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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】断線検知デバイスおよび開封検知ラベル
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20230725BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20230725BHJP
   B65D 77/24 20060101ALI20230725BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20230725BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20230725BHJP
   G09F 3/03 20060101ALI20230725BHJP
   A61J 7/00 20060101ALN20230725BHJP
【FI】
G06K19/077 304
B65D25/20 K
B65D77/24
G06K19/07 160
G06K19/07 200
G09F3/00 M
G09F3/03 F
A61J7/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022126500
(22)【出願日】2022-08-08
(62)【分割の表示】P 2018553164の分割
【原出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2022167911
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2017194595
(32)【優先日】2017-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017233836
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇田 潤史
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 清一郎
【審査官】田中 啓介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-198023(JP,A)
【文献】特開2010-28105(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130836(WO,A1)
【文献】特開2010-75227(JP,A)
【文献】特開2008-8763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J1/00-19/06
B65D23/00-25/56
67/00-79/02
81/18-81/30
81/38
85/88
G01R31/50-31/74
G06K7/00-7/14
17/00-19/18
G09F1/00-5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に形成される導線と、
前記導線と接続されるように前記基材に形成され、前記導線が切断される前と後とで相異する情報を含む信号を発信する無線通信装置と、
を備え、
前記無線通信装置は、記憶手段を有し、
前記記憶手段は、複数のメモリ素子を配列してなるメモリアレイを有し、
前記導線は、前記複数のメモリ素子のうち少なくとも1つに接続され、
前記情報は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記メモリアレイから読み出される、
断線検知デバイスであって、
前記メモリアレイは、
複数の第一の配線と、
前記複数の第一の配線と交差する少なくとも一本の第二の配線と、
前記複数の第一の配線と前記少なくとも一本の第二の配線との各交点に対応して設けられ、互いに離間して配置される第一の電極および第二の電極と、前記少なくとも一本の第二の配線のうち一本に接続される第三の電極と、前記第一の電極および前記第二の電極と前記第三の電極とを電気的に絶縁する絶縁層とをそれぞれ有する前記複数のメモリ素子と、
を有し、
前記第一の電極および前記第二の電極のいずれか一方は、前記複数の第一の配線のうち一本に接続され、
前記複数のメモリ素子のうち少なくとも1つは、前記第一の電極と前記第二の電極との間の領域に半導体層を有し、
前記複数のメモリ素子は、前記第一の電極と前記第二の電極との間の電気特性が互いに異なる二種類のメモリ素子からなり、
前記メモリアレイに記録される情報は、前記二種類のメモリ素子を任意に組み合わせた配列によって決定することを特徴とする断線検知デバイス。
【請求項2】
基材に形成される導線と、
前記導線と接続されるように前記基材に形成され、前記導線が切断される前と後とで相異する情報を含む信号を発信する無線通信装置と、
を備え、
前記無線通信装置は、変調回路を有し、
前記導線は、前記変調回路に接続され、
前記情報を含む信号は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記変調回路によって変調されることを特徴とする断線検知デバイス。
【請求項3】
基材に形成される導線と、前記導線と接続されるように前記基材に形成され、前記導線が切断される前と後とで相異する情報を含む信号を発信する無線通信装置と、を有する断線検知デバイスを備え、
前記断線検知デバイスは、被開封物に付けられるように構成され、
前記導線は、前記被開封物の開封に伴って前記基材とともに切断される、
開封検知ラベルであって、
前記無線通信装置は、記憶手段を有し、
前記記憶手段は、複数のメモリ素子を配列してなるメモリアレイを有し、
前記導線は、前記複数のメモリ素子のうち少なくとも1つに接続され、
前記情報は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記メモリアレイから読み出され、
前記メモリアレイは、
複数の第一の配線と、
前記複数の第一の配線と交差する少なくとも一本の第二の配線と、
前記複数の第一の配線と前記少なくとも一本の第二の配線との各交点に対応して設けられ、互いに離間して配置される第一の電極および第二の電極と、前記少なくとも一本の第二の配線のうち一本に接続される第三の電極と、前記第一の電極および前記第二の電極と前記第三の電極とを電気的に絶縁する絶縁層とをそれぞれ有する前記複数のメモリ素子と、
を有し、
前記第一の電極および前記第二の電極のいずれか一方は、前記複数の第一の配線のうち一本に接続され、
前記複数のメモリ素子のうち少なくとも1つは、前記第一の電極と前記第二の電極との間の領域に半導体層を有し、
前記複数のメモリ素子は、前記第一の電極と前記第二の電極との間の電気特性が互いに異なる二種類のメモリ素子からなり、
前記メモリアレイに記録される情報は、前記二種類のメモリ素子を任意に組み合わせた配列によって決定することを特徴とする開封検知ラベル。
【請求項4】
基材に形成される導線と、前記導線と接続されるように前記基材に形成され、前記導線が切断される前と後とで相異する情報を含む信号を発信する無線通信装置と、を有する断線検知デバイスを備え、
前記断線検知デバイスは、被開封物に付けられるように構成され、
前記導線は、前記被開封物の開封に伴って前記基材とともに切断される、
開封検知ラベルであって、
前記無線通信装置は、変調回路を有し、
前記導線は、前記変調回路に接続され、
前記情報を含む信号は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記変調回路によって変調されることを特徴とする開封検知ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材、包装材の製造方法、読取装置、収納物管理システム、断線検知デバイス、開封検知ラベル、および開封検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブリスターパックまたはPTP(Press Through Package)包装などの包装材から収納物が取り出されたことを検知する仕組みや、ボトルや袋などの開封を検知する仕組みが提案されている。これらの仕組みは、例えば、患者が処方された薬剤を適切な時間に適切な量で服用したか否かの情報を収集する服薬管理デバイスへの適用や、高価な酒類や薬などの物品の容器が開封されたか否かの確認を可能とする開封検知ラベルへの適用が期待される。
【0003】
例えば、特許文献1~3では、収納物を収納する収納部毎に配線を設け、収納部からの収納物の取り出しに伴う該配線の断線を検知することにより、収納部の開封を検知する手法が提案されている。また、特許文献4では、収納部の開封に伴う配線の断線毎にRFID(Radio Frequency IDentification)タグのサブキャリアの周波数を変化させることで、収納部の開封を検知する手法が提案されている。さらに、特許文献5、6では、収納部毎にRFID回路を設け、収納部からの収納物の取り出しに伴う該RFID回路の破壊により、収納部の開封を検知する手法が提案されている。また、特許文献7では、RFIDタグを用いた開封検知ラベルが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2005-539300号公報
【文献】特開2014-176597号公報
【文献】国際公開第2015/008528号
【文献】特開2010-75227号公報
【文献】特開2010-035789号公報
【文献】実用新案登録第3128634号公報
【文献】特開2017-078984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~4に開示された技術では、包装材に設けられた1つのRFIDタグなどの無線通信装置からの情報に基づいて収納部の開封の検知を行う構成が採用されており、各収納部が個別に切り離された場合、この無線通信装置と各収納部の配線との接続ができなくなる。この場合、各収納部の開封を検知することが困難になる。特に、包装材が錠剤などの薬剤を包装するものであれば、包装材を薬剤の収納部毎に切り離して持ち運びする場面が多いため、上記問題の改善に対する要求が高まっている。さらに、包装材における収納部の数が多くなると、これに伴い、包装材には多くの配線が必要となる。包装材における配線数の増加に起因して配線の細線化が必要となるため、包装材の折り曲げなど、収納物の取り出し以外の包装材の操作(取扱い)によって配線が断線しやすくなる。この結果、包装材から収納物を取り出す以外に配線を意図せず断線させる可能性が増すことから、包装材からの収納物の取り出し検知の信頼性が低くなるという問題があった。また、特許文献1~3に開示された技術では、包装材に無線通信装置を装着する必要があり、高コストとなるため使い捨ての運用が困難であることから、低コスト化の要求も高まっている。
【0006】
また、特許文献5~6に開示された技術では、収納部毎に設けられたRFID回路の破壊により、応答しなくなったRFID回路に対応する収納部の開封を検知する構成が採用されている。しかし、この技術では、収納物の取り出し以外の包装材の操作でRFID回路が破壊された場合、またはRFID回路が故障した場合、たとえ収納物が収納部から取り出されていなくても、収納部が開封された状態であると誤認識する可能性がある。
【0007】
また、特許文献7に開示された技術では、既存のICチップを用いたRFIDを用いているため、高コストとなり使い捨ての運用が難しく、低コスト化の要求も高まっている。さらに、特許文献7には開封検知の方式が記載されておらず、開封後の通信可否など、詳細は不明である。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、第一の目的は、収納部からの収納物の取り出し検知の信頼性を高め、かつ、包装材が収納部別に切り離されても収納部の開封検知を可能にする断線検知デバイスおよび開封検知ラベルを提供することである。第二の目的は、断線検知デバイスを安価に提供することである。第三の目的は、開封検知ラベルを安価に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、包装材の収納部毎に設けられた無線通信装置から、収納部の開封の有無で相異する信号を発することにより、上述した課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る包装材は、収納物を収納するための収納部を有する包装材本体部と、前記収納部を密閉するシートと、前記収納部の密閉された開口上を通過するように前記シートに形成される導線と、前記導線と接続されるように前記シートに形成され、前記収納部の開封に伴って前記シートとともに前記導線が切断される前と後とで相異する情報を含む信号を発信する無線通信装置と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記包装材本体部は、複数の前記収納部を有し、前記導線は複数の前記収納部の各々に対応して前記シートに形成され、前記無線通信装置が、前記シートに少なくとも1つ形成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記包装材本体部は、複数の前記収納部を有し、前記導線および前記無線通信装置は、複数の前記収納部の各々に対応して前記シートに形成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記無線通信装置は、記憶手段を有し、前記記憶手段は、少なくとも1つのメモリ素子を有し、前記導線は、前記メモリ素子に接続され、前記情報は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記メモリ素子から読み出されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記無線通信装置は、記憶手段を有し、前記記憶手段は、複数のメモリ素子を配列してなるメモリアレイを有し、前記導線は、前記複数のメモリ素子のうち少なくとも1つに接続され、前記情報は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記メモリアレイから読み出されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記メモリアレイは、複数の第一の配線と、前記複数の第一の配線と交差する少なくとも一本の第二の配線と、前記複数の第一の配線と前記少なくとも一本の第二の配線との各交点に対応して設けられ、互いに離間して配置される第一の電極および第二の電極と、前記少なくとも一本の第二の配線のうち一本に接続される第三の電極と、前記第一の電極および前記第二の電極と前記第三の電極とを電気的に絶縁する絶縁層とをそれぞれ有する前記複数のメモリ素子と、を有し、前記第一の電極および前記第二の電極のいずれか一方は、前記複数の第一の配線のうち一本に接続され、前記複数のメモリ素子のうち少なくとも1つは、前記第一の電極と前記第二の電極との間の領域に半導体層を有し、前記複数のメモリ素子は、前記第一の電極と前記第二の電極との間の電気特性が互いに異なる二種類のメモリ素子からなり、前記メモリアレイに記録される情報は、前記二種類のメモリ素子を任意に組み合わせた配列によって決定することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記二種類のメモリ素子のうち、一方の種類のメモリ素子は前記半導体層を有するメモリ素子であり、他方の種類のメモリ素子は前記半導体層を有しないメモリ素子であり、前記一方の種類のメモリ素子および前記他方の種類のメモリ素子は、前記半導体層の有無によって、互いに異なる各情報をそれぞれ記録することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記半導体層は、カーボンナノチューブ、グラフェン、およびフラーレンからなる群より選ばれる一種類以上を含有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記半導体層は、カーボンナノチューブの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブ複合体を含有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、複数の前記無線通信装置の各前記メモリアレイは、複数の前記収納部別に異なる情報を記録することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記導線は、少なくとも1つの前記メモリ素子に接続されるビット線を含むことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記無線通信装置は、記憶手段を有し、前記記憶手段は、少なくとも1つのフリップフロップ回路を含み、前記導線は、前記フリップフロップ回路に接続されることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記フリップフロップ回路は、半導体層を有するトランジスタを含んで構成され、前記半導体層は、カーボンナノチューブの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブ複合体を含有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記無線通信装置は、変調回路を有し、前記導線は、前記変調回路に接続され、前記情報を含む信号は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記変調回路によって変調されることを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記変調回路は、スイッチ回路と、前記スイッチ回路に接続される複数の抵抗素子と、を有し、前記導線は、前記複数の抵抗素子のうち少なくとも1つに接続されることを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記スイッチ回路は、半導体層を有するトランジスタによって構成され、前記半導体層は、カーボンナノチューブの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブ複合体を含有することを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係る包装材は、上記の発明において、前記収納物は医薬品であることを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係る包装材の製造方法は、収納物を収納するための少なくとも1つの収納部を有する包装材本体部と、少なくとも1つの前記収納部を密閉するシートとを備える包装材の製造方法であって、前記シートを構成する基材上に、前記収納部の密閉される開口上を通過する導線と、前記導線に接続され、前記収納部の開封に伴って前記シートとともに前記導線が切断される前と後とで相異する情報を含む信号を発信する少なくとも1つの無線通信装置とを、形成する機能部形成工程と、前記収納部に前記収納物を収納した状態の前記包装材本体部と、少なくとも1つの前記導線および前記無線通信装置が前記基材上に形成された前記シートとを貼り付け、貼り付けた前記シートによって前記包装材本体部の前記収納部を密閉する貼付工程と、を含むことを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係る包装材の製造方法は、上記の発明において、前記無線通信装置は、記憶手段を有し、前記機能部形成工程は、前記記憶手段の構成要素のうちの少なくとも1つを、塗布法によって形成することを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係る包装材の製造方法は、上記の発明において、前記無線通信装置は、複数の第一の配線と、前記複数の第一の配線と交差する少なくとも一本の第二の配線と、前記複数の第一の配線と前記少なくとも一本の第二の配線との各交点に対応して設けられる複数のメモリ素子と、を前記基材上に備えるメモリアレイを有し、前記複数のメモリ素子は、互いに離間して配置される第一の電極および第二の電極と、前記少なくとも一本の第二の配線のうち一本に接続される第三の電極と、前記第一の電極および前記第二の電極と前記第三の電極とを電気的に絶縁する絶縁層とを各々有し、前記機能部形成工程は、前記複数のメモリ素子のうち少なくとも1つのメモリ素子における前記第一の電極と前記第二の電極との間の領域に、塗布法によって塗布層を形成して、複数の前記収納部別に異なる情報が記録された各前記メモリアレイを複数の前記無線通信装置別に作製し、前記塗布法は、インクジェット法、ディスペンサー法およびスプレー法からなる群より選ばれるいずれか1つであることを特徴とする。
【0030】
また、本発明に係る読取装置は、上記の発明のいずれかに記載の包装材が有する無線通信装置によって発信された情報を受信するアンテナ部と、収納物を収納する前記包装材における収納部の開封の有無を検知する検知部と、を備え、前記アンテナ部は、前記収納部の開封の前と後とで相異する前記情報を前記無線通信装置から受信し、前記検知部は、前記アンテナ部によって受信された前記情報の差異に基づいて、前記収納部の開封の有無を検知することを特徴とする。
【0031】
また、本発明に係る収納物管理システムは、上記の発明のいずれかに記載の包装材と、前記包装材が有する無線通信装置によって発信され、収納物を収納する前記包装材における収納部の開封の前と後とで相異する情報を受信し、受信した前記情報の差異に基づいて前記収納部の開封の有無を読み取り検知する読取装置と、前記読取装置と回線を介して通信可能に接続された管理装置と、前記管理装置と回線を介して通信可能に接続された端末装置と、を備え、前記管理装置は、前記読取装置によって検知された前記収納部の開封の有無を示す検知情報を前記読取装置から受信し、受信した前記検知情報を前記端末装置に通知することを特徴とする。
【0032】
また、本発明に係る収納物管理システムは、上記の発明において、前記無線通信装置は、記憶手段を有し、前記情報の差異は、前記記憶手段から読み出される情報が前記収納部の開封の前と後とで変化することによって生じることを特徴とする。
【0033】
また、本発明に係る収納物管理システムは、上記の発明において、前記情報の差異は、前記無線通信装置によって発信される信号の変調度が前記収納部の開封の前と後とで相異することによって生じることを特徴とする。
【0034】
また、本発明に係る断線検知デバイスは、基材に形成される導線と、前記導線と接続されるように前記基材に形成され、前記導線が切断される前と後とで相異する情報を含む信号を発信する無線通信装置と、を備え、前記無線通信装置は、記憶手段を有し、前記記憶手段は、少なくとも1つのメモリ素子を有し、前記導線は、前記メモリ素子に接続され、前記情報は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記メモリ素子から読み出されることを特徴とする。
【0035】
また、本発明に係る断線検知デバイスは、基材に形成される導線と、前記導線と接続されるように前記基材に形成され、前記導線が切断される前と後とで相異する情報を含む信号を発信する無線通信装置と、を備え、前記無線通信装置は、記憶手段を有し、前記記憶手段は、少なくとも1つのフリップフロップ回路を含み、前記導線は、前記フリップフロップ回路に接続され、前記情報は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記フリップフロップ回路から読み出されることを特徴とする。
【0036】
また、本発明に係る断線検知デバイスは、基材に形成される導線と、前記導線と接続されるように前記基材に形成され、前記導線が切断される前と後とで相異する情報を含む信号を発信する無線通信装置と、を備え、前記無線通信装置は、変調回路を有し、前記導線は、前記変調回路に接続され、前記情報を含む信号は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記変調回路によって変調されることを特徴とする。
【0037】
また、本発明に係る開封検知ラベルは、基材に形成される導線と、前記導線と接続されるように前記基材に形成され、前記導線が切断される前と後とで相異する情報を含む信号を発信する無線通信装置と、を有する断線検知デバイスを備え、前記断線検知デバイスは、被開封物に付けられるように構成され、前記導線は、前記被開封物の開封に伴って前記基材とともに切断されることを特徴とする。
【0038】
また、本発明に係る開封検知ラベルは、上記の発明において、前記無線通信装置は、記憶手段を有し、前記記憶手段は、少なくとも1つのメモリ素子を有し、前記導線は、前記メモリ素子に接続され、前記情報は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記メモリ素子から読み出されることを特徴とする。
【0039】
また、本発明に係る開封検知ラベルは、上記の発明において、前記無線通信装置は、記憶手段を有し、前記記憶手段は、少なくとも1つのフリップフロップ回路を含み、前記導線は、前記フリップフロップ回路に接続され、前記情報は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記フリップフロップ回路から読み出されることを特徴とする。
【0040】
また、本発明に係る開封検知ラベルは、上記の発明において、前記無線通信装置は、変調回路を有し、前記導線は、前記変調回路に接続され、前記情報を含む信号は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記変調回路によって変調されることを特徴とする。
【0041】
また、本発明に係る開封検知システムは、上記の発明に記載の開封検知ラベルと、前記開封検知ラベルが有する無線通信装置によって発信され、被開封物の開封の前と後とで相異する情報を受信し、受信した前記情報の差異に基づいて前記被開封物の開封の有無を読み取り検知する読取装置と、前記読取装置と回線を介して通信可能に接続された管理装置と、前記管理装置と回線を介して通信可能に接続された端末装置と、を備え、前記管理装置は、前記読取装置によって検知された前記被開封物の開封の有無を示す検知情報を前記読取装置から受信し、受信した前記検知情報を前記端末装置に通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、収納部からの収納物の取り出し検知の信頼性を高め、かつ、包装材が収納部別に切り離されても、収納部が開封されたことを検知することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1A図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る包装材の一構成例を示す上面図である。
図1B図1Bは、図1Aに示す包装材のA-A’線断面図である。
図1C図1Cは、図1Aに示す包装材のB-B’線断面図である。
図2A図2Aは、本発明の第1の実施形態に係る包装材の収納部から収納物が取り出された状態の一具体例を示す図である。
図2B図2Bは、図2Aに示す包装材のC-C’線断面図である。
図3A図3Aは、本発明の第1の実施形態に係る包装材のシートに形成される接続線の第1変形例を示す図である。
図3B図3Bは、本発明の第1の実施形態に係る包装材のシートに形成される接続線の第2変形例を示す図である。
図4A図4Aは、本発明の第2の実施形態に係る包装材の一構成例を示す上面図である。
図4B図4Bは、図4Aに示す包装材のA-A’線断面図である。
図4C図4Cは、図4Aに示す包装材のB-B’線断面図である。
図5A図5Aは、本発明の第2の実施形態に係る包装材の収納部から収納物が取り出された状態の一具体例を示す図である。
図5B図5Bは、図5Aに示す包装材のC-C’線断面図である。
図6A図6Aは、第2の実施形態の第1変形例に係る包装材の一構成例を示す図である。
図6B図6Bは、第2の実施形態の第2変形例に係る包装材の一構成例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る包装材に適用される無線通信装置の一構成例を示すブロック図である。
図8図8は、本発明における無線通信装置の回路部に適用される薄膜トランジスタの一構成例を示す側面図である。
図9A図9Aは、本発明の第1の実施形態に係る包装材の製造方法における接続線および無線通信装置の形成を説明する図である。
図9B図9Bは、本発明の第1の実施形態に係る包装材の製造方法における包装材本体部とシートとの貼り付けを説明する図である。
図10図10は、本発明の第1の実施形態に係る包装材に接続された第3の実施形態に係る無線通信装置の基本の構成例を示すブロック図である。
図11図11は、本発明の第2の実施形態に係る包装材に接続された第3の実施形態に係る無線通信装置の基本の構成例を示すブロック図である。
図12A図12Aは、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第一例を示すブロック図である。
図12B図12Bは、図12Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。
図12C図12Cは、図12Bに示すメモリ素子のI-I’線断面図である。
図13A図13Aは、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第二例を示すブロック図である。
図13B図13Bは、図13Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。
図14A図14Aは、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第三例を示すブロック図である。
図14B図14Bは、図14Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。
図14C図14Cは、図14Bに示すメモリアレイのII-II’線断面図である。
図15A図15Aは、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第四例を示すブロック図である。
図15B図15Bは、図15Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。
図16A図16Aは、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第五例に適用される記憶部の一構成例を示す図である。
図16B図16Bは、図16Aに示すメモリアレイのIV-IV’線断面図である。
図17図17は、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第六例に適用される記憶部の一構成例を示す図である。
図18A図18Aは、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第七例に適用される記憶部の一構成例を示す図である。
図18B図18Bは、図18Aに示すメモリアレイのVI-VI’線断面図である。
図19図19は、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第八例に適用される記憶部の一構成例を示す図である。
図20A図20Aは、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第九例を示すブロック図である。
図20B図20Bは、図20Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。
図20C図20Cは、図20Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。
図20D図20Dは、図20Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。
図20E図20Eは、図20Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。
図21A図21Aは、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第十例を示すブロック図である。
図21B図21Bは、図21Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。
図22A図22Aは、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第十一例を示すブロック図である。
図22B図22Bは、図22Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。
図23A図23Aは、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第十二例を示すブロック図である。
図23B図23Bは、図23Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。
図24A図24Aは、本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置の一構成例を示すブロック図である。
図24B図24Bは、本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置の別の一構成例を示すブロック図である。
図24C図24Cは、図24Aに示す本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置に適用される変調回路の一構成例を示す図である。
図24D図24Dは、図24Cに示す本発明の第4の実施形態における変調回路に適用される抵抗素子の配置の別例を示す図である。
図24E図24Eは、図24Bに示す本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置に適用される変調回路の一構成例を示す図である。
図24F図24Fは、図24Eに示す本発明の第4の実施形態における変調回路に適用される抵抗素子の配置の別例を示す図である。
図25A図25Aは、本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置の一構成例を示すブロック図である。
図25B図25Bは、本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置の別の一構成例を示すブロック図である。
図25C図25Cは、図25Aに示す本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置に適用される変調回路の一構成例を示す図である。
図25D図25Dは、図25Bに示す本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置に適用される変調回路の一構成例を示す図である。
図26図26は、本発明の一実施形態に係る収納物管理システムの一構成例を示す図である。
図27図27は、本発明の一実施形態に係る断線検知デバイスを含む断線検知デバイスシート一構成例を示す上面図である。
図28A図28Aは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの一構成例を示す上面図である。
図28B図28Bは、図28Aに示す開封検知ラベルセットのE-E’線断面図である。
図28C図28Cは、図28Aに示す開封検知ラベルセットのF-F’線断面図である。
図29A図29Aは、本発明の一実施形態に係るシールラベル型の開封検知ラベルに小片化する前の開封検知ラベルシートの一構成例を示す上面図である。
図29B図29Bは、図29Aに示す開封検知ラベルシートのG-G’線断面図である。
図29C図29Cは、第1方向から見た開封検知ラベルシートの小片化工程を説明する模式図である。
図29D図29Dは、図29Aに示す開封検知ラベルシートのH-H’線断面図である。
図29E図29Eは、第2方向から見た開封検知ラベルシートの小片化工程を説明する模式図である。
図29F図29Fは、本発明の一実施形態に係るフィルムラベル型の開封検知ラベルに小片化する前の開封検知ラベルシートの一構成例を示す上面図である。
図29G図29Gは、図29Fに示す開封検知ラベルシートのG-G’線断面図である。
図29H図29Hは、図29Fに示す開封検知ラベルシートのH-H’線断面図である。
図30図30は、本発明の一実施形態の変形例に係る開封検知ラベルの一構成例を示す上面図である。
図31A図31Aは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第一適用例を示す模式図である。
図31B図31Bは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第二適用例を示す模式図である。
図31C図31Cは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第三適用例を示す模式図である。
図31D図31Dは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第四適用例を示す模式図である。
図31E図31Eは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第五適用例を示す模式図である。
図31F図31Fは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第六適用例を示す模式図である。
図31G図31Gは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第七適用例を示す模式図である。
図31H図31Hは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第八適用例を示す模式図である。
