(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】化合物及びその製造方法並びに用途
(51)【国際特許分類】
C07D 409/12 20060101AFI20230725BHJP
A61K 31/416 20060101ALI20230725BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230725BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230725BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230725BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230725BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230725BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230725BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20230725BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20230725BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230725BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20230725BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20230725BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230725BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230725BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230725BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230725BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230725BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230725BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
C07D409/12 CSP
A61K31/416
A61P43/00 111
A61P11/00
A61P11/06
A61P11/02
A61P37/08
A61P31/12
A61P31/16
A61P19/00
A61P19/02
A61P19/06
A61P19/10
A61P37/02
A61P17/00
A61P17/06
A61P27/02
A61P1/00
A61P15/00
A61P21/00
(21)【出願番号】P 2020558674
(86)(22)【出願日】2019-01-11
(86)【国際出願番号】 CN2019071315
(87)【国際公開番号】W WO2019137463
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】201810032410.2
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520256972
【氏名又は名称】メドスプリング インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】チョー、ハイ フォン
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-518673(JP,A)
【文献】Procopiou, Panayiotis A. et al,Synthesis and Structure-Activity Relationships of Indazole Arylsulfonamides as Allosteric CC-Chemokine Receptor 4 (CCR4) Antagonists,Journal of Medicinal Chemistry,2013年,Vol.56(5),p.1946-1960
【文献】Procopiou, Panayiotis A. et al,Lead optimisation of the N1 substituent of a novel series of indazole arylsulfonamides as CCR4 antagonists and identification of a candidate for clinical investigation,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2012年,Vol.22(8),p.2730-2733
【文献】Miah, Afjal H. et al,Identification of pyrazolopyrimidine arylsulfonamides as CC-chemokine receptor 4 (CCR4) antagonists,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2017年,Vol.25(20),p.5327-5340
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 409/12
A61K 31/416
A61P 43/00
A61P 11/00
A61P 11/06
A61P 11/02
A61P 37/08
A61P 31/12
A61P 31/16
A61P 19/00
A61P 19/02
A61P 19/06
A61P 19/10
A61P 37/02
A61P 17/00
