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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】低損失ガルバニック絶縁回路要素
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/01 20060101AFI20230725BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H03H7/01 A
H01F27/00 S
H01F27/00 160
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019552478
(86)(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2018023733
(87)【国際公開番号】W WO2018175703
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】15/466,961
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】スワミナサン サンカラン
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー アレン クラメール
(72)【発明者】
【氏名】バヘル ハルーン
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-160761(JP,A)
【文献】特開2010-283817(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0012622(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/00
H03H1/00-H03H3/00
H03H5/00-H03H7/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガルバニック絶縁バリアを横切ってデータ信号を搬送するための絶縁回路であって、
容量性結合ガルバニック絶縁回路であって、
第1のプレートと第2のプレートとを含む第1の結合キャパシタと、
第1のプレートと第2のプレートとを含む第2の結合キャパシタと、
前記第1の結合キャパシタの第1のプレートに接続される第1の端部と、前記第2の結合キャパシタの第1のプレートに接続される第2の端部とを含むボンドワイヤと、
を含み、
前記第1の結合キャパシタと前記第2の結合キャパシタと前記ボンドワイヤとが、前記第1の結合キャパシタの第2のプレートと前記第2の結合キャパシタの第2のプレートとの間に直列共振回路を形成する、前記容量性結合ガルバニック絶縁回路と、
第1の回路であって、入力データ信号を受信するための第1の共振タンク入力ノードと、前記第1の結合キャパシタの第2のプレートに接続される第1の共振タンク出力ノードと、前記第1の結合キャパシタの第2のプレートに関連する第1の寄生キャパシタを備える第1の共振タンク回路を形成するために前記第1の共振タンク出力ノードと結合される第1のインダクタとを含む、前記第1の回路と、
第2の回路であって、前記第2の結合キャパシタの第2のプレートに接続される第2の共振タンク入力ノードと、出力データ信号を提供するための第2の共振タンク出力ノードと、前記第2の結合キャパシタの第2のプレートに関連する第2の寄生キャパシタを備える第2の共振タンク回路を形成するために前記第2の共振タンク入力ノードと結合される第2のインダクタとを含む、前記第2の回路と、
を含む、絶縁回路。
【請求項2】
請求項1に記載の絶縁回路であって、
前記第2の回路が前記第1の回路と実質的に同一である、絶縁回路。
【請求項3】
請求項1に記載の絶縁回路であって、
前記第1のインダクタが、前記第1の共振タンク回路を第1の並列共振タンク回路として形成するために、前記第1の寄生キャパシタと並列に接続され、
前記第2のインダクタが、前記第2の共振タンク回路を第2の並列共振タンク回路として形成するために、前記第2の寄生キャパシタと並列に接続され、
前記第1の回路と前記容量性結合ガルバニック絶縁回路と前記第2の回路とが、前記入力データ信号を入力として受信し、前記出力データ信号を出力として提供する、3次又はそれ以上の帯域通過フィルタを形成する、絶縁回路。
【請求項4】
請求項3に記載の絶縁回路であって、
前記第1の回路が、前記第1のインダクタに接続されるキャパシタを更に含み、
前記第2の回路が、前記第2のインダクタに接続されるキャパシタを更に含む、絶縁回路。
【請求項5】
請求項4に記載の絶縁回路であって、
前記第1の回路と前記第2の回路と前記容量性結合ガルバニック絶縁回路とが、差動回路である、絶縁回路。
【請求項6】
請求項4に記載の絶縁回路であって、
前記第1の回路が、前記第1の回路の前記キャパシタと並列に前記第1の共振タンク入力ノードに接続される1次巻線を含む第1の変圧器を更に含み、前記第1の回路の第1のインダクタが、前記第1の寄生キャパシタを備える前記第1の共振タンク回路を形成するために、前記第1の共振タンク出力ノードに接続される前記第1の変圧器の2次巻線であり、
前記第2の回路が、前記第2の回路の前記キャパシタと並列に前記第2の共振タンク出力ノードに接続される2次巻線を含む第2の変圧器を更に含み、前記第2の回路の第のインダクタが、前記第2の寄生キャパシタを備える前記第2の共振タンク回路を形成するために、前記第2の共振タンク入力ノードに接続される前記第2の変圧器の1次巻線である、絶縁回路。
【請求項7】
請求項4に記載の絶縁回路であって、
前記第1の回路の前記キャパシタが、前記第1の寄生キャパシタと並列に接続され、
前記第2の回路の前記キャパシタが、前記第2の寄生キャパシタと並列に接続される、絶縁回路。
【請求項8】
請求項7に記載の絶縁回路であって、
