IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホーチキ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-感知器 図1
  • 特許-感知器 図2
  • 特許-感知器 図3
  • 特許-感知器 図4
  • 特許-感知器 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/10 20060101AFI20230725BHJP
   G08B 17/107 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G08B17/10 H
G08B17/107 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019075624
(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公開番号】P2020173649
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】土肥 学
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-110127(JP,A)
【文献】特開平09-091562(JP,A)
【文献】実開昭54-136985(JP,U)
【文献】実開昭63-035187(JP,U)
【文献】特開平11-016063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-17/12
G08B 19/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象が流入する検出空間と、
前記検出空間に流入した前記検出対象を検出する検出手段と、
前記検出対象以外のものであって、前記検出手段による検出制御に悪影響を与える可能性があるものである外乱対象が、前記検出空間に進入するのを抑制するために発熱する発熱手段と
前記検出手段及び前記検出空間を収容する収容手段と、を備え
前記発熱手段は、前記検出対象を含む気体の流路であって、前記収容手段の外部から前記収容手段の内部の前記検出空間にいたる前記流路上に設けられている、
感知器。
【請求項2】
検出対象が流入する検出空間と、
前記検出空間に流入した前記検出対象を検出する検出手段と、
前記検出対象以外のものであって、前記検出手段による検出制御に悪影響を与える可能性があるものである外乱対象が、前記検出空間に進入するのを抑制するために発熱する発熱手段と、を備え、
前記発熱手段は、前記検出空間の周囲に設けられている防虫網である、
感知器。
【請求項3】
感知器であって、
検出対象が流入する検出空間と、
前記検出空間に流入した前記検出対象を検出する検出手段と、
前記検出対象以外のものであって、前記検出手段による検出制御に悪影響を与える可能性があるものである外乱対象が、前記検出空間に進入するのを抑制するために発熱する発熱手段と、を備え、
前記発熱手段は、自己に供給された電流に基づいて発熱し、
前記感知器は、電流を供給するものである電流供給手段、を備え、
前記検出手段は、
前記電流供給手段から自己に供給された電流に基づいて検出光を発光する発光手段と、
前記発光手段から発光された検出光に基づく光を受光する受光手段と、を備え、
前記発熱手段は、前記電流供給手段から自己に供給された電流に基づいて発熱する、
感知器。
【請求項4】
前記発熱手段及び前記検出手段の前記発光手段は、前記電流供給手段を基準に相互に直列又は並列に電気的に接続されており、
前記発熱手段の通電状態に異常が発生した場合に、前記検出手段の前記発光手段の通電状態を保護する保護手段、を備える、
請求項に記載の感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、煙が流入するチャンバを備えており、このチャンバに流入した煙の濃度を検出することにより、火災を判定する火災感知器が知られていた(例えば、特許文献1参照)。この火災感知器では、チャンバ内に虫や湯気等の外乱対象が入り込んで火災の判定に悪影響が及ぶのを防止するために、防虫網がチャンバの周囲に設けられていた。
【0003】
しかしながら、従来の火災感知器では、虫や湯気等の外乱対象がチャンバ内に進入するのを確実に防止するために、防虫網の孔の径が比較的小さく設定されていたので、チャンバ内への煙の迅速な流入が防虫網によって阻まれてしまう可能性があり、火災を迅速に判定することが困難となる可能性があった。特に、火災の初期段階で発生することが多い燻焼火災であって、煙の発生量が比較的少ない当該燻焼火災については、迅速に判定することが特に困難となる可能性があった。
【0004】
そこで、火災を迅速に判定するために、防虫網の孔を拡大して、チャンバ内への煙の流入を促進することが提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-248547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、火災を迅速に判定するために、防虫網の孔を拡大した場合、虫や湯気等の外乱対象がチャンバ内に進入するのを効果的に防止することが困難になり、火災の判定に悪影響が及んでしまい、実際には火災が発生していないにも関わらず火災を判定する非火災報、あるいは、実際には火災が発生しているにも関わらず火災を判定しない失報が発生してしまう可能性があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、外乱対象が検出空間に進入するのを抑制しつつ、火災を迅速に判定することが可能な感知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の感知器は、検出対象が流入する検出空間と、前記検出空間に流入した前記検出対象を検出する検出手段と、前記検出対象以外のものであって、前記検出手段による検出制御に悪影響を与える可能性があるものである外乱対象が、前記検出空間に進入するのを抑制するために発熱する発熱手段と、前記検出手段及び前記検出空間を収容する収容手段と、を備え、前記発熱手段は、前記検出対象を含む気体の流路であって、前記収容手段の外部から前記収容手段の内部の前記検出空間にいたる前記流路上に設けられている。
