(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】リセスゲートエンハンスメントデバイスを製造するための高精度エッチング装置、及びそれを用いたエッチング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
H01L21/302 103
H01L21/302 101C
(21)【出願番号】P 2021557435
(86)(22)【出願日】2019-10-27
(86)【国際出願番号】 CN2019113503
(87)【国際公開番号】W WO2020199567
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】201910252334.0
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512000569
【氏名又は名称】華南理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】リー クオチアン
(72)【発明者】
【氏名】スン ペイイェー
(72)【発明者】
【氏名】リウ チークン
(72)【発明者】
【氏名】ワン リーチュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ティンポー
(72)【発明者】
【氏名】チュエ シエンフォン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ ショナン
(72)【発明者】
【氏名】リー ルンツォー
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-147123(JP,A)
【文献】国際公開第2018/084508(WO,A1)
【文献】特開2008-288437(JP,A)
【文献】特開2005-303053(JP,A)
【文献】特開2002-294470(JP,A)
【文献】特開平06-204147(JP,A)
【文献】特開2016-218029(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105870012(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105895519(CN,A)
【文献】特開平4-26125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リセスゲートエンハンスメントデバイスを製造するための高精度エッチング装置であって、
誘導結合プラズマエッチングキャビティ、電流検出装置、インダクタンスコイル、RF源、メカニカルポンプ及び分子ポンプを含み、
前記誘導結合プラズマエッチングキャビティは、チャンバー、ベース、RFバイアスパワー源、貫通電極、プローブ、セラミックスリーブ及びガスバルブを含み、
前記RF源はインダクタンスコイルに接続され、
前記インダクタンスコイルは誘導結合コイルであり、前記セラミックスリーブに巻き付けられており、前記インダクタンスコイルにRF電流が流れると、交番磁界が生じ、プロセスガスを励起させて高密度プラズマとし、
前記メカニカルポンプ及び分子ポンプは誘導結合プラズマエッチングキャビティに接続され
、
前記誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー側壁に2つの貫通電極が設けられ、誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー内においては、2つの貫通電極はそれぞれ2つのプローブに接続され、前記2つのプローブはエッチング対象基板における同一ユニットのソース・ドレインに連結され、誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー外においては、2つの貫通電極は全て電流検出装置に接続されて、電流閉ループを構成する、ことを特徴とする高精度エッチング装置。
【請求項2】
前記誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバーの底部にはベースが設けられ、前記ベースの下部がRFバイアスパワー源に接続され、前記RFバイアスパワー源はプラズマの衝撃エネルギーを向上させることがで
きる、ことを特徴とする請求項
1に記載のリセスゲートエンハンスメントデバイスを製造するための高精度エッチング装置。
【請求項3】
前記セラミックスリーブは誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバーの上部に設けられ
