(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】経皮システム、デバイス、および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 60/122 20210101AFI20230725BHJP
A61M 60/804 20210101ALI20230725BHJP
【FI】
A61M60/122
A61M60/804
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019184746
(22)【出願日】2019-10-07
(62)【分割の表示】P 2016552597の分割
【原出願日】2015-03-17
【審査請求日】2019-10-31
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-28
(32)【優先日】2014-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(32)【優先日】2014-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516245324
【氏名又は名称】ヌハート エーエス
【氏名又は名称原語表記】NUHEART AS
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】トゥセス, ベガード
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0059459(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0105654(US,A1)
【文献】特表2014-503246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/00 - 60/90
A61M 1/00 - 1/38
A61B 17/00 - 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの
心臓の壁を通って2つの解剖学的区画間の流体連通のための体内接続具と、
前記体内接続具内に配置されるポンプとを備える経皮システムであって、
前記経皮システムは補助人工心臓であり、
前記体内接続具は、一方の区画から他方の区画への流体通過のためのネック部を備え、前記体内接続具は、前記ネック部の第2の端部から延在する拡張可能なシールド部であって、前記ネック部を通る流体通過を組織が妨げるのを防止するためのシールド部を備え、前記シールド部は、拡張状態では、前記
心臓の壁に実質的に接触しない
ように椀状または傘状であり、
前記ポンプは、前記一方の区画から前記他方の区画へと流体を送り出すように構成されている、経皮システム。
【請求項2】
前記
心臓の壁を横切って前記ネック部を固定するための固定手段をさらに備える、請求項1に記載の経皮システム。
【請求項3】
前記固定手段は、前記ネック部の第1の端部から延在する拡張可能なアンカー部を備える、請求項2に記載の経皮システム。
【請求項4】
前記アンカー部は、拡張状態では、前記
心臓の壁と実質的に平行に位置する、請求項3に記載の経皮システム。
【請求項5】
前記2つの解剖学的区画間の流体の流れを調整するための
流量調整デバイスをさらに備
え、前記流量調整デバイスは、前記体内接続具に固定され、前記ポンプを備える、請求項1に記載の経皮システム。
【請求項6】
前記
流量調整デバイスを前記体内接続具に固定する固定手段を備える、請求項5に記載の経皮システム。
【請求項7】
一方または両方の前記解剖学的区画が循環系の区画である、請求項1に記載の経皮システム。
【請求項8】
前記流体が血液である、請求項1に記載の経皮システム。
【請求項9】
ガイドワイヤと、穿孔形成ヘッドとを備える針を具備する経皮挿入デバイスをさらに備える、請求項1に記載の経皮システム。
【請求項10】
前記穿孔形成ヘッドが中実の先端部を備える、請求項
9に記載の経皮システム。
【請求項11】
前記穿孔形成ヘッドの最も広い断面の寸法が前記ガイドワイヤの遠位端の断面の寸法と実質的に同じである、請求項
9に記載の経皮システム。
【請求項12】
前記経皮挿入デバイスが拡張器をさらに備える、請求項
9に記載の経皮システム。
【請求項13】
前記穿孔形成ヘッドの最も広い断面の寸法が前記拡張器の遠位端の寸法と実質的に同じである、請求項
12に記載の経皮システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して医療用デバイスおよび手術用デバイスの分野に関する。より具体的には、本発明は、経カテーテルシステム、ならびに対応するデバイスおよび治療方法に関する。本発明は、例えば、循環虚脱、心不全、および循環補助デバイスを必要とする心疾患の治療のための機械的循環補助システムとして特に有用であるが、より広範な用途も有する。
【背景技術】
【0002】
機械的循環補助システム(MCS)の例として、補助人工心臓(VAD)が挙げられる。VADは、心機能および血流を補助することが可能な機械的ポンプデバイスである。具体的には、VADは、心臓の一方または両方の心室が循環系を通して血液をポンピングするのを助ける。左心補助人工心臓(LVAD)、右心補助人工心臓(RVAD)、および両心補助人工心臓(BiVAD)が、現在使用可能である。また、循環補助システムは、血液の酸素化および血液のポンピングのための手段を提供する心肺補助(CPS、ECMO)を含み得る。そのようなデバイスは、心臓手術の間、前、および/または後に、または心不全、心肺停止(CPA)、心室性不整脈、もしくは心原性ショック等の重度の心疾患を治療するために必要な場合がある。
【0003】
従来、VADは、開胸手術中に胸部の切開を通して装着され、その手技は、外部ポンプを通して心室から大動脈に血液のルート変更を行うために、左心室の心尖部に穿孔を形成することを含む。外科的VADに使用されるデバイスの一例は、HeartMate II(商標)である。そのような外科手技は、明らかに侵襲性であり、より長い回復時間を必要とし、また感染症および外傷のリスクを伴うため、より衰弱したおよび脆弱な患者には不適切である。これは、既存の手術機器およびデバイスが比較的かさばるために侵襲性がより高い小児の治療の場合に特に当てはまり、関連する機器および手技を考慮すると、機器のサイズの縮小は、不可能ではないにしても困難であることが多い。さらに、これらのデバイスは、病院環境における熟練の手術担当者のチームからの介入を必要とし、したがって利用しにくく、また高価である。
【0004】
より最近の手技は、非外科的であり、患者の鼠蹊部に形成される小さな切開を通したVADの挿入を含む。そのようないわゆる経皮VADの一般的な型は、TandemHeart(商標)デバイスである。左心房からの酸素化された血液が、患者の体外に位置するポンプデバイス内に供給され、送血管を通って大腿動脈内へ再循環されるように、患者の鼠蹊部に隣接する切開を通して管を挿入し、大腿静脈および下大静脈に沿って、心房内の中隔を横切り、左心房内へ前進させる。このデバイスは、期待できる結果を示しているが、これは短期間の補助(最長2週間)を提供するに過ぎず、長期間の治療には不適切である。外部ポンプは、かさばり、デバイスが装着されている限り、患者の固定を必要とする。さらに、治療中は開放されたままとなる鼠蹊部切開の周辺における生命に関わる感染症、および主幹動脈からの相当な出血のリスクが存在する。また、TandemHeart(商標)の管は、そこから血液が送り出されて患者の体外に導かれる左心房で終端する。この種類の血液流入システムは、周囲組織が偶発的に吸い込まれた場合に、閉塞されないまでも妨げられる可能性があり得、それによって効率の損失をもたらす。
【0005】
別の一般的な経皮VADは、大腿動脈および下行大動脈内に挿入されるImpella(商標)デバイスである。Impella(商標)デバイスは、生来の大動脈弁を横切って移植される細長い端部を備え、血液流入口は左心室に配置され、血液流出口は大動脈弁の上に配置される。ポンプは、流入口から流出口に血液を循環させる。使用中は、大腿動脈を通して外部に駆動系が置かれ、TandemHeart(商標)および他の現行の経皮MCSシステムと同じ限界が当てはまる。このデバイスは、最長1週間補助を提供することが認可されている。したがって、短期間の「心機能回復への橋渡し」治療の一部として、または患者の離床を含む長期間の治療として、感染症および出血のリスクが低く、機械的安定性が高いデバイスの必要性が存在する。また、経皮動脈アクセスを用いて適切な血流量を提供するために必要なサイズのポンプを挿入することは不可能であるため、ポンプの効率が制限される。現在、ポンプ能力の限界および経皮MCSを用いる期間の問題は、より大きな体内ポンプを外科的に挿入することによって、または体外ポンプを選択することによって解決されており、全ての潜在的な問題は上に記載される通りである。
【0006】
既知の機械的循環補助システムは、人命救助用である。しかしながら、それらは依然として高価で複雑であり、臨床的可能性が限られており、患者の大半は、なおも助けを受けられずに亡くなっている。
【0007】
現在利用可能な経皮的治療は、患者の解剖学的血管構造の主要構造が損傷していないことに依存している。しかしながら、多くの心臓病患者は、先天性心疾患を有する小児、または多くの場合、動脈石灰化および弁膜症等の解剖学的および血管形成異常を有する高齢患者である。手術を用いると、そのような限界は克服され得るかもしれないが、手術による外傷に関連したリスクによって便益が妨げられる。したがって、1つの解剖学的構造から別の解剖学的構造へのアクセスを経皮的に達成することにより、安全にかつ予想通りに用いられ得る手技およびデバイスの必要性が存在するが、これは、手術による外傷なしにより効率的なポンプの安全な送達を可能にするためである。
【発明の概要】
【0008】
上記のような問題を軽減することが、本発明の目的である。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1つの解剖学的壁を通る2つの解剖学的区画間の流体連通のための体内接続具を備える経カテーテルシステムが提供される。より具体的には、接続具は、体内流量調整デバイスを受容するように構成される。
【0010】
本発明の文脈において、経カテーテルは、経皮、経心房、経大腿(脚を通る)、経心尖(肋骨間の胸部内)、および経大動脈(上胸部内)を含む。好ましい実施形態は、経皮システム、デバイス、および方法である。
【0011】
本発明によるシステムは経カテーテルシステムであり、したがって、(例えば、HeartMate(商標)システムを設置するために必要とされるような)侵襲性および外傷性の開胸手術の必要性がない。さらに、接続具および流量調整デバイスの両方が体内にあるため、大きな外付け部品が必要ない。体外ポンプが必要とされるTandemHeart(商標)システムの場合のように、患者が完全固定されている必要はない。したがって、本システムは、短期、中期、および長期の治療に使用することができる。また、1つ以上の解剖学的壁を通って2つの解剖学的区画を接続することにより、本システムは、欠陥のあるまたは異常な解剖学的部分を迂回することができる。既存の問題のある解剖学的部分を修復または交換する代わりに、本発明によるシステムは、流体循環のための新しい経路を効果的に形成する。したがって、これは、より寛容かつ多目的な手技の基本である。
【0012】
接続具は、流体(血液)の流れおよび流量調整デバイスによって加えられる圧力から解剖学的構造および組織の完全性を保存することが可能であり、それによって区画の崩壊を予防する。
【0013】
好ましい実施形態において、流量調整デバイスが接続具に連結されている場合、流体は、第1の区画から第2の区画に流れることができ、流量調整デバイスが接続具に連結されていない場合、流体は、第1の区画から第2の区画に流れることができない。したがって、流量調整器デバイスの非存在下では流体が区画間を流れることができないように、流量調整器デバイスは、接続具のアクチュエータとして機能する。接続具は、経皮的または経カテーテル挿入を介して挿入され、その後、流量調整デバイスも、経皮的または経カテーテル挿入を介して挿入される。よって、流量調整デバイスは、接続具にin situで連結される。これは、体外ポンプが使用されるか、またはVADが患者の体外で組み立てられ、次いで1つのかさばるデバイスとして挿入される既知のシステムとの顕著な違いである。本発明は、体内アセンブリが低侵襲性手技のためのより小さな構成要素の使用を可能にするという点において、特に有利である。また、この手技は、より小さい患者、例えば、小児科用途に理想的である。また、興味深いことに、流量調整デバイスおよび/または接続具は、後にさらに詳細に記載されるように折り畳み可能であってもよい。
【0014】
本発明は、一方または両方の区画が循環系の区画である場合に、特に有利である。好ましい実施形態は、左心房-大動脈手技に関与する。しかしながら、限定されないが、右心室-大動脈、左心室-大動脈、右心房-上大静脈、左心房-下行大動脈、左心房-上行大動脈、右心室-肺動脈を含む他の区画の対が想定される。
【0015】
本発明は、心不全、拡張期心不全、収縮期心不全、左心室不全、右心室不全、小児心奇形、および/またはシャントの治療に使用するのに特に有用である。代替的にまたは付加的に、一方または両方の区画は、胸腔または腹部内の区画である。
