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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】ブルートゥースデータ転送
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/18 20090101AFI20230725BHJP
   G06F 13/12 20060101ALI20230725BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20230725BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20230725BHJP
【FI】
H04W84/18
G06F13/12 340C
H04W84/10 110
H04W52/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020513635
(86)(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 US2018049748
(87)【国際公開番号】W WO2019051087
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】15/696,902
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ラム マロバニー
(72)【発明者】
【氏名】チェン ローイ
(72)【発明者】
【氏名】ドタン ジヴ
(72)【発明者】
【氏名】リオ ゲルシ
(72)【発明者】
【氏名】リラン コーエン
【審査官】田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0002908(US,A1)
【文献】特開2002-271343(JP,A)
【文献】特表2005-531234(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0089080(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0100275(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
G06F 13/12
DB名 3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブルートゥース(BT)非同期コネクションレス(ACL)通信の方法であって、
複数のBTデバイスを提供することであって、前記BTデバイスの各々が、ホストプロセッサと、BTコントローラと、前記ホストプロセッサを前記BTコントローラに結合するホストコントローラインタフェース(HCI)とを含み、前記HCIが、ホストコントローラトランスポートレイヤとHCIドライバとを含み、前記ホストプロセッサが、アプリケーションレイヤを実装し、前記ホストコントローラトランスポートレイヤを介して前記BTコントローラと通信するためのHCIファームウェアを含み、前記BTコントローラが、プロセッサと、前記プロセッサに結合されるメモリと、前記プロセッサに結合されるトランシーバと、アンテナに結合されるように適合される前記トランシーバを駆動するためのRFドライバとを含み、前記HCIファームウェアが、ユーザーがBTネットワークのトポロジーを定義することを可能にするHCIコマンドコードを含む、前記複数のBTデバイスを提供することと、
前記複数のBTデバイスのチェーンとしてのBTネットワークを構成することであって、前記複数のBTデバイスのいずれからデータを受信して前記複数のBTデバイスのいずれに前記データを転送すべきかを構成することを含む、前記BTネットワークを構成することと、
前記BTネットワークを介してデータを通信することであって、前記データを受信する前記BTデバイスが、前記ホストプロセッサを介して少なくともループすることなく、前記BTネットワークを介して前記データを転送する、前記データを通信することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記HCIコマンドコードが、前記データを前記ホストプロセッサに送信するかどうかを前記ユーザーが定義することを可能にするコードを含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記HCIコマンドコードが、パケットの各々に時間スタンプを付加するかどうかを前記ユーザーが定義することを更に可能にする、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記データがオーディオデータを含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記複数のBTデバイスの少なくとも1つについて、前記複数のBTデバイスの少なくとも1つの前記ホストプロセッサが前記通信の間スリープする、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記BTネットワークが、複数の独立した非同期のピコネットを含むスキャッターネットを含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記BTコントローラが、少なくとも半導体表面を有する基板を含む集積回路(IC)上に形成され、前記BTコントローラの前記プロセッサがデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を含む、方法。