、前記セラミックスリーブは、頂部にガスバルブが設けられ、ガスバルブを介してプロセスガスの管路と連通している、ことを特徴とする請求項
1又は2に記載のリセスゲートエンハンスメントデバイスを製造するための高精度エッチング装置。
【請求項4】
前記誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバーの底部には、それぞれメカニカルポンプ及び分子ポンプに接続される2つのバルブが設けられ、メカニカルポンプ及び分子ポンプはバルブを介して誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー内部を真空吸引すること、及びエッチングプロセス中に反応ガスを抜くことが可能である、ことを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載のリセスゲートエンハンスメントデバイスを製造するための高精度エッチング装置。
【請求項5】
前記誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバーの材質が耐高圧合金鋼である、ことを特徴とする請求項1
~4のいずれか1項に記載のリセスゲートエンハンスメントデバイスを製造するための高精度エッチング装置。
【請求項6】
前記プローブはベリリウム銅メッキプローブである、ことを特徴とする請求項1
~5のいずれか1項に記載のリセスゲートエンハンスメントデバイスを製造するための高精度エッチング装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の高精度エッチング装置を用いてリセスゲートエンハンスメントHEMTデバイスを製造するエッチング方法であって、
エッチング対象基板を誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー内に搬送して、前記エッチング対象基板をベースにセットするステップ(1)と、
プローブ、電流検出装置のそれぞれを貫通電極に接続するステップ(2)と、
プローブをそれぞれエッチング対象基板における同一ユニットのソース・ドレインに接続して、閉じた電流ループを構成するステップ(3)と、
メカニカルポンプ及び分子ポンプに接続されたバルブを開いて、メカニカルポンプ及び分子ポンプを用いて誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー内を真空吸引し、エッチングガスを導入するステップ(4)と、
RF源及びRFバイアスパワー源を起動して、基板をエッチングするステップ(5)と、
エッチングプロセス中に、HEMTデバイスのバリア層を絶えずに薄くし、2次元電子ガスの濃度を低下させ、これに伴い出力電流を変化させ、電流を観察することによりエッチング深さをリアルタイムで監視し、電流がゼロに表示されるとエンハンスメントエッチング深さを達成させ、エッチングを終了するステップ(6)と、
RF源及びバイアスパワー源を停止し、エッチング済みの基板を搬出し、前記リセスゲートエンハンスメントHEMTデバイスを得るステップ(7)とを含む、ことを特徴とするエッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライエッチングの分野に関し、具体的には、リセスゲートエンハンスメントデバイスを製造するための高精度エッチング装置、及びそれを用いたエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GaN HEMTデバイスは絶縁破壊電圧が大きく、電子移動度が高く、飽和速度が大きいなどの利点があるため、次世代パワーデバイスの材料として最も好適な1つであると考えられ、近年、研究者により好まれている。従来のHEMTデバイスは、自発分極と圧電分極効果が強いため、ほとんどが空乏型デバイスである。設計コストを節約しつつ、回路の安全性と作動効率を向上させるために、エンハンスメント型HEMTデバイスを実現することは大きな意義がある。
【0003】
エンハンスメント型HEMTデバイスを実現するためによく使用されている方法は、Cascodeカスケード技術、Fイオン注入技術、p型ゲート構造、リセスゲート構造である。
【0004】
