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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】制動制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/1755 20060101AFI20230725BHJP
   B60T 8/26 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B60T8/1755 C
B60T8/26 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020005706
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021112950
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100174713
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧川 彰人
(72)【発明者】
【氏名】山本 勇作
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-110619(JP,A)
【文献】特開2014-180160(JP,A)
【文献】実開平5-12341(JP,U)
【文献】特開2005-348497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T8/00-8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制動要求に応じて車両に制動力を付与する制動部と、
前記車両に前記制動力を付与している状態で前記車両を停止させるにあたり、前記車両に前記制動力を付与したときに発生する前記車両のピッチ挙動を抑制するために、前記車両が停止する前に前記制動要求に応じた前記制動力を減少させる減少制御を実行し、且つ前記減少制御の前に前記制動要求に応じた前記制動力を増大させる増大制御を実行する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記減少制御を実行した場合における減少開始タイミングから前記車両が停止するまでの前記車両の走行距離に相関する第1距離と、前記減少制御を実行しなかった場合における前記減少開始タイミングから前記車両が停止するまでの前記車両の走行距離に相関する第2距離との差分である差分距離に基づいて、前記増大制御における前記制動力の増大量を設定する制動制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記制動力の増大量に基づいて、前記減少制御の継続時間及び前記増大制御の継続時間の少なくとも一方を設定する請求項1に記載の制動制御装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記車両のピッチ固有周波数に基づいて、前記減少制御の継続時間及び前記増大制御の継続時間の少なくとも一方を設定する請求項1又は2に記載の制動制御装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記車両が走行している路面の勾配及び前記車両のクリープトルクの少なくとも一方に基づいて、前記減少制御における前記制動力の最小値を設定する請求項1~3の何れか一項に記載の制動制御装置。
【請求項5】
前記制動部は、前輪のホイールシリンダにブレーキ液を供給して前輪ホイール圧により前輪制動力を発生させる第1供給部と、後輪のホイールシリンダにブレーキ液を供給して後輪ホイール圧により後輪制動力を発生させる第2供給部と、を備え、
前記制御装置は、制動開始に伴って前記後輪ホイール圧を前記前輪ホイール圧よりも大きくし、その後、前記増大制御を実行するまでに前記前輪ホイール圧と前記後輪ホイール圧とを近づけるように前記制動部を制御する請求項1~4の何れか一項に記載の制動制御装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記増大制御の継続時間と前記減少制御の継続時間との合計が運転者の反応時間未満となるように、前記増大制御の継続時間及び前記減少制御の継続時間を設定する請求項1~5の何れか一項に記載の制動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が停止する際に、ノーズダイブの揺れ戻しにより車体にピッチ挙動が発生し、乗員の快適性が損なわれるという課題があった。そこで、例えば特開2005-348497号公報には、車両が停止する直前の減速度を滑らかにすることで、ノーズダイブの発生を抑制する制御装置が開示されている。