(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】火災感知器
(51)【国際特許分類】
G08B 17/06 20060101AFI20230725BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20230725BHJP
G08B 17/10 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G08B17/06 K
G08B17/00 G
G08B17/10 H
(21)【出願番号】P 2019004777
(22)【出願日】2019-01-15
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100188547
【氏名又は名称】鈴野 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智広
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-150176(JP,U)
【文献】特開2018-185736(JP,A)
【文献】特開平06-333181(JP,A)
【文献】特開平10-111988(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101833837(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00-21/01
21/17-21/61
G08B17/00-17/12
23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災感知器の本体と、
一端が開口し前記本体を覆うように設けられる火災感知器のカバーと、
を備えた、設置面に取り付けられる火災感知器において、
前記カバーの周縁に
水平方向に突出して設けられた
第1係止爪と、前記本体の周縁に設けられた
第1係止爪受け部と、からなる
第1回動係止部と、
前記カバーの周縁に水平方向に突出して設けられた第2係止爪と、前記本体の周縁に設けられた第2係止爪受け部と、からなる第2回動係止部と、を有し、
前記第1回動係止部
と前記第2回動係止部が、前記カバーの回動により前記本体に前記カバーを着脱自在に係止
し、
前記第1係止爪受け部は、弾性部と、水平方向に設けられて上面が略水平な垂直係止部と、下方向に傾斜している傾斜端部を有し、
前記第2係止爪受け部は、弧状の壁である本体弧状壁と、前記第2係止爪が挿通して移動する垂直溝とを有することを特徴とする火災感知器。
【請求項2】
前記第2係止爪受け部は、傾斜溝と前記垂直溝からなる略く字状の溝を有することを特徴とする請求項1に記載の火災感知器。
【請求項3】
前記カバーの内側の周縁に弧状壁を備え、
前記第1係止爪は前記カバーの外周部の内側面から突出し、前記第2係止爪は、前記弧状壁から突出していることを特徴とする請求項1または2に記載の火災感知器。
【請求項4】
前記第1係止爪と前記第2係止爪は外方に突出し、前記第1係止爪受け部と前記第2係止爪受け部との間で作用して前記カバーを係止することを特徴とする請求項1または2に記載の火災感知器。
【請求項5】
前記第1回動係止部と前記第2回動係止部の係止状態を視認するための貫通口である視認窓を、前記カバーに設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の火災感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面又は天井等に取り付けられる煙や熱等を感知する火災感知器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災感知器には、熱や煙等を感知する種々のものがあるが、例えば、煙の火災感知器では、煙感知ユニットに虫が入らないように、煙感知ユニットの外周に防虫網が設けられている。この火災感知器を長期間天井に設置した場合、埃、塵、油などが防虫網表面や、火災感知器内部にたまってしまうことがある。このような埃、塵、油などは、煙感知ユニットへ入り込む煙の量を減少させ、煙が検出しにくくなる。そのような場合には、点検の際に火災感知器を分解して内部の汚れを取り除くことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-167083号公報