前記第1の回路が、前記第1の共振タンク入力ノードと前記第1の共振タンク出力ノードとの間で互いに直列に接続される第1のキャパシタと別のインダクタとを含み、
前記第2の回路が、前記第2の共振タンク入力ノードと前記第2の共振タンク出力ノードとの間で互いに直列に接続される第2のキャパシタと別のインダクタとを含み、
前記第1の回路と前記容量性結合ガルバニック絶縁回路と前記第2の回路とが、前記入力データ信号を入力として受信し、前記出力データ信号を出力として提供する、5次又はそれ以上の帯域通過フィルタを形成する、絶縁回路。
【請求項9】
請求項7に記載の絶縁回路であって、
前記第1の回路が、前記第1の共振タンク入力ノードと前記第1の共振タンク出力ノードとの間に接続される第2のキャパシタを更に含み、
前記第2の回路が、前記第2の共振タンク入力ノードと前記第2の共振タンク出力ノードとの間に接続される第2のキャパシタを更に含む、絶縁回路。
【請求項10】
請求項1に記載の絶縁回路であって、
前記第1のインダクタが、前記第1の共振タンク回路を第1の直列共振タンク回路として形成するために、前記第1の寄生キャパシタと直列に接続され、
前記第2のインダクタが、前記第2の共振タンク回路を第2の直列共振タンク回路として形成するために、前記第2の寄生キャパシタと直列に接続され、
前記第1の回路と前記容量性結合ガルバニック絶縁回路と前記第2の回路とが、前記入力データ信号を入力として受信し、前記出力データ信号を出力として提供する、3次又はそれ以上の帯域通過フィルタを形成する、絶縁回路。
【請求項11】
請求項1に記載の絶縁回路であって、
前記第1の回路と前記第2の回路と前記容量性結合ガルバニック絶縁回路とが、差動回路である、絶縁回路。
【請求項12】
請求項1に記載の絶縁回路であって、
前記第1の回路が、前記第1の共振タンク入力ノードに接続される1次巻線を含む第1の変圧器を更に含み、前記第1の回路の第1のインダクタが、前記第1の寄生キャパシタを備える前記第1の共振タンク回路を形成するために、前記第1の共振タンク出力ノードに接続される前記第1の変圧器の2次巻線であり、
前記第2の回路が、前記第2の共振タンク出力ノードに接続される2次巻線を含む第2の変圧器を更に含み、前記第2の回路の第のインダクタが、前記第2の寄生キャパシタを備える前記第2の共振タンク回路を形成するために、前記第2の共振タンク入力ノードに接続される前記第2の変圧器の1次巻線である、絶縁回路。
【請求項13】
絶縁モジュールであって、
送信信号を受信するための入力を含む送信回路と、
受信信号を提供するための出力を含む受信回路と、
ガルバニック絶縁バリアを横切って前記送信回路から前記受信回路へデータ信号を搬送するための絶縁回路と、
を含み、
前記絶縁回路が、
容量性結合ガルバニック絶縁回路であって、
第1のプレートと第2のプレートとを含む第1の結合キャパシタと、
第1のプレートと第2のプレートとを含む第2の結合キャパシタと、
前記第1の結合キャパシタの第1のプレートに接続される第1の端部と、前記第2の結合キャパシタの第1のプレートに接続される第2の端部とを含むボンドワイヤと、
を含み、
前記第1の結合キャパシタと前記第2のキャパシタと前記ボンドワイヤとが、前記第1の結合キャパシタの第2のプレートと前記第2の結合キャパシタの第2のプレートとの間に直列共振回路を形成する、前記容量性結合ガルバニック絶縁回路と、
第1の回路であって、入力データ信号を前記送信回路から受信するための第1の共振タンク入力ノードと、前記第1の結合キャパシタの第2のプレートに接続される第1の共振タンク出力ノードと、前記第1の結合キャパシタの第2のプレートに関連する第1の寄生キャパシタを備える第1の共振タンク回路を形成するために前記第1の共振タンク出力ノードと結合される第1のインダクタとを含む、前記第1の回路と、
第2の回路であって、前記第2の結合キャパシタの第2のプレートに接続される第2の共振タンク入力ノードと、出力データ信号を前記受信回路に提供するための第2の共振タンク出力ノードと、前記第2の結合キャパシタの第2のプレートに関連する第2の寄生キャパシタを備える第2の共振タンク回路を形成するために前記第2の共振タンク入力ノードと結合される第2のインダクタとを含む、前記第2の回路と、
を含む、絶縁モジュール。
【請求項14】
請求項13に記載の絶縁モジュールであって、
前記送信回路と前記第1の結合キャパシタと前記第1の回路とを含む第1の集積回路と、
前記受信回路と前記第2の結合キャパシタと前記第2の回路とを含む第2の集積回路と、
を含む、絶縁モジュール。
【請求項15】
請求項13に記載の絶縁モジュールであって、
前記第1の回路と前記第2の回路と前記容量性結合ガルバニック絶縁回路とが、差動回路である、絶縁モジュール。
【請求項16】
請求項13に記載の絶縁モジュールであって、
前記第1の回路が、前記第1の共振タンク入力ノードに接続される1次巻線を含む第1の変圧器を更に含み、前記第1の回路の第1のインダクタが、前記第1の寄生キャパシタを備える前記第1の共振タンク回路を形成するために、前記第1の共振タンク出力ノードに接続される前記第1の変圧器の2次巻線であり、
前記第2の回路が、前記第2の共振タンク出力ノードに接続される2次巻線を含む第2の変圧器を更に含み、前記第2の回路の第のインダクタが、前記第2の寄生キャパシタを備える前記第2の共振タンク回路を形成するために、前記第2の共振タンク入力ノードに接続される前記第2の変圧器の1次巻線である、絶縁モジュール。
【請求項17】
請求項13に記載の絶縁モジュールであって、
前記第1のインダクタが、前記第1の共振タンク回路を第1の並列共振タンク回路として形成するために、前記第1の寄生キャパシタと並列に接続され、
前記第2のインダクタが、前記第2の共振タンク回路を第2の並列共振タンク回路として形成するために、前記第2の寄生キャパシタと並列に接続され、
前記第1の回路と前記容量性結合ガルバニック絶縁回路と前記第2の回路とが、前記入力データ信号を入力として受信し、前記出力データ信号を出力として提供する、3次又はそれ以上の帯域通過フィルタを形成する、絶縁モジュール。
