(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2021124352
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】塚本 匠
【審査官】奥田 雄介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-075125(JP,A)
【文献】特開2001-347011(JP,A)
【文献】特開2013-111433(JP,A)
【文献】特開2023-4648(JP,A)
【文献】特許第7279959(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
図柄の変動制御が可能であって所定の抽選に当選したことを契機に特典を与える主制御手段と、演出実行手段と、演出データを記憶した演出データ記憶手段と、前記演出データ記憶手段に記憶されている演出データを用いた演出を前記演出実行手段に実行させる演出制御手段とを備えた遊技機であって、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。
(1A)前記演出実行手段として遊技機の所定位置に互換性をもって取り付けられる可動体を備え、
複数個の動作位置検出センサの検出信号と前記演出制御手段からの指令とに基づき、前記可動体に
待機位置から動作して再び待機位置へと戻る原位置復帰動作を含む各種動作を実行させる可動体動作制御手段を備えていること。
(1B)前記可動体動作制御手段には
前記複数個の動作位置検出センサからの検出信号が入力されており、前記演出制御手段は、前記可動体動作制御手段に対して前記原位置復帰動作を実行させる指令を出力したときに当該可動体動作制御手段に入力される前記複数個の動作位置検出センサからの検出信号
の組合せに基づき、前記所定位置に対して取り付けられている前記可動体の動作特性に関連する固有情報を識別する識別手段を備えていること。
(1C)前記可動体動作制御手段には、前記複数個の動作位置検出センサの内の一つが前記原位置復帰動作を実行させられる可動体の
待機位置への復帰完了を判断するためのフォトセンサ入力となる様に、前記複数個の動作位置検出センサからの検出信号が入力され、前記識別手段は、前記固有情報の識別に当たって、前記フォトセンサ入力を与える動作位置検出センサが接続された入力端子の特定を行うこと
。
(2)前記識別手段は、電源投入時に前記可動体動作制御手段に対して前記原位置復帰動作を実行させることにより、前記所定位置に対して取り付けるべき前記可動体が取り付けられているか否かの判定及び判定結果の報知を実行し得る手段としても構成されていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、演出効果増大のために表示装置の前面で可動する可動体を備えた遊技機が知られている(特許文献1,特許文献2)。
【0003】
特許文献1の遊技機は、可動体を水平方向に往復動させるスパイラル軸に沿って整列配置された3つの位置検出センサにより、可動体を画面左端、画面中央、格納スペース内の3箇所の相互間を滑動及び停止させる制御を行っている。
【0004】
特許文献2の遊技機は、可動体を格納位置から回動させて表示画面の前面に出現させ、時間の経過又は位置検出センサによって最下端に達したことを検出して装飾LEDを点灯させるといった制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-34316(0083,
図28)
【文献】特開2007-54140(0065,
図12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年のIC基板のリユース促進の要請に応えるに当たって、可動体の原位置検出センサからの検出信号をIC基板の入力端子に正しく接続する必要がある。可動体には、動作範囲に対して、原位置を上部とするもの、原位置を下部とするもの、原位置を中央とするものなど、種々の可動体があることから、リユースに当たっては、IC基板の原位置信号入力端子に対して原位置検出センサの信号線を正しく接続する必要がある。この作業は繁雑であり、接続間違いによって可動体に正しい演出動作を実行させることができなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、IC基板のリユースに当たってセンサの信号線接続作業の繁雑さを解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の遊技機は、図柄の変動制御が可能であって所定の抽選に当選したことを契機に特典を与える主制御手段と、演出実行手段と、演出データを記憶した演出データ記憶手段と、前記演出データ記憶手段に記憶されている演出データを用いた演出を前記演出実行手段に実行させる演出制御手段とを備えた遊技機であって、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする。
(1A)前記演出実行手段として遊技機の所定位置に互換性をもって取り付けられる可動体を備え、複数個の動作位置検出センサの検出信号と前記演出制御手段からの指令とに基づき、前記可動体に待機位置から動作して再び待機位置へと戻る原位置復帰動作を含む各種動作を実行させる可動体動作制御手段を備えていること。
(1B)前記可動体動作制御手段には前記複数個の動作位置検出センサからの検出信号が入力されており、前記演出制御手段は、前記可動体動作制御手段に対して前記原位置復帰動作を実行させる指令を出力したときに当該可動体動作制御手段に入力される前記複数個の動作位置検出センサからの検出信号の組合せに基づき、前記所定位置に対して取り付けられている前記可動体の動作特性に関連する固有情報を識別する識別手段を備えていること。
(1C)前記可動体動作制御手段には、前記複数個の動作位置検出センサの内の一つが前記原位置復帰動作を実行させられる可動体の待機位置への復帰完了を判断するためのフォトセンサ入力となる様に、前記複数個の動作位置検出センサからの検出信号が入力され、前記識別手段は、前記固有情報の識別に当たって、前記フォトセンサ入力を与える動作位置検出センサが接続された入力端子の特定を行うこと。
(2)前記識別手段は、電源投入時に前記可動体動作制御手段に対して前記原位置復帰動作を実行させることにより、前記所定位置に対して取り付けるべき前記可動体が取り付けられているか否かの判定及び判定結果の報知を実行し得る手段としても構成されていること。
【0009】
本発明の遊技機によれば、演出制御手段は、演出データ記憶手段に記憶されている演出データを用いた演出を可動体に実行させるための指令を可動体動作制御手段に出力する。可動体動作制御手段は、演出制御手段からの指令と、複数個の動作位置検出センサから入力される検出信号とに基づいて、原位置復帰動作を含む可動体に各種動作を実行させる。ここで、演出制御手段が、可動体に原位置復帰動作を実行させる指令を可動体動作制御手段に出力したとき、識別手段は、可動体動作制御手段に入力される複数個の動作位置検出センサからの検出信号に基づき、所定位置に対して取り付けられている可動体の動作特性に関連する固有情報を識別する。より具体的には、例えば、動作範囲に対して上部を原位置とする動作特性を有しているか否か、動作範囲に対して下部を原位置とする動作特性を有しているか否か、動作範囲に対して中央を原位置とする動作特性を有しているか否か、等の当該可動体の動作特性に関する固有情報を識別する。この際、識別手段は、固有情報の識別に当たって、可動体の原位置復帰完了を判断するためのフォトセンサ入力を与える動作位置検出センサが接続された入力端子の特定を行う。
【0010】
ここで、可動体動作制御手段に接続された複数個の動作位置検出センサのいずれが原位置センサであるかを正しく把握した場合においても、例えば、同じ変動ゲーム中に動作する複数個の可動体がある場合、これらの取付位置が正しくないために可動体同士の干渉が生じるおそれがある。また、そもそも、取付位置が正しくないことによって予定している可動体演出が実行できなくなるおそれもある。
【0012】
本発明の遊技機によれば、電源投入時の原位置復帰動作により、例えば、動作開始から原位置復帰完了までの所要時間、動作開始から原位置復帰までの間に可動体動作制御手段に入力される複数個の動作位置検出センサからの検出信号の変化の態様などを、被取付部に対して取り付けるべき可動体において予定される所要時間、検出信号の変化の態様と対比するなどにより、被取付部に対して取り付けるべき可動体であるか否かを判定し、その判定結果を報知する。
【0013】
(2)の構成をも備えた本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(3)前記識別手段による判定、報知、又は、判定及び報知に関する設定を変更する設定変更手段を備えていること。
【0014】
例えば、同一タイトルで大当たり確率などのスペックを異ならせた遊技機を提供する際に、所定位置に取り付けるべき可動体をスペック毎に異ならせることがある。また、タイトルの異なる遊技機となる様に遊技盤や回胴装置枠を取り換える際に、本体枠の可動体を変更する場合がある。加えて、複数の可動体を取り換えることもあり得る。この様な様々な可動体の変更に対し、設定変更手段で、識別手段による判定、報知、又は、判定及び報知に関する設定を変更することにより、(イ)タイトル共通でスペックが異なるケース、(ロ)スペックが同じでタイトルが異なるケース、(ハ)タイトルもスペックも異なるケース、(ニ)複数の可動体を取り換えるケースなど、種々のケースに対して適確な判定、報知を実行することができる。これにより、互換性のある可動体を本来装着すべき遊技機に対して正しく装着できる様にすることができる。
【0015】
(3)の構成をも備えた遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(4)前記設定変更手段は、前記識別手段による報知のタイミング、対象、方法、継続又は終了に関する設定の少なくとも一つ以上を変更し得る手段として構成されていること。
【0016】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、例えば、(A)タイミングについて、常時、変動開始時、電源投入時、…などの複数の選択肢のいずれとするか、(B)対象について、本体枠のみ、盤面(回胴装置)のみ、本体枠及び盤面(回胴装置)、…などの複数の選択肢のいずれとするか、(C)方法について、電飾、音、液晶表示、これらの組合わせ、…などの複数の選択肢のいずれとするか、(D)継続又は終了について、正しい可動体が取り付けられた状態になるまで報知を終了しない、1分間で報知を終了する、3分間で報知を終了する、…などの複数の選択肢のいずれとするかを変更可能とすることで、遊技機メーカーの作業者や遊技場の担当者による対処が煩雑にならず、速やかに実施できる様な報知を実行させることができる。
【0017】
少なくとも(3)の構成をも備えた遊技機は、さらに、以下の構成をも備えた遊技機とすることもできる。
(5)電源投入時に、前記設定変更手段による設定の変更を行うための操作画面を当該遊技機が備える表示手段又は外部機器に対して出力する操作画面表示手段を備えていること。
【0018】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、設定変更を操作画面から実施可能となり、その操作画面も遊技機の備えている表示手段とする場合は検査装置などを不要とし、外部機器への出力とする場合には、より操作性のよい検査機器の使用を可能にすることができる。
【0019】
少なくとも(2)の構成をも備えた遊技機は、さらに、以下の(6A),(6B)の一方又は両方の構成をも備えた遊技機とすることもできる。