Cascodeカスケード技術は、商用エンハンスメント型HEMTで最初に採用された技術であり、エンハンスメント型シリコンベースMOSFETと空乏型AlGaN/GaN HEMTデバイスとを直列に接続し、HEMTデバイスのゲートをMOSFETのソースに接続してHEMTチャネルを常開状態に維持し、エンハンスメント型MOSFETのゲートを介してチャネル全体のオンオフを制御することにより、高耐圧エンハンスメント型HEMTデバイスを実現する。しかし、このようなエンハンスメント型デバイスのスイッチング速度は主にシリコンデバイスによって決定され、このため、信号出力周波数を大幅に低減し、GaN材料の優位性の発揮を制限し、且つパッケージ化の難度が高い。Fイオン注入技術は、イオン注入によりゲート下AlGaNバリア層にフッ素イオンを導入することで、ゲート下AlGaN層の伝導帯の高さを向上させ、フェルミスケール以上に向上させると、ゲート下チャネルの2次元電子ガスを空乏化し、エンハンスメント型デバイスを実現する。しかし、Fイオン注入はデバイスに損傷を与え、Fの安定性が悪いため、デバイスの信頼性が悪くなり、しきい値電圧が不安定になるなどの問題をもたらす。p型ゲート構造は、人為的にドープされていないAlGaNバリア層とゲート金属との間にp型ドープされたGaN又はAlGaNエピタキシャルの層を導入することで、ヘテロ接合全体の伝導帯を上昇させてゲート下チャネル内の2DEGを空乏化し、デバイスを空乏化型からエンハンスメント型にする。しかし、p型GaNの選択的成長及び活性化のプロセスはいずれも困難であり、このようなチップは非常に高価である。そのため、Cascodeカスケード技術、Fイオン注入技術及びp型ゲート構造を用いて製造したエンハンスメント型デバイスはエンハンスメント型HEMTデバイスの産業化が困難である。
【0005】
現在、エンハンスメント型HEMTデバイスを実現するための有望なプロセス技術は、リセスゲート構造である。リセスゲート構造は、エッチングゲートの下の領域における一定の厚さのAlGaNバリア層であり、デバイスのしきい値電圧を正の方向に移動させると同時に、ゲートと2次元電子ガスチャネル層との間隔を小さくし、ゲートの制御能力を向上させ、デバイスの短チャネル効果を効果的に低減し、デバイスのトランスコンダクタンスを向上させ、優れた高周波特性を有するため、リセスゲート構造は現在のエンハンスメント型AlGaN/GaN HEMTデバイス構造の研究の焦点となっている。
【0006】
リセスゲート構造を用いてエンハンスメント型デバイスを製造するには、一定の深さのバリア層をエッチングする必要があり、AlGaNは化学的性質が安定しているため、ウェットエッチングでは実現が困難であり、通常、ドライエッチングを用いている。しかし、ドライエッチングでは、エッチング深さを制御することが困難であり、異なるエッチング深さはデバイス特性に大きな影響を与えるため、エッチング深さを正確に制御する必要がある。また、エッチング過程で生じるプラズマは比較的に高いエッチング速度を有し、プロセス制御が不合理であったり、反応室内のガス流量、温度、ガス還流などの状態に微細な変化が発生したりすると、過度のエッチングを引き起こし、次の層の材料を損傷し、デバイスの安定性に影響を与え、さらにデバイスの故障を引き起こす。そのため、正確なエッチングを実現できる装置とエッチング方法を設計することは、リセスゲートエンハンスメント型HEMTデバイスの産業化を実現する上で積極的な意義がある。
【0007】
エッチング深さを正確に制御するために、業界では光スペクトル発光法やレーザ干渉法が一般的に用いられている。光スペクトル発光法は、プラズマ反応物又は生成物から発光される波長光の強度変化を用いて判定し、エッチング終点で反応物の光強度が強くなり、生成物の光強度が弱くなる。しかし、この方法では、エッチング速度が遅い場合やエッチング面積が小さい場合には、受光する光の強度信号が弱く、正確に検出することができない。レーザ干渉法は、レーザ光源により薄膜厚さの変化を検出してエッチング深さを監視するものであるが、エッチング対象サンプルには良好な光透過性が求められ、レーザ光をエッチング対象領域に集中する必要があり、その結果、レーザ光が集中する領域の温度が上昇し、エッチング速度に影響を与える。
以上のエッチング方法のいずれにも限界があり、正確なエッチングを簡便かつ効果的に実現することができず、専用の光学終点検出器やレーザー装置を装備する必要があり、制御の難易度が高くなり、コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術に存在する欠陥を解決するために、本発明の目的は、リセスゲートエンハンスメントデバイスを製造するための高精度エッチング装置、及びそれを用いたエッチング方法を提供することである。
【0009】
現在、従来のドライエッチングプロセスでは、エッチング深さが制御されにくく、デバイスを損傷しやすいということが存在し、本発明によるリセスゲートエンハンスメントデバイスを製造するための高精度エッチング装置、及びこの装置をエッチングに用いる方法は、従来技術に存在する欠陥を解決できる。
【0010】
