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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20230725BHJP
   D06F 58/32 20200101ALI20230725BHJP
【FI】
D06F58/02 F
D06F58/32
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018136795
(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2020010959
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-02-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊行
(72)【発明者】
【氏名】金田 至功
(72)【発明者】
【氏名】本村 隆行
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】長馬 望
【審判官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-161524(JP,A)
【文献】特開2017-79927(JP,A)
【文献】特開2006-87484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F58/00 - 58/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類が収容される乾燥室と、
前記乾燥室外において両端部が当該乾燥室と連通するように設けられた循環風路と、
前記乾燥室内の空気を、前記循環風路を通して循環させる送風装置と、
冷媒を圧縮機、凝縮器、減圧装置、及び蒸発器を通して循環させる冷凍サイクルを有し、前記循環風路内の空気の除湿と加熱を行うヒートポンプと、を具備し、
前記循環風路内において、循環する空気の上流側に前記蒸発器を下流側に前記凝縮器を夫々収容配置するとともに、前記循環風路外に、前記圧縮機を配置した構成にあって、
前記循環風路外において、前記圧縮機の周りを囲う囲い部を、前記循環風路に対し前記蒸発器と前記凝縮器との間の位置で連通するように設け、
前記囲い部の周壁において、外気を取り込むための第1開口であって当該囲い部における前記連通する位置から見て前記圧縮機の向こう側となる位置に第1開口を有し、前記連通する位置と前記第1開口の位置との間で前記圧縮機を風が当たる配置構成とすることにより、その第1開口から取り込んだ外気を、少なくとも当該囲い部内における前記圧縮機の左右両側を通して前記連通する位置から前記循環風路内へ吸入する吸気部として構成されている衣類乾燥機。
【請求項2】
前記循環風路内を循環する空気を前記循環風路外へ排出する排気部としての第2開口と、
前記第2開口を開閉する排気ダンパと、
前記圧縮機における巻線部の温度と相関を示す情報を出力するセンサと、
前記送風装置、前記ヒートポンプ、及び排気ダンパを制御して乾燥運転を実行する制御装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記巻線部の温度と相関を示す前記センサからの情報に基づいて、前記排気ダンパの開閉を制御する請求項1記載の衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、衣類乾燥機として、例えば衣類の洗濯機能と乾燥機能を備えた洗濯乾燥機が知られている。洗濯乾燥機においては、乾燥室として機能する水槽の外側に循環風路を設け、その水槽内の空気を、循環風路を通して送風装置の送風作用により循環させるとともに、当該循環風の除湿と加熱を、ヒートポンプの蒸発器と凝縮器により行う構成としている。
【0003】
この種のものでは、循環風路の内部において、循環風の上流側に蒸発器を配置し、その下流側にて分岐した2つの経路中に圧縮機と凝縮器を分けて配置したものが供されている。この構成によれば、循環風路の一方の経路において、比較的高温となる圧縮機の発熱作用を循環風の加熱に利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-80023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した一方の経路における循環風は凝縮器で加熱されず、又、圧縮機で不可避的に圧損が生じることとなる。
