IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社富士通エフサスの特許一覧

特許7319067情報処理装置、判定方法および判定プログラム
<>
  • 特許-情報処理装置、判定方法および判定プログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、判定方法および判定プログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、判定方法および判定プログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、判定方法および判定プログラム 図4
  • 特許-情報処理装置、判定方法および判定プログラム 図5
  • 特許-情報処理装置、判定方法および判定プログラム 図6
  • 特許-情報処理装置、判定方法および判定プログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、判定方法および判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20230725BHJP
【FI】
G06Q10/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019058221
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020160688
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】株式会社富士通エフサス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷本 幸総
(72)【発明者】
【氏名】山野 大偉治
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/154845(WO,A1)
【文献】特開2005-061887(JP,A)
【文献】特開2008-027284(JP,A)
【文献】黒瀬 晋,NECオフィスサーバシステム7200シリーズのRAS機能,NEC技報,日本,株式会社NECクリエイティブ,1994年06月24日,第47巻第5号,P.70-75
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守対象装置において所定のエラーが発生したか否かの情報を取得し、所定期間毎にエラーの発生回数をテーブルに登録し、前記保守対象装置に対する衝撃を検出するセンサの出力値が閾値以上となった場合、前記テーブルに前記出力値を登録する登録部と、
記出力値が閾値以上となった場合、前記センサの出力値が閾値以上となった基準時刻と、前記テーブルとを基にして、前記基準時刻前のエラーの発生回数と前記基準時刻後のエラーの発生回数との差分回数、前記基準時刻前のエラーの発生頻度および前記基準時刻後のエラーの発生頻度を特定し、前記テーブルに前記出力値が登録されているか否かを特定し、
前記差分回数と、前記基準時刻前のエラーの発生頻度と、前記基準時刻後のエラーの発生頻度と、前記テーブルに前記出力値が登録されているか否かの判定結果とを基にして、利用者過失による故障が発生したのか、偶発的な故障が発生したのか、前記衝撃に起因する故障が発生したか否かを判定する判定部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記基準時刻前のエラーの発生頻度よりも前記基準時刻後のエラーの発生頻度が大きい場合に、前記衝撃に起因する故障が発生したと判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
記テーブルの情報を基にした画面情報を生成して、生成した画面情報を表示させる画面情報生成部を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記保守対象装置に故障が発生したと判定した場合に、前記テーブルを参照し、前記テーブルに前記出力値が登録されていない場合、前記故障は前記衝撃に起因しない故障であると判定することを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記保守対象装置に故障が発生したと判定した場合に、前記テーブルを参照し、前記テーブルに前記出力値が登録されており、かつ、前記基準時刻から故障が発生した時刻までの期間の長さを基にして、前記衝撃に起因する故障が発生したか否かを判定することを特徴とする請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータが、
