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特許7318873化学気相蒸着法によるペロブスカイト太陽電池吸収層の製造方法
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  • 特許-化学気相蒸着法によるペロブスカイト太陽電池吸収層の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】化学気相蒸着法によるペロブスカイト太陽電池吸収層の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/50 20230101AFI20230725BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20230725BHJP
   H10K 71/10 20230101ALI20230725BHJP
【FI】
H10K30/50
H10K30/40
H10K71/10
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021568126
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 KR2020007105
(87)【国際公開番号】W WO2020246764
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】10-2019-0065460
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0065672
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521496216
【氏名又は名称】メカロエナジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MECAROENERGY Co.,LTD.
【住所又は居所原語表記】261,Wonnamsandan-ro,Wonnam-myeon,Eumseong-gun,Chungcheongbuk-do 27721,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ヒョッキュ
(72)【発明者】
【氏名】イー,ソヨン
(72)【発明者】
【氏名】イー,キュヒョン
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-522394(JP,A)
【文献】特表2018-533195(JP,A)
【文献】国際公開第2017/009688(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106229415(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108847455(CN,A)
【文献】特開平03-016901(JP,A)
【文献】特表2022-529785(JP,A)
【文献】RAGA, Sonia R. et al.,Rapid perovskite formation by CH3NH2 gas-induced intercalation and reaction of PbI2,Journal of Materials Chemistry A,2015年12月21日,Vol. 4, No. 7,pp. 2494-2500,DOI: 10.1039/c5ta10055k
【文献】POPOV, Georgi et al.,Atomic Layer Deposition of PbI2 Thin Films,Chemistry of Materials,2019年01月16日,Vol. 31, No. 3,pp. 1101-1109,DOI: 10.1021/acs.chemmater.8b04969
【文献】JIANG, Yan et al.,Negligible-Pb-Waste and Upscalable Perovskite Deposition Technology for High-Operational-Stability Perovskite Solar Modules,Advanced Energy Materials,2019年02月14日,Vol. 9, No. 13, Article number: 1803047,pp. 1-12,DOI: 10.1002/aenm.201803047
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 30/00-30/89
H10K 39/00-39/38
H10K 71/10-71/40
C23C 16/00-16/42
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学気相蒸着法を用いてペロブスカイト太陽電池光吸収層を製造する方法であって、
化学気相蒸着法で基板の上にPbIx(1≦x≦2)薄膜を形成するステップと、
前記PbIx薄膜の上にCH3NH2(methylamine)ガスとヨウ素前駆体を供給するステップと、
前記供給するステップ後に、熱処理を通してペロブスカイト構造を有するCH3NH3PbI3薄膜を形成するステップとを備え、