A61P 17/06
A61P 27/02
A61P 1/00
A61P 15/00
A61P 21/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合
物:
【化1】
であって、式中、Mは
、NaまたはKである
、化合物。
【請求項2】
請求項
1に記載の式Iの化合物
およびそれと混合される医薬上許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項3】
CCR4を介する疾患の治療のための薬物の
調製における、請求項
1に記載の式I
の化合物の使用
において、前記CCR4を介する疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または鼻炎である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年1月12日に出願した、出願番号201810032410.2、発明の名称が「化合物及びその製造方法並びに用途」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、新規化合物またはその医薬上許容可能な塩、溶媒和物もしくは前薬に関する。本発明はまた、当該新規化合物またはその医薬上許容可能な塩、溶媒和物または前薬を製造する方法、それを含有する医薬組成物、およびCCR4を介する疾患の治療に用いる薬物の製造におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
CCR4(ケモカイン受容体4)は、1995年Christine A.Powerらに最初に発見された(クリスティンAPら,J.Biol. Chem.1995,270(8):19495-19500)ケモカイン受容体(CCR)ファミリーの一員で、7回膜貫通のG-タンパク質共役受容体である。CCR4には、MDC(Macrophage-derive chemokine)とTARC(thymus andactivation regulated chemokine)という天然に存在する特異的なリガンドが2つある(Sadatoshi Maeda等VeterinaryImmunology and Immunopathology 2002(90):145-154)。最近発見されたケモカイン様因子1(Chemokine-like factor 1、CKLF1)もそのリガンドの一つである(Han WLらBiochem J、2001、357(pt1):127-135)。
【0004】
CCR4は末梢血白血球、胸腺細胞、好塩基性白血球、単球、マクロファージ、血小板、IL-活性化NK細胞、脾と脳に発現でき、多くの疾患に重要な役割を果たす。例えば、人アレルギー性皮膚炎(AD)が発生する場合、CD4+T細胞が発現するCCR4は末梢血の単核細胞(PBMCs)で発現が増加し、血清中のTARCレベルもそれに応じて増加する。これはCCR4の細胞発現のケモカイン現象がTARCによって誘導され、人間のアトピー性皮膚炎時にTh2細胞を選択的に損傷皮膚に移行させることを示している。アレルギー性皮膚炎を治療する薬は主に抗ヒスタミン薬、気管支拡張剤が挙げられるが、症状を改善するしかなく、病気の発展には役立たない。また、皮質ステロイド化合物はアレルギー性皮膚炎にも一定の作用があるが、安全上の問題がある。MDCやTARCに対する拮抗はT細胞の炎症部位への集積を減少させ、CCR4拮抗剤はアレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎を含むアレルギー性炎症の治療に有効である可能性があるとの研究がある。
【0005】
CCR4は、例えば慢性閉塞性肺炎、慢性気管支炎と喘息などの肺疾患にも大きな関係があることがわかった。CCR4は喘息反応に関与する細胞に制限的に発現でき、喘息治療の良い標的とされている。そのため、CCR4拮抗薬を開発することは良い応用の見通しがある。
【0006】
CN101370793Aは、下式を有する化合物とCCR4拮抗薬としてのその用途を開示し、CCR4拮抗薬に関連する治療におけるその使用を含む、
【化1】
その中の各置換基は、この出願に開示されているように定義されている。
【0007】
CN102388039Aは、ある種類のインダゾール化合物とそのCCR4拮抗薬としての用途を開示し、CCR4拮抗薬に関する治療への応用を含んでいる。
【化2】
その中の各置換基は、この出願に開示されているように定義されている。
【0008】
当分野では、より良いCCR4阻害剤依然として必要であり、例えば、より良いCCR4阻害活性を持っているか、水や他の溶媒に対する溶解度がより高いか、生物利用度がより高いかなどが依然として必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式Iの化合物又はその医薬上許容可能な塩、溶媒和物又は前薬を提供する。
【化3】
式中、Mは一価のアルカリ金属である。例えば、MはLi、Na、K、Rb又はCsである。好ましいは、MはNaまたはKである。
本発明の第一の態様では、前記式Iの化合物は下記式IIの化合物である。
【化4】
本発明の第二の態様では、前記式Iの化合物は下記式IIIの化合物である。
【化5】
【0010】
本発明の式I化合物の適切な医薬上許容可能な塩としては、例えば無機酸または有機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸またはマレイン酸)との酸付加塩、アンモニウム塩、または有機塩基(メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリンまたはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミンなど)との塩を挙げることができる。
【0011】
本発明の式I化合物の適切な医薬上許容可能な溶媒和物としては、水和物などが挙げられ、例えば半水和物、一水和物、二水和物または三水和物、あるいはその選択可能な組合せ量である。
【0012】
