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特許7318581作業機械、並びに、アタッチメントの管理プログラム及び管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】作業機械、並びに、アタッチメントの管理プログラム及び管理方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
E02F9/20 N
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020063159
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021161710
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】濱本 亮
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 一臣
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-201119(JP,A)
【文献】特開2006-201851(JP,A)
【文献】特開2019-078133(JP,A)
【文献】特開2011-140832(JP,A)
【文献】特開2019-175096(JP,A)
【文献】特開2020-002593(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0150304(US,A1)
【文献】特開2017-003448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に取り付けられ、交換可能なアタッチメントが装着される作業装置と、
前記アタッチメントに配置され、記憶部を有する第1通信装置と、
前記本体部に配置され、前記第1通信装置と通信可能な第2通信装置と、
前記本体部に配置され、前記作業装置に装着されている前記アタッチメントの稼働状況を管理することにより、当該アタッチメントの累積稼働情報を生成する情報処理部と、
を備え、
前記第2通信装置は、前記情報処理部によって生成された前記累積稼働情報を前記第1通信装置に送信し、
前記第1通信装置は、前記第2通信装置から受信した前記累積稼働情報を前記記憶部に記憶する、作業機械。
【請求項2】
前記情報処理部によって生成された前記累積稼働情報を前記作業機械のオペレータに提示する第1情報提示手段をさらに備える、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記第1通信装置は、前記アタッチメントの固有識別情報を前記記憶部に記憶しており、
前記第1通信装置は、前記記憶部から読み出した前記固有識別情報を前記第2通信装置に送信し、
前記第2通信装置は、前記情報処理部によって生成された前記累積稼働情報と、前記第1通信装置から受信した前記固有識別情報とをサーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記第2通信装置から受信した前記固有識別情報で特定されるアタッチメントの状態が正常状態であるか異常状態であるかを示す状態情報を、前記第2通信装置から受信した前記累積稼働情報に基づいて生成し、当該状態情報を前記第2通信装置に送信し、
前記第2通信装置は、前記サーバ装置から受信した前記状態情報を前記第1通信装置に送信し、
前記第1通信装置は、前記第2通信装置から受信した前記状態情報を前記記憶部に記憶する、請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記サーバ装置から受信した前記状態情報を前記作業機械のオペレータに提示する第2情報提示手段をさらに備える、請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記第2情報提示手段は、前記状態情報において前記アタッチメントの状態が異常状態であると示されている場合に、その異常を報知する異常報知手段を含む、請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記サーバ装置は、前記記憶部に記憶されている前記累積稼働情報を要求する要求信号を、前記第2通信装置に送信可能であり、
前記第2通信装置は、前記サーバ装置から受信した前記要求信号を前記第1通信装置に送信し、
前記第1通信装置は、前記第2通信装置から受信した前記要求信号に応答して、前記記憶部から読み出した前記累積稼働情報を第2通信装置に送信し、
前記第2通信装置は、前記第1通信装置から受信した前記累積稼働情報を前記サーバ装置に送信する、請求項3~5のいずれか一つに記載の作業機械。
【請求項7】
前記第2通信装置は、前記サーバ装置との間で送受信するデータに対して暗号復号処理を行う暗号復号処理部をさらに含み、
前記サーバ装置は、前記第2通信装置との間で送受信するデータに対して暗号復号処理を行う暗号復号処理部をさらに有する、請求項3~6のいずれか一つに記載の作業機械。
【請求項8】
本体部と、前記本体部に取り付けられ、交換可能なアタッチメントが装着される作業装置とを備える作業機械において、前記作業機械に前記アタッチメントを管理させるための、アタッチメントの管理プログラムであって、
前記アタッチメントには、記憶部を有する第1通信装置が配置されており、
前記本体部には、情報処理部、及び、前記第1通信装置と通信可能な第2通信装置が配置されており、
前記情報処理部に、前記作業装置に装着されている前記アタッチメントの稼働状況を管理させることにより、当該アタッチメントの累積稼働情報を生成させ、
前記第2通信装置に、前記情報処理部によって生成された前記累積稼働情報を前記第1通信装置に送信させ、
前記第1通信装置に、前記第2通信装置から受信した前記累積稼働情報を前記記憶部に記憶させる、アタッチメントの管理プログラム。
【請求項9】
本体部と、前記本体部に取り付けられ、交換可能なアタッチメントが装着される作業装置とを備える作業機械における、アタッチメントの管理方法であって、