【文献】特開2014-170495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、火災感知器内の汚れを取り除くために火災感知器を分解するにあたり、設置場所で複数の部品を取り外し、火災感知器を分解後、火災感知器内部の掃除し、再び複数の部品を取り付けて組み立て直す必要があり、作業性が悪いと考えられる。これを解決するために、分解及び、組み立てが簡単な構造を持つ火災感知器が要望されている。
【0005】
そこで、本発明は、簡単に分解及び組み立てができる構造を有する火災感知器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、火災感知器の本体と、一端が開口し前記本体を覆うように設けられる火災感知器のカバーと、を備えた、設置面に取り付けられる火災感知器において、前記カバーの周縁に水平方向に突出して設けられた第1係止爪と、前記本体の周縁に設けられた第1係止爪受け部と、からなる第1回動係止部と、前記カバーの周縁に水平方向に突出して設けられた第2係止爪と、前記本体の周縁に設けられた第2係止爪受け部と、からなる第2回動係止部と、を有し、前記第1回動係止部と前記第2回動係止部が、前記カバーの回動により前記本体に前記カバーを着脱自在に係止し、前記第1係止爪受け部は、弾性部と、水平方向に設けられて上面が略水平な垂直係止部と、下方向に傾斜している傾斜端部を有し、前記第2係止爪受け部は、弧状の壁である本体弧状壁と、前記第2係止爪が挿通して移動する垂直溝とを有することを特徴とする火災感知器である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カバーを回動するだけで本体からカバーを着脱自在にできるため、火災感知器内の汚れを取り除く等のメンテナンスのために火災感知器を簡単に分解することができ、しかもメンテナンス後に簡単に組み立てができる火災感知器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例1における煙感知器の下面図である。
【
図2】本発明の実施例1における煙感知器の正面図である。
【
図6】本発明の実施例1における本体3と感知器ベース4の嵌合状態を分解して説明する分解斜視説明図である。
【
図7】本発明の実施例2における煙感知器の下面図である。
【
図8】本発明の実施例2における煙感知器の正面図である。
【
図11】本発明の実施例2における回動係止部101の動作を説明する概略拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願では煙感知器を火災感知器の実施形態として説明する。なお、本明細書において上下方向は煙感知器の天井を設置面とした設置状態での上下で示し、水平方向及び垂直方向は、設置面に対して水平方向及び垂直方向を示す。
【実施例1】
【0010】
本発明の実施例1における煙感知器1の構成について説明する。
図1~
図5はそれぞれ、本発明の実施例1における煙感知器1の下面図、正面図、
図1に示すA-A線断面図、
図2に示すB-B線断面図、
図1に示すC-C線斜視断面図である。煙感知器1は、その外装を構成するカバー2と本体3と、本体3内に設けられた煙感知ユニット(図示せず)から構成され、天井や壁面に設置される。なお、煙感知ユニットは、光学台と光学台カバー、そして発光素子と受光素子と回路を備えた基板から構成され、外周には防虫網が設けられている。カバー2と本体3との係止は、第1係止爪25と第1係止爪受け部31からなる第1回動係止部11と、第2係止爪27と第2係止爪受け部32からなる第2回動係止部12が、カバー2の回動により本体3にカバー2を着脱自在に係止する。
【0011】