図31I図31Iは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第九適用例を示す模式図である。
図32図32は、本発明の一実施形態に係る開封検知システムの一構成例を示す図である。
図33図33は、本発明の一実施形態に係る開封検知システムの読取装置の一具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に、図面を参照して、本発明に係る包装材、包装材の製造方法、読取装置、収納物管理システム、断線検知デバイス、開封検知ラベル、および開封検知システムの好適な実施形態を説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態(例えば回路構成など)で実施することが可能であり、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細は様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、本実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、各図面において、同一または対応する構成部分には同一の符号を付している。
【0045】
(第1の実施形態)
(包装材の構成)
図1A~1Cは、本発明の第1の実施形態に係る包装材の構成を説明するための図である。図1Aは、この第1の実施形態に係る包装材の一構成例を示す上面図である。図1Bは、図1Aに示す包装材のA-A’線断面図である。図1Cは、図1Aに示す包装材のB-B’線断面図である。
【0046】
図1A~1Cに示すように、この包装材10は、包装材本体部18と、シート11とを備える。包装材本体部18は、複数の収納部、例えば図1Bに示すように、4つの収納部15a~15dを有する。収納部15a~15dはそれぞれ、包装材本体部18のうち、収納物を収納するための部分である。例えば図1Bに示すように、収納部15aは収納物17aを収納し、収納部15bは収納物17bを収納し、収納部15cは収納物17cを収納し、収納部15dは収納物17dを収納する。シート11は、これらの収納部15a~15dの各開口を密閉するものである。
【0047】
また、包装材10は、複数の接続線(例えば図1A,1Bに示す4つの接続線13a~13d)と、複数の無線通信装置(例えば図1Aに示す4つの無線通信装置16a~16d)とを備える。これらの複数の接続線および無線通信装置は、複数の収納部15a~15dの各々に対応してシート11に形成される。具体的には、図1A,1Bに示すように、接続線13aは、収納部15aに対応する導線であり、収納物17aを収納した状態にある収納部15aの密閉された開口上を通過するようにシート11上に形成されている。接続線13bは、収納部15bに対応する導線であり、収納物17bを収納した状態にある収納部15bの密閉された開口上を通過するようにシート11上に形成されている。接続線13cは、収納部15cに対応する導線であり、収納物17cを収納した状態にある収納部15cの密閉された開口上を通過するようにシート11上に形成されている。接続線13dは、収納部15dに対応する導線であり、収納物17dを収納した状態にある収納部15dの密閉された開口上を通過するようにシート11上に形成されている。
【0048】
無線通信装置16aは、図1Aに示すように、収納部15aに対応するものであり、接続線13aと接続されるようにシート11上に形成されている。具体的には、無線通信装置16aは、少なくとも、無線通信用のアンテナ12aと、無線通信などの機能を有する回路部14aとを備える。接続線13aは、例えば、回路部14aから延出して収納部15a上を横切るように通過する環状パターンをなすように、回路部14aと接続される。無線通信装置16aは、収納部15aの開封に伴ってシート11とともに接続線13aが切断される前と後とで相異する情報(当該情報を含む信号)を発信する。
【0049】
無線通信装置16bは、図1Aに示すように、収納部15bに対応するものであり、接続線13bと接続されるようにシート11上に形成されている。上述した無線通信装置16aと同様に、無線通信装置16bは、少なくともアンテナ12bと回路部14bとを備える。この回路部14bには、例えば、収納部15b上を横切るように通過する環状パターンの接続線13bが接続される。無線通信装置16bは、収納部15bの開封に伴ってシート11とともに接続線13bが切断される前と後とで相異する情報(当該情報を含む信号)を発信する。
【0050】
無線通信装置16cは、図1Aに示すように、収納部15cに対応するものであり、接続線13cと接続されるようにシート11上に形成されている。上述した無線通信装置16a,16bと同様に、無線通信装置16cは、少なくともアンテナ12cと回路部14cとを備える。この回路部14cには、例えば、収納部15c上を横切るように通過する環状パターンの接続線13cが接続される。無線通信装置16cは、収納部15cの開封に伴ってシート11とともに接続線13cが切断される前と後とで相異する情報(当該情報を含む信号)を発信する。
【0051】
無線通信装置16dは、図1Aに示すように、収納部15dに対応するものであり、接続線13dと接続されるようにシート11上に形成されている。上述した無線通信装置16a~16cと同様に、無線通信装置16dは、少なくともアンテナ12dと回路部14dとを備える。この回路部14dには、例えば、収納部15d上を横切るように通過する環状パターンの接続線13dが接続される。無線通信装置16dは、収納部15dの開封に伴ってシート11とともに接続線13dが切断される前と後とで相異する情報(当該情報を含む信号)を発信する。
【0052】
以下、収納部15a~15dは、総称して「収納部15」と適宜称される。収納部15は、収納部15a~15dの全てまたは何れかを意味する。同様に、収納物17a~17dは、総称して「収納物17」と適宜称される。収納物17は、収納物17a~17dの全てまたは何れかを意味する。接続線13a~13dは、総称して「接続線13」と適宜称される。接続線13は、接続線13a~13dの全てまたは何れかを意味する。無線通信装置16a~16dは、総称して「無線通信装置16」と適宜称される。無線通信装置16は、無線通信装置16a~16dの全てまたは何れかを意味する。アンテナ12a~12dは、総称して「アンテナ12」と適宜称される。アンテナ12は、アンテナ12a~12dの全てまたは何れかを意味する。回路部14a~14dは、総称して「回路部14」と適宜称される。回路部14は、回路部14a~14dの全てまたは何れかを意味する。
【0053】
なお、図1A,1Bでは、4つの収納部15を有する包装材10が例示されているが、包装材10が有する収納部15の数は、上述した4つに限定されず、1つ以上であればよい。また、包装材10の収納部15に収納される収納物17の数は、上述した4つに限定されず、収納部15毎に1つ以上であってもよい。例えば、1つの収納部15に複数の収納物17が収納されていてもよい。また、収納部15毎にシート11に設けられる接続線13および無線通信装置16の各配置数は、上述した4つに限定されず、1つの収納部15あたりに1つ以上であってもよい。例えば、1つの収納部15あたりに複数本の接続線13が形成されていてもよい。
【0054】
図2Aは、本発明の実施形態に係る包装材10の収納部15から収納物17が取り出された状態の一具体例を示す図である。図2Bは、図2Aに示す包装材のC-C’線断面図である。図2A,2Bには、収納部15から収納物17が取り出された包装材10の一具体例として、収納部15b,15cから収納物17b,17cが各々取り出された状態の包装材10が図示されている。
【0055】
図2A,2Bに示すように、包装材10の収納部15b,15cから収納物17b,17c(図1B参照)が取り出された場合、シート11のうち、これらの収納部15b,15cの開口を密閉していた部分が破れて、収納部15b,15cが各々開封された状態となっている。これに伴い、接続線13b,13cはそれぞれ、このシート11の各破断部分とともに切断される。
【0056】
ここで、無線通信装置16bは、接続線13bが切断される前の状態(図1A参照)である場合、回路部14bに予め記録されていた情報を含む無線信号を、外部装置(図示せず)からの要求信号に応答してアンテナ12bから発する。一方、接続線13bが上述したように切断された後の状態である場合、無線通信装置16bは、接続線13bの切断前に発信していた情報とは相異する情報を含む無線信号を、外部装置からの要求信号に応答してアンテナ12bから発する。この無線通信装置16bの動作とは独立して、無線通信装置16cは、接続線13cが切断される前の状態(図1A参照)である場合、回路部14cに予め記録されていた情報を含む無線信号を、外部装置からの要求信号に応答してアンテナ12cから発する。一方、接続線13cが上述したように切断された後の状態である場合、無線通信装置16cは、接続線13cの切断前に発信していた情報とは相異する情報を含む無線信号を、外部装置からの要求信号に応答してアンテナ12cから発する。
【0057】
また、図2A,2Bに示すように、収納部15a,15dから収納物17a,17dが取り出されていない場合、接続線13a,13dは、いずれも切断されていない。この場合、無線通信装置16aは、回路部14aに予め記録されていた情報を含む無線信号を、外部装置からの要求信号に応答してアンテナ12aから発する。これと同様に、無線通信装置16dは、回路部14dに予め記録されていた情報を含む無線信号を、外部装置からの要求信号に応答してアンテナ12dから発する。このような無線通信装置16a,16dの各動作は、図2A,2Bに示すように収納部15b,15cが開封されたか否かに関係なく、すなわち、接続線13b,13cの切断前後で相異する無線通信装置16b,16cの各動作とは関係なく、各々独立して行われる。
【0058】
上述したように包装材10を構成することにより、収納部15が開封されたか否かを検知することが可能な情報を無線通信装置16から収納部15毎に発信することができる。また、外部装置からの応答要求に対する無線通信装置16の応答の有無に基づいて無線通信装置16のいずれが故障したか否かを検知することができる。これらの結果、無線通信装置16の故障などに起因して収納部15のうち未開封のものが開封された状態であると誤認識することを防止できることから、収納部15からの収納物17の取り出し検知の信頼性を高めることができる。例えば、無線通信装置16が故障していれば、無線通信装置16のうち故障しているものからは外部装置に対する応答が無いため、未開封の収納部15を開封されたものと誤認識することなく、この応答が無い無線通信装置16が故障していると判断することができる。
【0059】
さらに、包装材10では、収納部15毎に接続線13および無線通信装置16の各セットがシート11に配置されている。このため、接続線13および無線通信装置16のいずれも破損することなく、接続線13および無線通信装置16の各セットをシート11および包装材本体部18とともに収納部15別に切り離すことができる。これにより、包装材10を、収納部15別(収納された収納物17別)に切り離して持ち運びできるとともに、切り離されたシート11上の無線通信装置16からは、収納部15が開封されたか否かを検知することが可能な情報を個別に発信することができる。この結果、たとえ無線通信装置16が収納部15別に切り離された状態であっても、無線通信装置16の情報を読み取ることが可能であるため、個別に切り離された状態にある収納部15の開封の有無を検知することができる。
【0060】
なお、本実施形態に係る包装材10では、収納部15の密閉される開口上を横切る環状パターンの接続線13(図1A参照)が例示されていたが、接続線13は、収納部15の密閉される開口上を通過するように形成されていれば、その態様に制限はない。図3Aは、包装材のシートに形成される接続線13の第1変形例を示す図である。図3Bは、包装材のシートに形成される接続線13の第2変形例を示す図である。例えば、接続線13a~13dは、図3A,3Bに示す包装材10a,10bのように、シート11によって密閉された状態にある収納部15a~15dの各開口上を各々縦断または横断するように通過する環状パターンに形成されてもよい。
【0061】
(第2の実施形態)
図4A~4Cは、本発明の第2の実施形態に係る包装材の構成を説明するための図である。図4Aは、この第2の実施形態に係る包装材の一構成例を示す上面図である。図4Bは、図4Aに示す包装材のA-A’線断面図である。図4Cは、図4Aに示す包装材のB-B’線断面図である。
【0062】
図4A~4Cに示すように、この包装材10Aは、包装材本体部18と、シート11とを備える。包装材本体部18は、複数の収納部15、例えば図4Bに示すように、4つの収納部15a~15dを有する。収納部15a~15dはそれぞれ、包装材本体部18のうち、収納物17を収納するための部分である。例えば図4Bに示すように、収納部15aは収納物17aを収納し、収納部15bは収納物17bを収納し、収納部15cは収納物17cを収納し、収納部15dは収納物17dを収納する。シート11は、これらの収納部15a~15dの各開口を密閉するものである。
【0063】
包装材10Aは、複数の接続線13(例えば図4A,4Bに示す4つの接続線13a~13d)と、1つの無線通信装置16(例えば図4Aに示す無線通信装置16)とを備える。これらの複数の接続線13a~13dは、複数の収納部15の各々に対応してシート11に設けられる。具体的には、図4A,4Bに示すように、接続線13aは、収納部15aに対応する導線であり、収納物17aを収納した状態にある収納部15aの密閉された開口上を通過するようにシート11上に形成されている。接続線13bは、収納部15bに対応する導線であり、収納物17bを収納した状態にある収納部15bの密閉された開口上を通過するようにシート11上に形成されている。接続線13cは、収納部15cに対応する導線であり、収納物17cを収納した状態にある収納部15cの密閉された開口上を通過するようにシート11上に形成されている。接続線13dは、収納部15dに対応する導線であり、収納物17dを収納した状態にある収納部15dの密閉された開口上を通過するようにシート11上に形成されている。
【0064】
図4Aに示すように、無線通信装置16は、接続線13a~13dと接続されるようにシート11上に設けられている。具体的には、無線通信装置16は、少なくとも、無線通信用のアンテナ12と、無線通信などの機能を有する回路部14とを備える。接続線13a~13dは、例えば、回路部14から延出して収納部15a~15d上を横切るように通過する環状パターンをなすように、回路部14と接続される。無線通信装置16は、収納部15a~15dの開封に伴ってシート11とともに接続線13a~13dが切断される前と後とで相異する情報(当該情報を含む信号)を発信する。
【0065】
なお、図4A,4Bでは、4つの収納部15を有する包装材10Aが例示されているが、包装材10Aが有する収納部15の数は、上述した4つに限定されず、1つ以上であればよい。また、包装材10Aの収納部15に収納される収納物17の数は、上述した4つに限定されず、収納部15毎に1つ以上であってもよい。例えば、1つの収納部15に複数の収納物17が収納されていてもよい。また、収納部15毎にシート11に設けられる接続線13の各配置数は、上述した4つに限定されず、1つの収納部15あたりに1つ以上であってもよい。例えば、1つの収納部15あたりに複数本の接続線13が設けられていてもよい。
【0066】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る包装材の収納部15から収納物17が取り出された状態の一具体例を示す図である。図5Bは、図5Aに示す包装材のC-C’線断面図である。図5A,5Bには、収納部15から収納物17が取り出された包装材10Aの一具体例として、収納部15b,15cから収納物17b,17cが各々取り出された状態の包装材10Aが図示されている。
【0067】
図5A,5Bに示すように、包装材10Aの収納部15b,15cから収納物17b,17c(図5B参照)が取り出された場合、シート11のうち、これらの収納部15b,15cの開口を密閉していた部分が破れて、収納部15b,15cが各々開封された状態となっている。これに伴い、接続線13b,13cはそれぞれ、このシート11の各破断部分とともに切断される。
【0068】
ここで、無線通信装置16は、接続線13bが切断される前の状態(図4A参照)である場合、回路部14に予め記録されていた情報を含む無線信号を、外部装置(図示せず)からの要求信号に応答してアンテナ12から発する。一方、接続線13bが上述したように切断された後の状態である場合、無線通信装置16は、接続線13bの切断前に発信していた情報とは相異する情報を含む無線信号を、外部装置からの要求信号に応答してアンテナ12から発する。この接続線13bとは独立して、無線通信装置16は、接続線13cが切断される前の状態(図4A参照)である場合、回路部14に予め記録されていた情報を含む無線信号を、外部装置からの要求信号に応答してアンテナ12から発する。一方、接続線13cが上述したように切断された後の状態である場合、無線通信装置16は、接続線13cの切断前に発信していた情報とは相異する情報を含む無線信号を、外部装置からの要求信号に応答してアンテナ12から発する。
【0069】
また、図5A,5Bに示すように、収納部15a,15dから収納物17a,17dが取り出されていない場合、接続線13a,13dは、いずれも切断されていない。この場合、無線通信装置16は、回路部14に予め記録されていた情報を含む無線信号を、外部装置からの要求信号に応答してアンテナ12から発する。
【0070】
上述したように包装材10Aを構成することにより、収納部15が開封されたか否かを検知することが可能な情報を無線通信装置16から収納部15毎に発信することができる。また、外部装置からの応答要求に対する無線通信装置16の応答の有無に基づいて無線通信装置16が故障したか否かを検知することができる。これらの結果、無線通信装置16の故障などに起因して未開封の収納部15を開封された状態であると誤認識することを防止できることから、収納部15からの収納物17の取り出し検知の信頼性を高めることができる。例えば、無線通信装置16が故障していれば、外部装置に対する応答が無いため、未開封の収納部15を開封されたものと誤認識することなく、この応答が無い無線通信装置16が故障していると判断することができる。
【0071】
なお、第2の実施形態に係る包装材10Aでは、収納部15の密閉される開口上を横切る環状パターンの接続線13(図4A参照)が例示されていたが、接続線13は、収納部15の密閉される開口上を通過するように形成されていれば、その態様に制限はない。図6Aは、第2の実施形態の第1変形例に係る包装材の一構成例を示す図である。図6Aに示すように、包装材10Aにおいて、接続線13a~13dの一部が共通化されてもよい。
【0072】
第2の実施形態に係る包装材10Aとしては、シート11上に無線通信装置16が1つのみ設けられた構成(図6A参照)を例示したが、無線通信装置16は2つ以上設けてもよい。図6Bは、第2の実施形態の第2変形例に係る包装材の一構成例を示す図である。図6Bに示すように、包装材10Aにおいて、2つの無線通信装置16a,16bが設けられている。第2変形例による包装材10Aにおいては、無線通信装置16aが接続線13a,13bと接続され、無線通信装置16bが接続線13c,13dと接続されている。なお、図6Bにおいて無線通信装置16a,16bは、シート11の上下端部側に設けられているが、無線通信装置16a,16bを設ける位置に制限はなく、無線通信装置16a,16bを例えばシート11の左右端部側に設けてもよく、シート11の中央部に集めて設けてもよい。
【0073】
また、無線通信装置16は、その種類に特に制限はなく、パッシブ型またはアクティブ型のRFID技術を用いた無線通信装置であってもよいし、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格に準拠した無線通信装置であってもよい。無線通信装置16は、上述したように、少なくともアンテナ12と回路部14とを備える(図1Aに示す無線通信装置16a~16d、および図4Aに示す無線通信装置16参照)。図7は、本発明の実施形態に係る包装材に適用される無線通信装置16の一構成例を示すブロック図である。図7に示すように、無線通信装置16は、アンテナ12と回路部14とを備える。回路部14は、記憶部141と、電源生成部142と、通信回路143と、制御回路146とを備える。
【0074】
アンテナ12は、無線通信装置16から情報を読み取る読取装置などの外部装置との間で無線信号を送受信するものである。記憶手段としての記憶部141は、所定の情報(例えばID番号などの固有情報)が読み出し可能に記録されたメモリ素子や、メモリアレイや、フリップフロップ回路などを用いて構成される。電源生成部142は、無線通信装置16における整流回路として機能するものである。通信回路143は、無線通信を行うための回路であり、例えば、復調回路144と変調回路145とによって構成される。制御回路146は、これらの各回路を制御するためのものである。図7に示すように、アンテナ12および回路部14の各回路は、それぞれ配線を介して電気的に接続されている。
【0075】
このような無線通信装置16において、アンテナ12は、外部装置から送信された無線信号(変調波信号)を受信する。電源生成部142は、アンテナ12で受信された変調波信号を直流電流に変換する整流を行い、これによって得られた直流電流(電源)を無線通信装置16の各構成部に供給する。復調回路144は、この変調波信号を復調し、これによって得られた電気信号(コマンド)を制御回路146に送信する。記憶部141は、予め記録された情報を保持している。制御回路146は、復調回路144から受信した電気信号をもとに入手したコマンドに基づき、記憶部141から情報を読み出し、この読み出した情報を変調回路145に送信する。変調回路145は、制御回路146から受信したデータを変調し、これによって生成した変調波信号をアンテナ12に送信する。アンテナ12は、この変調回路145からの変調波信号を、上述した情報を含む無線信号として外部装置に送信する。
【0076】
なお、回路部14に含まれる回路としては、無線通信装置16と外部装置との間での無線通信機能を実現できるものであれば、特に制限はない。このような回路としては、例えば、図7に示す記憶部141、電源生成部142、通信回路143および制御回路146などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0077】
一方、図7には特に図示されていないが、無線通信装置16の回路部14には、接続線13が接続されている(図1Aに示す接続線13a~13dおよび回路部14a~14d、および図4Aに示す接続線13a~13dおよび回路部14参照)。例えば、接続線13は、回路部14を構成する各回路のいずれか(例えば、記憶部141や、通信回路143や、制御回路146)と接続される。接続線13が接続される回路としては、無線通信装置16から外部装置へ発信される情報を、収納部15の開封に伴う接続線13の切断の前後で変化させ得る回路であれば、特に制限はない。
【0078】
(実施形態に係る包装材の製造方法)
次に、参照する図面を図1A~1Cに戻し、本発明の第1の実施形態に係る包装材10の構成について詳細に説明する。なお、以下に説明する構成に関しては、図4A~4Cに示す第2の実施形態に係る包装材10Aの構成についても同様である。
【0079】
図1B,1Cに示すように、包装材本体部18は、略半円形状の凸部で構成された収納部15a~15dを有する。包装材本体部18には、収納部15a~15dの各開口側に、破断可能なシート11が貼り付けられる。収納部15a~15dの各開口は、このシート11によって密閉される。
【0080】
包装材本体部18は、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、環状オレフィンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリクロロテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデンなどの透明な樹脂材料、これらの発泡体の材料、または、これらの材料の中から選択される二種類以上の材料の積層体などにより、形成されている。
【0081】
シート11としては、特に制限はないが、例えば、樹脂材料、金属材料、紙材料、およびそれらの積層体が用いられる。これらの中でも、温度や湿度などに対する安定性、低水蒸気透過率などの観点から、金属材料(例えば金属箔)を含むことが好ましい。この場合、無線通信装置16とシート11との絶縁をとる必要があることから、シート11として、金属箔と絶縁層との積層体が好ましい。
【0082】
シート11の絶縁層に用いられる材料としては、特に限定されないが、例えば、無機材料、有機高分子材料、または無機材料粉末と有機材料との混合物などが挙げられる。無機材料としては、例えば、酸化シリコン、アルミナなどが挙げられる。有機高分子材料としては、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂などが挙げられる。絶縁層の厚さには、特に制限はない。また、収納部15を開封する際のシート11の破断を容易にするという観点から、ミシン目やV字の切れ込みなどの切断可能部が、シート11を構成する絶縁層のうちの少なくとも収納部15の開口上に位置する部分に設けられてもよい。
【0083】
また、絶縁層の形成方法としては、ポリエチレンテレフタレートなどの高分子フィルムを金属箔にラミネートする方法、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、CVD、イオンプレーティングコーティング、インクジェット、印刷、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法などの公知の技術が挙げられる。しかし、絶縁層の形成方法は、これらに限定されるものではない。なお、シート11を構成する絶縁層は、単層でも多層でもよい。さらに、この絶縁層と金属箔との間には、印字層が形成されていてもよい。印字層の印刷方法としては、特に制限はなく、グラビア印刷法などが挙げられる。
【0084】
シート11と包装材本体部18との間には、図示しないが、シート11と包装材本体部18とを貼り付けるための接着層が存在する。なお、この接着層とシート11との間には、印字層が形成されていてもよい。印字層の印刷方法としては、特に制限はなく、グラビア印刷法などが挙げられる。
【0085】
接続線13に用いられる材料には、特に制限はなく、一般的に導電体として使用されうる導電材料であれば、いかなるものでもよい。接続線13の導電材料としては、例えば、導電性金属酸化物、金属、無機導電性物質、有機導電性物質、導電性ポリマー、炭素材料などが挙げられる。導電性金属酸化物としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などが挙げられる。金属としては、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデン、アモルファスシリコンやポリシリコン、これらの合金などが挙げられる。無機導電性物質としては、例えば、ヨウ化銅、硫化銅などが挙げられる。有機導電性物質としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体などが挙げられる。導電性ポリマーとしては、例えば、ヨウ素などのドーピングによって導電率を向上させたものなどが挙げられる。しかし、接続線13の導電材料は、これらに限定されるものではない。これらの導電材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
【0086】
接続線13の形成方法としては、例えば、導電膜を公知のフォトリソグラフィー法などによってパターン形成する方法、電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターン形成する方法、上述した方法で作製した電極薄膜をレーザ加工によってパターン形成する方法、感光性導電ペーストを用いたフォトリソグラフィー加工によってパターン形成する方法、印刷手法によって直接パターン形成する方法、シート11上に貼り付けた金属箔をエッチングする方法などが挙げられる。導電膜を形成する方法としては、例えば、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、CVD、イオンプレーティングコーティング、インクジェットおよび印刷などが挙げられる。接続線13を直接パターン形成する際の印刷手法としては、例えば、インクジェットやスクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などが挙げられる。
【0087】
上述した導電膜を形成する方法に特に制限はないが、製造コストなどの観点から、上述した印刷手法によって導電ペーストをシート11上に塗布して導電膜を形成することが好ましい。なお、導電ペーストの乾燥および焼成の方法としては、オーブン、イナートオーブン、ホットプレート、赤外線などによる加熱硬化や真空硬化、キセノンフラッシュランプによる硬化、UV光による光硬化などが挙げられる。しかし、この方法は、導通をとることができれば、特に制限されない。
【0088】
本発明において、アンテナ(例えば図1Aに示すアンテナ12a~12d)とは、電波を送受信するためのものである。アンテナ12の種類としては、特に制限はなく、例えば、HF(High Frequency)帯での通信に用いられるループアンテナ、スパイラルアンテナや、UHF(Ultra High Frequency)帯での通信に用いられるダイポールアンテナ、パッチアンテナなどが挙げられる。本実施形態では、アンテナ12のパターンの一例として、メアンダライン形状のダイポールアンテナを主に例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0089】
アンテナ12に用いられる材料には、特に制限はなく、一般的に導電体として使用されうる導電材料であれば、いかなるものでもよい。例えば、アンテナ12の材料として、上述した接続線13と同様の導電材料を用いることができる。アンテナ12の形成方法としては、特に制限はなく、基材上にアンテナパターンが形成されたアンテナシートをシート11上に貼り付ける方法や、シート11上に導電性ペーストをアンテナに対応するパターンに印刷して熱や光によって硬化させる方法や、シート11上に抜き刃を用いてアンテナ形状に加工された金属箔を転写する方法などが挙げられる。なお、上述したアンテナシートの形成方法としては、抜き刃を用いて銅箔やアルミニウム箔などの金属箔をアンテナ形状に加工して基材に転写する方法、高分子フィルムなどの基材に貼り付けた金属箔を、金属箔上に形成したレジスト層をマスクとしてエッチングする方法、高分子フィルムなどの基材に導電性ペーストをアンテナに対応するパターンに印刷して熱や光によって硬化させる方法などが挙げられる。しかし、アンテナシートの形成方法は、これらに限定されるものではない。
【0090】
回路部14の形成方法としては、既存のICチップを実装する方法や、ICを印刷などの塗布工程によって形成する方法が挙げられる。製造コストの観点からは、回路部14の形成方法は、後者の方法が好ましい。図8は、本発明における無線通信装置16の回路部に適用される薄膜トランジスタの一構成例を示す側面図である。回路部14は、少なくとも、図8に例示する薄膜トランジスタ20と配線(図示せず)とを有する。薄膜トランジスタ20は、図8に示すように、基材21と、ゲート電極22と、ソース電極25と、ドレイン電極26と、ゲート絶縁層23と、半導体層24とによって構成される。薄膜トランジスタ20の構造(以下、TFT構造と適宜いう)は、ゲート電極22が半導体層24の下側(基材21側)に配置され、半導体層24と同一平面上にソース電極25およびドレイン電極26が配置される、いわゆるボトムゲート構造である。しかし、本発明における無線通信装置16の回路部14に適用されるTFT構造は、これに限られるものではなく、例えば、ゲート電極22が半導体層24の上側(基材21と反対側)に配置され、半導体層24と同一平面上にソース電極25およびドレイン電極26が配置される、いわゆるトップゲート構造であってもよい。
【0091】
薄膜トランジスタ20の各電極(ゲート電極22、ソース電極25、ドレイン電極26)および配線の形成には、接続線13と同様の材料および形成方法を適用することができる。ただし、回路部14の性能の観点から、薄膜トランジスタ20の各電極や配線の加工には微細加工性が必要になるため、回路部14を塗布形成する場合は、感光性導電ペーストを用いたフォトリソグラフィー加工が好ましい。感光性導電ペーストは、特に限定されないが、微細加工性および製造コストの観点から、少なくとも銀(Ag)粒子と感光性有機成分とを含有する感光性導電ペーストであることが好ましい。
【0092】
また、回路部14を塗布形成する場合、この回路部14の塗布工程において、回路部14の配線および接続線13を回路部14とともに塗布形成してもよい。具体的には、Ag粒子などの導電体と感光性有機成分とを含有する感光性導電ペーストを用いてシート11上に塗布膜を形成し、この塗布膜を、フォトリソグラフィー法によって回路部14の配線と接続線13とに対応するパターンに加工し、回路部14の配線と接続線13とに対応するパターンを硬化させ、回路部14の配線と接続線13とを得る方法が挙げられる。しかし、回路部14の配線および接続線13の形成方法は、これに限定されるものではない。
【0093】
半導体層24に用いられる材料としては、半導体性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、シリコン半導体や酸化物半導体などの無機半導体、ペンタセンやポリチオフェン誘導体などの有機半導体、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、フラーレンなどのカーボン半導体が挙げられる。これらの中でも、半導体層24を塗布形成できるという観点、および200℃以下の低温で半導体層24を形成できるという観点から、有機半導体やカーボン半導体が好ましい。すなわち、半導体層24の材料は、CNT、グラフェン、フラーレンおよび有機半導体からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。さらには、トランジスタ回路の性能および耐熱性の観点から、半導体層24の材料はCNTを含有することが好ましい。
【0094】
特に、高い半導体特性の観点から、半導体層24の材料は、CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したCNT複合体を含有することが好ましい。何故ならば、CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体を付着させることにより、CNTの保有する高い電気的特性を損なうことなく、CNTを、半導体層形成用の溶液中に均一に分散させることが可能になるからである。また、CNTが均一に分散した溶液を用いることで、インクジェット法などの塗布法により、CNTが均一に分散した膜を半導体層24として形成することができる。
【0095】
「CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着した状態」とは、CNTの表面の一部、または全部を共役系重合体が被覆した状態を意味する。共役系重合体がCNTを被覆できるのは、両者の共役系構造に由来するπ電子雲が重なることによって相互作用が生じるためと推測される。CNTが共役系重合体で被覆されているか否かは、被覆されたCNTの反射色が被覆されていないCNTの色から共役系重合体の色に近づくことで判断できる。定量的にはXPSなどの元素分析によって、付着物の存在と、CNTに対する付着物の重量比とを同定することができる。
【0096】
CNTに共役系重合体を付着させる方法としては、例えば、以下の4つの方法などが挙げられる。第一の方法は、溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合する方法である。第二の方法は、共役系重合体を溶媒中に溶解させ、この中にCNTを添加して混合する方法である。第三の方法は、CNTを溶媒中に超音波などで予備分散させておき、そこへ共役系重合体を添加し混合する方法である。第四の方法は、溶媒中に共役系重合体とCNTとを入れ、この混合系へ超音波を照射して混合する方法である。本発明では、これらの方法のうち、いずれの方法を用いてもよく、複数の方法を組み合わせてもよい。
【0097】
共役系重合体としては、例えば、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ-p-フェニレン系重合体、ポリ-p-フェニレンビニレン系重合体などが挙げられるが、特に限定されない。上述した重合体は、単一のモノマーユニットが並んだものが好ましく用いられるが、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、ランダム共重合したものも用いられる。また、グラフト重合したものも用いることができる。
【0098】
ゲート絶縁層23に用いられる絶縁性材料は、特に限定されないが、酸化シリコン、アルミナなどの無機材料、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール、アクリル樹脂などの有機高分子材料、または無機材料粉末と有機材料との混合物などが挙げられる。ゲート絶縁層23に用いられる絶縁性材料は、これらの中でも、ケイ素原子と炭素原子との結合を含む有機化合物を含むことが好ましい。また、それに加えて、金属原子と酸素原子との結合を含む金属化合物を含むことがさらに好ましい。ゲート絶縁層23は、単層からなるものでもよいし、複数層からなるものでもよい。また、ゲート絶縁層23の1つの層が複数の絶縁性材料から形成されてもよいし、ゲート絶縁層23の複数の層が複数の絶縁性材料を積層して形成されてもよい。
