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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】食品洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 12/02 20060101AFI20230725BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
A23N12/02 Q
B08B3/10 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019069067
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020162557
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591161829
【氏名又は名称】株式会社ネスター
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 修三
(72)【発明者】
【氏名】川越 大樹
(72)【発明者】
【氏名】大野 喜智
(72)【発明者】
【氏名】小山 聡
(72)【発明者】
【氏名】金森 泰樹
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 邦彦
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-028364(JP,A)
【文献】特開2012-024051(JP,A)
【文献】特開2004-329065(JP,A)
【文献】特開2010-053226(JP,A)
【文献】実開昭62-173662(JP,U)
【文献】特開2004-267043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 12/02
B08B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌または除菌成分を有する洗浄水を用いて食品を洗浄する洗浄装置であって、
底壁部および側壁部を有し、内部に洗浄水が貯められる洗浄タンクと、
前記洗浄タンク内に設置され、前記被洗浄物を収納するための洗浄カゴと、
前記側壁部に設けられ、前記洗浄タンクに貯められた洗浄水を取水する吸込み口と、
前記吸込み口から取水した洗浄水を、前記洗浄タンク内に戻す循環経路と、
前記吸込み口が設けられる前記側壁部に設けられ、前記吸込み口よりも下方に設けられ、洗浄水を供給する供給口とを備え、
前記吸込み口には、通水性を有し、前記洗浄タンク側に突出するようにドーム状に形成されて、当該吸込み口を覆うカバー部が設けられており、
前記カバー部の前記側壁部からの突出寸法は、前記供給口の前記側壁部からの突出寸法よりも小さい、食品洗浄装置。
【請求項2】
前記カバー部は、メッシュ状であり、取外し可能なキャップである、請求項に記載の食品洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果などの食品を洗浄する食品洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電解水など、殺菌(除菌)作用を有する洗浄水を用いて、食品を洗浄する食品洗浄装置が存在する。たとえば特開2018-50508号公報(特許文献1)には、循環経路を通過した電解水の水流を利用して、洗浄タンク内の食品を洗浄する食品洗浄装置が提案されている。
【0003】
特許文献1の食品洗浄装置においては、洗浄タンクの下部の排水口から取水した洗浄水を、洗浄タンクに設けられた戻し口から洗浄タンクに戻す循環経路を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-50508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の食品洗浄装置では、循環経路の循環ポンプをONにすると、洗浄水中の異物や野菜くずが排水口から循環経路に導かれる場合があり、循環経路上に配置される循環ポンプにダメージを与える原因となるため、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、循環経路に異物や野菜くずが侵入することを防止することができる食品洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のある局面に従う食品洗浄装置は、殺菌または除菌成分を有する洗浄水を用いて食品を洗浄する洗浄装置であって、底壁部および側壁部を有し、内部に洗浄水が貯められる洗浄タンクと、側壁部に設けられ、洗浄タンクに貯められた洗浄水を取水する吸込み口と、吸込み口から取水した洗浄水を、洗浄タンク内に戻す循環経路とを備え、吸込み口には、通水性を有し、洗浄タンク側に突出するようにドーム状に形成されて、当該吸込み口を覆うカバー部が設けられている。
【0008】
好ましくは、吸込み口が設けられる側壁部に設けられ、洗浄水を供給する供給口をさらに備え、カバー部の側壁部からの突出寸法は、供給口の側壁部からの突出寸法よりも小さい。
【0009】
