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  • 特許-評価装置、評価方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】評価装置、評価方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230725BHJP
   G06Q 50/26 20120101ALI20230725BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q50/26
G05B23/02 T
G05B23/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019177381
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021056632
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 俊貴
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-002474(JP,A)
【文献】特開2017-210738(JP,A)
【文献】特開2003-200199(JP,A)
【文献】特開2009-297606(JP,A)
【文献】特開2008-036529(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0112151(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
C02F 1/58- 1/64
C02F 1/70- 1/78
C02F 3/12
C02F 3/28- 3/34
C02F 11/00-11/20
G01N 33/00-33/46
G05B 23/00-23/02
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価する評価装置であって、
前記統合後の下水処理場群の各下水処理場における、環境負荷除去量のデータと、資源回収量のデータと、温室効果ガス排出量のデータとを取得するデータ取得部と、
前記各下水処理場における、前記環境負荷除去量のデータと、前記資源回収量のデータと、前記温室効果ガス排出量のデータとに基づいて、前記統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価するための総合評価指標を算出する制御部と、を備え
前記制御部は、前記総合評価指標を下記の式(1)に基づいて算出する、評価装置。
【数1】
【請求項2】
請求項に記載の評価装置において、
前記環境負荷除去量、前記資源回収量、及び前記温室効果ガス排出量は、それぞれ、下記の式(2)~(4)で算出されている、評価装置。
環境負荷除去量=α1×有機物除去量+α2×窒素除去量+α3×リン除去量 (2)
資源回収量=β1×リン回収量+β2×有価物回収量 (2)
温室効果ガス排出量=γ1×電力消費量+γ2×燃料使用量+γ3×水処理排出量
+γ4×汚泥焼却排出量 (4)
ただし、式(2)における、α1~α3は係数であり、式(3)における、β1~β2は係数であり、式(4)における、γ1~γ4は係数である。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の評価装置において、
前記制御部は、式(1)に基づいて前記総合評価指標を算出する際、前記各下水処理場における環境負荷除去量の総和、前記各下水処理場における資源回収量の総和、及び前記各下水処理場における温室効果ガス排出量の総和について重み付けをした上で、前記総合評価指標を算出する、評価装置。
【請求項4】
統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価する評価装置における評価方法であって、
前記統合後の下水処理場群の各下水処理場における、環境負荷除去量のデータと、資源回収量のデータと、温室効果ガス排出量のデータとを取得するステップと、
前記各下水処理場における、前記環境負荷除去量のデータと、前記資源回収量のデータと、前記温室効果ガス排出量のデータとに基づいて、前記統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価するための総合評価指標を算出するステップと、を含み、
前記総合評価指標を算出するステップは、前記総合評価指標を下記の式(1)に基づいて算出する、評価方法。
【数2】
【請求項5】
統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価する評価装置に、
前記統合後の下水処理場群の各下水処理場における、環境負荷除去量のデータと、資源回収量のデータと、温室効果ガス排出量のデータとを取得するステップと、
前記各下水処理場における、前記環境負荷除去量のデータと、前記資源回収量のデータと、前記温室効果ガス排出量のデータとに基づいて、前記統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価するための総合評価指標を算出するステップと、を実行させ
前記総合評価指標を算出するステップは、前記総合評価指標を下記の式(1)に基づいて算出する、プログラム。