【0016】
好ましくは、少なくとも1つの解剖学的壁は、区画の外壁である。例えば、治療が心臓に適用される場合、人工流体通路は心臓外の通路である。本発明の文脈におい、「心臓外の通路」という表現は、心臓の内側と心臓の外側との間を意味する。
【0017】
流体連通が形成される壁の数は、接続される区画に依存する。例えば、左心房‐大動脈の接続は、2つの解剖学的壁(すなわち、左心房の天蓋部および大動脈壁)を通る穿孔および流体連通を必要とする一方で、右心房‐左心房の接続は、1つの解剖学的壁(すなわち、心房の中隔)を必要とするのみである。流体連通は、皮膚組織等の外部の壁を通してではなく、内部の解剖学的壁を通して確立される。好ましくは、解剖学的区画は、2つの解剖学的壁によって隔てられる。より好ましくは、接続具は、解剖学的に隣接していない2つの区画を接続する。これは、例えば、2つの区画は互いに近接しているが、解剖学的には直接接触していないことを意味する。これはまた、いくつかの部位において解剖学的に接触しているが、2つの区画が解剖学的に接触していない部分では本発明によるシステムに接続されている2つの区画も含み得る。例として、大動脈および心臓の左心房は、いくつかの部位において解剖学的に接触し得るが、例えば、左心房の天蓋部および大動脈壁を通って接続が行われ、これらの2つの区画は、解剖学的に接触していない。
【0018】
好ましくは、接続具は、一方の区画から他方の区画への流体通過のためのネック部と、解剖学的壁を横切ってネック部を固定するための手段とを備える。使用中、接続具のネック部は、好ましくは解剖学的壁を横切って、また該当する場合は、2つの解剖学的区画/壁の間の間質腔を横切って埋め込まれる。好ましくは、ネック部は、流量調整デバイスを接続具に固定するためまたは着脱可能に固定するための手段を備える。
【0019】
ネック部の実施形態は、一方の区画から他方の区画への流体通過のためのチャネルを備えてもよい。好ましくは、流体チャネルは、ネック部の中心長手方向軸線に沿って位置付けられる。ネック部分は、好ましくは、解剖学的壁内へのおよび/または2つの解剖学的壁を隔てている任意の空間内への横方向の流体漏出が起こらないように密封される。
【0020】
ネック部は、患者の動きによってだけではなく、心拍機構自体によっても脱落しやすい場合があり、したがって、解剖学的壁(複数または単数)を横切ってネック部を固定/係止するための手段を含むことが好ましい。よって、固定手段は、ネック部の第1の端部から延在するアンカー部を備えてもよい。アンカー部は、拡張可能であってもよい。より好ましくは、アンカー部は、固定位置において、解剖学的壁と実質的に平行に位置する。好ましい実施形態において、アンカー部は、ネック部の第1の端部から実質的に垂直に延在することができ、解剖学的壁と実質的に平行に位置することができる。好ましくは、アンカー部は、流体が送達される解剖学的区画内に配置される。アンカー部は、解剖学的壁(複数または単数)を横切ってネック部、ひいては接続具を固定するが、同時に解剖学的壁(複数または単数)の完全性を保存する上でも役立つ。
【0021】
一実施形態において、(拡張された)アンカー部は、実質的に円板の形状である。別の実施形態において、アンカー部は、複数の展開可能なアームを備える。展開可能なアームは、好ましくは屈曲しているか、または1つ以上の肘部を備えてもよい。
【0022】
接続具はまた、ネック部が拡張されていない状態で挿入されて、解放されると拡張して解剖学的壁を通って開放部に密着するように、例えば、拡張可能材料でできたネック部を使用して、解剖学的壁に固定されてもよい。
【0023】
好ましくは、接続具は、組織がネック部を通る流体通過を妨げるのを防止するための手段を備える。流体通過は、特にポンプデバイスが使用される場合に、接続具ネック部に向かって周囲組織の吸引を引き起こす。防止手段は、ネック部の第2の端部から延在するシールド部を備えてもよい。シールド部は、拡張可能であってもよい。シールド部は、周囲組織が、接続具ネック部に捕捉されること、および流体通過を妨げることを防止する。この種類のシールド部は、接続具ネック部を正しい位置に固定するための追加手段としても機能することができる。好ましくは、シールド部は、流体が除去される解剖学的区画内に配置される。好ましくは、シールド部は、拡張された状態では、実質的に傘状または椀状である。周囲組織がシールド部に直接擦れず、シールド部内に吸引されないため、擦過傷および損傷が回避され得るという点において、この実施形態は有利である。患者内に導入される異物の量を最小限に抑えるために、メッシュ状または格子状の材料が好ましい。シールド部は、組織による妨害を防止するが、同時に解剖学的壁を通る接続具を固定して、解剖学的壁の完全性を保存する上でも役立つ。
【0024】
一実施形態において、(拡張された)シールド部は、実質的に椀状または傘状である。別の実施形態において、シールド部は、複数の展開可能なアームを備える。展開可能なアームは、好ましくは屈曲している。
【0025】
好ましい接続具は、1つのアンカー部および1つのシールド部を備えているように記載されているが、1つのアンカー部または1つのシールド部、2つのアンカー部または2つのシールド部を備える接続具も想定される。
【0026】
上で説明したように、流体/血液の流れおよび流量調整デバイスによって加えられる圧力のために、解剖学的壁の完全性が損なわれる可能性がある。本発明によるシステムは、例えば、接続具のアンカー部およびシールド部によって具現化されるように、解剖学的壁の完全性を保存するための手段を備える。本発明は、大動脈壁等の脆弱な解剖学的壁上で機能する場合に特に有用である。大動脈破裂またはいずれの塞栓形成も、致死的ではないにしても劇的な結果をもたらし得るため、大動脈壁は細心の注意を払って操作されなければならない。本発明は、安全な穿孔形成、送達、挿入、および移植を可能にする方法、システム、およびデバイスを提供する。
【0027】
好ましい実施形態において、接続具は、全体的にまたは部分的に形状記憶材料でできている。したがって、拡張されていない接続具は、患者への経カテーテル挿入のためにシース内に嵌合することができる。好ましくは、アンカー部および/またはシールド部は、形状記憶材料でできている。接続具は、拡張されていない細長い状態で送達シースを通して導入されてもよい。
【0028】
好ましくは、ネック部は、ネック部を通る流体の通過を選択的に防止または許容するためのゲート部を備える。ゲート部は、閉状態では、一方の解剖学的区画から他方の区画への流体の通過を防止する。ゲート部は、開状態では、例えば、後に記載するような流量調整デバイスを使用して、機械的に作動、開放、および保持され得る。
【0029】
好ましくは、デバイスは、流量調整デバイスを接続具に固定するための手段を備える。そのような固定手段の一実施形態は、流量調整デバイスのネック部の周囲で閉鎖する前述のようなゲート部である。別の実施形態において、接続具および流量調整デバイスは、好ましくは、接続具のネック部の内表面上、および流量調整デバイスの中間部の外表面上に位置する、ねじ手段等の相補的な固定手段を備えてもよい。
【0030】
別の実施形態において、接続具のアンカー部および/またはシールド部は、複数のアームを備える。アームは、アンカー部および/またはシールド部を形成するように、ネック部の一方または両方の端部から延在してもよい。アームは、流量調整デバイスを接続具に固定するためのねじ手段を形成するように、ネック部の内表面に沿って延在してもよい。
【0031】
流量調整デバイスは、接続具に(着脱可能に)固定され得るが、接続具を通る流量調整デバイスの前進および位置付けを補助するためにも使用され得るという点において、ねじ手段は特に有利である。
【0032】
接続具は、接続具と流量調整デバイスまたは固定手段との間の連結インターフェースで望ましくない流体の流れを防止するために密封のための手段を備えてもよい。好ましい実施形態において、接続具および流量調整デバイスは、相補的なねじ手段を備え、密封手段は、ねじ手段のねじ輪郭を鏡映する一片の密封材料を備える。よって、使用中、密封手段は、接続具のねじ手段と流量調整デバイスのねじ手段との間に挟まれる。
【0033】
好ましい実施形態において、密封手段は拡張可能である。拡張されると、密封手段は、実質的に細長い一片の密封材料の形状になる。密封手段は、折り畳まれた状態では実質的にねじ状である。密封手段は、可撓性材料および/または形状記憶材料でできていてもよい。密封手段は、密封手段を接続具および/または流量調整デバイスに固定するための手段を備えてもよい。
【0034】
好ましい実施形態において、システムは、2つの解剖学的区画間の流体の流れを調整するための体内デバイスをさらに備える。この流量調整デバイスは、一方の区画から他方の区画への流体の流れを中断もしくは開始すること、または流体流量を調整することを可能にし得る。本発明のシステムは、解剖学的壁を通る人工的開放部を通って流体連通を形成し、したがって解剖学的区画間の流体の流れを調整するための既存の生来の機構が存在しないため、これは特に有利である。例えば、循環系において、血液循環は、心筋および大動脈弁または僧帽弁等の既存の生来の開放部によって制御される。本発明は、これらの生来の開放部に依存せず、また欠陥のある生来の開放部を修理しようとはせず、代わりに、新しい人工血液経路を形成する。
【0035】
好ましくは、流量調整デバイスは、体内接続具を通る流体の流れを許容または防止することが可能なアクチュエータを備える。よって、接続具を通る一方の解剖学的区画から他方の区画への流体連通は、アクチュエータを使用して、好ましくは、接続具ネック部のゲート部を開放または閉鎖することによって、開始または終了させることができる。好ましい実施形態において、流量調整デバイスが接続具デバイスに機械的に連結されると流体連通が可能となり、デバイスが互いから離されると流体連通が終了する。
【0036】
好ましい実施形態において、流量調整デバイスは、使用中に第1の区画内に配置される第1の部分と、使用中に第2の区画内に配置される第2の部分と、使用中に解剖学的壁を通って配置される中間部とを備える。
【0037】
好ましくは、使用中に(すなわち、流量調整デバイスが解剖学的壁を通って正しく移植されているとき)、中間部は、接続具のネック部を通って配置され、かつネック部に固定される。より好ましくは、使用中に、中間部は、接続具のゲート部を通って配置される。好ましい実施形態において、流量調整デバイスの中間部の外径寸法は、接続具のネック部の内径寸法に実質的に相補的である。
【0038】
好ましくは、第1の部分は、第1の区画と第2の区画との間の流体連通のための1つ以上の開口部を備える。好ましくは、中間部は、第1の区画と第2の区画との間の流体連通のためのチャネルを備える。好ましくは、第2の部分は、第1の区画と第2の区画との間の流体連通のための1つ以上の開口部を備える。
【0039】
好ましい実施形態において、流量調整デバイスの中間部が接続具に連結されている場合、流体は、第1の区画から第2の区画に流れることができ、流量調整デバイスの中間部が接続具に連結されていない場合、流体は、第1の区画から第2の区画に流れることができない。
【0040】
好ましくは、流量調整デバイスは、ポンプを備える。よって、解剖学的区画間の流体流量および/または流体の流れのタイミング、ならびに/または流体の体積等のパラメータが調節され得る。好ましくは、ポンプは、流量調整デバイスの第1の部分に配置される。
【0041】
システムは、流体を処理またはプロセスするための手段をさらに備えてもよい。いくつかの場合において、流体、例えば血液は、欠陥があるか、または処理を必要とする場合がある。循環した血液に酸素が不足している場合、血液を酸素化することができる。酸素送達のための手段は、好ましくは、膜透過通路(膜-酸素化)を通って、または微細な開放部を通して血流内に直接(気泡-酸素化)、酸素が放出され得る場所で、外部酸素供給器の線をデバイスに取り付けることによって、流量調整デバイス内に含めることができる。
【0042】
さらに、血液は、1つ以上の薬剤化合物を流体に送達することによって処理され得るか、または同様に、流体が本発明によるシステムを通って流れるときに、流体の成分(汚染物質等)を除去するための手段を想定することができる。そのような送達および除去手段は、物質輸送のために外部に存在する線に取り付けられたデバイス内の膜および/または1つ以上の開放部である、ケミカルフィルタであってもよい。好適には、流体の流れを調整するための体内デバイスは、流体処理手段を備える。必要であれば、システムは、流体から酸素および/または他のガスを除去することもできる。流体の加熱または冷却等の他の処理も、必要とされる場合には達成され得る。
【0043】
流体処理手段は、流体を処理するため、または一方もしくは両方の区画内に送達するための1つ以上の薬剤化合物の導入、ならびに/あるいは1つ以上のガス、例えば酸素の導入を可能にし得る。流量調整デバイスは、タイミング、濃度、および投与量等の処理パラメータを調節するためのコントローラを含んでもよい。薬物送達のための徐放性または制御放出機構も想定される。
【0044】