好ましくは、カバー部は、メッシュ状であり、取外し可能なキャップである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、循環経路に異物や野菜くずが侵入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(A)~(C)は、本発明の実施の形態に係る食品洗浄装置の外観例を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係る食品洗浄装置の配管構成例を模式的に示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る食品洗浄装置の洗浄タンクを模式的に示す斜視図である。
図4】(A)は、本発明の実施の形態に係る食品洗浄装置の機能構成を示すブロック図であり、(B)は、本発明の実施の形態において記録媒体に記録される洗浄結果データのデータ構造例を示す図である。
図5】(A),(B)は、本発明の実施の形態における循環経路の吸込み口および戻し口の配置態様を示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係る食品洗浄装置の基本動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態における除菌洗浄処理を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施の形態におけるすすぎ洗浄処理を示すフローチャートである。
図9】(A)~(C)は、本発明の実施の形態に係る食品洗浄装置の動作を模式的に示す図である。
図10】本発明の実施の形態における操作表示部を模式的に示す図である。
図11】(A)は、本発明の実施の形態における洗浄タンクに洗浄カゴを入れた状態を模式的に示す図であり、(B)は、図11(A)の部分拡大図である。
図12】(A)は、本発明の実施の形態における吸込み口に取り付けられるカバー部の斜視図であり、(B)は、本発明の実施の形態における吸込み口の正面図である。
図13】(A),(B)は、本発明の実施の形態における吸込み口にカバー部を取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0013】
(基本構成について)
はじめに、図1図3を参照して、本実施の形態に係る食品洗浄装置1の基本構成について説明する。図1は、食品洗浄装置1の外観例を示す図である。図1(A)には食品洗浄装置1の正面図、図1(B)には食品洗浄装置1の側面図、図1(C)には食品洗浄装置1の上面図が示されている。図2は、食品洗浄装置1の配管構成例を模式的に示す図である。図3は、食品洗浄装置1の洗浄タンク10を模式的に示す斜視図である。なお、図3において、矢印A1は洗浄タンク10の上方を示し、矢印A2は洗浄タンク10の正面方向(前方)を示している。
【0014】
食品洗浄装置1は、たとえば直方体形状の筐体90と、筐体90に設けられた洗浄タンク10とを備えている。洗浄タンク10は、たとえば、平面視矩形状の水槽であり、略矩形形状の底壁部31と、底壁部31の四辺それぞれに下端が連結された4つの側壁32a~32dとを有している。これら側壁32a~32dにより角筒形状の側壁部32が構成されている。図示される例では、正面および背面の側壁32a,32cの横幅の方が、左右の側壁32b,32dの横幅よりも大きい。
【0015】
本実施の形態では、筐体90の上面91には蓋がなく、シンクのように洗浄タンク10が露出している。洗浄タンク10には、被洗浄物としての食品を収納する洗浄カゴ19(図11において、二点鎖線で示す)が設置される。洗浄カゴ19も、洗浄タンク10と同様に、たとえば平面視矩形状であり、略矩形形状の底面と、底面の四辺それぞれに下端が連結された4つの側面とを有している。洗浄カゴ19は、水を通過させるための複数の孔が設けられた網状またはメッシュ状部材により形成される。
【0016】
筐体90の上面91には、洗浄タンク10に水道水を上方から供給するための給水管25が設置されていてもよい。筐体90の前面92には開閉扉が設けられており、内部の点検等が可能となっている。筐体90の背面93側には、上面91よりも上に立ち上がる立壁部94が設けられており、立壁部94の表面に操作表示部74が設けられている。
【0017】
図2に示されるように、食品洗浄装置1は、基本の配管構成として、電解水の供給経路21と、水道水の供給経路22と、循環経路23と、排水経路26とを有している。
【0018】
電解水の供給経路21は、洗浄タンク10の側壁部32に設けられた電解水供給口としての給水口11に接続されている。供給経路21上には、制御装置によって開閉制御される給水バルブ21aが設けられている。給水バルブ21aが開状態のとき、殺菌作用を有する電解水が供給経路21を介して洗浄タンク10に供給される。なお、供給経路21の上流側端部は、図示しない電解水生成装置に接続されている。
【0019】
供給経路21を介して供給される電解水は、たとえば微酸性電解水である。供給経路21を介して供給される電解水の濃度は40ppm以上の高濃度であり、たとえば45ppm以上であることが望ましい。なお、供給経路21を介して供給される電解水の濃度は、少なくとも20ppm以上あればよい。
【0020】