前記アタッチメントには、記憶部を有する第1通信装置が配置されており、
前記本体部には、情報処理部、及び、前記第1通信装置と通信可能な第2通信装置が配置されており、
前記情報処理部が、前記作業装置に装着されている前記アタッチメントの稼働状況を管理することにより、当該アタッチメントの累積稼働情報を生成し、
前記第2通信装置が、前記情報処理部によって生成された前記累積稼働情報を前記第1通信装置に送信し、
前記第1通信装置が、前記第2通信装置から受信した前記累積稼働情報を前記記憶部に記憶する、アタッチメントの管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械等の作業機械、並びに、アタッチメントの管理プログラム及び管理方法に関し、特に、交換可能なアタッチメントに配置された通信装置から作業機械の本体部に配置された通信装置に対してアタッチメント情報を送信する作業機械、並びに、アタッチメントの管理プログラム及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、アタッチメントごとの稼働状況を監視することが可能なアタッチメント監視システムが開示されている。当該システムにおいては、作業アームに計測ユニットが配置され、作業機械に端末装置が配置され、作業機械の外部にサーバ装置が配置される。計測ユニットは、アタッチメントの駆動時における振動及び油圧を計測し、その計測結果とアタッチメントの個体識別情報とを端末装置に送信する。端末装置は、計測ユニットから受信した計測結果及び個体識別情報を、携帯電話回線網を介してサーバ装置に送信する。サーバ装置は、端末装置から受信した計測結果を解析し、その解析結果を含むアタッチメントごとの稼働情報を、データベースに蓄積する。データベースに蓄積されたアタッチメントごとの稼働情報は、データベースと同一の通信ネットワークに接続されている各種端末によって閲覧することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-201119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業機械は、レンタル又はリース等によって様々な工事現場で使用され、また、輸出されて外国の工事現場で使用される場合もある。アタッチメント単体でも同様に、同一のアタッチメントが、通信事情等が異なる様々な環境で使用される。
【0005】
上記特許文献1に開示されたアタッチメント監視システムによると、作業機械の端末装置が接続できる携帯電話回線網の通信エリア外にある工事現場、あるいは当該携帯電話回線網の通信エリア内ではあるが通信事情が悪い工事現場等のように、端末装置とサーバ装置との間の通信を確立できない環境で作業機械が使用された場合には、その間、サーバ装置はアタッチメントごとの稼働情報をデータベースに蓄積することができない。従って、そのような場合には情報蓄積の空白期間が存在することとなるため、データベースに蓄積されている稼働情報の正確性は低い。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、アタッチメントの正確な累積稼働情報を管理することが可能な作業機械、並びに、アタッチメントの管理プログラム及び管理方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る作業機械は、本体部と、前記本体部に取り付けられ、交換可能なアタッチメントが装着される作業装置と、前記アタッチメントに配置され、記憶部を有する第1通信装置と、前記本体部に配置され、前記第1通信装置と通信可能な第2通信装置と、前記本体部に配置され、前記作業装置に装着されている前記アタッチメントの稼働状況を管理することにより、当該アタッチメントの累積稼働情報を生成する情報処理部と、を備え、前記第2通信装置は、前記情報処理部によって生成された前記累積稼働情報を前記第1通信装置に送信し、前記第1通信装置は、前記第2通信装置から受信した前記累積稼働情報を前記記憶部に記憶するものである。
【0008】
この態様によれば、第1通信装置は、第2通信装置から受信した累積稼働情報を記憶部に記憶する。従って、第2通信装置が外部のサーバ装置との間で通信を確立できない環境で作業機械が使用された場合であっても、アタッチメントの正確な累積稼働情報を記憶部で管理することが可能となる。
【0009】
上記態様において、前記情報処理部によって生成された前記累積稼働情報を前記作業機械のオペレータに提示する第1情報提示手段をさらに備えることが望ましい。
【0010】
この態様によれば、アタッチメントの累積稼働情報を、そのアタッチメントが装着された作業機械のオペレータに提示することができる。これにより、オペレータは、提示された累積稼働情報を参照することによってアタッチメントのメンテナンス作業又は交換作業等の必要性を判断することができる。
【0011】
上記態様において、前記第1通信装置は、前記アタッチメントの固有識別情報を前記記憶部に記憶しており、前記第1通信装置は、前記記憶部から読み出した前記固有識別情報を前記第2通信装置に送信し、前記第2通信装置は、前記情報処理部によって生成された前記累積稼働情報と、前記第1通信装置から受信した前記固有識別情報とをサーバ装置に送信し、前記サーバ装置は、前記第2通信装置から受信した前記固有識別情報で特定されるアタッチメントの状態が正常状態であるか異常状態であるかを示す状態情報を、前記第2通信装置から受信した前記累積稼働情報に基づいて生成し、当該状態情報を前記第2通信装置に送信し、前記第2通信装置は、前記サーバ装置から受信した前記状態情報を前記第1通信装置に送信し、前記第1通信装置は、前記第2通信装置から受信した前記状態情報を前記記憶部に記憶することが望ましい。
【0012】
この態様によれば、第2通信装置がサーバ装置との間で通信を確立できる環境で作業機械が使用された場合には、サーバ装置によって作成された、累積稼働情報よりも詳細な状態情報を、記憶部で管理することが可能となる。
【0013】
