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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】二次電池システム及び産業車両
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230725BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20230725BHJP
   B60R 16/033 20060101ALI20230725BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20230725BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230725BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20230725BHJP
【FI】
H02J7/00 K
B60R16/03 A
B60R16/033 B
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H02J7/02 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020015730
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021125901
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】三宅 圭二
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 慎司
(72)【発明者】
【氏名】家岡 昇一
(72)【発明者】
【氏名】前 伸一
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-161000(JP,A)
【文献】特開2018-026972(JP,A)
【文献】特開2008-125158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
B60R 16/00 - 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる接続回路と、
前記複数の二次電池を充電する場合、前記複数の二次電池が互いに直列接続されるように前記接続回路の動作を制御し、前記複数の二次電池を放電する場合、前記複数の二次電池が互いに並列接続されるように前記接続回路の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の二次電池を充電する場合、前記複数の二次電池のうちの所定の二次電池の充電が終了する度に、前記所定の二次電池が、互いに直列接続される前記複数の二次電池から外れるように、前記接続回路の動作を制御し、
前記接続回路は、
前記複数の二次電池の正極端子にそれぞれの一方端子が接続される複数の第1出力部スイッチと、
前記複数の二次電池の負極端子にそれぞれの一方端子が接続される複数の第2出力部スイッチと、
隣り合う前記二次電池のうちの一方の二次電池の負極端子と他方の二次電池の正極端子との間にそれぞれ接続される複数の直列接続用素子と、
前記複数の第1出力部スイッチの他方端子に接続される正極側放電出力部と、
前記複数の第2出力部スイッチの他方端子に接続される負極側放電出力部と、
前記複数の直列接続用素子を介して直列接続される前記複数の二次電池のうちの一方端に設けられている前記二次電池の正極端子と前記第1出力部スイッチの一方端子との間に接続される正極側充電入力部と、
前記複数の直列接続用素子を介して直列接続される前記複数の二次電池のうちの他方端に設けられている前記二次電池の負極端子と前記第2出力部スイッチの一方端子との間に接続される負極側充電入力部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の二次電池を互いに直列接続させる場合、前記複数の第1出力部スイッチ及び前記複数の第2出力部スイッチを遮断させ、前記複数の二次電池を互いに並列接続させる場合、前記複数の第1出力部スイッチ及び前記複数の第2出力部スイッチを導通させる
ことを特徴とする二次電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池システムであって、
前記制御部は、前記複数の二次電池を充電する場合、前記複数の二次電池が互いに直列接続されるように前記接続回路の動作を制御するとともに前記複数の二次電池に一定電流を流し、前記複数の二次電池のうちの所定の二次電池の電圧が閾値電圧以上になると、前記所定の二次電池の電圧を前記閾値電圧に保ちつつ前記複数の二次電池に流れる電流を徐々に低下させ、前記複数の二次電池に流れる電流が終止電流以下になると、前記所定の二次電池が、互いに直列接続される前記複数の二次電池から外れるように、前記接続回路の動作を制御することを、すべての前記二次電池の充電が終了するまで繰り返す
ことを特徴とする二次電池システム。
【請求項3】
請求項1に記載の二次電池システムであって、
