(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/56 20060101AFI20230725BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B65D5/56 A
B65D5/42 D
(21)【出願番号】P 2020008323
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
(72)【発明者】
【氏名】中路 哲也
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-239174(JP,A)
【文献】実開平2-8717(JP,U)
【文献】実開昭55-7795(JP,U)
【文献】特開2003-128153(JP,A)
【文献】国際公開第2020/194219(WO,A1)
【文献】実開平2-111616(JP,U)
【文献】特開2018-184178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/56
B65D 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁の一端部に設けられた接合片を前記周壁の他端部に設けられた対向部に接合することで形成される胴部と、
前記胴部の開口部に配置される蓋部と、を備えた段ボール製の包装箱であって、
前記接合片は、前記周壁の他端部の外面側から前記対向部に貼り付けられており、
前記対向部には、前記周壁の厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられており、
前記接合片には、ハーフカット線により開口して前記貫通孔に連通し、前記開口を通じてフルートにより形成される空間部を露出させる凹部が設けられており、
前記貫通孔は気体の透過性を有するシートで覆われているとともに、前記空間部は前記接合片の端部に開口して
おり、
前記シートは、気体の通流が可能な通気孔を多数備えているフィルムであることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
周壁の一端部に設けられた接合片を前記周壁の他端部に設けられた対向部に接合することで形成される胴部と、
前記胴部の開口部に配置される蓋部と、を備えた段ボール製の包装箱であって、
前記接合片は、前記周壁の他端部の内面側から前記対向部に貼り付けられており、
前記接合片には、前記接合片の厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられており、
前記対向部には、ハーフカット線により開口して前記貫通孔に連通し、前記開口を通じてフルートにより形成される空間部を露出させる凹部が設けられており、
前記貫通孔は気体の透過性を有するシートで覆われているとともに、前記空間部は前記周壁の前記対向部の端部に開口して
おり、
前記シートは、気体の通流が可能な通気孔を多数備えているフィルムであることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
前記
対向部及び接合片の目の方向は、縦目方向であることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項4】
前記蓋部は、前記胴部に連設された複数のフラップにより構成されており、
隣り合う前記フラップの間には、前記フラップの先端部側から基端部側に向けて切り込まれたスリット部と、前記フラップの基端部側に形成され前記スリット部に連続する切断線と、が備わることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボール製の包装箱として、周壁に貫通孔を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の包装箱は、貫通孔を通じて箱内外の通気性を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した特許文献1の包装箱は、貫通孔を通じて箱内外の空気が自由に通流するため、密封性を保つことができなかった。また、貫通孔を通じて箱内外の空気が自由に通流するため、箱内の気体をコントロールして被包装物の鮮度を維持することが難しかった。さらに、周壁に貫通孔が開口している構造であるため、包装箱の強度が低下し易かった。