【請求項8】
ブルートゥース(BT)コントローラであって、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されるメモリと
前記プロセッサに結合されるトランシーバと、
アンテナに結合されるように適合される前記トランシーバを駆動するためのRFドライバと、
を含み、
前記メモリが、ホストコントローラトランスポートレイヤとホストコントローラインタフェース(HCI)ドライバとを含むHCIによって結合されるホストプロセッサから受信されるコマンドを解析し、理解し、前記コマンドに応じて動作するためのソフトウェアと、前記BTコントローラと前記ホストプロセッサとを含む複数のBTデバイスのBTネットワークのトポロジーを定義するHCIコマンドコードとを含み
前記HCIコマンドコードが、少なくとも1つのパケットを含むデータを前記複数のBTデバイスのいずれから受信し、前記データを前記複数のBTデバイスのいずれに転送すべきかに関する構成情報を含み、
前記BTコントローラが、前記BTデバイスの前記ホストプロセッサを介して少なくともループすることなく前記BTネットワークを介して前記データを転送することを含む、前記BTコントローラを介して前記BTデバイスに対して前記データを通信する、BTコントローラ。
【請求項9】
請求項8に記載のコントローラであって、
前記BTコントローラが、少なくとも半導体表面を有する基板を含む集積回路(IC)上に形成され、前記BTコントローラの前記プロセッサがデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を含む、BTコントローラ。
【請求項10】
請求項8に記載のコントローラであって、
前記HCIコマンドコードが、前記データを前記ホストプロセッサに送信するかどうかをユーザーが定義することを可能にするコードを含む、BTコントローラ。
【請求項11】
請求項10に記載のBTコントローラであって、
前記HCIコマンドコードが、前記パケットの各々に時間スタンプを付加するかどうかを前記ユーザーが定義することを更に可能にする、BTコントローラ。
【請求項12】
請求項8に記載のBTコントローラであって、
前記データがオーディオデータを含む、BTコントローラ。
【請求項13】
ブルートゥース(BT)デバイスであって、
プロセッサと、前記プロセッサに結合されるメモリと、前記プロセッさに結合されるトランシーバと、アンテナに結合されるように適合される前記トランシーバを駆動するためのRFドライバとを含むBTコントローラと、
ホストコントローラトランスポートレイヤとホストコントローラインタフェース(HCI)ドライバとを含むHCIと、
前記HCIを介して前記BTコントローラに結合されるホストプロセッサであって、アプリケーションレイヤを実装し、前記ホストコントローラトランスポートレイヤを介して前記BTコントローラと通信するためのHCIファームウェアを含み、前記HCIファームウェアが、チェーンとしての複数のBTデバイスを含むBTネットワークのトポロジーを定義するHCIコマンドコードを含み、前記HCIコマンドコードが、前記チェーンにおける前記BTデバイスについて前記複数のBTデバイスのいずれから少なくとも1つのパケットを含むデータを受信して前記複数のBTデバイスのいずれに前記データを転送すべきかを構成する、前記ホストプロセッサと、
を含み、
前記BTネットワークを介してデータを通信するために、前記BTデバイスが、前記BTネットワークを介してデータを受信し、前記BTデバイスの前記ホストプロセッサを介して少なくともループすることなしに前記受信したデータを転送する、BTデバイス。
【請求項14】
請求項13に記載のBTデバイスであって、
前記HCIコマンドコードが、前記データを前記ホストプロセッサに送信するかどうかをユーザーが定義することを可能にするコードを含む、BTデバイス。
【請求項15】
請求項13に記載のBTデバイスであって、
前記HCIコマンドコードが、前記パケットの各々に時間スタンプを付加するかどうかをユーザーが定義することを更に可能にする、BTデバイス。
【請求項16】
請求項13に記載のBTデバイスであって、
前記データがオーディオデータを含む、BTデバイス。
【請求項17】
請求項13に記載のBTデバイスであって、
前記ホストプロセッサが、前記通信の間スリープするように構成される、BTデバイス。
【請求項18】
請求項13に記載のBTデバイスであって、
前記BTコントローラが、少なくとも半導体表面を有する基板を含む集積回路(IC)上に形成され、前記BTコントローラの前記プロセッサがデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を含む、BTデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、ブルートゥースネットワーク通信におけるブルートゥースデバイスに関し、より詳細には、そのようなブルートゥースデバイス間のデータ転送に関する。