【数3】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価装置、評価方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な観点に基づいて、下水処理場の運転計画が立案されている。下水処理場の運転計画を立案する際に考慮される観点としては、例えば、電力使用量の低減、及び環境負荷の低減などが挙げられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、水環境に対する環境負荷を低減することができる下水設備の運転計画を立案するための装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-167874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの地方公共団体において、人口減少などを背景として、従来通りの下水道事業の運営を継続することが困難になりつつあることが危惧されている。
【0006】
下水道事業の運営を継続していくためには、下水道事業を効率化することが有効であると考えられる。下水道事業を効率化するための方策として、下水道事業の広域化・共同化が注目されている。
【0007】
下水道事業の広域化・共同化の一例として、例えば、一つの河川の流域にある下水処理場群を統廃合することが考えられる。下水処理場群の統廃合を計画する際には、統合後の下水処理場群の能力を定量的な指標に基づいて総合的に評価できることが望ましい。
【0008】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、統合後の下水処理場群の能力を定量的な指標に基づいて総合的に評価することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る評価装置は、
統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価する評価装置であって、
前記統合後の下水処理場群の各下水処理場における、環境負荷除去量のデータと、資源回収量のデータと、温室効果ガス排出量のデータとを取得するデータ取得部と、
前記各下水処理場における、前記環境負荷除去量のデータと、前記資源回収量のデータと、前記温室効果ガス排出量のデータとに基づいて、前記統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価するための総合評価指標を算出する制御部と、を備える。
【0010】
本発明の一実施形態に係る評価方法は、
統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価する評価装置における評価方法であって、
前記統合後の下水処理場群の各下水処理場における、環境負荷除去量のデータと、資源回収量のデータと、温室効果ガス排出量のデータとを取得するステップと、
前記各下水処理場における、前記環境負荷除去量のデータと、前記資源回収量のデータと、前記温室効果ガス排出量のデータとに基づいて、前記統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価するための総合評価指標を算出するステップと、を含む。
【0011】
本発明の一実施形態に係るプログラムは、
統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価する評価装置に、
前記統合後の下水処理場群の各下水処理場における、環境負荷除去量のデータと、資源回収量のデータと、温室効果ガス排出量のデータとを取得するステップと、
前記各下水処理場における、前記環境負荷除去量のデータと、前記資源回収量のデータと、前記温室効果ガス排出量のデータとに基づいて、前記統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価するための総合評価指標を算出するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、統合後の下水処理場群の能力を定量的な指標に基づいて総合的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る評価装置の概略構成を示す図である。
図2】河川の流域に複数の下水処理場が設置されている様子を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る評価装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る評価装置10の概略構成を示す図である。評価装置10は、統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価する評価装置である。
【0016】
ここで、「統合後の下水処理場群」との用語について、図2を参照して説明する。図2は、河川30の流域に、下水処理場20-1~20-3が設置されている様子を示す図である。
【0017】
例えば、下水処理場20-1~20-3の運営を管理している地方公共団体が、下水道事業を効率化するために、共通の河川30の流域に設置されている下水処理場20-1~20-3の統廃合を計画しているものとする。下水処理場20-1~20-3は、1つの地方公共団体が運営を管理している場合もあるし、複数の地方公共団体が運営を管理している場合もある。
【0018】