前記制御部は、前記複数の二次電池を充電する場合、前記複数の二次電池が互いに直列接続されるように前記接続回路の動作を制御するとともに前記複数の二次電池に一定電流を流し、前記複数の二次電池のうちの所定の二次電池の電圧が閾値電圧以上になる度に、前記所定の二次電池が、互いに直列接続される前記複数の二次電池から外れるように、前記接続回路の動作を制御し、充電が終了していない最後の二次電池の電圧が前記閾値電圧以上になると、前記複数の二次電池が互いに直列接続されるように前記接続回路の動作を制御するとともに前記複数の二次電池のそれぞれの電圧を前記閾値電圧に保ちつつ前記複数の二次電池に流れる電流を徐々に低下させ、前記複数の二次電池に流れる電流が終止電流以下になると、前記複数の二次電池に流れる電流をゼロにする
ことを特徴とする二次電池システム。
【請求項4】
請求項1~の何れか1項に記載の二次電池システムを備える産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次電池を直列接続または並列接続させる二次電池システム及びその二次電池システムを備える産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池システムとして、複数の二次電池を充電させる場合、複数の二次電池を互いに直列接続させ、複数の二次電池を放電させる場合、複数の二次電池を互いに並列接続させるものがある。関連する技術として、特許文献1がある。
【0003】
ところで、複数の二次電池が互いに直列接続された状態で充電されると、各二次電池の製造ばらつきや劣化のばらつきなどにより、充電終了時の各二次電池の電圧が互いに異なるおそれがある。
【0004】
そのため、上記二次電池システムでは、充電終了時の各二次電池の電圧が互いに異なっている場合、各二次電池を放電させるために各二次電池を互いに並列接続させると、二次電池間に還流電流が流れるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-123228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面に係る目的は、複数の二次電池を直列接続または並列接続させる二次電池システム及びその二次電池システムを備える産業車両において、充電終了後の直列接続から並列接続への切り替え時に二次電池間に還流電流が流れることを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一つの形態である二次電池システムは、複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる接続回路と、複数の二次電池を充電する場合、複数の二次電池が互いに直列接続されるように接続回路の動作を制御し、複数の二次電池を放電する場合、複数の二次電池が互いに並列接続されるように接続回路の動作を制御する制御部とを備える。
【0008】
制御部は、複数の二次電池を充電する場合、複数の二次電池のうちの所定の二次電池の充電が終了する度に、所定の二次電池が、互いに直列接続される複数の二次電池から外れるように、接続回路の動作を制御する。
【0009】
これにより、各二次電池の充電終了時、各二次電池の電圧を均一化させることができるため、直列接続から並列接続への切り替え時に二次電池間に還流電流が流れることを抑制することができる。
【0010】
また、制御部は、複数の二次電池を充電する場合、複数の二次電池が互いに直列接続されるように接続回路の動作を制御するとともに複数の二次電池に一定電流を流し、複数の二次電池のうちの所定の二次電池の電圧が閾値電圧以上になると、所定の二次電池の電圧を閾値電圧に保ちつつ複数の二次電池に流れる電流を徐々に低下させ、複数の二次電池に流れる電流が終止電流以下になると、所定の二次電池が、互いに直列接続される複数の二次電池から外れるように、接続回路の動作を制御することを、すべての二次電池の充電が終了するまで繰り返すように構成してもよい。
【0011】
これにより、各二次電池の充電終了時、各二次電池の電圧を均一化させることができるため、直列接続から並列接続への切り替え時に二次電池間に還流電流が流れることを抑制することができる。
【0012】
また、制御部は、複数の二次電池を充電する場合、複数の二次電池が互いに直列接続されるように接続回路の動作を制御するとともに複数の二次電池に一定電流を流し、複数の二次電池のうちの所定の二次電池の電圧が閾値電圧以上になる度に、所定の二次電池が、互いに直列接続される複数の二次電池から外れるように、接続回路の動作を制御し、充電が終了していない最後の二次電池の電圧が閾値電圧以上になると、複数の二次電池が互いに直列接続されるように接続回路の動作を制御するとともに複数の二次電池のそれぞれの電圧を閾値電圧に保ちつつ複数の二次電池に流れる電流を徐々に低下させ、複数の二次電池に流れる電流が終止電流以下になると、複数の二次電池に流れる電流をゼロにするように構成してもよい。
【0013】
これにより、各二次電池の充電終了時、各二次電池の電圧を均一化させることができるため、直列接続から並列接続への切り替え時に二次電池間に還流電流が流れることを抑制することができる。また、各二次電池の充電時間の短縮化を図ることができる。
【0014】