【背景技術】
【0002】
ブルートゥース(BT)は、例示のアドホックネットワーキング技術である。BT技術は、速度が考慮すべき事柄でない場合に互いに近くにある、電話、プリンタ、モデム、及びヘッドセットを含む、2つ又はそれ以上のワイヤレスデバイス間で情報を送信するときに一般に用いられるワイヤレス通信規格である。BTは、(例えば、BTヘッドセットを用いる)電話での音声データの送信、又はハンドヘルドコンピュータ(ファイル送信)を用いる、又はキーボード、及びマウスからの、バイトデータの送信を含む、低帯域幅応用例によく適している。これらのBT通信には、BT SIG(Special Interest Group)仕様が用いられ得る。
【0003】
BTは、ピコネットがBTネットワーキングの基本ユニットである独立した非同期のピコネットを含む、スキャッターネットに有効である。ピコネットは、マスタデバイスと、1つ又は複数のスレーブデバイスとを有し、デバイスは各々、ホストプロセッサ(又は「アプリケーションプロセッサ」)及びコントローラ(又は「ファームウェア(FW)プロセッサ」)を概して含む。マスタデバイスは、スレーブデバイスのためのチャネル及び位相を決定する。スキャッターネットは、2つ又はそれ以上のピコネットを含むアドホックコンピュータネットワークの一種である。スキャッターネットでは、スレーブデバイスが、2つ又はそれ以上のピコネットと通信し得る。スキャッターネットのオペレーションに関連して、BTマスタデバイスは、モバイルスレーブデバイスの位置、又はモバイルスレーブデバイスを携行する人物の位置を追跡する目的で、個々のピコネット内にあるモバイルスレーブデバイスのアイデンティティをそのホストプロセッサに中継し得る。
【0004】
図1に示されるように、BTデバイス101、102、及び103として示されるBTデバイスが各々同じピコネット内になく、したがって各々が異なるマスタを有するスキャッターネットなどのBTネットワーク上でBTを用いてデータを転送するために、通信チェーンにおける各BTデバイスは、幾つかの工程を行う必要がある。ホストコントローラインタフェース(HCI)によって共に結合されるホストプロセッサ125a及びBTコントローラ125bを含むBTデバイスが示されている。HCIは、BTコントローラ125bのベースバンドコントローラ及びリンクマネージャへのコマンドインタフェースと、ハードウェア状態及び制御レジスタへのアクセスとを提供することによって、BTハードウェア能力にアクセスするための均一な指令方法を提供する。
【0005】
データを受信すると、図1にBTデバイス102及び103として示される第1のBTデバイス101以外のBTデバイスは、各々、このデータを自身のホストプロセッサ125aに送る。ホストプロセッサ125aは、データを解析し(parse)、受信したデータに応じて動作し(例えば、タイムスタンプを付加し、データを操作し(データを変更し)、データを再生し、又は他のデータ機能を行い)、その後、データをBTコントローラ125bに戻し、BTコントローラ125bは、データをそのチェーンの次のBTデバイスに送信する。そのため、データを転送する際、BTデバイス102及び103は各々、図1に示すように、ホストプロセッサ125aを介してループするだけの2つの工程を含む3つの工程を実行し、一方で、チェーン内の第1のBTデバイス101は全部で2つの工程を行なう。
【発明の概要】
【0006】
HCIによって共に結合されるホストプロセッサ及びBTコントローラを各BTデバイスが含むBT応用例の場合、BTデバイスのための従来のデータ転送は、受信したパケット毎にそのBTコントローラに関してループするためにホストプロセッサをウェイクアップし、これは、データをそのBTコントローラに再送することを含むが、この従来のデータ転送は、バッテリー電力を浪費し、レイテンシーも増加させる。BT応用例(例えば、スキャッターネット応用例)の場合、ホストプロセッサを関与させることなく、ホストプロセッサを介して少なくともループすることなく、チェーン内の次のBTデバイスにデータを送ることが望ましい。これは、アドバンストオーディオディストリビューションプロファイル(A2DP)を用いるケースにおけるシステム電力消費を劇的に低減する。
【0007】
全ての既知のBTベースの通信システムは、データを解析し、データに応じて動作し、及びデータをBTコントローラへ再送することを含み、チェーン内の次のBTデバイスに転送される前にホストプロセッサを介してデータをループすることによって、データ転送に関わるBTデバイスのホストプロセッサに関与する。記載されるデータ転送の利点には、ホストをウェイクアップすることなく又はそのホストプロセッサを介して少なくともループすることなく、A2DPデータなどのデータが、1つのBTデバイスから幾つかの他のBTデバイスに転送されることを可能にすることが含まれる。
【0008】
