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  • 特許-閉鎖配電盤、相間仕切り 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】閉鎖配電盤、相間仕切り
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/20 20060101AFI20230725BHJP
   H02B 1/28 20060101ALN20230725BHJP
【FI】
H02B1/20 C
H02B1/28 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019236326
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021106457
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】榊原 大雄
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-137086(JP,A)
【文献】国際公開第2019/150426(WO,A1)
【文献】実開昭55-158606(JP,U)
【文献】特開昭54-131739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/20
H02B 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置されている複数の水平母線と、
複数の前記水平母線にそれぞれ接続されている複数の垂直母線と、
絶縁材料で形成され、ベース板と、前記垂直母線の間に位置して前記ベース板から立ち上がっている壁部とを有する母線バリアと、
絶縁材料で形成され、複数の前記垂直母線を前記壁部の先端側から覆うカバー板を有する母線カバーと、
絶縁材料で形成され、隣り合う前記垂直母線間に位置する仕切り板を有し、前記カバー板の変形により生じる前記壁部の先端との間の隙間を絶縁する相間仕切りと、
を備える閉鎖配電盤。
【請求項2】
前記相間仕切りは、前記母線カバーと別体に形成されており、前記壁部に沿って平板状に形成されている2つの前記仕切り板と、それぞれの前記仕切り板を接続する平板状の接続板とにより断面視にてU字状に形成されていて、前記母線バリアと前記母線カバーとにより囲まれている空間に配置されている請求項1記載の閉鎖配電盤。
【請求項3】
前記相間仕切りは、前記母線カバーと一体に形成されており、前記ベース板から前記壁部に沿って立ち上がっている前記仕切り板を有している請求項1記載の閉鎖配電盤。
【請求項4】
筐体と、前記筐体内に配置されている複数の水平母線と、複数の前記水平母線にそれぞれ接続されている複数の垂直母線と、絶縁材料で形成され、ベース板と、前記垂直母線の間に位置して前記ベース板から立ち上がっている壁部とを有する母線バリアと、絶縁材料で形成され、複数の前記垂直母線を前記壁部の先端側から覆うカバー板を有する母線カバーと、を有する閉鎖配電盤に設けられ、
絶縁材料で形成され、隣り合う前記垂直母線間に位置する仕切り板を有し、前記カバー板の変形により生じる前記壁部の先端との間の隙間を絶縁する仕切り板を有する相間仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、閉鎖配電盤、閉鎖配電盤に用いる相間仕切りに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば三相交流電源に接続されている複数の水平母線と、各水平母線にそれぞれ接続されている複数の垂直母線とを収容している閉鎖配電盤が知られている。このような閉鎖配電盤では、例えば特許文献1に記載されているように、異相の母線間にアークが発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-117078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アークは、異相の水平母線間だけでなく、異相の垂直母線間でも発生する可能性がある。そのため、近年では、異相の垂直母線間に絶縁材料で形成した壁部を設けることにより、また、壁部の先端側から各相の垂直母線を覆う母線カバーを設けることにより、異相の垂直母線間でのアークの発生を抑制することが行われている。
【0005】