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、密封性を保ちつつ通気を確保し、加えて強度が低下し難い包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は、包装箱であって、周壁の一端部に設けられた接合片を前記周壁の他端部に設けられた対向部に接合することで形成される胴部と、前記胴部の開口部に配置される蓋部と、を備えた段ボール製の包装箱である。前記接合片は、前記周壁の他端部の外面側から前記対向部に貼り付けられている。前記対向部には、前記周壁の厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられている。前記接合片には、ハーフカット線により開口して前記貫通孔に連通し、前記開口を通じてフルートにより形成される空間部を露出させる凹部が設けられている。前記貫通孔は気体の透過性を有するシートで覆われている。前記空間部は前記接合片の端部に開口している。前記シートは、気体の通流が可能な通気孔を多数備えているフィルムである。
【0007】
また、本発明は、包装箱であって、周壁の一端部に設けられた接合片を前記周壁の他端部に設けられた対向部に接合することで形成される胴部と、前記胴部の開口部に配置される蓋部と、を備えた段ボール製の包装箱である。前記接合片は、前記周壁の他端部の内面側から前記対向部に貼り付けられている。前記接合片には、前記接合片の厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられている。前記対向部には、ハーフカット線により開口して前記貫通孔に連通し、前記開口を通じてフルートにより形成される空間部を露出させる凹部が設けられている。前記貫通孔は気体の透過性を有するシートで覆われているとともに、前記空間部は前記周壁の前記対向部の端部に開口している。前記シートは、気体の通流が可能な通気孔を多数備えているフィルムである。
【0008】
本発明の包装箱では、貫通孔と凹部とが連通するとともに、フルートにより形成される空間部と凹部とが連通するので、包装箱内の気体は、シートを介して貫通孔から凹部に通流し、凹部から空間部を通じて包装箱の外部に排出される。また、これとは逆に、包装箱の外部の気体は、空間部を通じて凹部から貫通孔に通流し、シートを通じて包装箱内に取り込まれる。したがって、包装箱の密封性を保ちつつ通気を確保することができる。
また、気体の透過性を有するシートにより、例えば、被包装物が青果物である場合には、青果物の呼吸に必要な酸素を取り入れつつ、二酸化炭素やエチレンガス等を箱外に逃がすことができる。これにより、箱内の気体の濃度を青果物に最適な状態にコントロールすることができる。
また、接合片が接合されている部分は、それ以外の部分に比べて包装箱の強度が高くなっているため、貫通孔及び凹部を設けても強度の低下が生じ難い。
【0009】
また、貫通孔の外側に凹部が配置されるので、貫通孔及びシートが包装箱の外面に露出することを防止できる。これにより、シート破損等の不具合を防止しつつ、包装箱の強度を好適に確保することができる。
【0010】
また、前記対向部及び接合片の目の方向は、縦目方向であることが好ましい。このように構成することで、凹部に連通する空間部の開口を接合片の上下2箇所に配置できるので、箱の密封性を保ちつつ通気を確保することができる。
【0011】
また、前記蓋部は、前記胴部に連設された複数のフラップにより構成されており、隣り合う前記フラップの間には、前記フラップの先端部側から基端部側に向けてスリット部が切り込まれていることが好ましい。この場合には、前記フラップの基端部側に、前記スリット部に連続する切断線が形成されていることが好ましい。
【0012】
このように構成することで、包装箱を閉じる際に隣り合うフラップ同士を閉じると、切断線で隣り合う部分が上下に重なり合うように折れ曲がるので、同士の基端部に隙間が形成され難い。したがって、箱の密封性を保ちつつ通気を好適に確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、密封性を保ちつつ通気を確保し、加えて強度が低下し難い包装箱が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る包装箱の貫通孔周りと凹部周りを示した斜視図である。
【
図4A】本発明の第1実施形態に係る包装箱の作用説明図である。
【
図4B】本発明の第1実施形態に係る包装箱の気体の流れを
