(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】フラップ折り込み装置
(51)【国際特許分類】
B31B 50/26 20170101AFI20230725BHJP
B31B 50/04 20170101ALI20230725BHJP
【FI】
B31B50/26
B31B50/04
(21)【出願番号】P 2019175964
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹下 健治
(72)【発明者】
【氏名】飯田 裕康
(72)【発明者】
【氏名】大山 健二
(72)【発明者】
【氏名】西尾 誠
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-139002(JP,A)
【文献】特開昭49-096895(JP,A)
【文献】特開2019-093667(JP,A)
【文献】特開平06-080107(JP,A)
【文献】実開平03-093403(JP,U)
【文献】特開昭63-191624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/26
B31B 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開函時に角筒となり、該角筒の開口端縁で囲まれた開口部を形成する複数のパネル
と、前記複数のパネルのうち開函時に対向する一対のパネルの前記開口端縁から延在するサイドフラップ
と、前記一対のパネルの間で、これらのパネルと接続したパネルの前記開口端縁に、第1罫線を介して延在するマイナーフラップ
と、該マイナーフラップの前記第1罫線と対向離間した該マイナーフラップにおける第2罫線を介して延在する差込みフラップを有する折り畳みシートを、移送する移送手段と、
前記折り畳みシートにおける前記複数のパネルを角筒状に保持
しながら前記移送手段によって移動する保持手段と、
前記
保持手段によって保持されている前記折り畳みシートが
前記移送手段により、設定位置に到来した際に、
該設定位置にある角筒状態の半製函体を移送することなく、前記保持手段によって角筒状に保持されている前記パネルから延在している前記サイドフラップを、前記開口部側に折り込みながら前記開口部と対峙する対峙位置に移動する折込み手段と、
前記設定位置にある角筒状態の半製函体を移送することなく、且つ、前記折込み手段が前記対峙位置に移動している際に、前記マイナーフラップを前記折込み手段に当接させて、前記マイナーフラップと前記差込みフラップを夫々前記第1罫線と前記第2罫線を基点にして前記開口部側に倒し込む倒込み手段と、
前記設定位置にある角筒状態の半製函体を移送することなく、且つ、前記倒込み手段によって倒れた前記差込みフラップを、該差込みフラップの先端部が前記開口部に向いた姿勢で押さえる押え手段と、
前記設定位置にある角筒状態の半製函体を移送することなく、且つ、前記折込み手段を前記対峙位置から退避させると共に、前記押え手段により前記差込みフラップを押さえながら、該差込みフラップが前記開口部内に進入するように、該開口部に向けて前記マイナーフラップを押し倒す押倒し手段を備えたフラップ折り込み装置。
【請求項2】
前記押倒し手段は、前記倒込み手段と一体に構成されており、共通の駆動機構によって移動し得る請求項1に記載のフラップ折り込み装置。
【請求項3】
前記保持手段は、前記移送手段に配設されており、前記複数のパネルのうち連接した2つのパネルを支持する支持面を備える請求項1または請求項2に記載のフラップ折り込み装置。
【請求項4】
前記保持手段は、前記パネルの一方の前記開口端縁と他方の前記開口端縁との間の長さよりも、前記パネルを支持する支持面の長さが短い請求項1から請求項3のいずれかに記載のフラップ折り込み装置。
【請求項5】
前記折込み手段、前記倒込み手段、前記押え手段及び前記押倒し手段の夫々は、前記角筒状に保持されるパネルの大きさに対応した位置への調整が可能である調整機構を備えた請求項1から請求項4のいずれかに記載のフラップ折り込み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱の差込みフラップを折り込むフラップ折り込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳まれたカートン紙などからなるセットアップシートを起こして角筒状態にすることで、その両側方に開口端縁で囲まれた開口部が形成された半製函体をコンベヤで搬送しながら、半製函体の開口端縁から延出したサイドフラップをサイドガイド部材に当接させて開口部側に序々に倒した後、そのサイドフラップに隣接形成されたマイナーフラップとそのマイナーフラップの先端に形成された差込みフラップを折り曲げて、差込みフラップを開口部に差し込んで、先に倒したサイドフラップに重なるようにマイナーフラップを倒すことで開口部を閉じるフラップ折り込み装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、搬送方向と交差する側方に半製函体の開口端縁を向けて搬送しながら半製函体の閉鎖フラップ2(マイナーフラップ)を折り込む装置が示されている。