【0009】
また、請求項2に記載の感知器は、検出対象が流入する検出空間と、前記検出空間に流入した前記検出対象を検出する検出手段と、前記検出対象以外のものであって、前記検出手段による検出制御に悪影響を与える可能性があるものである外乱対象が、前記検出空間に進入するのを抑制するために発熱する発熱手段と、を備え、前記発熱手段は、前記検出空間の周囲に設けられている防虫網である。
【0010】
また、請求項3に記載の感知器は、感知器であって、検出対象が流入する検出空間と、前記検出空間に流入した前記検出対象を検出する検出手段と、前記検出対象以外のものであって、前記検出手段による検出制御に悪影響を与える可能性があるものである外乱対象が、前記検出空間に進入するのを抑制するために発熱する発熱手段と、を備え、前記発熱手段は、自己に供給された電流に基づいて発熱し、前記感知器は、電流を供給するものである電流供給手段、を備え、前記検出手段は、前記電流供給手段から自己に供給された電流に基づいて検出光を発光する発光手段と、前記発光手段から発光された検出光に基づく光を受光する受光手段と、を備え、前記発熱手段は、前記電流供給手段から自己に供給された電流に基づいて発熱する。
【0011】
また、請求項4に記載の感知器は、請求項に記載の感知器において、前記発熱手段及び前記検出手段の前記発光手段は、前記電流供給手段を基準に相互に直列又は並列に電気的に接続されており、前記発熱手段の通電状態に異常が発生した場合に、前記検出手段の前記発光手段の通電状態を保護する保護手段、を備える。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の感知器によれば、外乱対象が検出空間に進入するのを抑制するために発熱手段が発熱することにより、例えば、発熱手段からの熱を用いて、外乱対象である虫に忌避させたり、あるいは、外乱対象である湯気を気化させたりすることができるので、外乱対象が検出空間に進入するのを抑制することができる。また、例えば、外乱対象が検出空間に進入するのを抑制した状態で、防虫網の孔を拡大することができるので、火災を迅速に判定することができる。
また、発熱手段が、検出対象を含む気体の流路であって、収容手段の外部から収容手段の内部の検出空間にいたる流路上に設けられていることにより、例えば、外乱対象が当該流路を通って検出空間に進入するのを効果的に抑制することができる。
【0015】
請求項2に記載の感知器によれば、外乱対象が検出空間に進入するのを抑制するために発熱手段が発熱することにより、例えば、発熱手段からの熱を用いて、外乱対象である虫に忌避させたり、あるいは、外乱対象である湯気を気化させたりすることができるので、外乱対象が検出空間に進入するのを抑制することができる。また、例えば、外乱対象が検出空間に進入するのを抑制した状態で、防虫網の孔を拡大することができるので、火災を迅速に判定することができる。
また、発熱手段が防虫網であることにより、例えば、1つのみの部品を用いて発熱手段及び防虫網の両方を構成することができるので、感知器における部品点数を削減して、感知器の製造コストを低減したり、あるいは、感知器のコンパクト化を図ったりすることができる。
【0016】
請求項3に記載の感知器によれば、外乱対象が検出空間に進入するのを抑制するために発熱手段が発熱することにより、例えば、発熱手段からの熱を用いて、外乱対象である虫に忌避させたり、あるいは、外乱対象である湯気を気化させたりすることができるので、外乱対象が検出空間に進入するのを抑制することができる。また、例えば、外乱対象が検出空間に進入するのを抑制した状態で、防虫網の孔を拡大することができるので、火災を迅速に判定することができる。
また、発熱手段が自己に供給された電流に基づいて発熱することにより、例えば、電流量を調整することにより発熱量を調整することができるので、発熱手段の発熱量を容易且つ確実に調整することができる。
また、発光手段が電流供給手段から自己に供給された電流に基づいて検出光を発光し、且つ、発熱手段が当該電流供給手段から自己に供給された電流に基づいて発熱することにより、例えば、発光手段及び発熱手段が相互に同一の電流供給手段からの電流に基づいて動作するので、発光手段及び発熱手段各々に対して専用の電流供給手段を設ける必要がないために、感知器における部品点数を削減して、感知器の製造コストを低減したり、あるいは、感知器のコンパクト化を図ったりすることができる。
【0017】
請求項4に記載の感知器によれば、保護手段が、発熱手段の通電状態に異常が発生した場合に、発光手段の通電状態を保護することにより、例えば、発熱手段が断線する等により発熱手段の通電状態に異常が発生したとしても、発光手段を正常に動作させることができるので、発熱手段の通電状態の異常に起因して、感知器における検出対象を検出する機能に支障(例えば、感度の低下等)を来してしまうのを防止することができるために、感知器における防災に関する信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施の形態に係る感知器の側面図である。
図2】感知器の底面図である。
図3図1のA―A矢視断面図である。
図4】感知器のブロック図である。
