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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】検知システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20230725BHJP
   G08B 13/24 20060101ALI20230725BHJP
   E06B 7/06 20060101ALI20230725BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20230725BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20230725BHJP
【FI】
F24F7/007 B
G08B13/24
E06B7/06
E06B7/28 A
F24F11/77
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019127649
(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公開番号】P2021012001
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】一宮 昇平
(72)【発明者】
【氏名】中芝 考秀
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 啓生
(72)【発明者】
【氏名】左 勝旭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 好美
(72)【発明者】
【氏名】川原 大喜
(72)【発明者】
【氏名】園田 雄飛
(72)【発明者】
【氏名】松岡 康友
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 貴司
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-122004(JP,A)
【文献】特開2007-310530(JP,A)
【文献】特開平04-073536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
F24F 11/00-11/89
G08B 13/24
E06B 7/06
E06B 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に設けられた換気口の室内側を開閉する換気扉と、
前記換気口内に設けられた無線タグと、
前記建物の室内に設けられ、前記無線タグとの間で無線通信を行う通信装置と、
前記通信装置と電気的に接続された制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
記無線タグと前記通信装置との間の無線通信が前記換気扉及び前記外壁で遮断され前記無線タグが検知されないときは、前記換気扉が閉じられ前記換気口が閉止状態にあると判断し、
記無線タグと前記通信装置との間の無線通信が前記換気口を介して可能になり前記無線タグを検知すると、前記換気扉が開かれ前記換気口が開放状態にあると判断する
検知システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記換気扉が閉じられている必要があるにもかかわらず開いていると判断すると、前記換気扉が開いていることを報知する、
請求項1に記載の検知システム。
【請求項3】
前記制御装置は、設定された時間に前記換気扉が開いていると、前記換気扉が開いていることを報知する、
請求項2に記載の検知システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記建物の外に設置した雨量センサーが降雨を検出すると、前記換気扉を閉めるように報知する、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項5】
前記無線タグは、温度を測定する機能を有し、
前記換気扉が開かれ前記換気口が開放状態において、前記無線タグは、前記換気口を通る空気の温度を測定した測定結果を前記通信装置に送信し、
前記通信装置は、受信した前記測定結果を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記測定結果を利用して前記建物の室内の空調制御を行う、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無線タグを利用して構築した開閉構造物の異常検知装置に関する技術が開示されている。この先行技術における異常検知装置は、電波の送受信機能を備える検出装置と、窓・扉等の開閉構造物に取着され検出装置から送信される電波信号に基づいて検出装置へ応答信号を送信する無線タグとから成っている。また、無線タグは、開閉構造物の開閉状態を検知して信号送信機能を有効又は無効にするスイッチを有している。そして、検出装置が、無線タグからの応答信号の有無を検出して検知信号を出力するようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-115409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、無線タグには、開閉構造物の開閉状態を検知して信号送信機能を有効又は無効にするスイッチが必要であり、システムが複雑である。
