(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20230725BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20230725BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20230725BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20230725BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20230725BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L21/60 311Q
H01L21/88 N
H01L21/88 T
H01L21/90 M
(21)【出願番号】P 2019068674
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 佑士
(72)【発明者】
【氏名】竹井 祥司
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-340590(JP,A)
【文献】特開2018-006391(JP,A)
【文献】特開2017-034187(JP,A)
【文献】特開平11-135506(JP,A)
【文献】特開2011-061193(JP,A)
【文献】特開2007-329396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12、23/522-23/532
H01L 21/3205、21/768、21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する半導体層と、
前記半導体層の前記第1面を覆う第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成された第2絶縁層と、
前記第2絶縁層上に形成された第3絶縁層と、
前記第3絶縁層上に形成され、Cuを主成分とする金属からなるCu導電層とを含み、
前記第1絶縁層および前記第3絶縁層は、前記第2絶縁層よりも柔らかい材料層からなり、前記第2絶縁層を挟んで
おり、
前記第1絶縁層および前記第3絶縁層は酸化膜からなり、前記第2絶縁層は窒化膜からなる、半導体装置。
【請求項2】
前記第3絶縁層の厚さは、前記第2絶縁層および前記第3絶縁層のトータル厚さの50%以下である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1絶縁層に覆われており、かつAlを主成分とする金属からなるAl配線層を含み、
前記第3絶縁層の厚さは、前記第2絶縁層および前記第3絶縁層のトータル厚さの50%以下である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1絶縁層および前記第3絶縁層のJIS K7161に準拠して測定されたヤング率(MPa)は、前記第2絶縁層の前記ヤング率よりも小さい、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1絶縁層の前記ヤング率は、前記第3絶縁層の前記ヤング率よりも大きい、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1絶縁層の前記ヤング率は60,000MPa~80,000MPaであり、
前記第2絶縁層の前記ヤング率は300,000MPa~350,000MPaであり、
前記第3絶縁層の前記ヤング率は15,000MPa~30,000MPaである、請求項4または5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1絶縁層に覆われており、かつAlを主成分とする金属からなるAl配線層を含み、
前記第3絶縁層の厚さは、前記第2絶縁層および前記第3絶縁層のトータル厚さの50%以下であり、
前記第1絶縁層のJIS K7161に準拠して測定されたヤング率は60,000MPa~80,000MPaであり、
前記第2絶縁層の前記ヤング率は300,000MPa~350,000MPaであり、
前記第3絶縁層の前記ヤング率は15,000MPa~30,000MPaである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1絶縁層および前記第3絶縁層は、SiO
2膜およびSiOC膜のいずれか一つを含み、前記第2絶縁層は、SiN膜を含む、請求項
1~7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記Cu導電層は、2μm~6μmの厚さを有している、請求項1~
8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第3絶縁層上に形成され、かつ前記Cu導電層を覆う第4絶縁層と、
前記第4絶縁層を厚さ方向に延び、かつ前記Cu導電層に電気的に接続された導電性の柱状体とを含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記柱状体は、Cuを主成分とする金属からなるCu柱状体を含む、請求項
10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記柱状体は、20μm~60μmの厚さを有している、請求項
10または
11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記柱状体上に形成され、フリップチップ接合用に使用される接合層を含む、請求項11~
12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記接合層は、前記柱状体上に形成され、Niを主成分とする金属からなる第1層と、前記第1層上に形成され、はんだを主成分とする金属からなる第2層とを含み、
前記第2層が、フリップチップ接合に用いられる、請求項
13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第2層は、略球形状に形成されている、請求項
14に記載の半導体装置。
【請求項16】
第1面および前記第1面の反対側の第2面を有する導電部材と、
前記導電部材の前記第1面にフリップチップ接合された請求項
10~
15のいずれか一項に記載の半導体装置と、
前記導電部材の一部および前記半導体装置を覆う封止樹脂とを含む、半導体パッケージ。
【請求項17】
第1面および前記第1面の反対側の第2面を有する導電部材と、
前記導電部材の前記第1面に搭載され、かつ前記柱状体が前記導電部材の前記第1面に接続された請求項
10~
15のいずれか一項に記載の半導体装置と、
前記導電部材の一部および前記半導体装置を覆う封止樹脂とを含む、半導体パッケージ。
【請求項18】
第1面および前記第1面の反対側の第2面を有する導電部材と、
前記導電部材の前記第1面に搭載され、かつ前記柱状体が前記導電部材の前記第1面に接続された請求項
10~
13のいずれか一項に記載の半導体装置と、
前記導電部材と前記柱状体との間に形成され、はんだを主成分とする金属からなる接合材と、
前記導電部材の一部、前記半導体装置および前記接合材を覆う封止樹脂とを含む、半導体パッケージ。
【請求項19】
前記柱状体の一部が前記接合材に埋め込まれている、請求項
18に記載の半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびこれを備える半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、半導体基板と、半導体基板上に形成されたCu配線と、Cu配線の表面および側面を覆うめっき層と、めっき層を介してCu配線上にワイヤボンディングされたCuワイヤとを備える、半導体装置を開示している。めっき層は、Ni/Pd/Auの積層構造を有している。
