(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】情報処理装置と情報処理プログラムと情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G09B 7/073 20060101AFI20230725BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20230725BHJP
【FI】
G09B7/073
G06Q50/20 300
(21)【出願番号】P 2019146889
(22)【出願日】2019-08-08
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】浜本 義彦
(72)【発明者】
【氏名】荻原 宏是
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 徳男
【審査官】右田 純生
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-105897(JP,A)
【文献】特開2004-354849(JP,A)
【文献】特開2018-194804(JP,A)
【文献】特表2019-507907(JP,A)
【文献】特開2006-072122(JP,A)
【文献】特開2017-161771(JP,A)
【文献】特表2011-518352(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0004330(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0099071(US,A1)
【文献】西谷 匠, 杉山 雄一郎, 樋山 聡, 桑原 恒夫,誤答に対する教師のリアルタイムでのアドバイスを支援するe-ラーニングシステム,電子情報通信学会論文誌D,日本,社団法人電子情報通信学会,2008年06月01日,Vol.J91-D, No.6,p.1538-1549
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 7/00- 7/12
G09B 5/00- 5/14
G09B 19/00-19/26
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の多肢選択式の問題ごとに対応する複数の選択肢の中から前記選択肢を少なくとも1つ選択して答える複数の解答者の分類を支援する情報処理装置であって、
前記解答者ごとに、前記解答者に選択された前記選択肢に対応する選択肢情報が関連付けられて、前記解答者ごとの選択肢情報群として記憶される記憶部と
、
前記記憶部に記憶された前記解答者ごとの前記選択肢情報群に基づいて、前記問題ごとの前記選択肢情報が前記解答者それぞれの間で一致するか否かを判定し、判定結果を前記記憶部に記憶する判定部と、
を有してなり、
複数の前記選択肢は、
前記判定部の判定に用いられる複数
の特定選択肢、
を含み、
前記選択肢情報は、
前記特定選択肢に対応する特定選択肢情報、
を含み、
前記問題ごとの前記選択肢は、
前記問題の正解答に対応する正解答選択肢と、
前記問題の誤解答に対応する誤解答選択肢と、
を含み、
前記特定選択肢は、前記誤解答選択肢であり、
前記判定部は、前記選択肢情報群に含まれる前記特定選択肢情報のみにより、前記問題ごとの前記選択肢情報が前記解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
複数の多肢選択式の問題ごとに対応する複数の選択肢の中から前記選択肢を少なくとも1つ選択して答える複数の解答者の分類を支援する情報処理装置であって、
前記解答者ごとに、前記解答者に選択された前記選択肢に対応する選択肢情報が関連付けられて、前記解答者ごとの選択肢情報群として記憶される記憶部と、
前記選択肢情報に基づいて、前記解答者に選択された前記選択肢が特定選択肢か否かを決定する決定部と、
前記記憶部に記憶された前記解答者ごとの前記選択肢情報群に基づいて、前記問題ごとの前記選択肢情報が前記解答者それぞれの間で一致するか否かを判定し、判定結果を前記記憶部に記憶する判定部と、
を有してなり、
複数の前記選択肢は、
前記判定部の判定に用いられる複数の前記特定選択肢、
を含み、
前記選択肢情報は、
前記特定選択肢に対応する特定選択肢情報、
を含み、
前記決定部は、前記記憶部に記憶された前記解答者ごとの前記選択肢情報群に基づいて、前記問題ごとの前記選択肢のうち、前記解答者に選択された割合が最も高い選択肢以外の選択肢を前記特定選択肢として決定して、
前記判定部は、前記選択肢情報群に含まれる前記特定選択肢情報のみにより、前記問題ごとの前記選択肢情報が前記解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部の前記判定結果に基づいて、前記解答者それぞれの間の類似性を示す距離を算出し、算出された前記距離を前記記憶部に記憶する距離算出部、
を有してなる、
請求項1
または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
複数の前記解答者は、
第1解答者と、
第2解答者と、
を含み、
前記選択肢情報群は、
前記第1解答者の第1選択肢情報群と、
前記第2解答者の第2選択肢情報群と、
を含み、
前記距離算出部は、前記第1選択肢情報群に含まれる前記特定選択肢情報のうち、前記第2選択肢情報群に含まれる前記特定選択肢情報と一致する前記特定選択肢情報の数に基づいて、前記第1解答者と前記第2解答者との間の前記距離を算出する、
請求項
3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記距離算出部は、前記距離に基づいて、前記解答者それぞれの間の距離行列を生成し、生成された前記距離行列を前記記憶部に記憶する、
請求項
3記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記距離算出部は、前記距離に基づいて、前記解答者の集団を平面上に配置する配置情報を生成し、生成された前記配置情報を前記記憶部に記憶する、
請求項
3記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記配置情報に基づいて、前記解答者の前記集団を表示装置に出力する出力部、
を有してなる、
請求項
6記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数の前記解答者は、
第1解答者と、
第2解答者と、
を含み、
前記選択肢情報群は、
前記第1解答者の第1選択肢情報群と、
前記第2解答者の第2選択肢情報群と、
を含み、
前記判定部は、前記第1選択肢情報群に含まれる前記特定選択肢情報と、前記第2選択肢情報群に含まれる前記特定選択肢情報と、を比較して、前記問題ごとの前記選択肢情報が前記第1解答者と前記第2解答者との間で一致するか否かを判定する、
請求項1
または2記載の情報処理装置。
【請求項9】
複数の前記選択肢は、
前記特定選択肢とは異なる非特定選択肢、
を含み、
前記選択肢情報は、
前記非特定選択肢に対応する非特定選択肢情報、
を含み、
前記選択肢情報群ごとに前記非特定選択肢情報が占める割合を算出する演算部、
を有してなり、
前記判定部は、前記割合に基づいて、前記記憶部に記憶された前記解答者ごとの前記選択肢情報群から、前記判定部の判定に用いられる複数の前記選択肢情報群を抽出する、
請求項1
または2記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1
または2記載の情報処理装置として機能させる、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項11】
複数の多肢選択式の問題に対応する複数の選択肢の中から前記選択肢を少なくとも1つ選択して答える複数の解答者の分類を支援する情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、
前記解答者ごとに、前記解答者に選択された前記選択肢に対応する選択肢情報が関連付けられて、前記解答者ごとの選択肢情報群として記憶される記憶部、
を備え、
複数の前記選択肢は、
複数の特定選択肢、
を含み、
前記選択肢情報は、
前記特定選択肢に対応する特定選択肢情報、
を含み、
前記問題ごとの前記選択肢は、
前記問題の正解答に対応する正解答選択肢と、
前記問題の誤解答に対応する誤解答選択肢と、
を含み、
前記特定選択肢は、前記誤解答選択肢であり、
前記情報処理装置が、前記解答者の前記問題ごとの前記選択肢情報を取得する取得処理と
、
前記情報処理装置が、前記解答者ごとに、前記問題ごとの前記選択肢情報を関連付けて、前記解答者ごとの選択肢情報群として前記記憶部に記憶する記憶処理と、