(6A)前記所定位置が前記可動体の脱着箇所を複数備え、前記識別手段は、前記複数の脱着箇所の内で前記可動体が取り付けられていない箇所があることを報知する第1の報知態様を設定し得る手段として構成されていること。
(6B)前記所定位置が前記可動体の脱着箇所を複数備え、前記識別手段は、前記複数の脱着箇所の内で前記可動体が取り付けられていない箇所を特定する第2の報知態様を設定し得る手段として構成されていること。
【0020】
(6A)の構成を備えた遊技機によれば、複数の脱着箇所の内の一つ以上について正しい可動体の取り付けがなされていない脱着箇所を特定することなく報知を行う第1の報知態様を設定し、(6B)の構成を備えた遊技機によれば、正しい可動体の取り付けがなされていない脱着箇所を特定する第2の報知態様を設定することができる。そして、(6A)、(6B)の構成の両方を備えた遊技機によれば、これら第1の報知態様と第2の報知態様のいずれにするか、あるいは、最初に第1の報知態様で報知を行った後に第2の報知態様で報知を行う、といった選択をすることもできる。
【0021】
ここで、本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(7A)前記複数個の動作位置検出センサは、前記検出信号を個別に入力する第1経路と、論理和回路を介して前記検出信号を入力する第2経路と、によって前記可動体動作制御手段に接続されていること。
(7B)前記識別手段は、前記可動体動作制御手段に対して前記原位置復帰動作を指令した際の前記第1経路及び前記第2経路から入力される前記検出信号に基づいて前記固有情報の識別を実行する手段として構成されていること。
【0022】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、複数個の動作位置検出センサのいずれが原位置復帰を意味する検出信号を出力するものであったとしても、第2経路からは、原位置復帰時に検出信号が入力される。これにより、そのとき、第1経路を介して可動体動作制御手段に検出信号を入力している動作位置検出センサと検出信号を入力していない動作位置検出センサを峻別することが可能となる。この結果、識別手段は、可動体動作制御手段に対して原位置復帰動作を指令した際の第1経路及び第2経路から入力される検出信号に基づいて固有情報の識別を実行することができる。
【0023】
この遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(8)電源投入時に、前記可動体動作制御手段に前記可動体に前記原位置復帰動作を実行させて原位置復帰完了と判断されるとき、前記複数個の動作位置検出センサの内で、前記第2経路を介して入力される検出信号と同じ傾向の検出信号を前記第1経路を介して入力しているセンサを、当該可動体動作制御手段によって前記各種動作を実行させられる可動体に対する原位置センサとして記憶する原位置センサ記憶手段を備えていること。
【0024】
かかる構成をも備える遊技機は、電源投入時に、可動体動作制御手段に可動体に原位置復帰動作を実行させて原位置復帰完了と判断されるとき、複数個の動作位置検出センサの内で、第2経路を介して入力される検出信号と同じ傾向の検出信号を第1経路を介して入力しているセンサを、当該可動体動作制御手段によって各種動作を実行させられる可動体に対する原位置センサとして原位置センサ記憶手段に記憶する。この結果、可動体毎の原位置センサを特定した状態を実現することができるから、複数個の動作位置検出センサが可動体動作制御手段に対してどの様に接続されていたとしても、正しく原位置を把握して各種動作による可動体演出を適切に実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、IC基板のリユースに当たってセンサの信号線接続作業の繁雑さを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施例1のパチンコ機を示し、(A)は正面図、(B)は右側面図である。
【
図2】実施例1の遊技盤を示し、(A)は落下可動体及び振り子可動体の動作状態を示す正面図、(B)はフィンガー可動体の動作状態を示す正面図である。
【
図3】実施例1のフィンガー可動体の駆動機構及び動作状態を示し、(A)は待機時の正面図、(B)は動作開始時の正面図である。
【
図4】実施例1のフィンガー可動体の駆動機構及び動作状態を示し、(A)~(F)は、大当たり信頼度が高い状態の動作状態を順に示す正面図である。
【
図5】実施例1のパチンコ機の制御系統を示すブロック図である。
【
図6】実施例1のパチンコ機の制御装置の可動体演出に係る構成を示し、(A)は制御系統全体のブロック図、(B)は可動体の動作位置検出センサの接続状態を示すブロック図である。
【
図7】実施例1のパチンコ機において演出制御基板が実行する可動体接続確認処理のフローチャートである。
【
図8】実施例1のパチンコ機において信号中継基板が実行する可動体接続確認処理のフローチャートである。
【
図9】実施例1のパチンコ機において信号中継基板が実行する可動体接続確認処理のフローチャートである。
【
図10】実施例1のパチンコ機においてフィンガー可動体制御用のモータ制御ICが実行する可動体接続確認処理のフローチャートである。
【
図11】実施例1のパチンコ機における可動体判定~報知に関する制御系統及び制御処理を示し、(A)は制御系統のブロック図、(B)は判定・報知態様の設定・変更処理のフローチャート、(C)は可動体取付エラーの判定・報知処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態として、具体的な実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
[1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機P1は、
図1(A),(B)に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤C、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び発射装置Gを備えている。外枠Aはパチンコ機P1の外郭を構成する縦長方形の枠である。中枠Bは、各種の遊技用構成部材をセットするための縦長方形の枠であって、外枠Aの前面側に開閉可能かつ着脱可能に組み付けられる。遊技盤Cは、中枠Bの開口部に取り付けられる。前枠Dは、施錠装置Hの操作によって、左端のヒンジを中心に開閉可能となる様に、中枠Bの前面側に組み付けられる。なお、前枠Dは、全体が中枠Bに対して開閉可能な構成、前枠上部と前枠下部とから構成されて前枠上部だけを独立して開閉する状態と前枠上部及び前枠下部を共に開閉する状態とを施錠装置Hに対する鍵の操作で切り換える構成、等とすることができる。上の球受け皿Eは、貸し球や賞球の受け皿で、下の球受け皿Fは、上の球受け皿Eが一杯になったときに排出される遊技球や打ち損じの遊技球等を受ける受け皿である。発射装置Gは、上の球受け皿Eから発射レールに送り込まれた遊技球をハンドル操作に対応する強さで打ち出すための装置である。
【0029】
また、前枠の上部にはスピーカーSP,SPが備えられている。そして、遊技盤Cの中央部には液晶表示装置LCDを備え、液晶表示装置LCDの前面へ出没する落下可動体KDdwn、振り子可動体KDswing、及びフィンガー可動体KDfingが備えられると共に、遊技盤Cや前枠Dの各所にLEDを用いた発光装置も備えられている。これら液晶表示装置LCD等を用いて、表示演出、音声演出、発光演出、可動体演出を実行可能となっている。
【0030】
[2 遊技盤の概要]
遊技盤Cは、
図1(A)に示す様に、多数の遊技釘11や風車12が植設された遊技領域10の中央にセンター役物5が取り付けられ、センター役物5の中央直下に始動入賞装置7が備えられる。また、この始動入賞装置7の右斜め下方に大入賞口15が設置され、センター役物5の右側には大入賞口15の開放時に右側から遊技球を入賞させるための右打ち通路35が備えられた構成となっている。遊技盤Cには、この他、誘導レール17、普通入賞口18a,18b、アウト口19等も設置されている。
【0031】
センター役物5は、大型装飾体31、ステージ32、ワープ通路33を備えるリング状を呈し、左上部分には障害釘に代わる障害ブロック34が設けられている。右打ち通路35の下方の右側遊技領域20には、多数の遊技釘11が植設されると共に、普通図柄抽選の契機を与えるゲート37、第2始動入賞装置27も設置されている。この第2始動入賞装置27は、ゲート37を遊技球が通過したことを契機に実行される普通図柄抽選結果に基づいて開閉動作される電動式チューリップを供えている。
【0032】
遊技盤Cの裏面には、
図1(B)に示す様に、液晶表示装置LCDを保持させる裏ユニットC2が取り付けられる。液晶表示装置LCDの表示内容は、遊技盤Cの中央部に設けられた開口窓C3を介して遊技者に視認させる。また、落下可動体KDdwn、振り子可動体KDswing、及びフィンガー可動体KDfingは、遊技盤Cと裏ユニットC2との間に形成される空間部C4内において、液晶表示装置LCDの前面への出没動作を実行する様に、裏ユニットC2の前面に取り付けられている。
【0033】
[3 可動体演出の概要]
図2(A)に示す様に、落下可動体KDdwnは上昇位置と下降位置との間を上下動作し、振り子可動体KDswingは待機位置と振り出し位置との間を旋回動作する。落下可動体KDdwnに対しては上昇位置を検出する原位置センサSEdwn1が備えられていて、原位置から遠ざかる動作によって下降位置へと突出し、原位置に近付く動作によって上昇位置へと復帰する。また、振り子可動体KDswingに対しては待機位置を検出する原位置センサSEswg1が備えられていて、原位置から遠ざかる動作によって振り出し位置へと突出し、原位置に近付く動作によって待機位置へと復帰する。本実施例のパチンコ機P1は、落下可動体KDdwn及び振り子可動体KDswingについては、原位置センサSEdwn1,SEswg1の検出信号に基づき、それぞれに設定された一つの原位置に対し、所定以上遠ざかった位置(「原位置外」)への動作と、所定以上近付いた位置(「原位置内」)への動作とを、予め設定した確認条件(時間値)を満足しているか否かを確認しつつ、「往って帰る軌跡」を描く動作を的確に実行させる様に構成されている。
【0034】
これに対し、フィンガー可動体KDfingは、
図2(A),(B)に示す様に、人差し指を上に立てた待機位置から動作を開始し、水平に倒した人差し指の先で円を描く「一筆書き」あるいは「ブーメラン軌道」の様な特徴的な軌跡を描く動作を実行可能に構成されている。この様な特徴的な軌跡を描く動作を的確に制御するため、フィンガー可動体KDfingに対しては、互いに斜め45度方向に離間させる様に配置した第1基準位置センサSEfng1と第2基準位置センサSEfng2の二つの基準位置センサ(原位置センサ)が備えられている。
【0035】
本実施例では、フィンガー可動体KDfingの駆動機構として、
図3に示す様に、裏ユニットC2の前面側に平行に設置されたY軸ガイドレールGRLY,GRLYと、これらY軸ガイドレールGRY,GRYに沿って垂直方向に摺動可能に設置されたY方向スライダーSLDY,SLDYと、これらY方向スライダーSLDY,SLDYを連結するX軸ガイドレールGRLXと、このX軸ガイドレールGRLXに沿って水平方向に摺動可能に設置されたX方向スライダーSLDXと、このX方向スライダーSLDXから垂直方向に伸びる様に設置された支柱部材KDfngaと、この支柱部材KDfngaの上端に設置された回転支持部材KDfngbとを備えている。フィンガー可動体KDfingは、2箇所に遮蔽部SHT1,SHT2を備える透明遮蔽板KDfngcを介して、回転支持部材KDfngbに支持れている。また、フィンガー可動体KDfingに動作を実行させる駆動源として、旋回モータMTR、Y軸モータMTY、X軸モータMTXが備えられている。なお、支柱部材KDfnga,回転支持部材KDfngbは透明プラスチックで構成し、液晶表示装置LCDの前面に登場しても目立たない様にしてある。これにより、人差し指を突きだした手だけが液晶表示装置LCDの前方に浮かんだ状態で動作する様に見せることができる。
