(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】受光装置
(51)【国際特許分類】
G02F 2/00 20060101AFI20230725BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20230725BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20230725BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G02F2/00
H01L31/02 D
H01L31/02 B
H05K3/34 501D
(21)【出願番号】P 2020013722
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】八木 英樹
(72)【発明者】
【氏名】沖本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】黒川 宗高
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032629(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0194308(US,A1)
【文献】RUNGE, Patrick et al.,“Monolithic InP Receiver Chip With a Variable Optical Attenuator for Colorless WDM Detection”,IEEE Photonics Technology Letters,2014年02月,Vol. 26, No. 4,p.349-351,DOI: 10.1109/LPT.2013.2293635
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
H01L 31/00 - 31/02
H05K 3/32 - 3/34
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び前記第1主面と反対側の第2主面を有する半導体基板と、前記第2主面上に設けられた金属パターン層と、を備える受光デバイスと、
前記第2主面に対向配置された第3主面を有する支持基板と、前記第3主面上に設けられ前記金属パターン層に接合された半田パターン層とを備えるキャリアと、
を備え、
前記第1主面には、可変光減衰器と、光90°ハイブリッド素子と、前記光90°ハイブリッド素子を介して前記可変光減衰器に光学的に結合された複数の受光素子と、が設けられており、
前記半田パターン層及び前記金属パターン層は、前記第1主面の法線方向から見て、前記可変光減衰器及び前記光90°ハイブリッド素子が位置する中央領域を取り囲む周囲領域に位置
し、
前記第1主面において、前記可変光減衰器及び前記光90°ハイブリッド素子は、第1方向に配列されており、
前記半田パターン層は、前記第1主面の法線方向から見て、前記第1方向に沿って延在する一対の第1部分と、前記一対の第1部分同士を連結する第2部分と、を有し、
前記金属パターン層は、前記第1主面の法線方向から見て、前記第1方向に沿って延在する一対の第3部分と、前記一対の第3部分とは離間して配置された第4部分と、を有し、
前記一対の第1部分は前記一対の第3部分に接合されており、
前記第2部分は前記第4部分に接合されている、受光装置。
【請求項2】
前記第1主面には、局部発振光が入力される入力ポートが設けられ、
前記入力ポートは、前記光90°ハイブリッド素子に光学的に結合されており、
前記半田パターン層及び前記金属パターン層は、前記第1主面の法線方向から見て、前記入力ポートに隣接する部分を有する、請求項1に記載の受光装置。
【請求項3】
前記第2部分は、前記第1主面の法線方向から見て、前記第1方向に交差する方向に延在し、
前記第4部分は、前記第1主面の法線方向から見て、前記第1方向に交差する方向に延在する、請求項1
または請求項2に記載の受光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1は、可変光減衰器(VOA:Variable Optical Attenuator)と光90°ハイブリッド素子と複数の受光素子とがInP基板上にモノリシックに集積された受光デバイスを開示する。
【0003】
特許文献1は、半導体光素子を搭載する搭載基板を開示する。搭載基板の主面上には半田層が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Patrick Runge et al., "MonolithicInP Receiver Chip With a Variable Optical Attenuator for Colorless WDMDetection", IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS, VOL. 26, NO. 4, FEBRUARY 15,2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1の受光デバイスを搭載基板に搭載する場合、搭載基板の主面上の半田層を溶融させることによって、受光デバイスの裏面全体に設けられた金属層に溶融した半田層を接合させる。金属層と半田層との接合面積が大きくなると、受光デバイスが受ける応力が大きくなる。そこで、搭載基板の主面の一部のみに半田層を設けることが考えられる。しかしながら、半田層を溶融させる際に、溶融した半田が金属層の表面に沿って移動する可能性がある。その結果、金属層と半田層との接合面積が大きくなることがある。
【0007】
本開示は、金属層と半田層との接合面積を小さくできる受光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面に係る受光装置は、第1主面及び前記第1主面と反対側の第2主面を有する半導体基板と、前記第2主面上に設けられた金属パターン層と、を備える受光デバイスと、前記第2主面に対向配置された第3主面を有する支持基板と、前記第3主面上に設けられ前記金属パターン層に接合された半田パターン層とを備えるキャリアと、を備え、前記第1主面には、可変光減衰器と、光90°ハイブリッド素子と、前記光90°ハイブリッド素子を介して前記可変光減衰器に光学的に結合された複数の受光素子と、が設けられており、前記半田パターン層及び前記金属パターン層は、前記第1主面の法線方向から見て、前記可変光減衰器及び前記光90°ハイブリッド素子が位置する中央領域を取り囲む周囲領域に位置する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、金属層と半田層との接合面積を小さくできる受光装置が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る受光装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る受光装置のキャリア及びレンズアレイを模式的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る受光装置の受光デバイス及びレンズアレイを模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る受光装置を模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る受光装置を模式的に示す平面図である。