好ましくは、システムは、流量調整デバイスを接続具に固定するための手段を備える。接続具デバイスおよび/または流量調整デバイスは、互いに対する取り付けを確実にするための1つ以上の固定手段をさらに備える。2つのデバイスは、着脱可能にまたは着脱不可能に互いに対して固定されてもよい。解剖学的運動(例えば、心筋から)、患者の運動、および/または流体の流れのために、デバイスが偶発的に離脱するリスクがある場合に、この固定手段は特に有利である。
【0045】
好ましい実施形態において、流量調整デバイスの第2の部分は、解剖学的壁または接続具の拡張可能なアンカー部対して当接するための1つ以上のフランジを備え、それによって流量調整デバイスを解剖学的壁だけではなく、接続具にも固定する。
【0046】
好ましくは、中間部は、接続具のネック部の内表面に密着し、それによって流量調整デバイスを接続具に固定するように、拡張可能な材料でできている。
【0047】
好ましい実施形態において、第1の部分は、中間部の断面の直径よりも大きい直径の断面を備える。この特徴は、少なくとも2つの理由から有利である。第一に、より小さな直径の中間部は、解剖学的壁を通って位置付けられ、および/または、接続具は、第1および第2の部分によって所定の位置に固定され得る。第二に、流体は、より大きな直径の第1の部分に吸い込まれ、より小さな直径の中間部を通って流れ、それによってベンチュリ効果を発生させ、流量調整デバイスのポンピング効率を向上させる。
【0048】
接続具および/または解剖学的壁内へのおよびそれらを通る流量調整デバイスの挿入を容易にするため、ならびに外傷のリスクを最小限に抑えるために、好ましくは、第2の部分は、実質的に円錐形である。より好ましくは、第2の部分は、非外傷性の挿入のために丸みを帯びた遠位先端部を備える。
【0049】
好ましい実施形態において、流量調整デバイスは、該デバイスを通るガイドワイヤを受容するように構成される。好ましくは、第1の部分、第2の部分、および/または中間部は、該部分を通るガイドワイヤを受容するための開口部を備える。好ましくは、流量調整デバイスは、長手方向軸線に沿ってガイドワイヤを受容するように構成される。より好ましくは、第1の部分、第2の部分、および/または中間部は、該部分を通るガイドワイヤを受容するためのチャネルを備える。最も好ましくは、チャネルは、流量調整デバイスの長手方向軸線に沿って位置付けられる。
【0050】
好ましい実施形態において、流量調整デバイスは折り畳み可能である。好ましくは、流量調整デバイスは、シースを通した挿入のための第1の形状、および第2の作業形状に構成され得る。好ましくは、流量調整デバイスは、外側ケーシングを備える。外側ケーシングは、好ましくは可撓性材料からできている。これは、経カテーテル送達用ポンプの潜在的なサイズ(したがって効率)を向上させ、それはまた、長期使用のために経カテーテル磁気駆動ポンプを用いる可能性も向上させ得るため、特に有利である。
【0051】
好ましい実施形態において、流量調整デバイスは、少なくとも1つの刃を支持する回転可能なシャフトを備えてもよく、該刃は、シャフトの長手方向に伸長して挿入形状になるように構成される。刃は、シャフトの長手方向に弛緩して作業形状になるように構成される。
【0052】
シャフトの横方向において、刃の寸法は、挿入形状におけるよりも作業形状においてより大きい。よって、刃、ひいては流量調整デバイスは、シースを通して容易に挿入することができる。
【0053】
好ましくは、刃は、スクリュー型の刃である。刃は、1つの連続した刃および/または蛇行状の刃であってもよい。好ましくは、刃がシャフトの長手方向に伸長または引張され得るように、刃は、弾性(記憶)材料でできている。
【0054】
流量調整デバイスは、挿入形状において、送達シースまたはカテーテルを通って流量調整デバイスの作業位置に送達され得る。流量調整デバイスは、シースを出ると、解剖学的壁を横切って作業形状に拡張する。好ましい実施形態において、シャフトおよび刃アセンブリは、流量調整デバイスの圧縮可能または引張可能な外側ケーシングに含まれる。シャフトおよび刃アセンブリは、刃の横方向寸法が低減されるように、長手方向に引張して挿入形状になることができる。
【0055】
別の実施形態において、流量調整デバイスは、倒立スクリューポンプを備える。この実施形態において、第1の区画から第2の区画に流体が吸引されるように、スクリューまたは刃は、流量調整デバイスの回転可能な内表面上に形成される。
【0056】
好ましくは、流量調整デバイスは、部分的にまたは全体的に磁気材料でできている。例えば、デバイスの1つ以上の要素(例えば、ケーシング、刃、磁気ベアリング、磁気駆動等)は、磁気特性を有する材料でできている。
【0057】
本発明のシステムは、一方または両方の解剖学的区画が循環系の区画である場合に、特に有利である。循環系の区画は、例えば、左心房、右心房、左心室、右心室、大動脈、肺動脈、大静脈、ならびに動脈、静脈、および末梢血管系の他の区画を含む。より好ましくは、本発明によるシステムは、2つの隣接する区画間に流体連通を形成する。
【0058】
好ましくは、流体は、酸素化または脱酸素化され得る血液を含むかまたは血液である。本発明によるシステムは、好適には機械的補助システムとして、好ましくは、補助人工心臓等の機械的循環補助システムとして使用される。
【0059】
別の実施形態において、接続具および流体調整デバイスは、単一のデバイスとして構築される。
【0060】
本発明の第2の態様によれば、先行する段落のいずれか1つに特定されるような体内接続具が提供される。
【0061】
本発明の第3の態様によれば、先行する段落のいずれか1つに特定されるような体内流量調整デバイスが提供される。
【0062】
本発明の第4の態様によれば、一体成形された穿孔形成ヘッドを備えるガイドワイヤを備える経カテーテル挿入デバイスが提供される。経カテーテル挿入デバイスは、解剖学的構造、例えば、解剖学的区画を隔てている解剖学的壁の穿孔形成を可能にし、組織抵抗がより大きい解剖学的区画の外壁の穿孔形成に特に有利である。穿孔形成ヘッドは、好ましくは、手技の重要な段階において施術者の正確性および制御の向上を可能にするように、非常に鋭利な端部を呈するように成形される。そのような鋭利な端部は、偶発的な穿孔形成および/または損傷のリスクのために、通常、使用されることはない。しかしながら、本発明において、経カテーテル挿入デバイスは、後により詳細に説明するように、そのような事故を防止するように構成される。
【0063】
また、挿入デバイスは、本発明によるシステムの種々の要素、例えば、体内接続具デバイスまたは体内流量調整デバイス等が挿入され得るガイドワイヤとして機能する。よって、手技の穿孔形成ステップおよび挿入/送達ステップの両方に単一のデバイスを使用することが可能である。従来の方法では、穿孔形成デバイスは、穿孔形成後に除去され、その後ガイドワイヤが導入される別々の穿孔形成針を使用して機能させられていた。本発明を用いると、これは必要ではない。既知の挿入システムにおいて、皮膚に穿孔形成するために中空針が使用される。針チャネルを通してガイドワイヤが挿入され、ガイドワイヤを所定の位置に残して針が除去される。次いで、カテーテルがガイドワイヤ上を通過させられ、ワイヤが除去され、カテーテルが所定の位置に残される。本発明では、穿孔形成は、ガイドワイヤの遠位端、特にガイドワイヤの穿孔形成ヘッドを用いて行われる。これにより、段階的な、非外傷性の、正確な切開を行うことが可能であり、また、これは、解剖学的区画の外壁に穿孔形成する場合、例えば、1つの心臓区画心臓から主要血管内等の心臓‐心臓外穿孔形成に特に有利である。
【0064】
好ましくは、穿孔形成ヘッドは、中実の遠位先端部を備える。換言すると、穿孔形成ヘッドは、中空ではないか、または、従来の血管穿孔形成針のように遠位開口部を備えない。これは、不必要により大きな切開を形成し、またしばしば、穿孔形成の成功のために望ましくない力の使用を必要とするためである。より大きな切開は、危険なほど高い血流量が予測されるため、望ましくない。大動脈破裂のリスクを考慮すると、大動脈壁等の解剖学的壁には従来の針の使用は推奨されない。外の従来の方法において、穿孔形成ステップを行うために標準的なガイドワイヤが使用されてもよい。しかしながら、標準的なガイドワイヤは、正確な穿孔形成を可能にしない丸みを帯びたまたは平坦なヘッドを有しており、穿孔形成されるべき解剖学的壁から偶発的に外れた場合に危険であり得る。より好ましくは、穿孔形成ヘッドは、円錐形の遠位先端部を備える。
【0065】
好ましい実施形態において、円錐形の先端部の基部の直径は、ガイドワイヤの直径と実質的に同じである。
【0066】
好ましい実施形態において、ガイドワイヤは、穿孔形成ヘッドの周囲に巻き付くことが可能である。好ましくは、ガイドワイヤは、穿孔形成ヘッドに隣接する可撓性遠位部と、剛性のより高い近位部とを備える。これらの特徴は、穿孔形成ヘッドの鋭さに起因する損傷の防止において特に有利である。いったん穿孔形成が行われると、穿孔形成ヘッドを拡張器と一緒に第2の区画内に前進させる。拡張器が除去されると、ガイドワイヤの可撓性部分が支持されなくなり、係止された穿孔形成ヘッドの周囲に巻き付き、穿孔形成ヘッドと周囲組織との間に効果的なシールド部を提供する。より好ましくは、ガイドワイヤが、穿孔形成ヘッドを取り囲むシールド部になるよう構成され得るように、ガイドワイヤは形状記憶材料でできている。
【0067】
好ましくは、挿入デバイスは、拡張器を備えることをさらに備える。より好ましくは、穿孔形成ヘッドの最も幅広い部分の直径は、拡張器の遠位端の直径と実質的に同じである。
【0068】
好ましくは、挿入デバイスは、送達シースを備える。より好ましくは、挿入デバイスは、内側送達シースおよび外側送達シースを備える。好ましい実施形態において、挿入デバイスは、穿孔形成ヘッドを有するガイドワイヤ、拡張器、内側送達シース、および外側送達シースを備える。
【0069】
挿入デバイスは、解剖学的壁の穿孔形成、および後続の経カテーテルデバイスの挿入のための患者の生体構造を通るシースまたはカテーテルの挿入を可能にし、また挿入デバイスは、シースを誘導するための手段をさらに備えてもよい。本発明は、2つの解剖学的壁を通る挿入および移植に関与する手技において特に有利である。これは、穿孔形成ならびに後続の挿入および移植が容易になるように、挿入デバイスが、一方の壁を押して他方の壁と接触させることができるからである。
【0070】
システムは、体内接続具、体内流量調整デバイス、および/または経カテーテル挿入デバイスを備えるキットの形態で提示されてもよい。
【0071】
本発明の第5の態様によれば、少なくとも1つの解剖学的壁によって隔てられた2つの解剖学的区画間に流体連通を提供するための経カテーテル法が提供され、該方法は、(a)区画を隔てている壁に穿孔形成するステップと、(b)穿孔を通して体内接続具を挿入するステップと、(c)体内流量調整デバイスを体内接続具に連結するステップとを含む。好ましくは、ステップ(c)は、体内で実行される。
【0072】
好ましくは、穿孔形成ステップは、先行する段落のいずれか1つに特定されるような挿入デバイスを使用して実行される。
【0073】
好ましくは、体内接続具は、先行する段落のいずれか1つに特定されるような接続具である。
【0074】
好ましくは、体内流量調整デバイスは、先行する段落のいずれか1つに特定されるような流量調整デバイスである。
【0075】
好ましくは、解剖学的区画は、2つの解剖学的壁によって隔てられる。より好ましくは、2つの解剖学的区画は、解剖学的に隣接していない2つである。本発明の利点は、人工流体連通経路を通って、2つの解剖学的に異なる区画間に流体通過が達成され得ることである。
【0076】
好ましくは、方法は、挿入デバイスを使用して穿孔形成ステップ(a)の前に、2つの解剖学的壁を押して接触させるステップをさらに含む。
【0077】
好ましくは、挿入ステップ(b)は、挿入デバイスを使用して実行される。挿入デバイスの穿孔形成ヘッドは、解剖学的壁に穿孔形成するためのステップ(a)を行うために、またガイドワイヤは、挿入手技の間にステップ(b)を行うために、使用することができる。したがって、好ましい実施形態において、挿入デバイスは、一体成形された穿孔形成ヘッドを備えるガイドワイヤを備える。
【0078】
好ましくは、方法は、穿孔形成ヘッドを使用して区画を隔てている壁に穿孔形成するステップと、ガイドワイヤを使用して穿孔を通して体内接続具を誘導するステップとを含む。
【0079】
好ましくは、方法は、流量調整デバイスを挿入して、接続具に対する連結位置に位置付けるステップをさらに含む。
【0080】
好ましくは、方法は、挿入デバイスのガイドワイヤを使用して流量調整デバイスを誘導するステップを含む。
【0081】
好ましい実施形態において、体内接続具および/または体内流量調整デバイスは、折り畳まれた状態で挿入される。
【0082】
好ましくは、方法は、接続具を解剖学的壁に固定するステップをさらに含む。
【0083】
好ましくは、方法は、流量調整デバイスを接続具に固定するステップをさらに含む。
【0084】
好ましくは、方法は、組織が流量調整デバイスを通る流体通過を妨げるのを防止するステップをさらに含む。
【0085】
好ましくは、方法は、流量調整デバイス内に含まれるポンプによって流体の流れを調整するステップをさらに含む。
【0086】
好ましくは、方法は、流体を処理するステップをさらに含む。好ましい実施形態において、流体の処理は、流体を1つ以上の薬剤化合物と接触させるステップを含む、上で特定したような処理手段を使用して実行される。好ましくは、方法は、流体を酸素等の1つ以上のガスと接触させるステップを含む。