図5】保護部として機能する電気回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る感知器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0022】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、検出空間と、検出手段と、発熱手段とを備える感知器に関するものである。
【0023】
ここで、「感知器」とは、監視領域の異常を判定する機器であり、具体的には、監視領域の検出対象を検出することにより、火災、ガス漏れ等の異常を判定する機器であり、例えば、煙感知器、熱感知器、火災感知器、及びガス漏れ感知器等を含む概念である。また、「監視領域」とは、防災機器(感知器を含む)による監視の対象となっている領域であり、具体的には、一定の広がりを持った空間であって、屋内あるいは屋外の空間であって、例えば、建物の廊下、階段、又は部屋等の空間を含む概念である。また、「検出対象」とは、感知器による検出の対象であり、具体的には、監視領域の異常に関連するものであり、例えば、煙、熱、炎、及び一酸化炭素等の有毒ガス等を含む概念である。
【0024】
また、「検出空間」とは、検出対象が流入する空間であり、煙感知器又は火災感知器においては例えば、感知器の外部から遮光されている領域である遮光領域内に設けられている空間である。また、「検出手段」とは、検出空間に流入した検出対象を検出する手段であり、具体的には、発光手段と受光手段とを備える手段である。「発光手段」とは、検出光を発光する手段であり、具体的には、発光ダイオード等を含む概念である。「受光手段」とは、発光手段から発光された検出光に基づく光を受光する手段であり、具体的には、フォトダイオード等を含む概念である。「発光手段から発光された検出光に基づく光」とは、発光手段から発光された検出光が検出空間に流入した検出対象により散乱されることで生じる光である散乱光、又は、発光手段から発光された検出光が検出空間を通過した後に遮光領域内で反射されることで生じる反射光等を含む概念である。
【0025】
また、「発熱手段」とは、外乱対象が検出空間に進入するのを抑制するために発熱する手段であり、例えば、検出対象を含む気体の流路であって収容手段の外部から収容手段の内部の検出空間にいたる流路上に設けられているものであって、自己に供給された電流に基づいて発熱するものであり、詳細には、検出空間への虫の進入を抑制するための防虫網とは別体のもの、又は、当該防虫網自身として構成されるもの(つまり、防虫網と一体のもの)等を含む概念である。「外乱対象」とは、検出対象以外のものであって、検出手段による検出制御に悪影響を与える可能性があるものであり、例えば、湯気又は虫等を含む概念である。「収容手段」とは、少なくとも、検出手段及び検出空間を収容するものであり、例えば、感知器の外形を構成するものである。
【0026】
以下に示す実施の形態では、「感知器」が「火災感知器」であり、「監視領域」が「建物の部屋」であり、「検出対象」が「煙(具体的には、煙の粒子)」であり、「外乱対象」が「湯気」及び「虫」であり、「発熱手段」が「防虫網」として構成される場合について説明する。
【0027】
(構成)
まず、本実施の形態に係る感知器の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る感知器の側面図であり、図2は、感知器の底面図であり、図3は、図1のA―A矢視断面図であり、図4は、感知器のブロック図である。なお、説明の便宜上、図1については、感知器100の外側を破線で示し、内側を実線で示しており、また、図3については、感知器100の断面の一部のみを示している。また、以下の説明では、図1図3に示すX―Y―Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、Z方向が鉛直方向であって、X方向及びY方向が鉛直方向に対して直交する水平方向であるものとして、例えば、Z方向を高さ方向と称し、+Z方向を上側(平面)と称し、-Z方向を下側(底面)と称して説明する。また、以下の「X―Y―Z方向」に関する用語については、図示の感知器100において、各構成品の相対的な位置関係(又は、方向)等を説明するための便宜的な表現であることとし、図3の遮光領域14の中心位置を基準として、XY平面において遮光領域14から離れる方向を「外側」と称し、遮光領域14に近づく方向を「内側」と称して、以下説明する。
【0028】
これら各図に示す感知器100は、監視領域の検出対象を検出することにより、火災を判定する機器であり、具体的には、図1に示すように、監視領域の天井面である設置面900に取り付けて用いられるものであり、例えば、取付ベース11、筐体12、図3のラビリンス13、遮光領域14、防虫網15、検出空間16、図4の検出部21、警報部22、発熱部23、電流供給部24、保護部25、記録部26、及び制御部27を備える。
【0029】
(構成-取付ベース)
図1の取付ベース11は、設置面900に対して、筐体12を取り付けるための取付手段である。この取付ベース11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、筐体12と設置面900との間において用いられるものであって、公知の固定手段(例えば、ねじあるいは嵌合構造等)によって固定されているものである。
【0030】
(構成-筐体)
図1の筐体12は、図3のラビリンス13、遮光領域14、防虫網15、検出空間16、図4の検出部21、警報部22、発熱部23、電流供給部24、保護部25、記録部26、及び制御部27を収容する収容手段である。この図1の筐体12の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、高さ方向(Z方向)において上側(+Z方向)に設けられている円筒状部分と、この円筒状部分から下側(-Z方向)に突出するように形成されたものであって少なくとも防虫網15を収容するためのドーム状部分とによって形成されているものであり、図2の開口部121が設けられているものである。
