(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】建築用ブラケット、建物壁構造、および板材施工方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20230725BHJP
E04B 2/56 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
E04F13/08 101B
E04B2/56 652J
E04B2/56 621G
E04B2/56 622G
(21)【出願番号】P 2019166636
(22)【出願日】2019-09-12
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000110860
【氏名又は名称】ニチハ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】越智 督夫
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-007327(JP,A)
【文献】特開2005-171752(JP,A)
【文献】特開2018-066151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
E04B 2/56
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体に当接するための第1面を含む第1固定部と、
前記第1固定部に対して交差するように、前記第1固定部の端部から前記第1面とは反対の側に延びる第2固定部と、を備える建築用ブラケットであって、
前記第2固定部は、
部材に当接するための第2面を含む基材部と、
前記基材部から前記第2面とは反対の側に突き出て、且つその突出端に部材に当接するための第3面を含む、リブ部と、
前記第2固定部の延びる方向と交差する幅方向における前記基材部の一端部から前記リブ部と同じ側に突き出て、且つ、前記幅方向において前記リブ部と並列する部材に当接するための第1壁部を含む、第1側壁部と、
前記基材部の前記幅方向における前記基材部の他端部から前記リブ部と同じ側に突き出て、且つ、前記幅方向において前記リブ部と並列する部材に当接するための第2壁部を含む、第2側壁部と、を備える建築用ブラケット。
【請求項2】
前記第3面、前記第1壁部、および前記第2壁部の前記基材部からの突出高さは、同じである、請求項1に記載の建築用ブラケット。
【請求項3】
前記第1固定部は、前記幅方向における前記第1固定部の一端部から前記第2固定部と同じ側に突き出る第3側壁部と、前記幅方向における前記第1固定部の他端部から前記第2固定部と同じ側に突き出る第4側壁部とを有し、
前記第1側壁部と前記第3側壁部とは繋がり、且つ、前記第2側壁部と前記第4側壁部とは繋がる、請求項1または2に記載の建築用ブラケット。
【請求項4】
前記第1側壁部は、前記第1壁部よりも前記第1固定部の側に、前記第1壁部よりも高い第1高壁部を含み、
前記第2側壁部は、前記第2壁部よりも前記第1固定部の側に、前記第2壁部よりも高い第2高壁部を含む、請求項1から3のいずれか一つに記載の建築用ブラケット。
【請求項5】
前記基材部は、締結部材貫通用の少なくとも一つの穴を有する、請求項1から4のいずれか一つに記載の建築用ブラケット。
【請求項6】
前記リブ部は、締結部材貫通用の少なくとも一つの穴を有する、請求項1から5のいずれか一つに記載の建築用ブラケット。
【請求項7】
前記穴は、前記第2固定部の前記延びる方向に延びる長穴を含む、請求項5または6に記載の建築用ブラケット。
【請求項8】
前記第1固定部は、締結部材貫通用の少なくとも一つの穴を有する、請求項1から7のいずれか一つに記載の建築用ブラケット。
【請求項9】
前記穴は、第1穴と、前記第1穴まわりに位置する、前記第1穴よりも小さな少なくとも一つの第2穴を含む、請求項8に記載の建築用ブラケット。
【請求項10】
前記第1固定部における前記第1面とは反対の側の表面には、位置合わせ用の基準線が設けられている、請求項1から9のいずれか一つに記載の建築用ブラケット。
【請求項11】
壁面を有する構造体と、
前記壁面上に配置された複数の建築用ブラケットと、
それぞれが少なくとも二つの前記建築用ブラケットにわたって配置された複数の支持材と、
複数の第1締結部材と、
複数の第2締結部材と、
前記壁面を覆うための複数の板材と、を備える建物壁構造であって、
前記建築用ブラケットは、請求項1から10のいずれか一つに記載の建築用ブラケットであり、前記第1固定部の前記第1面にて前記壁面に当接し、前記第1固定部を前記第1面とは反対の側から貫通して前記壁面に至る前記第1締結部材によって前記建築用ブラケットと前記壁面とが締結されており、
前記支持材は、前記建築用ブラケットに対して固定される第1接合部と、前記第1接合部における前記壁面とは反対の側と接続する第2接合部とを有し、
前記複数の建築用ブラケットに対する前記複数の支持材の複数の固定箇所における少なくとも一部の固定箇所では、
前記支持材の前記第1接合部は、前記建築用ブラケットの前記第2固定部における前記基材部の前記第2面に当接し、前記基材部を前記第2面とは反対の側から貫通して前記第1接合部に至る前記第2締結部材によって前記建築用ブラケットと前記支持材とが締結されているか、或いは、
前記支持材の前記第1接合部は、前記建築用ブラケットの前記第2固定部における前記リブ部の前記第3面と前記第1壁部と前記第2壁部とに当接し、前記リブ部を前記第3面とは反対の側から貫通して前記第1接合部に至る前記第2締結部材によって前記建築用ブラケットと前記支持材とが締結されており、
前記板材は、前記支持材における前記第2接合部に対して直接的に又は間接的に取り付けられている、建物壁構造。
【請求項12】
延長部材と第3締結部材とを更に備え、
前記延長部材は、
前記建築用ブラケットの前記基材部の前記第2面または前記第3面に当接するための第4面と前記第4面とは反対側の部材に当接するための第5面とを含んで前記第2固定部に沿って延びる延長基材部と、
前記延長基材部の延びる方向と交差する幅方向における前記延長基材部の一端部から前記延長基材部の厚さ方向における前記第4面側に突き出る第1延長側壁部と、
前記延長基材部の前記延びる方向と交差する幅方向における前記延長基材部の他端部から前記第1延長側壁部と同じ側に突き出る第2延長側壁部とを備え、
前記延長部材の前記第1延長側壁部と前記第2延長側壁部との間に、前記建築用ブラケットの前記第2固定部は嵌まり、且つ、前記延長部材は、前記延びる方向において、前記建築用ブラケットにおける前記第2固定部よりも、前記第1固定部とは反対の側に長く延びており、
前記建築用ブラケットに対する前記支持材の固定箇所では、
前記延長部材の前記第4面は、前記建築用ブラケットの前記第2固定部における前記基材部の前記第2面に当接し、前記基材部を前記第2面とは反対の側から貫通して前記延長基材部に至る前記第3締結部材によって前記建築用ブラケットと前記延長部材とが締結され、且つ、前記支持材の前記第1接合部は、前記延長部材の前記第5面に当接し、前記延長部材を前記第4面側から貫通して前記第1接合部に至る前記第2締結部材によって前記延長部材と前記支持材とが締結されているか、或いは、
前記延長部材の前記第4面は、前記建築用ブラケットの前記第2固定部における前記リブ部の前記第3面に当接し、前記リブ部を前記第3面とは反対の側から貫通して前記延長基材部に至る前記第3締結部材によって前記建築用ブラケットと前記延長部材とが締結され、且つ、前記支持材の前記第1接合部は、前記延長部材の前記第5面に当接し、前記延長部材を前記第4面側から貫通して前記第1接合部に至る前記第2締結部材によって前記延長部材と前記支持材とが締結されている、請求項11に記載の建物壁構造。
【請求項13】
前記延長基材部は、前記延長基材部の前記延びる方向に延びる締結部材貫通用の少なくとも一つの長穴と、前記幅方向において前記長穴から離れて位置する締結部材貫通用の少なくとも一つの穴とを有する、請求項12に記載の建物壁構造。
【請求項14】
少なくとも二つの前記支持材にわたって配置された複数の追加支持材を更に備え、
前記追加支持材は、少なくとも二つの前記支持材における前記第2接合部に取り付けられており、
前記板材は、前記追加支持材に対して取り付けられている、請求項11から13のいずれか一つに記載の建物壁構造。
【請求項15】
壁面を有する構造体に対して板材を取り付けるための板材施工方法であって、
前記壁面に対して複数の前記建築用ブラケットを取り付ける第1工程と、
前記壁面上に取り付けられた少なくとも二つの前記建築用ブラケットに対して支持材を固定する第2工程と、
前記支持材に対して直接的に又は間接的に板材を取り付ける第3工程と、を含み、
前記建築用ブラケットは、請求項1から10のいずれか一つに記載の建築用ブラケットであり、
前記第1工程では、前記第1固定部の前記第1面を前記壁面に当接させ、前記第1固定部を前記第1面とは反対の側から貫通して前記壁面に至る第1締結部材によって前記建築用ブラケットと前記壁面とを締結し、
前記支持材は、前記建築用ブラケットに対して固定される第1接合部と、前記第1接合部における前記壁面とは反対の側と接続する第2接合部とを有し、
前記第2工程では、前記支持材の前記第1接合部を、前記建築用ブラケットの前記第2固定部における前記基材部の前記第2面に当接させ、前記基材部を前記第2面とは反対の側から貫通して前記第1接合部に至る第2締結部材によって前記建築用ブラケットと前記支持材とを締結するか、或いは、前記支持材の前記第1接合部を、前記建築用ブラケットの前記第2固定部における前記リブ部の前記第3面と前記第1壁部と前記第2壁部とに当接させ、前記リブ部を前記第3面とは反対の側から貫通して前記第1接合部に至る第2締結部材によって前記建築用ブラケットと前記支持材とを締結する、板材施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁構造の施工に用いることのできる建築用ブラケット、並びに、建築用ブラケットを用いた建物壁構造および板材施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の壁構造の施工には、壁面構成用の複数枚の板材を上下左右に継ぎ合わせて躯体構造物に対して壁構造を形成するうえで、各種の固定連結具が用いられる。そのような固定連結具の一つとして、壁面構成用の板材が固定されて当該板材を支持する例えば胴縁を躯体構造物に対して固定するためのブラケット(建築用ブラケット)が用いられる場合がある。そのような建築用ブラケットに関する技術については、例えば下記の特許文献1,2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-7327号公報