本発明の化合物は、人や動物の体内で分解して本発明の化合物を放出する前薬として投与することができる。前薬の例としては、式I化合物のカルボキシル基または水酸基に形成可能な体内で分解できるエステル誘導体と、式I化合物のカルボキシル基またはアミノ基に形成可能な体内で分解できるアミド誘導体を挙げることができる。
【0013】
式I化合物の医薬上許容可能な前薬は、例えば、その体内で分解可能なエステルやエーテルを挙げることができる。水酸基を含む式I化合物の体内で分解可能なエステルまたはエーテルは、例えば、ヒトや動物の体内で分解して母体水酸基化合物を産生する医薬上許容可能なエステルまたはエーテルである。水酸基に対して、適切な薬学的に許容されるエステル形成基としては、リン酸エステル(アミノリン酸環エステルを含む)などの無機エステルが挙げられる。水酸基に対して、適切な医薬上許容可能なエステル形成基としては、(1-10C)アルカノイル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基、フェニルアセチル基、置換ベンゾイル基とフェニルアセチル基など)、または(1-10C)アルコキシカルボニル基(例えばエトキシカルボニル基、N,N-[ジ-(1-4C)アルキル]カルバモイル基、2-ジアルキルアミノアセチル基、2-カルボキシアセチル基など)が挙げられる。フェニルアセチル基及びベンゾイル基上の環置換基としては、アミノメチル基、N-アルキルアミノメチル基、N,N-ジアルキルアミノメチル基、モルホリノメチル基、ピペラジン-1-イルメチル基、4-(1-4C)アルキルピペラジン-1-イルメチル基などが挙げられる。水酸基には、適切な医薬上許容可能なエーテル形成基としては、アセトキシメチル基やピバロイルオキシメチル基などのα-アシルオキシアルキル基が挙げられる。
【0014】
本発明の式I化合物又はその医薬上許容可能な塩、溶媒和物又は前薬はCCR4阻害剤の活性を有する。従って、本発明の式I化合物又はその医薬上許容可能な塩、溶媒和物又は前薬は、CCR4を介する疾患の治療またはCCR4を介する疾患の治療のための薬物の調製に使用することができる。具体的には、本発明の式I化合物又はその医薬上許容可能な塩、溶媒和物又は前薬は、CCR4の調節(例えばCCR4の活性を抑制する)が患者に有利な疾患の治療に用いることができる。
【0015】
本発明の1つの態様では、上記式I化合物又はその医薬上許容可能な塩、溶媒和物又は前薬と、それと混合する医薬上許容可能な賦形剤例えば希釈剤又は担体とを含む医薬組成物を提供する。前記医薬組成物はCCR4を介する疾患の治療に用いられる。
【0016】
本発明の医薬組成物は、当分野でよく知られている従来の薬用賦形剤を用いて通常の方法により得られる。例えば、経口的に使用したい組成物に含まれ得る賦形剤は、着色剤、甘味剤、矯味剤及び/又は防腐剤の1種又は2種以上である。
【0017】
本発明の医薬組成物は、経口投与に適した形式(例えば、錠剤、トローチ、ハードまたはソフトカプセル、水または油懸濁液、乳剤、分散可能な粉剤または顆粒剤、シロップ剤またはエリキシル剤)、局所使用に適した形式(例えばクリーム剤、ソフトペースト、ゲル剤または水または油性溶液または懸濁液)、吸入投与に適した形式(例えば微細分散粉剤または液体エアロゾル)、吹き込み投与に適した形式(例えば微細分散粉剤)、胃腸外投与に適した形式(例えば静脈内、皮下、腹膜内あるいは筋肉内投与のための無菌水や油性溶液、あるいは直腸投与のための坐剤)を採用することができる。
【0018】
1種類または複数種類の賦形剤と組み合わせて単一の剤形を形成する活性成分の量は必要に応じて変化し、治療の対象と特定の投与経路に依存する。例えば、経口投与したい製剤は、通常、例えば適切で便利な量の賦形剤と混合した活性成分0.1mg~1g(より好ましくは1-250 mg、例えば1-100 mg)を含有し、前記賦形剤は全組成物重量の約5-98%を占める。
【0019】
治療や予防の目的に用いられる式I化合物やその医薬上許容可能な塩、溶媒和物や前薬の量は、通常、病気の性質や重症度、動物や患者の年齢や性別や投与経路によって、よく知られている医学原則によって変わる。
【0020】
本発明の1つの態様では、上記で定義した式I化合物又はその医薬上許容可能な塩、溶媒和物又は前薬を提供し、CCR4を介する疾患を治療(又は予防)するために使用する。
【0021】
本発明のさらに別の態様では、CCR4を介する疾患の治療(又は予防)のための薬物の製造における、上記で定義した式I化合物又はその医薬上許容可能な塩、溶媒和物又は前薬の使用を提供する。
【0022】
CCR4を介する病気は炎症や感染に関連する病気および状態でもよい。CCR4を介する疾患は以下を含む:
(1)呼吸器疾患:以下を含む気道の閉塞性疾患:気管支、アレルギー性、内因性、外因性、運動誘発性、薬剤誘発性(アスピリンおよびNSAID誘発性を含む)および粉塵誘発性喘息、および間欠性および永続性両方の喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);感染性および好酸球性気管支炎を含む気管支炎;気腫;気管支拡張症;嚢胞性線維症;過敏性肺炎;原因不明線維化肺胞炎、特発性間質性肺炎、抗新生物治療ならびに慢性感染に合併する線維症を含む肺線維症;肺脈管構造の血管炎性および血栓性障害、および肺高血圧;薬物性鼻炎、および血管運動神経性鼻炎を含む急性および慢性鼻炎;神経性鼻炎を含む通年性アレルギー性および季節性アレルギー性鼻炎;普通の風邪、および呼吸器多核体ウイルス、インフルエンザ、コロナウイルスおよびアデノウイルスが原因の感染を含む急性ウイルス感染;
(2)骨および関節:骨関節症/変形性関節症に関連するまたはそれらを含む関節炎;頚部および腰部脊椎炎、および背下部および頚部痛;骨粗鬆症慢性関節リウマチ;尿酸痛風、ピロリン酸カルシウム沈着疾患、およびカルシウムアパタイト関連腱、滑液包および滑膜炎症を含む急性およ び慢性結晶誘発性滑膜炎;皮膚筋炎および多発性筋炎を含む炎症性ミオパシー;リウマチ性多発筋痛症;どんな関節分布であれ特発性炎症性関節炎を含む若年性関節炎および関連症候群、およびリウマチ性熱およびその全身性合併症;薬剤誘発性関節痛、腱炎、およびミオパシー;
(3)乾癬と炎症性皮膚病、例えば皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、風疹と掻痒症
