(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】車両用開閉構造
(51)【国際特許分類】
B60J 5/12 20060101AFI20230725BHJP
E06B 9/02 20060101ALI20230725BHJP
E06B 9/58 20060101ALI20230725BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B60J5/12
E06B9/02 A
E06B9/58 A
E06B9/17 T
(21)【出願番号】P 2019236249
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 諭
(72)【発明者】
【氏名】寺井 英晃
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 博隆
(72)【発明者】
【氏名】丸山 克也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 慎一
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06443209(US,B1)
【文献】特開2019-111865(JP,A)
【文献】米国特許第03056451(US,A)
【文献】特開2019-182057(JP,A)
【文献】特開2006-342644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00- 5/14
E06B 9/00- 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の開口を開閉するための車両用開閉構造であって、
前記開口の両端に沿って配設される一対のレールと、
前記レールに沿って並列されかつ相互に連結された複数のパネルと、
前記一対のレールの間に跨って延出しかつ前記パネルを補強する補強部材と、
前記補強部材の両端に設けられかつ前記一対のレールのそれぞれにスライド可能に保持される保持部材と、
前記レールから前記保持部材が外れることを防止するように前記レールから前記保持部材または前記補強部材へ突出する外れ防止部材を有
し、
前記外れ防止部材は、前記保持部材の端部を回転可能に保持する保持面を有して前記保持部材が前記パネルの厚み方向に傾動することを許容する車両用開閉構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用開閉構造であって、
前記外れ防止部材は、前記レールから前記保持部材の内側面に沿って張出している車両用開閉構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用開閉構造であって、
前記補強部材は、筒状であり、前記補強部材の両端が装着部材によって前記パネルに装着されている車両用開閉構造。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用開閉構造であって、
前記保持部材は、前記補強部材の筒形状内に挿入される挿入部を有し、
前記挿入部が前記装着部材を利用して前記補強部材に装着されている車両用開閉構造。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の車両用開閉構造であって、
前記外れ防止部材は、前記補強部材に向けて出没するように前記レールにスライド可能に保持され、
前記外れ防止部材を前記補強部材に向けて突出させて前記外れ防止部材の先端を前記補強部材に係合させる駆動機構が設けられる車両用開閉構造。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の車両用開閉構造であって、
前記保持部材には、前記パネルの端縁または前記補強部材の端縁に向いて開口する挿入孔が形成され、
前記パネルの前記端縁または前記補強部材の前記端縁から前記挿入孔に向けて突出しかつ前記挿入孔にスライド可能に挿入されかつ前記挿入孔の壁面によって前記パネルの厚み方向に移動することが規制される突片が形成されている車両用開閉構造。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用開閉構造であって、
前記補強部材の端部に装着された鉤状フックを有し、前記鉤状フックが前記外れ防止部材に係合されて、前記補強部材の移動を規制する車両用開閉構造。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の車両用開閉構造であって、
隣接する前記パネルを連結しかつ前記パネルよりも軟らかい軟質材料から形成された軟質部材を有し、
前記補強部材が前記パネルの裏面に沿ってまたは前記軟質部材に沿って配設されている車両用開閉構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の開口を開閉するための車両用開閉構造に関する。例えば複数の樹脂製のパネルが連接された車両用シャッタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体の後部の開口を開閉する車両用開閉構造が開示される。開閉構造は、開口の両端に沿って配設される一対のレールと、レールに沿って並列されかつ連結された複数のパネルを有する。各パネルは、例えばポリカーボネートやアクリル樹脂等の硬質樹脂で成形される。隣接する各パネルは、パネルよりも軟らかい例えばエラストマ材料等の軟質樹脂から形成された軟質部材で連結される。連結された複数のパネルは、軟質部材が設けられた箇所で湾曲できる1枚の板状である。