【請求項18】
請求項17に記載の絶縁モジュールであって、
前記第1の回路が、前記第1のインダクタに接続されるキャパシタを更に含み、
前記第2の回路が、前記第2のインダクタに接続されるキャパシタを更に含む、絶縁モジュール。
【請求項19】
請求項13に記載の絶縁モジュールであって、
前記第1のインダクタが、前記第1の共振タンク回路を第1の直列共振タンク回路として形成するために、前記第1の寄生キャパシタと直列に接続され、
前記第2のインダクタが、前記第2の共振タンク回路を第2の直列共振タンク回路として形成するために、前記第2の寄生キャパシタと直列に接続され、
前記第1の回路と前記容量性結合ガルバニック絶縁回路と前記第2の回路とが、前記入力データ信号を入力として受信し、前記出力データ信号を出力として提供する、3次又はそれ以上の帯域通過フィルタを形成する、絶縁モジュール。
【請求項20】
低損失の多次元帯域通過フィルタ回路であって、
入力データ信号を受信するための第1の共振タンク入力ノードと、第1の共振タンク出力ノードと、第1の共振タンク出力ノードに結合される第1のインダクタとを含む第1のフィルタ回路と、
第1のプレートと第1の共振タンク出力ノードに接続される第2のプレートとを含む第1の結合キャパシタであって、前記第1のインダクタが、前記第1の結合キャパシタの第2のプレートに関連する第1の寄生キャパシタを備える第1の共振タンク回路を形成する、前記第1の結合キャパシタと、
第1のプレートと第2のプレートとを含む第2の結合キャパシタと、
第2のフィルタ回路であって、前記第2の結合キャパシタの第2のプレートに接続される第2の共振タンク入力ノードと、出力データ信号を提供するための第2の共振タンク出力ノードと、前記第2の結合キャパシタの第2のプレートに関連する第2の寄生キャパシタを備える第2の共振タンク回路を形成するために前記第2の共振タンク入力ノードと結合される第2のインダクタとを含む、前記第2のフィルタ回路と、
前記第1のフィルタ回路と前記第2のフィルタ回路との間に容量性結合ガルバニック絶縁バリアを形成するために、前記第1の結合キャパシタの第1のプレートと前記第2の結合キャパシタの第1のプレートとの間に接続されるボンドワイヤと、
を含む、低損失の多次元帯域通過フィルタ回路。
【請求項21】
ガルバニック絶縁バリアを横切ってデータ信号を搬送するための絶縁回路であって、
容量性結合ガルバニック絶縁回路であって、第1のプレートと第2のプレートとを含む第1の結合キャパシタと、前記第1の結合キャパシタの第1のプレートに接続される第1の端部と、第2の端部とを含むボンドワイヤとを含み、前記第1の結合キャパシタと前記ボンドワイヤとが、前記第1の結合キャパシタの第2のプレートと前記ボンドワイヤの第2の端部との間に直列共振回路を形成する、前記容量性結合ガルバニック絶縁回路と、
第1の回路であって、入力データ信号を受信するための第1の共振タンク入力ノードと、前記第1の結合キャパシタの第2のプレートに接続される第1の共振タンク出力ノードと、前記第1の結合キャパシタの第2のプレートに関連する第1の寄生キャパシタを備える第1の共振タンク回路を形成するために前記第1の共振タンク出力ノードと結合される第1のインダクタとを含む、前記第1の回路と、
を含む、絶縁回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
絶縁は、しばしば、互いにデータ及び電力を交換するように電気システムを相互接続するために望ましい。例えば、2つのシステムが、共通の設置接続を共有していない異なる電源によって電力供給され得る。変圧器絶縁手法は磁場に関与し、結果として生じる電磁妨害(EMI)は、いくつかの応用例において望ましくない場合がある。また、変圧器絶縁は、典型的に外部変圧器構成要素を必要とし、これらのソリューションは重要な回路又は基板面積を必要とするため、費用がかかる。光絶縁は、変圧器絶縁に関連するEMI問題を回避する。しかしながら、光回路は、一般に高価であり、速さが制限される。直列接続されたキャパシタを用いる容量性結合又は交流結合を用いて、データ信号の伝送のために絶縁を提供することが可能である。しかしながら、キャパシタベースの絶縁ソリューションは、しばしば寄生容量に関与し、寄生容量は、信号エネルギーを吸収し、結果として、信号エネルギーを局所接地へと短絡する底部プレート寄生容量に起因して大幅な信号経路減衰を生じさせる。これは電力効率の悪さにつながり、大量の寄生容量が帯域幅を大幅に制限することで、データレートの制限及びデータレイテンシの増加につながる。また、容量性結合絶縁デバイスにおけるこれらの問題は、コモンモード性能の悪さにつながる可能性がある。
【発明の概要】
【0002】
説明される例は、第1のプレート及び第2のプレートを個別に含む第1及び第2の結合キャパシタと、結合キャパシタの第1のプレートを接続するボンドワイヤとを備える容量性結合絶縁回路を含む、デジタルアイソレータモジュール、絶縁回路要素、及び低損失多次元帯域通過フィルタ回路を含む。第1の結合キャパシタの第2のプレートに関連する第1の寄生キャパシタを備える第1の共振タンク回路を形成するために、第1のインダクタを備える第1の回路が結合される。第2の結合キャパシタの第2のプレートに関連する第2の寄生キャパシタを備える第2の共振タンク回路を形成するために、第2のインダクタを備える第2の回路が結合される。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】或る実施形態に従った、多次元フィルタネットワークを提供する絶縁回路を備える絶縁モジュールの概略図である。
【0004】
図2】或る実施形態に従った、例示の差動絶縁回路の概略図である。
【0005】
図3図1の絶縁モジュールにおける送信回路搬送波信号の周波数成分を示すグラフである。
【0006】
図4図1の送信回路における変調データ信号の周波数成分を示すグラフである。
【0007】
