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特許7319098エレベータかご及びエレベータかごを備えるエレベータシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】エレベータかご及びエレベータかごを備えるエレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20230725BHJP
   B66B 11/02 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B66B5/00 D
B66B11/02 J
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019112428
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020001924
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】18179543.6
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Otis Elevator Company
【住所又は居所原語表記】One Carrier Place,Farmington,Connecticut,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス-ゴンサレス,アグスティン
(72)【発明者】
【氏名】キレス,フアン
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-063021(JP,A)
【文献】特開2002-020062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員及び/または荷物を収容するための内部空間(12)を定めるエレベータかご(6)であって、
前記内部空間(12)の頂部に位置する支持フレーム(22)と、
作業プラットフォーム(28)と、
前記作業プラットフォーム(28)を前記支持フレーム(22)に移動可能に接続する支持構造体(31)と、を備え、
前記支持構造体(31)が、互いに旋回可能に接続された2つのシザー脚部(30a、30b)を含む少なくとも1つのシザー機構(30)を備え、各シザー脚部(30a、30b)の第1の端部が、前記支持フレーム(22)に旋回可能に接続されており、各シザー脚部(30a、30b)の第2の端部が、前記作業プラットフォーム(28)に旋回可能に接続されており、
前記支持構造体(31)が、前記少なくとも1つのシザー機構(30)の前記シザー脚部(30a、30b)間に延びる少なくとも1つのガススプリング要素(32)をさらに備え
前記少なくとも1つのガススプリング要素(32)が、前記シザー脚部(30a、30b)間に、基本的に水平または垂直に延びている、エレベータかご。
【請求項2】
各シザー脚部(30a、30b)が、前記作業プラットフォーム(28)の角、及び/または、前記支持フレーム(22)の角に、それぞれ接続されている、請求項1に記載のエレベータかご(6)。
【請求項3】
各シザー脚部(30a、30b)が、2つの端部間に中間部分を有し、前記少なくとも1つのシザー機構(30)の前記2つのシザー脚部(30a、30b)が、それぞれの中間部分で、互いに旋回可能に接続されている、請求項1または2に記載のエレベータかご(6)。
【請求項4】
前記シザー脚部(30a、30b)の長さが可変であり、前記シザー脚部(30a、30b)が特に、伸縮式のシザー脚部(30a、30b)である、請求項1~3のいずれかに記載のエレベータかご(6)。
【請求項5】
前記支持構造体(31)が、前記作業プラットフォーム(28)の両側に取り付けられた2つのシザー機構を備えている、請求項1~のいずれかに記載のエレベータかご(6)。
【請求項6】
前記シザー機構の各々が、少なくとも1つのガススプリング要素(32)をそれぞれ備えている、請求項に記載のエレベータかご(6)。
【請求項7】
前記支持フレーム(22)と前記作業プラットフォーム(28)との間に延びる、少なくとも1つのスタビライザ機構(40)をさらに備えている、請求項1~のいずれかに記載のエレベータかご(6)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのスタビライザ機構(40)が、互いに旋回可能に接続された第1のスタビライザ脚部(40a)と第2のスタビライザ脚部(40b)とを備え、前記第1のスタビライザ脚部(40a)が、前記支持フレーム(22)に旋回可能に取り付けられており、前記第2のスタビライザ脚部(40b)が、前記作業プラットフォーム(28)に旋回可能に取り付けられている、請求項に記載のエレベータかご(6)。