【0003】
各パネルの両端は、レールに沿ってスライドできるようにレールに保持される。レールの上部は、車体のルーフに沿って延設される。複数のパネルは、上方の開き位置へ移動されることでルーフの形状に倣う。これによりパネルが開口から退避し、開口が開放される。複数のパネルは、下方の閉じ位置において開口を閉止する。閉じ位置にある複数のパネルは、車体と協働して車両の後面を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
閉じ位置で開口を閉止するパネルが万一、外から力を受けた場合、パネルが車室に向けて凹む場合がある。そのためパネルの端部がレールから外れるおそれがある。そのためレールの幅を広くすることも考えられるが、その場合、開口の幅が狭くなってしまう。そこでパネルがレールから外れることを効果的に抑制できる構造が従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴は、車体の開口を開閉するための開閉構造に関する。開閉構造は、開口の両端に沿って配設される一対のレールと、レールに沿って並列されかつ相互に連結された複数のパネルを有する。一対のレールの間に跨って延出しかつパネルを補強する補強部材が設けられる。補強部材の両端には、一対のレールのそれぞれにスライド可能に保持される保持部材が設けられる。各レールは、レールから保持部材が外れることを防止するようにレールから保持部材または補強部材へ突出する外れ防止部材を有する。
【0007】
したがってパネルが万一の外力を受けた際、パネルを補強する補強部材が外力を支持する。これによりパネルの破損を抑制できる。しかも補強部材の両端は、保持部材と外れ防止部材によって各レールから外れることが抑制される。そのためパネルは、補強部材を利用してレールから外れることが抑制される。
【0008】
本開示の他の特徴によると外れ防止部材は、レールから保持部材の内側面に沿って張出す。したがって保持部材が開口の内方へ向けて力を受ける際、外れ防止部材が保持部材の内側面に当接する。そのため保持部材は、外れ防止部材より開口の内方への移動が規制される。これにより保持部材に保持された補強部材及びパネルがレールから離脱することが抑制される。
【0009】
本開示の他の特徴によると補強部材は筒状である。補強部材の両端が装着部材によってパネルに装着される。したがって軽量かつ強度が大きい補強部材を利用できる。補強部材の両端をパネルに装着させる。これにより補強部材は、両端の間の長い領域にわたってパネルを補強できる。
【0010】
本開示の他の特徴によると保持部材は、補強部材の筒形状内に挿入される挿入部を有する。挿入部は、装着部材を利用して補強部材に装着される。したがって装着部材を利用してパネルと保持部材をまとめて補強部材に装着できる。これにより保持部材と補強部材とパネルがより一体的になる。そのため外れ防止部材が保持部をレールに保持することによって、補強部材とパネルがレールから離脱することをより効果的に防止できる。
【0011】
本開示の他の特徴によると外れ防止部材は、保持部材の端部を回転可能に保持する保持面を有して保持部材がパネルの厚み方向に傾動することを許容する。したがってパネルが厚み方向に万一、外力を受ける際、保持部材がパネルの厚み方向に傾動する。これによりパネルが受けた外力あるいは衝撃を保持部材が傾動することで緩和できる。かくして外力あるいは衝撃等によるパネルに加わる局所的な力を緩和できる。その結果、パネルの破損を効果的に抑制できかつ保持部材のレールからの離脱を防止できる。
【0012】
本開示の他の特徴によると外れ防止部材は、補強部材に向けて出没するようにレールにスライド可能に保持される。外れ防止部材を補強部材に向けて突出させて外れ防止部材の先端を補強部材に係合させる駆動機構が設けられる。したがって補強部材を外れ防止部材と係合する所定の位置で移動しないように保持できる。これによりパネルが万一、外力を受けた際でも、補強部材と保持部材がレールから離脱することを外れ防止部材が効果的に抑制できる。
【0013】
本開示の他の特徴によると保持部材には、パネルの端縁または補強部材の端縁に向いて開口する挿入孔が形成される。パネルの端縁または補強部材の端縁から挿入孔に向けて突出しかつ挿入孔にスライド可能に挿入されかつ挿入孔の壁面によってパネルの厚み方向に移動することが規制される突片が形成されている。
【0014】
したがって突片は、挿入孔に対してパネルの平面に沿って移動可能である。そのためパネルが万一、突片が挿入孔から抜ける方向に外力を受けた際に、その力を開放する。かくしてパネルの端縁または補強部材の端縁に力が集中することが避けられる。一方、パネルの厚み方向への力が加わった際には、挿入孔の壁面によって厚み方向の移動が規制される。かくしてパネルまたは補強部材がパネルの厚み方向に外れることを抑制する。
【0015】
本開示の他の特徴によると開閉構造は、補強部材の端部に装着された鉤状フックを有する。鉤状フックが外れ防止部材に係合されて、補強部材の移動を規制する。したがって鉤状フックと外れ防止部材の係合によって、補強部材とパネルの移動を規制できる。突片と挿入孔の係合によってパネルの厚み方向への移動を規制し、鉤状フックと外れ防止部材の係合によって厚み方向と異なる方向への移動を規制する。これにより補強部材とパネルがレールから外れることをより効果的に抑制できる。
【0016】