【文献】特開2015-169041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築用ブラケットには、壁構造の施工作業に耐えうる強度や、施工された壁構造を維持し続けるための強度が、求められる。一方、鉄骨造(S造)など建物構造の種類によっては、壁構造の施工にあたり、建築用ブラケットを配置しうる位置に制限がある場合があり、また、建築用ブラケットに固定されて支持される胴縁など固定対象物を配置しうる位置にも制限がある場合がある。そのため、従来のブラケットは、その構造によっては所定の壁構造の施工に用いることができない場合がある。
【0005】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであり、その目的は、強度を向上するとともに、施工における固定対象物との配置関係につき高い自由度を実現するのに適した建築用ブラケット、並びに、これを用いた建物壁構造および板材施工方法を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によると、建築用ブラケットが提供される。この建築用ブラケットは、第1固定部および第2固定部を備える。第1固定部は、構造体に当接するための第1面を含む。第2固定部は、基材部と、リブ部と、第1側壁部と、第2側壁部とを備える。
【0007】
第2固定部は第1固定部に対して交差するように、前記第1固定部の端部から前記第1面とは反対の側に延びており、また当接するための第2面を含む。リブ部は、基材部から、第2面とは反対の側に突き出て、且つ、その突出端に部材に当接するための第3面を含む。第1側壁部は、第2固定部の延びる方向と交差する幅方向における基材部の一端部からリブ部と同じ側に突き出て、且つ、幅方向においてリブ部と並列する部材に当接するための第1壁部を含む。第2側壁部は、基材部の幅方向における基材部の他端部からリブ部と同じ側に突き出て、且つ、幅方向においてリブ部と並列する部材に当接するための第2壁部を含む。
【0008】
このような建築用ブラケットは、壁構造の施工において、例えば次のようにして用いられる。
【0009】
まず、建築用ブラケットの第1固定部の第1面を、躯体構造物の有する所定の壁面に当接させ、その状態で、第1固定部を第1面とは反対の側から貫通して壁面に至る締結部材によって、建築用ブラケットと壁面とを締結して固定する。躯体構造物の壁面には、例えば、複数の建築用ブラケットが所定の配置で取り付けられる。
【0010】
次に、壁面上に取り付けられた例えば二つ以上の建築用ブラケットに対して、固定対象物(部材)を橋渡した状態で、当該固定対象物を建築用ブラケットに対して固定する(対ブラケット固定作業)。固定対象物とは、壁部構成用の板材が固定されて当該板材を支持するための支持材であり、例えば胴縁である。胴縁は、いわゆる縦胴縁であってもよいし、横胴縁であってもよい。
【0011】
対ブラケット固定作業では、具体的には、建築用ブラケットの第2固定部における基材部の第2面に固定対象物を当接させ、その状態で、基材部を第2面とは反対の側から貫通して固定対象物に至る締結部材によって建築用ブラケットと固定対象物とを締結して固定する。或いは、建築用ブラケットの第2固定部におけるリブ部の第3面と第1壁部と第2壁部とに固定対象物を当接させ、その状態で、リブ部を第3面とは反対の側から貫通して固定対象物に至る締結部材によって建築用ブラケットと固定対象物とを締結して固定する。
【0012】
例えばこのようにして用いられる本建築用ブラケットは、上述のように、固定対象物と締結される第2固定部が、その基材部においてリブ部を有し、それに加えて、基材部からリブ部と同じ側に突き出る第1側壁部および第2側壁部を備える。このような構成は、建築用のブラケットにおいて、いわゆる不陸調整などを含む壁構造の施工作業に耐えうる強度や、施工された壁構造を維持し続けるための強度を向上するのに適する。
【0013】
また、本建築用ブラケットにおいて固定対象物と締結される第2固定部は、上述のように、部材に当接するための面として、第2面と当該第2面とは反対の第3面とを備える。このような構成は、壁構造の施工において、建築用ブラケットと固定対象物との配置関係につき高い自由度を実現するのに適する。すなわち、本建築用ブラケットは、多様な配向および組付け態様で用いることができる。
【0014】
以上のように、本発明の第1の側面に係る建築用ブラケットは、その強度を向上するとともに、施工における固定対象物との配置関係につき高い自由度を実現するのに適する。建築用ブラケットにおける強度の向上は、建築用ブラケットが用いられる建物壁構造内において、建築用ブラケットの変形を抑制するのに適し、従って、建築用ブラケットに固定される固定対象物や当該固定対象物に固定される壁面構成用板材など他の部材を安定して支持するのに適する。また、上記配置関係に関する高い自由度の実現は、鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)など種々の建物構造において、本建築用ブラケットを多様な壁構造の施工に用いるのに適する。
【0015】
また、本建築用ブラケットにおいて、第1側壁部の第1壁部と、第2側壁部の第2壁部と、これらの間に位置するリブ部とが、基材部から同じ側に突き出て且つ並列しているという上述の構成は、第2固定部の第3面側に固定対象物が配置されて第2固定部と締結される場合に、第2固定部が固定対象物に3箇所で当接するように構成しやすい。第2固定部が固定対象物に3箇所で当接するという構成は、第2固定部ないし建築用ブラケットが固定対象物や当該固定対象物に固定される壁面構成用板材など他の部材を安定して支持するのに適する。
【0016】
好ましくは、第3面、第1壁部、および第2壁部の基材部からの突出高さは、同じである。このような構成は、第2固定部の第3面側に固定対象物が配置されて第2固定部と締結される場合に、固定対象物に第2固定部が3箇所で当接するのに適し、従って、第2固定部ないし建築用ブラケットが固定対象物や、当該固定対象物に固定される壁面構成用板材など他の部材を、安定して支持するのに適する。
【0017】
好ましくは、第1固定部は、幅方向における当該第1固定部の一端部から第2固定部と同じ側に突き出る第3側壁部と、幅方向における当該第1固定部の他端部から第2固定部と同じ側に突き出る第4側壁部とを有する。この場合、より好ましくは、第2固定部の第1側壁部と第1固定部の第3側壁部とは繋がり、且つ、第2固定部の第2側壁部と第1固定部の第4側壁部とは繋がる。このような構成は、建築用ブラケットの強度を向上するうえで好適である。
【0018】
好ましくは、第1側壁部は、第1壁部よりも第1固定部の側に、第1壁部よりも高い第1高壁部を含み、第2側壁部は、第2壁部よりも第1固定部の側に、第2壁部よりも高い第2高壁部を含む。このような構成は、建築用ブラケットの強度を向上するうえで好適である。
【0019】
第2固定部の基材部は、好ましくは、締結部材貫通用の少なくとも一つの穴を有する。その穴は、好ましくは、第2固定部の延びる方向に延びる長穴を含む。リブ部は、好ましくは、締結部材貫通用の少なくとも一つの穴を有する。その穴は、好ましくは、第2固定部の延びる方向に延びる長穴を含む。第1固定部は、好ましくは、締結部材貫通用の少なくとも一つの穴を有する。その穴は、好ましくは、第1穴と、当該第1穴まわりに位置する、当該第1穴よりも小さな少なくとも一つの第2穴を含む。これら構成のそれぞれは、本建築用ブラケットを用いる壁構造施工時に、締結部材貫通用の穴を本建築用ブラケットに設ける作業を削減または回避して、施工作業の簡易化・効率化を図るのに適する。
【0020】
好ましくは、第1固定部における第1面とは反対の側の表面には、位置合わせ用の基準線が設けられている。このような構成は、本建築用ブラケットを用いる壁構造施工時において、本建築用ブラケットの位置決めに役立つ。
【0021】
本発明の第2の側面によると、建物壁構造が提供される。この建物壁構造は、壁面を有する構造体と、壁面上に配置された複数の建築用ブラケットと、それぞれが少なくとも二つの建築用ブラケットにわたって配置された複数の支持材と、複数の第1締結部材と、複数の第2締結部材と、壁面を覆うための複数の板材とを備える。
【0022】
建築用ブラケットは、本発明の第1の側面に係る上述の建築用ブラケットである。本建物壁構造において、建築用ブラケットは、第1固定部の第1面にて壁面に当接し、第1固定部を第1面とは反対の側から貫通して壁面に至る第1締結部材によって建築用ブラケットと壁面とが締結されている。支持材は、建築用ブラケットに対して固定される第1接合部と、当該第1接合部における壁面とは反対の側と接続する第2接合部とを有する。また、板材は、支持材における第2接合部に対して直接的に又は間接的に取り付けられている。
【0023】
複数の建築用ブラケットに対する複数の支持材の複数の固定箇所における少なくとも一部の固定箇所では、次のような第1の固定態様または第2の固定態様が実現されている。
【0024】
第1の固定態様では、支持材の第1接合部は、建築用ブラケットの第2固定部における基材部の第2面に当接し、基材部を第2面とは反対の側から貫通して第1接合部に至る第2締結部材によって建築用ブラケットと支持材とが締結されている。第2の固定態様では、支持材の第1接合部は、建築用ブラケットの第2固定部におけるリブ部の第3面と第1壁部と第2壁部とに当接し、リブ部を第3面とは反対の側から貫通して第1接合部に至る第2締結部材によって建築用ブラケットと支持材とが締結されている。
【0025】
本建物壁構造においては、本発明の第1の側面に係る上述の建築用ブラケットが用いられる。したがって、本建物壁構造によると、本建物壁構造に含まれる建築用ブラケットにおいて、本発明の第1の側面に係る建築用ブラケットに関して上述したのと同様の技術的効果が奏される。
【0026】