しかしながら、アークが発生した場合には、その際の圧力によって母線カバーが変形して壁部の先端との間に隙間が生じることにより、異相の垂直母線間の絶縁性が低下するおそれがある。そして、異相の垂直母線間で絶縁性が低下すると、アークが継続して発生する要因となるおそれがある。
【0006】
そこで、異相の垂直母線間の絶縁性が低下することを抑制し、アークが継続して発生してしまうことを抑制できる閉鎖配電盤、および閉鎖配電盤に用いる相間仕切りを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の閉鎖配電盤は、筐体と、筐体内に配置されている複数の水平母線と、複数の水平母線にそれぞれ接続されている複数の垂直母線と、絶縁材料で形成され、ベース板と、垂直母線の間に位置してベース板から立ち上がっている壁部とを有する母線バリアと、絶縁材料で形成され、複数の垂直母線を壁部の先端側から覆うカバー板を有する母線カバーと、絶縁材料で形成され、隣り合う垂直母線間に位置する仕切り板を有し、カバー板の変形により生じる壁部の先端との間の隙間を絶縁する相間仕切りと、を備える。
【0008】
実施形態の相間仕切りは、筐体と、筐体内に配置されている複数の水平母線と、複数の水平母線にそれぞれ接続されている複数の垂直母線と、絶縁材料で形成され、ベース板と、垂直母線の間に位置してベース板から立ち上がっている壁部とを有する母線バリアと、絶縁材料で形成され、複数の垂直母線を壁部の先端側から覆うカバー板を有する母線カバーと、を有する閉鎖配電盤に設けられ、絶縁材料で形成され、隣り合う垂直母線間に位置する仕切り板を有し、カバー板の変形により生じる壁部の先端との間の隙間を絶縁する仕切り板を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の閉鎖配電盤の外観を模式的に示す図
図2】水平母線および垂直母線の配置を模式的に示す図
図3】相間仕切りの取り付け態様を模式的に示す図
図4】アーク発生時の挙動を模式的に示す図
図5】他の相間仕切りの構成を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。閉鎖配電盤1は、図1に示すように、設置状態において縦長の概ね直方体状の筐体2を備えている。この閉鎖配電盤1は、前板3側に機器収容室4を備えており、例えばモータ制御装置等のユニット5を上下方向に複数個収容可能になっている。また、閉鎖配電盤1は、機器収容室4の後方に母線収容室6を備えている。以下、閉鎖配電盤1の前板3側を前、その反対側を後ろとし、前板3側から見た左右方向を左右とし、高さ方向を上下として説明する。
【0011】
この母線収容室6には、図2に示すように、各ユニット5に電力を供給するための導体である複数の水平母線7と、各水平母線7にそれぞれ接続されている複数の垂直母線8とが収容されている。水平母線7は、例えば銅材料により平板状に形成されている。この水平母線7は、例えばいわゆるR相、S相、T相の三相分が設けられている。以下、R相の水平母線7を便宜的に水平母線7(R)とも称し、S相の水平母線7を便宜的に水平母線7(S)とも称し、T相の水平母線7を便宜的に水平母線7(T)とも称する。
【0012】
各垂直母線8は、断面視にてL字状に形成されており、L字の一辺が対応する相の水平母線7に接続され、L字の他辺がユニット5側に立ち上がった状態で配置されている。このとき、垂直母線8には、他相の水平母線7と接触しないように、また、他相の水平母線7との間の絶縁性を確保するために、水平母線7とオーバーラップする範囲に絶縁性の保護部材9が設けられている。以下、R相の垂直母線8を便宜的に垂直母線8(R)とも称し、S相の垂直母線8を便宜的に垂直母線8(S)とも称し、T相の垂直母線8を便宜的に垂直母線8(T)とも称する。
【0013】
これらの垂直母線8は、母線バリア10に収容されている。具体的には、母線バリア10は、各垂直母線8の後方に位置し、左右方向において垂直母線8の配置範囲を覆う大きさであって、垂直母線8の下端まで延びている平板状のベース板10aと、それぞれの垂直母線8の間に位置してベース板10aから立ち上がっている複数の平板状の壁部10bとを有している。そして、そして、垂直母線8は、壁部10bによって挟まれた位置に収容されている。
【0014】
この母線バリア10は、例えばエンジニアリングプラスチックなどの絶縁材料で形成されており、本実施形態では、強度を確保するために繊維強化プラスチックを採用している。そして、また、本実施形態の場合、母線バリア10は、各垂直母線8の両側に壁部10bを有しているが、隣り合う垂直母線8の間に壁部10bを有する構造であればよい。