本開示の他の特徴によると開閉構造は、隣接するパネルを連結しかつパネルよりも軟らかい軟質材料から形成された軟質部材を有する。補強部材がパネルの裏面に沿ってまたは軟質部材に沿って配設される。したがって補強部材が各パネルを補強し、軟質部材が隣接する各パネルの間の緩衝部材として機能する。これによりパネルが受ける外力あるいは衝撃等を補強部材と軟質部材の両方で軽減できる。かくしてパネルの破損をより効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】パネルが閉じ位置で開口を閉止する際の車両の後部の斜視図である。
【
図2】パネルを開き位置に移動させた際の車両の後部の斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る開閉構造の
図1中III-III線断面矢視図である。
【
図5】開閉構造の保持部材周りの拡大斜視図である。
【
図6】第2実施形態に係る開閉構造の
図1中III-III線断面に相当する断面図である。
【
図7】開閉構造の保持部材周りの拡大斜視図である。
【
図8】第3実施形態に係る開閉構造の
図1中III-III線断面に相当する断面図である。
【
図9】開閉構造の保持部材周りの拡大斜視図である。
【
図10】第4実施形態に係る開閉構造の
図1中III-III線断面に相当する断面図である。
【
図11】第5実施形態に係る開閉構造の
図1中III-III線断面に相当する断面図である。
【
図12】
図11の状態から保持部材が移動した場合の開閉構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の一つの実施形態を
図1~5を参照して下記に詳しく説明する。説明中の同じ参照番号は、重複する説明をしないが、同じ機能を有する同じ要素を意味する。
図1は、左方かつ奥行き方向を前進方向とする自動車を示す。車両1の車体2は、ルーフ3と一対のサイドパネル4とリヤバンパ5を有する。ルーフ3は、略水平に延出して車体2の上部を形成する。一対のサイドパネル4は、車体2の左右側方に配置される。リヤバンパ5は、左右のサイドパネル4の後端下部を連結するように車体2の後端下部に配置される。以下の説明においては、車両1の前進方向を前方として車両1に設けられた各構成の上下左右前後方向を規定する。
【0019】
図1に示すように車体2の後部に開口7が設けられる。開口7は、ルーフ3の後端と一対のサイドパネル4の後部とリヤバンパ5の上部が協働することで形成される。車両1は、開口7を覆う複数のパネル11と、パネル11を開口7に沿って移動させるための開閉構造10を有する。開閉構造10によってパネル11を、
図1に示す開口7を覆った閉じ位置と
図2に示す開口7から上方へ退避した開き位置の間で移動させることができる。
【0020】
図1に示すように開閉構造10は、パネル11をスライドさせるための一対のレール20を車体2の後部の車幅方向(左右方向)両側に有する。レール20は、開口7の端縁に沿った開口端レール20aと、ルーフ3に沿って設けられるルーフレール20bを有する。各サイドパネル4の後端には、車体2の上下方向に延在するフレーム6が取り付けられる。開口端レール20aは、フレーム6に沿って配設される。ルーフレール20bは、開口端レール20aが延出する延長線上に配設される。ルーフレール20bは、ルーフ3のルーフパネル3aよりも内方(下方)に配設される。
【0021】
図1,5に示すようにパネル11は、開口7の左右幅を覆うことができる長さを有して延出する矩形の板状部材である。パネル11は、例えばポリカーボネートまたはアクリル樹脂等の硬質樹脂で設けられる。複数のパネル11は、左右方向を長手方向として上下に並列される。隣接する各パネル11の間には軟質部材12が設けられる。換言するとパネル11と軟質部材12が車体2の上下方向に沿って交互に配置される。軟質部材12は、パネル11の左右両端まで延出する。軟質部材12は、例えばエラストマ樹脂等のパネル11よりも軟らかい軟質樹脂で設けられる。軟質部材12は、パネル11に比べて弾性変形し易い。
【0022】
図5に示すように軟質部材12の接続部12aを左右方向から見ると、隣接するパネル11に対して端部が湾曲凹状に形成される。そのため上下の接続部12aの間の高さは、厚み方向の両端領域が厚み方向の中央領域よりも大きい。パネル11と軟質部材12は、例えば異なる材質の樹脂を一体に成形するいわゆる二色成形によって成形される。具体的にはパネル11を金型で成形した後に、別の金型でパネル11と軟質部材12を一体に成形する。
【0023】
図1に示すように車両1は、複数のパネル11を車体2に対してロックするロック機構8を有する。ロック機構8は、下端に位置するパネル11に装着されたラッチ8aと、リヤバンパ5の内方のフレーム5aに装着されたストライカ8bを有する。フレーム5aは車体2の一部である。ラッチ8aがストライカ8bと係合することで、複数のパネル11がフレーム5aにロックされる。ロック機構8には、ラッチ8aとストライカ8bの係合状態を検知する検知センサ8cが設けられる。下端に位置するパネル11には、連結された複数のパネル11を開閉するための操作部として取手19が装着される。取手19には、ロック解除レバー19aが設けられる。使用者が取手19を把持してロック解除レバー19aを引くことで、ラッチ8aとストライカ8bの係合が解除される。
【0024】
図2に示すようにサイドパネル4の後端には、湾曲部4aが設けられる。サイドパネル4の後端は、湾曲部4aよりも下方の領域では概ね上下方向に起立して延出する。サイドパネル4の後端は、湾曲部4aよりも上方の領域では上下方向から前傾して延出する。フレーム6は、サイドパネル4の後端に沿って湾曲して延設される。
【0025】