支持材に対する板材の上記の取付け態様のうち、「板材は、支持材における第2接合部に対して直接的に取り付けられている」構成とは、具体的には、板材が支持材とは別の支持材を介在させることなく第2接合部に連結されて、ねじ等の締結部材や取付具等によって、支持材に直接取り付けられる構成をいうものとする。このような構成によれば、板材が直接的に取り付けられる要素として支持材とは別の支持材を用いることなく、部品点数の削減と、工程数削減による作業の簡素化とを実現できる。
【0027】
一方、支持材に対する板材の上記の取付け態様のうち、「板材は、支持材における第2接合部に対して間接的に取り付けられている」構成とは、具体的には、板材が支持材(第1支持材)とは別の支持材(第2支持材,例えば後記の追加支持材)を介在させた状態で第2接合部に連結されて、その第2支持材がねじ等の締結部材によって第1支持材に取り付けられ、さらに、板材がねじ等の締結部材や取付具等によって第2支持材に取り付けられる構成をいうものとする。第2支持材は、少なくとも一つである。このような構成によれば、第1支持材とは別の第2支持材を用いることにより、壁面の不陸調整を好適に行うことができて、板材を一層安定的に支持できる。
【0028】
以上のような本発明の第2の側面において、本建物壁構造は、好ましくは、次のような延長部材および第3締結部材を更に備える。
【0029】
延長部材は、延長基材部と、第1延長側壁部と、第2延長側壁部とを備える。延長基材部は、建築用ブラケットの基材部の第2面または第3面に当接するための第4面と当該第4面とは反対側の部材に当接するための第5面とを含んで基材部に沿って延びる。第1延長側壁部は、延長基材部の延びる方向と交差する幅方向における延長基材部の一端部から当該延長基材部の厚さ方向における第4面側に突き出る。第2延長側壁部は、延長基材部の延びる方向と交差する幅方向における延長基材部の他端部から第1延長側壁部と同じ側に突き出る。
【0030】
延長部材の第1延長側壁部と第2延長側壁部との間に、建築用ブラケットの第2固定部は嵌まり、且つ、当該延長部材は、第2固定部の延びる方向および延長基材部の延びる方向において、建築用ブラケットにおける第2固定部よりも、第1固定部とは反対の側に長く延びている。
【0031】
建築用ブラケットに対する支持材の固定箇所では、下記の第1締結態様または第2締結態様がとられる。
【0032】
第1締結態様では、延長部材の第4面は、建築用ブラケットの第2固定部における基材部の第2面に当接し、基材部を第2面とは反対の側から貫通して延長基材部に至る第3締結部材によって建築用ブラケットと延長部材とが締結され、且つ、支持材の第1接合部は、延長部材の第5面に当接し、延長部材を第4面側から貫通して第1接合部に至る第2締結部材によって延長部材と支持材とが締結されている。
【0033】
第2締結態様では、延長部材の第4面は、建築用ブラケットの第2固定部におけるリブ部の第3面に当接し、リブ部を第3面とは反対の側から貫通して延長基材部に至る第3締結部材によって建築用ブラケットと延長部材とが締結され、且つ、支持材の第1接合部は、延長部材の第5面に当接し、延長部材を第4面側から貫通して第1接合部に至る第2締結部材によって延長部材と支持材とが締結されている。
【0034】
以上のような構成の延長部材は、支持材について不陸調整するのに適する。これとともに、躯体構造物と支持材との間の連結につき協働する上述の建築用ブラケットおよび当該延長部材は、建物壁構造内において、強度を向上するとともに、支持材との配置関係につき高い自由度を実現するのに適する。
【0035】
延長基材部は、好ましくは、当該延長基材部の延びる方向に延びる締結部材貫通用の少なくとも一つの長穴と、幅方向において長穴から離れて位置する締結部材貫通用の少なくとも一つの穴とを有する。このような構成は、本建物壁構造の施工時に、締結部材貫通用の穴を延長部材に設ける作業を削減または回避して、施工作業の簡易化・効率化を図るのに適する。
【0036】
好ましくは、本建物壁構造は、少なくとも二つの支持材にわたって配置された複数の追加支持材を更に備え、追加支持材は、少なくとも二つの支持材における第2接合部に取り付けられており、板材は、追加支持材に対して取り付けられている。このような構成は、建築用ブラケットの配設ピッチとは異なるピッチ(例えば同ピッチよりも小さいピッチ)で複数の追加支持材を配置したうえで、当該追加支持材に板材を取り付けられ、板材をより一層安定して支持するのに適する。
【0037】
本発明の第3の側面によると、壁面を有する構造体に対して板材を取り付けるための板材施工方法が提供される。この板材施工方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程とを含む。
【0038】
第1工程では、壁面に対して複数の建築用ブラケットを取り付ける。建築用ブラケットは、本発明の第1の側面に係る上述の建築用ブラケットである。第1工程では、建築用ブラケットの第1固定部の第1面を壁面に当接させ、第1固定部を第1面とは反対の側から貫通して壁面に至る第1締結部材によって建築用ブラケットと壁面とを締結する。
【0039】
第2工程では、壁面上に取り付けられた少なくとも二つの建築用ブラケットに対して支持材を固定する。支持材は、建築用ブラケットに対して固定される第1接合部と、当該第1接合部における壁面とは反対の側と接続する第2接合部とを有する。
【0040】
第2工程では、具体的には、支持材の第1接合部を、建築用ブラケットの第2固定部における基材部の第2面に当接させ、基材部を第2面とは反対の側から貫通して第1接合部に至る第2締結部材によって建築用ブラケットと支持材とを締結する。或いは、第2工程では、支持材の第1接合部を、建築用ブラケットの第2固定部におけるリブ部の第3面と第1壁部と第2壁部とに当接させ、リブ部を第3面とは反対の側から貫通して第1接合部に至る第2締結部材によって建築用ブラケットと支持材とを締結する。
【0041】
また、第3工程では、支持材に対して直接的に又は間接的に板材を取り付ける。
【0042】
本板材施工方法においては、本発明の第1の側面に係る上述の建築用ブラケットが用いられる。したがって、本板材施工方法によると、それに用いられる建築用ブラケットにおいて、本発明の第1の側面に係る建築用ブラケットに関して上述したのと同様の技術的効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る建築用ブラケットの一の斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る建築用ブラケットの他の斜視図である。
【
図3】
図1に示す建築用ブラケットのIII-III断面を示す断面図である。
【
図4】
図1に示す建築用ブラケットの一変形例の斜視図である。
【
図5】
図1に示す建築用ブラケットの他の変形例の断面図である。当該断面図は、
図1に示す建築用ブラケットにとっての
図3に示す断面図に相当する箇所の断面図である。
【
図6】
図1に示す建築用ブラケットの他の変形例の斜視図である。
【
図7】壁構造の施工におけるブラケットの取付け態様の一例を表す。
【
図8】壁構造の施工においてブラケットを用いた支持材組付け作業の一例の一工程を表す。
【
図15】
図14に示す延長部材におけるXV-XV断面を表す断面図である。
【
図16】建築用ブラケットおよび延長部材を用いての支持材組付け態様の一例を表す。
【
図17】建築用ブラケットおよび延長部材を用いての支持材組付け態様の他の例1を表す。
【
図18】建築用ブラケットおよび延長部材を用いての支持材組付け態様の他の例2を表す。
【
図19】建築用ブラケットおよび延長部材を用いての支持材組付け態様の他の例3を表す。
【
図20】本発明の第2の実施形態に係る建物壁構造の斜視図(部分切欠き斜視図)である。
【
図23】本発明の第3の実施形態に係る建物壁構造の斜視図(部分切欠き斜視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1から
図3は、本発明の第1の実施形態に係るブラケットXを表す。
図1は、ブラケットXの一の斜視図である。
図2は、ブラケットXの他の斜視図である。
図3は、
図1に示すブラケットXのIII-III断面を示す断面図である。
【0045】
ブラケットXは、第1固定部10および第2固定部20を備える。ブラケットXは、例えば、建物の壁構造の施工に用いられる建築用ブラケットであって、形成される壁構造において、壁部構成用の板材が固定されて当該板材を支持する胴縁などを躯体構造物に対して固定するための要素である。
【0046】
ブラケットXの第1固定部10は、一方向(第1方向D1)に延びる第2固定部20の当該第1方向D1における一端部から他方向(第2方向D2)に延びる形状を有する。第1方向D1および第2方向D2は、本実施形態では直交しているが、交差していればよい。また、ブラケットXの第1固定部10および第2固定部20は、本実施形態では第1方向D1と直交し且つ第2方向D2と直交する方向(幅方向W)に、幅を有する(幅方向Wは、第1方向D1および第2方向D2と交差していればよい)。第1固定部10の第2方向D2の寸法は、例えば30~70mmである。第2固定部20の第1方向D1の寸法は、例えば70~140mmである。ブラケットXないし第1固定部10および第2固定部20の幅(幅方向Wの寸法)は、例えば30~70mmである。
【0047】
第1固定部10は、第2固定部20とは反対の側に構造体に当接するための面11(第1面)を含む。第1固定部10における面11とは反対の側の面12には、位置合わせ用の基準線L(第2方向D2に延びる基準線と幅方向Wに延びる基準線)が設けられている。本実施形態では、例えば、面12に基準線Lが刻設されている。このような構成に代えて、基準線Lは面12に印刷されたものでもよい。
【0048】
また、第1固定部10は、第3側壁部13および第4側壁部14を有する。第3側壁部13は、幅方向Wにおける第1固定部10の一端部から第2固定部20の側に突き出る。第4側壁部14は、幅方向Wにおける第1固定部10の他端部から第2固定部20の側に突き出る。第1固定部10において、面12からの第3側壁部13および第4側壁部14の突出高さは、それぞれ、例えば6~15mmである。
【0049】
本実施形態では、第1固定部10は、締結部材貫通用の穴H1~H5を有する。穴H4~H5は穴H1に比べ小さい。穴H1は、第2方向D2に延びる長穴である。穴H1の第2方向D2の寸法は、例えば15~45mmであり、穴H1の幅方向Wの寸法は、例えば7~18mmである。
【0050】