図5図1における絶縁モジュールの受信回路におけるエンベロープ検出器の周波数成分を示すグラフである。
【0008】
図6図1における絶縁回路の例示の帯域通過フィルタ周波数スペクトルを示すグラフである。
【0009】
図7】絶縁回路の例示の3次帯域通過フィルタ実施形態の概略図である。
【0010】
図8】例示の差動共振タンク回路の概略図である。
【0011】
図9】例示の差動絶縁モジュールの斜視図である。
【0012】
図10図7の3次帯域通過フィルタ絶縁回路についての周波数性能のグラフである。
【0013】
図11】絶縁回路の例示の5次帯域通過フィルタ実施形態の概略図である。
【0014】
図12】絶縁回路の別の帯域通過フィルタ実施形態の概略図である。
【0015】
図13】絶縁回路の別の帯域通過フィルタ実施形態の概略図である。
【0016】
図14】変圧器を用いる別の帯域通過フィルタ絶縁回路実施形態の概略図である。
【0017】
図15】単一共振タンク回路を備える、単一の直列された接続キャパシタ及びボンドワイヤを含む絶縁回路を備える別の絶縁モジュールの概略図である。
【0018】
図16】単一の直列接続されたキャパシタ及びボンドワイヤ、並びに第1及び第2の共振タンク回路を含む、絶縁回路を備える別の絶縁モジュールの概略図である。
【0019】
図17】1次巻線及び2次巻線と、ガルバニック絶縁回路の1次側及び2次側上の共振タンク回路とを備える変圧器によって形成されるガルバニック絶縁回路を含む、別の絶縁回路実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図において、同様の参照番号は全体を通じて同様の要素を指し、様々な特徴は必ずしも一定の縮尺で描かれてはいない。本説明において、「結合する」又は「結合される」という用語は、間接的又は直接的な電気接続又は機械接続、或いはそれらの組み合わせを含む。例えば、第1のデバイスが第2のデバイスに結合するか又は結合される場合、その接続は直接的な電気接続を介し得るか、又は一つ又は複数の介在デバイス及び接続を介した間接的な電気接続を介し得る。
【0021】
図1を参照すると、説明される例は、容量性結合絶縁回路要素120、システム、及びフィルタ回路要素を提供する。この例は、ボンドワイヤ134によって接続される第1及び第2の結合キャパシタC1及びC2を備える容量性結合絶縁回路130、並びに、それぞれ、結合キャパシタC1及びC2に関連する寄生キャパシタCP1及びCP2を備える共振タンク回路をつくるためのインダクタLFを備える第1及び第2の回路124a、124bを含む。結果の絶縁回路120は、ガルバニック絶縁バリアを横切ってデータ信号を搬送するために、デジタルアイソレータ又は他の絶縁応用例において用いられ得る帯域通過又はその他の多次元フィルタネットワークを提供する。図1は、外部信号源(図示せず)から送信入力信号TXを受信するように構成される入力端子162と、受信データ信号RXを外部宛先回路(図示せず)に提供又は送達するように構成される出力端子164とを備える例示の絶縁モジュール160を含む、絶縁システム100を図示する。実際には、外部信号源及び宛先システムは、例えば、工業環境において、別々の電力ドメインから電力供給され得る。絶縁モジュール160は、2つの電力ドメインを分離する絶縁バリアを横切って入力端子162から出力端子164にデジタルデータを伝送するために、ガルバニック絶縁を提供する。この例において、絶縁モジュール160は、送信信号TXを受信するため入力端子162と結合される入力104を有する送信回路102を含む。絶縁モジュール160は、受信信号RXを提供するため出力端子164に結合される出力148を備える受信回路150も含む。動作において、絶縁回路120は、入力データ信号DINを、データ出力信号DOUTとして、ガルバニック絶縁バリアを横切って送信回路102から受信回路150へ搬送する。
【0022】
図1の例において、送信回路102は、第1の接地又は定電圧基準ノード132を有する第1のドメインによって電力供給され、受信回路150は、第2の接地又は定電圧基準ノード137に関して別個に電力供給される。図1に示されるように、寄生キャパシタCP1は、第1の結合キャパシタC1の底部プレート128bと第1の接地ノード132との間で電気的に接続され、一方、第2の寄生キャパシタCP2は、第2の結合キャパシタC2の底部プレート136bと第2の接地ノード137との間で電気的に接続される。
【0023】
図1の例示の絶縁モジュール160において、送信回路102は、入力104からTX信号を受信する緩衝増幅器106を含む。入力緩衝増幅器106は、任意の適切なシングルエンド又は差動増幅回路であり得、いくつかの実施形態において静電気放電(ESD)保護を提供し得る。緩衝増幅器106は、送信電力増幅器回路110において搬送波信号を変調するためのデータ信号を提供する出力108を含む。本例における電力増幅器回路110は、増幅器回路112及びスイッチング回路114を含む。送信回路102はさらに、電力増幅器110に搬送波信号を提供する出力118を備える発振器116を含む。一実装において、搬送波信号は高周波正弦信号である。増幅器112の出力は、データ入力信号DINを絶縁回路120の第1の共振タンク入力ノード122に提供するために、緩衝増幅器106からのデータ信号に従ってスイッチ回路114によって変調される。一例において、電力増幅器回路110は、TX信号が第1の2進状態(例えば、高又は「1」)であるとき、データ入力信号DINを第1の非ゼロ振幅を有する正弦信号として提供し、データ入力信号DINは、送信信号TXが第2の2進状態(例えば、0V)であるとき、固定振幅(例えば、0V)を有する。
【0024】