煙感知器1のカバー2は、上部の一端が開口した扁平な円筒状であり、天井等に取り付けられた本体3と共に煙感知器1の煙感知ユニット等の内部部品を下方から覆うように保護する。カバー2の外周部21と傾斜部22は、カバー2の周縁と下面における周囲部分により内部部品を覆うものであり、外周部21は円筒状で傾斜部22は傾斜が緩やかな円錐状となっている。また、傾斜部22の中央部分には下方に突出した中央凸部23が、その中央凸部23の外周には、煙を導入するための開口部24が設けられている。本実施例では開口部24は、中央凸部23の周囲に沿って6箇所設けられ、煙発生時に煙が通って煙感知ユニット内に流入し、煙感知器1が煙を感知する。外周部21の内側面には水平方向に突出した平板状の第1係止爪25が設けられている。そして、カバー2の内側の周縁には、第1係止爪25とは別の位置に傾斜部22の内側から垂直方向に延出形成された弧状壁26が設けられている。弧状壁26の内側面には、水平方向に突出した棒状の第2係止爪27が設けられている。また第1係止爪25と第2係止爪27を設けた弧状壁26とはそれぞれ、カバー2を平面視した場合に中心を対称点として点対称の位置に2箇所設けられている。そして、第1係止爪25と第2係止爪27の下端は垂直方向に対して略同一位置に配置されている。傾斜部22には、第1係止爪25と第2係止爪27の下方の位置にそれぞれ、視認窓22a,22bが設けられている。視認窓22a,22bはそれぞれ、第1係止爪25と第1係止爪受け部31からなる第1回動係止部11と、第2係止爪27と第2係止爪受け部32からなる第2回動係止部12の係止状態を視認するため貫通孔である。
【0012】
煙感知器1の本体3は、
図3、
図4に示すように、円盤状の板状体からなり、カバー2の上部の開口を覆うものである。本体3の下面は、煙感知ユニットが取付けられる構造となっている。本体3の下面の周縁には、第1係止爪受け部31と第2係止爪受け部32がそれぞれ、カバー2を回動して本体3に係止したときに、第1係止爪25が第1係止爪受け部31と、第2係止爪27が第2係止爪受け部32に係止する位置に設けられている。また、第1係止爪受け部31と第2係止爪受け部32は同一の円周上に設けられている。第1係止爪受け部31は、本体3の下面から下方に突出し、屈曲した細長い平板形状である。また、第1係止爪受け部31は、矢印X方向に向かって順に、弾性部31aと、水平方向に設けられて上面が略水平な垂直係止部31bと、下方矢印X方向に傾斜している傾斜端部31cから構成されている。そして、弾性部31aは、円弧状に湾曲して形成され、垂直係止部31bに一定以上の力が加わると、弾性部31aが撓んで垂直係止部31bが上下するように構成されている。従って、第1係止爪受け部31は、上から力を加えられると弾性部31aを基点として垂直係止部31b及び傾斜端部31cが下方へ傾斜し、力が加えられなくなると垂直係止部31b及び傾斜端部31cは元の位置に戻り、板バネと同様の効果を有する。
【0013】
次に、第2係止爪受け部32は、本体3の下面から下方に垂直方向に延出形成された弧状壁と溝からなる。第2係止爪受け部32は、矢印X方向の順に、下方矢印X方向に傾斜して延出形成された突出部32aを備えた弧状壁と、誘導溝32bと、下端が水平な水平部32cを備えた弧状壁から構成されている。誘導溝32bは、矢印X方向の下方へ向かって傾斜している傾斜溝32dと垂直溝32eからなる略く字状の貫通溝である。突出部32aは傾斜溝32dの一端である第1傾斜端32fを備え、水平部32cの垂直位置より下方に突出して構成されている。傾斜溝32dの両端は、水平方向に対して鋭角の傾斜角を有する第1傾斜端32fと、水平方向に対して鋭角で、その傾斜角が第1傾斜端32fの傾斜角より狭い第2傾斜端32gから構成されている。また、垂直溝32eの両端は、第1水平係止端32hと第2水平係止端32iから構成されている。水平部32cは第2傾斜端32gと、第2傾斜端32gは第2水平係止端32iと連設しており、第1傾斜端32fは第1水平係止端32hと連設している。そして、誘導溝32bは第2係止爪27が挿通して移動するように構成されている。第2水平係止端32iの下端(第2水平係止端32iと第2傾斜端32gとの境界の位置)は、第1係止爪受け部31の垂直係止部31bの上面と本体3の垂直方向に対して略同一位置にある。このようにして、係止のための構成があっても火災感知器の垂直方向の厚さを抑えることができる。また、第1水平係止端32hの下端は、第2水平係止端32iの下端よりも延伸して下方の位置にある。なお、第1係止爪受け部31の傾斜端部31cと第2傾斜端32gの傾斜方向は同一方向であり、傾斜端部31cの水平方向に対する傾斜角は第2傾斜端32gの傾斜角より広い構成となっている。
【0014】