また、この文献には、減速度を滑らかにする制御の前に、減速度をGmaxまで増大させ、車両の停止の遅延を防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-348497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記制御装置において、Gmaxはその名称から最大減速度と推測でき、停車前に、運転者に大きな減速感を与えるおそれがある。また、上記制御装置では、減速度を一旦増大させた後に減少させるため、制動力の変化勾配が大きくなりやすい。このため、急激な液圧変化(高いブレーキ液の流速)による油撃音の発生などが懸念される。このように、車両の停止の遅延を防止する装置において、車両停止時における乗員の快適性の観点で、上記制御装置には改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、車両の制動において、車両の停止の遅延を防止するとともに、乗員の快適性を向上させることができる制動制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の制動制御装置は、制動要求に応じて車両に制動力を付与する制動部と、前記車両に前記制動力を付与している状態で前記車両を停止させるにあたり、前記車両に前記制動力を付与したときに発生する前記車両のピッチ挙動を抑制するために、前記車両が停止する前に前記制動要求に応じた前記制動力を減少させる減少制御を実行し、且つ前記減少制御の前に前記制動要求に応じた前記制動力を増大させる増大制御を実行する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記減少制御を実行した場合における減少開始タイミングから前記車両が停止するまでの前記車両の走行距離に相関する第1距離と、前記減少制御を実行しなかった場合における前記減少開始タイミングから前記車両が停止するまでの前記車両の走行距離に相関する第2距離との差分である差分距離に基づいて、前記増大制御における前記制動力の増大量を設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1距離と第2距離との差分、すなわち減少制御により大きくなる走行距離が演算され、その演算結果に基づいて増大制御での制動力の増大量が設定される。これにより、停車に必要な走行距離の増大を防止するために必要な最小限の制動力の増大量で、増大制御を実行することができる。本発明によれば、増大制御により生じ得る減速感を極力小さくするように、増大量に基づいて制動力の増大勾配及び最大値を設定することができる。このように、本発明によれば、車両の停止の遅延を防止するとともに、乗員の快適性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の制動制御装置の構成図である。
図2】本実施形態の停車時の制御の一例を説明するためのタイムチャートである。
図3】本実施形態の停車時の制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。説明に用いる各図は概念図である。図1に示すように、本実施形態の制動制御装置1は、ブレーキペダル11と、倍力装置12と、マスタシリンダユニット13と、リザーバ14、ブレーキスイッチ15と、ストロークセンサ16と、アクチュエータ(「制動部」に相当する)5と、ブレーキECU(「制御装置」に相当する)6と、を備えている。
【0010】
ブレーキペダル11は、運転者がブレーキ操作可能な操作部材である。ブレーキスイッチ15は、ブレーキペダル11に対する操作の有無を検出するセンサである。ストロークセンサ16は、ブレーキペダル11のペダルストローク(以下「ストローク」という)を検出するセンサである。ブレーキスイッチ15及びストロークセンサ16は、検出信号をブレーキECU6に出力する。
【0011】
倍力装置12は、ブレーキ操作を助勢する装置であって、例えばアキュムレータ及び電磁弁等を備えるハイドロブースタである。この場合、ブレーキペダル11には、ブレーキ操作に対して反力を発生させるストロークシミュレータ(図示略)が設けられている。倍力装置12は、アキュムレータを利用して、ストロークに応じたサーボ圧を後述するマスタピストン133の後方に発生させる。マスタピストン133は、サーボ圧によって押圧されて前進する。この構成は、ブレーキペダル11とマスタシリンダユニット13とが制御により連動するバイワイヤ構成となっている。倍力装置12は、例えば、大きな制動力が必要な場合に優先的に作動される。
【0012】
マスタシリンダユニット13は、ブレーキペダル11の操作に応じたマスタ圧を発生させる装置である。具体的に、マスタシリンダ130は、シリンダ部材であって、マスタ圧が発生する第1マスタ室131および第2マスタ室132を備えている。マスタシリンダユニット13は、第1マスタ室131と第2マスタ室132とに同一の液圧が形成されるように構成されている。