特許文献1においては、記述されていないフラップ折り機によって、半製函体の開口部側に既に倒された一対の対向フラップ(サイドフラップ)を、ガイド6が保持しながら半製函体を所定位置まで搬送して、閉鎖フラップ2を第1折畳部材7と衝止部材8で支持しながら、第2折畳部材11を移動して閉鎖フラップ2の先端の差し込みフラップを倒して箱の開口部内に差し込むフラップ折り込み装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来のフラップ折り込み装置は、半製函体の開口部側にサイドフラップを倒し始めてから倒し終わるまでに半製函体を移動させる距離、または、開口部側に倒し終えたサイドフラップを保持しながら半製函体を移動させる距離が必要であった。そのため、フラップ折り込み装置自体の大型化を招いていた。
【0006】
本発明は、小型化を図り得るフラップ折り込み装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のフラップ折り込み装置は次の手段をとる。先ず請求項1に係る発明は、開函時に角筒となり、該角筒の開口端縁(5)で囲まれた開口部(6)を形成する複数のパネルと、前記複数のパネルのうち開函時に対向する一対のパネルの前記開口端縁(5)から延在するサイドフラップ(F3)と、前記一対のパネルの間で、これらのパネルと接続したパネルの前記開口端縁(5)に、第1罫線(L1)を介して延在するマイナーフラップ(F4)と、該マイナーフラップ(F4)の前記第1罫線(L1)と対向離間した該マイナーフラップ(F4)における第2罫線(L2)を介して延在する差込みフラップ(F5)を有する折り畳みシート(1)を、移送する移送手段(10)と、前記折り畳みシート(1)における前記複数のパネルを角筒状に保持しながら前記移送手段(10)によって移動する保持手段(20)と、前記保持手段(20)によって保持されている前記折り畳みシート(1)が前記移送手段(10)により、設定位置に到来した際に、該設定位置にある角筒状態の半製函体を移送することなく、前記保持手段(20)によって角筒状に保持されている前記パネルから延在している前記サイドフラップ(F3)を、前記開口部(6)側に折り込みながら前記開口部(6)と対峙する対峙位置に移動する折込み手段(30)と、前記設定位置にある角筒状態の半製函体を移送することなく、且つ、前記折込み手段(30)が前記対峙位置に移動している際に、前記マイナーフラップ(F4)を前記折込み手段(30)に当接させて、前記マイナーフラップ(F4)と前記差込みフラップ(F5)を夫々前記第1罫線(L1)と前記第2罫線(L2)を基点にして前記開口部(6)側に倒し込む倒込み手段(60)と、前記設定位置にある角筒状態の半製函体を移送することなく、且つ、前記倒込み手段(60)によって倒れた前記差込みフラップ(F5)を、該差込みフラップ(F5)の先端部(7)が前記開口端縁(5)で囲まれた前記開口部(6)に向いた姿勢で押さえる押え手段(50)と、前記設定位置にある角筒状態の半製函体を移送することなく、且つ、前記折込み手段(30)を前記対峙位置から退避させると共に、前記押え手段(50)により前記差込みフラップ(F5)を押さえながら、該差込みフラップ(F5)が前記開口部(6)内に進入するように、該開口部(6)に向けて前記マイナーフラップ(F4)を押し倒す押倒し手段(70)を備える。
【0008】
