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特許7319069画像生成装置、画像生成プログラム及び画像生成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】画像生成装置、画像生成プログラム及び画像生成方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20230725BHJP
   H04N 23/90 20230101ALI20230725BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N23/90
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019063506
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020167452
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】國松 昇平
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 利彦
(72)【発明者】
【氏名】大西 一徳
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-014553(JP,A)
【文献】特開2018-128961(JP,A)
【文献】特開2015-088819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 23/90
G06F 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数の監視対象の位置を含む監視対象情報、及び前記監視対象の周囲の構造物の位置と形状を表す構造物情報を記憶する記憶部と、
前記監視対象情報と前記構造物情報とに基づいて、前記監視対象を撮影可能に前記構造物へカメラを設置する設置候補領域を、前記監視対象毎に1個以上算出する設置候補領域算出部と、
前記設置候補領域ごとに前記カメラを設置するコストを取得するコスト取得部と、
全ての前記監視対象を撮影可能な前記設置候補領域の組み合わせであって、当該組み合わせに含まれる前記設置候補領域の前記コストの合計が所定のコスト上限を超えない組み合わせを構成する前記設置候補領域を、有効候補領域として検出する領域検出部と、
前記有効候補領域を識別可能に表す設置候補画像を生成する画像生成部と、
を備えることを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
複数の前記監視対象の各々に対して、前記有効候補領域において前記カメラを設置する設置位置の選択入力を受け付ける選択受付部を備え、
前記領域検出部は、前記有効候補領域として、前記設置位置が未選択の前記監視対象である未処理監視対象の全てを撮影可能な前記設置候補領域の組み合わせであって、当該組み合わせに含まれる前記設置候補領域の前記コストの合計が、前記設置位置が選択済の処理済監視対象に対して前記カメラが設置される前記設置候補領域の前記コストの合計を前記コスト上限から減じた差分を越えない組み合わせを構成する前記設置候補領域を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記画像生成部は、前記処理済監視対象について算出した前記設置候補領域のうち、前記未処理監視対象について算出した前記設置候補領域以外の処理済領域を、識別可能に表示した画像を前記設置候補画像として生成する請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記画像生成部は、前記有効候補領域以外の前記設置候補領域を、前記コスト上限を超える前記コストを要する設置不可能領域と当該設置不可能領域以外の不足候補領域とに識別可能に表す前記設置候補画像を生成する請求項1~3の何れか一項に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記画像生成部は、複数の前記監視対象について各々算出した前記設置候補領域が重複する領域をさらに識別可能に表す前記設置候補画像を生成することを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の画像生成装置。
【請求項6】
コンピュータに、
一又は複数の監視対象の位置を含む監視対象情報、及び前記監視対象の周囲の構造物の位置と形状を表す構造物情報を記憶装置から読み出す情報読み出しステップと、
前記監視対象情報と前記構造物情報とに基づいて、前記監視対象を撮影可能に前記構造物へカメラを設置する設置候補領域を、前記監視対象毎に1個以上算出する設置候補領域算出ステップと、
前記設置候補領域ごとに前記カメラを設置するコストを取得するコスト取得ステップと、
全ての前記監視対象を撮影可能な前記設置候補領域の組み合わせであって、当該組み合わせに含まれる前記設置候補領域の前記コストの合計が所定のコスト上限を超えない組み合わせを構成する前記設置候補領域を、有効候補領域として検出する領域検出ステップと、
前記有効候補領域を識別可能に表す設置候補画像を生成する画像生成ステップと、
を実行させることを特徴とする画像生成プログラム。
【請求項7】
コンピュータに、
一又は複数の監視対象の位置を含む監視対象情報、及び前記監視対象の周囲の構造物の位置と形状を表す構造物情報を記憶装置から読み出す情報読み出しステップと、
前記監視対象情報と前記構造物情報とに基づいて、前記監視対象を撮影可能に前記構造物へカメラを設置する設置候補領域を、前記監視対象毎に1個以上算出する設置候補領域算出ステップと、
前記設置候補領域ごとに前記カメラを設置するコストを取得するコスト取得ステップと、
全ての前記監視対象を撮影可能な前記設置候補領域の組み合わせであって、当該組み合わせに含まれる前記設置候補領域の前記コストの合計が所定のコスト上限を超えない組み合わせを構成する前記設置候補領域を、有効候補領域として検出する領域検出ステップと、
前記有効候補領域を識別可能に表す設置候補画像を生成する画像生成ステップと、
を実行させることを特徴とする画像生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置、画像生成プログラム及び画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラを設置する際には、所望の監視目的を達成するための監視カメラの配置条件(設置位置・姿勢・画角)を事前に計画(プランニング)する。例えば、監視目的を達成するために監視空間を死角なく撮影する必要があれば、死角が生じないよう監視カメラの配置条件を決める。配置条件は一般に多岐におよぶため、人手で行うプランニングでは、多大な労力を要し、またプランニング実施者の主観や経験に依存してしまう。
【0003】
そこで本出願人は、配置条件に基づいてカメラが撮影可能な空間範囲を求めて監視空間内の死角が少なくなるほど高くなる評価値を求め、配置条件を変更しつつ最も高い評価値となる配置条件を探索することにより、プランニング実施者の経験に依存することなく死角の少ない配置条件を容易に求める技術を提案した(下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-128961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明により求めた配置条件では、実際にはコスト的に設置困難なことがあった。特に、カメラの設置コストの上限(コスト上限)が予め定められている場合に、コスト上限を超えないカメラの設置位置が何処であるかを容易に判断できなかった。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、所定のコスト上限を超えずにカメラを設置できる設置候補領域を把握し易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態による画像生成装置は、一又は複数の監視対象の位置を含む監視対象情報、及び監視対象の周囲の構造物の位置と形状を表す構造物情報を記憶する記憶部と、監視対象情報と構造物情報とに基づいて、監視対象を撮影可能に構造物へカメラを設置する設置候補領域を、監視対象毎に1個以上算出する設置候補領域算出部と、設置候補領域ごとにカメラを設置するコストを取得するコスト取得部と、全ての監視対象を撮影可能な設置候補領域の組み合わせであって、当該組み合わせに含まれる設置候補領域のコストの合計が所定のコスト上限を超えない組み合わせを構成する設置候補領域を、有効候補領域として検出する領域検出部と、有効候補領域を識別可能に表す設置候補画像を生成する画像生成部と、を備える。