【0099】
ゲート絶縁層23の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、CVD、イオンプレーティングコーティング、インクジェット、印刷、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法などの公知の技術が挙げられる。しかし、ゲート絶縁層23の形成方法は、これらに限定されるものではない。
【0100】
なお、回路部14をシート11上に配置する方法に特に制限はなく、シート11上に回路部14を直接形成してもよいし、高分子フィルムなどの基材21上に薄膜トランジスタ20(図8参照)を含む回路部14を形成して、回路部14を基材21ごとシート11に貼り付けてもよい。または、アンテナ12と同じ高分子フィルムなどの基材21上に回路部14を形成して、回路部14を基材21ごとシート11に貼り付けてもよい。
【0101】
(包装材の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係る包装材の製造方法について説明する。図9A,9Bは、この第1の実施形態に係る包装材の製造方法を説明するための図である。図9Aは、この第1の実施形態に係る包装材の製造方法における接続線および無線通信装置16の形成を説明する図である。図9Bは、この第1の実施形態に係る包装材の製造方法における包装材本体部とシートとの貼り付けを説明する図である。なお、図9A,9Bに示す包装材の製造方法は、第1の実施形態の一例であり、本発明に係る包装材の製造方法は、これに限定されない。
【0102】
本発明の第1の実施形態に係る包装材の製造方法は、収納物17を収納するための少なくとも1つの収納部15を有する包装材本体部と、この少なくとも1つの収納部15を密閉するシート11とを備える包装材を製造するものであって、少なくとも、機能部形成工程と貼付工程とを含む。機能部形成工程は、上述したシート11を構成する基材上に、収納部15の密閉される開口上を通過する導線と、この導線に接続され、収納部15の開封に伴ってシート11とともに導線が切断される前と後とで相異する情報を含む信号を発信する無線通信装置16とを、複数の収納部15の各々に対応して形成する工程である。
【0103】
また、本発明の第2の実施形態に係る包装材の製造方法においても同様に、収納物17を収納するための少なくとも1つの収納部15を有する包装材本体部と、この少なくとも1つの収納部15を密閉するシート11とを備える包装材を製造するものであって、少なくとも、機能部形成工程と貼付工程とを含む。機能部形成工程は、上述したシート11を構成する基材上に、収納部15の密閉される開口上を通過する導線を複数の収納部15の各々に対応して形成し、この導線に接続され、収納部15の開封に伴ってシート11とともに導線が切断される前と後とで相異する情報を含む信号を発信する少なくとも1つの無線通信装置16とを形成する工程である。
【0104】
貼付工程は、複数の収納部15に収納物17を収納した状態の包装材本体部と、複数の導線および複数の無線通信装置16が基材上に形成されたシート11とを貼り付け、この貼り付けたシート11によって包装材本体部の複数の収納部15を密閉する工程である。以下、上述した包装材10(図1A~1C参照)を製造する場合を例示して、本発明の第1の実施形態に係る包装材10の製造方法を具体的に説明する。
【0105】
例えば、第1の実施形態に係る包装材10(図1A参照)の製造方法において、機能部形成工程では、図9Aに示すように、基材11b上に、接続線13a~13dと、無線通信装置16a~16dとが、収納部15a~15dの各々に対応して形成される。基材11bは、シート11(詳細にはシート11の絶縁層)を構成するものである。接続線13a~13dは、基材11bのうち、シート11によって密閉される収納部15a~15dの各開口が位置する部分(図9A中の2点鎖線で示される部分)を各々通過する環状パターンとなるように、基材11b上に形成される。例えば、接続線13aは、収納部15aの密閉される開口が位置する部分を通過するように、基材11b上に形成される。無線通信装置16a~16dは、基材11b上にアンテナ12a~12dと回路部14a~14dとを形成することによって作製される。この際、アンテナ12a~12dは、回路部14a~14dと各々接続するように形成される。回路部14a~14dは、接続線13a~13dと各々接続されるように形成される。例えば、アンテナ12aは回路部14aと接続され、回路部14aは接続線13aと接続され、これらのアンテナ12aおよび回路部14aの形成によって、無線通信装置16aが基材11b上に形成される。
【0106】
また、第2の実施形態に係る包装材10A(図4A参照)の製造方法についても、無線通信装置16がシート11上に少なくとも1つ形成され、接続線13a~13dが無線通信装置16に接続されること以外は、上述した方法と同様の機能部形成工程を採用することができる。
【0107】
上述した機能部形成工程が行われた後、貼付工程が行われる。貼付工程では、図9Bに示すように、収納部15a~15dが形成された包装材本体部18と、接続線13a~13dおよび無線通信装置16a~16d(図9Bでは無線通信装置16a~16dの回路部14a~14dが図示されている)が形成された基材11bとが、必要に応じて例えば金属箔11aを介し、貼り付けられる。この際、図9Bに示す状態S1のように、包装材本体部18は、予め収納部15a~15d内に収納物17a~17dを各々収納した状態になっている。金属箔11aおよび基材11bは、これらの収納部15a~15dの各開口側から、ラミネートなどの手法によって包装材本体部18に貼り付けられる。これらの貼り付けにより、図9Bに示す状態S2のように、金属箔11aと基材11bとの積層体からなるシート11が形成されるとともに、このシート11によって包装材本体部18の収納部15a~15dが収納物17a~17dを各々収納した状態で密閉される。この際、金属箔11aは、包装材本体部18と基材11bとの間に介在した状態になっている。なお、図4Aに示す包装材10Aの製造においても、上述した方法と同様の貼付工程を採用することができる。
【0108】
上述した貼付工程において、シート11と包装材本体部18とを貼り付ける方法は、特に制限されない。例えば、金属箔11aを包装材本体部18にラミネートし、その後、この金属箔11aに対し、機能部形成工程で接続線13a~13dおよび無線通信装置16a~16dが形成された基材11bをラミネートなどの方法によって貼り付けてもよい。または、金属箔11aと、機能部形成工程で接続線13a~13dおよび無線通信装置16a~16dが形成された基材11bとをラミネートして、シート11を形成し、このシート11を金属箔11a側から包装材本体部18にラミネート等の方法で貼り付けてもよい。また、金属箔11aと基材11bとをラミネートしてシート11を形成し、その後、このシート11の基材11b上に、機能部形成工程で接続線13a~13dおよび無線通信装置16a~16dを形成し、機能部形成工程後のシート11を金属箔11a側から包装材本体部18にラミネート等の方法によって貼り付けてもよい。なお、図4Aに示す包装材10Aの製造における貼付工程についても同様である。
【0109】
なお、シート11は、上述した金属箔11aおよび基材11bなどの材料および形成方法により、作製することができる。基材11bは、上述したシート11の絶縁層の材料および形成方法によって作製することができる。また、接続線13a~13d、無線通信装置16a~16dのアンテナ12a~12dおよび回路部14a~14d、および、回路部14内の各回路(例えば図7に示す記憶部141や通信回路143など)に適用される薄膜トランジスタ20(図8参照)は、各々、上述した材料および形成方法によって、基材11b上に形成することができる。包装材本体部18は、上述した材料を用いて成形加工などにより、作製することができる。なお、図4Aに示す包装材10Aの製造においても同様である。
【0110】
また、上述した機能部形成工程において基材11b上に接続線13a~13dおよび無線通信装置16a~16dを形成する際、アンテナ12a~12dの各パターンが形成されたアンテナシートを基材11b上に貼り付け、その後、これらのアンテナ12a~12dと各々電気的に接続された回路部14a~14d、および、これらの回路部14a~14dと各々電気的に接続された接続線13a~13dを基材11b上に形成してもよい。なお、回路部14a~14dおよび接続線13a~13dは、上述した通り、製造コストの観点から、印刷などの塗布法によって形成することが好ましい。なお、図4Aに示す包装材10Aの製造においても同様である。
【0111】
(無線通信装置)
次に、本発明に係る包装材に適用される無線通信装置の実施形態について具体的に説明する。なお、本発明に係る無線通信装置の実施形態は、以下の説明に限定されるものではない。
【0112】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置について説明する。図10は、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置16の基本の構成例を示すブロック図である。図10に示すように、第3の実施形態において、無線通信装置16は、アンテナ12と、回路部14とを備える。回路部14は、記憶部141と、電源生成部142と、復調回路144および変調回路145によって構成される通信回路143と、制御回路146とを有する。この回路部14のうち、記憶手段としての記憶部141には、収納部15の密閉された開口上を通過する接続線13が接続されている。このような構成を有する無線通信装置16は、収納部15の開封に伴う接続線13の切断の前と後とで、記憶部141に記録された情報を変化させて、外部装置に対し、この情報を含む信号を発信する。これにより、収納部15の開封の有無が、この外部装置によって検知可能となる。
【0113】
また、図11は、図4Aに示す包装材10Aに接続された、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の基本の構成例を示すブロック図である。図11においては、接続する包装材を図4Aに示す包装材10Aとすること以外は、上述した図10に示す無線通信装置16と同様である。
【0114】
(無線通信装置の構成の第一例)
本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第一例としては、記憶部が、少なくとも、収納部15の開封の有無を検知するための情報を記録するメモリ素子を有する構成が挙げられる。図12Aは、図1Aに示す包装材10における、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置16Aの構成の第一例を示すブロック図である。図12Bは、図12Aに示す無線通信装置16Aの記憶部141Aの一構成例を示す図である。図12Cは、図12Bに示すメモリ素子のI-I’線断面図である。図12A~12Cには、この第一例の無線通信装置16Aの記憶部141Aに適用されるメモリ素子として、1ビットのメモリ素子800を例示するが、これに限定されず、記憶部141Aは、2ビット以上のメモリ素子(すなわち複数のメモリ素子800)を有するものであってもよい。
【0115】
図12Aに示すように、無線通信装置16Aは、回路部14を構成する一回路として、記憶部141Aを有する。記憶部141Aは、図10に示す記憶部141の一例であり、少なくとも1つのメモリ素子800を有する。接続線13は、収納部15の密閉された開口上を通過してメモリ素子800に接続される。その他の構成は、図10に示す無線通信装置16と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0116】
図12Bに示すように、記憶部141Aは、メモリ素子800と、メモリ素子800から情報を読み出すデコーダーなどの周辺回路801,802と、ワード線80とを有する。接続線13は、収納部15の密閉された開口上を通過して、メモリ素子800と周辺回路801,802とに接続される。すなわち、記憶部141Aにおいて接続線13は、メモリ素子800に接続されるビット線と上述した収納部15の開口上を通過する配線とによって構成され、ビット線として機能する。この接続線13とワード線80とは、互いに絶縁された状態で交差するように配置される。メモリ素子800は、接続線13に含まれるビット線(第一の配線)とワード線80との交点に対応して設けられる。なお、記憶部141Aの配線構成、メモリ素子800、および周辺回路801,802の配置などは、図12Bに例示されるものに限定されない。
【0117】
メモリ素子800は、例えば、図12Cに示すようなTFT構造のメモリ素子である。図12Cに示すように、具体的にメモリ素子800は、基材81と、第一の電極85と、第二の電極86と、第三の電極82と、絶縁層83と、半導体層84とを有する。
【0118】
メモリ素子800において、第三の電極82は、例えばゲート電極であり、基材81上に形成される。第三の電極82は、配線を介して、図12Bに示すワード線80と電気的に接続されている。第一の電極85は、例えばドレイン電極であり、第二の電極86は、例えばソース電極である。第一の電極85および第二の電極86は、互いに離間するように絶縁層83上に形成される。また、第一の電極85は、配線を介して、図12Bに示す接続線13と電気的に接続されている。この接続線13は、上述したように、メモリ素子800におけるビット線を含んでいる。第二の電極86は、配線を介して基準電位線(図示せず)に接続されている。絶縁層83は、第一の電極85および第二の電極86と第三の電極82とを電気的に絶縁するゲート絶縁層である。絶縁層83は、例えば図12Cに示すように、第一の電極85および第二の電極86と第三の電極82との間に介在するように基材81上に形成される。半導体層84は、半導体材料の塗布層などによって構成され、第一の電極85と第二の電極86との間の領域に形成される。半導体層84は、これら第一の電極85と第二の電極86との間の電気特性を決定する。
【0119】
本発明において、「第一の電極と第二の電極との間の領域」は、メモリ素子の厚さ方向(例えば絶縁層の膜厚方向)から第一の電極および第二の電極を平面視した場合に、これらの第一の電極および第二の電極の間に位置する領域である。このような領域には、第一の電極と第二の電極との間に挟まれた領域はもちろん、この挟まれた領域にメモリ素子の厚さ方向(例えば上方)から面する領域(第一の電極と第二の電極との間に挟まれていない領域)なども含まれる。
【0120】
ここで、収納部15が未だ開封されていない場合、接続線13は、切断されていない状態である。この状態において、周辺回路801がメモリ素子800を情報読み出し対象として選択した場合、ワード線80を介してメモリ素子800の第三の電極82に電圧が印加される。これにより、第一の電極85と第二の電極86との間に電流が流れる。この電流は、接続線13を介して周辺回路802によって検出される。このときにメモリ素子800から読み出される情報は、例えば、「1」とする。一方、収納部15が開封された場合、接続線13は、収納部15の部分で切断された状態になる。この状態において、周辺回路801がメモリ素子800を情報読み出し対象として選択しても、周辺回路802は、第一の電極85と第二の電極86との間に流れる電流を検出できなくなる。このときにメモリ素子800から読み出される情報は、例えば、「0」とする。
【0121】
このように接続線13の切断の前と後とで、メモリ素子800から読み出される情報(すなわちメモリ素子800に予め記録された情報)を変化させることにより、無線通信装置16Aから外部装置に発信される情報を、収納部15の開封に伴い接続線13が切断される前と後とで相異させることができる。この結果、収納部15が開封されたか否かを外部装置で検知することが可能となる。
【0122】
(無線通信装置の構成の第二例)
図13Aは、図4Aに示す包装材における、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第二例を示すブロック図である。図13Bは、図13Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。図13Bに示すように、記憶部141Bは、収納部15a~15dにそれぞれ対応したメモリ素子800a~800dを配置し、メモリ素子800a~800dを接続線13a~13dにそれぞれ接続させることで、無線通信装置16Bから外部装置に発信される情報を、収納部15の開封に伴い接続線13が切断される前と後とで相異させることができる。この結果、収納部15が開封されたか否かを外部装置で検知することが可能となる。図13Bには、各収納部15に対応するメモリ素子として、1ビットのメモリ素子800を例示するが、これに限定されず、2ビット以上のメモリ素子(すなわち複数のメモリ素子800)を有するものであってもよい。
【0123】
図13Bに示すように、記憶部141Bは、メモリ素子800と、メモリ素子800から情報を読み出すデコーダーなどの周辺回路801,802と、ワード線80とを有する。接続線13a~13dは、収納部15a~15dの密閉された開口上を通過して、メモリ素子800a~800dと周辺回路801,802とに接続される。すなわち、記憶部141Bにおいて、接続線13a~13dは、メモリ素子800a~800dに接続されるビット線と上述した収納部15a~15dの開口上を通過する配線とによって構成され、ビット線として機能する。この接続線13a~13dとワード線80とは、互いに絶縁された状態で交差するように配置される。メモリ素子800a~800dは、接続線13a~13dに含まれるビット線(第一の配線)とワード線80との交点に対応して、設けられる。なお、記憶部141Bの配線構成、メモリ素子800a~800d、および周辺回路801,802の配置などは、図13Bに例示されるものに限定されない。
【0124】
なお、メモリ素子の構成、および開封検知の方法については、図12A~12Cに示す包装材と同様である。
【0125】
(メモリアレイを備えた記憶部)
一方、無線通信装置16の記憶部141(図10参照)としては、さらに、ID番号などの固有情報を、上述した収納部15の開封の有無の検知に用いられる情報以外の情報(その他の情報)として記録するためのメモリ素子が1つ以上追加で配列されたメモリアレイを有するものが好ましい。すなわち、無線通信装置16は、接続線13の切断の前後で相異させ得る情報を記録するためのメモリ素子と、この無線通信装置16の固有情報を記録するためのメモリ素子とを含む複数のメモリ素子を配列してなるメモリアレイを、記憶部141内に有することが好ましい。
【0126】
例えば、複数の収納部15の各々に対応して形成された複数の無線通信装置16の各メモリアレイに、これら複数の収納部15別に異なる固有情報を記録させることにより、複数の収納部15の各々の開封の有無を個別に検知して管理することが可能となる。
【0127】
上述したメモリアレイを構成する複数のメモリ素子としては、その種類に特に限定はなく、RAM(Random Access Memory)などの書き換え可能のメモリ素子であってもよいし、ROM(Read Only Memory)などの読み出し専用のメモリ素子であってもよい。情報の改竄防止の観点からは、これら複数のメモリ素子として、ROMが好ましい。
【0128】
ROMの方式としては、記録させるべき「0」または「1」の情報にそれぞれ対応する各メモリ素子をフォトリソグラフィー加工などによって作り分け、メモリ回路の製造時に情報が書き込まれるマスクROMが知られている。しかし、本発明のように収納部15別に異なる固有情報などを各メモリ素子に書き込む場合は、各商品(例えば包装材)によって異なるマスクが必要となり、これに起因して、メモリアレイの製造コストが増大してしまう。したがって、メモリ素子を形成する方式としては、塗布法によって薄膜トランジスタ20の半導体層の特性を作り分ける方式が好ましい。
【0129】
より具体的には、記憶部141(図10参照)に適用されるメモリアレイは、複数の第一の配線と、これら複数の第一の配線と交差する少なくとも一本の第二の配線と、これら複数の第一の配線と少なくとも一本の第二の配線との各交点に対応して設けられる複数のメモリ素子と、を基材上に備える。このメモリアレイにおいて、複数のメモリ素子は、互いに離間して配置される第一の電極および第二の電極と、上述した少なくとも一本の第二の配線のうち一本に接続される第三の電極と、これら第一の電極および第二の電極と第三の電極とを電気的に絶縁する絶縁層とをそれぞれ有する。また、これら第一の電極および第二の電極のいずれか一方は、上述した複数の第一の配線のうち一本に接続される。これら複数のメモリ素子のうち少なくとも1つは、上述した第一の電極と第二の電極との間の領域に塗布層を有する。これら複数のメモリ素子は、上述した塗布層によって上述した第一の電極と第二の電極との間の電気特性が互いに異なる二種類のメモリ素子からなる。このようなメモリアレイに記録される情報(例えばID番号などの固有情報)は、これら二種類のメモリ素子を任意に組み合わせた配列によって決定する。
【0130】
なお、「第一の電極と第二の電極との間の領域」とは、上述したように、メモリ素子の厚さ方向から第一の電極および第二の電極を平面視した場合に、これらの第一の電極および第二の電極の間に位置する領域である。
【0131】
(無線通信装置の構成の第三例)
図14Aは、図1Aに示す包装材における、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第三例を示すブロック図である。図14Bは、図14Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。図14A,14Bには、この第三例の無線通信装置16Cの記憶部141Cに適用されるメモリアレイとして、9つのメモリ素子9001~9009が配列されたメモリアレイ900を例示するが、これに限定されず、記憶部141Cは、複数(2つ以上)のメモリ素子を配列してなるメモリアレイを有するものであってもよい。
【0132】
図14Aに示すように、無線通信装置16Cは、回路部14を構成する一回路として、記憶部141Cを有する。記憶部141Cは、図10に示す記憶部141の一例であり、メモリアレイ900を有する。接続線13は、収納部15の密閉された開口上を通過してメモリアレイ900に接続される。その他の構成は、図10に示す無線通信装置16と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0133】
図14Bに示すように、記憶部141Cは、メモリアレイ900と、メモリアレイ900から情報を読み出すデコーダーなどの周辺回路901,902と、三本のワード線90a~90cと、三本のビット線91a~91cと、接続線13とを有する。メモリアレイ900は、9つのメモリ素子9001~9009を有する。接続線13は、収納部15の密閉された開口上を通過して、メモリアレイ900のメモリ素子9009と周辺回路901,902とに接続される。すなわち、記憶部141Cにおいて、接続線13は、メモリ素子9009に接続されるビット線と上述した収納部15の開口上を通過する配線とによって構成され、ビット線として機能する。なお、記憶部141Cの配線構成、メモリ素子9001~9009および周辺回路901,902の配置などは、図14Bに例示されるものに限定されない。
【0134】
ワード線90a~90cは、上述した少なくとも一本の第二の配線の一例である。ワード線90a~90cは、所定の方向を長手として互いに離間して並ぶように配置される。具体的には、ワード線90aは、周辺回路901とメモリ素子9001~9003とに接続される。ワード線90bは、周辺回路901とメモリ素子9004~9006とに接続される。ワード線90cは、周辺回路901とメモリ素子9007~9009とに接続される。ビット線91a~91cおよび接続線13に含まれるビット線は、上述した複数の第一の配線の一例である。ビット線91a~91cおよび接続線13内のビット線は、ワード線90a~90cと交差する方向を長手として互いに離間して並ぶように配置される。また、ワード線90a~90cと、ビット線91a~91cおよび接続線13内のビット線とは、互いに絶縁された状態で交差するように配置される。
【0135】
メモリ素子9001~9009は、上述した第一の配線と第二の配線との各交点に対応して設けられる複数のメモリ素子の一例である。具体的には、図14Bに示すように、メモリ素子9001~9008は、ワード線90a~90cとビット線91a~91cとの各交差によって規定される8つの領域に各々配置される。メモリ素子9009は、ワード線90cと接続線13内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。
【0136】
なお、図14Bには、説明の簡略化のために、9ビット分のメモリアレイ900が例示されているが、第3の実施形態に係るメモリアレイ900は、もちろん、9ビット分のものに限定されず、2ビット分以上のものであってもよい。また、図14Bには、説明の簡略化のために、接続線13内のビット線に接続されるメモリ素子9009を1ビットのメモリ素子にした場合が例示されているが、第3の実施形態に係るメモリアレイ900は、もちろん、接続線13内のビット線に接続されるメモリ素子9009として2ビット以上のメモリ素子を有するものであってもよい。
【0137】
図14Cは、図14Bに示すメモリアレイのII-II’線断面図である。図14Cには、第3の実施形態に係るメモリアレイ900を構成する二種類のメモリ素子を代表して、メモリ素子9001~9003の一構成例が示されている。
【0138】
図14Cに示すように、上述した二種類のメモリ素子の一例であるメモリ素子9001~9003は、基材92の上に形成されている。メモリ素子9001~9003は、基材92の上に、第一の電極96、第二の電極97、絶縁層94および第三の電極93を有する。第三の電極93は、絶縁層94により、第一の電極96および第二の電極97と電気的に絶縁されている。第一の電極96および第二の電極97は、例えば絶縁層94の上において、互いに離間した状態で並んでいる。なお、基材92は、シート11(詳細には図9A,9Bに示す基材11b)であってもよいし、その他の絶縁性の基材であってもよい。
【0139】
第3の実施形態において、メモリ素子9001,9003とメモリ素子9002とは、第一の電極96と第二の電極97との間の電気特性が互いに異なる二種類のメモリ素子の一例である。図14Cに示すように、これら二種類のメモリ素子のうち、一方の種類のメモリ素子9001,9003は、第一の電極96と第二の電極97との間の領域に半導体層95をさらに有する。半導体層95は、第一の電極96と第二の電極97との間の領域に塗布された半導体材料からなる塗布層の一例である。他方の種類のメモリ素子9002は、この領域に半導体層95を有していない。第3の実施形態では、半導体層95を第一の電極96と第二の電極97との間の領域に形成するか否かで、メモリ素子9001~9003にそれぞれ記録される情報、例えば「0」または「1」が決定される。すなわち、メモリ素子9001~9003は、半導体層95の有無によって、互いに異なる各情報をそれぞれ記録する。このように二種類のメモリ素子同士で記録される情報が相異するのは、各メモリ素子9001~9003の選択時、すなわち、各メモリ素子9001~9003の第三の電極93に一定の電圧が与えられた際に、半導体層95を有するメモリ素子9001,9003には電流が流れるが、半導体層95を有しないメモリ素子9002には電流が流れないからである。
【0140】
メモリ素子9001~9003の各々において、第三の電極93は、例えばゲート電極であり、配線を介して、図14Bに示すワード線90aと電気的に接続されている。第一の電極96は、例えばドレイン電極である。メモリ素子9001における第一の電極96は、配線を介して、図14Bに示すビット線91aと電気的に接続されている。メモリ素子9002における第一の電極96は、配線を介して、図14Bに示すビット線91bと電気的に接続されている。メモリ素子9003における第一の電極96は、配線を介して、図14Bに示すビット線91cと電気的に接続されている。第二の電極97は、例えばソース電極である。なお、特に図示しないが、各メモリ素子9001~9003における第二の電極97は、配線を介して基準電位線に接続されている。
【0141】
図14Bに示すメモリアレイ900を構成する9つのメモリ素子9001~9009のうち、メモリ素子9001~9008は、図14Cに示す二種類のメモリ素子9001,9002のいずれか一方と同じ構造を有している。例えば、メモリ素子9004~9006の各々において、第三の電極93は、配線を介してワード線90bと電気的に接続されている。メモリ素子9004における第一の電極96は、配線を介してビット線91aと電気的に接続されている。メモリ素子9005における第一の電極96は、配線を介してビット線91bと電気的に接続されている。メモリ素子9006における第一の電極96は、配線を介してビット線91cと電気的に接続されている。また、メモリ素子9007,9008の各々において、第三の電極93は、配線を介してワード線90cと電気的に接続されている。メモリ素子9007における第一の電極96は、配線を介してビット線91aと電気的に接続されている。メモリ素子9008における第一の電極96は、配線を介してビット線91bと電気的に接続されている。なお、特に図示しないが、各メモリ素子9004~9008における第二の電極97は、配線を介して基準電位線に接続されている。
【0142】
図14Bに示すメモリアレイ900においては、メモリ素子9001~9008が、メモリ素子9001に例示される「半導体層95を有するメモリ素子」とメモリ素子9002に例示される「半導体層95を有しないメモリ素子」との二種類のメモリ素子を任意に組み合わせた配列をとることによって、記録される情報が決定する。この決定した情報は、メモリアレイ900(ひいては、メモリアレイ900を有する無線通信装置16Cに対応する収納部15)に固有なID番号などの固有情報として、メモリアレイ900に記録することができる。例えば、8つのメモリ素子9001~9008の配列[メモリ素子9001,メモリ素子9002,メモリ素子9003,メモリ素子9004,メモリ素子9005,メモリ素子9006,メモリ素子9007,メモリ素子9008]において、メモリ素子9001,9003,9005,9007が半導体層95を有し、かつメモリ素子9002,9004,9006,9008が半導体層95を有しない場合は、[1,0,1,0,1,0,1,0]または[0,1,0,1,0,1,0,1]の情報が、メモリアレイ900に固有情報として記録される。
【0143】
一方、メモリ素子9009は、図14Cに示すメモリ素子9001と同じ構造に形成され、第一の電極96と第二の電極97との間に半導体層95を有している。メモリ素子9009において、第三の電極93は、配線を介してワード線90cと電気的に接続されており、第一の電極96は、配線を介して接続線13内のビット線と電気的に接続されている。この場合、接続線13は、メモリ素子9009におけるビット線として機能する。なお、特に図示しないが、メモリ素子9009における第二の電極97は、配線を介して基準電位線に接続されている。
【0144】
ここで、収納部15が未だ開封されていない場合、接続線13は、切断されていない状態である。この状態において、周辺回路901がメモリ素子9009を情報読み出し対象として選択した場合、ワード線90cを介してメモリ素子9009の第三の電極93に一定の電圧が印加される。この際、上述したように半導体層95を有するメモリ素子9009には、その第一の電極96と第二の電極97との間に電流が流れる。この電流は、接続線13を介して周辺回路902によって検出される。このときにメモリ素子9009から読み出される情報は、例えば、「1」とする。一方、収納部15が開封された場合、接続線13は、収納部15の部分で切断された状態になる。この状態において、周辺回路901がメモリ素子9009を情報読み出し対象として選択した場合、半導体層95を有するメモリ素子9009には、上述したように電流が流れるが、周辺回路902は、この電流を検出できない。このため、周辺回路902から見れば、メモリ素子9009には電流が流れていない状態と同じである。このときにメモリ素子9009から読み出される情報は、例えば、「0」とする。すなわち、メモリアレイ900に記録された情報(メモリアレイ900から読み出される情報)が、収納部15の開封の前と後とで変化したと言える。
【0145】
例えば、メモリ素子9001~9008に上述した情報が記録されていた場合、収納部15が開封される前においてメモリアレイ900に記録されている情報は、メモリ素子9001~9009の配列[メモリ素子9001,メモリ素子9002,メモリ素子9003,メモリ素子9004,メモリ素子9005,メモリ素子9006,メモリ素子9007,メモリ素子9008,メモリ素子9009]に基づき、[1,0,1,0,1,0,1,0,1]または[0,1,0,1,0,1,0,1,0]である。一方、収納部15が開封された後においてメモリアレイ900に記録されている情報は、上述した配列に基づき、[1,0,1,0,1,0,1,0,0]または[0,1,0,1,0,1,0,1,1]である。
【0146】
上述したように収納部15の開封に伴う接続線13の切断の前と後とで、メモリアレイ900から読み出される情報(すなわちメモリアレイ900に予め記録された情報)を、変化させることにより、無線通信装置16Cは、メモリアレイ900の固有情報を維持しながら、上述した接続線13の切断の前と後とで相異した情報を当該固有情報とともに外部装置に発信することができる。この結果、複数の収納部15のいずれが開封されたか否かを収納部15別に外部装置で検知して管理することが、可能となる。
【0147】
なお、上述した第3の実施形態に係るメモリアレイ900に適用されたメモリ素子9001~9009の構造(TFT構造)は、図14Cに例示したように、第三の電極93が半導体層95の下側(基材92側)に配置され、半導体層95と同一平面上に第一の電極96および第二の電極97が配置される、いわゆるボトムゲート構造である。しかし、第3の実施形態に係るメモリアレイ900に適用できるTFT構造は、これに限定されず、例えば、第三の電極93が半導体層95の上側(基材92と反対側)に配置され、半導体層95と同一平面上に第一の電極96および第二の電極97が配置される、いわゆるトップゲート構造であってもよい。
【0148】
(無線通信装置の構成の第四例)
図15Aは、図4Aに示す包装材における、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第四例を示すブロック図である。図15Bは、図15Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。図15A,15Bには、第四例の無線通信装置16Dの記憶部141Dに適用されるメモリアレイとして、9つのメモリ素子9001~9009が配列されたメモリアレイ900を例示するが、これに限定されず、記憶部141Dは、複数(2つ以上)のメモリ素子を配列してなるメモリアレイを有するものであってもよい。
【0149】
図15Bに示すように、記憶部141Dは、メモリアレイ900と、メモリアレイ900から情報を読み出すデコーダーなどの周辺回路901,902と、三本のワード線90a~90cと、三本のビット線91a~91cと、接続線13a~13dとを有する。メモリアレイ900は、9つのメモリ素子9001~9009を有する。接続線13a~13dは、収納部15a~15dの密閉された開口上を通過して、メモリアレイ900のメモリ素子9009と周辺回路901,902とに接続される。すなわち、記憶部141Dにおいて、接続線13a~13dは、メモリ素子9006~9009に接続されるビット線と上述した収納部15a~15dの開口上を通過する配線とによって構成され、ビット線として機能する。なお、記憶部141Dの配線構成、メモリ素子9001~9009および周辺回路901,902の配置などは、図15Bに例示されるものに限定されない。
【0150】
ワード線90a~90cは、上述した少なくとも一本の第二の配線の一例である。ワード線90a~90cは、所定の方向を長手として互いに離間して並ぶように配置される。具体的には、ワード線90aは、周辺回路901とメモリ素子9001~9003とに接続される。ワード線90bは、周辺回路901とメモリ素子9004~9006とに接続される。ワード線90cは、周辺回路901とメモリ素子9007~9009とに接続される。ビット線91a~91cおよび接続線13a~13dに含まれるビット線は、上述した複数の第一の配線の一例である。ビット線91a~91cおよび接続線13a~13d内のビット線は、ワード線90a~90cと交差する方向を長手として互いに離間して並ぶように配置される。また、ワード線90a~90cと、ビット線91a~91cおよび接続線13a~13d内のビット線とは、互いに絶縁された状態で交差するように配置される。
【0151】
メモリ素子9001~9009は、上述した第一の配線と第二の配線との各交点に対応して設けられる複数のメモリ素子の一例である。具体的には、図15Bに示すように、メモリ素子9001~9005は、ワード線90a~90cとビット線91a~91cとの各交差によって規定される5つの領域に各々配置される。メモリ素子9006は、ワード線90bと接続線13a内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。メモリ素子9007は、ワード線90cと接続線13d内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。メモリ素子9008は、ワード線90cと接続線13c内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。メモリ素子9009は、ワード線90cと接続線13b内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。