【0031】
(構成-筐体-開口部)
図2の開口部121は、筐体12に対して気体を流入させる流入手段であり、また、筐体12に対して気体を流出させる流出手段である。この開口部121の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、筐体12のドーム状部分における防虫網15と対向する位置を複数設けられているものである。
【0032】
(構成-ラビリンス)
図3のラビリンス13は、感知器100の外側からの光を遮光しつつ、気体を流入及び/又は流出させる遮光手段である。このラビリンス13の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図1の高さ方向(Z方向)においてベース板131及びカバー板132の間に固定されるものであり、図3に示すように、防虫網15の内周全体に沿って複数設けられているものである。
【0033】
(構成-遮光領域)
図3の遮光領域14は、感知器100の外側からの光が遮光されている領域であり、具体的には、ラビリンス13、図1のベース板131、及びカバー板132によって取り囲まれている領域である。
【0034】
(構成-防虫網)
図3の防虫網15は、遮光領域14に虫が進入するのを抑制する防虫手段であり、また、遮光領域14に対して気体を流入させる流入手段であり、また、遮光領域14に対して気体を流出させる流出手段であり、また、後述する図4の発熱部23として機能する発熱手段である。この防虫網15の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、ニクロム線の如き電熱線が公知の防虫網の形状に編み込まれて形成されたものであって、電気抵抗が数オーム(例えば、3~5オーム)程度のものである。また、この防虫網15については、前述のように編み込まれて形成されることにより、遮光領域14に対して気体を流入出させつつ虫の進入を抑制する複数の孔が形成されることになるが、この防虫網15が図4の発熱部23と一体のものとして形成されており、後述するように熱によって湯気を気化させ且つ虫に忌避させることができることを考慮して、当該複数の孔の径は比較的大きく設定されているものとする。
【0035】
(構成-検出空間)
図3の検出空間16は、遮光領域14内に設けられ、外部から煙が流入する空間であって、散乱光が生じる空間である。この検出空間16は具体的には、後述する発光部211の光軸と受光部212の光軸とが交わる点を少なくとも含む空間である。
【0036】
(構成-検出部)
図4の検出部21は、検出空間16に流入した煙を検出する検出手段である。この検出部21の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図3の発光部211及び受光212を備えるものである。
【0037】
(構成-検出部-発光部)
発光部211は、電流供給部24から自己に供給された電流に基づいて、煙を検出するための光である検出光を発光する発光手段であり、具体的には、検出空間16に向かって検出光を発光するものである。この発光部211の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、発光ダイオード等を備えるものである。
【0038】
(構成-検出部-受光部)
受光部212は、発光部211から発光された検出光に基づく光を受光する受光手段であり、具体的には、検出空間16で発生した散乱光を受光するものである。この受光部212の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、フォトダイオード等を備えるものである。
【0039】
(構成-警報部)
図4の警報部22は、感知器100が火災を判定した場合に、警報を出力する警報手段である。この警報部22の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、音声にて警報を出力する不図示のスピーカ、あるいは、発光表示にて警報を出力する図2の表示灯221等を備えるものである。
【0040】
(構成-発熱部)
図4の発熱部23は、湯気及び虫が図3の検出空間16に進入するのを抑制するために発熱する発熱手段である。この発熱部23の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、煙を含む気体の流路であって、図2の筐体12の外部から筐体12の内部の図3の検出空間16にいたる流路上に設けられているものであり、具体的には、防虫網15である。この発熱部23の具体的な種類や構成は前述の防虫網15と同一である限りにおいて任意であるが、例えば、前述したようにニクロム線の如き電熱線を用いて構成されるものである。より詳細には、発熱部23としては、後述する切替制御処理にて発熱部23が通電された場合に、図1において防虫網15の外側から内側に進入しようとする湯気を気化させ、且つ、防虫網15の外側から内側に進入しようとする虫に忌避させる(つまり、虫が忌み嫌って避ける)程度の熱(一例としては、摂氏50度~摂氏70度等程度の熱)を発生するように、構成されているものとする。
【0041】
(構成-電流供給部)
図4の電流供給部24は、電流を供給する電流供給手段であり、具体的には、図3の発光部211及び防虫網15(つまり、図4の発熱部23)に電流を供給するものである。この電流供給部24の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、一定時間(例えば、5秒~10秒等)毎に電流を繰り返し間欠的に供給するように構成されるものであり、具体的には、電源としての電池、電流発生用の電気抵抗、及び間欠的に電流を供給するスイッチング回路等の公知の回路として構成されるものである。