保守対象装置において所定のエラーが発生したか否かの情報を取得し、所定期間毎にエラーの発生回数をテーブルに登録し、
前記保守対象装置に対する衝撃を検出するセンサの出力値が閾値以上となった場合、前記テーブルに前記出力値を登録し、
記出力値が閾値以上となった場合、前記センサの出力値が閾値以上となった基準時刻と、前記テーブルとを基にして、前記基準時刻前のエラーの発生回数と前記基準時刻後のエラーの発生回数との差分回数、前記基準時刻前のエラーの発生頻度および前記基準時刻後のエラーの発生頻度を特定し、前記テーブルに前記出力値が登録されているか否かを特定し、
前記差分回数と、前記基準時刻前のエラーの発生頻度と、前記基準時刻後のエラーの発生頻度と、前記テーブルに前記出力値が登録されているか否かの判定結果とを基にして、利用者過失による故障が発生したのか、偶発的な故障が発生したのか、前記衝撃に起因する故障が発生したか否かを判定する
処理を実行することを特徴とする判定方法。
【請求項7】
コンピュータに、
保守対象装置において所定のエラーが発生したか否かの情報を取得し、所定期間毎にエラーの発生回数をテーブルに登録し、
前記保守対象装置に対する衝撃を検出するセンサの出力値が閾値以上となった場合、前記テーブルに前記出力値を登録し、
記出力値が閾値以上となった場合、前記センサの出力値が閾値以上となった基準時刻と、前記テーブルとを基にして、前記基準時刻前のエラーの発生回数と前記基準時刻後のエラーの発生回数との差分回数、前記基準時刻前のエラーの発生頻度および前記基準時刻後のエラーの発生頻度を特定し、前記テーブルに前記出力値が登録されているか否かを特定し、
前記差分回数と、前記基準時刻前のエラーの発生頻度と、前記基準時刻後のエラーの発生頻度と、前記テーブルに前記出力値が登録されているか否かの判定結果とを基にして、利用者過失による故障が発生したのか、偶発的な故障が発生したのか、前記衝撃に起因する故障が発生したか否かを判定する
処理を実行させることを特徴とする判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
企業では、コストを削減することを目的として、ノートパソコン等を購入する代わりに、保守サービスを利用して、ノートパソコン等を借り、各社員に提供している。以下の説明では、保守サービスの対象となるノートパソコン等の装置を「保守対象装置」と表記する。企業は、保守契約時に取り決められた料金を保守サービスの提供先に支払うことで、保守対象装置の定期メンテナンスや、故障時の保証を受けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-254207号公報
【文献】特開2003-345627号公報
【文献】特開2012-203431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、保守対象装置に発生した故障が、偶発的な故障であるか、利用者過失による故障であるかを判定することができないという問題がある。
【0005】
たとえば、保守対象装置に故障が発生した場合、偶発的な故障であるか、利用者過失による故障であるかを客観的に判断することは難しく、利用者による自己申告に依存している。また、利用者が保守作業装置に衝撃等を与えて故障させてしまった際に、保守作業装置に備わる機能によって、一時的に、故障の一部がカバーされ、利用者が故障の影響に気付くまでに時間がかかる場合がある。このような場合には、利用者は、利用者過失による故障であっても、偶発的な故障であると勘違いすることがある。
【0006】
1つの側面では、本発明は、保守対象装置に発生した故障が、偶発的な故障であるか、利用者過失による故障であるかを判定することができる情報処理装置、判定方法および判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の案では、情報処理装置は、登録部と、判定部とを有する。登録部は、保守対象装置において所定のエラーが発生したか否かの情報を取得し、所定期間毎にエラーの発生回数をテーブルに登録する。判定部は、保守対象装置に対する衝撃を検出するセンサの出力値が閾値以上となった場合、センサの出力値が閾値以上となった基準時刻と、テーブルとを基にして、基準時刻前のエラーの発生頻度と、基準時刻後のエラーの発生頻度とを特定し、基準時刻前のエラーの発生頻度と、基準時刻後のエラーの発生頻度とを基にして、衝撃に起因する故障が発生したか否かを判定する。
【発明の効果】
【0008】
保守対象装置に発生した故障が、偶発的な故障であるか、利用者過失による故障であるかを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施例に係る保守対象装置の構成を示す機能ブロック図である。