また、循環風路の外部に圧縮機を配置しても、その圧縮機の温度(特には圧縮機モータの巻線部の温度)の上昇を抑えるために、圧縮機の運転周波数を低減させたり減圧装置の開度を大きくせざるをえず、冷凍サイクルの効率ひいては乾燥効率が低下する虞がある。
【0006】
そこで、圧縮機が過度に高温となることを抑制することができるとともに乾燥効率を向上させることができる衣類乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の衣類乾燥機は、衣類が収容される乾燥室と、前記乾燥室外において両端部が当該乾燥室と連通するように設けられた循環風路と、前記乾燥室内の空気を、前記循環風路を通して循環させる送風装置と、冷媒を圧縮機、凝縮器、減圧装置、及び蒸発器を通して循環させる冷凍サイクルを有し、前記循環風路内の空気の除湿と加熱を行うヒートポンプと、を具備し、前記循環風路内において、循環する空気の上流側に前記蒸発器を下流側に前記凝縮器を夫々収容配置するとともに、前記循環風路外に、前記圧縮機を配置した構成にあって、前記循環風路外において、前記圧縮機の周りを囲う囲い部を、前記循環風路に対し前記蒸発器と前記凝縮器との間の位置で連通するように設け、前記囲い部の周壁において、外気を取り込むための第1開口であって当該囲い部における前記連通する位置から見て前記圧縮機の向こう側となる位置に第1開口を有し、前記連通する位置と前記第1開口の位置との間で前記圧縮機を風が当たる配置構成とすることにより、その第1開口から取り込んだ外気を、少なくとも当該囲い部内における前記圧縮機の左右両側を通して前記連通する位置から前記循環風路内へ吸入する吸気部として構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】洗濯乾燥機の内部を模式的に示す縦断側面図
図2】洗濯乾燥機の構成をヒートポンプとともに模式的に示す背面図
図3】天板部の一部を破断した状態で示す排気部付近の斜視図
図4】循環風路におけるダクトの一部を排気ダンパとともに示す縦断側面図
図5】循環風路の熱交換器用ダクトを圧縮機の囲い部とともに模式的に示す横断平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示す洗濯乾燥機1は、回転槽10内の衣類を洗濯する洗濯機としての機能と、回転槽10内の衣類を乾燥する衣類乾燥機としての機能を備えた、いわゆる横軸型のドラム式洗濯機である。
【0010】
洗濯乾燥機1において外郭をなす外箱2は、矩形箱状をなしている。外箱2の前面部2aは、やや前下がりの傾斜状に形成されており、この前面部2aには、図示しない洗濯物出入口を開閉する扉3が設けられている。詳しい図示は省略するが、外箱2における天板部2bの前部には、電源オンオフキーや表示部を備えた操作パネル4(図1参照)が設けられている。前記表示部は、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネルを有し、ユーザに対する種々の表示や、運転コース等の設定を行うことができる。
【0011】
図1図2に示すように、外箱2の内部には、回転槽10と、この回転槽10を収容する水槽7が設けられている。回転槽10は、内部に衣類を収容することが可能な有底円筒状をなすドラムであり、水槽7は、水を溜めることが可能な有底円筒状をなす槽であり、後述の乾燥室に相当する。
【0012】
水槽7は、その軸線が前後方向を向く横向きで、且つやや前上がりの傾斜状態で、図示しないサスペンションにより弾性的に支持されている。水槽7の前面開口部は、ベローズ7aを介して前記洗濯物出入口に接続されている。図示は省略するが、外箱2内の上部には、水槽7内へ給水するための給水機構が設けられており、この給水機構は、給水ホースを介して水道の蛇口に接続されている。
【0013】
水槽7の後側底部には排水口7bが設けられている。排水口7bには、排水弁8を介して排水管9が接続されている。排水弁8が閉鎖された状態で前記給水機構から水槽7内に水が供給された場合、その水は水槽7内に貯留される。排水弁8が開放されることに伴い、水槽7内に貯留されていた水は、排水管9を通して機外へ排出される。