【0036】
二つの基準位置センサSEfng1,SEfng2は、いずれも透過型光センサによって構成され、遮蔽部SHT1,SHT2によって透過光が遮られたときにON信号を出力する回路構成としている。従って、
図3(A)の状態では、いずれの基準位置センサSEfng1,SEfng2もOFF、
図3(B)の状態では、第1基準位置センサSEfng1=ON,第2基準位置センサSEfng2=OFFとなる。この間の動作は、旋回モータMTRを駆動してフィンガー可動体KDfingを、人差し指を立てた待機位置から、人差し指を水平に倒した動作開始位置へと動作させることにより実行される。
【0037】
こうして動作開始位置へと動作させたフィンガー可動体KDfingは、Y軸モータMTYを駆動してY軸スライダーSLDY,SLDYをY軸方向に下降させることにより、
図4(A)に示す様に、第1基準位置センサSEfng1、第2基準位置センサSEfng2が共にONとなる動作位置をとり得る様に構成されている。透明遮蔽板KDfngcは、人差し指を水平に倒した状態において、第1遮蔽部SHT1の上端部が第1基準位置センサSEfng1をONさせ、第2遮蔽部SHT2の右端部が第2基準位置センサSEfng2をONさせた状態をとり得る様、先端部に遮蔽部SHT1,SHT2を備えて直交し、全体としてL字形を呈する板状部材によって構成され、このL字の交点を本体側とし、人差し指を倒した状態にて第1遮蔽部SHT1が第1基準位置センサSEfng1に、第2遮蔽部SHT2が第2基準位置センサSEfng2に対応して斜め45度方向に離間した状態を形成する様に、フィンガー可動体KDfingに取り付けられている。
【0038】
本実施例においては、第1基準位置センサSEfng1と第2基準位置センサSEfng2が共にONとなる動作位置を基準位置として、Y軸モータMTY及びX軸モータMTXを駆動し、「一筆書き」あるいは「ブーメラン軌道」となる一連の特徴的な軌跡を描く様にフィンガー可動体KDfingを動作させる(
図4(A)~(F))。この間、基準位置において共にONとなっていた基準位置センサSEfng1,SEfng2の内、第1基準位置センサSEfng1=OFF,第2基準位置センサSEfng2=ONとなる動作位置(
図4(B))、第1基準位置センサSEfng1、第2基準位置センサSEfng2の両方がOFFとなる動作位置(
図4(C)~(D))、第1基準位置センサSEfng1=ON,第2基準位置センサSEfng2=OFFとなる動作位置(
図4(E))を経由して、再び、第1基準位置センサSEfng1と第2基準位置センサSEfng2が共にONとなる基準位置(
図4(F))へと到達する様にY軸モータMTY及びX軸モータMTXを同期させつつ駆動制御している。そして、一連の軌跡を描き終えた後、待機位置へと戻す際には、
図4(F)→
図3(B)→
図3(A)の順に動作する様に、まず、Y軸モータMTYを駆動して第1基準位置センサSEfng1=ON,第2基準位置センサSEfng2=OFFとなる動作開始位置へと移動させた後、旋回モータMTRを駆動して人差し指を立てた待機位置へとフィンガー可動体KDfingを復帰させる。
【0039】
この間の動作は、2個の基準位置センサSEfng1,SEfng2が同時に遮蔽部SHT1,SHT2を検出する「第1の動作位置(
図4(A),(F))」、「第1の動作位置」において同時に遮蔽部を検出した基準位置センサSEfng1,SEfng2の一つが遮蔽部を検出し他の一つが遮蔽部を検出しない「第2の動作位置(
図4(B))」、「第1の動作位置」において同時に遮蔽部を検出した基準位置センサSEfng1,SEfng2の遮蔽部の検出状態が「第2の動作位置」と逆の関係となる「第3の動作位置(
図4(E))」、及び、いずれの基準位置センサSEfng1,SEfng2も遮蔽部を検出しない「第4の動作位置(
図4(C),(D)」が所定の順番に従って生じる様に可動体を動作させる制御によって実行されている。
【0040】
この動作制御においては、「第1の動作位置」に近付く動作(「第1の動作位置内移動」)、「第1の動作位置」から遠ざかりつつ「第2の動作位置」に近付く動作(第1の動作位置外移動」と「第2の動作位置内移動」)、「第2の動作位置」から遠ざかる動作(「第2の動作位置外移動」)、「第3の動作位置」に近付く動作(「第3の動作位置内移動」)、「第3の動作位置」から遠ざかりつつ「第1の動作位置」に近付く動作(「第3の動作位置外移動」と「第1の動作位置内移動」)を、各動作を開始してから基準位置センサSEfng1,SEfng2の検出信号が切り替わるまでの時間値による確認条件に基づいて、正常に動作が実行されているか否かの確認がなされている。なお、
図4(B)~(E)の間の「第4の動作位置(
図4(C),(D))」における動作状態は、「第2の動作位置外移動」と「第3の動作位置内移動」の両面から正常か否かを確認することができる。
【0041】
なお、基準位置検出センサSEfng1,SEfng2と遮蔽部SHT1,SHT2の関係を整理すると、以下の様になっている。
(A)複数個の検出手段として互いに離れた位置に設置された複数個のセンサ(SEfng1,SEfng2)を備え、当該センサによる被検出部として、可動体(KDfing)に配置された複数個の被検出部(SHT1,SHT2)を備えていること。
(B)複数個のセンサ(SEfng1,SEfng2)と複数個の被検出部(SHT1,SHT2)は、後述する可動体動作制御手段(モータ制御IC530)が可動体(KDfing)を動作させることにより、複数個の被検出部(SHT1,SHT2)が、二つ以上のセンサ(SEfng1,SEfng2)の検出位置のそれぞれに同時に位置する状態、いずれか一つのセンサの検出位置に位置すると共に他の一つのセンサの検出位置には位置しない状態、いずれのセンサの検出位置にも位置しない状態、をとり得る位置関係となる様に構成されていること。
【0042】
かかる構成により、後述する可動体動作制御手段(モータ制御IC530)が可動体(KDfing)を動作させる際に、可動体に配置した複数の被検出部(SHT1,SHT2)が、二つ以上のセンサ(SEfng1,SEfng2)の検出位置のそれぞれに同時に位置する状態とすることで「第1の動作位置」を、いずれか一つのセンサの検出位置に位置すると共に他の一つのセンサの検出位置には位置しない状態とすることで「第2の動作位置」又は「第3の動作位置」を、いずれのセンサの検出位置にも位置しない状態とすることで「第4の動作位置」を、とり得る様に可動体(KDfing)を動作させることができる。
【0043】
[4 制御装置]
[4.1 制御装置全体]
次に、本実施例のパチンコ機P1のゲーム性等について説明する。まず、制御系統について
図5に基づいて説明する。CPU,ROM,RAM,クロック等を備えた主制御基板310に対して、始動入賞装置7に備えられている特
図1スイッチSW1、第2始動入賞装置27に備えられている特
図2スイッチSW2、ゲート37に備えられている普図スイッチSW37、大入賞口15に備えられた入賞検知スイッチSW7、普通入賞口18a,18bに備えられた入賞検知スイッチSW11,SW12からの検知信号、及び球排出通路に備えられた排出球検知スイッチSW21の検知信号が入力される様になっている。
【0044】
また、主制御基板310からは、演出制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、特図表示器TKZ、大入賞口15の開閉用ソレノイドSOL7、第2始動入賞装置27の普通電動役物開閉用ソレノイドSOL27へとコマンドが出力される様になっている。インタフェース基板350は、払出制御基板330との間でコマンドのやり取りを行う構成となっている。なお、電源基板360は、電源中継基板380を介して主制御基板310への電源供給を行う構成となっている。そして、演出制御基板320は、表示制御基板370へとコマンドを出力する構成となっている。また、貸し玉ボタンQ、カード取り出しボタンRからの押下信号は、球貸し操作基板390へと入力され、この球貸し操作基板390からインタフェース基板350を経由して払出制御基板330へと入力される構成となっている。インタフェース基板350はまた、カードユニット500との間でもコマンドをやり取りする構成となっている。また、払出制御基板330を介してホールコンピュータ400へと賞球払出数等のホール管理用のデータやエラー報知等も行うことができる様に構成されている。
【0045】
演出制御基板320は、主制御基板310からの指令信号に基づいて、表示制御基板370へと表示演出のための指令信号を出力している。また、演出制御基板320は、主制御基板310からの指令信号に基づいて、音声演出、発光演出、可動体演出を実行させるための指令信号を信号中継基板410へと出力する。信号中継基板410は、演出制御基板320からの指令信号を発光演出を実行するためのランプ制御基板420、音声演出を実行するための音声制御基板430、及び可動体演出を実行するためのモータ制御IC510,520,530、ソレノイド制御IC540へと出力する。なお、演出制御基板320にはプッシュボタンPB及びカーソルキーCKYからの操作信号が入力される様にも構成されている。
【0046】
[4.2 演出に係る制御装置]
図6(A)に示す様に、表示制御基板370は、演出制御基板320からの演出表示のための指令信号に基づいて、液晶表示装置LCDに対して制御信号を出力し、表示演出を実行する。また、ランプ制御基板420は、信号中継基板410を経由して受信した指令信号に基づいて、LED基板へと制御信号を出力して発光演出を実行する。同様に、音声制御基板430は、信号中継基板410を経由して受信した指令信号に基づいて、スピーカSPへと制御信号を出力して発光演出を実行する。
【0047】
演出制御基板320から出力された可動体演出に関する指令信号は、信号中継基板410を経由して、モータ制御IC510,520,530、ソレノイド制御IC540へと入力される。モータ制御IC510は、落下可動体KDdwnの動作を制御するためのワンチップマイコンを備え、原位置センサSEdwn1からの検出信号を入力し、昇降モータMT110に対して駆動信号を出力する様に接続されている。モータ制御IC520は、振り子可動体KDswingの動作を制御するためのワンチップマイコンを備え、原位置センサSEswg1からの検出信号を入力し、振り子モータMT120に対して駆動信号を出力する様に接続されている。モータ制御IC530は、フィンガー可動体KDfingの動作を制御するためのワンチップマイコンを備え、第1基準位置センサSEfng1及び第2基準位置センサSEfng2からの検出信号を入力し、旋回モータMTR、Y軸モータMTY、X軸モータMTXに対して駆動信号を出力する様に接続されている。なお、ソレノイド制御IC540は、ソレノイド駆動によって動作する可動体(説明省略)を駆動するためのソレノイドSOL140が接続されたワンチップマイコンによって構成されている。
【0048】