図4AのIV-IV線に沿う断面で示した説明図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る包装箱の貫通孔周りと凹部周りを示した斜視図である。
【
図8A】本発明の第2実施形態に係る包装箱の作用説明図である。
【
図8B】本発明の第2実施形態に係る包装箱の気体の流れを
図8AのVIII-VIII線に沿う断面で示した説明図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る包装箱の貫通孔周りと凹部周りを示した斜視図である。
【
図12A】本発明の第3実施形態に係る包装箱の作用説明図である。
【
図12B】本発明の第3実施形態に係る包装箱の気体の流れを
図12AのXII-XII線に沿う断面で示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右上下方向は、各実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、本発明の包装箱の構成を限定するものではない。各実施形態において、同一の部分には同様の符号を付し重複する説明は省略する。
【0016】
(第1実施形態)
包装箱1は、
図1に示すように、A式の段ボール箱であり、角筒状の胴部10と、胴部10の上縁部に連設された頂板(蓋部)20と、胴部10の下縁部に連設された底板(蓋部)30と、を備えている。包装箱1には、後記するように、接合片15とこれが接合される前端板11の対向部11Aとにより包装箱1の内外を連通する通気手段Tが設けられている。
【0017】
包装箱1は、
図2に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図2に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。ブランクシートSは、段ボールの目が縦目である。
ブランクシートSの各罫線(折線)は、ブランクシートSの表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線に切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
【0018】
胴部10は、連続する4枚の周壁からなる。周壁は、前後一対の端板11,12及び左右一対の側板13,14を有している。前端板11,後端板12及び左側板13,右側板14は、それぞれ四角形状を呈している。
前端板11の左縁部には、罫線を介して左側板13が連設されている。また、左側板13の後縁部には、罫線を介して後端板12が連設されている。また、後端板12の右縁部には、罫線を介して右側板14が連設されている。右側板14の前縁部には、罫線を介して縦長帯状の接合片15が連設されている。接合片15は、前端板11の外面にホットメルト等の接着手段によって接合されている。
【0019】
そして、ブランクシートS(
図2参照)を各罫線で折り曲げると、前端板11,後端板12、左側板13,右側板14によって、四角形の角筒状の胴部10が形成される。
【0020】
前端板11の外面の右縁部には、前記したように接合片15が接合されている。これにより、前端板11の外面の右縁部は、上下方向の略全体に亘って接合片15で覆われている。接合片15に対向する前端板11の対向部11A(接合片15が接着される領域)には、
図2,
図3に示すように、通気手段Tを構成する貫通孔16が形成されている。貫通孔16は前端板11を前後方向(前端板11の厚さ方向)に貫通する孔である。貫通孔16は前面視で縦長の略四角形状を呈している。貫通孔16は、対向部11Aの上部に位置している。
【0021】
貫通孔16は、
図2,
図3に示すように、略四角形状のシート17で覆われている。シート17は、気体の透過性を有する透明のフィルムであり、例えば、前端板11の内面11aの孔縁周りに塗布された接着剤により孔縁周りに貼り付けられ、貫通孔16の全体を前端板11の内側から覆っている。シート17は、図示しない微細な通気孔を多数備えており、気体の通流が可能である。これにより、包装箱1内の気体は、シート17を通じて貫通孔16内に排出され、また、貫通孔16内の気体は、シート17を通じて包装箱1内に取り入れられる。微細な通気孔の数や大きさは、包装箱1内に収容される被収容物の種類、重量、包装箱1内の気体の通流環境等を考慮して適宜設定される。例えば、被収容物が青果物である場合には、青果物の呼吸の継続に必要な酸素を取り入れ可能で、かつ、二酸化炭素やエチレンガスをバランスよく排出できるように通気孔の数や大きさを設定する。