【0014】
回転槽10は、水槽7と同様に、軸線が前後方向を向く横向きで、且つやや前上がりの傾斜状態で配置されている。回転槽10の前面開口部は、水槽7の前面開口部及び洗濯物出入口に連通しており、扉3を開放することで、洗濯物出入口から、水槽7と回転槽10の各前面開口部を通して回転槽10に対して衣類を出し入れすることができる。回転槽10には、図1に示すように多数の孔部10bが設けられている。孔部10bは、洗濯運転時には通水孔として機能し、脱水運転時には脱水孔として機能し、乾燥運転時には通風孔として機能する。
【0015】
水槽7の背面側には、例えばDCブラシレスモータからなるドラムモータ11が設けられている。ドラムモータ11の回転軸は、水槽7の背面を貫通して回転槽10の背面に連結されており、回転槽10は、ドラムモータ11により直接回転駆動される。
【0016】
外箱2の内部には、水槽7外に位置させて両端部を構成する排気ダクト13,給気ダクト17が当該水槽7と連通する循環風路12が配設されている。水槽7には、循環風路12の一端部となる排気ダクト13に連通接続される出口7cと、循環風路12の他端部となる給気ダクト17に連通接続される入口7dが設けられている。入口7dは、図2に示すように、水槽7の背面たる水槽端板におけるドラムモータ11上方の部位に設けられ、出口7cは、図1に示すように、水槽7の周壁部における前方の右側上部の部位に設けられている。
【0017】
循環風路12は、その一端部を構成する排気ダクト13と、他端部を構成する給気ダクト17との間に、フィルタ用ダクト14、中間ダクト15、及び熱交換器用ダクト16をこの順に連通接続したダクト部材13~17で形成されている。具体的には図1に示すように、循環風路12における一端部の排気ダクト13は、その前端部にて水槽7の出口7cに接続されている。排気ダクト13の後端部は、フィルタ用ダクト14に前方から接続されている。フィルタ用ダクト14の前部には、後述するフィルタ装置20が設けられている。フィルタ用ダクト14は、図4にも示すように、後方に向けて下降傾斜していて、後下端部が中間ダクト15の上端部に接続されている。
【0018】
中間ダクト15は、図2に示すように下方へ延び、その下端部が、熱交換器用ダクト16の一端部に接続されている。熱交換器用ダクト16は、外箱2下部において左右方向に延び、他端部が送風装置21のファンケーシング22における吸気口22aに接続されている。送風装置21は、ファンケーシング22と、このファンケーシング22内に配置されたファン21aと、このファン21aを回転駆動するファンモータ21bを備えている。ファンケーシング22の吐出口22bは上に向けられ、給気ダクト17の下端部に接続されている。給気ダクト17は、上下方向に延びていて、その上端部が、水槽7背面の前記入口7dに接続されている。
【0019】
これにより、ファンモータ21bが駆動されると、ファン21aの送風作用により、図1及び図2の矢印で示すように、ファンケーシング22の吐出口22bから吐出された空気が給気ダクト17を通り、入口7dから水槽7内、ひいては回転槽10内に供給される。また、回転槽10内或いは水槽7内の空気は、出口7cから排気ダクト13、フィルタ用ダクト14、中間ダクト15、熱交換器用ダクト16を順に通り、ファンケーシング22の吸気口22aからファンケーシング22内に吸い込まれる。このようにして、水槽7内の空気を、循環風路12を通して循環させることができる。
【0020】
図4に示すように、前記フィルタ装置20は、第1フィルタ部材25aと第2フィルタ部材25bとを有する二重構造のものであり、乾燥運転時に衣類から出る糸屑等のリントを捕獲する。第2フィルタ部材25bの網目は、第1フィルタ部材25aの網目に比して細かく、第1フィルタ部材25aを通過したリントも第2フィルタ部材25bで捕獲できるようになっている。各フィルタ部材25a,25bは、フィルタ用ダクト14のフィルタ収容部14aに対して着脱可能に装着されている。
【0021】
なお、図3図4に示すように、外箱2の天板部2bにおけるフィルタ装置20に対応する部位には、手掛け用の開口26aを有するフィルタカバー26が設けられている。この開口26aを蓋する蓋部27を、後端部の軸部27aを支点に押し下げ、開口26a縁部に手指を掛けてフィルタカバー26を引き上げることにより、フィルタカバー26を開放させることができる。このフィルタカバー26の開放状態で、各フィルタ部材25a,25bをフィルタ収容部14aから外して掃除することが可能となる。