【0152】
なお、図15Bには、説明の簡略化のために、9ビット分のメモリアレイ900が例示されているが、第3の実施形態に係るメモリアレイ900は、もちろん9ビット分のものに限定されず、2ビット分以上のものであってもよい。また、図15Bには、説明の簡略化のために、接続線13a~13d内のビット線に接続されるメモリ素子9006~9009を1ビットのメモリ素子にした場合が例示されているが、第3の実施形態に係るメモリアレイ900は、もちろん接続線13a~13d内のビット線に接続されるメモリ素子9006~9009として2ビット以上のメモリ素子を有するものであってもよい。
【0153】
図15Bに示すメモリアレイ900のIII-III’線断面図については、図14Cに示す断面図と同様である。また、各メモリ素子の構成、および開封検知の方法についても、図14A~14Cに示す包装材の場合と同様である。
【0154】
すなわち、図15Bに示すメモリアレイ900においては、メモリ素子9001~9005が、図14Cに示すメモリ素子9001に例示される「半導体層95を有するメモリ素子」と、メモリ素子9002に例示される「半導体層95を有しないメモリ素子」との二種類のメモリ素子を任意に組み合わせた配列をとることによって、記録される情報が決定する。この決定した情報は、メモリアレイ900(ひいては、メモリアレイ900を有する無線通信装置16Dに対応する収納部15)に固有なID番号などの固有情報として、メモリアレイ900に記録することができる。例えば、5つのメモリ素子9001~9005の配列[メモリ素子9001,メモリ素子9002,メモリ素子9003,メモリ素子9004,メモリ素子9005]において、メモリ素子9001,9003,9005が半導体層95を有し、かつメモリ素子9002,9004が半導体層95を有しない場合は、[1,0,1,0,1]または[0,1,0,1,0]の情報が、メモリアレイ900に固有情報として記録される。
【0155】
一方、メモリ素子9006~9009は、図14Cに示すメモリ素子9001と同じ構造に形成され、第一の電極96と第二の電極97との間に半導体層を有している。メモリ素子9006~9009において、第三の電極93は、配線を介してワード線90b,90cと電気的に接続されており、第一の電極96は、配線を介して接続線13a~13d内のビット線と電気的に接続されている。この場合、接続線13は、メモリ素子9006~9009におけるビット線として機能する。なお、特に図示しないが、メモリ素子9006~9009における第二の電極97は、配線を介して基準電位線に接続されている。
【0156】
ここで、収納部15a~15dが未だ開封されていない場合、接続線13a~13dは切断されていない状態である。この状態において、周辺回路901がメモリ素子9006~9009を情報読み出し対象として選択した場合、ワード線90b,90cを介してメモリ素子9006~9009の第三の電極93に一定の電圧が印加される。この際、上述したように半導体層95を有するメモリ素子9006~9009には、その第一の電極96と第二の電極97との間に電流が流れる。この電流は、接続線13a~13dを介して周辺回路902によって検出される。このときにメモリ素子9006~9009から読み出される情報は、例えば、「1」とする。一方、収納部15a~15dが開封された場合、接続線13a~13dは、収納部15a~15dの部分で切断された状態になる。この状態において、周辺回路901がメモリ素子9006~9009を情報読み出し対象として選択した場合、半導体層を有するメモリ素子9006~9009には、上述したように電流が流れるが、周辺回路902は、この電流を検出できない。このため、周辺回路902から見れば、メモリ素子9006~9009には電流が流れていない状態と同じである。このときにメモリ素子9006~9009から読み出される情報は、例えば、「0」とする。すなわち、メモリアレイ900に記録された情報(メモリアレイ900から読み出される情報)が、収納部15の開封の前と後とで変化したと言える。
【0157】
例えば、メモリ素子9001~9005に上述した情報が記録されていた場合、収納部15が開封される前においてメモリアレイ900に記録されている情報は、メモリ素子9001~9009の配列[メモリ素子9001,メモリ素子9002,メモリ素子9003,メモリ素子9004,メモリ素子9005,メモリ素子9006,メモリ素子9007,メモリ素子9008,メモリ素子9009]に基づき、[1,0,1,0,1,1,1,1,1]または[0,1,0,1,0,0,0,0,0]である。一方、収納部15a~15dの全てが開封された後においてメモリアレイ900に記録されている情報は、上述した配列に基づき、[1,0,1,0,1,0,0,0,0]または[0,1,0,1,0,1,1,1,1]である。
【0158】
上述したように収納部15a~15dの開封に伴う接続線13a~13dの切断の前と後とで、メモリアレイ900から読み出される情報(すなわちメモリアレイ900に予め記録された情報)を、変化させることにより、無線通信装置16Dは、メモリアレイ900の固有情報を維持しながら、上述した接続線13の切断の前と後とで相異した情報を当該固有情報とともに外部装置に発信することができる。この結果、複数の収納部15a~15dが開封されたか否かを、外部装置によって検知して管理することが可能となる。
【0159】
(無線通信装置の構成の第五例)
また、無線通信装置16の記憶部141E(図10参照)に適用されるメモリアレイとしては、図14B,14Cに示す構造のメモリアレイ900以外にも、以下に示す構造のメモリアレイが挙げられる。図16Aは、図1Aに示す包装材10について、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第五例に適用される記憶部の一構成例を示す図である。
【0160】
なお、図16Aには図示しないが、この第五例の無線通信装置は、記憶部141Eの一例として、メモリアレイ1000を有する記憶部141Eを備え、かつこのメモリアレイ1000に接続線13が接続されること以外、図14Aに示す無線通信装置16Cと同様に構成される。また、図16Aには、この第五例の記憶部141Eに適用されるメモリアレイとして、9つのメモリ素子10001~10009が配列されたメモリアレイ1000を例示するが、これに限定されず、記憶部141Eは、複数(2つ以上)のメモリ素子を配列してなるメモリアレイを有するものであってもよい。
【0161】
図16Aに示すように、記憶部141Eは、メモリアレイ1000と、メモリアレイ1000から情報を読み出すデコーダーなどの周辺回路1001,1002と、三本のワード線100a~100cと、三本のビット線101a~101cと、接続線13とを有する。メモリアレイ1000は、9つのメモリ素子10001~10009を有する。接続線13は、収納部15の密閉された開口上を通過して、メモリアレイ1000のメモリ素子10009と周辺回路1001,1002とに接続される。すなわち、記憶部141Eにおいて、接続線13は、メモリ素子10009に接続されるビット線と上述した収納部15の開口上を通過する配線とによって構成され、ビット線として機能する。なお、記憶部141Eの配線構成、メモリ素子10001~10009および周辺回路1001,1002の配置などは、図16Aに例示されるものに限定されない。
【0162】
ワード線100a~100cは、上述した少なくとも一本の第二の配線の一例である。ワード線100a~100cは、所定の方向を長手として互いに離間して並ぶように配置される。具体的には、ワード線100aは、周辺回路1001とメモリ素子10001~10003とに接続される。ワード線100bは、周辺回路1001とメモリ素子10004~10006とに接続される。ワード線100cは、周辺回路1001とメモリ素子10007~10009とに接続される。ビット線101a~101cおよび接続線13に含まれるビット線は、上述した複数の第一の配線の一例である。ビット線101a~101cおよび接続線13内のビット線は、ワード線100a~100cと交差する方向を長手として互いに離間して並ぶように配置される。また、ワード線100a~100cと、ビット線101a~101cおよび接続線13内のビット線とは、互いに絶縁された状態で交差するように配置される。
【0163】
メモリ素子10001~10009は、上述した第一の配線と第二の配線との各交点に対応して設けられる複数のメモリ素子の一例である。具体的には、図16Aに示すように、メモリ素子10001~10008は、ワード線100a~100cとビット線101a~101cとの各交差によって規定される8つの領域に各々配置される。メモリ素子10009は、ワード線100cと接続線13内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。
【0164】
図16Bは、図16Aに示すメモリアレイのIV-IV’線断面図である。図16Bには、第3の実施形態に係るメモリアレイ1000を構成する二種類のメモリ素子を代表して、メモリ素子10001~10003の一構成例を示す。
【0165】
図16Bに示すように、上述した二種類のメモリ素子の一例であるメモリ素子10001~10003は、基材102の上に形成されている。メモリ素子10001~10003は、基材102の上に、第一の電極106、第二の電極107、絶縁層104および第三の電極103を有する。第三の電極103は、絶縁層104により、第一の電極106および第二の電極107と電気的に絶縁されている。第一の電極106および第二の電極107は、例えば絶縁層104の上において、互いに離間した状態で並んでいる。
【0166】
また、メモリ素子10001~10003は、第一の電極106と第二の電極107との間の領域に、互いに電気特性が異なる半導体層105,108のいずれかを有する。半導体層105,108は、第一の電極106と第二の電極107との間の領域に塗布された半導体材料からなる塗布層の一例である。このようなメモリ素子10001~10003は、これらの半導体層105,108のいずれを有するかによって、第一の電極106と第二の電極107との間の電気特性が互いに異なる二種類のメモリ素子に区別される。例えば、これら二種類のメモリ素子のうち、一方の種類のメモリ素子は第一の半導体層を有するメモリ素子10001,10003であり、他方の種類のメモリ素子は第二の半導体層を有するメモリ素子10002である。これら一方の種類のメモリ素子10001,10003と他方の種類のメモリ素子10002とは、半導体層105,108の電気特性の相異によって、互いに異なる各情報(例えば「0」または「1」)をそれぞれ記録する。なお、基材102は、シート11(詳細には図9A,9Bに示す基材11b)であってもよいし、その他の絶縁性の基材であってもよい。
【0167】
メモリ素子10001~10003の各々において、第三の電極103は、例えばゲート電極であり、配線を介して、図16Aに示すワード線100aと電気的に接続されている。第一の電極106は、例えばドレイン電極である。メモリ素子10001における第一の電極106は、配線を介して、図16Aに示すビット線101aと電気的に接続されている。メモリ素子10002における第一の電極106は、配線を介して、図16Aに示すビット線101bと電気的に接続されている。メモリ素子10003における第一の電極106は、配線を介して、図16Aに示すビット線101cと電気的に接続されている。第二の電極107は、例えばソース電極である。なお、特に図示しないが、各メモリ素子10001~10003における第二の電極107は、配線を介して基準電位線に接続されている。
【0168】
図16Aに示すメモリアレイ1000を構成する9つのメモリ素子10001~10009のうち、メモリ素子10001~10008は、図16Bに示す二種類のメモリ素子10001,10002のいずれか一方と同じ構造を有している。例えば、メモリ素子10004~10006の各々において、第三の電極103は、配線を介してワード線100bと電気的に接続されている。メモリ素子10004における第一の電極106は、配線を介してビット線101aと電気的に接続されている。メモリ素子10005における第一の電極は、配線を介してビット線101bと電気的に接続されている。メモリ素子10006における第一の電極は、配線を介してビット線101cと電気的に接続されている。また、メモリ素子10007,10008の各々において、第三の電極は、配線を介してワード線100cと電気的に接続されている。メモリ素子10007における第一の電極は、配線を介してビット線101aと電気的に接続されている。メモリ素子10008における第一の電極は、配線を介してビット線101bと電気的に接続されている。なお、特に図示しないが、各メモリ素子10004~10008における第二の電極107は、配線を介して基準電位線に接続されている。
【0169】
特に、メモリ素子10001~10008は、上述した半導体層105,108(図16B参照)に例示されるように互いに電気特性が異なる第一の半導体層および第二の半導体層のいずれかを有する。これによって、メモリ素子10001~10008にそれぞれ記録される情報、例えば、「0」または「1」が決定される。
【0170】
すなわち、メモリアレイ1000を構成する二種類のメモリ素子のうち、第一の半導体層(例えば半導体層105)を有するメモリ素子をメモリ素子(a)とし、第二の半導体層(例えば半導体層108)を有するメモリ素子をメモリ素子(b)としたとき、第3の実施形態における第一の半導体層および第二の半導体層は互いに電気特性が異なるものであるから、メモリ素子(a)およびメモリ素子(b)は、第一の半導体層と第二の半導体層との電気特性の相異によって、互いに異なる各情報をそれぞれ記録する。
【0171】
上述した「電気特性が異なる」とは、各メモリ素子(a),(b)の選択時、すなわち、各メモリ素子(a),(b)の第三の電極103に一定の電圧が与えられた際に、これらのメモリ素子(a),(b)同士で第一の電極106と第二の電極107との間に流れる電流値が異なることを意味する。このような電流値の違いにより、メモリ素子(a)とメモリ素子(b)とにおいて、「0」の状態と「1」の状態とを識別することができる。この識別を十分に行うためには、「1」を記録したメモリ素子における第一の電極106と第二の電極107との間に流れる電流値と、「0」を記録したメモリ素子における第一の電極106と第二の電極107との間に流れる電流値とのうち、一方が他方に比べて100倍以上大きいことが好ましく、1000倍以上大きいことがより好ましい。
【0172】
メモリアレイ1000においては、これら二種類のメモリ素子(a),(b)からなる8つのメモリ素子10001~10008の配列[メモリ素子10001,メモリ素子10002,メモリ素子10003,メモリ素子10004,メモリ素子10005,メモリ素子10006,メモリ素子10007,メモリ素子10008]に基づき、メモリアレイ1000の固有情報が決定して記録される。
【0173】
一方、接続線13内のビット線に接続されたメモリ素子10009は、上述した二種類のメモリ素子(a),(b)のうち、第一の電極106と第二の電極107との間に流れる電流値が高い方の半導体層を第一の電極106と第二の電極107との間の領域に有するメモリ素子である。その他の構成は、図16Bに示すメモリ素子10001~10003と同様である。
【0174】
ここで、収納部15が未だ開封されていない場合、接続線13は、切断されていない状態である。この状態において、周辺回路1001がメモリ素子10009を情報読み出し対象として選択した場合、ワード線100cを介してメモリ素子10009の第三の電極に一定の電圧が印加される。この際、上述したように半導体層を有するメモリ素子10009には、その第一の電極と第二の電極との間に電流が流れる。この電流は、接続線13を介して周辺回路1002によって検出される。このときにメモリ素子10009から読み出される情報は、例えば、「1」とする。
【0175】
一方、収納部15が開封された場合、接続線13は、収納部15の部分で切断された状態になる。この状態において、周辺回路1001がメモリ素子10009を情報読み出し対象として選択した場合、メモリ素子10009には上述したように電流が流れるが、周辺回路1002は、この電流を検出できない。このため、周辺回路1002から見れば、メモリ素子10009に流れる電流は、接続線13の切断前に比べて小さくなったことと同じ状態である。これは、メモリ素子10009が、上述した二種類のメモリ素子(a),(b)のうち、第一の電極106と第二の電極107との間に流れる電流値が低い方の半導体層を有するメモリ素子であることと実質的には同義である。すなわち、メモリ素子10009に記録された情報が、収納部15の開封の前と後とで変化したと言える。このときにメモリ素子10009から読み出される情報は、例えば、「0」とする。
【0176】
例えば、メモリ素子10001~10008にメモリアレイ1000の固有情報が記録されていた場合、収納部15が開封される前においてメモリアレイ1000に記録されていた情報は、メモリ素子10001~10009の配列に基づき、[固有情報、1]である。一方、収納部15が開封された後においてメモリアレイ1000に記録されていた情報は、上述した配列に基づき、[固有情報、0]である。
【0177】
上述したように収納部15の開封に伴う接続線13の切断の前と後とで、メモリアレイ1000から読み出される情報(すなわちメモリアレイ1000に予め記録された情報)を、変化させることにより、メモリアレイ1000を記憶部141Eに有する無線通信装置16は、メモリアレイ1000の固有情報を維持しながら、上述した接続線13の切断の前と後とで相異した情報を当該固有情報とともに外部装置に発信することができる。この結果、複数の収納部15のいずれが開封されたか否かを収納部15別に外部装置で検知して管理することが、可能となる。
【0178】
なお、上述した第3の実施形態に係るメモリアレイ1000に適用されたメモリ素子10001~10009のTFT構造は、図16Bに例示したように、いわゆるボトムゲート構造である。しかし、第3の実施形態に係るメモリアレイ1000に適用できるTFT構造は、これに限定されず、いわゆるトップゲート構造であってもよい。
【0179】
また、図16Bに示す半導体層105と半導体層108との各電気特性が互いに異なるのは、それらの構成の相異によることが好ましい。例えば、第3の実施形態における第一の半導体層と第二の半導体層との構成の相異としては、半導体層の膜厚の違いや、半導体層を構成する半導体材料の違いなどが挙げられる。その他、第一の半導体層と第二の半導体層との各電気特性を十分に相異させるものであれば、第一の半導体層と第二の半導体層との構成の相異は、これらに限定されない。
【0180】
半導体層を構成する半導体材料の違いとして、第二の半導体層が第一の半導体層と異なる半導体材料を含有する場合、例えば、第二の半導体層を構成する半導体材料が第一の半導体層を構成する半導体材料より移動度が高い材料である場合や、第一の半導体層にはエンハンスメント型となる半導体材料を用い、第二の半導体層にはデプレッション型となる半導体材料を用いる場合などが挙げられる。
【0181】
半導体層の膜厚の違いとして、例えば、第二の半導体層の膜厚が第一の半導体層の膜厚より厚い場合などが挙げられる。これにより、第二の半導体層と第一の半導体層との各抵抗率が互いに異なる。そのため、各メモリ素子の第三の電極に一定の電圧が与えられた際に、それらのメモリ素子の第一の電極と第二の電極との間に流れる電流値を相異させることができる。
【0182】
また、第一の半導体層および第二の半導体層が半導体材料としてCNTをそれぞれ含有する場合、含有するCNTの濃度の違いにより、第一の半導体層と第二の半導体層との各電気特性を十分に相異させることができる。例えば、半導体層105(第一の半導体層)におけるCNTの濃度を、半導体層108(第二の半導体層)におけるCNTの濃度より高くすると、CNTの濃度が高い半導体層105を有するメモリ素子の方が、他方のメモリ素子に比べて、第一の電極106と第二の電極107との間に電流が流れやすい。
【0183】
上述したCNTの濃度とは、半導体層中における任意の1μm2の領域内に存在するCNTの本数をいう。CNTの本数の測定方法としては、原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などで得た半導体層の画像の中から任意の1μm2の領域を選択し、その領域に含まれる全てのCNTの本数を数える方法が挙げられる。
【0184】
(無線通信装置の構成の第六例)
図17は、図4Aに示す包装材10Aにおける、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第六例に適用される記憶部の一構成例を示す図である。図17において、第六例の無線通信装置16Dの記憶部141Fに適用されるメモリアレイとして、9つのメモリ素子10001~10009が配列されたメモリアレイ1000を例示するが、これに限定されず、記憶部141Fは、複数(2つ以上)のメモリ素子を配列してなるメモリアレイを有するものであってもよい。
【0185】
図17に示すように、記憶部141Fは、メモリアレイ1000と、メモリアレイ1000から情報を読み出すデコーダーなどの周辺回路1001,1002と、三本のワード線100a~100cと、三本のビット線101a~101cと、接続線13a~13dとを有する。メモリアレイ1000は、9つのメモリ素子10001~10009を有する。接続線13a~13dは、収納部15a~15dの密閉された開口上を通過して、メモリアレイ1000のメモリ素子10006~10009と周辺回路1001,1002とに接続される。すなわち、記憶部141Fにおいて、接続線13a~13dは、メモリ素子10006~10009に接続されるビット線と上述した収納部15a~15dの開口上を通過する配線とによって構成され、ビット線として機能する。なお、記憶部141Fの配線構成、メモリ素子10001~10009および周辺回路1001,1002の配置などは、図17に例示されるものに限定されない。
【0186】
ワード線100a~100cは、上述した少なくとも一本の第二の配線の一例である。ワード線100a~100cは、所定の方向を長手として互いに離間して並ぶように配置される。具体的には、ワード線100aは、周辺回路1001とメモリ素子10001~10003とに接続される。ワード線100bは、周辺回路1001とメモリ素子10004~10006とに接続される。ワード線100cは、周辺回路1001とメモリ素子10007~10009とに接続される。ビット線101a~101cおよび接続線13a~13dに含まれるビット線は、上述した複数の第一の配線の一例である。ビット線101a~101cおよび接続線13a~13d内のビット線は、ワード線100a~100cと交差する方向を長手として互いに離間して並ぶように配置される。また、ワード線100a~100cと、ビット線101a~101cおよび接続線13a~13d内のビット線とは、互いに絶縁された状態で交差するように配置される。
【0187】
メモリ素子10001~10009は、上述した第一の配線と第二の配線との各交点に対応して設けられる複数のメモリ素子の一例である。具体的には、図17に示すように、メモリ素子10001~10005は、ワード線100a~100cとビット線101a~101cとの各交差によって規定される5つの領域に各々配置される。メモリ素子10006は、ワード線100bと接続線13a内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。メモリ素子10007は、ワード線100cと接続線13d内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。メモリ素子10008は、ワード線100cと接続線13c内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。メモリ素子10009は、ワード線100cと接続線13b内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。
【0188】
図17に示すメモリアレイのV-V’線断面図は、図16Bに示す断面図と同様である。また、各メモリ素子の構成、および開封検知の方法については、図16A,16Bに示す包装材の場合と同様である。特に、メモリ素子10001~10005は、上述した半導体層105,108(図16B参照)に例示されるように互いに電気特性が異なる第一の半導体層および第二の半導体層のいずれかを有する。これによって、メモリ素子10001~10008にそれぞれ記録される情報、例えば、「0」または「1」が決定される。
【0189】
メモリアレイ1000においては、これら二種類のメモリ素子(a),(b)からなる8つのメモリ素子10001~10005の配列[メモリ素子10001,メモリ素子10002,メモリ素子10003,メモリ素子10004,メモリ素子10005]に基づき、メモリアレイ1000の固有情報が決定して記録される。
【0190】
一方、接続線13a~13d内のビット線に接続されたメモリ素子10006~10009は、上述した二種類のメモリ素子(a),(b)のうち、第一の電極106と第二の電極107との間に流れる電流値が高い方の半導体層を第一の電極106と第二の電極107との間の領域に有するメモリ素子である。その他の構成は、図16Bに示すメモリ素子10001~10003と同様である。
【0191】
ここで、収納部15a~15dが未だ開封されていない場合、接続線13a~13dは、切断されていない状態である。この状態において、周辺回路1001がメモリ素子10009を情報読み出し対象として選択した場合、ワード線100cを介してメモリ素子10006~10009の第三の電極103に一定の電圧が印加される。この際、上述したように半導体層を有するメモリ素子10006~10009には、第一の電極106と第二の電極107との間に電流が流れる。この電流は、接続線13a~13dを介して周辺回路1002によって検出される。このときにメモリ素子10006~10009から読み出される情報は、例えば、「1」とする。
【0192】
一方、収納部15a~15dが開封された場合、接続線13a~13dは、収納部15a~15dの部分で切断された状態になる。この状態において、周辺回路1001がメモリ素子10006~10009を情報読み出し対象として選択した場合、メモリ素子10006~10009には上述したように電流が流れるが、周辺回路1002は、この電流を検出できない。このため、周辺回路1002から見れば、メモリ素子10006~10009に流れる電流は、接続線13a~13dの切断前に比べて小さくなったことと同じ状態である。これは、メモリ素子10006~10009が、上述した二種類のメモリ素子(a),(b)のうち、第一の電極106と第二の電極107との間に流れる電流値が低い方の半導体層を有するメモリ素子であることと実質的に同義である。すなわち、メモリ素子10006~10009に記録された情報が、収納部15a~15dの開封の前と後とで変化したと言える。このときにメモリ素子10006~10009から読み出される情報を、例えば「0」とする。
【0193】
例えば、メモリ素子10001~10005にメモリアレイ1000の固有情報が記録されていた場合、収納部15a~15dが開封される前においてメモリアレイ1000に記録されていた情報は、メモリ素子10001~10009の配列に基づき、[固有情報、1,1,1,1]である。一方、収納部15a~15dの全てが開封された後においてメモリアレイ1000に記録されていた情報は、上述した配列に基づき、[固有情報、0,0,0,0]である。
【0194】
上述したように収納部15a~15dの開封に伴う接続線13a~13dの切断の前と後とで、メモリアレイ1000から読み出される情報(すなわちメモリアレイ1000に予め記録された情報)を、変化させることにより、メモリアレイ1000を記憶部141Fに有する無線通信装置16Dは、メモリアレイ1000の固有情報を維持しながら、上述した接続線13の切断の前と後とで相異した情報を当該固有情報とともに外部装置に発信することができる。この結果、複数の収納部15a~15dが開封されたか否かを外部装置で検知して管理することが、可能となる。
【0195】
さらに、無線通信装置16の記憶部141(図10参照)に適用されるメモリアレイとしては、図14B,14C、図15B図16A,16B、または図17に示すもの以外にも、以下に示す構造のメモリアレイが挙げられる。
【0196】
(無線通信装置の構成の第七例)
図18Aは、図1Aに示す包装材について、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第七例に適用される記憶部の一構成例を示す図である。なお、図18Aには図示しないが、第七例の無線通信装置は、記憶部141の一例として、メモリアレイ1100を有する記憶部141Gを備え、かつこのメモリアレイ1100に接続線13が接続されること以外、図14Aに示す無線通信装置16Cと同様に構成される。また、図18Aには、この第七例の記憶部141Gに適用されるメモリアレイとして、9つのメモリ素子11001~11009が配列されたメモリアレイ1100を例示するが、これに限定されず、記憶部141Gは、複数(2つ以上)のメモリ素子を配列してなるメモリアレイを有するものであってもよい。
【0197】
図18Aに示すように、記憶部141Gは、メモリアレイ1100と、メモリアレイ1100から情報を読み出すデコーダーなどの周辺回路1101,1102と、三本のワード線110a~110cと、三本のビット線111a~111cと、接続線13とを有する。メモリアレイ1100は、9つのメモリ素子11001~11009を有する。接続線13は、収納部15の密閉された開口上を通過して、メモリアレイ1100のメモリ素子11009と周辺回路1101,1102とに接続される。すなわち、記憶部141Gにおいて、接続線13は、メモリ素子11009に接続されるビット線と上述した収納部15の開口上を通過する配線とによって構成され、ビット線として機能する。なお、記憶部141Gの配線構成、メモリ素子11001~11009および周辺回路1101,1102の配置などは、図18Aに例示されるものに限定されない。
【0198】
ワード線110a~110cは、上述した少なくとも一本の第二の配線の一例である。ワード線110a~110cは、所定の方向を長手として互いに離間して並ぶように配置される。具体的には、ワード線110aは、周辺回路1101とメモリ素子11001~11003とに接続される。ワード線110bは、周辺回路1101とメモリ素子11004~11006とに接続される。ワード線110cは、周辺回路1101とメモリ素子11007~11009とに接続される。ビット線111a~111cおよび接続線13に含まれるビット線は、上述した複数の第一の配線の一例である。ビット線111a~111cおよび接続線13内のビット線は、ワード線110a~110cと交差する方向を長手として互いに離間して並ぶように配置される。また、ワード線110a~110cと、ビット線111a~111cおよび接続線13内のビット線とは、互いに絶縁された状態で交差するように配置される。
【0199】
メモリ素子11001~11009は、上述した第一の配線と第二の配線との各交点に対応して設けられる複数のメモリ素子の一例である。具体的には、図18Aに示すように、メモリ素子11001~11008は、ワード線110a~110cとビット線111a~111cとの各交差によって規定される8つの領域に各々配置される。メモリ素子11009は、ワード線110cと接続線13内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。
【0200】
図18Bは、図18Aに示すメモリアレイのVI-VI’線断面図である。図18Bには、第3の実施形態に係るメモリアレイ1100を構成する二種類のメモリ素子を代表して、メモリ素子11001~11003の一構成例が示されている。
【0201】
図18Bに示すように、上述した二種類のメモリ素子の一例であるメモリ素子11001~11003は、基材112の上に形成されている。メモリ素子11001~11003は、基材112の上に、第一の電極116、第二の電極117、絶縁層114、第三の電極113および半導体層115を有する。第三の電極113は、絶縁層114により、第一の電極116および第二の電極117と電気的に絶縁されている。第一の電極116および第二の電極117は、例えば絶縁層114の上において、互いに離間した状態で並んでいる。半導体層115は、絶縁層114の上であって第一の電極116と第二の電極117との間の領域に形成される。例えば、半導体層115は、これら第一の電極116と第二の電極117との間の領域に塗布された半導体材料からなる層である。なお、基材112は、シート11(詳細には図9A,9Bに示す基材11b)であってもよいし、その他の絶縁性の基材であってもよい。
【0202】
メモリ素子11001~11003の各々において、第三の電極113は、例えばゲート電極であり、配線を介して、図18Aに示すワード線110aと電気的に接続されている。第一の電極116は、例えばドレイン電極である。メモリ素子11001における第一の電極116は、配線を介して、図18Aに示すビット線111aと電気的に接続されている。メモリ素子11002における第一の電極116は、配線を介して、図18Aに示すビット線111bと電気的に接続されている。メモリ素子11003における第一の電極116は、配線を介して、図18Aに示すビット線111cと電気的に接続されている。第二の電極117は、例えばソース電極である。なお、特に図示しないが、各メモリ素子11001~11003における第二の電極117は、配線を介して基準電位線に接続されている。
【0203】
また、メモリ素子11001~11003は、第一の電極116と第二の電極117との間の領域に、半導体層115の電気特性を互いに異なる電気特性に変化させる第一の絶縁層118または第二の絶縁層119を有する。メモリ素子11001~11003は、これら第一の絶縁層118および第二の絶縁層119のいずれを有するかによって、第一の電極116と第二の電極117との間の電気特性が互いに異なる二種類のメモリ素子に区別される。例えば、これら二種類のメモリ素子のうち、一方の種類のメモリ素子は第一の絶縁層118を有するメモリ素子11001であり、他方の種類のメモリ素子は第二の絶縁層119を有するメモリ素子11002,11003である。これら一方の種類のメモリ素子11001と他方の種類のメモリ素子11002,11003とは、第一の絶縁層118と第二の絶縁層119とによる半導体層115の電気特性の相異によって、互いに異なる各情報をそれぞれ記録する。
【0204】
第一の絶縁層118および第二の絶縁層119は、第一の電極116と第二の電極117との間の領域に形成される塗布層の一例である。具体的には、第一の絶縁層118および第二の絶縁層119は、それぞれ、所望の塗布法によって絶縁層114とは反対側から半導体層115と接するように塗布された絶縁性材料からなる。また、第一の絶縁層118および第二の絶縁層119は、それぞれ異なる材料を含有する。このような第一の絶縁層118または第二の絶縁層119は、半導体層115に接すると、この接した状態にある半導体層115の電気特性を変化させる。これにより、第一の絶縁層118側の半導体層115の電気特性と第二の絶縁層119側の半導体層115の電気特性とが、互いに異なるものとなる。その理由としては、以下のようなことが考えられる。
【0205】
半導体層115は、大気と接していると、接している雰囲気中の酸素や水分の影響を受ける。この結果、半導体層115の電気特性が変化する場合がある。しかし、第一の絶縁層118または第二の絶縁層119が半導体層115に接して覆うことで、そのような外部環境による半導体層115への影響がなくなる。
【0206】
また、第一の絶縁層118に含まれる材料が、これと接する半導体層115の電気特性に何らかの影響を及ぼし、第二の絶縁層119に含まれる材料が、これと接する半導体層115の電気特性に何らかの影響を及ぼすと考えられている。例えば、図18Bに示すように第一の絶縁層118が半導体層115と接している場合、上述した外部環境による半導体層115への影響をなくしたうえで、この第一の絶縁層118に含まれる材料の種類により、半導体層115を介して第一の電極116と第二の電極117との間に流れる電流値が減少または増加する。このことは、第二の絶縁層119が半導体層115と接している場合にも起こる。第一の絶縁層118および第二の絶縁層119にそれぞれ含まれる各材料が互いに異なると、メモリ素子11001における半導体層115の電気特性が変化する度合いと、メモリ素子11002における半導体層115の電気特性が変化する度合いと、が互いに異なる。この結果、メモリ素子11001における半導体層115の電気特性とメモリ素子11002における半導体層115の電気特性とが、互いに異なるものとなる。
【0207】
上述した第一の絶縁層118と第二の絶縁層119とによる各半導体層115の電気特性の相異によって、メモリ素子11001およびメモリ素子11002にそれぞれ記録される情報、例えば、「0」または「1」が決定される。
【0208】
図18Aに示すメモリアレイ1100を構成する9つのメモリ素子11001~11009のうち、メモリ素子11001~11008は、図18Bに示す二種類のメモリ素子11001,11002のいずれか一方と同じ構造を有している。例えば、メモリ素子11004~11006の各々において、第三の電極113は、配線を介してワード線110bと電気的に接続されている。メモリ素子11004における第一の電極116は、配線を介してビット線111aと電気的に接続されている。メモリ素子11005における第一の電極116は、配線を介してビット線111bと電気的に接続されている。メモリ素子11006における第一の電極116は、配線を介してビット線111cと電気的に接続されている。また、メモリ素子11007,11008の各々において、第三の電極113は、配線を介してワード線110cと電気的に接続されている。メモリ素子11007における第一の電極116は、配線を介してビット線111aと電気的に接続されている。メモリ素子11008における第一の電極116は、配線を介してビット線111bと電気的に接続されている。なお、特に図示しないが、各メモリ素子11004~11008における第二の電極117は、配線を介して基準電位線に接続されている。