【0007】
画像生成装置は、複数の監視対象の各々に対して、有効候補領域においてカメラを設置する設置位置の選択入力を受け付ける選択受付部を備えてもよい。領域検出部は、有効候補領域として、設置位置が未選択の監視対象である未処理監視対象の全てを撮影可能な設置候補領域の組み合わせであって、当該組み合わせに含まれる設置候補領域のコストの合計が、設置位置が選択済の処理済監視対象に対してカメラが設置される設置候補領域のコストの合計をコスト上限から減じた差分を越えない組み合わせを構成する設置候補領域を検出してもよい。
【0008】
画像生成部は、処理済監視対象について算出した設置候補領域のうち、未処理監視対象について算出した設置候補領域以外の処理済領域を、識別可能に表示した画像を設置候補画像として生成してもよい。
画像生成部は、有効候補領域以外の設置候補領域を、コスト上限を超えるコストを要する設置不可能領域と、当該設置不可能領域以外の不足候補領域と、をさらに識別可能に表す設置候補画像を生成してもよい。
画像生成部は、複数の監視対象について各々算出した設置候補領域が重複する領域をさらに識別可能に表す設置候補画像を生成してもよい。
【0009】
本発明の他の形態による画像生成プログラムは、コンピュータに、一又は複数の監視対象の位置を含む監視対象情報、及び監視対象の周囲の構造物の位置と形状を表す構造物情報を記憶装置から読み出す情報読み出しステップと、監視対象情報と構造物情報とに基づいて、監視対象を撮影可能に構造物へカメラを設置する設置候補領域を、監視対象毎に1個以上算出する設置候補領域算出ステップと、設置候補領域ごとにカメラを設置するコストを取得するコスト取得ステップと、全ての監視対象を撮影可能な設置候補領域の組み合わせであって、当該組み合わせに含まれる設置候補領域のコストの合計が所定のコスト上限を超えない組み合わせを構成する設置候補領域を、有効候補領域として検出する領域検出ステップと、有効候補領域を識別可能に表す設置候補画像を生成する画像生成ステップと、を実行させる。
【0010】
本発明の更なる他の形態による画像生成方法は、コンピュータに、一又は複数の監視対象の位置を含む監視対象情報、及び監視対象の周囲の構造物の位置と形状を表す構造物情報を記憶装置から読み出す情報読み出しステップと、監視対象情報と構造物情報とに基づいて、監視対象を撮影可能に構造物へカメラを設置する設置候補領域を、監視対象毎に1個以上算出する設置候補領域算出ステップと、設置候補領域ごとにカメラを設置するコストを取得するコスト取得ステップと、全ての監視対象を撮影可能な設置候補領域の組み合わせであって、当該組み合わせに含まれる設置候補領域のコストの合計が所定のコスト上限を超えない組み合わせを構成する設置候補領域を、有効候補領域として検出する領域検出ステップと、有効候補領域を識別可能に表す設置候補画像を生成する画像生成ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定のコスト上限を超えずにカメラを設置できる設置候補領域を把握し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の画像生成装置の一例の概略構成図である。
図2】監視空間と構造物の例の説明図である。
図3】画像生成装置により生成される設置候補画像の一例を示す図である。
図4】構造物情報の一例の説明図である。
図5】構造物にカメラを設置した場合のコスト分布の一例の説明図である。
図6】(a)及び(b)は構造物にカメラを設置する設置候補領域の算出方法の一例の説明図である。
図7】コスト別の設置候補領域の生成方法の一例の説明図である。
図8】(a)及び(b)はコスト別の設置候補領域の生成方法の一例の説明図である。
図9】(a)は設置候補画像の初期状態の一例を示す図であり、(b)はカメラの設置位置を選択した際に画像生成装置により再生成される設置候補画像の一例を示す図である。
図10】組み合わせ選択部の動作の第1例の説明図である。
図11】組み合わせ選択部の動作の第1例の説明図である。
図12】組み合わせ選択部の動作の第1例の説明図である。
図13】組み合わせ選択部の動作の第1例の説明図である。
図14】組み合わせ選択部の動作の第1例の説明図である。
図15】組み合わせ選択部の動作の第2例の説明図である。
図16】組み合わせ選択部の動作の第2例の説明図である。
図17】組み合わせ選択部の動作の第2例の説明図である。
図18】組み合わせ選択部の動作の第2例の説明図である。
図19】複数の監視対象に対応する設置候補領域の重複領域が存在する場合の動作例の説明図である。
図20】複数の監視対象に対応する設置候補領域の重複領域の表示態様の一例の説明図である。
図21】本発明の実施形態の画像生成方法の全体処理の一例のフローチャートである。
図22】カメラ配置処理の一例のフローチャートである。
図23】有効候補領域決定処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
図1を参照する。実施形態の画像生成装置10は、例えばコンピュータにより構成され、記憶部11と、制御部12とを備える。
記憶部11は、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置のいずれかを備えてよい。記憶部11は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。
【0015】
制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)等のプロセッサと、その周辺回路によって構成される。
以下に説明する制御部12の機能は、例えば、記憶部11に格納されたコンピュータプログラムである画像生成プログラム20を、制御部12が備えるプロセッサが実行することによって実現される。
【0016】
なお、入力装置13は、画像生成装置10の動作を制御するために、カメラプランニングの実施者や、監視従事者、管理者など(以下、「プランニング実施者等」と表記する)が操作するマウスやキーボードなどである。入力装置13は画像生成装置10に接続され、入力装置13から各種情報が画像生成装置10に入力される。
【0017】
画像生成装置10は、所定の監視空間内の監視対象を撮影するためにカメラの設置位置を計画するカメラプランニングに用いられ、監視対象の周囲の構造物へカメラを設置する設置候補領域を表す設置候補画像を生成する。
出力装置14は、画像生成装置10が生成した設置候補画像を出力するディスプレイ、プロジェクタ、プリンタなどである。
【0018】
図2を参照する。いま、屋内の監視空間30内に、監視用のカメラを設置するプランニングを想定する。監視空間は屋外であってもよい。
監視空間30は、比較的低い低天井部31a、比較的高い高天井部31b、床32、壁33、34及び35と、不図示の壁36によって囲まれている。これら低天井部31a及び高天井部31b、床32、並びに壁33~36は監視空間30に存在する構造物の一例である。
【0019】
さらに、監視空間30内には、監視対象40a~40cの周囲に柱37及び38と、カメラの映像伝送線及び電源線を接続することができる集線装置39a、39b及び39cが存在している。集線装置39a、39b及び39cは、例えばコントローラ(制御装置)やレコーダ(記録装置)、電源装置等であってよい。これら、柱37及び38並びに集線装置39a~39cは、監視空間30内の構造物の一例である。
また、監視空間30には、監視対象40a~40cが存在している。監視対象は複数に限らず1個であってもよい。
【0020】
画像生成装置10は、監視対象40a~40cの位置等を表す監視対象情報22と、監視対象40a~40cの周囲の構造物31a、31b、32~38、39a~39cの位置と形状を表す構造物情報21を、記憶部11から読み出す。
画像生成装置10は、監視対象情報22と構造物情報21に基づいて、監視対象40a~40cを撮影できるカメラを、構造物31a、31b、32~38、39a~39cのいずれかに設置する設置候補領域を、各監視対象につき1個以上算出する。
【0021】
以下の説明において、監視対象を撮影できるカメラを設置する設置候補領域を「監視対象に対応する設置候補領域」と表現することがある。
画像生成装置10は、これらの設置候補領域を表す設置候補画像を生成して出力装置14から出力する。
【0022】
図3は、設置候補画像100の一例を示す。図3に例示する設置候補画像100は、低天井部31a及び高天井部31bの監視空間30側に向いた表面にカメラを設置する場合の設置候補領域を表す。
以下、低天井部31a及び高天井部31bにカメラを設置する場合の設置候補画像100の例について説明するが、画像生成装置10は、床32や壁33~36の監視空間30側に向いた表面や、柱37及び38の表面にカメラを設置する場合の設置候補領域を表す設置候補画像を生成してもよい。
