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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
E04H6/18 606A
E04H6/18 601C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019009300
(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公開番号】P2020117929
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】曽我 隆之
(72)【発明者】
【氏名】本島 貴之
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 義和
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-197691(JP,A)
【文献】特開2018-040127(JP,A)
【文献】特開平07-166732(JP,A)
【文献】特開2009-256998(JP,A)
【文献】特開2001-032561(JP,A)
【文献】実開平06-006632(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路に沿って設けられた格納棚と、紐部材に吊下げられ前記昇降路を昇降するケージと、を備え、パレットを前記ケージと前記格納棚の境界部を越えて横行させる機械式駐車装置であって、
前記パレットは、その長手方向両端部に設けられ前記パレットの幅方向に両側の境界部近傍まで水平に延び、その下面が水平である水平支持部材と、
前記長手方向両端部にそれぞれ設けられ、前記幅方向に間隔を隔て軸心を中心に回転可能に取り付けられた複数の横行ローラと、を有し、
前記ケージは、前記幅方向に水平に延び前記横行ローラを支持して案内するケージ上レールと、
前記ケージの前記幅方向の両端部にそれぞれ設けられ、前記横行ローラが前記ケージ上レールに支持されている際に前記水平支持部材の真下に隙間を隔てて位置し、軸心を中心に回転可能な浮上防止ローラと、を有し、
前記水平支持部材と前記横行ローラとが平面視で異なる位置に設けられ、前記ケージ上レールと前記浮上防止ローラとが平面視で異なる位置に設けられており、
前記浮上防止ローラの中心と前記境界部との第1水平距離が、前記格納棚への横行時にケージ上に最後に残る前記横行ローラの中心と前記水平支持部材の前記幅方向の反対側端部との第2水平距離より短く設定されており、
前記パレットの前記横行ローラが全て前記格納棚の上に移動し前記ケージの格納棚側の前記紐部材の伸び量が減少して前記ケージが上方に浮き上がる際に、前記浮上防止ローラが前記水平支持部材の下面に当接して前記ケージの浮き上がりを防止する、機械式駐車装置。
【請求項2】
前記水平支持部材の前記下面と前記浮上防止ローラの上端との前記隙間は、第1閾値以内であり、
第1閾値は、前記ケージと前記パレットが干渉せず、かつ横行機構に悪影響を与えない値に設定されている、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
さらに前記紐部材の昇降を制御する昇降制御装置を備え、
前記昇降制御装置は、横行中に前記ケージを昇降させて前記ケージのパレット支持高さを修正するリレベリングを実施する、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記昇降制御装置は、前記横行ローラのそれぞれが前記境界部を越える際に、前記ケージと前記格納棚のパレット支持高さの差が第2閾値以内になるように、前記リレベリングを実施する、請求項に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紐部材に吊り下げられて昇降路を昇降するケージを備えた機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、エレベータ式駐車装置1を示す概略図である。
このエレベータ式駐車装置1は、紐部材2(例えば、ワイヤロープやチェーン)に四隅が吊り下げられ鉛直な昇降路を昇降するケージ3と、ケージ3を昇降させる昇降機構4と、を備える。
【0003】
昇降機構4は、シーブ駆動装置5、従動滑車6、駆動シーブ7、およびカウンタウェイト8を備える。シーブ駆動装置5は、駆動シーブ7を回転する。駆動シーブ7には、紐部材2の中間部が掛け渡されており、紐部材2の一端は、ケージ3に固定されており、紐部材2の他端は、カウンタウェイト8に固定されている。