【0013】
第1マスタ室131は、第1マスタピストン133と第2マスタピストン134との間に形成されている。第2マスタ室132は、第2マスタピストン134とマスタシリンダ130の底部との間に形成されている。第1マスタピストン133と第2マスタピストン134との間には、第1スプリング135が介装されている。第2マスタピストン134とマスタシリンダ130の底部との間には、第2スプリング136が介装されている。リザーバ14は、ブレーキ液を貯蔵し、マスタシリンダ130(マスタ室131、132)に当該ブレーキ液を補給する。リザーバ14とマスタ室131、132との連通は、マスタピストン133、134が所定量前進すると遮断される。
【0014】
アクチュエータ5は、マスタシリンダ130から供給されるマスタ圧に基づいて、各ホイールシリンダ181~184の液圧(以下「ホイール圧」という)を調整する装置である。アクチュエータ5は、マスタシリンダ130とホイールシリンダ181~184との間に配置されている。アクチュエータ5は、ブレーキECU6の指示に応じて、ホイール圧を調整する。ホイール圧に応じて、各車輪Wf、Wrに設けられた例えばディスクブレーキ装置又はドラムブレーキ装置(図示略)が駆動し、各車輪Wf、Wrに制動力が発生する。
【0015】
アクチュエータ5は、ブレーキECU6の指示に応じて、ホイール圧をマスタ圧と同レベルにする増圧制御、ホイール圧をマスタ圧よりも高くする加圧制御、ホイール圧を減圧する減圧制御、又はホイール圧を保持する保持制御を実行する。アクチュエータ5は、ブレーキECU6の指示に基づき、例えば、アンチスキッド制御(又はABS制御とも呼ばれる)、横滑り防止制御(ESC制御)、又は自動加圧制御等を実行する。自動加圧制御は、例えば自動運転やアダプティブクルーズコントロール等において、運転者のブレーキ操作の有無にかかわらず、設定された目標減速度に応じて加圧制御することである。
【0016】
詳細に、アクチュエータ5は、油圧回路5Aと、モータ90と、を備えている。油圧回路5Aは、第1配管系統(「第2供給部」に相当する)50aと、第2配管系統(「第1供給部」に相当する)50bと、を備えている。第1配管系統50aは、後輪Wrのホイールシリンダ181、182に接続されている。第2配管系統50bは、前輪Wfのホイールシリンダ183、184に接続されている。また、各車輪Wf、Wrに対して、車輪速度センサ73が設置されている。
【0017】
(第1配管系統)
第1配管系統50aは、流路Aと、第1差圧弁51と、保持弁52、53と、減圧流路Bと、減圧弁54、55と、調圧リザーバ56と、還流流路Cと、ポンプ57と、補助流路Dと、圧力センサ71と、を備えている。なお、説明において、「流路」の用語は、例えば液路、液圧路、油路、管路、通路、又は配管等の用語に置換可能である。流路Aは、マスタシリンダ130とホイールシリンダ181、182とを接続する流路である。
【0018】
第1差圧弁51は、流路Aに設けられたノーマルオープン型のリニアソレノイドバルブである。第1差圧弁51は、印加された制御電流の大きさ及びポンプ57の駆動に基づき、自身のマスタシリンダ130側の流路の液圧よりも自身のホイールシリンダ181、182側の流路の液圧を高くする。つまり、第1差圧弁51は、マスタ圧とホイール圧との差圧を調整可能な電磁弁である。
【0019】
第1差圧弁51は、差圧が目標差圧に達するまでは閉弁してホイール圧を増大させ、差圧が目標差圧より高くなると差圧の力により開弁してホイール圧を減少させる。第1差圧弁51には、逆止弁51aが並列に設けられている。
【0020】
保持弁52、53は、流路Aに配置され、ブレーキECU6により開閉が制御されるノーマルオープン型の電磁弁である。流路Aは、ホイールシリンダ181、182に対応するように、第1差圧弁51よりもホイールシリンダ181、182側の分岐点Xで、2つの流路A1、A2に分岐している。保持弁52は流路A1に設けられ、保持弁53は流路A2に設けられている。
【0021】
減圧流路Bは、流路A1における保持弁52とホイールシリンダ181との間の部分と調圧リザーバ56とを接続し、且つ流路A2における保持弁52とホイールシリンダ182との間の部分と調圧リザーバ56とを接続する流路である。
【0022】
減圧弁54、55は、減圧流路Bに配置され、ブレーキECU6により開閉が制御されるノーマルクローズ型の電磁弁である。減圧弁54はホイールシリンダ181に対応し、減圧弁55はホイールシリンダ182に対応している。調圧リザーバ56は、シリンダ、ピストン、及び付勢部材を有する、いわゆる低圧リザーバである。還流流路Cは、減圧流路B及び調圧リザーバ56と、分岐点Xとを接続する流路である。
【0023】