図3~5に示すように開閉構造10は、パネル11に装着される補強部材13と、補強部材13に装着される保持部材15を有する。補強部材13は、筒形状かつ延出方向と直交する断面の形状が矩形に形成される。補強部材13は、例えば鉄やアルミ等の破断し難い金属材料で設けられる。補強部材13は、パネル11の左右方向の長さよりも長く延出する。補強部材13の延出方向に延出しかつ延出方向と直交する断面の形状が矩形の筒孔13aが設けられる。補強部材13は、筒形状の厚みが略同じ厚さで設けられる。補強部材13の両方の端部13cには、補強部材13を厚み方向に貫通する装着孔13bが設けられる。装着孔13bは、例えばリベット等の装着部材14が進入できるように、補強部材13の厚み方向に対向する2面それぞれに設けられる。
【0026】
図3,5に示すように保持部材15は、矩形の柱状に延出する挿入部15aと、挿入部15aの一端において挿入部15aの延出方向と交差して矩形箱形に張出す張出部15bを有する。保持部材15は、例えば鉄、アルミ等の金属材料や繊維強化プラスチック等の剛性の大きい材料で設けられる。挿入部15aは、補強部材13の筒孔13aにほぼ隙間なく挿入させることができる。挿入部15aには、延出方向と直交する装着孔15eが設けられる。装着孔15eは、挿入部15aを筒孔13aに挿入させた際に装着孔13bと協働して1つの貫通孔を形成する。張出部15bは、挿入部15aと連結される平面状の内側面15cと、内側面15cの反対側に位置する平面状の外側面15dを有する。
【0027】
図3に示すようにレール20のレール本体21には、開口7の内方へ向けて開口する略C字形状の凹部22が凹設される。凹部22の左右方向の中間領域には、レール本体21から凹部22の内方へ向けて突出する一対の突出部(外れ防止部材)23が設けられる。一対の突出部23は、一方がレール本体21の前部から後方へ向けて突出し、他方がレール本体21の後部から前方へ向けて突出する。凹部22と一対の突出部23が協働して、張出部15bが進入できる矩形空間を形成する。凹部22と突出部23は、レール20の延出方向のいずれの箇所においても同様の形状を有する。
【0028】
図3に示すように凹部22には、パネル11とレール20の間を封止するシール部材24が装着される。シール部材24は、突出部23よりも開口7の内方に配置される。シール部材24は、例えばエラストマ材料等の軟質樹脂で設けられる。シール部材24の基部は、レール本体21の表側(後側)に装着される。シール部材24の先端は、レール本体21の後部から前方へ向かいかつ開口7の内方へ向かう方向に延出する。シール部材24は、開口7の周囲に全周にわたって配置される。そのためシール部材24は、例えば開口端レール20a、ルーフパネル3aの後端、フレーム5aの上端に装着される(
図2参照)。レール20は、レール本体21から車幅方向外方に延出する車体装着部25を有する。車体装着部25には、装着部材26を装着するための装着孔25aが設けられる。装着部材26は、ボルト26aとナット26bで構成される。
【0029】
図3,5に示すように補強部材13は、パネル11の裏面11bに接着部材16で接着される。補強部材13は、パネル11の上下幅の中央領域に装着されてパネル11の延出方向と略平行に延出する。補強部材13は、装着孔13bの貫通方向がパネル11の厚み方向となるように接着される。挿入部15aは、装着孔13bと装着孔15eが同じ方向に延出するように筒孔13aに挿入される。装着孔13bと装着孔15eが横並びになった状態で、例えばリベット等の装着部材14を装着孔13bと装着孔15eの両方に進入させる。装着部材14によって保持部材15を端部13cに強固に装着できる。
【0030】
図3に示すように張出部15bは、凹部22と突出部23が協働して形成する矩形空間に進入される。突出部23は、内側面15cに沿って張出す。凹部22の車幅方向の外側面は、外側面15dと対向する。保持部材15は、凹部22と突出部23によって左右方向及び前後方向の移動が規制され、レール20に沿った上下方向の移動が許容される。パネル11と補強部材13は、保持部材15を介してレール20に上下方向に移動可能に保持される。保持部材15と装着部材14は、パネル11の外方から見えない凹部22の内方に配置される。シール部材24の先端がパネル11の表面11aと軟質部材12(
図5参照)の表面に接触する。これによりパネル11及び軟質部材12の外方(後方)と凹部22の間が封止される。レール本体21は、車体装着部25とフレーム6を装着部材26で装着させることで開口7の左右端に取付けられる。
【0031】
上述するように開閉構造10は、
図1,2に示すように車体2の開口7を開閉する。
図3に示すように開閉構造10は、開口7の左右両端に沿って配設される一対のレール20と、レール20に沿って並列されかつ相互に連結された複数のパネル11を有する。一対のレール20の間に跨って延出しかつパネル11を補強する補強部材13が設けられる。補強部材13の各端部13cには、一対のレール20のそれぞれにスライド可能に保持される保持部材15が装着される。各レール20は、レール20から保持部材15が外れることを防止するようにレール20から保持部材15へ突出する突出部23を有する。
【0032】
したがってパネル11が万一の外力あるいは衝撃を受けた際、パネル11を補強する補強部材13が外力や衝撃等を支持する。これによりパネル11の破損を抑制できる。しかも補強部材13の各端部13cは、保持部材15と突出部23によって各レール20から外れることが抑制される。そのためパネル11は、補強部材13を利用してレール20から外れることが抑制される。
【0033】
図3に示すように突出部23は、レール20から保持部材15の内側面15cに沿って張出す。したがって保持部材15が開口7の内方へ向けて力を受ける際、突出部23が内側面15cに当接する。そのため保持部材15は、突出部23より開口7の内方への移動が規制される。これにより保持部材15に保持された補強部材13及びパネル11がレール20から離脱することが抑制される。