係止状態では、第1係止爪受け部31と第2係止爪受け部32はそれぞれ、第1係止爪25と第2係止爪27が取り付けられている位置より内側に配置されている。また、第1係止爪受け部31は、係止状態では、垂直係止部31bにより第1係止爪25を下方から付勢し、第1係止爪25の垂直方向における動作を制御する第1の係止構造を備えている。そして、第2係止爪受け部32は、係止状態では、第2係止爪27の両端が垂直溝32eの第1水平係止端32h及び第2水平係止端32iに挟まれ、第2係止爪27の水平方向における動作を制御して制止する第2の係止構造を備えている。従って、カバー2は、下記の手順を行わない限り、本体3から取り外すことはできない。また、カバー2と本体3との嵌合は、カバー2に設けた弧状壁26の先端部26aとこれが嵌まり込む本体3の周縁に設けた弧状凹部33で行われる。なお、本体3の上面には、周方向に沿って導電性の刃金具34が取り付けられる。
【0015】
図6は、本体3と感知器ベース4の嵌合状態を分解して説明する分解斜視説明図である。感知器ベース4は、上面が設置面に取り付けられ、下面に本体3が回転して着脱自在に取り付けられる構成となっている。感知器ベース4は、平面視して円形であり、周方向に沿って、導電性の端子部41および端子部41と一体成形された刃受金具42がそれぞれ4つ設けられており、ネジ挿通穴43が2つ形成されており、中央部には引き込み口44が形成されている。ネジ挿通穴43は、感知器ベース4を設置面にネジ止めして取り付けるために設けられたものである。引き込み口44は、外部から感知器回線(図示しない)を感知器ベース4内に引き込むために設けられた穴であり、引き込み口44から感知器ベース4内に引き込まれた感知器回線は端子部41に接続される。本体3は、本体3の上面に取り付けられた刃金具34を、感知器ベース4の下面に設けられた刃受金具42に合わせて回転させて、刃金具34が刃受金具42に挿入結合して設置面に取り付けられた感知器ベース4に取り付けられる。なお、刃受金具42の挿入口42aは矢印Y方向に開口して設けられている。従って、感知器ベース4に本体3を取り付ける回転方向は、矢印X方向である。
【0016】
本実施例において、カバー2を本体3から取り外す手順について
図3~5により説明する。
先ず、カバー2を垂直方向の下方に第2係止爪27の下端が第1水平係止端32hの下端の位置になるまで引き下げる。この時、第1係止爪25により第1係止爪受け部31が押し下げられて撓み垂直係止部31bが傾斜する。第2係止爪27は引き下げられたことで垂直溝32eとの嵌合が外れ、第2係止爪27の第2の係止構造による水平方向で矢印X方向への回転の抑制が解除される。次に、カバー2を矢印X方向へ回転させると、第2係止爪27は、傾斜溝32d内を移動する。第2係止爪27は、第2傾斜端32gより下方に付勢され、同時に第1係止爪25は、垂直係止部31bから傾斜端部31c上に移動して、傾斜端部31cを押し下げながら矢印X方向へ移動する。第2係止爪27は、少なくとも傾斜溝32dに沿って移動するため、カバー2は矢印X方向へ回転しながら下方に移動する。第1係止爪25と第2係止爪27の下方をそれぞれ、第1係止爪受け部31と第2係止爪受け部32の突出部32aが覆わない位置までカバー2を回転させると、本体3に対してカバー2を取り外すことができる。
【0017】
次に、カバー2を本体3に取り付ける手順について
図3~5により説明する。
先ず、第2係止爪27を第2係止爪受け部32の傾斜溝32dの開口位置に配置されるようにカバー2を下から本体3に被せ、第2係止爪27が第2傾斜端32gに当接するまでカバー2を本体3の方向に押し込む。次に、カバー2を矢印Y方向へ水平方向に回転させると第2係止爪27が、誘導溝32bの傾斜溝32dにより誘導されてカバー2は矢印Y方向に回転しながら上方へ移動する。このとき、第1係止爪25が第1係止爪受け部31の傾斜端部31cに当接する位置からカバー2を矢印Y方向に回転する事になる。第2係止爪27が第2傾斜端32gにより上方への移動が制限されているので、第1係止爪25は第2係止爪27と同一の軌跡で上方へ螺旋状に移動する。従って、第1係止爪25は、傾斜端部31cを下方に付勢しながら傾斜端部31c上を矢印Y方向に移動する。第2係止爪27が、回転により第1水平係止端32hに当接すると同時に、第1係止爪25は、傾斜端部31cから垂直係止部31bの上面に移動する。第2係止爪27は、垂直溝32eの開口部の下端に位置するため第2傾斜端32gによる上方からの抑制がなくなる。第1係止爪25も第1係止爪受け部31を下方に付勢する抑制がなくなるので、下方に付勢されていた第1係止爪受け部31の弾力で第1係止爪25を垂直係止部31bの定位置まで上方に持ち上げる。同時に第2係止爪27も垂直溝32eに沿って上方に移動し、第2係止爪27の両端が垂直溝32eの第1水平係止端32h及び第2水平係止端32iに挟まれることで、カバー2が本体3に係止される。カバー2は、第1の係止構造により、第1係止爪25が垂直方向の上方に動作することで、本体3に係止することができる。