前記情報処理装置が、前記記憶部に記憶された前記解答者ごとの前記選択肢情報群に基づいて、前記問題ごとの前記選択肢情報が前記解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する判定処理と、
を有してなり、
前記判定処理は、前記選択肢情報群に含まれる前記特定選択肢情報のみにより、前記問題ごとの前記選択肢情報が前記解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
複数の多肢選択式の問題に対応する複数の選択肢の中から前記選択肢を少なくとも1つ選択して答える複数の解答者の分類を支援する情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、
前記解答者ごとに、前記解答者に選択された前記選択肢に対応する選択肢情報が関連付けられて、前記解答者ごとの選択肢情報群として記憶される記憶部、
を備え、
複数の前記選択肢は、
複数の特定選択肢、
を含み、
前記選択肢情報は、
前記特定選択肢に対応する特定選択肢情報、
を含み、
前記情報処理装置が、前記解答者の前記問題ごとの前記選択肢情報を取得する取得処理と、
前記情報処理装置が、前記解答者に選択された前記選択肢が前記特定選択肢か否かを決定する決定処理と、
前記情報処理装置が、前記解答者ごとに、前記問題ごとの前記選択肢情報を関連付けて、前記解答者ごとの選択肢情報群として前記記憶部に記憶する記憶処理と、
前記情報処理装置が、前記記憶部に記憶された前記解答者ごとの前記選択肢情報群に基づいて、前記問題ごとの前記選択肢情報が前記解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する判定処理と、
を有してなり、
前記決定処理は、前記記憶部に記憶された前記解答者ごとの前記選択肢情報群に基づいて、前記問題ごとの前記選択肢のうち、前記解答者に選択された割合が最も高い選択肢以外の選択肢を前記特定選択肢として決定して、
前記判定処理は、前記選択肢情報群に含まれる前記特定選択肢情報のみにより、前記問題ごとの前記選択肢情報が前記解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
前記解答者の集団を表示装置に出力する出力処理、
を有してなる、
請求項
11または12記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置と、情報処理プログラムと、情報処理方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
IT(Information Technology)を利用した教育(学習)ツールであるeラーニングは、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートホンなどの情報処理端末が有れば、人・時間・場所・回数などを問わず、簡単に最新の情報を学ぶことを可能とする。そのため、eラーニングは、企業や、学校などの教育の場で盛んに利用されている。
【0003】
多くのeラーニングでは、自動採点が可能という理由から、記述式の問題よりも選択式の問題が採用されている。すなわち、eラーニングを利用して学習する者(以下「学習者」という。)は、多肢選択式の問題に対して、複数の選択肢の中から正解と考える選択肢を選択して解答する。一方、eラーニングでは、コンピュータを用いて、点数、偏差値、各問題の正答率、誤解答した問題とその正解、などの情報が学習者に提供される。
【0004】
近年、eラーニングにおいて、学習者の学習履歴を分析して、学習者への学習支援や学習者を指導する指導者(出題者、教育者など)への指導支援を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1-2、非特許文献1-2参照)。
【0005】
特許文献1に開示された技術は、問題の正答率と、学習者の成績と、の相関関係に基づいて、問題の良否を客観的に判定する。その結果、同技術を利用する指導者は、学習効率と学習効果とが向上する問題を作成可能である。
【0006】
特許文献2に開示された技術は、問題の正答率または点数に基づいた特性量を求め、特性量に基づいて学習者同士の類似度を求め、類似度に基づいて学習者のクラスタリングを行い、学習者集団を特定する。次いで、同技術は、所定の学習者集団から、平均的な特性を有する平均グループと、平均グループから偏差を有する偏差グループと、を抽出し、偏差グループに共通する知識の欠損(欠損の程度)を抽出する。その結果、同技術を利用する指導者は、各グループの傾向に対応した指導法の指針を得られる。
【0007】
非特許文献1に開示された技術は、学習者に同じ試験問題(選択肢の配置はランダムに変更される)を複数回解答させ、複数回分の解答のうち、誤解答に着目して、学習者の理解度を分類する。その結果、同技術は、当て推量で解答した学習者をある程度特定可能である。次いで、同技術は、学習者の学習履歴に関連して理解度ごとに多重比較を用いて分析する。その結果、同技術を利用する指導者は、学習者の理解度に合わせて、個別的に指導可能である。
【0008】
非特許文献2に開示された技術は、既存のクラスタリング手法を組合せて、学習者の学習履歴から学習者を分類するクラスタ数を求める。次いで、同技術は、既存の可視化アルゴリズムを用いて、各クラスタの可視化を行い、各クラスタの特徴とクラスタ間の関係とを指導者に把握させる。その結果、同技術を利用する指導者は、学習者の特性を把握し、学習者の理解度のレベルやニーズに対応した指導を提供可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2007-316285号公報
【文献】特開2006-072122号公報
【非特許文献】
【0010】
【文献】生田目康子,「WBTによる形式的評価の改善」日本教育工学会論文誌,Vol.29,No.4(2005),p.483-490
【文献】石川晶子ほか2名,「学習履歴データを活用した学習者の特性抽出手法の検討」教育システム情報学会誌,Vol.31,No.2(2014),p.185-196
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、学習者(すなわち、解答者)の学習履歴に基づいて、効果的な学習支援・教育支援(個別指導)を行う技術は、多数開示されている。これらの技術では、学習時間や学習回数、点数、正答率に基づく分析が多く用いられている。
【0012】
ここで、本発明の発明者らは、学習履歴のうち、誤解答した選択肢の一致性に着目することにより、本発明をするに至った。すなわち、例えば、5つの選択肢の中で、正解の選択肢が1つのとき、2人の解答者が同じ選択肢を選択して誤解答する確率は、1/4(=4/16)である。発明者らが30問の多岐選択式の問題を2人の解答者に解答させたところ、5つの問題で誤解答の選択肢が一致した。本事象は1/4の5乗、つまり千分の一の確率で生じ、さらに10の問題(すなわち、百万分の一の確率)でも生じた。これは一般的にはあり得ない。しかしながら、発明者らは、異なる問題を異なる解答者集団に解答させたところ、複数の問題で誤解答の選択肢が一致する解答者の組合せが存在することを確認した。この事実は、解答者の中に共通の誤った思い込みをしている解答者が存在することを示唆する。そのため、解答者の組合せに応じて共通の誤った思い込みを正す指導が可能となり、指導効率(学習効率)が向上する。
【0013】
このように、発明者らは、複数の問題で誤解答の選択肢が一致する確率が極めて低いため、本事象は起こり得ないという先入観により、誰も注目してこなかった本事象に注目して、本発明をするに至った。なお、本発明は、カウンセリングやメンタルヘルスケア、アンケートなどの分野で用いられる正解のない多岐選択式の問題において、特定の選択肢が一致する解答者の組合せの抽出にも応用され得る。
【0014】
本発明は、多岐選択式の問題に対する、解答に基づく学習効率や指導効率の向上の支援を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明にかかる情報処理装置は、複数の多肢選択式の問題ごとに対応する複数の選択肢の中から選択肢を少なくとも1つ選択して答える複数の解答者の分類を支援する情報処理装置であって、解答者ごとに、解答者に選択された選択肢に対応する選択肢情報が関連付けられて、解答者ごとの選択肢情報群として記憶される記憶部と、選択肢情報に基づいて、解答者に選択された選択肢が特定選択肢か否かを決定する決定部と、記憶部に記憶された解答者ごとの選択肢情報群に基づいて、問題ごとの選択肢情報が解答者それぞれの間で一致するか否かを判定し、判定結果を記憶部に記憶する判定部と、を有してなり、複数の選択肢は、判定部の判定に用いられる複数の特定選択肢、を含み、選択肢情報は、特定選択肢に対応する特定選択肢情報、を含み、判定部は、選択肢情報群に含まれる特定選択肢に対応する特定選択肢情報のみにより、問題ごとの選択肢情報が解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、多岐選択式の問題に対する、解答に基づく学習効率や指導効率の向上の支援を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明にかかる情報処理装置の実施の形態を示すネットワーク構成図である。