この請求項1に係る発明によれば、複数のパネルが角筒状に保持された半製函体を、移送手段(10)により設定位置まで移送する。該設定位置において、折込み手段(30)により半製函体のサイドフラップ(F3)を開口部(6)側に折り込んだ後、該開口部(6)と対峙する対峙位置にある折込み手段(30)にマイナーフラップ(F4)を当接させることにより、折込み手段(30)によりマイナーフラップ(F4)の裏面を支持しながら、倒込み手段(60)によりマイナーフラップ(F4)と差込みフラップ(F5)の夫々を開口部(6)側に倒し込むことができる。さらに、前記折込み手段(30)を前記対峙位置から退避させると共に、前記倒込み手段(60)により倒れた差込みフラップ(F5)を押え手段(50)により押さえながら、差込みフラップ(F5)が開口部(6)の内側に差し込まれるように、押倒し手段(70)によりマイナーフラップ(F4)を押し倒すことができる。これにより、前記設定位置にある角筒状態の半製函体を移送することなく、半製函体のサイドフラップ(F3)を折り込む工程からマイナーフラップ(F4)を開口部(6)の内側に押し倒す工程まで進めることができる。そのため、従来よりも半製函体の移送手段(10)の距離を短くすることができ、装置の小型化を図ることができる。
【0009】
次に、請求項1に従属する請求項2に係る発明は、前記押倒し手段(70)は、前記倒込み手段(60)と一体に構成されており、共通の駆動機構によって移動し得る。
【0010】
この請求項2に係る発明によれば、押倒し手段(70)は、倒込み手段(60)と一体となっているため、マイナーフラップ(F4)と差込みフラップ(F5)の夫々を開口部(6)側に倒し込むと共に、差込みフラップ(F5)が開口部(6)内に差し込まれるように、マイナーフラップ(F4)を押し倒すことができる。これにより、押倒し手段(70)と倒込み手段(60)の夫々について駆動機構を設ける必要がないため、フラップ折り込み装置を構成する部材を減らすことができる。
【0011】
次に、請求項1または請求項2に従属する請求項3に係る発明は、前記保持手段(20)は、前記移送手段(10)に配設されており、連接した2つのパネルを支持する支持面(21)を備える。
【0012】
この請求項3に係る発明によれば、保持手段(20)は、前記複数のパネルのうち連接した2つのパネルを支持すると共に、パネルを角筒状に保持することができるため、角筒状態の半製函体を安定して移送することができる。
【0013】
次に、請求項1から請求項3のいずれかに従属する請求項4に係る発明は、前記保持手段(20)は、前記パネルの一方の前記開口端縁(5)と他方の前記開口端縁(5)との間の長さよりも、前記パネルを支持する支持面(21)の長さが短い、該支持面(21)を備える。
【0014】
この請求項4に係る発明によれば、マイナーフラップ(F4)を倒し込み、開口部(6)の内側へ押し込む工程において、倒込み手段(60)や押倒し手段(70)が、保持手段(20)と干渉することを防ぐことができる。また、サイズの異なる折り畳みシート(1)に対応できる。
【0015】
次に、請求項4に従属する請求項5に係る発明は、前記折込み手段(30)、前記倒込み手段(60)、前記押え手段(50)及び前記押倒し手段(70)の夫々は、前記角筒状に保持されるパネルの大きさに対応した位置への調整が可能である調整機構(80)を備える。
【0016】
この請求項5に係る発明によれば、前記折込み手段(30)、前記倒込み手段(60)、前記押え手段(50)及び前記押倒し手段(70)の夫々は、位置の調整が可能であるため、角筒状態における折り畳みシート(1)の夫々のフラップを折り込む位置や差し込み位置を細かく設定できる。そのため、より精密な装置を構成することができ、様々な大きさの角筒状態における折り畳みシート(1)に対応可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、小型化を図り得るフラップ折り込み装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】シートを起函して角筒状になった半製函体の箱の開口部から該箱内部に物品を供給した後、箱の開口部を閉じる包装システムを示した概略平面図である。
【
図2】(a)はシート保持部に扁平のシートが載置された状態を示す図であり、(b)はシート保持部でシートが半製函された状態を示す図である。
【
図3】第1折曲げ機構の略体側面図であると共に、図示省略されたシート保持部によって保持されている箱との位置関係を示した図である。
【
図4】折込み機構(折込み手段)と押え機構(押え手段)を略体的に示した正面図である。
【