【0087】
好ましい実施形態において、方法は、流量調整デバイスを接続具から取り外して回収するステップをさらに含む。本発明は、永久的または半永久的な用途に理想的である。しかしながら、ある状況において、流量調整デバイスは、例えば、交換および/または修理のために、回収される必要がある場合がある。
【0088】
好ましくは、流量調整デバイスを取り外して回収するステップは、回収デバイスを使用して実行される。より好ましくは、回収デバイスは、流量調整デバイスを把持するための手段を備える。
【0089】
好ましくは、一方または両方の区画は、循環系の区画である。より好ましくは、区画の一方は心臓の左心房であり、かつ/または区画の一方は大動脈である。最も好ましくは、解剖学的壁は、左心房の天蓋部および大動脈壁である。
【0090】
本発明の第6の態様によれば、経カテーテルシステムを挿入するための方法であって、前述のような挿入デバイスを使用して2つの解剖学的区画を隔てている少なくとも1つの解剖学的壁に穿孔形成するステップを含む方法が提供される。
【0091】
好ましくは、解剖学的区画は、2つの解剖学的壁によって隔てられる。より好ましくは、2つの解剖学的区画は、解剖学的に隣接していない2つである。
【0092】
好ましくは、穿孔形成方法は、穿孔形成ヘッドが穿孔形成されるべき解剖学的壁に当接するまで、挿入デバイスを患者の循環系内に挿入するステップを含む。
【0093】
好ましくは、穿孔形成方法は、挿入デバイスを使用して、2つの解剖学的区画を押して互いに接触させるステップを含む。
【0094】
好ましくは、穿孔形成方法は、穿孔形成ヘッドを使用して区画を隔てている壁に穿孔形成するステップと、ガイドワイヤを使用して穿孔を通して経皮デバイスを誘導するステップとを含む。
【0095】
好ましくは、穿孔形成方法は、穿孔形成ヘッドが患者の生体構造に外傷を引き起こすのを防止するステップを含む。
【0096】
好ましくは、穿孔形成方法は、システムが、大腿動脈および/または下大静脈を通って挿入されることを含む。
【0097】
好ましくは、区画の一方は心臓の左心房であり、かつ/または区画の一方は大動脈である。より好ましくは、解剖学的壁は、左心房の天蓋部および大動脈壁である。
【0098】
本発明の第7の態様によれば、流量調整デバイスと接続具とを連結または非連結するためのデバイスが提供される。(非)連結デバイスは、流量調整デバイスを着脱可能に連結するための手段を備える。よって、(非)連結デバイスは、流量調整デバイスの連結または非連結のため、および移植または回収のために、流量調整デバイスを把持することができる。好ましくは、連結手段は、流量調整デバイスと係合することが可能な1つ以上のタブを備える。
【0099】
好ましくは、流量調整デバイスを選択的に把持または解放するために(非)連結デバイスが遠隔で制御され得るように、(非)連結デバイスは、連結手段を遠隔で制御するための手段を備える。好ましくは、流量調整デバイスを選択的にねじ込むかまたは接続具から緩めるために、連結手段が遠隔で制御できるように、連結手段は回転可能である。
【0100】
好ましくは、(非)連結デバイスは、カテーテルおよび遠位連結手段を備える。好ましくは、カテーテルがねじれることなく患者の生体構造を通って前進させることができるようにカテーテルは、1つ以上の肘部を備える。
【0101】
本発明によるシステムおよびデバイスは、心不全、拡張期心不全、収縮期心不全、左心室不全、右心室不全、小児心奇形、および/またはシャントの治療に使用される場合に、特に有利である。
【0102】
本発明はまた、前述のような経カテーテル挿入デバイスを使用するステップを含む、解剖学的壁を通って2つの別々の区画間に人工的連通(生来の既存の解剖学的開放部とは対照的に)を形成するための経カテーテル法、前述のような流量調整デバイスを使用するステップを含む、流体を処理および/またはプロセスするための経カテーテル法、前述のような体内接続具を挿入するための方法、前述のような体内流量調整デバイスを挿入するための方法も考慮する。本発明に関連する他の方法を、例として後に記載する。
【0103】
本発明の文脈において、「経皮」という用語は、開胸手術手技とは反対に、内部器官または他の組織へのアクセスが、穿孔ならびに/または皮膚(および/もしくは血管系)を通る、例えば循環系内への切開によって行われる任意の医療手技に言及して使用される。よって、経皮方法は、要素の経皮送達を含み、経皮送達を可能にするための切開(例えば、メスを用いた切開)を含み得る。好ましい実施形態において、方法は、穿孔形成または切開によって血管系へのアクセスを得た後で、解剖学的には別々であるが、隣接する胸郭器官の間に流体連通を確立するための1つ以上のデバイスの経心臓血管的(transcardiovascular)送達を提供する。穿孔形成または切開は、血管内アクセスが可能である場合、種々の部位で、例えば、鼠蹊部、腋窩、胸部、または腹部において行われてもよい。
【0104】
図面および図を参照して本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【
図1】図本発明による体内接続具および流量調整デバイスの概略図である。
【
図2B】別の角度から見た本発明による体内接続具の概略図である。
【
図2C】装着された状態の本発明による体内接続具の概略図である。
【
図3A】閉位置にある本発明による体内接続具のゲートの概略図である。
【
図3B】開位置にある本発明による体内接続具のゲートの概略図である。
【
図4A】本発明による流量調整デバイスの概略図である。
【
図4B】別の角度から見た本発明による流量調整デバイスの概略図である。
【
図5B】本発明による体内接続具の別の形態の概略図である。
【
図5C】本発明による体内接続具のさらに別の形態の概略図である。
【
図6A】本発明による経皮挿入デバイスの概略図である。
【
図6B】本発明による経皮挿入デバイスの別の形態の概略図である。
【
図6C】本発明による経皮挿入デバイスの拡大された概略図である。
【
図7A】本発明による経皮挿入デバイスの概略図である。
【
図7B】本発明による経皮挿入デバイスの別の形態の概略図である。
【
図7C】本発明による経皮挿入デバイスのさらに別の形態の概略図である。
【
図7D】実質的にまっすぐな形状であり、コイル状である本発明による経皮挿入デバイスのさらに別の形態の概略図である。
【
図8A】本発明による方法の穿孔形成、挿入、および位置付けステップの概略図である。
【
図8B】本発明による方法の穿孔形成、挿入、および位置付けステップの別の形態の概略図である。
【
図8C】本発明による方法の穿孔形成、挿入、および位置付けステップのさらに別の形態の概略図である。
【
図8D】本発明による方法の穿孔形成、挿入、および位置付けステップのさらに別の形態の概略図である。
【
図8E】本発明による方法の穿孔形成、挿入、および位置付けステップのさらに別の形態の概略図である。
【
図8F】本発明による方法の穿孔形成、挿入、および位置付けステップのさらに別の形態の概略図である。
【
図8G】本発明による方法の穿孔形成、挿入、および位置付けステップのさらに別の形態の概略図である。
【
図8H】本発明による方法の穿孔形成、挿入、および位置付けステップのさらに別の形態の概略図である。
【
図8I】本発明による方法の穿孔形成、挿入、および位置付けステップのさらに別の形態の概略図である。
【
図8J】本発明による方法の穿孔形成、挿入、および位置付けステップのさらに別の形態の概略図である。
【
図9】本発明による方法における挿入経路の図である。
【
図10A】圧縮された状態にある、本発明による体内接続具の概略図である。
【
図10B】圧縮された状態にある、本発明による体内接続具の別の形態の概略図である。
【
図11】in situにおける本発明による体内接続具の概略図である。
【
図12】挿入プロセス中の、本発明による流量調整デバイスの図である。
【
図13】in situにおける本発明によるシステムの概略図である。
【
図14】挿入された状態にある、本発明による第1の好ましい流量調整デバイスの概略図である。
【
図15】別の角度から見た挿入された状態にある、本発明による第1の好ましい流量調整デバイスの概略図である。
【
図16】挿入された状態にある、本発明による第2の好ましい圧縮可能な流量調整デバイスの概略図である。
【
図17】
図15に示すような圧縮可能な流量調整デバイスの部分概略図である。
【
図18】挿入中の、
図16に示すような圧縮可能な流量調整デバイスの概略図である。
【
図19】
図18に示すような圧縮可能な流量調整デバイスの部分概略図である。
【
図20A】拡張位置および2つの代替の動作位置にある、本発明において使用するための第1の密封要素の概略図である。
【
図20B】本発明において使用するための第2の密封要素の概略図である。
【
図21A】複数のアームを備えるアンカー部およびシールド部を含む、本発明による接続具の上面図および下面図である。
【
図21B】複数のアームを備えるアンカー部およびシールド部を含む、本発明による接続具の別の形態の上面図および下面図である。
【
図21C】複数のアームを備えるアンカー部およびシールド部を含む、本発明による接続具のさらに別の形態の上面図および下面図である。
【
図21D】複数のアームを備えるアンカー部およびシールド部を含む、本発明による接続具のさらに別の形態の上面図および下面図である。
【
図21E】本発明による接続具の部分概略図である。
【
図22】倒立スクリューポンプを備える、本発明による流量調整デバイスの概略図である。
【
図23】本発明による(非)連結デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0106】
図1を参照すると、少なくとも1つの壁5、6を通る2つの解剖学的区画3と4との間の流体連通のための体内接続具2を備える、in situの経皮システム1が示される。この図において、第1の区画は心臓の左心房3であり、第2の区画は大動脈4であり、第1の解剖学的壁は左心房3の天蓋部5であり、第2の壁は大動脈6の壁6である。
【0107】
接続具2は、一般的に、血流によってのみではなく、切開の間に、経皮デバイスの挿入、移植および回収プロセスによって加えられる圧力からも、解剖学的壁および区画の構造的完全性を保存および支持するように設計される。
【0108】
本発明による体内接続具2は、
図1および2A~2Cを参照して説明される。接続具2は、胴部またはネック部7、ならびにアンカー部8およびシールド部9を備える。流体、この場合は血液が、ネック部7を横断してゲート部10を通って流れることができる。接続具2は、1つ以上の生態適合性材料からできており、必要であれば、治療が完了した後で患者の体内に残されてもよい。
【0109】
ネック部7は、典型的には、半可撓性から実質的に剛性の材料でできているため、周囲組織からの圧力がネック部7を圧縮せず、流体の流れを防止する。ネック部7は、金属またはプラスチック材料等の生態適合性または外科用材料を備える。ゲート部10は、弾性材料(プラスチック材料または形状記憶材料等)でできているため、流体の流れを可能にする開位置、または流体の流れを防止する閉位置にあってもよい。ネック部7は、
図1から
図3に示すような中実表面を備えてもよいか、または
図21Eに示すようなメッシュ状の表面でできていてもよい。
【0110】
ゲート部10は、アクチュエータからの動作が存在しない場合、閉位置を保つ。ゲート部10の2つの例を
図3Aおよび3Bに示す。
図3Aにおいて、ゲート部10は、閉位置で嵌合できるいくつかの部分からできており、開放部を形成するように押し開くことができる。
図3Bにおいて、ゲート部10は、閉位置では流体の流れを防止するが、流体の流れを許容するように開位置に伸長させることができる開放部10Aを備える。
【0111】
この実施形態において、システム1は、比較的互いに近い左心房3を大動脈4に接続する。しかしながら、区画が奇妙に位置付けられているか、または互いから離れている場合は、ネック部7の寸法および形状を修正することができる。例えば、ネック部7は、好適な位置に屈曲するのに十分に可撓性であり得るか、または関節式であり得る。
【0112】
アンカー部8は、ネック部7の第1の端部から延在する。アンカー部8は、形状記憶材料等の弾性材料からできているため、
図10Aおよび
図10Bに示すように折り畳まれた状態で挿入し、
図1および
図2に示すように拡張された状態で設置することができる。アンカー部8は、折り畳まれた状態では実質的に円筒形状を有する。アンカー部8は、拡張された状態では、接続具2が中で移動するのを防止するか、または解剖学的壁5、6から脱落するのを防止するために展開させることができる。この実施形態において、拡張された状態のアンカー部8は、ネック部7の端部に取り付けられ、またそこから実質的に垂直に延在するため、解剖学的壁、ここでは大動脈壁6に対しておよび/または実質的に平行に位置する。
【0113】
シールド部9は、ネック部7の第2の端部から延在する。シールド部9は、形状記憶材料等の弾性材料でできているため、
図10Aおよび
図10Bに示すように折り畳まれた状態で挿入し、
図1および