モータ制御IC510は、演出制御基板320から落下可動体演出に関する指令信号を受信すると、原位置センサSEdwn1の検出信号に基づき、「原位置外移動」及び「原位置内移動」のそれぞれについて予め設定した確認条件(時間値)を満足しているか否かを確認しつつ、昇降モータMT110を駆動し、落下可動体KDdwnに直線動作の軌跡からなる演出動作を実行させる。この際、原位置外移動または原位置内移動において、確認条件を満足しない場合は、演出制御基板320に向けて、可動体エラー(エラーコード=ERC01)を出力する。
【0049】
モータ制御IC520は、演出制御基板320から振り子可動体演出に関する指令信号を受信すると、原位置センサSEswg1の検出信号に基づき、「原位置外移動」及び「原位置内移動」のそれぞれについて予め設定した確認条件(時間値)を満足しているか否かを確認しつつ、振り子モータMT120を駆動し、振り子可動体KDswingに旋回動作の軌跡からなる演出動作を実行させる。この際、原位置外移動または原位置内移動において、確認条件を満足しない場合は、演出制御基板320に向けて、可動体エラー(エラーコード=ERC02)を出力する。
【0050】
モータ制御IC530は、演出制御基板320からフィンガー可動体演出に関する指令信号を受信すると、指令内容に応じて、[a:第2の動作位置→第4の動作位置→第3の動作位置]、[b:第3の動作位置→第4の動作位置→第2の動作位置]といった、単純な「行って帰るだけの軌跡」の動作、[A:第1の動作位置→第2→第4→第3→第1の動作位置]、[B:第2の動作位置→第4→第3→第1→第2の動作位置]、[C:第3の動作位置→第1→第2→第4→第3の動作位置]、あるいは、[D:第1の動作位置→第3→第4→第2→第1の動作位置]、[E:第2の動作位置→第1→第3→第4→第2の動作位置]、[F:第3の動作位置→第4→第2→第1→第3の動作位置]、[G:第1の動作位置→第2の動作位置→第4の動作位置→第3の動作位置→第4の動作位置→第2の動作位置→第4の動作位置→第3の動作位置→第1の動作位置]等、往って帰るだけではない「一筆書き」あるいは「ブーメラン軌道」の様な特徴的な軌跡を描く様な動作をフィンガー可動体KDfingに実行させる。この際、モータ制御IC530は、第1基準位置センサSEfng1及び第2基準位置センサSEfng2の検出信号に基づき、「第1の動作位置内移動」、「第1の動作位置外移動」、「第2の動作位置内移動」、「第2の動作位置外移動」、「第3の動作位置内移動」、「第3の動作位置外移動」が、予め設定した確認条件(時間値)を満足しているか否かを確認しつつ、モータMTY,MTXの同期制御を実行する。そして、これら確認条件を満足しない状態となっているときは、演出制御基板320に向けて、可動体エラー(エラーコードERC03)を出力する。
【0051】
[4.3 可動体動作制御手段と基準位置センサの接続]
本実施例においては、
図6(B)に示す様に、信号中継基板410に対して、モータ制御IC510~530のセンサ信号が、第1経路510si1,520si1,530si1を介して入力端子410si1~410si3へと個別に入力されると共に、論理和回路415を経由する第2経路510si2,520si2,530si1を介して入力端子410si0へと入力される様にも接続されている。また、フィンガー可動体KDfingに備えられた2つの基準位置センサSEfng1,SEfng2は、モータ制御IC530に対して、第1経路531si1,532si1を介して入力端子530si1,530si2へと個別に入力されると共に、論理和回路535を経由する第2経路531si2,532si2を介して入力端子530si0へと入力される様にも接続されている。
【0052】
信号中継基板410は、落下可動体KDdwnの上昇位置を検出する原位置センサSEdwn1、振り子可動体KDswingの待機位置を検出する原位置センサSEswg1、フィンガー可動体KDfingのXY動作開始位置を検出するためのモータ制御IC530からの検出信号を入力し、各可動体の原位置復帰動作の完了を判断できる様に構成されている。また、モータ制御IC530は、フィンガー可動体KDfingの第1基準位置センサSEfng1及び第2基準位置センサSEfng2からの検出信号を入力し、XY動作開始位置への復帰動作の完了を判断できる様に構成されている。本実施例においては、信号中継基板410は、演出制御基板320からのコマンドに従って落下可動体KDdwn、振り子可動体KDswing及びフィンガー可動体KDfingに可動体演出動作を実行させる可動体動作制御手段となり、モータ制御IC530は、演出制御基板320からのコマンドを信号中継基板410を介して受信することによりフィンガー可動体KDfingに可動体演出動作を実行させる可動体動作制御手段となっている。
【0053】
可動体動作制御手段としての信号中継基板410は、モータ制御IC510~530を介して入力される複数個の光センサSEdwn1,SEswg1,SEfng1,SEfng2からの原位置復帰完了を意味する検出信号が入力されることにより、各可動体KDdwn,KDswing,KDfingの原位置復帰動作の完了を判断することができる。
【0054】
可動体動作制御手段としてのモータ制御IC530は、複数個の光センサSEfng1,SEfng2からの原位置復帰完了を意味する検出信号が入力されることにより、フィンガー可動体KDfingの原位置復帰動作の完了を判断することができる。
【0055】
[4.4 可動体動作制御手段と可動体の接続確認]
各可動体KDdwn,KDswing,KDfingは、電源投入前は、それぞれ原位置にて停止している。演出制御手段320は、
図6(B)に示す制御系統により、電源投入時に、各可動体KDdwn,KDswing,KDfingに対して原位置から動作を開始して再び原位置へと復帰させる接続確認動作を順次実行させ、可動体が正しく取り付けられているか否かの接続確認を実行する。
【0056】
図7に示す様に、演出制御基板320は、落下可動体KDdwnに接続確認用動作を実行させるための指令を信号中継基板410へと出力し(S110)、信号中継基板410から落下可動体KDdwnに対する接続確認動作の完了を意味する信号が返信されるのを待つ(S120)。演出制御基板320は、信号中継基板410からの接続確認動作の完了を意味する信号を受信したら(S120:YES)、振り子可動体KDswingに接続確認用動作を実行させるための指令を信号中継基板410へと出力し(S130)、信号中継基板410から振り子可動体KDswingに対する接続確認動作の完了を意味する信号が返信されるのを待つ(S140)。演出制御基板320は、信号中継基板410からの接続確認動作の完了を意味する信号を受信したら(S140:YES)、フィンガー可動体KDfingに接続確認用動作を実行させるための指令を信号中継基板410へと出力し(S150)、信号中継基板410からフィンガー可動体KDfingに対する接続確認動作の完了を意味する信号が返信されるのを待つ(S160)。
【0057】
以上の様にして各可動体KDdwn,KDswing,KDfingに対する接続確認動作が完了したら(S160:YES)、演出制御基板320は、信号中継基板410に対して、各可動体KDdwn,KDswing,KDfingの接続確認動作におけるレポート要求を出力し(S170)、レポートを受信したら(S180:YES)、当該レポートを記録すると共に(S190)、報知処理を実行する(S200)。
【0058】
信号中継基板410は、
図8に示す様に、落下可動体KDdwnに接続確認用動作を実行させるための指令を受信したら(S310)、モータ制御IC510に対してモータMT110を過負荷を検知する位置まで駆動させた後に反転させて原位置復帰させる接続確認コマンドを出力すると共に(S320)、計時を開始し(S330)、モータ制御IC510から原位置復帰完了を意味する原位置センサの検出信号が返信されるのを待つ(S340)。
【0059】
信号中継基板410は、モータ制御IC510から原位置復帰完了を意味する検出信号が返信されてきたとき(S340:YES)、計時を終了して今回の動作所要時間t510を取得し(S350)、落下可動体KDdwnの接続確認用動作に対して設定された判定時間T1に対して許容範囲内に収まっているか否かを判定する(S360)。
【0060】
S360の判定が「YES」の場合、信号中継基板410は、モータ制御IC510に対して落下可動体KDdwnが正しく接続されているとの正常判定を行い(S370)、その旨を接続確認レポートに記録し(S380)、接続確認動作の完了を意味する信号を演出制御基板320へと返信する(S390)。
【0061】
信号中継基板410は、振り子可動体KDswingに接続確認用動作を実行させるための指令を受信したら(S410)、モータ制御IC520に対してモータMT120を過負荷を検知する位置まで駆動させた後に反転させて原位置復帰させる接続確認コマンドを出力すると共に(S420)、計時を開始し(S430)、モータ制御IC520から原位置復帰完了を意味する原位置センサの検出信号が返信されるのを待つ(S440)。
【0062】
信号中継基板410は、モータ制御IC520から原位置復帰完了を意味する信号が返信されてきたとき(S440:YES)、計時を終了して今回の動作所要時間t520を取得し(S450)、振り子可動体KDswingの接続確認用動作に対して設定された判定時間T2に対して許容範囲内に収まっているか否かを判定する(S460)。
【0063】
S460の判定が「YES」の場合、信号中継基板410は、モータ制御IC520に対して振り子可動体KDswingが正しく接続されているとの正常判定を行い(S470)、その旨を接続確認レポートに記録し(S480)、接続確認動作の完了を意味する信号を演出制御基板320へと返信する(S490)。
【0064】
一方、S360の判定が「NO」の場合は、
図9に示す様に、信号中継基板410は、モータ制御IC520に対してモータMT120を過負荷を検知する位置まで駆動させた後に反転させて原位置復帰させる接続確認コマンドを出力すると共に(S325)、計時を開始し(S335)、モータ制御IC520から原位置復帰完了を意味する原位置センサの検出信号が返信されるのを待つ(S345)。
【0065】
信号中継基板410は、モータ制御IC520から原位置復帰完了を意味する信号が返信されてきたとき(S345:YES)、計時を終了して今回の動作所要時間t520を取得し(S355)、落下可動体KDdwnの接続確認用動作に対して設定された判定時間T1に対して許容範囲内に収まっているか否かを判定する(S365)。
【0066】
S365の判定が「YES」の場合は、信号中継基板410は、モータ制御IC520に対して落下可動体KDdwnが接続されているとの入れ換え判定を行い(S3750)、その旨を接続確認レポートに記録し(S385)、接続確認動作の完了を意味する信号を演出制御基板320へと返信する(S395)。
【0067】
入れ換え接続判定を行った信号中継基板410は、次に振り子可動体KDswingに接続確認用動作を実行させるための指令を受信したら(S415)、モータ制御IC520ではなくモータ制御IC510に対してモータMT110を過負荷を検知する位置まで駆動させた後に反転させて原位置復帰させる接続確認コマンドを出力すると共に(S425)、計時を開始し(S435)、モータ制御IC510から原位置復帰完了を意味する原位置センサの検出信号が返信されるのを待つ(S445)。
【0068】
信号中継基板410は、モータ制御IC510から原位置復帰完了を意味する信号が返信されてきたとき(S445:YES)、計時を終了して今回の動作所要時間t510を取得し(S455)、振り子可動体KDswingの接続確認用動作に対して設定された判定時間T2に対して許容範囲内に収まっているか否かを判定する(S465)。
【0069】