【0034】
図3,4に示すように補強部材13は筒状である。補強部材13は、少なくとも各端部13cが装着部材14によってパネル11に装着される。したがって軽量かつ強度が大きい補強部材13を利用できる。補強部材13の各端部13cをパネル11に装着させる。これにより補強部材13は、両方の端部13cの間の長い領域にわたってパネル11を補強できる。
【0035】
図3,5に示すように保持部材15は、補強部材13の筒孔13aに挿入される挿入部15aを有する。挿入部15aは、装着部材14を利用して補強部材13の端部13cに装着される。したがって装着部材14を利用してパネル11と保持部材15をまとめて補強部材13に装着できる。これにより保持部材15と補強部材13とパネル11がより一体的になる。そのため突出部23が保持部材15をレール20に保持することによって、補強部材13とパネル11がレール20から離脱することをより効果的に防止できる。
【0036】
図5に示すように開閉構造10は、隣接するパネル11を連結しかつパネル11よりも軟らかい軟質材料から形成された軟質部材12を有する。補強部材13がパネル11の裏面11bに沿って配設される。したがって補強部材13が各パネル11を補強し、軟質部材12が隣接する各パネル11の間の緩衝部材として機能する。これによりパネル11が受ける外力あるいは衝撃等を補強部材13と軟質部材12の両方で軽減できる。かくしてパネル11の破損をより効果的に抑制できる。
【0037】
図3に示すように左右方向に延出するパネル11の裏面11bに沿って左右方向に延出する補強部材13が装着される。したがってパネル11と補強部材13は、長手方向が同じ方向で互いに装着される。左右方向に長いパネル11は、万一の破断の場合に左右方向と交差する方向に破断し易い傾向がある。パネル11の裏面11bに左右方向に長い補強部材13を装着することで、左右方向と交差する方向の破断を効果的に抑制できる。
【0038】
本開示の第2実施形態を
図6,7に基づいて説明する。開閉構造30は、
図3に示す開閉構造10の保持部材15とレール20に代えて、保持部材35とレール40を有する。さらに開閉構造30は、保持部材35とレール40の間にスライド部材37を有する。保持部材35は、矩形の柱状に延出する挿入部35aと、挿入部35aの一端において球状に張出す張出部35bを有する。保持部材35は、例えば鉄、アルミ等の金属材料や繊維強化プラスチック等の剛性の大きい材料で設けられる。挿入部35aは、補強部材13の筒孔13aにほぼ隙間なく挿入させることができる。挿入部35aには、挿入部15aの装着孔15e(
図3参照)と同様に装着部材14を挿入できる装着孔35eが設けられる。張出部35bは、挿入部35aと連結される半球状の内側面35cと、内側面35cの反対側に位置する半球状の外側面35dを有する。
【0039】
図6,7に示すようにスライド部材37は、張出部15b(
図5参照)と同様の矩形箱形に形成される。スライド部材37は、例えば鉄やアルミ等の金属材料、あるいは硬質樹脂等で設けられる。スライド部材37の略中央には、スライド部材37を左右方向に貫通する貫通孔37bが設けられる。貫通孔37bは、開口7の外方の略半分が半球状に形成される。貫通孔37bの半球状の保持面37aは、保持部材35の内側面35cとほぼ隙間なく係合する。貫通孔37bは、開口7の内方の略半分が開口7の内方へ向けて径が拡がるテーパ状に形成される。貫通孔37bは、テーパ状のテーパ面37cと保持面37aが連結する箇所で最小径となる。貫通孔37bの最小径部は、挿入部35aの進入を許容しかつ張出部35bの進入を規制する。スライド部材37は、テーパ面37cの開口する側に平面状の内側面37eを有する。スライド部材37は、保持面37aの開口する側に平面状の外側面37fを有する。
【0040】
図6に示すようにレール40のレール本体41は、開口7の内方へ向けて開口する略C字形状の凹部42が凹設される。凹部42の左右方向の中間領域には、レール本体41の前後部から凹部42の内方へ向けて突出する一対の突出部43が設けられる。凹部42と一対の突出部43が協働して、スライド部材37が進入できる矩形空間を形成する。凹部42の車幅方向の外側面には、開口7の外方へ向けて円弧状の円筒状凹部42aが凹設される。凹部42と円筒状凹部42aと突出部43は、レール40の延出方向のいずれの箇所においても同様の形状を有する。
【0041】
図6,7に示すように挿入部35aは、スライド部材37の貫通孔37bに挿入される。保持部材35は、張出部35bが外側面37fから張出すように配置される。挿入部35aは、装着孔13bと装着孔35eが同じ方向に延出するように補強部材13の筒孔13aに挿入される。装着部材14を装着孔13bと装着孔35eの両方に進入させることで、保持部材35が端部13cに装着される。
【0042】
図6に示すようにスライド部材37は、凹部42と突出部43が協働して形成する矩形空間に進入される。突出部43は、内側面37eに沿って張出す。凹部42の車幅方向の外側面は、外側面37fと対向する。これにより保持部材35は、左右方向及び前後方向の移動が規制されかつレール40に沿った上下方向の移動が許容される。張出部35bは、円筒状凹部42aと保持面37aの間において中心部35fを中心にして回転可能に収容される。テーパ面37cは、挿入部35aが張出部35bの中心部35fを中心にして所定の角度の範囲内で傾動することを許容する。
【0043】
上述するように開閉構造30のスライド部材37は、