【0023】
薄い斜線ハッチングを施した領域41a及び41i、並びに砂目ハッチングを施した領域41b及び41jは、監視対象40aに対応する4個の設置候補領域である。
薄い斜線ハッチングを施した領域41c及び41i、並びに砂目ハッチングを施した領域41d及び41jは、監視対象40bに対応する4個の設置候補領域である。
【0024】
薄い斜線ハッチングを施した領域41e、砂目ハッチングを施した領域41f、濃い縦線ハッチングを施した領域41g、及び薄い縦線ハッチングを施した領域41hは、監視対象40cに対応する4個の設置候補領域である。
なお、低天井部31aに対応する領域と高天井部31bに対応する領域は、これらが区別できるように色分けされていてもよい。図3の設置候補画像100の例では、高天井部31bに対応する領域に網掛けハッチングが施されている。
【0025】
領域41b、41d及び41fにおけるカメラの設置コストは、領域41a、41c、41eにおける設置コストよりも低い。これは、領域41a、41c、41eよりも領域41b、41d及び41fの方が集線装置39aや39bに近く、配線コストが少ないためである。
領域41hにおける設置コストは、領域41gにおける設置コストよりも低い。これは、領域41gよりも領域41hの方が集線装置39cに近く、配線コストが低くなるためである。
【0026】
領域41gにおける設置コストは領域41eにおける設置コストよりも高く、領域41hにおける設置コストは領域41fにおける設置コストよりも高い。これは、高天井部31bにカメラを設置する施工コストが、低天井部31aにカメラを設置する施工コストよりも高くなるためである。このように、本実施形態におけるコストとはカメラを設置した場合の配線コストや施工コストなどから求まる設置コストであり、コスト分布とは監視空間30に存在する構造物の表面において算出したコストの分布である。
また、監視対象40aの設置候補領域と監視対象40bの設置候補領域との重複領域41i及び41jでは、複数の監視対象40a及び40bを同時に撮影するようにカメラを設置できる。この場合には、カメラ1台当たりの設置コストを複数の監視対象40a及び40bで折半して監視対象1個あたりの設置コストを求め、重複領域41i及び41jにおける設置コストとしてよい。
【0027】
例えば、重複領域41iの設置コストを領域41aや41cの設置コストの半分としてもよく、重複領域41jの設置コストを領域41bや41dの設置コストの半分としてもよい。
このように設置候補画像100は、監視対象40a~40cにそれぞれ対応する設置候補領域をコスト別の領域にそれぞれ分割して表示する。設置候補画像100は、コスト別の設置候補領域を色分け表示してもよい。例えば図3の設置候補画像100の例ではコスト毎にハッチングを分けている。
【0028】
設置候補画像100を見ることにより、全ての監視対象40a~40cを網羅する設置候補領域の組み合わせ、すなわち全ての監視対象40a~40cを撮影できるようにカメラを設置する設置候補領域の組み合わせを選択できる。
例えば、領域41bと領域41cと領域41fにそれぞれカメラを設置すれば、全ての監視対象40a~40cを網羅できる。また、領域41iと領域41eにそれぞれカメラを設置しても全ての監視対象40a~40cを網羅できる。
【0029】
しかしながら、設置コストが高い設置候補領域の組み合わせを選択すると、全ての監視対象40a~40cを撮影できるカメラの設置コストの合計、すなわちカメラプランニングの総コストが、予め定められているコスト上限を超過することがある。
そこで、設置候補画像100は、全ての監視対象を撮影するのに要する設置コストの合計が所定のコスト上限を超えないようにカメラを設置できる設置候補領域を示す。
【0030】
言い換えれば、全ての監視対象40a~40cを撮影可能な設置候補領域の組み合わせであって、当該組み合わせに含まれる設置候補領域の各々にカメラを設置した場合の設置コストの合計が、所定のコスト上限を超えない組み合わせを構成する設置候補領域を示す。このように、全ての監視対象を撮影するのに要する設置コストの合計が所定のコスト上限を超えないようにカメラを設置できる設置候補領域を「有効候補領域」と表記することがある。
【0031】
例えば、領域41a、41c、41eのコストが「2」であり、領域41b、41d及び41fのコストが「1」であり、領域41hのコストが「4」であり、領域41gのコストが「5」であり、領域41iのコストが「1」であり、領域41jのコストが「0.5」である場合を想定する。
【0032】
ここでコスト上限が「4」である場合、領域41gの設置コスト「5」はコスト上限「4」よりも大きい。このため、領域41gにカメラを設置すると直ちにコスト上限「4」を超過する。
そこで設置候補画像100は、領域41gが、カメラの設置ができない「設置不可能領域」であることを識別可能に表示する。例えば、設置候補画像100は、領域の表示色、模様や記号等によって設置不可能領域であることを表してもよい。図3の設置候補画像100の例では、濃い縦線ハッチングが設置不可能領域であることを表す。このように、設置不可能領域は、当該設置不可能領域を選択してカメラを設置した場合、直ちにコスト上限を超えるコストを要する設置候補領域である。
【0033】
また、領域41hの設置コスト「4」はコスト上限と等しいため、領域41hをカメラの設置位置として選択すると、残りの監視対象40a及び40bのためのカメラの設置位置の選択を全て完了する前に総設置コストがコスト上限を超過する。
そこで設置候補画像100は、領域41hが、このようなコスト超過を招く不足候補領域であることを識別可能に表示する。例えば、設置候補画像100は、領域の表示色、模様や記号等によって「不足候補領域」であることを表してもよい。図3の設置候補画像100の例では、薄い縦線ハッチングが不足候補領域であることを表す。このように、不足候補領域は、当該不足候補領域を選択した場合、残りの監視対象のためのカメラの設置位置(設置候補領域)の選択を全て完了する前に総設置コストがコスト上限を超過する設置候補領域をいう。
【0034】
その他の設置候補領域41a~41f、41i及び41jについては、どれをカメラの設置位置として選択しても、その後の設置候補領域の選択次第によって、全ての監視対象40a~40cを撮影できるカメラの設置位置をコスト上限の超過なしに選択できる。
例えば、監視対象40aを撮影するカメラの設置位置としてコスト「2」の領域41aを選択しても、監視対象40b及び監視対象40cを撮影するカメラの設置候補領域としてコスト「1」の領域41d及び41fをそれぞれ選択すればよい。
【0035】
すなわち、設置候補画像100は、設置不可能領域41g及び不足候補領域41hを識別可能に表示することにより、それ以外の設置候補領域41a~41f、41i及び41jの各々を、コスト上限を超えずに全ての監視対象40a~40cをできるようにカメラを設置できる設置候補領域の組み合わせを構成する有効候補領域として表している。
これにより、プランニング実施者等は、所定のコスト上限を超えずにカメラを設置できる設置候補領域を把握し易くなる。
【0036】
以下、画像生成装置10の詳細を説明する。図1を参照する。記憶部11には、上述の画像生成プログラム20のほか、構造物情報21及び監視対象情報22が格納される。
構造物情報21は、監視空間30を囲む又は監視空間30内に存在する現実世界の構造物の位置及び形状を表す3次元の幾何形状データ(すなわち3次元モデル)である。
構造物は、例えば建造物や、地面、障害物(什器,樹木等)等の物体である。図2の監視空間30の例では、構造物情報21は、低天井部31a及び高天井部31b、床32、壁33~36(ただし手前の壁36は図示していない)、柱37及び38、並びに集線装置39a~39cの位置と形状を表す。
【0037】
構造物情報21は、このような構造物の構造を表すデータを含んでもよい。構造物の構造は、例えば構造物の種別、材質、厚さ、強度を含んでよい。したがって、構造物情報21は、構造物の種別、材質、厚さ、強度などを表す属性データを含んでよい。
属性データは「天井」、「壁」、「扉」、「柱」などの種別を表す種別データを含んでよい。また属性データは、構造物が「集線装置」として機能するか否かの情報や配線を接続するポートの位置に関する情報、すなわち、構造物に設置される配線に係る情報を含んでもよい。
【0038】
また、属性データは「石膏ボード」、「鉄骨」などの材質を表す材質データを含んでもよい。構造物情報21は、カメラの取付可否を示す属性データを含んでもよい。
このような構造物情報21は、プランニング実施者等により入力装置13から予め設定登録されて記憶部11に記憶される。
図4は、図2の監視空間30における構造物、すなわち低天井部31a及び高天井部31b、壁33~36、柱37及び38、並びに集線装置39a~39cの構造物情報21を示す概略図である。