受信回路150は、第2の共振タンク出力ノード139において、絶縁回路120からデータ出力信号DOUTを受信する。この例において、受信回路150は、整流器回路142と比較器回路144とを含むエンベロープ検出器回路140を含む。実際には、直列接続結合キャパシタC1及びC2によるAC結合の結果として、データ入力信号DINにおける極性変化に応答する非ゼロ電圧成分又は過渡信号を有する、時間変動信号DOUTが受信される。整流器回路142は、比較器回路144によって閾値と比較されるDC電圧信号をつくるために、受信した電圧信号を整流する。この例において、データ入力信号DINは、2進「1」送信データについて非ゼロ振幅を有し、2進「0」送信データについてゼロ振幅を有するため、整流器出力信号が閾値電圧を超えるとき、比較器144の出力は第1の2進状態(例えば、高又は「1」)となり、それ以外のとき、比較器144の出力は第2の2進状態(例えば、低又は「0」)となる。受信回路150は、比較器144から出力信号を受信し、出力ノード148において受信信号RXを提供する、ESD保護/緩衝回路146も含む。このようにして、絶縁モジュールは、受信した送信信号TXに対応する受信データ信号RXを提供し、RX及びTX信号は、ガルバニック絶縁回路130を介して互いに直流的に絶縁される。
【0025】
上記で説明したように、容量性結合絶縁回路は、ワイヤボンド結合キャパシタC1及びC2の底部又は下部プレート128b、136bに関連する、通常は大きな寄生キャパシタCP1及びCP2の結果として、通常、帯域幅の低減、高いデータレイテンシ、及び/又はコモンモード性能の悪さを被る。これらの問題に対処するため、説明される例は、有利にも、寄生キャパシタCP1及びCP2を用いるインテリジェントな共振タンク回路作成を介して3次又はそれ以上のフィルタネットワークをつくるために、ガルバニック絶縁回路130のいずれかの側に第1及び第2の回路124を提供する。いくつかの説明される例において、絶縁回路120によって提供される多次元フィルタネットワーク全体が帯域通過フィルタであり得る。いくつかの例において、第1及び第2の回路124a及び124bは、一致するか又は実質的に同一であり得る。他の実施形態において、回路124a及び124bは異なり得る。回路124は、送信データ信号TXのソースから受信信号RXの宛先へデータを確実に転送するためのデータ出力信号DOUTをつくるために、データ信号DINの転送に対処するために多次元フィルタネットワーク全体を提供するように設計される、様々な実装が可能である。回路124は、図1に概略的に図示されるようなインダクタLFを含み、インダクタLFは、対応する寄生キャパシタCP1、CP2の関連する寄生容量を有する共振タンク回路を形成するためにガルバニック絶縁回路130と結合される。直列共振タンク回路、並列共振タンク回路、及び/又はそれらの組み合わせを含む、多種多様な異なる共振タンク回路が確立され得る。この点において、回路124は複数のインダクタを含み得、絶縁120において3次又はそれ以上のフィルタネットワーク全体を提供するために、ガルバニック絶縁回路130の直列共振動作と組み合わさる多様な異なる共振回路を形成するために、一つ又は複数のキャパシタを含み得る。
【0026】
絶縁回路120は、第1及び第2の結合キャパシタC1及びC2並びにボンドワイヤ134によって形成される、容量性結合ガルバニック絶縁回路130を含む。図1の例は、送信回路102から受信回路150へのシングルエンドデータ経路を示す。差動システムを提供する、下記で説明する図2に示されるような他の実施形態が可能である。図1における第1の結合キャパシタC1は、頂部又は第1のプレート128t及び底部又は第2のプレート128bを含み、これらのプレート128は、誘電材料(図示せず)によって分離される。同様に、第2の結合キャパシタC2は、誘電材料によって分離される、頂部又は第1のプレート136tと底部又は第2のプレート136bとを含む。いくつかの例において、結合キャパシタは、対応する半導体ダイ又は回路チップの上又は内部の構造として形成され、頂部プレート128t及び136tは、インダクタンスLBWを有するボンドワイヤ134によって接続される。ボンドワイヤ134の第1の端部をC1のプレート128tに接続するため、及び、第2の端部を結合キャパシタC2のプレート136tに接続するため、任意の適切なワイヤボンディング技法を用いて、溶接、はんだ付けなどの接続を形成することができる。この構成において、結合キャパシタC1及びC2並びにボンドワイヤ134は、結合キャパシタC1及びC2の底部又は第2のプレート128b、136bの間に、直列共振回路を形成する。また、直列構成(例えば、容量性結合又はAC結合)は、回路130においてガルバニック絶縁を提供する。
【0027】
図1に示されるように、例示の第1の回路124aは、送信回路102から入力データ信号DINを受信するための第1の共振タンク入力ノード122を含む。第1の回路124aは、第1の結合キャパシタC1の第2のプレート128bに接続される第1の共振タンク出力ノード126も含む。第1の回路124aの第1のインダクタLFが、第1の寄生キャパシタCP1を備える第1の共振タンク回路を形成するために、第1の共振タンク出力ノード126と結合される。第2の回路124bは、第2の結合キャパシタC2の第2のプレート136bに接続される第1の共振タンク入力ノード138と、受信回路150に出力データ信号DOUTを提供する第2の共振タンク出力ノード139とを含む。第2の回路124bはさらに、第2の寄生キャパシタCP2を備える第2の共振タンク回路を形成するために、第2の共振タンク入力ノード138と結合される第2のインダクタLFを含む。
【0028】
図2も参照すると、第1の回路124a、第2の回路124b、及び容量性結合ガルバニック絶縁回路130が差動回路である、差動実施形態が可能である。図2に示されるように、共振タンク入力ノード又はライン122a及び122bを備える差動電力増幅器回路110と、差動エンベロープ検出器回路140並びに共振タンク出力ノード又はライン139a及び139bとの間の、差動信号経路の対応するラインのために、2セットの容量性結合され、ワイヤボンド接続されたガルバニック絶縁回路が提供される。この例において、第1の回路124aは、対応する寄生キャパシタCP1を備える共振タンク回路を形成するために、関連する結合キャパシタC1の底部プレート128bと結合される一つ又は複数のインダクタLFを含む。同様に、第2の回路124bは、受信側結合キャパシタC2の底部プレート136bと結合される一つ又は複数のインダクタLFを含む。