【0022】
接合片15の内面15aには、
図3に示すように、対向部11Aの貫通孔16に対応する位置に、通気手段Tを構成する上下2つの凹部18,18が形成されている。各凹部18は、横長略四角形状を呈している。各凹部18は、ハーフカット線L18で区画された横長略四角形状の領域R1,R1を内面側から外面側へ向けて押圧加工することで形成される。これにより、各凹部18は、接合片15の内面15aにのみ開口し、接合片15の外面に開口しない構造となっている。
各凹部18は、ハーフカット線L18で区画されているので、押圧加工後は、ハーフカット線L18の切れ込みに沿う断面が各凹部18内に露出する。本実施形態では、段ボールが縦目であるので、各凹部18の上断面部及び下断面部には、フルートで区画された複数の空間部19が露出している。各空間部19は、接合片15の上端部及び下端部に開口している(
図3では上端部側に開口した空間部19のみ図示)。
【0023】
各凹部18は、
図4Aに示すように、接合片15を前端板11の対向部11Aに接合することで、対向部11A側の貫通孔16にそれぞれ対向するように配置される。これにより、各凹部18内と貫通孔16とが連通する状態になり、包装箱1の内部は、シート17を介して貫通孔16及び各凹部18に連通し、各凹部18からフルートの空間部19を介して包装箱1の外部に連通する状態になる。
【0024】
次に、頂板20および底板30について説明する。頂板20は、
図1に示すように、胴部10の上側開口部を閉塞している。頂板20は、前端板11,後端板12の上縁部に連設された前後一対の上側内フラップ21,21を備えている。また、頂板20の外面(上面)には、左側板13,右側板14の上縁部に連設された左右一対の上側外フラップ22,22が重ねられている。
【0025】
前側の上側内フラップ21は、四角形の平板であり、前端板11の上縁部から後方に向けて延びている。前側の上側内フラップ21によって、胴部10の上側開口部の前部側の一部が塞がれている。
後側の上側内フラップ21は、四角形の平板であり、後端板12の上縁部から前方に向けて延びている。後側の上側内フラップ21によって、胴部10の上側開口部の後部側の一部が塞がれている。
【0026】
左側の上側外フラップ22は、四角形の平板であり、左側板13の上縁部から右方に向けて延びている。左側の上側外フラップ22によって、胴部10の上側開口部の左半分が塞がれている。
右側の上側外フラップ22は、四角形の平板であり、右側板14の上縁部から左方に向けて延びている。右側の上側外フラップ22によって、胴部10の上側開口部の右半分が塞がれている。
左右の上側外フラップ22,22の端縁部同士は、左右方向の中央部で突き合わされ、封緘テープとしての図示しない粘着テープで接合される。
【0027】
底板30は、
図1に示すように、胴部10の下側開口部を閉塞している。底板30は、前端板11,後端板12の下縁部に連設された前後一対の下側内フラップ31,31を備えている。また、底板30の外面(下面)には、左側板13,右側板14の下縁部に連設された左右一対の下側外フラップ32,32が重ねられている。
【0028】
前側の下側内フラップ31は、四角形の平板であり、前端板11の下縁部から後方に向けて延びている。前側の下側内フラップ31によって、胴部10の下側開口部の前部側の一部が塞がれている。
後側の下側内フラップ31は、四角形の平板であり、後端板12の下縁部から前方に向けて延びている。後側の下側内フラップ31によって、胴部10の下側開口部の後部側の一部が塞がれている。
【0029】
左側の下側外フラップ32は、四角形の平板であり、左側板13の下縁部から右方に向けて延びている。左側の下側外フラップ32によって、胴部10の下側開口部の左半分が塞がれている。
右側の下側外フラップ32は、四角形の平板であり、右側板14の下縁部から左方に向けて延びている。右側の下側外フラップ32によって、胴部10の下側開口部の右半分が塞がれている。
左右の下側外フラップ32,32の端縁部同士は、左右方向の中央部で突き合わされ、封緘テープとしての図示しない粘着テープで接合される。
【0030】
上側内フラップ21と上側外フラップ22との間には、
図2に示すように、フラップの先端部側から基端部側に向けて切り込まれたスリット部23が形成されている。また、前端板11の上側内フラップ21と右側板14の上側外フラップ22との間に形成されたスリット部23を除き、上側内フラップ21と上側外フラップ22との間には、スリット部23に連続する切断線24が形成されている。また、前端板11の上側内フラップ21と右側板14の上側外フラップ22との間には、スリット部23に連続する折曲げ片25が突設されている。