図2図2は、本実施例に係るセンサ情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
図3図3は、本実施例に係るI/Oログテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図4図4は、本実施例に係るGセンサ記録テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図5図5は、本実施例に係る保守対象装置の処理手順を示すフローチャート(1)である。
図6図6は、本実施例に係る保守対象装置の処理手順を示すフローチャート(2)である。
図7図7は、本実施例に係る保守対象装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する情報処理装置、判定方法および判定プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例
【0011】
図1は、本実施例に係る保守対象装置の構成を示す機能ブロック図である。保守対象装置100は、情報処理装置の一例である。図1に示すように、この保守対象装置100は、通信部101、入力部102、表示部103、タイマ104、衝撃センサ105、記録制御部110、センサ情報記憶部115、記憶部140、制御部150を有する。
【0012】
たとえば、保守対象装置100は、ノートPC(Personal computer)、タブレット型のコンピュータ等の利用者が持ち運べる端末装置に対応する。また、説明を省略するが、保守対象装置100は、一般のノートPCと同様の機能を有するものとする。
【0013】
ここで、保守対象装置100は、図示しないバッテリーを備え、バッテリーの電力を用いて、各種の処理を実行する。バッテリーは、タイマ104、衝撃センサ105、記録制御部110、センサ情報記憶部115に対して、常時電力を供給するものとする。
【0014】
通信部101は、ネットワークを介して外部装置との間でデータ通信を実行する処理部である。通信部101は、通信装置に対応する。後述する制御部150は、通信部101を介して、外部装置とデータをやり取りする。
【0015】
入力部102は、各種の情報を保守対象装置100に入力するための入力装置である。たとえば、入力部102は、キーボードやマウス、タッチパネル等に対応する。
【0016】
表示部103は、制御部150から出力される各種の情報を表示するための表示装置である。たとえば、表示部103は、液晶ディスプレイや、タッチパネル等に対応する。
【0017】
タイマ104は、現在の日時情報を生成する装置である。タイマ104は、日時情報を、記録制御部110および制御部150に出力する。
【0018】
衝撃センサ105は、保守対象装置100に与えられた衝撃の加速度(あるいは、速度)の大きさを示す「Gセンサ値」を出力するセンサである。衝撃センサ105は、Gセンサ値を、記録制御部110に出力する。
【0019】
記録制御部110は、衝撃センサ105から出力されるGセンサ値と、閾値Thgとを比較する。閾値Thgは、予め設定される値である。記録制御部110は、Gセンサ値が閾値Thg以上となった場合、タイマ104から出力される日時情報を基にして、Gセンサ値が閾値Thg以上となった時刻を特定する。以下の説明では、Gセンサ値が閾値Thg以上となった日時を「基準日時」と表記する。記録制御部110は、基準日時と、基準日時におけるGセンサ値とを対応付けて、センサ情報記憶部115に登録する。基準日時は、基準時刻の一例である。
【0020】
センサ情報記憶部115は、基準日時と、Gセンサ値とを対応付けて記憶する記憶部である。たとえば、センサ情報記憶部115は、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子に対応する。
【0021】
図2は、本実施例に係るセンサ情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。図2に示すように、このセンサ情報記憶部115は、基準日時と、Gセンサ値とを対応付けて保持する。図2に示す例では、基準日時「2018年12月1日の12時15分」に、Gセンサ値が閾値Thg以上となり、そのGセンサ値が「250」である旨が示されている。
【0022】
図1の説明に戻る。記憶部140は、I/O(Input/Output)ログテーブル140aと、Gセンサ記録テーブル140bとを有する。記憶部140は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子や、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置に対応する。