【
図7】
図7は、
図3のVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図8は、
図3のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図9】
図9は、受光デバイスの製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図10】
図10は、受光デバイスの製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図11】
図11は、受光デバイスの製造方法の一工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
一実施形態に係る受光装置は、第1主面及び前記第1主面と反対側の第2主面を有する半導体基板と、前記第2主面上に設けられた金属パターン層と、を備える受光デバイスと、前記第2主面に対向配置された第3主面を有する支持基板と、前記第3主面上に設けられ前記金属パターン層に接合された半田パターン層とを備えるキャリアと、を備え、前記第1主面には、可変光減衰器と、光90°ハイブリッド素子と、前記光90°ハイブリッド素子を介して前記可変光減衰器に光学的に結合された複数の受光素子と、が設けられており、前記半田パターン層及び前記金属パターン層は、前記第1主面の法線方向から見て、前記可変光減衰器及び前記光90°ハイブリッド素子が位置する中央領域を取り囲む周囲領域に位置する。
【0012】
上記受光装置では、半田パターン層を溶融させることによって、半田パターン層と金属パターン層とが互いに接合される。その際に、半田パターン層及び金属パターン層が周囲領域に位置しているので、溶融した半田が金属パターン層の表面を伝って周囲領域から中央領域に移動することが抑制される。よって、半田パターン層と金属パターン層との接合面積を小さくできる。したがって、受光デバイスが受ける応力を低減できる。
【0013】
前記第1主面には、局部発振光が入力される入力ポートが設けられ、前記入力ポートは、前記光90°ハイブリッド素子に光学的に結合されており、前記半田パターン層及び前記金属パターン層は、前記第1主面の法線方向から見て、前記入力ポートに隣接する部分を有してもよい。
【0014】
この場合、第1主面の法線方向から見て、入力ポートに隣接する部分において、半田パターン層と金属パターン層とが互いに接合される。そのため、入力ポートに隣接する部分において熱膨張による受光デバイスの反りが抑制される。
【0015】
前記第1主面において、前記可変光減衰器及び前記光90°ハイブリッド素子は、第1方向に配列されており、前記半田パターン層は、前記第1主面の法線方向から見て、前記第1方向に沿って延在する一対の第1部分と、前記一対の第1部分同士を連結する第2部分と、を有し、前記金属パターン層は、前記第1主面の法線方向から見て、前記第1方向に沿って延在する一対の第3部分と、前記一対の第3部分とは離間して配置された第4部分と、を有してもよい。
【0016】
この場合、金属パターン層の第4部分が一対の第3部分とは離間して配置されるので、一対の第3部分と第4部分との間の離間領域では、金属パターン層が半田パターン層に接合されない。そのため、金属パターン層と半田パターン層との接合面積を更に小さくできる。よって、受光デバイスが受ける応力を低減できる。
【0017】
前記第2部分は、前記第1主面の法線方向から見て、前記第1方向に交差する方向に延在し、前記第4部分は、前記第1主面の法線方向から見て、前記第1方向に交差する方向に延在してもよい。第2部分及び第4部分の延在方向は互いに同じであってもよいし、異なってもよい。
【0018】
この場合、第2部分及び第4部分が第1方向に交差する方向に延在することにより、第1方向に延在する対称軸に関して、金属パターン層及び半田パターン層が全体として線対称性を有することができる。よって、例えば当該対称軸に関して線対称性を有する2つの可変光減衰器が存在する場合に、当該2つの可変光減衰器が受ける応力を対称にできる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面には必要に応じてXYZ座標系が示される。X軸方向(第1方向)、Y軸方向(第2方向)及びZ軸方向は、互いに交差(例えば直交)する。
【0020】
図1は、一実施形態に係る受光装置を模式的に示す斜視図である。
図2は、一実施形態に係る受光装置のキャリア及びレンズアレイを模式的に示す平面図である。
図3は、一実施形態に係る受光装置の受光デバイス及びレンズアレイを模式的に示す平面図である。
図4及び
図6は、一実施形態に係る受光装置を模式的に示す平面図である。
図5は、
図4のV-V線に沿った断面図である。
【0021】
図1、
図4及び
図6に示される受光装置100は、例えばコヒーレント光通信に用いられる。受光装置100は、受光デバイス100aと、キャリア100bとを備える。受光デバイス100a及びキャリア100bは、Z軸方向に沿って配列される。
図2においては、受光デバイス100aが省略されている。
図3においては、キャリア100bが省略されている。受光装置100は、レンズアレイ100cを備えてもよい。レンズアレイ100c及び受光デバイス100aはX軸方向に沿って配列される。レンズアレイ100cは、複数(例えば3つ)のレンズ100c1,100c2,100c3を備える。レンズ100c1,100c2,100c3は、Y軸方向に沿って配列される。レンズ100c2は、レンズ100c1とレンズ100c3との間に配置される。
【0022】
受光デバイス100aは、第1主面110s及び第1主面110sと反対側の第2主面110tを有する半導体基板110と、第2主面110t上に設けられた金属パターン層114,116,118(
図3参照)とを備える。第1主面110s及び第2主面110tのそれぞれは、X軸方向及びY軸方向に延在し、例えば矩形形状を有する。半導体基板110は例えばInP基板等のIII-V族半導体基板である。半導体基板110の厚みは100μm以上200μm以下であってもよい。金属パターン層114,116,118は例えば金を含む。
【0023】
以下、主として
図6を参照しながら受光デバイス100aの第1主面110sに集積された素子について説明する。
【0024】