【0031】
スリット部23は、上側内フラップ21と上側外フラップ22との間に隙間を形成してこれらを所定の間隔に分離している。一方、切断線24は、スリット部23に連続して形成されているので、隣り合うフラップ同士を閉じる際に、上側内フラップ21と上側外フラップ22との基端部同士が近接して上下方向に重なり合うように(オーバーラップするように)作用する。また、折曲げ片25は、隣り合うフラップ同士を閉じる際に、フラップ同士の間に折り込まれるように位置する。
【0032】
下側内フラップ31と下側外フラップ32との間にも、同様に、スリット部23、切断線24及び折曲げ片25が形成されている。スリット部23は、下側内フラップ31と下側外フラップ32との間に隙間を形成してこれらを所定の間隔に分離している。また、切断線24は、隣り合うフラップ同士を閉じる際に、下側内フラップ31と下側外フラップ32との基端部同士が近接した上下方向に重なり合うように(オーバーラップするように)作用する。また、折曲げ片25は、隣り合うフラップ同士を閉じる際に、フラップ同士の間に折り込まれるように位置する。
【0033】
本実施形態の包装箱1において、ブランクシートSから胴部10を組み立てる際には、ブランクシートS(
図2参照)を各罫線で折り曲げ、前端板11の外面の対向部11Aに、接合片15をホットメルト等の接着手段によって接合する。対向部11Aに、接合片15を接合すると、
図4Aに示すように、対向部11Aの貫通孔16と接合片15の各凹部18とが前後方向に重なる状態となり、これらが相互に連通する。
【0034】
その後、下側内フラップ31と下側外フラップ32とを折り曲げて底板30を閉じる。そうすると、隣り合う下側内フラップ31と下側外フラップ32との基端部同士が切断線24を介して上下方向に重なり合って、基端部同士が隙間なく閉じられる。また、折曲げ片25が、フラップ同士の間に折り込まれて、基端部同士が隙間なく閉じられる。
【0035】
底板30を閉じたら、包装箱1内に青果物等の被収容物を収容する。そして、上側内フラップ21と上側外フラップ22とを折り曲げて頂板20を閉じる。この場合にも、隣り合う上側内フラップ21と上側外フラップ22との基端部同士が切断線24を介して上下方向に重なり合って、基端部同士が隙間なく閉じられる。また、折曲げ片25が、フラップ同士の間に折り込まれて、基端部同士が隙間なく閉じられる。
【0036】
次に、通気手段Tの作用について説明する。包装箱1は、対向部11Aの貫通孔16と接合片15の各凹部18とが相互に連通しているので、
図4A,
図4Bに示すように、包装箱1内の二酸化炭素や包装箱1内で発生したエチレンガス等の気体は、シート17を通じて包装箱1内から貫通孔16に流入する。貫通孔16に流入した気体は、貫通孔16から各凹部18に流入し、各凹部18から空間部19に流入する。
【0037】
その後、空間部19に流入した気体は、空間部19を通って接合片15の上端部及び下端部に向けて流れ、上端部及び下端部の各開口から接合片15の外部(包装箱1の外部)に排出される。
【0038】
また、これとは逆に。包装箱1の外部にある空気等の気体は、接合片15の上端部及び下端部に開口する空間部19を通じて各凹部18に流入する。そして、各凹部18に流入した空気等の気体は、各凹部18から貫通孔16に流入し、シート17を通じて包装箱1内に取り入れられる。
以上のような通気手段Tにより、青果物の呼吸の継続に必要な酸素が取り入れられるとともに、二酸化炭素やエチレンガスがバランスよく排出され、包装箱1内の気体が青果物に最適な状態となるようにコントロールされる。
【0039】
以上説明した本実施形態の包装箱1では、包装箱1の通気手段Tにより、包装箱1の密封性を保ちつつ通気を確保することができる。
また、気体の透過性を有するシート17により、例えば、被包装物が青果物である場合には、青果物の呼吸に必要な酸素を取り入れつつ、二酸化炭素やエチレンガス等を箱外に逃がすことができる。これにより、包装箱1内の気体の濃度を青果物に最適な状態にコントロールすることができる。
【0040】
また、接合片15が接合されている部分は、それ以外の部分に比べて包装箱1の強度が高くなっているため、貫通孔16及び凹部18,18を設けることに好適である。したがって、貫通孔16及び凹部18,18を設けても強度の低下が生じ難い包装箱1が得られる。