【0004】
この構成により、駆動シーブ7が回転すると、駆動シーブ7に掛けられた紐部材2が、その回転方向により、ケージ3に向けて繰り出され、または、ケージ側から引き上げられてカウンタウェイト8に向けて繰り出され、これにより、ケージ3が昇降する。図1の例では、このような紐部材2が、4本設けられている。これら4本の紐部材2は、それぞれ、ケージ3の四隅から延びて、従動滑車6、駆動シーブ7、従動滑車6に順に掛けられ、カウンタウェイト8まで延びている。
なお、この図において、9は昇降路、10は車両を載せるパレットである。
【0005】
上述した昇降機構4は、駆動シーブ7と紐部材2との摩擦力によりケージ3を昇降させるため、トラクション式(摩擦式)と呼ばれる。トラクション式の昇降機構4は、低層から高層までの多くの駐車装置に適している。
【0006】
一方、昇降機構4には、他にドラム式が知られている。ドラム式の昇降機構は、円筒形のドラムに紐部材2を巻き付けて、紐部材2を巻き上げ、巻き戻しするものである。ドラム式の昇降機構は、低層から中層の駐車装置に適している。
【0007】
上述したエレベータ式駐車装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2018-040127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図2は、従来のパレット10の横行状態を示す模式図である。この図は、ケージ3の四隅を紐部材2で吊ったまま車両を載せたパレット10をケージ3から格納棚12に横行させる状態を示している。格納棚12の棚レール12aは、装置の固定部分に固定されている。
この図において、(A)は左側(反棚側)の横行ローラ11がケージ上レール3aに載っている状態、(B)は左側(反棚側)の横行ローラ11が境界部Bを通過した直後を示している。
【0010】
図2(A)において、左側の横行ローラ11は、車両を載せたパレット10の重量の約半分を支持しており、棚側の紐部材2(以下、紐部材2a)の伸び量は大きい(例えば伸び量100mm以上)。
一方、図2(B)において、左側の横行ローラ11が棚レール12aに載り移っているため、棚側の紐部材2aに作用する荷重が急減し、紐部材2aの伸び量が縮む(例えば伸び量20mm以下)。
【0011】
そのため、パレット10の横行ローラ11が全て棚上に移動した直後(図2(B)の状態)において、紐部材2aの伸び量の急減により、紐部材2aで吊られたケージ3の図で右側がケージ上レール3aと共に上方に急に浮き上がる(シフトする)。このシフト量は例えば80mm以上である。
この結果、浮き上がったケージ3の一部(例えばケージ上レール3a)が、パレット10の一部と干渉する可能性があった。
【0012】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、パレットの横行ローラが全て棚上に移動した直後のケージの浮き上りを防止することができる機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、昇降路に沿って設けられた格納棚と、紐部材に吊下げられ前記昇降路を昇降するケージと、を備え、パレットを前記ケージと前記格納棚の境界部を越えて横行させる機械式駐車装置であって、
前記パレットは、その長手方向両端部に設けられ前記パレットの幅方向に両側の境界部近傍まで水平に延び、その下面が水平である水平支持部材と、
前記長手方向両端部にそれぞれ設けられ、前記幅方向に間隔を隔て軸心を中心に回転可能に取り付けられた複数の横行ローラと、を有し、
前記ケージは、前記幅方向に水平に延び前記横行ローラを支持して案内するケージ上レールと、
前記ケージの前記幅方向の両端部にそれぞれ設けられ、前記横行ローラが前記ケージ上レールに支持されている際に前記水平支持部材の真下に隙間を隔てて位置し、軸心を中心に回転可能な浮上防止ローラと、を有し、
前記水平支持部材と前記横行ローラとが平面視で異なる位置に設けられ、前記ケージ上レールと前記浮上防止ローラとが平面視で異なる位置に設けられており、
前記浮上防止ローラの中心と前記境界部との第1水平距離が、前記格納棚への横行時にケージ上に最後に残る前記横行ローラの中心と前記水平支持部材の前記幅方向の反対側端部との第2水平距離より短く設定されており、