上記態様において、前記サーバ装置から受信した前記状態情報を前記作業機械のオペレータに提示する第2情報提示手段をさらに備えることが望ましい。
【0014】
この態様によれば、アタッチメントの状態情報を、そのアタッチメントが装着された作業機械のオペレータに提示することができる。これにより、オペレータは、提示された状態情報を参照することによってアタッチメントのメンテナンス作業又は交換作業等を行うことができる。
【0015】
上記態様において、前記第2情報提示手段は、前記状態情報において前記アタッチメントの状態が異常状態であると示されている場合に、その異常を報知する異常報知手段を含むことが望ましい。
【0016】
この態様によれば、状態情報を提示するだけでなく、異常報知手段が異常を報知することによって、アタッチメントの状態が異常状態であることをオペレータに確実に知らせることができる。
【0017】
上記態様において、前記サーバ装置は、前記記憶部に記憶されている前記累積稼働情報を要求する要求信号を、前記第2通信装置に送信可能であり、前記第2通信装置は、前記サーバ装置から受信した前記要求信号を前記第1通信装置に送信し、前記第1通信装置は、前記第2通信装置から受信した前記要求信号に応答して、前記記憶部から読み出した前記累積稼働情報を第2通信装置に送信し、前記第2通信装置は、前記第1通信装置から受信した前記累積稼働情報を前記サーバ装置に送信することが望ましい。
【0018】
この態様によれば、サーバ装置は、状態情報を生成するのに必要なアタッチメントの累積稼働情報を、第1通信装置から取得することができる。
【0019】
上記態様において、前記第2通信装置は、前記サーバ装置との間で送受信するデータに対して暗号復号処理を行う暗号復号処理部をさらに含み、前記サーバ装置は、前記第2通信装置との間で送受信するデータに対して暗号復号処理を行う暗号復号処理部をさらに有することが望ましい。
【0020】
この態様によれば、第2通信装置及びサーバ装置がそれぞれ暗号復号処理部を備えるため、これらの装置間で送受信されるデータを暗号化できる。その結果、機密データの漏洩を防止することが可能となる。
【0021】
本発明の一態様に係るアタッチメントの管理プログラムは、本体部と、前記本体部に取り付けられ、交換可能なアタッチメントが装着される作業装置とを備える作業機械において、前記作業機械に前記アタッチメントを管理させるための、アタッチメントの管理プログラムであって、前記アタッチメントには、記憶部を有する第1通信装置が配置されており、前記本体部には、情報処理部、及び、前記第1通信装置と通信可能な第2通信装置が配置されており、前記情報処理部に、前記作業装置に装着されている前記アタッチメントの稼働状況を管理させることにより、当該アタッチメントの累積稼働情報を生成させ、前記第2通信装置に、前記情報処理部によって生成された前記累積稼働情報を前記第1通信装置に送信させ、前記第1通信装置に、前記第2通信装置から受信した前記累積稼働情報を前記記憶部に記憶させるものである。
【0022】
この態様によれば、第1通信装置は、第2通信装置から受信した累積稼働情報を記憶部に記憶する。従って、第2通信装置が外部のサーバ装置との間で通信を確立できない環境で作業機械が使用された場合であっても、アタッチメントの正確な累積稼働情報を記憶部で管理することが可能となる。
【0023】
本発明の一態様に係るアタッチメントの管理方法は、本体部と、前記本体部に取り付けられ、交換可能なアタッチメントが装着される作業装置とを備える作業機械における、アタッチメントの管理方法であって、前記アタッチメントには、記憶部を有する第1通信装置が配置されており、前記本体部には、情報処理部、及び、前記第1通信装置と通信可能な第2通信装置が配置されており、前記情報処理部が、前記作業装置に装着されている前記アタッチメントの稼働状況を管理することにより、当該アタッチメントの累積稼働情報を生成し、前記第2通信装置が、前記情報処理部によって生成された前記累積稼働情報を前記第1通信装置に送信し、前記第1通信装置が、前記第2通信装置から受信した前記累積稼働情報を前記記憶部に記憶するものである。
【0024】
この態様によれば、第1通信装置は、第2通信装置から受信した累積稼働情報を記憶部に記憶する。従って、第2通信装置が外部のサーバ装置との間で通信を確立できない環境で作業機械が使用された場合であっても、アタッチメントの正確な累積稼働情報を記憶部で管理することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、交換可能なアタッチメントのアタッチメント情報を、効率的かつ正確に取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施の形態に係る作業機械の構成を模式的に示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係る作業機械の制御システムの全体構成を簡略化して示すブロック図である。
図3】子機の構成を示すブロック図である。
図4】親機の構成を示すブロック図である。
図5】通信モジュールの構成を示すブロック図である。
図6】サーバ装置の構成を示すブロック図である。
図7】情報処理装置に実現される機能を示す図である。
図8】セキュリティモジュールが有する機能を示す図である。
図9】子機の動作フローを示すフローチャートである。
図10】親機、コントローラ、及び通信モジュールの動作フローを示すフローチャートである。
図11】サーバ装置の動作フローを示すフローチャートである。
図12】累積稼働情報の一例を示す図である。
図13】健康状態情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る作業機械1の構成を模式的に示す図である。本実施の形態の例において、作業機械1は、交換可能なアタッチメントとして、爪部の開閉による挟み動作が可能な圧砕機(例えばニブラ33)が装着された建設機械である。但し、ニブラに限らず、バケット又はブレーカ等の他のアタッチメントが装着されても良い。また、建設機械に限らず、交換可能かつ姿勢変更可能な任意のアタッチメントが装着される農業機械又は工業機械等の他の作業機械であっても良い。