図2に示すように拡張された状態で設置することができる。シールド部9は、メッシュ状または格子状の材料を備え、アンカー部8と同じ材料または異なる材料でできていてもよい。シールド部9は、折り畳まれた状態では実質的に円筒形状を有する。シールド部9は、拡張された状態では、周囲組織が解剖学的壁5、6を通る穿孔に向かっておよび/または穿孔の中に吸い込まれるのを防止するように展開させることができる。シールド部9は、周囲組織がシールド部に接触しないように拡張する。これは、メッシュを通る吸引、またはシールド部に対して擦れることによる損傷のリスクを最小限に抑える。この実施形態において、シールド部9は、実質的に椀状または傘状に拡張する。
【0114】
図1から
図3において、アンカー部8は円板上であり、シールド部9は椀状である。両方ともメッシュ状材料でできている。付加的または代替的な実施形態において、接続具2は、接続具2の一方または両方の端部から延在してアンカー部8および/またはシールド部9を形成する複数のアームを備える。アームは屈曲していてもよいか、かつ/または1つ以上の肘部を備えていてもよく、また展開可能であってもなくてもよい。アームは、流量調整デバイス11を接続具2に固定するためのねじ手段を形成するようにネック部7の内表面に沿って延在し得る。そのような接続具の例を、
図21Aから
図21Eに示す。
【0115】
次に、
図4および
図5を参照して、本発明による流量調整デバイス11について説明する。
【0116】
デバイス11は、遠位部11A、中間部11B、および近位部11Cを備える。使用中、遠位部11Aの遠位端または先端部は、1つの解剖学的区画4内に延在し、近位部11Cの近位端または先端部は、第2の解剖学的区画内に延在する。中間部11Cは、接続具2のネック部7内に部分的にまたは完全に位置する。本発明の文脈において、「遠位」という用語は、患者に最も近い位置を指し、「近位」という用語は、挿入の方向において医療従事者に最も近い位置を指す。換言すると、デバイスの遠位端が最初に挿入され、デバイスの近位端が最後に挿入される。
【0117】
デバイス11は、デバイス11の近位部11Cから遠位部11Aを通る血液の通過のためのチャネル(図示せず)を備える。近位端は、血液がデバイス11に進入することを可能にするための1つ状の開放部12を備え、遠位端は、血液がデバイス11から出ることを可能にする1つ以上の開放部13を備える。デバイス11の遠位端は、外傷を最小限に抑えるために丸みを帯びており、かつ挿入を容易にするために鋭利である。
【0118】
流量調整デバイス11は、デバイス11を接続具2に固定するための手段を備え、そのような固定手段の例は、
図5Aから
図5Bに示される。
図5Aにおいてデバイス11の遠位部は、デバイス11が流体の流れに逆らって移動するのを防止する1つ以上のリブ14またはタブを備える。
図5Bにおいて、中間部11Bは、部分的にまたは完全に弾性または拡張可能材料でできており、デバイス11を所定の位置に維持する。中間部11Bの外表面は、接続具ネック部の内表面により良好な把持を提供するように修正することができる。
図5Cにおいて、デバイス11の遠位部11Aは、デバイス11が流体の流れに逆らって移動するか、または挿入手技の間に折り畳まれるのを防止するために拡張し得る、フラップ15またはタブを備える。
【0119】
固定手段の別の例は、ゲート部10によって具現化される。挿入手技の間に、デバイス11の遠位先端部は、ゲート部10を通って押され、かつゲート部10を開放し、中間部11Cは、挿入された状態では、ゲート部10を通って接続具2のネック部7内に部分的にまたは完全に位置する。よって、ゲート部の材料は、デバイス11の遠位部11Bの周辺で弾性的に閉鎖し、デバイス11を接続具2に固定する。この挿入手技の記載において、デバイス11の遠位部11Aまたは遠位部11Aの遠位端は、ゲート部10を開放し、左心房から大動脈に血液が流れることを可能にすることによって、接続具2に対するアクチュエータとして機能する。
【0120】
代替的に、または付加的に、接続具2および流量調整デバイス11は、接続具2のネック部7の内表面、および流量調整デバイス11の中間部11Bの外表面に位置する、ねじ手段等の相補的な固定手段を備えることができる。流量調整デバイスは、接続具に(着脱可能に)固定することができるだけでなく、接続具を通る流量調整デバイスの前進および位置付けを補助するためにも使用することができるという点において、ねじ手段は特に有利である。
【0121】
別の好ましい実施形態において、接続具2および流量調整デバイス11は、ツイストロック機構によって連結することができ、その一例を
図21Eに示す。この実施形態において、ネック部7は、ロックのために2つ以上のチャネルまたは長手方向の突起を備えてもよい。
【0122】
接続具2はまた、接続具と流量調整デバイスまたは固定手段との間の連結インターフェースで望ましくない流体の流れを防止するために密封のための手段を備えることができる。例えば、接続具および流量調整デバイスは、相補的なねじ手段を備え、密封手段は、ねじ手段のねじ輪郭を鏡映する一片の密封材料を備える。よって、使用中、密封手段は、接続具のねじ手段と流量調整デバイスのねじ手段との間に挟まれる。
【0123】
拡張された状態では実質的に細長い一片の密封材料の形状である拡張可能な密封手段が使用されてもよい。密封手段は、折り畳まれた状態では実質的にねじ状である。密封手段は、可撓性材料および/または形状記憶材料でできていてもよい。密封手段は、密封手段を接続具および/または流量調整デバイスに固定するための手段を備えてもよい。
【0124】
流量調整デバイス11は、ガイドワイヤ19bが受容されるチャネル34を備える。好ましい実施形態において、チャネル34は、流量調整デバイス11の近位端から遠位端に延在する。好ましくは、チャネル34は、流量調整デバイス11の中心長手方向軸線に沿って延在する。
【0125】
流量調整デバイス11は、内部ポンプ16を備える。ポンピングパラメータは、体内または体外のコントローラ(図示せず)によって調節することができる。体外コントローラの場合、無線制御が好ましい。電流は、導線17を通ってポンプ16に供給され得るか、またはデバイス11が内部電池を収容することができる。充電電池の場合、患者の中にさらなるデバイスを挿入しない充電機構、例えば磁気充填機構が好ましい。電池を再充電することができない場合、デバイス11を除去し、交換するか、または使用後に廃棄することができる。導線17または他の管が、使用後にデバイス11を患者から除去するための引きひもとして使用されてもよいか、または専用の引きひもが追加されてもよい。
【0126】
一方の区画3からポンプで送り出された流体が第2の区画4に送達される前に処理またはプロセスを必要とする場合、デバイス11に適切な手段(図示せず)を組み込むことができる。例えば、薬物送達デバイスは、デバイス11を通って流れる血液を1つ以上の薬物と接触させることができるか、または酸素化デバイスもしくは膜を使用して、デバイス11を出る前に血液を酸素化することができる。薬物送達の場合、デバイス11は、薬物貯蔵容器を組み込んでもよいか、または外部薬物貯蔵容器に接続されてもよい。徐放性または制御放出機構も想定される。本発明によるシステム1は、体内薬物送達システムと見なされてもよく、血流を用いてまたは用いずに、薬物が標的区画に送達される。
【0127】
流量調整デバイス11は、内蔵型であるため、ポンプ16、必要に応じて薬物送達または酸素化デバイスを含む全ての要素が、流量調整デバイス11のケーシング内に組み込まれている。
【0128】
本発明で使用するための好ましい流量調整デバイス11が、
図16から
図19を参照して記載される。このデバイス11は、前述のようなデバイスの変形例であり、先行する段落に記載されるようなデバイス11に関連する任意の特徴を含むことができる。
【0129】
流量調整デバイス11は、遠位部11A、中間部11B、および近位部11Cを備える。近位部11Cは、ポンプ16を部分的にまたは全体的に取り囲むケーシングを形成する。近位部11Cは、着脱可能な基部11Dをさらに備える。基部11Dは、回転によって、例えば、ねじまたはバイオネット手段によって取り付けることができる。この着脱可能な基部11Dは、1つ以上の開放部27を備え、流体は、デバイス11を通って第1の解剖学的区画から基部開放部27内に流入し、デバイス11の遠位部11Aで開放部13を通って第2の解剖学的区画内に流出することができる。
【0130】
基部11Dは、少なくとも1つの刃16Bを支持する回転可能なシャフト16Aを備える。刃16Bは、シャフト16Aから延在するスクリュー型の刃である。刃の近位端は、シャフト16Aから延在してもよい。刃16Bの遠位端は、デバイス11の近位部11Cの遠位端、またはデバイス11の中間部11Bの近位端に取り付けられてもまたは取り付けられなくてもよい。スクリュー刃16Bは、作業シース21を通る挿入を容易にするために、シャフト16Aの長手方向に伸長または引張され得るように構成および構築される。この伸長された形状において、スクリュー刃16Bは、弛緩形状におけるよりも刃16Bの全体的な直径がより小さくなるように、長手方向に引張される。刃16Bは、シース21を出ると、元の弛緩形状、すなわち、刃16Bの作業形状に戻る。作業形状において、刃16Bの全体的な直径は、引張位置におけるよりも大きい。よって、引張形状において、スクリュー刃16Bは、シース21を通して容易に挿入することができ、作業形状において、最適な能力および効率のために刃16Bのサイズが最大となる。これはまた、単位長さ当たりより多くのねじ山形態(したがって、より高い効率)を有する刃16Bが使用され得ることも意味する。デバイス11の任意の部分、特に、デバイス11の近位部11Cおよび/または刃16Bは、同じかまたは異なり得る弾性(または形状記憶)材料でできていてもよい。好ましい実施形態において、拡張可能なポンプは、デバイス11の近位部11Cによって取り囲まれ、近位部11Cは、シース内に適合するように圧縮され、続いて使用中に展開され得るように、弾性材料でできている。この実施形態において、基部11Dは、好ましくは剛性材料でできている。
【0131】
図22に示すような別の実施形態において、流量調整デバイス11は、流体が第1の区画から第2の区画に吸引されるように、スクリューおよび/または刃33が流量調整デバイス11の回転可能な内表面上に形成される、倒立スクリューポンプ機構を備える。この実施形態において、血液は、流量調整デバイス内で中央に流れる。この構成も、流量調整デバイス11の中心長手方向軸線に沿ってガイドワイヤを容易に位置付けることができるという点において有利である。
【0132】
基部11Dは、ポンプモータ、ポンプが機能するために必要な他の要素、前述のような流体処理および/またはプロセス手段を含むための区画(図示)を備えることができる。代替として、基部11Dまたは近位部11Cは、薬物および/または酸素送達のために1つ以上のリッジ部を備えてもよい。リッジ部は、例えば、シャフト16Aの周囲に配置されてもよい。デバイス11と患者の体外との間の任意の接続部17が、基部11Dに取り付けられ得る。
【0133】
拡張可能な接続具および流量調整デバイス等の展開可能な経皮要素の原理は、現在の小型化の必要性を回避する。換言すると、要素のサイズを縮小する(したがって、能力および効率を犠牲にする)代わりに、フルサイズの要素を、小さな切開を通して、折り畳まれたまたは圧縮された状態で患者の血管系に挿入し、正しい位置で展開させ、その後、折り畳まれたまたは圧縮された状態で患者から除去することができる。これによって、サイズおよび形状の観点からより多目的なシステムへの道が開かれ、特に、小児が大きな恩恵を受けるであろう。これはまた、皮下駆動系(ペースメーカーに関連して使用されるものと同様)が使用され得るだけでなく、外部駆動系および展開可能な要素も静脈系を通して挿入され得るということを意味する。よって、主幹動脈を避けることができる場合、感染症および重度の出血のリスクが最小限に抑えられる。
【0134】
次に、
図6から
図8を参照して、本発明による経皮挿入デバイス18について説明する。
【0135】
経皮挿入デバイス18は、ガイドワイヤ19bおよび拡張器19cと一体成形された穿孔形成ヘッド19aを備える。挿入デバイスは、作業シース21および外側シース23をさらに備える。挿入デバイス18は、本発明による方法に必要であり得る任意のデバイスまたは要素を挿入するために使用される。後により詳細に記載されるように、針19、特に穿孔形成ヘッド19aは、1つ以上の解剖学的壁に穿孔形成するために使用され;ガイドワイヤ19bは、挿入中に要素を誘導するために使用され;拡張器19cは、穿孔形成ヘッド19aによって形成された穿孔部を広げるために使用され;作業シース21は、システム1のデバイスを挿入、送達、および位置付けるために使用され;外側シース23は、システム1のデバイスを挿入するための安全な通路を形成するために使用される。
【0136】
この実施形態において、穿孔形成ヘッド19aは、例えば、溶接によってガイドワイヤ19bの遠位端に接続される。穿孔形成ヘッド19aは、中実の先端部を有し、すなわち、標準的な挿入針または注射針に観察されるような中空チャネルを持たない。穿孔形成ヘッド19aは、円錐形状であり、非常に鋭利な先端部を形成する。円錐形の穿孔形成ヘッド19aの基部の直径は、ガイドワイヤ19bの直径よりも大きい。ガイドワイヤ19aは、拡張器19cを通って摺動可能である。面一の滑らかな移行部を形成するように、円錐形の穿孔形成ヘッド19aの基部の直径は、拡張器19cの遠位端の直径と実質的に等しい。
【0137】