(4)眼炎と眼瞼炎;通年性および春季アレルギー性結膜炎を含む結膜炎;虹彩炎;前部および後部ブドウ膜炎;脈絡膜炎;自己免疫;網膜に影響する変性または炎症性障害;交感神経性眼炎;サルコイドーシス;ウイルス、真菌、および細菌感染症を含む眼炎;
(5)その他CCR4に関連する疾患、例えば胃腸炎症、生殖泌尿系炎症および免疫系炎症など。
【0023】
本発明のさらに別の態様では、式I化合物を製造する方法を提供する。
【化6】
ここで、Mは一価のアルカリ金属、例えば、Li、Na、K、Rb又はCsである。好ましいはNaまたはKである。前記方法は、有機溶媒中で、下記式6化合物を
【化7】
【0024】
1価のアルカリ金属Mの強アルカリと攪拌反応してから、濾過乾燥させる。好ましいは、前記化合物6と前記一価のアルカリ金属Mの強アルカリとのモル比は1:0.5~2である。より好ましいは、前記化合物6と前記一価のアルカリ金属Mの強アルカリのモル比は約1:1である。
【0025】
この反応は、適当な有機溶媒中で行われる。例えば、前記有機溶媒は、エステル類、芳香族炭化水素類、エーテル類、アルコール類又はその他の水溶性極性溶媒である。前記エステル類溶媒は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル又は酢酸ブチルが挙げられ;前記芳香族炭化水素系溶媒はベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼンまたはキシレンが挙げられ;前記エーテル系溶剤はエーテル、イソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル又はジエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられ;前記アルコール系溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール又はエチレングリコールが挙げられ;前記他の水溶性極性溶媒はアセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。前記一価のアルカリ金属Mの強アルカリは、Mの水素化物、例えばNaHやKHでもよい。前記一価のアルカリ金属Mの強アルカリは、Mのアルコール塩基、例えばt-ブチルアルコールナトリウムやt-ブチルアルコールカリウムでもよい。前記強アルカリには、このアルカリ金属Mの酸化物、水酸化物または炭酸水素酸塩なども含まれる。本発明のさらに別の側面では、前記方法は、前記化合物6を有機溶媒に溶解させた後、MHまたはMのアルコール塩基を加え、攪拌反応(例えば、15℃~35℃で、1~3.5時間攪拌反応) させた後、濾過乾燥することを含む。好ましいは、前記化合物6と前記MH又はMのアルコール塩基とのモル比は1:0.5~2であり、より好ましいは、前記化合物6と前記MH又はMのアルコール塩基とのモル比は約1:1である。
【0026】
本発明の一態様では、下記式IIの化合物を製造する方法が提供される。
【化8】
ここで、前記化合物6を有機溶媒に溶解した後、NaHを加え、撹拌反応(例えば、15℃~35℃の温度で1~3.5時間撹拌反応)させた後、ろ過乾燥する。好ましいは、化合物6とNaHのモル比は1:0.5~2、より好ましくは約1:1である。
【0027】
本発明の一態様では、下記式IIIの化合物を製造する方法が提供される。
【化9】
ここで、前記化合物6を有機溶媒に溶解した後、KHを加え、撹拌反応(例えば、15℃~35℃の温度で1~3.5時間撹拌反応)させた後、ろ過乾燥する。好ましいは、化合物6とKHのモル比は1:0.5~2、より好ましくは約1:1である。
【0028】
本発明の一態様では、下記式IIIの化合物を製造する方法が提供される。
【化10】
【0029】
ここで、前記化合物6を有機溶媒に溶解した後、t-ブチルアルコールカリウムを加え、攪拌反応(例えば、15℃~35℃の温度で1~3.5時間攪拌反応)させた後、濾過乾燥する。好ましいは、化合物6とt-ブチルアルコールカリウムのモル比は1:0.5~2、より好ましくは約1:1である。
【0030】
従来技術のCCR4抑制剤は溶解度が低く、それによって薬物製剤の難度を増加し、薬物活性成分の釈放を影響し、生物利用が低すぎることを招き、最大の安全な用量では体内で予期した効果のある血中濃度を達成できない問題が存在し、薬物の治療効果を影響することが知られている。本発明が提供する式I化合物、特に式IIと式III化合物は、より良いCCR4阻害剤であり、従来技術と比較して明らかな優位性を有し、その優位性は以下の通りである。
1.顕著に増強された溶解度。式II化合物と式III化合物は化合物6と比べて、同じ条件で有意に高い溶解度を持っている。例えば、室温水溶液では、式II化合物と式III化合物の溶解度は500mgまたは40mg/mlであり、同様の条件で化合物6の溶解度は0.02mg/mlであり、比較して溶解度は2000-25000倍向上した。
2.より優れた生物利用度。標準的なCaCO-2体外透膜評価結果によると、化合物6のPapp(見かけの浸透係数)は0.13×10-6で、難吸収性化合物である。それに対し、式II化合物と式III化合物の同じ実験条件でのPappは68.82~101.33×10-6であり、透膜性が530~780倍向上し、易吸収性化合物である。
3.より優れた内外活性。放射標識実験は、本発明の式II化合物と式III化合物のIC50が2.26×10-9mol/L~7.47×10-10mol/Lであり、活性が同じ実験条件で化合物6により6と210倍向上したことを証明した。
【0031】
以下、実施例により本発明の本質的な内容と有益な効果をさらに説明する。実施形態は、本発明を説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。
実施例1 N-[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チェニル)スルホニル]アミノ}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルアミドの調製
【0032】