【請求項9】
複数のスタビライザ機構(40)を備え、各スタビライザ機構(40)が、前記作業プラットフォーム(28)の角と、前記支持フレーム(22)の対応する位置との間に延びる、請求項またはに記載のエレベータかご(6)。
【請求項10】
スタビライザ機構(40)が、前記作業プラットフォーム(28)の各角に取り付けられている、請求項に記載のエレベータかご(6)。
【請求項11】
前記支持構造体(31)及び/または前記作業プラットフォーム(28)が、後退位置及び展開位置の少なくとも1つにおいてロック可能である、請求項1~10のいずれかに記載のエレベータかご(6)。
【請求項12】
前記支持フレーム(22)に旋回可能に取り付けられたカバー要素(24)をさらに備え、前記カバー要素(24)が、前記作業プラットフォーム(28)が後退位置に位置する際に、前記作業プラットフォーム(28)と前記内部空間(12)との間に配置可能である、請求項1~11のいずれかに記載のエレベータかご(6)。
【請求項13】
前記カバー要素(24)が、前記作業プラットフォーム(28)と前記内部空間(12)との間に配置された際にロック可能である、請求項12に記載のエレベータかご(6)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の少なくとも1つのエレベータかご(6)を備えているエレベータシステム(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動作業プラットフォームを有するエレベータかごに関し、また、そのようなエレベータかごを備えたエレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータシステムは、複数の乗場間でエレベータ昇降路に沿って移動する、少なくとも1つのエレベータかごを備えている。修理及び/またはメンテナンスの目的のために、エレベータかごの頂部または上方のエリアにメカニックがアクセスする必要がある場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エレベータかごの頂部または上方のエリアに、安全かつ便利に、メカニックがアクセスすることを可能にするエレベータかごを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の例示的実施形態には、乗員及び/または荷物を収容するための内部空間を有するエレベータかごが含まれている。エレベータかごは、内部空間の頂部に配置された支持フレーム、作業プラットフォーム、及び、作業プラットフォームを支持フレームに移動可能に接続する支持構造体を有している。支持構造体は、互いに旋回可能に接続された2つのシザー脚部を含む少なくとも1つのシザー機構を備えている。各シザー脚部の第1の端部は、支持フレームに旋回可能に接続されており、各シザー脚部の第2の端部は、作業プラットフォームに旋回可能に接続されている。支持構造体は、少なくとも1つのシザー機構のシザー脚部間に延びる少なくとも1つのガススプリング要素をさらに備えている。少なくとも1つのガススプリング要素は、特に、作業プラットフォームの移動を支持するために構成されている。
【0005】
本発明の例示的実施形態は、本発明の例示的実施形態に係る少なくとも1つのエレベータかごを備えたエレベータシステムをさらに含んでいる。
【0006】
本発明の例示的実施形態によれば、作業プラットフォームは、後退した格納位置と、展開された作業位置との間で、移動可能である。
【0007】
後退した格納位置に配置された場合、作業プラットフォームと支持構造体とは、支持フレーム内か支持フレームの近くで、エレベータかごの頂部において、折り曲げられた構成で配置され、それにより、エレベータかごの内部空間のスペースのかなりの量を占めないようになっている。
【0008】
展開された作業位置に配置された場合、作業プラットフォームと支持機構とは、折り曲げられていない構成に配置されている。展開された作業位置では、作業プラットフォームは、エレベータかごの頂部から内部空間に下降され、メカニックが、特にエレベータかごの頂部または上方のエリアにおいて、修理及び/またはメンテナンスの作業を実施するために、作業プラットフォームに降り立つことを可能にする。
【0009】
本発明の例示的実施形態は、作業プラットフォームを後退した格納位置から展開された作業位置へ、及びその逆に移動することをも含んでいる。