第1主面110sには、複数(例えば3つ)の入力ポートP1,P2,P3と、複数(例えば2つ)の可変光減衰器(VOA)10a,10bと、複数(例えば2つ)の光90°ハイブリッド素子20a,20bと、複数(例えば8つ)の受光素子30a1,30a2,30a3,30a4,30b1,30b2,30b3,30b4とが設けられている。可変光減衰器10a,10b、光90°ハイブリッド素子20a,20b、受光素子30a1から30a4,30b1から30b4は、第1主面110sにモノリシックに集積されている。第1主面110sにおいて、入力ポートP1、可変光減衰器10a、光90°ハイブリッド素子20a及び受光素子30a1から30a4は、第1方向(X軸方向)に配列されている。同様に、第1主面110sにおいて、入力ポートP3、可変光減衰器10b、光90°ハイブリッド素子20b及び受光素子30b1から30b4は、X軸方向に配列されている。
【0025】
複数(例えば4つ)の受光素子30a1から30a4は、光90°ハイブリッド素子20aを介して可変光減衰器10aに光学的に結合されている。複数の受光素子30a1から30a4のそれぞれは、光導波路により光90°ハイブリッド素子20aに接続されている。光90°ハイブリッド素子20aは、例えば2入力2出力の多モード干渉(MMI:Multi-Mode Interference)カプラ等の光分波器52aを介して可変光減衰器10aに光学的に結合されている。可変光減衰器10aは、例えば1入力2出力のMMIカプラ等の光分波器50a,51aを介してスポットサイズ変換器40aに光学的に結合されている。スポットサイズ変換器40aは第1主面110sの縁(Y軸方向に延在する縁)に位置する。
【0026】
複数(例えば4つ)の受光素子30b1から30b4は、光90°ハイブリッド素子20bを介して可変光減衰器10bに光学的に結合されている。複数の受光素子30b1から30b4のそれぞれは、光導波路により光90°ハイブリッド素子20bに接続されている。光90°ハイブリッド素子20bは、例えば2入力2出力のMMIカプラ等の光分波器52bを介して可変光減衰器10bに光学的に結合されている。可変光減衰器10bは、例えば1入力2出力のMMIカプラ等の光分波器50b,51bを介してスポットサイズ変換器40bに光学的に結合されている。スポットサイズ変換器40bは第1主面110sの縁(Y軸方向に延在する縁)に位置する。
【0027】
光90°ハイブリッド素子20a,20bは、例えば1入力2出力のMMIカプラ等の光分波器52cを介してスポットサイズ変換器40cに光学的に結合されている。スポットサイズ変換器40cは第1主面110sの縁(Y軸方向に延在する縁)に位置する。スポットサイズ変換器40cは、Y軸方向において、スポットサイズ変換器40aとスポットサイズ変換器40bとの間に位置する。
【0028】
スポットサイズ変換器40aは、レンズ100c1から第1信号光SigXが入力される入力ポートP1として機能する。スポットサイズ変換器40bは、レンズ100c3から第2信号光SigYが入力される入力ポートP3として機能する。スポットサイズ変換器40cは、レンズ100c2から局部発振光LOが入力される入力ポートP2として機能する。スポットサイズ変換器40a,40b,40cは、光のモード径を広げることができる。
【0029】
第1信号光SigXは、例えば互いに異なる4つの位相及び同じ波長を有するX偏波である。第2信号光SigYは、例えば互いに異なる4つの位相及び同じ波長を有するY偏波である。第1信号光SigX及び第2信号光SigYのそれぞれは、例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying:4位相偏移変調)方式により変調された信号光である。第1信号光SigX及び第2信号光SigYのそれぞれは、1530nmから1570nmの波長範囲、すなわちITU-T(International Telecommunication Union TelecommunicationStandardization Sector)におけるCバンド帯において波長多重化されている。局部発振光LOは、例えば第1信号光SigX及び第2信号光SigYのそれぞれと同じ波長を有する。
【0030】
スポットサイズ変換器40aの出力端は、光導波路Waにより光分波器50aの入力端に接続されている。光分波器50aの第1出力端は、光導波路により光分波器51aの入力端に接続されている。光分波器50aの第2出力端は、光導波路により受光素子60aに接続されている。受光素子60aのアノードは、例えばアノード電極を介して電極パッドEa7に電気的に接続され、受光素子60aのカソードは、例えばカソード電極を介して電極パッドEa10に電気的に接続されている。受光素子60aは、第1信号光SigXの大きさをモニタする。受光素子60aは、例えばPINフォトダイオードである。受光素子60aは、バットジョイント接合を規定する領域BJ60aに位置する。
【0031】
光分波器51aの第1出力端及び第2出力端は、光導波路により可変光減衰器10aの入力端に接続されている。可変光減衰器10aは、例えばマッハツェンダ型の光減衰器である。可変光減衰器10aは、第1及び第2のアーム光導波路をそれぞれ加熱するためのヒータ12a,13aを備える。ヒータ12a,13aはそれぞれ第1及び第2のアーム光導波路に沿って延在する。ヒータ12aの一端は、配線La12により電極パッドE12aに電気的に接続され、ヒータ12aの他端は、配線La14により電極パッドE14aに電気的に接続される。ヒータ13aの一端は、配線La13により電極パッドE13aに電気的に接続され、ヒータ13aの他端は、配線La14により電極パッドE14aに電気的に接続される。可変光減衰器10aの出力端は、光導波路により光分波器52aの入力端に接続されている。光分波器52aの第1出力端は、光導波路により光90°ハイブリッド素子20aの第1入力端に接続されている。光分波器52aの第2出力端は、光導波路により受光素子61aに接続されている。受光素子61aのアノードは、例えばアノード電極を介して電極パッドEa11に電気的に接続され、受光素子61aのカソードは、例えばカソード電極を介して電極パッドEa8に電気的に接続されている。電極パッドEa8と電極パッドEa11とは、受光装置100の外部に設けられる信号処理装置(図示せず)に、ワイヤボンディングを用いて電気的に接続される。信号処理装置が電気信号の大きさを検出することによって、可変光減衰器10aから出力された第1信号光SigXの大きさが間接的にモニタされる。受光素子61aは、例えばPINフォトダイオードである。受光素子61aは、バットジョイント接合を規定する領域BJ61aに位置する。
【0032】