【0022】
図4に示すように、フィルタ用ダクト14において、フィルタ収容部14aの後方側は、後方に向けて緩やかに下降傾斜しており、その途中の上部に略水平となる水平状部14bが設けられている。このダクト14の水平状部14bには、排気口28aが設けられている。図3に示すように、排気口28aは、前後方向に延び左右方向に並ぶ複数のスリットで形成されている。排気口28aは、フィルタ用ダクト14内ひいては循環風路12内と循環風路12外とを連通させ、当該風路12内を循環する空気を外部へ排出する排気部(第2開口)とされている。そして、水平状部14bの上面側には、排気口28aを開閉する排気ダンパ29が設けられている。排気ダンパ29は、一端部の軸部29a(図4参照)を支点に回動が可能で、図示しないダンパ用モータによって回動駆動される。
【0023】
図3図4に示すように、外箱2の天板部2bには、水平状部14bの上方付近に位置させて、後方に向けて下降傾斜する傾斜面2cが設けられている。当該天板部2bの傾斜面2cには、外側排気口28b(図4にのみ図示)が設けられている。外側排気口28bは、排気口28aと同様に、左右方向に並ぶ複数のスリットによって形成されていて、外箱2内と外箱2外とを連通させている。外側排気口28bは、排気口28aよりもスリット長が長く、排気口28aよりも開口面積が大きい。これにより、ファンモータ21bの運転時において、排気ダンパ29が開放動作して排気口28aが開放されると、循環風路12内を流れる空気の一部が、図1に矢印D1で示すように、排気口28aから外側排気口28bを通って外箱2の外部へ排出される。
【0024】
図2に示すように、前記熱交換器用ダクト16内には、ヒートポンプ30の凝縮器31と蒸発器32が配設されている。ヒートポンプ30は、周知のように、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機33と、圧縮機33から吐出された高温高圧の冷媒を放熱して凝縮させて液化させる凝縮器31と、この凝縮器31で液化した冷媒を減圧する絞り装置34と、この絞り装置34を通った冷媒を蒸発させる蒸発器32と、冷媒の圧縮機33への安定流入を図るアキュムレータ35とを、冷媒流路30aでサイクル接続した冷凍サイクルとして構成されている。
【0025】
このうち、凝縮器31は、熱交換器用ダクト16内を流れる空気を加熱する手段、蒸発器32は、熱交換器用ダクト16内を流れる空気を冷却して除湿する手段、絞り装置34は、例えば絞り弁からなる減圧装置で冷媒を減圧する手段である。圧縮機33は、吸入口33bと吐出口33aを有するとともに、図2に示すインバータ電源50a(後述の制御装置50)により駆動される圧縮機モータ33cを有し、吐出する冷媒量を変更可能な可変型のものである。アキュムレータ35は、冷媒を気体と液体に分離して、気体の冷媒を圧縮機33の吸入口33bに戻す。
【0026】
さて、本実施形態の循環風路12は、上記した熱交換器用ダクト16をメインダクトとし、その内部における上流側に蒸発器32を下流側に凝縮器31を夫々収容配置する一方、当該風路12の外部に、圧縮機33用の囲い部37を連設した構成としている。係る循環風路12における熱交換器用ダクト16並びに囲い部37の構成について、図5も参照しながら詳述する。ここで、図5は、熱交換器用ダクト16並びに囲い部37を模式的に表す平面図であり、説明の便宜上、その内部に配置された蒸発器32、凝縮器31、並びに圧縮機33を実線で示す横断平面図としている。
【0027】
図1図2図5に示すように、熱交換器用ダクト16は、外箱2内の下部において左右方向に延びており、全体として横長なケース状をなしている。熱交換器用ダクト16内において、中間ダクト15寄りの位置に蒸発器32が配置され、ファンケーシング22寄りの位置に凝縮器31が配置されている。これにより、熱交換器用ダクト16は一のケース体として、循環風の上流側から順に蒸発器32と凝縮器31を、相互に所定間隔を有して収容している。なお、熱交換器用ダクト16(以下、適宜「ダクト」16と略す)の底部には、図1図2に示すように、蒸発器32で除湿した除湿水を貯留するドレンタンク38が設けられている。