前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、Pb前駆体として、テトラエチル鉛(tetraethyl-lead)、テトラメチル鉛(tetramethyl-lead)、アセチルアセトネート鉛[acetylacetonate-lead(II)]及びビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)鉛[BIS(2,2,6,6-tetramethyl-3,5-herptanedionato)LEAD(II)]よりなる群から選択されるいずれか一種以上を用いる
ロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項2】
前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、I前駆体として、ヨウ素(I2)、6-ヨード-1-ヘキシン(6-iodo-1-hexyne)、よう化tert-ブチル(Tertiary-Butyl iodide)、よう化イソプロピル(Iso-propyl iodide)、及びよう化エチル(Ethyl iodide)よりなる群から選択されるいずれか一種以上を用いる請求項に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項3】
前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、前記Pb前駆体と前記I前駆体を反応チャンバー内に同時に供給する請求項に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項4】
前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、前記Pb前駆体と前記I前駆体を反応チャンバー内に順次に供給する請求項に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項5】
前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、前記Pb前駆体または前記I前駆体のキャニスタの温度雰囲気を-20~100℃に保つ請求項または請求項に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項6】
前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、前記Pb前駆体または前記I前駆体を供給する前駆体供給ラインの温度雰囲気を常温~200℃に保つ請求項または請求項に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項7】
前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、前記Pb前駆体または前記I前駆体が蒸着される基板の温度雰囲気を50~300℃に保つ請求項または請求項に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項8】
前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、前記Pb前駆体または前記I前駆体を前記反応チャンバー内に供給するとき、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)または窒素(N2)のうちのいずれか一種またはこれらの混合物をキャリアガスとして用いる請求項または請求項に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項9】
前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、前記反応チャンバー内の圧力雰囲気を1mTorr~100Torrに保つ請求項または請求項に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項10】
前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、薄膜の蒸着速度と品質を高めるためにプラズマを用いる請求項または請求項に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項11】
前記CH3NH3PbI3薄膜を形成するステップにおいては、前記PbIx薄膜の上にMA(CH3NH2)とヨウ素(I)前駆体を反応チャンバー内に同時に供給する請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項12】
前記CH3NH3PbI3薄膜を形成するステップにおいては、前記PbIx薄膜の上にMA(CH3NH2)とヨウ素(I)前駆体を反応チャンバー内に順次に供給する請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項13】
前記CH3NH3PbI3薄膜を形成するステップにおいては、I前駆体として、ヨウ素(I2)、6-ヨード-1-ヘキシン(6-iodo-1-hexyne)、よう化tert-ブチル(Tertiary-Butyl iodide)、よう化イソプロピル(Iso-propyl iodide)、及びよう化エチル(Ethyl iodide)よりなる群から選択されるいずれか一種以上を用いる請求項11または請求項12に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項14】