光90°ハイブリッド素子20aは、例えば2入力4出力のMMIカプラ21aと、2入力2出力のMMIカプラ22aとを含む。MMIカプラ21aの第1入力端が光90°ハイブリッド素子20aの第1入力端となる。MMIカプラ21aの第2入力端が光90°ハイブリッド素子20aの第2入力端となる。MMIカプラ21aの4つの出力端のうち2つは、光導波路を介して、MMIカプラ22aの2つの入力端とそれぞれ結合されている。これらの光導波路の光路長は互いに異なっており、位相シフト部23aにおいて、一方の光導波路が湾曲して他方の光導波路から離れることにより、一方の光導波路が他方の光導波路よりも僅かに長くなっている。これにより、一方の光導波路を伝搬する信号成分が、他方の光導波路を伝搬する信号成分に対して45°の位相に相当する遅延を有することとなる。MMIカプラ21aの他の2つの出力端は、それぞれ光導波路により受光素子30a1,30a2に接続されている。受光素子30a1のアノードは、電極パッドEa1に電気的に接続され、受光素子30a1のカソードは、電極パッドEa5に電気的に接続されている。受光素子30a2のアノードは、電極パッドEa2に電気的に接続され、受光素子30a2のカソードは、電極パッドEa5に電気的に接続されている。MMIカプラ22aの2つの出力端は、それぞれ光導波路により受光素子30a3,30a4に接続されている。受光素子30a3のアノードは、電極パッドEa3に電気的に接続され、受光素子30a3のカソードは、電極パッドEa6に電気的に接続されている。受光素子30a4のアノードは、電極パッドEa4に電気的に接続され、受光素子30a4のカソードは、電極パッドEa6に電気的に接続されている。電極パッドEa1から電極パッドEa6は、受光装置100の外部に設けられるトランスインピーダンスアンプ(TIA)(図示せず)に、ワイヤボンディングを用いて電気的に接続される。TIAが各受光素子からの電気信号を検出することよって、受光素子30a1から受光素子30a4のそれぞれに入る光の強度が検出される。受光素子30a1から30a4は、バットジョイント接合を規定する領域BJ30に位置する。受光素子30a1から30a4は、例えばPINフォトダイオードである。
【0033】
第1主面110sには、電極パッドEa15,Ea16,Ea17,Ea18が設けられる。これらの電極パッドは、ワイヤボンディングを用いて、TIAのグランド電極に電気的に接続される。
【0034】
スポットサイズ変換器40bの出力端は、光導波路Wbにより光分波器50bの入力端に接続されている。光分波器50bの第1出力端は、光導波路により光分波器51bの入力端に接続されている。光分波器50bの第2出力端は、光導波路により受光素子60bに接続されている。受光素子60bのアノードは、例えばアノード電極を介して電極パッドEb7に電気的に接続され、受光素子60bのカソードは、例えばカソード電極を介して電極パッドEb10に電気的に接続されている。受光素子60bは、第2信号光SigYの大きさをモニタする。受光素子60bは、例えばPINフォトダイオードである。受光素子60bは、バットジョイント接合を規定する領域BJ60bに位置する。
【0035】
光分波器51bの第1出力端及び第2出力端は、光導波路により可変光減衰器10bの入力端に接続されている。可変光減衰器10bは、例えばマッハツェンダ型の光減衰器である。可変光減衰器10bは、第1及び第2のアーム光導波路をそれぞれ加熱するためのヒータ12b,13bを備える。ヒータ12b,13bはそれぞれ第1及び第2のアーム光導波路に沿って延在する。ヒータ12bの一端は、配線Lb12により電極パッドE12bに電気的に接続され、ヒータ12bの他端は、配線Lb14により電極パッドE14bに電気的に接続される。ヒータ13bの一端は、配線Lb13により電極パッドE13bに電気的に接続され、ヒータ13bの他端は、配線Lb14により電極パッドE14bに電気的に接続される。可変光減衰器10bの出力端は、光導波路により光分波器52bの入力端に接続されている。光分波器52bの第1出力端は、光導波路により光90°ハイブリッド素子20bの第1入力端に接続されている。光分波器52bの第2出力端は、光導波路により受光素子61bに接続されている。受光素子61bのアノードは、例えばアノード電極を介して電極パッドEb11に電気的に接続され、受光素子61bのカソードは、例えばカソード電極を介して電極パッドEb8に電気的に接続されている。電極パッドEb8と電極パッドEb11とは、受光装置100の外部に設けられる信号処理装置(図示せず)に、ワイヤボンディングを用いて電気的に接続される。信号処理装置が電気信号の大きさを検出することによって、可変光減衰器10bから出力された第2信号光SigYの大きさが間接的にモニタされる。受光素子61bは、例えばPINフォトダイオードである。受光素子61bは、バットジョイント接合を規定する領域BJ61bに位置する。
【0036】
光90°ハイブリッド素子20bは、例えば2入力4出力のMMIカプラ21bと、2入力2出力のMMIカプラ22bとを含む。MMIカプラ21bの第1入力端が光90°ハイブリッド素子20bの第1入力端となる。MMIカプラ21bの第2入力端が光90°ハイブリッド素子20bの第2入力端となる。MMIカプラ21bの4つの出力端のうち2つは、光導波路を介して、MMIカプラ22bの2つの入力端とそれぞれ結合されている。これらの光導波路の光路長は互いに異なっており、位相シフト部23bにおいて、一方の光導波路が湾曲して他方の光導波路から離れることにより、一方の光導波路が他方の光導波路よりも僅かに長くなっている。これにより、一方の光導波路を伝搬する信号成分が、他方の光導波路を伝搬する信号成分に対して45°の位相に相当する遅延を有することとなる。MMIカプラ21bの他の2つの出力端は、それぞれ光導波路により受光素子30b1,30b2に接続されている。受光素子30b1のアノードは、電極パッドEb1に電気的に接続され、受光素子30b1のカソードは、電極パッドEb5に電気的に接続されている。受光素子30b2のアノードは、電極パッドEb2に電気的に接続され、受光素子30b2のカソードは、電極パッドEb5に電気的に接続されている。MMIカプラ22bの2つの出力端は、それぞれ光導波路により受光素子30b3,30b4に接続されている。受光素子30b3のアノードは、電極パッドEb3に電気的に接続され、受光素子30b3のカソードは、電極パッドEb6に電気的に接続されている。受光素子30b4のアノードは、電極パッドEb4に電気的に接続され、受光素子30b4のカソードは、電極パッドEb6に電気的に接続されている。電極パッドEb1から電極パッドEb6は、受光装置100の外部に設けられるトランスインピーダンスアンプ(TIA)(図示せず)に、ワイヤボンディングを用いて電気的に接続される。TIAが各受光素子からの電気信号を検出することよって、受光素子30b1から受光素子30b4のそれぞれに入る光の強度が検出される。受光素子30b1から30b4は、バットジョイント接合を規定する領域BJ30に位置する。受光素子30b1から30b4は、例えばPINフォトダイオードである。
【0037】
第1主面110sには、電極パッドEb15,Eb16,Eb17,Eb18が設けられる。これらの電極パッドは、ワイヤボンディングを用いて、TIAのグランド電極に電気的に接続される。
【0038】