【
図2】
図1の情報処理装置に接続されるサーバに記憶される情報の例を示す模式図である。
【
図3】
図2のサーバに記憶される情報の別の例を示す模式図である。
【
図4】
図2のサーバに記憶される情報のさらに別の例を示す模式図である。
【
図5】
図2のサーバに記憶される情報のさらに別の例を示す模式図である。
【
図6】
図2のサーバに記憶される情報のさらに別の例を示す模式図である。
【
図7】
図1の情報処理装置に接続される情報処理端末に表示される情報の例を示す模式図である。
【
図8】
図1の情報処理装置の機能ブロック図である。
【
図9】
図2のサーバに記憶される情報のさらに別の例を示す模式図である。
【
図10】
図8の情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】
図8の情報処理装置が備える記憶部に記憶される情報の例を示す模式図である。
【
図12】
図10の動作における判定処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図11の記憶部に記憶される情報の別の例を示す模式図である。
【
図14】
図10の動作における距離算出処理を示すフローチャートである。
【
図15】
図11の記憶部に記憶される情報のさらに別の例を示す模式図である。
【
図16】
図8の情報処理装置に接続される表示装置に表示される情報の例を示す模式図である。
【
図17】
図8の情報処理装置を用いた解答者の分類の例を示す模式図である。
【
図18】
図10の動作における関係特定処理を示すフローチャート図である。
【
図19】
図10の動作における情報の関係を示す模式図である。
【
図20】
図16の表示装置に表示される情報の別の例を示す模式図である。
【
図22】
図11の記憶部に記憶される情報のさらに別の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる情報処理装置と、情報処理方法と、情報処理プログラムと、の実施の形態について説明する。
【0019】
●情報処置装置●
先ず、本発明にかかる情報処理装置(以下「本装置」という。)の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本装置の実施の形態を示すネットワーク構成図である。
同図は、本装置1が、有線通信方式または無線通信方式を利用するネットワーク(通信回線)Nを介して、サーバ2と、情報処理端末3と、に接続されていることを示す。同図は、本装置1が表示装置4と接続されていることを示す。
【0021】
本装置1は、複数の多肢選択式の問題ごとに解答者それぞれの間で答える選択肢の一致性に基づいて、解答者の分類を支援する。本装置1の具体的な構成については、後述する。
【0022】
以下に説明する実施の形態は、サーバ2に記憶されている複数の多肢選択式の問題を、複数の解答者が情報処理端末3を利用して答える場合を例に、本発明の内容を説明する。解答者が選択した選択肢(解答)はサーバ2に送信されて、同選択肢に対応する選択肢情報としてサーバ2に記憶される。本装置1は、サーバ2に記憶されている選択肢情報を取得して、後述する情報処理を実行して、例えば、本装置1を使用する者(以下「使用者」という。)による解答者の分類を支援する。多くの場合、使用者は指導者であるが、第三者が本装置を使用して解析を代行することもある。
【0023】
「多肢選択式の問題」は、問題ごとに対応する複数の選択肢の中から、正解答に対応する選択肢を少なくとも1つ解答者に選択させる問題である。すなわち、解答者は、多肢選択式の問題ごとに対応する複数の選択肢の中から、解答者が正解答と考える選択肢を選択して、問題に答える。
【0024】
「問題」は、問題文と、複数の選択肢と、により構成される多肢選択式の問題である。問題は、例えば、パーソナルコンピュータやネットワークNを利用するWebテストにおいて出題される。問題は、試験問題のような正解答が有る問題と、アンケートや問診票のような正解答が無い問題(質問)と、を含む。
【0025】
なお、本装置が選択肢情報を取得可能であれば、多肢選択式の問題は、マークシートとして出題されてもよい。
【0026】
また、解答者が各問題にマークシートで答える場合、情報処理端末は解答者に利用されなくてもよく、マークシートを読み取る機器がネットワークやサーバに接続されてもよい。
【0027】
また、正解答が有る問題において、正解答の数は、「1」に限定されない。すなわち、例えば、正解答の数は、「2」や「3」でもよい。さらに、正解答の数は、医師国家試験の多肢選択式の問題のように、問題ごとに異なってもよい。
【0028】
「選択肢」は、問題文に対して解答者が選択する項目であり、特定選択肢と非特定選択肢とを含む。以下に説明する実施の形態では、各問題における選択肢の数は、「5」である。
【0029】
なお、各問題における選択肢の数は、複数であればよく、「5」に限定されない。すなわち、例えば、選択肢の数は、「5」未満(例えば、「3」)でもよく、「5」を超えても(例えば、「10」)よい。
【0030】
また、各問題における選択肢の数は、問題ごとに異なってもよい。すなわち、例えば、60問の問題から構成される試験において、前半分の問題の選択肢の数は「5」、後半分の問題の選択肢の数は「7」でもよい。
【0031】
「特定選択肢」は、問題ごとに、複数の選択肢の中から解答者が選択した選択肢に対応する選択肢情報が、解答者それぞれの間で一致するか否かの判定(後述する判定処理(S5))に用いられる選択肢である。特定選択肢は、例えば、問題(問題文)の誤解答に対応する誤解答選択肢である。本発明において、特定選択肢は、問題ごとに複数存在する。
【0032】
「非特定選択肢」は、問題ごとに、複数の選択肢の中から解答者が選択した選択肢に対応する選択肢情報が、解答者それぞれの間で一致するか否かの判定に用いられない選択肢である。非特定選択肢は、例えば、問題(問題文)の正解答に対応する正解答選択肢である。すなわち、非特定選択肢は、特定選択肢とは異なる。
【0033】
「解答者」は、問題に答える者である。すなわち、例えば、解答者は、学校や研修、通信教育などで学習する者(例えば、学生、社会人)、アンケートや問診票などに答える者、を含む。
【0034】
「選択肢情報」は、問題ごとに、解答者に選択された選択肢に対応する情報(後述する選択肢ID)である。選択肢情報は、特定選択肢情報と非特定選択肢情報とを含む。
【0035】
「特定選択肢情報」は、特定選択肢に対応する選択肢情報である。すなわち、特定選択肢情報は、特定選択肢に対応する選択肢IDである。
【0036】
「非特定選択肢情報」は、非特定選択肢に対応する選択肢情報である。すなわち、非特定選択肢情報は、非特定選択肢に対応する選択肢IDである。
【0037】
サーバ2は、解答者が答える複数の多肢選択式の問題を記憶する。サーバ2は、例えば、クラウドサーバやパーソナルコンピュータ、NAS(Network Attached Storage)など、ネットワークNを介して情報を記憶可能な機器である。サーバ2は、例えば、問題マスターデータベースDB1や選択肢マスターデータベースDB2、問題文マスターデータベースDB3、特性マスターデータベースDB4、解答者マスターデータベースDB5などのデータベースを記憶する。
【0038】
図2は、問題マスターデータベースDB1に記憶される情報の例を示す模式図である。
「問題ID」は、各問題に対応する各問題固有の識別情報である。「選択肢ID」は、問題ごとの各選択肢に対応する各選択肢固有の識別情報である。選択肢ID「Cmn」のうち、「m」は問題IDに相当する番号を示し、「n」は非特定選択肢(n=0)と特定選択肢(n=1,2,3,4)とを示す。「特性ID」は、問題が属する科目(例えば、数学や英語)や科目内における分類(例えば、数学における微分、積分)など、問題の特性に関する情報に対応する各特性固有の識別情報である。DB1には、問題IDと選択肢IDと特性IDとが関連付けられて記憶される。本装置1と情報処理端末3それぞれは、例えば、問題IDを用いてDB1を参照することで、問題IDに関連付けられてDB1に記憶されている選択肢、特性、などを読み出し得る。
【0039】
同図は、例えば、問題ID「ID01」に対応する非特定選択肢IDが「C010」であり、特定選択肢IDが「C011」と「C012」と「C013」と「C014」とであり、特性IDが「F01」であることを示す。
【0040】
同図は、説明の便宜上、選択肢IDを非特定選択
肢、特定選択肢の順に表記している。ここで、問題ごとの各選択肢IDの割当順は、任意に(ランダムに)出題可能である(
図7参照)。すなわち、例えば、ある出題では選択肢ID「C011」は第1選択肢に割り当てられ、別の出題では選択肢ID「C011」は第4選択肢に割り当てられる。
