(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20230725BHJP
【FI】
G06Q50/16
(21)【出願番号】P 2019119839
(22)【出願日】2019-06-27
(62)【分割の表示】P 2019060963の分割
【原出願日】2019-03-27
【審査請求日】2021-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】519104813
【氏名又は名称】リース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中道 康徳
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-151773(JP,A)
【文献】特開2019-020979(JP,A)
【文献】特開2018-045573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
賃貸借契約者および賃貸契約者のうち、少なくとも一方に対応して、信用度パラメータおよび家賃の支払い履歴の情報を含む契約者レコードを有する契約者ファイルを記憶する記憶装置と、
与信申請者の前記信用度パラメータを含む与信申請を情報処理端末から受け付けると、前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記契約者ファイルとを照合し、前記与信申請者の信用度を定量化した値であるスコアを算出する事前与信を行う情報処理装置と、
を有し、
前記情報処理装置は、
前記スコアと決められた閾値とを比較し、前記スコアが前記閾値以上である場合、前記契約者ファイルと前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記スコアとに基づいて、前記与信申請者が支払うことができる家賃の上限値を類推し、
類推した家賃の上限値の情報を含む与信結果を前記情報処理端末に送信し、
前記スコアが前記閾値未満である場合、前記与信申請者に対応する人物識別子を含む前記事前与信の結果を他の第1の情報処理装置に送信する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は
、前記スコアが前記閾値未満である場合、前記与信申請者に対する家賃の上限値を含む与信結果を前記他の第1の情報処理装置から受信すると、受信した与信結果を前記情報処理端末に転送する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
賃貸借契約者および賃貸契約者のうち、少なくとも一方に対応して、信用度パラメータおよび家賃の支払い履歴の情報を含む契約者レコードを有する契約者ファイルを記憶する記憶部と、
与信申請者の前記信用度パラメータを含む与信申請を情報処理端末から受け付けると、前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記契約者ファイルとを照合し、前記与信申請者の信用度を定量化した値であるスコアを算出する事前与信を行う制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記スコアと決められた閾値とを比較し、前記スコアが前記閾値以上である場合、前記契約者ファイルと前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記スコアとに基づいて、前記与信申請者が支払うことができる家賃の上限値を類推し、
類推した家賃の上限値の情報を含む与信結果を前記情報処理端末に送信し、
前記スコアが前記閾値未満である場合、前記与信申請者に対応する人物識別子を含む前記事前与信の結果を他の第1の情報処理装置に送信する、
情報処理装置。
【請求項4】
賃貸借契約者および賃貸契約者のうち、少なくとも一方に対応して、信用度パラメータおよび家賃の支払い履歴の情報を含む契約者レコードを有する契約者ファイルを記憶し、
与信申請者の前記信用度パラメータを含む与信申請を情報処理端末から受け付けると、前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記契約者ファイルとを照合し、
前記照合によって前記与信申請者の信用度を定量化した値であるスコアを算出する事前与信を行い、
前記スコアと決められた閾値とを比較し、
前記比較の結果、前記スコアが前記閾値以上である場合、前記契約者ファイルと前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記スコアとに基づいて、前記与信申請者が支払うことができる家賃の上限値を類推し、
類推した家賃の上限値の情報を含む与信結果を前記情報処理端末に送信し、
前記スコアが前記閾値未満である場合、前記与信申請者に対応する人物識別子を含む前記事前与信の結果を他の第1の情報処理装置に送信する、
情報処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
賃貸借契約者および賃貸契約者のうち、少なくとも一方に対応して、信用度パラメータおよび家賃の支払い履歴の情報を含む契約者レコードを有する契約者ファイルを記憶する手段と、
与信申請者の前記信用度パラメータを含む与信申請を情報処理端末から受け付けると、前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記契約者ファイルとを照合する手段と、
前記照合によって前記与信申請者の信用度を定量化した値であるスコアを算出する事前与信を行う手段と、
前記スコアと決められた閾値とを比較する手段と、
前記比較の結果、前記スコアが前記閾値以上である場合、前記契約者ファイルと前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記スコアとに基づいて、前記与信申請者が支払うことができる家賃の上限値を類推し、
類推した家賃の上限値の情報を含む与信結果を前記情報処理端末に送信し、