【0039】
監視対象情報22は、監視空間30内に配置された監視したい物体である監視対象40a~40cに関する監視対象条件データや監視対象40a~40cの材質等の属性データを含む。
監視対象条件データは、例えば、監視対象40a~40cを監視空間30内に配置する位置、監視対象40a~40cの3次元形状、監視対象40a~40cの向き、監視対象40a~40cの監視方向、監視対象40a~40cの監視に要する画像の必要解像度のデータを含んでよい。
【0040】
なお、監視対象情報22は、監視したい位置である監視点の座標情報であってもよい。
監視対象情報22は、制御部12により監視対象40a~40cの監視対象条件データや属性データが設定されると、記憶部11に記憶される。
【0041】
制御部12は、記憶部11に記憶された構造物情報21及び監視対象情報22を読み出す。また、制御部12は、記憶部11に記憶された画像生成プログラム20を読み出して実行し、コスト分布算出部23(コスト取得部)、監視対象設定部24、設置候補領域算出部25、画像生成部26、組み合わせ選択部27(領域検出部)と、選択受付部28として機能する。
コスト分布算出部23は、構造物情報21に基づいて、監視空間30に存在する構造物の表面のうち、カメラを設置できる表面を特定する。
【0042】
例えば、コスト分布算出部23は、構造物情報21に含まれるカメラの取付可否を示す属性データに基づいて、カメラを設置できる表面を特定してよい。
または、カメラを設置できる構造物の種別をカメラの種別毎に予め設定しておき、構造物情報21に含まれる構造物の種別データに基づいてカメラを設置できる表面を特定してもよい。
【0043】
次に、コスト分布算出部23は、カメラを設置できる表面を所定の大きさの単位領域に分割する。
そして、コスト分布算出部23は、構造物情報21に基づいて、単位領域毎にカメラの設置コストを算出する。例えば、コスト分布算出部23は、単位領域にカメラを設置する際の施工コストを設置コストとして算出してよい。
【0044】
例えばコスト分布算出部23は、構造物情報21に含まれる材質、厚さ、形状、強度の属性データに基づいて施工コストを算出してよい。例えば、材質、厚さ、形状、強度などの属性にそれぞれ適した工法、工具、取付金具を、パラメータとして属性データに関連付けて予め記憶部11に記憶する。また、工法、工具、取付金具のそれぞれを使用する際の費用を予め記憶部11に記憶する。
コスト分布算出部23は、属性データに関連付けられている工法、工具、取付金具の使用費用を積算する換算規則によって、施工コストを算出してよい。
【0045】
この施工コストには、各単位領域にカメラを設置するのに要する必要機材の使用コストを含んでよい。必要機材の一例は、高所にカメラを設置するための高所作業車である。コスト分布算出部23は、構造物情報21に基づいて床面から各単位領域までの高さを判定し、必要機材の使用コストを算出してよい。
例えば、高所作業車を必要とする高さと利用する際の費用をパラメータとして予め記憶部11に記憶してよい。コスト分布算出部23は、単位領域の床面(地面)からの高さに応じて、高所作業車の利用費用を追加するか否かを求める換算規則によって施工コストを算出してよい。
【0046】
すなわち、設置コストは、必ずしも構造物の構造に基づいて算出されるコストでなくてもよい。例えば、監視空間30内の照明や光源の情報等に基づいて算出してもよい。
またコスト分布算出部23は、単位領域に設置したカメラの映像伝送線や電源線の配線コストを設置コストとして算出してもよい。コスト分布算出部23は、施工コストと配線コストの合計を設置コストとして算出してもよい。
例えば、単位長さ当たりの配線コストをパラメータとして予め記憶部11に記憶してよい。
【0047】
コスト分布算出部23は、構造物情報21に基づいて集線装置39a~39cの位置を特定し、所与の経路決定方法を用いて、各単位領域から集線装置39a~39cまでの配線経路を決定する。コスト分布算出部23は、配線経路長と単位長さ当たりの配線コストを乗算する換算規則によって配線コストを算出してよい。
図5は、低天井部31a及び高天井部31bの監視空間30側に向いた表面にカメラを設置する場合のコスト分布の一例を表す。
【0048】
砂目ハッチングを施した領域45及び薄い斜線ハッチングを施した領域46は、低天井部31aにカメラを設置した場合の設置コストを示す。濃い斜線ハッチングを施した領域47及び格子状ハッチングを施した領域48は、高天井部31bにカメラを設置した場合の設置コストを示す。
領域45におけるコストは領域46におけるコストよりも低い。領域47におけるコストは領域48におけるコストよりも低い。また、領域46におけるコストは領域47のコストよりも低い。理由は、図3の設置候補画像100と同様である。
【0049】
監視対象設定部24は、監視対象40a~40cを設定する。具体的には、監視空間30内に監視対象40a~40cを配置する監視対象条件データや監視対象の材質等の属性データを設定する。
例えば、監視対象設定部24は、プランニング実施者等が入力装置13を用いて入力したデータに基づいて、監視対象40a~40cの監視対象条件データと属性データを設定し、監視対象情報22として記憶部11に記憶する。監視対象設定部24は、単一の監視対象を設定してもよい。
【0050】
監視対象40a~40cが設定された場合、コスト分布算出部23は、監視対象40a~40cの監視対象条件データに応じて、各単位領域における設置コストを補正してもよい。
例えば、各単位領域の位置から監視対象40a~40cを撮影するために必要なカメラの性能に応じて、設置コストを補正してよい。例えば当該単位領域の位置から監視対象40a~40cまでの距離が長く撮影画素数の多いカメラでなければ、監視対象条件データで指定されている必要解像度を満足できない場合には、設置コストが高くなる。このため、コスト分布算出部23は、増加したカメラ費用だけ設置コストを補正してよい。すなわちコスト分布算出部23は、各単位領域と監視対象40a~40cとの距離に応じて設置コストを補正してよい。言い換えればコスト分布算出部23は、監視対象40a~40cとの位置関係に基づいて設置コストを補正してよい。なお、本実施形態では、コスト分布算出部23は各単位領域の設置コストを算出しているが、これに限らず、予め記憶部11に各単位領域の設置コストを記憶しておき、当該記憶した設置コストを適宜読み出して取得してもよい。
【0051】
次に設置候補領域算出部25は、監視対象情報22と構造物情報21に基づいて、監視対象40a~40cのそれぞれについて、監視対象40a~40cを撮影できるカメラを構造物に設置する設置候補領域を算出する。すなわち設置候補領域算出部25は、各監視対象40a~40cにそれぞれ対応する設置候補領域を算出する。
例えば、設置候補領域算出部25は、各単位領域に光源を配置したと仮定して光線が他の構造物に遮られずに監視対象40a~40cまで到達するか否かを判定する。
設置候補領域算出部25は、監視対象40a~40cまで到達した光線を発した光源を配置した単位領域の集合を設置候補領域として算出する。
【0052】
その際に設置候補領域算出部25は、監視対象40a~40cの監視対象条件データで指定されている必要解像度に応じて、監視対象40a~40cからカメラまでの許容最大距離を決定してもよい。設置候補領域算出部25は、許容最大距離よりも離れた領域を設置候補領域から除外してよい。
また、設置候補領域算出部25は、監視対象情報22の監視対象条件データで指定されている監視対象40a~40cの監視方向に応じて設置候補領域を算出してもよい。
【0053】
図6の(a)を参照する。図面を分かり易くするために柱37及び38並びに集線装置39a~39c、監視対象40b、40cの記載を省略している。
例えば、設置候補領域算出部25は、監視対象40aの表面の監視点を一端として監視方向に伸びる基準直線51aと許容角度θ(0°≦θ<90°)をなす半直線の軌跡によって形成される錐状空間53aを算出する。監視方向は監視対象物の外側に向かう方向であり、また、錘状空間53aは基準直線を含む空間となる。許容角度θは、監視対象を撮影する方向の許容範囲を示す。
【0054】
そして設置候補領域算出部25は、錐状空間53aのうち、構造物が占有する空間と重複していない部分空間を監視対象40aの撮影可能空間として算出する。ただし、錐状空間53aをスポットライト光源によって生成された空間とみなして、構造物の陰になる空間は撮影可能空間から除外する。すなわち、監視点から見て構造物の死角になる空間を撮影可能空間から除外する。
設置候補領域算出部25は、構造物の表面のうち撮影可能空間と接する領域を、設置候補領域として算出する。図6の(a)の例では、低天井部31aのうち撮影可能空間と接する領域54aを設置候補領域として算出する。