【0005】
本発明は、上記事実に鑑み、無線タグと通信装置との間の無線通信が遮断又は阻害された状態と、無線通信が可能な状態と、を容易に検知することが可能な検知システムを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様は、構造体に設けられた開口部を開閉する開閉部材と、前記開口部の開口面の一方側に設けられた無線タグと、前記開口部の開口面の他方側に設けられ、前記無線タグとの間で無線通信を行う通信装置と、を備え、前記開閉部材によって前記開口部が閉止されると、前記無線タグと前記通信装置との間の無線通信が前記開閉部材及び前記構造体で遮断され、前記開閉部材によって前記開口部が開放されると、前記無線タグと前記通信装置との間の無線通信が前記開口部を介して可能になる、検知システムである。
【0007】
第一態様の検知システムでは、開閉部材によって構造体の開口部が閉止されると、無線タグと通信装置との間の無線通信が開閉部材及び構造体で遮断されるので、無線タグが検知されない。また、開閉部材によって開口部が開放されると、無線タグと通信装置との間の無線通信が開口部を介して可能になり、無線タグが検知される。言い換えると、無線タグにスイッチ等を別途設けることなく、無線タグと通信装置との間の無線通信が遮断された状態と、無線通信が可能な状態と、を容易に検知することができる。よって、開閉部材による開口部の開閉状態を、無線タグ及び通信装置によって容易に検知することができる。
【0008】
第二態様は、前記開口部は、建物の外壁に設けられた換気口であり、前記開閉部材は、前記換気口に設けられた換気扉である、第一態様の検知システムである。
【0009】
第二態様の検知システムでは、換気扉によって換気口が閉止されると、無線タグと通信装置との間の無線通信が及び外壁で遮断され、無線タグが検知されない。換気扉によって換気口が開放されると、無線タグと通信装置との間の無線通信が換気口を介して可能になり、無線タグが検知される。このように換気扉による換気口の開閉状態を、無線タグ及び通信装置によって容易に検知することができる。
【0010】
第三態様は、前記開口部は、荷物を収納する収納体に設けられた取出口であり、前記開閉部材は、前記取出口に設けられた開閉扉であり、前記無線タグは、前記収納体に収納された前記荷物に設けられ、前記通信装置は、前記収納体の外に設けられている、第一態様の検知システムである。
【0011】
第三態様の検知システムでは、収納体に荷物が収納され、開閉扉によって取出口が閉止されると、無線タグと通信装置との間の無線通信が開閉部材及び収納体で遮断され、荷物に設けられた無線タグが検知されない。また、開閉扉によって取出口が開放されると、無線タグと通信装置との間の無線通信が取出口を介して可能となり、荷物に設けられた無線タグが検知される。このように、荷物が取出口から取り出し可能な状態にあることを、無線タグ及び通信装置によって容易に検知することができる。
【0012】
第四態様は、収納部に収納される荷物と、前記収納部内に設けられた無線タグと、前記収納部外に設けられ、前記無線タグとの間で無線通信を行う通信装置と、を備え、前記収納部に前記荷物が収納されている状態では、前記通信装置と前記無線タグとの間の無線通信を前記荷物が阻害し、前記収納部に前記荷物が収納されていない状態では、前記通信装置と前記無線タグとの間の無線通信が可能になる、検知システムである。
【0013】
第四態様の検知システムでは、荷物が収納部に収納されている場合は、無線タグと通信装置との間の無線通信が荷物によって阻害される。また、荷物が収納部に収納されていない場合は、無線タグと通信装置との間の無線通信が可能になる。言い換えると、無線タグにスイッチ等を別途設けることなく、無線タグと通信装置との間の無線通信が阻害された状態と、無線通信が可能な状態と、を容易に検知することができる。よって、収納部に荷物が収納されているか否かを、無線タグ及び通信装置によって容易に検知することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、無線タグと通信装置との間の無線通信が遮断又は阻害された状態と、無線通信が可能な状態と、を容易に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態の検知システムのブロック図と換気扉が開き換気口が開放された状態を模式的に示す水平断面図である。
図2】第一実施形態の検知システムのブロック図と換気扉が閉じ換気口が閉止された状態を模式的に示す水平断面図である。
図3】無線タグ、通信装置及び制御装置のブロック図である。
図4】第二実施形態の検知システムのブロック図と荷物が収納されたロッカーを模式的に示すX方向に沿った縦断面図である。
図5】第三実施形態の検知システムのブロック図と荷物が収納されたラックを模式的に示すY方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態の検知システムについて説明する。なお、水平方向の直交する2方向をX方向及びY方向とし、X方向及びY方向と直交する鉛直方向をZ方向とする。図1及び図2では、図面の法線方向がZ方向である。