この半導体装置の製造工程は、たとえば、半導体基板を覆う絶縁膜上に、バリアメタル膜を介してCu配線を形成する工程を含む。バリアメタル膜は、それぞれスパッタ法で形成されたTi/Cuシード層を含む。Cu配線は、バリアメタル膜上のレジスト膜をマスクにして、バリアメタル膜上に電解めっき法によって形成される。Cu配線のめっき後、レジスト膜が除去され、これにより露出したTi/Cuシード層がウエットエッチングによって除去される。たとえば、まずCuシード層が過酸化水素水と硝酸との混合液で除去され、次に、Ti膜が過酸化水素水とアンモニアとの混合液で除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、Cu導電層に起因する応力を緩和することができる半導体装置およびこれを備える半導体パッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一の局面に係る半導体装置は、第1面を有する半導体層と、前記半導体層の前記第1面を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層上に形成された第3絶縁層と、前記第3絶縁層上に形成され、Cuを主成分とする金属からなるCu導電層とを含み、前記第1絶縁層および前記第3絶縁層は、前記第2絶縁層よりも柔らかい材料層からなり、前記第2絶縁層を挟んでいる。
【0006】
本発明の一の局面に係る半導体パッケージは、第1面および前記第1面の反対側の第2面を有する導電部材と、前記導電部材の前記第1面にフリップチップ接合された前記半導体装置と、前記導電部材の一部および前記半導体装置を覆う封止樹脂とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一の局面に係る半導体装置および半導体パッケージによれば、Cu導電層の直下に配置された絶縁層の構造が、相対的に硬い材料層からなる第2絶縁層を、相対的に柔らかい材料層からなる第1絶縁層および第3絶縁層で挟んだ構造である。これにより、Cu導電層が熱変形してCu導電層と第3絶縁層との界面に応力が生じても、その応力を緩和することができる。特に、半導体装置を導電部材にフリップチップ接合する際に応力を受けやすいので、フリップチップ実装のパッケージには特に効果的である。したがって、信頼性に優れる半導体パッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる半導体パッケージの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す半導体パッケージの平面図(封止樹脂を透過)である。
【
図3】
図3は、
図1に示す半導体パッケージの平面図(半導体素子および封止樹脂を透過)である。
【
図7】
図7は、
図1に示す半導体パッケージの右側面図である。
【
図8】
図8は、
図1に示す半導体パッケージの左側面図である。
【
図17】
図17は、半導体装置の配線構造を説明するための図である。
【
図18A】
図18Aは、前記半導体パッケージの製造工程の一部を説明するための図である。
【
図19】
図19は、前記半導体装置による応力緩和の効果を説明するための図である。
【
図20】
図20は、前記半導体装置による応力緩和の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本発明の実施形態>
まず、本発明の実施形態を列記して説明する。
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、第1面を有する半導体層と、前記半導体層の前記第1面を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層上に形成された第3絶縁層と、前記第3絶縁層上に形成され、Cuを主成分とする金属からなるCu導電層とを含み、前記第1絶縁層および前記第3絶縁層は、前記第2絶縁層よりも柔らかい材料層からなり、前記第2絶縁層を挟んでいる。
【0010】
この構成によれば、Cu導電層の直下に配置された絶縁層の構造が、相対的に硬い材料層からなる第2絶縁層を、相対的に柔らかい材料層からなる第1絶縁層および第3絶縁層で挟んだ構造である。これにより、Cu導電層が熱変形してCu導電層と第3絶縁層との界面に応力が生じても、その応力を緩和することができる。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第3絶縁層の厚さは、前記第2絶縁層および前記第3絶縁層のトータル厚さの50%以下であってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、前記第1絶縁層に覆われており、かつAlを主成分とする金属からなるAl配線層を含み、前記第3絶縁層の厚さは、前記第2絶縁層および前記第3絶縁層のトータル厚さの50%以下であってもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1絶縁層および前記第3絶縁層のJIS K7161に準拠して測定されたヤング率(MPa)は、前記第2絶縁層の前記ヤング率よりも小さくてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1絶縁層の前記ヤング率は、前記第3絶縁層の前記ヤング率よりも大きくてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1絶縁層の前記ヤング率は60,000MPa~80,000MPaであり、前記第2絶縁層の前記ヤング率は300,000MPa~350,000MPaであり、前記第3絶縁層の前記ヤング率は15,000MPa~30,000MPaであってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、前記第1絶縁層に覆われており、かつAlを主成分とする金属からなるAl配線層を含み、前記第3絶縁層の厚さは、前記第2絶縁層および前記第3絶縁層のトータル厚さの50%以下であり、前記第1絶縁層のJIS K7161に準拠して測定されたヤング率は60,000MPa~80,000MPaであり、前記第2絶縁層の前記ヤング率は300,000MPa~350,000MPaであり、前記第3絶縁層の前記ヤング率は15,000MPa~30,000MPaであってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1絶縁層および前記第3絶縁層は酸化膜からなり、前記第2絶縁層は窒化膜からなっていてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1絶縁層および前記第3絶縁層は、SiO2膜およびSiOC膜のいずれか一つを含んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記Cu導電層は、2μm~6μmの厚さを有していてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、前記第3絶縁層上に形成され、かつ前記Cu導電層を覆う第4絶縁層と、前記第4絶縁層を厚さ方向に延び、かつ前記Cu導電層に電気的に接続された導電性の柱状体とを含んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記柱状体は、Cuを主成分とする金属からなるCu柱状体を含んでいてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記柱状体は、20μm~60μmの厚さを有していてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、前記柱状体上に形成され、フリップチップ接合用に使用される接合層を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記接合層は、前記柱状体上に形成され、Niを主成分とする金属からなる第1層と、前記第1層上に形成され、はんだを主成分とする金属からなる第2層とを含み、前記第2層が、フリップチップ接合に用いられてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第2層は、略球形状に形成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体パッケージは、第1面および前記第1面の反対側の第2面を有する導電部材と、前記導電部材の前記第1面にフリップチップ接合された前記半導体装置と、前記導電部材の一部および前記半導体装置を覆う封止樹脂とを含む。