上述目的を達成させるために、本発明による技術案は、プラズマエッチングキャビティ内において貫通電極と外部電流検出装置とを導通し、電極をGaN HEMTデバイスのソース・ドレインに接続して電流ループを構成し、電流の変化を観察することによりエッチング深さをリアルタイムで監視する。リセスゲートのエッチングプロセス中に、バリア層が絶えずに薄くなり、2次元電子ガスの濃度が低下し、電流が減少し、電流がゼロになると、エンハンスメントが実現され、エッチングが終わり、このように、オーバーエッチングによるゲートの電流リークや2次元電子ガスチャネルへのダメージを効果的に回避し、高精度エッチングを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は少なくとも下記技術案の1つによって達成される。
【0012】
本発明によるリセスゲートエンハンスメントデバイスを製造するための高精度エッチング装置は、誘導結合プラズマエッチングキャビティ、電流検出装置、インダクタンスコイル、RF源、メカニカルポンプ及び分子ポンプを含み、前記電流検出装置はリード線を介して誘導結合プラズマエッチングキャビティに接続され、前記インダクタンスコイルは誘導結合プラズマエッチングキャビティに接続され、前記RF源はインダクタンスコイルに接続され、前記メカニカルポンプ及び分子ポンプは誘導結合プラズマの側面に接続される。
【0013】
さらに、前記誘導結合プラズマエッチングキャビティは、チャンバー、ベース、RFバイアスパワー源、貫通電極、プローブ、セラミックスリーブ及びガスバルブを含む。
【0014】
さらに、前記誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー側壁には2つの貫通電極が設けられ、チャンバー内においては、電極はプローブに接続され、HEMTデバイスソース・ドレインに連結され、チャンバー外においては、電極は電流検出装置に連結されて、電流ループを構成する。
【0015】
さらに、前記誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバーの底部(内部)にベースが設けられ、前記ベースの下部はRFバイアスパワー源に接続され、RFバイアスパワー源はプラズマの衝撃エネルギーを増加できる。
さらに、前記誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー内部にはエッチング対象基板を載置するベースが設けられ、ベースの下方にRFバイアスパワー源が接続され、それにより、プラズマの衝撃エネルギーを増加させる。
【0016】
さらに、前記誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー側壁には貫通電極(2つ)が設けられ、前記貫通電極は、一端がプローブに接続され、他端が電流検出装置に接続される。
【0017】
さらに、前記プローブはHEMTデバイスのソース・ドレインに接続され、前記セラミックスリーブは誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバーの上部に設けられ、前記セラミックスリーブは誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバーと連通し、セラミックスリーブはインダクタンスコイルに接続され、誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバーの上部には、誘導結合プラズマエッチングキャビティと連通するセラミックスリーブが設けられ、スリーブの外側に誘導結合コイルが巻き付けられており、誘導結合コイルはRF源に接続され、前記誘導結合コイルにRF電流が流れると、交番磁界が生じ、プロセスガスを励起させて高密度プラズマとする。
【0018】
さらに、前記セラミックスリーブは、頂部にガスバルブが設けられ、ガスバルブを介してプロセスガスの管路と連通している。
【0019】
さらに、前記誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバーの底部には、それぞれメカニカルポンプ及び分子ポンプに接続される2つのバルブが設けられ、それにより、メカニカルポンプ及び分子ポンプを介して誘導結合プラズマエッチングキャビティを真空吸引すること、及びエッチングプロセス中に反応ガスをタイムリーに抜く。
【0020】
さらに、前記誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー側壁に2つの貫通電極が設けられ、誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー内においては、2つの貫通電極はプローブに接続されることでエッチング対象基板における(HEMTデバイス)ソース・ドレインに連結され、誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー外においては、2つの貫通電極は全て電流検出装置に接続されて、電流閉ループを構成する。