代替の実施形態(図示)において、ガイドワイヤ19bが、鋭利な円錐形の先端部を有する先細りのガイドワイヤとなるように、円錐形の穿孔形成ヘッド19aの基部の直径は、ガイドワイヤ19bの直径と実質的に同じである。この代替の実施形態において、穿孔形成ヘッド19aおよびガイドワイヤ19bは、一体成形される。面一の滑らかな移行部を形成するように、ガイドワイヤ19bの直径は、拡張器の遠位端の直径と実質的に等しいが、この場合、先細りのガイドワイヤ19bが針として機能することができるため、拡張器19cは必要ない場合がある。
【0138】
ガイドワイヤ19bの遠位端の鋭利な穿孔形成ヘッド19aの使用により、挿入デバイス18が、非外傷性および正確な穿孔形成デバイスとして機能することが可能になる。これらの穿孔形成ヘッド19a、ガイドワイヤ19b、および拡張器19cの相対的な寸法は、穿孔のサイズが徐々にかつ緩やかに増加することを可能にする。
【0139】
ガイドワイヤ19bは、好ましくは、異なる剛性の2つまたは3つの部分、例えば、比較的剛性な材料の遠位部、可撓性材料の中間部、および比較的剛性な材料の近位部を備える。これらの剛性における違いが、患者の生体構造を通してガイドワイヤを操作および誘導することを可能にする。
【0140】
図7Dを参照すると、ガイドワイヤ19aは、少なくとも2つの異なる剛性の部分、すなわち、患者の生体構造を通して穿孔形成ヘッド19aを誘導および押すための比較的剛性な材料の近位部と、より可撓性の材料である遠位部とを備える。可撓性部分は、例えば、ガイドワイヤ19bを前進させているとき、または体内デバイスを挿入および位置付けるステップの間に、患者の生体構造を損傷するのを防止するのに特に有用である。例えば、可撓性部分は、周囲組織を保護するため、また穿孔形成ヘッド19aの偶発的な移動を防止するために、穿孔形成ヘッド19aの周囲に巻き付くことができる。
【0141】
後により詳細に記載されるように、挿入要素18は、システム1の種々の要素の挿入、設置、および除去のための安全な経路の形成を可能にする。より具体的には、本発明による挿入デバイス18は、解剖学的壁、例えば、組織抵抗がより大きい解剖学的区画の外壁等の穿孔に特に有利である。挿入デバイス18はまた、特に正確な小さな切開が形成されることを可能にするが、これは、高血圧の血流に関与する切開において極めて重要である。挿入要素18の好ましい使用は、内部器官の外壁の穿孔形成、例えば、心臓外穿孔形成のための使用である。
【0142】
次に、左心房-大動脈接続を参照した例を用いて、本発明による方法を説明する。
【0143】
第1のステップは、ガイドワイヤの挿入であり、これは、当該技術分野で既知の方法によって実行することができる。ガイドワイヤを支持する針は、患者の大腿動脈に隣接する鼠蹊領域に配置される。患者の皮膚が針の先端部によって穿孔形成され、皮膚および組織を通って大腿動脈内に押されるように、圧力が印加される。いったん所定の位置に収まると、大腿動脈に沿って、下大静脈25の上方にガイドワイヤを前進させる。
図9を参照すると、ガイドワイヤは、下大静脈25を出て、右心房26に進入する。右心房と左心房との間の中隔穿孔形成もまた、当該技術分野で既知の手段によって実行され得る。ここでガイドワイヤは、皮膚穿孔部を通って患者の体外から大腿動脈、下大静脈25、右心房26、心房の中隔、および左心房3内に延在し、好ましくは、左上肺静脈内に留まる。次に、手技の最終ステップを容易にするために、大きな可動型支持シースをワイヤの上で左心房内に展開させることができる。皮膚穿孔形成および/または中隔穿孔形成は、本発明による挿入デバイス18を使用して等しく実行することができるが、挿入デバイス18は、後に記載するように心臓外穿孔形成を行う場合に最も有益である。
【0144】
第2のステップは、本発明による挿入デバイス18の挿入および設置である。針19は、鼠蹊部を通して、好ましくは専用のシース21および23を通して、挿入され、前述したものと同じ経路に沿って前進させられる。ガイドワイヤ19bは、剛性のより高い近位部の前に、穿孔形成ヘッドに隣接する比較的可撓性の(遠位)部を備え、これによりガイドワイヤ19bは、可撓性部分で折り重なり、それによってU字形を形成する。次に、可撓性部分が最初に前進し、剛性近位部がそれに続く。よって、ガイドワイヤ19bは、送達シースを通して、または代替として、患者の血管を通して、非外傷性的に移動させることができる。ガイドワイヤ19bは、近位端を穏やかに引っ張り、遠位部をガイドワイヤ19bの最も正面の位置に再度位置付けることによって、必要に応じてまっすぐにすることができる。穿孔形成ヘッド19aは、拡張器19cの遠位端に向かって後方に引っ張られる。
【0145】
第3のステップは、本発明による挿入デバイス18を使用した左心房の心臓外穿孔形成である。外側シース23の遠位端が、左心房3の天蓋部に対して配置され、左心房3の天蓋部が大動脈壁に接触するように、壁に対して押される。左心房3の天蓋部を穿孔形成するために穿孔形成ヘッドを前進させる。この鋭利な円錐形の形状によって、医療従事者は、滑らかかつ非外傷性の様式で、小さく正確な心臓外切開を形成することができる。穿孔形成ヘッド19aおよび拡張器19cを、大動脈壁に向かって穿孔を通って前進させる。外側シース23は、左心房の壁を大動脈壁に対して押し、両方の壁を一緒に保持して大動脈壁の穿孔形成を補助するために使用される。いったん大動脈壁に穴が開くと、拡張器20が、作業シース21の挿入を容易にするために両方の穿孔部を広げることができる。ガイドワイヤ19bおよび作業シース21が大動脈4内の所定の位置に残されるように、拡張器19cを除去することができる。外側シース23は、左心房3内に残すことができる。
【0146】
穿孔形成ヘッド19aは、大動脈4内にさらに前進させられる。穿孔形成ヘッドが拡張器19cを出る際、ガイドワイヤ19bの可撓性部分は、穿孔形成ヘッド19aの周りに巻き付き、それにより穿孔形成ヘッド19aを係止および周囲組織からシールドする。付加的にまたは代替的に、大動脈内で穿孔形成ヘッド19aを受容および保護するために、受容カテーテルが当該技術分野で既知の手段により大動脈4内に位置付けられてもよい。
【0147】
したがって、特に手技が2つ以上の解剖学的壁の穿孔を含む場合、体内デバイスを安全に送達するだけでなく、解剖学的壁の穿孔を補助するために、支持シース23が使用され得ることが分かる。
【0148】
第4のステップは、本発明による体内接続具2の挿入である。
図10Aおよび
図10Bを参照すると、体内接続具2は、折り畳まれた、または圧縮された状態で、ガイドワイヤ19bに沿って作業シース21内に挿入される。接続具2が左心房の天蓋部に到達すると、接続具は、ネック部7が解剖学的壁5、6を横切って正しく位置付けられるまで、解剖学的壁5、6の切開を通してガイドワイヤ19bに沿って押され、アンカー部8およびシールド部9は、それぞれ、大動脈4および左心房3の壁5、6のいずれかの側面で展開される(
図11)。接続具2は、接続具が作業シース21の遠位端を出る際に、徐々に拡張する。
【0149】
第5のステップは、本発明による、
図4または
図15に示されるような体内流量調整デバイス11の挿入である。
図12を参照すると、体内流量調整デバイス11は、シース21を通して、およびガイドワイヤ19bに沿って、デバイスが接続具2に到達するまで挿入および前進させられる。接続具2の遠位部11A、より具体的には遠位先端部は、ゲート部10の開放部10Aを広げることによって接続具7のネック部7におけるゲート部10を開くアクチュエータとして機能する。流量調整デバイス11の中間部11Bは、接続具2のネック部7内に収まり、しっかりと位置付けられる。流量調整デバイス11は、ゲート部10の弾性材料の圧力により、およびリブ14により固定され得る。付加的にまたは代替的に、流量調整デバイス11は、流量調整デバイス11の中間部11Bを接続具2のネック部7にねじ込むことにより固定され得る。このねじ込み機構はまた、流量調整デバイス11の接続具2内への安全なガイドされた前進を可能にする。提供される場合、密封手段は、流量調整デバイス11と接続具2との間の連結インターフェースを介したいかなる漏出も防止する。さらに必要とされない限り、作業シース21はここで取り除くことができる。
【0150】
したがって、本発明による挿入デバイス18は、2つの目的を果たす。第一に、穿孔形成ヘッド19aは、安全で制御された非外傷性の様式での解剖学的壁の穿孔形成に使用され得る。第二に、挿入デバイス18は、統合されたガイドワイヤ19bとして使用され得る。したがって、針および別個のガイドワイヤを2つの別個のステップで使用する必要がない。これによって、事故および損傷のリスクが最小限となり、挿入手技が単純化される。
【0151】
図16から
図19に示されるような圧縮可能/拡張可能な流量調整デバイスの場合、デバイス11の基部11Dは、近位部11Cから取り外され、刃16Bが伸長位置に広げられる。例えば、基部11Dが近位部11Cから取り外されると同時に刃16Bが伸長されるように、基部11Dが回転される、または緩められる。デバイス11は、シース21の遠位端に前進させられ、デバイス11の遠位部11Aは、すぐにゲート部10を作動させるように適切に位置付けられる。基部11Dは、刃16Bがその作業形状まで弛緩するように、例えばねじ込みの回転によりデバイス11の近位部11Cに再び取り付けられる。ここで、流量調整デバイス11の遠位部11Aは、流体の流れを可能にするようにゲート部10を通して押し出すことができる。
【0152】
上述の挿入および設置手技は、X線、蛍光透視法、心エコー検査、超音波技術等の可視化技術により容易化され得る。
【0153】
ポンプ16が始動され、左心房3と大動脈4との間の血流が調節され得る。血液は、デバイスを通って左心房3からデバイス11の近位端内に流入し、デバイス11の遠位端で開口部13から大動脈4内に出る。血流、血流のタイミング、温度および他のパラメータは、制御および調節することができる。同様に、血液がデバイス11を通過する際に、薬物および/もしくは酸素が添加され得、ならびに/または汚染物質が血液から除去され得る。血液がデバイス11内に吸引されると、シールド部9によって、周囲組織が血液通過を妨げるのが防止される。血流は、デバイス11を左心房内に後方へ押す傾向があるが、デバイス11は、前述のような固定手段によって固定化される。
【0154】
流量調整デバイス11は、充電、修理または交換が必要な場合、処理が完了したら患者から取り除かれてもよい。シース21、23が患者の生体構造を通して挿入され、流量調整デバイス11との連結のための手段を備える専用の(非)連結デバイス35が使用される。(非)連結デバイスは、例えば流量調整デバイス11内の対応する窪み36bに係合する1つ以上の係合タブ36aを用いて流量調整デバイス11に取り付けられる。取り付け手段は、遠隔制御可能である。(非)連結デバイスは、流量調整デバイス11を接続具2から緩めるための回転手段を備え、流量調整デバイス11は、シース21、23を通して安全に回収することができる。(非)連結デバイスはまた、挿入プロセスにおいて、シース21、23を通して流量調整デバイス11を前進させるために、また流量調整デバイス11を接続具2にねじ込むために使用されてもよい。
【0155】
デバイス11を取り除いた後、ゲート部11が閉じ、血流が中断され、接続具2は所定位置に維持されてもよく、または取り除かれてもよい。
【0156】
本発明は、左心房から大動脈への手技に関して説明されたが、システムおよび方法はまた、右心房-大動脈、大静脈-肺動脈、大静脈-大動脈を含むがこれらに限定されない他の送達部位にも適用することができる。したがって、本発明は、例えば、左補助人工心臓(LVAD)、右補助人工心臓(RVAD)もしくは両側補助人工心臓(BiVAD)として、心肺補助(CPS)、または体内膜酸素化(ICMO)もしくは気泡型酸素化のため、圧力問題を有する他の器官の処置(例えば胃もしくは神経学的手技)のために広く適用することができる。本発明は多目的であり、したがって広範な用途が想定され得る。
【0157】
上記説明から、本発明は、現行の経皮的手技の新規な代替法を構成する。この経皮的手技は、限定された機械装置およびデバイスを必要とし、単純であると共に安全でより安価な現行の手技の代替法を提供する。侵襲性および外傷性の開胸手術が必要ないように、全ての要素が経皮的に挿入および移植される。さらに、本明細書に記載のデバイスは、小児に対する処置にも容易に適用され得る。
【0158】
本発明は、人工的に形成された流体経路に依存することに留意することが重要である。心肺または循環虚脱および心不全は、様々な後天的または先天的状態の結果である可能性があり、心臓ならびに循環および呼吸器系の異なる解剖学的部分に影響し得る。現行の手技は、既存の欠陥のある解剖学的部分の修復または交換を目指す場合が多い。本発明は、循環系の欠陥部分を迂回することができ、現在の処置と比較して新規な処置原理および技術の使用を可能にする人工的に形成された経路に依存するという点で、より寛容な手技を提供する。
【0159】
それにもかかわらず、生来の経路を通る流体の流れが不十分である、欠乏している、または不規則であり、経路または流体の流れを修復することが必要となる場合に、本発明を使用することが想定される。これは、例えば、重度の肺動脈弁狭窄、重度の大動脈弁狭窄症、閉鎖症、および重度のMV狭窄症の場合である。
【0160】