【0041】
また、対向部11Aに設けられた貫通孔16及びシート17を接合片15で外側から覆うことができる。これにより、通気性を確保しながら、貫通孔16及びシート17が包装箱1外に露出することを防止できる。したがって、シート17の破損等の不具合を防止しつつ、包装箱1の強度を好適に確保することができる。
【0042】
また、接合片15の目の方向は、縦目方向であるので、凹部18,18に連通する空間部19の開口を接合片15の上下2箇所に配置できる。このようにすると、空間部19(通気路)が塞がれてしまうリスクが小さくなる。
【0043】
また、隣り合う上側内フラップ21と上側外フラップ22との間等にスリット部23が形成されているので、フラップ同士を折り畳んで重ね易い。また、スリット部23に連続して切断線24が形成されているので。頂板20等を閉じる際に隣り合うフラップ同士を閉じると、切断線24で隣り合う部分が上下に重なり合うように折れ曲がる。これにより、フラップ同士の基端部に隙間が形成され難い。したがって、包装箱1の密封性を保ちつつ通気を好適に確保することができる。
【0044】
(第2実施形態)
図5~
図8Bを参照して第2実施形態の包装箱について説明する。本実施形態が前記第1実施形態と異なるところは、
図5,6に示すように、胴部10(接合片15A)の目の方向が横目である包装箱1Aにおいて通気手段T1を設けた点にある。
【0045】
包装箱1Aは、
図6に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS1を各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図6に示すブランクシートS1は内面側が見えるように配置されている。ブランクシートS1は、段ボールの目が横目である。
【0046】
通気手段T1を構成する貫通孔16は、前端板11の対向部11Aの上下方向において略中央部に位置している。貫通孔16には、同様に、シート17が貼り付けられている。
【0047】
本実施形態においても接合片15Aは、前端板11の外面の対向部11Aに対してホットメルト等の接着手段によって接合されている。接合片15Aの内面15aには、
図7に示すように、対向部11Aの貫通孔16に対応する位置に、通気手段T1を構成する凹部18Aが形成されている。凹部18Aは、前端板11の貫通孔16に対応する縦長略四角形状を呈している。凹部18Aは、ハーフカット線L18Aで区画された縦長略四角形状の領域R1Aを内面側から外面側へ向けて押圧加工することで形成される。これにより、凹部18Aは、接合片15Aの内面15aにのみ開口し、接合片15Aの外面に開口しない構造となっている。
凹部18Aは、ハーフカット線L18Aで区画されているので、押圧加工後は、ハーフカット線L18Aの切れ込みに沿う断面が凹部18A内に露出する。本実施形態では、段ボールが横目であるので、凹部18Aの左断面部及び右断面部には、フルートで区画された複数の空間部19Aが露出している。各空間部19Aは、接合片15Aの左端部15A1に開口している。
【0048】
凹部18Aは、
図8Aに示すように、接合片15Aを前端板11の対向部11Aに接合することで、対向部11A側の貫通孔16に対向するように配置される。これにより、凹部18A内と貫通孔16とが連通する状態になり、包装箱1Aの内部は、シート17を介して貫通孔16及び凹部18Aに連通し、凹部18Aからフルートの空間部19Aを介して包装箱1Aの外部に連通する状態になる。
【0049】
接合片15Aの上端部には、
図6に示すように、切断線24で上側外フラップ22から分離された上片15bが備わる。また、接合片15Aの下端部には、切断線24で下側外フラップ32から分離された下片15cが備わる。上片15aは、
図5に示すように、上側内フラップ21と上側外フラップ22との間に挟み込まれて保持される。また、下片15bは、下側内フラップ31と下側外フラップ32との間に挟み込まれて保持される。
【0050】
本実施形態の包装箱1Aにおいて、ブランクシートS1から胴部10を組み立てる際には、ブランクシートS1(
図6参照)を各罫線で折り曲げ、前端板11の外面の対向部11Aに、接合片15Aをホットメルト等の接着手段によって接合する。対向部11Aに、接合片15Aを接合すると、
図8Bに示すように、対向部11Aの貫通孔16と接合片15Aの凹部18Aとが前後方向に重なり合う状態となり、これらが相互に連通する。
【0051】