【0209】
特に、メモリ素子11001~11008は、上述した第一の絶縁層118および第二の絶縁層119のいずれかを有するものであり、第一の電極116と第二の電極117との間の電気特性が互いに異なる二種類のメモリ素子からなる。
【0210】
すなわち、メモリアレイ1100を構成する二種類のメモリ素子のうち、メモリ素子11001のように第一の絶縁層118を有するメモリ素子をメモリ素子(c)とし、メモリ素子11002のように第二の絶縁層119を有するメモリ素子をメモリ素子(d)としたとき、第一の絶縁層118と第二の絶縁層119とが互いに異なる材料を有していれば、メモリ素子(c)およびメモリ素子(d)は、第一の絶縁層118と第二の絶縁層119とによる各半導体層115の電気特性の相異によって、互いに異なる各情報をそれぞれ記録する。メモリ素子11001~11008を二種類のメモリ素子(c),(d)のいずれかとすることにより、メモリ素子11001~11008にそれぞれ記録される情報、例えば、「0」または「1」が決定される。
【0211】
上述した「半導体層の電気特性を変化させる」とは、各メモリ素子(c),(d)の選択時、すなわち、各メモリ素子(c),(d)の第三の電極113に一定の電圧が与えられた際に、これらのメモリ素子(c),(d)同士で第一の電極116と第二の電極117との間に流れる電流値が異なることを意味する。このような電流値の違いにより、メモリ素子(c)とメモリ素子(d)とにおいて、「0」の状態と「1」の状態とを識別することができる。この識別を十分に行うためには、「1」を記録したメモリ素子における第一の電極116と第二の電極117との間に流れる電流値と、「0」を記録したメモリ素子における第一の電極116と第二の電極117との間に流れる電流値とのうち、一方が他方に比べて100倍以上大きいことが好ましく、1000倍以上大きいことがより好ましい。
【0212】
メモリアレイ1100においては、これら二種類のメモリ素子(c),(d)からなる8つのメモリ素子11001~11008の配列[メモリ素子11001,メモリ素子11002,メモリ素子11003,メモリ素子11004,メモリ素子11005,メモリ素子11006,メモリ素子11007,メモリ素子11008]に基づき、メモリアレイ1100の固有情報が決定して記録される。
【0213】
一方、接続線13内のビット線に接続されたメモリ素子11009は、上述した二種類のメモリ素子(c),(d)のうち、半導体層115を介して第一の電極116と第二の電極117との間に流れる電流値が高い方の絶縁層(具体的には第一の絶縁層118または第二の絶縁層119)を第一の電極116と第二の電極117との間の領域に有するメモリ素子である。その他の構成は、図18Bに示すメモリ素子11001~11003と同様である。
【0214】
ここで、収納部15が未だ開封されていない場合、接続線13は、切断されていない状態である。この状態において、周辺回路1101がメモリ素子11009を情報読み出し対象として選択した場合、ワード線110cを介してメモリ素子11009の第三の電極113に一定の電圧が印加される。この際、メモリ素子11009には、第一の絶縁層118または第二の絶縁層119の作用によって電気特性に影響を受けた半導体層115を介して、第一の電極116と第二の電極117との間に電流が流れる。この電流は、接続線13を介して周辺回路1102によって検出される。このときにメモリ素子11009から読み出される情報は、例えば、「1」とする。
【0215】
一方、収納部15が開封された場合、接続線13は、収納部15の部分で切断された状態になる。この状態において、周辺回路1101がメモリ素子11009を情報読み出し対象として選択した場合、メモリ素子11009には上述したように電流が流れるが、周辺回路1102は、この電流を検出できない。このため、周辺回路1102から見れば、メモリ素子11009に流れる電流は、接続線13の切断前に比べて小さくなったことと同じ状態である。これは、メモリ素子11009が、上述した二種類のメモリ素子(c),(d)のうち、第一の電極116と第二の電極117との間に流れる電流値が低い方のメモリ素子であることと実質的には同義である。すなわち、メモリ素子11009に記録された情報が、収納部15の開封の前と後とで変化したと言える。このときにメモリ素子11009から読み出される情報は、例えば、「0」とする。
【0216】
例えば、メモリ素子11001~11008にメモリアレイ1100の固有情報が記録されていた場合、収納部15が開封される前においてメモリアレイ1100に記録されていた情報は、メモリ素子11001~11009の配列に基づき、[固有情報、1]である。一方、収納部15が開封された後においてメモリアレイ1100に記録されていた情報は、上述した配列に基づき、[固有情報、0]である。
【0217】
上述したように収納部15の開封に伴う接続線13の切断の前と後とで、メモリアレイ1100から読み出される情報(すなわちメモリアレイ1100に予め記録された情報)を、変化させることにより、メモリアレイ1100を記憶部141Gに有する無線通信装置16は、メモリアレイ1100の固有情報を維持しながら、上述した接続線13の切断の前と後とで相異した情報を当該固有情報とともに外部装置に発信することができる。この結果、複数の収納部15のいずれが開封されたか否かを収納部15別に外部装置で検知して管理することが、可能となる。
【0218】
なお、上述したメモリアレイ1100に適用されたメモリ素子11001~11009のTFT構造は、図18Bに例示したように、いわゆるボトムゲート構造である。しかし、メモリアレイ1100に適用できるTFT構造は、これに限定されず、いわゆるトップゲート構造であってもよい。
【0219】
(無線通信装置の構成の第八例)
図19は、図4Aに示す包装材10Aにおける、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第八例における記憶部の一構成例を示す図である。図19には、第八例の無線通信装置16の記憶部141Hに適用されるメモリアレイとして、9つのメモリ素子11001~11009が配列されたメモリアレイ1100を例示するが、これに限定されず、記憶部141Hは、複数(2つ以上)のメモリ素子を配列してなるメモリアレイを有するものであってもよい。
【0220】
図19に示すように、記憶部141Hは、メモリアレイ1100と、メモリアレイ1100から情報を読み出すデコーダーなどの周辺回路1101、1102と、三本のワード線110a~110cと、三本のビット線111a~111cと、接続線13a~13dとを有する。メモリアレイ1100は、9つのメモリ素子11001~11009を有する。接続線13は、収納部15の密閉された開口上を通過して、メモリアレイ1100のメモリ素子11009と周辺回路1101,1102とに接続される。すなわち、記憶部141Hにおいて、接続線13a~13dは、メモリ素子11009に接続されるビット線と上述した収納部15の開口上を通過する配線とによって構成され、ビット線として機能する。なお、記憶部141Hの配線構成、メモリ素子11001~11009および周辺回路1101,1102の配置などは、図19に例示されるものに限定されない。
【0221】
ワード線110a~110cは、上述した少なくとも一本の第二の配線の一例である。ワード線110a~110cは、所定の方向を長手として互いに離間して並ぶように配置される。具体的には、ワード線110aは、周辺回路1101とメモリ素子11001~11003とに接続される。ワード線110bは、周辺回路1101とメモリ素子11004~11006とに接続される。ワード線110cは、周辺回路1101とメモリ素子11007~11009とに接続される。ビット線111a~111cおよび接続線13a~13dに含まれるビット線は、上述した複数の第一の配線の一例である。ビット線111a~111cおよび接続線13a~13d内のビット線は、ワード線110a~110cと交差する方向を長手として互いに離間して並ぶように配置される。また、ワード線110a~110cと、ビット線111a~111cおよび接続線13a~13d内のビット線とは、互いに絶縁された状態で交差するように配置される。
【0222】
メモリ素子11001~11009は、上述した第一の配線と第二の配線との各交点に対応して設けられる複数のメモリ素子の一例である。具体的には、図19に示すように、メモリ素子11001~11005は、ワード線110a~110cとビット線111a~111cとの各交差によって規定される5つの領域に各々配置される。メモリ素子11006は、ワード線110bと接続線13a内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。メモリ素子11007は、ワード線110cと接続線13d内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。メモリ素子11008は、ワード線110cと接続線13c内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。メモリ素子11009は、ワード線110cと接続線13b内のビット線との交差によって規定される領域に配置される。
【0223】
図19に示すメモリアレイのVII-VII’線断面図は、図18Bに示す断面図と同様である。また、各メモリ素子の構成、および開封検知の方法については、図18A,18Bに示す包装材の場合と同様である。特に、メモリ素子11001~11005は、上述した半導体層105,108(図18B参照)に例示されるように、上述した第一の絶縁層118および第二の絶縁層119のいずれかを有するものであり、第一の電極116と第二の電極117との間の電気特性が互いに異なる。これによって、メモリ素子11001~11005にそれぞれ記録される情報、例えば、「0」または「1」が決定される。
【0224】
メモリアレイ1100においては、これら二種類のメモリ素子からなる5つのメモリ素子11001~11005の配列[メモリ素子11001,メモリ素子11002,メモリ素子11003,メモリ素子11004,メモリ素子11005]に基づき、メモリアレイ1100の固有情報が決定して記録される。
【0225】
一方、接続線13a~13d内のビット線に接続されたメモリ素子11006~11009は、上述した二種類のメモリ素子のうち、半導体層115を介して第一の電極116と第二の電極117との間に流れる電流値が高い方の絶縁層(具体的には第一の絶縁層118または第二の絶縁層119)を第一の電極116と第二の電極117との間の領域に有するメモリ素子である。その他の構成は、図18Bに示すメモリ素子11001~11003と同様である。
【0226】
ここで、収納部15a~15dが未だ開封されていない場合、接続線13a~13dは、切断されていない状態である。この状態において、周辺回路1101がメモリ素子11009を情報読み出し対象として選択した場合、ワード線110b~110cを介してメモリ素子11006~11009の第三の電極113に一定の電圧が印加される。この際、メモリ素子11006~11009には、第一の絶縁層118または第二の絶縁層119の作用によって電気特性に影響を受けた半導体層115を介して、第一の電極116と第二の電極117との間に電流が流れる。この電流は、接続線13を介して周辺回路1102によって検出される。このときにメモリ素子11006~11009から読み出される情報は、例えば、「1」とする。
【0227】
一方、収納部15a~15dが開封された場合、接続線13a~13dは、収納部15a~15dの部分で切断された状態になる。この状態において、周辺回路1101がメモリ素子11006~11009を情報読み出し対象として選択した場合、メモリ素子11006~11009には上述したように電流が流れるが、周辺回路1102は、この電流を検出できない。このため、周辺回路1102から見れば、メモリ素子11006~11009に流れる電流は、接続線13a~13dの切断前に比べて小さくなったことと同じ状態である。これは、メモリ素子11006~11009が、上述した二種類のメモリ素子のうち、第一の電極116と第二の電極117との間に流れる電流値が低い方のメモリ素子であることと実質的には同義である。すなわち、メモリ素子11006~11009に記録された情報が、収納部15a~15dの開封の前と後とで変化したと言える。このときにメモリ素子11006~11009から読み出される情報は、例えば、「0」とする。
【0228】
例えば、メモリ素子11001~11005にメモリアレイ1100の固有情報が記録されていた場合、収納部15a~15dが開封される前においてメモリアレイ1100に記録されていた情報は、メモリ素子11001~11005の配列に基づき、[固有情報、1,1,1,1]である。一方、収納部15a~15dの全てが開封された後においてメモリアレイ1100に記録されていた情報は、上述した配列に基づき、[固有情報、0,0,0,0]である。
【0229】
上述したように収納部15a~15dの開封に伴う接続線13a~13dの切断の前と後とで、メモリアレイ1100から読み出される情報(すなわちメモリアレイ1100に予め記録された情報)を、変化させることにより、メモリアレイ1100を記憶部141Hに有する無線通信装置16は、メモリアレイ1100の固有情報を維持しながら、上述した接続線13a~13dの切断の前と後とで相異した情報を当該固有情報とともに外部装置に発信することができる。この結果、複数の収納部15a~15dのいずれが開封されたか否かを、外部装置で検知して管理することが可能となる。
【0230】
以下、上述した第3の実施形態の第一例~第八例に共通する構成について、詳細に説明する。電極および配線の説明において、第3の実施形態の第一例~第八例における第一の電極、第二の電極および第三の電極は「電極」と適宜総称する。第3の実施形態の第一例~第八例におけるワード線およびビット線などを含む基材上の各種配線は「配線」と適宜総称する。半導体層の説明において、第3の実施形態の第一例~第四例、第七例、および第八例における半導体層、第3の実施形態の第五例および第六例における第一の半導体層および第二の半導体層は「半導体層」と適宜総称する。
【0231】
電極および配線に用いられる材料は、一般的に電極として使用可能な導電性材料であれば、いかなるものでもよい。そのような導電性材料としては、例えば、上述した接続線13と同様の材料を用いることができる。
【0232】
また、電極の幅、厚み、および各電極間の間隔(例えば第一の電極と第二の電極との間隔)は任意である。具体的には、電極の幅は5μm以上1mm以下であることが好ましい。電極の厚みは0.01μm以上100μm以下であることが好ましい。第一の電極と第二の電極との間隔は1μm以上500μm以下であることが好ましい。しかし、これらの寸法は、上述したものに限らない。
【0233】
さらに、配線の幅および厚みも任意である。具体的には、配線の厚みは0.01μm以上100μm以下であることが好ましい。配線の幅は5μm以上500μm以下であることが好ましい。しかし、これらの寸法は、上述したものに限らない。
【0234】
電極および配線の形成方法と、パターン加工方法とについては、上述した接続線13と同様の方法を用いることができる。なお、電極パターンおよび配線パターンは、それぞれ別々に加工して形成してもよいし、複数の電極パターンおよび配線パターンのうちの少なくとも2つを一括して加工して形成してもよい。加工工程の低減、パターンの接続し易さおよび精度の観点からは、電極パターンおよび配線パターンを一括して加工することが好ましい。
【0235】
絶縁層に用いられる絶縁性材料は、上述したゲート絶縁層23と同様の材料を用いることができる。また、絶縁層の形成方法についても、上述したゲート絶縁層23と同様の方法を用いることができる。
【0236】
半導体層に用いられる半導体材料としては、上述した半導体層24と同様の材料を用いることができる。この半導体層24と同様の材料の中でも、塗布法により半導体層を形成できるという観点から、半導体層は、半導体材料として、CNT、グラフェン、フラーレンおよび有機半導体からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。また200℃以下の低温で形成できることおよび半導体特性が高いことなどの観点から、半導体層は、半導体材料として、CNTを含有することがより好ましい。
【0237】
この半導体材料としてのCNTの中でも、CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したCNT複合体が特に好ましい。これは、CNTの保有する高い電気特性を損なうことなく、CNTを、半導体層形成用の溶液中で均一に分散することが可能になるからである。CNTが均一に分散した溶液を用いることで、インクジェット法などの塗布法により、CNTが均一に分散した膜を、半導体層として形成することができる。
【0238】
本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第五例および第六例においては、例えば、第一の半導体層の半導体材料として、ポリチオフェン類、ポリピロール類やポリアニリン類などの有機半導体ポリマーを用い、第二の半導体層の半導体材料として、CNTを用いることが好ましい。これにより、メモリ素子(a)およびメモリ素子(b)の第三の電極に一定の電圧が与えられた際に、メモリ素子(a)の場合とメモリ素子(b)の場合とにおいて、第一の電極と第二の電極との間に流れる電流値を相異させることができる。
【0239】
本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第七例および第八例における第一の絶縁層および第二の絶縁層(図18Bに例示した第一の絶縁層118、第二の絶縁層119参照)について説明する。第一の絶縁層および第二の絶縁層に用いられる絶縁性材料は、半導体層の電気特性を変化させることができるものであれば、特に制限はない。また、第一の絶縁層および第二の絶縁層を形成することによって、半導体層を酸素や水分などの外部環境から保護することもできる。
【0240】
第一の絶縁層および第二の絶縁層に用いられる絶縁性材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド前駆体樹脂、ポリイミド樹脂、ポリシロキサン樹脂、フッ素系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などを用いることができる。
【0241】
アクリル樹脂とは、繰返し単位に少なくともアクリル系モノマーに由来する構造を含む樹脂である。アクリル系モノマーの具体例としては、炭素-炭素二重結合を有するすべての化合物が使用可能である。アクリル系モノマーの好ましい例としては、メチルアクリレート、アクリル酸、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、n-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、i-プロピルアクリレート、グリシジルアクリレート、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミド、N-n-ブトキシメチルアクリルアミド、N-イソブトキシメチルアクリルアミド、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、1-ナフチルアクリレート、2-ナフチルアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレートなどのアクリル系モノマーおよびこれらのアクリレートをメタクリレートに代えたものなどが挙げられる。なお、これらのアクリル系モノマーは、単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いても構わない。
【0242】
エポキシ樹脂とは、分子構造中にエポキシ基を2個以上含むプレポリマーを有する構造を含む樹脂である。プレポリマーとしては、例えば、ビフェニル骨格やジシクロペンタジエン骨格を有する化合物が挙げられる。また、第一の絶縁層および第二の絶縁層に用いられる絶縁性材料は、エポキシ樹脂に加えて硬化剤を有していてもよい。硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、アミノトリアジン化合物、ナフトール化合物、ジアミン化合物などを用いることができる。第一の絶縁層および第二の絶縁層に用いられる絶縁性材料は、さらに、金属キレート化合物などの硬化促進剤を有していてもよい。金属キレート化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ベンゾイミダゾール系化合物、トリス(2,4-ペンタンジオナト)コバルトなどが挙げられる。
【0243】
ポリイミド前駆体樹脂とは、熱および化学的閉環反応の少なくとも1つによって、ポリイミド樹脂に変換される樹脂のことである。ポリイミド前駆体樹脂としては、例えば、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸シリルエステルなどが挙げられる。
【0244】
ポリイミド前駆体樹脂は、ジアミン化合物と、酸二無水物またはその誘導体との重合反応により合成することができる。酸二無水物の誘導体としては、例えば、テトラカルボン酸、酸塩化物、テトラカルボン酸のモノ、ジ、トリまたはテトラエステルなどが挙げられる。エステル化された構造としては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などでエステル化された構造が挙げられる。重合反応の方法は、目的のポリイミド前駆体樹脂が製造できるものであれば特に制限はなく、公知の反応方法を用いることができる。
【0245】
ポリシロキサン樹脂とは、シラン化合物の重縮合化合物である。シラン化合物としては、特に制限はないが、例えば、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、p-トリルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、α-ナフチルトリメトキシシラン、β-ナフチルトリメトキシシラン、トリフルオロエチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。なお、これらのシラン化合物は、単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いても構わない。
【0246】
フッ素系樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ(フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン)(PVDF-TrFE)、ポリ(フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン)(PVDF-TeFE)、ポリ(フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン)(PVDF-CTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン-クロロフルオロエチレン)(PVDF-CFE)、ポリ(フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン-クロロフルオロエチレン)(PVDF-TrFE-CFE)、ポリ(フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン-クロロトリフルオロエチレン)(PVDF-TrFE-CTFE)、テトラフルオロエチレン、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、ポリトリクロロフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン-パーフルオロジオキソールコポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、パーフルオロアルコキシアルカンなどが挙げられる。なお、これらのフッ素系樹脂は、単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いても構わない。
【0247】
ポリビニルアセタール樹脂とは、ポリビニルアルコールをアセタール化して得られる樹脂である。ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラールなどが挙げられる。
【0248】
その他の樹脂としては、スチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-ヒドロキシスチレン、o-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、α-メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレンなどのスチレン誘導体、1-ビニル-2-ピロリドンなどのビニル系モノマーに由来する構造を含む樹脂、シクロオレフィンなどの環状炭化水素構造を含む樹脂などが挙げられる。なお、ビニル系モノマーは、これらのモノマーに限定されるものではなく、また、単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いても構わない。
【0249】
また、第一の絶縁層および第二の絶縁層は、上述した絶縁性材料に加えて、酸化シリコン、アルミナ、ジルコニアなどの無機材料や、アミド系化合物、イミド系化合物、ウレア系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、アニリン系化合物、ニトリル系化合物などの、窒素原子を含む化合物を含有してもよい。第一の絶縁層および第二の絶縁層は、上述した化合物を含有することで、しきい値電圧や電流値などといった、半導体層の電気特性をさらに変化させることができる。
【0250】
具体的には、アミド系化合物として、ポリアミド、ホルムアミド、アセトアミド、ポリ-N-ビニルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアニリド、ベンズアニリド、N-メチルベンズアニリド、スルホンアミド、ナイロン、ポリビニルピロリドン、N-メチルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、ε-カプロラクタムなどを挙げることができる。イミド系化合物として、ポリイミド、フタルイミド、マレイミド、アロキサン、スクシンイミドなどを挙げることができる。
【0251】
ウレア系化合物として、ウラシル、チミン、尿素、ポリウレタン、アセトヘキサミド、アラントイン、2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジシアンジアミジン、シトルリンなどを挙げることができる。
【0252】
アミン系化合物として、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン、シクロデシルアミン、シクロドデシルアミン、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(キヌクリジン)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(MTBD)、ポリ(メラミン-co-ホルムアルデヒド)、テトラメチルエチレンジアミン、ピペリジン、ジュロリジン、フェニルアラニンなどを挙げることができる。イミン系化合物として、イミダゾール、ピリミジン、ポリ(メラミン-co-ホルムアルデヒド)メチルアミノ安息香酸などを挙げることができる。
【0253】
アニリン系化合物として、アニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミンなどを挙げることができる。ニトリル系化合物として、アセトニトリル、アクリロニトリルなどを挙げることができる。
【0254】
第一の絶縁層および第二の絶縁層のうち、一方は極性基を有する樹脂を含み、他方は極性基を有する樹脂を含まないことが好ましい。極性基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、スルホ基、シアノ基、グリシジル基、ハロゲンなどが挙げられる。また、極性基は、これらの基の一部が置換されていてもよい。
【0255】
本発明において、極性基を有する樹脂とは、樹脂の繰り返し単位の中に極性基を有する樹脂のことをいう。樹脂の中に複数の繰り返し単位が含まれる場合は、これら複数の繰り返し単位のうちの少なくとも1つの中に極性基が含まれていればよい。
【0256】
極性基を有する樹脂を含む第一の絶縁層と、極性基を有する樹脂を含まない第二の絶縁層とは、比誘電率が互いに異なる。それにより、第一の絶縁層および第二の絶縁層とそれぞれ接する各半導体層のしきい値電圧を、互いに異なる程度に変化させることができる。
【0257】
第一の絶縁層および第二の絶縁層を構成する絶縁性材料の比誘電率は、以下のように測定することができる。まず、第一の絶縁層および第二の絶縁層の各構成物を判定する。この判定処理は、元素分析、核磁気共鳴分析、赤外分光分析、X線光電子分光などの各種有機分析手法および無機分析手法を、単独で、または複数組み合わせて用いることにより、行うことができる。この判定処理によって判明した各構成物を誘電体層として用いてコンデンサを作製し、このコンデンサに周波数1kHzで交流電圧を印加した際の静電容量を測定する。測定した静電容量(C)、コンデンサの電極面積(S)および誘電体層の膜厚(d)から、以下の(1)式を用いて比誘電率(ε)を算出する。ここで、真空の誘電率(ε)は8.854×10-12として算出する。
C=εεS/d ……(1)
【0258】
第一の絶縁層および第二の絶縁層の膜厚は、一般的には50nm以上10μm以下であり、好ましくは100nm以上3μm以下である。第一の絶縁層および第二の絶縁層は、それぞれ、単層からなるものでもよいし、複数層からなるものでもよい。また、第一の絶縁層および第二の絶縁層のそれぞれにおいて、1つの層が複数の絶縁性材料から形成されてもよいし、複数の層が複数の絶縁性材料を積層して形成されてもよい。
【0259】
(無線通信装置の構成の第九例)
さらに、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第九例としては、記憶部が、少なくとも、収納部15の開封の有無を検知するための情報を記録するフリップフロップ回路を有する構成が挙げられる。図20Aは、図1Aに示す包装材10における、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第九例を示すブロック図である。図20B~20Eは、図20Aに示す無線通信装置16Eに適用される記憶部の一構成例を示す図である。
【0260】
図20Aに示すように、第九例における記憶部141Kは、フリップフロップ回路1300を有する。図20B~20Eに示すように、フリップフロップ回路1300は、2つのフリップフロップ回路13001,13002を有して構成される。2つのフリップフロップ回路13001,13002を組み合わせることによって、[1000],[1100],[1010],[1110]の4つのデジタル信号を作り出すことができる。すなわち、2ビットの情報を生成することができる。
【0261】
図20Bにおいて、[1000]のデジタル信号を発する配線が接続線13aである場合を説明する。収納部15aが未開封の場合、図20Aに示す無線通信装置16Eからなる無線通信装置16a(図1A参照)からは、[1000,1100,1010,1110]の信号が送信される。一方、収納部15aが開封された場合、接続線13aを電源回路、または基準電位線に接続された薄膜トランジスタに周辺回路1103にて接続させることで[1111]のデジタル信号にすることができる。その結果、無線通信装置16aからは、[1111,1100,1010,1110]の信号が送信される。すなわち、収納部15aの固有情報は[1100,1010,1110]とすることができ、上述した接続線13aの切断の前と後とで相異した情報を当該固有情報とともに外部装置に発信することができる。
【0262】
図20Cにおいて、[1100]のデジタル信号を発する配線が接続線13bである場合を説明する。収納部15bが未開封の場合、無線通信装置16b(図1A参照)からは、[1000,1100,1010,1110]の信号が送信される。一方、収納部15bが開封された場合、接続線13bを電源回路、または基準電位線に接続された薄膜トランジスタに周辺回路1103にて接続させることで[1111]のデジタル信号にすることができる。その結果、無線通信装置16bからは、[1000,1111,1010,1110]の信号が送信される。すなわち、収納部15bの固有情報は[1000,1010,1110]とすることができ、上述した接続線13bの切断の前と後とで相異した情報を当該固有情報とともに外部装置に発信することができる。
【0263】
図20Dにおいて、[1010]のデジタル信号を発する配線が接続線13cである場合を説明する。収納部15cが未開封の場合、無線通信装置16c(図1A参照)からは、[1000,1100,1010,1110]の信号が送信される。一方、収納部15cが開封された場合、接続線13cを電源回路、または基準電位線に接続された薄膜トランジスタに周辺回路1103にて接続させることで[1010]のデジタル信号にすることができる。その結果、無線通信装置16cからは、[1000,1100,1111,1110]の信号が送信される。すなわち、収納部15cの固有情報は[1000,1100,1110]とすることができ、上述した接続線13cの切断の前と後とで相異した情報を当該固有情報とともに外部装置に発信することができる。
【0264】
図20Eにおいて、[1110]のデジタル信号を発する配線が接続線13dである場合を説明する。収納部15dが未開封の場合、無線通信装置16d(図1A参照)からは、[1000,1100,1010,1110]の信号が送信される。一方、収納部15dが開封された場合、接続線13dを電源回路、または基準電位線に接続された薄膜トランジスタに周辺回路1103にて接続させることで[1111]のデジタル信号にすることができる。その結果、無線通信装置16dからは、[1000,1100,1010,1111]の信号が送信される。すなわち、収納部15dの固有情報は[1000,1100,1010]とすることができ、上述した接続線13dの切断の前と後とで相異した情報を当該固有情報とともに外部装置に発信することができる。
【0265】
以上の結果、複数の収納部15のいずれが開封されたか否かを、収納部15別に外部装置で検知して、管理することが可能となる。なお、収納部15の数が増えた場合は、フリップフロップ回路の数を増やせばよく、n個のフリップフロップ回路を用いることで、2個の収納部15を区別できる。
【0266】
(無線通信装置の構成の第十例)
また、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第十例としては、記憶部が、少なくとも収納部15の開封の有無を検知するための情報を記録するフリップフロップ回路を有する構成が挙げられる。図21Aは、図4Aに示す包装材10Aにおける、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置16Fの構成の第十例を示すブロック図である。図21Bは、図21Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。
【0267】
図21Aに示すように、第十例における記憶部141Lは、フリップフロップ回路1300を有する。図21Bに示すように、フリップフロップ回路1300は、2つのフリップフロップ回路13001,13002を有して構成される。2つのフリップフロップ回路13001,13002を組み合わせることで、[1000]、[1100]、[1010]、[1110]の4つのデジタル信号を作り出すことができる。すなわち、2ビットの情報を生成することができる。
【0268】
図21Bにおいて、[1000]のデジタル信号を発する配線が接続線13a、[1100]のデジタル信号を発する配線が接続線13b、[1010]のデジタル信号を発する配線が接続線13c、[1110]のデジタル信号を発する配線が接続線13dである場合について説明する。収納部15a~15dが全て未開封の場合、無線通信装置16Fからは、[1000,1100,1010,1110]の信号が送信される。一方、収納部15aが開封された場合、接続線13aを電源回路、または基準電位線に接続された薄膜トランジスタに周辺回路1103にて接続させることで、[1111]のデジタル信号にすることができる。その結果、無線通信装置16Fからは、[1111,1100,1010,1110]の信号が送信される。すなわち、上述した接続線13aの切断の前と後とで相異した情報を外部装置に発信することができる。さらに、収納部15bが開封された場合、無線通信装置16Fからは、[1111,1111,1010,1110]の信号が送信される。さらに、収納部15cが開封された場合、無線通信装置16Fからは、[1111,1111,1111,1110]の信号が送信される。さらに、収納部15dが開封された場合、無線通信装置16Fからは、[1111,1111,1111,1111]の信号が送信される。
【0269】
以上の結果、複数の収納部15a~15dのいずれが開封されたか否かを、収納部15別に外部装置で検知して、管理することが可能となる。なお、収納部15の数が増えた場合は、フリップフロップ回路の数を増やせばよく、n個のフリップフロップ回路を用いることで、2個の収納部15を区別することができる。