図5】本実施形態に係るフラップ折り込み装置が、サイドフラップを折り込む工程から、差込みフラップを開口部内へ押し倒す工程までの一連の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、カートン紙等からなり扁平に折り畳まれたセットアップ式のシート1を起函して角筒になった半製函状態の箱の開口部から該箱内部に物品を供給した後、箱の開口部を閉じる包装システムを示した平面図であり、包装システムには、移送機構10、シート供給部110、サイドフラップ外開き部120、物品供給部130、第1折曲げ機構140、第2折曲げ機構150が配設されている。この包装システムの一部として、本実施形態におけるフラップ折り込み装置として後述する複数のパネルが角筒状に開函されたシート1を保持しながら移送してサイドフラップF3とマイナーフラップF4と差込みフラップF5を折り込む装置が配設されている。
【0020】
移送機構10(移送手段)は、サーボモータなどの駆動源から駆動を受けて
図1に矢示した前後方向に直線的に反復走行するチェーンなどからなる走行体に対して別の駆動源から駆動を受けて
図1に矢示した左右方向に直線的に反復走行し得る支持部材を配設し、その支持部材に対して、昇降シリンダを介してシート保持部20(保持手段)が配設されることによって、シート保持部20(保持手段)が、前後方向、左右方向、上下方向の夫々に直線的に反復移動し得るように構成されている。
【0021】
シート保持部20(保持手段)は、
図2に示すように、L字状の支持面21を有している。支持面21は、水平方向に延在する平面からなる載置面22と、載置面22の後端縁(移送方向後方側)から鉛直方向に起立した起立面23を有しており、載置面22と起立面23には、夫々、複数の吸着具24、25が埋没されている。
【0022】
シート供給部110は、
図1を参照として、回動自在なロボットアーム111とその先端に着いたハンド部113に吸着手段(不図示)を有したロボット(不図示)が、吸着手段(不図示)によって、シート貯留部112におかれた扁平に折り畳まれたシート1の複数のパネルの一つを吸着した後、ロボットアーム111が回動させてシート1をシート保持部20まで移送する。
【0023】
シート供給部110におけるロボットは、シート1をシート保持部20に移送した際にシート保持部20と共働してシート1を起函する起函装置としても機能する。具体的にはシート1がシート保持部20に移送されると、シート1の1つのパネルとは隣接していない対向パネルを載置面22の吸着具24が吸着する。その後、ロボットアーム111が前記対向パネルを前記1つのパネルから離間させてパネルを角筒状にするように、上方に移動する。このことによってパネルが角筒状に成形される。パネルが角筒状に成形された際に、起立面23に埋設された吸着具25によって前記シート1の1つのパネルと隣接したパネルが吸着保持され、その後、シート供給部110による吸着が解除される。このことによって、シート保持部20単独で、パネルが角筒状に成形されたその形状を常に保持しながら半製函状態の箱を移送方向下流に向けて移送し得ることになる。
【0024】
なお、本実施形態で使用されるシート1は、
図2に示すように、幅広の第1パネルP1及び第3パネルP3に対し、幅狭の第2パネルP2及び第4パネルP4が第4罫線L4を介して夫々接続されて環状に繋がるように胴貼りされている。シート1が開函されて、第1パネルP1乃至第4パネルP4が角筒状に成形された際に、その角筒の両側には開口端縁5で囲まれた開口部6が形成される。幅狭の第2パネルP2と第4パネルP4の夫々の開口端縁5は、第3罫線L3であり、サイドフラップF3が接続されている。幅広の第3パネルP3の夫々の開口端縁5は、第1罫線L1であり、マイナーフラップF4が接続されている。さらに、各マイナーフラップF4には、第1罫線L1とは対向離間した位置に第2罫線L2が形成されており、第2罫線L2を介して差込みフラップF5が接続されている。
【0025】
本実施形態では、ハンド部113の吸着手段によって第1パネルP1が吸着され、シート保持部20の載置面22の吸着具24によって第3パネルP3が吸着され、起立面23の吸着具25によって第2パネルP2が吸着される。
【0026】
サイドフラップ外開き部120は、角筒状態におけるシート1のサイドフラップF3を、開口部6の外側へ開くために構成される。これにより、後述する物品供給部130において開口部6の内側へ物品Wを供給する際、物品供給ガイド131とサイドフラップF3の干渉を防止し得る。サイドフラップ外開き部120は、
図1に示すように、エアシリンダ121と棒状の押出部材122を備える。エアシリンダ121は、押出方向を前後に向けて配設され、エアシリンダ121の押出方向には、押出部材122が取付けられている。押出部材122は、前後方向に往復運動し、押出し及び後退する構成となっている。
【0027】
物品供給部130は、