水道水の供給経路22は、上述の給水管25とは独立して設けられている。供給経路22は、食品洗浄装置1の設置場所に引き込まれた上水道の一部であり、洗浄タンク10の側壁部32に設けられた水道水供給口としての給水口12に接続されている。供給経路22上には、制御装置によって開閉制御される給水バルブ22aが設けられている。給水バルブ22aが開状態のとき、水道水が供給経路22を介して洗浄タンク10に給水される。
【0021】
排水経路26は、洗浄タンク10の底壁部31に設けられた排水口13に接続されている。排水経路26上には、制御装置によって開閉制御される排水バルブ26aが設けられている。排水バルブ26aが開状態のとき、洗浄タンク10内の洗浄水(電解水および水道水を含む)が排水経路26を介して排水される。
【0022】
循環経路23は、洗浄タンク10に設けられた吸込み口17に一端が接続され、洗浄タンク10に設けられた戻し口16に他端が接続されている。戻し口16および吸込み口17はいずれも、洗浄タンク10の側壁部32に設けられている。循環経路23は、途中位置に循環ポンプ24を有している。循環ポンプ24が駆動されることによって、洗浄タンク10内の電解水が循環経路23を介して循環する。なお、吸込み口17には、カバー部18(図11)が取り付けられている。カバー部18については、後述する。
【0023】
上述のように、本実施の形態では、洗浄タンク10の側壁部32に、複数の開口すなわち、電解水を供給するための給水口11と、水道水を供給するための給水口12と、洗浄タンク10内の洗浄水を吸い込むための吸込み口17と、吸い込まれた洗浄水を洗浄タンク10内に戻すための戻し口16とが設けられている。戻し口16から吐出される洗浄水を、ここでは「循環水」ともいう。これらの開口の配置態様については、後述する。
【0024】
洗浄タンク10の側壁部32にはまた、オーバーフロー水用の切欠き部34が設けられている。切欠き部34は、満水レベル付近が底辺となるように略U字状に形成されている。満水レベル付近とは、満水レベルL1と同じ高さか、満水レベルL1との差がたとえば10mm以下の高さである。
【0025】
筐体90の上面91には、この切欠き部34に連なるように凹部が形成されている。この凹部は、オーバーフロー水を受ける受水室40として機能し、この受水室40に、オーバーフロー水を外部に排水するための排水口、すなわちオーバーフロー口15が設けられている。
【0026】
受水室40は、切欠き部34の下端と同じ高さ(またはそれよりも下)に位置する底面41と、底面41から上方に立ち上がる立上り面42とを有している。つまり、底面41は、満水レベルL1付近の高さに位置する。オーバーフロー口15は、受水室40の底面41に設けられていることが望ましい。これにより、食品洗浄期間において満水レベルL1を超えた洗浄水(オーバーフロー水)が、切欠き部34から、洗浄タンク10に隣接して配置された受水室40へ流れ、受水室40のオーバーフロー口15を介して下方へ排水される。オーバーフロー口15に一端が接続された排水経路(図示せず)は、上述の排水経路26と合流していてもよい。
【0027】
なお、本実施の形態では上述のように、オーバーフロー口15が、側壁部32に隣接する受水室40に設けられていることとするが、限定的ではない。オーバーフロー口15は、洗浄タンク10の上端部に設けられていればよく、たとえば、側壁部32を貫通するように設けられていてもよい。
【0028】
(機能構成について)
次に、図4を参照して、食品洗浄装置1の機能構成について説明する。図4(A)は、食品洗浄装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0029】
食品洗浄装置1は、上記したバルブ21a,22a,26aおよび循環ポンプ24に加え、濃度センサ73と、操作表示部74と、これらに電気的に接続された制御装置50とを備える。
【0030】
濃度センサ73は、洗浄タンク10内の洗浄水の有効塩素濃度を検知する。濃度センサ73は、循環経路23に設けられている。本実施の形態の循環経路23は、吸込み口17から循環ポンプ24に至る第1経路23aと、循環ポンプ24から戻り口16に至る第2経路23bと、第2経路23bから分岐する分岐経路23cとを有しており、濃度センサ73は分岐経路23cに設けられている。これにより、循環ポンプ24の駆動力によって、吸込み口17から取水した洗浄水の一部を、濃度センサ73が設けられた分岐経路23cに分配することができる。
【0031】
分岐経路23cに流入した電解水は、そのまま排水される。分岐経路23cは、上述の排水経路26と合流していてもよい。
【0032】
操作表示部74は、図10に示されるように、ユーザからの指示を受け付ける操作部76と、各種情報を表示するための表示部75とを含む。操作部76には、洗浄コースを選択するためのコース選択ボタン77、および、洗浄を開始するためのスタートボタン78が含まれる。ユーザは、コース選択ボタン77を操作することよって、たとえば、標準コース、少量コース、急速コースの3つの洗浄コースの中から一つを選択可能である。
【0033】