ポンプ57は、モータ90の回転に応じて駆動し、ブレーキ液を吸入ポートから吸入し吐出ポートから吐出する。ポンプ57は、還流流路Cに設けられている。吸入ポートは、還流流路Cにおける調圧リザーバ56及び減圧流路B側の部分に接続されている。吐出ポートは、還流流路Cにおける分岐点X側の部分に接続されている。つまり、ポンプ57は、モータ90の回転により、ブレーキ液を、調圧リザーバ56を介して第2マスタ室132から吸入し、分岐点Xに吐出する。
【0024】
補助流路Dは、調圧リザーバ56の調圧孔56aと、流路Aにおける第1差圧弁51よりもマスタシリンダ130側の部分とを接続する流路である。調圧リザーバ56は、ストローク増加による調圧孔56aへのブレーキ液の流入量増加に伴い、弁孔56bが閉塞されるように構成されている。弁孔56bの流路B、C側にはリザーバ室56cが形成される。圧力センサ71は、マスタ圧を検出するセンサである。圧力センサ71は、ブレーキECU6に検出結果を送信する。第2配管系統50bは、第1配管系統50aと同様の構成であるため、説明は省略する。アクチュエータ5は、モータ90及びモータ90で駆動するポンプ57を有し、制動液圧であるホイール圧を調整可能に構成された装置である。
【0025】
(第2配管系統)
第2配管系統50bは、第1配管系統50aと同様の構成であって、流路Aに相当しマスタシリンダ130とホイールシリンダ183、184とを接続する流路Abと、第1差圧弁51に相当する第2差圧弁91と、保持弁52、53に相当する保持弁92、93と、減圧流路Bに相当する減圧流路Bbと、減圧弁54、55に相当する減圧弁94、95と、調圧リザーバ56に相当する調圧リザーバ96と、還流流路Cに相当する還流流路Cbと、ポンプ57に相当するポンプ97と、補助流路Dに相当する補助流路Dbと、を備えている。1つのモータ90により、2つのポンプ57、97が駆動する。モータ90の制御によりポンプ57、97が制御される。第2配管系統50bの詳細構成については、第1配管系統50aの説明を参照できるため、説明を省略する。また、車両には、前後方向の加速度を検出する加速度センサ72が設けられている。
【0026】
ここで、ホイールシリンダ181に対する制御を例にブレーキECU6による各制御状態について簡単に説明する。アクチュエータ5への制御がない状態では、第1差圧弁51及び保持弁52が開状態となり、減圧弁54が閉状態となって、マスタ圧がホイールシリンダ181に供給される。減圧制御では、保持弁52が閉状態となり、減圧弁54が開状態となる。保持制御では、保持弁52及び減圧弁54が閉状態となる。また、保持制御は、保持弁52を閉じず、減圧弁54を閉じ、第1差圧弁51を絞ることでも実行できる。加圧制御では、第1差圧弁51が差圧状態(目標差圧に達するまで閉状態)となり、保持弁52が開状態となり、減圧弁54が閉状態となり、ポンプ57が駆動する。このように、アクチュエータ5は、制動要求(ブレーキECU6からの指示)に応じて車両に制動力を付与する装置である。
【0027】
(ブレーキECU)
ブレーキECU6は、CPUやメモリ等を備える電子制御ユニットである。詳細に、ブレーキECU6は、1つ又は複数のプロセッサにより、各種制御を実行するように構成されている。ブレーキECU6には、通信線(図示略)により、ブレーキスイッチ15、ストロークセンサ16、圧力センサ71及び車輪速度センサ73等の各種センサが接続されている。ブレーキECU6は、これら各種センサの検出結果に基づき、倍力装置12及びアクチュエータ5の作動が必要か否かを判断する。
【0028】
ブレーキECU6は、アクチュエータ5の作動が必要であると判定した場合、各ホイールシリンダ181~184に対してホイール圧の目標値である目標ホイール圧を演算し、アクチュエータ5を制御する。目標ホイール圧は、目標減速度や目標制動力に対応する。ブレーキECU6は、圧力センサ71の検出値と第1差圧弁51及び第2差圧弁91の制御状態に基づいて各ホイール圧を演算することができる。
【0029】
(停車時の制御)
ブレーキECU6は、車両に制動力を付与している状態で車両を停止させるにあたり、車両に制動力を付与したときに発生する車両のピッチ挙動を抑制するために、車両が停止する前に制動要求に応じた制動力を減少させる減少制御を実行し、且つ減少制御の前に制動要求に応じた制動力を増大させる増大制御を実行する。減少制御は、車両停止直前に、目標制動力(制動要求に応じた制動力)よりも車両の制動力(減速度)を減少させて、ノーズダイブを抑制する制御である。増大制御は、目標制動力の嵩上げ制御ともいえる。
【0030】
本実施形態において、車両の制動力は、前輪Wfの制動力(以下「前輪制動力」という)と後輪Wrの制動力(以下「後輪制動力」という)との合計である。前輪制動力は、前輪Wfのホイールシリンダ183、184のホイール圧に基づいて算出される。後輪制動力は、後輪Wrのホイールシリンダ181、182のホイール圧に基づいて算出される。