【0018】
この構成によれば、Cu導電層の直下に配置された絶縁層の構造が、相対的に硬い材料層からなる第2絶縁層を、相対的に柔らかい材料層からなる第1絶縁層および第3絶縁層で挟んだ構造である。これにより、Cu導電層が熱変形してCu導電層と第3絶縁層との界面に応力が生じても、その応力を緩和することができる。特に、半導体装置を導電部材にフリップチップ接合する際に応力を受けやすいので、フリップチップ実装のパッケージには特に効果的である。したがって、信頼性に優れる半導体パッケージを提供することができる。
【0019】
本発明の他の実施形態に係る半導体パッケージは、第1面および前記第1面の反対側の第2面を有する導電部材と、前記導電部材の前記第1面に搭載され、かつ前記柱状体が前記導電部材の前記第1面に接続された前記半導体装置と、前記導電部材の一部および前記半導体装置を覆う封止樹脂とを含む。
本発明の他の実施形態に係る半導体パッケージは、第1面および前記第1面の反対側の第2面を有する導電部材と、前記導電部材の前記第1面に搭載され、かつ前記柱状体が前記導電部材の前記第1面に接続された前記半導体装置と、前記導電部材と前記柱状体との間に形成され、はんだを主成分とする金属からなる接合材と、前記導電部材の一部、前記半導体装置および前記接合材を覆う封止樹脂とを含む。
【0020】
本発明の他の実施形態に係る半導体パッケージでは、前記柱状体の一部が前記接合材に埋め込まれていてもよい。
<本発明の実施形態の詳細な説明>
次に、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1~
図16に基づき、本発明の第1実施形態にかかる半導体パッケージA10について説明する。
【0021】
半導体パッケージA10は、導電部材10、半導体装置20、接合層30および封止樹脂40を備える。
図1に示すように、半導体パッケージA10のパッケージ形式は、QFN(Quad For Non-Lead Package)である。半導体装置20は、フリップチップ型のLSIである。半導体装置20には、その内部にスイッチング回路212Aおよび制御回路212B(それぞれ詳細は後述)が構成されている。
【0022】
半導体パッケージA10においては、スイッチング回路212Aにより直流電力(電圧)が交流電力(電圧)に変換される。半導体パッケージA10は、たとえばDC/DCコンバータの回路を構成する一要素に用いられる。ここで、
図2は、理解の便宜上、封止樹脂40を透過している。
図3は、理解の便宜上、半導体装置20および封止樹脂40を透過している。これらの図において、透過した半導体装置20および封止樹脂40をそれぞれ想像線(二点鎖線)で示している。
【0023】
半導体パッケージA10の説明においては、導電部材10の厚さ方向Zを「厚さ方向Z」と呼ぶ。厚さ方向Zに対して直交する方向を「第1方向x」と呼ぶ。厚さ方向Zおよび第1方向xの双方に対して直交する方向を「第2方向y」と呼ぶ。
図1および
図2に示すように、半導体パッケージA10は、厚さ方向Zに沿って視て正方形状である。また、半導体パッケージA10の説明においては、便宜上、第2方向yにおいて複数の第2リード12(詳細は後述)が位置する側を「第2方向yの一方側」と呼ぶ。第2方向yにおいて複数の第1リード11(詳細は後述)が位置する側を「第2方向yの他方側」と呼ぶ。
【0024】
導電部材10は、
図2に示すように、半導体装置20を支持するとともに、半導体パッケージA10を配線基板に実装するための端子をなしている。
図11~
図14に示すように、導電部材10は、その一部が封止樹脂40に覆われている。導電部材10は、厚さ方向Zにおいて互いに反対側を向く主面101(第1面)および裏面102(第2面)を有する。主面101は、厚さ方向Zの一方側を向き、かつ半導体装置20に対向している。
【0025】
半導体装置20は、主面101に支持されている。主面101は、封止樹脂40に覆われている。裏面102は、厚さ方向Zの他方側を向く。導電部材10は、単一のリードフレームから構成される。当該リードフレームの構成材料は、たとえば、銅(Cu)または銅合金である。導電部材10は、複数の第1リード11、複数の第2リード12および一対の第3リード13を含む。
【0026】
複数の第1リード11は、
図3および
図4に示すように、厚さ方向Zに沿って視て第2方向yに延びる帯状である。複数の第1リード11は、第2方向yに沿って配列されている。半導体パッケージA10が示す例においては、複数の第1リード11は、第1入力端子111A、第2入力端子11Bおよび出力端子11Cの3つの端子により構成される。
複数の第1リード11は、第2方向yの一方側から他方側に向けて第1入力端子11A、出力端子11C、第2入力端子11Bの順に配列されている。第1入力端子11Aおよび第2入力端子11Bは、半導体パッケージA10において電力変換対象となる直流電力(電圧)が入力される。第1入力端子11Aは、正極(P端子)である。第2入力端子11Bは、負極(N端子)である。出力端子11Cは、半導体装置20に構成されたスイッチング回路212Aにより電力変換された交流電力(電圧)が出力される。
【0027】
図3に示すように、第1入力端子11Aは、第2方向yにおいて複数の第2リード12と出力端子11Cとの間に位置する。出力端子11Cは、第2方向yにおいて第1入力端子11Aと第2入力端子11Bとの間に位置する。第1入力端子11Aおよび出力端子11Cの各々は、主部111および一対の側部112を含む。
図3および
図4に示すように、主部111は、第1方向xに延びている。複数の第1リード11において、半導体装置20は、主部111の主面101に支持されている。
【0028】
一対の側部112は、主部111の第1方向xの両端につながっている。
図3、
図4、
図12および
図13に示すように、一対の側部112の各々は、第1端面112Aを有する。第1端面112Aは、第1リード11の主面101および裏面102の双方につながり、かつ第1方向xを向く。第1端面112Aは、封止樹脂40から露出している。
図9に示すように、第1入力端子11Aおよび出力端子11Cの一対の側部112の各々には、くびれ部112Bが形成されている。くびれ部112Bは、第1リード11の主面101から裏面102に至り、かつ第2方向yの両側から側部112の内方に向けて凹んでいる。くびれ部112Bは、封止樹脂40に接している。くびれ部112Bにより、第1入力端子11Aおよび出力端子11Cにおいて、一対の第1端面112Aの各々の第2方向yの寸法bは、主部111の裏面102の第2方向yの寸法Bよりも小となる。
【0029】