本発明は、上述のようなガイドワイヤおよび統合された穿孔形成ヘッドを備える挿入デバイスを使用することにより、構造的に感受性の解剖学的壁の安全で非外傷性の穿孔形成を可能にする。本発明は、構造的に感受性の壁の完全性を保存する、上述のような接続具を使用した流量調整デバイスの安全な移植、位置付けおよび作業を可能にする。本発明は、従来の方法による処置を妨げる解剖学的欠陥を有し得る弱い患者の処置を可能にする。本発明は、より小さい患者、例えば小児の処置、または大型のデバイスを使用もしくは導入することが不可能な場合の処置を可能にする。本発明は、患者の手技後の離床に影響しない低侵襲性の手技を提供する。
【0161】
本システムは、より短くより有益な経路を通した、1つの区画から別の区画への改善された治療器具の送達のための、安全で安定な予測可能な構造である。
【0162】
本発明のさらなる態様は、以下の項目から分かる。
【0163】
項目1:少なくとも1つの解剖学的壁を通る2つの解剖学的区画間の流体連通のための体内接続具を備える経カテーテルシステム。
【0164】
項目2:接続具が、一方の区画から他方の区画への流体通過のためのネック部と、解剖学的壁を横切ってネック部を固定するための固定手段と備える、項目1に記載のシステム。
【0165】
項目3:固定手段が、ネック部の第1の端部から延在する拡張可能なアンカー部を備える、項目2に記載のシステム。
【0166】
項目4:アンカー部が、拡張状態では、解剖学的壁と実質的に平行に位置する、項目3に記載のシステム。
【0167】
項目6:接続具は、組織がネック部を通る流体通過を妨げるのを防止するための防止手段を備える、請求項2~4のいずれか一つに記載のシステム。
【0168】
項目6:防止手段が、ネック部の第2の端部から延在する拡張可能なシールド部を備える、項目5に記載のシステム。
【0169】
項目7:シールド部が、拡張状態では、解剖学的壁と実質的に接しない、項目6に記載のシステム。
【0170】
項目8:接続具が、全体的にまたは部分的に形状記憶材料から作られている、項目1~7のいずれか一つに記載のシステム。
【0171】
項目9:ネック部が、ネック部を通しての流体の通過を選択的に防止または許容するためのゲート部を備える、項目2~8のいずれか一つに記載のシステム。
【0172】
項目10:2つの解剖学的区画間の流体の流れを調整するための体内デバイスをさらに備える、項目1~9のいずれか一つに記載の経カテーテルシステム。
【0173】
項目11:流量調整デバイスが、体内接続具を通る流体の流れを許容または防止するためのアクチュエータを備える、項目10に記載のシステム。
【0174】
項目12:流量調整デバイスがポンプを備える、項目11または12に記載のシステム。
【0175】
項目13:流体を処理するための流体処理手段をさらに備える、項目1~12のいずれか一つに記載のシステム。
【0176】
項目14:流体処理手段が、流体を1つ以上の薬剤化合物と接触させるための手段を備える、項目13に記載のシステム。
【0177】
項目15:流体処理手段が、流体を酸素等の1つ以上のガスと接触させるための手段を備える、項目13または14に記載のシステム。
【0178】
項目16:流量調整デバイスを体内接続具に固定するための手段をさらに備える、項目10~15のいずれか一つに記載のシステム。
【0179】
項目17:流量制御手段が、少なくとも1つの刃を支持する回転可能なシャフトを備え、前記刃は、シャフトの長手方向に伸長して挿入形状になるように構成されている、項目10~16のいずれか一つに記載のシステム。
【0180】
項目18:刃が、シャフトの長手方向に弛緩して作業形状になるように構成されている、項目17に記載のシステム。
【0181】
項目19:シャフトの横方向において、刃の寸法が、挿入形状におけるよりも作業形状においてより大きい、項目18に記載のシステム。
【0182】
項目20:刃がスクリュー型の刃である、項目17~19のいずれか一つに記載のシステム。
【0183】
項目21:刃が、長手方向に弾性の材料から作られている、項目17~20のいずれか一つに記載のシステム。
【0184】
項目22:一方または両方の解剖学的区画が循環系の区画である、項目1~21のいずれか一つに記載のシステム。
【0185】
項目23:流体が血液である、項目1~22のいずれか一つに記載のシステム。
【0186】
項目24:当該システムが補助人工心臓である、1~23のいずれか一つに記載のシステム。
【0187】
項目25:針本体と、ガイドワイヤと、穿孔形成ヘッドとを備える針を具備する経皮挿入デバイスをさらに備える、請求項1~24のいずれか一つに記載のシステム。
【0188】
項目26:穿孔形成ヘッドが中実の先端部を備える、項目25に記載のシステム。
【0189】
項目27:穿孔形成ヘッドの最も広い断面の寸法がガイドワイヤの遠位端の断面の寸法と実質的に同じである、項目25または26に記載のシステム。
【0190】
項目28:挿入デバイスが拡張器をさらに備える、請求項25~27のいずれか一つに記載のシステム。
【0191】
項目29:穿孔形成ヘッドの最も広い断面の寸法が拡張器の遠位端の断面の寸法と実質的に同じである、項目28に記載のシステム。
【0192】
項目30:挿入デバイスがシースを誘導するための手段を備える、項目25~29のいずれか一つに記載のシステム。
【0193】
項目31:項目1~29のいずれか一つに記載されている体内接続具。
【0194】
項目32:項目10~21のいずれか一つに記載されている体内流量調整デバイス。
【0195】
項目33:項目25~30のいずれか一つに記載されている経皮挿入デバイス。
【0196】
項目34:2つの解剖学的区画間に流体連通を可能とするための経皮方法であって、
(a)解剖学的区画を隔てている壁に穿孔形成する穿孔形成ステップと、
(b)2つの区画間の流体連通のために穿孔を通して体内接続具を挿入する挿入ステップと
を含む、経皮方法。
【0197】
項目35:穿孔形成ステップが、請求項25~30のいずれか一つに記載の挿入デバイスを使用して実行される、項目34に記載の方法。
【0198】
項目36:体内接続具が、請求項1~30のいずれか一つに記載の接続具である、項目34または35に記載の方法。
【0199】
項目37:2つの解剖学的区画間の流体の流量を調整するステップをさらに含む、項目34~36のいずれか一つに記載の方法。
【0200】
項目38:流体の流量が、項目10~30のいずれか一つに記載の体内流量調整デバイスを使用して調整される、項目37に記載の方法。
【0201】
項目39:流体を処理するステップをさらに含む、項目34~38のいずれか一つに記載の方法。
【0202】
項目40:流体の処理が、項目13~15のいずれか一つに記載の処理手段を使用して実行される、項目38に記載の方法。
【0203】
項目41:一方または両方の解剖学的区画が循環系の区画である、項目34~40のいずれか一つに記載の方法。
なお、本発明の態様として下記が開示される。
(項目A1)
少なくとも1つの解剖学的壁を通る2つの解剖学的区画間の流体連通のための体内接続具を備える経カテーテルシステムであって、前記体内接続具が、流量調整デバイスを受容するように構成されている、経カテーテルシステム。
(項目A2)
前記流量調整デバイスが前記体内接続具に連結されている場合、流体は、第1の区画から第2の区画に流れることができ、前記流量調整デバイスが前記体内接続具に連結されていない場合、流体は、前記第1の区画から前記第2の区画に流れることができない、項目A1に記載の経カテーテルシステム。
(項目A3)
前記流量調整デバイスを前記体内接続具に着脱可能に固定するための固定手段をさらに備える、項目A1またはA2に記載の経カテーテルシステム。
(項目A4)
前記体内接続具および前記流体調整デバイスが、相補的なねじ手段を備える、項目A3に記載の経カテーテルシステム。
(項目A5)
前記固定手段を密封するための手段をさらに備える、項目A3またはA4に記載の経カテーテルシステム。
(項目A6)
前記体内接続具が、一方の区画から他方の区画への流体通過のためのネック部を備える、項目A1~A5のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A7)
前記ネック部が、前記流量調整デバイスを前記体内接続具に着脱可能に固定するように構成されている、項目A6に記載の経カテーテルシステム。
(項目A8)
前記解剖学的壁を横切って前記ネック部を固定するための手段をさらに備える、項目A6またはA7に記載の経カテーテルシステム。
(項目A9)
前記固定手段が、前記ネック部の第1の端部から延在する拡張可能なアンカー部を備える、項目A8に記載の経カテーテルシステム。
(項目A10)
前記アンカー部が、拡張状態では、前記第2の区画の前記解剖学的壁と実質的に平行に位置する、項目A9に記載の経カテーテルシステム。
(項目A11)
前記体内接続具は、組織が前記ネック部を通る流体通過を妨げるのを防止するための防止手段を備える、項目A6~A10のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A12)
前記防止手段が、前記ネック部の第2の端部から延在する拡張可能なシールド部を備える、項目A11に記載の経カテーテルシステム。
(項目A13)
前記体内接続具が、前記第1の区画から前記第2の区画への流体の通過を選択的に防止または許容するためのゲート部をさらに備える、項目A1~A12のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A14)
前記ゲート部が、前記体内接続具の前記ネック部に位置する、項目A13に記載の経カテーテルシステム。
(項目A15)
前記ゲート部は、前記流量調整デバイスが前記ゲート部を通って受容されたときに流体の通過を許容することが可能であり、前記流量調整デバイスの非存在下では流体の通過を防止する、項目A13またはA14に記載の経カテーテルシステム。
(項目A16)
前記体内接続具が折り畳み可能である、項目A1~A15のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A17)
前記体内接続具が、全体的にまたは部分的に形状記憶材料から作られている、項目A1~A16のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A18)
前記2つの解剖学的区画間の流体の流れを調整するための体内デバイスをさらに備える、項目A1~A17のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A19)
前記流量調整デバイスが、前記体内接続具を通る流体の流れを許容または防止するためのアクチュエータを備える、項目A18に記載の経カテーテルシステム。
(項目A20)
前記流量調整デバイスが、使用時に前記第1の区画内に配置される第1の部分と、使用時に前記第2の区画内に配置される第2の部分と、使用時に前記解剖学的壁を通って配置される中間部とを備える、項目A18またはA19に記載の経カテーテルシステム。
(項目A21)
使用時に、前記中間部が、前記体内接続具の前記ネック部を通って配置され、前記ネック部に固定される、項目A20に記載の経カテーテルシステム。
(項目A22)
前記中間部が、前記体内接続具の前記ゲート部を通って配置される、項目A20またはA21に記載の経カテーテルシステム。
(項目A23)
前記中間部が、前記第1の区画と前記第2の区画との間の流体連通のためのチャネルを備える、項目A20~A22のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A24)
前記流量調整デバイスの前記中間部が前記体内接続具に連結されている場合、流体は、前記第1の区画から前記第2の区画に流れることができ、前記流量調整デバイスの前記中間部が前記体内接続具に連結されていない場合、流体は、前記第1の区画から前記第2の区画に流れることができない、項目A20~A23のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A25)
前記流量調整デバイスがポンプを備える、項目A18~A24のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A26)
前記ポンプが、前記流量調整デバイスの前記第1の部分に配置される、項目A25に記載の経カテーテルシステム。
(項目A27)
前記ポンプが、少なくとも1つの刃を支持する回転可能なシャフトを備え、前記刃が、前記シャフトの長手方向に伸長して挿入形状になるように構成されている、項目A25またはA26に記載の経カテーテルシステム。
(項目A28)
前記刃が、前記シャフトの前記長手方向に弛緩して作業形状になるように構成されている、項目A27に記載の経カテーテルシステム。
(項目A29)
前記シャフトの横方向において、前記刃の寸法が、前記挿入形状におけるよりも前記作業形状においてより大きい、項目A27またはA28に記載の経カテーテルシステム。
(項目A30)
前記刃がスクリュー型の刃である、項目A27~A29のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A31)
前記刃が、長手方向に弾性の材料から作られている、項目A27~A30のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A32)
前記ポンプが倒立スクリューポンプ手段を備える、項目A25またはA26に記載の経カテーテルシステム。