【0028】
図5に示すように、ダクト16の外壁16aたる前側壁には、圧縮機33用の囲い部37が前方へ張出すように設けられている。囲い部37は、ダクト16内における右寄りの蒸発器32と外壁16aを隔てた位置、つまり当該ダクト16の外部の位置にある。
【0029】
囲い部37は、その周壁となる側壁37a,37b,37c並びに前記ダクト16の外壁16aと、底壁37d及び上壁37e(図1参照)とで、圧縮機33の周りを囲う。このように、囲い部37は、ダクト16の外壁16aに対して一体的に設けられた壁37a~37eによって、圧縮機33を収容する箱型をなしている。なお、図1図5での図示は省略するが、圧縮機33に付設されるアキュムレータ35は、囲い部37に収容されることなく、囲い部37の直ぐ外側に配置されるものとする。
【0030】
図5に示すように、囲い部37は、その左壁37cが凝縮器31の上流端に連なり、その左側の隅部の位置つまり凝縮器31上流端と蒸発器32下流端との間の位置に、連通孔39bを有する。連通孔39bは、図2に示すように、ダクト16の底壁と上壁とにわたって、その外壁16aを短冊状に切欠きくようにして形成された開口であり、囲い部37内とダクト16内とを連通させる。
【0031】
他方、囲い部37において、右壁37a側の対角の隅部には、吸気口39aが設けられている。吸気口39aは、底壁37dと上壁37eとにわたって切欠くようにして形成されており、囲い部37外(外箱2内)の空気つまり外気を取り込む第1開口に相当する。囲い部37において、吸気口39aと連通孔39bは、常には開放されている。これにより、ファンモータ21bの運転時に、排気ダンパ29が排気口28aを開放して循環風の一部が排気されることに伴い、外気を、囲い部37の吸気口39aから取り込み(図5の矢印D2参照)、圧縮機33の周りを通して、連通孔39bの部分から循環風路12のダクト16内へ吸入する。
【0032】
図2に示すように、上記した循環風路12の給気ダクト17には、図2に示す入口7d近傍に位置させて、循環風路12内を流れる循環風のうち水槽7内に供給される風の温度を検知する給気温度センサ41が設けられている。他方、図1に示す循環風路12における出口7c側のダクト14には、排気口28aの下流側に位置させて、循環風のうち出口7c側の温度を検知する排気温度センサ42(同図1及び図4参照)が設けられている。
【0033】
また、図2に示すヒートポンプ30には、冷媒流路30aを流れる冷媒の温度を検知する冷媒用温度センサとして、圧縮機33の吐出口33a付近の温度を検知する吐出口温度センサ43と、凝縮器31の温度を検知する凝縮器温度センサ44と、蒸発器32の入口側の温度を検知する蒸発器温度センサ45と、圧縮機33の吸入口33b付近の温度を検知する吸入口温度センサ46とが設けられている。
【0034】
更に、図1に示すように、外箱2内の下側前部には、制御手段たる制御装置50が設けられている。制御装置50は、マイクロコンピュータを主体に構成されていて、操作パネル4における前記電源オンオフキー、前記タッチパネル、各温度センサ41~46を含む各種センサ等からの入力信号を受付ける。制御装置50は、こうした各種入力信号や予め記憶された制御プログラムに基づいて、操作パネル4の前記表示部、前記給水機構、排水弁8、ドラムモータ11、ファンモータ21b、排気ダンパ29、ヒートポンプ30の圧縮機モータ33c等を制御する。
【0035】
次に、上記構成の作用について、乾燥運転における動作を中心に説明する。
制御装置50は、乾燥運転を開始する際、ドラムモータ11により回転槽10を適宜回転させるとともに、圧縮機モータ33c並びにファンモータ21bを夫々駆動させる。この場合、回転槽10の回転により、回転槽10内の衣類が撹拌される。また、圧縮機モータ33cの駆動により、冷媒が冷媒流路30aを通して循環することに伴い、凝縮器31での放熱により当該凝縮器31の周りの空気が加熱されるとともに、蒸発器32での吸熱により当該蒸発器32の周りの空気が冷却されて除湿される。
【0036】