【0023】
I/Oログテーブル140aは、所定時間毎のI/Oエラー回数の履歴を保持するテーブルである。I/Oエラーは、保守対象装置100に含まれる所定のI/Oデバイスの入力・出力エラーの回数を示すものである。本実施例では一例として、記憶部140の入力・出力エラーを、I/Oエラーとする。
【0024】
図3は、本実施例に係るI/Oログテーブルのデータ構造の一例を示す図である。図3に示すように、このI/Oログテーブル140aは、日時と、I/Oエラー回数とを対応付ける。本実施例では一例として、10分間隔毎のI/Oエラー回数が、I/Oログテーブル140aに登録されるものとする。たとえば、I/Oログテーブル140aにおいて、日時「2018年12月1日の12時~12時10分」に発生したI/Oエラー回数は「1」である旨のレコードが登録されている。
【0025】
Gセンサ記録テーブル140bは、衝撃センサ105のGセンサ値が閾値Thg以上となった基準日時の前後におけるエラー回数の発生頻度の情報を保持するテーブルである。
【0026】
図4は、本実施例に係るGセンサ記録テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図4に示すように、このGセンサ記録テーブル140bは、日時と、Gセンサ値と、直前のI/Oエラー回数と、I/Oエラー回数とを対応付ける。本実施例では一例として、10分間隔毎に情報が登録されるものとする。
【0027】
図4のGセンサ値には、衝撃センサ105のGセンサ値が閾値Thg以上となったものが登録される。図4に示す例では、日時「2018年12月1日の12時10分~12時20分」において、衝撃センサ105のGセンサ値が閾値Thg以上となり、そのGセンサ値が「250」である旨が登録されている。
【0028】
直線のI/Oエラー回数は、一つ前の時間間隔において発生したI/Oエラー回数を示すものである。たとえば、日時「2018年12月1日の12時10分~12時20分」に対する直前のI/Oエラー回数は、日時「2018年12月1日の12時~12時10分」に対応するI/Oエラー回数となる。
【0029】
図4のI/Oエラー回数に関する説明は、図3で説明したI/Oエラー回数に関する説明と同様である。
【0030】
図1の説明に戻る。制御部150は、登録部150aと、判定部150bと、画面情報生成部150cとを有する。制御部160は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって実現できる。また、制御部160は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードワイヤードロジックによっても実現できる。
【0031】
登録部150aは、保守対象装置100に含まれる所定のI/Oデバイスを監視し、所定時間毎のI/Oエラー回数を計数し、日時とI/Oエラー回数とを対応付けて、I/Oログテーブル140aに登録する処理部である。本実施例では一例として、登録部150aは、記憶部140のデータの入出力を監視し、10分毎のI/Oエラー回数を計数するものとする。
【0032】
登録部150aは、I/Oログテーブル140aを基にして、Gセンサ記録テーブル140bにI/Oエラー回数を設定する。たとえば、登録部150aは、I/Oログテーブル140aの各日時に対応するI/Oエラー回数を、Gセンサ記録テーブル140bの各日時に対応するI/Oエラー回数として設定する。
【0033】
登録部150aは、Gセンサ記録テーブル140bの日時に対応する直前のI/Oエラー回数として、着目する日時よりも一つ前の時間間隔において発生したI/Oエラー回数を設定する。たとえば、登録部150aは、日時「2018年12月1日の12時~12時10分」に対応するI/Oエラー回数「1」を、日時「2018年12月1日の12時10分~12時20分」に対する直前のI/Oエラー回数として登録する。登録部150aは、各直前のI/Oエラー回数に対して、上記処理を繰り返し実行する。
【0034】
また、登録部150aは、センサ情報記憶部115を参照し、基準日時と、Gセンサ値との情報が登録されているか否かを判定する。登録部150aは、センサ情報記憶部115に、基準日時と、Gセンサ値との情報が登録されている場合、Gセンサ記録テーブル140bの各日時のうち、基準日時に対応する日時を特定し、特定した日時にGセンサ値を登録する。
【0035】
たとえば、図2で示したように、センサ情報記憶部115に、基準日時「2018年12月1日の12時15分」と、Gセンサ値「250」とが登録されているとする。この場合には、登録部150aは、図4のGセンサ記録テーブル140bの日時「2018年12月1日の12時10分から12時20分」に対応するGセンサ値に「250」を設定する。