【0010】
少なくとも1つのシザー機構のシザー脚部間に延びる少なくとも1つのガススプリング要素は、特に、後退した格納位置と展開された作業位置との間で、作業プラットフォームの移動を支持する。
【0011】
少なくとも1つのガススプリング要素は、特に、作業プラットフォームの重量のいくらかを支え、作業プラットフォームの、後退した格納位置から展開された作業位置への移動を減速させる。換言すると、少なくとも1つのガススプリング要素は、特に、作業プラットフォームが、後退した格納位置から展開された作業位置に落下することを防止する。結果として、作業プラットフォームを移動するメカニックが怪我をするリスクが大きく低減される。
【0012】
さらに、少なくとも1つのガススプリング要素によって作業プラットフォームの重量のいくらかを支えることにより、メカニックが、作業プラットフォームを、展開された作業位置から後退した格納位置に上昇させることを、より容易かつより便利にしている。
【0013】
結果として、作業プラットフォームの扱いが向上し、エレベータかごの頂部及び/または上方のエリアへのアクセスが安全かつ便利になる。
【0014】
複数のさらなるオプションの特徴が、以下に説明される。これら特徴は、特定の実施形態において、単独で、または他の特徴のいずれかと組み合わせて実現される場合がある。
【0015】
作業プラットフォーム及び/または支持フレームは、複数の角を備えた、多角形形状、特に、矩形形状を有する場合がある。各シザー脚部は、作業プラットフォームの角、及び/または、支持フレームの角に、それぞれ接続されている場合がある。そのような構成により、シザー機構が、有効かつ安全に作業プラットフォームを支持することを可能にする。
【0016】
各シザー脚部は、その第1の端部と第2の端部との間に中間部分を有している。少なくとも1つのシザー機構の2つのシザー脚部は、それぞれの中間部分に位置する中心ジョイントによって互いに旋回可能に接続されている場合がある。結果として、2つの脚部は、有効なシザー機構を形成する。
【0017】
シザー脚部の各々の長さは、変更することができる場合がある。シザー脚部は、特に、伸縮式のシザー脚部である場合がある。長さが可変であるシザー脚部は、それぞれ、支持フレームに沿って、及び/または、作業プラットフォームに沿って、脚部の端部を線形的に移動することなく、作業プラットフォームを、展開された作業位置と後退した格納位置との間で移動することを可能にしている。これにより、シザー機構の設計が簡略化され、また、それぞれ、支持フレームに沿って、及び/または、作業プラットフォームに沿って、線形的に移動するシザー脚部によって生じる怪我のリスクが除去される。
【0018】
少なくとも1つのガススプリング要素は、シザー脚部間で、基本的に水平に延びる場合がある。少なくとも1つのガススプリング要素は、中心ジョイントの上方及び/または下方で、シザー脚部間に延びる場合がある。
【0019】
代替的構成では、少なくとも1つのガススプリング要素は、中心ジョイントの左側及び/または右側で、シザー脚部間に基本的に垂直に延びる場合がある。
【0020】
各シザー機構は、基本的に水平及び/または垂直に延びる、2つ以上のガススプリング要素を備えている場合がある。
【0021】
支持構造体は、作業プラットフォームの両側に取り付けられた2つのシザー機構を備えている場合がある。そのような構成は、作業プラットフォームの、対称で、非常に安定したサポートに繋がる。
【0022】
2つ以上のシザー機構が提供される場合、各シザー機構は、それぞれ、少なくとも1つのガススプリング要素を備えている場合がある。複数のガススプリング要素を設けることにより、ガススプリング要素によって提供される効果が増大し、作業プラットフォームの移動がさらに容易になる。
【0023】
エレベータかごは、支持フレームと作業プラットフォームとの間に延びる、少なくとも1つのスタビライザ機構をさらに備えている場合がある。少なくとも1つのスタビライザ機構は、作業プラットフォーム上で作業するメカニックの安全性を増大させるために、特に作業プラットフォームが展開された作業位置に配置されている際に、作業プラットフォームを機械的に安定させるために構成されている場合がある。
【0024】
有効なスタビライザ機構を形成するために、少なくとも1つのスタビライザ機構は、互いに旋回可能に接続された、第1のスタビライザ脚部と第2のスタビライザ脚部とを備えている場合がある。第1のスタビライザ脚部の第1の端部は、支持フレームに旋回可能に取り付けられている場合があり、第2のスタビライザ脚部の第1の端部は、作業プラットフォームに旋回可能に取り付けられている場合がある。第1のスタビライザ脚部の第2の端部と第2のスタビライザ脚部の第2の端部とは、互いに旋回可能に接続されている場合がある。