【0015】
また、各垂直母線8は、壁部10bの先端側つまりは垂直母線8の前側が、母線カバー11によって覆われている。具体的には、母線カバー11は、垂直母線8の配置範囲の概ね全体を覆うとともに、概ね垂直母線8の下端側まで延びているカバー板11aを有している。そして、各垂直母線8は、そのカバー板11aによって覆われている。
【0016】
この母線カバー11は、カバー板11aの両端に設けられているフランジ部11bによって筐体2内の梁部2aに固定されている。なお、本実施形態では、垂直母線8の上端側に、母線カバー11とは別の平板状のカバー部材12を設けているが、必ずしもカバー部材12を設ける必要はなく、カバー部材12で覆っている範囲も母線カバー11で覆う構成とすることができる。あるいは、カバー部材12の平板状の部位をカバー板11aと見なすこともできる。
【0017】
この母線カバー11は、例えばエンジニアリングプラスチックなどの絶縁材料で形成されており、本実施形態では、強度を確保するために繊維強化プラスチックを採用している。また、カバー板11aは、基本的に壁部10bの先端との間に隙間が無い状態で配置されるとともに、ユニット5の電極5aに対応する位置に対応する複数の開口部11cが形成されている。これにより、ユニット5を前方から機器収容室4に押し込むことにより、挟み込みバネ構造の電極5aが垂直母線8のL字の辺を挟み込んで電源供給可能な状態になる。
【0018】
このように、各垂直母線8は、その周囲が母線バリア10と母線カバー11とによって囲まれた状態、つまりは、その周囲が基本的に絶縁されている状態で配置されている。そして、図3に示すように、母線バリア10と母線カバー11とによって囲まれている空間内に相間仕切り13が配置されている。
【0019】
この相間仕切り13は、本実施形態では、矢印にて示すように母線カバー11を取り付ける前に垂直母線8が収容されている空間に挿入される。また、本実施形態では他の垂直母線8が両隣に位置している垂直母線8(S)を収容している空間内に相間仕切り13を配置しているが、各垂直母線8を収容している空間にそれぞれ相間仕切り13を配置することもできる。また、相間仕切り13には、ユニット5の電極5aを挿入するための複数の開口部13aが形成されている。
【0020】
この相間仕切り13は、図4に通常状態として断面視にて示すように、母線カバー11とは別体に形成されており、空間を形成している壁部10bに沿って平板状に形成されている2つの仕切り板13bと、それぞれの仕切り板13bを接続する平板状の接続板13cとによってU字状に形成されている。つまり、相間仕切り13は、垂直母線8の前方および側方を囲っている。そして、仕切り板13bは、隣り合う垂直母線8間に位置して設けられており、隣り合う垂直母線8間を仕切っている。
【0021】
この相間仕切り13は、例えばエンジニアリングプラスチックなどの絶縁材料で形成されており、本実施形態では、ある程度の弾性を持たせるために塩化ビニル材料を採用している。そして、相間仕切り13は、その幅を壁部10b間の幅とほぼ同等に設定することにより、壁部10b間に摺動させて挿入およびある程度の固定をすることが可能となり、取り付けおよび取り外しを容易に行うことができるようになる。また、垂直母線8と直接的に接触しない状態で配置することができる。
【0022】
また、相間仕切り13の高さは、ベース板10aからカバー板11aまでの高さ以下に設定されている。これにより、空間に相間仕切り13を配置した際にカバー板11aが押し上げられてしまうことが防止されている。このとき、相間仕切り13の高さは、後述するようにカバー板11aが変形した際における壁部10bの先端との隙間を塞ぐことができるように設定されていればよい。また、垂直母線8のL字の部分よりも長くすることで、垂直母線8と直接的に接触しない状態で配置することができる。より平易には、相間仕切り13は、その幅と高さが、終了されている空間内で相間仕切り13が回転してしまわない範囲で設定されていればよい。
【0023】
次に上記した構成の作用について説明する。
前述のように、閉鎖配電盤1に設けられている異相の母線間にはアークが発生することがある。このとき、上記したように異相の垂直母線8間に絶縁材料で形成した壁部10bを設けるとともに、壁部10bの先端側から各相の垂直母線8を覆う母線カバー11を設けることにより、異相の垂直母線8間でのアークの発生をある程度抑制することができると考えられる。