スポットサイズ変換器40cの出力端は、光導波路Wcにより光分波器52cの入力端に接続されている。光分波器52cの第1出力端は、光導波路により光90°ハイブリッド素子20aの第2入力端に接続されている。光分波器52cの第2出力端は、光導波路により光90°ハイブリッド素子20bの第2入力端に接続されている。
【0039】
受光デバイス100aによれば、スポットサイズ変換器40aに入力された第1信号光SigXは、スポットサイズ変換器40cに入力された局部発振光LOと共に光90°ハイブリッド素子20aに入力される。光90°ハイブリッド素子20aにおいて第1信号光SigXと局部発振光LOとが互いに干渉することによって、第1信号光SigXは、4つの成分の光に分離される。4つの成分の光は、受光素子30a1から30a4によってそれぞれ検出される。受光素子30a1,30a2によって検出される光は、互いに180°異なる位相を有する同相(In-Phase)成分Iである。例えば、受光素子30a1によって検出される光の位相は180°であり、受光素子30a2によって検出される光の位相は0°である。受光素子30a3,30a4によって検出される光は、同相成分Iの位相とは90°異なり、互いに180°異なる位相を有する直角位相(Quadrature)成分Qである。例えば、受光素子30a3によって検出される光の位相は270°であり、受光素子30a4によって検出される光の位相は90°である。
【0040】
スポットサイズ変換器40bに入力された第2信号光SigYは、スポットサイズ変換器40cに入力された局部発振光LOと共に光90°ハイブリッド素子20bに入力される。光90°ハイブリッド素子20bにおいて第2信号光SigYと局部発振光LOとが互いに干渉することによって、第2信号光SigYは、第1信号光SigXと同様に4つの成分の光に分離される。4つの成分の光は、受光素子30b1から30b4によってそれぞれ検出される。
【0041】
次に、
図3を参照しながら受光デバイス100aの第2主面110t上に設けられた金属パターン層114,116,118について説明する。
【0042】
金属パターン層114は、第2主面110tの縁(Y軸方向に延在する縁)に沿って延在する。金属パターン層116は、X軸方向に沿って延在する一対の第3部分116a,116bと、一対の第3部分116a,116bとは離間して配置された第4部分116cとを有する。一対の第3部分116a,116bは、Y軸方向において互いに離間して配置される。第4部分116cは、金属パターン層114と一対の第3部分116a,116bとの間において、Y軸方向に延在する。金属パターン層118は、第2主面110tの縁(Y軸方向に延在し、金属パターン層114が設けられた縁とは反対側の縁)に沿って延在する。金属パターン層116の配置は、光分波器52cを通りX軸方向に延在する線(図示せず)に対し、線対称であるのが好ましい。2つの可変光減衰器10a,10bも当該線に対して線対称であるので、金属パターン層116に起因する応力が、2つの可変光減衰器10a,10bに影響を与えるとしても、その影響は均等になる。よって、2つの可変光減衰器の特性の不均一が、回避される。第4部分116cがY軸方向に延在することにより、金属パターン層116が全体として線対称性を有することができる。
【0043】
次に、
図1、
図2、
図4及び
図5を参照しながらキャリア100bについて説明する。
図1及び
図2に示されるように、キャリア100bは、第2主面110tに対向配置された第3主面102sを有する支持基板102と、第3主面102s上に設けられた半田パターン層104,106,108とを備える。支持基板102は、第3主面102sと反対側の第4主面102tを有する。第3主面102s及び第4主面102tのそれぞれは例えば矩形形状を有する。半田パターン層104は金属パターン層114に接合される。半田パターン層106は金属パターン層116に接合される。半田パターン層108は金属パターン層118に接合される。支持基板102は例えばAlN基板等の基板である。半田パターン層104,106,108は例えばAuSn等の半田を含む。
【0044】
半田パターン層104は、Y軸方向に延在する。半田パターン層104は、第3主面102sの縁(Y軸方向に延在する縁)に沿って延在する。
【0045】
半田パターン層106は、X軸方向において半田パターン層104から離間して配置される。半田パターン層106は、X軸方向に沿って延在する一対の第1部分106a,106bと、一対の第1部分106a,106b同士を連結する第2部分106cとを有する。第2部分106cは、X軸方向において半田パターン層104から離間して配置され、Y軸方向に延在する。一対の第1部分106a,106bは、半田パターン層104に近い端部を有し、当該端部において第2部分106cに一体的に接続されている。したがって、半田パターン層106は例えばU字形状を有する。
【0046】
半田パターン層108は、X軸方向において半田パターン層106から離間して配置される。半田パターン層108は、第3主面102sの縁(Y軸方向に延在し、半田パターン層104が設けられた縁とは反対側の縁)に設けられる。半田パターン層108は、Y軸方向において第3主面102sの縁の中心に位置する。
【0047】
次に、
図4を参照しながらZ軸方向(第1主面110sの法線方向)から見た受光装置100について説明する。
図4に示されるように、半田パターン層104,106,108及び金属パターン層114,116,118は、Z軸方向から見て、中央領域R1を取り囲む周囲領域R2に位置する。中央領域R1は、第1主面110sの中心を含む領域である。周囲領域R2は、第1主面110sの縁を含む領域である。中央領域R1には、半田パターン層104,106,108及び金属パターン層114,116,118が位置していない。中央領域R1には、光分波器50a,50b,51a,51b,52a,52b,52c、可変光減衰器10a,10b、光90°ハイブリッド素子20a,20b及び受光素子60a,60b,61a,61bが位置する。周囲領域R2には、電極パッドEa1からEa8,Ea10からE18a,Eb1からEb8,Eb10からE18b及び受光素子30a1から30a4,30b1から30b4が位置する。
【0048】
図4に示されるように、Z軸方向から第1主面110sと第2主面110tとを見たとき、金属パターン層114,116,118の縁の内側には、可変光減衰器10a,10b、および光90°ハイブリッド素子20a,20bは、配置されない。より具体的には、金属パターン層114,116,118と、可変光減衰器10a,10bのための光分波器50a,51a,52a,50b,51b,52bとは、Z軸方向から見たとき重ならず、離れている。金属パターン層114,116,118と、光90°ハイブリッド素子20a,20bのための光分波器52cとは、Z軸方向から見たとき重ならず、離れている。金属パターン層114,116,118と、光90°ハイブリッド素子20a,20bのMMIカプラ21a,22a,21b,22bとは、Z軸方向から見たとき重ならず,離れている。光分波器及びMMIカプラの光学特性は、応力にとりわけ敏感である。このような金属パターン層の配置は、金属パターン層に起因する応力による可変光減衰器又は光90°ハイブリッドの光学特性の劣化を避けるために有効である。