また、接続回路は、複数の二次電池の正極端子にそれぞれの一方端子が接続される複数の第1出力部スイッチと、複数の二次電池の負極端子にそれぞれの一方端子が接続される複数の第2出力部スイッチと、隣り合う二次電池のうちの一方の二次電池の負極端子と他方の二次電池の正極端子との間にそれぞれ接続される複数の直列接続用素子と、複数の第1出力部スイッチの他方端子に接続される正極側放電出力部と、複数の第2出力部スイッチの他方端子に接続される負極側放電出力部と、複数の直列接続用素子を介して直列接続される複数の二次電池のうちの一方端に設けられている二次電池の正極端子と第1出力部スイッチの一方端子との間に接続される正極側充電入力部と、複数の直列接続用素子を介して直列接続される複数の二次電池のうちの他方端に設けられている二次電池の負極端子と第2出力部スイッチの一方端子との間に接続される負極側充電入力部とを備え、制御部は、複数の二次電池を互いに直列接続させる場合、複数の第1出力部スイッチ及び複数の第2出力部スイッチを遮断させ、複数の二次電池を互いに並列接続させる場合、複数の第1出力部スイッチ及び複数の第2出力部スイッチを導通させ、複数の直列接続用素子は、ダイオードであってもよい。
【0015】
これにより、複数の直列接続用素子がスイッチにより構成される場合に比べて、二次電池の直列接続と並列接続の切替制御が煩雑になることを抑制することができるとともに、二次電池システムを安価に構成することができる。
【0016】
また、本発明に係る一つの形態である産業車両は、上記二次電池システムを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の二次電池を直列接続または並列接続させる二次電池システム及びその二次電池システムを備える産業車両において、充電終了後の直列接続から並列接続への切り替え時に二次電池間に還流電流が流れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態の二次電池システムを備える車両の一例を示す図である。
図2】実施例1の充電方式における二次電池の電圧変化の一例を示す図である。
図3】実施例2の充電方式における二次電池の電圧変化の一例を示す図である。
図4】実施例3の充電方式における二次電池の電圧変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、実施形態の二次電池システムを備える産業車両の一例を示す図である。
【0020】
図1に示す産業車両Veは、フォークリフトなどの産業車両であり、二次電池システム1の他に、負荷Loを備える。
【0021】
二次電池システム1は、走行用モータなどの負荷Loに電力を供給し、外部の充電器Chから電力が供給される。なお、充電器Chは、車両Veの内部に設けられていてもよい。
【0022】
また、二次電池システム1は、二次電池B1~B3と、正極側充電入力部Tipと、負極側充電入力部Tinと、正極側放電出力部Topと、負極側放電出力部Tonと、第1出力部スイッチS11~S13と、第2出力部スイッチS21~S23と、直列接続用素子Ss1、Ss2と、制御部2とを備える。
【0023】
なお、正極側充電入力部Tipと、負極側充電入力部Tinと、正極側放電出力部Topと、負極側放電出力部Tonと、第1出力部スイッチS11~S13と、第2出力部スイッチS21~S23と、直列接続用素子Ss1、Ss2とを備えて接続回路を構成する。
【0024】
また、二次電池B1~B3を特に区別しない場合、単に、二次電池Bとする。また、第1出力部スイッチS11~S13を特に区別しない場合、単に、第1出力部スイッチS1とする。また、第2出力部スイッチS21~S23を特に区別しない場合、単に、第2出力部スイッチS2とする。また、直列接続用素子Ss1、Ss2を特に区別しない場合、単に、直列接続用素子Ssとする。また、二次電池B、第1出力部スイッチS1、及び第2出力部スイッチS2のそれぞれの数は3つに限定されない。また、直列接続用素子Ssの数は2つに限定されない。
【0025】
二次電池B1~B3は、それぞれ、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池などの1つ以上の充放電可能な電池により構成される。なお、リチウムイオン電池として、LFP(LiFePO4)やNMC(Nickel Manganese Cobalt)などを採用することが考えられる。
【0026】
例えば、第1出力部スイッチS11~S13は、それぞれ、第1のダイオードが並列接続される第1の半導体スイッチ(MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)など)と、第1のダイオードと順方向電流が流れる向きが反対である第2のダイオードが並列接続される第2の半導体スイッチ(MOSFETなど)とが互いに直列接続されて構成される。第1の半導体スイッチのドレイン端子が第1のダイオードのカソード端子に接続され、第1の半導体スイッチのソース端子が第1のダイオードのアノード端子、第2の半導体スイッチのソース端子、及び第2のダイオードのアノード端子に接続され、第2の半導体スイッチのドレイン端子が第2のダイオードのカソード端子に接続される。また、第1出力部スイッチS11~S13のそれぞれの一方端子(第1の半導体スイッチのドレイン端子)は、二次電池B1~B3の正極端子に接続され、第1出力部スイッチS11~S13のそれぞれの他方端子(第2の半導体スイッチのドレイン端子)は、正極側放電出力部Topに接続される。すなわち、第1出力部スイッチS11の一方端子は二次電池B1の正極端子に接続され、第1出力部スイッチS11の他方端子は正極側放電出力部Topに接続される。また、第1出力部スイッチS12の一方端子は二次電池B2の正極端子に接続され、第1出力部スイッチS12の他方端子は正極側放電出力部Topに接続される。また、第1出力部スイッチS13の一方端子は二次電池B3の正極端子に接続され、第1出力部スイッチS13の他方端子は正極側放電出力部Topに接続される。なお、第1出力部スイッチS11~S13は、例えば制御部2からの信号により電気的に導通と遮断を切り替え可能なメカニカルスイッチ(電磁式リレー)であってもよい。