そして、ファンモータ21bの駆動に伴い、凝縮器31で加熱された温風が給気ダクト17を通り、入口7dから水槽7内つまりは乾燥室内、ひいては回転槽10内に供給される。係る温風により回転槽10内の衣類が加熱され、湿気が奪われる。湿気を奪った空気は、出口7cから排気ダクト13側へ排出される。排気ダクト13側へ排出された空気は、フィルタ用ダクト14、中間ダクト15を通り、熱交換器用ダクト16内に入る。このダクト16内に入った、湿気を含んだ空気は、蒸発器32を通過する過程で冷却されて除湿される。除湿された空気は、凝縮器31を通過する過程で再び加熱されて温風化され、その温風が給気ダクト17を通り、入口7dから水槽7内に供給される。この流れを繰り返すことで、衣類が次第に乾燥される。
【0037】
こうした乾燥運転中に、衣類から出た糸屑等のリントも、出口7cから排気ダクト13側へ排出される空気とともに流れ、第1フィルタ部材25a及び第2フィルタ部材25bを通過する際にそれらに捕獲される。
【0038】
また、乾燥運転中に、制御装置50は、吐出口温度センサ43での検知温度に基づいて排気ダンパ29を開閉制御する。
具体的には例えば、乾燥運転の開始時は、排気ダンパ29は閉じている(図4の二点鎖線参照)。また、乾燥初期の段階において、制御装置50は、前記圧縮機モータ33cの運転周波数を最も高い値に設定して維持し、給気温度センサ41や排気温度センサ42で検知される温度を少しずつ上昇させる。この場合、排気ダンパ29が閉じているため、水槽7内及び循環風路12内を流れる循環風は、排気口28aから排気されず、囲い部37の吸気口39aから吸気もされない。
【0039】
そして、乾燥運転中に衣類から奪う湿気の量が多くなり、その湿気を含んだ空気と蒸発器32との熱交換が盛んに行われる乾燥中期の段階では、蒸発器32温度が上昇しやすく、凝縮器31や圧縮機33を含む冷凍サイクル全体の温度(特には圧縮機モータ33cの巻線部の温度)が高くなる。この場合、制御装置50は、吐出口温度センサ43で検知される温度が、予め設定された第1設定温度以上と判定すると、排気ダンパ29を開放動作させ(図4の実線参照)、排気口28aを開放させる。これにより、循環風路12を流れる循環風の一部は、図1の矢印D1で示すように、排気口28aから外側排気口28bを通って機外である外箱2の外側へ排気される。この排気口28aから機外へ排出される排気は、衣類から奪った湿気を含む。また、係る機外への排気に伴い、循環風路12外の空気が、囲い部37の吸気口39aから連通孔39bを通って循環風路12内へ吸気される(図5の矢印D2参照)。
【0040】
このとき、吸気口39aは、囲い部37において連通孔39bと対角となる位置にあり、圧縮機33に風を当てるようにして囲い部37内に外気を取り込む。また、取り込まれた空気は、圧縮機33と当たってその周りを通るときに熱交換が行われ、当該圧縮機33が冷却されるとともに当該空気が加熱される。これにより、加熱された空気は、連通孔39bを通り、蒸発器32の下流側で且つ凝縮器31の上流側で、循環風路12内の循環風と合流する。それ故、囲い部37内における圧縮機33での空気との熱伝達や熱放射を考慮しても、囲い部37内に熱を篭らせずに、より高温の循環風を凝縮器31の上流側から供給することができ、凝縮器31の負荷や蒸発器32の負荷を減らすことができる。
【0041】
この後、乾燥運転が進み、衣類から奪う湿気の量が少なくなり、給気温度センサ41で検知される温度と排気温度センサ42で検知される温度との差(以下「温度差ΔT」とする)が次第に小さくなる乾燥後期の段階になると、制御装置50により圧縮機モータ33cの運転周波数を低下させる等して、圧縮機33の温度も低下する。ここで、制御装置50は、吐出口温度センサ43で検知される温度が、予め設定された第2設定温度未満と判定すると、排気ダンパ29を閉鎖動作させ、排気口28aを閉鎖する。これにより、排気口28aから機外への排気が停止されるとともに、囲い部37の吸気口39aから連通孔39bを介した循環風路12内への吸気も停止される。
【0042】
この後、乾燥運転が更に進み、例えば前記温度差ΔTが設定値以下になると、制御装置50は乾燥が完了したと判断し、圧縮機モータ33cの運転を停止し、ファンモータ21bの駆動を継続して冷却運転を行った後、ファンモータ21bも停止させて乾燥運転を終了する。
【0043】