穴H2は、第2方向D2に延びる長穴であり、幅方向Wにおいて穴H1から離隔している。穴H2の第2方向D2の寸法は、例えば7~17mmであり、穴H2の幅方向Wの寸法は、例えば3~7mmである。穴H3は、第2方向D2に延びる長穴であり、幅方向Wにおいて、穴H1に対して穴H2とは反対の側に離隔している。穴H3の第2方向D2の寸法は、例えば7~17mmであり、穴H3の幅方向Wの寸法は、例えば3~7mmである。
【0051】
穴H4は、丸穴であり、幅方向Wにおける形成位置につき穴H2と重複し、且つ第2方向D2において穴H2から離隔している。穴H4の直径は、例えば3~7mmである。穴H5は、丸穴であり、幅方向Wにおける形成位置につき穴H3と重複し、且つ第2方向D2において穴H3から離隔している。穴H5の直径は、例えば3~7mmである。これら構成は例示的なものであり、幅方向Wにおいて、穴H4と穴H2とは位置ずれしていてもよいし、穴H5と穴H3とは位置ずれしていてもよい。また、第2方向D2において、穴H4と穴H2とは形成位置が入れ替わってもよいし、穴H5と穴H3とは形成位置が入れ替わってもよい。
【0052】
ブラケットXの第2固定部20は、基材部21と、リブ部22と、第1側壁部23と、第2側壁部24とを備える。
【0053】
第2固定部は、第1固定部に対して交差するように、第1固定部の端部から第1面とは反対の側に延びている。基材部21は、部材に当接するための面21A(第2面)と当該面21Aとは反対の面21Bとを含む。面21Aは、第2方向D2において、第2固定部20から延びる第1固定部10とは反対の側に位置する。
【0054】
本実施形態では、基材部21は、締結部材貫通用の穴H6と、第1方向D1に並ぶ四つの穴H7とを有する。穴H6は、第1方向D1に延びる長穴である。穴H6の第1方向D1の寸法は、例えば15~100mmであり、穴H6の幅方向Wの寸法は、例えば3~7mmである。穴H7は、丸穴であり、幅方向Wにおいて穴H6から離隔している。穴H7の直径は、例えば3~7mmである。基材部21における穴H7の数は、本実施形態では上述のように四つであるが、四つより少なくてもよいし、多くてもよい。また、リブ部22が間に位置するように形成されている穴H6,H7の配置について、穴H6の形成位置と穴H7の形成位置とは、
図2に示される位置と逆でもよい。
【0055】
リブ部22は、基材部21から面21Aとは反対の側(面21B側)に突き出て、且つ、その突出端に部材に当接するための面22A(第3面)を含む。リブ部22の第1方向D1の寸法は、例えば30~140mmである。リブ部22の幅方向Wの寸法は、例えば8~30mmである。また、基材部21からのリブ部22の突出高さは、例えば5~12mmである。
【0056】
本実施形態では、リブ部22は、締結部材貫通用の穴H8,H9を有する。穴H8は、第1方向D1に延びる長穴である。穴H8の第1方向D1の寸法は、例えば15~100mmであり、穴H8の幅方向Wの寸法は、例えば3~7mmである。穴H9は、丸穴であり、第1方向D1において穴H8から離隔している。穴H9の直径は、例えば3~7mmである。リブ部22における穴H9の数は、図示される数より多くてもよい。
【0057】
第1側壁部23は、幅方向W(即ち、第2固定部20の延びる方向である第1方向D1と直交する方向)における基材部21の一端部からリブ部22と同じ側に突き出る。第1側壁部23は、幅方向Wにおいてリブ部22と並列する部材に当接するための第1壁部23aを含む。本実施形態では、第1側壁部23は、第1壁部23aよりも第1固定部10の側に、第1壁部23aよりも高い第1高壁部23bを含む。また、本実施形態では、第2固定部20の第1側壁部23と第1固定部10の上述の第3側壁部13とは、ブラケットXの幅方向W一端側にて繋がっている。
【0058】
第2側壁部24は、幅方向Wにおける基材部21の他端部からリブ部22と同じ側に突き出る。第2側壁部24は、幅方向Wにおいてリブ部22と並列する部材に当接するための第2壁部24aを含む。本実施形態では、第2側壁部24は、第2壁部24aよりも第1固定部10の側に、第2壁部24aよりも高い第2高壁部24bを含む。また、本実施形態では、第2固定部20の第2側壁部24と第1固定部10の上述の第4側壁部14とは、ブラケットXの幅方向W他端側にて繋がっている。
【0059】
これら第1側壁部23および第2側壁部24における第1壁部23aおよび第2壁部24aの、基材部21からの突出高さは、リブ部22の上記突出高さと同一であって、例えば5~12mmである。基材部21からの第1高壁部23bの突出高さは、第1壁部23aの突出高さよりも大きい限りにおいて、例えば6~15mmである。基材部21からの第2高壁部24bの突出高さは、第2壁部24aの突出高さよりも大きい限りにおいて、例えば6~15mmである。
【0060】
以上のような構成を有するブラケットXは、例えば、鋼製板など金属板に対する穴開け加工や折曲げ加工、プレス加工などを経て製造することができる。ブラケットXの製造に用いる金属板の厚さは、例えば1~5mmである。
【0061】
ブラケットXは、
図4に示すように、第1側壁部23および第2側壁部24において第1高壁部23bおよび第2高壁部24bを含まない構成をとってもよい。
【0062】
ブラケットXは、
図4に示すように、リブ部22において穴H8,H9に加えて穴H10を有してもよい。穴H10は、丸穴であり、第1方向D1において、穴H9とは反対の側に穴H8から離隔している。穴H10の直径は、例えば3~7mmである。
【0063】
ブラケットXは、第1固定部10の面12において、
図1に示す位置とは異なる位置に基準線Lを有してもよい。例えば、
図4に示すブラケットXの第1固定部10の面12における図中縦方向に延びる基準線Lは、
図1に示すブラケットXの第1固定部10の面12における図中縦方向に延びる基準線Lよりも、図中右方向に位置する。
【0064】
ブラケットXは、
図5に示すように、第2固定部20において第1方向D1に延びる上述のリブ部22が二つ設けられていてもよい(
図5は、
図1に示すブラケットXにとっての
図3に示す断面図に相当する箇所の断面図である)。この場合、二つのリブ部22の基材部21からの突出高さと、上述の第1側壁部23および第2側壁部24における第1壁部23aおよび第2壁部24aの、基材部21からの突出高さとは、同一である。このような構成において、二つのリブ部22のそれぞれに長穴である穴H8と丸穴である穴H9とが設けられてもよいし、二つのリブ部22における一方に長穴である穴H8が設けられ、且つ他方に丸穴である穴H9が設けられてもよい。
【0065】
ブラケットXは、
図6に示すように、第2固定部20における第1方向D1のほぼ全域にわたって延びるリブ部22を有してもよい。このような構成は、ブラケットXの第2固定部20の強度、ひいてはブラケットXの強度を向上するうえで好ましい。
【0066】
以上のようなブラケットXは、壁構造の施工において、例えば
図7に示すように、躯体構造物の有する所定の壁面31に対して所定の配置で取り付けられる(
図7は、躯体構造物がRC造である場合であって、壁面31に対するブラケットXの締結部材としてアンカーボルトを用いる場合を、例示的に表す。
図8から
図13においても同様である)。壁面31には、予め、ブラケット取付け位置に交点を有する墨出し線32が設けられている。壁面31上でのブラケットXの位置決めには、この墨出し線32と、第1固定部10における上述の基準線Lとを利用して、行うことができる。すなわち、壁面31に対面する作業者から見て墨出し線32上に基準線Lが重なり合うようにブラケットXを配置することによって、ブラケットXの位置決めを行うことができる。
【0067】
図8から
図10は、壁構造の施工における、ブラケットXを用いた支持材組付け作業の一例を表す。まず、
図8に示すように、躯体構造物の壁面31に対して、締結部材41(第1締結部材)によってブラケットXを固定する。具体的には、ブラケットXの第1固定部10の面11を壁面31に当接させつつブラケットXの位置決めをしたうえで、締結部材41によって、ブラケットXないしその第1固定部10と壁面31とを締結して固定する。締結部材41は、例えばアンカーボルトであって、第1固定部10をその穴H1にて面12の側(面11とは反対の側)から貫通して壁面31に至る(締結部材41は、アンカーボルト以外のものを用いても良い)。この組付け作業例では、ブラケットXは、その第2方向D2が水平方向となり且つ第1固定部10が壁面31に沿って第2固定部20端部から右側(壁面31に対面する作業者から見て右側)に延びる配向(第1の配向)で、壁面31に固定されている。
【0068】
壁面31に対して締結部材41によってブラケットXを固定するにあたっては、壁面31上の墨出し線32に対してブラケットXにおける基準線Lを合わせた状態で壁面31に対する締結部材41によるブラケットXの留付け作業の途中で、ブラケットXが例えば左右方向に位置ずれする場合がある。そのような場合であっても、締結部材41が挿通される穴H1は長穴であるため、基準線Lを再び墨出し線32に対して合わせ直す微調整を経たうえで、ブラケットXを壁面31に対して固定することが可能である。壁面31に対して締結部材41によってブラケットXを固定するにあたり、長穴である穴H2や穴H3を穴H1の代わりに利用する場合においても同様に、基準線Lを再び墨出し線32に対して合わせ直す微調整が可能である。
【0069】
次に、
図9に示すように、ブラケットXの第2固定部20に対して締結部材42(第2締結部材)によって支持材5を仮止めする。締結部材42は、ドリルねじである。支持材5は、壁構造の施工において壁面構成用の板材が直接的に又は間接的に取り付けられる例えば胴縁である。支持材5としては、中空角材を例示的に図示する(
図8から
図13においても同様である)。この支持材5は、鉛直方向に延びる姿勢で、ブラケットXの第2固定部20における面21A側に配置される。また、支持材5は、ブラケットXに対して固定される第1接合部5aと、第1接合部5aにおける壁面31とは反対の側と接続する第2接合部5bとを有する。
【0070】
図9に示す工程では、具体的には、ブラケットXの第2固定部20における基材部21の面21Aに支持材5の第1接合部5aを当接させ、その状態で、基材部21をその穴H6にて面21Bの側(面21Aとは反対の側)から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る締結部材42によって、ブラケットXと支持材5とを仮止めする。この仮止めにおいて、締結部材42は、支持材5に対して浅くねじ込まれる。