【0025】
作業プラットフォームの安定性をさらに増大させるために、エレベータかごは、複数のスタビライザ機構を備えている場合がある。各スタビライザ機構は、多角形の作業プラットフォームの角と、支持フレームの対応する位置との間にそれぞれ延びている場合がある。具体的には、スタビライザ機構は、多角形の作業プラットフォームの各角に取り付けられている場合がある。
【0026】
多角形の作業プラットフォームは、特に、4つの角を有する矩形の作業プラットフォームである場合があり、エレベータかごは、4つのスタビライザ機構を備えている場合があり、ここで、1つのスタビライザ機構は、それぞれ作業プラットフォームの4つの角の各々に取り付けられている。
【0027】
作業プラットフォームは、エレベータかごの頂部エリア(天井)のエリア全体にわたって延びている場合がある。代替的には、作業プラットフォームは、天井の一部分にわたってのみ、延びている場合がある。すなわち、天井は、可動作業プラットフォームの一部ではない、少なくとも1つのさらなる部分を備えている場合がある。天井の少なくとも1つのさらなる部分は、固定されている(移動可能ではない)場合があるか、フラップなど、さらなる可動部品を備えている場合があり、エレベータかごの頂部及び/または上方のさらなる部分へのアクセスを提供する。
【0028】
エレベータかごは、支持フレームに取り付けられたカバー要素をさらに備えている場合がある。カバー要素は、カバー位置に配置可能である場合がある。このカバー位置では、カバー要素は、作業プラットフォームがその後退した格納位置に配置された際に、作業プラットフォームと内部空間との間に配置され、作業プラットフォームをカバーする。旋回可能に取り付けられたカバー要素は、カバー要素を、そのカバー位置からアクセス位置に移動することにより、作業プラットフォームにアクセスすることを可能にする場合がある。カバー要素は、アクセス位置に配置された際に、基本的に垂直に延びる場合がある。
【0029】
カバー要素は、特に、支持フレームに旋回可能に取り付けられている場合がある。
【0030】
カバー要素は、エレベータかごの内部空間を照らすために構成された、少なくとも1つの照明要素を支持するか含む場合がある。少なくとも1つの照明要素をカバー要素に配置することにより、カバー要素を、カバー要素の後ろ側へのアクセスを提供するそのアクセス位置に旋回させることにより、少なくとも1つの照明要素に容易にアクセスすることを可能にする。照明要素は、LED、または複数のLEDの配置を含む場合がある。
【0031】
カバー要素は、エレベータかごの内部空間の装飾された天井を提供する場合がある。
【0032】
支持構造体、作業プラットフォーム、及び/またはカバー要素は、許可されていない、及び/または、望ましくない、作業プラットフォームの移動を防止するために、それらの後退位置及び展開位置の少なくとも1つにおいてロック可能である場合がある。支持構造体、作業プラットフォーム、及び/またはカバー要素は、特に、ロックが提供されている場合がある。許可された人員のみが利用可能であるキーが、ロックを解除するために必要である場合がある。
【0033】
作業プラットフォームを、その後退した格納位置からその展開された作業位置に移動することには、その後退した格納位置と、展開された作業位置との間で、作業プラットフォームを移動することを可能にするために、支持構造体、作業プラットフォーム、及び/またはカバー要素をロック解除することが含まれる場合がある。
【0034】
作業プラットフォームがその展開された作業位置に戻るように移動した後は、支持構造体、作業プラットフォーム、及び/またはカバー要素は、作業プラットフォームの許可されていない移動を防止するために、ロックされる場合がある。
【0035】
作業プラットフォームは、格納空間を備えている場合がある。格納空間は、ラダーを収容するために構成されている場合がある。格納空間は、作業プラットフォームの頂部上か、作業プラットフォームの下方部分内に形成されている場合がある。作業プラットフォームの上方か下方にラダーを格納することにより、メカニックが作業プラットフォーム上に、より容易に登ることが可能になる。特に、メカニックが、自身のラダーを持ってくる必要がない。
【0036】
ラダーは、特に、伸縮式のラダーである場合がある。伸縮式のラダーを採用することにより、比較的長いラダー、特に、エレベータかごのフロアと、その展開された作業位置にある作業プラットフォームとの間の距離に橋を架け、比較的小さい格納スペースに格納されるラダーが許容される。この格納スペースは、作業プラットフォームの寸法によって限定される。