(項目A33)
前記流量調整デバイスが、前記流体を処理するための流体処理手段を備える、項目A18~A32のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A34)
前記流体処理手段が、前記流体を1つ以上の薬剤化合物と接触させるための手段を備える、項目A33に記載の経カテーテルシステム。
(項目A35)
前記流体処理手段が、前記流体を酸素等の1つ以上のガスと接触させるための手段を備える、項目A33またはA34に記載の経カテーテルシステム。
(項目A36)
前記第1の部分および/または前記第2の部分が、前記第1の区画から前記第2の区画への流体通過のための1つ以上の開口部を備える、項目A20~A35のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A37)
前記流量調整デバイスが、前記流量調整デバイスを前記体内接続具に固定するための手段を備える、項目A20~A36のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A38)
前記流量調整デバイスの前記第2の部分が、前記解剖学的壁または前記体内接続具の前記拡張可能なアンカー部に対して当接するための1つ以上のフランジを備える、項目A37に記載の経カテーテルシステム。
(項目A39)
前記中間部が、拡張可能な材料から作られている、項目A37またはA38に記載の経カテーテルシステム。
(項目A40)
前記第1の部分が、前記中間部の断面の直径よりも大きい直径の断面を備える、項目A20~A39のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A41)
前記第2の部分が実質的に円錐形である、項目A20~A40のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A42)
前記第2の部分が、丸みを帯びた遠位先端部を備える、項目A20~A41のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A43)
前記流量調整デバイスが、該流量調整デバイスを通るガイドワイヤを受容するように構成されている、項目A20~A42のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A44)
前記第1の部分、前記第2の部分および/または前記中間部が、これらを通るガイドワイヤを受容するための開口部を備える、項目A43に記載の経カテーテルシステム。
(項目A45)
前記流量調整デバイスが、長手方向軸線に沿ってガイドワイヤを受容するように構成されている、項目A43またはA44に記載の経カテーテルシステム。
(項目A46)
前記流量調整デバイスが、全体的にまたは部分的に折り畳み可能である、項目A18~A45のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A47)
一方または両方の前記解剖学的区画が循環系の区画である、項目A1~A46のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A48)
前記流体が血液である、項目A1~A47のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A49)
当該経カテーテルシステムが補助人工心臓である、項目A1~A48のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A50)
前記解剖学的区画が、2つの解剖学的壁によって隔てられる、項目A1~A49のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A51)
前記2つの解剖学的区画が、解剖学的に隣接していない2つである、項目A1~A50のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A52)
前記体内接続具および前記流体調整デバイスが、単一のデバイスとして構築されている、項目A1~A51のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A53)
項目A1~A17のいずれか一項に記載されている体内接続具。
(項目A54)
項目A18~A46のいずれか一項に記載されている体内流量調整デバイス。
(項目A55)
一体成形された穿孔形成ヘッドを備えるガイドワイヤを備える、経カテーテル挿入デバイス。
(項目A56)
前記穿孔形成ヘッドが中実の遠位先端部を備える、項目A55に記載の経カテーテル挿入デバイス。
(項目A57)
前記穿孔形成ヘッドが円錐形の遠位先端部を有する、項目A55またはA56に記載の経カテーテル挿入デバイス。
(項目A58)
円錐形の前記遠位先端部の基部の直径が、前記ガイドワイヤの直径と実質的に同じである、項目A57に記載の経カテーテル挿入デバイス。
(項目A59)
前記ガイドワイヤが、前記穿孔形成ヘッドの周囲に巻き付くことが可能である、項目A58に記載の経カテーテル挿入デバイス。
(項目A60)
前記ガイドワイヤが、形状記憶材料から作られている、項目A59に記載の経カテーテル挿入デバイス。
(項目A61)
拡張器をさらに備える、項目A55~A60のいずれか一項に記載の経カテーテル挿入デバイス。
(項目A62)
送達シースをさらに備える、項目A55~A61のいずれか一項に記載の経カテーテル挿入デバイス。
(項目A63)
外側送達シースをさらに備える、項目A55~A62のいずれか一項に記載の経カテーテル挿入デバイス。
(項目A64)
添付の図面および例を参照して本明細書に記載される経カテーテル挿入デバイス。
(項目A65)
少なくとも1つの解剖学的壁によって隔てられた2つの解剖学的区画間に流体連通を可能とするための経カテーテル法であって、
(a)前記解剖学的区画を隔てている前記解剖学的壁に穿孔形成する穿孔形成ステップと、
(b)穿孔を通して体内接続具を挿入する挿入ステップと、
(c)体内流量調整デバイスを前記体内接続具に連結するステップと
を含む、経カテーテル法。
(項目A66)
ステップ(c)が体内で実行される、項目A65に記載の経カテーテル法。
(項目A67)
前記穿孔形成ステップが、項目25~30のいずれか一項に記載の経カテーテル挿入デバイスを使用して実行される、項目A65またはA66に記載の経カテーテル法。
(項目A68)
前記体内接続具が、項目A1~A17のいずれか一項に記載の接続具である、項目A65~A68のいずれか一項に記載の経カテーテル法。
(項目A69)
前記体内流量調整デバイスが、項目A18~A46のいずれか一項に記載の体内流量調整デバイスである、項目A66~A68のいずれか一項に記載の経カテーテル法。
(項目A70)
前記解剖学的区画が、2つの解剖学的壁によって隔てられる、項目A55~A69のいずれか一項に記載の経カテーテル法。
(項目A71)
前記2つの解剖学的区画が、解剖学的に隣接していない2つである、項目A55~A70のいずれか一項に記載の経カテーテル法。
(項目A72)
前記挿入デバイスを使用して前記穿孔形成ステップ(a)の前に、前記2つの解剖学的壁を押して接触させるステップをさらに含む、項目A70またはA71に記載の経カテーテル法。
(項目A73)
前記挿入ステップ(b)が、前記挿入デバイスを使用して実行される、項目A67に記載の経カテーテル法。
(項目A74)
前記挿入デバイスが、一体成形された穿孔形成ヘッドを備えるガイドワイヤを備える、項目A73に記載の経カテーテル法。
(項目A75)
前記穿孔形成ヘッドを使用して前記解剖学的区画を隔てている前記解剖学的壁に穿孔形成するステップと、前記ガイドワイヤを使用して穿孔を通して前記体内接続具を誘導するステップと、を含む、項目A74に記載の経カテーテル法。
(項目A76)
前記体内流量調整デバイスを挿入して、前記体内接続具に対する連結位置に位置付けるステップをさらに含む、項目A65~A75のいずれか一項に記載の経カテーテル法。
(項目A77)
前記挿入デバイスの前記ガイドワイヤを使用して前記体内流量調整デバイスを誘導するステップを含む、項目A76に記載の経カテーテル法。
(項目A78)
前記体内接続具が、折り畳まれた状態で挿入される、項目A65~A77のいずれか一項に記載の経カテーテル法。
(項目A79)
前記体内流量調整デバイスが、折り畳まれた状態で挿入される、項目A65~A78のいずれか一項に記載の経カテーテル法。
(項目A80)
前記体内接続具を前記解剖学的壁(複数または単数)に固定するステップをさらに含む、項目A65~A79のいずれか一項に記載の経カテーテル法。
(項目A81)
前記体内流量調整デバイスを前記体内接続具に固定するステップをさらに含む、項目A65~A80のいずれか一項に記載の経カテーテル法。
(項目A82)
組織が前記体内流量調整デバイスを通る流体通過を妨げるのを防止するステップをさらに含む、項目A65~A81のいずれか一項に記載の経カテーテル法。
(項目A83)
前記体内流量調整デバイス内に含まれるポンプによって流体の流れを調整するステップをさらに含む、項目A65~A82のいずれか一項に記載の経カテーテル法。
(項目A84)
前記流体を処理するステップをさらに含む、項目A65~A83のいずれか一項に記載の経カテーテル法。
(項目A85)
前記流体を1つ以上の薬剤化合物と接触させるステップを含む、項目A84に記載の経カテーテル法。
(項目A86)
前記流体を酸素等の1つ以上のガスと接触させるステップをさらに含む、項目A84またはA85に記載の経カテーテル法。
(項目A87)
前記流体内量調整デバイスを前記体内接続具から取り外して回収するステップをさらに含む、項目A65~A86のいずれか一項に記載の経カテーテル法。
(項目A88)
前記体内流量調整デバイスを取り外して回収する前記ステップが、回収デバイスを使用して実行される、項目A87に記載の経カテーテル法。
(項目A89)
前記回収デバイスが、前記体内流量調整デバイスを把持するための手段を備える、項目A88に記載の経カテーテル法。
(項目A90)
一方または両方の区画が、循環系の区画である、項目A65~A89のいずれか一項に記載の経カテーテル法。
(項目A91)
前記解剖学的区画の一方が、心臓の左心房である、項目A90に記載の経カテーテル法。
(項目A92)
前記解剖学的区画の一方が、大動脈である、項目A88またはA89に記載の経カテーテル法。
(項目A93)
前記解剖学的壁が、左心房の天蓋部および大動脈壁である、項目A90またはA91に記載の経カテーテル法。
(項目A94)
項目A1~A54のいずれか一項に記載の経カテーテルシステムを挿入するための方法であって、項目A55~A64のいずれか一項に記載の経カテーテル挿入デバイスを使用して2つの解剖学的区画を隔てている少なくとも1つの解剖学的壁に穿孔形成するステップを含む、方法。
(項目A95)
前記解剖学的区画が、2つの解剖学的壁によって隔てられる、項目A94に記載の挿入方法。
(項目A96)
前記2つの解剖学的区画が、解剖学的に隣接していない2つである、項目A94またはA95に記載の挿入方法。
(項目A97)
前記穿孔形成ヘッドが穿孔形成されるべき前記解剖学的壁に当接するまで、前記挿入デバイスを患者の循環系内に挿入するステップを含む、項目A94~A96のいずれか一項に記載の挿入方法。
(項目A98)
前記挿入デバイスを使用して、前記2つの解剖学的区画を押して互いに接触させるステップを含む、項目A94~A97のいずれか一項に記載の挿入方法。
(項目A99)
前記穿孔形成ヘッドを使用して前記角棒学的区画を隔てている前記解剖学的壁に穿孔形成するステップと、前記ガイドワイヤを使用して穿孔を通して経皮デバイスを誘導するステップと、を含む、項目A94~A98のいずれか一項に記載の挿入方法。
(項目A100)
前記穿孔形成ヘッドが前記患者の生体構造に外傷を引き起こすのを防止するステップを含む、項目A94~A99のいずれか一項に記載の挿入方法。
(項目A101)
前記経カテーテルシステムが、大腿動脈および/または下大静脈を通って挿入される、項目A94~A100のいずれか一項に記載の挿入方法。
(項目A102)
前記解剖学的区画の一方が、心臓の左心房である、項目A94~A101のいずれか一項に記載の挿入方法。
(項目A103)
前記解剖学的区画の一方が、大動脈である、項目A94~A102のいずれか一項に記載の挿入方法。
(項目A104)
前記解剖学的壁が、左心房の天蓋部および大動脈壁である、項目A94に記載の挿入方法。
(項目A105)
心不全、拡張期心不全、収縮期心不全、左心室不全、右心室不全、小児心奇形および/またはシャントの治療に使用するための、項目A1~A54のいずれか一項に記載の経カテーテルシステム。
(項目A106)
添付の図面および例を参照して本明細書に実質的に記載される、経カテーテルシステム。
(項目A107)
添付の図面および例を参照して本明細書に実質的に記載される、体内接続具。
(項目A108)
添付の図面および例を参照して本明細書に実質的に記載される、体内流量調整デバイス。
(項目A109)
添付の図面および例を参照して本明細書に実質的に記載される、経カテーテル挿入デバイス。
(項目A110)
添付の図面および例を参照して本明細書に実質的に記載される、経カテーテル法。
(項目A111)
添付の図面および例を参照して本明細書に実質的に記載される、挿入方法。