【0031】
ブレーキECU6は、減少制御を実行した場合における減少開始タイミングから車両が停止するまでの車両の走行距離に相関する第1距離と、減少制御を実行しなかった場合における減少開始タイミングから車両が停止するまでの車両の走行距離に相関する第2距離との差分である差分距離に基づいて、増大制御における制動力の増大量を設定する。
より詳細に、ブレーキECU6は、第1演算部61と、第2演算部62と、差分演算部63と、増大設定部64と、を備えている。第1演算部61は、制動力及び車速に基づいて、減少制御を開始する減少開始タイミングを設定し、且つ減少制御を実行した場合における減少開始タイミングから車両が停止するまでの車両の走行距離に相関する第1距離を演算する。第1距離は、例えば、現時点(第1距離の演算時点)を基準とした、現時点から停止までの走行距離(以下「停車必要距離」ともいう)であってもよい。停車必要距離は、減少開始タイミングから車両が停止するまでの車両の走行距離に相関する。
【0032】
第2演算部62は、制動力及び車速に基づいて、減少制御を実行しなかった場合における減少開始タイミングから車両が停止するまでの車両の走行距離に相関する第2距離を演算する。第2距離は、第1距離同様、例えば、現時点(第1距離の演算時点)を基準とした停車必要距離であってもよい。この場合、第2距離は、減少制御を実行しなかった場合の停車必要距離であって、基準停車距離ともいえる。第1距離及び第2距離は、同じ演算方法で算出される。
【0033】
差分演算部63は、第1距離と前記第2距離との差分を演算する。つまり、差分演算部63は、減少制御を実行することにより大きくなる停車必要距離を演算する。ブレーキECU6は、例えば、常時(所定間隔で)、現在の制動力と車速から、第1距離、第2距離、及び差分を演算する。
【0034】
増大設定部64は、第1距離と第2距離との差分である差分距離に基づいて、増大制御における制動力の増大量を設定する。制動力の増大量は、例えば、制動力の最大値、増大制御の継続時間、及び制動力の増大勾配に基づいて算出できる。つまり、制動力の増大量は、増大制御を実行した場合における制動力の時間積分値と、増大制御を実行しなかった場合における制動力の時間積分値との差といえる。増大設定部64は、演算された増大量を実現するように、増大制御における制動力の増大勾配、継続時間、及び最大値を設定する。増大設定部64は、これらの設定値を、乗員の快適性を考慮した値に設定する。
【0035】
本実施形態の増大設定部64は、停車必要距離の増大を防止するために必要な最小限の制動力の増大量(以下「必要増大量」という)を演算する。増大設定部64は、演算された必要増大量を、増大制御で増大させる制動力に設定する。増大設定部64は、差分距離が演算される度に、必要増大量を算出する。
【0036】
増大設定部64は、例えば、必要増大量、所定の増大勾配、及び所定の制御継続時間に基づいて、増大制御での制動力の最大値を設定する。所定の増大勾配は、例えば、運転者に違和感を与えない範囲で予め設定された所定数値範囲から選択される。さらに、所定の増大勾配は、例えば、減少制御での減少勾配を考慮した、油撃音が発生しない勾配に設定される。また、所定の制御継続時間は、例えば、増大制御開始から減少制御完了までの時間が、後述する運転者の反応時間未満となるように設定される。ブレーキECU6は、増大制御における制動力の増大量に基づいて、減少制御の継続時間及び増大制御の継続時間の少なくとも一方を設定してもよい。
【0037】
(本実施形態の共通の効果)
本実施形態によれば、第1距離と第2距離との差、すなわち減少制御により大きくなる停車必要距離が演算され、その演算結果に基づいて増大制御での制動力の増大量が設定される。これにより、停車必要距離の増大を防止するために必要な最小限の制動力の増大量で、増大制御を実行することができる。本実施形態によれば、増大制御により生じ得る減速感を極力小さくするように、増大量に基づいて制動力の増大勾配及び最大値を設定することができる。このように、本実施形態によれば、車両の停止の遅延を防止するとともに、乗員の快適性を向上させることができる。
【0038】
(減少制御及び増大制御の一例)
図2を参照して、減少制御及び増大制御の一例について説明する。時間t1においてホイール圧が増大し制動力が発生すると、ブレーキECU6は、制動力が発生している状態で常時、第1距離、第2距離、及び差分距離を演算する。第1距離及び第2距離の演算は、演算時点の制動力が停車まで一定に保たれたと仮定して行われる。ブレーキECU6は、第2距離に基づいて、車両が何秒後に停止するか、すなわち停止タイミング(時間t6)を演算する。ブレーキECU6は、各タイミング(制御開始車速等)を停止タイミング(車速=0)から逆算する。
【0039】