【0017】
[構成]
先ず、本実施形態の検知システムの構成について説明する。
【0018】
図1図2及び図3に示すように、検知システム100は、無線タグ10と、無線タグ10との間で無線通信を行う通信装置20と、を備えている。通信装置20は、制御装置30に電気的に接続されている。
【0019】
本実施形態では、通信装置20は、UHF帯の電波DAを出力すると共に無線タグ10から出力された応答電波DB(図3参照)を受信する。また。本実施形態の無線タグ10は、通信装置20から出力された電波DAを受信することで起動して応答電波DB(図3参照)を出力する起電型RFIDタグである。なお、本実施形態の無線タグ10は、温度を測定する機能を有している。
【0020】
なお、図1及び図2の破線の扇状の線DAは、電波DAをイメージして図示されている。また、図3の矢印DAは通信装置20から出力された電波DAを示し、矢印DBは無線タグ10から出力された応答電波DBを示している。
【0021】
図1及び図2に示ように、建物110の外壁112には、換気口120が設けられている。この換気口120には、換気扉130が設けられている。換気扉130は、金属製とされ、また内開きである。なお、符号114は建物110の内側、つまり室内を示し、符号115は建物110の外側、つまり室外を示している。そして、前述した無線タグ10は、換気口120内における換気扉130の室外115側に配置され、通信装置20は室内114側に設置されている。
【0022】
図2に示すように、換気扉130が閉じられ換気口120が閉止された状態では、通信装置20から出力された電波DAは、金属製の換気扉130及び外壁112によって遮断され、無線タグ10に届かないので、通信装置20は無線タグ10を検知しない。
【0023】
図1に示すように、換気扉130が開かれ換気口120が開放された状態では、通信装置20から出力された電波DAが換気口120を通って無線タグ10に届くので、通信装置20は無線タグ10を検知する。
【0024】
なお、図1及び図2では、通信装置20及び無線タグ10は、それぞれ一つのみ図示されている。しかし、実際は、複数の換気口120のそれぞれに無線タグ10が設置され、これら複数の無線タグ10に対して、一又は複数の通信装置20に対して無線通信を行うように構成されている(図3を参照)。
【0025】
本実施形態では、制御装置30は、無線タグ10と通信装置20との間の無線通信が遮断され、無線タグ10が検知されない場合は、換気扉130が閉じられ換気口120が閉止状態にあると判断する。また、制御装置30は、無線タグ10と通信装置20との間で無線通信が可能で、無線タグ10が検知されている場合は、換気扉130が開かれ換気口120が開放状態にあると判断する。
【0026】
また、本実施形態の無線タグ10は、前述したように温度を測定する機能を有している。よって、換気扉130が開かれて換気口120が開放され、換気されている際に、換気口120を通る空気の温度を測定し、測定結果を通信装置20に送信する。そして、通信装置20は受信した空気の温度情報を制御装置30に送信する。
【0027】
[作用及び効果]
次に本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0028】
前述したように、制御装置30は、通信装置20が無線タグ10を検知していないと、換気扉130が閉じられ換気口120が閉止状態にあると判断し、通信装置20が無線タグ10を検知すると、換気扉130が開かれ換気口120が開放状態にあると判断する。
【0029】
このように換気扉130による換気口120の開閉状態を、無線タグ10及び通信装置20によって容易に検知することができる。
【0030】
また、無線タグ10によって、換気口120によって換気する空気の温度を測定し、その温度情報を通信装置20で受信することができる。
【0031】
ここで、無線タグ10と通信装置20との間の無線通信を用いて行う制御装置30の制御の一例を説明する。
【0032】
制御装置30は、換気扉130が閉じられている必要があるにもかかわらず開いていると判断した場合、例えば夕方5時以降も換気扉130が開いていた場合、図示していない報知装置によって、換気扉130が開いていることを報知し、換気扉130を閉めることを促す。
【0033】
また、制御装置30は、建物110の外、つまり室外115に設置された図示していない雨量センサーが降雨を検出すると、換気扉130を閉めるように図示してない報知装置によって報知する。
【0034】
また換気口120が開放されて換気されている際に、無線タグ10が測定した換気口120を通る空気の温度情報を収集した制御装置30は、建物110の室内114の空調制御等に利用する。
【0035】
<第二実施形態>
本発明の第二実施形態の検知システムについて説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には、同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。水平方向の直交する2方向をX方向及びY方向としX方向及びY方向と直交する鉛直方向をZ方向とする。図4では図面の法線方向がY方向である。
【0036】
[構成]
先ず、本実施形態の検知システムの構成について説明する。
【0037】