【0027】
例えば、第2出力部スイッチS21~S23は、それぞれ、第1出力部スイッチS11~S13と同様に、第1のダイオードが並列接続される第1の半導体スイッチ(MOSFETなど)と、第1のダイオードと順方向電流が流れる向きが反対である第2のダイオードが並列接続される第2の半導体スイッチ(MOSFETなど)とが互いに直列接続されて構成される。第2出力部スイッチS21~S23のそれぞれの一方端子(第1の半導体スイッチのドレイン端子)は、二次電池B1~B3の負極端子に接続され、第2出力部スイッチS11~S13のそれぞれの他方端子(第2の半導体スイッチのドレイン端子)は、負極側放電出力部Tonに接続される。すなわち、第2出力部スイッチS21の一方端子は二次電池B1の負極端子に接続され、第2出力部スイッチS21の他方端子は負極側放電出力部Tonに接続される。また、第2出力部スイッチS22の一方端子は二次電池B2の負極端子に接続され、第2出力部スイッチS22の他方端子は負極側放電出力部Tonに接続される。また、第2出力部スイッチS23の一方端子は二次電池B3の負極端子に接続され、第2出力部スイッチS23の他方端子は負極側放電出力部Tonに接続される。なお、第2出力部スイッチS21~S23は、例えば制御部2からの信号により電気的に導通と遮断を切り替え可能なメカニカルスイッチであってもよい。
【0028】
直列接続用素子Ss1、Ss2は、それぞれ、隣り合う二次電池Bのうちの一方の二次電池Bの負極端子から他方の二次電池Bの正極端子方向への電流を許容する素子であり、例えば、ダイオードにより構成される。直列接続用素子Ss1、Ss2は、隣り合う二次電池Bのうちの一方の二次電池Bの負極端子と他方の二次電池Bの正極端子との間に接続される。すなわち、直列接続用素子Ss1のアノード端子は隣り合う二次電池B1、B2のうちの二次電池B1の負極端子に接続され、直列接続用素子Ss1のカソード端子は二次電池B2の正極端子に接続される。また、直列接続用素子Ss2のアノード端子は隣り合う二次電池B2、B3のうちの二次電池B2の負極端子に接続され、直列接続用素子Ss2のカソード端子は二次電池B3の正極端子に接続される。なお、直列接続用素子Ss1、Ss2は、それぞれ、制御部1からの信号により導通と遮断を切り替え可能な半導体スイッチ(MOSFET)やメカニカルスイッチなどのスイッチにより構成されてもよい。すなわち、直列接続用素子Ss1、Ss2は、二次電池Bの直列接続時において隣り合う二次電池Bのうちの一方の二次電池Bの負極端子から他方の二次電池Bの正極端子方向への電流を流せる一方で、並列接続時において隣り合う二次電池Bのうちの他方の二次電池Bの正極端子から一方の二次電池Bの負極端子方向への電流が流れない構成であればよい。直列接続用素子Ss1、Ss2がダイオードにより構成される場合は、直列接続用素子Ss1、Ss2がスイッチにより構成される場合に比べて、二次電池B1~B3の直列接続と並列接続の切替制御が煩雑になることを抑制することができるとともに、二次電池システム1を安価に構成することができる。
【0029】
正極側充電入力部Tipは、二次電池B1、二次電池B2、二次電池B3の順に設けられている二次電池B1~B3のうちの一方端に設けられている二次電池B1の正極端子とその二次電池B1に対応する第1出力部スイッチS11の一方端子との間に接続される。言い換えると、正極側充電入力部Tipは、直列接続用素子Ss1、Ss2を介して直列接続される二次電池B1~B3のうちの一方端に設けられている二次電池B1の正極端子とその二次電池B1に対応する第1出力部スイッチS11の一方端子との間に接続される。
【0030】
負極側充電入力部Tinは、二次電池B1、二次電池B2、二次電池B3の順に設けられている二次電池B1~B3のうちの他方端に設けられている二次電池B3の負極端子とその二次電池B3に対応する第2出力部スイッチS23との間に接続される。言い換えると、負極側充電入力部Tinは、直列接続用素子Ss1、Ss2を介して直列接続される二次電池B1~B3のうちの他方端に設けられている二次電池B3の負極端子とその二次電池B3に対応する第2出力部スイッチS23との間に接続される。
【0031】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)またはプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device))などにより構成され、二次電池B1~B3の充電または放電に応じて、第1出力部スイッチS11~S13及び第2出力部スイッチS21~S23の動作を制御する。なお、直列接続用素子Ss1、Ss2をスイッチにより構成する場合、制御部2は、二次電池B1~B3の充電または放電に応じて、直列接続用素子Ss1、Ss2の動作を制御する。
【0032】