前記スコアが前記閾値未満である場合、前記与信申請者に対応する人物識別子を含む前記事前与信の結果を他の第1の情報処理装置に送信する手段を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、与信に関する情報処理を行う情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、およびその方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
部屋を借りようとする場合、部屋を探す人は、複数の不動産会社を回って、自分の希望に合う物件を探す必要があった。部屋を探す人の負担を軽減するシステムの一例が開示されている(例えば、特許文献1参照)。部屋を借りようとする人は、特許文献1に開示されたシステムを利用することで部屋を探す手間が軽減する。
【0003】
一方、不動産会社側は、家賃の支払いが滞るリスクを回避するために、家賃が滞納したときの保証を家賃債務保証会社に委託している。部屋を借りようとする人は、特許文献1のシステムを利用することで希望する部屋をスムーズに見つけることができても、家賃債務保証会社から与信を受けないと、不動産会社と賃貸借契約または賃貸契約を結ぶことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、高齢者の全人口に占める割合が増加する傾向がある。また、外国から日本に来る留学生および労働者の人数も増加する傾向がある。さらに、働き方の多様化により、副業および兼業を含む業務委託で仕事をするフリーランスが増加する傾向にあり、フリーランサの人数も増える。これらの人が部屋を借りようとすると、家賃債務保証会社から与信を受ける必要がある。与信を受けたい人の増加にともなって、家賃債務保証会社の審査の負担が増加する。家賃債務保証会社の審査負担が増加すると、与信審査が滞り、与信審査待ちの人数が増加してしまう。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、与信審査の負担を軽減し、与信審査待ちの人数を低減する情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、およびその方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理システムは、賃貸借契約者および賃貸契約者のうち、少なくとも一方に対応して、信用度パラメータおよび家賃の支払い履歴の情報を含む契約者レコードを有する契約者ファイルを記憶する記憶装置と、与信申請者の前記信用度パラメータを含む与信申請を情報処理端末から受け付けると、前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記契約者ファイルとを照合し、前記与信申請者の信用度を定量化した値であるスコアを算出する事前与信を行う情報処理装置と、を有し、前記情報処理装置は、前記スコアと決められた閾値とを比較し、前記スコアが前記閾値以上である場合、前記契約者ファイルと前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記スコアとに基づいて、前記与信申請者が支払うことができる家賃の上限値を類推し、類推した家賃の上限値の情報を含む与信結果を前記情報処理端末に送信し、前記スコアが前記閾値未満である場合、前記与信申請者に対応する人物識別子を含む前記事前与信の結果を他の第1の情報処理装置に送信するものである。
【0008】
本発明に係る情報処理装置は、賃貸借契約者および賃貸契約者のうち、少なくとも一方に対応して、信用度パラメータおよび家賃の支払い履歴の情報を含む契約者レコードを有する契約者ファイルを記憶する記憶部と、与信申請者の前記信用度パラメータを含む与信申請を情報処理端末から受け付けると、前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記契約者ファイルとを照合し、前記与信申請者の信用度を定量化した値であるスコアを算出する事前与信を行う制御部と、を有し、前記制御部は、前記スコアと決められた閾値とを比較し、前記スコアが前記閾値以上である場合、前記契約者ファイルと前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記スコアとに基づいて、前記与信申請者が支払うことができる家賃の上限値を類推し、類推した家賃の上限値の情報を含む与信結果を前記情報処理端末に送信し、前記スコアが前記閾値未満である場合、前記与信申請者に対応する人物識別子を含む前記事前与信の結果を他の第1の情報処理装置に送信するものである。
【0009】
本発明に係る情報処理方法は、賃貸借契約者および賃貸契約者のうち、少なくとも一方に対応して、信用度パラメータおよび家賃の支払い履歴の情報を含む契約者レコードを有する契約者ファイルを記憶し、与信申請者の前記信用度パラメータを含む与信申請を情報処理端末から受け付けると、前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記契約者ファイルとを照合し、前記照合によって前記与信申請者の信用度を定量化した値であるスコアを算出する事前与信を行い、前記スコアと決められた閾値とを比較し、前記比較の結果、前記スコアが前記閾値以上である場合、前記契約者ファイルと前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記スコアとに基づいて、前記与信申請者が支払うことができる家賃の上限値を類推し、類推した家賃の上限値の情報を含む与信結果を前記情報処理端末に送信し、前記スコアが前記閾値未満である場合、前記与信申請者に対応する人物識別子を含む前記事前与信の結果を他の第1の情報処理装置に送信するものである。
【0010】