標準コースは、満水レベルL1まで電解水を貯めて洗浄するコースであり、少量コースは、満水レベルL1よりも低い所定レベル(以下「中レベル」という)L2まで電解水を貯めて洗浄するコースである。中レベルL2は、満水レベルL1の1/2以上、かつ、2/3以下であることが望ましい。標準コースおよび少量コースでは、電解水による除菌洗浄と水道水によるすすぎ洗浄とが順に行われる。急速コースは、すすぎ洗浄を省略して除菌洗浄のみを行うコースである。一例として、満水レベルL1はたとえば80Lに相当し、中レベルL2はたとえば50Lに相当する。
【0034】
制御装置50は、各種演算処理を行う制御部51と、各種データおよびプログラムを記憶するための記憶部52と、計時動作を行う計時部53と、たとえばUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの着脱可能な記録媒体54を含む。制御部51は、記憶部52に予め記憶されたプログラムを実行して、食品洗浄処理を実行する。制御部51は、除菌洗浄制御部およびすすぎ洗浄制御部として機能する。制御部51は、たとえばCPU(Central Processing Unit)により実現される。計時部53は、日時の計測を行うクロックである。
【0035】
記録媒体54には、洗浄履歴情報55が格納されている。洗浄履歴情報55は、複数の洗浄結果データを含む。図4(B)に示されるように、各洗浄結果データ55aには、たとえば、食品洗浄処理を行った日付(年月日)、開始時刻、開始時(電解水生成直後)の濃度、除菌洗浄完了時の濃度、すすぎ洗浄完了時の濃度、および、終了時刻を示す複数のデータが含まれる。なお、開始時の濃度は、電解水生成装置において生成される電解水の濃度に相当するため、開始時の濃度として所定値が記録されてもよい。あるいは、電解水の給水経路21上にも濃度センサ(図示せず)を設けてもよい。
【0036】
なお、図4(A)に示すように、食品洗浄装置1は、洗浄タンク10内に供給される水道水の流量を検知する流量センサ71をさらに備えていてもよい。水道水供給経路22を介した水道水の給水量(流量)は、食品洗浄装置1の設置場所や使用環境によって増減する可能性があるためである。流量センサ71は、図2に示されるように、水道水の給水経路22上に設けられている。
【0037】
(循環経路の吸込み口および戻し口の配置態様について)
図3および図5を参照して、循環経路23の吸込み口17および戻し口16の配置態様について説明する。図5(A)には、洗浄タンク10内に生じる水平方向の水流が概念的に示され、図5(B)には、洗浄タンク10内に生じる上下方向(垂直方向)の水流が概念的に示されている。
【0038】
図3および図5(B)に示されるように、吸込み口17および戻し口16は、満水レベルL1よりも下方に配置されている。つまり、オーバーフロー口15よりも下方に配置されている。また、吸込み口お17および戻し口16は、給水口11,12よりも上方に配置されている。
【0039】
具体的には、吸込み口17および戻し口16は、互いに同じ高さに配置され、中レベルL2よりも少し下の位置に配置されている。これにより、少量コースにおいても、循環経路23を介した食品の循環洗浄を行うことができる。また、吸込み口17bが底壁部31の中央部(たとえば排水口13の位置)に設けられる形態に比べて、戻し口16から吐出される循環水のショートサーキットを防ぐことができる。つまり、洗浄タンク10内の広い範囲において循環水の水流を生じさせることができる。
【0040】
本実施の形態では、吸込み口17および戻し口16は2個ずつ設けられている。具体的には、左側の側壁32dに、吸込み口17aおよび戻し口16aが設けられ、右側の側壁32bに、吸込み口17bおよび戻し口16bが設けられている。右側の側壁32bはオーバーフロー口15(切欠き部34)が設けられた第1側壁であり、左側の側壁32dは、第1側壁に対面する第2側壁である。各戻し口16は、電解水を水平方向に流出するように設けられている。
【0041】
2個の戻し口16a,16bは、側壁部32の対角位置に配置されている。2個の吸込み口17a,17bもまた、側壁部32の対角位置に配置されている。戻し口16a,16bおよび吸込み口17a,17bはそれぞれ、側壁部32の4つの角部付近に設けられている。これにより、戻し口16aは吸込み口17bの真正面に配置され、戻し口16bは吸込み口17aの真正面に配置される。なお、左側の側壁32bに設けられた給水口11,12は、平面視において、吸込み口17aと戻し口16aとの間の範囲内に配置されている。
【0042】
これにより、除菌洗浄において、中レベル(循環洗浄可能な水位)L2以上の状態で循環ポンプ24が駆動されると、図5(A)に示されるように、戻し口16aから吐出される電解水が洗浄タンク10の背面側の側壁32cの内側面に沿って左から右へ流れ、戻し口16bから吐出される電解水が洗浄タンク10の正面側の側壁32aの内側面に沿って右から左へ流れる。戻し口16a,16bおよび吸込み口17a,17bは全て同じ高さであり、中レベルL2よりも若干下の位置に配置されているため、中レベルL2よりも若干下の位置(循環ライン)に、平面視において時計方向の水流F1が生じる。
【0043】
本実施の形態では、オーバーフロー口15が設けられた側壁32bに直交(交差)する側壁32a,32cに沿って、戻し口16a,16bから吐出された循環水が流動する。したがって、戻し口16a,16bから吐出されたばかりの循環水が、すぐにオーバーフロー口15から排水される不具合を防止できる。
【0044】