【0042】
(構成-保護部)
図4の保護部25は、発熱部23の通電状態に異常が発生した場合に、検出部21の図3の発光部211の通電状態を正常に維持することにより保護する保護手段であり、具体的には、前述の保護を行いつつ電流供給部24からの電流を発熱部23に供給するものである。この保護部25の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、後述する電気回路として構成されるものである。
【0043】
(構成-保護部-電気回路)
図5は、保護部として機能する電気回路を示す回路図である。この図5に示す保護部25は、発光部211及び発熱部23が、電流供給部24を基準に相互に直列に電気的に接続されている場合に、前述の保護を行いつつ電流供給部24からの電流を発熱部23に供給するものである。保護部25は、電流入力端子T1、電圧検出端子T2、切替端子T3、第1検出抵抗251、第2検出抵抗252、バイパス抵抗253、入力抵抗254、及び切替ダイオード255を備える。
【0044】
(構成-保護部-電気回路-端子)
電流入力端子T1は、電流供給部24からの電流が入力される端子であり、電圧検出端子T2は、電圧を検出するための端子であり、切替端子T3は、電流の流路(具体的には、切替ダイオード255のオンオフ)を制御するための端子である。
【0045】
(構成-保護部-電気回路-素子)
第1検出抵抗251及び第2検出抵抗252は、電圧検出端子T2にて検出される電圧である検出電圧を発生させるための検出電圧発生手段であり、バイパス抵抗253は、電流をバイパスするためのバイパス手段であり、入力抵抗254は、切替ダイオード255に入力される電流を発生するための電流発生手段であり、切替ダイオード255は、電流の流路を切り替える切替手段であり、発熱部23の通電状態が正常である場合にオフされ、発熱部23の通電状態が異常である場合にオンされるものである。なお、「通電状態が異常である」とは、発熱部23の電熱線にて短絡又は断線が発生していることであり、「通電状態が正常である」とは、発熱部23の電熱線にて短絡又は断線のいずれも発生していないことである。これら各素子の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、第1検出抵抗251として数キロオーム(例えば、1~3キロオーム)の抵抗を採用し、第2検出抵抗252として数オーム(例えば、1~3オーム)の抵抗を採用し、バイパス抵抗253として、発熱部23の電気抵抗に対応する抵抗値である数オーム(例えば、3~5オーム)の抵抗を採用し、入力抵抗254として数十キロオーム(例えば、10~20キロオーム)の抵抗を採用し、切替ダイオード255としてPNP型のバイポーラトランジスタを採用するものとする。
【0046】
(構成-保護部-電気回路-接続)
電流入力端子T1には、アノードが電流供給部24に接続されている発光部211のカソード、発熱部23である電熱線の一端、第1検出抵抗251の一端、及び切替ダイオード255のエミッタが共通に接続される。また、電圧検出端子T2には、発熱部23である電熱線の他端、第1検出抵抗251の他端、バイパス抵抗243の一端、及び第2検出抵抗252の一端が共通に接続される。また、切替ダイオード255のコレクタは、バイパス抵抗243の他端に接続され、切替ダイオード255のベースは、入力抵抗254を介して切替端子T3に接続される。また、第2検出抵抗252の他端は接地される。
【0047】
(構成-記録部)
図4の記録部26は、感知器100の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、DVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体、又はFlash、ROM、USBメモリ、SDカードの如き電気的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0048】
また、この記録部26には、火災判定閾値及び状態判定電圧閾値範囲が格納されている。「火災判定閾値」とは、監視領域における火災発生を判定するために用いられる閾値であって、図3の受光部212が受光した光の強度と比較されるものである。そして、この火災判定閾値については、不図示の入力手段を用いて、一例として「50(ルーメン)」が入力されて格納されているものとする。また、「状態判定電圧閾値範囲」とは、発熱部23の電熱線の通電状態が正常であるか異常であるかを判定するために用いられる範囲であり、当該状態が正常であると判定するための電圧の範囲であり、具体的には、図5の電圧検出端子T2に現れる検出電圧と比較されるものである。この状態判定電圧閾値範囲については、図5において発熱部23の通電状態が正常である場合に、電圧検出端子T2に現れるものと想定される検出電圧よりも高い上限値(例えば、3.0ボルト等)と当該検出電圧よりも低い下限値(例えば、1.5ボルト)等の範囲を、シミュレーションまたは実験等により求めた上で、不図示の入力手段を用いて、「1.5ボルト以上~3.0ボルト以下」が入力されて格納されているものとする。
【0049】
(構成-制御部)