図6に示すように保持部材35の内側面35cと外側面35dを回転可能に保持する保持面37aを有して保持部材35がパネル11の厚み方向に傾動することを許容する。したがってパネル11が厚み方向に万一、外力あるいは衝撃を受ける際、保持部材35がパネル11の厚み方向に傾動する。これによりパネル11が受けた外力あるいは衝撃を保持部材35が傾動することで緩和できる。かくして外力あるいは衝撃等によるパネル11に加わる局所的な力を緩和できる。その結果、パネル11の破損を効果的に抑制できかつ保持部材35のレール40からの離脱を防止できる。
【0044】
図6に示すように補強部材13の両方の端部13cには、一対のレール40のそれぞれにスライド可能に保持されるスライド部材37が設けられる。各レール40は、レール40からスライド部材37が外れることを防止するようにレール40からスライド部材37へ突出する突出部43を有する。突出部43は、レール40からスライド部材37の内側面37eに沿って張出す。したがってパネルが万一の外力あるいは衝撃を受けた際、突出部43がスライド部材37の内側面37eに当接する。そのためスライド部材37は、突出部43より開口7の内方への移動が規制される。これによりスライド部材37及びスライド部材37と係合する保持部材35がレール40から外れることが抑制される。
【0045】
本開示の第3実施形態を
図8に基づいて説明する。開閉構造70は、
図3に示す開閉構造10のパネル11、補強部材13、保持部材15、レール20に代えて、パネル71、補強部材73、保持部材75、レール80を有する。さらに開閉構造70は、補強部材73と係合する係合ピン87を有する。
図8に示すようにパネル71の左右両端には、左右外方へそれぞれ突出する突片71aが設けられる。
【0046】
図8に示すように補強部材73は、補強部材13(
図5参照)と同様に筒形状かつ延出方向と直交する断面の形状が矩形である。補強部材73には、延出方向と直交する断面の形状が矩形の筒孔73aが設けられる。補強部材73の両方の端部73cには、係合ピン87が挿入されて係合可能なピン挿通孔73bが設けられる。ピン挿通孔73bは、補強部材73をパネル71の厚み方向に貫通する。補強部材73の各端部73cには、筒孔73aと嵌合する挿入部材77が挿入される。挿入部材77には、ピン挿通孔73bの延出方向に並んで延出するピン挿通孔77aが設けられる。
【0047】
図8に示すように保持部材75は、張出部15b(
図7参照)と同様の矩形箱形に形成される。保持部材75は、左右方向に貫通する挿入孔75aを有する。挿入孔75aは、パネル71の突片71aを挿入できる大きさを有する。保持部材75は、開口7の内方に配置される平面状の内側面75bと、開口7の外方に配置される平面状の外側面75cを有する。
【0048】
図8に示すように係合ピン87は、直線状に延出する棒状部材である。係合ピン87の基部が駆動機構87aに装着される。駆動機構87aは、電気信号を受けて電磁的作用で係合ピン87を延出方向にスライドさせる。係合ピン87は、先端が延出方向に突出した係合位置と、係合位置から駆動機構87aの方へ引込んだ解除位置の間で変位する。駆動機構87aには、ロック機構8の検知センサ8c(
図1参照)が発信する検知信号を基に電気信号が送られる。例えば検知センサ8cがラッチ8aとストライカ8bの係合を検知した場合、駆動機構87aにオン信号が送られる。駆動機構87aは、オン信号を受信した際に係合ピン87を係合位置に変位させる。検知センサ8cがラッチ8aとストライカ8bの係合が解除されたことを検知した場合、駆動機構87aにオフ信号が送られる。駆動機構87aは、オフ信号を受信した際に係合ピン87を解除位置に変位させる。
【0049】
図8に示すようにレール80のレール本体81は、凹部22と突出部23(
図3参照)と同様に、開口7の内方へ向けて開口して凹設される凹部82と、凹部82の内方へ向けて突出する一対の突出部83を有する。レール本体81の前部には、突出部83よりも開口7の内方にピン挿通孔86が設けられる。ピン挿通孔86は、係合ピン87が進入できるようにレール本体81の前部を前後方向に貫通する。ピン挿通孔86は、パネル71が閉じ位置に移動した際に補強部材73と係合するようにレール80の延出方向に所定の間隔で設けられる。
【0050】
図8に示すように補強部材73は、パネル71の裏面71bに接着部材16で接着される。筒孔73aに挿入部材77が挿入され、ピン挿通孔73bとピン挿通孔77aが1つの孔として連なる。パネル71の突片71aは、保持部材75の挿入孔75aに挿入される。これによりパネル71と補強部材73と保持部材75が一体的に連結される。
【0051】
図8に示すように保持部材75は、凹部82と突出部83が協働して形成する矩形空間に進入される。突出部83は、外側面75cに沿って張出す。保持部材75は、左右方向及び前後方向の移動が規制されかつレール80に沿った上下方向の移動が許容される。駆動機構87aは、レール80の裏側(前側)に配置される。係合ピン87は、ピン挿通孔86から凹部82へ突入されて配置される。係合ピン87は、外側面75cに沿って延出する。係合ピン87は、係合位置においてピン挿通孔73bとピン挿通孔77aへと突出して進入する。係合ピン87は、解除位置においてピン挿通孔73bとピン挿通孔77aから退避する。
【0052】
上述するように開閉構造70は、
図8に示すようにレール80の前部から補強部材73へ突出する係合ピン87を有する。補強部材73は、パネル71を介して保持部材75と一体に設けられる。したがって補強部材73の各端部73cは、保持部材75と係合ピン87によって各レール80から外れることが抑制される。そのためパネル71は、補強部材73を利用してレール80から外れることが抑制される。