すなわち、制御部2は、二次電池B1~B3を充電させる場合、二次電池B1~B3を互いに直列接続させる。制御部2は、二次電池B1~B3を互いに直列接続させる場合、第1出力部スイッチS11~S13及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させる。なお、直列接続用素子Ss1、Ss2をスイッチにより構成する場合、制御部2は、直列接続用素子Ss1、Ss2を導通させる。このとき、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chのプラス端子から正極側充電入力部Tip、二次電池B1、直列接続用素子Ss1、二次電池B2、直列接続用素子Ss2、二次電池B3、及び負極側充電入力部Tinを介して充電器Chのマイナス端子に電流が流れる。このように、二次電池B1~B3を充電させる際、二次電池B1~B3を互いに直列接続することにより、二次電池B1~B3全体にかかる電圧を比較的高くすることができるため、二次電池B1~B3に流れる電流を低減することができる。そのため、充電器Chと正極側充電入力部Tip及び負極側充電入力部Tinとを互いにつなぐ充電ケーブルを小型化することができるため、充電作業性を向上させることができる。
【0033】
また、制御部2は、二次電池B2、B3のみを充電させる場合、二次電池B2、B3のみを互いに直列接続させる。制御部2は、二次電池B2、B3のみを互いに直列接続させる場合、第1出力部スイッチS11、S12を導通させるとともに、第1出力部スイッチS13及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させる。このとき、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chのプラス端子から正極側充電入力部Tip、第1出力部スイッチS11、第1出力部スイッチS12、二次電池B2、直列接続用素子Ss2、二次電池B3、及び負極側充電入力部Tinを介して充電器Chのマイナス端子に電流が流れる。
【0034】
また、制御部2は、二次電池B3のみを充電させる場合、第1出力部スイッチS11、S13を導通させるとともに、第1出力部スイッチS12及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させる。このとき、充電器Chから二次電池システム1に電力が供給されると、充電器Chのプラス端子から正極側充電入力部Tip、第1出力部スイッチS11、第1出力部スイッチS13、二次電池B3、及び負極側充電入力部Tinを介して充電器Chのマイナス端子に電流が流れる。
【0035】
なお、充電器Chから二次電池システム1に供給される電力は負荷Loに直接供給されないものとする。
【0036】
また、制御部2は、二次電池B1~B3を放電させる場合、二次電池B1~B3を並列接続させる。制御部2は、二次電池B1~B3を互いに並列接続させる場合、第1出力部スイッチS11~S13及び第2出力部スイッチS21~S23を導通させる。このとき、二次電池システム1から負荷Loに電力が供給されると、負荷Loのマイナス端子から負極側放電出力部Ton、第2出力部スイッチS21、二次電池B1、第1出力部スイッチS11、及び正極側放電出力部Topを介して負荷Loのプラス端子に電流が流れる。また、負荷Loのマイナス端子から負極側放電出力部Ton、第2出力部スイッチS22、二次電池B2、第1出力部スイッチS12、及び正極側放電出力部Topを介して負荷Loのプラス端子に電流が流れる。また、負荷Loのマイナス端子から負極側放電出力部Ton、第2出力部スイッチS23、二次電池B3、第1出力部スイッチS13、及び正極側放電出力部Topを介して負荷Loのプラス端子に電流が流れる。このように、二次電池B1~B3を放電させる場合、二次電池B1~B3を並列接続することにより、二次電池B全体の容量を増加させることができる。
【0037】
<実施例1の充電方式>
制御部2は、二次電池B1~B3を充電する場合、二次電池B1~B3が互いに直列接続されるように接続回路の動作を制御するとともに二次電池Bに一定電流を流し、二次電池B1~B3のうちの所定の二次電池B(例えば、充電器Chのプラス端子に接続される二次電池B)の電圧が閾値電圧Vth以上になると、所定の二次電池Bの電圧を閾値電圧Vthに保ちつつ二次電池Bに流れる電流を徐々に低下させ、二次電池Bに流れる電流が終止電流以下になると、所定の二次電池Bが、互いに直列接続される二次電池B1~B3から外れるように、接続回路の動作を制御することを、すべての二次電池Bの充電が終了するまで繰り返す。なお、閾値電圧Vthは、満充電状態の二次電池Bの電圧により設定されているものとする。
【0038】
図2は、実施例1の充電方式により二次電池B1~B3を充電する場合の二次電池B1~B3のそれぞれの電圧の変化を示す図である。なお、図2に示す2次元座標の横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。また、図2に示す実線は二次電池B1の電圧の変化を示し、図2に示す破線は二次電池B2の電圧の変化を示し、図2に示す一点鎖線は二次電池B3の電圧の変換を示している。
【0039】
まず、制御部2は、時刻t0において、第1出力部スイッチS11~S13及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させることで、二次電池B1~B3を互いに直列接続させる。
【0040】
次に、制御部2は、充電器Chから二次電池システム1に一定電流が流れるように充電器Chに指示を送り、二次電池B1~B3の定電流充電制御を開始する。すると、二次電池B1~B3に一定電流が流れ、二次電池B1~B3のそれぞれの電圧が徐々に上昇する。
【0041】
次に、制御部2は、時刻t1において、二次電池B1の電圧が閾値電圧Vth以上になると、二次電池B1の電圧を閾値電圧Vthに保ちつつ二次電池B1~B3に流れる電流が徐々に低下するように充電器Chに指示を送り、二次電池B1~B3の定電流充電制御を終了して二次電池B1~B3の定電圧充電制御を開始する。なお、時刻t1において、二次電池B1~B3の製造ばらつきや劣化のばらつきなどにより、二次電池B1の電圧が最も高くなり、二次電池B2の電圧が2番目に高くなり、二次電池B3の電圧が最も低くなるものとする。
