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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】放射線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20230725BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20230725BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N23/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019045514
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2020148578
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】391017540
【氏名又は名称】東芝ITコントロールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 倫大
(72)【発明者】
【氏名】半杭 秀一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 憲治
(72)【発明者】
【氏名】内田 敏徳
(72)【発明者】
【氏名】吉田 みどり
(72)【発明者】
【氏名】冨樫 法仁
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-219508(JP,A)
【文献】特開平9-49883(JP,A)
【文献】特開2018-77091(JP,A)
【文献】特開2012-68126(JP,A)
【文献】特開2012-78303(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012110393(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - G01N 23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源と、
前記放射線源に対向して設けられた検出器と、
前記放射線源と前記検出器との間の被検体の検査位置を通る直線状の搬送経路を有し、前記被検体を搬送する搬送機構と、
前記放射線源及び前記検出器を囲う遮蔽箱と、
前記被検体を前記遮蔽箱の内部に搬入する前記遮蔽箱に設けられた搬入口と、
前記被検体を前記遮蔽箱の外部に搬出する前記遮蔽箱に設けられた搬出口と、
前記放射線源から前記被検体に放射線が照射され、前記被検体から散乱した散乱線を遮蔽する遮蔽部材と、
を備え、
前記搬送機構は、前記搬入口を通る直線状の搬入経路と、前記搬出口を通る直線状の搬出経路と、前記搬送経路と前記搬入経路又は前記搬出経路を繋ぐ中間経路と、を有し、
前記搬入口、前記搬出口、前記搬入経路および前記搬出経路は、前記搬送経路の延長線上からシフトして設けられ、
前記搬入口、前記搬出口、前記搬入経路および前記搬出経路のシフトの方向は、水平方向又は高さ方向であり、
前記中間経路は前記搬送経路に対して直交していること、
を特徴とする放射線検査装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記検査位置と前記搬入口又は前記搬出口の縁とを結ぶライン上に設けられていること、
を特徴とする請求項記載の放射線検査装置。
【請求項3】
前記遮蔽部材は、切り欠きを有する遮蔽板であり、前記切り欠きに前記被検体が通るように前記搬送機構に設けられていること、
を特徴とする請求項記載の放射線検査装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、前記搬入口を一端とし、前記遮蔽箱の外部に延びる遮蔽トンネル、又は、前記搬出口を一端とし、前記遮蔽箱の外部に延びる遮蔽トンネルであること、
を特徴とする請求項記載の放射線検査装置。
【請求項5】
前記遮蔽部材は、前記搬入口を一端とし、前記遮蔽箱の内部に延びる遮蔽トンネル、又は、前記搬出口を一端とし、前記遮蔽箱の内部に延びる遮蔽トンネルであること、
