場合には、コイル、コイル端末部及びコイル給電端子の数は、1つとなる。また、本発明は、発電機等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…回転電機、3…ステータコア、4,5…ハウジング、8…コイル、9A~9C…コイル端末部(端末部)、10A~10C…コイル給電端子、11…端子台、12…絶縁チューブ、17…筒状部、18…溝部、19…張出部、23…接着テープ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7