前記供給するステップにおいては、MA(methylanine、CH3NH2)とヨウ素前駆体供給ラインの温度雰囲気を常温~200℃に保つ請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項15】
前記供給するステップにおいては、MA(methylanine,CH3NH2)とヨウ素前駆体が供給される基板の温度雰囲気を常温~250℃に保つ請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項16】
前記CH3NH3PbI3薄膜を形成するステップにおいては、前記供給するステップを通して蒸着されたCH3NH3PbI3薄膜を100~300℃の温度で熱処理する請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【請求項17】
前記CH3NH3PbI3薄膜を形成するステップにおいては、真空、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、水素(H2)、ヘリウム(He)のうちのいずれか一種以上のガス雰囲気で熱処理する請求項16に記載のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池に係り、さらに詳しくは、化学気相蒸着法を適用してペロブスカイト太陽電池の光吸収層を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに切り換える素子であって、現在商業化されている太陽電池のほとんどは、結晶質シリコン基板を用いるシリコン太陽電池であり、全体の市場の80%以上を占めている。
【0003】
しかしながら、シリコン太陽電池は、基板の値段が製品の値段に占める比率が高過ぎ、複雑な工程を経ることを余儀なくされるため、製造コストを下げるのに限界がある。
【0004】
このような問題を克服するために、CdTe、CIGS、DSSCなどといった色々な種類の薄膜太陽電池が開発されてきた。最近には、別の薄膜太陽電池の一つとして、ペロブスカイト太陽電池が盛んに開発されている。
【0005】
ペロブスカイト太陽電池への取り組みについては、多くの研究グループの開発に負うところが多く、実験室レベルでは、20%以上のエネルギー転換効率を成し遂げたと言われている。
【0006】
ペロブスカイト太陽電池の光吸収層を製造する方法としては、スピンコート(spin coating)といった溶液方法が最も多用されている。溶液方法によるペロブスカイト太陽電池の製造方法は、非真空方法であることから、製造コストが安価であり、実現し易いというメリットがあるが、蒸着される薄膜の均一度が悪いため、大面積の太陽電池を実現することが困難であるという欠点がある。
【0007】
また、既存の溶液方法は、蒸着されるペロブスカイト薄膜内にピン孔(pin hole)などが多数存在するが故に、太陽電池の品質を低下させるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、化学気相蒸着法(chemical vapor deposition;CVD)を用いて、ペロブスカイト光吸収層を作製する方法を提供するところにその主な目的がある。
【0009】
本発明の他の目的は、薄膜の均一度を改善することができ、これにより、大面積に製造可能であることから、薄膜の品質を向上させて太陽電池効率を高めることのできる太陽電池の製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的な課題を解決するための本発明の一局面によるペロブスカイト太陽電池吸収層の製造方法は、化学気相蒸着法を用いてペロブスカイト太陽電池光吸収層を製造する方法であって、化学気相蒸着法で基板の上にPbIx(1≦x≦2)薄膜を形成するステップと、前記PbIx薄膜の上にCH3NH2(methylamine)ガスとヨウ素前駆体を供給するステップと、前記供給するステップ後に、熱処理を通してペロブスカイト構造を有するCH3NH3PbI3薄膜を形成するステップと、を含む。
【0011】
一実施形態において、前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、Pb前駆体として、テトラエチル鉛(tetraethyl-lead)、テトラメチル鉛(tetramethyl-lead)、アセチルアセトネート鉛(II)[acetylacetonate-lead(II)]及びビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)鉛(II)[BIS(2,2,6,6-tetramethyl-3,5-heptanedionato)LEAD(II)]よりなる群から選択されるいずれか一種以上を用いてもよい。
【0012】
一実施形態において、前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、I前駆体として、ヨウ素(I2)、6-ヨード-1-ヘキシン(6-iodo-1-hexyne)、よう化tert-ブチル(Tertiary-Butyl iodide)、よう化イソプロピル(Iso-propyl iodide)、及びよう化エチル(Ethyl iodide)よりなる群から選択されるいずれか一種以上を用いてもよい。
【0013】
一実施形態において、前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、前記Pb前駆体と前記I前駆体を反応チャンバー内に同時にまたは順次に供給してもよい。
【0014】