【0055】
さらに設置候補領域算出部25は、監視対象40aの監視対象条件データで指定されている必要解像度に応じて、監視対象40aからカメラまでの許容最大距離を決定してもよい。
図6の(b)を参照する。設置候補領域算出部25は、許容最大距離よりも離れた領域55aを除外した領域56aを設置候補領域として算出する。
【0056】
図1を参照する。設置候補領域算出部25は、設置コストを算出した単位領域のうち設置候補領域と重複している単位領域を残し、その他の単位領域を除外する。すなわち、設置候補領域算出部25は、設置候補領域と重複していない単位領域を除外する。
図7を参照する。参照符号56a、56b及び56cは、監視対象40a、40b及び40cにそれぞれ対応する設置候補領域を示す。
図示のとおり、設置候補領域56a、56b及び56cと重複する単位領域のコストのみが表示され、設置候補領域56a、56b及び56cと重複していない単位領域が除外されている。
【0057】
設置候補領域算出部25は、監視対象40a~40cにそれぞれ対応する設置候補領域56a~56c毎に単位領域を結合して、コスト別の設置候補領域を監視対象40a~40c毎に形成する。具体的には、設置候補領域56a~56cに各々含まれる単位領域について、コストが等しいものを列挙して領域を結合する。
【0058】
ただし、設置候補領域56a及び56bが重複する領域に同時に複数の監視対象40a及び40bを撮影できるようにカメラを設置した場合には、カメラ1台あたりの設置コストを複数の監視対象40a及び40bで折半できる。
このため、設置候補領域算出部25は、設置候補領域が重複する領域に含まれる単位領域を、設置候補領域が重複する領域に含まれない単位領域と区別して結合する。
【0059】
図8の(a)及び図8の(b)を参照する。例えば、砂目ハッチングを施した領域のコストが「1」であり、薄い斜線ハッチングを施した領域のコストが「2」であり、濃い斜線ハッチングを施した領域のコストが「3」であり、格子状ハッチングを施した領域のコストが「4」であると想定する。
設置候補領域算出部25は、監視対象40aに対応する設置候補領域56aに含まれる単位領域のうち、コスト「1」の単位領域を結合して設置候補領域41bを形成する。コスト「2」の単位領域を結合して設置候補領域41aを形成する。
設置候補領域算出部25は、監視対象40bに対応する設置候補領域56bに含まれる単位領域のうち、コスト「1」の単位領域を結合して設置候補領域41dを形成する。コスト「2」の単位領域を結合して設置候補領域41cを形成する。
【0060】
設置候補領域算出部25は、設置候補領域56a及び56bが重複する領域に含まれるコスト「1」の単位領域を結合して設置候補領域41jを形成する。設置候補領域56a及び56bが重複する領域に含まれるコスト「2」の単位領域を結合して設置候補領域41iを形成する。これらの設置候補領域41i及び41jではカメラ1台あたりの設置コストを監視対象40a及び40bで折半できるため、監視対象1個あたりのコストがそれぞれ半額の「0.5」及び「1」となる。
設置候補領域算出部25は、監視対象40cに対応する設置候補領域56cに含まれる単位領域のうち、コスト「1」の単位領域を結合して設置候補領域41fを形成する。コスト「2」の単位領域を結合して設置候補領域41eを形成する。コスト「4」の単位領域を結合して設置候補領域41hを形成する。コスト「5」の単位領域を結合して設置候補領域41gを形成する。
【0061】
図1を参照する。画像生成部26は、設置候補領域41a~41jを表した設置候補画像100を生成して出力装置14から出力する。設置候補画像100の一例を図9の(a)に示す。
この時点では、まだコスト上限が設置候補画像100に反映されていない。したがって、設置候補画像100には、図3に示すような濃い縦線ハッチングが施された「設置不可能領域」や薄い縦線ハッチングが施された「不足候補領域」がない。
【0062】
このため、全ての設置候補領域41a~41jが、各々の設置コストに応じた形態で表示される。例えば、設置候補画像100は、設置候補領域41a~41jの表示色や模様、記号等によって設置コストを表してよい。図9の(a)の設置候補画像100の例ではコスト毎にハッチングを分けている。
なお、監視対象40a及び40bにそれぞれ対応する設置候補領域が重複する領域41i及び41jは、画像生成部26は、カメラ1台あたりの設置コストを複数の監視対象40a及び40bで折半したコスト「1」及び「0.5」ではなく、カメラ1台あたりの設置コスト「2」及び「1」を表してよい。
【0063】
図1を参照する。組み合わせ選択部27は、コスト上限を設定する。例えば組み合わせ選択部27は、入力装置13を用いるプランニング実施者等の入力に応じてコスト上限を設定してよい。
組み合わせ選択部27は、コスト上限に応じて、図3の設置候補画像100のように領域41gを設置不可能領域に指定し、領域41hを不足候補領域に指定する。
【0064】
このように、組み合わせ選択部27は、設置不可能領域41g及び不足候補領域41h以外の設置候補領域41a~41f、41i及び41jを、全ての監視対象40a~40cを撮影できるようにカメラを設置した場合の設置コストの合計が所定のコスト上限を超えない設置候補領域の組み合わせを構成する有効候補領域として検出する。
【0065】
画像生成部26は、設置不可能領域41g及び不足候補領域41hが識別可能に表示された設置候補画像100を生成して出力装置14から出力する。
設置候補画像100には、設置不可能領域41g及び不足候補領域41h以外の領域41a~41f、41i及び41jが、全ての監視対象40a~40cを撮影できるようにカメラを設置した場合の設置コストの合計が所定のコスト上限を超えない設置候補領域の組み合わせを構成する有効候補領域として、識別可能に表わされている。
【0066】
なお、上記の説明では、設置候補領域41a~41f、41i及び41jにおける設置コストを表示色や模様、ハッチング、記号によって表す例を説明した。これに代えて、各領域にコストを表す数字を表示してもよい。また、設置不可能領域41g及び不足候補領域41hには、コストを表す数字に加えて、コスト上限の超過分(例えば▲5万円)を表示してもよい。
【0067】
図1を参照する。選択受付部28は、複数の監視対象40a~40cの各々に対して、これらを撮影するカメラの設置位置の選択入力を受け付ける。プランニング実施者等は、入力装置13を用いてカメラの設置位置を選択する。
図3を参照する。具体的には、設置不可能領域41g及び不足候補領域41h以外の設置候補領域41a~41f、41i及び41jの各領域内で、監視対象40a~40cの何れかを撮影できる方向となるように、カメラの設置位置及び向きを設定する。
【0068】
例えば、プランニング実施者等は、カメラの設置位置と向きの両方を指定してもよい。
また例えば、プランニング実施者等は、カメラの設置位置のみを指定してもよい。この場合、例えば組み合わせ選択部27は、カメラが位置する設置候補領域に対応する監視対象の方向を向くようにカメラの向きを自動的に算出してよい。
【0069】
また例えば、プランニング実施者等は、カメラを設置する設置候補領域のみを指定してもよい。この場合、例えば組み合わせ選択部27は、指定された設置候補領域内のカメラの設置位置と向きとを自動的に算出してよい。例えば、組み合わせ選択部27は、設置候補領域の中心や重心をカメラの設置位置として指定してよい。
また、組み合わせ選択部27は、例えば最適計算方法などを用いて、カメラの設置位置と向きとを自動的に算出してよい。この場合、選択受付部28を省略してもよい。
【0070】
図9の(b)を参照する。いま、監視対象40aを撮影するカメラ62aの設置位置が、設置候補領域41a内に選択された場合を想定する。
カメラの設置位置を選択すると、消費できる残りコストが変化する。このため組み合わせ選択部27は、選択した設置候補領域41aのコスト「2」に応じて設置不可能領域及び不足候補領域を特定し直す。
以下、監視対象を撮影するカメラの設置位置が選択済みの監視対象を「処理済監視対象」と表記し、監視対象を撮影するカメラの設置位置が未選択の監視対象を「未処理監視対象」と表記することがある。また、設置位置が選択済みのカメラを「選択済カメラ」と表記することがある。
【0071】
本例では、コスト「3」の領域41hにカメラを設置すると総設置コストは「5」となり直ちにコスト上限「4」を超過する。このため組み合わせ選択部27は、領域41hを設置不可能領域に指定する。
また、コスト「2」の領域41cに監視対象40bを撮影するカメラを設置すると総設置コストは「4」となり、監視対象40cを撮影するカメラを設置する前に総設置コストがコスト上限「4」を超過する。監視対象40aを撮影するカメラ62aに加えて、監視対象40bを撮影するカメラを領域41iに別個に設置した場合も同様である。