給水口11は、図5(B)に示されるように、電解水を底壁部31に向かって流下させるように設けられていることが望ましい。この場合、給水口11は、たとえば下向きのノズルにより構成される。給水口11は、水道水の給水口12を間に挟むように、2個配置されてもよい。水道水の給水口12は、電解水の給水口11と同じ高さに配置されていてもよいし若干上方に配置されていてもよい。なお、水道水の給水口12も、水道水を底壁部31に向かって流下させるように、たとえば下向きのノズルにより構成されることが望ましい。
【0045】
電解水の給水と電解水の循環とを並行して行う場合、戻し口16a,16bから吐出される循環水の水流F1とともに、比較的下方位置に配置された給水口11から吐出される電解水の水流F2が、洗浄タンク10内に発生する。具体的には、図5(B)に示されるように、給水口11から下向きに流出する電解水が底壁部31に勢い良く当たり、流水方向を上方へ変えてオーバーフロー口15へと流れる。つまり、給水口11から吐出される電解水によって、左側の側壁32d側から右側の側壁32b側へ向かう縦方向(斜め上方向)の水流F2が生じる。これにより、洗浄タンク10の内周(側壁部32の内側面)に沿って流れる電解水の水平方向の水流F1と、洗浄タンク10の中央部分に生成される縦方向の水流F2とによって、電解水が撹拌されるため、食品を効率良く洗浄することができる。
【0046】
本実施の形態に係る食品洗浄装置1によれば、洗浄タンク10内において電解水の動きが十分でない場合に起こり得る、局所的な濃度低下を防止することができる。また、洗浄タンク10内の有効塩素濃度の均一化を図ることができる。また、洗浄タンク10内に爆気を与えたり、激しい水流を生じさせたりする洗浄方法ではないため、洗浄中の食品の損傷を防止または抑制することができる。つまり、食品を傷めることなく優しく洗い上げることができる。
【0047】
(吸込み口に取り付けられるカバー部について)
図11図13を参照して、吸込み口17に取り付けられるカバー部18について説明する。図11(A)は、洗浄タンク10に洗浄カゴ19を入れた状態を模式的に示す図であり、図11(B)は、図11(A)の部分拡大図である。図12(A)は、吸込み口17に取り付けられるカバー部18の斜視図であり、図12(B)は、吸込み口17の正面図である。図13(A),(B)は、吸込み口17にカバー部18を取り付けた状態を示す図である。
【0048】
カバー部18は、洗浄タンク10側に突出するようにドーム状に形成されて、吸込み口17を覆っている。特に図12(A)に示すように、カバー部18は、半球形または半球形に類似した凸状の形状であればよく、少なくとも吸込み口17と対向する部分(図13(B)においてR1で示す部分)が円弧状であればよい。
【0049】
カバー部18は、通水性を有している。カバー部18は、典型的にはメッシュ状であるが、たとえば網状、複数の貫通孔が設けられる形状など、異物や野菜くずなどを通過させない形状であれば、周知の形状であってもよい。また、カバー部18は、メンテナンスの観点から、吸込み口17に対して取り外し可能に設けられることが好ましい。
【0050】
図12(A)に示すように、カバー部18は、たとえば、メッシュ状の本体部18aと、本体部18aの枠を形成する枠部18bとを含む。枠部18bを吸込み口17の外端縁に取り付けることで、吸込み口17全体をカバー部18で覆うことができる。
【0051】
図12(B)に示すように、吸込み口17の形状は、正面視において略円形状であり、その両端の対向する位置に切欠き部17cが設けられていることが好ましい。吸込み口17の切欠き部17cの形状に合わせて、カバー部18の枠部18bを形成してもよい。これにより、カバー部18の枠部18bを吸込み口17に簡単に取り付けることができるとともに、カバー部18が吸込み口17から外れにくい。また、吸込み口17の穴径は、約10mm程度であるため、カバー部18が設けられていない場合は、異物や野菜くずなどが吸込み口17内に侵入する。
【0052】
図11(B)に示すように、電解水または水道水の供給口11,12の側壁部32からの突出寸法L3は、10mm以上30mm以下であり、典型的には約20mm程度である。吸込み口17の側壁部32からの突出寸法L4は、3mm以上10mm以下であり、典型的には約6mm程度である。カバー部18はドーム状に形成されているため、カバー部18の側壁部32からの突出寸法L5は、吸込み口17の側壁部32からの突出寸法L4よりも大きい。また、カバー部18の側壁部32からの突出寸法L5は、供給口11,12の側壁部32からの突出寸法L3よりも小さい(L3>L5)。
【0053】
これにより、洗浄カゴ19は、供給口11,12に当たらないような寸法で形成されているため、カバー部18の突出寸法L5を供給口11,12の突出寸法L3より小さくすることで、洗浄カゴ19を洗浄タンク10内に入れる場合に、カバー部18が邪魔になることがない。
【0054】
上述したように、循環ポンプ24が駆動されることによって、洗浄タンク10内の電解水が循環経路23を循環する。つまり、吸込み口17で取水された洗浄水は、第1経路23aを通り、循環ポンプ24に到達する。洗浄水内には、異物や野菜くずが混入している場合があり、異物や野菜くずが循環ポンプ24に到達した場合は、循環ポンプ24が故障する原因となる。本実施の形態では、取込み口17に吸込み口17を覆うカバー部18を設けているため、異物や野菜くずが循環経路23内に侵入することを阻止することができる。