図4の制御部27は、感知器100を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係る制御プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して感知器100にインストールされることで、制御部27の各部を実質的に構成する。また、制御部27については、保護部24の切替を制御するために、当該制御部27のCPUが所定のバッファ回路(例えば、公知の増幅回路、又は公知の降圧又は昇圧回路等の必要な公知の回路)を介して図5の電圧検出端子T2及び切替端子T3に接続されているものとして、以下説明する。この制御部27の各部により行われる処理については、後述する。
【0050】
(処理)
次に、このように構成される図4の感知器100によって実行される処理について説明する。感知器100によって実行される処理には、検出部21の検出結果(つまり、図3の受光部212の受光結果)に基づいて火災を判定する処理である火災判定処理、及び、切替制御処理が含まれるが、火災判定処理については公知の処理を適用することができるので、切替制御処理についてのみ説明する。
【0051】
(処理-切替制御処理)
「切替制御処理」とは、保護部24の切替を制御する処理であり、具体的には、制御部27が、図5の電圧検出端子T2に現れる電圧である検出電圧を監視して、監視結果に基づいて切替端子T3を介して切替ダイオード255のオンオフを制御する処理である。この切替制御処理を実行するタイミングは任意のタイミングであるが、例えば、感知器100の電源をオンした後に、図5の切替ダイオード255をオフした後に実行を開始するものとして説明する。ここでは、切替制御処理の起動後における図5の電気回路の状態について、発熱部23の通電状態が正常である場合と、発熱部23の通電状態が異常である場合とに分けて説明した後に、制御部27が行う処理について説明する。なお、「発熱部23の通電状態の異常」が、発熱部23の電熱線における断線である場合について説明する。
【0052】
(処理-切替制御処理-通電状態が正常である場合)
発熱部23の電熱線が断線していない場合、電流供給部24からの電流は、発光部211を介して電流入力端子T1に供給され、発熱部23側及び第1検出抵抗251側に分流される。この分流された電流は各々、発熱部23あるいは第1検出抵抗251を介して流れた後に合流し、この後に、第2検出抵抗252を介して接地に供給される。この場合、電圧検出端子T2の検出電圧は、図4の記録部26の状態判定電圧閾値範囲を逸脱しないことになる。また、この場合、発熱部23で発生する熱によって、図1において防虫網15の外側から内側に進入しようとする湯気を気化させ、且つ、防虫網15の外側から内側に進入しようとする虫に忌避させることができるので、前述の非火災報及び失報の発生を防止することができる。なお、図5の電流供給部24からの電流は、前述のように、実際には間欠的ではあるが繰り返し供給されているので、発熱部23の温度を常時一定温度(例えば、摂氏45度等)以上に維持することができるので、湯気及び虫の進入を常時抑制することができる。
【0053】
(処理-切替制御処理-通電状態が異常である場合)
発熱部23の電熱線が断線している場合、電流供給部24からの電流は、発光部211を介して電流入力端子T1に供給されるが、発熱部23が断線しているので、第1検出抵抗251側のみ供給される。この供給された電流は、第1検出抵抗251を介して流れた後に、第2検出抵抗252を介して接地に供給される。この場合、電圧検出端子T2の検出電圧は、図4の記録部26の状態判定電圧閾値範囲の下限値を下回り、当該状態判定電圧閾値範囲を逸脱することになる。また、この場合、図5において、比較的高い抵抗値の第1検出抵抗251側のみに電流が供給されることに起因して、発光部211に供給される電流の量が減少してしまい、発光部211が発光する検出光の強度が低下してしまう可能性がある。
【0054】
(処理-切替制御処理-制御部が行う処理)
図4の制御部27は、上述の検出電圧の変化に着目して、発光部211に供給される電流の量が維持されるように、以下の処理を繰り返し行う。繰り返し行う処理について具体的には、電圧検出端子T2で発生する検出電圧を監視し、監視している検出電圧と記録部26の状態判定電圧閾値範囲とを比較し、監視している検出電圧が状態判定電圧閾値範囲を逸脱していない場合、発熱部23の通電状態が正常であるものと判定した上で、切替ダイオード255をオフに維持し、一方、監視している検出電圧が状態判定電圧閾値範囲を逸脱している場合、発熱部23の通電状態が異常であるものと判定し、切替ダイオード255をオンする。
【0055】
そして、切替ダイオード255をオンした場合、電流供給部24からの電流は、発光部211を介して電流入力端子T1に供給され、第1検出抵抗251側及び切替ダイオード255側に分流される。この分流された電流は各々、第1検出抵抗251、あるいは、切替ダイオード255及びバイパス抵抗253を介して流れた後に合流し、この後に、第2検出抵抗252を介して接地に供給される。この場合、発光部211には、発熱部23の通電状態が正常な場合に供給される量と同様な量の電流が、電流供給部24から供給されることになるので、発光部211が発光する検出光の強度を維持することが可能になる。
【0056】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、虫及び湯気が検出空間16に進入するのを抑制するために発熱部23が発熱することにより、例えば、発熱部23からの熱を用いて、虫に忌避させたり、あるいは、湯気を気化させたりすることができるので、虫及び湯気が検出空間16に進入するのを抑制することができる。また、例えば、虫及び湯気が検出空間16に進入するのを抑制した状態で、防虫網15の孔を拡大することができるので、火災を迅速に判定することができる。
【0057】
また、発熱部23が、煙を含む気体の流路であって、筐体12の外部から筐体12の内部の検出空間16にいたる流路上に設けられていることにより、例えば、虫及び湯気が当該流路を通って検出空間16に進入するのを効果的に抑制することができる。