【0072】
コスト「2」の領域41eに監視対象40cを撮影するカメラを設置した場合にも総設置コストは「4」となり、監視対象40bを撮影するカメラを設置する前に総設置コストがコスト上限「4」を超過する。
すなわち、領域41c、41i、41eのいずれかをカメラの設置位置として選択すると、残りの未処理監視対象のためのカメラの設置位置の選択を全て完了する前に、総設置コストがコスト上限を超過する。
このため組み合わせ選択部27は、領域41c、41i、41eを不足候補領域に指定する。
【0073】
また、処理済監視対象40aに対応する設置候補領域56a(すなわち、領域41a、41b、41i及び41jの合計)のうち、未処理監視対象40bに対応する設置候補領域56b(すなわち、領域41c、41d、41i及び41jの合計)以外の領域41a、41bを、「処理済領域」として指定する。
【0074】
これにより組み合わせ選択部27は、設置不可能領域41g及び41h、不足候補領域41c、41e及び41i、並びに処理済領域41a及び41b以外の、領域41d及び41fの組合せと、領域41j及び41fの組み合わせを、それぞれ未処理監視対象40b及び40cを撮影するカメラの設置候補領域の組み合わせとし、これらの組合せを構成する有効候補領域41d、41f及び41jを検出する。
未処理監視対象40bを撮影するカメラを設置候補領域41d及び41jのいずれかに設置し、及び未処理監視対象40cを撮影するカメラを設置候補領域41fに設置した場合のコストの合計は「2」である。したがって、選択済カメラ62のコストを加えてもコスト上限「4」を超過しない。
【0075】
このように組み合わせ選択部27は、有効候補領域として、未処理監視対象40b、40cの全てを撮影可能な設置候補領域の組み合わせであって、当該組み合わせに含まれる設置候補領域のコストの合計が、処理済監視対象40aに対してカメラが設置される設置候補領域のコストの合計をコスト上限から減じた差分を越えない組み合わせを構成する設置候補領域41d、41f及び41jを検出する。
【0076】
画像生成部26は、設置不可能領域41g及び41h、不足候補領域41c、41e及び41i、並びに処理済領域41a及び41bが識別可能に表示された設置候補画像100を再生成して出力装置14から出力する。
このようにしてプランニング実施者等は、所定のコスト上限を超えずに全ての監視対象40a~40cを網羅するようにカメラを設置できる設置候補領域を把握し易くなる。
【0077】
次に、監視対象40a~40cを撮影するカメラの設置位置を順次指定していく際の組み合わせ選択部27の動作の一例について、より詳しく説明する。
まず図10図14を参照して、監視対象40a~40cに対応する設置候補領域に重複領域がない場合について説明する。
設置候補領域41a及び41bは、監視対象40aに対応する設置候補領域である。
【0078】
参照符号41a及び41bに添えられた括弧書きの数値「2」及び「1」は、それぞれ設置候補領域41a及び41bにおけるカメラの設置コストを表している。
同様にコスト「2」の領域41c及びコスト「1」の領域41dは、監視対象40bに対応する設置候補領域である。
コスト「2」の領域41e、コスト「1」の領域41f、コスト「3」の領域41h、及びコスト「4」の領域41gは、監視対象40cに対応する設置候補領域である。
【0079】
図10を参照する。最初に、組み合わせ選択部27は、監視対象設定部24により設定された監視対象40a~40cと、設置候補領域算出部25により算出された設置候補領域41a~41hを取得する。
組み合わせ選択部27は、取得した監視対象40a~40cを、未処理監視対象として未処理対象テーブル60の「未処理監視対象」列に監視対象を入力する。未処理対象テーブル60は、例えば記憶部11に格納されてよい。
【0080】
また、組み合わせ選択部27は、監視対象40aが入力された行の「未選択設置候補領域」列に、監視対象40aに対応する設置候補領域41a及び41bを入力する。監視対象40bが入力された行の「未選択設置候補領域」列に、監視対象40bに対応する設置候補領域41c及び41dを入力する。監視対象40cが入力された行の「未選択設置候補領域」列に、監視対象40cに対応する設置候補領域41e~41hを入力する。
【0081】
また、組み合わせ選択部27は、監視対象40aが入力された行の「最小コスト」列に、監視対象40aを撮影するカメラの最小コストを入力する。最小コストは、監視対象40aに対応する設置候補領域41a及び41bにおける設置コストの最小値「1」により定まる。
同様に、組み合わせ選択部27は、監視対象40bが入力された行の「最小コスト」列に最小コスト「1」を入力する。監視対象40cが入力された行の「最小コスト」列に最小コスト「1」を入力する。
【0082】
また、組み合わせ選択部27は、処理済監視対象と、処理済監視対象を撮影するカメラの設置コストを記録する処理済対象テーブル61を初期化する。処理済対象テーブル61は、例えば記憶部11に格納されてよい。
さらに組み合わせ選択部27は、選択済コストと必須コストを算出する。選択済コストは、選択済カメラの設置コストの合計である。図10の状態では未だ選択済カメラが存在しないため選択済コストは「0」である。
【0083】
必須コストは、未処理監視対象を撮影するカメラの最小コストの合計である。図10の状態では未処理監視対象は監視対象40a~40cであり、これらの監視対象を撮影するカメラの最小コストはそれぞれ「1」であるため必須コストは「3」となる。
選択済コストと必須コストの合計は、未処理監視対象のいずれかを撮影するカメラの設置位置を選択する各時点における、監視対象40a~40cを全て撮影するカメラの設置コストの合計(カメラプランニングの総コスト)が取り得る最小値を示す。
【0084】
図11を参照する。コスト上限「4」が設定された場合を想定する。組み合わせ選択部27は、選択済コスト「0」と必須コスト「3」の合計をコスト上限から差し引いた差であるコスト余裕「1」を算出する。
組み合わせ選択部27は、コスト上限を超えずに未処理監視対象40a~40cを全て撮影できるようにカメラを設置できる設置候補領域の組み合わせを構成する有効候補領域を検出する。
【0085】
具体的には、組み合わせ選択部27は、設置不可能領域と不足候補領域を決定する。組み合わせ選択部27は、ある設置候補領域の設置コストが、コスト上限から選択済コストを差し引いた差を超える場合、当該設置候補領域が設置不可能領域であると決定して、有効候補領域から除外する。
すなわち、設置不可能領域は、選択済カメラの設置コストの合計をコスト上限から減じた差よりも大きなコストを有する設置候補領域である。
図11の状態では、コスト上限から選択済コストを差し引いた差「4」を超えるコストの設置不可能領域は存在しない。
【0086】
また、組み合わせ選択部27は、ある監視対象に対応する設置候補領域が設置不可能領域でなく、その設置コストが、この監視対象を撮影するカメラの最小コストとコスト余裕の合計を超える場合に、当該設置候補領域が不足候補領域であると決定して、有効候補領域から除外する。
例えば、監視対象40cに対応する設置候補領域41g及び41hのコストはそれぞれ「4」及び「3」であり、最小コスト「1」とコスト余裕「1」の合計「2」を超えている。したがって、組み合わせ選択部27は、設置候補領域41g及び41hを不足候補領域であると決定する。
未処理対象テーブル60において不足候補領域は囲み線で示す。
【0087】
図12を参照する。いま、監視対象40aを撮影するカメラ62aの設置位置が、コスト「1」の設置候補領域41b内に選択された場合を想定する。
組み合わせ選択部27は、監視対象40aに対応する設置候補領域41a及び41bを処理済領域として指定し、有効候補領域から除外する。未処理対象テーブル60において除外した設置候補領域は二重の取り消し線で示す。
また、処理済監視対象40aを、処理済対象テーブル61の「処理済監視対象」列に入力し、設置候補領域41bの設置コスト「1」を同じ行の「設置コスト」列に入力する。
【0088】
これにより選択済コストは「1」となり、必須コストは「2」となる。この結果、設置候補領域41gのコスト「4」が、コスト上限「4」から選択済コスト「1」を差し引いた差「3」を超えることになる。したがって、組み合わせ選択部27は、設置候補領域41gが設置不可能領域であると決定する。
未処理対象テーブル60において設置不可能領域は一重の取り消し線で示す。
【0089】
図13を参照する。いま、監視対象40bを撮影するカメラ62bの設置位置が、コスト「2」の設置候補領域41c内に選択された場合を想定する。
組み合わせ選択部27は、監視対象40bに対応する設置候補領域41c及び41dを処理済領域として指定し、有効候補領域から除外する。