図3に示すように、第2入力端子11Bは、出力端子11Cよりも第2方向yの他方側に位置する。このため、第2入力端子11Bは、複数の第1リード11のうち第2方向yの他方側に位置する。第2入力端子11Bは、主部111、一対の側部112および複数の突出部113を含む。
複数の突出部113は、主部111の第2方向yの他方側から突出している。隣り合う2つの突出部113の間には、封止樹脂40が充填されている。
図12に示すように、複数の突出部113の各々は、副端面113Aを有する。副端面113Aは、第2入力端子11Bの主面101および裏面102の双方につながり、かつ第2方向yの他方側を向く。副端面113Aは、封止樹脂40から露出している。
図7に示すように、複数の副端面113Aは、第1方向xに沿って所定の間隔で配列されている。
【0030】
図10に示すように、第2入力端子11Bの一対の側部112の各々には、切込部112Cが形成されている。切込部112Cは、第2入力端子11Bの主面101から裏面102に至り、かつ第1端面112Aから第1方向xに凹んでいる。これにより、第1端面112Aは、第2方向yにおいて互いに離間した2つの領域に分断されている。切込部112Cによっても、第2入力端子11Bにおいて、一対の第1端面112Aの各々の第2方向yの寸法bは、主部111の裏面102の第2方向yの寸法Bよりも小となる。なお、ここでの寸法bは、第1端面112Aの一方の領域の第2方向yの寸法b1と、第1端面112Aの他方の領域の第2方向yの寸法b2とを足し合わせたもの(b=b1+b2)である。切込部112Cには、封止樹脂40が充填されている。
【0031】
図3および
図4に示すように、複数の第1リード11の各々において、主面101の面積は、裏面102の面積よりも大である。半導体パッケージA10が示す例においては、第1入力端子11Aおよび出力端子11Cの各々の裏面102の面積は、ともに等しい。第2入力端子11Bの裏面102の面積は、第1入力端子11Aおよび出力端子11Cの各々の裏面102の面積よりも大である。
【0032】
第1入力端子11A、第2入力端子11Bおよび出力端子11Cの各々において、半導体装置20が支持される主部111の主面101には、たとえば銀(Ag)めっきを施してもよい。さらに、第1入力端子11A、第2入力端子11Bおよび出力端子11Cの各々において、封止樹脂40から露出する裏面102、一対の第1端面112Aおよび複数の副端面113Aには、たとえば錫(Sn)めっきを施してもよい。なお、錫めっきに替えて、たとえばニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、金(Au)の順に積層された複数の金属めっきを採用してもよい。
【0033】
複数の第2リード12は、
図3に示すように、複数の第1リード11よりも第2方向yの一方側に位置する。複数の第2リード12のいずれか一つは、半導体装置20に構成された制御回路212Bの接地端子である。その他の複数の第2リード12の各々には、制御回路212Bを駆動させるための電力(電圧)、または制御回路212Bに伝達するための電気信号が入力される。
図3、
図4および
図11に示すように、複数の第2リード12の各々は、第2端面121を有する。第2端面121は、第2リード12の主面101および裏面102の双方につながり、かつ第2方向yの一方側を向く。第2端面121は、封止樹脂40から露出している。
図8に示すように、複数の第2端面121は、第1方向に沿って所定の間隔で配列されている。
【0034】
図3および
図4に示すように、複数の第2リード12の各々において、主面101の面積は、裏面102の面積よりも大である。なお、複数の第2リード12の裏面102の面積は、いずれも等しい。半導体装置20が支持される複数の第2リード12の裏面102には、たとえば銀めっきを施してもよい。さらに、封止樹脂40から露出する複数の第2リード12の裏面102および第2端面121には、たとえば錫めっきを施してもよい。なお、錫めっきに替えて、たとえばニッケル、パラジウム、金の順に積層された複数の金属めっきを採用してもよい。
【0035】
一対の第3リード13は、
図3に示すように、第2方向yにおいて第1リード11(第1入力端子11A)と、複数の第2リード12との間に位置する。一対の第3リード13は、第1方向xにおいて互いに離間している。一対の第3リード13の各々には、半導体装置20に構成された制御回路212Bに伝達するための電気信号などが入力される。
図3、
図4および
図14に示すように、一対の第3リード13の各々は、第3端面131を有する。第3端面131は、主面101および裏面102の双方につながり、かつ第1方向xを向く。第3端面131は、封止樹脂40から露出している。第3端面131は、複数の第1リード11の第1端面112Aとともに、第2方向yに沿って配列されている。
【0036】
図3および
図4に示すように、一対の第3リード13の各々において、主面101の面積は、裏面102の面積よりも大である。半導体装置20が支持される一対の第3リード13の主面101には、たとえば銀めっきを施してもよい。さらに、封止樹脂40から露出する一対の第3リード13の裏面102および第3端面131には、たとえば錫めっきを施してもよい。なお、錫めっきに替えて、たとえばニッケル、パラジウム、金の順に積層された複数の金属めっきを採用してもよい。
【0037】
半導体装置20は、
図11~
図14に示すように、フリップチップ接合により導電部材10(複数の第1リード11、複数の第2リード12および一対の第3リード13)に電気的に接合され、かつこれらに支持されている。半導体装置20は、封止樹脂40に覆われている。
図12~
図18に示すように、半導体装置20は、素子本体21、複数の電極22、および本発明の第4絶縁層の一例としての表面保護膜23を有する。
【0038】
素子本体21は、半導体装置20の主要部をなす。
図15および
図16に示すように、素子本体21は、半導体基板211および半導体層212を有する。
図15および
図16に示すように、半導体基板211は、その下方において半導体層212、複数の電極22、および表面保護膜23を支持している。半導体基板211の構成材料は、たとえば、Si(シリコン)または炭化ケイ素(SiC)である。
【0039】
図11~
図14に示すように、半導体層212は、半導体基板211の導電部材10の主面101に対向する側に積層されている。半導体層212は、ドープされる元素量の相違に基づく複数種類のp型半導体およびn型半導体を含む。半導体層212には、スイッチング回路212Aと、スイッチング回路212Aに導通する制御回路212Bとが構成されている。スイッチング回路212Aは、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などである。
【0040】
半導体パッケージA10が示す例においては、スイッチング回路212Aは、高電圧領域(上アーム回路)と低電圧領域(下アーム回路)との2つの領域に区分されている。各々の領域は、1つのnチャンネル型のMOSFETにより構成されている。制御回路212Bは、スイッチング回路212Aを駆動させるためのゲートドライバや、スイッチング回路212Aの高電圧領域に対応するブートストラップ回路などが構成されるとともに、スイッチング回路212Aを正常に駆動させるための制御を行う。なお、半導体層212には、配線層(後述)が構成されている。当該配線層により、スイッチング回路212Aと制御回路212Bとは、相互に導通している。
【0041】
図11~