【0029】
図1に示すように、作業機械1は、クローラ式の下部走行体21と、下部走行体21上に旋回可能に配置された上部旋回体22と、上部旋回体22に取り付けられた作業装置3とを備えている。下部走行体21及び上部旋回体22は、作業機械1の本体部2を構成する。
【0030】
作業装置3は、上部旋回体22に対して起伏可能に取り付けられたブーム31と、ブーム31の先端に対して揺動可能に取り付けられたアーム32と、アーム32の先端に対して揺動可能に取り付けられたニブラ33とを備えている。上部旋回体22とブーム31とは、回転軸であるブームフットピン81によって連結されている。ブーム31とアーム32とは、回転軸であるアームフットピン82によって連結されている。アーム32とニブラ33とは、回転軸であるアームトップピン83によって連結されている。アームトップピン83は、アタッチメントの交換時に脱着可能である。また、図示は省略するが、作業装置3は、上部旋回体22に対してブーム31を起伏させるブームシリンダ、ブーム31に対してアーム32を揺動させるアームシリンダ、及びアーム32に対してニブラ33を揺動させるアタッチメントシリンダ等のアクチュエータを備えている。なお、ブーム31、アーム32、及びニブラ33を駆動するための駆動手段としては、シリンダの代わりに油圧モータ等の他のアクチュエータが使用されても良い。
【0031】
上部旋回体22の内部には、作業機械1の全体の制御を司るコントローラ7が配置されている。作業機械1のオペレータのレバー操作に伴うコントローラ7の油圧制御によって、上部旋回体22に対するブーム31の角度(ブーム角)、ブーム31に対するアーム32の角度(アーム角)、及び、アーム32に対するニブラ33の角度(アタッチメント角)が、それぞれ変更される。なお、本実施の形態では、作業装置3が三つの駆動要素(ブーム、アーム、アタッチメント)を有する例について説明するが、この例には限られない。作業装置3は少なくとも一つの駆動要素を有すれば良い。
【0032】
また、作業機械1は、第1通信装置としての子機61と、第2通信装置としての通信装置5を構成する親機51とを備えている。子機61と親機51とは、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、又はLPWA(Low Power Wide Area)等の任意の通信方式によって、相互に無線通信が可能である。子機61はニブラ33の所定箇所に配置されており、親機51は上部旋回体22に配置されている。複数のアタッチメントが存在する場合には、複数のアタッチメントの各々毎に子機61が配置される。子機61との良好な通信状況を確保するために、親機51は上部旋回体22の前面(ニブラ33に対向する側の面)に配置されている。親機51とコントローラ7とは、CAN(Controller Area Network)等の任意の通信方式によって、相互に有線通信又は無線通信が可能である。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態に係る作業機械の制御システム100の全体構成を簡略化して示すブロック図である。制御システム100は、作業機械1とサーバ装置9とを備えている。作業機械1は、子機61、通信装置5、コントローラ7、表示装置4、及びアクチュエータ駆動回路78を有する。通信装置5は、親機51と通信モジュール52とを含む。コントローラ7は、情報処理部71を含む。アクチュエータ駆動回路78には、動力源としてのエンジンによって駆動される油圧ポンプ、油圧ポンプから各アクチュエータへの作動油の供給量を調整するためのコントロールバルブ、及び、コントロールバルブを制御するためのパイロット圧を発生させる操作レバー等が含まれる。作業機械1のオペレータによって操作レバーが操作されると、その操作量に応じて変動するパイロット圧によってコントロールバルブが制御され、パイロット圧に応じた吐出量の作動油がアクチュエータに供給され、作動油の油圧によってアクチュエータが動作する。これにより、オペレータのレバー操作に従って、作業装置3が所望の動作を実行することとなる。
【0034】
図3は、子機61の構成を示すブロック図である。図3の接続関係で示すように、子機61は、カウンタ612、信号処理部613、記憶部614、セキュリティモジュール615、送信機616、及び受信機617を有している。信号処理部613は、FPGA等の専用の電気回路によって構成されている。
【0035】
記憶部614は、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリを用いて構成されている。記憶部614には、自身の子機61が配置されるアタッチメントの固有識別情報S0と、その他の制御情報S1とが格納されている。固有識別情報S0には、例えば、シリアルナンバーが含まれる。制御情報S1には、例えば、そのアタッチメントの種別情報、寸法情報(外形寸法及び重心位置情報等)、重量情報、製造メーカ情報、使用メーカ情報、上限稼働時間情報、推奨稼働地域情報、及び制御パラメータが含まれる。制御パラメータには、例えば、そのアタッチメントに供給される作動油の圧力情報(リリーフ圧力及びシリンダ内圧力の許容上限値等)、及び、そのアタッチメントに供給される作動油の流量情報(ポンプ流量及びパイロット圧等)が含まれる。
【0036】
カウンタ612は、所定の動作クロックのクロック数をカウントする。
【0037】
信号処理部613は、記憶部614から読み出した固有識別情報S0及び制御情報S1を含めて、アタッチメント情報S2を生成する。信号処理部613は、生成したアタッチメント情報S2を、セキュリティモジュール615を介して送信機616に転送する。セキュリティモジュール615の機能については後述する。信号処理部613は、アタッチメント情報S2の生成処理及び転送処理を、カウンタ612によって規定される所定の送信時間間隔で繰り返し実行する。送信時間間隔は、例えば数秒から数分の範囲内で任意の値に設定される。なお、子機61にGPS受信機を搭載し、子機61の位置情報をアタッチメント情報S2に含めてサーバ装置9に送信することにより、アタッチメントの在庫管理に活用しても良い。