【0024】
ただし、万が一アークが発生した場合には、図3にアーク発生状態として示すように、アーク発生時の空間内の圧力によってカバー板11aが押し上げられるように変形し、カバー板11aと壁部10bの先端との間に隙間(X)が生じることになる。そして、その隙間(X)は、異相の垂直母線8間に絶縁性の物体が存在しない部位を形成することになるため、異相の垂直母線8間の絶縁性が低下することになる。
【0025】
そして、異相の垂直母線8間の絶縁性が低下すると、アークが継続して発生する要因となるおそれがある。換言すると、隙間(X)が生じている場合には、その部位における絶縁性が低下していることから、アークが収束せずに繰り返し発生してしまうおそれがあった。そこで、本実施形態では、相間仕切り13を設けることにより、異相の垂直母線8間の絶縁性が低下することを抑制している。
【0026】
具体的には、図3のアーク発生状態にて示すように、アーク発生時の空間内の圧力によってカバー板11aと壁部10bの先端との間に隙間(X)が生じる際には、その圧力によって相間仕切り13も図示上方つまりはカバー板11a側に押し上げられることになる。このとき、相間仕切り13には、壁部10bに沿った平板状に形成され、絶縁性を有している仕切り板13bが設けられている。
【0027】
そのため、アーク発生時の圧力によって相間仕切り13が全体的に押し上げられたとしても、隙間(X)は、仕切り板13bによって塞がれた状態となる。これにより、隙間(X)が生じたとしても、異相の垂直母線8間の絶縁性を相間仕切り13によって確保することができる。そして、異相の垂直母線8間の絶縁性が確保されれば、図3にアーク収束状態として示すように、アークが一旦発生しても、その後に継続してアークが発生することを抑制できる。すなわち、相間仕切り13を設けることによって、異相の垂直母線8間の絶縁性が低下することを抑制し、アークが継続して発生してしまうことを抑制できる。
【0028】
以上説明した実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
閉鎖配電盤1は、筐体2と、筐体2内に配置されている複数の水平母線7と、複数の水平母線7にそれぞれ接続されている複数の垂直母線8と、絶縁材料で形成され、ベース板10aと、垂直母線8の間に位置してベース板10aから立ち上がっている壁部10bとを有する母線バリア10と、絶縁材料で形成され、複数の垂直母線8を壁部10bの先端側から覆うカバー板11aを有する母線カバー11と、絶縁材料で形成され、隣り合う垂直母線8間に位置する仕切り板13aを有し、カバー板11aの変形により生じる壁部10bの先端との間の隙間を絶縁する相間仕切り13と、を備える。
【0029】
これにより、アークが発生してカバー板11aと壁部10bの先端との間に隙間が生じたとしても、その隙間は相間仕切り13によって塞がれる。これにより、異相の垂直母線8間の絶縁性が低下することが抑制され、アーク発生時における異相の垂直母線8間の絶縁性が確保されることから、アークが継続して発生してしまうことを抑制できる。
【0030】
また、閉鎖配電盤1の相間仕切り13は、母線カバー11と別体に形成されており、壁部10bに沿って平板状に形成されている2つの仕切り板13bと、それぞれの仕切り板13bを接続する平板状の接続板13cとにより断面視にてU字状に形成されている。これにより、相間仕切り13を容易に取り付けることが可能になる。
【0031】
また、相間仕切り13を母線バリア10と母線カバー11とにより囲まれている空間に配置することにより、筐体2内の構造を大きく変更する必要が無くなるとともに、既設の閉鎖配電盤1に対しても容易に取り付けることができる。このとき、挿入されている相間仕切り13は、空間内に移動可能な状態で、また、垂直母線8の全長に渡る長さで配置されている。そのため、相間仕切り13は、アーク発生時に圧力が生じても、自身が移動することによりその圧力が緩和されることから、また、カバー板11aと広い面積で接触していることから圧力が分散されることから、比較的柔軟性を有する構造であっても破損するおそれを低減することができる。
【0032】