S465の判定が「YES」の場合、信号中継基板410は、モータ制御IC510に対して振り子可動体KDswingが接続されているとの入れ換え判定を行い(S4750)、その旨を接続確認レポートに記録し(S485)、接続確認動作の完了を意味する信号を演出制御基板320へと返信する(S495)。
【0070】
信号中継基板410は、S360,S365が共に「NO」の場合は、落下可動体取付エラーを接続確認レポートに記録した上で(S387)、接続確認動作の完了を意味する信号を信号中継基板410へと返信する(S397)。
【0071】
また、S460の判定が「NO」の場合は、信号中継基板410は、S425以下の処理へと進み、入れ換え判定を行った場合は(S475)、その旨を接続確認レポートに記録し(S485)、接続確認動作の完了を意味する信号を演出制御基板320へと返信するが(S495)、S460,S465が共に「NO」の場合は、振り子可動体取付エラーを接続確認レポートに記録した上で(S487)、接続確認動作の完了を意味する信号を演出制御基板320へと返信する(S497)。
【0072】
こうして落下可動体KDdwn、振り子可動体KDswingの接続確認を終えた信号中継基板410は、フィンガー可動体KDfingに接続確認用動作を実行させるための指令を受信したら(S510)、モータ制御IC530に対してフィンガー可動体接続確認動作を指令し(S520)、モータ制御IC530から接続確認動作の完了及び取付状態レポートが返信されて来るのを待つ(S530)。
【0073】
信号中継基板410は、モータ制御IC530からの返信があったら(S530:YES)、受信した取り付け状態レポートの内容を接続確認レポートに記録した上で(S540)、接続確認動作の完了を意味する信号を演出制御基板320へと返信する(S550)。その後、演出制御基板320からのレポート要求を受信したら(S560:YES)、接続確認レポートを演出制御基板320へと送信する(S570)。
【0074】
モータ制御IC530は、
図10に示す様に、フィンガー可動体KDfingに接続確認用動作を実行させるための指令を受信したら、まず、旋回モータMTRを駆動し(S610)、
図3(A)に示した様な待機位置にあるフィンガー可動体KDfingを、
図3(B)に示した動作開始位置へと動作させる。この結果、基準位置センサSEfng1,SEfng2の検出信号は[SEfng1=OFF,SEfng2=OFF]から[SEfng1=ON,SEfng2=OFF]へと変化する。この動作位置は、先に述べた[第3の動作位置]に該当する。
【0075】
ここで、本実施例においては、
図6(B)に示した様に、フィンガー可動体KDfingに備えられた2つの基準位置センサSEfng1,SEfng2は、モータ制御IC530に対して、第1経路531si1,532si1を介して個別に入力されると共に、論理和回路535を経由する第2経路531si2,532si2を介して入力される様にも接続されている。この結果、モータ制御ICは、論理和回路535を介してON信号が入力されているときにON信号を入力している入力端子を第1基準位置センサSEfng1の接続された入力端子と識別することができる。
【0076】
こうして動作開始位置(第3の動作位置)へとフィンガー可動体KDfingを動作させ終えたら(S620:YES)、モータ制御IC530は、旋回モータMTRを停止すると共に(S630)、モータ制御IC530は、第1基準位置センサSEfng1の接続された入力端子を識別し、その識別結果を記憶する(S640)。この後は、S640で記憶した識別結果に基づいて、入力端子530si1,530si2のいずれが第1,第2の基準位置センサSEfng1,SEfng2の入力端子となっているかを特定してフィンガー可動体KDfingの動作制御を実行する。従って、第1基準位置センサSEfng1を本来の入力端子530si1ではなくもう一方の入力端子530si2に接続し、第2基準位置センサSEfng2を本来の入力端子530si2ではなくもう一方の入力端子530si1に接続してしまった場合であっても、モータ制御IC530は、フィンガー可動体KDfingに正しい動作を実行させることができる。
【0077】
こうして動作開始位置(第3の動作位置)へとフィンガー可動体KDfingを動作させ、第1基準位置センサSEfng1の接続された入力端子を識別し、その識別結果を記憶したら(S610~S640)、モータ制御IC530は、Y軸モータMTYを駆動する(S650)。この結果、フィンガー可動体KDfingは、
図3(B)の動作位置から
図4(A)の動作位置へと移動し、基準位置センサSEfng1,SEfng2の検出信号が[SEfng1=ON,SEfng2=OFF]から[SEfng1=ON,SEfng2=ON]へと変化する。この動作位置は、先に述べた[第1の動作位置]に該当する。
【0078】
こうして[第3の動作位置]から[第1の動作位置]へとフィンガー可動体KDfingを動作させ終えたら(S660:YES)、モータ制御IC530は、Y軸モータMTYを停止し、X軸モータMTXを駆動する(S670)。この結果、フィンガー可動体KDfingは、
図4(A)の動作位置から
図4(B)の動作位置へと移動し、基準位置センサSEfng1,SEfng2の検出信号が[SEfng1=ON,SEfng2=ON]から[SEfng1=OFF,SEfng2=ON]へと変化する。この動作位置は、先に述べた[第2の動作位置]に該当する。
【0079】
こうして[第3の動作位置]→[第1の動作位置]→[第2の動作位置]へとフィンガー可動体KDfingを動作させ終えた後も(S680:YES)、モータ制御IC530は、フィンガー可動体KDfingを
図4(C)に示した動作位置へ移動するまでX軸モータMTXの駆動を継続する(S690)。そして、フィンガー可動体KDfingが
図4(C)に示した動作位置へと移動することによって基準位置センサSEfng1,SEfng2の検出信号が[SEfng1=OFF,SEfng2=ON]から[SEfng1=OFF,SEfng2=OFF]へと変化したら(S700:YES)、Y軸モータMTYとX軸モータMTXの双方を互いに同期させつつ駆動する制御(MTY・MTX同期制御)を開始する(S710)。
【0080】
このMTY・MTX同期制御は、例えば、プロッタ装置においてペンを動作させる制御と同様に構成することができ、
図4(D)に示した様に、一筆書きの態様にてフィンガー可動体KDfingを動作させる。この間、基準位置センサSEfng1,SEfng2の検出信号は[SEfng1=OFF,SEfng2=OFF]のままであり、先に述べた[第4の動作位置]に該当する状態が所定の軌跡を描く間継続することとなる。
【0081】
モータ制御IC530は、基準位置センサSEfng1,SEfng2の検出信号が[SEfng1=ON,SEfng2=OFF]へと変化するまでMTY・MTX同期制御を実行し(S720:NO)、[SEfng1=OFF,SEfng2=OFF]から[SEfng1=ON,SEfng2=OFF]へと変化したら(S720:YES)、MTY・MTX同期制御を抜ける。
【0082】
こうして、
図4(E)の動作位置へとフィンガー可動体KDfingを移動させたら、モータ制御IC530は、X軸モータMTXを停止し、Y軸モータMTYのみを駆動する制御を行う(S730)。この結果、フィンガー可動体KDfingは、
図4(E)の動作位置から
図4(F)の動作位置へと移動する。そして、基準位置センサSEfng1,SEfng2の検出信号が[SEfng1=ON,SEfng2=ON]へと変化したら(S740:YES)、モータ制御回路530は、Y軸モータMTYを逆転してフィンガー可動体KDfingを上昇させる(S750)。こうして、
図3(B)の動作位置ぶ向かってフィンガー可動体KDfingが移動し、基準位置センサSEfng1,SEfng2の検出信号が[SEfng1=ON,SEfng2=OFF]へと変化したら(S760:YES)、Y軸モータMTYを停止し、旋回モータMTRを逆転させる(S770)。これにより、一筆書きの軌跡を描く様に移動させられたフィンガー可動体KDfingは、
図4(F)→
図3(B)→
図3(A)の様に位置を変化させる動作を行い、待機位置へと復帰する。
【0083】
なお、本実施例においては、X軸モータMTX及びY軸モータMTYによる駆動時のフィンガー可動体KDfingの原位置は[SEfng1=ON,SEfng2=OFF]としている。また、上述の接続確認動作の間のセンサ信号の変化は、S630で記憶した識別結果に基づいて入力端子530si1,530si2に対する検出信号で判断している。
【0084】
モータ制御IC530は、この接続確認動作を実行する間の所要時間t53を計時しており、フィンガー可動体KDfingの接続確認用動作に対して設定された判定時間T3に対して許容範囲内に収まっているか否かの判定に基づく取り付け状態レポートを生成する(S780)。この接続確認レポートには、所要時間t53が判定時間T3に対して許容範囲内に収まっている場合は「正常取付」が、収まっていない場合は「取付エラー」が記録される。こうして生成した取り付け状態レポートは、フィンガー可動体KDfingの接続確認動作の完了を意味する信号と共に信号中継基板410へと送信される(S790)。
【0085】
[4.4 可動体判定処理]
演出制御基板320は、信号中継基板410から受信した接続確認レポートに基づき、タイトル及びスペックに対応する可動体が正しく取り付けられているか否かの判定を行い、間違った可動体が取り付けられているときは可動体取付エラーを報知する処理を実行する。この処理は、
図11(A)に示した制御系統により、工場出荷時、遊技場における新台設置時など、遊技機枠に遊技盤を組み付ける作業を行った際などに起動される。なお、本実施例においては、演出制御基板320は、プッシュボタンPB,カーソルキーCKYの操作により、可動体取付エラーに関する判定・報知の態様を設定・変更する処理を電源投入時に実施することができる様にも構成されている。
【0086】
この結果、電源投入時に、演出制御基板320は、
図11(B)に示す様に、判定・報知の態様に関する設定内容を読み出し(S810)、表示演出制御基板370に対して設定・変更画面の表示を指令する(S820)。設定・変更画面としては、[A:報知のタイミングに関する複数の選択肢(常時、変動開始時、電源投入時、…)]、[B:判定の対象に関する複数の選択肢(枠及び遊技盤、枠のみ、遊技盤のみ、…)]、[C:報知の方法に関する複数の選択肢(電飾、音、液晶表示、これらの組合わせ、…)]、[D:報知の継続又は終了に関する複数の選択肢(正しい装飾部材が取り付けられた状態になるまで報知を終了しない、1分間で報知を終了する、3分間で報知を終了する、…)]といった「変更可能な項目A~D」と「各項目ごとの選択肢」とから構成されている。また、工場出荷時には、各項目についてデフォルトの選択肢が選択されている状態を視認可能とした表示(例えば、点滅表示されている選択肢が現在の設定であることを示すなど)となっている。
【0087】
演出制御基板320は、上述の様な設定・変更画面を表示した後、プッシュボタンPBの押下があったか否かを判定する(S830)。プッシュボタンPBが押下されたときは(S830:YES)、その時点で表示されている設定・変更画面で特定されている態様を設定内容として記憶し(S840)、本処理を終了する。
【0088】
一方、プッシュボタンPBが押下されるないときは(S830:NO)、カーソルキーCKYが操作されたか否かを判定する(S850)。カーソルキーCKYが操作されたとの判定がなされない間はS830へと戻り、プッシュボタンPBが押下されたか否か及びカーソルキーCKYが操作されたか否かの判定をループし続ける。これに対し、カーソルキーCKYが操作されたとの判定がなされたときは(S850:YES)、当該操作に応じて設定・変更画面の表示を変更する(S860)。例えば、カーソルキーCKYの上下送りで項目の切り換えを、左右送りで点滅表示の選択肢の切り換えを実行する。これにより、作業者等は判定・報知の態様が変更されていく様子を目視によって確認しつつ作業を行うことができる。