本発明に係るプログラムは、コンピュータに、賃貸借契約者および賃貸契約者のうち、少なくとも一方に対応して、信用度パラメータおよび家賃の支払い履歴の情報を含む契約者レコードを有する契約者ファイルを記憶する手段と、与信申請者の前記信用度パラメータを含む与信申請を情報処理端末から受け付けると、前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記契約者ファイルとを照合する手段と、前記照合によって前記与信申請者の信用度を定量化した値であるスコアを算出する事前与信を行う手段と、前記スコアと決められた閾値とを比較する手段と、前記比較の結果、前記スコアが前記閾値以上である場合、前記契約者ファイルと前記与信申請に含まれる信用度パラメータと前記スコアとに基づいて、前記与信申請者が支払うことができる家賃の上限値を類推し、類推した家賃の上限値の情報を含む与信結果を前記情報処理端末に送信し、前記スコアが前記閾値未満である場合、前記与信申請者に対応する人物識別子を含む前記事前与信の結果を他の第1の情報処理装置に送信する手段を実行させるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、事前与信が自動で判定され、家賃債務保証会社の審査員は事前与信の結果を利用して与信審査を行うことができ、審査員の負荷が軽減する。その結果、審査効率が向上し、与信審査待ちの人の数が低減する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1の情報処理システムの一構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示したサーバおよび記憶装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示したDBが記憶する契約者ファイルの一例を示す図である。
【
図4】
図2に示したDBが記憶する申請者ファイルの一例を示す図である。
【
図5】
図2に示すCPUが実行するプログラムを模式的に示した図である。
【
図6】
図5に示した与信判定手段が用いるスコア算出式のモデルの一例を模式的に示す図である。
【
図7】
図1に示した第1の情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図1に示した第2の情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図1に示した情報処理端末の一構成例を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態1の情報処理システムの動作手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図11】
図9に示した情報処理端末の表示部に表示される画像の一例を示す図である。
【
図12】
図9に示した情報処理端末の表示部に表示される審査項目の一部を示す図である。
【
図13】
図7に示した第1の情報処理端末の表示部に表示される画像の一例を示す図である。
【
図14】
図7に示した第1の情報処理端末の表示部に表示される与信申者の審査項目の一部を示す図である。
【
図15】実施の形態1の情報処理システムの動作手順の別の例を示すシーケンス図である。
【
図16】実施の形態1の情報処理システムの別の構成例を示すブロック図である。
【
図17】実施の形態2の情報処理システムの動作手順の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
本実施の形態1の情報処理システムの構成を説明する。
図1は、実施の形態1の情報処理システムの一構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、情報処理システム1は、記憶装置20と、サーバ10とを有する。記憶装置20およびサーバ10はLAN(Local Area Network)110で接続されている。LAN110はファイアウォール(FW)60を介してネットワーク100と接続される。ネットワーク100は、例えば、インターネットである。FW60は、例えば、ルータである。
【0014】
ネットワーク100には、情報処理端末30、第1の情報処理装置40および第2の情報処理装置50が接続される。情報処理端末30は、与信を家賃債務保証会社から受けたい与信申請者が使用する情報端末である。第1の情報処理装置40は、家賃債務保証会社の審査員が使用する情報処理装置である。第2の情報処理装置50は、不動産会社の社員が使用する情報処理装置である。
【0015】
情報処理端末30、第1の情報処理装置40、第2の情報処理装置50およびサーバ10は、決められた通信プロトコルを用いて、データをパケットに変換して相互に送受信する。通信プロトコルは、例えば、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Intenet Protocol)である。以下に、
図1に示した各構成について説明する。
【0016】
FW60は、パケットの通過を選択的に制御するパケットフィルタリングを行う。FW60は、通信許可された装置の装置識別子を予め記憶し、通信許可された装置以外の装置からネットワーク100を介して到来するパケットを遮断する。FW60は、情報処理システム1の使用が許可されたユーザが使用する、情報処理端末30、第1の情報処理装置40および第2の情報処理装置50の装置識別子を記憶している。例えば、情報処理端末30がサーバ10宛にパケットを送信し、FW60は、受信したパケットのヘッダが示す送信元の装置識別子が情報処理端末30であることを認識すると、受信したパケットをサーバ10に転送する。このように、FW60は、ネットワーク100を介して外部から受信するパケットに対してパケットフィルタリングを行うが、以下では、その説明を省略する。
【0017】
図1に示したサーバ10および記憶装置20の構成を説明する。
はじめに、記憶装置20について説明する。
図2は、
図1に示したサーバおよび記憶装置の一構成例を示すブロック図である。記憶装置20は、与信に関するデータベース(DB)23を記憶する記憶部22と、DB23のデータの入出力を管理する管理部21とを有する。記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)装置である。DB23は、物件の賃貸借契約者および賃貸契約者のうち、少なくとも一方に対応する契約者レコードを含む契約者ファイルを記憶する。また、DB23は、与信を申請する人に関する情報として、申請者レコードを含む申請者ファイルを記憶する。
【0018】
管理部21は、メモリ(不図示)およびCPU(不図示)を有し、CPUはメモリが記憶するプログラムにしたがって処理を実行する。CPUは、例えば、代表的なデータベース言語であるSQLにしたがって、DB23のデータの入出力を管理する。管理部21は、検索条件が入力されると、検索条件に一致するデータを出力する。