【0071】
ブラケットXの第2固定部20に仮止めされた支持材5については、ブラケットXに対してその第1方向D1に位置を調整することができる。そのため、ブラケットXを介して、必要に応じて壁面31に対する支持材5の不陸調整が、可能である。
【0072】
次に、
図10に示すように、ブラケットXの第2固定部20に対して締結部材42,43(第2締結部材)によって支持材5を固定する。締結部材43は、ドリルねじである。本工程では、具体的には、上述の仮止め状態から更にねじ込まれる締結部材42(即ち、基材部21をその穴H6にて面21Bの側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る締結部材42)と、基材部21をその穴H7にて面21Bの側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至ってねじ込まれる締結部材43とによって、ブラケットXと支持材5とを締結して固定する。
【0073】
壁構造の施工においては、例えば以上のようにして、ブラケットXを用いて所定の支持材を躯体構造物の壁面に組み付けることができる。
【0074】
図11から
図13は、それぞれ、支持材の組付け態様の他の例を表す。
【0075】
図11に示す例では、ブラケットXは、その第2方向D2が水平方向となり且つ第1固定部10が壁面31に沿って第2固定部20端部から左側(壁面31に対面する作業者から見て左側)に延びる配向(第2の配向)で、壁面31に固定される。また、
図11に示す例では、支持材5は、鉛直方向に延びる姿勢で、ブラケットXの第2固定部20における面22A(例えば
図1に示す)側に配置される。この支持材5は、第2固定部20におけるリブ部22の面22Aに当接した状態で、締結部材42,43によってブラケットXの第2固定部20に締結されて固定されている。締結部材42は、リブ部22をその穴H8にて面22Aとは反対の側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る。締結部材43は、リブ部22をその穴H9にて面22Aとは反対の側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る。
【0076】
図11に示す組付け態様は、例えば、締結部材41による固定作業(壁面31に対する第1固定部10の固定)、締結部材42による仮止め作業(第2固定部20に対する支持材5の仮止め)とその後の必要に応じての支持材5の不陸調整、および、締結部材42,43による固定作業(第2固定部20に対する支持材5の固定)を経て、実現することができる。支持材5の仮止め後の不陸調整においては、具体的には、ブラケットXの第2固定部20に仮止めされた支持材5について、ブラケットXに対して第1方向D1に位置を調整することができる。
【0077】
図12に示す例では、ブラケットXは、その第2方向D2が鉛直方向となり且つ第1固定部10が壁面31に沿って第2固定部20端部から下方に延びる配向(第3の配向)で、壁面31に固定される。また、
図12に示す例では、支持材5は、水平方向に延びる姿勢で、ブラケットXの第2固定部20における面21A側に配置される。この支持材5は、第2固定部20における基材部21の面21Aに当接した状態で、締結部材42,43によってブラケットXの第2固定部20に締結されて固定されている。締結部材42は、基材部21をその穴H6(例えば
図1に示す)にて面21B側(面21Aとは反対の側)から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る。締結部材43は、基材部21をその穴H7(例えば
図1に示す)にて面21B側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る。
【0078】
図12に示す組付け態様は、例えば、締結部材41による固定作業(壁面31に対する第1固定部10の固定)、締結部材42による仮止め作業(第2固定部20に対する支持材5の仮止め)とその後の必要に応じての支持材5の不陸調整、および、締結部材42,43による固定作業(第2固定部20に対する支持材5の固定)を経て、実現することができる。支持材5の仮止め後の不陸調整においては、具体的には、ブラケットXの第2固定部20に仮止めされた支持材5について、ブラケットXに対して第1方向D1に位置を調整することができる。
【0079】
図13に示す例では、ブラケットXは、その第2方向D2が鉛直方向となり且つ第1固定部10が壁面31に沿って第2固定部20端部から下方に延びる配向(第4の配向)で、壁面31に固定される。また、
図13に示す例では、支持材5は、水平方向に延びる姿勢で、ブラケットXの第2固定部20における面22A(例えば
図1に示す)側に配置される。この支持材5は、第2固定部20におけるリブ部22の面22Aに当接した状態で、締結部材42,43によってブラケットXの第2固定部20に締結されて固定されている。締結部材42は、リブ部22をその穴H8(例えば
図1に示す)にて面22Aとは反対の側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る。締結部材43は、リブ部22をその穴H9(例えば
図1に示す)にて面22Aとは反対の側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る。
【0080】
図13に示す組付け態様は、例えば、締結部材41による固定作業(壁面31に対する第1固定部10の固定)、締結部材42による仮止め作業(第2固定部20に対する支持材5の仮止め)とその後の必要に応じての支持材5の不陸調整、および、締結部材42,43による固定作業(第2固定部20に対する支持材5の固定)を経て、実現することができる。支持材5の仮止め後の不陸調整においては、具体的には、ブラケットXの第2固定部20に仮止めされた支持材5について、ブラケットXに対して第1方向D1に位置を調整することができる。
【0081】
例えば以上のようにして用いられるブラケットXは、固定対象物(上述の例では支持材5)と締結される第2固定部20が、その基材部21においてリブ部22を有し、それに加えて、基材部21からリブ部22と同じ側に突き出る第1側壁部23および第2側壁部24を備える。このような構成は、建築用のブラケットXにおいて、いわゆる不陸調整などを含む壁構造の施工作業に耐えうる強度や、施工された壁構造を維持し続けるための強度を、向上するのに適する。
【0082】
また、ブラケットXにおいて固定対象物と締結される第2固定部20は、上述のように、部材に当接するための面として、面21Aとこれとは反対の面22Aとを備える。このような構成は、壁構造の施工において、ブラケットXと固定対象物との配置関係につき上述のように高い自由度を実現するのに適する。すなわち、ブラケットXは、多様な配向および組付け態様で用いることができる。
【0083】
以上のように、ブラケットXは、その強度を向上するとともに、施工における固定対象物との配置関係につき高い自由度を実現するのに適する。ブラケットXにおける強度の向上は、当該ブラケットXが用いられる建物壁構造内において、ブラケットXの変形を抑制するのに適し、従って、ブラケットXに固定される固定対象物や当該固定対象物に固定される壁部構成用板材など他の部材を安定して支持するのに適する。
【0084】
また、ブラケットXにおいて、第1側壁部23の第1壁部23aと、第2側壁部24の第2壁部24aと、これらの間に位置するリブ部22とが、基材部21から同じ側に突き出て且つ並列しているという上述の構成は、第2固定部20の面22A側に固定対象物が配置されて第2固定部20と締結される場合に、第2固定部20が固定対象物に3箇所で当接するように構成しやすい。第2固定部20が固定対象物に3箇所で当接するという構成は、第2固定部20ないしブラケットXが固定対象物や当該固定対象物に固定される壁面構成用板材など他の部材を安定して支持するのに適する。
【0085】
ブラケットXでは、上述のように、面22A、第1壁部23a、および第2壁部24aの基材部21からの突出高さは、同じである。このような構成は、第2固定部20の面22A側に固定対象物が配置されて第2固定部20と締結される場合に、固定対象物に第2固定部20が3箇所で当接するのに適し、従って、第2固定部20ないしブラケットXが固定対象物や当該固定対象物に固定される壁面構成用板材など他の部材を安定して支持するのに適する。
【0086】
ブラケットXでは、上述のように、第1固定部10は、幅方向Wにおける第1固定部10の一端部から第2固定部20と同じ側に突き出る第3側壁部13と、幅方向Wにおける第1固定部10の他端部から第2固定部20と同じ側に突き出る第4側壁部14とを有し、第2固定部20の第1側壁部23と第1固定部10の第3側壁部13とは繋がり、且つ、第2固定部20の第2側壁部24と第1固定部10の第4側壁部14とは繋がる。このような構成は、ブラケットXの強度を向上するうえで好適である。
【0087】
ブラケットXでは、上述のように、第1側壁部23は、第1壁部23aよりも第1固定部10の側に、第1壁部23aよりも高い第1高壁部23bを含み、第2側壁部24は、第2壁部24aよりも第1固定部10の側に、第2壁部24aよりも高い第2高壁部24bを含む。このような構成は、ブラケットXの強度を向上するうえで好適である。
【0088】
ブラケットXは、上述のように、穴H1~H9などの穴を既に有する。このような構成は、ブラケットXを用いる壁構造施工時に、締結部材貫通用の穴をブラケットXに設ける作業を削減または回避して、施工作業の簡易化を図るのに適する。加えて、第2固定部20に設けられた、第1方向D1に延びる形状の長穴である穴H6,H8は、上述の不陸調整に利用することが可能である。
【0089】
ブラケットXでは、上述のように、第1固定部10における面12に、位置合わせ用の基準線Lが設けられている。このような構成は、ブラケットXを用いる壁構造施工時において、ブラケットXの位置決めに役立つ。
【0090】
壁構造の施工における、ブラケットXによる支持材の組付けには、例えば
図16から
図19に示すように、ブラケットXとともに延長部材Yを用いることもできる。
図14は、延長部材Yの斜視図である。
図15は、