図1に示すように、コンベヤ133の搬送終端に搬送されてきた物品Wを、プッシャー132を用いてコンベヤ133の側方に配設された物品供給ガイド131を介して、半製函状態の箱内部に供給する。なお、物品Wの供給は、移送機構10がシート保持部20を右側に移動させることで、サイドフラップF3が外側に開かれた開口部6に物品供給ガイド131の先端部が進入した状態でなされる。
【0028】
第1折曲げ機構140及び第2折曲げ機構150は、角筒状態におけるシート1のサイドフラップF3、マイナーフラップF4、差込みフラップF5を折り込むために構成される。第1折曲げ機構140と第2折曲げ機構150は実質的に同様であるため、代表として第1折曲げ機構140について説明し、第2折曲げ機構150についての詳細な説明は省略する。
【0029】
第1折曲げ機構140は、
図3に示すように、折込み機構30(折込み手段)と、倒込み機構60(倒込み手段)と、押え機構50(押え手段)と、押倒し機構70(押倒し手段)と、調整機構80を有する。
【0030】
本実施形態においては、
図3に示すように、フラップ折り込み装置の本体枠101に、調整機構80が第1フレーム85を介して吊り下げ支持されている。調整機構80には、第2フレーム39が上下方向に移動可能に接続されている。また、第2フレーム39には折込み機構30及び押え機構50が備えられている。さらに、本体枠101には、押倒し機構70と兼用する倒込み機構60が、折込み機構30及び押え機構50と対向するようにフレーム71を介して吊り下げ支持されている。
【0031】
折込み機構30(折込み手段)は、移送機構10(移送手段)により角筒状態のシート1が設定位置に到来した際に、シート保持部20(保持手段)によって角筒状に保持されているシート1のサイドフラップF3を折り込むために構成される。折込み機構30は、
図3、4に示すように、サーボモータ31、回動部材32と、夫々一対の回動リンク33、ブラケット36、折込み部材37、スライダ34、ガイドレール35を備える。
【0032】
折込み機構30は、サーボモータ31が回転軸を下方に向けて、第2フレーム39に取付けられている。棒状の回動部材32には、中心部と両端に夫々連結用の穴が開いている。棒状の回動リンク33には両端に夫々連結用の穴が開いている。サーボモータ31の回転軸には、回動部材32の中心が接続される。回動部材32は長手方向を前後に向けて備えられ、回動可能な構成となっている。回動部材32の両端には回動リンク33の一端が夫々長手方向を前後に向けて連結されている。これらの回動リンク33の他端には、夫々帯板上のブラケット36が長手方向を上下に向けて取り付けられている。ブラケット36の下端には、断面形状が三角形である棒状の折込み部材37が水平方向に対向して配設されている。また、帯板上のガイドレール35が長手方向を前後に向けて第2フレーム39に備えられている。ガイドレール35にはスライダ34を介してブラケット36が前後方向に移動できるよう接続されている。ブラケット36及び折込み部材37は、回動部材32の回動に伴いガイドレール35に沿って前後方向に往復移動し、2つの折込み部材37は対向して近接及び離間する構成となっている。回動リンク33は、角筒状態におけるシート1の第1パネルP1及び第3パネルP3の大きさに対応して、長さ調整可能な構成となっている。
【0033】
押え機構50(押え手段)は、倒込み機構60によって倒れた差込みフラップF5の先端部7が開口端縁5で囲まれた開口部6を向くように差込みフラップF5を押さえるために構成される。押え機構50は、
図3、4に示すように、エアシリンダ51と押え部材52を備える。エアシリンダ51は、一対のガイドレール35の間に挟まれるように配設され、支持部材57を介して第2フレーム39に取付けられている。エアシリンダ51には、凹形状の押え部材52が垂下状に接続されている。押え部材52は、底面の前後方向両端に直方体状の押圧部53を有する。押圧部53は、後述するフォーク部材68の先端部69と噛み合う構成となっている。押え部材52は、エアシリンダ51により駆動して上下方向に進退する。
【0034】
また、押え部材52の右側には、第2フレーム39を介してエアシリンダ54と板状の箱押え部材55が垂下状に接続されている。箱押え部材55は、角筒状態のシート1を角筒状に保持するために構成され、保持手段としても機能する。箱押え部材55は、エアシリンダ54により駆動して上下方向に進退する。
【0035】
調整機構80は、角筒状態におけるシート1の第2パネルP2及び第4パネルP4の大きさに対応して、折込み機構30及び押え機構50の高さを調整し得るように構成される。調整機構80は、