BTデバイスのFWレイヤにおける新たなメカニズムは、概して、受信データをそのBTコントローラに少なくとも再送することにホストプロセッサが関与することなく非同期コネクションレス(ACL)データをユーザーが転送することを可能にし、これによりデータレイテンシー及びデバイス電力消費が最小化される。ホストプロセッサとBTコントローラとの間の新しいHCIコマンドの記載されるセットが、BTデバイスのうちいずれからデータを受信するか、及び受信したデータをBTデバイスのうちいずれに転送するかを構成することを含み、チェーン内の各BTデバイスを構成するネットワークトポロジーをユーザーが定義することを可能にする。また、記載されるHCIは、任意選択で、各BTデバイスについて、受信データをそのホストプロセッサに送信するかどうか、及び、そのホストプロセッサに送られる場合、(例えば、チェーン内のそれぞれのBTデバイス間で時間同期するために)各パケットに時間スタンプを付加するかどうかを構成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】従来のBTネットワークにおけるBTを介するデータ転送を示す。
【0010】
図2】例示の一実施例に従った、BTネットワークにおけるBT ACL通信の例示の方法における工程を示すフローチャートである。
【0011】
図3】記載されるBT ACLデータ転送を用いる記載されるBTネットワーク配置におけるBTを介するデータ転送を示す。
【0012】
図4A】記載されるBT ACLデータ転送を用いる例示のBTデバイスの概略ブロック図である。
【0013】
図4B】例示の一実施例に従った、HCIによって互いに結合される個別のホストプロセッサとBTコントローラとを含む記載されるBTデバイスの概略ブロック図であり、HCIは、現在のチェーン内の各BTデバイスについて構成することを含むBTネットワークのトポロジーをユーザーが定義することを可能にするストアされたHCIコマンドコードを含むHCIファームウェアを含む。
【0014】
図5A】記載されるBT ACLデータ転送を用いるスタジアムにおけるビデオデータ転送を示す。
【0015】
図5B】A2DPデータを含む記載されるBT ACLデータ転送を用いるオーディオデータ転送を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面は必ずしも一定の縮尺で描いてはいない。図面において、同様の参照数字は同様の又は等価の要素を示す。幾つかの行為又は事象が、異なる順で及び/又は他の行為又は事象と同時に起こり得るので、行為又は事象の例示される順は限定的ではない。また、幾つかの例示された行為又は事象が、本記載に従った手法を実装するために任意選択であり得る。
【0017】
本記載において、「~に結合される」又は「~と結合される」という用語(及び同様のもの)は、本明細書において更なる限定なしに用いられる場合、間接的又は直接的な電気的接続のいずれかを記載する。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに「結合する」場合、その接続は、寄生のみが経路内にある直接的な電気的接続を介するもの、又は他のデバイス及び接続を含む介在要素を介する間接的な電気的接続を介するものであり得る。間接的結合の場合、介在要素は、概して、信号の情報を改変しないが、その電流レベル、電圧レベル、及び/又は電力レベルを調節し得る。
【0018】
図2は、例示の一実施例に従った、BTネットワークにおけるBT ACL通信の例示の方法200のための工程を示すフローチャートである。通信ネットワークは、ブルートゥースSIG(Special Interest Group)準拠ネットワークを含み得、データはオーディオデータ(例えば、A2DPデータ)を含み得る。しかしながら、記載されるBTデータ転送は、どの光をオンにし、どの光をオフに保つかを決定する光の線へなど、非オーディオデータにも適用することができる。
【0019】
工程201は、BTネットワーク内のそれぞれのノードにおいてBTデバイスを提供することを含み、BTデバイス(以下に記載される図4A及び図4Bに示されるBTデバイス参照)は、ホストコントローラトランスポートレイヤ及びHCIドライバを含むHCIによって互いに結合されるホストプロセッサ及びBTコントローラを含む。ホストプロセッサは、アプリケーションレイヤを実装し、ホストコントローラトランスポートレイヤを介してそのBTコントローラと通信するためのHCIファームウェアを含む。
【0020】
BTコントローラは、メモリ及びトランシーバに結合されるプロセッサと、アンテナに結合されるように適合されたトランシーバを駆動するためのRFドライバとを含む。HCIファームウェアは、ユーザーがBTネットワークのトポロジーを定義することを可能にする記載されるHCIコマンドコードを含み、これには、BTデバイスのうちいずれからデータを受信するか、及びBTデバイスのうちいずれにデータを転送するかを構成することを含む、現在のチェーンにおいて各BTデバイスを構成することが含まれる。工程202は、BTネットワークを構成することを含み、これは、現在のチェーンにおいて各BTデバイスを構成することを含み、これは、少なくとも1つのパケットを含むデータをBTデバイスのうちいずれから受信するか、及びデータをBTデバイスのうちいずれに転送するかを構成することを含む。工程203は、データをそのBTコントローラに少なくとも再送することにそのデバイスのホストプロセッサが関与することなく、BTデバイス間でデータを転送するBTデバイスと、BTネットワークを介してデータを通信することを含む。
【0021】