【0041】
図3は、選択肢マスターデータベースDB2に記憶される情報の例を示す模式図である。「項目」は、各選択肢IDに対応する具体的な選択肢である。「正誤ID」は、選択肢が正解答選択肢(正誤ID「T」)か誤解答選択肢(正誤ID「F」)のどちらに相当するかを特定する識別情報である。DB2には、問題IDと選択肢IDと正誤IDと項目とが、関連付けられて記憶される。本装置1は、例えば、選択肢IDを用いてDB2を参照することで、選択肢IDに関連付けられてDB2に記憶されている問題、選択肢の正誤(選択肢が正解答選択肢か誤解答選択肢のいずれであるか)、項目などを読み出し得る。
【0042】
同図は、例えば、選択肢ID「C101」に対応する項目が「may」であり、問題IDが「ID10」であり、正誤IDが「F」であることを示す。すなわち、選択肢ID「C101」の選択肢は、問題ID「ID10」を構成する選択肢であり、誤解答選択肢である。
【0043】
図4は、問題文マスターデータベースDB3に記憶される情報の例を示す模式図である。DB3には、問題IDと問題文とが関連付けられて記憶されている。本装置1と情報処理端末3それぞれは、例えば、問題IDを用いてDB3を参照することで、問題IDに関連付けられてDB3に記憶されている問題文を読み出し得る。
【0044】
同図は、例えば、問題ID「ID10」の問題文が「次の例文「・・・□・・・」の□に入る正しい単語を選択してください。」であることを示す。
【0045】
図5は、特性マスターデータベースDB4に記憶される情報の例を示す模式図である。
「特性項目」は、各特性の内容(例えば、数学:微分1、英語:文法1のような科目の項目の他に観点、コンピテンシーなど)に対応する各特性固有の識別情報である。DB4には、特性IDと特性項目とが関連付けられて記憶される。本装置1と情報処理端末3それぞれは、例えば、特性IDを用いてDB4を参照することで、特性IDに関連付けられてDB4に記憶されている特性項目を読み出し得る。
【0046】
同図は、例えば、特性ID「F01」に対応する特性項目が「数学:微分1」であることを示す。
【0047】
図6は、解答者マスターデータベースDB5に記憶される情報の例を示す模式図である。「解答者ID」は、問題に答えた解答者に対応する解答者固有の識別情報である。DB5には、解答者IDと解答者の属性情報とが関連付けられて記憶される。「属性情報」は、例えば、解答者の氏名、年齢、性別、所属、番号(社員番号や受験番号など)、履歴など解答者固有の情報である。すなわち、例えば、本装置1は、解答者IDを用いてDB5を参照することで、解答者IDに関連付けられてDB5に記憶されている解答者の属性情報(年齢や性別)を読み出し得る。
【0048】
同図は、例えば、解答者ID「X01」に対応する属性情報が「A」「20才」「女」であることを示す。
【0049】
図1に戻る。
情報処理端末3は、解答者がサーバ2に記憶されている問題に答えるために利用する端末である。情報処理端末3は、情報を入力する機能と、情報を表示する機能と、を有する端末である。情報処理端末3は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話(例えば、スマートホン)、タブレットPC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)である。
【0050】
図7は、情報処理端末3に表示される情報の例を示す模式図である。
同図は、問題文「次の例文「・・・□・・・」の□に入る正しい単語を選択してください。(ID10)」に対応する第1選択肢「will(C103)」、第2選択肢「would(C104)」、第3選択肢「can(C100)」、第4選択肢「may(C101)」、第5選択肢「could(C102)」が情報処理端末3の画面に表示されていることを示す。
【0051】
図1に戻る。
表示装置4は、例えば、モニタやディスプレイ、液晶パネルなどの情報を可視化して使用者に表示する機器である。
【0052】
なお、表示装置は、本装置に備えられてもよい。
【0053】
ネットワークNは、例えば、インターネット、移動体通信網、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの通信網である。
【0054】
●本装置の構成
図8は、本装置1の機能ブロック図である。
【0055】
本装置1は、例えば、パーソナルコンピュータで実現される。本装置1では、本発明にかかる情報処理プログラム(以下「本プログラム」という。)が動作して、本プログラムが本装置1のハードウェア資源と協働して、後述する本発明にかかる情報処理方法(以下「本方法」という。)を実現する。
【0056】
ここで、図示しないコンピュータに本プログラムを実行させることで、本プログラムは、同コンピュータを本装置1と同様に機能させて、同コンピュータに本方法を実行させ得る。
【0057】
本装置1は、通信部11と、取得部12と、記憶部13と、決定部14と、判定部15と、距離算出部16と、演算部17と、関係特定部18と、出力部19と、を有してなる。
【0058】
通信部11は、ネットワークNを介して、サーバ2から後述する解答情報を取得する。通信部11は、例えば、通信モジュールやアンテナなど(不図示)により構成される。解答情報は、記憶部13に記憶される。
【0059】
取得部12は、解答情報に基づいて、問題ごとの選択肢情報を取得する。問題ごとの選択肢情報は、解答者ごとに関連付けられて、解答者ごとの選択肢情報群として記憶部13に記憶される。
【0060】
「選択肢情報群」は、解答者ごとの選択肢情報の集合である。すなわち、例えば、10問の問題を解答した解答者の選択肢情報群は、10個の選択肢情報を含む。
【0061】
記憶部13は、本装置1が後述する本方法を実行するために必要な情報を記憶する。記憶部13は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの記録装置や、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、などにより構成される。
【0062】
なお、記憶部は、サーバに記憶されている各データベース、あるいは、各データベースのうち必要な情報を予め記憶していてもよい。
【0063】
決定部14は、選択肢情報に基づいて、解答者に選択された選択肢が特定選択肢か否かを決定する。決定部14の構成と、具体的な動作とは、後述する。
【0064】
判定部15は、記憶部13に記憶された解答者ごとの選択肢情報群に基づいて、問題ごとの選択肢情報が解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する。すなわち、判定部15は、問題ごとの選択肢IDが解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する。つまり、判定部15は、問題ごとの選択肢が解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する。判定部15の構成と、具体的な動作とは、後述する。
【0065】
距離算出部16は、判定部15の判定結果に基づいて、解答者それぞれの間の類似性を示す距離を算出する。距離算出部16の構成と、具体的な動作とは、後述する。
【0066】
「距離」は、前述のとおり、解答者それぞれの間の類似性を示す指標に対応する情報である。すなわち、距離は、2名の解答者間の相違性(相違の程度)を示す情報である。
【0067】
演算部17は、選択肢情報群ごとに非特定選択肢情報が占める割合を算出する。演算部17の構成と、具体的な動作とは、後述する。
【0068】
関係特定部18は、判定部15の判定結果に基づいて、複数の解答者の特定選択肢情報が一致する問題間の関係を特定する。関係特定部18の構成と、具体的な動作とは、後述する。
【0069】
取得部12と決定部14と判定部15と距離算出部16と演算部17と関係特定部18とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路と、RAM(Read Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの半導体メモリと、により構成される。
【0070】
なお、本発明における取得部と決定部と判定部と距離算出部と演算部と関係特定部とは、共通するプロセッサや集積回路と半導体メモリとにより構成されてもよく、あるいは、個別のプロセッサや集積回路と半導体メモリとにより構成されてもよい。
【0071】
出力部19は、距離算出部16からの情報に基づいて、解答者の集団の分布を表示装置4(
図1参照)へ出力する。出力部19は、例えば、表示装置4が接続されるインターフェースである。
【0072】
●本装置の動作
次に、本装置1の動作について説明する。
【0073】