【0018】
以上のように、実施例1は、本体3と、一端が開口し本体3を覆うように着脱自在に設けられるカバー2と、を備えた、設置面に取り付けられる煙感知器1において、カバー2の周縁から半径方向に向けて突出した第1係止爪25及び第2係止爪27と、本体3の周縁に設けられた第1係止爪受け部31及び第2係止爪受け部32と、からなる第1回動係止部11及び第2回動係止部12を備えたものである。そして、第1係止爪受け部31は、一端が本体3の周縁に取り付けられ他端が周方向に向かう、弾性を有した弾性部31aと、弾性部31aの他端から一端が延在し第1係止爪25に当接して弾性により上方に押し上げる垂直係止部31bと、垂直係止部31bの他端から斜め下方に延在し、第1係止爪25が周方向に移動すると上面に当接する傾斜端部31cとから構成される。また、第2係止爪受け部32は、第2係止爪27の周方向の移動を制止する第1水平係止端32h及び第2水平係止端32iからなる垂直溝32eを備える。
【0019】
実施例1によれば、垂直係止部31bが第1係止爪25を押し上げる力に抗してカバー2を引き下げることにより第2係止爪27を垂直溝32eから外し、水平方向に回転させて第1係止爪25を第1係止爪受け部31の上面から外してカバー2を本体3から取り外すことができる。そのため、煙感知器1を設置面に取付けた状態で、片手でカバー2を引き下げてから水平方向に回転させるという2つの動作のみで、カバー2を本体3から簡単に取り外して煙感知器1を分解することができる。また、カバー2を本体3に被せて水平方向に回転させると、第1係止爪25が傾斜端部31cの上面から垂直係止部31bの上面に入り、生じた弾性によりカバー2が押し上げられて、第2係止爪27が垂直溝32eに入り込み、カバー2を本体3に取り付けることができる。そのため、片手でカバー2を本体3に被せて水平方向に回転させる動作のみで煙感知器1の組み立てを簡単にすることができる。また、カバー2を本体3に取付けるための複数の部品が必要ないため、煙感知器1内部の掃除等のメンテナンスの作業性を向上することができる。
【0020】
さらに実施例1では、第2水平係止端32iに連接して、第2係止爪27の斜め方向の移動を制止する、第2傾斜端32gを有する。傾斜端部31cと第2傾斜端32gの傾斜方向は同じであり、カバー2の取り付けの際に第1係止爪25を第1係止爪受け部31の上面に容易に誘導することができる。また、第1傾斜端32fもカバー2の取り付けの際に第1係止爪25を第1係止爪受け部31の上面に容易に誘導する機能を有する。
【0021】
実施例1では
図6に示す設置面に取り付けられた感知器ベース4に煙感知器1が取り付けられる。実施例1では、感知器ベース4に本体3を取り付ける回転方向と、本体3からカバー2を取り外す回転方向が、矢印X方向となり同じ回転方向になるように第1回動係止部11と第2回動係止部12を設けている。従って、上記のようにカバー2を回転させることによってカバー2を本体3から取り外す際に、本体3は矢印X方向に回転せず、本体3が感知器ベース4から外れることを防止することができる。また、実施例1では、カバー2を本体3から取り外す際に、カバー2を引き下げることでカバー2と本体3の水平方向の係止が解除される。そのため、カバー2を引き下げた後にカバー2を回転させた際に、カバー2から本体3へ回転の力が伝わりにくい。従って、
図6とは逆に、本体3が外れる回転方向が、矢印X方向である感知器ベースに煙感知器1が取り付けられていたとしても本体3は感知器ベースから外れにくい。
【0022】