一実施形態において、前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、前記Pb前駆体または前記I前駆体のキャニスタの温度雰囲気を-20~100℃に保ってもよい。
【0015】
一実施形態において、前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、前記Pb前駆体または前記I前駆体を供給する前駆体供給ラインの温度雰囲気を常温~200℃に保ってもよい。
【0016】
一実施形態において、前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、前記Pb前駆体または前記I前駆体が蒸着される基板の温度雰囲気を50~300℃に保ってもよい。
【0017】
一実施形態において、前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、前記Pb前駆体または前記I前駆体を前記反応チャンバー内に供給するとき、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)または窒素(N2)のうちのいずれか一種またはこれらの混合物をキャリアガスとして用いてもよい。
【0018】
一実施形態において、前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、前記反応チャンバー内の圧力雰囲気を1mTorr~100Torrに保ってもよい。
【0019】
一実施形態において、前記PbIx薄膜を形成するステップにおいては、薄膜の蒸着速度と品質を高めるためにプラズマを用いてもよい。
【0020】
一実施形態において、前記供給するステップにおいては、MA(methylanine,CH3NH2)とヨウ素前駆体の供給ラインの温度雰囲気を常温~200℃に保ってもよい。
【0021】
一実施形態において、前記CH3NH3PbI3薄膜を形成するステップにおいては、MA(methylanine,CH3NH2)とヨウ素前駆体が供給される基板の温度雰囲気を常温~250℃に保ってもよい。
【0022】
一実施形態において、前記CH3NH3PbI3薄膜を形成するステップにおいては、前記供給するステップを通して蒸着されたCH3NH3PbI3薄膜を100~300℃の温度で熱処理してもよい。
【0023】
一実施形態において、前記CH3NH3PbI3薄膜を形成するステップにおいては、真空、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、水素(H2)、ヘリウム(He)のうちのいずれか一種以上のガス雰囲気で熱処理してもよい。
【発明の効果】
【0024】
前述した化学気相蒸着(CVD)を用いたペロブスカイト太陽電池吸収層の製造方法を用いる場合には、大面積が実現し易く、CVD前駆体として無機原料を用いることから、太陽電池が製造された後、経時的に効率が低下するという問題を極力抑えることができるというメリットがある。なお、既に検証された半導体や液晶表示装置(LCD)などを製造する上で用いられるCVD装備を実質的にそのまま用いて太陽電池のペロブスカイト光吸収層を製造することができるというメリットもある。
【0025】
また、本発明によれば、既存の非真空溶液方法で製造されるペロブスカイト光吸収層を真空方式であるCVD方法で実現することにより、大面積のペロブスカイト薄膜太陽電池が製造可能であり、既存の溶液方法よりも優れた薄膜が製造できてさらに高い効率の太陽電池が製造可能であるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法を説明するための図である。
【0027】
図2図1のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法に採用可能な化学気相蒸着反応チャンバーに対する例示図である。
【0028】
図3a】TiO2薄膜の上にCVD方法で蒸着したPbIx薄膜の表面を示すものである。
【0029】
図3b】TiO2薄膜の上にCVD方法で蒸着したPbIx薄膜の断面を示すものである。
【0030】
図4a】CVD方法で蒸着したPbIx薄膜の上にMA(methylamine)とヨウ素前駆体を供給してCH3NH3PbI3薄膜を作製した後、金属電極を蒸着した表面を示すものである。
【0031】
図4b】CVD方法で蒸着したPbIx薄膜の上にMAとヨウ素前駆体を供給してCH3NH3PbI3薄膜を作製した後、金属電極を蒸着した断面を示すものである。
【0032】
図5】作製されたCH3NH3PbI3薄膜をオーガ電子分光法(AES:Auger Electron Spectroscopy)を用いて深さ分析したものである。
【0033】
図6】本発明のCVD方法で作製されたCH3NH3PbI3薄膜のエネルギー転換効率を測定したものである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、様々な変更を加えることができ、種々の実施形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明において詳しく説明する。これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。各図面について説明するに当たって、類似の構成要素に対しては類似の参照符号を付した。
【0035】