【0053】
図8に示すように係合ピン87は、補強部材73に向けて出没するようにレール80にスライド可能に保持される。係合ピン87を補強部材73に向けて突出させて係合ピン87の先端を補強部材73に係合させる駆動機構87aが設けられる。したがって補強部73材を係合ピン87と係合する所定の閉じ位置で移動しないように保持できる。これによりパネル71が万一、外力あるいは衝撃を受けた際でも、補強部材73と保持部材75がレール80から離脱することを係合ピン87が効果的に抑制できる。
【0054】
本開示の第4実施形態を
図9,10に基づいて説明する。開閉構造50は、
図3に示す開閉構造10のパネル11、補強部材13、保持部材15、レール20に代えて、パネル51、補強部材53、保持部材55、レール60を有する。さらに開閉構造50は、補強部材53と保持部材55の間に連結部材57を有する。
図10に示すようにパネル51は、上下幅の中央領域の左右両端から左右外方へそれぞれ突出する突片51aを有する。突片51aは矩形の板状である。補強部材53は、補強部材13(
図5参照)と同様に筒形状かつ延出方向と直交する断面の形状が矩形である。
【0055】
図9に示すように補強部材53には、延出方向と直交する断面の形状が矩形の筒孔53aが設けられる。補強部材53の両方の端部53cには、装着部材54を挿入させて装着するための装着孔53bが設けられる。装着孔53bは、接着部材16でパネル51の裏面51bに接着される面に設けられる。装着部材54は、例えばボルト54aとナット54bで構成される。
【0056】
図9,10に示すように連結部材57は、例えば鉄やアルミ等の金属製の板状部材の組み合わせで構成される。連結部材57は、平板状に延出する挿入部57aと、挿入部57aの一端で連結部材57の板厚方向に湾曲する鉤状フック57cを有する。挿入部57aには、装着部材54を挿入させて装着するための装着孔57bが設けられる。鉤状フック57cの基端には、挿入部57aと同じ方向に延出する平板状の突片57dが装着される。
【0057】
図9,10に示すように保持部材55は、張出部15b(
図5参照)と同様の矩形箱形に形成される。保持部材55は、パネル51の端縁と補強部材53の端部53cのそれぞれに向いて左右方向に開口する挿入孔55a,55bを有する。挿入孔55a,55bは、上下方向に長い矩形の孔であり、前後方向に横並びで配置される。挿入孔55aは、挿入孔55bよりも後方に配置される。挿入孔55aには、パネル51の突片51aが挿入される。挿入孔55bには、連結部材57の突片57dが挿入される。保持部材55は、開口7の内方に配置される平面状の内側面55cと、開口7の外方に配置される平面状の外側面55dを有する。
【0058】
図9に示すようにレール60のレール本体61は、凹部22と突出部23(
図3参照)と同様に、開口7の内方へ向けて開口して凹設される凹部62と、凹部62の内方へ向けて突出する一対の突出部63を有する。レール本体61の前部には、突出部63よりも開口7の内方にフック係合部66が設けられる。フック係合部66は、凹部62の内方へ向けて湾曲する。凹部62と突出部63とフック係合部66は、レール60の延出方向のいずれの箇所においても同様の形状を有する。
【0059】
図9に示すように連結部材57の挿入部57aは、補強部材53の筒孔53aに挿入される。装着孔53bと装着孔57bが横並びになった状態で、装着部材54を装着孔53bと装着孔57bの両方に取付ける。これにより補強部材53と連結部材57が連結される。補強部材53は、パネル51の裏面51bに接着部材16で接着される。パネル51の突片51aと連結部材57の突片57dは、前後方向に横並びに配置され、左右方向に略同じ長さまで延出する。突片51a,57dは、保持部材55の挿入孔55a,55bにそれぞれ挿入される。これによりパネル51と連結部材57が保持部材55に連結される。
【0060】
図9に示すように保持部材55は、凹部62と突出部63が協働して形成する矩形空間に進入される。突出部63は、内側面55cに沿って張出す。保持部材55は、左右方向及び前後方向の移動が規制されかつレール60に沿った上下方向の移動が許容される。鉤状フック57cの先端とフック係合部66の先端が互いに対向する。フック係合部66は、鉤状フック57cが開口7(
図1参照)の内方あるいは前後方向へ移動することを規制する。
【0061】
上述するように開閉構造50は、
図9,10に示すようにパネル51の端縁または補強部材53の端部53cに向いて開口する挿入孔55a,55bが形成される。パネル51の端縁または補強部材53の端部53cには、挿入孔55a,55bに向けて突出しかつ挿入孔55a,55bにスライド可能に挿入される突片51a,57dが形成される。突片51a,57dは、挿入孔55a,55bの壁面によってパネル51の厚み方向に移動することが規制される。
【0062】
したがって突片51a,57dは、挿入孔55a,55bに対してパネル51の平面に沿って移動可能である。そのためパネル51が万一、突片51a,57dが挿入孔55a,55bから抜ける方向に外力あるいは衝撃を受けた際に、その力や衝撃等を開放する。かくしてパネル51の端縁または補強部材53の端部53cに力が集中することが避けられる。一方、パネル51の厚み方向への力が加わった際には、挿入孔55a,55bの壁面によって厚み方向の移動が規制される。かくしてパネル51または補強部材53がパネル51の厚み方向に外れることを抑制する。
【0063】