実施例1の変形例として、第1係止爪25と第2係止爪受け部32の突出部32aは、なくてもよい。この場合、第1係止爪受け部31を第2係止爪受け部32の内側に隣接し、第2水平係止端32iの位置に垂直係止部31bと傾斜端部31cの境界が位置するように設ける。この実施例によれば、第1の係止構造の動作を第1係止爪25の代わりに第2係止爪27で行うことができ、実施例1と同様の効果を得ることができる。
また、実施例1では、第1係止爪25と第2係止爪27は内方に突出し、内方に設けられた第1係止爪受け部31、第2係止爪受け部32との作用でカバー2が係止される。しかし、外方に突出した第1係止爪と第2係止爪が外方に設けられた第1係止爪受け部、第2係止爪受け部との間で作用して、カバーが係止されるようにしてもよい。
なお、実施例1の煙感知器1は感知器ベース4を介さずに、本体3を設置面に直接取付けることもできる。
【実施例2】
【0023】
図7~
図11はそれぞれ、本発明の実施例2における煙感知器100の下面図、正面図、
図7に示すD-D線断面図、
図8に示すE-E線断面図、回動係止部101の動作を説明する概略拡大斜視図である。なお、実施例1と同一部分や対応する部分には同一の符号を付して説明は省略する。煙感知器100は、実施例1と同様に、その外装を構成するカバー2と本体3と、本体3内に設けられた煙感知ユニット(図示せず)から構成され、天井や壁面に設置される。また、カバー2と本体3との係止は、係止爪28と第1係止爪受け部35及び第2係止爪受け部36からなる回動係止部101が、カバー2の回動により本体3にカバー2を着脱自在に係止する。
【0024】
カバー2の形状は、実施例1のものと略同じであるが、傾斜部22に視認窓22a,22bはなく、代わりに係止爪28を操作するための操作窓22cを設けている。操作窓22cは、傾斜部22内側に設けられた係止爪28の直下に設けられており、棒状の操作具(図示せず)等を操作窓22cから挿入して係止爪28を垂直方向に動かすために使用される。係止爪28は、カバー2の周縁に位置し、細長の逆L字状に屈曲した平板形状を有し、カバー2の傾斜部22の内側から垂直方向に立設した基部28aと、基部28aの先端からカバー2の外周方向に水平に設けられた水平部28bから構成される。また、基部28aは、水平部28bに下から一定以上の力を加えられると撓み、力が加えられなくなると元の位置に戻る弾性構造を有し、板バネと同様の効果を有する。
【0025】
本体3の形状は、実施例1のものと略同じであるが、本体3の下面の周縁には、第1係止爪受け部35と第2係止爪受け部36が、カバー2を回動して本体3に係止したときに、係止爪28が第1係止爪受け部35と第2係止爪受け部36に当接する位置に設けられている。また、第2係止爪受け部36は、第1係止爪受け部35より内側に隣接して設けられている。第1係止爪受け部35は、縦断面が略J字状である。そして、本体3から下方の垂直方向に立設した第1水平係止部35aと、第1水平係止部35aの下端から矢印X方向に水平に設けられた第1垂直係止部35bと、第1垂直係止部35bの第1水平係止部35aと相対する反対側の一端に垂直上方に突出した第2水平係止部35cから構成される。第2係止爪受け部36は、細長い屈曲した平板形状であり、本体3の下面から下方矢印Y方向に傾斜した弾性部36aと、弾性部36aから矢印Y方向に水平に連接されて設けられている第2垂直係止部36bから構成される。第2係止爪受け部36の第2垂直係止部36bは、第1係止爪受け部35の第2水平係止部35cの先端より上方に位置し、カバー2を本体3に係止したときには、第1垂直係止部35bと第2垂直係止部36bで係止爪28の水平部28bを上下に挟み込む位置関係にある。また、第2垂直係止部36bは、下から一定以上の力を加えられると弾性部36aを基点として上方へ撓み、力が加えられなくなると元の水平位置に戻り、板バネと同様の作用を有する。なお、本体3の上面には、実施例1と同様に周方向に沿って導電性の刃金具34が取り付けられる。
【0026】
係止爪28は、
図10に示すように、係止状態で基部28aが第2係止爪受け部36の内側に位置し、水平部28bの先端が第1係止爪受け部35の第1垂直係止部35b上に位置する。また、第1係止爪受け部35の第1垂直係止部35bと第2係止爪受け部36の第2垂直係止部36bは、係止状態では、下方(カバー2側)と上方(本体3側)から係止爪28を挟み込んで付勢し、係止爪28の垂直方向における動作を制御する第1の係止構造とを備えている。そして第1係止爪受け部35の第1水平係止部35aと第2水平係止部35cは、係止状態では、係止爪28の両端に位置し、係止爪28の水平方向における動作を制御する第2の係止構造を備えている。従って、カバー2は、下記の手順を行わない限り、本体3から取り外すことはできない