図4に示すように、検知システム200は、無線タグ10と、無線タグ10との間で無線通信を行う通信装置20と、を備えている。通信装置20は、制御装置30に電気的に接続されている。
【0038】
収納体の一例としての金属製のロッカー210は、荷物250を収納する複数の収納室220を有している。各収納室220の前面には、荷物250を出し入れするための取出口222がそれぞれ設けられている。各取出口222には、開閉部材の一例としての金属製の開閉扉230がそれぞれ設けられている。各収納室220は、取出口222以外は、金属製の壁面部224で囲まれている。
【0039】
無線タグ10は、各荷物250に取り付けられ、通信装置20はロッカー210の外に設置されている。
【0040】
なお、図4では、ロッカー210の収納室220は上下三段で図示され、その中段の収納室220の開閉扉230が開かれた状態を表している。なお、ロッカー210の収納室220が上下三段であることは一例であって、これに限定されるものではない。
【0041】
そして、ロッカー210の収納室220に荷物250が収納され、開閉扉230が閉じられ取出口222が閉止された状態(図4では、上段及び下段の収納室220)では、通信装置20から出力された電波DAは、金属製の開閉扉230及び収納室220の壁面部224によって遮断され、荷物250に取り付けられた無線タグ10に届かない。よって、通信装置20は、収納室220に収納された荷物250に取り付けられた無線タグ10を検知しない。
【0042】
また、開閉扉230が開かれ取出口222が開放された状態(図4では、中段の収納室220)では、通信装置20から出力された電波DAが取出口222を通って、荷物250に取り付けられた無線タグ10に届く。よって、通信装置20は、収納室220に収納された荷物250に取り付けられた無線タグ10を検知する。
【0043】
なお、開閉扉230が開かれ取出口222が開放された状態(図4では、中段の収納室220)でも、収納室220内に荷物250が収納されていない場合は、通信装置20は無線タグ10を検知しない。
【0044】
本実施形態では、制御装置30は、通信装置20が無線タグ10を検知すると、無線タグ10が検知された収納室220に収納された荷物250が取出口222から取り出し可能であると判断する。
【0045】
更に、制御装置30は、無線タグ10の検知数を検出することで、取り出し可能な荷物250の数を検出する。
【0046】
[作用及び効果]
次に本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0047】
前述したように、制御装置30は、通信装置20が無線タグ10を検知すると、収納室220に収納された荷物250が取出口222から取り出し可能であると判断する。
【0048】
このようにロッカー210の収納室220に収納された荷物250が取出口222から取り出し可能な状態にあることを、無線タグ10及び通信装置20によって容易に検知することができる。
【0049】
また、無線タグ10の検知数を検出することで、取り出し可能な荷物250の数を容易に検出することができる。
【0050】
ここで、無線タグ10と通信装置20との間の無線通信を用いて行う制御装置30の制御の一例を説明する。
【0051】
制御装置30は、開閉扉230がロックされていたにもかかわらず収納室220に収納された荷物250が取出口222から取り出し可能の状態である判断した場合、開閉扉230が壊される等し、盗難される虞があると判断する。そして、図示していない警報装置によって警報を発する。よって、開閉扉230を破壊して荷物250を持ち去ろうとしても、荷物250に取り付けられた無線タグ10を検知することで、迅速且つ容易に発見することができる。
【0052】
また、収納室220に収納された荷物250の数を検出することで、持ち去られた荷物250があるか否かを容易に検出することができる。更に、荷物250が持ち去られた後、無線タグ10を追跡することで、荷物250を早期に発見できる可能性がある。
【0053】
<第三実施形態>
本発明の第三実施形態の検知システムについて説明する。なお、第一実施形態及び第二実施形態と同一の部材には、同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。水平方向の直交する2方向をX方向及びY方向としX方向及びY方向と直交する鉛直方向をZ方向とする。図5では図面の法線方向がY方向である。
【0054】
[構成]
先ず、本実施形態の検知システムの構成について説明する。
【0055】
図5に示すように、検知システム300は、無線タグ10と、無線タグ10との間で無線通信を行う通信装置20と、を備えている。通信装置20は、制御装置30に電気的に接続されている。
【0056】
収納部の一例としての金属製のラック310は、荷物350を収納する複数の棚320を有している。本実施形態の荷物350は、外装部分が金属素材で構成されている。なお、外装部分が金属素材で構成されている荷物350とは、例えば金属製のコンテナ又は薄膜アルミが施された箱等である。
【0057】
無線タグ10は、ラック310の棚320の奥に設けられている。通信装置20はラック310の外に設置されている。
【0058】
なお、図5では、ラック310の棚320は上下三段で図示され、その中段の棚320には荷物350が収納されていない状態を表している。なお、ラック310の棚320が上下三段であることは一例であって、これに限定されるものではない。