下記式6の化合物N-[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チェニル)スルホニル]アミノ}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルアミドを調製する。
【化11】
【0033】
プロセス1 中間体化合物1 4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-3-アミンの調製
【化12】
【0034】
6-フルオロ-2-(メチルオキシ)ベンゾニトリル(50g、0.33mol)とヒドラジン水和物(50g、0.99mol)をn-ブタノール400mlに溶解し、窒素雰囲気下で20h還流反応させた。溶液を冷却した後、水400mlを添加して均一に攪拌し、有機層を分離し、水相中に析出した固体を収集した。有機層の溶媒を減圧留去し、残渣と水相および水相に析出した固体を混合し、酢酸エチルを用いて抽出した(3×400ml)。有機層を水で逆洗(2×400ml)、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、真空乾燥して灰白色固体(46.32g、収率85.8%)を得た。MS ESI+ 164(M+H)+。
【0035】
プロセス2 中間体化合物2 3-{[3-アミノ-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}ベンゾニトリルの調製
【化13】
【0036】
水酸化カリウム(9g,160.7mmol)とDMSO(200ml)を混合し、均一に攪拌した。4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-3-アミン(10.48g、64.3mmol)を加え、溶液が濃い紫色になった。室温で10分間攪拌した後、3-(クロロメチル)ベンゾニトリル(11.8g、64.3mmol)を加え、引き続き2h攪拌した。反応液に水500mlを加え、反応混合物をエマルジョンを形成させた。塩化メチレン用いて抽出した(3×400ml)、水逆洗(2×400ml)、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル=5/1)で処理し、溶媒を減圧留去し、真空乾燥させた。淡黄色固体(13.22g、収率73.9%)を得た。MS ESI+279(M+H)+。
【0037】
プロセス3 中間体化合物3 5-クロロ-N-{1-[(3-シアノフェニル)メチル]-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-3-イル}-2-チオフェンスルホンアミドの調製
【化14】
【0038】
室温および窒素雰囲気中で、5-クロロ-2-チオフェンスルホニルクロリド(7.96g、36.7mmol)のピリジン(12ml)溶液を、3-{[3-アミノ-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}ベンゾニトリル(10.2g、36.7mmol)を入れた両口瓶に滴下した。反応系は濃い赤色になった。1h後、反応液を塩酸500ml(2mol/L)に注ぎ、塩化メチレンで抽出(4×500ml)し、水を逆洗(3×500ml)、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル=100/1)で処理し、溶媒を減圧留去し、真空乾燥させた。白色固体(13.43g、収率79.9%)を得た。MS ESI+459(M+H)+。
【0039】
プロセス4 中間体化合物4 N-[1-{[3-(アミノメチル)フェニル]メチル}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-3-イル]-5-クロロ-2-チオフェンスルホンアミド塩酸塩の調製
【化15】
【0040】
5-クロロ-N-{1-[(3-シアノフェニル)メチル]-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-3-イル}-2-チオフェンスルホンアミド(15.75g,34.4mmol)をテトラヒドロフラン200mlに溶解し、0℃で放置した。窒素雰囲気中で、反応系に温度を10℃以下に維持しつつ1.0Mリチウム四水素アルミニウムのTHF溶液(86ml、86mmol)を滴下した。滴下終了後、反応系を室温に移して2h撹拌を続けた。水10ml、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液60mlを添加して急冷させた(急冷過程は大量に発熱し、氷水浴中で行った)。30分撹拌後、固体を濾過して除去し、THFでケーキを洗浄し、濾液を合併した。ろ液はシリカゲルカラムで処理し、これを濾過してメタノールで洗浄し、続いて2.5L中の10%2N塩酸で洗浄した。必要な留分を併合し、濃縮した。生成固体を濾過して収集し、水で洗浄した。固体を真空乾燥させ、白色固体(12.6g、収率73.6%)を得た。MS ESI+463(M+H)+。
【0041】
プロセス5 中間体化合物5 2-{[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チエニル)スルホニル]アミノ基}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]アミノ基}-1,1-ジメチル-2-オキシエチルアセテートの調製
【化16】
【0042】
氷水浴条件下で、N-[1-{[3-(アミノメチル)フェニル]メチル}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-3-イル)-5-クロロ-2-チオフェンスルホンアミド塩酸塩(15.6g,31.3mmol)、トリエチルアミン(9.6g,95mmol)、ジクロロメタン400mlを混合し、均一に攪拌した。その後、2-クロロ-1,1-ジメチル-2-オキシエチルアセテート(5.2g,31.3mmol)を滴下した。滴下終了後、室温かつ窒素雰囲気中で2h撹拌を続けた。塩酸2mol/L(150ml)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(150ml)、飽和食塩水(150ml) をそれぞれ用いて洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=1/1)で処理し、溶媒を減圧留去し、真空乾燥して白色フォーム状固体(14.1g、収率76.3%)を得た。MS ESI+591(M+H)+。