【0270】
(無線通信装置の構成の第十一例)
また、図22Aは、図1Aに示す包装材における、本発明の第3の実施形態の第十一例に係る無線通信装置の構成の第一例を示すブロック図である。図22Bは、図22Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。
【0271】
図22Aに示すように、第十一例による無線通信装置16Gは、記憶部141M内に、メモリアレイ1500および周辺回路1501,1502を有する。第1の実施形態による図1Aに示す包装材10は、周辺回路1501,1502に接続されている。ワード線150a~150cはそれぞれ、ワード線90a~90cと同様であり、ビット線151a~151cはそれぞれ、ビット線91a~91cと同様である。その他の構成は、図14Aに示す構成と同様である。
【0272】
図22Bにおいては、メモリ素子15001~15009からなるメモリアレイ1500には、収納部15の固有情報が記録されている。周辺回路1501内で接続線13が基準電位線に接続された薄膜トランジスタと接続されていて、収納部15が未開封の場合、周辺回路1502から出力される信号を「0」にすることができる。この場合、無線通信装置16Gからは、[固有情報、0]という信号が送信される。一方、収納部15が開封された場合は、周辺回路1502から出力される信号を「1」にすることができる。この場合、無線通信装置16Gからは、[固有情報、1]という信号が送信される。
【0273】
また、周辺回路1501内で接続線13が電源回路に接続された薄膜トランジスタと接続されていて、収納部15が未開封の場合は、周辺回路1502から出力される信号を「1」にすることができる。この場合、無線通信装置16Gからは、[固有情報、1]という信号が送信される。一方、収納部15が開封された場合、周辺回路1502から出力される信号を「0」にすることができる。この場合、無線通信装置16Gからは、[固有情報、0]という信号が送信される。
【0274】
このように、上述した接続線13の切断の前と後とで相異した情報を当該固有情報とともに外部装置に発信することができる。したがって、複数の収納部15のいずれが開封されたか否かを、収納部15別に外部装置で検知して、管理することが可能となる。なお、メモリアレイ1500の構造については特に限定はないが、メモリアレイ1500の製造コストの観点から、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第三例~第八例で示した構造が好ましい(図14C図16B、および図18B参照)。
【0275】
(無線通信装置の構成の第十二例)
図23Aは、図4Aに示す包装材における、本発明の第3の実施形態の第十二例に係る無線通信装置の構成の第一例を示すブロック図である。図23Bは、図23Aに示す無線通信装置の記憶部の一構成例を示す図である。
【0276】
図23Aに示すように、第十二例による無線通信装置16Hは、記憶部141N内に、メモリアレイ1500および周辺回路1501,1502を有する。第2の実施形態による図4Aに示す包装材10Aは、周辺回路1501,1502に接続されている。ワード線150a~150cはそれぞれ、ワード線90a~90cと同様であり、ビット線151a~151cはそれぞれ、ビット線91a~91cと同様である。その他の構成は、図15Aに示す構成と同様である。
【0277】
図23Bにおいては、メモリ素子15001~15009からなるメモリアレイ1500には、包装材の固有情報が記録されている。周辺回路1501内で接続線13a~13dが基準電位線に接続された薄膜トランジスタと接続されていて、収納部15a~15dが未開封の場合、周辺回路1502から出力される信号を「0」にすることができる。この場合、無線通信装置16Hからは、[固有情報、0,0,0,0]という信号が送信される。一方、収納部15aが開封された場合は、周辺回路1502から出力される信号を「1」にすることができる。この場合、無線通信装置16Hからは、[固有情報、1,0,0,0]という信号が送信される。続いて、収納部15bが開封された場合は、無線通信装置16Hからは、[固有情報、1,1,0,0]という信号が送信される。続いて、収納部15cが開封された場合は、無線通信装置16Hからは、[固有情報、1,1,1,0]という信号が送信される。続いて、収納部15dが開封された場合は、無線通信装置16Hからは、[固有情報、1,1,1,1]という信号が送信される。
【0278】
また、周辺回路1501内で接続線13が電源回路に接続されていて、収納部15が未開封の場合、周辺回路1502から出力される信号を「1」にすることができる。この場合、無線通信装置16Hからは、[固有情報、1,1,1,1]という信号が送信される。一方、収納部15aが開封された場合、周辺回路1502から出力される信号を「0」にすることができる。この場合、無線通信装置16Hからは、[固有情報、0,1,1,1]という信号が送信される。続いて、収納部15bが開封された場合は、無線通信装置16Hからは、[固有情報、0,0,1,1]という信号が送信される。続いて、収納部15cが開封された場合は、無線通信装置16Hからは、[固有情報、0,0,0,1]という信号が送信される。続いて、収納部15dが開封された場合は、無線通信装置16Hからは、[固有情報、0,0,0,0]という信号が送信される。
【0279】
このように、上述した接続線13a~13dの切断の前と後とで相異した情報を当該固有情報とともに外部装置に発信することができる。したがって、包装材が有する複数の収納部15のいずれかが開封されたか否かを外部装置で検知して管理することが、可能となる。なお、メモリアレイ1500の構造については特に限定はないが、メモリアレイ1500の製造コストの観点から、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の構成の第三例~第八例で示した構造が好ましい(図14C図16B、および図18B参照)。
【0280】
(無線通信装置の第一例および第二例におけるメモリ素子の製造方法)
本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第一例および第二例におけるメモリ素子の製造方法について説明する。メモリ素子の製造方法は、メモリ素子における第一の電極と第二の電極との間の領域に、塗布法によって塗布層を形成する塗布工程を、少なくとも含む。また、製造方法において、製造対象のメモリ素子を構成する電極や絶縁層、半導体層の形成方法は、上述した通りである。これらの形成方法の順序を適宜選択することによって、第一例および第二例におけるメモリ素子を製造することができる。
【0281】
本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第一例および第二例におけるメモリ素子の製造方法の一例を、図12B,12Cに示すメモリ素子800を例にとり、図12B,12Cを参照しつつ具体的に説明する。第一例および第二例におけるメモリ素子の製造方法には、メモリ素子と、一本のワード線と、ビット線としての接続線13とを形成するための各種工程、例えば、第一の電極配線形成工程と、絶縁層形成工程と、第二の電極配線形成工程と、塗布工程とが含まれる。
【0282】
具体的には、まず、第一の電極配線形成工程が行われる。この工程では、基材81の上に、一本のワード線80と、第三の電極82とが、上述した方法、例えば、マスクを通して真空蒸着することで、同時に形成される。第三の電極82は、ワード線80と配線を介して接続される。
【0283】
次に、絶縁層形成工程が行われる。この工程では、基材81の上に、絶縁層83が、第三の電極82に対応して、上述した方法、例えば、印刷法で形成される。形成された絶縁層83は、第三の電極82に上側から接するとともに、基材81との間に第三の電極82を挟んで覆う。
【0284】
次に、第二の電極配線形成工程が行われる。この工程では、接続線13と、一対の第一の電極85および第二の電極86とが、上述した方法、例えば、同一の材料を用い、マスクを通して真空蒸着することで、同時に形成される。この際、接続線13は、ワード線80と交差する方向を長手とし、収納部15の開口を密閉する基材部分を通過して周辺回路801,802と接続可能なパターンとなるように、基材81上に形成される。第一の電極85は、接続線13と配線を介して接続される。
【0285】
次に、塗布工程が行われる。この工程において対象とする塗布層は、半導体層84(図12C参照)である。この工程では、第一の電極85と第二の電極86との間の領域に、半導体層84が、塗布法によって形成される。この工程における塗布法は、特に限定されるものではないが、インクジェット法、ディスペンサー法およびスプレー法からなる群より選ばれるいずれか1つであることが好ましい。中でも、塗布位置精度および原料使用効率の観点から、塗布法としてインクジェット法がより好ましい。
【0286】
上述したような第一の電極配線形成工程、絶縁層形成工程、第二の電極配線形成工程、および塗布工程により、基材81の上に、図12Cに示すTFT構造を有しかつワード線80および接続線13と接続された状態のメモリ素子800(図12B参照)を作製することができる。なお、この基材81としては、例えば、包装材10のシート11を構成する基材11b(図9A,9B参照)などが挙げられる。
【0287】
(無線通信装置の第三例~第八例、第十一例、および第十二例におけるメモリアレイの製造方法)
本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第三例~第八例、第十一例、および第十二例におけるメモリアレイの製造方法について説明する。なお、上述したように、第十一例および第十二例におけるメモリアレイの構造は、第三例~第八例におけるメモリアレイの構造と同様であることが好ましい。また、第十一例および第十二例におけるメモリアレイの製造方法に関しても、第三例~第八例におけるメモリアレイの製造方法と同様であることが好ましい。この製造方法は、複数のメモリ素子のうち少なくとも1つのメモリ素子における第一の電極と第二の電極との間の領域に、塗布法によって塗布層を形成する塗布工程を、少なくとも含むものである。また、この製造方法において、製造対象のメモリアレイに含まれる各メモリ素子を構成する電極や絶縁層、半導体層の形成方法は上述した通りである。これらの形成方法の順序を適宜選択することで、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第三例~第八例、第十一例、および第十二例におけるメモリアレイを製造することができる。
【0288】
まず、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第三例~第八例、第十一例、および第十二例におけるメモリアレイの製造方法の一例を、図14Bに示すメモリアレイ900を例にとり、図14B、14Cを参照しつつ具体的に説明する。この第三例におけるメモリアレイの製造方法には、このメモリアレイを構成する複数のメモリ素子と、少なくとも一本のワード線と、複数のビット線とを形成するための各種工程、例えば、第一の電極配線形成工程と、絶縁層形成工程と、第二の電極配線形成工程と、塗布工程とが含まれる。
【0289】
具体的には、まず、第一の電極配線形成工程が行われる。この工程では、基材92の上に、三本のワード線90a~90cと、複数の第三の電極93とが、上述した方法、例えば、マスクを通して真空蒸着することで、同時に形成される。これら複数の第三の電極93は、ワード線90a~90cのうち接続対象として順次選択される一本と配線を介して接続される。第三の電極93の形成数は、作製予定の複数(例えば9つ)のメモリ素子と同じ数である。
【0290】
次に、絶縁層形成工程が行われる。この工程では、基材92の上に、複数の絶縁層94が、複数の第三の電極93に対応して、上述した方法、例えば、印刷法で形成される。これら複数の絶縁層94の各々は、第三の電極93に上側から接するとともに、基材92との間に第三の電極93を挟んで覆う。
【0291】
次に、第二の電極配線形成工程が行われる。この工程では、複数のビット線(例えばビット線91a~91cおよびビット線としての接続線13)と、複数対の第一の電極96および第二の電極97とが、上述した方法、例えば、同一の材料を用い、マスクを通して真空蒸着することで、同時に形成される。この際、ビット線91a~91cおよび接続線13は、少なくとも一本のワード線(例えばワード線90a~90c)と交差する方向を長手として互いに離間して並ぶように、基材92上に形成される。また、接続線13は、収納部15の開口を密閉する基材部分を通過して周辺回路901,902と接続可能なパターンをなすようにする。複数の第一の電極96の各々は、ビット線91a~91cおよび接続線13など、複数のビット線のうち接続対象として順次選択される一本と配線を介して接続される。第一の電極96および第二の電極97の各形成数は、作製予定の複数(例えば9つ)のメモリ素子と同じ数である。
【0292】
次に、塗布工程が行われる。この工程において対象とする塗布層は、半導体層95である。この工程では、記録される情報に対応して、基材92上の複数のメモリ素子の中から塗布対象のメモリ素子が選択される。ついで、選択された塗布対象のメモリ素子(図14Cではメモリ素子9001,9003)における第一の電極96と第二の電極97との間の領域に、半導体層95が、塗布法によって形成される。例えば、メモリ素子9001の第一の電極96と第二の電極97との間の領域に、CNTを含む溶液を塗布し、必要に応じ乾燥させて、半導体層95が形成される。一方、これら複数のメモリ素子のうち、塗布対象に選択されていないメモリ素子(図14Cではメモリ素子9002)には、半導体層95が形成されない。このようにして、基材92上の複数のメモリ素子は、半導体層95の有無によって電気特性が互いに異なる(すなわち、記録される情報が互いに異なる)二種類のメモリ素子に作り分けられる。この結果、これら二種類のメモリ素子の任意な配列によって決定する情報(例えば複数の収納部15別に異なる固有情報および開封検知のための情報など)が記録されたメモリアレイ(例えば図14Bに示すメモリアレイ900)を作製することができる。
【0293】
この工程における塗布法は、特に限定されるものではないが、インクジェット法、ディスペンサー法およびスプレー法からなる群より選ばれるいずれか1つであることが好ましい。中でも、塗布位置精度および原料使用効率の観点から、塗布法としてインクジェット法がより好ましい。また、上述した基材92としては、例えば、包装材10のシート11を構成する基材11bなどが挙げられる。
【0294】
(無線通信装置の第五例および第六例におけるメモリアレイの製造方法の例)
次に、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第五例および第六例におけるメモリアレイの製造方法の一例を、図16Aに示すメモリアレイ1000を例にとり、図16A,16Bを参照しつつ具体的に説明する。この第五例におけるメモリアレイの製造方法には、このメモリアレイを構成する複数のメモリ素子と、少なくとも一本のワード線と、複数のビット線とを形成するための各種工程、例えば、第一の電極配線形成工程と、絶縁層形成工程と、第二の電極配線形成工程と、塗布工程とが含まれる。
【0295】
具体的には、まず、第一の電極配線形成工程が行われる。この工程では、基材102の上に、三本のワード線100a~100cと、複数の第三の電極103とが、上述した方法、例えば、マスクを通して真空蒸着することで、同時に形成される。これら複数の第三の電極103は、ワード線100a~100cのうち接続対象として順次選択される一本と配線を介して接続される。第三の電極103の形成数は、作製予定の複数(例えば9つ)のメモリ素子と同じ数である。
【0296】
次に、絶縁層形成工程が行われる。この工程では、基材102の上に、複数の絶縁層104が、複数の第三の電極103に対応して、上述した方法、例えば、印刷法で形成される。これら複数の絶縁層104の各々は、第三の電極103に上側から接するとともに、基材102との間に第三の電極103を挟んで覆う。
【0297】
次に、第二の電極配線形成工程が行われる。この工程では、複数のビット線(例えばビット線101a~101cおよびビット線としての接続線13)と、複数対の第一の電極106および第二の電極107とが、上述した方法、例えば、同一の材料を用い、マスクを通して真空蒸着することで、同時に形成される。この際、ビット線101a~101cおよび接続線13は、少なくとも一本のワード線(例えばワード線100a~100c)と交差する方向を長手として互いに離間して並ぶように、基材102の上に形成される。また、接続線13は、収納部15の開口を密閉する基材部分を通過して周辺回路1001、1002と接続可能なパターンをなすようにする。複数の第一の電極106の各々は、ビット線101a~101cおよび接続線13など、複数のビット線のうち接続対象として順次選択される一本と配線を介して接続される。第一の電極106および第二の電極107の各形成数は、作製予定の複数(例えば9つ)のメモリ素子と同じ数である。
【0298】
次に、塗布工程が行われる。この工程において対象とする塗布層は、互いに電気特性が異なる半導体層105,108である。この工程では、記録される情報に対応して、基材102上の複数のメモリ素子のそれぞれにおける第一の電極106と第二の電極107との間の領域に、半導体層105または半導体層108が、塗布法によって形成される。例えば、メモリ素子10001,10003の第一の電極106と第二の電極107との間の領域に、CNTを含む溶液を塗布し、必要に応じ乾燥させて、半導体層105が形成される。また、メモリ素子10002の第一の電極106と第二の電極107との間の領域に、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)を含む溶液を塗布し、必要に応じ乾燥させて、半導体層108が形成される。このようにして、基材102上の複数のメモリ素子は、半導体層105,108のいずれを有するかによって電気特性が互いに異なる(すなわち、記録される情報が互いに異なる)二種類のメモリ素子に作り分けられる。この結果、これら二種類のメモリ素子の任意な配列によって決定する情報(例えば複数の収納部15別に異なる固有情報および開封検知のための情報など)が記録されたメモリアレイ(例えば図16Aに示すメモリアレイ1000)を作製することができる。
【0299】
この工程における塗布法は、上述した第三例における塗布工程の場合と同様に、インクジェット法、ディスペンサー法およびスプレー法からなる群より選ばれるいずれか1つであることが好ましい。中でも、塗布位置精度および原料使用効率の観点から、インクジェット法がより好ましい。
【0300】
また、メモリ素子10001およびメモリ素子10002に対して互いに異なる電気特性を与えるための方法としては、半導体層105,108を各々形成する各半導体材料を互いに異なるものにする他に、例えば、以下の方法が挙げられる。1つは、半導体層105を形成する時のCNT溶液の塗布量を、半導体層108を形成する時のCNT溶液の塗布量より増加させ、これにより、半導体層105の膜厚を半導体層108の膜厚より厚くする方法である。また、別の1つは、半導体層105および半導体層108を各々形成するときの各半導体材料の塗布量は一定とするが、半導体層105を形成する時のCNT溶液の濃度を、半導体層108を形成する時のCNT溶液の濃度よりも濃くする方法である。これらの方法により、「0」および「1」のうちの一方の情報をメモリ素子10001に記録させ、他方の情報をメモリ素子10002に記録させるなどして、互いに異なる情報を記録した二種類のメモリ素子を任意に組み合わせた複数のメモリ素子の配列、すなわちメモリアレイを、同一の工程で作製することができる。ただし、半導体層同士の電気特性を十分に相異させ得る方法であれば、これら以外の方法であってもよい。
【0301】
(無線通信装置の第七例および第八例におけるメモリアレイの製造方法の例)
次に、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第七例および第八例におけるメモリアレイの製造方法の一例を、図18Aに示すメモリアレイ1100を例にとり、図18A,18Bを参照しつつ具体的に説明する。第七例および第八例におけるメモリアレイの製造方法には、このメモリアレイを構成する複数のメモリ素子と、少なくとも一本のワード線と、複数のビット線とを形成するための各種工程、例えば、第一の電極配線形成工程と、絶縁層形成工程と、第二の電極配線形成工程と、半導体層形成工程と、塗布工程とが含まれる。
【0302】
具体的には、まず、第一の電極配線形成工程が行われる。この工程では、基材112の上に、三本のワード線110a~110cと、複数の第三の電極113とが、上述した方法、例えば、マスクを通して真空蒸着することで、同時に形成される。これら複数の第三の電極113は、ワード線110a~110cのうち接続対象として順次選択される一本と配線を介して接続される。第三の電極113の形成数は、作製予定の複数(例えば9つ)のメモリ素子と同じ数である。
【0303】
次に、絶縁層形成工程が行われる。この工程では、基材112の上に、複数の絶縁層114が、複数の第三の電極113に対応して、上述した方法、例えば、印刷法で形成される。これら複数の絶縁層114の各々は、第三の電極113に上側から接するとともに、基材112との間に第三の電極113を挟んで覆う。
【0304】
次に、第二の電極配線形成工程が行われる。この工程では、複数のビット線(例えばビット線111a~111cおよびビット線としての接続線13)と、複数対の第一の電極116および第二の電極117とが、上述した方法、例えば、同一の材料を用い、マスクを通して真空蒸着することで、同時に形成される。この際、ビット線111a~111cおよび接続線13は、少なくとも一本のワード線(例えばワード線110a~110c)と交差する方向を長手として互いに離間して並ぶように、基材112上に形成される。また、接続線13は、収納部15の開口を密閉する基材部分を通過して周辺回路1101,1102と接続可能なパターンをなすようにする。複数の第一の電極116の各々は、ビット線111a~111cおよび接続線13など、複数のビット線のうち接続対象として順次選択される一本と配線を介して接続される。第一の電極116および第二の電極117の各形成数は、作製予定の複数(例えば9つ)のメモリ素子と同じ数である。
【0305】
次に、半導体層形成工程が行われる。この工程では、作製予定の複数のメモリ素子のそれぞれにおける第一の電極116と第二の電極117との間の領域に、絶縁層114と接するように半導体層115が形成される。例えば、メモリ素子11001~11003の構成要素である第一の電極116と第二の電極117との間の領域に、CNTを含む溶液を塗布し、必要に応じ乾燥させて、絶縁層114の上面に接する半導体層115が形成される。
【0306】
この工程における塗布法は、上述した第三例における塗布工程の場合と同様に、インクジェット法、ディスペンサー法およびスプレー法からなる群より選ばれるいずれか1つであることが好ましい。中でも、塗布位置精度および原料使用効率の観点から、インクジェット法がより好ましい。
【0307】
次に、塗布工程が行われる。この工程において対象とする塗布層は、互いに電気特性が異なる第一の絶縁層118または第二の絶縁層119である。この工程では、記録される情報に対応して、基材112上の複数のメモリ素子のそれぞれにおける第一の電極116と第二の電極117との間の領域に、絶縁層114とは反対側から半導体層115と接するように第一の絶縁層118または第二の絶縁層119が形成される。例えば、メモリ素子11001に対しては、第一の電極116と第二の電極117との間の領域に、半導体層115を覆うように、第一の絶縁層118の形成のための絶縁性材料を含む溶液を塗布し、必要に応じ乾燥させて、第一の絶縁層118が形成される。メモリ素子11002に対しては、第一の電極116と第二の電極117との間の領域に、半導体層115を覆うように、第二の絶縁層119の形成のための絶縁性材料を含む溶液を塗布し、必要に応じ乾燥させて、第二の絶縁層119が形成される。このようにして、基材112上の複数のメモリ素子は、第一の絶縁層118および第二の絶縁層119のいずれを有するかによって電気特性が互いに異なる(すなわち、記録される情報が互いに異なる)二種類のメモリ素子に作り分けられる。この結果、これら二種類のメモリ素子の任意な配列によって決定する情報(例えば複数の収納部15別に異なる固有情報および開封検知のための情報など)が記録されたメモリアレイ(例えば図18Aに示すメモリアレイ1100)を作製することができる。
【0308】
この工程における塗布法は、インクジェット法、ディスペンサー法、スプレー法、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スリットコートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0309】
上述したような第三例~第八例、第十一例、および第十二例におけるメモリアレイのいずれの製造方法も、それぞれ記録情報の異なる多数のメモリアレイを製造する際に、プロセス面およびコスト面において有利である。それぞれ記録情報の異なる各メモリアレイは、「0」の情報を記録するメモリ素子と「1」の情報を記録するメモリ素子とを任意に組み合わせた配列が相異するものである。メモリアレイごとに、これら二種類のメモリ素子の配列を、相異させるように形成しようとすると、例えば、メモリアレイごとに対応するフォトマスクが必要となるなどの理由により、通常、プロセスやコストが増加する。上述した第三例~第八例、第十一例、および第十二例におけるメモリアレイの製造方法によれば、半導体層や第一の絶縁層および第二の絶縁層などの塗布層の形成対象とするメモリ素子の位置を、マスクを用いず簡易にメモリアレイごとに変化させることができ、これにより、上述した二種類のメモリ素子の配列が相異する多種類のメモリアレイを製造することができる。そのため、それぞれ記録情報の異なる多数のメモリアレイを、簡便なプロセス、かつ低コストで製造することが可能となる。したがって、収納部15毎に異なるIDを持つ無線通信装置を具備した包装材を、低コストな製造で得ることができる。
【0310】
(無線通信装置の第九例および第十例におけるフリップフロップ回路)
次に、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第九例および第十例におけるフリップフロップ回路の各回路に含まれる薄膜トランジスタは、一般的に使用されるものであればよく、用いられる材料、形状は特に限定されない。また、これらの各回路をそれぞれ電気的に接続する材料も、一般的に使用されうる導電性材料であれば、いかなるものでもよい。これらの各回路の接続方法も、電気的に導通を取ることができれば、いかなる方法でもよく、各回路間の接続部の幅および厚みは任意である。しかしながら、上述したように、製造コストの観点からは印刷などの塗布方法によって形成されることが好ましく、上述したメモリ素子と同様の材料を用いることが好ましく、特に半導体層としては、素子性能の観点から、カーボンナノチューブの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブ複合体を含有することが好ましい。
【0311】
なお、上述した第一例~第十二例のメモリ素子、メモリアレイ、フリップフロップ回路の製造方法における第一の電極配線形成工程、絶縁層形成工程、第二の電極配線形成工程、半導体層形成工程および塗布工程は、本発明に係る包装材の製造方法における機能部形成工程に含まれてもよい。
【0312】
(記憶部)
本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の第一例~第十二例における記憶部について説明する。上述した通り、本発明に係る記憶部141は、少なくともメモリ素子(例えば図12Bに示すメモリ素子800)、メモリアレイ(図14Bに示すメモリアレイ900、図16Bに示すメモリアレイ1000、または図18Bに示すメモリアレイ1100、または図22Bに示すメモリアレイ900)、またはフリップフロップ回路(例えば図20B~20Eに示すフリップフロップ回路13001,13002)と、周辺回路(図12Bに示す周辺回路801,802、図14Bに示す周辺回路901,902、図16Aに示す周辺回路1001,1002、図18Aに示す周辺回路1101,1102、図20B~20Eに示す周辺回路1103)とを構成要素に有する。
【0313】
周辺回路の一例を具体的に示すと、周辺回路801,901,1001,1101は、リングオシレータ回路と、カウンタ回路とを有し、周辺回路802,902,1002,1102は、フリップフロップ回路を有する。例えば、リングオシレータ回路から発生したクロック信号が、カウンタ回路に入力される。これにより、カウンタ回路からメモリアレイのビット線(例えば図14Bに示すビット線91a~91c)、ワード線(例えば図14Bに示すワード線90a~90c)および接続線13に対して、選択信号がそれぞれ出力される。このような選択信号の出力により、メモリアレイ内の複数のメモリ素子(例えば図14Bに示すメモリ素子9001~9009)の中から、情報の読み出し対象のメモリ素子が所定の順序で順次選択される。これら複数のメモリ素子にそれぞれ記録されている各情報(例えば「0」または「1」などの二値の情報)は、この選択の順序に沿って順次読み出される。この読み出された順に配列される各情報が、メモリアレイの固有情報などの記録情報としてメモリアレイからフリップフロップ回路に入力される。フリップフロップ回路は、リングオシレータ回路から入力されたクロック信号と、メモリアレイから入力された各情報とをもとに、これらの各情報を安定化処理する。安定化処理された各情報は、メモリアレイの記録情報として、フリップフロップ回路からメモリ回路の外部へ出力される。
【0314】
リングオシレータ回路、カウンタ回路、フリップフロップ回路の各回路に含まれる薄膜トランジスタは、一般的に使用されるものであればよく、用いられる材料、形状は特に限定されない。また、これらの各回路をそれぞれ電気的に接続する材料も、一般的に使用されうる導電性材料であれば、いかなるものでもよい。これらの各回路の接続方法も、電気的に導通を取ることができれば、いかなる方法でもよく、各回路間の接続部の幅および厚みは任意である。しかしながら、記憶部も回路部14(図14Aなど参照)の構成要素であり、上述した通り、製造コストの観点からは、印刷などの塗布方法によって形成されることが好ましい。このように、製造コストの観点からは、記憶手段としての記憶部の構成要素の少なくとも1つは、印刷などの塗布方法によって形成されることが好ましく、記憶部の構成要素の全てが印刷などの塗布方法によって形成されることがさらに好ましい。
【0315】
(第4の実施形態)
本発明に係る包装材に適用される無線通信装置の第4の実施形態について説明する。図24A,24Bは、図1Aに示す包装材10について、本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置の一構成例を示すブロック図である。第4の実施形態に係る無線通信装置16Kは、本発明に係る包装材に適用される無線通信装置(例えば図10に示す無線通信装置16)の一例である。
【0316】
図24A,24Bに示すように、無線通信装置16Kは、図10に示す無線通信装置16の通信回路143に代えて通信回路143Aを回路部14内に備える。通信回路143Aは、無線通信装置16の変調回路145に代えて変調回路145Aを有する。この変調回路145Aには、接続線13が電気的に接続されている。また、図24Aに例示する無線通信装置16Kでは、変調回路145Aとアンテナ12とが配線を介して接続されている。図24Bに例示する無線通信装置16Kでは、変調回路145Aとアンテナ12とが配線および電源生成部142を介して接続されている。このような構成を有する無線通信装置16Kは、読取装置などの外部装置に送信する信号の変調状態を、収納部15の開封に伴う接続線13の切断の前と後とで変化させることにより、収納部15の開封の有無によって相異する情報を含む信号を外部装置に発信して、収納部15の開封の有無を検知可能にするものである。その他の構成は上述した無線通信装置16と同じであり、同一構成部分には、同一符号を付している。
【0317】
変調回路145Aは、無線通信装置16Kから外部装置へ発信される情報を含む信号を、収納部15の開封に伴い接続線13が切断される前と後とで相異するように変調する。具体的には、変調回路145Aは、制御回路146による制御に基づき、記憶部141から読み出された情報(例えば「0」,「1」の配列によるデジタル情報)を、送信対象の情報として搬送波に乗せる。この際、変調回路145Aは、送信対象の情報をもとに搬送波の振幅、周波数、位相などを変化させる変調処理を行い、これにより、送信対象の情報を含む変調波信号を生成する。変調回路145Aによって生成された変調波信号は、アンテナ12から外部装置へ無線送信される。この結果、無線通信装置16Kは、搬送波を媒体として送信対象の情報を外部装置に発信することができる。
【0318】
特に、第4の実施形態において、変調回路145Aは、収納部15の開封に伴って接続線13が切断される前と後とで、変調処理による搬送波の振幅、周波数、位相などの変調状態を変化させる。これにより、変調回路145Aは、この接続線13の切断前後で変調状態が相異するように変調波信号を生成する。この結果、送信対象の情報は、この接続線13の切断前後で相異したものとなる。無線通信装置16Kは、このような変調回路145Aの変調処理による変調波信号を外部装置に送信することにより、接続線13の切断前後すなわち収納部15の開封の有無で相異する情報を、外部装置に発信することができる。なお、接続線13の切断前後で相異させる変調状態としては、送信対象の情報を含む信号(送信信号)の振幅、周波数、位相のいずれの状態であってもよい。
【0319】
図24Cは、図24Aに示す本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置に適用される変調回路の一構成例を示す図である。図24Cには、この変調回路145Aの一例として、収納部15の開封に伴う接続線13の切断の前と後とで送信信号の振幅の変調状態を変化させるものを示すが、変調回路145Aの構成は、これに限定されない。
【0320】
図24Cに示すように、変調回路145Aは、スイッチ回路1201と、複数(図24Cでは2つ)の抵抗素子1202,1203とを有する。スイッチ回路1201は、制御回路146によって開閉制御される。抵抗素子1202,1203は、例えば負荷抵抗によって構成され、配線を介してスイッチ回路1201に対し各々接続(例えば並列に接続)される。これらのスイッチ回路1201および抵抗素子1202,1203は、配線を介してアンテナ12と接続される。また、抵抗素子1202,1203は、接続線13などの配線を介して互いに並列に接続される。並列接続された状態の抵抗素子1202,1203のインピーダンスは、アンテナ12のインピーダンスと同一になるように設定される。
【0321】
また、第4の実施形態において、接続線13は、収納部15の開封に伴う切断の前において、抵抗素子1202,1203の双方と接続された状態になり、収納部15の開封に伴う切断の後において、一方の抵抗素子1202とは接続されかつ他方の抵抗素子1203とは断線された状態になる。すなわち、接続線13は、これらの抵抗素子1202,1203のうち少なくとも1つに接続された状態となっている。
【0322】
ここで、収納部15が未だ開封されていない場合、接続線13は、切断されていない状態である。この状態において、スイッチ回路1201が開放されていれば、上述したようにアンテナ12のインピーダンスと抵抗素子1202,1203のインピーダンスとが同一であるため、変調回路145Aでは読取装置などの外部装置から送信された搬送波の反射が起こらない。この場合、変調回路145Aは、反射波の振幅をゼロに変調することができる。このとき、変調回路145Aは、記憶部141から読み出された送信対象の情報を「0」とするように、搬送波を変調する。一方、スイッチ回路1201が短絡して(閉じて)いれば、変調回路145Aでは上述した搬送波の全反射が起こる。この場合、変調回路145Aによる反射波の振幅の変調は起こらない。このとき、変調回路145Aは、記憶部141から読み出された送信対象の情報を「1」とするように、搬送波を変調する。このように、変調回路145Aによる搬送波の振幅変調を利用して、送信対象の情報を「0」または「1」にすることにより、記憶部141に記録された情報を、接続線13の切断前の状態に対応したデジタル情報に変調して、無線通信装置16Kから外部装置に発信することが可能となる。
【0323】
一方、収納部15が開封された場合、接続線13は、収納部15の部分で切断された状態になる。この状態において、抵抗素子1202,1203のインピーダンスは変化してしまい、これに起因して、アンテナ12のインピーダンスと抵抗素子1202,1203のインピーダンスとは、同一ではなくなる。その結果、たとえスイッチ回路1201が開放されたとしても、変調回路145Aでは上述した搬送波の反射が起こるため、反射波の振幅はゼロではない。このとき、記憶部141から読み出された送信対象の情報が乗った変調波信号の振幅が、低下した状態となる。すなわち、変調回路145Aは、収納部15の開封に伴う接続線13の切断の前と後とで相異するように、送信対象の情報を含む信号を変調する。無線通信装置16Kは、この送信対象の情報を含む変調波信号を外部装置に送信する。このように収納部15の開封後に無線通信装置16Kから外部装置に送信された変調波信号の振幅は、収納部15の開封前と比べて変化している。この振幅の変化を外部装置によって検知すれば、収納部15が開封されたことを検知することができる。
【0324】