【0058】
また、発熱部23が防虫網15であることにより、例えば、1つのみの部品を用いて発熱部23及び防虫網15の両方を構成することができるので、感知器100における部品点数を削減して、感知器100の製造コストを低減したり、あるいは、感知器100のコンパクト化を図ったりすることができる。
【0059】
また、発熱部23が自己に供給された電流に基づいて発熱することにより、例えば、電流量を調整することにより発熱量を調整することができるので、発熱部23の発熱量を容易且つ確実に調整することができる。
【0060】
また、発光部211が電流供給部24から自己に供給された電流に基づいて検出光を発光し、且つ、発熱部23が当該電流供給部24から自己に供給された電流に基づいて発熱することにより、例えば、発光部211及び発熱部23が相互に同一の電流供給部24からの電流に基づいて動作するので、発光部211及び発熱部23各々に対して専用の電流供給部(不図示)を設ける必要がないために、感知器100における部品点数を削減して、感知器100の製造コストを低減したり、あるいは、感知器100のコンパクト化を図ったりすることができる。
【0061】
また、保護部25が、発熱部23の通電状態に異常が発生した場合に、発光部211の通電状態を保護することにより、例えば、発熱部23が断線する等により発熱部23の通電状態に異常が発生したとしても、発光部211を正常に動作させることができるので、発熱部23の通電状態の異常に起因して、感知器100における煙を検出する機能に支障(例えば、感度の低下等)を来してしまうのを防止することができるために、感知器100における防災に関する信頼性を向上させることができる。
【0062】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0063】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0064】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。
【0065】
(発熱部について(その1))
また、上記実施の形態では、図4の発熱部23として、摂氏50度~摂氏70度等程度の熱を発生するように構成する場合について説明したが、これに限らない。例えば、図1において防虫網15の外側から内側に進入しようとする湯気を気化させる効果の度合い(以下、第1の度合い)、及び、防虫網15の外側から内側に進入しようとする虫に忌避させる効果の度合い(以下、第2の度合い)と、発熱部23が発生する熱との関係を考慮した上で、第1及び第2の度合いを確認するための実験又はシミュレーション等を行った上で、これらの結果を考慮して、発熱部23が任意の量の熱を発生するように構成してもよい。
【0066】
(発熱部について(その2))
また、上記実施の形態では、図4の発熱部23の電熱線としてニクロム線を用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、鉄クロム系の如き公知の材料の電熱線を用いて、発熱部23を構成してもよい。また、例えば、電気的絶縁材にて被覆された電熱線を用いてもよいし、被覆されていない電熱線を用いてもよい。
【0067】
(発熱部について(その3))
また、上記実施の形態では、図4の発熱部23が図3の防虫網15と一体である場合について説明したが、これに限らない。例えば、図3において防虫網15の代わりに公知の防虫網(つまり、発熱しないもの)を採用した上で、この公知の防虫網とは別体として、実施の形態の発熱部23と同様な機能を有する発熱体(発熱手段)を設けてもよい。ここでの発熱体の具体的な構成については任意であり、例えば、公知の防虫網における外側の面又は内側の面に固定される線状体として構成してもよいし、公知の防虫網から離れた位置に設けられる複数個の柱状体として構成してもよい。なお、図2の複数の開口部121から進入しようとする湯気の気化及び虫の忌避のために、複数の開口部121と対向する位置に、柱状体として構成された発熱体を設けてもよい。
【0068】
(電流供給部について(その1))
また、上記実施の形態では、図4の電流供給部24が、電源としての電池を含んでいる場合について説明したが、これに限らない。例えば、感知器100が不図示の受信機から供給される電力によって駆動する場合、電流供給部24の要素としては、電源としての電池を省略した上で、不図示の受信機から供給される電力に基づいて電流を供給するように構成してもよい。
【0069】
(電流供給部について(その2))
また、上記実施の形態では、図5の発光部211及び発熱部23が、電流供給部24を基準に相互に直列に電気的に接続されている場合について説明したが、これに限らない。例えば、図5の発光部211及び発熱部23を、電流供給部24に対して相互に並列に電気的に接続してもよい。この場合、保護部25を構成する電気回路についても適宜組み替えてもよい。
【0070】
(電流供給部について(その3))
また、上記実施の形態では、図4の電流供給部24が、発光部211及び発熱部23について兼用となっている場合について説明したが、これに限らない。例えば、発光部211専用の電流供給部、及び発熱部23専用の電流供給部を採用してもよい。
【0071】
(保護部について)
また、上記実施の形態の図5の保護部25を実現する電気回路については、保護部25の機能を実現できる限りにおいて任意に変更してもよい。具体的には、保護部25の各抵抗の抵抗値を変更したり、切替ダイオード255としてMOSトランジスタを採用したりしてもよい。この場合、電圧検出端子T2の検出電圧に基づいて、発熱部23の断線及び短絡の両方を確実に判定できることを考慮して、保護部25を実現する電気回路を変更してもよい。また、当該電気回路の変更と共に、図4の記録部26の状態判定電圧閾値範囲の変更を行ってもよい。また、例えば、図5の電流供給部24と発光部211との間に、抵抗値を調整可能な可変抵抗を設けた上で、実施の形態で説明した制御に加えて、あるいは、当該制御の代わりに、制御部27が、発熱部23の通電状態に応じて当該可変抵抗の抵抗値を調整する制御を行い、発光部211が発光する検出光の強度を維持してもよい。