本発明を説明するに当たって、この開示において用いられる「第1の」、「第2の」、A、Bなどの言い回しは、様々な構成要素を説明するうえで使用可能であるが、前記構成要素は、前記言い回しによって限定されてはいけない。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範囲内において第1の構成要素は第2の構成要素と命名されてもよく、同様に、第2の構成要素もまた第1の構成要素と命名されてもよい。及び/又はという言い回しは、複数の関連する記載の項目の組み合わせ又は複数の関連する記載の項目のうちのいずれか一つの項目を含む。
【0036】
この開示において用いた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。この開示において、「含む」、「備える」または「有する」などと関わる用語は、明細書上に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものに過ぎず、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解すべきである。
【0037】
この開示に用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、この開示が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって一般的に理解される意味を有する。一般に用いられる、辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、この開示において明らかに定義しない限り、理想的な意味として、または過度に形式的な意味として解釈されない。
【0038】
以下、添付図面に基づき、本発明に係る好適な実施形態について詳しく説明する。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態に係るペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法を説明するための図である。
【0040】
図1を参照すると、この実施形態に係るペロブスカイト太陽電池吸収層の製造方法は、化学気相蒸着法を用いてペロブスカイト太陽電池光吸収層を製造する方法であって、化学気相蒸着法で基板11の上にPbIx(1≦x≦2)薄膜14を形成し、PbIx薄膜14の上にCH3NH2(methylamine)とヨウ素前駆体15を供給し、熱処理を通してペロブスカイト構造を有するCH3NH3PbI3薄膜16を形成するように構成される。
【0041】
具体的に、PbIx薄膜を形成するステップにおいては、鉛(Pb)前駆体として、テトラエチル鉛(tetraethyl-lead)、テトラメチル鉛(tetramethyl-lead)、アセチルアセトネート鉛(II)[acetylacetonate-lead(II)]及びビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)鉛(II)[BIS(2,2,6,6-tetramethyl-3,5-herptanedionato)LEAD(II)]のうちから選択されるいずれか一種以上を用いてもよい。なお、ヨウ素(iodine;I)前駆体として、ヨウ素(I2)、6-ヨード-1-ヘキシン(6-iodo-1-hexyne)、よう化tert-ブチル(Tertiary-Butyl iodide)、よう化イソプロピル(Iso-propyl iodide)及びよう化エチル(Ethyl iodide)のうちから選択されるいずれか一種以上を用いてもよい。
【0042】
また、PbIx薄膜を形成するステップにおいては、Pb前駆体とI前駆体を反応チャンバー(図2の100参照)内に同時にもしくは順次に供給してもよい。
【0043】
さらに、PbIx薄膜を形成するステップにおいて、Pb前駆体またはI前駆体のキャニスタの温度雰囲気を-20~100℃に保ってもよく、このようなキャニスタの温度は、前駆体を反応チャンバー内に円滑に供給するためのものであって、適度な蒸気圧が出る温度設定範囲であり、この範囲を逸脱すると、逸脱した度合いが大きい分、蒸気圧の形成効率が低下する虞がある。
【0044】
さらにまた、PbIx薄膜を形成するステップにおいて、Pb前駆体またはI前駆体を供給する前駆体供給ラインの温度雰囲気を常温~200℃に保ってもよい。
【0045】
さらにまた、PbIx薄膜を形成するステップにおいて、Pb前駆体またはI前駆体が蒸着される基板の温度雰囲気を50~300℃に保ってもよい。
【0046】
さらにまた、PbIx薄膜を形成するステップにおいて、Pb前駆体またはI前駆体を反応チャンバー内に供給するとき、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)及び窒素(N2)のうちのいずれか一種またはこれらの混合物をキャリアガスとして用いてもよい。
【0047】
さらにまた、PbIx薄膜を形成するステップにおいては、反応チャンバー内の圧力雰囲気を1mTorr~100Torrに保ってもよい。
【0048】
さらにまた、PbIx薄膜を形成するステップにおいては、薄膜の蒸着速度と品質を高めるためにプラズマを用いてもよい。
【0049】
次いで、上記の供給するステップにおいては、MA(CH3NH2)とヨウ素前駆体供給ラインの温度雰囲気を常温~200℃に保ってもよい。
【0050】
また、上記の供給するステップにおいては、MA(CH3NH2)とヨウ素前駆体が供給される基板の温度雰囲気を常温~250℃に保ってもよい。
【0051】
次いで、CH3NH3PbI3薄膜を形成するステップにおいては、上記の供給するステップを通して蒸着されたCH3NH3PbI3薄膜を100~300℃の温度雰囲気で熱処理してもよい。