【0037】
以下では、本発明の例示的実施形態が、添付図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の例示的実施形態に係るエレベータかごを備えたエレベータシステムを示す概略図である。
図2】後退した格納位置に配置された作業プラットフォームを備えている、本発明の例示的実施形態に係るエレベータかごの頂部(天井)の斜視図である。
図3】作業プラットフォームが依然としてその後退した格納位置に配置されており、また、カバー要素がアクセス位置に配置され、作業プラットフォームへのアクセスを許容する、図2に示す天井の部分を示す斜視図である。
図4】作業プラットフォームが中間位置に配置されている、図2及び図3に示す天井の部分を示す斜視図である。
図5】作業プラットフォームが、展開された作業位置に配置されている、図2から図4に示す天井の部分を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明の例示的実施形態に係るエレベータかご6を備えたエレベータシステム2を示す概略図である。
【0040】
エレベータシステム2は、異なるフロアに位置する複数の乗場8間で、長手方向に伸びるエレベータ昇降路4を備えている。
【0041】
エレベータかご6は、エレベータかご6の内部空間12を定める、フロア16、天井20、及び、フロア16と天井20との間に伸びる側壁17を備えている。1つの側壁17のみが、図1の概略図に示されている。
【0042】
エレベータかご6は、テンション部材3により、エレベータ昇降路4内で移動可能に懸架されている。テンション部材3、たとえばロープまたはベルトは、ドライブ5に接続されている。ドライブ5は、複数の乗場8間で、エレベータ昇降路4の長手方向/高さに沿って、エレベータかご6を移動するために、テンション部材3を駆動するために構成されている。
【0043】
各乗場8には、乗場ドア(エレベータ昇降路のドア)10が設けられており、エレベータかご6には、対応するエレベータかごドア11が設けられ、エレベータかご6がそれぞれの乗場8に位置した際に、乗員が、乗場8と、エレベータかご6の内部空間12との間で移動することを可能にする。
【0044】
図1に示すエレベータシステム2の例示的実施形態は、エレベータかご6を懸架するために、1:1のローピングを採用している。しかし、当業者は、ローピングのタイプが、本発明では本質的ではなく、異なる種類のローピング、たとえば2:1のローピングも、使用され得ることを容易に理解する。
【0045】
エレベータシステム2は、エレベータかご6に対して同時に、かつ逆方向に移動する、カウンターウェイト(図示せず)をさらに含む場合がある。代替的には、エレベータシステム2は、図1に示すように、カウンターウェイトを伴わないエレベータシステム2である場合がある。ドライブ5は、当該技術で使用される任意の形態のドライブ、たとえば、トラクションドライブ、液圧ドライブ、または線形ドライブである場合がある。エレベータシステム2は、機械室を有する場合があるか、機械室のないエレベータシステムである場合がある。エレベータシステム2は、図1に示すように、テンション部材3を使用する場合があるか、テンション部材3を伴わない、たとえば液圧ドライブまたは線形ドライブ(図示せず)を備えたエレベータシステムである場合がある。
【0046】
ドライブ5は、エレベータかご6を、エレベータ昇降路4に沿って、異なる乗場8間で移動するために、エレベータコントロール18によって制御される。
【0047】
エレベータコントロール18への入力は、エレベータの乗場ドア10の近くの各乗場8に設けられている乗場制御パネル7aを介して、及び/または、エレベータかご6の内部に設けられたかご操作パネル7bを介して、提供される場合がある。
【0048】
乗場制御パネル7a及びかご操作パネル7bは、図1には示されていない電気ライン、具体的には、電気バス、たとえば、CANバスなどのフィールドバスによって、または、無線データ通信により、エレベータコントロール18に接続されている場合がある。
【0049】
エレベータかご6の現在の位置を判定するために、エレベータかご6には、位置センサ19が設けられている。位置センサ19は、図1に示すように、エレベータかご6の頂部に配置されている場合がある。代替的には、位置センサ19は、エレベータかご6の側部、または、エレベータかご6の底部、たとえば、フロア16の下に設けられている場合がある。
【0050】