【0038】
送信機616は、信号処理部613からセキュリティモジュール615を介して入力されたアタッチメント情報S2を変調することにより、無線信号のアタッチメント情報S2として送信する。
【0039】
受信機617は、親機51の送信機512から送信された無線信号の累積稼働情報D1及び健康状態情報D2を受信し、受信した累積稼働情報D1及び健康状態情報D2を復調する。累積稼働情報D1及び健康状態情報D2は、受信機617からセキュリティモジュール615を介して信号処理部613に入力される。信号処理部613は、入力された累積稼働情報D1及び健康状態情報D2を記憶部614に記憶する。子機61の動作の詳細については後述する。
【0040】
図4は、親機51の構成を示すブロック図である。図4の接続関係で示すように、親機51は、受信機511、送信機512、セキュリティモジュール513、信号処理部514、及び記憶部515を有している。信号処理部514は、FPGA等の専用の電気回路によって構成されている。記憶部515は、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリを用いて構成されている。
【0041】
受信機511は、子機61の送信機616から送信された無線信号のアタッチメント情報S2を受信し、受信したアタッチメント情報S2を復調する。アタッチメント情報S2は、受信機511からセキュリティモジュール513を介して信号処理部514に入力される。セキュリティモジュール513の機能については後述する。信号処理部514は、入力されたアタッチメント情報S2に対して、任意のアルゴリズムによる誤り検出処理及び誤り訂正処理を施す。信号処理部514は、アタッチメント情報S2を通信モジュール52に入力する。また、信号処理部514は、アタッチメント情報S2に含まれている制御情報S1を、コントローラ7に入力する。信号処理部514には、コントローラ7の情報処理部71によって生成された累積稼働情報D1が、コントローラ7から入力される。また、信号処理部514には、通信モジュール52から健康状態情報D2が入力される。信号処理部514は、入力された累積稼働情報D1及び健康状態情報D2を、セキュリティモジュール513を介して送信機512に入力する。送信機512は、入力された累積稼働情報D1及び健康状態情報D2を変調することにより、無線信号の累積稼働情報D1及び健康状態情報D2として送信する。親機51の動作の詳細については後述する。
【0042】
図5は、通信モジュール52の構成を示すブロック図である。図5の接続関係で示すように、通信モジュール52は、セキュリティモジュール521、記憶部522、送信機523、及び受信機524を有している。記憶部522は、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリを用いて構成されている。
【0043】
親機51の信号処理部514から出力されたアタッチメント情報S2は、セキュリティモジュール521を介して送信機523に入力される。セキュリティモジュール521の機能については後述する。また、コントローラ7の情報処理部71によって生成された累積稼働情報D1は、コントローラ7からセキュリティモジュール521を介して送信機523に入力される。送信機523は、アタッチメント情報S2及び累積稼働情報D1を、任意の無線通信ネットワークを介してサーバ装置9に送信する。受信機524は、サーバ装置9から健康状態情報D2を受信する。健康状態情報D2は、受信機524からセキュリティモジュール521を介してコントローラ7及び親機51の信号処理部514に入力される。通信モジュール52の動作の詳細については後述する。
【0044】
図6は、サーバ装置9の構成を示すブロック図である。図6の接続関係で示すように、サーバ装置9は、受信機91、送信機92、セキュリティモジュール93、情報処理装置94、記憶部95、及び表示装置96を有している。記憶部95は、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリを用いて構成されている。情報処理装置94は、CPU101と、ROM及びRAM等のメモリ102とを有している。メモリ102には、プログラム110が記憶されている。
【0045】
受信機91は、通信モジュール52の送信機523から送信されたアタッチメント情報S2及び累積稼働情報D1を受信する。受信機91は、受信したアタッチメント情報S2及び累積稼働情報D1を、セキュリティモジュール93を介して情報処理装置94に入力する。セキュリティモジュール93の機能については後述する。
【0046】
図7は、メモリ102から読み出されたプログラム110をCPU101が実行することによって情報処理装置94に実現される機能を示す図である。図7に示すように、情報処理装置94は、解析部201、取得部202、判定部203、及び作成部204として機能する。換言すれば、プログラム110は、サーバ装置9に搭載される情報処理装置94を、解析部201、取得部202、判定部203、及び作成部204として機能させるためのプログラムである。サーバ装置9の動作の詳細については後述する。
【0047】
図8は、セキュリティモジュール615,513,521,93が有する機能を示す図である。セキュリティモジュール615,513,521,93は、認証処理部301、暗号復号処理部302、及び改竄確認処理部303を有している。認証処理部301を有することにより、外部からの不正アクセスを防止することが可能となる。暗号復号処理部302を有することにより、機密データの漏洩を防止することが可能となる。改竄確認処理部303を有することにより、送受信データが改竄された場合にその改竄を検知することが可能となる。
【0048】