【0052】
さらに、CH3NH3PbI3薄膜を形成するステップにおいては、真空、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、水素(H2)、ヘリウム(He)のうちのいずれか一種以上のガス雰囲気で熱処理を施してもよい。
【0053】
一方、基板11とPbIx薄膜14との間には、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)薄膜12と二酸化チタン(TiO2)薄膜13がこの順に蒸着されていてもよい。基板11は、ガラス、プラスチックなどを用いて作製してもよい。
【0054】
図2は、図1のペロブスカイト太陽電池光吸収層の製造方法に採用可能な化学気相蒸着反応チャンバーに対する例示図である。
【0055】
図2を参照すると、この実施形態に係る化学気相蒸着反応チャンバー100は、内部の真空雰囲気110下で太陽電池光吸収層の製造のために支持台30の上に置かれた基板の上に化学気相蒸着方法でPbIx薄膜を形成し、PbIx薄膜の上にメチルアミン(methylamine)とヨウ素前駆体を供給して蒸着し、特定の温度、圧力またはガス雰囲気における熱処理を通してCH3NH3PbI3薄膜を形成するように働いてもよい。
【0056】
前述した実施形態によれば、基板11の上にFTO薄膜12及びTiO2薄膜13をこの順に蒸着した後、化学気相蒸着(CVD)方法で反応チャンバー100内にPb前駆体とI前駆体を同時にもしくは順次に供給してTiO2薄膜13の上にPbIx薄膜14を形成し、PbIx薄膜14の上にメチルアミン(methylamine)とヨウ素前駆体15を供給した後、熱処理を通してペロブスカイト構造を有するCH3HN3PbI3薄膜16を形成してもよい。
【0057】
また、前述した製造工程を通して形成された光吸収層を備えて、既存に比べて大面積、高効率の薄膜太陽電池を提供することができる。
【0058】
図3aは、この実施形態のTiO2薄膜の上にCVD方法で蒸着したPbIx薄膜の表面を示す。
【0059】
図3aに示すように、この実施形態によれば、非常に緻密なPbIx薄膜の表面を得られるということが分かる。
【0060】
図3bは、この実施形態のTiO2薄膜の上にCVD方法で蒸着したPbIx薄膜の断面を示す。
【0061】
図3bに示すように、この実施形態によれば、CVD方法で作製されたPbIx薄膜の結晶構造が既存に比べて比較的に均一であるということが分かる。
【0062】
図4aは、この実施形態のCVD方法で蒸着したPbIx薄膜の上にMA(methylamine)ガスとヨウ素前駆体を供給してCH3NH3PbI3薄膜を形成した後、金属電極を蒸着した表面を示す。
【0063】
図4aに示すように、この実施形態によれば、下部薄膜であるCH3NH3PbI3薄膜が非常に均一であるため、上部薄膜である金属電極もまた均一な表面状態を示しているということが分かる。金属薄膜としては、金(gold,Au)を用いた。
【0064】
図4bは、この実施形態のCVD方法で蒸着したPbIx薄膜の上にMAとヨウ素前駆体を供給してCH3NH3PbI3薄膜を形成した後、金属電極を蒸着したときの断面を示す。
【0065】
図4bに示すように、この実施形態によれば、PbIx薄膜の上にMAとヨウ素前駆体を供給して作製されたCH3NH3PbI3薄膜もまた、密度が高く、しかも、均一な薄膜状態を示しているということが分かる。
【0066】
図5は、この実施形態の方法に従って作製されたCH3NH3PbI3薄膜をAES(Auger Electron Spectroscopy)を用いて深さ分析したことを示す図である。
【0067】
図5に示すように、この実施形態においては、スパッタ時間(sputter time)に伴う原子濃度(atomic concentration)を測定したところ、TiO2薄膜の上にPbとIのピーク(peak)がほとんど同じ位置において現れてCVD方法によりCH3NH3PbI3薄膜が正常に作製されたということが分かる。
【0068】
図6は、本発明のCVD方法で作製されたCH3NH3PbI3薄膜のエネルギー転換効率を測定したことを示す図である。
【0069】
図6に示すように、この実施形態のCVD方法で作製されたペロブスカイト薄膜太陽電池において、15.2%のエネルギー転換効率を得ることができた。
【0070】
すなわち、充填率(fill factor)は、最大電力点の電力を開放電圧(VOC)と短絡回路電流(ISC)との積で割った値に対応し、62.1%として算出された。最大電力点における熱量(JSC)は、25.9mA/cm2であった。なお、この実施形態に供された試片の大きさは、2mm×4mmであった。
【0071】
以上述べたように、前述した本発明の実施形態によれば、大面積が実現し易く、製造後に経時的に効率が下がるという問題を極力抑えることができ、既存の半導体、液晶表示装置(LCD)などを製造する上で用いられるCVD装備を実質的にそのまま利用することができ、既存に比べてさらに高い効率のペロブスカイト太陽電池の製造方法を提供することができる。
【0072】
以上、本発明の好適な実施形態を参照して説明したが、当該技術分野において熟練された当業者は、特許請求の範囲に記載の本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内において本発明に種々の修正及び変更を加えることができるということが理解できる筈である。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6