【0089】
こうしてカーソルキーCKYの操作によって各項目に対する選択肢を希望の状態に変更した上でプッシュボタンPBを押下し、演出制御基板320によってS830がYESと判定されると、S840が実行され、新たな設定内容が記憶される。
【0090】
次に、演出制御基板320が実行する可動体取付エラー判定・報知処理について説明する。演出制御基板320は、
図11(C)に示す様に、まず、タイトル及びスペックに対応する可動体が取り付けられているか否かを判定するための接続情報を読み出す(S910)。
【0091】
前枠Dに取り付けるべき可動体ユニットがあれば当該可動体ユニット、遊技盤Cに取り付けるべき可動体ユニットがあれば当該可動体ユニットに対応する接続情報が読み出されることとなる。
【0092】
次に、信号中継基板410から入力された接続確認レポートを読み込み(S920)、S910で読み出した接続情報と正しい対応関係になっているか否かを判定し(S930)、可動体毎のS930の判定結果を記憶する(S940)。
【0093】
次に、演出制御基板320は、S840で記憶しておいた[A:報知のタイミング]になっているか否かの判定を実行する(S950)。演出制御基板320は、報知のタイミングになっていると判定したときは(S950:YES)、[B:判定の対象]に対応する判定結果を読み出す(S960)。その後、演出制御基板320は、[C:報知の方法]に関する設定内容、[D:報知の継続又は終了]に関する設定内容に従って報知処理を起動する(S970)。
【0094】
例えば、[A:報知のタイミング=電源投入時]、[B:判定の対象=全て]、[C:報知の方法=電飾・音及び液晶表示によるエラー対象の表示]、[D:報知の継続又は終了=3分間で音を終了する]が設定されているならば、電源投入時に、全ての判定対象についての判定結果を読み出し、電飾と音による警報を実施しつつ液晶表示装置LCDにエラーとなった可動体を特定する表示を実施し、3分後に警報音だけ停止するエラー報知を実行する。もちろん、この例示以外の設定となっているときは、当該設定に従ってエラー報知を実行する。なお、[C:報知の方法=電飾・音]が選択されている場合は、エラー対象を特定しない報知となる。
【0095】
こうして可動体取付エラーに関する判定・報知の態様を任意に設定・変更可能とすることにより、工場出荷の際、遊技場への設置の際、遊技盤交換の際など、様々な場面において、報知による警報音が騒音となったり、緊急性を伝達できなかったりすることがない状態とすることができる。また、(イ)タイトル共通でスペックが異なるケース、(ロ)スペックが同じでタイトルが異なるケース、(ハ)タイトルもスペックも異なるケース、のいずれに対しても適確な判定、報知を実行することができる。
【0096】
報知の態様において、(a)誤った取り付けがなされていることを報知するだけでなく、(b)正しい取り付けがなさせていることをも報知する場合に、(a)の報知態様と(b)の報知態様を異なるものとしたり、(a)の報知において誤りが軽微なものか重大なものかに応じて報知の態様を異ならせるといった設定も可能となる。
【0097】
そして、各項目の複数の選択肢のいずれとするかを変更可能とすることで、遊技機メーカーの作業者や遊技場の担当者による対処が煩雑にならず、速やかに実施できる様な報知を実行させることができる。
【0098】
加えて、電源投入時に液晶表示装置LCDに表示した設定・変更画面に対するカーソルキーCKY、プッシュボタンPBの操作によって設定・変更を実行することができるから、外部機器を接続する等の手間も不要となる。
【0099】
この結果、本実施例によれば、互換性のある可動体を本来装着すべき遊技機に対して正しく装着することができる。
【0100】
[5 遊技性に関する制御処理]
[5.1 概要]
主制御基板310は、特
図1スイッチSW1からの検知信号の入力を契機として取得した特
図1判定用乱数を最大4個、特
図2スイッチSW2の検知信号入力を契機として取得した特
図2判定用乱数を最大4個、それぞれ保留記憶しておくため、
図5に示す様に、RAM内に、特
図1保留記憶部311及び特
図2保留記憶部312を備えている。特
図1判定用乱数及び特
図2判定用乱数は、それぞれ、「当たり/はずれ判定用乱数(乱数1:SW1-1,SW2-1)」、「特図振分判定用乱数(乱数2:SW1-2,SW2-2)」、「演出実行判定用乱数(乱数3:SW1-3,SW2-3)」、及び「変動パターン振分用乱数(乱数4:SW1-4,SW2-4)」から構成される。乱数1は、特図スイッチ検知信号の入力を契機としてハードウェアロジックによって取得され、乱数2~4は、特図スイッチ検知信号の入力を契機としてソフトウェアロジックによって取得される。
【0101】
主制御基板310は、所定のタイミングで実行する判定処理において、乱数1が予め設定された「大当たり判定値」と一致するときに「大当たり」と判定し、一致しない場合は「はずれ」と判定する。特図振分判定用乱数(乱数2)は、特別遊技のラウンド数など、大当たり種別を振り分けるための乱数である。演出実行判定用乱数(乱数3)は、リーチ演出を行うか否かを決定するための乱数である。リーチ演出は、「当たり」の場合だけでなく、「はずれ」においても所定の割合で実行する構成となっている。変動パターン振分用乱数(乱数4)は、変動パターンを振り分けるための乱数である。なお、乱数1で「大当たり」となった場合、乱数2による大当たり種別振り分けにより、例えば、「2R」「7R」「15R」など、遊技者に対する有利さの異なる複数種類の当たり種別のいずれかに振り分けられる。
【0102】
演出制御基板320には、音声演出、表示演出、発光演出、及び可動体演出を実行するための演出データ記憶手段325が備えられている。演出データ記憶手段325には、特別図柄変動ゲーム中に実行する変動ゲーム中演出データDH、大当たり遊技中に実行する大当たり中演出データDV、デモ中に実行するデモ中演出データDM、特図変動ゲームにおいて実行される変動パターンに応じた飾り図柄変動ゲームを表示するための飾り図柄変動演出データDKZが記憶されている。
【0103】
変動ゲーム中演出データDHは、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの組み合わせとなっている。変動ゲーム中演出データDHは、主制御基板310による抽選結果(ノーマルはずれ、ノーマル当たり、リーチはずれ、リーチ当たり、スーパーリーチはずれ、スーパーリーチ当たりなど)に対して、それぞれ複数種類のパターンが備えられている。これらのパターンにおいて、例えば、可動体演出を伴わない変動ゲーム中演出を行うデータは、可動体演出データがブランクデータで構成される。
【0104】
大当たり中演出データDVも、変動ゲーム中演出データDHと同様に、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの一部又は複数の組み合わせ又は全部の組み合わせによって構成され、大当たり種別に応じて複数パターンが備えられている。
【0105】
デモ中演出データDMも、変動ゲーム中演出データDHと同様に、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの一部又は複数の組み合わせ又は全部の組み合わせによって構成され、デモ1用、デモ2用など複数パターンが備えられている。
【0106】
飾り図柄変動演出データDKZは、ノーマルはずれ、ノーマル当たり、リーチはずれ、リーチ当たり、スーパーリーチはずれ、スーパーリーチ当たりなど、主制御基板310による抽選の結果に基づいて指令される変動パターンに対応したデータとして記憶されている。このため、本実施例においては、通常状態用変動パターンテーブル315に対応する飾り図柄変動時間となる通常状態用飾り図柄変動演出データDKZaと、変短状態用変動パターンテーブル316に対応する飾り図柄変動時間となる変短状態用飾り図柄変動演出データDKZbとが、演出制御基板320の演出データ記憶手段325に記憶されている。
【0107】
演出表示制御基板370は、演出制御基板320から指令される背景表示用データに従って液晶表示装置LCDに表示した背景画像に対して重ね合わせる様にして、変動パターンに対応する飾り図柄変動演出データDKZを表示する。また、この表示演出においては、キャラクタ表示データが存在する場合はキャラクタ画像を重ねて表示する演出も実行される。
【0108】
ここで、本実施例においては、変動ゲーム中演出データDHは、変動パターンに対して1対1対応となっている訳ではなく、例えば、変動パターン1に対して演出1,演出2,…などと複数の中から振り分けによって演出制御基板320側で決定する構成となっている。同じく、飾り図柄変動演出データDKZも、例えば、変動パターン1に対しては変動時間1、変動パターン1に対しては変動時間2、…、と1対1の対応であるが、各変動時間に対して複数の飾り図柄変動パターンが備えられていて、これら複数の中から振り分けによって演出制御基板320が決定する構成となっている。これら振り分け可能な演出データDHや飾り図柄変動パターンDKZは、変動パターンが大当たりの場合に振り分けられ易く、はずれの場合に振り分けられ難いグループと、その逆のグループといった具合に、信頼度グループを構成する様に振り分け確率を設定している。
【0109】
[5.2 主制御基板における制御処理の概要]
主制御基板310は、特図スイッチSW1,SW2、入賞検知センサSW7,SW11,SW12からの入賞検知信号が入力されると、各スイッチに対応する賞球払出個数に対応する賞球払出コマンドを払出制御基板330に対して出力する賞球払出処理を実行している。これを受けて、払出制御基板330は、遊技球の入賞口に対応して予め定められた個数の賞球の払出動作を実行する。主制御基板310は、この賞球の払い出し個数は、「通常遊技」、「時短遊技」「大当たり遊技」等の遊技状態ごとに累積値を記憶する。主制御基板310は、また、これら遊技状態ごとの排出球の個数を排出球検知スイッチSW21からの検知信号に基づいて累積値として記憶している。そして、主制御基板310は、これら賞球払出個数の累積値と排出球数の累積値に基づいて、各遊技状態におけるベース(払出数/(発射数=排出数))を算出している。これら遊技状態ごとのベースの内、「通常遊技」について算出した値は、主制御基板310から性能表示モニタ600のマイコン基板へと送信され、性能表示モニタ600に数値表示される。なお、所定の操作をすることにより、性能表示モニタ600を用いて、「時短遊技」や「大当たり遊技」におけるベースの表示をすることもできる様になっている。
【0110】
また、主制御基板310は、特図スイッチSW1,SW2のいずれかから検知信号が入力されると、特別図柄を決定するための乱数を取得し、その結果を始動保留情報としてRAMに記憶する特図入力処理を実行している。本実施例においては、始動保留情報として第1特図スイッチSW1による検知信号に基づく始動保留情報(特
図1始動保留情報)を最大4個、第2特図スイッチSW2による検知信号に基づく始動保留情報(特
図2始動保留情報)を最大4個記憶することができる構成となっている。
【0111】