図2から図5は、それぞれ、本発明の例示的実施形態に係る、エレベータかご6の天井20の部分の斜視図を示している。エレベータかご6の内部空間12内の、遮られていない視野を許容するために、エレベータかご6の側壁17(図1を参照)は、図2から図5には示されていない。
【0051】
図2には、作業プラットフォーム28が、その後退した格納位置に配置されている、本発明の例示的実施形態に係るエレベータかご6の天井20の部分の斜視図が示されている。
【0052】
図3は、作業プラットフォーム28が、その後退した格納位置に依然として配置されている、図2に示す天井20の部分を示す斜視図である。図3は、アクセス位置に配置され、作業用プラットフォーム28へのアクセスを許容するカバー要素24をさらに示している。図2では、カバー要素24は、作業プラットフォーム28に対して平行な、そのカバー位置に配置されている。この構成では、カバー要素24は、作業プラットフォーム28によってカバーされていることから、視認可能ではない。
【0053】
図4は、作業プラットフォーム28が中間位置に配置されている、図2及び図3に示す天井20の部分を示す斜視図である。
【0054】
図5は、作業プラットフォーム28が、展開された作業位置に配置されている、図2から図4に示す天井20の部分を示す斜視図である。
【0055】
ほとんどの特徴は、図4及び図5に最適に視認可能であるが、いくつかの特徴は、全体として、または少なくとも部分的に、図2及び図3で他の特徴によってカバーされている。混乱を避けるために、図2及び図3にわずかに視認可能である特徴のいくつかは、図2及び図3においては、参照符号が付されていない。
【0056】
図2から図5に示す天井20の部分は、エレベータかご6の頂部全体に基本的にわたって延びる場合がある。代替的には、図2から図5に示す天井20の部分は、頂部の断片のみをカバーする場合があり、頂部は、図には示されていない、少なくとも1つの追加の部分、特に、固定部分を備えている場合がある。
【0057】
図2から図5に示す天井20の部分は、矩形の支持フレーム22を備えている。この矩形の支持フレーム22は、4つの水平に延びるバー22aから22dを備えている。2つの長手バー22a、22bは、長手方向に延び、2つの横断バー22c、22dは、長手方向に対して直行する横断方向に延びている。
【0058】
図2に視認可能ではないカバー要素24は、支持フレーム22に旋回可能に取り付けられている。カバー要素24は、支持フレーム22によって定められた内部開口と基本的に同じ形状及び寸法を有しており、それにより、カバー要素24がカバー位置に配置された際に、カバー要素24が内部開口をカバーするとともに閉じるようになっている。このカバー位置では、カバー要素24は、水平に、支持フレーム22に対して平行に向けられている。
【0059】
カバー要素24は、エレベータかご6の内部空間12を照らすために構成された照明要素(図示せず)を支持するか含む場合がある。代替的または追加的に、内部空間12に面するカバー要素24の底部側は、エレベータかご6の天井の好ましい外観を提供する装飾的要素として形成される場合がある。
【0060】
カバー要素24は、カバー要素24を、図2に示すようなその水平位置に固定するために、支持フレーム22における相補的な固定構造(図示せず)と係合するために構成された、フックなどの固定要素26を備えている場合がある。
【0061】
カバー要素24の許可されていない移動を防止するために、固定要素26は、ロック機構(図示せず)と合わさっている場合がある。ロック機構は、ロック機構のロックを解除した後にのみ、カバー要素24を、その水平位置から移動するために、固定要素26を開放することを可能にする場合がある。
【0062】
固定要素26が開放された後に、カバー要素24は、基本的に支持フレーム22に対して平行に延びるその水平位置から、基本的にエレベータかご6の側壁17(図1を参照)に対して平行に延びる垂直アクセス位置(図3から図6を参照)に旋回する場合がある。
【0063】
前述のアクセス位置に配置されている場合、カバー要素24は、支持フレーム22に移動可能に取り付けられた作業プラットフォーム28に、エレベータかご6の内部空間12からアクセスすることを可能にする。
【0064】
作業プラットフォーム28は、少なくとも1つの支持構造体31により、支持フレーム22に取り付けられている。図2から図5に示す実施形態では、1つの支持構造体31が、それぞれ、作業プラットフォーム28の横方向の側部の各々に設けられている。
【0065】
各支持構造体31は、作業プラットフォーム28と支持フレーム22との間にそれぞれ斜めに延びる2つのシザー脚部30a、30bを含むシザー機構30を備えている。