図3に示すように、回転ハンドル81、スクリューシャフト82、噛み合いねじ(不図示)を備える。回転ハンドル81の下方にはスクリューシャフト82が長手方向を上下に向けて接続されている。スクリューシャフト82は噛み合いねじを介して第2フレーム39と接続している。回転ハンドル81を回すと第2フレーム39が上下方向に動き、第2フレーム39と接続した折込み機構30及び押え機構50が上下方向に移動可能な構成となっている。
【0036】
倒込み機構60(倒込み手段)は、折込み部材37が開口部6と対峙する対峙位置に移動している際に、マイナーフラップF4を折込み部材37に当接させて、マイナーフラップF4と差込みフラップF5を夫々第1罫線L1と第2罫線L2を基点にして開口部6側に倒し込むために構成される。倒込み機構60は、
図3に示すように、水平方向に直動可能な第1スライダ63と第1レール62、第1サーボモータ61、垂直方向に直動可能な第2スライダ66と第2レール65、第2サーボモータ64、フォーク部材68を備える。
【0037】
倒込み機構60は、
図3に示すように、本体枠101にはフレーム71を介して帯板上の第1レール62が長手方向を左右に向けて取付けられている。第1レール62には、板状の第1スライダ63が取付けられている。第1スライダ63は、第1レール62に沿って左右方向に直線運動可能である。また、第1レール62の左側端部には、第1スライダ63の駆動機構である第1サーボモータ61が取付けられている。第1スライダ63の表面中央には、帯板上の第2レール65が長手方向を上下に向けて取付けられている。第2レール65には、板状の第2スライダ66が取付けられている。第2スライダ66は、第2レール65に沿って上下方向に直線運動可能である。第2スライダ66には、フォーク部材68が支持部材67を介して、折込み機構30及び押え機構50と対向するように取付けられている。フォーク部材68は凹凸形状の先端部69を有し、押圧部53(押え手段)と噛み合う構成となっている。第2レール65の上端部には、第2スライダ66の駆動機構である第2サーボモータ64が取付けられている。このような第1スライダ63と第2スライダ66の組合せにより、フォーク部材68が水平方向及び垂直方向の2次元において自在に移動可能な構成となっている。
【0038】
押倒し機構70(押倒し手段)は、折込み部材37を開口部6と対峙する対峙位置から退避させると共に、押え部材52により差込みフラップF5を押さえながら、差込みフラップF5が開口部6の内側に進入するように、開口部6に向けてマイナーフラップF4を押し倒すために構成される。本実施形態に係る押倒し機構70(押倒し手段)は、倒込み機構60(倒込み手段)と兼ねる構成である。
【0039】
次に、上記実施形態におけるフラップ折り込み装置、シート供給部110、サイドフラップ外開き部120、物品供給部130の一連の動作について
図1~5を用いて説明する。
【0040】
シート供給部110において、
図1に示すように、ロボットアーム111が作動し、折り畳み状態のシート1をハンド部113の吸着手段で吸着して待機する。移送機構10がシート供給部110に到来した際、折り畳み状態のシート1は、移送機構10に支持されるシート保持部20の載置面22上に載置され、角筒状に起函される。このとき、角筒状態のシート1(半製函体)の開口部6は移送方向と交差する方向(左右方向)を向いている。シート1が開函され角筒状態となった際、ハンド部113の吸着手段はシート1の吸着を解除する。
【0041】
移送機構10(移送手段)は、
図1を参照として、移送方向(前後方向)に移動する走行体によって、移送方向に沿って配置されているシート供給部110、サイドフラップ外開き部120、物品供給部130、第1折曲げ機構140、第2折曲げ機構150に順次移動し、走行体に備えられた支持部材が移送方向と交差する方向(左右方向)に移動することにより、各設定位置に近接する。
【0042】
角筒状態のシート1(半製函体)は、移送される際、
図2に示すように、連接した第2パネルP2及び第3パネルP3が夫々吸着具24、25によって吸着され、角筒状の形状が保持されている。
【0043】
サイドフラップ外開き部120においては、
図1、2を参照として、角筒状態のシート1(半製函体)が設定位置に到来した際、押出部材122が前方に動く。これにより、第4パネルP4から延在するサイドフラップF3は押出部材122に押され、第3罫線L3を基点に開口部6の外側へ開く。次に、移送機構10により角筒状態のシート1(半製函体)が移送方向へ移動する。これにより、第2パネルP2から延在するサイドフラップF3が押出部材122に当接し、第3罫線L3を基点に開口部6の外側に開く。