図14に示すように、複数の電極22は、素子本体21の導電部材10の主面101に対向する側から、導電部材10の主面101に向けて突出している。複数の電極22は、導電部材10の主面101に電気的に接合されている。複数の電極22は、複数の第1電極22Aおよび複数の第2電極22Bを含む。複数の第1電極22Aは、半導体層212のスイッチング回路212Aに導通している。あわせて、複数の第1電極22Aは、複数の第1リード11の主面101に電気的に接合されている。これにより、複数の第1リード11は、スイッチング回路212Aに導通している。また、複数の第2電極22Bは、半導体層212の制御回路212Bに導通している。あわせて、複数の第2電極22Bの大半は、複数の第2リード12の主面101に電気的に接合されている。残りの第2電極22Bは、一対の第3リード13の主面101に電気的に接合されている。これにより、複数の第2リード12および一対の第3リード13は、制御回路212Bに導通している。
【0042】
図15および
図16に示すように、複数の電極22の各々は、基部221および柱状部222を有する。基部221は、半導体層212のスイッチング回路212Aおよび制御回路212Bのいずれかに導通している。柱状部222は、基部221から導電部材10の主面101に向けて突出している。柱状部222は、先端面222Aおよび側面222Bを有する。先端面222Aは、導電部材10の主面101に対向している。側面222Bは、先端面222Aにつながり、かつ厚さ方向Zに対して直交する方向を向く。半導体パッケージA10においては、柱状部222には、先端面222Aから素子本体21に向けて凹む凹部222Cが形成されている。
【0043】
図15および
図16に示すように、表面保護膜23は、素子本体21の導電部材10の主面101に対向する側を覆っている。複数の電極22の各々において、柱状部222の先端面222Aは、厚さ方向Zにおいて導電部材10の主面101と表面保護膜23との間に位置する。半導体パッケージA10においては、表面保護膜23は、複数の電極22の基部221および柱状部222の双方に接している。
【0044】
接合層30は、
図15および
図16に示すように、導電部材10の主面101と、複数の電極22との双方に接している。接合層30は、導電性を有する。これにより、複数の電極22は、導電部材10の主面101に電気的に接合されている。複数の電極22の各々において、接合層30は、柱状部222の先端面222Aおよび側面222Bの双方に接している。半導体パッケージA10においては、接合層30は、柱状部222の凹部222Cにも接している。また、半導体装置20の柱状部222は、接合層30に埋め込まれている。これにより、柱状部222は、先端面222Aおよび凹部222Cだけでなく、側面の一部も接合層30で覆われている。
【0045】
封止樹脂40は、
図5~
図8に示すように、頂面41、底面42、一対の第1側面431および一対の第2側面432を有する。封止樹脂40の構成材料は、たとえば黒色のエポキシ樹脂である。
図11~
図14に示すように、頂面41は、厚さ方向Zにおいて導電部材10の主面101と同じ側を向く。
図5~
図8に示すように、底面42は、頂面41とは反対側を向く。
図4に示すように、底面42から、複数の第1リード11の裏面102、複数の第2リード12の裏面102、および一対の第3リード13の裏面102が露出している。
【0046】
図7および
図8に示すように、一対の第1側面431は、頂面41および底面42の双方につながり、かつ第1方向を向く。一対の第1側面431は、第2方向yにおいて互いに離間している。
図12~
図14に示すように、一対の第1側面431の各々から、複数の第1リード11の第1端面112Aと、第3リード13の第3端面131とが、第1側面431と面一となるように露出している。
【0047】
図5および
図6に示すように、一対の第2側面432は、頂面41、底面42および一対の第1側面431のいずれにもつながり、かつ第2方向yを向く。一対の第2側面432は、第1方向xにおいて互いに離間している。
図11に示すように、第2方向yの一方側に位置する第2側面432から、複数の第2リード12の第2端面121が、第2側面432と面一となるように露出している。第2方向yの他方側に位置する第2側面432から、第2入力端子11B(第1リード11)の複数の副端面113Aが、第2側面432と面一となるように露出している。
【0048】
半導体パッケージA10は、主面101を有する導電部材10と、素子本体21、および主面101に電気的に接合された複数の電極22を有する半導体装置20と、主面101と複数の電極22との双方に接する接合層30とを備える。複数の電極22の各々は、素子本体21の主面101に対向する側に接する基部221と、基部221から主面101に向けて突出し、かつ接合層30に接する柱状部222とを有する。これにより、半導体装置20はフリップチップ接合により導電部材10に電気的に接合されている。
【0049】
図17は、半導体装置20の配線構造を説明するための図である。
図17では、フリップチップ接合により導電部材10に接合される前の半導体装置20が示されている。また、
図17では、柱状部222が上方に向かって突出する状態で半導体装置20が示されている。したがって、前述の
図11~
図16と、
図17とでは上下が反転している。
半導体装置20は、多層配線構造1と、パッシベーション膜2と、電極22の基部221と、表面保護膜23と、電極22の柱状部222と、接合層30とを含む。なお、
図17では、複数の電極22のうちの一つの電極22だけを示している。
【0050】
多層配線構造1は、半導体層212の素子形成面3(第1面)の上に形成された複数の層間絶縁膜4~7と、複数の層間絶縁膜4~7内に形成された複数の電極層14~16とを含む。なお、電極層14~16は、多層配線構造1を形成するものであるから、それぞれ、配線層14~16と称してもよい。
複数の層間絶縁膜4~7は、半導体層212の素子形成面3の上に形成された第1層間絶縁膜4と、第1層間絶縁膜4の上に形成された第2層間絶縁膜5と、第2層間絶縁膜5の上に形成された第3層間絶縁膜6と、第3層間絶縁膜6の上に形成された本発明の第1絶縁層の一例としての第4層間絶縁膜7とを含む。第1層間絶縁膜4、第2層間絶縁膜5および第3層間絶縁膜6は、それぞれ、酸化膜(SiO2膜)または窒化膜(SiN膜)を含んでいてもよい。第4層間絶縁膜7の材料については、後述する。
【0051】
複数の電極層14~16は、半導体層212に形成されたスイッチング回路212Aおよび制御回路212Bに電気的に接続されている(
図17では、スイッチング回路212Aのみ示している。)
複数の電極層14~16は、第1層間絶縁膜4の上に形成され、かつ第2層間絶縁膜5に被覆された第1電極層14と、第2層間絶縁膜5の上に形成され、かつ第3層間絶縁膜6に被覆された第2電極層15と、第3層間絶縁膜6の上に形成され、かつ第4層間絶縁膜7に被覆された本発明のAl配線層の一例としての第3電極層16とを含む。第1電極層14、第2電極層15および第3電極層16は、それぞれ、銅またはアルミニウムを含んでいてもよい。
【0052】
第1電極層14の下面には、第1バリア層31が形成されている。第1バリア層31は、第1電極層14を構成する電極材料が第1層間絶縁膜4内に拡散するのを抑制する。
第1電極層14の上面には、第1バリア層32が形成されている。第1バリア層32は、第1電極層14を構成する電極材料が第2層間絶縁膜5内に拡散するのを抑制する。
第2電極層15の下面には、第2バリア層33が形成されている。第2バリア層33は、第2電極層15を構成する電極材料が第2層間絶縁膜5内に拡散するのを抑制する。
【0053】
第2電極層15の上面には、第2バリア層34が形成されている。第2バリア層34は、第2電極層15を構成する電極材料が第3層間絶縁膜6内に拡散するのを抑制する。
第3電極層16の下面には、第3バリア層35が形成されている。第3バリア層35は、第3電極層16を構成する電極材料が第3層間絶縁膜6内に拡散するのを抑制する。
