(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】長時間作用型凝固因子VIIおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20230725BHJP
C07K 14/745 20060101ALI20230725BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230725BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230725BHJP
C07K 14/59 20060101ALI20230725BHJP
A61K 38/36 20060101ALI20230725BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20230725BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20230725BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20230725BHJP
C12N 15/16 20060101ALN20230725BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230725BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K14/745
C12P21/02 C
C12N15/63 Z
C07K14/59
A61K38/36
A61K47/64
A61P7/04
C07K16/00
C12N15/16
C12N15/12
(21)【出願番号】P 2019501670
(86)(22)【出願日】2017-07-11
(86)【国際出願番号】 IL2017050784
(87)【国際公開番号】W WO2018011799
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-07-06
(32)【優先日】2016-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508233526
【氏名又は名称】オプコ バイオロジクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーショービッツ、オーレン
(72)【発明者】
【氏名】モスクコビッチ、ラウラ
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0168588(US,A1)
【文献】特表2015-508771(JP,A)
【文献】特開2015-134795(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0208759(US,A1)
【文献】Precision Medicine,2015年,Vol.2,e989, pp.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-15/90
C12P 1/00-41/00
C07K 1/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト活性第VII因子(FVIIa)ポリペプチドであって、
前記FVIIaのC末端に直列に結合した3個のCTP分子を含み、
前記CTP修飾FVIIaポリペプチドは、実質的に純粋な活性型であり、
前記CTP修飾FVIIaポリペプチドは、
a.少なくとも15mol/molからなる高シアル酸含量;
b.少なくとも10mol/molのO-グリカン含量を含む高グリコシル化型、
c.5%未満の酸化型からなる前記CTP修飾FVIIaの低酸化型;
d.高い比率のカルボキシル化グルタミン酸残基;
e.少なくとも60%の荷電N-グリカン;および
f.少なくとも10,500U/mgの効力を含み、
前記CTP修飾FVIIaは、配列番号7で示されるアミノ酸配列からなる、CTP修飾FVIIa。
【請求項2】
前記CTP修飾FVIIaのアミノ酸配列は、配列番号7のシステイン残基135とシステイン残基262との間のジスルフィド(S-S)架橋を含むジスルフィド結合二本鎖ヘテロダイマーの構造として存在し、前記二本鎖は、配列番号7のアミノ酸1~152を含む軽鎖およびアミノ酸153~490を含む重鎖を含む、請求項1に記載のCTP修飾FVIIa。
【請求項3】
a.前記高い比率のカルボキシル化グルタミン酸(Gla)残基が、少なくとも90%のGla残基からなる、
b.前記CTP修飾FVIIaが、荷電N-グリカンを、85.3%および84.2%からなる群から選択される比率で含み、
c.前記効力が、15,563U/mg、16,720U/mg、22,478U/mgおよび23,608U/mgからなる群から選択される、
d.前記CTP修飾FVIIaが、CTP当たり、少なくとも4つのO結合型グリコシル化部位のグリコシル化を含む、
または、これらの任意の組み合わせを含む、
請求項1または2に記載のCTP修飾FVIIa。
【請求項4】
a.前記実質的に純粋な活性型が、少なくとも60%の前
記CTP修飾FVIIaの高グリコシル化型を含む、
b.前記実質的に純粋な活性型の純度パーセンテージが、97.3%、97.6%、97.4%および97.0%からなる群から選択される、
または、これらの任意の組み合わせを含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載のCTP修飾FVIIa。
【請求項5】
ヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト活性第VII因子(FVIIa)ポリペプチドの製造方法であって、
前記ポリペプチドが、FVIIのC末端に直列に結合した3個のCTP分子を含み、
前記方法が、
(I)所定の数の細胞
にCTP修飾FVIIをコードするコード部分を含む発現ベクターを安定に遺伝子導入するステップであって、
(II)前記遺伝子導入された細胞が、前記CTP修飾FVIIを発現および分泌する、該ステップ;
(III)前記CTP修飾FVIIを過剰発現する細胞クローンを取得するステップ;
(IV)溶液中で前記クローンを所定の規模まで増殖するステップ;
(V)前記クローンを含有する前記溶液をハーベストするステップ;
(VI)前記クローンを含む前記溶液を濾過し、前記CTP修飾FVIIを含む清澄化ハーベスト溶液を得るステップ;および
(VII)前記清澄化ハーベスト溶液からCTP修飾FVIIを精製および活性化して、目的の濃度のCTP修飾FVIIaを有する精製されたタンパク質溶液を得て、それによりCTP修飾FVII
aを製造するステップを含み;
前記製造されたCTP修飾FVIIaが、
a.5%未満の酸化型からなる前記CTP修飾FVIIaの低酸化型;
b.高い比率のカルボキシル化グルタミン酸残基;
c.90%のグルタミン酸(Gla)残基からなる、少なくとも60%の荷電N-グリカン;または
d.少なくとも10,500U/mgの効力;
の内の少なくとも1つを含み、
前記製造されたCTP修飾FVIIaのアミノ酸配列は、配列番号7で示される、方法。
【請求項6】
前記CTP修飾FVIIaポリペプチドの純度が、少なくとも90%であるか、または、97.3%、97.6%、97.4%および97.0%からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
a.前記増殖するステップが、前記CTP修飾FVIIを最適に発現および分泌するワーキングセルバンク(WCB)から得たクローンを増殖することを含むか、または、
前記増殖するステップが、前記CTP修飾FVIIを最適に発現および分泌するマスターセルバンク(MCB)から得たクローンを増殖することを含む、
b.前記製造方法が、動物不含プロセスである、
c.前記クローンが、少なくとも40mg/LのレベルでCTP修飾FVIIを発現および分泌する、
d.前記クローンが、一連の継代培養ステップにより、生産バイオリアクターのレベルまで溶液中で増殖される、
e.ウィルス除去が、約22のウィルス対数減少係数(LRF)を示す、
または、これらの任意の組み合わせを含む、
請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記バイオリアクターが、使い捨て型のバイオリアクターまたはステンレス鋼バイオリアクターを含むか、または、
前記バイオリアクターが、流加バッチ方式バイオリアクターとして運転される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記清澄化ハーベストの前記精製が、
前記清澄化ハーベスト溶液に、アフィニティカラム、マルチモデルまたは混合モードカラム、疎水性相互作用カラム、およびアニオン交換カラムを通過させるカラム通過ステップ;および
前記清澄化ハーベスト中または前記カラム通過ステップのいずれか後に収集し
た溶出液中、またはこれらの任意の組み合わせ中に存在するウィルスを不活化するステップであって、ウィルスの不活化が、前記ウィルスに対し毒性の溶液中でのインキュベーションもしくはナノ濾過、またはこれらの任意の組み合わせを含む、該ステップ;を含むステップを、上記の順に実施することを含み、
アニオン交換の溶出液は、限外濾過/透析濾過ステップに供され、
それにより、精製されたCTP修飾FVIIに到達する、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ウィルス除去が、約22のウィルス対数減少係数(LRF)を示す、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
a.前記製造されたCTP修飾FVIIaが、高度グリコシル化されている、
b.前記製造されたCTP修飾FVIIaが、高O-グリカン含量を含む、
または、これらの任意の組み合わせを含む、
請求項5~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記製造されたCTP修飾FVIIaのグリコシル化パターンが、CTP当たり、少なくとも4つのO結合型グリコシル化部位のグリコシル化を含む、請求項5~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
a.前記製造されたCTP修飾FVIIaが、高度にシアル化されている、
b.前記CTP修飾FVIIaが、少なくとも15mol/molからなるシアル酸含量を含む、
c.前記CTP修飾FVIIaが、少なくとも10mol/molからなるO-グリカン含量を含む、
d.前記CTP修飾FVIIaの低い比率の酸化型が、5%未満の酸化型からなる、
e.前記CTP修飾FVIIaの高い比率のカルボキシル化グルタミン酸残基(Gla)が、少なくとも90%のGlaからなる、
f.前記CTP修飾FVIIaが、荷電N-グリカンを、85.3%および84.2%からなる群から選択される比率で含み、
g.前記効力が、15,563U/mg、16,720U/mg、22,478U/mgおよび23,608U/mgからなる群から選択される、
h.前記方法が、高度グリコシル化CTP修飾FVIIaの少なくとも20%の回収率を達成する、
i.前記CTP修飾FVIIaポリペプチドの回収率が、97.3、97.6、97.4および97.0%からなる群から選択される、
または、これらの任意の組み合わせを含む、
請求項5~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記CTP修飾FVIIaの少なくとも60%が、カルボキシル化グルタミン酸残基(Gla)の高グリコシル化型を含む、請求項5~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記製造されたCTP修飾FVIIaのアミノ酸配列が、配列番号7のシステイン残基135とシステイン残基262との間のジスルフィド(S-S)架橋を含むジスルフィド結合二本鎖ヘテロダイマーの構造として存在し、
前記二本鎖が、配列番号7のアミノ酸1~152を含む軽鎖およびアミノ酸153~490を含む重鎖を含む、請求項5~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト活性第VII因子(FVIIa)ポリペプチドであって、
前記FVIIのC末端に直列に結合した3個のCTP分子を含み、
請求項5~15のいずれか1項に記載の方法により製造される、CTP修飾FVIIaポリペプチド。
【請求項17】
請求項1~4のいずれか1項に記載のCTP修飾FVIIaと、薬学的に許容可能なキャリアとを含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
凝固因子のカルボキシ末端に結合した絨毛性ゴナドトロピンのカルボキシ末端ペプチド(CTP)を少なくとも1個含むポリペプチドおよびこれをコードするポリヌクレオチドが開示される。本開示のポリペプチドおよびポリヌクレオチドを含む医薬組成物および医薬製剤、ならびにこれを使用する方法およびこれを製造する方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