【0042】
次に、制御部2は、時刻t2において、二次電池B1~B3に流れる電流が終止電流以下になると、第1出力部スイッチS11、S12を導通させるとともに、第1出力部スイッチS13及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させることで、所定の二次電池Bである二次電池B1を、互いに直列接続される二次電池B1~B3から外す(二次電池B1の定電圧充電制御の終了)。また、制御部2は、充電器Chから二次電池システム1に一定電流が流れるように充電器Chに指示を送り、二次電池B2、B3の定電圧充電制御を終了して二次電池B2、B3の定電流充電制御を開始する。すると、二次電池B2、B3に一定電流が流れ、二次電池B2、B3のそれぞれの電圧が徐々に上昇する。なお、二次電池B1の充電が終了したとき、二次電池B2の電圧は閾値電圧Vthより小さく、二次電池B3の電圧は二次電池B2の電圧より小さいものとする。また、二次電池B1に電流が流れなくなると、二次電池B1の内部抵抗や分極の影響により、二次電池B1の電圧が所定電圧V1の近くまで減少するものとする。閾値電圧Vth>所定電圧V1。
【0043】
次に、制御部2は、時刻t3において、二次電池B2の電圧が閾値電圧Vth以上になると、二次電池B2の電圧を閾値電圧Vthに保ちつつ二次電池B2、B3に流れる電流が徐々に低下するように充電器Chに指示を送り、二次電池B2、B3の定電流充電制御を終了して二次電池B2、B3の定電圧充電制御を開始する。なお、時刻t3において、二次電池B2、B3の製造ばらつきや劣化のばらつきなどにより、二次電池B2の電圧が二次電池B3の電圧より高くなるものとする。
【0044】
次に、制御部2は、時刻t4において、二次電池B2、B3に流れる電流が終止電流以下になると、第1出力部スイッチS11、S13を導通させるとともに、第1出力部スイッチS12及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させることで、所定の二次電池Bである二次電池B2を、互いに直列接続される二次電池B2、B3から外す(二次電池B2の定電圧充電制御の終了)。また、制御部2は、充電器Chから二次電池システム1に一定電流が流れるように充電器Chに指示を送り、二次電池B3の定電圧充電制御を終了して二次電池B3の定電流充電制御を開始する。すると、二次電池B3に一定電流が流れ、二次電池B3の電圧が徐々に上昇する。なお、二次電池B2の充電が終了したとき、二次電池B3の電圧は閾値電圧Vthより小さいものとする。また、二次電池B2に電流が流れなくなると、二次電池B2の内部抵抗や分極の影響により、二次電池B2の電圧が所定電圧V1の近くまで減少するものとする。
【0045】
次に、制御部2は、時刻t5において、二次電池B3の電圧が閾値電圧Vth以上になると、二次電池B3の電圧を閾値電圧Vthに保ちつつ二次電池B3に流れる電流が徐々に低下するように充電器Chに指示を送り、二次電池B3の定電流充電制御を終了して二次電池B3の定電圧充電制御を開始する。
【0046】
そして、制御部2は、時刻t6において、二次電池B3に流れる電流が終止電流以下になると、充電器Chから二次電池システム1に流れる電流がゼロになるように充電器Chに指示を送り、二次電池B3の定電圧充電制御を終了する。なお、二次電池B3に電流が流れなくなると、二次電池B3の内部抵抗や分極の影響により、二次電池B3の電圧が所定電圧V1の近くまで減少するものとする。
【0047】
これにより、二次電池B3の定電流充電制御が終了した後、二次電池B1~B3のそれぞれの電圧を所定電圧V2に近づけることができる。すなわち、二次電池B1~B3の充電後、二次電池B1~B3のそれぞれの電圧を均一化させることができる。そのため、二次電池B1~B3の直列接続から並列接続への切り替え時に二次電池B間に還流電流が流れることを抑制することができる。
【0048】
また、実施例1の充電方式は、二次電池B1~B3の充電後、二次電池B1~B3をそれぞれ満充電状態にさせることができる。このように、実施例1の充電方式は、二次電池B1~B3をそれぞれ満充電状態にさせることができるため、満充電状態以外で検出される電圧の誤差が比較的大きくなり、満充電状態で検出される電圧の誤差が比較的小さくなるLFPなどで二次電池B1~B3を構成する場合に好適である。
【0049】
<実施例2の充電方式>
制御部2は、二次電池B1~B3を充電する場合、二次電池B1~B3が互いに直列接続されるように接続回路の動作を制御するとともに二次電池B1~B3に一定電流を流し、二次電池B1~B3のうちの所定の二次電池B(例えば、充電器Chのプラス端子に接続される二次電池B)の電圧が閾値電圧Vth以上になる度に、所定の二次電池Bが、互いに直列接続される二次電池Bから外れるように、接続回路の動作を制御し、充電が終了していない最後の二次電池Bの電圧が閾値電圧Vth以上になると、二次電池B1~B3が互いに直列接続されるように接続回路の動作を制御するとともに二次電池B1~B3のそれぞれの電圧を閾値電圧Vthに保ちつつ二次電池B1~B3に流れる電流を徐々に低下させ、二次電池B1~B3に流れる電流が終止電流以下になると、二次電池B1~B3に流れる電流をゼロにさせる。
【0050】