【0055】
さらに、本実施の形態では、カバー部18をドーム状に設けているため、吸込み口17に対して平行に設けられる面状のものよりも、表面積を大きくすることができる。また、図13(B)に示すように、カバー部18をドーム状に設けることで、吸込み口17とカバー部18が対向する部分R1にだけ異物Gが付着し、カバー部18の側面部分R2には異物Gが付着しにくいため、カバー部18の側面部分R2から洗浄水を取水することができる。このため、異物Gがカバー部18に付着していない状態と、異物Gがカバー部18に付着した状態のいずれであっても、吸込み口17からの流入量が変動することがないため、循環経路23内を循環する洗浄水の量を一定に保つことができる。
【0056】
(動作について)
図6図9を参照して、食品洗浄装置1の動作について説明する。図6図8は、食品洗浄装置1の制御部51が実行する食品洗浄処理を示すフローチャートである。図9(A)は、食品洗浄期間におけるバルブ21a,22a,26aの開閉状態および循環ポンプ24のON/OFF状態を示すタイムチャートであり、各バルブ21a,22a,26aが開状態のとき、および、循環ポンプ24がON状態のときをハッチングで示している。図9(B)は、食品洗浄期間における洗浄タンク10内の水量の推移を模式的に示すグラフである。図9(C)は、食品洗浄期間中に表示部75に表示される「残り時間」の推移を模式的に示す図である。
【0057】
図6に示す食品洗浄処理のメインルーチンは、ユーザにより操作表示部74のスタートボタン78が押下されて、自動運転開始の指示が入力された場合に開始される。なお、ここでは、標準コースが選択されたものと仮定する。標準コースのトータルの洗浄時間はたとえば21分である。この場合、典型的には、電解水を用いた除菌洗浄時間(t0~t3)が10分、電解水の排水時間(t3~t4)が2.5分、水道水を用いたすすぎ洗浄時間(t4~t6)が6分、水道水の排水時間(t6~t7)が2.5分である(図9参照)。食品洗浄処理が開始される前、各バルブ21a,22a,26aは閉状態であり、循環ポンプ24はOFFである。
【0058】
制御部51は、はじめに、計時部53が示す時刻を、開始時刻として内部メモリに記録する(ステップS1)。また、表示部75には、残り時間が表示される(ステップS3)。なお、図9(C)に示されるように、洗浄開始時(t0時点)において表示される残り時間は、標準コースの洗浄処理に要する時間であり、たとえば21分である。
【0059】
同時に、制御部51は、除菌洗浄処理を開始する(ステップS5)。除菌洗浄処理については、図7にサブルーチンを挙げて後に説明する。
【0060】
除菌洗浄処理が終わると、制御部51は、除菌洗浄終了時に(後述の図7のステップS113において)濃度センサ73により測定された濃度測定された濃度を、内部メモリに記録する(ステップS7)。除菌洗浄処理の間、制御部51は、タイマカウントにより、残り時間をたとえば1分ずつ更新表示する(以降の処理においても同様)。図9(C)に示されるように、除菌洗浄処理が終了したt3時点の残り時間は、たとえば11分である。
【0061】
制御部51はまた、排水バルブ26aを開状態とし、排水処理を実行する(ステップS9)。これにより、洗浄タンク10内の電解水が、自重により排水口13から全て排水される。
【0062】
排水処理が終わると、制御部51は、排水バルブ26aを閉状態とし、すすぎ洗浄処理を開始する(ステップS11)。すすぎ洗浄処理については、図8にサブルーチンを挙げて後に説明する。
【0063】
すすぎ洗浄処理が終わると、制御部51は、すすぎ洗浄終了時に(後述の図8のステップS209において)濃度センサ73により測定された濃度を、内部メモリに記録する(ステップS13)。制御部51はまた、排水バルブ26aを開状態とし、排水処理を実行する(ステップS15)。排水処理が終わると、制御部51は、計時部53が示す時刻を、終了時刻として内部メモリに記録する(ステップS17)。
【0064】
以上の処理が終わると、制御部51は、内部メモリに記録した各種情報を、今回の洗浄結果データとして記録媒体54に格納し(ステップS19)、一連の洗浄処理を終了する。図9(C)に示されるように、一連の洗浄処理が終了したt7時点の残り時間は、(理想的には)0分となる。
【0065】
このように、本実施の形態では、食品洗浄の度に、図4(B)に示したような洗浄結果データ55aが記録媒体54に記録されるため、洗浄履歴の管理を容易に行うことができる。なお、洗浄結果データ55aには、開始時、除菌洗浄完了時、およびすすぎ洗浄完了時それぞれの時点のpH値がさらに記録されてもよい。これにより、それぞれの時点の有効塩素濃度における次亜塩素酸分子の比率をより正確に把握することが可能となる。この場合、pHセンサ(図示せず)が、濃度センサ73とともに分岐経路23cに設けられていてもよい。
【0066】
また、本実施の形態では、洗浄結果データ55aを記憶する記憶手段が、着脱可能な記録媒体54である例について説明したが、限定的ではない。その場合、記憶手段に記憶された洗浄結果データ55aを、洗浄処理が終了する度に(あるいは一定期間ごとに)、図示しない通信I/F(インターフェイス)を介して他装置に無線送信してもよい。つまり、制御装置50は、記録媒体54に代えて(または、加えて)、通信I/Fを備えていてもよい。