図14に示す延長部材YにおけるXV-XV断面を表す断面図である。
【0091】
延長部材Yは、延長基材部60と、第1延長側壁部61および第2延長側壁部62とを備える。延長基材部60は、一方向(
図16から
図19に示す組付け状態では第1方向D1)に延びる形状を有し、且つ、当該一方向に直交する方向(幅方向W)に幅を有する。
【0092】
延長基材部60は、ブラケットXの基材部21の面21Aまたは面22Aに当接するための面60A(第4面)と当該面60Aとは反対側の部材に当接するための面60B(第5面)とを含む。延長基材部60の第1方向D1の寸法は、例えば70~150mmである。延長基材部60の幅(幅方向Wの寸法)は、例えば31~85mmである。
【0093】
第1延長側壁部61は、幅方向Wにおける延長基材部60の一端部から延長基材部60の厚さ方向において面60A側に突き出る。第2延長側壁部62は、幅方向Wにおける延長基材部60の他端部から延長基材部60の厚さ方向において面60A側に突き出る。面60Aからの第1延長側壁部61および第2延長側壁部62の突出高さは、それぞれ、例えば5~15mmである。
【0094】
本実施形態では、延長基材部60は、締結部材貫通用の穴H11と、第1方向D1に並ぶ八つの締結部材貫通用の穴H12とを有する。穴H11は、第1方向D1に延びる長穴である。穴H11の第1方向D1の寸法は、例えば50~120mmであり、穴H11の幅方向Wの寸法は、例えば3~7mmである。穴H12は、丸穴であり、幅方向Wにおいて穴H11から離隔している。穴H12の直径は、例えば3~7mmである。
【0095】
以上のような構成を有する延長部材Yは、例えば、鋼製板など金属板に対する穴開け加工や折曲げ加工などを経て製造することができる。延長基材部60の製造に用いる金属板の厚さは、例えば1~5mmである。
【0096】
図16に示す例では、ブラケットXは、
図8を参照して上述したのと同様の第1の配向で、壁面31に固定されている。このブラケットXに対し、延長部材Yは、次のような第1の態様で組付けられている。
【0097】
第1の態様では、延長部材Yにおける面60AがブラケットXの第2固定部20における面21A(例えば
図2に示す)に当接しつつ、延長部材Yの第1延長側壁部61と第2延長側壁部62との間にブラケットXの第2固定部20が嵌まっている。延長部材Yは、第1方向D1において、ブラケットXの第2固定部20よりも、第1固定部10とは反対の側に長く延びている。また、延長部材Yは、ブラケットXの第2固定部20の面21Aに当接した状態で、締結部材44,45(第3締結部材)によってブラケットXの第2固定部20に締結されて固定されている。締結部材44は、基材部21をその穴H6にて面21B側から貫通して延長部材Yに至る。締結部材45は、基材部21をその穴H7にて面21B側から貫通して延長部材Yに至る。締結部材44,45は、ドリルねじである。
【0098】
また、
図16に示す例では、支持材5は、鉛直方向に延びる姿勢で、延長部材Yの延長基材部60の面60B側(面60Aとは反対の側)に配置される。この支持材5は、面60Bに当接した状態で、締結部材42,43によって延長部材Yに締結されて固定されている。締結部材42は、延長部材Yの延長基材部60をその穴H11にて面60A側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る。締結部材43は、延長基材部60をその穴H12にて面60A側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る。
【0099】
図16に示すこのような組付け態様は、例えば、締結部材41による第1固定作業、締結部材44による第1仮止め作業とその後の必要に応じての延長部材Yの第1不陸調整、締結部材44,45による第2固定作業、締結部材42による第2仮止め作業とその後の必要に応じての支持材5の第2不陸調整、および、締結部材42,43による第3固定作業を経て、実現することができる。
【0100】
図16に示す組付け態様のための第1固定作業では、壁面31に対して第1固定部10が固定される。第1仮止め作業では、ブラケットXの穴H6を貫通して延長部材Yに浅くねじ込まれる締結部材44により、ブラケットXに対して延長部材Yが仮止めされる。第2固定作業では、ブラケットXに対して延長部材Yが固定される。第2仮止め作業では、延長部材Yの穴H11を貫通して支持材5に浅くねじ込まれる締結部材42により、延長部材Yに対して支持材5が仮止めされる。第3固定作業では、延長部材Yに対して支持材5が固定される。
【0101】
また、ブラケットXに対する延長部材Yの第1仮止め作業後の第1不陸調整では、具体的には、ブラケットXの第2固定部20に仮止めされた延長部材Yについて、ブラケットXに対して第1方向D1に位置を調整することができる。延長部材Yに対する支持材5の第2仮止め作業後の第2不陸調整では、具体的には、延長部材Yに仮止めされた支持材5について、延長部材YおよびブラケットXに対して第1方向D1に位置を調整することができる。これら固定位置の調整により、必要に応じて壁面31に対する支持材5の不陸調整が可能である。
【0102】
図17に示す例では、ブラケットXは、
図11を参照して上述したのと同様の第2の配向で、壁面31に固定されている。このブラケットXに対し、延長部材Yは、次のような第2の態様で組付けられている。
【0103】
第2の態様では、延長部材Yにおける面60AがブラケットXの第2固定部20における面22A(例えば
図1に示す)および第1壁部23aおよび第2壁部24aに当接しつつ、延長部材Yの第1延長側壁部61と第2延長側壁部62との間にブラケットXの第2固定部20が嵌まっている。延長部材Yは、第1方向D1において、ブラケットXの第2固定部20よりも、第1固定部10とは反対の側に長く延びている。また、延長部材Yは、ブラケットXの第2固定部20の面22Aに当接した状態で、締結部材44,45によってブラケットXの第2固定部20に締結されて固定されている。締結部材44は、リブ部22をその穴H8にて面22Aとは反対の側から貫通して延長部材Yに至る。締結部材45は、リブ部22をその穴H9(例えば
図1に示す)にて面22Aとは反対の側から貫通して延長部材Yに至る。
【0104】
また、
図17に示す例では、支持材5は、鉛直方向に延びる姿勢で、延長部材Yの延長基材部60の面60B側(面60Aとは反対の側)に配置される。この支持材5は、面60Bに当接した状態で、締結部材42,43によって延長部材Yに締結されて固定されている。締結部材42は、延長部材Yの延長基材部60をその穴H11にて面60A側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る。締結部材43は、延長基材部60をその穴H12にて面60A側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る。
【0105】
図17に示すこのような組付け態様は、例えば、締結部材41による第1固定作業(壁面31に対する第1固定部10の固定)、締結部材44による第1仮止め作業とその後の必要に応じての延長部材Yの第1不陸調整、締結部材44,45による第2固定作業、締結部材42による第2仮止め作業とその後の必要に応じての支持材5の第2不陸調整、および、締結部材42,43による第3固定作業を経て、実現することができる。
【0106】
図17に示す組付け態様のための第1固定作業では、壁面31に対して第1固定部10が固定される。第1仮止め作業では、ブラケットXの穴H8を貫通して延長部材Yに浅くねじ込まれる締結部材44により、ブラケットXに対して延長部材Yが仮止めされる。第2固定作業では、ブラケットXに対して延長部材Yが固定される。第2仮止め作業では、延長部材Yの穴H11を貫通して支持材5に浅くねじ込まれる締結部材42により、延長部材Yに対して支持材5が仮止めされる。第3固定作業では、延長部材Yに対して支持材5が固定される。
【0107】
また、ブラケットXに対する延長部材Yの仮止め作業後の第1不陸調整では、具体的には、ブラケットXの第2固定部20に仮止めされた延長部材Yについて、ブラケットXに対して第1方向D1に位置を調整することができる。延長部材Yに対する支持材5の仮止め作業後の第2不陸調整では、具体的には、延長部材Yに仮止めされた支持材5について、延長部材YおよびブラケットXに対して第1方向D1に位置を調整することができる。これら固定位置の調整により、必要に応じて壁面31に対する支持材5の不陸調整が可能である。
【0108】
図18に示す例では、ブラケットXは、
図12を参照して上述したのと同様の第3の配向で、壁面31に固定されている。このブラケットXに対し、延長部材Yは、次のような第3の態様で組付けられている。
【0109】
第3の態様では、延長部材Yにおける面60AがブラケットXの第2固定部20における面21A(例えば
図2に示す)に当接しつつ、延長部材Yの第1延長側壁部61と第2延長側壁部62との間にブラケットXの第2固定部20が嵌まっている。延長部材Yは、第1方向D1において、ブラケットXの第2固定部20よりも、第1固定部10とは反対の側に長く延びている。また、延長部材Yは、ブラケットXの第2固定部20の面21Aに当接した状態で、締結部材44,45によってブラケットXの第2固定部20に締結されて固定されている。締結部材44は、基材部21をその穴H6(例えば
図1に示す)にて面21B側から貫通して延長部材Yに至る。締結部材45は、基材部21をその穴H7(例えば
図1に示す)にて面21B側から貫通して延長部材Yに至る。
【0110】
また、
図18に示す例では、支持材5は、水平方向に延びる姿勢で、延長部材Yの延長基材部60の面60B側(面60Aとは反対の側)に配置される。この支持材5は、面60Bに当接した状態で、締結部材42,43によって延長部材Yに締結されて固定されている。締結部材42は、延長部材Yの延長基材部60をその穴H11にて面60A側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る。締結部材43は、延長基材部60をその穴H12にて面60A側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る。
【0111】