【0036】
判定部150bは、Gセンサ記録テーブル140bを基にして、保守対象装置100に与えられた衝撃に起因する故障が発生したか否かを判定する処理部である。判定部150bは、判定結果を、画面情報生成部150cに出力する。以下において、判定部150bの処理の一例について説明する。
【0037】
判定部150bは、Gセンサ記録テーブル140bを基にして、Gセンサ値が閾値Thg以上となる衝撃が保守対象装置100に与えられたか否かを判定する。判定部150bは、Gセンサ記録テーブル140bに、Gセンサ値が登録されている場合には、保守対象装置100に、Gセンサ値が閾値Thg以上となる衝撃が与えられたと判定する。一方、判定部150bは、Gセンサ記録テーブル140bに、Gセンサ値が登録されていない場合には、保守対象装置100に、Gセンサ値が閾値Thg以上となる衝撃が与えられていない判定する。
【0038】
ここで、判定部150bは、保守対象装置100に、Gセンサ値が閾値Thg以上となる衝撃が与えられたと判定した場合には、衝撃を与えられた前後のI/Oエラー回数の差分エラー回数を算出する。判定部150bは、差分エラー回数が、閾値Th1以上である場合には、「利用者過失による故障が発生した」と判定する。閾値Th1は、予め設定される。
【0039】
判定部150bは、差分エラー回数をどのように算出してもよい。たとえば、図4に示す例では日時「2018年12月1日の12時10分~12時20分」において、Gセンサ値が閾値Thg以上となる衝撃が与えられている。判定部150bは、この「2018年12月1日の12時10分~12時20分」に対応するI/Oエラー回数「10」と、直前のI/Oエラー回数「1」との差分「9」を、差分エラー回数として算出してもよい。
【0040】
判定部150bは、Gセンサ値が閾値Thg以上となる衝撃が与えられていない場合、または、差分エラー回数が閾値Th1未満である場合には、続く処理を実行する。
【0041】
判定部150bは、Gセンサ記録テーブル140bを参照し、所定時間毎の、I/Oエラー回数と、閾値Th2とを比較し、閾値Th2を超える回数をカウントする。判定部150bは、カウントした回数が、閾値Th3以上となる場合に、「(偶発的故障か利用者過失による故障かは不明であるが)保守対象装置に故障が発生した」と判定する。また、判定部150bは、判定部150bは、カウントした回数が、閾値Th3以上となった日時を特定する。以下の説明では、カウントした回数が、閾値Th3以上となった日時を、「故障日時」と表記する。閾値Th2、閾値Th3は、予め設定される。
【0042】
判定部150bは、「(偶発的故障か利用者過失による故障かは不明であるが)保守対象装置100に故障が発生した」と判定した場合には、続く処理を実行する。
【0043】
判定部150bは、Gセンサ記録テーブル140bを参照し、Gセンサ値が閾値Thg以上となる衝撃が保守対象装置100に与えられたか否かを判定する。判定部150bは、Gセンサ値が閾値Thg以上となる衝撃が保守対象装置100に与えられておらず、かつ、「(偶発的故障か利用者過失による故障かは不明であるが)保守対象装置に故障が発生した」と判定した場合には、「偶発的な故障が発生した」と判定する。
【0044】
一方、判定部150bは、判定部150bは、Gセンサ値が閾値Thg以上となる衝撃が保守対象装置100に与えられていると判定した場合には、基準日時から故障日時までの期間が、所定期間以上であるか否かを判定する。かかる所定期間は、予め設定される。
【0045】
判定部150bは、Gセンサ値が閾値Thg以上となる衝撃が保守対象装置100に与えられており、かつ、基準日時から故障日時までの期間が、所定期間未満である場合には、「利用者過失による故障が発生した」と判定する。
【0046】
判定部150bは、Gセンサ値が閾値Thg以上となる衝撃が保守対象装置100に与えられており、かつ、基準日時から故障日時までの期間が、所定期間以上である場合には、「(偶発的故障か利用者過失による故障かは不明であるが)保守対象装置に故障が発生した」と判定する。判定部150bは、基準日時、故障日時の情報を、画面情報生成部150cに出力する。
【0047】
画面情報生成部150cは、判定部150bから、保守対象装置100に故障が発生した旨の情報を受け付けた場合に、警告画面の情報を生成する処理部である。画面情報生成部150cは、警告画面の情報を、表示部103に出力して表示させる。
【0048】
画面情報生成部150cは、判定部150bから「偶発的な故障が発生した旨」の判定結果を受け付けた場合、偶発的な故障が発生した旨のテキスト情報を、警告画面の情報に設定し、表示部103に出力する。