上記した各温度センサ41~46のうち、吐出口温度センサ43で検知される温度は、圧縮機モータ33cにおける巻線部の温度を推し量ることができる相関を示す。このため、上記したように吐出口温度センサ43で検知される温度に基づき、排気ダンパ29の開閉を制御することによって、当該巻線部が過度に高温とならない範囲で、圧縮機モータ33cの運転周波数を極力高く維持することが可能となり、加熱能力及び除湿能力を最大限に発揮させることが可能となる。
【0044】
他方、給気温度センサ41及び排気温度センサ42で検知される「温度差ΔT」は、衣類の乾燥の進行に伴い、最大温度差に到達するまで「乾燥率」とともに上昇する相関関係を示す。従って、制御装置50により温度差ΔT或いは乾燥率に応じて、圧縮機モータ33cの運転周波数を可変させる場合、その巻線部の温度を、当該センサ41,42の検知温度と関連付けて間接的に把握することができる。それ故、制御装置50により、給気温度センサ41や排気温度センサ42での検知温度に基づき排気ダンパ29の開閉の制御を行うようにしてもよい。
【0045】
以上説明した本実施形態の洗濯乾燥機1では、循環風路12外において、圧縮機33の周りを囲う囲い部37を、循環風路12に対し蒸発器32と凝縮器31との間の位置で連通するように設け、囲い部37は、外気を取り込むための吸気口39aを有し、その吸気口39aから取り込んだ外気を、当該囲い部37内を通して前記連通する位置(連通孔39b)から循環風路12内へ吸入する吸気部として構成されている。
【0046】
これによれば、囲い部37内に取り込まれた外気、つまり圧縮機33の周りの空気を、その圧縮機33と熱交換した上で凝縮器31の上流側から供給することができる。このため、圧縮機33が過度に高温になることを抑制することができ、凝縮器31に対してより高温の循環風を供給することができる。また、これにより、凝縮器31の負荷を減らし、乾燥効率を向上させることができる。
【0047】
制御装置50は、圧縮機モータ33cの巻線部の温度と相関を示す吐出口温度センサ43の検知温度に基づいて、排気ダンパ29の開閉を制御する。これによれば、循環風路12における排気口28aからの排気タイミングと排気量、並びに囲い部37の吸気口39aからの吸気タイミングと吸気量を制御することができる。また、吐出口温度センサ43の検知温度は、上記のように巻線部の温度と相関を示す情報であることから、巻線部が過度に高温になることによる絶縁破壊等の虞をなくすことができる。
【0048】
なお、巻線部の温度と相関を示すセンサは、吐出口温度センサ43に限らず、当該巻線部の温度をより直接的に或いは間接的に検知する他のセンサでもよい。また、上記したように、排気ダンパ29の開閉の制御は、給気温度センサ41と排気温度センサ42との少なくとも何れか一つの検知温度に基づき行うようにしてもよいし、冷媒用温度センサ43~46の少なくとも何れか一つの検知温度に基づき行うようにしてもよい。何れにしても、制御装置50によって、係るセンサの検知温度に基づき、循環風が適度に温まったと判定してから、循環風の一部の機外への排出と圧縮機33で熱交換された外気の吸入とが行われるように排気ダンパ29を開制御することで、循環風に含まれる湿気の一部の排出と吸入する外気の加熱とが可能になる。これにより、ヒートポンプ30による除湿と加熱を促進させることができ、乾燥時間の短縮化をも図りうる。
【0049】
本発明は、上記した各実施形態にのみ限定されるものではなく、洗濯乾燥機としては、水槽及び回転槽の軸線が上下方向を指向する所謂縦軸型のものでもよいし、衣類乾燥機としては、少なくとも乾燥機能があれば洗濯機能がないものでもよい。
【0050】
また、囲い部37は、循環風路12に対し蒸発器32と凝縮器31との間の位置にて、連通するものであればよく、連通孔39bや吸気口39aの開口の大きさ等を適宜変更してもよい。また、囲い部37は、圧縮機33を囲う寸法形状に形成されていればよく、図5等に図示した形態に限らず、圧縮機33の大きさや形状に合わせて適宜変更してもよい。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
図面中、1は洗濯乾燥機(衣類乾燥機)、7は水槽(乾燥室)、12は循環風路、21は送風装置、28aは排気口(第2開口、排気部)、29は排気ダンパ、30はヒートポンプ、31は凝縮器、32は蒸発器、33は圧縮機、34は絞り装置(減圧装置)、37は囲い部(吸気部)、39aは吸気口(第1開口)、39bは連通孔、43は吐出口温度センサ(センサ)、50は制御装置を示す。
図1
図2
図3
図4
図5