凝固因子補充療法の開発によって、多くの血友病患者の生活が変貌した。血友病は、凝血または血液凝固を制御する身体能力を損なう、遺伝性障害群である。血友病患者では、有効な血液凝固に必要である第VIII因子または第IX因子のタンパク質が十分な量産生されない。重篤な血友病患者では、わずかな損傷でさえ、数日間または数週間にわたって続く失血を生じ、完全に治癒することはなく、関節および他の臓器の消耗性の永続的な損傷および早死に繋がる可能性がある。
【0003】
血友病は、凝固カスケードにおける重要な因子の欠損、または非存在により引き起こされる遺伝性のX染色体連鎖出血性障害である。血友病患者では、トロンビン生成およびフィブリン塊形成が大きく損なわれ、最も一般的には、関節および内部臓器での、自然発生的出血症状、および手術または外傷中および手術または外傷後に過度の出血に至る。血友病患者における高頻度の出血はまた、関節腫脹、関節損傷、極度の奇形、頻発する感染症、および可動性の低下の原因となる可能性がある(メイヨークリニック)。血友病Aは第VIII因子発現の欠陥または欠損により引き起こされ、血友病Bは第IX因子発現の欠陥または欠損により引き起こされる。
【0004】
血友病Bは、FIXのプロコアグラント活性の欠損をもたらす。血友病Bの患者は、自然発生的な軟組織出血および再発性関節血症を有し、これが手足を不自由にする関節症につながる場合が多い。これらの患者のための現在の治療としては、組み換えFIXの静脈内投与が挙げられる。しかし、FIXの費用および循環からの比較的急速な除去の問題により、長時間作用型FIXの開発は難易度の高い課題となっている。市販されているFVIIIおよびFIXは、致命的な出血症状に対する制御の改善に繋がっている。多くの患者が予防的治療を受け、それにより、出血およびそれに伴う合併症の危険性が低減している。しかし、かなりの割合(10~30%)の患者で、体外から投与されたFVIIIおよびFIXに対して阻害性の抗体が発生する。迂回性の生成物である、FVIIaの投与は、恒常性を誘導し、阻害性の抗体を有する患者に対し効果的治療を提供し得る。
【0005】
組み換えFVIIa(NovoSeven(登録商標))が市販されており、阻害物質を伴う血友病患者における出血症状の治療用として、1996年に承認された。しかし、rFVIIaは、2.5時間という終末半減期で急速に排出される。結果として、患者は一般に、軽度から中度の出血の後に、十分な恒常性を達成するために、複数回の高頻度の注入(2~3時間の間隔に2~3用量の投与)を必要とする。このために、単回投与後に止血活性の期間を延長し、かなり低い投与頻度を可能にする長時間作用型のFVIIaの開発に関し大きな関心が持たれている。長時間作用型FVIIaはまた、長期の予防的治療の実現性を高めるであろう。
【0006】
FVIIaの半減期を延長させるための種々の技術が開発されている。しかし、このタンパク質の生物学的活性を保存し、この改変により影響を与える免疫原性を誘導しないことを保証すると同時に、このタンパク質の半減期の延長を達成する必要性が残されている。本発明は、ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)をFVIIaと結合させて、半減期および生物活性を延長するようにFVIIaを修飾することにより、この必要性に対処する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一態様では、ヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト第VII因子(FVII)ポリペプチドを製造する方法が開示され、前記ポリペプチドは、FVIIのC末端に直列に結合した3個のCTP分子を含み、該方法は、所定の数の細胞に前記CTP修飾FVIIをコードするコード部分を含む発現ベクターを安定に遺伝子導入し、前記遺伝子導入細胞が前記CTP修飾FVIIを発現し、分泌するステップ;前記CTP修飾FVIIを過剰発現する細胞クローンを得るステップ;溶液中で前記クローンを所定の規模に増殖するステップ;前記クローンを含む前記溶液をハーベストするステップ;前記クローンを含む前記溶液を濾過して、清澄化ハーベスト溶液を得るステップ;および前記清澄化ハーベスト溶液から前記ポリペプチドを精製し、目的の濃度のCTP修飾FVIIを有する精製タンパク質溶液を得て、それによりCTP修飾FVIIを製造するステップを含み、製造したCTP修飾FVIIのアミノ酸配列は配列番号7で示される。
【0008】
別の態様では、ヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト活性第VII因子(FVIIa)ポリペプチドを製造する方法が開示され、前記ポリペプチドは、FVIIのC末端に直列に結合した3個のCTP分子を含み、該方法は、所定の数の細胞にCTP修飾FVIIをコードするコード部分を含む発現ベクターを安定に遺伝子導入し、前記遺伝子導入細胞が前記CTP修飾FVIIを発現し、分泌するステップ;前記CTP修飾FVIIを過剰発現する細胞クローンを得るステップ;溶液中で前記クローンを所定の規模に増殖するステップ;前記クローンを含む前記溶液をハーベストするステップ;前記クローンを含む前記溶液を濾過して、清澄化ハーベスト溶液を得るステップ;および前記清澄化ハーベスト溶液から前記ポリペプチドを精製および活性化し、目的の濃度のCTP修飾FVIIaを有する精製タンパク質溶液を得て、それによりCTP修飾FVIIaを製造するステップを含み、製造したCTP修飾FVIIaのアミノ酸配列は配列番号7で示される。
【0009】
別の態様では、C末端に直列に結合した3個のCTP分子を含むヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト第VII因子(FVII)ポリペプチドが開示され、前記CTP修飾FVIIは、所定の数の細胞に前記CTP修飾FVIIをコードするコード部分を含む発現ベクターを安定に遺伝子導入し、前記遺伝子導入細胞が前記CTP修飾FVIIを発現し、分泌するステップ;前記CTP修飾FVIIを過剰発現する細胞クローンを得るステップ;溶液中で前記クローンを所定の規模に増殖するステップ;前記クローンを含む前記溶液をハーベストするステップ;前記クローンを含む前記溶液を濾過して、清澄化ハーベスト溶液を得るステップ;および前記清澄化ハーベスト溶液から前記ポリペプチドを精製し、目的の濃度のCTP修飾FVIIを有する精製タンパク質溶液を得るステップを含む方法により製造され、前記製造したCTP修飾FVIIは、配列番号7で示されるアミノ酸配列を含む。
【0010】
別の態様では、C末端に直列に結合した3個のCTP分子を含むヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト活性化第VII因子(FVIIa)ポリペプチドが開示され、前記CTP修飾FVIIaは、所定の数の細胞に前記CTP修飾FVIIをコードするコード部分を含む発現ベクターを安定に遺伝子導入し、前記遺伝子導入細胞が前記CTP修飾FVIIを発現し、分泌するステップ;前記CTP修飾FVIIを過剰発現する細胞クローンを得るステップ;溶液中で前記クローンを所定の規模に増殖するステップ;前記クローンを含む前記溶液をハーベストするステップ;前記クローンを含む前記溶液を濾過して、清澄化ハーベスト溶液を得るステップ;および前記清澄化ハーベスト溶液から前記ポリペプチドを精製および活性化して、目的の濃度のCTP修飾FVIIaを有する精製タンパク質溶液を得るステップを含む方法により製造され、前記製造したCTP修飾FVIIaは、配列番号7で示されるアミノ酸配列を含む。
【0011】
関連する態様では、製造したヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト第VII因子(FVII)ポリペプチドは高度にグリコシル化されている。別の関連する態様では、製造したCTP修飾FVIIのグリコシル化パターンは、CTP当たり、少なくとも4つのO結合型グリコシル化部位のグリコシル化を含む。別の関連する態様では、前記CTP修飾FVIIは、高比率の荷電N-グリカンを含む。別の関連する態様では、製造したヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト第VII因子(FVII)ポリペプチドは高度にシアル化されている。
【0012】
関連する態様では、製造したヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト第VII因子(FVII)ポリペプチドは、高比率のカルボキシル化グルタミン酸残基を含む。
【0013】
関連する態様では、クローンの増殖は、ワーキングセルバンク(WCB)から、またはマスターセルバンク(MCB)から得たクローンを増殖することを含む。別の関連する態様では、前記クローンは、少なくとも600mg/LのレベルでCTP修飾FVIIを発現し、分泌する。別の関連する態様では、前記クローンは、一連の継代培養ステップにより、生産バイオリアクターのレベルまで溶液中で増殖される。別の関連する態様では、バイオリアクターには、使い捨て型のバイオリアクターまたはステンレス鋼バイオリアクターが含まれる。別の関連する態様では、前記バイオリアクターは、流加バッチ方式バイオリアクターとして運転される。
【0014】
関連する態様では、少なくとも60%の前記清澄化ハーベスト由来の精製ヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト第VII因子(FVII)ポリペプチドは、高グリコシル化型のCTP修飾FVIIを含む。関連する態様では、少なくとも60%の前記清澄化ハーベスト由来の精製ヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト第VII因子(FVII)ポリペプチドは、高比率のカルボキシル化グルタミン酸残基を含む。
【0015】
関連する態様では、精製は、前記清澄化ハーベストに、アフィニティカラム、マルチモデル(multimodel)または混合モードカラム、疎水性相互作用カラム、およびアニオン交換カラムを通過させるステップ;カラムクロマトグラフィー後の清澄化ハーベスト中または溶出液収集物中に存在するウィルスの不活化ステップ、またはこれらの任意の組み合わせを順次実施することを含み、ウィルスの不活化は、前記ウィルスに毒性の溶液中でのインキュベーションもしくはナノ濾過、またはこれらの任意の組み合わせを含み、陰イオン交換溶出液は、限外濾過/透析濾過ステップに供される。
【0016】
関連する態様では、製造した(CTP)修飾ヒト第VII因子(FVII)ポリペプチドは活性CTP修飾FVIIポリペプチド(CTP修飾FVIIaポリペプチド)を含む。
【0017】
関連する態様では、製造方法は、高度グリコシル化CTP修飾FVIIの少なくとも20%の回収率を達成する。
【0018】
別の態様では、組成物は、製造したCTP修飾FVIIおよび薬学的に許容可能なキャリアを含む。
【0019】
別の態様では、C末端に直列に結合した3個のCTP分子を含むヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト活性第VII因子(FVIIa)ポリペプチドが本明細書で開示され、前記CTP修飾FVIIaポリペプチドは、実質的に純粋な活性型であり、前記CTP修飾FVIIaポリペプチドは、(a)高シアル酸含量;(b)低酸化型;(c)高グリコシル化型;(d)高い比率のカルボキシル化グルタミン酸残基;(e)高い比率の荷電N-グリカン;および(f)高い効力;またはこれらの任意の組み合わせを有し、前記CTP修飾FVIIaは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含む。
【0020】
関連する態様では、高シアル酸含量は、少なくとも15mol/molからなる。別の関連する態様では、高グリコシル化型は、少なくとも10mol/molのO-グリカン含量を含む。別の関連する態様では、実質的に純粋な活性型は、少なくとも60%の前記活性CTP修飾FVIIaの高グリコシル化型を含む。別の関連する態様では、少なくとも60%の実質的に純粋なCTP修飾FVIIa型は、高い比率のカルボキシル化グルタミン酸(Gla)残基を含む。別の関連する態様では、高い比率のカルボキシル化グルタミン酸(Gla)残基は、少なくとも90%のGla残基からなる。別の関連する態様では、低い比率の酸化型は、5%未満からなる。別の関連する態様では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも90%である。さらに関連する態様では、純度パーセンテージは、97.3%、97.6%、97.4%および97.0%からなる群から選択される。別の関連する態様では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの効力は、少なくとも10,500U/mgである。さらに関連する態様では、効力は、15,563U/mg、16,720U/mg、22,478U/mgおよび23,608U/mgからなる群から選択される。