図18に示すこのような組付け態様は、例えば、締結部材41による第1固定作業、締結部材44による第1仮止め作業とその後の必要に応じての延長部材Yの第1不陸調整、締結部材44,45による第2固定作業、締結部材42による第2仮止め作業とその後の必要に応じての支持材5の第2不陸調整、および、締結部材42,43による第3固定作業を経て、実現することができる。
【0112】
図18に示す組付け態様のための第1固定作業では、壁面31に対して第1固定部10が固定される。第1仮止め作業では、ブラケットXの穴H6を貫通して延長部材Yに浅くねじ込まれる締結部材44により、ブラケットXに対して延長部材Yが仮止めされる。第2固定作業では、ブラケットXに対して延長部材Yが固定される。第2仮止め作業では、延長部材Yの穴H7を貫通して支持材5に浅くねじ込まれる締結部材42により、延長部材Yに対して支持材5が仮止めされる。第3固定作業では、延長部材Yに対して支持材5が固定される。
【0113】
また、ブラケットXに対する延長部材Yの仮止め作業後の第1不陸調整では、具体的には、ブラケットXの第2固定部20に仮止めされた延長部材Yについて、ブラケットXに対して第1方向D1に位置を調整することができる。延長部材Yに対する支持材5の仮止め作業後の第2不陸調整では、具体的には、延長部材Yに仮止めされた支持材5について、延長部材YおよびブラケットXに対して第1方向D1に位置を調整することができる。これら固定位置の調整により、必要に応じて壁面31に対する支持材5の不陸調整が可能である。
【0114】
図19に示す例では、ブラケットXは、
図13を参照して上述したのと同様の第4の配向で、壁面31に固定されている。このブラケットXに対し、延長部材Yは、次のような第4の態様で組付けられている。
【0115】
第4の態様では、延長部材Yにおける面60AがブラケットXの第2固定部20における面22A(例えば
図1に示す)および第1壁部23aおよび第2壁部24aに当接しつつ、延長部材Yの第1延長側壁部61と第2延長側壁部62との間にブラケットXの第2固定部20が嵌まっている。延長部材Yは、第1方向D1において、ブラケットXの第2固定部20よりも、第1固定部10とは反対の側に長く延びている。また、延長部材Yは、ブラケットXの第2固定部20の面22Aに当接した状態で、締結部材44,45によってブラケットXの第2固定部20に締結されて固定されている。締結部材44は、リブ部22をその穴H8(例えば
図1に示す)にて面22Aとは反対の側から貫通して延長部材Yに至る。締結部材45は、リブ部22をその穴H9(例えば
図1に示す)にて面22Aとは反対の側から貫通して延長部材Yに至る。
【0116】
また、
図19に示す例では、支持材5は、水平方向に延びる姿勢で、延長部材Yの延長基材部60の面60B側(面60Aとは反対の側)に配置される。この支持材5は、面60Bに当接した状態で、締結部材42,43によって延長部材Yに締結されて固定されている。締結部材42は、延長部材Yの延長基材部60をその穴H11にて面60A側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る。締結部材43は、延長基材部60をその穴H12にて面60A側から貫通して支持材5の第1接合部5aに至る。
【0117】
図19に示すこのような組付け態様は、例えば、締結部材41による第1固定作業、締結部材44による第1仮止め作業とその後の必要に応じての延長部材Yの第1不陸調整、締結部材44,45による第2固定作業、締結部材42による第2仮止め作業とその後の必要に応じての支持材5の第2不陸調整、および、締結部材42,43による第3固定作業を経て、実現することができる。
【0118】
図19に示すこのような組付け態様のための第1固定作業では、壁面31に対して第1固定部10が固定される。第1仮止め作業では、ブラケットXの穴H8を貫通して延長部材Yに浅くねじ込まれる締結部材44により、ブラケットXに対して延長部材Yが仮止めされる。第2固定作業では、ブラケットXに対して延長部材Yが固定される。第2仮止め作業では、延長部材Yの穴H11を貫通して支持材5に浅くねじ込まれる締結部材42により、延長部材Yに対して支持材5が仮止めされる。第3固定作業では、延長部材Yに対して支持材5が固定される。
【0119】
また、ブラケットXに対する延長部材Yの仮止め作業後の第1不陸調整では、具体的には、ブラケットXの第2固定部20に仮止めされた延長部材Yについて、ブラケットXに対して第1方向D1に位置を調整することができる。延長部材Yに対する支持材5の仮止め作業後の第2不陸調整では、具体的には、延長部材Yに仮止めされた支持材5について、延長部材YおよびブラケットXに対して第1方向D1に位置を調整することができる。これら固定位置の調整により、必要に応じて壁面31に対する支持材5の不陸調整が可能である。
【0120】
ブラケットXとともに延長部材Yを用いた以上のような固定対象物(上述の例では支持材5)の組付けでは、固定対象物について不陸調整するのに適する。これとともに、躯体構造物と固定対象物との間の連結につき協働する上述のブラケットXおよび延長部材Yは、建物壁構造内において、強度を向上するとともに、固定対象物との配置関係につき高い自由度を実現するのに適する。
【0121】
延長部材Yないしその延長基材部60は、上述のように、穴H11,H12を有する。このような構成は、壁構造の施工時に、締結部材貫通用の穴を延長部材Yに設ける作業を削減または回避して、施工作業の簡易化・効率化を図るのに適する。
【0122】
図20から
図22は、本発明の第2の実施形態に係る建物壁構造Z1を表す。
図20は、建物壁構造Z1の斜視図(部分切欠き斜視図)である。
図21は、建物壁構造Z1におけるブラケットXおよびその近傍を右側から視認した部分断面図である。
図22は、建物壁構造Z1におけるブラケットXおよびその近傍を上方から視認した部分断面図である。
図20では、垂直上方向を上と表示し、垂直下方向を下と表示する。また、
図20の屋外から屋内に向う方向において水平左方向を左と表示し、水平右方向を右と表示する。そして、
図20以外において上下方向、左右方向、屋内外方向が示されている図では、それら方向を
図20に対応させて表示する。
【0123】
建物壁構造Z1は、住宅、施設、倉庫等の建物を構成する構造体1(躯体構造物)に対し、複数の外壁板2を取り付けたものである。構造体1は、新築の建物を構成してもよいし、外装のリフォーム工事が実施される既築の建物を構成してもよい。本実施形態では、外壁板2は、それ自体が高い強度や剛性を有して建物の外壁を構成する板材である。外壁板2は、新築の建物に用いられるものであってよいし、既築の建物の壁面を覆って意匠性を向上させるリフォーム用のものであってもよい。また、外壁板2は、本発明における板材の一例である。本発明における板材は外壁板に限定されず、例えば、建物を外装する化粧板、屋内用構造パネル、内装板等であってもよい。
【0124】
本実施形態では、構造体1は、鉄骨造(S造)の躯体構造物であり、その屋外側の表層に、壁面31を有する面材3を備える。面材3は、例えば強化石膏ボードである。面材3としては、珪酸カルシウム板が用いられてもよい。面材3における屋内側には鋼材4が配設されている。鋼材4は、例えば、C形鋼および角形鋼管が挙げられる。本実施形態では、鋼材4がC形鋼である場合を例示的に図示する。一方、面材3における屋外側には、複数のブラケットXおよび複数の支持材5が配置されている。
【0125】
面材3と支持材5との間には、本実施形態では、防水紙6および断熱材7が設けられている。防水紙6は、面材3の表面に敷設されている。構造体1の施工状況等によっては、防水紙6を省略してもよい。断熱材7としては、例えば、繊維系断熱材および発泡プラスチック系断熱材が挙げられる。繊維系断熱材の構成材料としては、例えば、ロックウールおよびグラスウールが挙げられる。発泡プラスチック系断熱材の構成材料としては、例えば、発泡ポリウレタン、発泡フェノール、および発泡ポリスチレンが挙げられる。断熱材7は、ブラケットXに干渉する部分が除去されたうえで、ブラケットXを部分的に露出させるように配置されている。構造体1の施工状況等によっては、断熱材7を省略してもよい。
【0126】
面材3における屋内側には断熱材7’が配設されてもよい。本実施形態については、断熱材7’が面材3の屋内側(例えば、鋼材4同士の間)に配設される場合を図示する(構造体1の施工状況等によっては、断熱材7’を省略してもよい)。断熱材7’としては、例えば、上述の繊維系断熱材および上述の発泡プラスチック系断熱材が挙げられる。
【0127】
複数のブラケットXは、上下方向および左右方向に所定の間隔で互いに離間する状態で、壁面31に配置されている。
図22によく表れているように、ブラケットXは、面材3を介して鋼材4に対向する箇所に配置されている。本実施形態において、各ブラケットXは、締結部材46,47(ともに第1締結部材)によって面材3ないし壁面31および鋼材4に対して取り付けられている。締結部材46,47は、例えばドリルねじである。ブラケットXは、具体的には、第1固定部10の面11にて壁面31に当接し、第1固定部10を例えばその穴H2(例えば
図1に示す)にて面12の側(面11とは反対の側)から貫通して壁面31に至る締結部材46と、第1固定部10を例えばその穴H5(例えば
図1に示す)にて面12の側から貫通して壁面31に至る締結部材47とによって、壁面31に対して固定されている。
【0128】
複数の支持材5は、左右方向に所定の間隔で互いに離隔し且つ壁面31に沿うように上下方向に延びる状態で、配置されている。各支持材5は、少なくとも二つのブラケットXにわたって配置されている。本実施形態では、支持材5は、中空角材の形態を有する鋼製の胴縁(縦胴縁)である。このような構成に代えて、支持材5としては、木製のものを用いてもよい。また、支持材5は、ブラケットXに対して固定される第1接合部5aと、第1接合部5aにおける壁面31とは反対の側と接続する第2接合部5bとを有する。
【0129】
図21および
図22に示すように、本実施形態では、締結部材41に代えて締結部材46,47によってブラケットXが壁面31に固定されていること以外は
図11を参照して上述したのと同様の態様で、壁面31に対してブラケットXおよび支持材5が組付けられている。すなわち、本実施形態では、支持材5の第1接合部5aは、ブラケットXの第2固定部20におけるリブ部22の面22Aと第1壁部23aと第2壁部24aとに当接し、リブ部22を面22Aとは反対の側から貫通して第1接合部5aに至る締結部材42,43によってブラケットXと支持材5とが締結されて固定されている。