【0066】
各シザー脚部30a、30bは、上方シザージョイント36a、36bによって支持フレーム22に旋回可能に接続された第1の端部(上方端部)と、下方シザージョイント38a、38bによって作業プラットフォーム28に旋回可能に接続された第2の端部(下方端部)とを備えている。
【0067】
第1のシザー脚部30aは、図2から図5の左側に示されている作業プラットフォーム28の前方部分に取り付けられた下方シザージョイント38aと、図2から図5の右側に示されている支持フレーム22の後方部分に取り付けられた上方シザージョイント36aとの間に延びている。同様に、第2のシザー脚部30bは、図2から図5の右側に示されている作業プラットフォーム28の後方部分に取り付けられた下方シザージョイント38bと、図2から図5の左側に示されている支持フレーム22の前方部分に取り付けられた上方シザージョイント36bとの間に延びている。
【0068】
結果として、第1のシザー脚部30aと第2のシザー脚部30bとは、第1のシザー脚部30a及び第2のシザー脚部30bの第1の端部と第2の端部との間に位置する中心部分で互いに交差している。交差している中心部分は、中心シザージョイント34によって互いに旋回可能に接続されている。中心シザージョイント34は特に、シザー脚部30a、30bそれぞれの第1の端部と第2の端部との間の半分の位置に、それぞれ配置されている。
【0069】
支持構造体31は、図2及び図3に示す、後退した格納位置と、図5に示す、展開された作業位置との間で垂直に、作業プラットフォーム28を移動することを可能にする。作業プラットフォーム28が移動した際、すなわち、上昇または下降された際に、シザー脚部30a、30bが、上方シザージョイント36a、36b及び下方シザージョイント38a、38bにおいて、支持フレーム22及び作業プラットフォーム28に対してそれぞれ旋回する。各支持構造体31の2つのシザー脚部30a、30bも、中心シザージョイント34において、互いに対して旋回する。
【0070】
シザー脚部30a、30bの各々の長さは、変更することができる。これにより、作業プラットフォーム28を移動する際に、シザー脚部30a、30bの長さを、上方シザージョイント38aと下方シザージョイント38bとの間の変化する距離に調整することが可能になる。
【0071】
各支持構造体31は、それぞれのシザー機構30のシザー脚部30aとシザー脚部30bとの間に延びるガススプリング要素32をさらに備えている。
【0072】
図2から図5に示す例示的実施形態では、ガススプリング要素32は、中心シザージョイント34の上方で、シザー脚部30aとシザー脚部30bとの間に基本的に水平に延びている。代替的または追加的に、中心シザージョイント34の下方で、シザー脚部30aとシザー脚部30bとの間に基本的に水平に延びているガススプリング要素32(図示せず)が、提供される場合がある。図には示されていないが、中心シザージョイント34の右側及び/または左側で、シザー脚部30aとシザー脚部30bとの間に基本的に垂直に延びているガススプリング要素32も、提供される場合がある。
【0073】
ガススプリング要素32は、作業プラットフォーム28がその後退した格納位置(図2及び図3)からその展開された作業位置(図5)に下降される際に、シザー脚部30a、30bの移動を減衰するために構成されている。ガススプリング要素32は、作業プラットフォーム28が展開された作業位置から後退した格納位置に上昇される際に、作業プラットフォーム28の移動を支持するためにさらに構成されている。
【0074】
作業プラットフォーム28の下向きの移動の減衰の結果として、作業プラットフォーム28を移動するメカニックが怪我をするリスクが大きく低減される。作業プラットフォーム28の上向きの移動を支持することにより、展開された作業位置から、その後退した格納位置に、作業プラットフォーム28を上昇させることが容易になる。結果として、作業プラットフォーム28は、安全かつ便利に移動される場合がある。
【0075】
特に作業プラットフォーム28が展開された作業位置に配置されている際に、作業プラットフォーム28を機械的に安定させるために、エレベータかご6は、支持フレーム22と作業プラットフォーム28との間に延びる、少なくとも1つのスタビライザ機構40をさらに備えている。
【0076】
図2から図5に示す実施形態では、4つのスタビライザ機構40が設けられている。具体的には、1つのスタビライザ機構40が、矩形の形状を有する作業プラットフォーム28の4つの角の各々に設けられている。
【0077】