【0049】
画面情報生成部150cは、判定部150bから「利用者過失による故障が発生した旨」の判定結果を受け付けた場合、利用者過失による故障が発生した旨のテキスト情報を、警告画面の情報に設定する。また、画面情報生成部150cは、基準日時、故障日時、Gセンサ記録テーブル140bの情報を、警告画面の情報に設定し、表示部103に出力する。
【0050】
画面情報生成部150cは、判定部150bから「(偶発的故障か利用者過失による故障かは不明であるが)保守対象装置に故障が発生した旨」の判定結果を受け付けた場合、故障が発生した旨のテキスト情報を、警告画面の情報に設定する。また、画面情報生成部150cは、基準日時、故障日時、Gセンサ記録テーブル140bの情報を、警告画面の情報に設定し、表示部103に出力する。
【0051】
次に、本実施例に係る保守対象装置100の処理手順の一例について説明する。図5および図6は、本実施例に係る保守対象装置の処理手順を示すフローチャートである。図5について説明する。保守対象装置100の登録部150aは、記憶部140のI/Oエラー回数を監視し、I/Oログテーブル140a、Gセンサ記録テーブル140bへの登録を開始する(ステップS101)。
【0052】
保守対象装置100の記録制御部110は、衝撃センサ105から出力されるGセンサ値が閾値Thg以上であるか否かを判定する(ステップS102)。記録制御部110は、Gセンサ値が閾値Thg以上である場合には(ステップS103,Yes)、ステップS104に移行する。一方、記録制御部110は、Gセンサ値が閾値Thg未満である場合には(ステップS103,No)、ステップS108に移行する。
【0053】
記録制御部110は、基準日時と、Gセンサ値との情報を、センサ情報記憶部115に登録する(ステップS104)。登録部150aは、Gセンサ記録テーブル140bに、Gセンサ値を登録する(ステップS105)。
【0054】
保守対象装置100の判定部150bは、衝撃前後のI/Oエラー回数の差分エラー回数を算出する(ステップS106)。判定部150bは、差分エラー回数が閾値Th1以上である場合には(ステップS107)、図6のステップS119に移行する。
【0055】
判定部150bは、所定時間毎の、I/Oエラー回数と閾値Th2とを比較し、閾値Th2を超える回数をカウントする(ステップS108)。判定部150bは、カウントした回数が、閾値Th3以上となるか否かを判定する(ステップS109)。
【0056】
判定部150bは、カウントした回数が閾値Th3以上でない場合には(ステップS110,No)、ステップS102に移行する。一方、判定部150bは、カウントした回数が閾値Th3以上の場合には(ステップS110,Yes)、図6のステップS111に移行する。
【0057】
図6の説明に移行する。判定部150bは、保守対象装置100に故障が発生したと判定する(ステップS111)。判定部150bは、Gセンサ記録テーブル140bに、Gセンサ値の記録が存在するか否かを判定する(ステップS112)。
【0058】
判定部150bは、Gセンサ記録テーブル140bに、Gセンサ値の記録が存在しない場合に(ステップS112,No)、偶発的な故障が発生したと判定する(ステップS113)。画面情報生成部150cは、偶発的な故障が発生した旨の警告画面を生成し、表示部103に表示させる。
【0059】
一方、判定部150bは、Gセンサ記録テーブル140bに、Gセンサ値の記録が存在する場合に(ステップS112,Yes)、基準日時から故障日時までの期間が所定期間未満であるか否かを判定する(ステップS115)。
【0060】
判定部150bは、基準日時から故障日時までの期間が所定期間未満でない場合には(ステップS116,No)、画面情報生成部150cは、警告画面に、基準日時、故障日時、Gセンサ記録テーブル140bの情報を設定する(ステップS117)。画面情報生成部150cは、故障が発生した旨の警告画面を表示する(ステップS118)。
【0061】
一方、判定部150bは、基準日時から故障日時までの期間が所定期間未満の場合には(ステップS116,Yes)、画面情報生成部150cは、利用者過失の故障が発生したと判定し(ステップS119)、警告画面に、基準日時、故障日時、Gセンサ記録テーブル140bの情報を設定する(ステップS120)。画面情報生成部150cは、利用者過失による故障が発生した旨の警告画面を表示する(ステップS121)。
【0062】