【0021】
さらに、前記インダクタンスコイルは誘導結合コイルであり、セラミックスリーブに巻き付けられており、インダクタンスコイルにRF電流が流れると、交番磁界が生じ、プロセスガスを励起させて高密度プラズマとする。
さらに、前記誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバーの材質が耐高圧合金鋼である。
【0022】
さらに、前記プローブはベリリウム銅メッキプローブである。
【0023】
本発明による上述高精度エッチング装置を用いてリセスゲートエンハンスメントHEMTデバイスを製造するエッチング方法は、
エッチング対象基板を誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー内に搬送して、ベースにセットするステップ(1)と、
プローブ、電流検出装置のそれぞれを貫通電極に接続するステップ(2)と、
プローブをそれぞれデバイスの同一ユニットのソース・ドレインに接続して、閉じた電流ループを構成するステップ(3)と、
メカニカルポンプ及び分子ポンプに接続されたバルブを開いて、メカニカルポンプ及び分子ポンプを用いて誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバーを真空吸引し、エッチングガスを導入するステップ(4)と、
RF源及びRFバイアスパワー源を起動して、基板をエッチングするステップ(5)と、
エッチングプロセス中に、HEMTデバイスのバリア層を絶えずに薄くし、2次元電子ガスの濃度を低下させ、これに伴い出力電流を変化させ、電流を観察することによりエッチング深さをリアルタイムで監視し、電流がゼロに表示されるとエンハンスメントエッチング深さを達成させ、エッチングを終了するステップ(6)と、
RF源及びバイアスパワー源を停止し、エッチング済みの基板を搬出し、前記リセスゲートエンハンスメントHEMTデバイスを得るステップ(7)とを含む。
【0024】
さらに、ステップ(6)では、出力電流とエッチング深さの関係を利用して、エッチングキャビティ内において電極を外部電流検出装置と導通して電流閉ループを構成する。
【発明の効果】
【0025】
従来技術に比べて、本発明は下記利点及び有益な効果を有する。
(1)本発明では、GaN HMETデバイスにおけるバリア層の厚さと2次元電子ガスの濃度との関係特性を巧みに利用し、エッチング深さと電流の大きさとの関係に巧みに変換し、電流変化を観察することによりエッチング深さを直接監視し、電流がゼロになるとエッチングを終了し、それにより、直感的で精度が高く、操作性に優れている。
(2)ドライエッチングにおけるエッチング深さの制御に用いられる既存のプロセスのほとんどは、エッチング終点検出とエッチング自己停止のプロセスであり、ステップが複雑で、精度が限られており、一方、本発明のエッチング装置は、簡易な電流検出装置を外付けするだけでよく、構造が簡単であり、結果が直観的であり、制御が容易であり、余分なプロセスのステップを追加することがなく、産業化に有利である。
(3)エッチング中に、エッチングプロセスの制御が不合理であるか、又は反応室内のガス流量、温度、ガス還流などの状態に微細な変化が生じると、エッチングの異常を引き起こし、これらの異常は電流変化異常によって反映することができ、本発明による装置は速やかに発見して対策を取り、製品の廃棄を回避するのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明によるリセスゲートエンハンスメントデバイスを製造するための高精度エッチング装置の構造模式図である。
【
図2】本発明によるリセスゲートエンハンスメントデバイスを製造するための高精度エッチング装置における貫通電極と誘導結合プラズマエッチングキャビティとの接続の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面及び実施例を参照して本発明の具体的な実施をさらに説明するが、本発明の実施及び保護はこれらに制限されない。なお、以下、特に詳細に説明しないプロセスは、当業者が従来技術を参照して実現又は理解できるものである。
【0028】
実施例1
本発明の高精度エッチング装置は、
図1の構造模式図に示すように、誘導結合プラズマエッチングキャビティ1、電流検出装置6、インダクタンスコイル8、RF源10、メカニカルポンプ11及び分子ポンプ12を含む。