【0043】
プロセス6 化合物6 N-[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チエニル)スルホニル]アミノ}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルアミドの調製
【化17】
【0044】
2-{[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チエニル)スルホニル]アミノ}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]アミノ}-1,1-ジメチル-2-オキシエチルアセテート(6.55g,11.1mmol)を溶かしたメタノール(350ml)溶液に炭酸カリウム(4.6g,33.3mmol)を加えた。室温で4h攪拌し、系内に大量の固体を析出した。溶媒を減圧留去し、蒸して乾かした後、水100mlを加え、2mol/Lの塩酸でPHを酸性になるまで調整した。酢酸エチルで抽出(200ml×2)し、水層が中性になるまで抽出液を水で逆洗(200ml×2)した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=1/1.5)で処理し、溶媒を減圧留去し、真空乾燥して白色固体(5.08g、収率83.5%)を得た。
MS ESI+549(M+H)+;1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):10.40(s,1H),8.13(t,1H),7.33(d,1H),7.24-7.08(m,6H),6.93(d,1H),6.46(d,1H),5.45(s,2H),5.33(s,1H),4.17(d,2H),3.72(s,3H),1.20(s,6H)。
【0045】
実施例2 式II化合物 N-[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チエニル)スルホニル]アミノ}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミドナトリウム塩の調製
【化18】
【0046】
式6の化合物N-[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チエニル)スルホニル]アミノ}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(2.5g,4.56mmol)を無水テトラヒドロフラン30mlに溶解させ、溶液が清澄になるまで撹拌した。系内にNaH(60%)(182mg、4.56mmol)を加え、35℃で1.0h攪拌した。系内に大量の白色固体が発生し、ろ過して白色固体を得て、テトラヒドロフランで洗浄し、真空乾燥箱に移して乾燥した。白色固体(2.09g、収率80.4%)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):8.08(t,1H),7.20(d,1H),7.14-6.78(m,7H),6.20(d,1H),5.33(s,1H),5.19(s,2H),4.16(d,2H),3.74(s,3H),1.21(s,6H)。
【0047】
実施例3 式III化合物 N-[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チエニル)スルホニル]アミノ}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミドカリウム塩の調製
【化19】
【0048】
方法1:式6の化合物N-[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チエニル)スルホニル]アミノ}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(2.5g,4.56mmol)を無水テトラヒドロフラン30mlに溶解させ、溶液が清澄になるまで撹拌した。系内にKH(30%)(600mg、4.56mmol)を加え、15℃で3.5h攪拌した。系内に大量の白色固体が発生し、ろ過して白色固体を得て、テトラヒドロフランで洗浄し、真空乾燥箱に移して乾燥した。白色固体(2.21g、収率83.1%)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):8.10(t,1H),7.22(d,1H),7.17-6.79(m,7H),6.21(d,1H),5.35(s,1H),5.19(s,2H),4.18(d,2H),3.75(s,3H),1.22(s,6H)。
【0049】
方法2:式6の化合物N-[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チエニル)スルホニル]アミノ}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミド(1.37g,2.5mmol)を無水テトラヒドロフラン15mlに溶解させ、溶液が清澄になるまで撹拌した。系内にt-ブタノールカリウム(280mg、2.5mmol)を加え、室温で10分間攪拌した。系内に大量の白色固体が発生し、ろ過して白色固体を得て、テトラヒドロフランで洗浄し、真空乾燥箱に移して乾燥した。白色固体(1.35g、収率92.1%)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):8.09(t,1H),7.20(d,1H),7.13-6.78(m,7H),6.20(d,1H),5.34(s,1H),5.18(s,2H),4.16(d,2H),3.74(s,3H),1.21(s,6H)。
【0050】
実施例4 溶解度試験