ブレーキECU6は、予め設定された減少制御における制動力の減少勾配(以下「所定減少勾配」という)及び制動力の最小値に基づいて、減少制御を開始するタイミングである減少開始タイミング(時間t5)を演算する。この所定減少勾配は、ブレーキ液の油撃音が発生しにくい勾配であって、快適性を重視して設定された許容範囲内の勾配である。また、装置作動のバラツキを考慮し、設定された減少制御の継続時間のうち最後の所定時間(減少制御完了前の所定時間)における減少勾配が0(すなわち制動力が一定)となるように、各値が設定される。
【0040】
また、ブレーキECU6は、車両が走行している路面の勾配及びクリープトルクに基づいて、減少制御における制動力の最小値を設定する。クリープトルクとは、エンジン及びトルク伝達機構の構成上、車両停止時にアクセルペダルの操作なく発生するトルクである。減少制御における制動力の最小値は、路面勾配やクリープトルクの影響によっても車両が停止を維持できる値に設定されている。
【0041】
ブレーキECU6は、現在の制動力と車速から、減少開始タイミングにおける車速(以下「減少開始車速」という)を演算する。ブレーキECU6は、現在の車速が減少開始車速になると減少制御を開始する。なお、この例では、予め減少勾配が設定されていたが、減少開始車速が予め設定されていてもよい。
【0042】
ブレーキECU6は、演算された停止タイミング(時間t6)と予め設定された規定時間とに基づいて、増大制御を開始するタイミングである増大開始タイミング(時間t4)を演算する。規定時間は、増大制御と減少制御とを実行する時間である。換言すると、ブレーキECU6は、規定時間(時間t4~t6)で増大制御及び減少制御を実行する。さらに換言すると、ブレーキECU6は、停止タイミング(時間t6)から規定時間前に増大制御を開始する。
【0043】
本実施形態の規定時間は、運転者の反応時間内の時間に設定されている。運転者の反応時間(「認知・反応時間」とも呼ばれる)とは、運転者が車両の減速度を認知した時点から、当該認知により運転者が何らかの操作を行うまでの時間(例えば1秒)である。運転者の反応時間は、実験や統計データに基づき予め取得(演算・推定)可能である。
【0044】
ブレーキECU6は、現在の制動力と車速から、増大開始タイミングにおける車速(以下「増大開始車速」という)を演算する。ブレーキECU6は、現在の車速が増大開始車速になると増大制御を開始する。ブレーキECU6は、演算された増大開始タイミング(時間t4)と減少開始タイミング(時間t5)とから、増大制御の継続最大時間(継続可能時間)を演算する。
【0045】
ブレーキECU6は、差分距離が演算されるごとに差分距離に基づいて必要増大量を演算する。ブレーキECU6は、必要増大量と継続最大時間とに基づいて、増大制御で必要な制動力の最小の増大勾配(以下「最小増大勾配」という)を演算する。ブレーキECU6は、演算された最小増大勾配が予め設定された規定勾配未満であれば、増大制御における制動力の変化勾配を規定勾配未満の所定増大勾配に設定する(最小増大勾配≦所定増大勾配<規定勾配)。
【0046】
ブレーキECU6は、所定増大勾配、必要増大量、及び継続最大時間に基づいて、増大制御における制動力の最大値(及び最大値継続時間)を演算する。ブレーキECU6は、継続最大時間(時間t4~t5)の間、設定された所定増大勾配及び最大値により増大制御を実行する。
【0047】
なお、本例において、減少制御は、増大制御での制動力の最大値から制動力を減少させる。このため、減少制御における制動力の減少勾配は、演算で用いられた所定減少勾配よりも若干大きくなる。所定減少勾配は、増大制御により減少勾配が大きくなっても、それが許容範囲内となるように(小さめに)設定されている。
【0048】
一方、最小増大勾配が規定勾配以上又は必要増大量が規定値以上である場合、ブレーキECU6は、例えば、増大制御の継続最大時間が大きくなるように、予め設定された許容範囲内(例えば乗員の快適性を損なわない範囲)で、減少制御の継続時間を小さくし、再度最小増大勾配を演算する。許容範囲内での変更で最小増大勾配が規定勾配未満にならない場合、ブレーキECU6は、増大制御及び減少制御の不実行を決定する。
【0049】
なお、ブレーキECU6は、最小増大勾配を演算せずに、所定増大勾配、必要増大量、及び継続最大時間に基づいて、増大制御での制動力の最大値を算出し、当該最大値が規定値未満であるか否かを判定してもよい。この場合、ブレーキECU6は、最大値が規定値未満であれば当該最大値で増大制御を実行し、最大値が規定値以上であれば増大制御の増大勾配又は減少制御の継続時間を許容範囲内で変更し、再度最大値を演算する。
【0050】
本例では、ブレーキECU6は、増大制御において、後輪Wrの制動力のみを増大させる。つまり、ブレーキECU6は、増大制御において、後輪Wrの目標制動力(目標ホイール圧)に応じて、アクチュエータ5の第1配管系統50aを制御し、後輪Wrのホイール圧を増大させる。なお、ブレーキECU6は、増大制御において、前輪Wfの制動力及び後輪Wrの制動力の少なくとも一方を増大させればよい。