【0044】
物品供給部130においては、
図1を参照として、プッシャー132により、物品Wが物品供給ガイド131を介して、角筒状態のシート1(半製函体)の内部に供給される。
【0045】
第1折曲げ機構140においては、一方の開口端縁5から延在するサイドフラップF3を折り込む工程、マイナーフラップF4及び差込みフラップF5を倒し込む工程、押える工程及び押し倒す工程が行われる。第2折曲げ機構150において、他方の開口端縁5から延在するサイドフラップF3、マイナーフラップF4及び差込みフラップF5について、第1折曲げ機構140と実質的に同様の工程が行われる。代表として、
図2、3、4、5を参照として、第1折曲げ機構140によって行われる各工程について説明し、第2折曲げ機構150によって行われる工程については、詳細な説明を省略する。
【0046】
図5(a)に示すように、角筒状態におけるシート1が、設定位置に到来する。
【0047】
図5(b)に示すように、一対の折込み部材37が、角筒状態におけるシート1のサイドフラップF3に、
図4の二点鎖線のごとく、折込端部38を突き当て、開口部6(
図2、4参照)を塞ぐようにサイドフラップF3を折り込みながら、開口部6と対峙する対峙位置に移動し、近接する。
【0048】
図5(c)に示すように、折込み部材37によりサイドフラップF3が折り込まれ、折込み部材37が開口部6(
図2、4参照)と対峙する対峙位置に移動している際に、マイナーフラップF4と、差込みフラップF5がフォーク部材68により倒し込まれる。具体的には、フォーク部材68が、マイナーフラップF4の高さ位置よりも下方から上昇することにより、マイナーフラップF4が第1罫線L1を基点にして倒し込まれ、開口部6と対峙する対峙位置に移動している折込み部材37に当接する。
【0049】
図5(d)に示すように、フォーク部材68が角筒状態のシート1の開口部6(
図2、4参照)に向って水平方向に移動することにより、差込みフラップF5が第2罫線L2を基点にして倒し込まれる。この際、マイナーフラップF4及び差込みフラップF5は裏側から折込み部材37に支持されている。
【0050】
図5(e)に示すように、押え部材52が下降し、フォーク部材68によって倒し込まれた差込みフラップF5に上方から押圧部53を当接させる。この際、フォーク部材68と押え部材52は夫々の凹凸部分が噛み合い、重なった状態になる。これにより、フォーク部材68によって倒し込まれた差込みフラップF5の位置を維持できる。また、差込みフラップF5の先端部7を開口部6に差し込む際に、先端部7がサイドフラップF3に干渉しないように、通常、シート1は、差込みフラップF5の厚み分の考慮がなされており、第3罫線L3におけるサイドフラップF3の長さが第2パネルP2、第4パネルP4の長さより短く形成されている。このため、サイドフラップF3が開口部6側に倒された際の開口部6の
図4における前後方向の大きさは、第1パネルP1の裏面から差込みフラップF5の略厚み部下方までが最も大きくなるように、差込みフラップ受入れ空間(不図示)が形成されている。本実施形態においては、差込みフラップF5の先端部7がこの差込みフラップ受入れ空間(不図示)に向けて差し込まれるように、押え部材52によって、差込みフラップF5の角度が設定された角度で押さえられる、その角度が維持される。
【0051】
押え部材52が下降する際、箱押え部材55(
図3参照)が下降し、角筒状態におけるシート1の第1パネルP1に上方から当接する。これにより、シート1の角筒状の形状を保持し、安定して差込みフラップF5を開口部6の内側に差し込むことができる。
【0052】
図5(f)に示すように、押え部材52により差込みフラップF5が押えられると、折込み部材37が退避すると共に、フォーク部材68が退避する。
【0053】
図5(g)に示すように、フォーク部材68が開口部6(
図2、4参照)に向かって水平移動することにより、押え部材52によって保持されているマイナーフラップF4と差込みフラップF5が開口部6の内側に押し倒される。
【0054】
以上のようなフラップ折り込み装置は、次のような効果がある。
(1)マイナーフラップF4及び差込みフラップF5を倒し込む際、折込み部材37は、マイナーフラップF4及び差込みフラップF5を裏側から支持する。すなわち、折込み部材37は、サイドフラップF3を折込むための部材とマイナーフラップF4及び差込みフラップF5を支持するための部材を兼用する。これにより、装置を構成する部材を減らすことができる。そのため、角筒状態のシート1(半製函体)を移送する距離を短くして、装置の小型化を図ることができる。