【0019】
契約者ファイルおよび申請者ファイルの具体例を説明する。
契約者ファイルは、賃貸借契約者および賃貸契約者毎に異なる人物識別子に対応して、信用度パラメータと、家賃の支払い履歴の情報とを含む契約者レコードを有する。信用度パラメータは、与信申請者の氏名、性別、年齢、職業、勤め先、年収および住所を含む。年収の代わりに月収であってもよく、年収と月収の両方が信用度パラメータに含まれてもよい。さらに、信用度パラメータは、与信申請者の国籍を含んでいてもよく、与信申請者の家族構成を含んでいてもよい。DB23は、勤め先毎に異なる会社識別子に対応して会社名をレコードとする勤め先ファイルを別途、記憶していてもよい。また、DB23は、国籍毎に異なる国籍識別子に対応して国籍をレコードとする国籍ファイルを別途、記憶していてもよい。
【0020】
図3は、
図2に示したDBが記憶する契約者ファイルの一例を示す図である。
図3の契約者ファイルの2つの契約者レコードを参照すると、氏名が「○○太郎」である人に人物識別子m1010が割り当てられ、氏名が「××花子」である人に人物識別子f2010が割り当てられている。○○太郎さんの現在の年齢は72歳であり、勤め先の会社識別子がc055である。○○太郎さんの家賃の支払い履歴には、2005年4月~2010年3月まで家賃55000[円/月]の部屋に住み、2010年4月~現在まで家賃45000[円/月]の部屋に住んでいることが記録されている。○○太郎さんは、異なる家賃の期間に対応して、年収が異なることがわかる。○○太郎さんは一度も家賃を滞納していないが、××花子さんには、2017年6月に家賃を滞納したことを示すNGが記録されている。
【0021】
申請者ファイルは、与信申請者毎に異なる人物識別子に対応して、信用度パラメータを含む申請者レコードを有する。申請者レコードは、与信申請者がいずれかの物件に対して賃貸借契約または賃貸契約が成立すると、上記の契約者レコードに更新される。
図4は、
図2に示したDBが記憶する申請者ファイルの一例を示す図である。
図4の申請者ファイルの2つの申請者レコードを参照すると、氏名が「○○次郎」である人に人物識別子m1301が割り当てられ、氏名が「××姫子」である人に人物識別子f2405が割り当てられている。○○次郎さんの現在の年齢は65歳であり、勤め先の会社識別子がc217であり、年収は400万円である。××姫子さんの現在の年齢は60歳であり、勤め先の会社識別子がc161であり、年収は300万円である。
【0022】
次に、
図2を参照してサーバ10を説明する。
サーバ10は、コンピュータ等の情報処理装置である。サーバ10は、制御部11と、記憶部12とを有する。制御部11は、プログラムを記憶するメモリ14と、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)13とを有する。メモリ14は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。記憶部12は、例えば、HDD装置である。記憶部12がプログラムを記憶しているが、CPU13がプログラムを実行する際、実行対象のプログラムが記憶部12からメモリ14に読み出される。
【0023】
図5は、
図2に示すCPUが実行するプログラムを模式的に示した図である。CPU13が実行するプログラムのうち、
図5に示す与信アプリケーションプログラムは、与信申請者に対して事前与信を行うためのプログラムである。
図5に示すコミュニケーションアプリケーションプログラムは、与信を受けた人が不動産会社の社員とチャット形式で物件に関する情報のやり取りをできるようにするためのプログラムである。
【0024】
CPU13は、
図5に示すように、与信判定手段15と、チャット手段16とを有する。CPU13が与信アプリケーションプログラムを実行することで、与信判定手段15が構成され、CPU13がコミュニケーションアプリケーションプログラムを実行することで、チャット手段16が構成される。
【0025】
与信判定手段15は、与信申請者の信用度パラメータを含む与信申請を受け付けると、信用度パラメータと契約者ファイルに含まれる1つまたは2つ以上の契約者レコードとを照合し、与信申請者の信用度を定量化した値を算出する事前与信を行う。与信判定手段15は、例えば、満点を1000点とし、与信申請者の信用度を満点中の何点であるかを表すことで、与信申請者の信用度を定量化する。以下では、与信申請者毎に算出される信用度を示す点数をスコアと称する。
【0026】
与信判定手段15は、与信申請者の年齢、勤め先および年収等の信用度パラメータの各パラメータの値とDB23が記憶する1つまたは2つ以上の契約者レコードに記録された各パラメータの値とを照合し、スコア算出式にしたがって、相対的に算出する。その際、与信判定手段15は、与信申請者の契約者レコードの家賃の支払い履歴を考慮して、スコアを決めてもよい。与信判定手段15は、算出したスコアを含む事前与信の結果を第1の情報処理装置40に送信する。スコア算出式はCPU13が実行する与信アプリケーションプログラムに記述されている。
【0027】
図6は、
図5に示した与信判定手段が実行するスコア算出方法のモデルの一例を模式的に示す図である。スコアの算出には、例えば、シグモイド関数を用いる。
はじめに、与信判定手段15は、与信申請者の信用度パラメータに近似した人の平均的な人のスコアを算出するために、信用度パラメータに含まれる複数のパラメータのうち、1つのパラメータについて、サンプル対象の契約者レコードを選択する。
図6に示すX1~X3は、与信判定手段15によって選択された1つのパラメータの3つの選択肢である。与信判定手段15は、サンプル対象X1にプロセスパラメータw1~w11を乗算し、サンプル対象X2にプロセスパラメータw1~w12を乗算し、サンプル対象X2にプロセスパラメータw1~w13を乗算し、各乗算結果を加算する。プロセスパラメータは重み係数である。与信判定手段15は、この加算結果を平均的な人のスコアとする。続いて、与信判定手段15は、与信申請者に特有な事項のスコアを、平均的な人のスコアに加算することで、与信申請者のスコアを算出する。
【0028】