地方公共団体は、下水処理場20-1~20-3の統廃合を計画する際、様々な組み合わせで下水処理場20-1~20-3を統廃合することを計画しうる。例えば、地方公共団体は、下水処理場20-1を廃止し、下水処理場20-1~20-3によって行われている処理を、下水処理場20-2及び20-3に統合することを計画しうる。この場合、「統合後の下水処理場群」は、下水処理場20-2及び20-3のことを意味する。また、例えば、地方公共団体は、下水処理場20-2を廃止し、下水処理場20-1~20-3によって行われている処理を、下水処理場20-1及び20-3に統合することを計画しうる。この場合、「統合後の下水処理場群」は、下水処理場20-1及び20-3のことを意味する。また、例えば、地方公共団体は、下水処理場20-3を廃止し、下水処理場20-1~20-3によって行われている処理を、下水処理場20-1及び20-2に統合することを計画しうる。この場合、「統合後の下水処理場群」は、下水処理場20-1及び20-2のことを意味する。
【0019】
また、例えば、地方公共団体は、下水処理場20-1及び20-2を廃止し、下水処理場20-1~20-3によって行われている処理を、下水処理場20-3に統合することを計画しうる。この場合、「統合後の下水処理場群」は、下水処理場20-3のことを意味する。このように、「統合後の下水処理場群」との用語は、1つの下水処理場20-3のことを意味してもよい。
【0020】
また、例えば、地方公共団体は、下水処理場20-1~20-3を残したまま、下水処理場20-1の設備の一部を廃止して、下水処理場20-1の廃止される設備によって行われている処理が、下水処理場20-3の対応する設備によって行われるように統合することを計画しうる。この場合、「統合後の下水処理場群」は、下水処理場20-1~20-3のことを意味する。このように、「統合後の下水処理場群」との用語が、現状の下水処理場20-1~20-3と同じ下水処理場群を意味してもよい。
【0021】
図1に示す評価装置10は、下水処理場群を様々な組み合わせで統廃合したそれぞれの場合について、統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価しうる。評価装置10のユーザは、統合後の下水処理場群の様々な組み合わせについて算出された総合的な評価を比較することで、下水処理場20-1~20-3をどのように統廃合することが効率的であるかを判断することができる。
【0022】
以後、下水処理場20-1~20-3について、特に区別する必要がない場合は、単に下水処理場20と記載して説明する。
【0023】
なお、図2は、下水処理場群の統廃合について説明するために一例として示したものであり、統廃合の検討対象となっている下水処理場20の数は、3つに限られず任意の数であってよい。また、統合後の下水処理場群の数は、任意の数であってよい。また、統合後の下水処理場群には、既設の下水処理場20だけでなく、新設が予定されている下水処理場20が含まれていてもよい。
【0024】
再び図1に戻って、評価装置10について説明する。評価装置10は、汎用の情報処理装置であってもよいし、統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価するための専用の情報処理装置であってもよい。評価装置10が汎用の情報処理装置である場合、評価装置10は、例えば、サーバ、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC又はタブレット端末等であってよい。
【0025】
評価装置10は、入力部11と、通信部12と、データ取得部13と、表示部14と、記憶部15と、制御部16とを備える。
【0026】
入力部11は、例えば、キーボード、マウス又はタッチパネル等の、ユーザによる操作を受け付ける任意の入力インタフェースである。入力部11は、ユーザの操作によって、下水処理場20についての各種データの入力を受け付けることができる。
【0027】
通信部12は、無線又は有線を介して外部装置と通信する通信インタフェースである。例えば、各下水処理場20を管理している管理サーバがネットワークを介して通信部12と接続している場合、通信部12は、下水処理場20の管理サーバと通信することができる。
【0028】
データ取得部13は、入力部11又は通信部12を介して、下水処理場20についての各種データを取得する。データ取得部13は、例えば、統合後の下水処理場群の各下水処理場20における、環境負荷除去量のデータと、資源回収量のデータと、温室効果ガス排出量のデータとを取得する。例えば、統合後の下水処理場群が下水処理場20-2及び20-3である場合、データ取得部13は、下水処理場20-2及び20-3における、環境負荷除去量のデータと、資源回収量のデータと、温室効果ガス排出量のデータとを取得する。
【0029】
環境負荷除去量のデータ、資源回収量のデータ、及び温室効果ガス排出量のデータは、下水処理場20の現状の実績に基づくデータであってよい。または、統合に伴い下水処理場20を改修する予定がある場合は、環境負荷除去量のデータ、資源回収量のデータ、及び温室効果ガス排出量のデータは、改修後の下水処理場20における見込みデータであってよい。あるいは、新設される予定の下水処理場20が統合後の下水処理場群に含まれている場合は、新設される予定の下水処理場20における、環境負荷除去量のデータ、資源回収量のデータ、及び温室効果ガス排出量のデータは、新設される下水処理場20における見込みデータであってよい。
【0030】
環境負荷除去量は、下水処理場20が所定の量の汚水を処理する際に除去する環境負荷の量である。環境負荷除去量は、下水処理場20がどのような方式で汚水を処理しているか、及び、どのような規模の汚水処理施設を有しているかなどに依存する。
【0031】
環境負荷除去量は、以下の式に基づいて算出される量であってよい。
環境負荷除去量=α1×有機物除去量+α2×窒素除去量+α3×リン除去量