【0021】
別の態様では、(a)高シアル酸含量;(b)低酸化型;(c)高グリコシル化型;(d)高い比率のカルボキシル化グルタミン酸残基;(e)高い比率の荷電N-グリカン;および(f)高い効力;またはこれらの任意の組み合わせを含むCTP修飾FVIIaおよび薬学的に許容可能なキャリアを含む組成物が本明細書で開示され、前記CTP修飾FVIIaは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含む。
【0022】
他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、実施例および図面から明らかになるであろう。しかし、詳細な説明および特定の実施例は、本開示の好ましい実施形態を示してはいるが、この詳細な説明から、本開示の趣旨および範囲内での様々な変更および修正が当業者には明らかであり、したがって、これらは実例として与えられているにすぎないことを理解されたい。
【0023】
特許または特許出願ファイルは、少なくとも1つのカラー図面を含む。このカラー図面(単一または複数)を含む特許または特許出願公開公報のコピーは、要求があれば、有料で米国特許商標局より提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】pCI-dhfr-MOD-5014プラスミドのマップを示す。
【
図2A】FVII-CTP
3精製プロセスの概略図を示す。バッチ31は、PK/PD試験のために作製した。
【
図2B】FVII-CTP
3精製プロセスの概略図を示す。バッチ38は、生存試験のために作製した。
【
図3A】最終のFVIIおよびFVIIaのSDS-PAGEおよびウエスタンブロットを示す。10μg(バッチ31)または5μg(バッチ38)を、クマシー染色したSDS-PAGEの各レーンにロードした。1.FVII-CTP
3ポリペプチド、2.重鎖(3xCTPを含む)、3.軽鎖。3個全ての抗体が、FVIIを検出する。
【
図3B】最終のFVIIおよびFVIIaのSDS-PAGEおよびウエスタンブロットを示す。10μg(バッチ31)または5μg(バッチ38)を、クマシー染色したSDS-PAGEの各レーンにロードした。1.FVII-CTP
3ポリペプチド、2.重鎖(3xCTPを含む)、3.軽鎖。
【
図3C】最終のFVIIおよびFVIIaのSDS-PAGEおよびウエスタンブロットを示す。10μg(バッチ31)または5μg(バッチ38)を、クマシー染色したSDS-PAGEの各レーンにロードした。1.FVII-CTP
3ポリペプチド、2.重鎖(3xCTPを含む)、3.軽鎖。
【
図3D】最終のFVIIおよびFVIIaのSDS-PAGEおよびウエスタンブロットを示す。10μg(バッチ31)または5μg(バッチ38)を、クマシー染色したSDS-PAGEの各レーンにロードした。1.FVII-CTP
3ポリペプチド、2.重鎖(3xCTPを含む)、3.軽鎖。
【
図3E】最終のFVIIおよびFVIIaのSDS-PAGEおよびウエスタンブロットを示す。10μg(バッチ31)または5μg(バッチ38)を、クマシー染色したSDS-PAGEの各レーンにロードした。1.FVII-CTP
3ポリペプチド、2.重鎖(3xCTPを含む)、3.軽鎖。
【
図3F】最終のFVIIおよびFVIIaのSDS-PAGEおよびウエスタンブロットを示す。1μgのタンパク質を、ウエスタンブロットの各々のレーンにロードした。1.FVII-CTP
3ポリペプチド、2.重鎖(3xCTPを含む)、3.軽鎖。3個全ての抗体が、FVIIを検出する。FVIIa軽鎖は、α-FVIIを用いて検出される。
【
図3G】最終のFVIIおよびFVIIaのSDS-PAGEおよびウエスタンブロットを示す。1μgのタンパク質を、ウエスタンブロットの各々のレーンにロードした。1.FVII-CTP
3ポリペプチド、2.重鎖(3xCTPを含む)、3.軽鎖。3個全ての抗体が、FVIIを検出する。FVIIa重鎖は、α-CTPにより検出された。
【
図3H】最終のFVIIおよびFVIIaのSDS-PAGEおよびウエスタンブロットを示す。1μgのタンパク質を、ウエスタンブロットの各々のレーンにロードした。1.FVII-CTP
3ポリペプチド、2.重鎖(3xCTPを含む)、3.軽鎖。3個全ての抗体が、FVIIを検出する。FVIIa重鎖は、α-Glaにより検出された。
【
図4】FVII-CTP
3の発色活性が、セラミックヒドロキシアパタイト(HA)カラムでの精製の結果として増強されたことを示す。市販の発色活性試験キットであるBIOPHEN(Hyphen BioMed 221304)を用いて、FVII-CTP
3ハーベスト、工程中の画分および精製FVII-CTP
3の、ヒト正常プール血漿に対するインビトロ効力の比較評価を実施した。FVII-CTP
3ハーベストおよびタンパク質を系列希釈し、用量反応曲線を正常ヒト血漿の基準調製物に対し比較することにより、その効力を評価した。
【
図5】FVIII欠損マウスにおける、FVIIa-CTP
3の、NovoSeven(登録商標)に対比したPKプロファイルを示す。FVIIa-CTP
3は、FVII選択、HA精製プロセスおよび活性化後に生成された。FVIIa-CTP
3またはNovoSeven(登録商標)を、単回の静脈内注射で、FVIII-/-血友病マウスに投与した。血液試料は、投与の0.083、0.5、2、8、24、48、および72時間後に眼窩後部より採取した。クエン酸処理血漿(0.38%)を、サンプリング直後に調製して、-20℃で分析時まで保存し、PKプロファイルを、STACLOT市販のキットを用いてFVIIa凝固活性に基づいて確証した。
【
図6A】FVIIa-CTP
3が、FVII選択、HA精製プロセスおよび活性化後に生成されたことを示す。FVIIa-CTP
3またはNovoSeven(登録商標)を、単回の静脈内注射で、FVIII-/-血友病マウスに投与した。血液試料は、投与の0.083、0.5、2、8、24、48、および72時間後に眼窩後部より採取した。クエン酸処理血漿(0.38%)をサンプリング直後に調製して、-20℃で分析時まで保存した。トロンビン生成パラメーターを、PK実験の間に評価し、ピークに対する最大量を含むパラメーターを評価した。
【
図6B】FVIIa-CTP
3が、FVII選択、HA精製プロセスおよび活性化後に生成されたことを示す。FVIIa-CTP
3またはNovoSeven(登録商標)を、単回の静脈内注射で、FVIII-/-血友病マウスに投与した。血液試料は、投与の0.083、0.5、2、8、24、48、および72時間後に眼窩後部より採取した。クエン酸処理血漿(0.38%)をサンプリング直後に調製して、-20℃で分析時まで保存した。トロンビン生成パラメーターは、PK実験の間に評価し、時点に対するトロンビンの量を含むパラメーターを評価した。
【
図6C】FVIIa-CTP
3が、FVII選択、HA精製プロセスおよび活性化後に生成されたことを示す。FVIIa-CTP
3またはNovoSeven(登録商標)を、単回の静脈内注射で、FVIII-/-血友病マウスに投与した。血液試料は、投与の0.083、0.5、2、8、24、48、および72時間後に眼窩後部より採取した。クエン酸処理血漿(0.38%)をサンプリング直後に調製して、-20℃で分析時まで保存した。トロンビン生成パラメーターは、PK実験の間に評価し、トロンビン生成速度を含むパラメーターを評価した。
【
図7A】尾静脈切断(TVT)後の血友病マウス生存曲線を示す。TVTは、投与15分後に行った。マウス生存は、TVT後24時間にわたり観察し、最初の12時間の間1時間ごとに、および24時間後に記録した。対照群データ(ビークル)は、実験あたり5匹のマウスによる3つの実験の合計である。
【
図7B】尾静脈切断(TVT)後の血友病マウス生存曲線を示す。TVTは、投与24時間後に行った。マウス生存は、TVT後24時間にわたり観察し、最初の12時間の間1時間ごとに、および24時間後に記録した。対照群データ(ビークル)は、実験あたり5匹のマウスによる3つの実験の合計である。
【
図7C】尾静脈切断(TVT)後の血友病マウス生存曲線を示す。TVTは、投与48時間後に行った。マウス生存は、TVT後24時間にわたり観察し、最初の12時間の間1時間ごとに、および24時間後に記録した。対照群データ(ビークル)は、実験あたり5匹のマウスによる3つの実験の合計である。
【
図7D】TVTの24時間後に記録したマウス生存をまとめたものである。
【
図8】FVIIa(NovoSeven)とCTP修飾第VIIa因子(MOD-5014)との間の基質(Pefachrome FVIIa)切断活性の比較を示す。
【
図9】組織因子に結合した場合の、FVIIa(NovoSeven)とCTP修飾第VIIa因子(MOD-5014)との間の基質(Pefachrome FVIIa)活性の比較を示す。
【
図10】第VIIa因子の濃度に対する、FVIIa(NovoSeven)またはCTP修飾FVIIa(MOD-5014)による活性化第X因子の生成の比較を示す。
【
図11】第X因子の濃度に対する、FVIIa(NovoSeven)またはCTP修飾FVIIa(MOD-5014)による活性化第X因子の生成の比較を示す。
【
図12】組織因子の非存在下での、脂質濃度に対する、FVIIa(NovoSeven)またはCTP修飾FVIIa(MOD-5014)による活性化第X因子の生成速度の比較を示す(
図12A)。組織因子の非存在下での、脂質濃度に対する、FVIIa(NovoSeven)またはCTP修飾FVIIa(MOD-5014)による活性化第X因子の生成の比較を示す(
図12B)。
【
図13】組織因子の非存在下での、第X因子濃度に対する、FVIIa(NovoSeven)とMOD-5014との間の活性化第X因子の生成の比較を示す。
【
図14】ポリブレンを考慮して、FVIIa(NovoSeven)およびCTP修飾第VIIa因子(MOD-5014)による基質(Pefachrome FVIIa)切断の阻害の比較を示す。
【
図15】TFPI濃度に対して(
図15A)、およびFVIIaのTFPI暴露期間に対して(
図15B)、MOD-5014のTFPI暴露期間に対して(
図15C)、FVIIa(NovoSeven)およびCTP修飾第VIIa(MOD-5014)による基質(Pefachrome FXa)切断の阻害の比較を示す。
【
図16】CTP修飾FVII-CTP
3の上流プロセスフロー製造チャートを示す。
【
図17】CTP修飾FVII-CTP
3の精製プロセスのフローチャートを示す。
【
図18】精製されたCTP修飾FVII-CTP
3の還元SDS-PAGEの結果を示す。
【
図19】合計N-グリカン中の荷電N-グリカンの比率は、精製プロセス中一定であり、初期の荷電N-グリカンの比率は、上流細胞培養プロセスから生じていることを示す。
【
図20】酸化型およびその他の関連型の含量は、精製プロセスを通して減少することを示す。マルチモデルおよびHICカラムは、酸化型および関連型の減少に最も大きく影響する精製ステップである。
【
図21】マルチモデルカラムによる非γ-カルボキシル化タンパク質の除去を示す。CHTカラムは非γ-カルボキシル化タンパク質を除去することにより、γ-カルボキシル化画分を濃縮する。
【
図22】全ての精製プロセスのシアル酸の含量を示す。シアル酸含量は、精製プロセス中一定であり、初期のシアル酸含量は、上流細胞培養プロセスから生じている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
一実施形態では、ヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト第VII因子(FVII)ポリペプチドを製造する方法が開示され、前記FVIIは、そのC末端に直列に結合した3個のCTP分子を含み、該方法は、所定の数の細胞に前記CTP修飾FVIIをコードするコード部分を含む発現ベクターを安定に遺伝子導入し、前記遺伝子導入細胞が前記CTP修飾FVIIを発現し、分泌するステップ;前記CTP修飾FVIIを過剰発現する細胞クローンを得るステップ;溶液中で前記クローンを所定の規模に増殖するステップ;前記クローンを含む前記溶液をハーベストするステップ;前記クローンを含む前記溶液を濾過して、清澄化ハーベスト溶液を得るステップ;および前記清澄化ハーベスト溶液を精製し、目的の濃度のCTP修飾FVIIを有する精製タンパク質溶液を得るステップ;それによりCTP修飾FVIIを製造するステップを含み、製造したCTP修飾FVIIのアミノ酸配列は配列番号7で示される。
【0026】
一実施形態では、C末端に直列に結合した3個のCTP分子を含むヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト第VII因子(FVII)が開示され、前記CTP修飾FVIIは、所定の数の細胞に前記CTP修飾FVIIをコードするコード部分を含む発現ベクターを安定に遺伝子導入し、前記遺伝子導入細胞が前記CTP修飾FVIIを発現し、分泌するステップ;前記CTP修飾FVIIを過剰発現する細胞クローンを得るステップ;溶液中で前記クローンを所定の規模に増殖するステップ;前記クローンを含む前記溶液をハーベストするステップ;前記クローンを含む前記溶液を濾過して、清澄化ハーベスト溶液を得るステップ;および前記清澄化ハーベスト溶液を精製し、目的の濃度のCTP修飾FVIIを有する精製タンパク質溶液を得るステップを含む方法により製造され、前記製造したCTP修飾FVIIは、配列番号7で示されるアミノ酸配列を含む。