【0067】
・除菌洗浄処理
図7および図9を参照して、除菌洗浄処理について説明する。制御部51は、まず、電解水の貯水処理を実行する。すなわち、給水バルブ21a,22aの双方を開状態とし、電解水および水道水の給水を開始する(ステップS101)。これにより、洗浄タンク10内には、給水口11から電解水が供給されるとともに、給水口12から水道水が供給される。
【0068】
水道水供給経路22を介した水道水の給水量は、電解水供給経路21を介した電解水の給水量よりも多い。具体的には、水道水の給水量は、電解水の給水量の1.5倍以上であることが望ましく、たとえば2倍である。本実施の形態では、一例として、電解水の給水量が8L/分程度であり、水道水の給水量が(理想的には)16L/分程度である。
【0069】
水道水の給水は、開始時(t0時点)から所定時間ta(たとえば3分)が経過するまで継続される(ステップS103にてNO)。所定時間taが経過すると(ステップS103にてYES)、その時点(t1時点)において、給水バルブ22aを閉状態として水道水の供給を停止する(ステップS105)。これにより、電解水の給水のみが継続される。なお、t1時点において、洗浄タンク10内の洗浄水(電解水)の水位は、中レベルL2以上(かつ、満水レベルL1未満)となっている。
【0070】
図9(A)に示されるように、電解水の貯水処理は、ta+tb時間、行われる。したがって、水道水の供給を停止してからさらに所定時間tb(たとえば2分)が経過するまでの間(ステップS107にてNO)、電解水の給水を継続する。なお、時間tbは、時間taよりも短いことが望ましい。水道水の供給を停止してから時間tbが経過すると(ステップS107にてYES)、その時点(t2時点)で循環ポンプ24をONにし、循環処理を開始する(ステップS109)。
【0071】
図9(C)に示されるように、循環処理を開始したt2時点の残り時間は、たとえば16分である。なお、t2時点において、洗浄タンク10内の水位は満水レベルL1に到達している。
【0072】
このように、本実施の形態では、貯水処理の期間(以下「貯水期間」という)の一部の期間において、電解水の供給と水道水の供給とが並行して行われる。したがって、電解水の貯水処理の時間を短縮できる。つまり、貯水処理を開始してから電解水を満水レベルL1まで貯水するのに要する時間を、電解水の供給のみによって洗浄タンク10内の電解水を満水レベルL1まで貯留するのに要する時間よりも短くできる。したがって、電解水の循環処理を早期に開始できる。
【0073】
また、貯水期間の一部の期間においてのみ水道水の供給が並行して行われるため、洗浄タンク10内の電解水の濃度が低くなり過ぎることを防止できる。また、電解水を水道水で希釈する期間においては電解水の濃度が低下するものの、電解水供給経路21から供給される電解水は高濃度であることから、貯水期間の全期間において、殺菌水として機能し得る程度の濃度を確保することができる。具体的には、本実施の形態のように貯水期間の初期(t0からt1までの間)に電解水の供給と水道水の供給とを並行して行う場合であっても、最低でも10ppmの濃度を確保できる。また、貯水処理の後半(t1からt2までの間)は電解水だけを供給するため、循環処理を開始する時点(t2時点)においては、電解水の濃度を40ppm程度まで上昇させることができる。
【0074】
また、本実施の形態では、貯水期間の初期(t0からt1までの間)に電解水の供給と水道水の供給とを並行して行い、洗浄タンク10内の水量を一気に増加させるため、タンク10内の食品を早期に電解水に接触させることができる。したがって、食品の汚れを早期に除去できる効果もある。
【0075】
図9(A)に示されるように、循環処理の期間(以下「循環期間」という)においても、電解水の供給が継続される。したがって、循環期間の全期間において、給水口11から新たな電解水が供給されるとともに、洗浄タンク10内の電解水が吸込み口17a,17bから取水され、取水された電解水が循環経路23を通過して戻し口16a,16bから洗浄タンク10に戻される。そのため、図5に示したような、洗浄タンク10内に生じる水平方向の水流F1および縦方向の水流F2によって、洗浄タンク10内の食品を短期間で効率的に除菌洗浄できる。
【0076】
また、本実施の形態では、洗浄タンク10内の電解水をオーバーフローさせながら循環洗浄を行うため、洗浄タンク10内に、給水口11から吐出される電解水がオーバーフロー口15へと向かう縦方向の水流F2が生じ易くなる。これにより、洗浄タンク10内の電解水を効果的に攪拌させることができる。また、洗浄タンク10内の浮遊物をオーバーフロー水とともに排出しながら、洗浄タンク10内の電解水を少しずつ高濃度の新たな電解水に入れ替えるため、効率良く除菌洗浄を行うことができる。
【0077】
また、電解水で食品を洗浄する場合、一般的には流水洗浄(かけ流し)されることが多いが、本実施の形態では循環経路23の戻り水の水流を利用して食品を洗浄するため、流水洗浄だけを行う食品洗浄装置に比べて節水効果がある。
【0078】