第3電極層16の上面には、第3バリア層36が形成されている。第3バリア層36は、第3電極層16を構成する電極材料が第4層間絶縁膜7内に拡散するのを抑制する。
【0054】
各バリア層31~36は、窒化チタン層またはチタン層からなる単層構造を有していてもよいし、窒化チタン層および窒化チタン層の上に形成されたチタン層を含む積層構造を有していてもよい。各バリア層31~36は、互いに同じ材料で構成された層であってもよいし、互いに異なる材料で構成された層であってもよい。
パッシベーション膜2は、多層配線構造1を被覆するように多層配線構造1の上に形成されている。より具体的には、パッシベーション膜2は、第4層間絶縁膜7を被覆している。
【0055】
パッシベーション膜2は、酸化膜(SiO2膜)、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)膜または窒化膜(SiN膜)を含んでいてもよい。この実施形態では、パッシベーション膜2は、第4層間絶縁膜7の表面からこの順に積層された本発明の第2絶縁層の一例としての第1膜37および本発明の第3絶縁層の一例としての第2膜38を含む積層構造を有している。
【0056】
ここで、この実施形態では、第4層間絶縁膜7、パッシベーション膜2の第1膜37および第2膜38との間に次の関係がある。つまり、第4層間絶縁膜7および第2膜38は、第1膜37よりも柔らかい材料層からなり、相対的に硬い第1膜37を挟んでいる。
より具体的には、第4層間絶縁膜7および第2膜38のJIS K7161に準拠して測定されたヤング率(MPa)が、第1膜37のヤング率よりも小さいことが好ましい。さらに、第4層間絶縁膜7のヤング率が、第2膜38のヤング率よりも大きいことが好ましい。たとえば、第4層間絶縁膜7ヤング率は、60,000MPa~80,000MPaであってもよい。また、第1膜37のヤング率は、300,000MPa~350,000MPaであってもよい。また、第2膜38のヤング率は、15,000MPa~30,000MPaであってもよい。
【0057】
第4層間絶縁膜7および第2膜38としては、たとえば、酸化膜が挙げられ、第1膜37としては、たとえば、窒化膜が挙げられる。窒化膜は、酸化膜に比べて密度が大きく緻密であるため、酸化膜に比べて硬く形成しやすい。第4層間絶縁膜7および第2膜38の具体例としては、SiO2膜、SiOC膜等が挙げられ、第1膜37の具体例としては、たとえば、SiN膜が挙げられる。
【0058】
第4層間絶縁膜7および第2膜38に関しては、同じ材料膜を形成する場合でも、その製膜条件を変更することによって、互いに異なる硬さにすることができる。たとえば、CVD法によってSiO2膜からなる第4層間絶縁膜7および第2膜38を形成する場合、CVDの各条件(たとえば、ガス種、温度、圧力等)を変更して異なった膜質にすることによって、第4層間絶縁膜7を、第2膜38よりも大きいヤング率を有する同種の膜で形成することができる。つまり、第4層間絶縁膜7は、第2膜38と同種のSiO2膜からなり、かつ第2膜38よりも大きいヤング率を有していてもよい。
【0059】
また、パッシベーション膜2における厚さの比率としては、第2膜38の厚さは、パッシベーション膜2の厚さ(第1膜37および第2膜38のトータル厚さ)の50%以下であることが好ましい。つまり、相対的に柔らかい第2膜38の厚さが50%以下であることが好ましい。
第1電極層14の上面および第2電極層15の下面の間の第2層間絶縁膜5には、第2層間絶縁膜5を貫通する第1ビア39が形成されている。第1電極層14は、第1ビア39を介して第2電極層15と電気的に接続されている。
【0060】
第1ビア39と第2層間絶縁膜5との間には、第1ビアバリア膜43が形成されている。第1ビア39は、タングステンを含んでいてもよい。第1ビアバリア膜43は、窒化チタンを含んでいてもよい。
第2電極層15の上面および第3電極層16の下面の間の第3層間絶縁膜6には、第3層間絶縁膜6を貫通する第2ビア44が形成されている。第2電極層15は、第2ビア44を介して第3電極層16と電気的に接続されている。
【0061】
第2ビア44と第3層間絶縁膜6との間には、第2ビアバリア膜45が形成されている。第2ビア44は、タングステンを含んでいてもよい。第2ビアバリア膜45は、窒化チタンを含んでいてもよい。
第3電極層16上のパッシベーション膜2および第4層間絶縁膜7には、パッシベーション膜2および第4層間絶縁膜7を貫通する第3ビア46が形成されている。第3ビア46は、パッシベーション膜2から露出し、かつ第3電極層16と電気的に接続されている。
【0062】
第3ビア46の露出面は、パッシベーション膜2の表面と面一に形成されている。第3ビア46および第4層間絶縁膜7の間、ならびに第3ビア46およびパッシベーション膜2の間には、第3ビアバリア膜47が形成されている。第3ビア46は、タングステンを含んでいてもよい。第3ビアバリア膜47は、窒化チタンを含んでいてもよい。
電極22の基部221は、第3ビア46を覆うようにパッシベーション膜2の上に形成されている。電極22の基部221は、パッシベーション膜2の上に形成されたバリア電極層48と、銅を主成分とする金属を含み、バリア電極層48の主面の上に形成された本発明のCu導電層の一例としてのCu電極層49とを含む積層構造を有している。バリア電極層48は、Cu電極層49を構成する電極材料がパッシベーション膜2内に拡散するのを抑制する。
【0063】
ここで、「銅を主成分とする金属」とは、Cu電極層49を構成する銅の質量比率(質量%)が、Cu電極層49を構成する他の成分に対して最も高い金属のことをいう(以下、同じ)。Cu電極層49がアルミニウム-銅合金(Al-Cu合金)からなる場合、銅の質量比率RCuは、アルミニウムの質量比率RAlよりも高い(RCu>RAl)。
Cu電極層49がアルミニウム-シリコン-銅合金(Al-Si-Cu合金)からなる場合、銅の質量比率RCuは、アルミニウムの質量比率RAlおよびシリコンの質量比率RSiよりも高い(RCu>RAl、かつ、RCu>RSi)。
【0064】
「銅を主成分とする金属」には、微量の不純物を含む場合はあるが、純度99.9999%(6N)以上の高純度銅や、純度99.99%(4N)以上の高純度銅等も含まれる。
バリア電極層48は、第3ビア46を覆うようにパッシベーション膜2の上に形成されている。バリア電極層48は、第3ビア46を介して第1電極層14、第2電極層15および第3電極層16と電気的に接続されている。
【0065】
バリア電極層48は、100nm~500nm(この形態では100nm程度)の厚さを有していてもよい。バリア電極層48は、単一の金属層からなる単層構造を有していてもよい。バリア電極層48は、複数の金属層が積層された積層構造を有していてもよい。
バリア電極層48は、Cu電極層49の熱膨張率よりも小さい熱膨張率を有していることが好ましい。また、バリア電極層48は、Cu電極層49の剛性率よりも大きい剛性率を有していることが好ましい。
【0066】
バリア電極層48は、チタン、窒化チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロムまたはルテニウムのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。これらの金属材料によれば、Cu電極層49の熱膨張率よりも小さい熱膨張率(4μm/m・K~9μm/m・K)を有するバリア電極層48を実現できる。Cu電極層49が高純度銅からなる場合、Cu電極層49の熱膨張率は16.5μm/m・K程度である。
【0067】