また、処理済監視対象40bを、処理済対象テーブル61の「処理済監視対象」列に入力し、設置候補領域41cの設置コスト「2」を同じ行の「設置コスト」列に入力する。
【0090】
これにより選択済コストは「3」となり、必須コストは「1」となり、コスト余裕は「0」となる。この結果、設置候補領域41eのコスト「2」及び設置候補領域41hのコスト「3」が、コスト上限「4」から選択済コスト「3」を差し引いた差「1」を超えることになる。したがって、組み合わせ選択部27は、設置候補領域41e及び41hが設置不可能領域であると決定する。
【0091】
図14を参照する。いま、監視対象40cを撮影するカメラ62cの設置位置が、コスト「1」の設置候補領域41f内に選択された場合を想定する。
組み合わせ選択部27は、設置候補領域41fを処理済領域として指定し、有効候補領域から除外する。また、処理済監視対象40cを、処理済対象テーブル61の「処理済監視対象」列に入力し、設置候補領域41fの設置コスト「1」を同じ行の「設置コスト」列に入力する。
これにより、未処理監視対象がなくなり、全ての監視対象40a~40cをそれぞれ撮影するカメラ62a~6cの設置位置の決定が完了する。
【0092】
なお、図11においてコスト上限「2」が設定された場合を想定する。この場合には、選択済コスト「0」と必須コスト「3」の合計をコスト上限「2」から差し引いた差であるコスト余裕は「-1」となり、全ての監視対象40a~40cを撮影できるようにカメラを設置するのに必要なコストが不足していることを表す。したがって、コスト余裕が負値となる場合は、全ての設置候補領域41a~41hは設置不可能領域または不足候補領域であると決定される。例えば設置候補領域41g及び41hのコストは、コスト上限「2」から選択済みコスト「0」を差し引いた差「2」を越えるため、設置候補領域41g及び41hは設置不可能領域であると決定される。また、設置候補領域41a~41fのコストは、それぞれ対応する監視対象40a~40cの最小コスト「1」とコスト余裕「-1」の合計「0」を超えるため、設置候補領域41a~41fは不足候補領域であると決定される。
【0093】
次に図15図18を参照して、監視対象40a~40cに対応する設置候補領域に重複領域41i及び41jがある場合について説明する。
コスト「2」の領域41a及びコスト「1」の領域41bは、監視対象40aに対応する設置候補領域である。
コスト「2」の領域41c及びコスト「1」の領域41dは、監視対象40bに対応する算出された設置候補領域である。
【0094】
コスト「2」の領域41e、コスト「1」の領域41f、コスト「4」の領域41g、及びコスト「3」の領域41hは、監視対象40cに対応する設置候補領域である。
監視対象40a及び40bにそれぞれ対応する設置候補領域が重複する領域41i及び41jに、監視対象40a及び40bを同時に撮影できるようにカメラを設置すると、カメラ1台あたりの設置コストを監視対象40a及び40bで折半できる。
このため、領域41iのコストはカメラ1台あたりの設置コスト「2」の半分の「1」に設定し、領域41jのコストはカメラ1台あたりの設置コスト「1」の半分の「0.5」に設定する。
【0095】
組み合わせ選択部27は、未処理監視対象40a~40cと、未処理監視対象40a~40cにそれぞれに対応する設置候補領域41a~41jと、最小コストを未処理対象テーブル60に入力する。また、組み合わせ選択部27は、処理済対象テーブル61を初期化する。
組み合わせ選択部27は、選択済コスト「0」と必須コスト「2」=(0.5+0.5+1)を算出する。
【0096】
図16を参照する。コスト上限「3」が設定された場合を想定する。組み合わせ選択部27は、選択済コスト「0」と必須コスト「2」の合計をコスト上限から差し引いた差であるコスト余裕「1」を算出する。
組み合わせ選択部27は、設置不可能領域を決定する。コスト上限「3」から選択済コスト「0」を差し引いた差は「3」であり、設置候補領域41gのコスト「4」よりも小さい。したがって、組み合わせ選択部27は、設置候補領域41gが設置不可能領域であると決定する。
【0097】
組み合わせ選択部27は、不足候補領域を決定する。監視対象40a及び40bに対応する設置候補領域41a及び41cのコストは「2」であり、最小コスト「0.5」とコスト余裕「1」の合計「1.5」を超えている。また、監視対象40cに対応する設置候補領域41hのコストは「3」であり、最小コスト「1」とコスト余裕「1」の合計「2」を超えている。
【0098】
したがって、組み合わせ選択部27は、設置候補領域41a、41c及び41hが不足候補領域であると決定する。
組み合わせ選択部27は、設置不可能領域41g並びに不足候補領域41a、41c及び41h以外の設置候補能領域41b、41d~41f、41i及び41jを有効候補領域として決定する。
【0099】
図17を参照する。いま、監視対象40a及び40bを同時に撮影するカメラ62aの設置位置が、コスト「1」の設置候補領域41i内に選択された場合を想定する。
組み合わせ選択部27は、監視対象40a及び40bに対応する設置候補領域41b、41d、41i及び41jを処理済領域として指定し、有効候補領域から除外する。
また、処理済監視対象40a及び40bを、処理済対象テーブル61の「処理済監視対象」列に入力し、設置候補領域41iの設置コスト「1」を同じ行の「設置コスト」列に入力する。
【0100】
これにより選択済コストは「2」となり、必須コストは「1」となり、コスト余裕は「0」となる。この結果、設置候補領域41eのコスト「2」及び設置候補領域41hのコスト「3」が、コスト上限「3」から選択済コスト「2」を差し引いた差「1」を超えることになる。したがって、組み合わせ選択部27は、設置候補領域41e及び41hが設置不可能領域であると決定する。
【0101】
図18を参照する。いま、監視対象40cを撮影するカメラ62bの設置位置が、コスト「1」の設置候補領域41f内に選択された場合を想定する。
組み合わせ選択部27は、設置候補領域41fを処理済領域として指定し、有効候補領域から除外する。また、処理済監視対象40cを、処理済対象テーブル61の「処理済監視対象」列に入力し、設置候補領域41fの設置コスト「1」を同じ行の「設置コスト」列に入力する。
これにより、未処理監視対象がなくなり、全ての監視対象40a~40cをそれぞれ撮影するカメラ62a~6cの設置位置の決定が完了する。
【0102】
なお、上記の説明では、監視対象40a及び40bにそれぞれ対応する設置候補領域が重複する領域41iに、監視対象40a及び40bを同時に撮影できるようにカメラ62aを設置した。これに代えて、監視対象40a又は40bの一方のみを撮影するようにカメラ62aを設置してもよい。
選択受付部28は、カメラの設置位置の選択入力を受け付ける際に、監視対象40a及び40bの両方を撮影するか、監視対象40a又は40bの一方のみを撮影するのかを、プランニング実施者等に選択させてもよい。
【0103】
図19を参照する。監視対象40aのみを撮影するカメラ62aを、設置候補領域41i内に設置した場合を想定する。
組み合わせ選択部27は、監視対象40aに対応する設置候補領域41b処理済領域として指定し、有効候補領域から除外する。ただし、組み合わせ選択部27は、監視対象40aに対応する設置候補領域41i及び41jは処理済領域として指定しない。設置候補領域41i及び41jは、未処理監視対象40bに対応する未処理監視対象でもあるからである。
また、処理済監視対象40aを、処理済対象テーブル61の「処理済監視対象」列に入力し、設置候補領域41iにカメラを設置するコストを同じ行の「設置コスト」列に入力する。
【0104】
その際に、カメラ62aの設置コストは監視対象40aと監視対象40bで折半できないので、監視対象40aを撮影するカメラ62aの1台分のコストを入力する。これにより選択済コストは「2」となり、必須コストは「1.5」となり、コスト余裕は「-0.5」となる。
この結果、設置候補領域41c、41e及び41iのコスト「2」及び設置候補領域41hのコスト「3」が、コスト上限「3」から選択済コスト「2」を差し引いた差「1」を超えることになる。したがって、組み合わせ選択部27は、設置候補領域41c、41e、41h、及び41iが設置不可能領域であると決定する。
【0105】
また、設置候補領域41d、41f、41jのコストは、いずれも最小コスト「1」とコスト余裕「-0.5」の合計「0.5」を超えている。
したがって、組み合わせ選択部27は、設置候補領域41d、41f及び41jが不足候補領域であると決定する。
【0106】
なお、画像生成部26は、複数の監視対象にそれぞれ対応する設置候補領域が重複する領域が、識別可能となるように設置候補画像100を生成してよい。例えば、画像生成部26は、複数の監視対象を同時に撮影できるようにカメラを設置した際のコストと、いずれかの監視対象のみを撮影するようにカメラを設置した際のコストの両方が識別できるように、設置候補画像100を生成してもよい。