電解水の循環処理を開始してから所定時間tc(たとえば5分)が経過すると(ステップS111にてYES)、制御部51は、その時点(t3時点)における電解水の濃度を測定する(ステップS113)。つまり、濃度センサ73からの検知信号に基づいて、循環経路23を通過する電解水の濃度、すなわち洗浄タンク10内の電解水の濃度を測定する。
【0079】
なお、循環洗浄期間中、濃度センサ73が設けられた分岐経路23cに常時、電解水が通過するようにしてもよいし、分岐経路23cにも開閉バルブ(図示せず)を設けて、濃度を測定する際にのみ電解水が通過するようにしてもよい。また、制御部51は、t3時点の少し前(2分程度前)から濃度センサ73による測定を開始して、測定値が安定してから最終結果を得ることが望ましい。
【0080】
電解水の濃度が所定値未満であれば(ステップS115にてNO)、除菌が不十分と判断して、ステップS111に戻る。つまり、循環洗浄をもう1サイクル追加する。ここでの所定値は、許容範囲の下限値を示し、たとえば10ppmである。この場合、制御部51は、残り時間の表示が循環開始時(t2時点)の残り時間となるよう調整する(ステップS117)。具体的には、残り時間を、除菌洗浄終了時(t3時点)の表示時間「11分」から、1サイクルの循環洗浄時間分(たとえば5分)だけ増やした表示時間「16分」にリセットする。
【0081】
電解水の濃度が所定値以上であれば(ステップS115にてYES)、除菌が完了したと判断して、電解水の給水および循環を停止する(ステップS119)。つまり、給水バルブ21aを閉状態にするとともに、循環ポンプ24をOFFとする。これにより、除菌洗浄処理が終了し、処理はメインルーチンに戻される。
【0082】
・すすぎ洗浄処理
図8および図9を参照して、すすぎ洗浄処理について説明する。制御部51は、まず、水道水の貯水処理を実行する。すなわち、給水バルブ22aを開状態とし、洗浄タンク10への水道水の給水を開始する(ステップS201)。水道水の給水が開始されてから所定時間td(たとえば5分)が経過すると(ステップS203にてYES)、水道水の供給を継続したまま、洗浄水(水道水)の循環を開始する(ステップS205)。図9(B)に示されるように、水道水の供給を開始してから所定時間tdが経過した時点(t5時点)において、洗浄タンク10内の水位(水量レベル)は、満水レベルL1付近まで到達している。
【0083】
洗浄水の循環処理は、所定時間te(たとえば1分)行われる。水道水の給水口12も電解水の給水口11と同様に下向きに設けられている場合、すすぎ洗浄においても、図5に示したように、洗浄タンク10内に生じる水平方向の水流および縦方向の水流によって、洗浄タンク10内の食品を効率的に洗浄できる。なお、すすぎ洗浄においては、循環処理の期間、水道水の給水を停止してもよい。
【0084】
洗浄水の循環処理を開始してから所定時間te(たとえば1分)が経過すると(ステップS207にてYES)、その時点(t6時点)の洗浄水の濃度を測定するとともに(ステップS209)、水道水の供給および循環を停止する(ステップS211)。洗浄タンク10内の洗浄水の濃度は、上記と同様に、濃度センサ73からの検知信号に基づいて測定される。以上ですすぎ洗浄処理が終了し、処理はメインルーチンに戻される。
【0085】
なお、本実施の形態では、食品の除菌洗浄およびすすぎ洗浄の双方において、洗浄水が満水レベルL1に到達してから洗浄水の循環処理を開始することとしたが、戻り口16および吸込み口17は中レベルL2未満の位置に配置されているため、洗浄水が満水レベルL1未満であっても、中レベルL2以上となった時点で、循環処理を開始してもよい。
【0086】
また、本実施の形態では、電解水および水道水の給水制御を、時間ベース(ta、tb、td)で行うこととしたが、限定的ではない。たとえば、洗浄タンク10内に水位センサ(図示せず)を設け、水位センサが検知した水位に応じて給水制御を行ってもよい。
【0087】
また、本実施の形態では、食品の除菌洗浄およびすすぎ洗浄の双方において、洗浄水の濃度の測定および記録が行われることとしたが、すすぎ洗浄においては必須ではない。つまり、図4(B)に示した洗浄結果データ55aに、すすぎ洗浄完了時の濃度データは含まれていなくてもよい。洗浄結果データ55aには、少なくとも除菌洗浄完了時の濃度データが含まれていればよい。
【0088】
あるいは、すすぎ洗浄の際にも濃度の測定を行う場合には、測定された濃度がたとえば1ppm以上であれば、除菌洗浄の際と同様に、水道水の循環処理をもう1サイクル追加してもよい。
【0089】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
1 食品洗浄装置、10 洗浄タンク、11 電解水給水口、12 水道水給水口、13 排水口、15 オーバーフロー口、16,16a,16b 戻し口、17,17a,17b 吸込み口、18 カバー部、21 電解水給水経路、22 水道水供給経路、23 循環経路、24 循環ポンプ、26 排水経路、31 底壁部、32 側壁部、50 制御装置、51 制御部、52 記憶部、53 計時部、54 記録媒体、71 流量センサ、73 濃度センサ、74 操作表示部、90 筐体、F1,F2 水流、L1 満水レベル、L2 中レベル。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
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