2010版薬局方第二部凡例に制定された方法に基づいて化合物の溶解度を測定する。実施例1で調製された化合物6,N-[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チエニル)スルホニル]アミノ}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルアミドをそれぞれ10、100、1000mgずつ正確に秤量し、25℃±2℃で500mlの容量瓶に入れ、水を加えて目盛りまで薄め、5分間ごとに30秒間強く振って、30分間内の溶解状況を観察したところ、10mgのサンプルだけに溶質が見られない、得られたその水への溶解度は0.02mg/mlであった。
【0051】
実施例2で調製された化合物II,N-[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チエニル)スルホニル]アミノ}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミドナトリウム塩をそれぞれ10,100,1000,2000mgずつ正確に秤量し、25℃±2℃で2mlの容量瓶に入れ、水を加えて目盛りまで薄め、5分間ごとに30秒間強く振って、30分間内の溶解状況を観察したところ、2000mg以外のサンプルには溶質が見られない、得られたその水への溶解度は500mg/mlであった。
【0052】
実施例3で調製された化合物III,N-[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チエニル)スルホニル]アミノ}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンアミドカリウム塩をそれぞれ8、80、800、1600mgずつ正確に秤量し、25℃±2℃で2mlの容量瓶に入れ、水を加えて目盛りまで薄め、5分間ごとに30秒間強く振って、30分間内の溶解状況を観察したところ、800mgと1600mg以外のサンプルには溶質が見られない、得られたその水への溶解度は40mg/mlであった。
【0053】
【0054】
化合物6のN-[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チエニル)スルホニル]アミノ}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルアミドと比較して、式II化合物と式III化合物は同じ条件で顕著に増強された溶解度を有する。室温で水溶液中、式II化合物と式III化合物の溶解度は500mg/mlと40mg/mlであり、同じ条件でN-[(3-{[3-{[(5-クロロ-2-チエニル)スルホニル]アミノ}-4-(メチルオキシ)-1H-インダゾール-1-イル]メチル}フェニル)メチル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルアミドの溶解度が0.02mg/mlであるのに対して、溶解度は2000-25000倍向上した。
【0055】
実施例5 体外CCR4拮抗活性試験
放射性リガンド[35S]-GTPγS競争試験により拮抗剤の効力を測定する。簡単に言えば、CCR4を発現するCHO膜を23G針で均一にする。その後、測定緩衝液(20mM HEPES、10mM MgCl
2、100mM NaCl、0.05%BSA、40ug/ml サポニン,KOH 5Mを用いてpHを7.4に調整させた)にこれらの膜をWGA-被覆のLeadseeker SPAビーズに付着させ、3μg/孔最終測定濃度(FAC)の膜と250μg/孔のFACビーズ溶液を生成した。氷の上で60分間プリカップリングした後、GDPを加えて4.4uM FACを得た。次に、測定緩衝液で調製された[35S]-GTPγSをビーズ/膜溶液に加え、0.33nMFACを得た。人MDCをビーズ/膜/[35S]-GTPγS懸濁液に加え、最大のアゴニスト応答を示す80% (EC80)のFACを得た。ビーズ/膜/[35S]-GTPγS/アゴニスト懸濁液を白色Greinerポリプロピレン384-オリフィス(45μl/オリフィス)に分配し、その中に0.5μl化合物を含む。その後、最終測定溶液(45.5μl)を密封し、遠心分離機で遠心し、室温で3~6時間インキュベートした。そして、Viewlux計でボードを読み取り、発光をIC
100標準拮抗剤による最大抑制応答に対する百分率としてプロットした。評価結果を表2に示す。
【表2】
【0056】
実施例6体外透膜性試験
Caco-2細胞モデルはヒトクローン結腸腺癌細胞で、構造と機能は分化した小腸上皮細胞に似ており、微絨毛などの構造を有し、小腸ブラシ状の縁上皮に関連する酵素系を含んでいる。体内腸輸送を模擬する実験を行うことができ、すでに薬物の人体小腸吸収を予測するや、薬物輸送のメカニズムを研究するための標準的な体外スクリーニングツールとなっている。薬物吸収能力の判定する方法:Papp(見かけの浸透係数)、Papp>2×10-6は吸収の良い薬物である。
【0057】
1.実験材料と器械
Caco-2細胞(浙江大学薬学部贈呈)、DMEM培地(GIBCO-BRL、USA)、標準胎牛血清(FBS、Hyclone、USA)、非必須アミノ酸(NEAA、Hyclone、USA)、ペニシリン(華北製薬株式会社)、ストレプトマイシン(華北製薬株式会社) 、HEPES(Amresco、USA)、EDTA-Na(北京化学工場)、トリプシン(Trypsin、1:250、Amresco、USA)、グルタミン(Sigma社、USA)、G418(Merck、USA)、MilliPore超純水。
Millicell挿入式培養皿(ポリカーボネート膜、0.4μm、12mm径、MilliPore、USA)、細胞培養板(COSTAR、USA)、細胞抵抗計(Millicell-ERS、MilliPore、USA)、クリーンワークベンチ(SW-CJ-IFD、蘇州安泰空気技術有限公司)、二酸化炭素培養箱(Sanyo、Japan)、倒立顕微鏡(CK、Olympus、Tokyo)、培養皿(Corning、USA)。超純水機(Simplicity、MilliPore、USA)、蛍光分光光度計(F-4500、HITACHI、Japan)、万分の一電子天秤(BS 110S、北京セドーリス天秤有限公司)、LC-MS(Agilent 1100 LC-MSD_VL、DE、USA)。
【0058】
2.実験方法
2.1溶液調製