以下の説明では、5名の解答者(A,B,C,D,E)が、情報処理端末3を利用してサーバ2に記憶されている10問の問題に答え、それぞれの答えに関連する情報(以下「解答情報」という。)がサーバ2に記憶されていることを前提とする。ここで、解答者(A)の解答者IDは「X01」であり、解答者(B)の解答者IDは「X02」であり、解答者(C)の解答者IDは「X03」であり、解答者(D)の解答者IDは「X04」であり、解答者(E)の解答者IDは「X05」であるものとする。また、問題は、正解答の有る問題であり、正解答の数は「1」であるものとする。すなわち、解答者が選択する選択肢の数は「1」である。
【0074】
以下の説明において、本装置1は、複数の解答者が答えた問題のうち、誤解答選択肢(特定選択肢)が一致する問題の数を用いて算出された解答者それぞれの間の類似性に基づいて、解答者の集団を可視化する。次いで、本装置1は、解答者それぞれの間で誤解答選択肢が一致する問題を抽出し、これらの問題を特定の解答者(これらの問題で誤解答選択肢が一致した解答者)に対して関連する問題として特定する。
【0075】
図9は、サーバ2に記憶されている解答情報の例を示す模式図である。
同図は、解答情報が解答者IDと問題IDと選択肢IDとを含むことを示す。
【0076】
なお、解答情報は、解答者IDと選択肢IDとを含んでいればよく、問題IDを含まなくてもよい。この場合、問題IDは、選択肢IDを利用してDB1を参照することにより取得可能である。
【0077】
また、解答情報は、
図9に示される情報以外の情報を含んでもよい。すなわち、例えば、解答情報は、解答者が問題に答えた時刻、場所に関する情報を含んでもよい。
【0078】
図10は、本装置1の動作を示すフローチャートである。
【0079】
先ず、通信部11は、ネットワークNを介して、サーバ2より解答情報を取得する(S1)。解答情報は、解答者が答えた問題ごとに取得される。解答情報は、記憶部13に記憶される。
【0080】
次いで、取得部12は、記憶部13から解答情報を読み出して、問題ごとに、解答情報に含まれる選択肢情報を取得する(取得処理)(S2)。取得部12は、解答者ごとに各選択肢情報を関連付けて、解答者ごとの選択肢情報群を生成して、記憶部13に記憶する(記憶処理)(S3)。
【0081】
図11は、記憶部13に記憶される選択肢情報群の例を示す模式図である。
同図は、解答者ID「X01」に問題ID「ID01-ID10」それぞれと、選択肢ID「C010」「C021」「C030」「C040」「C051」「C060」「C070」「C080」「C091」「C100」それぞれと、が関連付けられて記憶部13に記憶されていることを示す。ここで、選択肢ID「C021」「C051」「C091」それぞれは、特定選択肢(誤解答選択肢)に対応する選択肢IDである。一方、選択肢ID「C010」「C030」「C040」「C060」「C070」「C080」「C100」それぞれは、非特定選択肢(正解答選択肢)に対応する選択肢IDである。
【0082】
図10に戻る。
次いで、決定部14は、記憶部13から選択肢情報群を読み出して、選択肢情報群に含まれる選択肢情報(選択肢ID)に基づいて、解答者に選択された選択肢が特定選択肢か非特定選択肢か、を決定する(決定処理)(S4)。
【0083】
ここで、本説明において、問題は正解答の有る問題であり、正解答の数は「1」である。そのため、決定部14は、問題ごとに複数存在する誤解答選択肢を特定選択肢として決定し、問題ごとに1つのみ存在する正解答選択肢を非特定選択肢として決定する。この場合、例えば、決定部14は、選択肢IDを利用してDB2を参照することにより、各選択肢の正誤IDを取得する。次いで、決定部14は、正誤IDに基づいて、解答者に選択された選択肢が特定選択肢か非特定選択肢か、を決定する。決定部14の決定結果は、記憶部13に記憶される。
【0084】
次いで、判定部15は、判定処理(S5)を実行する。
【0085】
図12は、判定処理(S5)を示すフローチャートである。
【0086】
「判定処理(S5)」は、判定部15が、記憶部13から解答者ごとの選択肢情報群を読み出して、問題ごとの選択肢情報(選択肢ID)が解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する処理である。
【0087】
図13は、記憶部13に記憶される全解答者の選択肢情報群の例を示す模式図である。
同図は、説明の便宜上、全解答者の選択肢情報群を、行方向が問題、列方向が解答者、とする行列として示す。同図の太字・下線は、特定選択肢情報(特定選択肢(誤解答選択肢)に対応する選択肢ID)を示す。
【0088】
図12と
図13とに戻る。
先ず、判定部15は、解答者(A)の選択肢情報群と、解答者(B)の選択肢情報群と、を記憶部13から読み出す(S51)。この場合、解答者(A)は本発明における第1解答者であり、解答者(B)は本発明における第2解答者であり、解答者(A)の選択肢情報群は本発明における第1選択肢情報群であり、解答者(B)の選択肢情報群は本発明における第2選択肢情報群である。
【0089】
次いで、判定部15は、解答者(A)の選択肢情報群に含まれる特定選択肢情報を特定し、解答者(B)の選択肢情報群に含まれる特定選択肢情報を特定する(S52)。次いで、判定部15は、解答者(A)の特定選択肢情報と、解答者(B)の特定選択肢情報と、を比較して、両者に含まれる特定選択肢情報が一致するか否かを判定する(S53)。すなわち、例えば、判定部15は、解答者(A)の特定選択肢情報の集合(C021,C051,C091)と、解答者(B)の特定選択肢情報の集合(C012,C022,C052,C073,C092,C102)と、を比較して、両者に含まれる特定選択肢情報が一致するか否かを判定する。その結果、判定部15は、解答者(A)と解答者(B)との間では、特定選択肢情報は一致しない、と判定する。
【0090】
同様に、判定部15は、解答者(A)の特定選択肢情報の集合(C021,C051,C091)と、解答者(C)の特定選択肢情報の集合(C013,C022,C031,C043,C052,C092,C102)と、を比較して(S52)、両者に含まれる特定選択肢情報が一致するか否かを判定する(S53)。その結果、判定部15は、解答者(A)と解答者(C)との間では、特定選択肢情報は一致しない、と判定する。
【0091】
同様に、判定部15は、解答者(A)の特定選択肢情報の集合(C021,C051,C091)と、解答者(D)の特定選択肢情報の集合(C012,C021,C034,C043,C054,C092)と、を比較して(S52)、両者に含まれる特定選択肢情報が一致するか否かを判定する(S53)。その結果、判定部15は、解答者(A)と解答者(D)との間では、特定選択肢情報(C021)が一致する、と判定する。
【0092】
同様に、判定部15は、解答者(A)の特定選択肢情報の集合(C021,C051,C091)と、解答者(E)の特定選択肢情報の集合(C011,C092)と、を比較して(S52)、両者に含まれる特定選択肢情報が一致するか否かを判定する(S53)。その結果、判定部15は、解答者(A)と解答者(E)との間では、特定選択肢情報は一致しない、と判定する。
【0093】
このように、判定部15は、処理(S51-S53)を繰り返して、全ての解答者の組合せにおいて、解答者それぞれの特定選択肢情報の集合の間で特定選択肢情報が一致するか否かを判定する(S54)。換言すれば、判定部15は、解答者それぞれの選択肢情報群に含まれる特定選択肢情報のみにより、問題ごとの選択肢情報(特定選択肢情報)が解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する。判定部15の判定結果は、記憶部13に記憶される(S55)。
【0094】
図10に戻る。
次いで、距離算出部16は、距離算出処理(S6)を実行する。
【0095】
図14は、距離算出処理(S6)のフローチャートである。
【0096】
「距離算出処理(S6)」は、距離算出部16が、判定部15の判定結果に基づいて、解答者それぞれの間の距離を算出する処理である。
【0097】
距離算出部16は、記憶部13から判定部15の判定結果を読み出して(S61)、解答者それぞれの間で、一致する特定選択肢情報の数(以下「一致数」という。)を算出する(S62)。本実施の形態において(
図13参照)、解答者(A,B)間の一致数は「0」であり、解答者(A,C)間の一致数は「0」であり、解答者(A,D)間の一致数は「1」であり、解答者(A,E)間の一致数は「0」である。解答者(B,C)間の一致数は「3」であり、解答者(B,D)間の一致数は「2」であり、解答者(B,E)間の一致数は「1」である。解答者(C,D)間の一致数は「2」であり、解答者(C,E)間の一致数は「1」である。解答者(D,E)間の一致数は「1」である。算出された一致数は、記憶部13に記憶される。
【0098】
次いで、距離算出部16は、一致数に基づいて、解答者それぞれの間の距離を算出する(S63)。距離は、例えば、次式(式1)を用いて算出される。
【0099】
(式1)
距離=((解答者が答えた共通する問題の数)-(一致数))/(解答者が答えた共通する問題の数)