例えば、平均的な人のスコアが600点であり、与信申請者に特有な事項のスコアが「+150」点であれば、与信申請者のスコアは750点と算出される。与信申請者に特有な事項とは、信用度パラメータの場合、例えば、職業、性別および年収である。与信申請者に特有な事項が平均的な人のスコアにマイナスに作用することもある。例えば、平均的な人のスコアが600点であり、与信申請者に特有な事項のスコアが「-100」点であれば、与信申請者のスコアは500点と算出される。マイナスに作用する特有な事項は、例えば、家賃の支払い履歴に滞納がある場合である。滞納の回数が多いほど、マイナスの作用が大きくなる。
【0029】
ここで、信用度パラメータに含まれる複数のパラメータのうち、どのパラメータが与信に大きく関係があるかを考える。与信を与えるか否かの判定基準として、「家賃を支払う意志の強さ(以下では、要素1とする)」と、「家賃の支払い能力(以下では、要素2とする)」との2つの要素に大きく分けることができる。要素2は、年収および勤め先に大きく依存する。単純に考えると、「家賃の支払い」を出力とすれば、入力である「年収」が大きく影響することは明らかである。また、「勤め先」の会社の資本金が大きいほど、たとえ年収が少なくても、安定して収入があると考えられる。
【0030】
一方、物件の賃貸借契約および賃貸契約の与信については、上記の2つの要素のうち、要素1が大きなウェイトを占める。要素1に関係するパラメータは、例えば、職業である。与信申請者の職業が、例えば、自営業である場合、店の立地条件は収入に大きく影響することから重要である。出店のために与信を受けたい与信申請者は、選択した物件に固執する傾向が強く、娯楽費用を削ってでも家賃を支払うことを優先することが考えられる。
【0031】
また、要素1に関係するパラメータが、性別の場合もある。
図6に示したX1~X3が、「男性」、「女性」および「その他」の場合である。与信申請者が、例えば、未就学児の子供を育てる女性の場合を考える。与信申請者は、子供が病気になったとき、家族の協力が得られないと、仕事を休まざるを得ない。この場合、与信申請者は、年収よりも、時間の融通が利く仕事を選択することを優先する。そのため、与信申請者が女性である場合、スコアが低くなってしまう傾向がある。
【0032】
本実施の形態1では、与信判定手段15は、信用度パラメータに含まれる複数のパラメータのうち、要素1の「家賃を支払う意志の強さ」に関係するパラメータの重み付けを大きくしたスコア算出式を用いて、与信申請者のスコアを算出する。要素1に関係するパラメータは、上述したように、例えば、職業および性別である。
【0033】
さらに、与信判定手段15は、与信申請を受け付けると、与信申請を受け付けた日時である申請日時を申請者レコードとともに記録してもよい。与信判定手段15が一定の期間に複数の与信申請を受け付けた場合、申請順に与信審査が行われるようにするためである。与信判定手段15は、与信審査の対象者が複数いる場合、複数の与信申請者の事前与信の結果を第1の情報処理装置40に送信する前に、複数の与信申請者が列挙された申請者リストを第1の情報処理装置40に送信してもよい。
【0034】
チャット手段16は、家賃および物件の紹介を依頼する旨の情報を含む物件調査依頼を情報処理端末30から受信すると、物件調査依頼を第2の情報処理装置50に転送する。また、チャット手段16は、第2の情報処理装置50から物件調査結果を受信すると、物件調査結果を情報処理端末30に転送する。
【0035】
次に、第1の情報処理装置40の構成を説明する。
図7は、
図1に示した第1の情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。
第1の情報処理装置40は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)である。第1の情報処理装置40は、制御部41と、記憶部42と、審査員が指示を入力するための操作部43と、サーバ10から受け取る事前与信を表示する表示部44とを有する。制御部41は、プログラムを記憶するメモリ46と、プログラムにしたがって処理を実行するCPU45とを有する。メモリ46は、例えば、RAMである。記憶部42は、例えば、HDD装置である。記憶部42が家賃債務保証会社用の与信アプリケーションプログラムを記憶しているが、CPU45がプログラムを実行する際、実行対象のプログラムが記憶部42からメモリ46に読み出される。
【0036】
次に、第2の情報処理装置50の構成を説明する。
図8は、
図1に示した第2の情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。
第2の情報処理装置50は、例えば、PCである。第2の情報処理装置50は、制御部51と、記憶部52と、社員が指示を入力するための操作部53と、物件調査依頼の内容を表示する表示部54とを有する。記憶部52は、賃貸物件の住所および家賃の情報を含む物件情報を複数、記憶している。制御部51は、プログラムを記憶するメモリ56と、プログラムにしたがって処理を実行するCPU55とを有する。メモリ56は、例えば、RAMである。記憶部52は、例えば、HDD装置である。記憶部52が不動産会社用のチャットアプリケーションプログラムを記憶しているが、CPU55がプログラムを実行する際、実行対象のプログラムが記憶部52からメモリ56に読み出される。
【0037】
次に、情報処理端末30の構成を説明する。
図9は、
図1に示した情報処理端末の一構成例を示すブロック図である。
情報処理端末30は、例えば、スマートフォンおよびPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末である。情報処理端末30は、制御部31と、記憶部32と、与信申請者が指示を入力するための操作部33と、与信結果を表示する表示部34と、無線通信部35とを有する。記憶部32は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。操作部33は、例えば、タッチパネルである。無線通信部35は、図に示さない基地局を介して、ネットワーク100と接続される。制御部31は、図に示さないメモリおよびCPUを有する。メモリ(不図示)が記憶するプログラムにしたがってCPU(不図示)が処理を実行する。記憶部32が与信申請用の与信アプリケーションプログラムを記憶しているが、CPU(不図示)がプログラムを実行する際、実行対象のプログラムが記憶部32からメモリ(不図示)に読み出される。