図3は、上述の図1と比較され得る、記載されるBT ACLデータ転送を用いる記載されるBTネットワーク配置におけるBTを介するデータ転送を示す。チェーンにおける各BTデバイス301、302、及び303は、HCI430によって共に結合される、ホストプロセッサ425a及びBTコントローラ425bを含む。上述のように、このBTネットワーク配置は、独立した非同期のピコネットを含むスキャッターネットとすることができ、各BTデバイスは、BTベースのワイヤレスセンサネットワークを実装するためのセンサを更に含む。
【0022】
データを受信すると、図3にBTデバイス302及び303として示される第1のBTデバイス301以外のBTデバイスは、各々、それらのホストプロセッサ425aがそれらのBTコントローラ425bにデータを少なくとも再送することに関与することなく、このデータを次のBTデバイスに送る。BTデバイス302は、そのホストプロセッサ425aが関与することなくデータを転送し、そのため、データを転送する際に1工程のみを行うように示されている。BTデバイス303は、受信したデータを解析し、受信したデータに応じて動作する(タイムスタンプを付加するなど)が、ホストプロセッサ425aの関与なしに、データをそのBTコントローラ425bに再送し、そのため、データを転送する際に計2つの工程を行う。
【0023】
図4Aは、BT通信規格に概して準拠する例示のBTデバイス400のシステムブロック図表現を示す。BTデバイス400は、概して、BTコントローラ425bのための半導体表面を有する基板405a上に形成され、及び、ホストプロセッサ425aのための半導体表面を有する別の基板405b上に形成される、少なくとも1つの集積回路(IC)を含む。BTデバイス400は、BT通信に関与することが可能な任意のデバイスとし得る。このようなBTデバイスは、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット、コンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、及び、スピーカー、ウィンドウブラインド、及び動きセンサなどの通信能力を有する家庭用品であり得、又はそれらを含み得、又はそれらの一部であり得る。オペレーションにおいて、BTデバイス400は、他のBTデバイスと共にBTネットワークにおいて通信する。
【0024】
BTデバイス400は、HCI430を介して互いに通信するホストプロセッサ425a及びBTコントローラ425bを含む。ホストプロセッサ425aは、記載されるHCIコマンドコードを含む記載されるHCI FWをストアするメモリ432を含み、HCIコマンドコードは、ユーザーがBTネットワークのトポロジーを定義することを可能にし、これは、現在のチェーンにおける各BTデバイスを構成することを含み、これは、少なくとも1つのパケットを含むデータをBTデバイスのうちいずれから受信するか、及び、受信したデータをBTデバイスのうちいずれに転送するかを構成することを含む。BTコントローラ425bは、プロセッサ423と、BTデバイス400のための記載されるACLデータ転送を実装するために、ホストプロセッサ425aから受信したコマンドを解析し、理解し、それに応じて動作するためのソフトウェアソースコード422aを含むメモリ422とを含む。また、BTデバイス400は、概してチップ外にある(off chip)アンテナ418に結合されるように適合されたRFドライバ424aを含むトランシーバ424を含む。プロセッサは、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)又はマイクロコントローラを含み得る。プロセッサは、集合的に、BTオペレーションのためのBTプロトコルスタックを実装する(下記の図4Bを参照)。
【0025】
また、トランシーバ424は、記載されたACL転送を実装するためのソフトウェア422aの代替として用いられ得るデジタル論理424bを含むハードウェアを含んで示される。トランシーバ424は、トランスミッタ及びレシーバを含む。トランスミッタは、概して、媒体アクセス制御(MAC)モジュール、エンコーダ、変調器、逆高速フーリエ変換(IFFT)ユニット、デジタルアナログ変換(DAC)/フィルタモジュール、及びRF/アンテナモジュールを含む。レシーバは、概して、RF/アンテナユニット、アナログデジタル変換(ADC)/フィルタユニット、FFTユニット、復調器、デコーダ、及びMACモジュールを含む。
【0026】
メモリ422は、より一般的には、データ、命令、又はその両方を含む情報を記憶するように構成される。メモリ422は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、又は、内部ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気媒体デバイスなど、プロセッサ423によってアクセス可能な任意のストレージ媒体とし得る。また、ミキシング及び周波数合成を含む目的のために位相ロックループ(PLL)432が提供される。
【0027】