【0059】
ここで、無線タグ10が金属面に接触している場合、通信装置20から出力された電波DAは、無線タグ10では電界成分が0又は略0になり、無線通信が阻害される。また、無線タグ10が金属面に約10mm以下に近接している場合、通信装置20から出力された電波DAは、金属面で反射し、その反射波が無線タグ10から出力された応答電波DB(図3参照)を妨害して打ち消し、無線通信が阻害される。このように無線タグ10が金属面に接触又は近接している場合、無線通信が阻害される。
【0060】
そして、ラック310の棚320に荷物350が収納された状態では、金属素材の外装の荷物350に無線タグ10が接触又は近接するので、通信装置20と無線タグ10との間の無線通信が荷物350によって阻害される。
【0061】
よって、ラック310の棚320に荷物350が収納されている状態(図5では、上段及び下段の棚320)では、金属素材の外装の荷物350によって無線通信が阻害され、通信装置20は、棚320の奥に設けられた無線タグ10を検知しない。
【0062】
また、棚320に荷物350が収容されていない状態(図5では、中段の棚320)では、通信装置20から出力された電波DAが棚320の奥に設けられた無線タグ10に届き、通信装置20は無線タグ10を検知する。
【0063】
本実施形態では、制御装置30は、通信装置20が無線タグ10を検知すると、無線タグ10が検知された棚320には、荷物350が収納されていないと判断する。
【0064】
[作用及び効果]
次に本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0065】
前述したように、制御装置30は、通信装置20が無線タグ10を検知すると、無線タグ10が検知された棚320には荷物350が収納されていないと判断する。
【0066】
このように、棚320に荷物350が収納されているか否かを無線タグ10及び通信装置20によって容易に検知することができる。
【0067】
ここで、無線タグ10と通信装置20との間の無線通信を用いて行う制御装置30の制御の一例を説明する。
【0068】
制御装置30は、無線タグ10が検知され荷物350が収納されていない棚320の情報を在庫管理のデータとして用いる。そして、荷物350の在庫が少なくなると自動的に発注する。或いは、荷物350が収納されていない棚320に荷物350を補充するように、図示していない報知装置によって報知する。
【0069】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0070】
例えば、第一実施形態では、建物110の外壁112の換気口120に設けた換気扉130の開閉を無線タグ10及び通信装置20で検知したが、これに限定されない。例えば、換気扉130以外の開閉部材、例えば、玄関ドア、窓及び室内ドア等の開閉の検知にも適用可能である。また、開き戸方式以外、スライド式の開閉部材にも適用可能である。また、左右方向でなく、上下方向に開閉する開閉部材にも適用可能である。
【0071】
また、例えば、第一実施形態では、無線タグ10は温度を測定する機能を有していたが、これに限定されない。無線タグ10は、温度を測定する機能を有していなくてもよいし、温度以外、例えば、湿度、照度、気圧、振動、衝撃、動作、ガス(CO、CO、VOC等)、歪み、人感、近接及び距離等を測定する機能を有していてもよい、
【0072】
また、第一実施形態だけでなく第二実施形態及び第三実施形態においても、無線タグ10は、温度、湿度、照度、気圧、振動、衝撃、動作、ガス(CO、CO、VOC等)、歪み、人感、近接及び距離等を測定する機能を有していてもよい。
【0073】
要は、無線タグ10は、対象の状態の監視、検出及び計測等を行うセンサー機能を有していてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、通信装置20は、UHF帯の電波DAを出力したが、これに限定されない。通信装置20が出力する電波DAの周波数帯は、限定されない。
【0075】
また、上記実施形態では、無線タグ10は、通信装置20から出力された電波DAを受信することで起動して応答電波DBを出力する起電型RFIDタグ、言い換えるとパッシブ型の無線タグであったが、これに限定されない。例えば、内蔵する電池等によって電気が供給されるアクティブ型の無線タグであってもよい。
【0076】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。複数の実施形態及び変形例等は、適宜、組み合わされて実施可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 無線タグ
20 通信装置
30 制御装置
100 検知システム
110 建物(構造体の一例)
112 外壁(構造体の一例)
120 換気口(開口部の一例)
130 換気扉(開閉部材の一例)
200 検知システム
210 ロッカー(構造体及び収納体の一例)
220 収納室(構造体及び収納体の一例)
222 取出口(開口部の一例)
230 開閉扉(開閉部材の一例)
250 荷物
300 検知システム
310 ラック(収納部の一例)
320 棚(収納部の一例)
350 荷物
図1
図2
図3
図4
図5