バリア電極層48は、タンタル、タングステン、モリブデン、クロムまたはルテニウムのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。これらの金属材料によれば、Cu電極層49の熱膨張率よりも小さい熱膨張率(4μm/m・K~7μm/m・K)を有するバリア電極層48を実現できる。
また、これらの金属材料によれば、Cu電極層49の剛性率よりも大きい剛性率(50Gpa~180Gpa)を有するバリア電極層48を実現できる。Cu電極層49が高純度銅からなる場合、Cu電極層49の剛性率は48Gpa程度である。
【0068】
Cu電極層49は、電極22の基部221の内の大部分を占めている。Cu電極層49は、2μm~6μmの厚さを有していてもよい。Cu電極層49は、上面49a(第1面)と、上面49aの反対側に位置する下面49b(第2面)と、上面49aおよび下面49bを接続する側面49cとを有している。Cu電極層49の下面49bは、バリア電極層48と機械的および電気的に接続されている。
【0069】
Cu電極層49の下面49bの周縁は、バリア電極層48の周縁からバリア電極層48の内方に離れている。Cu電極層49の下面49bは、パッシベーション膜2の表面に沿う方向に関して、Cu電極層49の上面49aよりも幅狭に形成されている。
より具体的には、Cu電極層49において、側面49cの下面49b側の領域には、Cu電極層49の内方に向かって窪み、かつ、バリア電極層48の縁部の上面を露出させる凹部50が形成されている。
【0070】
凹部50は、Cu電極層49の斜め上方に向かって膨らむ凸湾曲状に形成されている。これにより、凹部50の内面は、凸湾曲面とされている。この凹部50によって、Cu電極層49の下面49bが、Cu電極層49の上面49aよりも幅狭に形成されている。
Cu電極層49の側面49cは、この形態では、バリア電極層48の周縁(側面)よりも外側に位置している。したがって、バリア電極層48の周縁(側面)は、この形態では、Cu電極層49の下面49bの周縁とCu電極層49の側面49cとの間の領域に位置している。Cu電極層49の側面49cは、バリア電極層48の周縁(側面)よりも内側に位置していてもよい。
【0071】
電極22の基部221は、Cu電極層49の上面49aに形成されたパッド電極層51を含む。パッド電極層51は、Cu電極層49の上面49aを被覆するようにCu電極層49の上面49aの上に形成されている。
パッド電極層51は、Cu電極層49の上面49aと機械的および電気的に接続された第1部分52と、第1部分52からCu電極層49の側方に張り出した第2部分53とを含む。
【0072】
パッド電極層51は、この形態では、Cu電極層49の上面49aの上に形成されたニッケル層54と、ニッケル層54の上に形成されたパラジウム層55とを含む積層構造を有している。パラジウム層55は、ニッケル層54の厚さよりも小さい厚さで形成されている。パラジウム層55は、パラジウム層55を構成するパラジウムの質量比率(質量%)が、パラジウム層55を構成する他の成分に対して最も高い金属である。言い換えれば、パラジウム層55は、パラジウムを主成分とする金属であればよい。また、ニッケル層54は、ニッケル層54を構成するニッケルの質量比率(質量%)が、ニッケル層54を構成する他の成分に対して最も高い金属である。言い換えれば、ニッケル層54は、ニッケルを主成分とする金属であればよい。
【0073】
ニッケル層54の厚さは、0.5μm~5μmであってもよい。パラジウム層55の厚さは、0.05μm~0.5μmであってもよい。
表面保護膜23は、パッシベーション膜2上に形成されている。表面保護膜23は、電極22の基部221を覆っている。表面保護膜23には、電極22の基部221の一部を露出させる開口8が形成されている。表面保護膜23は、電気絶縁性を有しており、たとえば、ポリイミドからなる。
【0074】
電極22の柱状部222は、表面保護膜23の開口8内で基部221に接しており、開口8から基部221の反対側に突出している。電極22の柱状部222は、表面保護膜23の上に形成されたバリア層17と、銅を主成分とする金属を含み、バリア層17の主面の上に形成されたCu柱状体18とを含む積層構造を有している。バリア層17は、Cu柱状体18を構成する材料が表面保護膜23内に拡散するのを抑制する。ここで、Cu柱状体18を構成する「銅を主成分とする金属」とは、上述のCu電極層49の定義と同様である。
【0075】
バリア層17は、表面保護膜23の開口8内の基部221を覆うように(パラジウム層55に接するように)、表面保護膜23の上に形成されている。バリア層17は、基部221と電気的に接続されている。
バリア層17は、100nm~500nm(この形態では100nm程度)の厚さを有していてもよい。バリア層17は、単一の金属層からなる単層構造を有していてもよい。バリア層17は、複数の金属層が積層された積層構造を有していてもよい。
【0076】
Cu柱状体18は、20μm~60μmの厚さを有していてもよい。また、柱状部222では、Cu柱状体18に代えて、Cu以外の材料からなる柱状体を適用してもよい。
接合層30は、電極22の柱状部222の先端面222A上に形成されている。接合層30は、部分的に柱状部222の側面222Bよりも側方に張り出した張出部19を有している。
【0077】
接合層30は、柱状部222の上に形成された第1層24と、第1層24の上に形成された第2層25とを含む積層構造を有している。この実施形態では、第1層24は、ニッケル(Ni)層を含み、第2層25は、はんだ層を含んでいてもよい。
ニッケル層としては、ニッケルの質量比率(質量%)が、ニッケル層を構成する他の成分に対して最も高い金属であってもよい。言い換えれば、第1層24は、ニッケルを主成分とする金属であればよい。
【0078】
はんだ層としては、鉛がゼロもしくはほとんど含有されていない鉛フリーはんだが好ましい。鉛フリーはんだは、たとえば、SnAgCu系、SnZnBi系、SnCu系、SnAgInBi系、SnZnAl系等の各種材料を適用することができる。また、第2層25は、
図17に示すように、フリップチップ接合前では、略球形状に形成されていてもよい。
【0079】
図18A~
図18Pは、半導体パッケージA10の製造工程の一部を工程順に説明するための図である。以下では、Cu電極層49が高純度銅からなる場合を例にとって説明する。
半導体パッケージA10の製造に際して、まず、半導体装置20が製造される。
図18Aを参照して、多層配線構造1の上にパッシベーション膜2が形成された半導体基板211(半導体層212)が準備される。パッシベーション膜2および第4層間絶縁膜7には、これらを貫通する第3ビア46が形成されている。次に、バリア電極層48が、パッシベーション膜2の上に形成される。バリア電極層48は、たとえば、スパッタ法によって形成されてもよい。
【0080】
次に、
図18Bを参照して、バリア電極層48上に、Cuシード層9が形成される。Cuシード層9は、たとえば、スパッタ法によって形成されてもよい。次に、所定パターンを有するマスク26が、Cuシード層9の上に形成される。マスク26は、Cuシード層9においてCu電極層49(上述の第3例では、Cu層84も含む)を形成すべき領域を露出させる開口26aを選択的に有している。
【0082】
次に、
図18Cを参照して、Cu電極層49が形成される。Cu電極層49は、マスク26の開口26aから露出するCuシード層9の表面の上に形成される。Cu電極層49は、電解銅めっき法によって形成されてもよい。Cu電極層49は、マスク26の開口26aの深さ方向途中部まで形成される。Cu電極層49は、Cuシード層9と一体的に形成される。
【0083】
次に、
図18Dを参照して、ニッケル層54およびパラジウム層55が、Cu電極層49の上面49aの上にこの順に形成される。ニッケル層54およびパラジウム層55は、それぞれ、マスク26の開口26aから露出するCu電極層49の上面49aの上に形成される。ニッケル層54およびパラジウム層55は、それぞれ、無電解めっき法によって形成されてもよい。