【0100】
すなわち、例えば、解答者(A,B)が答えた共通する問題の数は「10」、解答者(A,B)間の一致数は「0」であるから、解答者(A,B)間の距離は、「1.0」である。また、例えば、解答者(B,C)間の一致数は「3」であるから、解答者(B,C)間の距離は、「0.7」である。(式1)で算出される距離は、「1.0」が最も遠くなり、「0.0」が最も近くなる。算出された各解答者間の距離は、記憶部13に記憶される。
【0101】
なお、距離の算出に用いられる式は、(式1)に限定されない。すなわち、例えば、距離算出部は、他の公知の式を用いて各解答者間の距離を算出してもよい。
【0102】
次いで、距離算出部16は、算出した距離に基づいて、解答者それぞれの間の距離行列を生成する(S64)。距離行列は、記憶部13に記憶される。
【0103】
図15は、距離算出部16が生成した距離行列の例を示す模式図である。
同図は、同一解答者間の距離を「-」で示す。同図は、解答者間の距離の最小値は、「0.7」であり、解答者(B)に対して最も類似性の高い解答者は、解答者(C)である、ことを示す。
【0104】
次いで、距離算出部16は、解答者間の距離に基づいて、配置情報を生成する(S65)。配置情報は、記憶部13に記憶される。
【0105】
「配置情報」は、解答者の集団を平面上に配置する(対応付ける)ための情報である。配置情報は、距離行列に表される各解答者間の距離関係を可能な限り保持するように、公知の非線形写像法を用いて生成される。すなわち、配置情報は、解答者それぞれの間の距離関係を可能な限り保持した状態で、解答者の集団を平面上に配置(対応付け)可能とする情報である。非線形写像法には、例えば、Sammon法(参考文献:J. W. Sammon, Jr., A nonlinear mapping of data structure analysis, IEEE Trans., Vol.C-18, No.5, pp.401-409, 1969.)が用いられる。
【0106】
なお、距離算出部が用いる非線形写像法は、Sammon法に限定されない。
【0107】
次いで、出力部19は、記憶部13から配置情報を読み出して、配置情報を表示装置4に出力する(出力処理)(S66)。その結果、表示装置4は、解答者の集団を平面上に配置した、解答者の分布を表示可能である。すなわち、出力部19は、平面上に配置された解答者の集団を、使用者に視認させ得る。換言すれば、本装置1は、使用者に対して、平面上に解答者の集団を可視化させる。
【0108】
図16は、表示装置4に表示される情報の例を示す模式図である。
図中、縦軸と横軸それぞれは、平面(2次元空間)における各点(解答者)の座標値を示す。
【0109】
このように、使用者に対して解答者間の距離を可視化することにより、使用者は、使用者の直観に基づく解答者の分類を可能とする。さらに、代表的なクラスタリング法のk-means法のように予めクラスタ数を定めておく必要もない。
【0110】
図17は、使用者による分類の例を示す模式図である。
図中、縦軸と横軸それぞれは、平面(2次元空間)における各点(解答者)の座標値を示す。
【0111】
同図では、例えば、平面上の配置(距離)関係において、最も近い2名の解答者(B,C)が1つのクラスタ(
図17の破線の枠線内のクラスタ)に分類され得る。また、同配置関係において、解答者(D)は、解答者(B,C)に近いと使用者に認識され得る。そのため、同図では、解答者(D)は解答者(B,C)と同じクラスタ(
図17の一点鎖線の枠内のクラスタ)に分類され、解答者(A)と解答者(E)それぞれは1人で構成されるクラスタ(孤立した解答者)に分類され得る。あるいは、同配置関係において、解答者(E)は、解答者(A)よりも解答者(B,C,D)に近いとして使用者に認識されることもあり得る。このとき、使用者は、解答者(A-E)の中で1つのクラスタを抽出することとなる。すなわち、同図では、解答者(B,C,D,E)が1つのクラスタ(
図17の二点鎖線の枠内のクラスタ)に分類され、解答者(A)は1人で構成されるクラスタに分類され得る。このように、同図は、どの解答者までが1つのクラスタに分類されるかという判断は使用者に委ねられることを示す。
【0112】
また、使用者は、各クラスタに分類された解答者間で一致する特定選択肢情報(特定選択肢の選択肢ID)を用いて、DB1,DB4を参照することにより、各クラスタに分類された解答者が誤解答した問題の特性を取得可能である。その結果、例えば、使用者は、クラスタごとに解答者の誤りの傾向を把握可能である。したがって、使用者はクラスタごとに適切な指導を実行可能であり、使用者の指導効率と解答者(学習者)の学習効率とが向上する。
【0113】
図10に戻る。
次いで、関係特定部18は、問題間の関係特定処理(S7)を実行する。
【0114】
図18は、関係特定処理(S7)のフローチャートである。
【0115】
「関係特定処理(S7)」は、複数の解答者の特定選択肢情報が一致する問題間の関係を特定する処理である。
【0116】
関係特定部18は、判定部15の判定結果に基づいて、解答者それぞれの間で一致する特定選択肢情報(誤解答選択肢の選択肢ID)を特定する(S71)。
【0117】
次いで、関係特定部18は、特定した特定選択肢情報を用いてDB1を参照することにより、複数の解答者間で特定選択肢情報が一致する問題を抽出する(S72)。
【0118】
次いで、関係特定部18は、複数の解答者間で特定選択肢情報が一致する問題ごとに、特定選択肢情報が一致する解答者の組を抽出する(S73)。抽出された結果は、記憶部13に記憶される。
【0119】
図19は、問題ごとに特定選択肢情報が一致する解答者の関係を示す模式図である。
同図は、問題ごとに特定選択肢情報が一致する解答者の組を「〇」で示し、別の特定選択肢情報が一致する別の解答者の組を「△」で示す。
【0120】
図18と
図19とに戻る。
次いで、関係特定部18は、解答者の組が一致する問題を抽出して、相互に関係する問題として特定する(S74)。すなわち、例えば、関係特定部18は、解答者(B,D)の組が一致する「問題1」と「問題9」とを抽出して、「問題1」と「問題9」とを相互に関係する問題として特定する。また、関係特定部18は、解答者(B,C)の組が一致する「問題2」と「問題5」と「問題9」と「問題10」とを抽出して、「問題2」と「問題5」と「問題9」と「問題10」とを相互に関係する問題として特定する。さらに、関係特定部18は、解答者(C,D)の組が一致する「問題4」と「問題9」とを抽出して、「問題4」と「問題9」とを相互に関係する問題として特定する。その結果、本装置1は、特定選択肢(誤解答選択肢)の一致性に基づいて、問題間の関係性(類似性)を特定可能である。
【0121】
このように、本装置1は、解答者ごとに、問題ごとの特定選択肢情報(誤解答選択肢の選択肢ID)が解答者それぞれの間で一致するか否かに基づいて、解答者の集団を平面上に可視化する。すなわち、本装置1は、正解答が有る問題に対して、複数の解答者の誤解答の一致性から解答者の集団を可視化する。その結果、使用者は、使用者の直観に基づいて、同じ誤り方をする解答者を分類可能であると共に、分類された解答者に共通する誤り方の傾向を特定可能である。つまり、本装置1は、使用者による解答者の分類を支援可能である。また、本装置1は、解答者に共通する誤解答選択肢の選択肢IDを利用して、DB1,DB4を参照することにより、同じ誤り方をする解答者が共通して誤る問題の特性を特定可能である。その結果、例えば、本装置1は、出力部19を用いて、本装置1が特定した結果を、使用者に対して具体的に表示可能である。
【0122】
図20は、本装置1が出力する情報の例を示す模式図である。
同図は、本装置1が出力部19を用いて、表示装置4に、本装置1が特定した結果として(「B(X02)」と「C(X03)」とは、「次の例文「・・・□・・・」の□に入る単語を選択してください(ID10)」という問題で、「can(C100)」という正解答に対して「could(C102)」という誤解答をしている。「英語:文法1(F10)」の復習が必要です。)を表示していることを示す。
【0123】
図10と
図12とに戻る。
ここで、本装置1は、判定処理(S5)において、演算部17に選択肢情報群ごとに非特定選択肢情報が占める割合(すなわち、解答者ごとの正答率、問題ごとの正答率)を算出させ、割合に基づいて判定に用いられる複数の選択肢情報群を判定部15に抽出させることも可能である。この場合、例えば、本装置1は、解答者のレベル(正答率や習熟度など)に応じて、低成績の解答者間や、中成績の解答者間、高成績の解答者間、のように解答者を階層別に分けて、距離を算出可能(解答者の集団を可視化可能)である。その結果、使用者は、解答者のレベルに応じた誤りの傾向(理解度)の推移を考察可能である。
【0124】
ここで、参考例として、本発明の発明者らは、3つの大学で学生に30問の問題(5択、正解有り)を答えさせたときの誤解答選択肢が一致する確率を検証した。
【0125】
図21は、実際の試験における誤解答選択肢が一致する確率を、本実施の形態の参考例として示す模式図である。