を特徴とする請求項又は記載の放射線検査装置。
【請求項6】
前記放射線源は、放射線の照射方向を前記搬送経路に対して斜めにして設けられていること、
を特徴とする請求項1~の何れかに記載の放射線検査装置。
【請求項7】
前記遮蔽箱の内部に設けられ、前記放射線源と前記検出器の組を覆う内部遮蔽箱を備えたこと、
を特徴とする請求項1~の何れかに記載の放射線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被検体を透過した放射線を検出して被検体の画像を形成する放射線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線で代表される放射線を被検体に照射し、被検体を透過することで減弱した放射線の二次元分布を検出して画像化することで、被検体の非破壊検査を行う放射線検査装置が知られている。放射線検査装置は、例えば、被検体がリチウムイオン電池などの捲回構造体の場合、捲回構造体の内部の寸法、異物をインラインで検査する。これにより、捲回構造の巻きズレ、電極等のタブズレ、捲回構造体内部の異物を発見することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4829949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の放射線検査装置は、被検体に放射線を照射する放射線源と、放射線源と対向して設けられ、被検体を透過した放射線を検出する検出器と、放射線源及び検出器を収容し、外部に漏洩する放射線を遮蔽する遮蔽箱と、被検体を遮蔽箱内に搬入し、放射線源と検出器との間の検査位置まで搬送し、検査の終了した被検体を遮蔽箱の外部に搬出する搬送機構とを備える。従来では、この搬送機構は、遮蔽箱の内部に、所定ピッチに並んだ被検体を、円軌道で順次検出位置に搬送する搬送部と、当該被検体を遮蔽箱内部に搬入する搬入部と、被検体を遮蔽箱外部に搬出する搬出部と、を有し、搬入部、搬送部、搬出部はそれぞれ独立に分割された機構となっていた。さらに搬送機構は、中継部を有し、この中継部が、被検体を搬入部から搬送部に受け渡すとともに、搬送部から搬出部に受け渡す機構となっていた。このように、従来の放射線検査装置は、装置構成が複雑であり、重量が大きなものとなっていた。
【0005】
そこで、搬送機構を1本の搬送経路を形成する機構とし、装置構成を簡易化及び軽量化することが検討されたが、遮蔽箱の搬入口、搬出口、及び検査位置が一直線上に並び、搬入口、搬出口が検査位置に近いと、検査位置での被検体に照射された放射線が散乱することにより、搬入口、搬出口を介して放射線が漏洩する線量が増大するという問題があった。
【0006】
本実施形態は、上述の課題を解決すべく、装置構成を簡易化及び軽量化するとともに、放射線の漏洩線量を低減することのできる放射線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る放射線検査装置は、放射線源と、前記放射線源に対向して設けられた検出器と、前記放射線源と前記検出器との間の被検体の検査位置を通る直線状の搬送経路を有し、前記被検体を搬送する搬送機構と、前記放射線源及び前記検出器を囲う遮蔽箱と、前記被検体を前記遮蔽箱の内部に搬入する前記遮蔽箱に設けられた搬入口と、前記被検体を前記遮蔽箱の外部に搬出する前記遮蔽箱に設けられた搬出口と、前記放射線源から前記被検体に放射線が照射され、前記被検体から散乱した散乱線を遮蔽する遮蔽部材と、を備え、前記搬送機構は、前記搬入口を通る直線状の搬入経路と、前記搬出口を通る直線状の搬出経路と、前記搬送経路と前記搬入経路又は前記搬出経路を繋ぐ中間経路と、を有し、前記搬入口、前記搬出口、前記搬入経路および前記搬出経路は、前記搬送経路の延長線上からシフトして設けられ、前記搬入口、前記搬出口、前記搬入経路および前記搬出経路のシフトの方向は、水平方向又は高さ方向であり、前記中間経路は前記搬送経路に対して直交していること、を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る放射線検査装置の構成の一例を示す平面図である。
図2】第2実施形態に係る放射線検査装置の構成の一例を示す平面図である。