ここで、有機物除去量、窒素除去量及びリン除去量は、それぞれ、下水処理場20が所定の量の汚水を処理する際に除去する、有機物、窒素及びリンの量である。また、α1、α2及びα3は、それぞれ、有機物除去量、窒素除去量及びリン除去量を化学的酸素要求量(COD:Chemical Oxygen Demand)に換算するための係数である。
【0032】
資源回収量は、下水処理場20が所定の量の汚水を処理する際に回収する資源の量である。資源回収量は、下水処理場20がどのような方式で資源を回収しているか、及び、どのような規模の資源回収施設を有しているかなどに依存する。
【0033】
資源回収量は、以下の式に基づいて算出される量であってよい。
資源回収量=β1×リン回収量+β2×有価物回収量
ここで、リン回収量及び有価物回収量は、それぞれ、下水処理場20が所定の量の汚水を処理する際に回収する、リン及び有価物の量である。また、β1及びβ2は、それぞれ、リン回収量及び有価物回収量をCODに換算するための係数である。
【0034】
下水処理場20において回収される有価物は、特に限定するものではないが、例えば、バイオプラスチック及びアスタキサンチンなどである。
【0035】
温室効果ガス排出量は、下水処理場20が所定の量の汚水を処理する際に排出する温室効果ガスの量である。温室効果ガス排出量は、下水処理場20がどのような方式で汚水を処理しているかなどに依存する。
【0036】
温室効果ガス排出量は、以下の式に基づいて算出される量であってよい。
温室効果ガス排出量=γ1×電力消費量+γ2×燃料使用量+γ3×水処理排出量
+γ4×汚泥焼却排出量
ここで、電力消費量は、下水処理場20が所定の量の汚水を処理する際に、下水処理場20の設備全体によって消費される電力の量である。燃料使用量は、下水処理場20が所定の量の汚水を処理する際に使用する都市ガス及び重油などのような燃料の量である。水処理排出量は、下水処理場20が所定の量の汚水を処理する際に、水処理の過程で排出するCH4及びN2Oなどの量である。汚泥焼却排出量は、下水処理場20が所定の量の汚水を処理する際に、汚泥焼却の過程で排出するN2Oなどの量である。また、γ1、γ2、γ3及びγ4は、それぞれ、電力消費量、燃料使用量、水処理排出量及び汚泥焼却排出量を、温室効果ガスであるCO2の排出量に換算するための係数である。
【0037】
表示部14は、任意のディスプレイである。表示部14は、例えば液晶ディスプレイ又はOEL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等であってよい。
【0038】
記憶部15は、制御部16によって実行されるプログラム等を記憶する。記憶部15は、例えば制御部16による演算結果などの各種データを記憶する。記憶部15は、制御部16のワークメモリとして機能してよい。記憶部15は、例えば半導体メモリ及び磁気メモリ等により構成されてよい。記憶部15は、制御部16と一体に構成されてよい。
【0039】
制御部16は、評価装置10の各構成部を制御する。制御部16は、例えばプロセッサとして構成される。制御部16は、1以上のプロセッサを含んでよい。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、及び特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(Integrated Circuit)を含んでよい。特定用途向けICは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)ともいう。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイスを含んでよい。プログラマブルロジックデバイスは、PLD(Programmable Logic Device)ともいう。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。制御部21は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、及びSiP(System in a Package)のいずれかであってよい。
【0040】
制御部16は、統合後の各下水処理場20における、環境負荷除去量のデータと、資源回収量のデータと、温室効果ガス排出量のデータとに基づいて、統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価するための総合評価指標を算出する。
【0041】
制御部16は、統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価するための総合評価指標として、以下の式(1)に基づいて算出される値を用いてもよい。
【0042】
【数1】
【0043】
式(1)において、Σ(各下水処理場における環境負荷除去量)は、統合後の下水処理場群に含まれる各下水処理場20における環境負荷除去量の総和を意味する。例えば、統合後の下水処理場群が下水処理場20-2及び20-3である場合、Σ(各下水処理場における環境負荷除去量)は、下水処理場20-2における環境負荷除去量と、下水処理場20-3における環境負荷除去量との和を意味する。
【0044】
式(1)において、Σ(各下水処理場における資源回収量)は、統合後の下水処理場群に含まれる各下水処理場20における資源回収量の総和を意味する。例えば、統合後の下水処理場群が下水処理場20-2及び20-3である場合、Σ(各下水処理場における資源回収量)は、下水処理場20-2における資源回収量と、下水処理場20-3における資源回収量との和を意味する。