【0126】
同図は、全解答者の中で、特に低成績(例えば、偏差値「45」以下)の解答者間において、複数の問題で誤解答選択肢が一致する確率が高いことを示す。また、同図は、全解答者の中で、特に高成績(例えば、偏差値「55」以上)の解答者間において、複数の問題で誤解答選択肢が一致する確率が低いことを示す。例えば、A大学(2015)の例では、低成績者45名の組(2人組)は990通り存在し、そのうち4問以上の問題で誤解答選択肢が一致した組は828通り存在し、その確率は0.84である。同様に、5問以上の問題で誤解答選択肢が一致した組は702通り存在し、その確率は0.71である。すなわち、低成績者2人の間では、誤解答選択肢は、5問以上の問題において、70%を超える確率で共有されている。一方、高成績者間において誤解答選択肢が一致する確率は0.33以下であり、同確率は低解答者間における同確率と比較して、格段に減少する傾向となる。これらの結果は、本発明が特に低成績者に対する学習効率や指導効率の向上の支援に適していることを示す。また、同結果は、本発明が一部の高成績者間に対する学習効率や指導効率の向上の支援にも質し得ることを示す。
【0127】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、選択肢情報群に含まれる特定選択肢情報(誤解答選択肢の選択肢ID)のみにより、問題ごとの選択肢情報が解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する。すなわち、本装置1は、解答者ごとに、問題ごとの誤解答選択肢が解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する。判定結果は、記憶部13に記憶される。そのため、使用者は、本装置1を用いて、正解答が有る問題に対して、複数の解答者の誤解答の一致性から解答者を分類可能である。つまり、本装置1は、使用者による解答者の分類を支援可能である。その結果、使用者は、同じ誤り方をする解答者を分類可能であると共に、分類された解答者に共通する誤り方の傾向を特定可能である。したがって、使用者は、同じクラスタに分類された解答者に対して同じ指導を可能とする。その結果、使用者(指導者)は効率的に指導可能であり、指導を受けた解答者は効率的に学習可能である。
【0128】
また、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、同一クラスタ内の解答者が誤った複数の問題間の関連性を捉えることを可能とする。その結果、使用者は、これらの問題を解析することにより、指導方法や指導内容の改善に質する情報を得ることも可能である。
【0129】
また、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、解答者それぞれの間の類似性を示す距離を算出する。そのため、使用者は、距離に基づいて、客観的に解答者を分類可能である。
【0130】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、距離に基づいて距離行列を生成し、距離に基づいて、距離行列に表される各距離関係を可能な限り保持するように解答者を平面上に配置する配置情報(座標値)を生成する。そのため、使用者は、配置情報に基づいて解答者を分類可能であり、分類後に同一クラスタ内の解答者に共通する誤り方の傾向を特定可能である。
【0131】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、配置情報に基づいて、解答者の集団を表示装置4に出力する。すなわち、本装置1は、解答者の集団の分布を平面上に可視化する。その結果、使用者は、可視化された解答者の集団の情報(配置情報)に基づいて、直観的に解答者を分類可能であり、分類後に同一クラスタ内の解答者に共通する誤り方の傾向を特定可能である。
【0132】
このように、本装置1は、多岐選択式の問題に対する、解答に基づく学習効率や指導効率の向上の支援を可能とする。その結果、本装置1は、低コスト・短期間で質の高い教育の実施を可能とし、社会問題である労働力不足や働き方の改革の推進に適用可能である。
【0133】
なお、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、異なる解答者ごとに、解答情報(選択肢情報)を取得していた。これに代えて、本装置は、所定の時間間隔(例えば、半年ごと)を空けて同一の解答者の解答情報(選択肢情報)を取得してもよい。この場合、本装置は、同一の解答者の問題ごとの誤り方の経時的な推移(問題に対する理解度の推移)を特定可能である。すなわち、本発明において「複数の解答者」は、異なる人物に限定されず、同一の人物(例えば、同一の学生が同一の問題を複数回答える場合)でもよい。
【0134】
また、以上説明した実施の形態によれば、解答者が答える問題の全ては、解答者ごとに共通する(同一の)問題であった。これに代えて、解答者が答える問題は、解答者ごとに選択肢の出題順序が異なってもよく、解答者ごとに問題の出題順序が異なってもよい。
【0135】
さらに、解答者が答える全問題のうち、複数の問題が全解答者に共通していれば、一部の問題は、解答者ごとに異なってもよい。すなわち、例えば、「問題1」-「問題20」までの20問の問題のうち、解答者A,B,Cは「問題1」-「問題10」に答え、解答者D,Eは「問題6」-「問題15」に答えてもよい。この場合であっても、「問題6」-「問題10」それぞれは全解答者に共通するため、本装置は、同問題の特定選択肢の一致性を判定可能であり、解答者間の距離を算出可能であり、解答者の集団を可視化可能である。
【0136】
さらにまた、解答者が答える問題の選択肢数は、問題ごとに複数の特定選択肢情報(特定選択肢の選択肢ID)が共通していれば、解答者ごとに異なってもよい。すなわち、例えば、解答者A,B,Cは選択肢ID「Cm1」-「Cm3」(mは整数)の特定選択肢を含む4択問題を答え、解答者D,Eは選択肢ID「Cm1」-「Cm4」の特定選択肢を含む5択問題を答えてもよい。この場合であっても、各問題で選択肢ID「Cm1」-「Cm3」それぞれは共通するため、本装置は、同問題の特定選択肢の一致性を判定可能であり、解答者間の距離を算出可能であり、解答者の集団を可視化可能である。
【0137】
さらにまた、解答者が答える各問題において、複数の特定選択肢情報(特定選択肢の選択肢ID)が共通していれば、一部の特定選択肢が異なってもよい。すなわち、例えば、解答者A,B,Cは選択肢ID「Cm1」-「Cm4」(mは整数)の特定選択肢を含む問題を答え、解答者D,Eは選択肢ID「Cm3」-「Cm6」の特定選択肢を含む問題を答えてもよい。この場合であっても、各問題で選択肢ID「Cm3」「Cm4」それぞれは共通するため、本装置は、同問題の特定選択肢の一致性を判定可能であり、解答者間の距離を算出可能であり、解答者の集団を可視化可能である。
【0138】
このように、本装置は、全解答者が答える問題のうち、複数の問題で複数の特定選択肢が共通していれば、それらの問題(共通する特定選択肢を含む問題)において、同問題の特定選択肢の一致性を判定可能であり、解答者間の距離を算出可能であり、解答者の集団を可視化可能である。
【0139】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本装置1はサーバ2や情報処理端末3とは別体に構成されていた。これに代えて、本装置は、サーバと一体に構成されてもよく、或いは、サーバと情報処理端末と一体に構成されてもよい。すなわち、例えば、サーバが本装置の機能を兼ねてもよく、情報処理端末が本装置の機能を兼ねてもよく、情報処理端末が本装置とサーバそれぞれの機能を兼ねてもよい。
【0140】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、1つのコンピュータにより構成されていた。これに代えて、本装置は、複数のコンピュータにより構成されてもよい。すなわち、例えば、本装置は、本装置として機能する複数のコンピュータ群で構成されてもよい。具体的には、例えば、本装置(コンピュータ群)は、記憶部を備えるコンピュータと、本情報処理を実行する制御部を備えるコンピュータと、により構成されてもよい。また、例えば、複数のコンピュータが、取得部、決定部、判定部、距離算出部、演算部、関係特定部それぞれの機能を分散して備えてもよい。この場合、複数のコンピュータは、通信回線を通じて情報の送受信をしてもよく、あるいは、可搬記憶媒体を用いて情報の譲受をしてもよい。
【0141】
さらにまた、以上説明した実施の形態では、決定部14は、正解答の有る問題に対して、誤解答選択肢を特定選択肢として決定していた。換言すれば、正解答の有る問題では、問題ごとの特定選択肢は、予め定められている。一方、正解答の無い問題では、いずれの選択肢も特定選択肢となり得る。換言すれば、正解答の無い問題では、問題ごとの特定選択肢は、解答者が答える前には予め定められていない。この場合において、決定部は、記憶部に記憶された解答者ごとの選択肢情報群に基づいて、解答者に選択された選択肢が特定選択肢か否かを決定してもよい。すなわち、例えば、決定部は、過去の選択肢情報群に基づいて、選択された割合が最も高い選択肢(例えば、多数派の選択肢)以外の選択肢(例えば、少数派の選択肢)を特定選択肢として決定してもよい。