【0051】
本実施形態における減少制御及び増大制御の継続時間は、車両停止時に生じるピッチ挙動の固有周波数(車両のピッチ固有周波数)に基づいて設定されている。例えば、減少制御における制動力の変動時間及び増大制御における制動力の変動時間は、それぞれ、ピッチ挙動の周期の1/4以下(又は1/2以下)にならないように設定される。例えば、ピッチ挙動の半周期以下で制動力が変動すると、制御による挙動と停止時のピッチ挙動とが共振しやすい。この知見に基づき、減少制御での制動力の変動時間(減少時間)の最小値及び増大制御での制動力の変動時間(増大時間)の最小値は、制御による挙動とピッチ挙動との共振が抑制されるように設定されている。なお、ピッチ挙動の周期は、車両により異なり得るが、運転者の反応時間未満の値となる。
【0052】
(制動開始時から増大制御までの制御)
図2に示すように、時間t1にて制動が開始されると、後輪Wrのホイール圧が前輪Wfのホイール圧よりも大きくなるように、ホイール圧の前後配分が設定される。前輪Wfのホイール圧と後輪Wrのホイール圧との合計に対する後輪Wrのホイール圧の配分率は、50%より大きい所定値となる。時間t2以降、制動力が目標制動力に達して安定すると、目標制動力を保ちつつ、前輪Wfのホイール圧と後輪Wrのホイール圧とが一致するように、各ホイール圧を徐々に変化させる。つまり、ブレーキECU6は、前後輪のホイール圧が同レベルになるように、前輪Wfのホイール圧と後輪Wrのホイール圧とを近づける。これにより、前輪Wfのホイール圧(前輪制動力)は徐々に増大し、後輪Wrのホイール圧(後輪制動力)は徐々に減少する。そして、時間t3において、前後輪のホイール圧が同じ値(同レベル)となり、本実施形態における前輪制動力の配分率は所定値(所定値>50%)となる。
【0053】
(全体の制御フロー)
ここで、図3を参照して、制動における全体の制御フローについて説明する。前提として、ブレーキECU6は、上記のように、現在の制動力又は目標制動力に基づいて、所定間隔で(常時)、第1距離、第2距離、差分距離、減少開始タイミング(減少開始車速)、必要増大量、及び増大開始タイミング(増大開始車速)等を演算する。
【0054】
ブレーキECU6は、ホイール圧に基づき、ブレーキペダル11の操作又は自動ブレーキ制御により現状が制動中であるか否かを判定する(S101)。現状が制動中である場合(S101:Yes)、ブレーキECU6は、各種センサ(例えば加速度センサ72や車輪速度センサ73)の検出結果に基づいて、車両が停止しているか否かを判定する(S102)。車両が停止している場合(S101:No)、ブレーキECU6は、所定の制動力配分により制動力を発生させる。
【0055】
車両が停止していない場合(S102:No)、ブレーキECU6は、車速が減少開始車速以下であるか否かを判定する(S103)。車速は、例えば車輪速度センサ73の検出結果から演算できる。車速が減少開始車速以下である場合(S103:Yes)、ブレーキECU6は、減少制御を実行する(S104)。車速が減少開始車速以下でない場合(S103:No)、車速が増大開始車速以下であるか否かを判定する(S105)。車速が増大開始車速以下である場合(S105:Yes)、ブレーキECU6は、増大制御を実行する(S106)。増大制御では、後輪制動力のみが増大される。
【0056】
車速が増大開始車速以下でない場合(S105:No)、ブレーキECU6は、減速度が安定状態であり且つ必要増大量が規定値以上であるか否かを判定する(S107)。ブレーキECU6は、例えば目標減速度の勾配(減速度の微分値:加加速度)が閾値以下である場合、減速度が安定していると判定する。目標減速度の勾配が閾値以下であり且つ必要増大量が規定値以上である場合(S107:Yes)、ブレーキECU6は、制動力の前輪配分率の目標値を所定値(前後輪の目標ホイール圧を同値)に設定し、徐々に前輪制動力の配分率を増大させる(S108)。
【0057】
目標減速度の勾配が閾値より大きい場合、又は必要増大量が規定値未満である場合(S107:No)、ブレーキECU6は、制動力増大によるピッチ挙動を抑制するように、制動力の前後配分を設定する(S109)。具体的には、ブレーキECU6は、後輪Wrのホイール圧の配分率を50%よりも大きくする。ブレーキECU6は、制動力が安定し且つ増大制御の実行の必要性がある場合に、増大制御及び減少制御の準備(快適性の確保)のために、前後輪のホイール圧を一致させる。このように、ブレーキECU6は、状況に応じて、制動力の前後配分の変更、増大制御、及び減少制御を実行する。
【0058】
(本実施形態のその他の効果)
ブレーキECU6は、車両のピッチ固有周波数に基づいて、減少制御の継続時間及び増大制御の継続時間の少なくとも一方を設定する。この構成によれば、車両が停止する際のピッチ挙動に対して、減少制御及び増大制御による車両の挙動が共振することを抑制することができる。つまり、ピッチ挙動の増大を抑制することができる。