誘導結合プラズマエッチングキャビティ1のチャンバーの底部の中心位置には、エッチング対象基板を載置するためのベース2が設けられ、前記ベース2はRFバイアスパワー源3に連結され、前記RFバイアスパワー源3はイオン衝撃のためのエネルギーを提供し、
誘導結合プラズマエッチングキャビティ1のチャンバー側壁の中央部には、2つの貫通電極4が設けられ、貫通電極の内部構造及び誘導結合プラズマエッチングキャビティとの接続は
図2に示され、貫通電極は、太いリードチューブ101、細いリードチューブ102及びリードを含み、これらのうち、太いリードチューブは誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー側壁103に接続され、前記太いリードチューブと細いリードチューブはねじ接続され、細いリード孔には連続的なリードが含まれており、誘導結合プラズマエッチングキャビティ1のチャンバー内においては、2つの貫通電極4はそれぞれ2本のプローブ5に接続され、2本のプローブ5はそれぞれエッチング対象基板における同一ユニットのソース・ドレインに連結され、誘導結合プラズマエッチングキャビティ1のチャンバー外部においては、2つの貫通電極4は全て電流検出装置6に連結されて、閉ループを構成する。
誘導結合プラズマエッチングキャビティ1のチャンバー上部にはセラミックスリーブ7が設けられ、セラミックスリーブ7は、外側にインダクタンスコイル8が巻き付けられており、頂部にガスバルブ9が設けられ、インダクタンスコイル8はRF源10に連結されて、誘導交番磁界を生じさせ、ガスバルブ9からのプロセスガスを励起させてプラズマとする。
誘導結合プラズマエッチングキャビティ1のチャンバー底部には、それぞれメカニカルポンプ11、分子ポンプ12に連結されるバルブが設けられ、それにより、メカニカルポンプ11及び分子ポンプ12は誘導結合プラズマエッチングキャビティのチャンバー1を真空吸引すること、及びエッチングプロセス中に反応ガスヲタイムリーに抜くことを可能とする。
【0029】
実施例2
実施例2を例として本発明のエッチング方法を説明し、前記高精度エッチング装置を用いてリセスゲートエンハンスメントHEMTデバイスを製造するエッチング方法は、
エッチング対象基板を誘導結合プラズマエッチングキャビティ1のチャンバー内に搬送して、前記エッチング対象基板をベース2にセットするステップ(1)と、
電流検出装置6を2つの貫通電極4に接続するステップ(2)と、
2つのプローブ5をそれぞれ2つの貫通電極4に接続し、プローブ5を調整して、プローブ5をそれぞれエッチング対象基板のデバイスにおける同一ユニットのソース・ドレインに接続し、閉ループを構成するステップ(3)と、
メカニカルポンプ11を起動して、誘導結合プラズマエッチングキャビティ1のチャンバーを真空吸引するステップ(4)と、
真空度が150mTorrとなるまで真空吸引すると、分子ポンプ12を起動し、チャンバーの内圧が5mTとなるまでさらに真空吸引するステップ(5)と、
ガスバルブ9を介してCl2とBCl3の混合ガスを導入するステップ(6)と、
RF源10を起動し、パワーパラメータを250Wに設定し、RF源に接続されたインダクタンスコイル8にRF電流を流して、インダクタンスコイルが巻き付けられたセラミックスリーブ7内で交番磁界を生じさせ、Cl2とBCl3の混合ガスを励起させてプラズマとするステップ(7)と、
RFバイアスパワー源3を起動し、パワーパラメータを30Wに設定し、イオン衝撃エネルギーを増大するステップ(8)と、
エッチングプロセス中に、電流検出装置6によって電流変化を観察し、表示される電流がセロになると、エッチング終点になり、RF源10及びRFバイアスパワー源3を停止するステップ(9)と、
エッチングを終了して、エッチング済みの基板を搬出し、前記リセスゲートエンハンスメントHEMTデバイスを得るステップ(10)とを含む。
【0030】
本実施例では、GaN HMETデバイスにおけるバリア層の厚さと2次元電子ガスの濃度との関係特性を巧みに利用し、エッチング深さと電流の大きさとの関係に巧みに変換し、電流変化を観察することによりエッチング深さを直接監視し、電流がゼロになるとエッチングを終了し、それにより、直感的で精度が高く、操作性に優れている。
【0031】
なお、以上は本出願の具体的な実施形態に過ぎず、当業者であれば、本出願の原理を逸脱することなく、以上で説明した技術案及び構想に基づいて、他の様々な変化や変形を行うことができ、これらの変化や変形は全て本発明の請求項の特許範囲に属する。
【符号の説明】
【0032】
1.誘導結合プラズマエッチングキャビティ
2.ベース
3.RFバイアスパワー源
4.貫通電極
5.プローブ
6.電流検出装置
7.セラミックスリーブ
8.インダクタンスコイル
9.ガスバルブ
10.RF源
11.メカニカルポンプ
12.分子ポンプ。