図3】第3実施形態に係る放射線検査装置の構成の一例を示す側面図である。
図4】第4実施形態に係る放射線検査装置の構成の一例を示す平面図である。
図5】他の実施形態に係る放射線検査装置の構成の一例を示す平面図である。
図6】他の実施形態に係る放射線検査装置の構成の他の一例(その1)を示す平面図である。
図7】他の実施形態に係る放射線検査装置の構成の他の一例(その2)を示す平面図である。
図8】他の実施形態に係る放射線検査装置の構成の他の一例(その3)を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る放射線検査装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
(構成)
図1は、第1実施形態に係る放射線検査装置の構成の一例を示す平面図である。放射線検査装置1は、被検体100に放射線を照射し、被検体100を透過した放射線を検出し、検出結果によって被検体100内の透視画像を形成する。被検体100は、放射線により非破壊検査されるものであれば特に限定されないが、例えば、円筒型電池、角型電池、ラミネート型電池、アルミ電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタ、等の捲回構造体である。
【0012】
図1に示すように、この放射線検査装置1は、放射線源2、検出器3、遮蔽箱4、搬送機構5、処理装置6、及び表示装置7を備える。放射線源2、検出器3、遮蔽箱4、及び搬送機構5は、不図示の載置台上に設けられている。
【0013】
放射線源2は、被検体100に向けて放射線ビームを照射する。放射線は例えばX線である。放射線ビームは、焦点を頂点として角錐形状に拡大する放射線の束である。この放射線源2は例えばX線管である。X線管は、真空内にフィラメントとタングステン等のターゲットとを0°以上のターゲット角度を設けて対向させている。フィラメントは撮影条件に従った管電流及び管電圧が印加されて、電子線を出射する。ターゲットは、加速された電子線の衝突によりX線を発生させる。
【0014】
検出器3は、放射線源2の焦点と対向して配置される。この検出器3は、例えばイメージインテンシファイア(I.I.)とカメラ、又はフラットパネルディテクタ(FPD)により構成される。I.I.は、放射線に励起されると発光するヨウ化セシウム等により成るシンチレータ面を2次元状に拡げ、入射した放射線の二次元分布を蛍光像に変換しつつ、蛍光像の光度を増倍させる。カメラは、CCDやCMOS等の撮像素子を並設し、蛍光像を撮像する。FPDは、シンチレータ面に沿ってフォトダイオードとTFTスイッチを有する。フォトダイオードは、蛍光像を電荷に変換して蓄積し、TFTスイッチは、ON信号を与えられると、フォトダイオードに蓄積されていた電荷を出力させる。
【0015】
即ち、検出器3は、放射線の透過経路に応じて減弱した放射線強度の二次元分布を検出し、当該放射線強度に比例した透過データを出力する。そして、透過データは、放射線強度、放射線強度を示す電荷量、又は放射線強度を示す輝度値であり、例えば256階調等にデジタル化される。
【0016】
放射線源2と検出器3は、ここでは2組設けられており、放射線源2の照射方向が並行になるように横並びに設けられている。例えば、一方の組の放射線源2と検出器3は、被検体100の上部を撮影し、他方の組の放射線源2と検出器3は、被検体100の下部を撮影する。
【0017】
遮蔽箱4は、放射線源2と検出器3を囲い、放射線を遮蔽する。遮蔽箱4は、鉛などの放射線を遮蔽する材料を含み構成されている。遮蔽箱4は、例えば直方体形状である。遮蔽箱4には、被検体100を内部に搬入する搬入口41、内部の被検体100を外部に搬出する搬出口42が設けられている。搬入口41、搬出口42は、直方体の対向する二面に設けられた、例えば四角形状の切り欠きである。搬入口41、搬出口42は、後述する搬送経路52の延長線上からシフトして設けられている。このシフトは、水平方向のシフトである。換言すれば、当該シフトの方向は、載置台の載置面が拡がる水平面(図1のXY平面)において、搬送経路52に直交する方向である。
【0018】