前記パレットの前記横行ローラが全て前記格納棚の上に移動し前記ケージの格納棚側の前記紐部材の伸び量が減少して前記ケージが上方に浮き上がる際に、前記浮上防止ローラが前記水平支持部材の下面に当接して前記ケージの浮き上がりを防止する、機械式駐車装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明によれば、パレットが、横行方向に間隔を隔て軸心を中心に回転可能に取り付けられた複数の横行ローラを有し、ケージが、幅方向に水平に延び横行ローラを支持して案内するケージ上レールを有する。
従って、横行ローラをケージ上レールで支持した状態で、パレットの横行を案内することができる。
【0015】
また本発明によれば、ケージは、さらにケージの横行方向両端部に軸心を中心に回転可能な浮上防止ローラを有し、浮上防止ローラは、パレットの横行時に水平支持部材の真下に隙間(例えば5~10mm)を隔てて位置する。
この構成により、パレットの横行ローラが全て棚上に移動し、棚側の紐部材の伸び量が減少して、ケージが上方に浮き上がる(シフトする)と、浮上防止ローラが上方にシフトして水平支持部材との隙間が無くなる。従って、パレットの重量の一部が水平支持部材を介して浮上防止ローラに下向きに作用するので、紐部材の伸び量の急減が抑制され、ケージの浮き上がりを防止することができる。
【0016】
次いで、パレットを棚側にさらに横行させると、水平支持部材の端部が浮上防止ローラから外れる。
この際に、棚側の紐部材の伸び量の減少により、ケージが上方に浮き上がるが、浮上防止ローラがケージの横行方向端部に設けられているので、ケージとパレットとの干渉を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】エレベータ式駐車装置を示す概略図である。
図2】従来のパレットの横行状態を示す模式図である。
図3】本発明による機械式駐車装置の実施形態を示す正面図である。
図4図3の部分拡大図である。
図5図4のA部拡大図とそのB-B矢視図である。
図6】パレットがケージから図で右側の格納棚へ横行する際の説明図である。
図7】パレットが図で右側の格納棚からケージへ横行する際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
図3は、本発明による機械式駐車装置100の実施形態を示す正面図であり、図4は、図3の部分拡大図である。機械式駐車装置100は、この例ではエレベータ式駐車装置である。
【0020】
図3において、機械式駐車装置100は、複数の格納棚12、ケージ3、昇降駆動装置16、及び、昇降制御装置18を備える。
【0021】
複数の格納棚12は、昇降路9に沿って上下に間隔を隔てて設けられている。
ケージ3は、複数(この例で4本)の紐部材2に吊下げられ昇降路9を昇降する。
昇降駆動装置16は、複数の紐部材2を同期して昇降駆動する。紐部材2は、例えば、ワイヤロープ又はチェーンである。
昇降制御装置18は、昇降駆動装置16を制御する。
この機械式駐車装置100は、図示しない横行機構により、車両を載せるパレット10をケージ3と格納棚12の間でその境界部Bを越えて横行させるようになっている。
【0022】
横行機構は、例えば、先端に係合ドグを有する横行アームの水平旋回により、係合ドグと係合するパレット10を水平移動させる。
【0023】
図4において、パレット10は、水平支持部材13と複数の横行ローラ11を有する。
水平支持部材13は、パレット10の長手方向両端部に設けられ幅方向に水平に延びる。
複数(この例で4つ)の横行ローラ11は、長手方向両端部にそれぞれ設けられ、横行方向に間隔を隔て軸心を中心に回転可能に取り付けられている。
この例で、横行ローラ11は、水平支持部材13に取り付けられているが、その他の箇所でもよい。
【0024】
また、ケージ3と格納棚12は、横行時に横行ローラ11を支持するケージ上レール3aと棚レール12aをそれぞれ有している。
ケージ上レール3aは、ケージ3に固定されており、幅方向に水平に延び横行ローラ11を支持してその横行を案内する。
なお、パレット10の横行時には、ケージ上レール3a及び棚レール12aの上面がパレット支持高さとなる。すなわち、この場合、パレット支持高さは、横行ローラ11の下面である。
【0025】
図3において、昇降駆動装置16は、電動機16a、インバータ16b、及びエンコーダ16c(又はパルスジェネレータ)を有する。
電動機16aは、駆動シーブ7を回転駆動して複数の紐部材2を同期して巻上げ又は巻戻しする。インバータ16bは、電動機16aを速度制御する。エンコーダ16cは、電動機16aの回転位置を検出する。
【0026】
昇降制御装置18は、記憶装置18aと演算装置18bを有するコンピュータであるのがよい。
【0027】
なお上述した昇降駆動装置16及び昇降制御装置18の構成は必須ではなく、複数の紐部材2に吊下げられたケージ3の昇降を制御できればよい。