図9,10に示すように開閉構造50は、補強部材53の端部53cに装着された鉤状フック57cを有する。鉤状フック57cがレール本体61のフック係合部66に係合されて、補強部材53の移動を規制する。したがって鉤状フック57cとフック係合部66の係合によって、補強部材53とパネル51の移動を規制できる。突片51a,57dと挿入孔55a,55bの係合によってパネル51の厚み方向への移動を規制する。鉤状フック57cとフック係合部66の係合によって厚み方向と異なる方向への移動を規制する。これにより補強部材53とパネル51がレール60から外れることをより効果的に抑制できる。
【0064】
本開示の第5実施形態を
図11,12に基づいて説明する。開閉構造90は、
図3に示す開閉構造10のレール20に代えて、レール95を有する。レール95のレール本体91は、凹部22と突出部23(
図3参照)と同様に、開口7の内方へ向けて開口して凹設される凹部92と、凹部92の内方へ向けて突出する一対の突出部93を有する。
【0065】
図11に示すように凹部92は、突出部93よりも開口7(
図1参照)の外方の領域が凹部22よりも大きく設けられる。そのため凹部92と突出部93が協働して形成する矩形空間は、保持部材15の張出部15bよりも大きい。凹部92または突出部93と張出部15bとの間には間隙部92aが形成される。間隙部92aは、パネル11と補強部材13が装着の前後で熱伸縮をすることを考慮した左右方向の長さを有する。例えばパネル11と補強部材13が装着の前後で最大で6~7mm程度の熱伸縮をし得る場合、左右方向に10~12mm程度の長さを有する間隙部92aを設ける。
【0066】
図12に示すようにパネル11が厚み方向である図示白抜き矢印の方向に万一の力あるいは衝撃を受ける際、パネル11と補強部材13と保持部材15が開口7(
図1参照)の内方に変位する場合がある。保持部材15は、一対の突出部93に当たることで突出部93よりも開口7の内方へ変位することが防止される。これにより保持部材15と連結される補強部材13及びパネル11がレール95から外れることが防止される。
【0067】
以上説明した各実施形態の開閉構造には様々な変更を加えることができる。車体2の後部の開口7を開閉する開閉構造を例示した。これに代えて例えば車体2の左右側部の開口を開閉する開閉構造に適用しても良い。各パネルを上下方向または前後方向に延出するレールに沿ってスライドさせる開閉構造を例示した。これに代えて例えば各パネルを左右方向に延出するレールに沿ってスライドさせても良い。各パネル11,51,71の上下幅の中央領域に接着される補強部材13,53,73を例示した。これに代えて例えば軟質部材12と隣接しかつ同じ方向に延出するように補強部材を各パネルに接着させても良い。
【0068】
矩形で筒形状の補強部材13,53,73を例示した。これに代えて例えば半円形で筒状の補強部材、あるいは柱状、棒状、板状等の補強部材を用いても良い。開閉構造30では保持部材35の球状の張出部35bを例示した。これに代えて例えば円柱状の張出部に代えても良い。開閉構造70の係合ピン87と駆動機構87aは、例えば全てのパネル71と補強部材73に対して設けても良い。あるいは一つ置きのパネル71と補強部材73に対して設ける等で個数を少なくしても良い。開閉構造90の間隙部92aを有するレール95は、左右両側に設けても良く、左右いずれか一方のみに設けても良い。
【符号の説明】
【0069】
1…車両
2…車体
3…ルーフ、3a…ルーフパネル
4…サイドパネル、4a…湾曲部
5…リヤバンパ、5a…フレーム
6…フレーム
7…開口
8…ロック機構、8a…ラッチ、8b…ストライカ、8c…検知センサ
10…開閉構造
11…パネル、11a…表面、11b…裏面
12…軟質部材、12a…接続部
13…補強部材、13a…筒孔、13b…装着孔、13c…端部(両端)
14…装着部材
15…保持部材、15a…挿入部、15b…張出部、15c…内側面、15d…外側面
15e…装着孔
16…接着部材
19…取手、19a…ロック解除レバー
20…レール、20a…開口端レール、20b…ルーフレール
21…レール本体
22…凹部
23…突出部(外れ防止部材)
24…シール部材
25…車体装着部、25a…装着孔
26…装着部材、26a…ボルト、26b…ナット
30…開閉構造
35…保持部材、35a…挿入部、35b…張出部、35c…内側面(端部)
35d…外側面(端部)、35e…装着孔、35f…中心部
37…スライド部材(保持部材、外れ防止部材)、37a…保持面、37b…貫通孔
37c…テーパ面、37e…内側面、37f…外側面
40…レール
41…レール本体
42…凹部、42a…円筒状凹部
43…突出部(外れ防止部材)
50…開閉構造
51…パネル、51a…突片、51b……裏面
53…補強部材、53a…筒孔、53b…装着孔、53c…端部(両端)
54…装着部材、54a…ボルト、54b…ナット
55…保持部材、55a,55b…挿入孔、55c…内側面、55d…外側面
57…連結部材、57a…挿入部、57b…装着孔、57c…鉤状フック、57d…突片
60…レール
61…レール本体
62…凹部
63…突出部(外れ防止部材)
66…フック係合部(外れ防止部材)
70…開閉構造
71…パネル、71a…突片、71b…裏面
73…補強部材、73a…筒孔、73b…ピン挿通孔、73c…端部(両端)
75…保持部材、75a…挿入孔、75b…内側面、75c…外側面
77…挿入部材、77a…ピン挿通孔
80…レール
81…レール本体
82…凹部
83…突出部(外れ防止部材)
86…ピン挿通孔
87…係合ピン(外れ防止部材)、87a…駆動機構
90…開閉構造
91…レール本体、92…凹部、92a…間隙部、93…突出部(外れ防止部材)
95…レール