なお、変調回路145Aにおける抵抗素子1202,1203の配置は、図24Cに示すものに限定されない。図24Dは、図24Cに示される本発明の第4の実施形態における変調回路に適用される抵抗素子の配置の別例を示す図である。図24Dに示すように、変調回路145Aにおいて、22つの抵抗素子1202,1203のうちの一方(例えば抵抗素子1203)は、接続線13の中途部であって収納部15の開口を密閉する基材部分に配置されてもよい。この配置では、抵抗素子1203は、収納部15の開封に伴い、接続線13とともに切断される。
【0325】
図24Eは、図24Bに示す本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置に適用される変調回路の一構成例を示す図である。図24Eには、この変調回路145Aの一例として、収納部15の開封に伴う接続線13の切断の前と後とで送信信号の振幅の変調状態を変化させるものを示すが、変調回路145Aの構成は、これに限定されない。
【0326】
図24Eに示すように、変調回路145Aは、スイッチ回路1201と、複数(図24Eでは2つ)の抵抗素子1202,1203とを有する。スイッチ回路1201は、制御回路146によって開閉制御される。抵抗素子1202,1203は、例えば負荷抵抗によって構成され、配線を介してスイッチ回路1201に対し各々接続(例えば直列に接続)される。これらのスイッチ回路1201および抵抗素子1202,1203は、配線を介して電源生成部142と接続される。電源生成部142は、配線を介してアンテナ12と接続される。また、抵抗素子1202,1203は、接続線13などの配線を介して互いに並列に接続される。並列接続された状態の抵抗素子1202,1203により、制御回路146および記憶部141のインピーダンスと、アンテナ12のインピーダンスとが同一になるように設計されている。
【0327】
また、第4の実施形態において、接続線13は、収納部15の開封に伴う切断の前において、抵抗素子1202,1203の双方と接続された状態になり、収納部15の開封に伴う切断の後において、一方の抵抗素子1202とは接続されかつ他方の抵抗素子1203とは断線された状態になる。すなわち、図24Eに例示される構成においても、接続線13は、これらの抵抗素子1202,1203のうち少なくとも1つに接続された状態となっている。
【0328】
ここで、収納部15が未だ開封されていない場合、接続線13は、切断されていない状態である。この状態において、スイッチ回路1201が開放されていれば、上述したようにアンテナ12のインピーダンスと制御回路146および記憶部141のインピーダンスとが同一であるため、変調回路145Aでは読取装置などの外部装置から送信された搬送波の反射が起こらない。この場合、変調回路145Aは、反射波の振幅をゼロに変調することができる。このとき、変調回路145Aは、記憶部141から読み出された送信対象の情報を「0」とするように、搬送波を変調する。一方、スイッチ回路1201が短絡して(閉じて)いれば、変調回路145Aでは上述した搬送波の全反射が起こる。この場合、変調回路145Aによる反射波の振幅の変調は起こらない。このとき、変調回路145Aは、記憶部141から読み出された送信対象の情報を「1」とするように、搬送波を変調する。このように、変調回路145Aによる搬送波の振幅変調を利用して、送信対象の情報を「0」または「1」にすることにより、記憶部141に記録された情報を、接続線13の切断前の状態に対応したデジタル情報に変調して、無線通信装置16Kから外部装置に発信することが可能となる。
【0329】
一方、収納部15が開封された場合、接続線13は、収納部15の部分で切断された状態になる。この状態において、抵抗素子1202,1203のインピーダンスは変化してしまい、これに起因して、アンテナ12のインピーダンスと、制御回路146および記憶部141のインピーダンスとは、同一ではなくなる。その結果、たとえスイッチ回路1201が開放されたとしても、変調回路145Aでは上述した搬送波の反射が起こるため、反射波の振幅はゼロではない。このとき、記憶部141から読み出された送信対象の情報が乗った変調波信号の振幅が、低下した状態となる。すなわち、変調回路145Aは、収納部15の開封に伴う接続線13の切断の前と後とで相異するように、送信対象の情報を含む信号を変調する。無線通信装置16Kは、この送信対象の情報を含む変調波信号を外部装置に送信する。このように収納部15の開封後に無線通信装置16Kから外部装置に送信された変調波信号の振幅は、収納部15の開封前と比べて変化している。この振幅の変化を外部装置によって検知すれば、収納部15が開封されたことを検知することができる。
【0330】
なお、変調回路145Aにおける抵抗素子1202,1203の配置は、図24Eに示すものに限定されない。図24Fは、図24Eに示される本発明の第4の実施形態における変調回路に適用される抵抗素子の配置の別例を示す図である。図24Fに示すように、変調回路145Aにおいて、22つの抵抗素子1202,1203のうちの一方(例えば抵抗素子1203)は、接続線13の中途部であって収納部15の開口を密閉する基材部分に配置されてもよい。この配置では、抵抗素子1203は、収納部15の開封に伴い、接続線13とともに切断される。
【0331】
(第4の実施形態の他の例)
図25A,25Bは、図4Aに示す包装材10Aについて、本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置の一構成例を示すブロック図であり、1つの無線通信装置16Lに接続線13a~13dが接続されていること以外は、図24A,24Bと同じである。
【0332】
図25A,25Bに示すように、無線通信装置16Lは、図10に示す無線通信装置16の通信回路143に代えて通信回路143Bを回路部14内に備える。通信回路143Bは、無線通信装置16の変調回路145に代えて変調回路145Bを有する。
【0333】
図25Cは、図25Aに示す本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置16Lに適用される変調回路の一構成例を示す図である。図25Cには、この変調回路145Bの一例として、収納部15a~15dの開封に伴う接続線13a~13dの切断の前と後とで送信信号の振幅の変調状態を変化させるものを示すが、変調回路145Bの構成は、これに限定されない。
【0334】
図25Cに示すように、変調回路145Bは、スイッチ回路1201と、複数(図25Cでは5つ)の抵抗素子1202,1203a~1203dとを有する。スイッチ回路1201は、制御回路146によって開閉制御される。抵抗素子1202,1203a~1203dは、例えば負荷抵抗によって構成され、配線を介してスイッチ回路1201に対し各々接続(例えば並列に接続)される。これらのスイッチ回路1201および抵抗素子1202,1203a~1203dは、配線を介してアンテナ12と接続される。また、抵抗素子1202,1203a~1203dは、接続線13などの配線を介して互いに並列に接続される。並列接続された状態の抵抗素子1202,1203a~1203dのインピーダンスは、アンテナ12のインピーダンスと同一になるように設定される。
【0335】
また、第4の実施形態において、接続線13a~13dは、収納部15a~15dの開封に伴う切断の前において、抵抗素子1202,1203a~1203dの全てと接続された状態になり、収納部15a~15dのいずれか、または全ての開封に伴う切断の後において、一方の抵抗素子1202とは接続されかつ抵抗素子1203a~1203dのいずれか、または全てとは断線された状態になる。
【0336】
ここで、収納部15a~15dが未だ開封されていない場合、接続線13a~13dは、切断されていない状態である。この状態において、スイッチ回路1201が開放されていれば、上述したようにアンテナ12のインピーダンスと抵抗素子1202,1203a~1203dのインピーダンスとが同一であるため、変調回路145Bでは読取装置などの外部装置から送信された搬送波の反射が起こらない。この場合、変調回路145Bは、反射波の振幅をゼロに変調することができる。このとき、変調回路145Bは、記憶部141から読み出された送信対象の情報を「0」とするように、搬送波を変調する。一方、スイッチ回路1201が短絡して(閉じて)いれば、変調回路145Bでは上述した搬送波の全反射が起こる。この場合、変調回路145Bによる反射波の振幅の変調は起こらない。このとき、変調回路145Bは、記憶部141から読み出された送信対象の情報を「1」とするように、搬送波を変調する。このように、変調回路145Bによる搬送波の振幅変調を利用して、送信対象の情報を「0」または「1」にすることにより、記憶部141に記録された情報を、接続線13a~13dの切断前の状態に対応したデジタル情報に変調して、無線通信装置16Lから外部装置に発信することが可能となる。
【0337】
一方、収納部15aが開封された場合、接続線13aは、収納部15aの部分で切断された状態になる。この状態において、抵抗素子1202,1203a~1203dのインピーダンスは変化してしまい、これに起因して、アンテナ12のインピーダンスと抵抗素子1202,1203a~1203dのインピーダンスとは、同一ではなくなる。その結果、たとえスイッチ回路1201が開放されたとしても、変調回路145Bでは上述した搬送波の反射が起こるため、反射波の振幅はゼロではない。このとき、記憶部141から読み出された送信対象の情報が乗った変調波信号の振幅が、低下した状態となる。続いて、収納部15bが開封された場合、接続線13bは、収納部15bの部分で切断された状態になり、アンテナ12のインピーダンスと抵抗素子1202,1203a~1203dのインピーダンスとの差はさらに大きくなる。その結果、このとき、記憶部141から読み出された送信対象の情報が乗った変調波信号の振幅が、さらに低下した状態となる。同様に、収納部15c,15dが開封されていくと、アンテナ12のインピーダンスと抵抗素子1202,1203a~1203dのインピーダンスとの差はさらに大きくなり、記憶部141から読み出された送信対象の情報が乗った変調波信号の振幅が、段階的に低下する。すなわち、変調回路145Bは、収納部15a~15dの開封状態に応じて、送信対象の情報を含む、異なる変調波信号を外部装置に送信する。この振幅の状態を外部装置によって検知すれば、収納部15a~15dのうち開封している収納部15の数を検知することができる。
【0338】
図25Dは、図25Bに示す本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置に適用される変調回路の一構成例を示す図である。図25Dには、この変調回路145Bの一例として、収納部15a~15dの開封に伴う接続線13a~13dの切断の前と後とで送信信号の振幅の変調状態を変化させるものを示すが、変調回路145Bの構成は、これに限定されない。
【0339】
図25Dに示すように、変調回路145Bは、スイッチ回路1201と、複数(図25Dでは5つ)の抵抗素子1202,1203a~1203dとを有する。スイッチ回路1201は、制御回路146によって開閉制御される。抵抗素子1202,1203a~1203dは、例えば負荷抵抗によって構成され、配線を介してスイッチ回路1201に対し各々接続(例えば直列に接続)される。これらのスイッチ回路1201および抵抗素子1202,1203a~1203dは、配線を介して電源生成部142と接続される。電源生成部142は、配線を介してアンテナ12と接続される。また、抵抗素子1202,1203a~1203dは、接続線13a~13dなどの配線を介して互いに並列に接続される。並列接続された状態の抵抗素子1202,1203a~1203dにより、制御回路146および記憶部141のインピーダンスと、アンテナ12のインピーダンスとが同一になるように設計させている。
【0340】
また、第4の実施形態において、接続線13a~13dは、収納部15a~15dの開封に伴う切断の前において、抵抗素子1202,1203a~1203dの双方と接続された状態になり、収納部15a~15dの開封に伴う切断の後において、一方の抵抗素子1202とは接続されかつ他方の抵抗素子1203a~1203dとは断線された状態になる。
【0341】
ここで、収納部15a~15dが未だ開封されていない場合、接続線13a~13dは、切断されていない状態である。この状態において、スイッチ回路1201が開放されていれば、上述したようにアンテナ12のインピーダンスと制御回路146および記憶部141のインピーダンスとが同一であるため、変調回路145Bでは読取装置などの外部装置から送信された搬送波の反射が起こらない。この場合、変調回路145Bは、反射波の振幅をゼロに変調することができる。このとき、変調回路145Bは、記憶部141から読み出された送信対象の情報を「0」とするように、搬送波を変調する。一方、スイッチ回路1201が短絡して(閉じて)いれば、変調回路145Bでは上述した搬送波の全反射が起こる。この場合、変調回路145Bによる反射波の振幅の変調は起こらない。このとき、変調回路145Bは、記憶部141から読み出された送信対象の情報を「1」とするように、搬送波を変調する。このように、変調回路145Bによる搬送波の振幅変調を利用して、送信対象の情報を「0」または「1」にすることにより、記憶部141に記録された情報を、接続線13の切断前の状態に対応したデジタル情報に変調して、無線通信装置16Cから外部装置に発信することが可能となる。
【0342】
一方、収納部15aが開封された場合、接続線13aは、収納部15aの部分で切断された状態になる。この状態において、抵抗素子1202,1203a~1203dのインピーダンスは変化してしまい、これに起因して、アンテナ12のインピーダンスと、制御回路146および記憶部141のインピーダンスとは、同一ではなくなる。その結果、たとえスイッチ回路1201が開放されたとしても、変調回路145Bでは上述した搬送波の反射が起こるため、反射波の振幅はゼロではない。このとき、記憶部141から読み出された送信対象の情報が乗った変調波信号の振幅は、低下した状態となる。すなわち、変調回路145Bは、収納部15aの開封に伴う接続線13aの切断の前と後とで相異するように、送信対象の情報を含む信号を変調する。続いて、収納部15bが開封された場合、接続線13bは、収納部15bの部分で切断された状態になり、アンテナ12のインピーダンスと制御回路146および記憶部141のインピーダンスとの差はさらに大きくなる。その結果、このとき、記憶部141から読み出された送信対象の情報が乗った変調波信号の振幅は、さらに低下した状態となる。同様に、収納部15c,15dが開封されていくと、アンテナ12のインピーダンスと制御回路146および記憶部141のインピーダンスとの差はさらに大きくなり、記憶部141から読み出された送信対象の情報が乗った変調波信号の振幅が、段階的に低下する。すなわち、変調回路145Bは、収納部15a~15dの開封状態に応じて、送信対象の情報を含む、異なる変調波信号を外部装置に送信する。この振幅の状態を外部装置によって検知すれば、収納部15a~15dのうち開封している収納部15の数を検知することができる。
【0343】
また、第4の実施形態において、変調回路145A,145Bに適用されるスイッチ回路1201としては、特に制限はないが、例えば、薄膜トランジスタによって構成されるスイッチ素子が挙げられる。薄膜トランジスタは、半導体層を有するトランジスタの一例である。この薄膜トランジスタの構造としては、例えば図8に示される薄膜トランジスタ20と同様のTFT構造が挙げられる。この薄膜トランジスタに用いられる材料としては、上述した薄膜トランジスタ20と同様の材料を用いることができる。特に、半導体材料を用いた塗布法によって形成できるという観点から、この薄膜トランジスタの半導体層は、半導体材料として、CNT、グラフェン、フラーレンおよび有機半導体からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。また、200℃以下の低温で形成できること、および半導体特性が高いことなどの観点から、この薄膜トランジスタの半導体層は、半導体材料として、CNTを含有することがより好ましい。
【0344】
CNTの中でも、CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したCNT複合体が特に好ましい。何故ならば、CNTの保有する高い電気特性を損なうことなく、CNTを、半導体層形成用の溶液中で均一に分散することが可能になるからである。CNTが均一に分散した溶液を用いることで、インクジェット法などの塗布法により、CNTが均一に分散した膜を、半導体層として形成することができる。
【0345】
抵抗素子1202,1203a~1203dに適用される負荷抵抗の材料は、一般的に抵抗素子として使用されうる材料であれば、いかなるものでもよい。そのような材料としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化ルテニウムなどの金属酸化物が挙げられる。また、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデン、アモルファスシリコンやポリシリコンなどの金属、これらの中から選択される複数の金属の合金、ヨウ化銅、硫化銅などの無機化合物が挙げられる。また、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との錯体、ヨウ素などのドーピングによって導電率を向上させた導電性ポリマーが挙げられる。さらには、炭素材料、有機成分と導電体とを含有する材料などが挙げられる。しかし、負荷抵抗の材料は、これらに限定されるものではない。これらの材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
【0346】
負荷抵抗の形成方法としては、例えば、既存の抵抗素子を実装する方法、導電膜を公知のフォトリソグラフィー法などによってパターン形成する方法、電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターン形成する方法、上述した方法で作製した電極薄膜をレーザ加工によってパターン形成する方法、感光性導電ペーストを用いたフォトリソグラフィー加工によってパターン形成する方法、印刷手法によって直接パターン形成する方法などが挙げられる。導電膜を形成する方法としては、例えば、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、CVD、イオンプレーティングコーティング、インクジェットおよび印刷などが挙げられる。負荷抵抗を直接パターン形成する際の印刷手法としては、例えば、インクジェットやスクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などが挙げられる。なお、負荷抵抗の形成方法は、これらに限定されるものではない。
【0347】
(収納物管理システム)
本発明に係る包装材を用いた収納物管理システムについて説明する。例えば、図26は、図1Aに示す包装材10について、本発明の一実施形態に係る収納物管理システムの一構成例を示す図である。図26に示すように、この収納物管理システム1は、包装材10と、RFID読取装置2と、RFID読取装置2とネットワーク7を介して通信可能に接続された管理装置5と、管理装置5とネットワーク7を介して通信可能に接続された端末装置6とを備える。この収納物管理システム1において、RFID読取装置2は、包装材10が有する無線通信装置16a~16dによって発信された情報(すなわち、収納物17を収納する包装材10における収納部15a~15dの開封の前と後とで相異する情報)を受信し、受信した情報の差異に基づいて収納部15a~15dの開封の有無を読み取り検知する。管理装置5は、ネットワーク7を介して、RFID読取装置2によって検知された収納部15a~15dの開封の有無を示す検知情報をRFID読取装置2から受信し、受信した検知情報を端末装置6に通知する。
【0348】
図26に示すように、包装材10は、本発明に係る包装材の一例であり、例えば、収納物17(図1A~1Cに示す収納物17a~17d参照)を収納する収納部15a~15dと、接続線13a~13dと、無線通信装置16a~16dとを備えている。RFID読取装置2は、包装材10の無線通信装置16a~16dからの情報を読み取って収納部15a~15dの開封の有無を検知する読取装置の一例である。例えば、収納物管理システム1において、RFID読取装置2は、アンテナ回路部3と、制御部4とを備える。アンテナ回路部3は、無線通信装置16a~16dによって発信された情報を受信するアンテナ部の一例である。なお、この読取装置は、RFID技術を適用した読取装置に限定されず、その他の通信技術を適用したものであってもよい。制御部4は、アンテナ回路部3を介した無線通信を制御する機能と、収納物17を収納する包装材10における収納部15a~15dの開封の有無を検知する検知部としての機能とを兼ね備える。
【0349】
具体的には、無線通信装置16a~16dがパッシブ型のUHF帯RFIDの無線通信装置である場合、RFID読取装置2は、アンテナ回路部3を介してUHF帯の電波を発信して、包装材10の無線通信装置16a~16dの回路部14a~14dを起電する。また、RFID読取装置2は、アンテナ回路部3を介して回路部14a~14dからの情報を受信する。この際、回路部14a~14dからは、例えば、収納部15a~15dの開封の有無を収納部15別に検知し得る情報や、回路部14a~14dの各メモリ回路に記録された情報などの各種情報を含む信号が、RFID読取装置2に送信される。そして、RFID読取装置2において、アンテナ回路部3は、収納部15a~15dの各々について、その開封の前と後とで相異する情報を無線通信装置16a~16dの各々から受信する。制御部4は、アンテナ回路部3によって受信された情報の差異(収納部15a~15d毎の開封の有無に起因する差異)に基づいて、収納部15a~15dの開封の有無を個別に検知する。
【0350】
例えば、包装材10に設けられた無線通信装置16a~16dが本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置(図10~19B参照)である場合、無線通信装置16a~16dは、記憶手段としての記憶部を各々有し、上述した記憶部から読み出される情報が、収納部15a~15d毎の開封の前と後とで変化する。なお、記憶部では、上述した通り、メモリ素子やメモリアレイやフリップフロップ回路にて情報が記録される。この場合、無線通信装置16a~16dからアンテナ回路部3によって受信される上述した情報の差異は、上述したような記憶部の情報の変化によって生じる。制御部4は、このような記憶部の情報の変化から、収納部15a~15d毎の開封の有無を検知する。
【0351】
また、包装材10に設けられた無線通信装置16a~16dが本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置(図24A~24F参照)である場合、無線通信装置16a~16dは、回路部14a~14dに変調回路を各々有し、当該変調回路による信号の変調度(例えば振幅変調の変調度)が、収納部15a~15d毎の開封の前と後とで相異する。この場合、無線通信装置16a~16dからアンテナ回路部3によって受信される上述した情報の差異は、無線通信装置16a~16dによって発信される信号の、上述したような変調度の相異によって生じる。制御部4は、このような信号の変調度の相異から、収納部15a~15d毎の開封の有無を検知する。
【0352】
一方、RFID読取装置2は、アンテナ回路部3により、収納部15a~15dと対応付けられた無線通信装置16a~16dを個別に特定する固有情報を、収納部15a~15dの開封の有無を収納部15別に検知し得る情報とともに、無線通信装置16a~16dから受信することができる。また、RFID読取装置2は、制御部4によって検知された収納部15a~15dの開封の有無(当該開封の有無の検知結果)を示す検知情報や無線通信装置16a~16dの各固有情報などを含む信号を、ネットワーク7を介して管理装置5に送信する。管理装置5は、これら検知情報や固有情報などを含む信号を受信し、受信した信号に含まれる各情報を取得する。ついで、管理装置5は、取得した各情報をもとに、収納部15a~15dの開封の有無の検知情報と、無線通信装置16a~16dの各固有情報とを対応付けて管理する。また、管理装置5は、ネットワーク7を介して、端末装置6に収納部15a~15dの開封の有無の検知情報を個別に通知する。管理装置5および端末装置6は、可搬型または据え付け型のパーソナルコンピュータ(PC)などによって構成され、互いにネットワーク7を介して通信可能に接続される。ネットワーク7としては、例えば、インターネット、無線LAN、電話回線などの各種通信回線が挙げられる。
【0353】
なお、図4Aに示す包装材10Aを用いても、上述と同様の収納物管理システム1を実現することができる。
【0354】
以上、説明したように、本発明に係る包装材は、収納部15の開封の有無を検知することを可能とする情報(信号)を外部装置に発信することができるため、本発明に係る収納物管理システム(例えば図26に示す収納物管理システム1)に用いることができる。この収納物管理システムにおいては、上述した管理装置5および端末装置6を1つの装置が兼ねてもよい。収納物17の種類としては、特に制限はなく、具体的には、医薬品、食品(調味料、菓子類、サプリメントなど)、化粧品、電子部品、宝飾品などが挙げられる。なお、1つの包装材が内包する収納物17の種類は、一種類であってもよいし、複数種類であってもよい。例えば、複数の薬を摂取する患者用に、収納部15毎に異なる薬が収納されていてもよい。また、各収納部15に収納される収納物17の数、種類にも制限はなく、複数種類の収納物17が1つの収納部15に収納されていてもよい。
【0355】
これらの中でも、医薬品については、医薬品の薬効を最大化するためには、患者が医師から指示された時間通りに服薬することが必要である。しかし、患者自身に服薬する意思が無かったり、患者が認知症を発症している場合は、定期的な服薬が困難であったりする。このため、本発明に係る収納物管理システムは、収納物17が医薬品である場合、服薬管理システムへの適用の期待が高い。そこで、以下では、本発明に係る包装材を用いた収納物管理システムの具体例として、医薬品の服薬管理システムを説明する。
【0356】
医薬品の服薬管理システムの例としては、以下のようなシステムが挙げられる。例えば、服薬管理システムにおいて、RFID読取装置2は、包装材10の無線通信装置16に対して電波を定期的に発信し、無線通信装置16は、これに応答して、収納部15の開封の有無を示す情報を、RFID読取装置2に送信する。RFID読取装置2は、無線通信装置16から受信した情報の差異に基づいて、包装材10の収納部15の開封の有無を読み取り検知する。さらに、RFID読取装置2は、収納部15の開封の有無の検知情報を管理装置5に送信し、管理装置5は、この検知情報を端末装置6に通知する。この管理装置5としては、例えば、データサーバなどが挙げられる。この端末装置6としては、例えば、PC、携帯電話、スマートフォン、タブレット型PCなどが挙げられる。ただし、これらの管理装置5および端末装置6を1つの装置が兼ねてもよい。
【0357】
なお、本発明の一具体例としての服薬管理システムにおいては、包装材10の収納部15が開封されている場合は、収納部15のうち開封されたものに収納されていた医薬品が服薬されたものと見なす。収納部15が開封されていない場合は、服薬されていないものと見なす。RFID読取装置2から管理装置5への情報送信の方法は、特に限定されず、無線通信回線を用いても、電気や光信号を用いた有線通信回線でも構わない。管理装置5が病院や薬局などの医療機関に設置されていれば、医師、看護師、薬剤師などの医療関係者は、端末装置6を用いて患者の服薬状況をモニターすることができる。また、管理装置5が患者自身の家に設置されていてもよく、その場合、患者の家族は、端末装置6を用いて患者の服薬状況をモニターすることができ、服薬忘れなどがあれば、これに迅速に対応することができる。
【0358】
上述した通り、無線通信装置16のメモリ回路に記録された情報も、収納部15の開封の有無を示す情報と共に、RFID読取装置2に送信することができる。包装材10が医薬品を包装するものである場合、無線通信装置16のメモリ回路に記録される情報の具体例としては、医薬品の情報(品名、品番、製造年月日、使用期限、製造ロットなど)、医薬品を収納する収納部15の情報(収納部15別の固有IDなど)、患者情報(患者ID、カルテ番号、患者の病名、治療履歴など)、医療従事者情報(病院ID、医師ID、看護師ID、薬剤師IDなど)、患者の服薬履歴、医薬品の電子証明などが挙げられる。無線通信装置16のメモリ回路には、これらの情報の全てが記録されている必要はなく、少なくとも収納部15を個別に特定するID番号などの固有情報が記録されていれば、その他の情報は、データサーバ上で管理することが可能である。無線通信装置16のメモリ回路に収納部15の固有情報が記録される場合、小さな容量のメモリ回路でも対応することができる。したがって、本発明に係る包装材を適用した服薬管理システムでは、収納部15の開封の有無を示す情報と収納部15の固有情報とが包装材10から外部装置に送信されることが好ましい。
【0359】
本発明における服薬管理システムを医療機関で用いる場合の一例を説明する。包装材10およびRFID読取装置2は、例えば、病室の寝台の横の薬剤台に設置されている。患者は、所定の時刻で包装材10内の薬剤を服薬した後に、包装材10をこの薬剤台に戻す。一方、管理装置5および端末装置6は、例えばナースステーションに設置されており、医療従事者は、RFID読取装置2から送信された情報により、患者が服薬した薬剤の量を確認することができる。なお、この管理装置5には、患者の情報、処方された薬剤の情報、担当医師・看護師・薬剤師の情報などが登録されている。また、この管理装置5は、登録された服薬時間の情報にしたがって、RFID読取装置2に読み取り指示を送信する。
【0360】
管理装置5は、RFID読取装置2から送信された薬剤の残量(すなわち未開封の収納部15の数)と、包装材10に本来残っているべき薬剤の量とを比較する。そして、管理装置5は、両者の量が異なる場合に、アラーム表示や音によって、その事実を医療従事者の持つ端末装置6に通知する。これにより、定められた服薬時間から大きく遅れることなく、看護師は患者に服薬指導をすることができる。このように、看護師がナースステーションにいながら、患者が薬剤を適切に飲んでいるか否かをモニターすることができるため、看護師の業務負担を軽減することができる。また、RFID読取装置2がアラーム機能を備えていれば、患者自身にも服薬に誤りがあることを通知することができ、治療効果の最大化が期待される。
【0361】
さらに、上述した服薬管理システムは、厳密な服薬管理が求められる新薬の臨床試験に用いることで、患者の飲み忘れなどを防止することができる。この結果、新薬の薬効を正確に評価することが可能となる。
【0362】
次に、本発明における服薬管理システムを家庭で用いる場合の一例を説明する。この服薬管理システムにおいては、包装材10およびRFID読取装置2を設置する場所に制限はない。包装材10からの情報をRFID読取装置2によって読み取ることができれば、包装材10およびRFID読取装置2は同じ場所に置かれていなくてもよい。ただし、包装材10からの情報の読み取りにUHF帯のRFID通信を用いる場合は、寝室やダイニングなどの同じ部屋に置かれていること(例えば5m以内)が好ましい。また、包装材10からの情報の読み取りにHF帯のRFID通信を用いる場合は、RFID読取装置2と包装材10とは近接して置かれていること(例えば50cm以内)が好ましい。
【0363】
また、管理装置5としては、例えば、家庭内のPC、スマートフォン、タブレット型PC、医療機関に設置されたデータサーバなどが挙げられる。管理装置5は、登録された服薬時間の情報にしたがって、RFID読取装置2に読み取り指示を送信する。RFID読取装置2は、これに応じて、包装材10における収納部15の開封の有無を示す情報などを無線通信装置16から読み取り、読み取った情報(収納部15の開封の有無の検知情報など)を管理装置5に送信する。管理装置5は、RFID読取装置2から送信された情報(薬剤の残量を示す情報)と、包装材10に本来残っているべき薬剤の量とを比較する。そして、管理装置5は、これら両者の量が異なる場合、アラーム表示や音によって、その事実を家族や医療従事者の持つ端末装置6に通知する。これにより、患者に服薬を促すことができる。このように、家族や医療従事者は、目視で包装材10内の薬剤の残量を確認せずに、患者が薬剤を適切に飲んでいるか否かをモニターすることができる。この結果、患者とその家族とが違う家に住んでいる場合、患者が家族に薬の服薬状況を見せたがらない場合、在宅医療の場合などにおいて、治療効果の最大化が期待されると共に、家族や医療従事者の負担を軽減することができる。
【0364】
次に、本発明における服薬管理システムを外出先で用いる場合の一例を説明する。この服薬管理システムにおいて、RFID読取装置2は、スマートフォンなどの携帯可能な読取装置にすることで、包装材10とともに外出時にも携帯することができる。例えば、家庭内のPC、スマートフォン、タブレット型PC、医療機関に設置されたデータサーバなどの管理装置5から、登録された服薬時間の情報にしたがって、RFID読取装置2に読み取り指示が送信される。RFID読取装置2は、これに応じて、包装材10における収納部15の開封の有無を示す情報などを無線通信装置16から読み取り、読み取った情報を管理装置5に送信する。管理装置5は、RFID読取装置2から送信された情報(薬剤の残量を示す情報)と、包装材10に本来残っているべき薬剤の量とを比較する。そして、管理装置5は、これら両者の量が異なる場合、アラーム表示や音によって、その事実を患者自身、家族、および医療従事者に通知する。これにより、患者の服薬を促すことができる。
【0365】
(断線検知デバイス)
つぎに、本発明の一実施形態に係る断線検知デバイスについて説明する。図27は、本発明の一実施形態に係る断線検知デバイスを含む断線検知デバイスシートの一構成例を示す上面図である。図27に示すように、この断線検知デバイスシート162は、1つの基材160上に複数の断線検知デバイス(例えば、4つの断線検知デバイス161a~161d)を備えたシート状のデバイスである。
【0366】
本実施形態において、断線検知デバイスシート162は、基材160に導線163a~163dと無線通信装置164a~164dとを形成することにより、作製することができる。これらの導線163a~163dおよび無線通信装置164a~164dは、上述した機能部形成工程(図9A等参照)と同様の工程により、基材160上に形成することができる。この際、導線163a~163dは、上述した接続線13と同様の配線パターンをなすように基材160上に形成される。無線通信装置164a~164dは、導線163a~163dと各々接続されるように基材160上に形成される。
【0367】
このように基材160に形成される導線163a~163dおよび無線通信装置164a~164dは、本発明に係る断線検知デバイスの一例である断線検知デバイス161a~161dを構成するものである。すなわち、図27に示すように、断線検知デバイス161aは、基材160に形成される導線163aと、この導線163aと接続されるように基材160に形成される無線通信装置164aとを備える。無線通信装置164aは、上述した無線通信装置16と同様の機能を有し、導線163aが切断される前と後とで相異する情報を含む信号を発信し得る。また、断線検知デバイス161bは、導線163bと無線通信装置164bとを備える。断線検知デバイス161cは、導線163cと無線通信装置164cとを備える。断線検知デバイス161dは、導線163dと無線通信装置164dとを備える。これらの断線検知デバイス161b~161dは、上述した断線検知デバイス161aと同様に構成される。無線通信装置164b~164dは、予め記録される情報が互いに異なること以外、上述した無線通信装置164aと同様である。
【0368】
また、導線163a~163dは、各々、基材160を切断する等の何らかの手法により、切断され得る。例えば、導線163aは、図27に示すD-D’破線に沿って基材160が切断された場合、この基材160とともに切断される。このような断線は、他の導線163b~163dについても同様である。断線検知デバイス161aは、導線163aの断線前後で相異する情報を含む信号を無線通信装置164aから発信し得ることから、導線163aの断線の有無を検知する断線検知に有用である。断線検知デバイス161b~161dについても、上述した断線検知デバイス161aと同様に、断線検知に有用である。
【0369】
このような断線検知デバイス161a~161dは、例えば、被開封物の開封の有無を検知するための開封検知ラベルの構成部品として用いることができる。具体的には、断線検知デバイス161a~161dは、導線163a~163dおよび無線通信装置164a~164dを各々含む態様(図27中の二点鎖線で囲まれる態様)となるように、断線検知デバイスシート162から切り取られて使用される。特に、断線検知デバイス161a~161dをシールラベル型の開封検知ラベルに用いる場合、例えば、基材160の裏面(断線検知デバイス161a~161dが形成されていない側の面)、または基材160の表面(断線検知デバイス161a~161dが形成されている側の面)に粘着層を形成する等のラベル加工が行われた後、断線検知デバイスシート162は、断線検知デバイス161a~161d毎に小片化される。また、断線検知デバイス161a~161dをフィルムラベル型の開封検知ラベルに用いる場合、例えば、断線検知デバイスシート162を少なくとも2枚のフィルムまたは紙等のカバー部材の間に挟むラミネート加工が行われ、その後、断線検知デバイスシート162は、断線検知デバイス161a~161d毎に小片化される。このようにして得られたフィルムラベル型の開封検知ラベルは、必要に応じて、開封部分に断線検知デバイスが組み込まれた態様の被開封物に加工される。
【0370】