次に、本実施例に係る保守対象装置100の効果について説明する。保守対象装置100の登録部150aは、所定時間毎のI/Oエラー回数を、I/Oログテーブル140aに登録し、直前のI/Oエラー回数を、Gセンサ記録テーブル140bに登録する処理を繰り返し実行する。また、登録部150aは、センサ情報記憶部115にGセンサ値が登録されると、Gセンサ値をGセンサ記録テーブル140bに登録する。そして、保守対象装置100の判定部150bは、Gセンサ記録テーブル140bを基にして、Gセンサ値が閾値Thg以上となった基準日時の前後のI/Oエラー回数を基にして、衝撃に起因する故障が発生したか否かを判定する。これによって、保守対象装置に発生した故障が、偶発的な故障であるか、衝撃を与えたことによる利用者過失による故障であるかを判定することができる。
【0063】
保守対象装置100は、差分エラー回数が、閾値Th1以上である場合、「利用者過失による故障が発生した」と判定する。または、保守対象装置100は、Gセンサ値が閾値Thg以上となる衝撃が保守対象装置100に与えられており、かつ、基準日時から故障日時までの期間が、所定期間未満である場合には「利用者過失による故障が発生した」と判定する。これによって、利用者過失による故障を客観的に判定することができる。
【0064】
保守対象装置100は、Gセンサ値が閾値Thg以上となる衝撃が保守対象装置100に与えられておらず、かつ、「(偶発的故障か利用者過失による故障かは不明であるが)保守対象装置に故障が発生した」と判定した場合には、「偶発的な故障が発生した」と判定する。これによって、偶発的な故障を客観的に判定することができる。
【0065】
保守対象装置100は、最終的な判定結果が「(偶発的故障か利用者過失による故障かは不明であるが)保守対象装置に故障が発生した」場合に、Gセンサ記録テーブル140bの情報、基準日時、故障日時等を警告画面に設定して、表示させる。これによって、保守管理者は、偶発的な故障であるか、利用者過失による故障であるかを判断することが容易となる。
【0066】
次に、本実施例に示した保守対象装置100と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例について説明する。図7は、本実施例に係る保守対象装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0067】
図7に示すように、コンピュータ300は、各種演算処理を実行するCPU301と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置302と、ディスプレイ303とを有する。また、コンピュータ300は、記憶媒体からプログラム等を読み取る読み取り装置304と、有線または無線ネットワークを介して、外部装置等との間でデータの授受を行うインタフェース装置305とを有する。コンピュータ300は、各種情報を一時記憶するRAM306と、ハードディスク装置307と、衝撃センサモジュール308とを有する。そして、各装置301~308は、バス309に接続される。衝撃センサモジュール308は、図1に示した、衝撃センサ105、記録制御部110、センサ情報記憶部115の機能を有する装置である。
【0068】
ハードディスク装置307は、登録プログラム307a、判定プログラム307b、画面情報生成プログラム307cを有する。CPU301は、登録プログラム307a、判定プログラム307b、画面情報生成プログラム307cを読み出してRAM306に展開する。
【0069】
登録プログラム307aは、登録プロセス306aとして機能する。判定プログラム307bは、判定プロセス306bとして機能する。画面情報生成プログラム307cは、画面情報生成プロセス306cとして機能する。
【0070】
登録プロセス306aの処理は、登録部150aの処理に対応する。判定プロセス306bの処理は、判定部150bの処理に対応する。画面情報生成プロセス306cの処理は、画面情報生成部150cの処理に対応する。
【0071】
なお、各プログラム307a~307cついては、必ずしも最初からハードディスク装置307に記憶させておかなくてもよい。例えば、コンピュータ300に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ300が各プログラム307a~307cを読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
100 保守対象装置
101 通信部
102 入力部
103 表示部
104 タイマ
105 衝撃センサ
110 記録制御部
115 センサ情報記憶部
140 記憶部
140a I/Oログテーブル
140b Gセンサ記録テーブル
150 制御部
150a 登録部
150b 判定部
150c 画面情報生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7