【0142】
図22は、正解の無い問題における全解答者の選択肢情報群の例を示す模式図である。
同図は、説明の便宜上、選択肢情報を選択肢の番号に置き換えて示す。同図の下線は、決定部が一番多くの解答者(多数派)に選択された選択肢(選択された割合が最も高い選択肢)を非特定選択肢、それ以外の選択肢、すなわち、少数の解答者(少数派)に選択された選択肢を特定選択肢として決定した場合における、特定選択肢を示す。この場合、特定選択肢は、1つとは限らない。このように、特定選択肢を決定することにより、例えば、本装置は、使用者に対して、アンケートやメンタルヘルスケアの問診票などに答える少数派のクラスタ分類を可能とすると共に、少数派に共通する理由などを特定することを可能とする。また、非特定選択肢(多数派の選択肢)との距離を算出することで、本装置は、少数派クラスタ内の各解答者が多数派からどの程度離れているかの目安を使用者に与えることを可能とする。さらに、本装置は、同一の解答者が所定の時間間隔を空けて答えた同一の問題間において、特定選択肢の一致性を判定することで、使用者による解答者の分類を支援する。その結果、使用者は、例えば、解答者の心の変化や考え方の推移の兆候を検知可能である。その結果、使用者は、解答者の社会からの孤立化や心の変化の兆候を検知するリスク管理を可能とする。
【0143】
このように、本装置は、正解答の有る問題と同様に、正解答の無い問題に対しても、使用者による解答者の分類を支援可能である。
【0144】
さらにまた、以上説明した実施の形態は、特許請求の範囲に記載される発明の内容を不当に限定するものではない。また、以上説明した実施の形態で説明される構成の全てが、本開示の必須構成要件であるとは限らない。
【0145】
●画像処理装置と情報処理プログラムと情報処理方法のまとめ●
以上説明した本発明にかかる情報処理装置と、情報処理プログラムと、情報処理方法と、の特徴について、以下にまとめて記載しておく。
【0146】
(特徴1)
複数の多肢選択式の問題ごとに対応する複数の選択肢の中から前記選択肢を少なくとも1つ選択して答える複数の解答者の分類を支援する情報処理装置(例えば、情報処理装置1)であって、
前記解答者ごとに、前記解答者に選択された前記選択肢に対応する選択肢情報(例えば、選択肢ID)が関連付けられて、前記解答者ごとの選択肢情報群として記憶される記憶部(例えば、記憶部13)と、
前記選択肢情報に基づいて、前記解答者に選択された前記選択肢が特定選択肢か否かを決定する決定部(例えば、決定部14)と、
前記記憶部に記憶された前記解答者ごとの前記選択肢情報群に基づいて、前記問題ごとの前記選択肢情報が前記解答者それぞれの間で一致するか否かを判定し、判定結果を前記記憶部に記憶する判定部(例えば、判定部15)と、
を有してなり、
複数の前記選択肢は、
前記判定部の判定に用いられる複数の前記特定選択肢(例えば、誤解答選択肢)、
を含み、
前記選択肢情報は、
前記特定選択肢に対応する特定選択肢情報、
を含み、
前記判定部は、前記選択肢情報群に含まれる前記特定選択肢情報のみにより、前記問題ごとの前記選択肢情報が前記解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【0147】
(特徴2)
前記判定部の前記判定結果に基づいて、前記解答者それぞれの間の類似性を示す距離を算出し、算出された前記距離を前記記憶部に記憶する距離算出部(例えば、距離算出部16)、
を有してなる、
特徴1記載の情報処理装置。
【0148】
(特徴3)
複数の前記解答者は、
第1解答者と、
第2解答者と、
を含み、
前記選択肢情報群は、
前記第1解答者の第1選択肢情報群と、
前記第2解答者の第2選択肢情報群と、
を含み、
前記距離算出部は、前記第1選択肢情報群に含まれる前記特定選択肢情報のうち、前記第2選択肢情報群に含まれる前記特定選択肢情報と一致する前記特定選択肢情報の数に基づいて、前記第1解答者と前記第2解答者との間の前記距離を算出する、
特徴2記載の情報処理装置。
【0149】
(特徴4)
前記距離算出部は、前記距離に基づいて、前記解答者それぞれの間の距離行列を生成し、生成された前記距離行列を前記記憶部に記憶する、
特徴2記載の情報処理装置。
【0150】
(特徴5)
前記距離算出部は、前記距離に基づいて、前記解答者の集団を平面上に配置する配置情報を生成し、生成された前記配置情報を前記記憶部に記憶する、
特徴2記載の情報処理装置。
【0151】
(特徴6)
前記配置情報に基づいて、前記解答者の前記集団を表示装置に出力する出力部(例えば、出力部19)、
を有してなる、
特徴5記載の情報処理装置。
【0152】
(特徴7)
前記決定部は、前記記憶部に記憶された前記解答者ごとの前記選択肢情報群に基づいて、前記解答者に選択された前記選択肢が前記特定選択肢か否かを決定する、
特徴1記載の情報処理装置。
【0153】
(特徴8)
前記決定部は、前記問題ごとの前記選択肢のうち、前記解答者に選択された割合が最も高い選択肢以外の選択肢を前記特定選択肢として決定する、
特徴7記載の情報処理装置。
【0154】
(特徴9)
複数の前記解答者は、
第1解答者と、
第2解答者と、
を含み、
前記選択肢情報群は、
前記第1解答者の第1選択肢情報群と、
前記第2解答者の第2選択肢情報群と、
を含み、
前記判定部は、前記第1選択肢情報群に含まれる前記特定選択肢情報と、前記第2選択肢情報群に含まれる前記特定選択肢情報と、を比較して、前記問題ごとの前記選択肢情報が前記第1解答者と前記第2解答者との間で一致するか否かを判定する、
特徴1記載の情報処理装置。
【0155】
(特徴10)
複数の前記選択肢は、
前記特定選択肢とは異なる非特定選択肢(例えば、正解答選択肢)、
を含み、
前記選択肢情報は、
前記非特定選択肢に対応する非特定選択肢情報、
を含み、
前記選択肢情報群ごとに前記非特定選択肢情報が占める割合を算出する演算部(例えば、演算部17)、
を有してなり、
前記判定部は、前記割合に基づいて、前記記憶部に記憶された前記解答者ごとの前記選択肢情報群から、前記判定部の判定に用いられる複数の前記選択肢情報群を抽出する、
特徴1記載の情報処理装置。
【0156】
(特徴11)
前記問題ごとの前記選択肢は、
前記問題の正解答に対応する正解答選択肢と、
前記問題の誤解答に対応する誤解答選択肢と、
を含み、
前記特定選択肢は、前記誤解答選択肢である、
特徴1記載の情報処理装置。
【0157】
(特徴12)
コンピュータを、特徴1記載の情報処理装置として機能させる、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【0158】
(特徴13)
複数の多肢選択式の問題に対応する複数の選択肢の中から前記選択肢を少なくとも1つ選択して答える複数の解答者の分類を支援する情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、
前記解答者ごとに、前記解答者に選択された前記選択肢に対応する選択肢情報が関連付けられて、前記解答者ごとの選択肢情報群として記憶される記憶部、
を備え、
複数の前記選択肢は、
複数の特定選択肢、
を含み、
前記選択肢情報は、
前記特定選択肢に対応する特定選択肢情報、
を含み、
前記情報処理装置が、前記解答者の前記問題ごとの前記選択肢情報を取得する取得処理(例えば、処理(S2))と、
前記情報処理装置が、前記解答者に選択された前記選択肢が前記特定選択肢か否かを決定する決定処理(例えば、処理(S4))と、
前記情報処理装置が、前記解答者ごとに、前記問題ごとの前記選択肢情報を関連付けて、前記解答者ごとの選択肢情報群として前記記憶部に記憶する記憶処理(例えば、処理(S3))と、
前記情報処理装置が、前記記憶部に記憶された前記解答者ごとの前記選択肢情報群に基づいて、前記問題ごとの前記選択肢情報が前記解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する判定処理(例えば、処理(S5))と、
を有してなり、
前記判定処理は、前記選択肢情報群に含まれる前記特定選択肢情報のみにより、前記問題ごとの前記選択肢情報が前記解答者それぞれの間で一致するか否かを判定する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【0159】
(特徴14)
前記解答者の集団を表示装置に出力する出力処理(例えば、処理(S66))、
を有してなる、
特徴13記載の情報処理方法。
【符号の説明】
【0160】
1 情報処理装置
12 取得部
13 記憶部
14 決定部
15 判定部
16 距離算出部
17 演算部
18 関係特定部
19 出力部
4 表示装置