【0038】
なお、本実施の形態1では、
図2を参照して、DB23のデータの入出力の管理を行う管理部21が設けられている場合で説明したが、サーバ10が管理部21の機能を備えていてもよい。また、以下では、説明の便宜上、第1の情報処理装置40およびサーバ10がDB23にアクセスする際、管理部21によるデータの入出力動作の説明を省略する。
【0039】
次に、本実施の形態1の情報処理システムの動作を説明する。
図10は、実施の形態1の情報処理システムの動作手順の一例を示すシーケンス図である。
【0040】
与信申請者が情報処理端末30を操作して与信アプリケーションプログラムを起動する(ステップS101)。与信判定手段15は、与信の審査に必要な項目を表示部34に表示する。ここでは、与信の審査に必要な項目は、少なくとも申請者レコードの信用度パラメータの全ての項目を含む。与信申請者は、表示部34の表示内容を見ながら、各項目に文字を入力する操作を行う(ステップS102)。与信申請者が全ての項目の入力を完了し、操作部33を操作して与信申請を送信する旨の指示を入力すると、与信判定手段15は、与信申請者の信用度パラメータを含む与信申請をサーバ10に送信する(ステップS103)。
【0041】
ここで、情報処理端末30が表示する画像の具体例を説明する。
図11は、
図9に示した情報処理端末の表示部に表示される画像の一例を示す図である。
図12は、
図9に示した情報処理端末の表示部に表示される審査項目の一部を示す図である。ステップS101において、制御部31が与信アプリケーションプログラムを実行すると、
図11に示す画像が表示部34に表示される。与信申請者が操作部33を操作して「与信申請」のボタン131を選択する操作を行うと、与信判定手段15は、
図12に示す画像を表示部34に表示させる。
図12には、与信申請者が入力すべき項目として、氏名、年齢、勤め先、年収などが表示部34に表示されている。
【0042】
ステップS103において、サーバ10が情報処理端末30から与信申請を受け取ると、与信判定手段15は、与信申請に含まれる信用度パラメータに人物識別子を付与した申請者レコードを生成してDB23の申請者ファイルに登録する。また、与信判定手段15は、与信申請に含まれる信用度パラメータとDB23が記憶する1つまたは2つ以上の契約者レコードとを照合し、与信申請者の信用度を定量化したスコアSc1を算出する(ステップS104)。続いて、与信判定手段15は、スコアSc1を含む事前与信の結果を第1の情報処理装置40に送信する(ステップS105)。
【0043】
第1の情報処理装置40がサーバ10から事前与信の結果を受信すると、制御部41は、事前与信の結果を表示部44に表示させる。家賃債務保証会社の審査員は、操作部43を操作して第1の情報処理装置40をDB23にアクセスさせ、DB23が記憶する契約者レコードの内容を表示部44に表示させる(ステップS106)。審査員は、事前与信に含まれるスコアと、DB23から読み出された契約者レコードとを対比しながら、与信申請者が支払い続けることができる家賃の上限値を決定する。そして、審査員は、決定した上限値を、操作部43を介して第1の情報処理装置40に入力する(ステップS107)。制御部41は、家賃の上限値の情報を含む与信結果を情報処理端末30に送信する(ステップS108)。
【0044】
ここで、第1の情報処理装置40が事前与信の結果を表示する方法の一例を説明する。
図13は、
図7に示した第1の情報処理端末の表示部に表示される画像の一例を示す図である。
図14は、
図7に示した第1の情報処理端末の表示部に表示される与信申者の審査項目の一部を示す図である。
【0045】
制御部41は、複数の与信申請者が列挙された申請者リストをサーバ10から受信すると、
図13に示すように、与信申請者に対応して、氏名と、申請日時とが記述されたテーブルを表示部44に表示させる。審査員が操作部43を操作して、氏名○○次郎さんの欄に表示された「審査する」のボタン401を選択する操作を行うと、制御部41は、○○次郎さんの事前与信の結果をサーバ10に要求する。制御部41は、○○次郎さんのスコアおよび申請者レコードをサーバ10から受信すると、与信申請者のスコアを含む事前与信の結果および信用度パラメータを、
図14に示すように、表示部44に表示させる。
図14に示す表示部44には、○○次郎さんの事前与信のスコアが「735」点であることと、信用度パラメータの一部が表示されている。
【0046】
ここで、○○次郎さんは、情報処理システム1を初めて利用して与信申請を行った人なので、家賃の支払い履歴がDB23に記録されていない。そのため、
図14に示す家賃の支払い履歴には記録がないことが表示される。与信申請者の契約者レコードがDB23に登録されている場合、与信判定手段15は、契約者レコードに記録された、家賃の支払い履歴も第1の情報処理装置40に送信する。この場合、
図14に示す家賃の支払い履歴の欄に記録が表示される。例えば、
図14に示す各月のカラムに、家賃の支払いが滞納された場合には×印が表示され、家賃が支払われた場合には○印が表示される。表示部44に表示される内容などを参考にして、審査員は、○○次郎さんが支払い続けることができる家賃の上限値を決定する。
【0047】
また、ここでは、
図14を参照して、表示部44が与信申請者の信用度パラメータを含む事前与信の結果を表示する場合を説明したが、表示部44に表示される画像は、与信申請者に関する情報に限らない。例えば、審査員は、信用度パラメータに含まれる複数のパラメータのうち、1つまたは2つ以上のパラメータを検索条件として、操作部43を介して第1の情報処理装置40に入力してもよい。この場合、制御部41は、検索条件に一致する契約者レコードをDB23から取得し、取得した契約者レコードの信用度パラメータおよび家賃の支払い履歴を表示部44に表示させる。このようにして、審査員は、与信申請者の事前与信の結果だけでなく、他の人の契約者レコードの信用度パラメータおよび家賃の支払い履歴を参考にして、与信申請者の家賃の上限値を決定してもよい。
【0048】