図3は、実施例2の充電方式により二次電池B1~B3を充電する場合の二次電池B1~B3のそれぞれの電圧の変化を示す図である。なお、図3に示す2次元座標の横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。また、図3に示す実線は二次電池B1の電圧の変化を示し、図3に示す破線は二次電池B2の電圧の変化を示し、図3に示す一点鎖線は二次電池B3の電圧の変換を示している。
【0051】
まず、制御部2は、時刻t0において、第1出力部スイッチS11~S13及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させることで、二次電池B1~B3を互いに直列接続させる。
【0052】
次に、制御部2は、充電器Chから二次電池システム1に一定電流が流れるように充電器Chに指示を送り、二次電池B1~B3の定電流充電制御を開始する。すると、二次電池B1~B3に一定電流が流れ、二次電池B1~B3のそれぞれの電圧が徐々に上昇する。
【0053】
次に、制御部2は、時刻t1において、二次電池B1の電圧が閾値電圧Vth以上になると、第1出力部スイッチS11、S12を導通させるとともに、第1出力部スイッチS13及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させることで、所定の二次電池Bである二次電池B1を、互いに直列接続される二次電池B1~B3から外す(二次電池B1の定電流充電制御の終了)。すると、二次電池B2、B3のみに一定電流が流れ、二次電池B2、B3のそれぞれの電圧が徐々に上昇する。なお、二次電池B1の電圧が閾値電圧Vth以上になったとき、二次電池B2の電圧は閾値電圧Vthより小さく、二次電池B3の電圧は二次電池B2の電圧より小さいものとする。また、二次電池B1に電流が流れなくなると、二次電池B1の内部抵抗や分極の影響により、二次電池B1の電圧が減少するものとする。
【0054】
次に、制御部2は、時刻t2において、二次電池B2の電圧が閾値電圧Vth以上になると、第1出力部スイッチS11、S13を導通させるとともに、第1出力部スイッチS12及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させることで、所定の二次電池Bである二次電池B2を、互いに直列接続される二次電池B2、B3から外す(二次電池B2の定電流充電制御の終了)。すると、二次電池B3のみに一定電流が流れ、二次電池B3の電圧が徐々に上昇する。なお、二次電池B2の電圧が閾値電圧Vth以上になったとき、二次電池B3の電圧は閾値電圧Vthより小さいものとする。また、二次電池B2に電流が流れなくなると、二次電池B2の内部抵抗や分極の影響により、二次電池B2の電圧が減少するものとする。
【0055】
次に、制御部2は、時刻t3において、二次電池B3の電圧が閾値電圧Vth以上になると、第1出力部スイッチS11~S13及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させることで、二次電池B1~B3を互いに直列接続させるとともに、二次電池B1~B3の電圧を閾値電圧Vthに保ちつつ二次電池B1~B3に流れる電流が徐々に低下するように充電器Chに指示を送り、二次電池B3の定電流充電制御を終了して二次電池B1~B3の定電圧充電制御を開始する。
【0056】
そして、制御部2は、時刻t4において、二次電池B1~B3に流れる電流が終止電流以下になると、充電器Chから二次電池システム1に流れる電流がゼロになるように充電器Chに指示を送り、二次電池B1~B3の定電圧充電制御を終了する。なお、二次電池B1~B3に電流が流れなくなると、二次電池B1~B3の内部抵抗や分極の影響により、二次電池B1~B3の電圧がそれぞれ所定電圧V2の近くまで減少するものとする。
【0057】
これにより、二次電池B1~B3の定電圧充電制御が終了した後、二次電池B1~B3のそれぞれの電圧を所定電圧V2に近づけることができる。すなわち、二次電池B1~B3の充電後、二次電池B1~B3のそれぞれの電圧を均一化させることができる。そのため、二次電池B1~B3の直列接続から並列接続への切り替え時に二次電池B間に還流電流が流れることを抑制することができる。なお、実施例2の充電方式は、定電圧充電制御において二次電池B1~B3の電圧を閾値電圧Vthに保つことができるため、実施例1の充電方式に比べて、充電後の二次電池B1~B3のそれぞれの電圧をさらに均一化させることができ、二次電池B1~B3の直列接続から並列接続への切り替え時に二次電池B間に還流電流が流れることをさらに抑制することができる。
【0058】
また、実施例2の充電方式は、二次電池B1~B3の充電後、二次電池B1~B3をそれぞれ満充電状態にさせることができる。このように、実施例2の充電方式は、二次電池B1~B3をそれぞれ満充電状態にさせることができるため、LFPなどで二次電池B1~B3を構成する場合に好適である。
【0059】
また、実施例2の充電方式は、二次電池B1~B3の定電圧充電制御を同時に行うことができるため、実施例1の充電方式に比べて、二次電池B1~B3の全体の充電時間を短縮することができる。このように、実施例2の充電方式は、二次電池B1~B3の全体の充電時間を比較的短くすることができるため、充電時間があまり取れない産業車両Veに対して好適である。
【0060】
<実施例3の充電方式>