プロセッサ423は、メモリ422及びトランシーバ424に結合される。幾つかの実装では、トランシーバ424は、RF信号を送受信するためのベースバンドユニット(図4Aには示されていないが、図4Bを参照されたい)及びアナログユニット(示されていない)を含む。ベースバンドユニットは、デジタル信号処理、符号化及びデコード、変調、並びに復調を含む、ベースバンド信号処理を行うためのハードウェアを含み得る。アナログユニットは、アナログデジタル変換(ADC)、デジタルアナログ変換(DAC)、フィルタリング、利得調節、アップコーンバージョン、及びダウンコンバージョンを行うためのハードウェアを含み得る。アナログユニットは、アクセスポイントからRF信号を受信し得、受信したRF信号を、ベースバンドユニットによって処理されるベースバンド信号にダウンコンバートし得、又は、ベースバンドユニットからベースバンド信号を受信し得、受信したベースバンド信号を、アップリンク送信のためにRFワイヤレス信号にアップコンバートし得る。このアナログユニットは、ベースバンド信号をアップコンバートし、BTネットワークの無線周波数で発振されるキャリア信号でRF信号をダウンコンバートするミキサを含む。BTデバイス400によって用いられるデータレートは、2.472GHz~2.479GHzの現行のBT周波数帯、又は用いられる任意の将来のBT周波数帯とし得る。
【0028】
図4Bは、BT応用例及びLogical Link Control and Adaptation Protocol(L2CAP)レイヤ448を含むアプリケーションレイヤ440を含むホストプロセッサ425aを示す、ここでは400’として示される図4Aに示されるBTデバイス400の機能レイヤの図である。BTプロトコルRFCOMMブロック441は、L2CAPレイヤ448の頂部上でつくられる、トランスポートプロトコルのシンプルなセットである。電話通信制御プロトコル規格(TCS:Telephony Control Protocol Specification)442は、BTデバイス間で音声コールを送る方式を定義する。サービスディスカバリプロトコル(SDP)443は、UUTDのレンジ(これは、公称128ビットである)をより短い形式で表す方式を定義する仕様である。ポイントツーポイントプロトコル(PPP444)は、2つのデバイスノード間の直接接続を確立するために用いられるデータリンク(レイヤ2)プロトコルである。送信制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)445は、BTデバイスがTCP/IPトラフィックを搬送することを可能にし、OBEX446は、BTデバイス間のバイナリオブジェクトの交換を容易にする通信プロトコルであり、AT447は、アナログモデム上で機能をアクティブにするために用いられる一連の機械命令を含むコマンドインタフェースである。
【0029】
BTコントローラ425bは、図4Aに示すトランシーバ424の一部である、リンクマネージャプロトコル(LMP)426、ベースバンドセクション、及びRFセクションを含むように示されている。BTコントローラ425bは、ベースバンド回路要素427及びRF回路要素428を含んで示されている。LMP426は、2つの隣り合うBTデバイス間のBT接続のオペレーションのすべての態様を制御し、ネゴシエートする。
【0030】

記載される実施例は、以下の実施例によって更に例示され、これらの実施例は、いかなる様式においても本記載の範囲又は内容を限定しない。
【0031】
図5Aは、記載されるBT ACLデータ転送を用いるスタジアム500におけるビデオデータ転送を示す。カメラ1及びカメラ2は、各々、図4Aに示されるBTデバイス400などのBTデバイスを記載しており、それらは、それらの分離距離がBT通信レンジを超えているために、中間に中継器510を用いて別のものと通信する。カメラ1及び2は、いずれも、それらのホストプロセッサをウェイクアップすることなく、又は、それらのホストプロセッサを介して少なくともループすることなく、一方のカメラから他方のカメラへビデオデータが転送されることを可能にする記載されたデータ転送を実装し、これにより、レイテンシーが低減され、従来のデータ転送と比べて電力が節約される。
【0032】
図5Bは、A2DPデータを含む記載されるBT ACLデータ転送を用いるオーディオデータ転送を示す。BTスピーカー1及びBTスピーカー2は、それらの分離距離に起因して中間に中継器560として示される中継器と通信する、図4Aに示されるような記載されるBTデバイスを含む。スマートフォンとして示されるオーディオソース540が、BTスピーカー1にオーディオデータを提供し、中継器565として示される別の中継器が、それらの分離距離に起因して、BTスピーカー1とオーディオソース540との間にある。上述のように、BTスピーカー1の記載されるBTデバイスは、それらのホストプロセッサに関与することなくACLデータをBTスピーカー2に送り、特にこのA2DPを用いるケースでは、そのホストプロセッサを介して少なくともループすることなくシステム電力消費を減少させる。
【0033】
BT通信は、本明細書において概してACLを用いて記載されるが、記載されるBT通信は、既存のACL転送に対して予備の時間スロットのセットを含む同期接続指向(SCO:Synchronous Connection Oriented)リンクなどの他のリンクタイプを用いることもできる。
【0034】
本発明の特許請求の範囲内で、記載される例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B