【0027】
一実施形態では、C末端に直列に結合した3個のCTP分子を含むヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト第VII因子(FVII)を含む組成物が開示される。別の実施形態では、CTP修飾FVIIは、活性化CTP修飾FVII(CTP修飾FVIIa)を含む。
【0028】
ヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾第VII因子ポリペプチド
【0029】
凝固第VII因子(FVII)は、不活性プロ酵素(チモーゲン)として血流中に肝細胞により分泌される444アミノ酸の糖タンパク質(50KDa)である。組織損傷時および循環血液への暴露時に、FVIIは、FVIIに対する真のレセプタータンパク質であり、血管壁の深部層に局在する種々の細胞により発現される、組織因子(TF)との複合体を形成する。このFVII-TF複合体の形成は、FVIIの活性化をもたらす。活性化されたFVII(FVIIa)は、第IX因子および第X因子を活性化することによって、外因性の凝固経路を開始する。
【0030】
FVIIは、凝固系と関連するビタミンK依存性糖タンパク質の群に属する。FVIIは、N末端プロペプチドを有する前駆体、続いて成熟アミノ酸配列として合成される。このプロペプチドは、グルタミン酸残基(Glu)をγ-カルボキシグルタミン酸残基(Gla)へ変換するガンマカルボキシラーゼに対するドッキング部位を含む。カルボキシグルタミン酸(Gla)は、グルタミン酸残基の翻訳後カルボキシル化によりタンパク質中に導入される非共通アミノ酸である。この修飾により、カルシウムイオンに対する親和性が導入されるが、FVII因子を含む凝固因子のγ-カルボキシル化を導入するためには、ビタミンKが必要である。Glaドメインは、カルシウムイオンの高親和性結合に関与し、この高親和性結合は、凝血に重要な役割を果たす。このドメインには、2つの上皮細胞増殖因子様(EGF)ドメイン、連結部位(CR)およびC末端セリンプロテアーゼドメインが続く。分泌の前に、FVIIプロペプチドが切断され、シグナルペプチドが除去されて、406アミノ酸の単鎖チモーゲンFVII糖タンパク質を形成される。分泌後、このタンパク質は、CRでの切断によって、ジスルフィド結合の二本鎖のヘテロ二量体、FVIIaへと活性化され得る。FVIIの血漿中濃度は、10nMであり、健常者では、約1%が活性型で循環する。
【0031】
一実施形態では、FVIIもしくはFVIIaの生物学的半減期を延長させる方法またはFVIIもしくはFVIIaの曲線下面積(AUC)を増大させる方法が本明細書で提供され、該方法は、3個のCTPをFVIIもしくはFVIIaのカルボキシ末端に結合し、これによって、FVIIもしくはFVIIaの生物学的半減期を延長するかまたはAUCを増大させるステップを含む。
【0032】
別の実施形態では、第VIIa因子(FVIIa)ポリペプチドの投与頻度を低減する方法が本明細書で開示され、該方法は、前記FVIIaポリペプチドのカルボキシ末端に3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)を結合し、それにより、前記FVIIaポリペプチドの投与頻度を低減するステップを含む。
【0033】
別の実施形態では、第VIIa因子(FVIIa)ポリペプチドのクリアランス速度を低減する方法が本明細書で開示され、該方法は、前記FVIIaポリペプチドのカルボキシ末端に3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)を結合し、それにより、前記FVIIaポリペプチドのクリアランス速度を低減するステップを含む。
【0034】
一実施形態では、活性化CTP修飾第VII因子(FVIIa)ポリペプチドを製造する方法が本明細書で開示され、該方法は、前記FVIIaポリペプチドのカルボキシ末端に3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)を結合し、それにより、CTP修飾FVIIaポリペプチドを製造するステップを含む。
【0035】
別の実施形態では、本開示の凝固因子はタンパク質である。別の実施形態では、本開示の凝固因子はペプチドである。別の実施形態では、本開示の凝固因子はポリペプチドである。別の実施形態では、凝固因子は酵素である。別の実施形態では、凝固因子は、セリンプロテアーゼである。別の実施形態では、凝固因子は、糖タンパク質である。別の実施形態では、凝固因子は、ビタミンK依存性糖タンパク質である。別の実施形態では、凝固因子は、ビタミンK非依存性糖タンパク質である。別の実施形態では、凝固因子は、トランスグルタミナーゼである。別の実施形態では、凝固因子は、不活性なチモーゲンである。別の実施形態では、凝固因子は、当業者に既知の任意の凝固因子である。別の実施形態では、凝固因子は、第VIIa因子(FVIIa)である。
【0036】
別の実施形態では、凝固因子は、組み換えタンパク質である。別の実施形態では、凝固因子は、組み換え糖タンパク質である。別の実施形態では、凝固因子は、組み換えFVIIである。別の実施形態では、凝固因子は、組み換えFVIIaである。別の実施形態では、凝固因子は、シグナルペプチドである。別の実施形態では、組換え凝固因子は、シグナルペプチドを含まない。別の実施形態では、活性化凝固因子は、シグナルペプチドを含まない。
【0037】
別の実施形態では、凝固因子は、C末端に結合された3個のCTP反復を含み、N末端に結合されたCTPを含まない。
【0038】
別の実施形態では、FVIIaポリペプチドおよび前記FVIIaのカルボキシ末端に結合した3個のゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)からなるCTP修飾第VIIa因子(FVIIa)ポリペプチドが本明細書で開示される。
【0039】
別の実施形態では、凝固因子は、FVIIのドメイン組織化と類似または同一のドメイン組織化を含む凝固因子である。別の実施形態では、凝固因子は、N末端プロペプチド(シグナル配列)を有する前駆体として合成される。別の実施形態では、本明細書で記載の凝固因子は、不活性なプロ酵素型である。別の実施形態では、本明細書で記載の凝固因子は、不活性チモーゲンであり、これは、細胞から分泌され、N末端シグナル配列を欠いている。別の実施形態では、本明細書で記載の凝固因子は、活性化凝固因子である。別の実施形態では、本明細書で記載のCTP修飾FVIIは、活性化されるまでは不活性なプロ酵素型である。別の実施形態では、本明細書で記載のCTP修飾FVIIは、不活性チモーゲンであり、これは、細胞から分泌され、N末端シグナル配列を欠いている。別の実施形態では、本明細書で記載のCTP修飾FVIIは、活性化凝固因子である。別の実施形態では、凝固因子は、肝細胞中で生成される。別の実施形態では、凝固因子は、グルタミン酸(Glu)をγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)に変換するガンマカルボキシラーゼのためのドッキング部位を含む。別の実施形態では、本明細書で使用される場合、凝固因子は、市販の凝固因子である。
【0040】
一実施形態では、C末端に直列に結合した3個のCTP分子を含むヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト活性第VII因子(FVIIa)ポリペプチドが本明細書で開示され、前記CTP修飾FVIIaポリペプチドは、実質的に純粋な活性型であり、前記CTP修飾FVIIaポリペプチドは、(a)高シアル酸含量;(b)低酸化型;(c)高グリコシル化型;(d)高い比率のカルボキシル化グルタミン酸残基;(e)高い比率の荷電N-グリカン;および(f)高い効力;またはこれらの任意の組み合わせを有し、前記CTP修飾FVIIaは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含む。
【0041】
一実施形態では、C末端に直列に結合した3個のCTP分子を含むヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト活性第VII因子(FVIIa)ポリペプチドが本明細書で開示され、前記CTP修飾FVIIaポリペプチドは、実質的に純粋な活性型であり、前記CTP修飾FVIIaポリペプチドは、(a)高シアル酸含量;(b)低酸化型;(c)高グリコシル化型;(d)高い比率のカルボキシル化グルタミン酸残基;(e)高い比率の荷電N-グリカン;および(f)少なくとも10U/mgの効力;またはこれらの任意の組み合わせを有し、前記CTP修飾FVIIaは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含む。
【0042】
関連する実施形態では、高シアル酸含量は、少なくとも15mol/molからなる。別の関連する態様では、高グリコシル化型は、少なくとも10mol/molのO-グリカン含量を含む。別の関連する態様では、実質的に純粋な活性型は、少なくとも60%の前記活性CTP修飾FVIIaの高グリコシル化型を含む。別の関連する態様では、少なくとも60%の実質的に純粋なCTP修飾FVIIa型は、高い比率のカルボキシル化グルタミン酸(Gla)残基を含む。別の関連する態様では、高い比率のカルボキシル化グルタミン酸(Gla)残基は、少なくとも90%のGla残基からなる。別の関連する態様では、低い比率の酸化型は、5%未満からなる。別の関連する態様では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも90%である。さらに関連する態様では、純度パーセンテージは、97.3%、97.6%、97.4%および97.0%からなる群から選択される。別の関連する態様では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの効力は、少なくとも10,500U/mgである。さらに関連する態様では、効力は、15,563U/mg、16,720U/mg、22,478U/mgおよび23,608U/mgからなる群から選択される。
【0043】
別の実施形態では、(a)高シアル酸含量;(b)低酸化型;(c)高グリコシル化型;(d)高い比率のカルボキシル化グルタミン酸残基;(e)高い比率の荷電N-グリカン;および(f)高い効力;またはこれらの任意の組み合わせを含むCTP修飾FVIIaおよび薬学的に許容可能なキャリアを含む組成物が本明細書で開示され、前記CTP修飾FVIIaは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含む。
【0044】
別の実施形態では、(a)高シアル酸含量;(b)低酸化型;(c)高グリコシル化型;(d)高い比率のカルボキシル化グルタミン酸残基;(e)高い比率の荷電N-グリカン;および(f)少なくとも10,500U/mgの効力;またはこれらの任意の組み合わせを含むCTP修飾FVIIaおよび薬学的に許容可能なキャリアを含む組成物が本明細書で開示され、前記CTP修飾FVIIaは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含む。
【0045】
別の実施形態では、CTP修飾FVIIaを含む組成物が本明細書で開示され、前記CTP修飾FVIIaポリペプチドは実質的に純粋な活性型であり、前記CTP修飾FVIIaポリペプチドは、
a.高シアル酸含量;
b.高グリコシル化型を含み、前記CTP修飾FVIIaは:
c.低酸化型;
d.高い比率のカルボキシル化グルタミン酸残基;
e.少なくとも60%の荷電N-グリカン;または
f.少なくとも10,500U/mgの効力;
またはこれらの任意の組み合わせ、の内の少なくとも1つをさらに含み、
前記CTP修飾FVIIaは、配列番号7で示されるアミノ酸配列を含む。
【0046】
別の実施形態では、CTP修飾FVIIaを含む組成物が本明細書で開示され、前記CTP修飾FVIIaポリペプチドは実質的に純粋な活性型であり、前記CTP修飾FVIIaポリペプチドは、
a.高シアル酸含量;
b.高グリコシル化型を含み、前記CTP修飾FVIIaは:
c.低酸化型;
d.高い比率のカルボキシル化グルタミン酸残基;
e.少なくとも60%の荷電N-グリカン;または
f.少なくとも10,500U/mgの効力;
またはこれらの任意の組み合わせ、の内の少なくとも1つをさらに含み、
前記CTP修飾FVIIaは、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含み、前記CTP修飾FVIIaのアミノ酸配列は、配列番号7のシステイン残基135とシステイン残基262との間のジスルフィド(S-S)架橋を含むジスルフィド結合二本鎖ヘテロダイマーの構造として存在し、前記二本鎖は、配列番号7のアミノ酸1~152を含む軽鎖およびアミノ酸153~490を含む重鎖を含む。