各スタビライザ機構40は、第1のスタビライザ脚部40a及び第2のスタビライザ脚部40bを備えている。第1のスタビライザ脚部40aの各々の第1の(上方の)端部は、上方スタビライザジョイント41aにより、支持フレーム22に旋回可能に取り付けられており、第2のスタビライザ脚部40bの第1の(下方の)端部は、下方スタビライザジョイント41bにより、作業プラットフォーム28に旋回可能に取り付けられている。
【0078】
対面している、第1のスタビライザ脚部40a及び第2のスタビライザ脚部40bの対向する第2の端部は、中心スタビライザジョイント41cによって互いに旋回可能に接続されている。
【0079】
図5に示すように、作業プラットフォーム28が展開された作業位置に配置されている場合、各スタビライザ機構40のスタビライザ脚部40a、40bは、実質的に垂直方向に沿って、基本的に同軸的に延びている。結果として、4つのスタビライザ機構40のスタビライザ脚部40a、40b、作業プラットフォーム28、及び支持フレーム22は、組み合わせて、基本的に矩形のケージを形成している。これにより、展開された作業位置に配置された際に、作業プラットフォーム28の機械的安定性が増大する。中心スタビライザジョイント41cは、前述のケージの剛性をさらに増大させるために、前述の位置にロック可能である場合がある。
【0080】
作業プラットフォーム28が展開された作業位置から後退した格納位置に移動する場合、2つのスタビライザ脚部40a、40bは、互いに対して、支持フレーム22に対して、かつ、作業プラットフォーム28に対して、それぞれ旋回する。結果として、スタビライザ機構40は、シザー機構31と同様に折れ曲がる。この折れ曲がることにより、作業プラットフォーム28が後退した格納位置(図2及び図3を参照)に配置された際に、スタビライザ脚部40a、40bが、作業プラットフォーム28及び支持フレーム22に対して基本的に平行に向いた状態で、スペースを節約するようにスタビライザ機構40を格納することが可能になる。
【0081】
図2から図5に示す例示的構成では、ラダー42が、作業プラットフォーム28の上側に設けられている。
【0082】
ラダー42は、特に、2つの伸縮式のバー44a、44bを備えた、伸縮式のラダー42である場合がある。伸縮式のバー44a、44bは、図2から図5に示すように、ラダー42を作業プラットフォーム28上に格納することを可能にするために、縮める場合がある。
【0083】
作業プラットフォーム28が展開された作業位置(図5)に配置された場合、ラダー42は、作業プラットフォーム28の前縁部29周りに旋回する場合があり、エレベータかご6のフロア16(図1)と、作業プラットフォーム28との間の距離に橋を架け、メカニックが作業プラットフォーム28に容易に登ることを可能にするために、伸縮式のバー44a、44bは、ラダー42を延長するために、伸ばされる場合がある。
【0084】
本発明が例示的実施形態を参照して記載されてきたが、当業者には、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更が行われ得、均等のものが、その要素に関して代替し得ることを理解されたい。さらに、多くの変更が、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に採用するために、行われ得る。したがって、本発明は、開示の特定の実施形態には限定されないが、本発明が、特許請求の範囲の範囲内にあるすべての実施形態を含むことが意図されている。
【符号の説明】
【0085】
2 エレベータシステム
3 テンション部材
4 エレベータ昇降路
5 ドライブ
6 エレベータかご
7a 乗場制御パネル
7b かご操作パネル
8 乗場
10 乗場ドア
11 エレベータかごドア
12 内部空間
16 フロア
17 側壁
18 エレベータコントロール
19 位置センサ
20 天井
22 支持フレーム
22a、22b 支持フレームの長手バー
22c、22d 支持フレームの横断バー
24 カバー要素
26 固定要素
28 作業プラットフォーム
29 作業プラットフォームの前縁部
30 シザー機構
30a 第1のシザー脚部
30b 第2のシザー脚部
31 支持構造体
32 ガススプリング要素
34 中心シザージョイント
36a、36b 上方シザージョイント
38a、38b 下方シザージョイント
40 スタビライザ機構
40a 第1のスタビライザ脚部
40b 第2のスタビライザ脚部
41a 上方スタビライザジョイント
41b 下方スタビライザジョイント
41c 中心スタビライザジョイント
42 ラダー
44a、44b 伸縮式のバー
図1
図2
図3
図4
図5