搬送機構5は、被検体100を搬送する機構である。搬送機構5は、例えばベルトコンベヤ、チェーンコンベヤなどのコンベヤである。搬送機構5は、被検体100が捲回構造体である場合に、被検体100を水平面に対して垂直にした状態で搬送する。すなわち、捲回構造体(概略多重筒体)の曲面に放射線源2の放射線が照射される。
【0019】
搬送機構5の被検体100の搬送経路は、遮蔽箱4に入って屈曲し、検査位置Pを直線状に通過してから再度屈曲し、遮蔽箱4の外に延びる。具体的には、搬送機構5は、搬入口41を通る直線状の搬入経路51と、放射線源2と検出器3との間の検査位置Pを通る直線状の搬送経路52と、搬出口42を通る直線状の搬出経路53と、経路51、52を繋ぎ、経路52、53を繋ぐ中間経路54と、を有する。検査位置Pは、放射線源2と検出器3とを結ぶ直線と搬送経路52との交差する位置である。ここでは、放射線源2の照射方向と搬送経路52とが直交する。
【0020】
経路51~53は、X軸方向に延びて平行であり、搬入経路51と搬出経路53は、搬送経路52の延長線上からシフトして設けられている。本実施形態では、当該シフトは、水平方向(Y軸方向)のシフトである。換言すれば、載置台の載置面が拡がる水平面において、搬送経路52に直交する方向である。中間経路54は、搬送経路52に対して斜めに延びる直線経路である。
【0021】
処理装置6は、放射線源2、検出器3及び搬送機構5を制御し、被検体100を撮影させ、また被検体100の画像を生成する。この処理装置6は、所謂コンピュータであり、CPU、HDD又はSSDといったストレージ、RAM及びドライバ回路で構成される。ストレージはプログラムを記憶し、RAMはプログラムが展開され、またデータが一時的に記憶され、CPUはプログラムを処理し、ドライバ回路はCPUの処理結果に従って各部に電力を供給する。
【0022】
表示装置7は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイといったモニタである。この表示装置7は、処理装置6で生成した被検体100の画像を画面上に表示する。
【0023】
(作用)
本実施形態の放射線検査装置1の作用を説明する。搬送経路52には、所定間隔毎に被検体100が設けられており、搬送機構5は、一方向にこれらの被検体100を搬送する。放射線源2は、被検体100を搬送させている間は、放射線を被検体100に照射する。検出器3は、処理装置6の制御により、被検体100が検査位置Pに来たときに被検体100を透過した放射線を検出し、透過データを処理装置6に出力する。処理装置6は、この透過データから被検体100の透視画像を生成し、表示装置7の画面に表示させる。
【0024】
ここで、放射線源2により被検体100に放射線が照射されると、あらゆる方向に散乱する。この散乱した放射線を散乱線という。この散乱線の強度は、下記(1)~(6)の条件によって変化する。
(1) 放射線源2から被検体100間の距離(FOD:Focus to Object Distance)の2乗に反比例
(2) 被検体100での散乱位置から散乱線測定点までの間の距離の2乗に反比例
(3) 放射線源2からの直接線強度に比例
(4) 被検体100の材質により変化(吸収係数の大きい物質であれば、自己吸収が大きく、散乱線強度は小さくなる)
(5) 放射線の照射方向に対する散乱角度
(6) 被検体100への放射線照射面積に比例
一般に、高画質の透視画像を得るためには、高拡大率かつS/Nを大きくする必要があり、FODを小さくして放射線を高出力させる。この場合、散乱線の強度が大きくなる。
【0025】
上記のように、散乱線は、あらゆる方向に散乱するが、放射線の照射方向に対して直角に散乱する散乱線の強度が最も大きくなる傾向にあり、特に被検体100が捲回構造体である場合に、その傾向が顕著である。
【0026】
そこで、本実施形態では、搬入口41、搬出口42、搬入経路51および搬出経路53を、搬送経路52の延長線上からシフトして設けている。これにより、最も散乱線の大きい部分が遮蔽箱4により遮蔽されるので、遮蔽箱4外部へ漏洩する放射線の線量を低減することができる。
【0027】
例えば、放射線源2の管電圧を150kV、放射線源2から最近接する被検体100までの距離(FOD)を80mm、検査位置Pから遮蔽箱4までの距離L、L’を250mm、被検体100を円筒型リチウムイオン電池とし、搬入口41および搬出口42のシフト量D、D’を400mmとした場合、シフトなしの場合(D、D’=0)と比べて、搬入口41、搬出口42における散乱線の漏洩線量は約1/4程度まで低減することができる。