【0047】
一実施形態では、第VII因子をコードする核酸配列は、以下の核酸配列を含む:ctcgaggacatggtctcccaggccctcaggctcctctgccttctgcttgggcttcagggctgcctggctgcagtcttcgtaacccaggaggaagcccacggcgtcctgcaccggcgccggcgcgccaacgcgttcctggaggagctgcggccgggctccctggagagggagtgcaaggaggagcagtgctccttcgaggaggcccgggagatcttcaaggacgcggagaggacgaagctgttctggatttcttacagtgatggggaccagtgtgcctcaagtccatgccagaatgggggctcctgcaaggaccagctccagtcctatatctgcttctgcctccctgccttcgagggccggaactgtgagacgcacaaggatgaccagctgatctgtgtgaacgagaacggcggctgtgagcagtactgcagtgaccacacgggcaccaagcgctcctgtcggtgccacgaggggtactctctgctggcagacggggtgtcctgcacacccacagttgaatatccatgtggaaaaatacctattctagaaaaaagaaatgccagcaaaccccaaggccgaattgtggggggcaaggtgtgccccaaaggggagtgtccatggcaggtcctgttgttggtgaatggagctcagttgtgtggggggaccctgatcaacaccatctgggtggtctccgcggcccactgtttcgacaaaatcaagaactggaggaacctgatcgcggtgctgggcgagcacgacctcagcgagcacgacggggatgagcagagccggcgggtggcgcaggtcatcatccccagcacgtacgtcccgggcaccaccaaccacgacatcgcgctgctccgcctgcaccagcccgtggtcctcactgaccatgtggtgcccctctgcctgcccgaacggacgttctctgagaggacgctggccttcgtgcgcttctcattggtcagcggctggggccagctgctggaccgtggcgccacggccctggagctcatggtcctcaacgtgccccggctgatgacccaggactgcctgcagcagtcacggaaggtgggagactccccaaatatcacggagtacatgttctgtgccggctactcggatggcagcaaggactcctgcaagggggacagtggaggcccacatgccacccactaccggggcacgtggtacctgacgggcatcgtcagctggggccagggctgcgcaaccgtgggccactttggggtgtacaccagggtctcccagtacatcgagtggctgcaaaagctcatgcgctcagagccacgcccaggagtcctcctgcgagccccatttccctgaggatgcggccgc(配列番号1)。
【0048】
別の実施形態では、第VII因子のアミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列を含む:MVSQALRLLCLLLGLQGCLAAVFVTQEEAHGVLHRRRRANAFLEELRPGSLERECKEEQCSFEEAREIFKDAERTKLFWISYSDGDQCASSPCQNGGSCKDQLQSYICFCLPAFEGRNCETHKDDQLICVNENGGCEQYCSDHTGTKRSCRCHEGYSLLADGVSCTPTVEYPCGKIPILEKRNASKPQGRIVGGKVCPKGECPWQVLLLVNGAQLCGGTLINTIWVVSAAHCFDKIKNWRNLIAVLGEHDLSEHDGDEQSRRVAQVIIPSTYVPGTTNHDIALLRLHQPVVLTDHVVPLCLPERTFSERTLAFVRFSLVSGWGQLLDRGATALELMVLNVPRLMTQDCLQQSRKVGDSPNITEYMFCAGYSDGSKDSCKGDSGGPHATHYRGTWYLTGIVSWGQGCATVGHFGVYTRVSQYIEWLQKLMRSEPRPGVLLRAPFP(配列番号2)。
【0049】
別の実施形態では、第VII因子のアミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列を含む:MVSQALRLLCLLLGLQGCLAAVFVTQEEAHGVLHRRRRANAFLEELRPGSLERECKEEQCSFEEAREIFKDAERTKLFWISYSDGDQCASSPCQNGGSCKDQLQSYICFCLPAFEGRNCETHKDDQLICVNENGGCEQYCSDHTGTKRSCRCHEGYSLLADGVSCTPTVEYPCGKIPILEKRNASKPQGRIVGGKVCPKGECPWQVLLLVNGAQLCGGTLINTIWVVSAAHCFDKIKNWRNLIAVLGEHDLSEHDGDEQSRRVAQVIIPSTYVPGTTNHDIALLRLHQPVVLTDHVVPLCLPERTFSERTLAFVRFSLVSGWGQLLDRGATALELMVLNVPRLMTQDCLQQSRKVGDSPNITEYMFCAGYSDGSKDSCKGDSGGPHATHYRGTWYLTGIVSWGQGCATVGHFGVYTRVSQYIEWLQKLMRSEPRPGVLLRAPFPGCGR(配列番号3)。
【0050】
別の実施形態では、第VII因子-CTP-CTP-CTP(カルボキシ末端に結合)をコードする核酸配列は、以下の核酸配列を含む:ctcgaggacatggtctcccaggccctcaggctcctctgccttctgcttgggcttcagggctgcctggctgcagtcttcgtaacccaggaggaagcccacggcgtcctgcaccggcgccggcgcgccaacgcgttcctggaggagctgcggccgggctccctggagagggagtgcaaggaggagcagtgctccttcgaggaggcccgggagatcttcaaggacgcggagaggacgaagctgttctggatttcttacagtgatggggaccagtgtgcctcaagtccatgccagaatgggggctcctgcaaggaccagctccagtcctatatctgcttctgcctccctgccttcgagggccggaactgtgagacgcacaaggatgaccagctgatctgtgtgaacgagaacggcggctgtgagcagtactgcagtgaccacacgggcaccaagcgctcctgtcggtgccacgaggggtactctctgctggcagacggggtgtcctgcacacccacagttgaatatccatgtggaaaaatacctattctagaaaaaagaaatgccagcaaaccccaaggccgaattgtggggggcaaggtgtgccccaaaggggagtgtccatggcaggtcctgttgttggtgaatggagctcagttgtgtggggggaccctgatcaacaccatctgggtggtctccgcggcccactgtttcgacaaaatcaagaactggaggaacctgatcgcggtgctgggcgagcacgacctcagcgagcacgacggggatgagcagagccggcgggtggcgcaggtcatcatccccagcacgtacgtcccgggcaccaccaaccacgacatcgcgctgctccgcctgcaccagcccgtggtcctcactgaccatgtggtgcccctctgcctgcccgaacggacgttctctgagaggacgctggccttcgtgcgcttctcattggtcagcggctggggccagctgctggaccgtggcgccacggccctggagctcatggtcctcaacgtgccccggctgatgacccaggactgcctgcagcagtcacggaaggtgggagactccccaaatatcacggagtacatgttctgtgccggctactcggatggcagcaaggactcctgcaagggggacagtggaggcccacatgccacccactaccggggcacgtggtacctgaccggcatcgtgagctggggccagggctgcgccaccgtgggccacttcggcgtgtacaccagggtgtcccagtacatcgagtggctgcagaaactgatgagaagcgagcccagacccggcgtgctgctgagagcccccttccccagcagcagctccaaggcccctccccctagcctgcccagccctagcagactgcctgggcccagtgacacccctatcctgcctcagtccagctccagcaaggccccaccccctagcctgccttctccttctcggctgcctggccccagcgatactccaattctgccccagtcctccagcagtaaggctccccctccatctctgccatcccccagcagactgccaggcccttctgatacacccatcctcccacagtgatgaggatccgcggccgcttaattaa(配列番号4)。
【0051】
別の実施形態では、第VII因子-CTP-CTP-CTP(カルボキシ末端に結合)のアミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列を含む:MVSQALRLLCLLLGLQGCLAAVFVTQEEAHGVLHRRRRANAFLEELRPGSLERECKEEQCSFEEAREIFKDAERTKLFWISYSDGDQCASSPCQNGGSCKDQLQSYICFCLPAFEGRNCETHKDDQLICVNENGGCEQYCSDHTGTKRSCRCHEGYSLLADGVSCTPTVEYPCGKIPILEKRNASKPQGRIVGGKVCPKGECPWQVLLLVNGAQLCGGTLINTIWVVSAAHCFDKIKNWRNLIAVLGEHDLSEHDGDEQSRRVAQVIIPSTYVPGTTNHDIALLRLHQPVVLTDHVVPLCLPERTFSERTLAFVRFSLVSGWGQLLDRGATALELMVLNVPRLMTQDCLQQSRKVGDSPNITEYMFCAGYSDGSKDSCKGDSGGPHATHYRGTWYLTGIVSWGQGCATVGHFGVYTRVSQYIEWLQKLMRSEPRPGVLLRAPFPSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号5)。別の実施形態では、配列番号5のアミノ酸1~38は、シグナル配列を含む。別の実施形態では、シグナル配列のアミノ酸配列は、MVSQALRLLCLLLGLQGCLAAVFVTQEEAHGVLHRRRR(配列番号6)を含む。
【0052】
別の実施形態では、シグナルペプチドを欠く第VII因子-CTP-CTP-CTP(カルボキシ末端に結合)のアミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列を含む:
ANAFLEELRP GSLERECKEE QCSFEEAREI
FKDAERTKLF WISYSDGDQC ASSPCQNGGS
CKDQLQSYIC FCLPAFEGRN CETHKDDQLI
CVNENGGCEQ YCSDHTGTKR SCRCHEGYSL
LADGVSCTPT VEYPCGKIPI LEKRNASKPQ
GRIVGGKVCP KGECPWQVLL LVNGAQLCGG
TLINTIWVVS AAHCFDKIKN WRNLIAVLGE
HDLSEHDGDE QSRRVAQVII PSTYVPGTTN
HDIALLRLHQ PVVLTDHVVP LCLPERTFSE
RTLAFVRFSL VSGWGQLLDR GATALELMVL
NVPRLMTQDC LQQSRKVGDS PNITEYMFCA
GYSDGSKDSC KGDSGGPHAT HYRGTWYLTG
IVSWGQGCAT VGHFGVYTRV SQYIEWLQKL
MRSEPRPGVL LRAPFPSSSS KAPPPSLPSP
SRLPGPSDTP ILPQSSSSKA PPPSLPSPSR
LPGPSDTPIL PQSSSSKAPP PSLPSPSRLP
GPSDTPILPQ(配列番号7)。
【0053】