情報処理端末30の制御部31は、第1の情報処理装置40から与信結果を受信すると、与信結果を表示部34に表示させる。与信申請者が操作部33を操作して
図11に示した「物件調査依頼」のボタン132を選択する操作を行うと、制御部31はチャットアプリケーションプログラムを起動する。そして、与信申請者が操作部33を操作して、与信結果に含まれる、家賃の上限値以下の家賃を入力し、物件の紹介を依頼する旨の指示を入力する。制御部31は、入力された家賃および地域を含む物件調査依頼をサーバ10に送信する。サーバ10のチャット手段16は物件調査依頼を第2の情報処理装置50に転送する(ステップS109)。
【0049】
第2の情報処理装置50がサーバ10から物件調査依頼を受信すると、制御部51は、物件調査依頼を表示部54に表示させる。不動産会社の社員は、表示部54に表示された家賃および地域を条件として、条件に合致する物件を、操作部53を操作して記憶部52が記憶する物件情報から探す。条件に合致する物件があると、社員は、操作部53を操作して、物件情報を含む物件調査結果を入力する。制御部51は、入力された物件調査結果をサーバ10に送信する。サーバ10のチャット手段16は、物件調査結果を情報処理端末30に転送する(ステップS110)。情報処理端末30の制御部31は、物件調査結果を表示部34に表示させる。その後、与信申請者は操作部33を操作し、社員は操作部53を操作して、チャット形式で互いに情報のやり取りを行う(ステップS111)。
【0050】
その後、与信申請者と不動産会社との間で物件の賃貸借契約または賃貸契約が行われると、不動産会社の社員は、第2の情報処理装置50の操作部53を操作して、与信申請者の氏名および家賃を含む契約情報をサーバ10に送信させる。サーバ10の制御部11は、与信申請者の申請者レコードを契約者レコードに更新し、家賃を含む契約情報を契約者レコードに記録する。
【0051】
次に、与信申請者が不動産会社と物件の賃貸借契約または賃貸契約を完了した後、サーバ10が与信を得た人の家賃支払いの実績を更新する動作を説明する。
【0052】
図15は、実施の形態1の情報処理システムの動作手順の別の例を示すシーケンス図である。賃貸借契約者または賃貸契約者が家賃の支払いを滞納すると、不動産会社の社員が家賃債務保証会社の審査員に連絡する。家賃債務保証会社の審査員は、家賃の滞納分を不動産会社に渡す。家賃債務保証会社の審査員は、家賃を滞納した賃貸借契約者または賃貸契約者の氏名を含む家賃滞納の情報を、操作部43を介して第1の情報処理装置40に入力する。制御部41は、家賃滞納の情報をサーバ10に送信する(ステップS201)。
【0053】
サーバ10が第1の情報処理装置40から家賃滞納の情報を受信すると、制御部11は、家賃滞納の情報から氏名を読み出し、DB23にアクセスして家賃滞納をした賃貸借契約者または賃貸契約者の契約者レコードを特定し、家賃の支払い履歴を更新する(ステップS202)。具体的には、制御部11は、契約者レコードの家賃の支払い履歴に、家賃が滞納された年および月を記録する。このように、賃貸借契約者または賃貸契約者が家賃の支払いを滞納すると、不動産会社から家賃債務保証会社に連絡があるので、家賃滞納の情報が家賃債務保証会社の第1の情報処理装置40からDB23に登録される。
【0054】
一方、サーバ10の制御部11は、家賃支払い滞納の情報が第1の情報処理装置40から受信しない限り、賃貸借契約者または賃貸契約者が家賃を継続して支払っていると判断し、家賃が継続して支払われている実績を、契約者レコードの家賃の支払い履歴に反映させる。この場合、賃貸借契約者または賃貸契約者の信用度が向上し、同じ賃貸借契約者または賃貸契約者が今後、別の物件に移住する場合に与信に有効に働く効果が期待できる。
【0055】
なお、本実施の形態1では、家賃債務保証会社が1つのだけの場合で説明したが、複数の家賃債務保証会社が情報処理システム1を利用してもよい。
図16は、実施の形態1の情報処理システムの別の構成例を示すブロック図である。
【0056】
図16に示すように、複数の家賃債務保証会社に対応する複数の第1の情報処理装置40-1~40-m(mは2以上の整数)がネットワーク100に接続される。この場合、サーバ10の記憶部12は、複数の家賃債務保証会社に対応して異なる複数のスコア算出式を記憶していてもよい。または、スコア算出式のベースとなる式は共通で、
図6に示したプロセスパラメータの重み付けの値が複数の家賃債務保証会社に対応して異なっていてもよい。各家賃債務保証会社は、与信に関して独自の判定基準でスコア算出式を設定することができる。
【0057】
本実施の形態1によれば、事前与信が自動で判定されるため、家賃債務保証会社の審査員は事前与信の結果を利用して与信審査を行うことができ、審査の負荷が軽減する。その結果、家賃債務保証会社の審査員は与信審査をより効率的に行うことができ、与信審査待ちの人の数を低減させることができる。
【0058】
具体的には、
図13を参照して説明したように、家賃債務保証会社の第1の情報処理装置40には、与信申請者の氏名および申請日時が記述されたテーブルが表示される。そのため、審査員は、与信審理待ちの人数を把握するだけでなく、申請順に与信審査を行うことができる。また、
図14を参照して説明したように、審査員が与信申請者の1人の審査を行う際、
図13に示したボタン401を選択する操作を行うだけで、与信申請者の事前与信のスコアおよび信用度パラメータの内容が第1の情報処理装置40に表示される。そのため、審査員は、第1の情報処理装置40を操作して、自分で与信申請者の申請者レコードをDB23で探す必要がない。また、審査員は、自分で申請者レコードの内容からスコアを算出する手間が省ける。さらに、審査員は、事前与信のスコアが高い場合、与信審査に時間をかける必要がなく、反対に事前与信のスコアが低い場合、時間をかけて慎重に与信審査を行うことができ、効率よく審査することができる。
【0059】
また、本実施の形態1では、サーバ10およびDB23を含む情報処理システム1は、ネットワーク100に対して、FW60のパケットフィルタリングによってセキュリティが確保されている。そのため、DB23が記憶する情報が家賃債務保証会社以外の外部の人間に知られることが抑制され、個人情報が保護される。
【0060】
実施の形態2.