【0084】
次に、
図18Eを参照して、マスク26が除去される。
次に、
図18Fを参照して、Cuシード層9の不要な部分が、除去される。Cuシード層9は、ウエットエッチングによって除去されてもよい。この工程では、Cu電極層49の一部がサイドエッチングされる。そのため、Cu電極層49の側面49cは、パッド電極層51の側面よりも内方に位置するように形成される。
【0085】
これにより、パッド電極層51が形成される。パッド電極層51は、Cu電極層49の上面49aに機械的および電気的に接続された第1部分52と、第1部分52からバリア電極層48の側方に張り出した第2部分53とを含む。
次に、
図18Gを参照して、バリア電極層48の不要な部分が、除去される。バリア電極層48は、ウエットエッチングによって除去されてもよい。この工程では、バリア電極層48の厚さに応じた分だけ、Cu電極層49の直下に位置するバリア電極層48が除去される。そのため、バリア電極層48の側面は、Cu電極層49の側面49cよりも内方に位置するように形成される。
【0086】
次に、
図18Hを参照して、Cu電極層49において下面49bおよび側面49cを接続する角部が除去される。Cu電極層49の角部は、ウエットエッチングによって除去されてもよい。ウエットエッチング工程は、バリア電極層48の主面が露出するまで行われる。これにより、Cu電極層49における側面49cの下面49b側の領域に、バリア電極層48の縁部の上面を露出させる凹部50が形成される。
【0087】
次に、
図18Iを参照して、基部221を覆うように、パッシベーション膜2上に表面保護膜23が形成される。次に、表面保護膜23がパターニングされることによって、表面保護膜23に開口8が形成される。次に、バリア層17が、表面保護膜23の上に形成される。バリア層17は、たとえば、スパッタ法によって形成されてもよい。次に、バリア層17上に、Cuシード層27が形成される。Cuシード層27は、たとえば、スパッタ法によって形成されてもよい。
【0088】
次に、
図18Jを参照して、所定パターンを有するマスク28が、Cuシード層27の上に形成される。マスク28は、Cuシード層27においてCu柱状体18を形成すべき領域を露出させる開口28aを選択的に有している。
次に、
図18Kを参照して、Cu柱状体18が形成される。Cu柱状体18は、マスク28の開口28aから露出するCuシード層27の表面の上に形成される。Cu柱状体18は、電解銅めっき法によって形成されてもよい。Cu柱状体18は、マスク28の開口28aの深さ方向途中部まで形成される。Cu柱状体18は、Cuシード層27と一体的に形成される。また、Cu柱状体18の凹部222Cは、表面保護膜23の開口8の凹みを引き継ぐことによって形成される。
【0089】
次に、
図18Lを参照して、第1層24(ニッケル層)が、Cu柱状体18の上に形成される。第1層24は、マスク28の開口28aから露出するCu柱状体18の上面に形成される。第1層24は、無電解めっき法によって形成されてもよい。
次に、
図18Mを参照して、マスク28が除去される。
次に、
図18Nを参照して、Cuシード層27の不要な部分が、除去される。Cuシード層27は、ウエットエッチングによって除去されてもよい。この工程では、Cu柱状体18の一部がサイドエッチングされる。そのため、Cu柱状体18の側面222Bは、第1層24の側面よりも内方に位置するように形成される。
【0090】
次に、
図18Oを参照して、バリア層17の不要な部分が、除去される。バリア層17は、ウエットエッチングによって除去されてもよい。
次に、
図18Pを参照して、第1層24上に、球形状の第2層25(はんだ層)が形成される。
その後、半導体装置20が導電部材10にフリップ接合される。次に、半導体装置20が導電部材10と共に封止樹脂40によって封止される。そして、封止樹脂40のダイシング工程が実施されて、半導体パッケージA10が切り出される。以上の工程を経て、半導体パッケージA10が製造される。
【0091】
以上、この半導体装置20では、Cu電極層49の直下に配置された絶縁層の構造が、相対的に硬い材料層からなるパッシベーション膜2の第1膜37を、相対的に柔らかい材料層からなる第4層間絶縁膜7およびパッシベーション膜2の第2膜38で挟んだ構造である。これにより、半導体装置20を導電部材10にフリップチップ接合する際など、Cu電極層49が熱変形してCu電極層49とパッシベーション膜2との界面に応力が生じても、その応力を緩和することができる。
【0092】
この点について、シミュレーションによって応力緩和の効果を検証した。結果を
図19および
図20に示す。
図19は、
図17の二点鎖線IXXで囲まれたCu電極層49とパッシベーション膜2の第2膜38との界面(Cu界面)にかかるミーゼス応力を示している。
図20は、
図17の二点鎖線XXで囲まれた最上層配線である第3電極層16(シミュレーションではアルミニウム)にかかるミーゼス応力を示している。
【0093】
また、シミュレーション条件として、
(1)第4層間絶縁膜7はSiO
2膜(ヤング率=72,400MPa)、
(2)第1膜37はSiN膜(ヤング率=320,000MPa)、
(3)第2膜38はSiO
2膜(ヤング率=20,000MPa)、
(4)第1膜37と第2膜38のトータル厚さ=1μm
を設定した。なお、
図19および
図20において、「TYP」は第2膜38がないこと、つまりパッシベーション膜2がSiN膜のみで形成されていることを示している。
【0094】
図19から、パッシベーション膜2の最表面をSiO
2膜にすることによって、Cu界面にかかるミーゼス応力が大幅に低減された。つまり、Cu電極層49の直下の絶縁層の構造を、SiO
2+SiNの2層構造から、SiO
2+SiN+SiO
2のサンドイッチ構造にすることによって、Cu界面にかかるミーゼス応力を緩和できることが分かった。
また、パッシベーション膜2の最表面のSiO
2膜のヤング率を20,000MPa程度とし、かつ当該SiO
2膜の厚さ比率をパッシベーション膜2のトータル厚さの50%以下にすれば、
図20に示すように、最上層Al上のミーゼス応力も低減されることが分かった。
【0095】
以上より、前述の半導体装置20の構造であれば、半導体装置20をパッケージ化する際に、Cu電極層49が熱変形してCu電極層49とパッシベーション膜2との界面に応力が生じても、その応力を緩和することができる。
特に、半導体装置20を導電部材10にフリップチップ実装する際には、Cu柱状体18や導電部材10から応力を受けるので、フリップチップ実装のパッケージには特に効果的である。これにより、信頼性に優れる半導体パッケージA10を提供することができる。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
また、前述の実施形態では、半導体装置20がフリップチップ接合される形態のみを示したが、半導体装置20は、半導体基板211の裏面を導電部材10に接合し、パッド電極層51と導電部材10の各リードとをワイヤボンディングで接合してもよい。
【0097】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0098】
A10 半導体パッケージ
2 パッシベーション膜
3 素子形成面
7 第4層間絶縁膜
10 導電部材
16 第3電極層
18 Cu柱状体
20 半導体装置
23 表面保護膜
24 第1層
25 第2層
30 接合層
37 第1膜
38 第2膜
40 封止樹脂
49 Cu電極層
101 主面
102 裏面
211 半導体基板
212 半導体層
221 基部
222 柱状部