別の実施形態では、活性化第VII因子-CTP-CTP-CTP(カルボキシ末端に結合)(FVIIa-CTP3)のアミノ酸配列は、シグナルペプチドを欠き、配列番号7で示されるアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、FVIIa-CTP3は、シグナルペプチドを欠き、配列番号7の相同体を含む。別の実施形態では、FVIIa-CTP3は、シグナルペプチドを欠き、配列番号7の変異体を含む。別の実施形態では、FVIIa-CTP3のアミノ酸配列は、残基152の位置のアルギニン(R)と、残基153の位置のイソロイシン(I)との間で切断される。別の実施形態では、FVIIa-CTP3のアミノ酸配列は、それぞれの鎖上に存在するシステイン残基間のジスルフィドS-S架橋を含むジスルフィド結合二本鎖ヘテロダイマーの構造として存在する。別の実施形態では、FVIIa-CTP3のアミノ酸配列は、軽鎖中に存在するシステイン残基と重鎖中に存在するシステイン残基との間のジスルフィド-S-S-結合により連結した軽鎖および重鎖を含むヘテロダイマーの構造として存在する。別の実施形態では、軽鎖はFVIIa-CTP3アミノ酸配列のN末端断片を含み、重鎖はFVIIa-CTP3アミノ酸配列のC末端断片を含む。別の実施形態では、システイン残基は、いずれかの鎖の任意のシステイン残基であってよい。別の実施形態では、FVIIa-CTP3のアミノ酸配列は、配列番号7のシステイン残基135とシステイン残基262との間のS-S架橋を含むジスルフィド結合二本鎖ヘテロダイマーの構造として存在し、前記二本鎖は、配列番号7のアミノ酸1~152を含む軽鎖およびアミノ酸153~490を含む重鎖を含む。
【0054】
別の実施形態では、軽鎖は、変性条件下のSDS-PAGEで、約25kDaに移動する。別の実施形態では、重鎖は、変性条件下のSDS-PAGEで、約50kDaに移動する。別の実施形態では、重鎖は、変性条件下のSDS-PAGEで、約60kDaに移動する。
【0055】
別の実施形態では、C末端に結合した3個のCTPにより修飾された活性化FVII(FVIIa-CTP-CTP-CTP)の軽鎖は、配列番号8を含む。
ANAFLEELRPGSLERECKEEQCSFEEAREIFKDAERTKLFWISYSDGDQCASSPCQNGGSCKDQLQSYICFCLPAFEGRNCETHKDDQLICVNENGGCEQYCSDHTGTKRSCRCHEGYSLLADGVSCTPTVEYPCGKIPILEKRNASKPQGR(配列番号8)。
【0056】
別の実施形態では、C末端に結合した3個のCTPにより修飾された活性化FVII(FVIIa-CTP-CTP-CTP)の重鎖は、配列番号9を含む。
IVGGKVCPKGECPWQVLLLVNGAQLCGGTLINTIWVVSAAHCFDKIKNWRNLIAVLGEHDLSEHDGDEQSRRVAQVIIPSTYVPGTTNHDIALLRLHQPVVLTDHVVPLCLPERTFSERTLAFVRFSLVSGWGQLLDRGATALELMVLNVPRLMTQDCLQQSRKVGDSPNITEYMFCAGYSDGSKDSCKGDSGGPHATHYRGTWYLTGIVSWGQGCATVGHFGVYTRVSQYIEWLQKLMRSEPRPGVLLRAPFPSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号9)。
【0057】
別の実施形態では、フーリンが、本開示の凝固因子-CTPを発現する細胞に添加される。別の実施形態では、フーリンは、細胞中の本開示の凝固因子-CTPの生成効率を増大する。別の実施形態では、フーリンは、本開示の凝固因子-CTPのコード配列を含むベクターを用いて同時遺伝子導入される。別の実施形態では、フーリンは、別のベクターによりコードされる。別の実施形態では、フーリンおよび凝固因子-CTPは、1個のベクターによって、コードされる。別の実施形態では、フーリンのコード配列が、pCI-DHFRに挿入される。別の実施形態では、フーリンのコード配列は、pCI-dhfr/smaI+NotI、フーリン/AsisI F.I.+NotI中で操作される。
【0058】
別の実施形態では、フーリンをコードする核酸配列は、以下の核酸配列を含む:tctagagtcgaccccgccatggagctgaggccctggttgctatgggtggtagcagcaacaggaaccttggtcctgctagcagctgatgctcagggccagaaggtcttcaccaacacgtgggctgtgcgcatccctggaggcccagcggtggccaacagtgtggcacggaagcatgggttcctcaacctgggccagatcttcggggactattaccacttctggcatcgaggagtgacgaagcggtccctgtcgcctcaccgcccgcggcacagccggctgcagagggagcctcaagtacagtggctggaacagcaggtggcaaagcgacggactaaacgggacgtgtaccaggagcccacagaccccaagtttcctcagcagtggtacctgtctggtgtcactcagcgggacctgaatgtgaaggcggcctgggcgcagggctacacagggcacggcattgtggtctccattctggacgatggcatcgagaagaaccacccggacttggcaggcaattatgatcctggggccagttttgatgtcaatgaccaggaccctgacccccagcctcggtacacacagatgaatgacaacaggcacggcacacggtgtgcgggggaagtggctgcggtggccaacaacggtgtctgtggtgtaggtgtggcctacaacgcccgcattggaggggtgcgcatgctggatggcgaggtgacagatgcagtggaggcacgctcgctgggcctgaaccccaaccacatccacatctacagtgccagctggggccccgaggatgacggcaagacagtggatgggccagcccgcctcgccgaggaggccttcttccgtggggttagccagggccgaggggggctgggctccatctttgtctgggcctcggggaacgggggccgggaacatgacagctgcaactgcgacggctacaccaacagtatctacacgctgtccatcagcagcgccacgcagtttggcaacgtgccgtggtacagcgaggcctgctcgtccacactggccacgacctacagcagtggcaaccagaatgagaagcagatcgtgacgactgacttgcggcagaagtgcacggagtctcacacgggcacctcagcctctgcccccttagcagccggcatcattgctctcaccctggaggccaataagaacctcacatggcgggacatgcaacacctggtggtacagacctcgaagccagcccacctcaatgccaacgactgggccaccaatggtgtgggccggaaagtgagccactcatatggctacgggcttttggacgcaggcgccatggtggccctggcccagaattggaccacagtggccccccagcggaagtgcatcatcgacatcctcaccgagcccaaagacatcgggaaacggctcgaggtgcggaagaccgtgaccgcgtgcctgggcgagcccaaccacatcactcggctggagcacgctcaggcgcggctcaccctgtcctataatcgccgtggcgacctggccatccacctggtcagccccatgggcacccgctccaccctgctggcagccaggccacatgactactccgcagatgggtttaatgactgggccttcatgacaactcattcctgggatgaggatccctctggcgagtgggtcctagagattgaaaacaccagcgaagccaacaactatgggacgctgaccaagttcaccctcgtactctatggcaccgcccctgaggggctgcccgtacctccagaaagcagtggctgcaagaccctcacgtccagtcaggcctgtgtggtgtgcgaggaaggcttctccctgcaccagaagagctgtgtccagcactgccctccaggcttcgccccccaagtcctcgatacgcactatagcaccgagaatgacgtggagaccatccgggccagcgtctgcgccccctgccacgcctcatgtgccacatgccaggggccggccctgacagactgcctcagctgccccagccacgcctccttggaccctgtggagcagacttgctcccggcaaagccagagcagccgagagtccccgccacagcagcagccacctcggctgcccccggaggtggaggcggggcaacggctgcgggcagggctgctgccctcacacctgcctgaggtggtggccggcctcagctgcgccttcatcgtgctggtcttcgtcactgtcttcctggtcctgcagctgcgctctggctttagttttcggggggtgaaggtgtacaccatggaccgtggcctcatctcctacaaggggctgccccctgaagcctggcaggaggagtgcccgtctgactcagaagaggacgagggccggggcgagaggaccgcctttatcaaagaccagagcgccctctgaacgcggccgc(配列番号10)。
【0059】
別の実施形態では、フーリンのアミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列を含む:MELRPWLLWVVAATGTLVLLAADAQGQKVFTNTWAVRIPGGPAVANSVARKHGFLNLGQIFGDYYHFWHRGVTKRSLSPHRPRHSRLQREPQVQWLEQQVAKRRTKRDVYQEPTDPKFPQQWYLSGVTQRDLNVKAAWAQGYTGHGIVVSILDDGIEKNHPDLAGNYDPGASFDVNDQDPDPQPRYTQMNDNRHGTRCAGEVAAVANNGVCGVGVAYNARIGGVRMLDGEVTDAVEARSLGLNPNHIHIYSASWGPEDDGKTVDGPARLAEEAFFRGVSQGRGGLGSIFVWASGNGGREHDSCNCDGYTNSIYTLSISSATQFGNVPWYSEACSSTLATTYSSGNQNEKQIVTTDLRQKCTESHTGTSASAPLAAGIIALTLEANKNLTWRDMQHLVVQTSKPAHLNANDWATNGVGRKVSHSYGYGLLDAGAMVALAQNWTTVAPQRKCIIDILTEPKDIGKRLEVRKTVTACLGEPNHITRLEHAQARLTLSYNRRGDLAIHLVSPMGTRSTLLAARPHDYSADGFNDWAFMTTHSWDEDPSGEWVLEIENTSEANNYGTLTKFTLVLYGTAPEGLPVPPESSGCKTLTSSQACVVCEEGFSLHQKSCVQHCPPGFAPQVLDTHYSTENDVETIRASVCAPCHASCATCQGPALTDCLSCPSHASLDPVEQTCSRQSQSSRESPPQQQPPRLPPEVEAGQRLRAGLLPSHLPEVVAGLSCAFIVLVFVTVFLVLQLRSGFSFRGVKVYTMDRGLISYKGLPPEAWQEECPSDSEEDEGRGERTAFIKDQSAL(配列番号11)。
【0060】
一実施形態では、凝固因子という用語はさらに、既知の凝固因子の相同体を含む。一実施形態では、この相同体は、凝固活性を有する。いくつかの実施形態では、本発明による相同性はまた、欠失、挿入または置換バリアントを含み、これには、そのアミノ酸置換、およびその生物学的に活性なポリペプチド断片を含む。一実施形態では、このバリアントは、凝固因子の保存的置換、または凝固因子の三次元構造を大きく変更しない欠失、挿入もしくは置換を含む。別の実施形態では、この欠失、挿入または置換は、凝固因子の目的の機能、一実施形態では、特定の結合パートナーに対する結合機能、を変更しない。
【0061】
別の実施形態では、本開示は、凝固因子の相同体を含む。別の実施形態では、本開示は、凝固活性を有する凝固因子の相同体を含む。別の実施形態では、本開示は、機能的結合を有する凝固因子の相同体を含む。別の実施形態では、本開示は、凝固活性を有している本明細書に記載の凝固因子の相同体を含む。別の実施形態では、本開示は、機能的結合を有している本明細書に記載の凝固因子の相同体を含む。別の実施形態では、相同体は、例えば、デフォルトパラメーターを用いて、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のBlastPソフトウェアを用いて決定して、凝固因子に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも89%、少なくとも91%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%相同であるポリペプチドである。
【0062】