【0028】
(効果)
本実施形態の放射線検査装置1は、放射線源2と、放射線源2に対向して設けられた検出器3と、放射線源2と検出器3との間の被検体100の検査位置Pを通る直線状の搬送経路52を有し、被検体100を搬送する搬送機構5と、放射線源2及び検出器3を囲う遮蔽箱4と、被検体100を遮蔽箱4の内部に搬入する遮蔽箱4に設けられた搬入口41と、被検体100を遮蔽箱4の外部に搬出する遮蔽箱4に設けられた搬出口42と、を備え、搬送機構5は、搬入口41を通る直線状の搬入経路51と、搬出口42を通る直線状の搬出経路53と、を有し、搬入口41、搬出口42、搬入経路51および搬出経路53は、搬送経路52の延長線上からシフトして設けるようにした。具体的には、搬入口41、搬出口42、搬入経路51および搬出経路53のシフトの方向は、水平方向とした。
【0029】
これにより、円軌道で被検体100を搬送して検査する従来の放射線検査装置と比べて、装置構成を簡易化及び軽量化することができる。また、装置構成が簡略化できるので、メンテナンス性を向上させることができる。また、被検体100を直線状に搬送する場合であっても、放射線の漏洩線量、特に、搬入口41、搬出口42における、被検体100からの散乱線に起因する漏洩線量を低減することができる。
【0030】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態では、中間経路54を搬送経路52に対して斜めに延びる経路としていたが、搬送経路52に対して直交する経路としても良い。これにより、搬入口41と搬出口42との間の搬送機構5の経路を短くすることができるので、遮蔽箱4を小型化することができ、放射線検査装置1の設置面積を小さくすることができる。また、遮蔽箱4に使用する鉛等の放射線を遮蔽する材料が少なくて済むので、コストを低減させることができる。
【0031】
(第2実施形態)
(構成)
第2実施形態に係る放射線検査装置について、図面を参照して詳細に説明する。第1実施形態と同一構成及び同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0032】
図2は、第2実施形態に係る放射線検査装置1の構成の一例を示す平面図である。図2に示すように、本実施形態の放射線検査装置1は、遮蔽部材8を備える。遮蔽部材8は、放射線源2から被検体100に放射線が照射され、被検体100から散乱した散乱線を遮蔽する遮蔽板81である。この遮蔽板81は、鉛などの放射線を遮蔽する材料を含み構成されている。
【0033】
遮蔽板81は、ここでは複数枚設けられており、検査位置Pと搬入口41の縁とを結ぶライン上と、検査位置Pと搬出口42の縁とを結ぶライン上とに設けられている。換言すれば、遮蔽板81は、検査位置Pと搬入口41又は搬出口42の開口縁とで形成される錐状の領域に重なるように設けられている。当該領域は、ここでは搬入口41、搬出口42が四角形状であるので、四角錐状である。遮蔽板81は、上記のライン上であれば、遮蔽箱4の内外に設けても良い。例えば、遮蔽板81は、遮蔽箱4の内側であって、放射線源2の焦点と搬入口41又は搬出口42との間に設けても良いし、搬入口41の縁よりも搬入経路51に近くなるように設けても良いし、搬出口42の縁よりも搬出経路53に近くなるように設けても良い。
【0034】
(作用・効果)
(1)本実施形態の放射線検査装置1は、放射線源2から被検体100に放射線が照射され、被検体100から散乱した散乱線を遮蔽する遮蔽部材8を備えるようにした。これにより、放射線の漏洩線量を更に低減させることができる。
【0035】
また、例えば、X線の鉛に対する1/2価層、すなわちX線漏洩線量を半分にするのに必要な鉛の厚さは、管電圧150kVの場合、約0.3mmであり、第1実施形態の条件(FOD=80mm、L=250mm、D、D’=400mm)と同じ条件でシフトさせた場合、遮蔽に必要な鉛の厚さを約0.6mm削減することができる。言い換えると、搬入口41、搬出口42、搬入経路51、及び搬出経路53を、搬送経路52に対してシフトさせることで、漏洩線量を同じにする場合には、遮蔽板81の厚みを薄くすることができ、コストを削減することができる。