【0107】
図20を参照する。例えば、画像生成部26は、監視対象40a及び40bにそれぞれ対応する設置候補領域が重複する領域41iを、監視対象40a及び40bの両方を同時に撮影できるようにカメラを設置した際の監視対象1個当たりのコスト「1」を表す色と、いずれか一方のみ撮影できるようにカメラを設置した際の監視対象1個当たりのコスト「2」を表す色のストライプで表す。これに代えて、一方の色を背景色として、他方の色の模様で表示してもよい。
【0108】
(動作)
図21を参照して、実施形態の画像生成方法の一例を説明する。ステップS1では、カメラ設置位置を設計するのに先だって、監視空間30に存在する構造物の構造物情報21を取得または生成して、画像生成装置10の記憶部11に設定登録する。制御部12は、記憶部11に記憶された構造物情報21を読み出す。
【0109】
ステップS2においてコスト分布算出部23は、構造物情報21に基づいて、監視空間30側に向いた構造物の表面のうち、カメラを設置できる表面を特定する。コスト分布算出部23は、カメラを設置できる表面を所定の大きさの単位領域に分割する。
ステップS3においてコスト分布算出部23は、構造物情報21に基づいて、単位領域毎にカメラの設置コストを算出する。
【0110】
ステップS4において監視対象設定部24は、監視対象の監視対象条件データや材質等の属性データを含んだ監視対象情報22を設定する。
ステップS5において設置候補領域算出部25は、監視対象情報22と構造物情報21に基づいて、監視対象40a~40cを撮影できるカメラを構造物に設置する設置候補領域を算出する。
ステップS6においてコスト分布算出部23は、監視対象の監視対象条件データに応じて各単位領域における設置コストを補正する。
【0111】
ステップS7において設置候補領域算出部25は、監視対象の各々に対応する設置候補領域にそれぞれ含まれる単位領域を結合して、コスト別の設置候補領域を監視対象毎に形成する。
ステップS8において画像生成部26は、コスト上限が設定される前の初期状態の設置候補画像100を生成し(図9の(a)を参照)、出力装置14に出力する。
ステップS9において組み合わせ選択部27は、コスト上限を設定する。
【0112】
ステップS10において、ステップS9で設定されたコスト上限に応じて、設置候補領域内にカメラの設置位置を選択するカメラ配置処理を実行する。カメラ配置処理の一例のフローチャートを図22に示す。
ステップS20において組み合わせ選択部27は、監視対象設定部24により設定された監視対象と、設置候補領域算出部25により算出された設置候補領域を取得する。
【0113】
ステップS21において組み合わせ選択部27は、コスト上限と、処理済監視対象に基づいて、有効候補領域を決定する有効候補領域決定処理を実行する。有効候補領域決定処理の一例のフローチャートを図23に示す。
ステップS30において組み合わせ選択部27は、処理済監視対象に対応する設置候補領域を処理済領域として指定し、有効候補領域から除外する。
【0114】
ステップS31において組み合わせ選択部27は、選択済カメラのコストの合計を選択済コストとして算出する。
ステップS32において組み合わせ選択部27は、未処理監視対象を撮影するカメラの最小コストの合計を、必須コストとして算出する。
ステップS33において組み合わせ選択部27は、選択済コストと必須コストの合計をコスト上限から差し引いた差を、コスト余裕として算出する。
【0115】
ステップS34において組み合わせ選択部27は、コスト上限から選択済コストを差し引いた差を超えるコストを有する設置候補領域を設置不可能領域として特定する。
また、組み合わせ選択部27は、ある監視対象に対応する設置候補領域の設置コストが、この監視対象を撮影するカメラの最小コストとコスト余裕の合計を超える場合に、当該設置候補領域を不足候補領域として特定する。
ステップS35において組み合わせ選択部27は、設置不可能領域と不足候補領域とを有効候補領域から除外することにより、最終的な有効候補領域を決定する。
以上のステップS30~S35の処理により、組み合わせ選択部27は、有効候補領域が決定され、有効候補領域決定処理は終了する。
【0116】
図22を参照する。ステップS22において画像生成部26は、組み合わせ選択部27が決定した有効候補領域、処理済領域、設置不可能領域及び不足候補領域に基づいて、設置候補画像100を生成し(図3を参照)、出力装置14に出力する。
ステップS23において組み合わせ選択部27は、未処理監視対象が存在するか否かを判断する。未処理監視対象が存在する場合(ステップS23:Y)に処理はステップS24に進む。
【0117】
ステップS24において組み合わせ選択部27は、有効候補領域が存在するか否かを判断する。有効候補領域が存在する場合(ステップS24:Y)に処理はステップS25に進む。
ステップS25において選択受付部28は、カメラの設置位置の選択入力を受け付ける。その後に処理はステップS21へ戻る。
一方で、ステップS23において未処理監視対象が存在しない場合(ステップS23:N)と、ステップS24において有効候補領域が存在しない場合(ステップS24:N)には、カメラ配置処理が終了する。
【0118】
(実施形態の効果)
(1)記憶部11は、一又は複数の監視対象の位置を含む監視対象情報22、及び監視対象の周囲の構造物の位置と形状を表す構造物情報21を記憶する。設置候補領域算出部25は、監視対象情報22と構造物情報21とに基づいて、監視対象を撮影可能に構造物へカメラを設置する設置候補領域を、監視対象毎に1個以上算出する。コスト分布算出部23は、設置候補領域ごとにカメラを設置するコストを取得する。組み合わせ選択部27は、全ての監視対象を撮影可能な設置候補領域の組み合わせであって、当該組み合わせに含まれる設置候補領域のコストの合計が所定のコスト上限を超えない組み合わせを構成する設置候補領域を、有効候補領域として検出する。画像生成部26は、有効候補領域を識別可能に表す設置候補画像100を生成する。
これによりプランニング実施者等は、コスト上限を超えずにカメラを設置できる設置候補領域を把握し易くなる。
【0119】
(2)選択受付部28は、複数の監視対象の各々に対して、有効候補領域においてカメラを設置する設置位置の選択入力を受け付ける。組み合わせ選択部27は、有効候補領域として、設置位置が未選択の監視対象である未処理監視対象の全てを撮影可能な設置候補領域の組み合わせであって、当該組み合わせに含まれる設置候補領域のコストの合計が、設置位置が選択済の処理済監視対象に対してカメラが設置される設置候補領域のコストの合計をコスト上限から減じた差分を越えない組み合わせを構成する設置候補領域を検出する。
これによりプランニング実施者等は、複数の監視対象の各々を撮影するカメラの設置位置の順次選択しながら、コスト上限を超えないようにカメラの設置位置を選択できる。
【0120】
(3)画像生成部26は、処理済監視対象について算出した設置候補領域のうち、未処理監視対象について算出した設置候補領域以外の処理済領域を、識別可能に表示した画像を設置候補画像100として生成する。
これによりプランニング実施者等は、カメラの設置位置が未選択の監視対象に対応する設置候補領域を容易に識別できる。
【0121】
(4)画像生成部26は、有効候補領域以外の設置候補領域を、コスト上限を超える設置コストを要する設置不可能領域と、当該設置不可能領域以外の不足候補領域と、を識別可能に表す画像を設置候補画像100として生成する。
これによりプランニング実施者等は、カメラを設置すると直ちにコスト上限を超過する設置不可能領域と、直ちに上限コストを超過しないが全ての監視対象のためのカメラの設置位置を選択する前にコスト上限の超過を招く不足候補領域とを容易に識別できる。
【0122】
(5)画像生成部26は、複数の監視対象について各々算出した設置候補領域が重複する領域を識別可能に表す画像を、設置候補画像100として生成する。
これによりプランニング実施者等は、単一のカメラで同時に複数の監視対象を撮影できる設置候補領域を識別できる。
【符号の説明】
【0123】
10…画像生成装置、11…記憶部、12…制御部、13…入力装置、14…出力装置、20…画像生成プログラム、21…構造物情報、22…監視対象情報、23…コスト分布算出部、24…監視対象設定部、25…設置候補領域算出部、26…画像生成部、27…選択部、28…選択受付部、30…監視空間、31a…低天井部、31b…高天井部、32…床、33~36…壁、37、38…柱、39a~39c…集線装置、100…設置候補画像
図1
図2
図3
図4
図5
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