以下、断線検知デバイス161a~161dは、総称して「断線検知デバイス161」と適宜称される。断線検知デバイス161は、断線検知デバイス161a~161dの全てまたは何れかを意味する。同様に、導線163a~163dは、総称して「導線163」と適宜称される。導線163は、導線163a~163dの全てまたは何れかを意味する。無線通信装置164a~164dは、総称して「無線通信装置164」と適宜称される。無線通信装置164は、無線通信装置164a~164dの全てまたは何れかを意味する。
【0371】
なお、図27には、断線検知デバイスシートの一例として、1つの基材上に断線検知デバイスが4つ形成され、無線通信装置と接続される導線(断線検知の対象となる導線)が各断線検知デバイスに1本ずつ設けられたものを示したが、本発明は、これに限定されない。基材上の断線検知デバイスの数、及び各断線検知デバイスの導線の本数は、特に制約は無く、任意の数にすることができる。
【0372】
本発明に係る断線検知デバイスの無線通信装置(例えば無線通信装置164)は、当該無線通信装置と接続される導線(例えば導線163)が切断される前と後とで相異する情報を含む信号を発信するものであれば、特に制限はない。例えば、本発明に係る包装材の場合と同様に、当該無線通信装置は、記憶手段を有し、前記記憶手段は、少なくとも1つのメモリ素子を有し、前記導線は、前記メモリ素子に接続され、前記情報は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記メモリ素子から読み出されることが好ましい。または、当該無線通信装置は、記憶手段を有し、前記記憶手段は、少なくとも1つのフリップフロップ回路を含み、前記導線は、前記フリップフロップ回路に接続され、前記情報は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記フリップフロップ回路から読み出されることが好ましい。または、当該無線通信装置は、変調回路を有し、前記導線は、前記変調回路に接続され、前記情報を含む信号は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記変調回路によって変調されることが好ましい。
【0373】
また、本発明に係る包装材の場合と同様に、前記記憶手段は、複数のメモリ素子を配列してなるメモリアレイを有し、前記導線は、前記複数のメモリ素子のうち少なくとも1つに接続され、前記情報は、前記導線が切断される前と後とで相異するように前記メモリアレイから読み出されることが好ましい。さらに、前記メモリアレイは、複数の第一の配線と、前記複数の第一の配線と交差する少なくとも一本の第二の配線と、前記複数の第一の配線と前記少なくとも一本の第二の配線との各交点に対応して設けられ、互いに離間して配置される第一の電極および第二の電極と、前記少なくとも一本の第二の配線のうち一本に接続される第三の電極と、前記第一の電極および前記第二の電極と前記第三の電極とを電気的に絶縁する絶縁層とをそれぞれ有する前記複数のメモリ素子と、を有し、前記第一の電極および前記第二の電極のいずれか一方は、前記複数の第一の配線のうち一本に接続され、前記複数のメモリ素子のうち少なくとも1つは、前記第一の電極と前記第二の電極との間の領域に半導体層を有し、前記複数のメモリ素子は、前記第一の電極と前記第二の電極との間の電気特性が互いに異なる二種類のメモリ素子からなり、前記メモリアレイに記録される情報は、前記二種類のメモリ素子を任意に組み合わせた配列によって決定することが好ましい。特に、前記二種類のメモリ素子のうち、一方の種類のメモリ素子は前記半導体層を有するメモリ素子であり、他方の種類のメモリ素子は前記半導体層を有しないメモリ素子であり、前記一方の種類のメモリ素子および前記他方の種類のメモリ素子は、前記半導体層の有無によって、互いに異なる各情報をそれぞれ記録することが好ましい。
【0374】
なお、断線検知デバイスシート162に用いられる基材160の材料、導線163の材料、導線163の形状、および無線通信装置164の構成は、本発明に係る包装材と同様にすることができる。また、無線通信装置164において、アンテナの種類や材料、回路部に含まれるTFT素子の構造、前記TFT素子の各層(絶縁層、半導体層、ゲート電極、ソース・ドレイン電極)の材料、記憶部の回路構成、変調回路の回路構成などは、本発明に係る包装材と同様とすることができる。
【0375】
断線検知デバイスシート162の製造方法としては、特に制限はないが、上述した機能部形成工程(図9A参照)と同様であり、無線通信装置164や導線163の形成方法も、前述の包装材と同様の方法とすることができる。そのため、断線検知デバイスシート162に例示される本発明の断線検知デバイスシートを、簡便なプロセス、かつ低コストで製造することが可能となる。したがって、このような断線検知デバイスシートから得られる断線検知デバイス(例えば断線検知デバイス161)を具備する開封検知ラベルを、低コストで得ることができる。
【0376】
断線検知デバイス161を一構成部品とする開封検知ラベルの構成は、特に制限されるものではないが、例えば、断線検知デバイスシート162の少なくとも1面に粘着層が形成されたシールラベル型のもの、断線検知デバイスシート162の両面を紙やフィルム等のカバー部材でラミネートしたフィルムラベル型のもの等が挙げられる。シールラベル型の開封検知ラベルは、被開封物に貼り付けて使用される。これにより、シールラベル型の開封検知ラベルに含まれる断線検知デバイスは、被開封物に付けられるように構成される。フィルムラベル型の開封検知ラベルは、被開封物の開封部分に覆う等の手法で付けられ、或いは、被開封物の開封部分と一体化されて、使用される。これにより、フィルムラベル型の開封検知ラベルに含まれる断線検知デバイスは、被開封物に付けられるように構成される。
【0377】
開封検知ラベルの製造方法としては、特に制限は無いが、例えば、シールラベル型の開封検知ラベルの場合、断線検知デバイスシート162の表裏両面うち、断線検知デバイス161が形成されていない側の面(すなわち裏面)に粘着剤を塗布し、この裏面に離型紙をラミネートし、且つ、断線検知デバイス161が形成された側の面(すなわち表面)に印字等の印刷が可能な表面シートを接着剤でラミネートし、その後、かす上げを行い、少なくとも1つの断線検知デバイスを含む単位に小片化する方法が挙げられる。なお、粘着剤を塗布する面は上記裏面に限らず、断線検知デバイスシート162の表面でも構わない。また、フィルムラベル型の開封検知ラベルの場合、断線検知デバイスシート162の表裏両面に接着剤を塗布し、これら両面にフィルムや紙等のカバー部材をラミネートし、その後、少なくとも1つの断線検知デバイスを含む単位に小片化する方法が挙げられる。
【0378】
次に、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベル(シールラベル)の構造の一例について、図28A~28Cを用いて説明する。図28Aは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの一構成例を示す上面図である。図28Aには、1つの離型紙165上に、小片化された1つ以上のシールラベル型の開封検知ラベル(例えば4つの開封検知ラベル166a~166d)が形成された状態のシート構造体、すなわち、開封検知ラベルセットが図示されている。図28Bは、図28Aに示す開封検知ラベルセットのE-E’線断面図である。図28Cは、図28Aに示す開封検知ラベルセットのF-F’線断面図である。
【0379】
図28A~28Cに示すように、開封検知ラベル166aは、断線検知デバイス161aと、粘着層167と、接着層168と、表面シート169とを備える。断線検知デバイス161aは、基材160と、この基材160の表面上に形成された導線163aおよび無線通信装置164aとを備える。粘着層167は、断線検知デバイス161aの基材160の裏面に形成される。すなわち、粘着層167は、開封検知ラベル166aを離型紙165から着脱可能に貼り付けられるように、基材160の裏面と離型紙165の表面との間に介在する。この粘着層167により、基材160は、開封検知ラベル166aの対象とする被開封物に付けられるように構成される。また、導線163aは、開封検知ラベル166aが付けられた被開封物の開封に伴って基材160とともに切断されるように構成される。接着層168は、断線検知デバイス161aの導線163aおよび無線通信装置164aを埋めるように、基材160の表面上に形成される。表面シート169は、接着層168の上に形成される。表面シート169は、例えば、商品名などを印字するために用いられる。
【0380】
また、開封検知ラベル166bは、断線検知デバイス161aの代わりに断線検知デバイス161bを備えること以外、上述した開封検知ラベル166aと同様の構成を有する。開封検知ラベル166cは、断線検知デバイス161aの代わりに断線検知デバイス161cを備えること以外、上述した開封検知ラベル166aと同様の構成を有する。開封検知ラベル166dは、断線検知デバイス161aの代わりに断線検知デバイス161dを備えること以外、上述した開封検知ラベル166aと同様の構成を有する。
【0381】
図28A,28Cに示すように、開封検知ラベル166a~166dは、互いに別体となるように小片化されている。このため、開封検知ラベル166a~166dは、離型紙165から各々剥がして使用することができる。
【0382】
次に、図29A~29Eを用いて、開封検知ラベルの小片化方法について説明する。図29Aは、本発明の一実施形態に係るシールラベル型の開封検知ラベルに小片化する前の開封検知ラベルシートの一構成例を示す上面図である。図29Bは、図29Aに示す開封検知ラベルシートのG-G’線断面図である。図29Cは、第1方向から見た開封検知ラベルシートの小片化工程を説明する模式図である。図29Dは、図29Aに示す開封検知ラベルシートのH-H’線断面図である。図29Eは、第2方向から見た開封検知ラベルシートの小片化工程を説明する模式図である。
【0383】
図29A,29B、29Dに示すように、開封検知ラベルシート180は、小片化される前の断線検知デバイス161a~161d(すなわち図27に示した断線検知デバイスシート162)と、粘着層167と、接着層168と、表面シート169とによって構成される。開封検知ラベルシート180において、断線検知デバイス161a~161dは、第1方向F1に列をなし且つ第2方向F2に行をなすように形成されている。粘着層167は、これらの断線検知デバイス161a~161dが設けられた基材160の裏面に形成されている。この基材160は、粘着層167を介して離型紙165に貼り合わせられている。また、開封検知ラベルシート180の上部には、接着層168を介して表面シート169が貼り付けられている。
【0384】
開封検知ラベルシート180の小片化工程では、第1方向F1について、図29Bに示すように、開封検知ラベルシート180のうち、矢印で示されるシート部分181a,181bが刃によって切断される。詳細には、開封検知ラベルシート180のシート部分181a,181bは、第1方向F1について、断線検知デバイス161a~161d(図29Bでは断線検知デバイス161aが代表して示されている)を内側に挟む部分である。これらのシート部分181a,181bは、表面シート169から粘着層167に到達するまでの範囲に亘って刃で切断される。その後、図29Cに示すように、第1方向F1のかす上げ部170aが離型紙165から取り除かれる。
【0385】
また、開封検知ラベルシート180の小片化工程では、第2方向F2について、図29Dに示すように、開封検知ラベルシート180のうち、矢印で示されるシート部分182a~182hが刃によって切断される。詳細には、開封検知ラベルシート180のシート部分182a~182hは、第2方向F2について、断線検知デバイス161a~161dを内側に挟む部分である。これらのシート部分182a~182hは、表面シート169から粘着層167に到達するまでの範囲に亘って刃で切断される。その後、図29Eに示すように、第2方向F2のかす上げ部170bが離型紙165から取り除かれる。
【0386】
上述したように、開封検知ラベルシート180の小片化工程では、第1方向F1および第2方向F2について、かす上げ部170a,170bを取り除くことにより、開封検知ラベルシート180をシールラベル型の開封検知ラベル166a~166dに小片化することができる。小片化された開封検知ラベル166a~166dは、図28A~28Cに示すように、互いに別体となり、粘着層167を介して離型紙165に各々貼り付いた状態となっている。
【0387】
上述したシールラベル型の開封検知ラベルは、本発明に係る開封検知ラベルの一例である。すなわち、本発明に係る開封検知ラベルとしては、シールラベル型以外に、例えば、フィルムラベル型の開封検知ラベルが挙げられる。図29Fは、本発明の一実施形態に係るフィルムラベル型の開封検知ラベルに小片化する前の開封検知ラベルシートの一構成例を示す上面図である。図29Gは、図29Fに示す開封検知ラベルシートのG-G’線断面図である。図29Hは、図29Fに示す開封検知ラベルシートのH-H’線断面図である。
【0388】
図29F~29Hに示すように、開封検知ラベルシート180Aは、小片化される前の断線検知デバイス161a~161d(すなわち図27に示した断線検知デバイスシート162)と、基材160の表裏両面の接着層168と、基材160の表裏両面のカバー部材185とによって構成される。なお、基材160は、上述したように、断線検知デバイス161a~161dが形成される基材である。
【0389】
開封検知ラベルシート180Aにおいて、断線検知デバイス161a~161dは、図29Aに示した開封検知ラベルシート180の場合と同様に形成されている。接着層168は、塗布等によって基材160の表裏両面に形成される。カバー部材185は、接着層168を介して基材160の表裏両面に貼り付けられる。これにより、基材160上の断線検知デバイス161a~161d(すなわち断線検知デバイスシート162)が、これら両面のカバー部材185の間に挟まれてラミネートされる。この結果、フィルムラベル型の開封検知ラベルを少なくとも1つ含む開封検知ラベルシート180Aが作製される。
【0390】
本発明の一実施形態に係るフィルムラベル型の開封検知ラベルは、例えば、上述した開封検知ラベルシート180Aの小片化工程によって得られる。開封検知ラベルシート180Aの小片化工程では、開封検知ラベルシート180Aが、断線検知デバイスを含む単位に切断される。これにより、開封検知ラベルシート180Aをフィルムラベル型の開封検知ラベルに小片化することができる。例えば、この開封検知ラベルシート180Aからは、フィルムラベル型の開封検知ラベルとして、断線検知デバイス161a~161dを各々含む4つの開封検知ラベルが得られる。
【0391】
このようなフィルムラベル型の開封検知ラベルは、被開封物の開封部分の少なくとも一部を覆うように、当該被開封物に付けられる。すなわち、フィルムラベル型の開封検知ラベルは、当該開封検知ラベル内の断線検知デバイスを断線させなければ開封部分を開封できないように、被開封物に付けられる。或いは、フィルムラベル型の開封検知ラベルは、被開封物の開封部分と一体化するように構成される。この場合、フィルムラベル型の開封検知ラベル中の断線検知デバイスをラミネートするカバー部材は、被開封物を構成する部材である。フィルムラベル型の開封検知ラベルは、上述したように開封検知ラベルシートの小片化によって作製された後、断線検知デバイスが開封部分に組み込まれた態様の被開封物自体に加工される。
【0392】
以上、説明したように、本発明に係る断線検知デバイスを用いた開封検知ラベルは、導線の断線前後で相異する情報、すなわち導線の断線を検知し得る情報(信号)を、外部装置に発信することができる。例えば、袋や箱等の被開封物の開封に伴ってシールラベル型の開封検知ラベルとともに導線163が切断されるように、前記シールラベル型の開封検知ラベルを被開封物の開封切り取り線上や開閉部上に貼り付けることで、被開封物の開封検知を行うことができる。または、被開封物の開封に伴ってフィルムラベル型の開封検知ラベルとともに導線163が切断されるように、前記フィルムラベル型の開封検知ラベルを被開封物の開封部分に付ける、或いは当該開封部分と一体化することで、被開封物の開封検知を行うことができる。
【0393】
なお、上述した開封検知ラベルでは、シールラベル型およびフィルムラベル型によらず、袋や箱等の被開封物の開封に伴って開封検知ラベルが導線とともに切断され易くするために、開封検知ラベルに予め切込み加工することが好ましい。図30は、本発明の一実施形態の変形例に係る開封検知ラベルの一構成例を示す上面図である。図30に示すように、離型紙165上の開封検知ラベル166a~166dには、導線163a~163dを各々通過する切り取り線171が形成されていることが好ましい。例えば、切り取り線171は、開封検知ラベル166a~166dの基材160に、導線163a~163dを各々通過する経路に沿ってミシン目やV字の切れ込み等を入れることにより、形成することができる。なお、図30には、シールラベル型の開封検知ラベルに切り取り線が形成されている場合を例示したが、これに限定されず、フィルムラベル型の開封検知ラベルに切り取り線が形成されてもよい。
【0394】
以下、開封検知ラベル166a~166dは、総称して「開封検知ラベル166」と適宜称される。開封検知ラベル166は、開封検知ラベル166a~166dの全てまたは何れかを意味する。また、開封検知ラベル166は、シールラベル型およびフィルムラベル型のうち何れのタイプの開封検知ラベルであってもよい。
【0395】
(開封検知ラベルの用途)
つぎに、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルを適用可能な用途について説明する。図31Aは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第一適用例を示す模式図である。図31Bは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第二適用例を示す模式図である。図31Cは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第三適用例を示す模式図である。図31Dは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第四適用例を示す模式図である。図31Eは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第五適用例を示す模式図である。図31Fは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第六適用例を示す模式図である。図31Gは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第七適用例を示す模式図である。図31Hは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第八適用例を示す模式図である。図31Iは、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルの第九適用例を示す模式図である。以下、図31A~31Iを参照しつつ、本発明に係る開封検知ラベルの一例として上述の開封検知ラベル166を例示して、当該開封検知ラベルの用途を具体的に説明する。
【0396】
上記開封検知ラベルを適用可能な用途としては、特に制限はなく、例えば、医薬品、食品(調味料、菓子類、サプリメントなど)、化粧品、電子部品、輸送用の箱、CDケース、郵便封筒などが挙げられる。例えば、図31Aに示す第一適用例として、開封検知ラベル166は、医薬品などの薬を内包する薬包袋190に適用することができる。具体的には、開封検知ラベル166は、シールラベル型であり、薬包袋190の開封部分に貼り付けられる。この場合、開封検知ラベル166の切り取り線171は、薬包袋190を開封するための切り込み部190aと位置が合うことが好ましい。
【0397】
また、図31Bに示す第二適用例として、開封検知ラベル166は、ワインボトル191に適用することができる。この第二適用例の開封検知ラベル166は、フィルムラベル型であり、ワインボトル191の開封部分を覆うように、ワインボトル191に付けられる。図31Cに示す第三適用例として、開封検知ラベル166は、CDケース192に適用することができる。この第三適用例の開封検知ラベル166は、シールラベル型であり、CDケース192の開閉蓋部分に貼り付けられる。図31Dに示す第四適用例として、開封検知ラベル166は、化粧品箱193に適用することができる。この第四適用例の開封検知ラベル166は、シールラベル型であり、化粧品箱193の開閉蓋部分に貼り付けられる。図31Eに示す第五適用例として、開封検知ラベル166は、封筒194に適用することができる。この第五適用例の開封検知ラベル166は、シールラベル型であり、封筒194の開封部分に貼り付けられる。
【0398】
また、図31Fに示す第六適用例として、開封検知ラベル166は、運送箱195に適用することができる。この第六適用例の開封検知ラベル166は、シールラベル型であり、運送箱195の開閉蓋部分に貼り付けられる。図31Gに示す第七適用例として、開封検知ラベル166は、医薬品ボトル196に適用することができる。この第七適用例の開封検知ラベル166は、シールラベル型であり、医薬品ボトル196の開閉蓋部分に貼り付けられる。図31Hに示す第八適用例として、開封検知ラベル166は、菓子袋197に適用することができる。この第八適用例の開封検知ラベル166は、フィルムラベル型であり、断線検知デバイス161が開封部分に組み込まれた態様で菓子袋197と一体化される。すなわち、この第八適用例の開封検知ラベル166は、断線検知デバイス161を開封部分に備えた菓子袋197自体となっている。このような第八適用例の開封検知ラベル166には、図31Aに示した第一適用例と同様に、切り取り線171および切り込み部190aが形成されていることが好ましい。図31Iに示す第九適用例として、開封検知ラベル166は、ワインボトル191に適用することができる。この第九適用例の開封検知ラベル166は、シールラベル型であり、ワインボトル191の開封部分に貼り付けられる。
【0399】
なお、図31A~31Iには、開封検知ラベル166の代表的な適用例が示されているが、開封検知ラベル166が適用される物品(被開封物)や開封検知ラベル166の装着位置などは、上述したものに限定されない。また、開封検知ラベルの形態としては、シールラベル型およびフィルムラベルに限るものではなく、その他の形態でも構わない。
【0400】
(開封検知システム)
つぎに、本発明の一実施形態に係る開封検知ラベルを用いた開封検知システムについて説明する。図32は、本発明の一実施形態に係る開封検知システムの一構成例を示す図である。図32に示すように、この開封検知システム200は、上述した収納物管理システム1(図26参照)の包装材10の代わりに開封検知ラベル166を備える。図32には図示されていないが、この開封検知ラベル166は、被開封物の開封部分に切り取り線171を合わせて装着された状態、或いは被開封物と一体化された状態にある。その他の構成は上述した収納物管理システム1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0401】
この開封検知システム200において、RFID読取装置2は、開封検知ラベル166が有する無線通信装置164によって発信された情報を受信する。この情報は、開封検知ラベル166の導線163の断線前後で相異する情報、すなわち、開封検知ラベル166が装着又は一体化された被開封物(容器)の開封の前と後とで相異する情報である。RFID読取装置2は、この受信した情報の差異に基づいて、この被開封物の開封の有無を読み取り検知する。管理装置5は、ネットワーク7を介して、RFID読取装置2によって検知された被開封物の開封の有無を示す検知情報をRFID読取装置2から受信し、受信した検知情報を端末装置6に通知する。
【0402】
前述の通り、医薬品については、医薬品の薬効を最大化するためには、患者が医師から指示された時間通りに服薬することが必要である。そこで、以下では、本発明の一実施形態に係る開封検知システム200の具体例として、医薬品の服薬管理システムを説明する。図31Aに示すように、現在、複数種の薬を処方されている場合、これら複数種の薬は、服薬管理を容易にするために、1回に服薬する薬を一包化した薬包袋190で調剤される。図31Aに示すように、薬包袋190の切り込み部190aに開封検知ラベル166を貼り付け、RFID読取装置2等の読取装置を用いて開封検知ラベル166からの情報を読み取ることで、服薬状況を把握することができる。
【0403】
医薬品の服薬管理システムの例としては、以下のようなシステムが挙げられる。例えば、服薬管理システムにおいて、RFID読取装置2は、開封検知ラベル166の無線通信装置164に対して電波を定期的に発信する。無線通信装置164は、これに応答して、開封検知ラベル166の導線163の切断(すなわち、薬包袋190の開封)の有無を示す情報を、RFID読取装置2に送信する。RFID読取装置2は、無線通信装置164から受信した情報の差異に基づいて、薬包袋190の開封の有無を読み取り検知する。さらに、RFID読取装置2は、薬包袋190の開封の有無の検知情報を管理装置5に送信し、管理装置5は、この検知情報を端末装置6に通知する。この管理装置5としては、例えば、データサーバなどが挙げられる。この端末装置6としては、例えば、PC、携帯電話、スマートフォン、タブレット型PCなどが挙げられる。ただし、これらの管理装置5および端末装置6を1つの装置が兼ねてもよい。
【0404】
なお、本発明の一具体例としての服薬管理システムにおいては、薬包袋190が開封されている場合は、収納されていた医薬品が服薬されたものと見なす。薬包袋190が開封されていない場合は、服薬されていないものと見なす。RFID読取装置2から管理装置5への情報送信の方法は、特に限定されず、無線通信回線を用いても、電気や光信号を用いた有線通信回線でも構わない。管理装置5が病院、訪問介護施設、訪問看護施設、薬局などの医療・介護福祉機関に設置されていれば、医師、看護師、薬剤師などの医療関係者や介護師は、端末装置6を用いて患者の服薬状況をモニターすることができる。また、管理装置5が患者自身の家に設置されていてもよく、その場合、患者の家族は、端末装置6を用いて患者の服薬状況をモニターすることができ、服薬忘れなどがあれば、迅速に対応することができる。
【0405】
上述した通り、無線通信装置164のメモリ回路に記録された情報も、薬包袋190の開封の有無を示す情報と共に、RFID読取装置2に送信することができる。無線通信装置164のメモリ回路に記録される情報の具体例としては、医薬品の情報(品名、品番、一包化年月日、使用期限など)、薬包袋の情報(薬包袋別の固有IDなど)、患者情報(患者ID、カルテ番号、患者の病名、治療履歴など)、医療従事者情報(病院ID、医師ID、看護師ID、薬剤師IDなど)、患者の服薬履歴、医薬品の電子証明などが挙げられる。無線通信装置164のメモリ回路には、これらの情報の全てが記録されている必要はなく、少なくとも薬包袋190を個別に特定するID番号などの固有情報が記録されていれば、その他の情報は、データサーバ上で管理することが可能である。無線通信装置164のメモリ回路に薬包袋190の固有情報が記録される場合、小さな容量のメモリ回路でも対応することができる。したがって、本発明に係る開封検知ラベル166を適用した服薬管理システムでは、薬包袋190の開封の有無を示す情報と薬包袋190の固有情報とが開封検知ラベル166から外部装置に送信されることが好ましい。
【0406】
本発明における服薬管理システムを医療機関で用いることも可能であり、薬包袋190およびRFID読取装置2は、例えば、病室の寝台の横の薬剤台に設置されている。患者は、所定の時刻で薬包袋190内の薬剤を服薬した後に、薬包袋190をこの薬剤台に戻す。一方、管理装置5および端末装置6は、例えばナースステーションに設置されており、医療従事者は、RFID読取装置2から送信された情報により、患者の服薬を確認することができる。なお、この管理装置5には、患者の情報、処方された薬剤の情報、担当医師・看護師・薬剤師の情報などが登録されている。また、この管理装置5は、登録された服薬時間の情報にしたがって、RFID読取装置2に読み取り指示を送信する。
【0407】
管理装置5は、RFID読取装置2から送信された薬剤の残量(すなわち未開封の薬包袋190の数)と、本来残っているべき薬包袋190の数とを比較する。そして、管理装置5は、両者の量が異なる場合に、アラーム表示や音によって、その事実を医療従事者の持つ端末装置6に通知する。これにより、定められた服薬時間から大きく遅れることなく、看護師は患者に服薬指導をすることができる。このように、看護師がナースステーションにいながら、患者が薬剤を適切に飲んでいるか否かをモニターすることができるため、看護師の業務負担を軽減することができる。また、RFID読取装置2がアラーム機能を備えていれば、患者自身にも服薬に誤りがあることを通知することができ、治療効果の最大化が期待される。
【0408】
さらに、上述した服薬管理システムは、厳密な服薬管理が求められる新薬の臨床試験に用いることで、患者の飲み忘れなどを防止することができる。この結果、新薬の薬効を正確に評価することが可能となる。
【0409】
次に、本発明における服薬管理システムを家庭で用いる場合の一例を説明する。この服薬管理システムにおいては、薬包袋190およびRFID読取装置2を設置する場所に制限はない。薬包袋190に貼り付けられた開封検知ラベル166からの情報をRFID読取装置2によって読み取ることができれば、薬包袋190およびRFID読取装置2は同じ場所に置かれていなくてもよい。ただし、薬包袋190の開封検知ラベル166からの情報の読み取りにUHF帯のRFID通信を用いる場合は、寝室やダイニングなどの同じ部屋に置かれていること(例えば5m以内)が好ましい。また、薬包袋190の開封検知ラベル166からの情報の読み取りにHF帯のRFID通信を用いる場合は、RFID読取装置2と薬包袋190とは近接して置かれていること(例えば50cm以内)が好ましい。RFID読取装置2の設置位置としては、例えば、自宅のテーブルの下等が挙げられる。このRFID読取装置2の上を薬置き場とすれば、薬包袋190の開封状態を常に検知することができる。
【0410】
また、上述したRFID読取装置2は、壁掛けのお薬カレンダーと一体化した態様のものであってもよい。図33は、本発明の一実施形態に係る開封検知システムの読取装置の一具体例を示す図である。図33に示すように、RFID読取装置2は、壁掛け可能な構造の装置本体を有し、この装置本体の前面にお薬カレンダー201を備える。お薬カレンダー201は、例えば、曜日と時間帯との組み合わせ毎に区分けされたマトリックス状の区画領域を有する。お薬カレンダー201の各区画領域には、図33に示すように、開封部分に開封検知ラベル166が貼り付けられた薬包袋190が、取り付けられている。すなわち、複数の薬包袋190は、お薬カレンダー201により、曜日と時間帯との組み合わせ別(例えば、月曜日~日曜日の各曜日と、朝食、昼食、夕食、就寝前の各時間帯との組み合わせ別)に仕分けされている。RFID読取装置2は、このようにお薬カレンダー201の各区画領域にセットされた薬包袋190の開封検知ラベル166から情報を読み取ることにより、お薬カレンダー201で食事毎や曜日毎に仕分けされた薬包袋190の開封状態を常に検知することができる。
【0411】
また、図33に例示される態様のRFID読取装置2と通信可能に接続される管理装置5としては、例えば、家庭内のPC、スマートフォン、タブレット型PC、病院、訪問介護施設、訪問看護施設、薬局などの医療・介護福祉機関に設置されたデータサーバなどが挙げられる。管理装置5は、登録された服薬時間の情報にしたがって、RFID読取装置2に読み取り指示を送信する。RFID読取装置2は、これに応じて、お薬カレンダー201上の薬包袋190の開封の有無を示す情報などを無線通信装置164から読み取り、読み取った情報(薬包袋190の開封の有無の検知情報など)を管理装置5に送信する。管理装置5は、RFID読取装置2から送信された情報(開封後の薬包袋190と未開封の薬包袋190の数量を示す情報)と、本来残っているべき薬包袋190の量とを比較する。そして、管理装置5は、これら両者の量が異なる場合、アラーム表示や音によって、その事実を家族や医療従事者の持つ端末装置6に通知する。これにより、患者に服薬を促すことができる。このように、家族や医療従事者は、目視で薬包袋190の残量を確認せずに、患者が薬剤を適切に飲んでいるか否かをモニターすることができる。そのため、必要に応じて、薬剤師による服薬指導や薬剤師から医師へ処方箋の見直しの提案を行うこともできる。この結果、患者とその家族とが違う家に住んでいる場合、患者が家族に薬の服薬状況を見せたがらない場合、在宅医療の場合などにおいて、治療効果の最大化が期待されると共に、家族や医療従事者の負担を軽減することができる。
【0412】
ところで、近年、本物の商品に使用されるボトルや箱等の容器(被開封物)に、本来の商品とは異なる飲食物、薬品または化粧品等の偽の物品を詰めた偽物が市場に出回るケースが報告されている。これに対処するため、物品の容器が未開封であるか否かを確認して、この容器内の物品が本物(真の商品)であるか否かを判断できることが要望されている。本発明に係る開封検知ラベルは、図31A~31Iに例示したように、各種物品の容器に装着又は当該容器と一体化することにより、この容器が未開封であるか否か、すなわち、この容器内の物品が本物であるか否かを判断することが可能となる。例えば、本発明の開封検知ラベルがボトルラベルに組み込まれていれば、販売店や消費者は、開封検知ラベルを読み取り、ボトルが未開封であるか否かを確認することで、ボトル内の商品(例えばワイン等のアルコール飲料)の真贋判定を行うことができる。また、医薬品の容器や化粧品箱に本発明の開封検知ラベルを添付することで、医薬品や化粧品の真贋判定を行うことができる。この結果、これらの偽物による健康被害の防止に貢献することができる。
【産業上の利用可能性】
【0413】
以上のように、本発明に係る包装材、包装材の製造方法、読取装置、および収納物管理システムは、収納部からの収納物の取り出し検知の信頼性を高めることに有用であり、たとえ個別に切り離された収納部であっても、医薬品などの収納物の取り出しに伴い収納部が開封されたことを検知することが可能な包装材、包装材の製造方法、読取装置、および収納物管理システムの実現に適している。特に、本発明に係る包装材、包装材の製造方法、読取装置、および収納物管理システムは、薬剤用包装材に収納されている薬剤の服用数を高精度に検知することができ、薬剤の服用数を検知するときの信頼性を高くすることが可能な包装材、包装材の製造方法、読取装置、および収納物管理システムに有用である。さらに、本発明に係る断線検知デバイス、開封検知ラベル、及び開封検知システムは、パッケージ袋や箱などの被開封物の開封検知に有用であり、医薬品、食品(調味料、菓子類、サプリメントなど)、化粧品、電子部品、輸送用の箱、CDケース、郵便封筒など、あらゆる物品(商品)の開封検知に適用することができる。
【符号の説明】
【0414】
1 収納物管理システム
2 RFID読取装置
3 アンテナ回路部
4 制御部
5 管理装置
6 端末装置
7 ネットワーク
10,10a,10b,10A 包装材
11 シート
11a 金属箔
11b,21,81,92,102,112 基材
12,12a~12d アンテナ
13,13a~13d 接続線
14,14a~14d 回路部
15,15a~15d 収納部
16,16a~16d,16A~16H,16K,16L 無線通信装置
17,17a~17d 収納物
18 包装材本体部
20 薄膜トランジスタ
22 ゲート電極
23 ゲート絶縁層
24,84,95,105,108,115 半導体層
25 ソース電極
26 ドレイン電極
80,90a~90c,100a~100c,110a~110c,150a~150c ワード線
91a~91c,101a~101c,111a~111c,151a~151c ビット線
82,93,103,113 第三の電極
83,94,104,114 絶縁層
85,96,106,116 第一の電極
86,97,107,117 第二の電極
118 第一の絶縁層
119 第二の絶縁層
141,141A~141H,141K~141N 記憶部
142 電源生成部
143,143A,143B 通信回路
144 復調回路
145,145A,145B 変調回路
146 制御回路
800,9001~9009,10001~10009,11001~11009,15001~15009 メモリ素子
801,802,901,902,1001,1002,1101,1102,1103,1501,1502 周辺回路
900,1000,1100,1500 メモリアレイ
1201 スイッチ回路
1202,1203 抵抗素子
1300,13001,13002 フリップフロップ回路
160 基材
161,161a~161d 断線検知デバイス
162 断線検知デバイスシート
163,163a~163d 導線
164,164a~164d 無線通信装置
165 離型紙
166,166a~166d 開封検知ラベル
167 粘着層
168 接着層
169 表面シート
170a,170b かす上げ部
171 切り取り線
180,180A 開封検知ラベルシート
181a,181b,182a~182h シート部分
185 カバー部材
190 薬包袋
190a 切り込み部
191 ワインボトル
192 CDケース
193 化粧品箱
194 封筒
195 運送箱
196 医薬品ボトル
197 菓子袋
200 開封検知システム
201 お薬カレンダー
F1 第1方向
F2 第2方向
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図24F
図25A
図25B
図25C
図25D
図26
図27
図28A
図28B
図28C
図29A
図29B
図29C
図29D
図29E
図29F
図29G
図29H
図30
図31A
図31B
図31C
図31D
図31E
図31F
図31G
図31H
図31I
図32
図33