【0036】
(2)遮蔽部材8(ここでは遮蔽板81)は、検査位置Pと搬入口41又は搬出口42の縁とを結ぶライン上に設けるようにした。これにより、被検体100からの散乱線が搬入口41又は搬出口42に向かう経路が遮断されるので、放射線の漏洩線量を更に効果的に低減させることができる。
【0037】
(第2実施形態の変形例)
遮蔽部材8は、切り欠きを有する遮蔽板81であり、当該切り欠きに被検体100が通るように搬送機構5に設けるようにしても良い。この遮蔽板81は、例えば四角形状の板状体の一辺に、切り欠きとなるスリットが設けられて概略U字形状に構成される。遮蔽板81は、例えば、搬送機構5の搬入経路51、搬送経路52、搬出経路53、中間経路54の少なくとも何れかを跨ぐように設ける。言い換えると、遮蔽板81は、その切り欠きに被検体100が通るように搬送機構5に設ける。このような遮蔽板81を設けることにより、放射線の漏洩線量をより低減させることができる。特に、中間経路54を跨ぐように遮蔽板81を設けることで、検査位置Pと搬入口41又は搬出口42とで形成される領域(図2の一点鎖線で囲われる領域)を塞ぐことができるので、漏洩線量をより低減させることができる。
【0038】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る放射線検査装置について、図面を参照して詳細に説明する。第1実施形態と同一構成及び同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0039】
図3は、第3実施形態に係る放射線検査装置の構成の一例を示す側面図である。図3に示すように、本実施形態の放射線検査装置1は、搬入口41、搬出口42、搬入経路51、及び搬出経路53が、第1実施形態のように搬送経路52の延長線上から水平方向にシフトするのではなく、搬送経路52の延長線上から高さ方向にシフトして設けられている。高さ方向とは、載置台に拡がる水平面(図3のXY平面)に直交する方向であり、ここでは図3のZ軸方向である。ここでは、搬送経路52が、搬入口41、搬出口42、搬入経路51、及び搬出経路53よりも上方に設けられている。
【0040】
このように、搬入口41、搬出口42、搬入経路51、及び搬出経路53のシフトを高さ方向にシフトしても、第1実施形態と同様に、従来の放射線検査装置よりも装置構成を簡素化及び軽量化できるとともに、放射線の漏洩線量を低減することができる。
【0041】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る放射線検査装置について、図面を参照して詳細に説明する。第2実施形態と同一構成及び同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0042】
図4は、第4実施形態に係る放射線検査装置の構成の一例を示す平面図である。図4に示すように、本実施形態の搬送機構5の搬送経路55は、一本の直線状の経路であり、搬入口41から遮蔽箱4内に入り、検査位置Pを通って、搬出口42から遮蔽箱4外に出る。換言すれば、搬入口41、検査位置P、及び搬出口42は、一直線上に設けられている。
【0043】
本実施形態では遮蔽箱4には、搬入口41を一端として外部に延びる遮蔽トンネル82、搬出口42を一端として外部に延びる遮蔽トンネル83が設けられている。遮蔽トンネル82、83は、遮蔽板81に代わる遮蔽部材8の一態様であり、散乱線を遮蔽する。遮蔽トンネル82、83は、鉛などの放射線を遮蔽する材料を含み構成されており、例えば筒形状である。遮蔽トンネル82、83の長さは、適宜設定可能である。例えば、遮蔽トンネル82、83の端における漏洩線量が十分小さくなる長さとする。
【0044】
本実施形態によれば、搬送機構5の搬送経路を直線状とし、搬入口41、検査位置P、及び搬出口42は、一直線上に設けるようにした。これにより、第1実施形態と同様に、従来の放射線検査装置と比べて、装置構成を簡略化及び軽量化することができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0045】