【0045】
式(1)において、Σ(各下水処理場における温室効果ガス排出量)は、統合後の下水処理場群に含まれる各下水処理場20における温室効果ガス排出量の総和を意味する。例えば、統合後の下水処理場群が下水処理場20-2及び20-3である場合、Σ(各下水処理場における温室効果ガス排出量)は、下水処理場20-2における温室効果ガス排出量と、下水処理場20-3における温室効果ガス排出量との和を意味する。
【0046】
制御部16は、算出した総合評価指標の値を、表示部14に表示させてよい。
【0047】
続いて、図3に示すフローチャートを参照して、本発明の一実施形態に係る評価装置10の動作について説明する。
【0048】
データ取得部13は、入力部11又は通信部12を介して、統合後の下水処理場群の各下水処理場20における、環境負荷除去量のデータと、資源回収量のデータと、温室効果ガス排出量のデータとを取得する(ステップS101)。例えば、統合後の下水処理場群が下水処理場20-2及び20-3である場合、データ取得部13は、下水処理場20-2及び20-3における、環境負荷除去量のデータと、資源回収量のデータと、温室効果ガス排出量のデータとを取得する。
【0049】
制御部16は、データ取得部13によって取得された、統合後の各下水処理場20における、環境負荷除去量のデータと、資源回収量のデータと、温室効果ガス排出量のデータとに基づいて、総合評価指標を算出する(ステップS102)。
【0050】
評価装置10は、ステップS102の処理を行った後、統合後の下水処理場群として、下水処理場20の異なる組み合わせについて総合評価指標を算出する場合は、下水処理場20の異なる組み合わせについて、再度、ステップS101~S102の処理を繰り返す。評価装置10のユーザは、統合後の下水処理場群として、様々な組み合わせの下水処理場20について、ステップS101~S102の処理を繰り返すことで、下水処理場20の様々な組み合わせについて、総合評価指標の値を得ることができる。従って、評価装置10のユーザは、統合後の下水処理場群として、様々な組み合わせの下水処理場20について、総合評価指標の値を比較することができる。
【0051】
以上述べたように、本実施形態に係る評価装置10によれば、制御部16は、統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価する際に、統合後の下水処理場群の各下水処理場20における、環境負荷除去量のデータと、資源回収量のデータと、温室効果ガス排出量のデータとに基づいて、統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価するための総合評価指標を算出する。従って、本実施形態に係る評価装置10は、統合後の下水処理場群の能力を定量的な指標に基づいて総合的に評価することができる。
【0052】
(重み付けをつけた総合評価指標の算出)
制御部16は、総合評価指標を算出する際、各下水処理場20における環境負荷除去量の総和、各下水処理場20における資源回収量の総和、及び各下水処理場20における温室効果ガス排出量の総和について重み付けをした上で、総合評価指標を算出してよい。制御部16は、例えば、以下の式(2)のように重み付けをつけて、総合評価指標を算出してよい。
【0053】
【数2】
【0054】
式(2)において、w1は、各下水処理場20における環境負荷除去量の総和に対する重み付け係数である。w2は、各下水処理場20における資源回収量の総和に対する重み付け係数である。w3は、各下水処理場20における温室効果ガス排出量の総和に対する重み付け係数である。
【0055】
重み付け係数w1~w3は、例えば、ユーザによる入力部11への入力を受け付けることによって設定されてよい。ユーザによって入力された重み付け係数w1~w3は、記憶部15に記憶されていてよい。
【0056】
重み付け係数w1~w3は、総合評価指標を算出する際に重視する項目に対する重み付け係数が大きくなるように設定すればよい。例えば、下水処理場20から放出される水の水質を重視する地域においては、各下水処理場20における環境負荷除去量の総和に対する重み付け係数であるw1が大きくなるように重み付け係数を設定すればよい。また、下水処理場20から回収できる資源の量を重視する地域においては、各下水処理場20における資源回収量の総和に対する重み付け係数であるw2が大きくなるように重み付け係数を設定すればよい。また、下水処理場20から放出される温室効果ガス排出量を低減することを重視する地域においては、各下水処理場20における温室効果ガス排出量の総和に対する重み付け係数であるw3が大きくなるように重み付け係数を設定すればよい。
【0057】
このように、重み付けをつけて総合評価指標を算出することで、評価装置10は、下水処理場群が設置されている地域特有の実情にあった総合評価指標を用いて、統合後の下水処理場群の能力を総合的に評価することができる。
【0058】
本発明を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段及びステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、本発明について装置を中心に説明してきたが、本発明は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0059】
10 評価装置
11 入力部
12 通信部
13 データ取得部
14 表示部
15 記憶部
16 制御部
20 下水処理場
30 河川
図1
図2
図3