【0049】
電極パッドEa10,Ea7,Ea14,Ea12,Ea13,Ea11,Ea8は、X軸方向に沿って互いに隣接して順に配列される。Z軸方向から見て、電極パッドEa10,Ea7,Ea14,Ea12,Ea13,Ea11,Ea8の全体は、金属パターン層116の一方の第3部分116aと重なっている。Z軸方向から見て、金属パターン層116の第3部分116aの全体は、半田パターン層106の一方の第1部分106aと重なっている。
【0050】
電極パッドEb10,Eb7,Eb14,Eb12,Eb13,Eb11,Eb8は、X軸方向に沿って互いに隣接して順に配列される。Z軸方向から見て、電極パッドEb10,Eb7,Eb14,Eb12,Eb13,Eb11,Eb8の全体は、金属パターン層116の他方の第3部分116bと重なっている。Z軸方向から見て、金属パターン層116の第3部分116bの全体は、半田パターン層106の他方の第1部分106bと重なっている。
【0051】
Z軸方向から見て、金属パターン層116の第4部分116cの全体は、半田パターン層106の第2部分106cと重なっている。金属パターン層116の第4部分116c及び半田パターン層106の第2部分106cは、Z軸方向から見て、複数の受光素子30a1から30a4,30b1から30b4と光90°ハイブリッド素子20a,20bとの間において、Y軸方向に延在している。
【0052】
Z軸方向から見て、半田パターン層108の全体は金属パターン層118と重なっている。半田パターン層108及び金属パターン層118は、Z軸方向から見て、入力ポートP2に隣接する部分である。金属パターン層118は、Z軸方向から見て、入力ポートP1,P3に隣接してもよい。
【0053】
電極パッドEa15,Ea1,Ea5,Ea2,Ea16,Ea17,Ea3,Ea6,Ea4,Ea18,Eb15,Eb1,Eb5,Eb2,Eb16,Eb17,Eb3,Eb6,Eb4,Eb18は、X軸方向に沿って互いに隣接して順に配列される。Z軸方向から見て、電極パッドEa1からEa6,Ea15からEa18,Eb1からEb6,Eb15からEb18の全体は、金属パターン層114と重なっている。Z軸方向から見て、金属パターン層114の全体は、半田パターン層104と重なっている。
【0054】
図7は、
図3のVII-VII線に沿った断面図である。
図7に示されるように、可変光減衰器10aは、基板2上に設けられた一対のメサM1,M2を備える。各メサM1,M2は光導波路に沿って延在する。メサM1はヒータ12aによって加熱され、メサM2はヒータ13aによって加熱される。本実施形態において、ヒータ13aに供給される電力は、ヒータ12aに供給される電力よりも大きい。ヒータ12a,13aに供給される電力を制御することによって、可変光減衰器10aを動作させることができる。
【0055】
各メサM1,M2は、クラッド層5、コア層6及びクラッド層7を含む。クラッド層5は基板2上に設けられる。コア層6はクラッド層5上に設けられる。クラッド層7はコア層6上に設けられる。
【0056】
基板2は、例えば半絶縁性InP基板等の半絶縁性III-V族化合物半導体基板である。クラッド層5は、例えばn-InP等のn型III-V族化合物半導体層である。コア層6は、例えばi-GaInAsP等のIII-V族化合物半導体層である。クラッド層7は、例えばi-InP等のi型III-V族化合物半導体層である。
【0057】
ヒータ12aは、メサM1の頂面上に順に設けられた複数の金属層12a1,12a2,12a3を含む。金属層12a1は例えばTi層である。金属層12a2は例えばTiW層である。金属層12a3は例えばAuメッキ層である。ヒータ13aは、メサM2の頂面上に順に設けられた複数の金属層13a1,13a2,13a3を含む。金属層13a1は例えばTi層である。金属層13a2は例えばTiW層である。金属層13a3は例えばAuメッキ層である。
【0058】
可変光減衰器10aは、メサM1,M2を覆う絶縁膜9を有する。絶縁膜9は、メサM1,M2を覆う第1絶縁膜9aと、第1絶縁膜9a上に設けられた第2絶縁膜9bとを含む。第1絶縁膜9aは例えばSiN膜である。第2絶縁膜9bは例えばSiON膜である。第2絶縁膜9bは、メサM1の頂面上に設けられた開口9b1と、メサM2の頂面上に設けられた開口9b2とを有する。本実施形態では、開口9b1が金属層12a1上に設けられ、開口9b1内には金属層12a2が埋め込まれる。同様に、開口9b2が金属層13a1上に設けられ、開口9b2内には金属層13a2が埋め込まれる。
【0059】
可変光減衰器10bも可変光減衰器10aと同様の構成を備える。光分波器50a,50b,51a,51b,52a,52b,52c及び光90°ハイブリッド素子20a,20bは、メサM1,M2と同様に、クラッド層5、コア層6及びクラッド層7を含むメサを有する。
【0060】
図8は、
図3のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図8に示されるように、受光素子61bは、基板2上に設けられたメサM3を備える。メサM3は、クラッド層5、光吸収層6a、クラッド層7a及びp型コンタクト層7bを含む。クラッド層5は基板2上に設けられる。光吸収層6aはクラッド層5上に設けられる。クラッド層7aは光吸収層6a上に設けられる。p型コンタクト層7bはクラッド層7a上に設けられる。メサM3の側面はFe-InP等のIII-V族化合物半導体層8によって覆われている。III-V族化合物半導体層8は暗電流を低減できる。
【0061】
受光素子61bにおいて、クラッド層5はn型コンタクト層としても機能する。光吸収層6aは、例えばi-GaInAs等のIII-V族化合物半導体層である。クラッド層7aは、例えばp-InP等のp型III-V族化合物半導体層である。p型コンタクト層7bは、例えばp-GaInAs等のp型III-V族化合物半導体層である。
【0062】
受光素子61bは、p型コンタクト層7bに接続された第1電極14pと、クラッド層5に接続された第2電極14nとを備える。第1電極14pは、メサM3の頂面上に順に設けられた複数の金属層14p1,14p2,14p3を含む。金属層14p1は例えばオーミック層である。金属層14p2は例えばTiW層である。金属層14p3は例えばAuメッキ層である。第2電極14nは、メサM3の隣においてクラッド層5上に順に設けられた複数の金属層14n1,14n2,14n3を含む。金属層14n1は例えばオーミック層である。金属層14n2は例えばTiW層である。金属層14n3は例えばAuメッキ層である。
【0063】
メサM3は絶縁膜9によって覆われている。絶縁膜9は、メサM3を覆う第1絶縁膜9aと、第1絶縁膜9a上に設けられた第2絶縁膜9bとを含む。絶縁膜9は、メサM3の頂面上に設けられた開口9h1と、メサM3の隣においてクラッド層5上に設けられた開口9h2とを有する。本実施形態では、開口9h1が金属層14p1上に設けられ、開口9h1内には金属層14p2が埋め込まれる。開口9h2内には金属層14n1,14n2が埋め込まれる。