子機61が有するセキュリティモジュール615と、親機51が有するセキュリティモジュール513とは、子機61と親機51との間のセキュア通信を実現する。子機61の記憶部614及び親機51の記憶部515(耐タンパ性のある領域が望ましい)には、子機61及び親機51間で共通する所定の鍵情報が記憶されている。子機61が有するセキュリティモジュール615の認証処理部301は、記憶部614に記憶されている鍵情報を用いた任意の認証アルゴリズム(SHA等)によって、親機51の正当性を認証するための認証処理を行う。親機51が有するセキュリティモジュール513の認証処理部301は、記憶部515に記憶されている鍵情報を用いた任意の認証アルゴリズムによって、子機61の正当性を認証するための認証処理を行う。子機61が有するセキュリティモジュール615の暗号復号処理部302は、記憶部614に記憶されている鍵情報を用いた任意の暗号アルゴリズム(DES等)によって、親機51に送信するデータに対して暗号化処理を行い、親機51から受信したデータに対して復号化処理を行う。親機51が有するセキュリティモジュール513の暗号復号処理部302は、記憶部515に記憶されている鍵情報を用いた任意の暗号アルゴリズムによって、子機61に送信するデータに対して暗号化処理を行い、子機61から受信したデータに対して復号化処理を行う。子機61が有するセキュリティモジュール615の改竄確認処理部303は、記憶部614に記憶されている鍵情報を用いた任意の改竄確認アルゴリズム(MAC等)によって、親機51から受信したデータに対して改竄確認処理を行う。親機51が有するセキュリティモジュール513の改竄確認処理部303は、記憶部515に記憶されている鍵情報を用いた任意の改竄確認アルゴリズムによって、子機61から受信したデータに対して改竄確認処理を行う。以下の説明では、子機61と親機51との間のセキュア通信についてはその説明を省略する。
【0049】
通信モジュール52が有するセキュリティモジュール521と、サーバ装置9が有するセキュリティモジュール93とは、通信モジュール52とサーバ装置9との間のセキュア通信を実現する。通信モジュール52の記憶部522及びサーバ装置9の記憶部95(耐タンパ性のある領域が望ましい)には、通信モジュール52及びサーバ装置9間で共通する所定の鍵情報が記憶されている。通信モジュール52が有するセキュリティモジュール521の認証処理部301は、記憶部522に記憶されている鍵情報を用いた任意の認証アルゴリズム(SHA等)によって、サーバ装置9の正当性を認証するための認証処理を行う。サーバ装置9が有するセキュリティモジュール93の認証処理部301は、記憶部95に記憶されている鍵情報を用いた任意の認証アルゴリズムによって、通信モジュール52の正当性を認証するための認証処理を行う。通信モジュール52が有するセキュリティモジュール521の暗号復号処理部302は、記憶部522に記憶されている鍵情報を用いた任意の暗号アルゴリズム(DES等)によって、サーバ装置9に送信するデータに対して暗号化処理を行い、サーバ装置9から受信したデータに対して復号化処理を行う。サーバ装置9が有するセキュリティモジュール93の暗号復号処理部302は、記憶部95に記憶されている鍵情報を用いた任意の暗号アルゴリズムによって、通信モジュール52に送信するデータに対して暗号化処理を行い、通信モジュール52から受信したデータに対して復号化処理を行う。通信モジュール52が有するセキュリティモジュール521の改竄確認処理部303は、記憶部522に記憶されている鍵情報を用いた任意の改竄確認アルゴリズム(MAC等)によって、サーバ装置9から受信したデータに対して改竄確認処理を行う。サーバ装置9が有するセキュリティモジュール93の改竄確認処理部303は、記憶部95に記憶されている鍵情報を用いた任意の改竄確認アルゴリズムによって、通信モジュール52から受信したデータに対して改竄確認処理を行う。以下の説明では、通信モジュール52とサーバ装置9との間のセキュア通信についてはその説明を省略する。
【0050】
図9は、子機61の動作フローを示すフローチャートである。子機61の駆動電源は、子機61に内蔵されるボタン電池等から供給される。子機61への電源供給が開始されると、まずステップSP21においてカウンタ612は、そのカウンタ値をクリアする。
【0051】
次にステップSP22においてカウンタ612は、所定の動作クロックのクロック数をカウントすることにより、カウンタ値をインクリメントする。
【0052】
次にステップSP23において信号処理部613は、カウンタ612のカウンタ値が所定の設定値(上記の送信時間間隔に対応する)に到達したか否かを判定する。
【0053】
カウンタ値が設定値に到達していない場合(ステップSP23:NO)は、ステップSP22,SP23の動作が繰り返し実行される。
【0054】
カウンタ値が設定値に到達した場合(ステップSP23:YES)は、次にステップSP24において信号処理部613は、固有識別情報S0及び制御情報S1に基づいてアタッチメント情報S2を生成し、生成したアタッチメント情報S2を送信機616に入力する。これにより、送信機616から無線信号のアタッチメント情報S2が送信される。
【0055】
次にステップSP25において信号処理部613は、親機51から累積稼働情報D1及び健康状態情報D2を受信したか否かを判定する。
【0056】
累積稼働情報D1及び健康状態情報D2を受信していない場合(ステップSP25:NO)は、信号処理部613は後述のステップSP27の処理を実行する。
【0057】
図10は、親機51、コントローラ7、及び通信モジュール52の動作フローを示すフローチャートである。図11は、サーバ装置9の動作フローを示すフローチャートである。
【0058】
図10を参照して、ステップSP31において親機51の受信機511は、子機61の送信機616から送信されたアタッチメント情報S2を受信する。アタッチメント情報S2は、受信機511から信号処理部514に入力される。信号処理部514は、アタッチメント情報S2を通信モジュール52に入力し、また、アタッチメント情報S2に含まれている制御情報S1をコントローラ7に入力する。
【0059】