【0028】
図3において、機械式駐車装置100は、さらに、複数の位置決め部材20と複数の位置検出装置22とを備える。
複数の位置決め部材20は、格納棚12のパレット支持高さ(以下、「棚支持高さ」)に応じて昇降路9の横行側前後に固定されている。
複数の位置検出装置22は、ケージ3に設けられ、位置決め部材20を検出して、ケージ3のパレット支持高さ(以下、「ケージ支持高さ」)と棚支持高さとの差を検出する。
この構成により、ケージ3の昇降中に棚支持高さを検出することができる。また、位置決め部材20が昇降路9の横行側前後にそれぞれ設けられているので、ケージ3の横行側前後でそれぞれケージ3のパレット支持高さを修正することができる。
なお、図4において、位置決め部材20は昇降路9の四隅に設けることが好ましい。
【0029】
位置検出装置22は、ケージ支持高さと棚支持高さとの差(以下、「段差」)を連続的に検出できることが好ましい。
また、位置検出装置22は、ケージ支持高さと棚支持高さとの差(段差)を、第2閾値K2の範囲で、複数(例えば、上限、下限、中間点)の位置で検出できる構成であってもよい。かかる位置検出装置22は、馬蹄形センサとして知られている。
【0030】
図5は、図4のA部拡大図とそのB-B矢視図である。
この図において、ケージ3は、さらに、浮上防止ローラ15を有する。
浮上防止ローラ15は、パレット10の長手方向に延びる軸心を中心に回転可能であり、ケージ3の横行方向両端部にそれぞれ設けられている。
また、浮上防止ローラ15は、パレット10の横行時に水平支持部材13の真下に隙間Cを隔てて位置する。
【0031】
浮上防止ローラ15は、この例ではケージ上レール3aの両端部に設けているが、ケージ3のその他の箇所に設けてもよい。
また、浮上防止ローラ15は、両端部の内側にも設けることが好ましが、両端部のみであってもよい。
【0032】
また、両端部の浮上防止ローラ15の中心と境界部Bとの第1水平距離L1は、格納棚12への横行時にケージ上に最後に残る横行ローラ11の中心と水平支持部材13の横行方向反対側端部との第2水平距離L2より短いことが好ましい。
この構成により、後述する図6(B)において、ケージ上レール3aの両端部の浮上防止ローラ15により、水平支持部材13を介してパレット10を確実に支持することができる。
【0033】
また、水平支持部材13の下面13aは水平であり、この下面13aと浮上防止ローラ15の上端との上下方向の隙間Cは、第1閾値以内に設定されている。第1閾値K1は、ケージ3とパレット10が干渉せず、かつ横行機構に悪影響を与えない値に設定するのがよい。第1閾値K1は、例えば5~10mmである。
【0034】
昇降制御装置18は、横行中にケージ3を昇降させてケージ3のパレット支持高さを修正するリレベリングRを実施する。
すなわち昇降制御装置18は、横行ローラ11のそれぞれが境界部Bを越える際に、ケージ3と格納棚12のパレット支持高さの差(以下、段差Δh)が第2閾値以内になるように、リレベリングRを実施する。第2閾値K2は、例えば、2~10mmである。
【0035】
以下、リレベリングRを実施する時間帯を「リレベリング時間Δt」と呼ぶ。
リレベリング時間Δtは、1つの横行ローラ11が境界部Bを越えた後、他の横行ローラ11が境界部Bを越えるまでの時間である。
【0036】
「横行ローラ11のそれぞれが境界部Bを越える際」とは、ケージ3と格納棚12の間でパレット支持点Sを支持する負荷が急に変化する時点を意味する。
「横行ローラ11のそれぞれが境界部Bを越える際」の検出は、例えば、横行開始からの時間で設定する。また、図示しない横行装置の駆動部(例えば旋回アーム)の位置をセンサで検出してもよい。
【0037】
また、パレット10の横行中に、横行速度を可変制御し、リレベリング時間Δtを変化させる、ことが好ましい。
例えば、「横行ローラ11のそれぞれが境界部Bを越える際」の検出を、横行開始からの時間、或いはパレット10の横行方向に設けた位置センサで検出し、その検出前に横行速度を減速又は一時停止することにより、リレベリング時間Δtを確保してもよい。
【0038】
図6は、パレット10がケージ3から図で右側の格納棚12へ横行する際の説明図である。
【0039】
上述した本発明の構成によれば、パレット10が、横行方向に間隔を隔て軸心を中心に回転可能に取り付けられた複数の横行ローラ11を有し、ケージ3が、幅方向に水平に延び横行ローラ11を支持して案内するケージ上レール3aを有する。
従って、横行ローラ11をケージ上レール3aで支持した状態で、パレット10の横行を案内することができる。
【0040】