制御部2は、二次電池B1~B3を充電する場合、二次電池B1~B3のうちの所定の二次電池B(例えば、充電器Chのプラス端子に接続される二次電池B)の電圧が閾値電圧Vth以上になる度に、所定の二次電池Bが、互いに直列接続される二次電池B1から外れるように、接続回路の動作を制御する。
【0061】
図4は、実施例3の充電方式により二次電池B1~B3を充電する場合の二次電池B1~B3のそれぞれの電圧の変化を示す図である。なお、図4に示す2次元座標の横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。また、図4に示す実線は二次電池B1の電圧の変化を示し、図4に示す破線は二次電池B2の電圧の変化を示し、図4に示す一点鎖線は二次電池B3の電圧の変換を示している。
【0062】
まず、制御部2は、時刻t0において、第1出力部スイッチS11~S13及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させることで、二次電池B1~B3を互いに直列接続させる。
【0063】
次に、制御部2は、充電器Chから二次電池システム1に一定電流が流れるように充電器Chに指示を送り、二次電池B1~B3の定電流充電制御を開始する。すると、二次電池B1~B3に一定電流が流れ、二次電池B1~B3のそれぞれの電圧が徐々に上昇する。
【0064】
次に、制御部2は、時刻t1において、二次電池B1の電圧が閾値電圧Vth以上になると、第1出力部スイッチS11、S12を導通させるとともに、第1出力部スイッチS13及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させることで、所定の二次電池Bである二次電池B1を、互いに直列接続される二次電池B1~B3から外す(二次電池B1の定電流充電制御の終了)。すると、二次電池B2、B3のみに一定電流が流れ、二次電池B2、B3のそれぞれの電圧が徐々に上昇する。なお、二次電池B1の電圧が閾値電圧Vth以上になったとき、二次電池B2の電圧は閾値電圧Vthより小さく、二次電池B3の電圧は二次電池B2の電圧より小さいものとする。また、二次電池B1に電流が流れなくなると、二次電池B1の内部抵抗や分極の影響により、二次電池B1の電圧が所定電圧V3の近くまで減少するものとする。
【0065】
次に、制御部2は、時刻t2において、二次電池B2の電圧が閾値電圧Vth以上になると、第1出力部スイッチS11、S13を導通させるとともに、第1出力部スイッチS12及び第2出力部スイッチS21~S23を遮断させることで、所定の二次電池Bである二次電池B2を、互いに直列接続される二次電池B2、B3から外す(二次電池B2の定電流充電制御の終了)。すると、二次電池B3のみに一定電流が流れ、二次電池B3の電圧が徐々に上昇する。なお、二次電池B2の電圧が閾値電圧Vth以上になったとき、二次電池B3の電圧は閾値電圧Vthより小さいものとする。また、二次電池B2に電流が流れなくなると、二次電池B2の内部抵抗や分極の影響により、二次電池B2の電圧が所定電圧V3の近くまで減少するものとする。
【0066】
そして、制御部2は、時刻t3において、二次電池B2の電圧が閾値電圧Vth以上になると、充電器Chから二次電池システム1に一定電流が流れなくなるように充電器Chに指示を送り、二次電池B3の定電流充電制御を終了する。なお、二次電池B3に電流が流れなくなると、二次電池B3の内部抵抗や分極の影響により、二次電池B3の電圧が所定電圧V3の近くまで減少するものとする。
【0067】
これにより、二次電池B3の定電流充電制御が終了した後、二次電池B1~B3のそれぞれの電圧を所定電圧V3に近づけることができる。すなわち、二次電池B1~B3の充電後、二次電池B1~B3のそれぞれの電圧を均一化させることができる。そのため、二次電池B1~B3の直列接続から並列接続への切り替え時に二次電池B間に還流電流が流れることを抑制することができる。
【0068】
また、実施例3の充電方式は、二次電池B1~B3の定電圧充電制御を行っていないため、実施例2の充電方式に比べて、二次電池B1~B3の全体の充電時間をさらに短縮することができる。このように、実施例3の充電方式は、実施例2の充電方式と同様に、二次電池B1~B3の全体の充電時間を比較的短くすることができるため、産業車両Veに対して好適である。
【0069】
すなわち、実施形態の二次電池システム1の制御部2は、二次電池B1~B3を充電する場合、二次電池B1~B3のうちの所定の二次電池Bの充電が終了する度に、所定の二次電池Bが、互いに直列接続される二次電池B1~B3から外れるように、接続回路の動作を制御する。
【0070】
これにより、二次電池B1~B3のそれぞれの電圧が閾値電圧Vthになるまで二次電池B1~B3を充電させることができるため、二次電池B1~B3の充電後、二次電池B1~B3のそれぞれの電圧を均一化させることができる。そのため、二次電池B1~B3の充電後、二次電池B1~B3を放電させるために二次電池B1~B3を互いに並列接続させても、二次電池B1~B3の間に比較的大きな還流電流が流れることを抑制することができる。
【0071】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 二次電池システム
2 制御部
Tip 正極側充電入力部
Tin 負極側充電入力部
Top 正極側放電出力部
Ton 負極側放電出力部
Tp 正極側入出力部
Tn 負極側入出力部
S11~S13 第1出力部スイッチ
S21~S23 第2出力部スイッチ
Ss1、Ss2 直列接続用素子
B1~B3 二次電池
Lo 負荷
Ch 充電器
図1
図2
図3
図4