【0130】
図22に示される組付け態様では、ブラケットXは、面材3ないし壁面31および鋼材4に対して固定され、且つ、壁面31に対して垂直な方向において、鋼材4とブラケットXと支持材5とが一直線上に配置されている。このような構成は、例えば
図10に示される組付け態様よりも、建物壁構造Z1において外壁板2を安定して支持するのに適する。
【0131】
また、建物壁構造Z1におけるブラケットXによる支持材5の組付けには、
図17を参照して上述したように、ブラケットXとともに延長部材Yを用いることもできる。
【0132】
複数のブラケットXに対する複数の支持材5の複数の固定箇所における少なくとも一部の固定箇所では、締結部材41に代えて締結部材46,47によってブラケットXが壁面31に固定されていること以外は
図10を参照して上述したのと同様の態様で、壁面31に対してブラケットXおよび支持材5が組付けられてもよい。すなわち、本実施形態では、支持材5の第1接合部5aは、ブラケットXの第2固定部20における基材部21の面21Aに当接し、基材部21を面21Aとは反対の側から貫通して第1接合部5aに至る締結部材42,43によってブラケットXと支持材5とが締結されて固定されていてもよい。その場合、ブラケットXによる支持材5の組付けには、
図16を参照して上述したように、ブラケットXとともに延長部材Yを用いてもよい。
【0133】
外壁板2は、例えば、左右方向に長い略矩形状の板材である。外壁板2の構成材料としては、例えば、セメントを含む窯業系材料が挙げられる。これに代えて、外壁板2は、金属系板材、木質系板材、または樹脂系板材であってもよい。また、外壁板2は、例えば、レンガ柄等のデザインが施された外装面を有してもよい。
【0134】
建物壁構造Z1における外壁板2の上下方向の各縁端部は、例えば、
図21に示されるように、上下方向に隣り合う外壁板2との相決り継ぎ合わせのための上実構造2aおよび下実構造2bを有する。また、外壁板2の左右方向の各縁端部は、左右方向に隣り合う外壁板2との相決り継ぎ合わせのための上実構造または下実構造を有し、そのような外壁材2が、左右方向において相決り継合せされていてもよい。或いは、左右方向に隣り合う外壁材2の左右方向の各縁端部は上実構造または下実構造を有さず、いわゆるハットジョイナーやシーリングを介して継ぎ合わされていてもよい。
【0135】
このような外壁板2は、支持材5における第2接合部5bに対して、ドリルねじなどによる締結手法で取り付けられていてもよいし、第2接合部5bに取り付けられた所定の取付具によって取り付けられていてもよい。
図20から
図22には、当該取り付けのための取付具48を例示的に図示する。
【0136】
以上のような構成の建物壁構造Z1においては、上述のブラケットXが用いられる。したがって、建物壁構造Z1によると、それに含まれるブラケットXにおいて、ブラケットXに関して上述したのと同様の技術的効果が奏される。
【0137】
図23から
図25は、本発明の第3の実施形態に係る建物壁構造Z2を表す。
図23は、建物壁構造Z2の斜視図(部分切欠き斜視図)である。
図24は、建物壁構造Z1におけるブラケットXおよびその近傍を右側から視認した部分断面図である。
図25は、建物壁構造Z1におけるブラケットXおよびその近傍を上方から視認した部分断面図である。建物壁構造Z2は、壁面31に対するブラケットXの取付け配向、ブラケットXに固定される支持材5が横支持材として組付けられていること、および、縦支持材としての追加支持材8を更に備える点において、上述の建物壁構造Z1と異なる。
【0138】
複数のブラケットXは、上下方向および左右方向に所定の間隔で互いに離間する状態で、壁面31に配置されている。
図25によく表れているように、ブラケットXは、面材3を介して鋼材4に対向する箇所に配置されている。
【0139】
本実施形態における複数の支持材5は、上下方向に所定の間隔で互いに離隔し且つ壁面31に沿うように左右方向(水平方向)に延びる状態で、配置されている。各支持材5は、少なくとも二つのブラケットXにわたって配置されている。本実施形態では、支持材5は、中空角材の形態を有する鋼製の胴縁(横胴縁)である。このような構成に代えて、支持材5としては、木製のものを用いてもよく、また、L字形の横断面を有するものを用いてもよい。また、支持材5は、ブラケットXに対して固定される第1接合部5aと、第1接合部5aにおける壁面31とは反対の側と接続する第2接合部5bとを有する。
【0140】
図24および
図25に示すように、本実施形態では、締結部材41に代えて締結部材46,47によってブラケットXが壁面31に固定されていること以外は
図13を参照して上述したのと同様の態様で、壁面31に対してブラケットXおよび支持材5が組付けられている。すなわち、本実施形態では、支持材5の第1接合部5aは、ブラケットXの第2固定部20におけるリブ部22の面22Aと第1壁部23aと第2壁部24aとに当接し、リブ部22を面22Aとは反対の側から貫通して第1接合部5aに至る締結部材42,43によってブラケットXと支持材5とが締結されている。また、ブラケットXによる支持材5の組付けには、例えば
図18を参照して上述したのと同様に、ブラケットXとともに延長部材Yを用いることもできる。
【0141】
複数のブラケットXに対する複数の支持材5の複数の固定箇所における少なくとも一部の固定箇所では、締結部材41に代えて締結部材46,47によってブラケットXが壁面31に固定されていること以外は
図12を参照して上述したのと同様の態様で、壁面31に対してブラケットXおよび支持材5が組付けられてもよい。すなわち、本実施形態では、支持材5の第1接合部5aは、ブラケットXの第2固定部20における基材部21の面21Aに当接し、基材部21を面21Aとは反対の側から貫通して第1接合部5aに至る締結部材42,43によってブラケットXと支持材5とが締結されてもよい。その場合、ブラケットXによる支持材5の組付けには、例えば
図19を参照して上述したのと同様に、ブラケットXとともに延長部材Yを用いてもよい。
【0142】
複数の追加支持材8は、左右方向(水平方向)に所定の間隔で互いに離隔し且つ壁面31に沿うように上下方向に延びる状態で、配置されている。各追加支持材8は、少なくとも二本の支持材5にわたって配置されており、支持材5に対しては例えば所定のネジによって締結されている。本実施形態では、追加支持材8は、長尺の板材であって、横断面にてハット形状を有する。
【0143】
外壁板2は、本実施形態では、追加支持材8に対して、ドリルねじなどによる締結によって取り付けられていてもよいし、所定の取付具によって取り付けられていてもよい。
図23から
図25には、当該取り付けのための取付具48を例示的に図示する。
【0144】
以上のような構成の建物壁構造Z2においては、上述のブラケットXが用いられる。したがって、建物壁構造Z2によると、それに含まれるブラケットXにおいて、ブラケットXに関して上述したのと同様の技術的効果が奏される。
【0145】
建物壁構造Z2は、上述のように、少なくとも二つの支持材5にわたって配置された複数の追加支持材8を更に備え、追加支持材8は、少なくとも二つの支持材5における第2接合部5bに取り付けられており、外壁板2(板材)は、追加支持材8に対して取り付けられている。このような構成は、ブラケットXの配設ピッチ(本実施形態では左右方向のピッチ)とは異なるピッチ(例えば同ピッチよりも小さいピッチ)で複数の追加支持材8を配置したうえで、追加支持材8に外壁板2を取り付けるのに適し、従って、外壁材2をより一層安定して支持するのに適する。
【0146】
上述の建物壁構造Z1,Z2の施工するための方法は、共に、次のような第1工程、第2工程、および第3工程を含む。
【0147】
第1工程では、壁面31に対して複数のブラケットXを取り付ける。第1工程では、ブラケットXの第1固定部10の面11を壁面31に当接させ、第1固定部10を面11とは反対の側から貫通して壁面31に至る所定の締結部材(第1締結部材)によってブラケットXと壁面31とを締結する。
【0148】
第2工程では、壁面31上に取り付けられた少なくとも二つのブラケットXに対して支持材5を固定する。支持材5は、ブラケットXに対して固定される第1接合部5aと、当該第1接合部5aにおける壁面31とは反対の側と接続する第2接合部5bとを有する。
【0149】
第2工程では、具体的には、支持材5の第1接合部5aを、ブラケットXの第2固定部20における基材部の面12に当接させ、基材部を面12とは反対の側から貫通して第1接合部5aに至る所定の締結部材(第2締結部材)によってブラケットXと支持材5とを締結する。或いは、第2工程では、支持材5の第1接合部5aを、ブラケットXの第2固定部20におけるリブ部22の面22Aと第1壁部23aと第2壁部24aとに当接させ、リブ部22を面22Aとは反対の側から貫通して第1接合部5aに至る所定の締結部材(第2締結部材)によってブラケットXと支持材5とを締結する。
【0150】
第3工程では、支持材5に対して直接的に又は間接的に外壁板2を取り付ける。
【0151】
このような施工方法においては、上述のブラケットXが用いられる。したがって、本施工方法によると、ブラケットXに関して上述したのと同様の技術的効果が奏される。
【0152】
構造体1は、S造に代えて鉄筋コンクリート造(RC造)であってもよい。構造体1がRC造である場合、躯体構造物の壁面31はモルタルよりなり、そのような壁面31に対し、ブラケットXは、締結部材としてアンカーボルトが用いられて締結される。
【符号の説明】
【0153】
X ブラケット
D1 第1方向
D2 第2方向
W 幅方向
10 第1固定部
20 第2固定部
11 面(第1面)
12 面
13 第3側壁部
14 第4側壁部
21 基材部
21A 面(第2面)
21B 面
22 リブ部
22A 面(第3面)
23 第1側壁部
23a 第1壁部
23b 第1高壁部
24 第2側壁部
24a 第2壁部
24b 第1高壁部
L 基準線
H1~H12 穴
Y 延長部材
60 延長基材部
60A 面(第4面)
60B 面(第5面)
61 第1延長側壁部
62 第2延長側壁部
Z1,Z2 建物壁構造
1 構造体
2 外壁材
5 第1支持材
8 第2支持材
5a 第1接合部
5b 第2接合部
41,46,47 締結部材(第1締結部材)
42,43 締結部材(第2締結部材)
44,45 締結部材(第3締結部材)