次に、通気手段T1の作用について説明する。包装箱1Aは、対向部11Aの貫通孔16と接合片15Aの凹部18Aとが相互に連通しているので、
図8A,
図8Bに示すように、包装箱1A内の二酸化炭素や包装箱1A内で発生したエチレンガス等の気体は、シート17を通じて包装箱1内から貫通孔16に流入する。貫通孔16に流入した気体は、貫通孔16から凹部18Aに流入し、凹部18Aから空間部19Aに流入する。
【0052】
その後、空間部19Aに流入した気体は、空間部19Aを通って接合片15Aの左端部に向けて流れ、左端部の各開口から接合片15Aの外部(包装箱1Aの外部)に排出される。
【0053】
また、これとは逆に、包装箱1Aの外部にある空気等の気体は、接合片15Aの左端部15A1に開口する空間部19Aを通じて凹部18Aに流入する。そして、凹部18Aに流入した空気等の気体は、凹部18Aから貫通孔16に流入し、シート17を通じて包装箱1A内に取り入れられる。
以上のような通気手段T1により、青果物の呼吸の継続に必要な酸素が取り入れられるとともに、二酸化炭素やエチレンガスがバランスよく排出され、包装箱1A内の気体が青果物に最適な状態となるようにコントロールされる。
【0054】
以上説明した本実施形態の包装箱1Aでは、段ボールの目が横目であるので、第1実施形態のものに比べて空間部19Aの距離が短くなり、凹部18Aから空間部19Aに流入した気体を包装箱1Aの外部にスムーズに排出することができる。また、包装箱1Aの外部にある空気等の気体を包装箱1A内にスムーズ取り入れることができる。
【0055】
また、貫通孔16の外側に凹部18Aが配置されるので、貫通孔16及びシート17が包装箱1Aの外面に露出することを防止できる。これにより、シート17の破損等の不具合を防止しつつ、包装箱1Aの強度を好適に確保することができる。
【0056】
(第3実施形態)
図9~
図12Bを参照して第3実施形態の包装箱について説明する。本実施形態が前記第1実施形態と異なるところは、
図9,
図10に示すように、胴部10(接合片15B)の目の方向が横目であるとともに、前端板11の内面11aに接合片15Bが接合された包装箱1Bにおいて通気手段T2を設けた点にある。
【0057】
包装箱1Bは、
図10に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS2を各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図10に示すブランクシートS2は内面側が見えるように配置されている。ブランクシートS2は、段ボールの目が横目である。
【0058】
本実施形態の接合片15Bは、前端板11の内面の対向部11Bに対してホットメルト等の接着手段によって接合されている。通気手段T2を構成する貫通孔16は、接合片15B側に設けられている。貫通孔16に貼り付けられるシート17は、接合片15Bの内面15a側に位置している。貫通孔16は、接合片15Bの上下方向において略中央部に位置している。
【0059】
前端板11の内面11aには、
図11に示すように、接合片15Bの貫通孔16に対応する位置に、通気手段T2を構成する凹部18Bが形成されている。凹部18Bは、接合片15Bの貫通孔16に対応する縦長略四角形状を呈している。凹部18Bは、ハーフカット線L18Bで区画された縦長略四角形状の領域R1Bを内面側から外面側へ向けて押圧加工することで形成される。これにより、凹部18Bは、前端板11の内面11aにのみ開口し前端板11の外面に開口しない構造となっている。
【0060】
凹部18Bは、ハーフカット線L18Bで区画されているので、押圧加工後は、ハーフカット線L18Bの切れ込みに沿う断面が凹部18B内に露出する。本実施形態では、段ボールが横目であるので、凹部18Bの左断面部及び右断面部にフルートで区画された複数の空間部19Bが露出している。各空間部19Bは、接合片15Bの前端板11の右端部11A1に開口している。
【0061】
貫通孔16は、
図12Aに示すように、接合片15Bを前端板11の対向部11Bに接合することで、対向部11B側の凹部18Bに対向するように配置される。これにより、貫通孔16と凹部18B内とが連通する状態になり、包装箱1Bの内部は、シート17を介して貫通孔16及び凹部18Bに連通し、凹部18Bからフルートの空間部19Bを介して包装箱1Bの外部に連通する状態になる。なお、接合片15Bの貫通孔16の左縁部16Bは、押圧加工されている。これにより、左縁部16Bにおけるフルートの開口部16Cは、不図示の閉じられた状態に加工されている。これによって、左縁部16Bにおける通気が遮断されている。