別の実施形態では、本明細書に記載された[(CTP)n>1-凝固因子]は、カルボキシ末端のペプチド結合を介して少なくとも1個のCTP単位に連結され、アミノ末端にはCTPを有さない、完全長凝固因子またはその活性断片を含む。別の実施形態では、本明細書に記載された[(CTP)n>1-凝固因子]は、ペプチド結合を介して少なくとも1個のCTP単位に連結され、ペプチド結合を介してさらなるCTP単位に連結され、アミノ末端にはCTPを有さない、凝固因子またはその活性断片を含む。別の実施形態では、1個の核酸分子は、そのC末端に結合された少なくとも1個のCTPを含み、そのアミノ末端にはCTPを含まない操作された凝固因子をコードする。
【0063】
別の実施形態では、CTPは、リンカーを介して凝固因子に結合される。別の実施形態では、凝固因子に対してCTP配列を連結するリンカーの結合は、共有結合である。別の実施形態では、凝固因子に対してCTP配列を連結するリンカーの結合は、ペプチド結合である。別の実施形態では、凝固因子に対してCTP配列を連結するリンカーの結合は、置換ペプチド結合である。別の実施形態では、CTP配列は、DPRFQDSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPIL(配列番号12)を含む。別の実施形態では、CTP配列は、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号13)を含む。別の実施形態では、CTP配列は、配列番号12および配列番号13で示される配列から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0064】
別の実施形態では、本明細書で開示のカルボキシ末端ペプチド(CTP)ペプチドは、配列番号12で示されるヒト絨毛性ゴナドトロピンのアミノ酸位置112~145のアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、本明細書で開示のCTP配列は、配列番号13に示す、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのアミノ酸位置118~145のアミノ酸配列を含む。別の実施形態ではまた、CTP配列は、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのアミノ酸112~118の任意の位置から始まり、145の位置で終わる。いくつかの実施形態では、このCTP配列のペプチドは、28、29、30、31、32、33または34アミノ酸長であり、CTPアミノ酸配列の位置112、113、114、115、116、117または118で開始する。
【0065】
別の実施形態では、CTPペプチドは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,712,122号に記載の1~5個の保存的アミノ酸置換が天然のCTPとは異なる絨毛性ゴナドトロピンCTPのバリアントである。別の実施形態では、CTPペプチドは、1個の保存的アミノ酸置換が天然型CTPと異なる、絨毛性ゴナドトロピンCTPのバリアントである。別の実施形態では、CTPペプチドは、2個の保存的アミノ酸置換が天然型CTPと異なる、絨毛性ゴナドトロピンCTPのバリアントである。別の実施形態では、CTPペプチドは、3個の保存的アミノ酸置換が天然型CTPと異なる、絨毛性ゴナドトロピンCTPのバリアントである。別の実施形態では、CTPペプチドは、4個の保存的アミノ酸置換が天然型CTPと異なる、絨毛性ゴナドトロピンCTPの変異体である。別の実施形態では、CTPペプチドは、5個の保存的アミノ酸置換が天然型CTPと異なる、絨毛性ゴナドトロピンCTPの変異体である。
【0066】
別の実施形態では、本明細書で開示のCTPペプチドアミノ酸配列は、天然のCTPアミノ酸配列またはそのペプチドに対して少なくとも70%相同である。別の実施形態では、本明細書で開示のCTPペプチドアミノ酸配列は、天然のCTPアミノ酸配列またはそのペプチドに対して少なくとも80%相同である。別の実施形態では、本明細書で開示のCTPペプチドアミノ酸配列は、天然のCTPアミノ酸配列またはそのペプチドに対して少なくとも90%相同である。別の実施形態では、本明細書で開示のCTPペプチドアミノ酸配列は、天然のCTPアミノ酸配列またはそのペプチドに対して少なくとも95%相同である。別の実施形態では、本明細書で開示のCTPペプチドアミノ酸配列は、天然のCTPアミノ酸配列またはそのペプチドに対して少なくとも98%相同である。
【0067】
別の実施形態では、本明細書で開示のCTPペプチドをコードするポリヌクレオチドは、天然のヒトCTPのDNA配列またはそのペプチドに対して少なくとも70%相同である。別の実施形態では、本明細書で開示のCTPペプチドをコードするポリヌクレオチドは、天然のヒトCTPのDNA配列またはそのペプチドに対して少なくとも80%相同である。別の実施形態では、本明細書で開示のCTPペプチドをコードするポリヌクレオチドは、天然のヒトCTPのDNA配列またはそのペプチドに対して少なくとも90%相同である。別の実施形態では、本明細書で開示のCTPペプチドをコードするポリヌクレオチドは、天然のヒトCTPのDNA配列またはそのペプチドに対して少なくとも95%相同である。別の実施形態では、本明細書で開示のCTPペプチドをコードするポリヌクレオチドは、天然のヒトCTPのDNA配列またはそのペプチドに対して少なくとも98%相同である。
【0068】
一実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列の少なくとも1個が切断される。別の実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列の両方が切断される。別の実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列の2個が切断される。別の実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列の3個が切断される。別の実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列の4個が切断される。別の実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列の5個が切断される。別の実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列の内の2個以上が切断される。別の実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列の全てが切断される。一実施形態では、切断されたCTPは、配列番号14の最初の10個のアミノ酸を含む。別の実施形態では、配列番号14は、SSSSKAPPPSLPのアミノ酸(AA)配列を含む。別の実施形態では、配列番号14の最初の10個のアミノ酸は、配列番号15:SSSSKAPPPSに示されるものである。
【0069】
一実施形態では、切断されたCTPは、配列番号13の最初の10個のアミノ酸を含む。
【0070】
一実施形態では、切断されたCTPは、配列番号13の最初の11個のアミノ酸を含む。一実施形態では、切断されたCTPは、配列番号13の最初の12個のアミノ酸を含む。一実施形態では、切断されたCTPは、配列番号13または配列番号14の最初の8個のアミノ酸を含む。一実施形態では、切断されたCTPは、配列番号13の最初の13個のアミノ酸を含む。一実施形態では、切断されたCTPは、配列番号13の最初の14個のアミノ酸を含む。一実施形態では、切断されたCTPは、配列番号13または配列番号14の最初の6個のアミノ酸を含む。一実施形態では、切断されたCTPは、配列番号13または配列番号14の最初の5個のアミノ酸を含む。
【0071】
一実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPのアミノ酸配列の少なくとも1個が、グリコシル化されている。別の実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列の2個が、グリコシル化されている。別の実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列の3個が、グリコシル化されている。別の実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列の4個が、グリコシル化されている。別の実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列の5個が、グリコシル化されている。別の実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列の2個以上が、グリコシル化されている。別の実施形態では、絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列の全てがグリコシル化されている。
【0072】
一実施形態では、本明細書で開示のCTP配列は、少なくとも1個のグリコシル化部位を含む。一実施形態では、本明細書で開示のCTP配列は、2個のグリコシル化部位を含む。一実施形態では、本明細書で開示のCTP配列は、3個のグリコシル化部位を含む。一実施形態では、本明細書で開示のCTP配列は、4個のグリコシル化部位を含む。一実施形態では、1個または複数の絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列は、完全にグリコシル化されている。別の実施形態では、1個または複数の絨毛性ゴナドトロピンCTPアミノ酸配列は、部分的にグリコシル化されている。一実施形態では、部分的にグリコシル化されたとは、CTPグリコシル化部位の内の1個がグリコシル化されていることを示す。別の実施形態では、CTPグリコシル化部位の内の2個がグリコシル化されている。別の実施形態では、CTPグリコシル化部位の内の3個がグリコシル化されている。
【0073】
いくつかの実施形態では、CTP配列修飾は、低い投与量の使用を可能にする点で有利である。いくつかの実施形態では、CTP配列修飾は、より少ない投与量を可能にする点で有利である。いくつかの実施形態では、CTP配列修飾は、安全で長時間作用型効果を可能にする点で有利である。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」、「操作された凝固因子」、または「タンパク質」という用語は、本来のポリペプチド(分解生成物、人工的に合成されたポリペプチドまたは組み換えポリペプチド)およびペプチド模倣物(典型的には、人工的に合成されたポリペプチド)、ならびにペプトイドおよびセミペプトイド(ポリペプチドアナログである)を包含し、これが、いくつかの実施形態では、凝固因子を含むポリペプチドを、身体内にある間より安定にするか、または細胞内へより浸透可能とする修飾を有する。
【0075】
いくつかの実施形態では、修飾としては、限定されないが、C末端修飾、ポリペプチド結合修飾、例えば、限定されないがCH2-NH、CH2-S、CH2-S=O、O=C-NH、CH2-O、CH2-CH2、S=C-NH、CH=CH、またはCF=CHなど、骨格修飾、および残基修飾が挙げられる。ペプチド模倣化合物を調製するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、Quantitative Drug Design,C.A.Ramsden Gd.,Chapter 17.2,F.Choplin Pergamon Press(1992)に記載されており、同文献は、本明細書に全体を記載したかのように、参照により組み込まれる。この点に関するさらなる詳細は以下に提供される。
【0076】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド内のポリペプチド結合(-CO-NH-)は置換される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド結合は、N-メチル化結合(-N(CH3)-CO-)により置換される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド結合は、エステル結合(-C(R)H-C-O-O-C(R)-N-)により置換される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド結合は、ケトメチレン結合(-CO-CH2-)により置換される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド結合は、α-アザ結合(-NH-N(R)-CO-)により置換され、ここでRは、任意のアルキル、例えば、メチル、カルバ結合(-CH2-NH-)である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド結合は、ヒドロキシエチレン結合(-CH(OH)-CH2-)により置換される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド結合は、チオアミド結合(-CS-NH-)により置換される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド結合は、オレフィン二重結合(-CH=CH-)により置換される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド結合は、レトロアミド結合(-NH-CO-)により置換される。いくつかの実施形態では、このポリペプチド結合は、ポリペプチド誘導体(-N(R)-CH2-CO-)により置換され、ここでRは、炭素原子上に天然に存在する「正常な」側鎖である。いくつかの実施形態では、これらの修飾は、ポリペプチド鎖に沿って任意の結合で起こり、一実施形態では、同時にいくつか(2~3結合)存在する。