【0027】
実施例2において、カバー2を本体3から取り外す手順について
図9~11により説明する。
まず、
図11(a)に示す係止状態において操作具を操作窓22cに挿入し、係止爪28の水平部28bを押して、基部28aと第2係止爪受け部36を撓ませ、第2水平係止部35cの先端より高い位置まで水平部28bの先端を垂直方向の上方に移動させる。すると、第2水平係止部35cによる矢印X方向への回転の抑制が解除される。次に、水平部28bを操作具で押しながらカバー2を矢印X方向へ回転させ、水平部28bが第2水平係止部35cの先端上を越えて第1垂直係止部35bの上方から移動したとき操作具を操作窓22cから取り出すと
図11(b)の状態となる。
図11(b)の状態では、第1係止爪受け部35の第1垂直係止部35bからの水平部28bの垂直方向の下方への抑制が解除されるので、本体3に対してカバー2を取り外すことができる。
【0028】
次に、カバー2を本体3に取り付ける手順について
図9~11により説明する。
先ず、係止爪28を
図11(b)の位置に配置されるようにカバー2を下から本体3に被せる。次に、操作具を操作窓22cに挿入し、係止爪28の水平部28bを垂直方向の上方に基部28aと第2係止爪受け部36の弾性部36aが撓む強さで第2水平係止部35cの先端より高い位置まで水平部28bの先端を垂直方向の上方に動作させる。そして、水平部28bを操作具で押しながら矢印Y方向へ回転させ、水平部28bが第2水平係止部35cの先端の上を越えて第1垂直係止部35bの上方で第1水平係止部35aに当接したら操作具を操作窓22cから取り出す。そうすると、基部28aと第2係止爪受け部36が下方からの付勢がなくなるので、垂直方向の下方に移動し、元の状態に戻り、水平部28bが第1垂直係止部35bにより係止されて
図11(a)に示す状態となる。第1の係止構造により、係止爪28を垂直方向の上方に一度移動させて、カバー2を本体3に係止することができる。
【0029】
以上のように、実施例2は、煙感知器100の本体3と、一端が開口し本体3を覆うように着脱自在に設けられる火災感知器のカバー2と、を備えた、設置面に取り付けられる煙感知器100において、カバー2の周縁に設けられた係止爪28と、本体3の周縁に設けられた第1係止爪受け部35と、を備えたものである。そして、係止爪28は弾性構造を有し、第1係止爪受け部35は、係止爪28の周方向の移動を制止する第1水平係止部35a及び本体3側に先端を備えた第2水平係止部35cと、第1水平係止部35aと第2水平係止部35cの間に設けた係止爪28のカバー2側への移動を制止する第1垂直係止部35bから構成される。また、係止爪28と第1係止爪受け部35の係止時には、係止爪28の3方を第1係止爪受け部35で囲むように構成する。そして、係止爪28を本体3側に撓ませてカバー2を回転させることにより、係止爪28を第2水平係止部35cの先端上を通過させる構成とする。実施例2の煙感知器100は、上記構成により、カバー2の回動により本体3にカバー2を係止するように構成したものである。
また、弾性を有した第2係止爪受け部36によって係止爪28を第1垂直係止部35bの側に押しつけることにより、係止爪28と第2水平係止部35cの当接を確実にして、使用時におけるカバー2と本体3との間の回転を確実に防止することができる。
【0030】
実施例2によれば、操作具により係止爪28の水平部28bを押し上げて水平方向に回転させるだけでカバー2を本体3から取り外すことができるので、煙感知器100を設置面に取り付けた状態でカバー2を本体3から簡単に取り外して煙感知器100を分解することができる。また、カバー2を本体3に被せて操作具により係止爪28の水平部28bを押し上げて水平方向に回転させるだけで、カバー2を本体3に取り付けることができるので、煙感知器100の組み立てを簡単にすることができる。また、カバー2を本体3に取付けるための複数の部品が必要ないため、煙感知器100内部の掃除等のメンテナンスの作業性を向上することができる。また、煙感知器100を分解する際には、操作窓22cに操作具を挿入して係止爪28の水平部28bを押し上げなければならないので、カバー2に外力が加わることによりカバー2が不要に本体3から取り外されることがない。従って、メンテナンスの際の作業性の向上だけでなく防犯等の安全性や信頼性を向上することができる。