【0064】
他の受光素子30a1から30a4,30b1から30b4,60a,60b,61aも受光素子61bと同様の構成を備える。
【0065】
本実施形態の受光装置100では、半田パターン層104,106,108を溶融させ、その後固化させることによって、半田パターン層104,106,108と金属パターン層114,116,118とがそれぞれ互いに接合される。その際に、半田パターン層104,106,108及び金属パターン層114,116,118が周囲領域R2に位置しているので、溶融した半田が金属パターン層114,116,118の表面を伝って周囲領域R2から中央領域R1に移動することが抑制される(
図4参照)。よって、半田パターン層104,106,108と金属パターン層114,116,118との接合面積を小さくできる。溶融した半田が固化するとき、半田パターン層と金属パターン層の接合面において応力が発生する。この応力は半導体基板110を介して第1主面110sに設けられた可変光減衰器又は光90°ハイブリッドの光学特性に影響を与える。両者の接合面積が小さいことにより、受光デバイス100aが受ける応力は低減される。その結果、応力に起因する受光デバイス100aの光学特性の劣化が低減される。
【0066】
また、第2主面110tに配置される金属パターン層114,116,118と、第1主面110sに配置される光分波器50a,51a,52a,50b,51b,52b,52cとは、Z軸方向から見て、重ならない。光分波器と金属層パターンとがZ軸方向から見たときに離れていることにより、半田パターン層と金属パターン層の接合面に発生した応力による光分波器の光学特性の変化が、抑制される。
【0067】
また、Z軸方向から見て、電極パッドEa10,Ea7,Ea14,Ea12,Ea13,Ea11,Ea8が金属パターン層116の第3部分116a及び半田パターン層106の第1部分106aと重なっている。さらに、Z軸方向から見て、電極パッドEb10,Eb7,Eb14,Eb12,Eb13,Eb11,Eb8が金属パターン層116の第3部分116b及び半田パターン層106の第1部分106bと重なっている。さらに、Z軸方向から見て、電極パッドEa1からEa6,Ea15からEa18,Eb1からEb6,Eb15からEb18が金属パターン層114と重なっている。したがって、各電極パッドにワイヤボンディングを行う際に、キャリア100bによって受光デバイス100aを支持することができる。結果として、電極パッドにワイヤボンディングを行う際の局所的な衝撃による受光デバイス100aの破損の懸念が、低減される。
【0068】
半田パターン層108と金属パターン層118とが互いに接合される場合、入力ポートP2に隣接する部分において熱膨張による受光デバイス100aの反りが抑制される。よって、例えばX軸方向に沿った入力ポートP2の光軸のずれ(受光デバイス100aの反りに起因するレンズ100c2の光軸に対するZ軸方向のずれ)を抑制できる。
【0069】
金属パターン層116の第4部分116cが一対の第3部分116a,116bとは離間して配置される場合、一対の第3部分116a,116bと第4部分116cとの間の離間領域では、金属パターン層116が半田パターン層106に接合されない。そのため、金属パターン層116と半田パターン層106との接合面積を更に小さくできる。よって、受光デバイス100aが受ける応力を低減できる。
【0070】
受光装置100は、以下のようにして製造される。まず、受光デバイス100a及びキャリア100bを準備する。次に、キャリア100bを加熱することによって、半田パターン層104,106,108を溶融させる。半田パターン層104,106,108が溶融した状態で、受光デバイス100aの金属パターン層114,116,118を半田パターン層104,106,108にそれぞれ接合する。
【0071】
受光デバイス100aの製造方法について、主として
図7から
図11を参照して説明する。受光デバイス100aは例えば以下のようにして製造される。
【0072】
まず、例えば有機金属気相成長法(OMVPE:Organometallic Vapor Phase Epitaxy)等を用いて、基板2上に、クラッド層5、光吸収層6a、クラッド層7a及びp型コンタクト層7bを順に成長する(
図9の(a)参照)。
【0073】
次に、例えば化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)等を用いて、SiN膜等の絶縁膜(例えば厚さ200nm)をp型コンタクト層7b上に堆積した後、フォトリソグラフィー及びエッチング(例えばバッファードフッ酸を用いたウェットエッチング)によりバットジョイント用のマスクを形成する。バットジョイント用のマスクは、領域BJ60a,BJ61a,BJ60b,BJ61b,BJ30に形成される(
図6参照)。続いて、例えばHCl系又はHBr系のエッチャントを用いたウェットエッチングにより、光吸収層6a、クラッド層7a及びp型コンタクト層7bをエッチングする。光吸収層6aをエッチングする際に、クラッド層5がエッチングストップ層として機能する。
【0074】
次に、バットジョイント用のマスクを用いて、例えば有機金属気相成長法等によりコア層6及びクラッド層7をクラッド層5上に選択成長する(
図9の(b)参照)。これにより、領域BJ60a,BJ61a,BJ60b,BJ61b,BJ30の縁にバットジョイント接合が形成される。その後、バットジョイント用のマスクを除去する。
【0075】
次に、例えばSiN膜又はSiO
2膜等の絶縁膜(例えば厚さ300nm)をクラッド層7及びp型コンタクト層7b上に堆積した後、フォトリソグラフィーにより、メサM1,M2,M3等のメサを形成するためのレジストパターンを形成する。レジストパターンを用いて、例えばCF
4を用いた反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)により絶縁膜をエッチングすることによって、第1絶縁マスクMS1を形成する(
図9の(a)及び(b)参照)。第1絶縁マスクMS1を用いて、例えばCl
2系ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、クラッド層5、光吸収層6a、クラッド層7a、p型コンタクト層7b、コア層6及びクラッド層7をエッチングする。その結果、メサM1,M2,M3等のメサが形成される。このようにして、可変光減衰器10a,10b、光90°ハイブリッド素子20a,20b、光分波器50a,50b,51a,51b,52a,52b,52c、光導波路及び受光素子30a1から30a4,30b1から30b4,60a,60b,61a,61bに含まれるメサが形成される。フォトリソグラフィー及びウェットエッチング(例えばバッファードフッ酸等のエッチャントを用いたエッチング)により、第1絶縁マスクMS1のうちテラス上に設けられた不要な部分は除去される。テラスは、メサと同じ高さを有する部分である。