【0029】
図1及び図3図7は、上記で説明した絶縁回路120によって実装される、シングルエンド3次帯域通過フィルタネットワークの例を示す。図7に示されるように、本例における絶縁回路120は、前述のように、ガルバニック絶縁回路130において、結合キャパシタC1及びC2、並びに、ボンドワイヤ134のインダクタンスLBWを含む。また、第1の寄生キャパシタCP1は、第1のフィルタインダクタLF1及び第1のフィルタキャパシタCF1を備える第1の共振タンク回路124aを形成する。この構成において、第1のインダクタLF1は、第1の共振タンク回路を第1の並列共振タンク回路として形成するために、第1の寄生キャパシタCP1と並列に接続される。同様に、本例における第2の回路124bは、第2の寄生キャパシタCP2と並列に接続されるインダクタLF1を含み、本実施形態は、第2の共振タンク回路124bを第2の並列共振タンク回路として形成するために、LF1及びCP2もまた並列に接続される、さらなるフィルタキャパシタCF1を含む。この構成において、絶縁回路120は、ガルバニック絶縁回路130の直列共振回路C1、LBW、C2の入力及び出力における、並列共振タンク回路124の相互接続によって、3次帯域通過フィルタネットワークを提供する。図3は、主として出力周波数(例えば、搬送波周波数)fにおける、図1のアイソレータ116によって提供される正弦搬送波出力信号の周波数成分曲線302を図示するグラフ300を示す。図4のグラフ400は、主として低域通過フィルタタイプの応答である、電力増幅器回路110の周波数応答を表す曲線402を示す。同様に、図5のグラフ500は、エンベロープ検出器回路140の概して低域通過の周波数応答を示す曲線502を含む。
【0030】
この例において、ガルバニック絶縁回路130によって提供される直列共振フィルタリングに関連して第1及び第2の回路124a及び124bを用いることで、図6のグラフ600に示される合成帯域通過周波数応答曲線602全体が提供される。適切な設計は、任意の所望の周波数を中心とする通過帯域を提供することができる。一例において、図6に示されるように、絶縁回路120は、送信回路102のアイソレータ116に関連する搬送波周波数f辺りを中心とする通過帯域を提供するように設計される。所与の所望のデータレートの場合、回路124及びガルバニック絶縁回路130は、送信信号TXに関連する所望の送信データレートに対処するために、任意の適切な搬送波周波数fを用いる低損失高信頼送信のための適切な通過帯域を提供するように設計可能である。これは、これまで寄生キャパシタCP1及びCP2に関連していた信号減衰問題を有利に解消する。また、絶縁回路120及び全絶縁システム100は、より費用がかかり、より大きな変圧器及び/又は光絶縁手法に依存することなく、潜在的に非常に高いデータレートについて費用対効果の高い容量性結合絶縁ソリューションを提供することが可能である。
【0031】
図8は、第1のフィルタキャパシタCF1と並列に接続される第1のインダクタLF1を含み、それらの両方が入力ライン122aと122bとの間、並びに差動ガルバニック絶縁回路130の差動入力126a、126bの間に接続される第1の差動回路124aの別の例を図示する。この場合、インダクタLF1は、ガルバニック絶縁回路130の対応する寄生キャパシタCP1と実質的に並列に接続され、結果として生じる差動共振タンク回路124aは並列共振構成を提供するようになっている。同様の第2の差動回路(図示せず)が、絶縁回路120において3次帯域通過フィルタネットワーク全体を提供するために、差動ガルバニック絶縁回路130の出力側又は受信側に提供され得る。
【0032】
図9は、絶縁モジュールの実際的な実装を図示する。この例において、上記で説明したようなモジュール160は、第1の半導体ダイ又は集積回路チップ(IC)904a及び第2のICチップ904bを備える差動回路として実装される。第1のIC904aは、前述の送信回路102、第1の結合キャパシタC1、及び第1の回路124aを含む。また、図9に示されるように、第1の結合キャパシタC1の第1又は頂部プレート128tは、第2のIC904bの露出された頂部プレート136tへの接続のためボンドワイヤ134を介するワイヤボンディングを可能にするために、第1のIC904aの頂部側において露出される。また、第1の結合キャパシタC1の底部プレートに関連する寄生キャパシタCP1は、事実上、第1のIC904aの一部であり、第2の寄生キャパシタCP2は第2のIC904bの一部である。したがって本実装において、第2のIC904bは、受信回路150、第2の結合キャパシタC2、及び第2の回路124bを含む。この点において、第1及び第2の回路124a、124bのインダクタは、関連するIC904上又は内部に製造され得るか、又は、異なる実施形態において、別々の構成要素であり得る。同様に、回路124に含まれる任意のキャパシタが、関連するIC904上又は内部に形成され得るか、又は、それらと電気的に接続される別の構成要素であり得る。
【0033】
図10は、図9に示されるように実装された絶縁回路120の例示の差動帯域通過実装についての、周波数応答曲線1002を示すグラフ1000を含む。この例において、図9のIC904は、互いにおよそ1.8mmの間隔を置いて配置され、ボンドワイヤ134は、およそ24.3μmの金材料である。構造は、モールディング化合物902内にパッケージングされ、外部回路要素(図示せず)との相互接続のために、図1の送信及び受信端子162、164を提供するために適切な電気接続を含む。図10のグラフ1000に示されるように、この特定の例は、15.10GHzにおいて、適切な帯域幅及び無視し得る通過帯域減衰(例えば、-5DB未満)を有する、およそ14.5GHzを中心とする通過帯域を提供する。ボンドワイヤ長さ及び容量値に基づいて、任意の中心周波数(例えば、1~200GHz)が可能である。そのため、ガルバニック絶縁回路130を第1及び第2の回路124と組み合わせて用いることによって達成される帯域通過フィルタネットワークは、寄生キャパシタCP1及びCP2によって生じる以前の大幅な信号減衰を事実上なくす。