【0062】
本実施形態の包装箱1Bにおいて、ブランクシートS2から胴部10を組み立てる際には、ブランクシートS2(
図10参照)を各罫線で折り曲げ、前端板11の内面11aの対向部11Bに、接合片15Bをホットメルト等の接着手段によって接合する。対向部11Bに、接合片15Bを接合すると、
図12Aに示すように、対向部11Aの貫通孔16と接合片15Aの凹部18Aとが前後方向に重なる状態となり、これらが相互に連通する。
【0063】
次に、通気手段T2の作用について説明する。包装箱1Bは、接合片15Bの貫通孔16と対向部11Bの凹部18Bとが相互に連通しているので、
図12A,
図12Bに示すように、包装箱1B内の二酸化炭素や包装箱1B内で発生したエチレンガス等の気体は、シート17を通じて包装箱1B内から貫通孔16に流入する。貫通孔16に流入した気体は、貫通孔16から凹部18Bに流入し、凹部18Bから空間部19Bに流入する。
【0064】
その後、空間部19Bに流入した気体は、空間部19Bを通って前端板11の右端部11A1に向けて流れ、右端部11A1の各開口から前端板11の外部(包装箱1Bの外部)に排出される。
【0065】
また、これとは逆に、包装箱1Bの外部にある空気等の気体は、前端板11の右端部11A1に開口する空間部19Bを通じて凹部18Bに流入する。そして、凹部18Bに流入した空気等の気体は、凹部18Bから貫通孔16に流入し、シート17を通じて包装箱1B内に取り入れられる。
以上のような通気手段T2により、青果物の呼吸の継続に必要な酸素が取り入れられるとともに、二酸化炭素やエチレンガスがバランスよく排出され、包装箱1B内の気体が青果物に最適な状態となるようにコントロールされる。
【0066】
以上説明した本実施形態の包装箱1Bにおいても、段ボールの目が横目であるので、第1実施形態のものに比べて空間部19Bの距離が短くなり、凹部18Bから空間部19Bに流入した気体を包装箱1Bの外部にスムーズに排出することができる。また、包装箱1Bの外部にある空気等の気体を包装箱1B内にスムーズ取り入れることができる。
【0067】
また、貫通孔16の外側に凹部18Bが配置されるので、貫通孔16及びシート17が包装箱1Bの外面に露出することを防止できる。これにより、シート17の破損等の不具合を防止しつつ、包装箱1Bの強度を好適に確保することができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、胴部10は、4枚の周壁を接合片15(15A,15B)で接合して構成したが、これに限られることはなく、5枚以上の周壁や3枚以下の周壁を接合片15(15A,15B)で接合して構成してもよい。この場合、1枚の周壁を円筒状に丸めて接合片15(15A,15B)で接合して構成してもよい。
【0069】
また、貫通孔16や凹部18(18A,18B)の形状は三角形状、円形状、多角形状等、種々の形状のものを採用することができる。この場合、貫通孔16と凹部18(18A,18B)とは、気体の通流が可能であれば相互に異なる形状であってもよい。
【0070】
また、シート17は、前端板11の内面11aや接合片15の内面15aに貼り付けたものを示したが、これに限られることはなく、前端板11の対向部11A,11B(前端板11と接合片15(15A,15B)との接合面)に貼り付けてもよい。
また、シート17は、気体の通流経路の複数箇所に設置してもよい。
【0071】
また、通気手段T(T1,T2、貫通孔16、凹部18,18A,18B)は、包装箱1(1A,1B)内の気体の管理を考慮して、上下方向の適宜の位置に設置することができる。また、通気手段T(T1,T2)は、上下方向の複数箇所に設置してもよい。また、1つの包装箱1(1A,1B)に対して、接合片15(15A,15B)で接合される箇所を複数設けて、その箇所毎に通気手段T(T1,T2)を配置してもよい。
【0072】
また、本発明は、A式の包装箱1,1A,1Bに適用した例を説明したが、これに限られることはなく、ラップアラウンド式の包装箱に適用してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1,1A,1B 包装箱
10 胴部
11A,11B 対向部
15,15A,15B 接合片
16 貫通孔
17 シート
18,18A,18B 凹部
19,19A,19B 空間部
20 頂板(蓋部)
30 底板(蓋部)
L18,L18A,L18B ハーフカット線
T,T1,T2 通気手段