次にステップSP32においてコントローラ7は、アクチュエータ駆動回路78を制御するための制御パラメータを、信号処理部514から入力された制御情報S1に基づいて更新する。例えば、コントローラ7は、制御情報S1に含まれている作動油圧力情報に基づいて、電磁リリーフ弁の駆動開始圧力値を更新する。あるいは、コントローラ7は、制御情報S1に含まれている作動油流量情報に基づいて、油圧ポンプの流量又はコントロールバルブのパイロット圧を更新する。あるいは、コントローラ7は、制御情報S1に含まれている寸法情報に基づいて、本体部2とニブラ33との干渉防止制御の制御パラメータ、又は、作業機械1の転倒警報制御の制御パラメータを更新する。
【0060】
次にステップSP33においてコントローラ7の情報処理部71は、作業機械1の駆動期間中、継続してニブラ33の稼働状況を管理することにより、ニブラ33の稼働情報を蓄積する。稼働情報としては、そのニブラ33の累積稼働時間、累積開閉回数、累積回転回数、累積故障回数、並びに、作動油の圧力値及び流量値等が蓄積される。また、情報処理部71は、そのニブラ33が装着された状態での作業機械1の累積稼働時間、エンジン回転数、油圧ポンプの圧力値及び流量値、バッテリ電圧値、リミッタ解除スイッチの押下回数、並びに燃料消費量等を、ニブラ33の稼働情報に付加して蓄積しても良い。
【0061】
次にステップSP33においてコントローラ7は、作業機械1のイグニッションキーの操作等によって作業機械1の電源をオフする命令が入力されたか否かを判定する。
【0062】
電源オフ命令が入力されていない場合(ステップSP34:NO)は、ステップSP33,SP34の処理が繰り返し実行される。
【0063】
電源オフ命令が入力された場合(ステップSP34:YES)は、次にステップSP35においてコントローラ7の情報処理部71は、その時点でのニブラ33の稼働情報の集計結果に基づいて既存の累積稼働情報を更新することにより、そのニブラ33に関する最新の累積稼働情報D1を生成する。
【0064】
図12は、累積稼働情報D1の一例を示す図である。この例では、ニブラ33の累積稼働時間、累積開閉回数、及び累積回転回数が、累積稼働情報D1に含まれている。累積稼働情報D1には、その他の詳細な項目が含まれていても良い。コントローラ7は、情報処理部71によって生成された累積稼働情報D1を、親機51及び通信モジュール52に入力する。また、コントローラ7は、累積稼働情報D1の画像データを表示装置4(第1情報提示手段)に入力することにより、表示装置4において累積稼働情報D1を表示しても良い。これにより、作業機械1のオペレータは、表示された累積稼働情報D1を参照することによって、ニブラ33のメンテナンス作業又は交換作業等の必要性を判断することができる。
【0065】
次にステップSP36において通信モジュール52は、親機51から入力されたアタッチメント情報S2と、コントローラ7から入力された累積稼働情報D1とを、サーバ装置9に送信する。
【0066】
次にステップSP37において受信機524は、サーバ装置9から健康状態情報D2を受信したか否かを判定する。
【0067】
健康状態情報D2を受信していない場合(ステップSP37:NO)は、ステップSP37の処理が繰り返し実行される。
【0068】
図11を参照して、ステップSP41においてサーバ装置9の受信機91は、通信モジュール52からアタッチメント情報S2及び累積稼働情報D1を受信したか否かを判定する。
【0069】
アタッチメント情報S2及び累積稼働情報D1を受信していない場合(ステップSP41:NO)は、ステップSP41の処理が繰り返し実行される。
【0070】
アタッチメント情報S2及び累積稼働情報D1を受信した場合(ステップSP41:YES)は、次にステップSP42において受信機91は、受信したアタッチメント情報S2及び累積稼働情報D1を情報処理装置94に入力する。解析部201は、累積稼働情報D1と、アタッチメント情報S2に含まれる制御情報S1とに基づいて、ニブラ33の健康状態(経年劣化の程度及び動作不良の有無等)を解析する。例えば、ある特定動作をニブラ33に実行させた際の作動油の圧力値に基づいて健康状態を解析する場合には、解析部201は、累積稼働情報D1に含まれている作動油圧力値の履歴情報の中からその特定動作の実行期間中のデータを抽出し、それらのデータについての最大値、最小値、平均値、及び標準偏差を算出する。解析部201は、算出した最大値、最小値、平均値、及び標準偏差を、実装されているニブラ33に関する実績データD10として出力する。実績データD10は、解析部201から判定部203に入力される。
【0071】
次にステップSP43において取得部202は、健康状態が正常である同種のニブラに関して予め求められた、上記最大値、最小値、平均値、及び標準偏差に対応する正常データD11を取得する。正常データD11は、例えばメモリ102に予め記憶されている。取得部202は、メモリ102から正常データD11を読み出し、読み出した正常データD11を判定部203に入力する。
【0072】
次にステップSP44において判定部203は、実績データD10及び正常データD11に基づいて、ニブラ33の健康状態が正常であるか異常であるかを判定する。一例として、判定部203は、正常データD11に含まれる最大値、最小値、平均値、及び標準偏差の各々に対して、安全マージンを付加した上限閾値及び下限閾値をそれぞれ設定する。判定部203は、実績データD10に含まれる最大値、最小値、平均値、及び標準偏差を、それぞれの上限閾値及び下限閾値と比較する。判定部203は、最大値、最小値、平均値、及び標準偏差のうちの少なくとも一つが、上限閾値以下かつ下限閾値以上の許容範囲を逸脱する場合には、実装されているニブラ33の健康状態は異常であると判定する。一方、最大値、最小値、平均値、及び標準偏差の全てが許容範囲を逸脱しない場合には、判定部203は、実装されているニブラ33の健康状態は正常であると判定する。判定部203は、その判定の結果及び内容を示すデータD12を作成部204に入力する。
【0073】
なお、判定部203による健康状態の判定アルゴリズムは、上記の例には限定されず、任意の異常検出アルゴリズムを用いることができる。判定部203は、例えば、実績データの遷移パターンと正常データの遷移パターンとを比較し、両者の差分絶対値和が許容値を超えた場合に異常を検出しても良い。あるいは、判定部203は、同種の複数のアタッチメントを母集団としてクラスタ分析及び外れ値分析等を行うことによって、異常を検出しても良い。