主制御基板310は、こうしてRAM内に記憶された始動保留情報を読み出し、「当たり/はずれ」に応じた特別図柄変動を特図表示器TKZに実行させると共に、演出制御基板320を介して音声演出、発光演出、表示演出、可動体演出等を実行させるための特図開始処理を実行している。この特図開始処理では、始動保留情報に基づく抽選処理の結果により、「変動パターン」および「最終停止図柄」を決定し、演出制御基板320に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する。具体的には、主制御基板310は、変動パターンを指定すると共に図柄変動の開始を指示する変動パターン指定コマンドを出力すると共に、変動パターンで特定された演出時間の計測を開始する。これと同時に、主制御基板310は、特図変動表示を開始させるように特図表示器TKZを制御する。また、主制御基板310は、最終停止図柄となる特別図柄を指示するための特図指定コマンドを出力する。こうして、主制御基板310は、特図開始処理を終了する。その後、特図開始処理とは別の処理において、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、決定した最終停止図柄を表示させるように特図表示器TKZの表示内容を制御する。また、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、演出制御基板320に対して飾図の変動停止を指示し、図柄組み合わせを確定停止表示させるための全図柄停止コマンドを出力する。
【0112】
[5.3 演出御基板における制御処理の概要]
演出制御基板320は、主制御基板310からの変動コマンドを受信することによって変動演出を実行する。この変動演出は、特別遊技中でなく、デモ表示状態でもないときに実行される。演出制御基板320は、変動コマンドを受信したら、今回の表示演出に用いる飾り図柄変動演出データDKZと変動ゲーム中演出データDHとを決定する。
【0113】
ここで、本実施例においては、演出データ記憶手段325には、各変動パターン(変動時間)に対して、それぞれ複数個の飾り図柄変動演出データDKZが記憶されているから、主制御基板310からの入力によって変動パターンが特定されたことにより、当該変動パターンについて選択し得る複数個のDKZの中から、今回の変動ゲーム中演出において使用する一つのDKZを抽選によって決定する。
【0114】
また、演出データ記憶手段325には、各変動パターン(変動時間)に対して、それぞれ複数個の変動ゲーム中演出データDHが記憶されているから、主制御基板310からの入力によって変動パターンが特定されたことにより、当該変動パターンについて選択し得る複数個のDHの中から、今回の変動ゲーム中演出において使用する一つのDHを抽選によって決定する。
【0115】
こうして決定したDH,DKZに対応するデータを演出データ記憶手段325から読み出し、変動演出を開始する。変動ゲーム中演出データDHによる演出は、主制御基板310から全図柄停止コマンドを受信したときに、飾り図柄変動演出における確定図柄の停止を行って終了する。この飾り図柄変動表示における確定図柄停止のタイミングは、主制御基板310による特図表示器TKZへの特別図柄確定のタイミングと同期している。
【0116】
なお、特別遊技中であるときは、変動ゲーム中演出データDHではなく大当たり中演出データDVを読み出し、大当たり中演出を実行する。また、デモ表示タイミングであるときは、デモ中演出データDMを読み出し、デモ中演出を実行する。
【0117】
本実施例においては、これら変動ゲーム中演出、大当たり中演出、デモ中演出での発光演出として、遊技盤Cに備えた装飾ランプによる役物発光演出に加えて、前枠Dに備えた装飾ランプによる枠発光演出も実行している。演出制御基板320の演出データ記憶手段325には、変動ゲーム中演出において実行する枠発光演出のためのデータについても、変動パターンが大当たりの場合に振り分けられ易く、はずれの場合に振り分けられ難いグループと、その逆のグループといった具合に、信頼度グループを構成する様に振り分け確率を設定した複数の演出データを記憶させてある。
【0118】
[6 実施例に特有の構成・作用・効果]
実施例のパチンコ機P1は、図柄の変動制御が可能であって所定の抽選に当選したことを契機に特典を与える主制御手段(主制御基板310)と、演出実行手段(可動体KDdwn,KDswing,KDfing、LED基板、スピーカSP、液晶表示装置LCD等)と、演出データを記憶した演出データ記憶手段(325)と、前記演出データ記憶手段(325)に記憶されている演出データ(DH)を用いた演出を前記演出実行手段に実行させる演出制御手段(演出制御基板320)とを備えた遊技機であって、さらに、以下の構成をも備えている。
(1A)前記演出実行手段として遊技機側の所定位置に対して互換性をもって取り付けられる可動体(KDdwn,KDswing,KDfing)を備え、動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)の検出信号と前記演出制御手段(選出制御基板320)からの指令とに基づき、前記可動体(KDdwn,KDswing,KDfing)に原位置復帰動作を含む各種動作を実行させる可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)を備えていること。
(1B)前記可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)には複数個の前記動作位置検出センサからの検出信号が入力されており、前記演出制御手段(演出制御基板320)は、前記可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)に対して前記原位置復帰動作を実行させる指令を出力したときに当該可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)に入力される前記複数個の動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)からの検出信号に基づき、前記所定位置に対して取り付けられている前記可動体(KDdwn,KDswing,KDfing)の動作特性に関連する固有情報を識別する識別手段(S110~S200、S310~S570、S610~S770)を備えていること。
(1C)前記可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)には、前記複数個の動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)の内の一つが前記原位置復帰動作を実行させられる可動体(KDdwn,KDswing,KDfing)の原位置復帰完了を判断するためのフォトセンサ入力となる様に、前記複数個の動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)からの検出信号が入力され、前記識別手段(S110~S200、S310~S570、S610~S770)は、前記固有情報の識別に当たって、前記フォトセンサ入力を与える動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)が接続された入力端子の特定を行うこと。
【0119】
実施例のパチンコ機P1によれば、演出制御手段(選出制御基板320)は、演出データ記憶手段(325)に記憶されている演出データ(DH)を用いた演出を可動体(KDdwn,KDswing,KDfing)に実行させるための指令を可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)に出力する。可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)は、演出制御手段(選出制御基板320)からの指令と、複数個の動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)から入力される検出信号とに基づいて、原位置復帰動作を含む可動体に各種動作を実行させる。ここで、演出制御手段(選出制御基板320)が、可動体(KDdwn,KDswing,KDfing)に原位置復帰動作を実行させる指令を可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC510~530)に出力したとき、識別手段(S110~S200、S310~S570、S610~S770)は、可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC510~530)に入力される複数個の動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)からの検出信号に基づき、所定位置に対して取り付けられている可動体(KDdwn,KDswing,KDfing)の動作特性に関連する固有情報を識別する。より具体的には、例えば、動作範囲に対して上部を原位置とする動作特性を有しているか否か、動作範囲に対して下部を原位置とする動作特性を有しているか否か、動作範囲に対して中央を原位置とする動作特性を有しているか否か、等の当該可動体の動作特性に関する固有情報を識別する。この際、識別手段は、固有情報の識別に当たって、可動体の原位置復帰完了を判断するためのフォトセンサ入力を与える動作位置検出センサが接続された入力端子の特定を行う。
【0120】
ここで、可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)に接続された複数個の動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)のいずれが原位置センサであるかを正しく把握した場合においても、例えば、同じ変動ゲーム中に動作する複数個の可動体がある場合、これらの取付位置が正しくないために可動体同士の干渉が生じるおそれがある。また、そもそも、取付位置が正しくないことによって予定している可動体演出が実行できなくなるおそれもある。
【0121】
この様な問題を解消する上で、実施例のパチンコ機P1は、さらに、以下の構成をも備えている。
(2)前記識別手段(S110~S200、S310~S570、S610~S770)は、電源投入時に前記可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)に対して前記原位置復帰動作を実行させることにより、前記所定位置に対して取り付けるべき前記可動体が取り付けられているか否かの判定及び判定結果の報知を実行し得る手段(S170~S200、S560~S570、S790、S910~S970)としても構成されていること。
【0122】
実施例のパチンコ機P1によれば、電源投入時の原位置復帰動作により、例えば、動作開始から原位置復帰完了までの所要時間、動作開始から原位置復帰までの間に可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)に入力される複数個の動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)からの検出信号の変化の態様などを、被取付部に対して取り付けるべき可動体において予定される所要時間、検出信号の変化の態様と対比するなどにより、被取付部に対して取り付けるべき可動体であるか否かを判定し、その判定結果を報知する。
【0123】
実施例のパチンコ機P1は、さらに、以下の構成をも備えている。
(3)前記識別手段(S110~S200、S310~S570、S610~S770)による判定、報知、又は、判定及び報知に関する設定を変更する設定変更手段(S810~S860)を備えていること。
【0124】