図4において、(A)は、パレット10の右側の横行ローラ11が境界部Bを通過した状態、(B)は、パレット10の左側の横行ローラ11が境界部Bを通過した状態、(C)は、パレット10の全体が格納棚12に移動し横行が完了した状態を示している。
【0041】
図6(A)では、ケージ3と格納棚12のパレット支持高さの差(段差)が第2閾値K2以内にケージ3が位置した状態(すなわち、段差が実質的にない状態)で、横行を開始し、右側の横行ローラ11が境界部Bをスムースに通過している。
【0042】
図6(B)では、上述したリレベリングRにより、横行中にケージ3を昇降させてケージ3のパレット支持高さを修正し、段差が実質的にない状態で、さらに横行し、左側の横行ローラ11が境界部Bをスムースに通過する。
【0043】
この際、パレット10の横行ローラ11が全て格納棚12に移動し、ケージ3の棚側の紐部材2(2a)の伸び量が減少して、ケージ3が上方に浮き上がる(シフトする)と、ケージ3と共に浮上防止ローラ15が上方にシフトして水平支持部材13との隙間Cが無くなる。
従って、図6(B)において、パレット10の重量の一部が水平支持部材13を介して浮上防止ローラ15に下向きに作用するので、紐部材2(2a)の伸び量の急減が抑制され、ケージ3の浮き上がりが防止される。
【0044】
図6(C)において、パレット10を棚側にさらに横行させると、水平支持部材13の端部が浮上防止ローラ15から外れる。
この際に、棚側の紐部材2aの伸び量の減少により、ケージ3が上方に浮き上がるが、浮上防止ローラ15がケージ3の横行方向端部に設けられているので、ケージ3とパレット10との干渉を回避できる。
【0045】
パレット10がケージ3から図で左側の格納棚12へ横行する場合も同様である。
【0046】
図7は、パレット10が図で右側の格納棚12からケージ3へ横行する際の説明図である。
この図において、(A)は、パレット10の全体が棚上に位置し横行を開始した直後、(B)は、パレット10の左側の横行ローラ11が境界部Bを通過した直後、(C)は、パレット10の右側の横行ローラ11が境界部Bを通過する直前を示している。
【0047】
図7(A)では、ケージ3と格納棚12のパレット支持高さの差(段差)が第2閾値K2以内にケージ3が位置した状態(すなわち、段差が実質的にない状態)で、パレット10が横行を開始する。
この際、水平支持部材13の下面13aは水平であり、この下面13aと浮上防止ローラ15の上端との間に上下方向の隙間Cがあるので、水平支持部材13は、浮上防止ローラ15と干渉することなくケージ側に水平移動する。
【0048】
次いで、図7(B)において、段差が実質的にない状態で、さらにパレット10が横行し、左側の横行ローラ11が境界部Bをスムースに通過してケージ上レール3aの上に移動する。
【0049】
図7(C)では、上述したリレベリングRにより、横行中にケージ3を昇降させてケージ3のパレット支持高さを修正し、段差が実質的にない状態で、さらに横行し、右側の横行ローラ11が境界部Bをスムースに通過して横行が完了する。
【0050】
パレット10が図で左側の格納棚12からケージ3へ横行する場合も同様である。
【0051】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0052】
例えば、上述の例で、機械式駐車装置100は、エレベータ式駐車装置であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、ケージ3が紐部材2に吊下げられ、車両又は荷物を載せるパレット10がケージ上で横行する限りで、その他の機械式駐車装置、或いは自動倉庫等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
B 境界部、C 隙間、Δh 段差、K1 第1閾値、K2 第2閾値、
L1 第1水平距離、L2 第2水平距離、R リレベリング、
S パレット支持点、1 エレベータ式駐車装置、
2 紐部材(ワイヤロープ、チェーン)、3 ケージ、3a ケージ上レール、
4 昇降機構、5 シーブ駆動装置、6 従動滑車、7 駆動シーブ、
8 カウンタウェイト、9 昇降路、10 パレット、11 横行ローラ、
12 格納棚、12a 棚レール、13 水平支持部材、13a 下面、
15 浮上防止ローラ、16 昇降駆動装置、16a 電動機、
16b インバータ、16c エンコーダ(パルスジェネレータ)、
18 昇降制御装置、18a 記憶装置、18b 演算装置、
20 位置決め部材、22 位置検出装置、100 エレベータ式駐車装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7