【0034】
図11図14を参照すると、任意の適切なアナログフィルタ回路構成を用いるさらなる例が可能である。これらの例は限定的ではないが、いくつかの可能な実装であり、第1の回路124a、容量性結合ガルバニック絶縁回路130、及び第2の回路124bは、入力データ信号DINを入力として受信し、出力データ信号DOUTを出力として提供する、3次又はそれ以上の帯域通過フィルタを形成する。また、図11図14における例はシングルエンド回路構成を提供するが、差動実装も可能である。また、これらの例は帯域通過フィルタ構造全体を提供するが、他のフィルタタイプも用いられ得る。また、フィルタの詳細は、第1及び第2の回路124の設計のための任意の特定の応用例のために調整され得、ボンドワイヤ134のインダクタンスLBWと直列の、ガルバニック絶縁回路130のAC結合キャパシタC1、C2の直列共振形態と組み合わせて、Maximally flat、Chebychev、Elliptic、Bessel、Linear phase、Gaussianなどを含む任意のタイプの近似を有し得る。
【0035】
図11は、絶縁回路120の例示的なシングルエンド5次帯域通過フィルタ実施形態を示す。図7に示されるように、第1及び第2の回路124a、124bは、各々、ガルバニック絶縁回路130の関連する寄生キャパシタCPと並列に、インダクタLF1及びフィルタキャパシタCF1を含む。図11において、第1及び第2の回路124a、124bの各々は、第2のキャパシタCF2と直列に接続される第2のインダクタLF2を含む。各回路124において、インダクタLF2及びキャパシタCF2は直列共振回路を形成し、回路124はこの直列共振回路を、寄生容量、第1のインダクタLF1、及び第1のキャパシタCF1によって形成される並列共振回路と組み合わせる。この例において、第1の回路124aは、第1の共振タンク入力ノード122と第1の共振タンク出力ノード126との間で互いに直列に接続される、第2のキャパシタCF2及び別のインダクタLF2を含む。第2の回路124bは、第2の共振タンク入力ノード138と第2の共振タンク出力ノード139との間で互いに直列に接続される、第2のキャパシタCF2及び別のインダクタLF2を含む。この構成において、結果として生じる各共振タンク回路124は、2極(2次)システムを提供し、2つの共振タンク回路124a、124bとガルバニック絶縁回路130によって形成される直列共振回路との組み合わせは、5次帯域通過フィルタネットワークを提供し、5次帯域通過フィルタネットワークは、入力データ信号DINを入力として受信し、出力データ信号DOUTを出力として提供する。
【0036】
他の実装において、このフィルタネットワーク又は他の5次フィルタネットワークの差動バージョンが可能である。
【0037】
図12は、絶縁回路の別のシングルエンド帯域通過フィルタ実施形態を図示する。この例において、回路124は、並列共振回路を形成するためにインダクタLF1及び関連する寄生キャパシタCPと並列に接続される第1のキャパシタCF1を含み、回路124は、直列接続されたキャパシタCF2をさらに含む。特に、図12における第1の回路124aは、第1の共振タンク入力ノード122と第1の共振タンク出力ノード126との間に接続される第2のキャパシタCF2を含み、第2の回路124bは、第2の共振タンク入力ノード138と第2の共振タンク出力ノード139との間に接続される第2のキャパシタCF2を含む。図12において、この構成はシングルエンドの実装として示されているが、同様の2次又はそれ以上の共振タンク回路124を備える差動回路124、130を用いる他の実施形態が可能である。
【0038】
図13は、ガルバニック絶縁回路130並びに第1及び第2の回路124a、124bを用いる、シングルエンド帯域通過フィルタ実施形態の別の例を図示する。このシングルエンドの例は、共振タンク入力ノード122と第1の共振タンク回路124aにおける第1の共振タンク出力ノード126との間に接続される、直列接続インダクタLF1を含む。図13において、第2の共振タンク回路124bは、第2の共振タンク入力ノード138と第2の共振タンク出力ノード139との間に接続される、単一の直列接続インダクタLF1を含む。
【0039】
図14は、個別の共振タンク回路124において変圧器を用いる、別の帯域通過フィルタ絶縁回路の実施形態を示す。この例において、回路124は、1次巻線1401及び2次巻線1402を備える変圧器1400を個々に含む。この例において、第1の回路124aは、第1の共振タンク入力ノード122と接地基準との間に接続される1次巻線1401を備える、第1の変圧器1400を含む。第1の回路124aの第1のインダクタLF1は、第1の変圧器1400の2次巻線1402であり、第1の寄生キャパシタCP1と共に並列共振回路として第1の共振タンク回路を形成するために、第1の共振タンク出力ノード126と基準接地ノード132との間に接続される。また、この例において、第2の回路124bは、出力接地基準と第2の共振タンク出力ノード139との間に接続される2次巻線1402を含む、第2の変圧器1400を含む。また、この例において、第2の回路124bの第1のインダクタLF1は、第2の変圧器1400の1次巻線1401であり、並列共振回路として第2の共振タンク回路を形成するために、寄生キャパシタCP2と並列に第2の共振タンク入力ノード138と接地基準ノード137との間に接続される。いくつかの実装において、変圧器1400及びそれらのコイルは、ボンドワイヤ134を介してつくられるICチップ904a、904b間の接続を伴う集積ソリューションを提供するためのキャパシタCFと共に、対応するICチップ904(図9)の異なるメタライゼーション層における金属性コイル構造として形成され得る。