実施の形態1では、与信の最終的な判断を家賃債務保証会社の審査員が行うが、本実施の形態2では、サーバが自動的に与信判定を行うものである。本実施の形態2では、実施の形態1で説明した構成と同様な構成について同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0061】
本実施の形態2の情報処理システムの構成は、実施の形態1と比べると、サーバ10の構成が異なる。サーバ10の構成について、
図5を参照して説明する。
【0062】
与信判定手段15は、実施の形態1で説明したように、事前与信を判定する。そして、与信判定手段15は、事前与信で算出したスコアSc1の値が閾値Kth以上であれば、与信申請者の信用度パラメータから年収の情報を読み出し、年収から与信申請者が支払い続けることができる家賃の上限値を類推する。Sc1は、例えば、10~900の任意の点数であり、閾値Kthは300である。
【0063】
Sc1>300である場合、例えば、与信判定手段15は、与信申請者の年収を条件として、条件に合致する契約者レコードを検索する。与信判定手段15は、条件に一致する契約者レコードを見つけると、見つけた契約者レコードの家賃支払い履歴を参照し、与信申請者が支払い可能な家賃の上限値を類推する。与信判定手段15は、類推した家賃の上限値を含む与信結果を情報処理端末30に送信する。
【0064】
なお、与信判定手段15は、事前与信で算出したSc1の値が閾値Kth未満である場合、与信判定できないと判断し、実施の形態1と同様に、事前与信を第1の情報処理装置40に送信してもよい。この場合、家賃債務保証会社の審査員は、サーバ10による自動判定で与信を受けられなかった人に対して、詳細に検討することができる。
【0065】
次に、本実施の形態2の情報処理システムの動作を説明する。
図17は、実施の形態2の情報処理システムの動作手順の一例を示すシーケンス図である。
図17に示すステップS301~S304およびS307~S309の動作は
図10を参照して説明したステップS101~S104およびS109~S111の動作と同様なため、その詳細な説明を省略する。
【0066】
ステップS304において、サーバ10の与信判定手段15は、事前与信を行った後、事前与信で算出したスコアSc1が閾値Kth以上か否かを判定する。Sc1>Kthである場合、与信判定手段15は、与信申請者の信用度パラメータから与信申請者が支払い続けることができる家賃の上限値を推定する(ステップS305)。具体的には、与信判定手段15は、与信申請者の信用度パラメータから年収の情報を読み出し、年収から与信申請者が支払い続けることができる家賃の上限値をDB23が記憶する1つまたは2つ以上の契約者レコードから類推する。そして、サーバ10は、類推した家賃の上限値を含む与信結果を情報処理端末30に送信する(ステップS306)。
【0067】
なお、
図17のステップS305において、与信判定手段15が、年収を検索条件にして1つまたは2つ以上の契約者レコードをDB23から抽出し、与信申請者の家賃の上限値を類推する場合で説明したが、家賃の判定基準は年収に限らない。実施の形態1で説明したように、与信判定手段15は、要素1の「家賃を支払う意志の強さ」に関係するパラメータを、家賃の上限値を類推する際にDB23から抽出する契約者レコードの検索条件に用いてもよい。
【0068】
本実施の形態2によれば、事前与信で算出された、信用度を示すスコアSc1が決められた閾値Kth以上である場合、自動的に与信判定が行われ、与信申請者の家賃の上限値が推定される。そのため、家賃債務保証会社の審査員の負担軽減と与信審査待ちの人数低減がさらに促進される。
【0069】
上述の実施の形態1および2では、物件の賃貸借契約または賃貸契約の際に必要な与信の場合について説明したが、物件の賃貸借契約または賃貸契約には特有な事情がある。部屋を借りるということは、部屋の空間を占有する占有権という権利を購入することである。部屋を借りる人にとっては、家賃は前月払いが原則であるため、占有権の購入は、将来に対する投資である。たとえ、現在、年収が少ない人であっても、まじめに仕事をし、かつ近所の人に迷惑をかけるような人でなければ、将来、安定した収入が得られ、不動産会社に入る毎月の家賃が滞ることがない。
【0070】
一方、不動産会社側にとっては、部屋を借りる人の「家賃の支払い能力」だけが重要なわけではない。例えば、部屋を借りた人が、年収が多い人であっても、夜中に大音響で音楽を流す人であると、その部屋の上下および両隣の入居者が退居してしまうことがある。この場合、不動産会社は、将来、得られるはずであった4人分の家賃の収入が得られないことになってしまう。このように、物件の賃貸借契約または賃貸契約には特有な事情があるため、与信の判定に重要なパラメータは、与信申請者の年収等の収入に限らない。
【0071】
なお、本実施の形態1および2では、サーバ10および記憶装置20を含む情報処理システム1の場合で説明したが、1台の情報処理装置がサーバ10および記憶装置20の構成を含んでいてもよい。この場合においても、実施の形態1および2で説明した効果と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 情報処理システム、10 サーバ、11 制御部、12 記憶部、13 CPU、14 メモリ、15 与信判定手段、16 チャット手段、20 記憶装置、21 管理部、22 記憶部、23 DB、30 情報処理端末、31 制御部、32 記憶部、33 操作部、34 表示部、35 無線通信部、40、40-1~40-m 第1の情報処理装置、41 制御部、42 記憶部、43 操作部、44 表示部、45 CPU、46 メモリ、50 第2の情報処理装置、51 制御部、52 記憶部、53 操作部、54 表示部、55 CPU、56 メモリ、60 FW、100 ネットワーク、131、132、401 ボタン。