また、筐体2と、筐体2内に配置されている複数の水平母線7と、複数の水平母線7にそれぞれ接続されている複数の垂直母線8と、絶縁材料で形成され、ベース板10aと、垂直母線8の間に位置してベース板10aから立ち上がっている壁部10bとを有する母線バリア10と、絶縁材料で形成され、複数の垂直母線8を壁部10bの先端側から覆うカバー板11aを有する母線カバー11と、を有する閉鎖配電盤1に設けられ、絶縁材料で形成されていて、カバー板11aの変形により生じる壁部10bの先端との間の隙間を絶縁する仕切り板13bを有する相間仕切り13によっても、異相の垂直母線8間の絶縁性が低下することが抑制され、アーク発生時における異相の垂直母線8間の絶縁性が確保されることから、アークが継続して発生してしまうことを抑制できる。
【0033】
さて、ここまでは母線カバー11とは別体で相間仕切り13を設ける構成としたが、相間仕切り13は、母線カバー11と一体に形成することもできる。例えば、図5に示すように、相間仕切り13は、ベース板10aから壁部10bに沿って立ち上がっている仕切り板13bによって、母線カバー11と一体に形成することができる。なお、図5では、両隣に異相の垂直母線8が存在する中央の空間内に仕切り板13bを設けているが、上記したようにアーク発生時の隙間を塞ぐことができる位置であればよい。また、各空間内に位置させてそれぞれ仕切り板13bを設ける構成とすることもできる。
【0034】
このように母線カバー11と相間仕切り13とを一体型にした構成によっても、異相の垂直母線8間の絶縁性が低下することが抑制され、アーク発生時における異相の垂直母線8間の絶縁性が確保されることから、アークが継続して発生してしまうことを抑制できる。この場合、仕切り板13aを、R相の垂直母線8(R)が収容されている空間とT相の垂直母線8(T)が収容されている空間とに位置させることもできる。
【0035】
また、図4および図5では、説明の簡略化のために壁部10bの先端側を矩形状に示しているが、主に製造上の理由から、壁部10bは、先端側の図示両側が面取りされた状態であって、且つ、壁部10bが先端側に向かって先細りの形状となっている。そのため、アーク発生時の圧力によってU字状の相間仕切り13の仕切り板13aや一体型の相間仕切り13の仕切り板13aが図示上方に移動した後に元の位置に戻る際、仕切り板13aが壁部の先端に引っ掛かったりすることが防止されている。
【0036】
実施形態では相間仕切り13を空間内に挿入する構成を例示したが、相間仕切り13は、強度を確保できる材料や厚みなどを適宜設定することにより、ベース板10aや壁部10bあるいはカバー板11aに固定したり、その下端を筐体2内の構造物に載置して位置を固定したりする構成とすることもできる。例えば相間仕切り13の位置を固定した場合には、アークが発生しても相間仕切り13が移動しないことから、壁部10bの先端との間に隙間ができたとしても、実施形態と同様に異相の垂直母線8間の絶縁性を確保することができる。また、相間仕切り13をカバー板11aに固定した場合には、アークが発生した際に相間仕切り13が移動するものの、仕切り板13bにより隙間が塞がれた状態とすることができるため、実施形態と同様に異相の垂直母線8間の絶縁性を確保することができる。
【0037】
実施形態ではR相、S相、T相の三相分の母線を備える構成を例示したが、例えば中点相用の母線を設けたり、各相について複数の水平母線7や垂直母線8を設けたりする構成などの場合にも、実施形態で説明した相間仕切り13を設けることにより、異相の垂直母線8間の絶縁性が低下することが抑制され、アーク発生時における異相の垂直母線8間の絶縁性が確保されることから、アークが継続して発生してしまうことを抑制できる。その場合、閉鎖配電盤1に複数の相間仕切り13を設けたり、一体型であれば仕切り板13bの数を増やしたりする構成とすることができる。
【0038】
実施形態では両隣に他の垂直母線8が位置しているS相の垂直母線8(S)が収容されている空間内にU字状の相間仕切り13を設けた例を示したが、R相の垂直母線8(R)が収容されている空間とT相の垂直母線8(T)が収容されている空間とにU字状の相間仕切り13を設ける構成とすることもできる。すなわち、相間仕切り13は、隣り合う垂直母線8間に仕切り板13aが位置するように配置することができる。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
図面中、1は閉鎖配電盤、2は筐体、7は水平母線、8は垂直母線、10は母線バリア、10aはベース板、10bは壁部、11は母線カバー、11aはカバー板、13は相間仕切り、13bは仕切り板、13cは接続板を示す。
図1
図2
図3
図4
図5