【0076】
次に、例えばSiN膜等の絶縁膜(例えば厚さ100nm)をメサ及び第1絶縁マスクMS1上に堆積した後、スポットサイズ変換器40a,40b,40c及び受光素子30a1から30a4,30b1から30b4,60a,60b,61a,61b以外のメサ(例えばメサM1,M2等)を覆うレジストパターンを形成する。レジストパターンを用いて、ウェットエッチング(例えばバッファードフッ酸等のエッチャントを用いたエッチング)により絶縁膜をエッチングすることによって、スポットサイズ変換器及び受光素子以外のメサ(例えばメサM1,M2等)を覆う第2絶縁マスクMS2を形成する(
図10の(a)及び(b)参照)。第2絶縁マスクMS2はメサM3上に形成されない。その後、HCl系のエッチャントを用いたウェットエッチングにより、ドライエッチングにより形成されたダメージ層を除去する。
【0077】
次に、第1絶縁マスクMS1及び第2絶縁マスクMS2を用いて、例えば有機金属気相成長法等により、スポットサイズ変換器40a,40b,40c及び受光素子30a1から30a4,30b1から30b4,60a,60b,61a,61bに含まれるメサ(例えばメサM3等)の側面にIII-V族化合物半導体層8を形成する(
図8参照)。続いて、バッファードフッ酸を用いたウェットエッチングにより、第1絶縁マスクMS1及び第2絶縁マスクMS2を除去する。
【0078】
次に、例えばSiN膜等の絶縁膜(例えば厚さ300nm)をクラッド層5上に堆積した後、フォトリソグラフィーにより、隣り合う受光素子間に開口を有するレジストパターンを形成する。レジストパターンを用いて、例えばCF
4を用いた反応性イオンエッチングにより絶縁膜をエッチングすることによって、隣り合う受光素子間に開口を有する第3絶縁マスクMS3を形成する(
図11の(a)及び(b)参照)。第3絶縁マスクMS3を用いて、例えばCl
2系ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、クラッド層5を除去する。これにより、隣り合う受光素子間のクラッド層5が除去されるので、隣り合う受光素子同士が分離される。同時に、メサM1,M2間においてもクラッド層5が除去される(
図7参照)。続いて、第3絶縁マスクMS3を除去する。
【0079】
次に、可変光減衰器10a,10bにおいて、例えばSiN膜等の第1絶縁膜9aをメサM1,M2及び基板2上に形成した後、メサM1,M2の頂面上に開口を有するレジストパターンを用いて、リフトオフ法により、メサM1上に金属層12a1を形成し、メサM2上に金属層13a1を形成する(
図7参照)。
【0080】
次に、受光素子30a1から30a4,30b1から30b4,60a,60b,61a,61bにおいて、第1絶縁膜9aを開口した後、リフトオフ法を用いて、メサM3上に金属層14p1を形成し、メサM3の隣に金属層14n1を形成する(
図8参照)。
【0081】
次に、例えばSiN膜又はSiON膜等の第2絶縁膜9bを堆積した後、フォトリソグラフィーにより、金属層12a1,13a1,14p1,14n1上に開口を有するレジストパターンを形成する。レジストパターンを用いて、第2絶縁膜9bをエッチングすることにより、開口9b1,9b2,9h1,9h2を形成する(
図7及び
図8参照)。
【0082】
次に、フォトリソグラフィーにより、開口9b1,9b2,9h1,9h2よりも大きい開口を有する第1レジストパターンを形成した後、スパッタリングにより金属層12a2,13a2,14p2,14n2を堆積する(
図7及び
図8参照)。その後、同様の開口を有する第2レジストパターンを形成した後、メッキにより金属層12a3,13a3,14p3,14n3を堆積する。第2レジストパターンを除去した後、例えばSF
6を用いた反応性イオンエッチングにより、不要な金属層12a2,13a2,14p2,14n2を除去する。その後、例えば酸素アッシング等により第1レジストパターンを除去する。
【0083】
次に、半導体基板110の第2主面110tの研磨を行うことによって、半導体基板110を薄くする。その後、例えばメッキにより、半導体基板110上に金属膜を形成する。金属膜は、例えばPt/Au下地層とAuメッキ層とを含む。その後、フォトリソグラフィーにより、金属膜をエッチングすることによって、金属パターン層114,116,118を形成する(
図3及び
図5参照)。Pt/Au下地層はドライエッチングされ、Auメッキ層はウェットエッチングされる。
【0084】
以上、本開示の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本開示は上記実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0085】
1…受光デバイス
2…基板
5,7,7a…クラッド層
6…コア層
6a…光吸収層
7b…p型コンタクト層
8…III-V族化合物半導体層
9…絶縁膜
9a…第1絶縁膜
9b…第2絶縁膜
9b1,9b2,9h1,9h2…開口
10a,10b…可変光減衰器
12a,12b,13a,13b…ヒータ
12a1,12a2,12a3,13a1,13a2,13a3…金属層
14n…第2電極
14n1,14n2,14n3,14p1,14p2,14p3…金属層
14p…第1電極
20a,20b…ハイブリッド素子
21a,21b,22a,22b…MMIカプラ
23a,23b…位相シフト部
30a1,30a2,30a3,30a4,30b1,30b2,30b3,30b4…受光素子
40a,40b,40c…スポットサイズ変換器
50a,50b,51a,51b,52a,52b,52c,…光分波器
60a,60b,61a,61b…受光素子
100…受光装置
100a…受光デバイス
100b…キャリア
100c…レンズアレイ
100c1…レンズ
100c2…レンズ
100c3…レンズ
102…支持基板
102s…第3主面
104,106,108パターン層
106a,106b…第1部分
106c…第2部分
110…半導体基板
110s…第1主面
110t…第2主面
114,116,118パターン層
116a,116b…第3部分
116c…第4部分
120t…第4主面
BJ30,BJ60a,J60b,BJ61a,BJ61b…領域
Ea1,Ea2,Ea3,Ea4,Ea5,Ea6,Ea7,Ea8,Ea10,Ea11,E12a,E13a,E14a,Ea15,E16a,E17a,E18a,Eb1,Eb2,Eb3,Eb4,Eb5,Eb6,Eb7,Eb8,Eb10,Eb11,E12b,E13b,E14b,Eb15,E16b,E17b,E18b…電極パッド
La12,La13,La14,Lb12,Lb13,Lb14…配線
LO…局部発振光
M1,M2,M3…メサ
MS1…第1絶縁マスク
MS2…第2絶縁マスク
MS3…第3絶縁マスク
P1,P2,P3…入力ポート
R1…中央領域
R2…周囲領域
Wa,Wb,Wc…光導波路