【0040】
図15及び図16も参照すると、絶縁回路120が、単一の直列キャパシタ及び一つ又は複数の共振タンク回路124、並びにボンドワイヤ134を備えるガルバニック絶縁回路130を提供する、他の考え得る実施形態が可能である。例えば、図15の例において示されるように、図1における第2のキャパシタC2及び第2の共振タンク回路124bは省くことが可能であり、ボンドワイヤ134は、キャパシタC1の第1のプレート128tから図1におけるノード139においてエンベロープ検出器回路140に接続される。この例において、第1の結合キャパシタC1及びボンドワイヤ134は、第1の結合キャパシタC1の第2のプレート128bとボンドワイヤ134の第2の端部との間で直列共振回路を形成する。本例における第1の回路124aは、第1の結合キャパシタC1の第2のプレート128bに関連する第1の寄生キャパシタCP1を備える第1の共振タンク回路を形成するために、入力データ信号DINを受信するための第1の共振タンク入力ノード122、第1の結合キャパシタC1の第2のプレート128bに接続される第1の共振タンク出力ノード126、及び、第1の共振タンク出力ノード126に結合される第1のインダクタLFを含む。図16は、第2の共振タンク回路124bがノード138と139との間に接続される別のあり得る実装を示し、いくつかの実装において、第2の共振タンク回路124bは実質的に第1の共振タンク回路124aと同一である。単一の直列接続されたキャパシタがガルバニック絶縁回路の出力側に形成され、ボンドワイヤが、ノード122において電力増幅器出力に接続されるか、又は含まれる共振タンク回路124aの出力ノード126に接続される、他の等価の実装が可能であり、こうした実装は、上記で説明したように、単一の共振タンク回路124、又は第1及び第2のタンク回路124を用いることができる。
【0041】
図17は、別のあり得る絶縁回路の例を示す。この場合、ガルバニック絶縁回路130は、1次巻線及び2次巻線を備える変圧器1700を含む。第1及び第2の共振タンク回路124a及び124bは、上記で説明したように提供され、変圧器1700の対応する巻線を備える共振回路を形成する。絶縁回路120及び対応する多次元フィルタネットワークを形成するために、任意の適切な1次又はそれ以上の回路124を、変圧器ベースのガルバニック絶縁回路130と組み合わせて用いることができる。
【0042】
前述のように、説明される例は、容量性結合を用いる絶縁バリアを横切って時間変動信号が搬送される、デジタルアイソレータ応用例又は他の状況において、特定のユーティリティを備える絶縁回路を提供する。これらの例は、帯域幅及び結果として生じるデータレートにわたって向上された制御を提供すると共に、任意の所望のエンドユーザ環境について、フィルタ性能の特定の調整を可能にする。説明される例は、有利にも、変圧器絶縁ソリューションに関連する余分なコスト及び回路サイズの不利益を回避又は軽減し、EMI不利益を発生させることはない。また、通過帯域にわたって向上された制御により、光絶縁技法に関連するコスト不利益なしに、容量性結合絶縁の高データレート使用が可能になる。また、回路124の有利な使用により、結合キャパシタに関連する潜在的に大きな寄生容量に鑑みてフィルタ特性を調整し、相対的に低コストで絶縁システムを提供するためのワイヤボンディング接続技法と共に、キャパシタを構築するための集積回路製造技法を用いることができる。例えば、説明される例は、前述の帯域通過フィルタの例について、通過帯域の中心周波数及び帯域幅を制御する能力を用いて、データレートが、例えば毎秒Mbから毎秒数10Gbまで、大幅に向上されたデータアイソレータに用いることが可能である。
【0043】
これらの概念は、前述のデジタルアイソレータの例以外に、任意のフィルタリング応用例において用いられ得る。例えば、説明される例は、回路124aによって提供される第1のフィルタ回路を備える、低損失の多次元帯域通過フィルタ回路120を提供する。第1のフィルタ回路124aは、入力データ信号DINを受信するための第1の共振タンク入力ノード122、第1の共振タンク出力ノード126、及び、第1の共振タンク出力ノード126と結合される第1のインダクタLFを含む。回路124aは、前述のような様々な構成において、一つ又は複数のキャパシタ及び追加のインダクタを含むことができる。また、フィルタネットワークは、第1の共振タンク出力ノード126に接続される第1のプレート128t及び第2のプレート128bを備える第1の結合キャパシタC1を含む。第1のインダクタLFは、第1の結合キャパシタC1の第2のプレート128bに関連する第1の寄生キャパシタCP1を備える第1の共振タンク回路を形成する。また、フィルタネットワークは、第1のプレート136t及び第2のプレート136bを備える第2の結合キャパシタC2、並びに、第2のフィルタ回路124bを含む。第2のフィルタ回路124bは、第2の結合キャパシタC2の第2のプレート136bに接続される第2の共振タンク入力ノード138、出力データ信号DOUTを提供するための第2の共振タンク出力ノード139、及び、第2の結合キャパシタC2の第2のプレート136bに関連する第2の寄生キャパシタCP2を備える第2の共振タンク回路を形成するために第2の共振タンク入力ノード138と結合される第2のインダクタLFを含む。また、ボンドワイヤ134が、第1のフィルタ回路124aと第2のフィルタ回路124bとの間に容量性結合ガルバニック絶縁バリアを形成するために、第1の結合キャパシタC1の第1のプレート128tを、第2の結合キャパシタC2の第1のプレート136tに接続する。
【0044】
特許請求の範囲の範囲内において、説明される実施形態における改変が可能であり、他の実施形態が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17