また、散乱線の強度は、被検体100での散乱位置から散乱線測定点間の距離の2乗に反比例するから、遮蔽トンネル82、83を設けることにより、被検体100の実際の搬入口、搬出口となる遮蔽トンネル82、83の一端を、遮蔽トンネル82、83の他端である搬入口41、搬出口42から遠ざけることができるので、放射線の漏洩線量を低減することができる。
【0046】
(他の実施形態)
本明細書においては、本発明に係る実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。以上のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0047】
例えば、第1実施形態乃至第3実施形態のシフト量D、D’は、同じであっても良いし、異なっていても良い。また、搬入経路51又は搬出経路53の一方を水平方向にシフトさせ、搬入経路51又は搬出経路53の他方を高さ方向にシフトさせても良い。
【0048】
また、第2実施形態の遮蔽部材8(遮蔽板81)は、第1実施形態の変形例、第3実施形態、第4実施形態に適用しても良い。
【0049】
第4実施形態では、遮蔽トンネル82、83は、搬入口41、搬出口42を一端とし、遮蔽箱4の外部に延びるように設けたが、遮蔽箱4の内部に延びるように設けても良い。例えば、この遮蔽トンネル82、83は、一端を搬入口41、搬出口42として検査位置Pの方へ延び、他端が検査位置P近傍に位置して設けることができる。当該他端は、例えば、直近の放射線源2から照射された錐状の放射線ビームに当たらない程度とする。このように遮蔽トンネル82、83を遮蔽箱4の内部に延ばすことで、検査位置Pに位置する被検体100から散乱した散乱線が、遮蔽トンネル82、83により遮蔽されるので、搬入口41、搬出部42における放射線の漏洩線量を低減させることができる。
【0050】
また、第1実施形態乃至第4実施形態及び変形例では、放射線源2の照射方向と搬送機構5が搬送する被検体100の搬送経路とを直交させるように、放射線源2と検出器3を設けるようにしたが、放射線源2は、放射線の照射方向を搬送経路に対して斜めにして設けるようにしても良い。これにより、最も強い方向の散乱線が、搬入口41、搬出口42から外れて遮蔽箱4により遮蔽されるため、放射線の漏洩線量を低減させることができる。
【0051】
このようなレイアウトは、第1実施形態乃至第4実施形態及び変形例の何れにも適用可能である。例えば、図5に示すように、第1実施形態に適用しても良いし、図6に示すように、第4実施形態に適用しても良い。但し、遮蔽トンネル82、83は必ずしもなくても良い。また、放射線源2の照射方向は、放射線源2と検出器3の組毎に異なっていても良いし(図6参照)、同じであっても良い(図5参照)。つまり、当該照射方向は、放射線源2と検出器3の組同士で斜交しても良いし、平行であっても良い。
【0052】
また、図7に示すように、放射線検査装置1は、放射線源2と検出器3の組を覆う内部遮蔽箱40を備えるようにしても良い。内部遮蔽箱40は、遮蔽箱4の内部に設ける。内部遮蔽箱40は、鉛などの放射線を遮蔽する材料を含み構成され、例えば直方体形状である。内部遮蔽箱40は、放射線源2と検出器3の組毎に覆う。換言すると、内部遮蔽箱40の内部に検査位置Pが位置し、内部遮蔽箱40には、被検体100が通過する入口40a、出口40bが設けられている。このように、内部遮蔽箱40を設けることにより、検査位置Pに位置する被検体100から散乱した散乱線を遮蔽できるので、放射線検査装置1外部への放射線の漏洩線量を低減することができる。また、内部遮蔽箱40により散乱線を低減できるので、遮蔽箱4の鉛などの遮蔽部材の厚さを薄くすることができるので、装置全体として軽量化することができる。この内部遮蔽箱40は、図8に示すように、第4実施形態にも適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 放射線検査装置
2 放射線源
3 検出器
4 遮蔽箱
40 内部遮蔽箱
40a 入口
40b 出口
41 搬入口
42 搬出口
5 搬送機構
51 搬入経路
52 搬送経路
53 搬出経路
54 中継経路
55 搬送経路
6 処理装置
7 表示装置
8 遮蔽部材
81 遮蔽板
82 遮蔽トンネル
83 遮蔽トンネル
100 被検体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8