培養液の調製:使用時、DMEMに10%FBS、1%グルタミン、100U・mL-1ペニシリンとストレプトマイシンのダブル抗体溶液、1%非必須アミノ酸、G418 1.2mg・L-1を加えた。
消化液の調製:1gトリプシン、80mg EDTAの重さを量り、400mLリン酸塩緩衝液を加え、0.22μmフィルターメンブレンでろ過滅菌し、後で使用するために-20℃で冷凍保存しておく。
グルタミン予備液の調製: 2.92gグルタミンを100mL PBSバッファーに加え、0.22μmフィルターメンブレンでろ過滅菌し、1mLサブパッケージ、後で使用するために-20℃で冷凍保存しておく。
ペニシリン-ストレプトマイシン予備液の調製:80万Uペニシリンを20mL生理食塩水に加え、100万Uストレプトマイシンを25mL生理食塩水に加えた。両者を1:1に混ぜ合わせ、0.22μmフィルターメンブレンでろ過滅菌し、1mLサブパッケージ、後で使用するために-20℃で冷凍保存しておく。
HBSS液の調製:NaCl8.0g、KCl0.4g、Na2HPO4・H2O0.0475g、KH2PO40.06g、Hapes6gを超純水に加えて溶解させ、pHを7.2-7.4に調整し、1Lまで水を加え、0.22μmフィルターメンブレンでろ過滅菌し、-20℃で保存しておく。
【0059】
2.2細胞培養
冷凍保存しているCaco-2細胞を採取し、37℃の水浴で急速に解凍した。蘇生した細胞は、FBS10%を含むDMEM培地に加え、37℃で5%CO2、相対湿度90%インキュベーターで培養し、翌日培地を交換した。成長1-2日細胞融合後、0.25%トリプシン-EDTA(0.2%)混合消化液を用いて、37℃で消化し、一定の割合で継代培養し、実験用の細胞代数は40-60代であった。
細胞は80%融合し、消化後に完全培地で細胞を懸濁させ、1×106個・mL-1でMillicell板に接種した。その後、2日ごとに1回培養液を交換し、1週間後には1日ごとに1回培養液を交換した。5日間育成し、抵抗値がプラトー(>200Ω・cm2)に達したことで、膜透過実験に利用できる。
【0060】
2.3 Caco-2単層細胞の品質管理:
2.3.1膜貫通上皮細胞抵抗(TEER)の測定
膜貫通抵抗を測定するときは、まず電極をDMEM培養液に浸して24時間平衡した後、取り出して70%アルコールに15分間浸して消毒し、室温で放置して電極を自然乾燥させ、無菌のDMEM培養液に入れて15分間平衡する。実験時に、電極の両端を24穴Millicell培養板の各穴の上下池に順次挿入して抵抗値を測定し、穴ごとに任意の点で3回測定し、抵抗値を記録するとともに、空白穴の抵抗値を測定し、以下の式によって膜貫通抵抗値(TEER)を計算した。
TEER=(Rt-R0)×S
式中、Rtは測定された抵抗値であり、R0は空白穴の抵抗値で、Sは有効膜面積である。
【0061】
2.3.2 陽性化合物の品質管理:
Rho-123をポジティブな品質管理化合物として使用する。この化合物をHBSSで5μmol・L-1に希釈し、実験前に各ウェルの培地を吸引して廃棄し、37℃のHBSS液で2回洗浄した後、37℃のインキュベーターでインキュベートし、上池にRho-123を加え、下池にHBSS液を加え、恒温ロッキングベッドでインキュベートし、0、30、90、120min各時点で、下池の溶液を集め、測定のために-20°Cで保存しておく。蛍光分光光度計で下池中のRho-123透過量を測定した。その中で、発光波長は430nm、励起波長は530nmとした。本実験ではRho-123のPapp値は文献報道と一致した。
【0062】
2.4薬物透過膜実験
試験前に細胞を接種したMillicellを37℃のHBSS液で適当な時間浸漬し、Millicellを軽微に洗浄し、細胞表面の付着物を除去した。腔面から基底面への透過性:頂側(AP)に薬を含むHBSS液0.35mLを加え、基底側(BL)にブランクHBSS液1.2 mLを加え、37℃に置き、50r・min-1で振盪し、それぞれ0、30、90、120minで下層に50μLをサンプリングし、同じ量のブランクHBSS溶液を補充した。濃度ごとに3つのウェルを繰り返し、採取したサンプルに内部標準液50μL、酢酸エチル350μLを精密に加え、振動混合、12000rpmで5分間遠心し、上澄み300μLを取り、蒸発乾固させ、50μLアセトニトリルで再溶解、10μLサンプルを採取して測定した。基底面から腔面への透過性については、基底側(BL)に薬物を加え、頂側(AP)にブランクHBSS液を加え、その後の手順は腔面から基底面への透過性実験操作と同じです。
【0063】
薬物の見かけの透過係数(Papp)は、薬物が単層細胞を透過する能力と薬物吸収の速度と程度を反映している。次の式で計算できる。
式中、△Qは△t時間帯に薬物が透過した量、Aは細胞表面積、このモデルではサポート膜の面積(0.6cm
2)、C
0は初期濃度である。P
appの単位は通常、cm/時間(cm・h
-1)またはcm/秒(cm・s
-1)で表されることが多い。
2.5サンプル検測
LC/MSで検測する。各サンプルの濃度はその標準曲線(50nM-10000nM)を使用して定量する。
【0064】
【0065】
本願の発明者は、CCR4阻害剤としての式I化合物を意外に発見して提供した。この化合物は従来技術に対して顕著に増強された溶解度、より優れた生物利用度およびより優れたin vivoとin vitroでのCCR4阻害活性を持ってる。従来技術のCCR4阻害剤の溶解度が低く、薬物活性成分の釈放に影響を及ぼし、生物利用度が低く、最大安全用量で体内で期待される有効血中濃度を達成できないという問題を解決した。
【0066】
以上、本発明について説明したが、本発明を限定するものとは考えられない。本発明の実施は、特に言及しない限り、有機化学、ポリマー化学、生物技術などの通常の技術を使用し、本発明は、上記の開示および実施形態における特定の説明以外の方法で実現できることは明らかである。本願の範囲内の他の態様および改善は、当業者には明らかであろう。
【0067】
本願の教示に基づいて、多くの変更および変形が可能であり、したがって、それらは本願の範囲内に含まれる。
【0068】
特に明記しない限り、本願における温度単位「度」は、摂氏度、すなわち℃を意味する。
【0069】
前文引用した文献はその全体が本願に組み込まれて開示される。