【0072】
(感知器の取り付けについて)
また、上記実施の形態では、図1の感知器100を監視領域の天井面である設置面900に取り付けて用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、感知器100を監視領域の壁に取り付けて用いてもよい。
(適用について)
また、上記実施形態の特徴を、減光式の感知器に適用してもよい。
【0073】
(特徴について)
また、上記実施の形態の特徴及び変形例の特徴を任意に組合わせてもよい。
【0074】
(付記)
付記1の感知器は、検出対象が流入する検出空間と、前記検出空間に流入した前記検出対象を検出する検出手段と、前記検出対象以外のものであって、前記検出手段による検出制御に悪影響を与える可能性があるものである外乱対象が、前記検出空間に進入するのを抑制するために発熱する発熱手段と、を備える。
【0075】
付記2の感知器は、付記1に記載の感知器において、前記検出手段及び前記検出空間を収容する収容手段、を備え、前記発熱手段は、前記検出対象を含む気体の流路であって、前記収容手段の外部から前記収容手段の内部の前記検出空間にいたる前記流路上に設けられている。
【0076】
付記3の感知器は、付記1又は2に記載の感知器において、前記発熱手段は、前記検出空間の周囲に設けられている防虫網である。
【0077】
付記4の感知器は、付記1から3のいずれか一項に記載の感知器において、前記発熱手段は、自己に供給された電流に基づいて発熱する。
【0078】
付記5の感知器は、付記4に記載の感知器において、電流を供給するものである電流供給手段、を備え、前記検出手段は、前記電流供給手段から自己に供給された電流に基づいて検出光を発光する発光手段と、前記発光手段から発光された検出光に基づく光を受光する受光手段と、を備え、前記発熱手段は、前記電流供給手段から自己に供給された電流に基づいて発熱する。
【0079】
付記6の感知器は、付記5に記載の感知器において、前記発熱手段及び前記検出手段の前記発光手段は、前記電流供給手段を基準に相互に直列又は並列に電気的に接続されており、前記発熱手段の通電状態に異常が発生した場合に、前記検出手段の前記発光手段の通電状態を保護する保護手段、を備える。
【0080】
(付記の効果)
付記1に記載の感知器によれば、外乱対象が検出空間に進入するのを抑制するために発熱手段が発熱することにより、例えば、発熱手段からの熱を用いて、外乱対象である虫に忌避させたり、あるいは、外乱対象である湯気を気化させたりすることができるので、外乱対象が検出空間に進入するのを抑制することができる。また、例えば、外乱対象が検出空間に進入するのを抑制した状態で、防虫網の孔を拡大することができるので、火災を迅速に判定することができる。
【0081】
付記2に記載の感知器によれば、発熱手段が、検出対象を含む気体の流路であって、収容手段の外部から収容手段の内部の検出空間にいたる流路上に設けられていることにより、例えば、外乱対象が当該流路を通って検出空間に進入するのを効果的に抑制することができる。
【0082】
付記3に記載の感知器によれば、発熱手段が防虫網であることにより、例えば、1つのみの部品を用いて発熱手段及び防虫網の両方を構成することができるので、感知器における部品点数を削減して、感知器の製造コストを低減したり、あるいは、感知器のコンパクト化を図ったりすることができる。
【0083】
付記4に記載の感知器によれば、発熱手段が自己に供給された電流に基づいて発熱することにより、例えば、電流量を調整することにより発熱量を調整することができるので、発熱手段の発熱量を容易且つ確実に調整することができる。
【0084】
付記5に記載の感知器によれば、発光手段が電流供給手段から自己に供給された電流に基づいて検出光を発光し、且つ、発熱手段が当該電流供給手段から自己に供給された電流に基づいて発熱することにより、例えば、発光手段及び発熱手段が相互に同一の電流供給手段からの電流に基づいて動作するので、発光手段及び発熱手段各々に対して専用の電流供給手段を設ける必要がないために、感知器における部品点数を削減して、感知器の製造コストを低減したり、あるいは、感知器のコンパクト化を図ったりすることができる。
【0085】
付記6に記載の感知器によれば、保護手段が、発熱手段の通電状態に異常が発生した場合に、発光手段の通電状態を保護することにより、例えば、発熱手段が断線する等により発熱手段の通電状態に異常が発生したとしても、発光手段を正常に動作させることができるので、発熱手段の通電状態の異常に起因して、感知器における検出対象を検出する機能に支障(例えば、感度の低下等)を来してしまうのを防止することができるために、感知器における防災に関する信頼性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0086】
11 取付ベース
12 筐体
13 ラビリンス
14 遮光領域
15 防虫網
16 検出空間
21 検出部
22 警報部
23 発熱部
24 電流供給部
25 保護部
26 記録部
27 制御部
100 感知器
121 開口部
131 ベース板
132 カバー板
211 発光部
212 受光部
221 表示灯
251 第1検出抵抗
252 第2検出抵抗
253 バイパス抵抗
254 入力抵抗
255 切替ダイオード
900 設置面
T1 電流入力端子
T2 電圧検出端子
T3 切替端子
図1
図2
図3
図4
図5