【0031】
なお、本体3は直接設置面に取付けられる場合もあるが、実施例1と同様に
図6に示す感知器ベース4にも取り付けられる。本実施例では、感知器ベース4に本体3を取り付ける回転方向と、本体3からカバー2を取り外す回転方向が、矢印X方向となり同じ回転方向になるように回動係止部101を設けている。従って、上記のようにカバー2を回転させることによって、カバー2を本体3から取り外す際に本体3が矢印X方向に回転したとしても、本体3も感知器ベース4から外れることを防止することができる。また、実施例2では、カバー2を本体3から取り外す際に、係止爪28の水平部28bを押し上げることで、カバー2と本体3の水平方向の係止が解除される。そのため、水平部28bを押し上げた後にカバー2を矢印X方向に回転させた際に、カバー2から本体3への回転の力が伝わりにくい。従って、
図6とは逆に、本体3が外れる回転方向が、矢印X方向である感知器ベースに煙感知器100が取付けられていたとしても本体3は感知器ベースから外れにくい。
【0032】
実施例2の変形例1として、第2水平係止部35cのX方向側の側面を上方Y方向に向けて傾斜する傾斜側面として設けてもよい。この構造によれば、カバー2を本体3に取り付けるためにカバー2をY方向に回転させたときに水平部28bが傾斜側面に沿って上方に移動し、第2水平係止部35cの先端の上を通過させることができる。従って、この変形例1によれば、実施例2と同様の効果と共に水平部28bを操作具で上方に押さなくても回転させるだけでカバー2を本体3に係止させることができる。
【0033】
更に、実施例2の変形例2として、第1係止爪受け部35と第2係止爪受け部36の位置を入れ替えて、第1係止爪受け部35を第2係止爪受け部36の内側に配置する。また、係止爪28の代わりに外周部21の内側面に水平方向に突出した平板状の係止爪を上下に撓むように設け、係止爪先端が第1垂直係止部35bに係止するように配置する。そして、係止状態では、係止爪が第1垂直係止部35bと第2垂直係止部36bに上下に挟まれる位置に設ける。この変形例2によれば、実施例2と同様の効果を得ることができる。なお、第2水平係止部35cを上記変形例1の構造としてもよい。
第2係止爪受け部36は、カバー2が取り付けられた状態で係止爪28を上方から付勢する事により、簡単に係止が外れないようにするものである。しかし、係止爪28の弾性が十分に強い、または第2水平係止部35cの突出が十分に大きいなどにより、係止が外れにくい構造であれば、第2係止爪受け部36は省略することも可能である。
【0034】
上記実施例では取付面が天井であるが、取付面は壁や斜め天井等でもよく、上記実施例に限定されることはない。また、上記実施例では、カバー2を本体3から取り外すためにカバー2を回転させる方向は矢印X方向であるが、第1回動係止部11と第2回動係止部12及び回動係止部101の設置方向を変えて逆の矢印Y方向をカバー2の取り外しの回転方向にしてもよい。上記実施例では、実施形態として煙感知器により説明したが、本願発明はこれに限定されることはなく、熱感知器等の種々の火災感知器に適用可能なものである。
【符号の説明】
【0035】
1,100 煙感知器、11 第1回動係止部、12 第2回動係止部、101 回動係止部、2 カバー、21 外周部、22 傾斜部、22a,22b 視認窓、22c 操作窓、23 中央凸部、24 開口部、25 第1係止爪、26 弧状壁、27 第2係止爪、28 係止爪、28a 基部、28b,32c 水平部、3 本体、31,35 第1係止爪受け部、31a,36a 弾性部、31b 垂直係止部、31c 傾斜端部、32,36 第2係止爪受け部、32a 突出部、32b 誘導溝、32d 傾斜溝、32e 垂直溝、32f 第1傾斜端、32g 第2傾斜端、32h 第1水平係止端、32i 第2水平係止端、33 弧状凹部、34 刃金具、35a 第1水平係止部、35b 第1垂直係止部、35c 第2水平係止部、36b 第2垂直係止部、4 感知器ベース、41 端子部、42 刃受金具、42a 挿入口、43 ネジ挿通穴、44 引き込み口