【0074】
次にステップSP45において作成部204は、通信モジュール52から受信したアタッチメント情報S2に含まれる固有識別情報S0と、判定部203から入力されたデータD12とに基づいて、実装されているニブラ33に関する健康状態情報D2を作成する。
【0075】
図13は、健康状態情報D2の一例を示す図である。この例では、ニブラ33の固有識別情報、累積稼働時間、累積開閉回数、累積回転回数、累積故障回数、作業分布、及び健康状態の判定結果が、健康状態情報D2に含まれている。健康状態情報D2には、その他の詳細な項目が含まれていても良い。作成部204は、作成した健康状態情報D2を、セキュリティモジュール93を介して送信機92に入力する。また、作成部204は、健康状態情報D2の画像データを表示装置96に入力することにより、表示装置96において健康状態情報D2を表示しても良い。
【0076】
次にステップSP46において送信機92は、入力された健康状態情報D2を通信モジュール52に送信する。
【0077】
図10を参照して、通信モジュール52の受信機524がサーバ装置9から健康状態情報D2を受信すると(ステップSP37:YES)、健康状態情報D2は、通信モジュール52から親機51及びコントローラ7に入力される。
【0078】
コントローラ7は、健康状態情報D2の画像データを表示装置4(第2情報提示手段)に入力することにより、表示装置4において健康状態情報D2を表示しても良い。これにより、作業機械1のオペレータは、表示された健康状態情報D2を参照することによってニブラ33のメンテナンス作業又は交換作業等を行うことができる。
【0079】
その際、健康状態情報D2においてニブラ33の健康状態が「異常」と示されている場合には、図略のスピーカ(異常報知手段)が所定の警告音又は警告メッセージを出力し、あるいは、表示装置4(異常報知手段)が異常値を示す健康状態情報D2内の該当項目を着色表示することにより、ニブラ33の健康状態が異常であることを作業機械1のオペレータに報知しても良い。これにより、ニブラ33の健康状態が異常状態であることをオペレータに確実に知らせることができる。
【0080】
次にステップSP38において親機51は、コントローラ7から入力された累積稼働情報D1と、通信モジュール52から入力された健康状態情報D2とを、子機61に送信する。
【0081】
図9を参照して、子機61が累積稼働情報D1及び健康状態情報D2を受信した場合(ステップSP25:YES)は、次にステップSP26において信号処理部613は、受信した累積稼働情報D1及び健康状態情報D2を記憶部614に記憶する。
【0082】
次にステップSP27において信号処理部613は、ボタン電池の残量不足等によって子機61への電源供給を停止するか否かを判定する。
【0083】
子機61への電源供給を停止しない場合(ステップSP27:NO)は、ステップSP21以降の動作が繰り返し実行される。
【0084】
子機61への電源供給を停止する場合(ステップSP27:YES)は、信号処理部613は、子機61の各部の動作を終了して、子機61への電源供給を停止する。
【0085】
なお、子機61は、記憶部614に記憶されている累積稼働情報D1を、サーバ装置9からの要求に応じてサーバ装置9に送信しても良い。図6を参照して、サーバ装置9の情報処理装置94は、累積稼働情報D1を要求する要求信号S4を、送信機92から通信モジュール52に送信する。図5を参照して、通信モジュール52は、受信した要求信号S4を親機51に入力する。図4を参照して、親機51は、入力された要求信号S4を、送信機512から子機61に送信する。図3を参照して、子機61の信号処理部613は、受信した要求信号S4に応答して、記憶部614から累積稼働情報D1を読み出す。子機61は、記憶部614から読み出した累積稼働情報D1を親機51に送信する。親機51は、受信した累積稼働情報D1を通信モジュール52に入力する。通信モジュール52は、入力された累積稼働情報D1をサーバ装置9に送信する。これにより、サーバ装置9は、健康状態情報D2を生成するのに必要なアタッチメントの累積稼働情報D1を、子機61から取得することができる。なお、子機61は、記憶部614に記憶されている固有識別情報S0及び制御情報S1を、サーバ装置9からの要求に応じてサーバ装置9に送信しても良い。
【0086】
また、以上の説明では累積稼働情報D1の生成はコントローラ7が行ったが、アタッチメントの稼働状況の管理を親機51が行うことにより、累積稼働情報D1の生成を親機51が行っても良い。
【0087】
また、以上の説明では親機51から子機61へ累積稼働情報D1及び健康状態情報D2が送信されたが、通信モジュール52がサーバ装置9と通信できず健康状態情報D2が生成されない場合には、親機51から子機61へ累積稼働情報D1のみを送信しても良い。
【0088】
本実施の形態に係る作業機械1によれば、子機61は、親機51から受信したニブラ33の累積稼働情報D1を、記憶部614に記憶する。従って、通信モジュール52が外部のサーバ装置9との間で通信を確立できない環境で作業機械1が使用された場合であっても、ニブラ33の正確な累積稼働情報D1を記憶部614で管理することが可能となる。
【0089】
また、本実施の形態に係る作業機械1によれば、サーバ装置9はニブラ33の健康状態情報D2を生成する。従って、通信モジュール52がサーバ装置9との間で通信を確立できる環境で作業機械1が使用された場合には、サーバ装置9によって作成された、累積稼働情報D1よりも詳細な健康状態情報D2を、子機61の記憶部614で管理することが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1 作業機械
2 本体部
3 作業装置
4 表示装置
5 通信装置
7 コントローラ
9 サーバ装置
51 親機
52 通信モジュール
61 子機
614 記憶部
71 情報処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13