【0059】
また、ブレーキECU6は、車両が走行している路面の勾配及び車両のクリープトルクの少なくとも一方に基づいて、減少制御における制動力の最小値を設定する。この構成によれば、減少制御完了時にも十分な制動力を発揮させることができる。
【0060】
また、アクチュエータ5は、前輪Wfのホイールシリンダ183、184にブレーキ液を供給して前輪Wfのホイール圧により前輪制動力を発生させる第2配管系統50bと、後輪Wrのホイールシリンダ181、182にブレーキ液を供給して後輪Wrのホイール圧により後輪制動力を発生させる第1配管系統50aと、を備えている。そして、ブレーキECU6は、制動開始に伴って後輪Wrのホイール圧を前輪Wfのホイール圧よりも大きくし、その後、増大制御を実行するまでに前輪Wfのホイール圧と後輪Wrのホイール圧とを近づけるようにアクチュエータ5を制御する。
【0061】
この構成によれば、制動開始時には、後輪Wrのホイール圧の配分率を50%より大きくすることで、ノーズダイブが抑制されピッチ挙動が抑制される。そして、増大制御の実行時には、前輪Wfのホイール圧と後輪Wrのホイール圧とが近づいており(同レベルになっており)、増大制御及び減少制御によるブレーキ液の流速のバランスが保たれやすい。つまり、前後輪の一方におけるブレーキ液の流速が極端に大きくなることが抑制される。これにより、油撃音の発生は抑制される。また、同じ制動力を車両に付与するにあたり、4輪のホイール圧を上げるよりも2輪のホイール圧を上げた方が、微小な油圧コントロール領域を回避しやすくなるため、調圧制度を向上できる。
【0062】
また、ブレーキECU6は、増大制御として、後輪制動力のみを増大させる。この構成によれば、制動力の増大によってもノーズダイブ(ピッチ挙動)が発生しにくく、乗員の快適性の低下は抑制される。
【0063】
また、ブレーキECU6は、増大制御の継続時間と減少制御の継続時間との合計が、運転者の反応時間未満となるように、増大制御の継続時間及び減少制御の継続時間を設定する。この構成によれば、制動力の増減を運転者が認知して反応する前に増大制御及び減少制御が完了する。このため、制御に反応した運転者のペダル操作の変更を抑制し、運転者の操作時の停車予測に沿った、すなわちブレーキECU6の演算結果に沿った停車が可能となる。
【0064】
ここで、反応時間は、予め設定された固定値でもよいし、予め設定されたマップ等に基づいて設定されてもよい。例えば、ブレーキECU6は、運転者の状態に基づいて反応時間を設定してもよい。ブレーキECU6は、運転者の状態を検出又は予測する装置、例えば運転者を撮像するドライバモニタや運転者のバイタルサイン(脈拍等)を検出する装置等からの検出結果に基づいて、運転者の覚醒状態(眠そう等)や年齢を推定する。ブレーキECU6は、運転者が覚醒しているほど反応時間を小さく設定する。また、ブレーキECU6は、年齢が高いほど反応時間を大きく設定する。これにより、運転者の状態に応じた制御が可能となる。なお、運転者の年齢は予め設定されていてもよい。増大制御及び減少制御の継続時間の合計は、運転者の反応時間に基づいて設定された所定時間に設定されるともいえる。
【0065】
(その他)
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、制御対象の制動力は、液圧制動力に限らず、回生制動力、又は電動パーキングブレーキで発生させる制動力であってもよい。また、増大制御における制動力の増大量の設定は、配管系統が1つ(1チャンネル)のアクチュエータ5であっても可能である。また、制動部(アクチュエータ5)は、電動シリンダを備える構成であってもよい。また、制動力の発生は、ブレーキペダル11の操作だけに限らず、自動ブレーキ制御によるものでもよい。また、本発明は、ワンペダルを備える車両や、自動運転車両にも適用できる。
【0066】
また、倍力装置12はなくてもよい。この場合、例えばブレーキペダル11は、通常時にストロークシミュレータに接続され、電気失陥時にはマスタシリンダに接続される。そして、電気失陥時にのみ、マスタシリンダは、ホイールシリンダにブレーキ液を供給する。また、ブレーキペダル11の操作感を無視すれば、倍力装置12は、エンジンの吸気負圧を利用してブレーキ操作力を助勢するバキュームブースタであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…制動制御装置、181~184…ホイールシリンダ、5…アクチュエータ(制動部)、50a…第1配管系統(第2供給部)、50b…第2配管系統(第1供給部)、6…ブレーキECU(制御装置)、61…第1演算部、62…第2演算部、63…差分演算部、64…増大設定部、Wf…前輪、Wr…後輪。
図1
図2
図3