(2)押倒し機構70は、倒込み機構60と別体で構成して、夫々を駆動制御する手法を採用することも可能であるが、実施形態においては、倒込み機構60と一体となっており、フォーク部材68は、マイナーフラップF4及び差込みフラップF5を倒し込む部材と押し倒す部材を兼用する。これにより、倒込み機構60と押倒し機構70の夫々について駆動機構を設ける必要がないため、装置を構成する部材を減らすことができる。そのため、角筒状態のシート1を移送する距離を短くして、装置の小型化を図ることができる。
(3)折込み機構30及び押え機構50は、調整機構80により、折込み部材37及び押え部材52の高さ位置を調整できる。また、回動リンク33の長さを調整することにより、折込み部材37の水平方向の位置を調整できる。そのため、様々な大きさのシート1に対応可能となる。
(4)シート保持部20はL字状の支持面21を有しており、連接した第2パネルP2及び第3パネルP3を夫々吸着具24、25で吸着する。これにより、角筒状態のシート1(半製函体)の角筒状の形状が維持されるため、半製函体を安定して移送することができる。
(5)L字状の支持面21を構成する載置面22は、
図2に示すように、その長さ21x、21yが角筒状態における第3パネルP3の長さPx、Pyよりも短いため、フォーク部材68と干渉することを防ぐことができる。また、サイズの異なるシート1に対応可能である。
(6)押え部材52とフォーク部材68は互いに噛み合う形状となっているため、倒し込まれたマイナーフラップF4と差込みフラップF5を押さえた際に、これらの2つの部材が重なって同時にマイナーフラップF4と差込みフラップF5に当接する。これにより、差込みフラップF5の位置を維持できる。
(7)差込みフラップF5の先端部7がこの差込みフラップ受入れ空間(不図示)に向けて差し込まれるように、押え部材52によって、差込みフラップF5の角度が設定された角度で押さえられる、その角度が維持される。これにより、差込みフラップF5の先端部7とサイドフラップF3又は第1パネルP1との干渉を防ぐことができる。
【0055】
<変更例>
(1)シート1を角筒状に保持するための保持手段20としては、隣接した第2パネルP2及び第3パネルP3を吸着したが、対向する第1パネルP1及び第3パネルP3又は、対向する第2パネルP2及び第4パネルP4を吸着保持してもよい。
(2)調整機構80については、回転ハンドル81を回すことによって、折込み手段30や押え手段50の位置を調整する構成としたが、このような手動による位置調整に限定されるものではなく、入力したシート1のサイズなどに基づき、モータ駆動などにより自動で位置が調整できる構造を採用してもよい。
(3)移送手段10の移動方向について、前後方向及び左右方向の水平面上を移動するよう各工程の機構を配置する構成の例を示したが、この配置に限定されるものではなく、垂直方向等、様々な移送方向の設定が採用可能である。また、移送手段10の移動は直線方向に限定されるものではなく、環状の移送手段等、様々な移送方向の採用が可能である。
(4)折込み部材37については、マイナーフラップF4と差込みフラップF5の裏面を支持すべく
図5のように三角形の断面形状をしているが、第2罫線L2を基点に差込みフラップF5を倒し込むことが可能であれば、平板の断面形状などであってもよい。すなわち、マイナーフラップF4および差込みフラップF5を倒し込む際に、折込み部材37は、マイナーフラップF4のみを支持する構成でもよい。
(5)第2罫線L2を基点に差込みフラップF5を倒し込む際に、その基点に当接する又はその基点の近傍に位置する折込み部材37の断面三角(
図5参照)の一角の角度は、本実施形態より更に鋭角であってもよく、このように構成する際には、差込みフラップF5の先端部7が、差込みフラップ受入れ空間に向くように、折込み部材37が差込みフラップF5の裏面を支持するように、折込み部材37を取り付けることが好ましい。折込み部材37の取り付け角度が自動又は手動で変更し得る構成を採用すれば、箱の形状やサイズなどに対応して得ることからより好ましい。
【符号の説明】
【0056】
1:シート 5:開口端縁 6:開口部 L1:第1罫線 L2:第2罫線
F3:サイドフラップ F4:マイナーフラップ F5:差込みフラップ 7:先端部
10:移送機構(移送手段) 20:シート保持部(保持手段)
30:折込み機構(折込み手段) 50:押え機構(押え手段)
60:倒込み機構(倒込み手段) 70:押倒し機構(押倒し手段)
80:調整機構