例えば、同一タイトルで大当たり確率などのスペックを異ならせた遊技機を提供する際に、所定位置に取り付けるべき可動体をスペック毎に異ならせることがある。また、タイトルの異なる遊技機となる様に遊技盤や回胴装置枠を取り換える際に、本体枠の可動体を変更する場合がある。加えて、複数の可動体を取り換えることもあり得る。この様な様々な可動体の変更に対し、設定変更手段(S810~S860)で、識別手段による判定、報知、又は、判定及び報知に関する設定を変更することにより、(イ)タイトル共通でスペックが異なるケース、(ロ)スペックが同じでタイトルが異なるケース、(ハ)タイトルもスペックも異なるケース、(ニ)複数の可動体を取り換えるケースなど、種々のケースに対して適確な判定、報知を実行することができる。これにより、互換性のある可動体を本来装着すべき遊技機に対して正しく装着できる様にすることができる。
【0125】
実施例のパチンコ機P1は、さらに、以下の構成をも備えている。
(4)前記設定変更手段(S810~S860)は、前記識別手段(S110~S200、S310~S570、S610~S770)による報知のタイミング、対象、方法、継続又は終了に関する設定の少なくとも一つ以上を変更し得る手段として構成されていること。
【0126】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、例えば、(A)タイミングについて、常時、変動開始時、電源投入時、…などの複数の選択肢のいずれとするか、(B)対象について、本体枠のみ、盤面(回胴装置)のみ、本体枠及び盤面(回胴装置)、…などの複数の選択肢のいずれとするか、(C)方法について、電飾、音、液晶表示、これらの組合わせ、…などの複数の選択肢のいずれとするか、(D)継続又は終了について、正しい可動体が取り付けられた状態になるまで報知を終了しない、1分間で報知を終了する、3分間で報知を終了する、…などの複数の選択肢のいずれとするかを変更可能とすることで、遊技機メーカーの作業者や遊技場の担当者による対処が煩雑にならず、速やかに実施できる様な報知を実行させることができる。
【0127】
実施例のパチンコ機P1は、さらに、以下の構成をも備えている。
(5)電源投入時に、前記設定変更手段(S810~S860)による設定の変更を行うための操作画面を当該遊技機が備える表示手段(液晶表示装置LCD)又は外部機器に対して出力する操作画面表示手段を備えていること。
【0128】
実施例のパチンコ機P1によれば、設定変更を操作画面から実施可能となり、その操作画面も遊技機の備えている表示手段(液晶表示装置LCD)とする場合は検査装置などを不要とし、外部機器への出力とする場合には、より操作性のよい検査機器の使用を可能にすることができる。
【0129】
実施例のパチンコ機P1は、さらに、以下の構成をも備えている。
(6A)前記所定位置が前記可動体の脱着箇所を複数備え、前記識別手段(S110~S200、S310~S570、S610~S770)は、前記複数の脱着箇所の内で前記可動体が取り付けられていない箇所があることを報知する第1の報知態様を設定し得る手段(S170~S200、S560~S570、S790、S910~S970)として構成されていること。
(6B)前記所定位置が前記可動体の脱着箇所を複数備え、前記識別手段(S110~S200、S310~S570、S610~S770)は、前記複数の脱着箇所の内で前記可動体が取り付けられていない箇所を特定する第2の報知態様を設定し得る手段(S170~S200、S560~S570、S790、S910~S970)として構成されていること。
【0130】
(6A)の構成を備えた遊技機によれば、複数の脱着箇所の内の一つ以上について正しい可動体の取り付けがなされていない脱着箇所を特定することなく報知を行う第1の報知態様を設定し、(6B)の構成を備えた遊技機によれば、正しい可動体の取り付けがなされていない脱着箇所を特定する第2の報知態様を設定することができる。そして、(6A)、(6B)の構成の両方を備えた遊技機によれば、これら第1の報知態様と第2の報知態様のいずれにするか、あるいは、最初に第1の報知態様で報知を行った後に第2の報知態様で報知を行う、といった選択をすることもできる。
【0131】
実施例のパチンコ機P1は、さらに、以下の構成をも備えている。
(7A)前記複数個の動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)は、前記検出信号を個別に入力する第1経路(510si1,520si1,531si1,532si1)と、論理和回路(415,535)を介して前記検出信号を入力する第2経路(510si2,520si2,531si2,532si2)と、によって前記可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)に接続されていること。
(7B)前記識別手段(S110~S200、S310~S570、S610~S770)は、前記可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)に対して前記原位置復帰動作を指令した際の前記第1経路(510si1,520si1,531si1,532si1)及び前記第2経路(510si2,520si2,531si2,532si2)から入力される前記検出信号に基づいて前記固有情報の識別を実行する手段として構成されていること。
【0132】
実施例のパチンコ機P1によれば、複数個の動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)のいずれが原位置復帰を意味する検出信号を出力するものであったとしても、第2経路(510si2,520si2,531si2,532si2)からは、原位置復帰時に検出信号が入力される。これにより、そのとき、第1経路(510si1,520si1,531si1,532si1)を介して可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)に検出信号を入力している動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)と検出信号を入力していない動作位置検出センサを峻別することが可能となる。この結果、識別手段(S110~S200、S310~S570、S610~S770)は、可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)に対して原位置復帰動作を指令した際の第1経路(510si1,520si1,531si1,532si1)及び第2経路(510si2,520si2,531si2,532si2)から入力される検出信号に基づいて固有情報の識別を実行することができる。
【0133】
実施例のパチンコ機P1は、さらに、以下の構成をも備えている。
(8)電源投入時に、前記可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)に前記可動体(KDdwn,KDswing,KDfing)に前記原位置復帰動作を実行させて原位置復帰完了と判断されるとき、前記複数個の動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)の内で、前記第2経路(510si2,520si2,531si2,532si2)を介して入力される検出信号と同じ傾向の検出信号を前記第1経路(510si1,520si1,531si1,532si1)を介して入力しているセンサを、当該可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)によって前記各種動作を実行させられる可動体(KDdwn,KDswing,KDfing)に対する原位置センサとして記憶する原位置センサ記憶手段を備えていること。
【0134】
実施例のパチンコ機P1は、電源投入時に、可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)に可動体(KDdwn,KDswing,KDfing)に原位置復帰動作を実行させて原位置復帰完了と判断されるとき、複数個の動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)の内で、第2経路(510si2,520si2,531si2,532si2)を介して入力される検出信号と同じ傾向の検出信号を第1経路(510si1,520si1,531si1,532si1)を介して入力しているセンサを、当該可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)によって各種動作を実行させられる可動体(KDdwn,KDswing,KDfing)に対する原位置センサとして原位置センサ記憶手段に記憶する。この結果、可動体(KDdwn,KDswing,KDfing)毎の原位置センサを特定した状態を実現することができるから、複数個の動作位置検出センサ(SEdwn1,SEswg1,センサSEfng1,SEfng2)が可動体動作制御手段(信号中継基板410(モータ制御IC510,520)、モータ制御IC530)に対してどの様に接続されていたとしても、正しく原位置を把握して各種動作による可動体演出を適切に実行することが可能となる。
【0135】
以上、発明を実施するための最良の形態としての実施例を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0136】
例えば、スロットマシンの装飾に際して本発明を適用したり、設定・変更を外部機器を接続して実行する様に構成することもできる。また、複数の可動体のいずれにエラーが発生しているかを特定しない態様とを選択可能とせず、常にエラー対象を特定する報知を実行する遊技機としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は遊技機に利用することができる。
【符号の説明】
【0138】
5・・・センター役物、7・・・始動入賞装置、10・・・遊技領域、15・・・大入賞口、17・・・誘導レール、18a,18b・・・普通入賞口、19・・・アウト口、20・・・右側遊技領域、27・・・第2始動入賞装置、37・・・ゲート、310・・・主制御基板、320・・・演出制御基板、330・・・払出制御基板、340・・・発射制御基板、350・・・インタフェース基板、360・・・電源基板、370・・・表示制御基板、380・・・電源中継基板、390・・・球貸し操作基板、400・・・ホールコンピュータ、410・・・信号中継基板、410si0,410si1~410si3・・・入力端子、415・・・論理和回路、420・・・ランプ制御基板、430・・・音声制御基板、500・・・カードユニット、510,520,530・・・モータ制御IC、510si1,520si1,530si1・・・第1経路、510si2,520si2,530si1・・・第2経路、530si0,530si1,530si2・・・入力端子、531si1,532si1・・・第1経路、531si2,532si2・・・第2経路、535・・・論理和回路、540・・・ソレノイド制御IC。
P1・・・パチンコ機、C・・・遊技盤、CKY・・・カーソルキー、KDdwn・・・落下可動体、KDswing・・・振り子可動体、KDfing・・・フィンガー可動体、MT110・・・昇降モータ、MT120・・・振り子モータ、MTR・・・旋回モータ、MTX・・・X軸モータ、MTY・・・Y軸モータ、LCD・・・液晶表示装置、PB・・・プッシュボタン、SEdwn1,SEswg1・・・原位置センサ、SEfng1・・・第1基準位置センサ、SEfng2・・・第2基準位置センサ、SOL7・・・開閉用ソレノイド、SOL27・・・普通電動役物開閉用ソレノイド、SOL140・・・ソレノイド、SW1・・・特
図1スイッチ、SW2・・・特
図2スイッチ、SW7・・・入賞検知スイッチ、SW11,SW12・・・入賞検知スイッチ、SW21・・・排出球検知スイッチ、SW37・・・普図スイッチ、TKZ・・・特図表示器。