【0077】
いくつかの実施形態では、Trp、TyrおよびPheなどのポリペプチドの天然の芳香族アミノ酸は、合成の非天然の酸、例えば、フェニルグリシン、TIC、ナフチルエラニン(Nol)、Pheの環-メチル化誘導体、Pheのハロゲン化誘導体またはo-メチル-Tyrで置換される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示のポリペプチドは、1個または複数の修飾アミノ酸または1個または複数の非アミノ酸モノマー(例えば、脂肪酸、複合糖質など)を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、天然アミノ酸のグルタミン酸(Glu)は、翻訳後カルボキシル化され、カルボキシグルタミン酸(Gla)の存在下で、本明細書に記載のCTP修飾FVIIまたはCTP修飾FVIIaを生ずる。
【0079】
一実施形態では、「アミノ酸」または「アミノ酸配列」は、20種の天然アミノ酸;例えば、ヒドロキシプロリン、ホスホセリンおよびホスホトレオニンを含む、多くはインビボで翻訳後修飾されたそれらのアミノ酸;ならびに限定されないが、2-アミノアジピン酸、ヒドロキシルリシン、イソデスモシン、ノルバリン、ノルロイシンおよびオルニチンを含む他の異常アミノ酸;を包含すると理解される。一実施形態では、「アミノ酸」は、D-およびL-アミノ酸の両方を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示のポリペプチドは、凝固因子を含むポリペプチドが可溶型であること必要とする治療薬に利用される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示のポリペプチドは、1個または複数の非天然または天然の極性アミノ酸を含み、これには、限定されないが、ヒドロキシル含有側鎖に起因してポリペプチド溶解度を増大させ得るセリンおよびトレオニンが挙げられる。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示の操作された凝固因子は、直鎖型で利用されるが、環化が操作された凝固因子の特徴を大きく妨害しない場合、この操作された凝固因子の環型も利用可能であることが当業者には理解されよう。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示の操作された凝固因子は、例えば、標準の固相技術を用いることにより、生化学的に合成される。いくつかの実施形態では、これらの生化学的な方法としては、完全固相合成法、部分的固相合成法、フラグメント縮合法、または古典的な溶液合成法が挙げられる。
【0083】
いくつかの実施形態では、組み換えタンパク質技術を用いて、本明細書で開示の操作された凝固因子が生成される。いくつかの実施形態では、組み換えタンパク質技術は、比較的長いポリペプチド(例えば、18-25アミノ酸より長い)の生成に用いられる。いくつかの実施形態では、組み換えタンパク質技術は、大量の本明細書で開示の操作された凝固因子の生成に用いられる。いくつかの実施形態では、組み換え技術は、Bitter et al.,(1987)Methods in Enzymol.153:516-544,Studier et al.,(1990)Methods in Enzymol.185:60-89,Brisson et al.,(1984)Nature 310:511-514,Takamatsu et al.,(1987)EMBO J.6:307-311,Coruzzi et al.,(1984)EMBO J.3:1671-1680およびBrogli et al.,(1984)Science 224:838-843,Gurley et al.,(1986)Mol.Cell.Biol.6:559-565、およびWeissbach & Weissbach,1988,Methods for Plant Molecular Biology,Academic Press,NY,Section VIII,pp421-463(これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0084】
別の実施形態では、本開示は、本明細書において上記されるように、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合したゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドをコードする遺伝子のコード部分を含むポリヌクレオチド分子を提供する。別の実施形態では、本開示は、本明細書において上記されるように、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合したゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドをコードする遺伝子のコード部分からなるポリヌクレオチド分子を提供する。別の実施形態では、本開示は、本明細書において上記されるように、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合したゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドをコードする遺伝子のコード部分から本質的になるポリヌクレオチド分子を提供する。
【0085】
別の実施形態では、本開示は、本明細書において上記されるように、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した3個のゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。別の実施形態では、本開示は、本明細書において上記されるように、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した3個のゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドからなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。別の実施形態では、本開示は、本明細書において上記されるように、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した3個のゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドから本質的になるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド配列である。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド分子である。
【0086】
別の実施形態では、本開示は、本明細書で記載のポリヌクレオチド分子を含む発現ベクターを提供する。別の実施形態では、第VII因子ポリペプチドおよび前記FVIIポリペプチドのカルボキシ末端に結合した3個のゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)からなるCTP修飾ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターが本明細書で開示される。別の実施形態では、本明細書に記載の発現ベクターから発現したCTP修飾FVIIは、発現後のいくつかの時点で活性化され、CTP修飾FVIIaを生じ得る。
【0087】
別の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の発現ベクターを含む細胞を提供する。別の実施形態では、第VII因子(FVII)ポリペプチドおよび前記FVIIaポリペプチドのカルボキシ末端に結合した3個のゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)からなるCTP修飾ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む細胞が本明細書で開示される。別の実施形態では、本明細書に記載の発現ベクターから発現し、細胞内に含まれるCTP-FVIIは、細胞から分泌後に活性化され得る。
【0088】
別の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の発現ベクターを含む組成物を提供する。別の実施形態では、第VII因子(FVII)ポリペプチドおよび前記FVIIaポリペプチドのカルボキシ末端に結合した3個のゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)からなるCTP修飾ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む組成物が本明細書で開示される。
【0089】
別の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の細胞を含む組成物を提供する。別の実施形態では、細胞は、真核細胞である。別の実施形態では、細胞は、原核細胞である。
【0090】
一実施形態では、CTP修飾FVIIを製造する方法が本明細書で開示され、該方法は、前記FVIIのカルボキシ末端に3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)を結合し、それにより、CTP修飾FVIIを製造するステップを含む。
【0091】
別の実施形態では、本明細書で開示の操作された凝固因子は、本明細書で開示のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子を用いて合成される。いくつかの実施形態では、操作された凝固因子をコードするポリヌクレオチド分子は、シス調節配列(例えば、プロモーター配列)の転写制御を含む、発現ベクターに連結される。いくつかの実施形態では、シス調節配列は、本明細書で開示の操作された凝固因子の構成的発現を誘導するのに好適する。いくつかの実施形態では、シス調節配列は、操作された凝固因子の組織特異的な発現を誘導するのに好適する。いくつかの実施形態では、シス調節配列は、操作された凝固因子の誘導性発現を行わせるのに好適する。
【0092】
いくつかの実施形態では、本開示での使用に好適する組織特異的プロモーターとしては、1個または複数の特定の細胞集団中で機能的である配列が挙げられる。例としては、限定されないが、肝臓特異的であるアルブミンなどのプロモーター[Pinkert et al.,(1987)Genes Dev.1:268-277]、リンパ系特異的プロモーター[Calame et al.,(1988)Adv.Immunol.43:235-275]、特に、T細胞受容体のプロモーター[Winoto et al.,(1989)EMBO J.8:729-733]および免疫グロブリン、[Banerji et al.,(1983)Cell 33729-740]、ニューロン特異的プロモーター、例えば、神経フィラメントプロモーター[Byrne et al.,(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5473-5477]、膵臓特異的プロモーター[Edlunch et al.,(1985)Science 230:912-916]または乳腺特異的プロモーター、例えば、乳清プロモーター(米国特許第4,873,316号および欧州特許出願公開第264,166号)が挙げられる。本発明での使用に適切な誘導性プロモーターとしては、例えば、テトラサイクリン誘導性プロモーター(Srour,M.A.,et al.,2003.Thromb.Haemost.90:398-405)が挙げられる。
【0093】
一実施形態では、「ポリヌクレオチド分子」という語句は、一本鎖または二本鎖の核酸配列を意味し、これは、RNA配列、相補性ポリヌクレオチド配列(cDNA)、ゲノムポリヌクレオチド配列および/または複合ポリヌクレオチド配列(例えば、上記の組み合わせ)の形態で単離および提供される。
【0094】
一実施形態では、「相補性ポリヌクレオチド配列」は、逆転写酵素または任意の他のRNA依存性DNAポリメラーゼを用いてメッセンジャーRNAの逆転写から生じる配列を意味する。一実施形態では、この配列は、DNAポリメラーゼを用いてインビボまたはインビトロで引き続き増幅できる。
【0095】
一実施形態では、「ゲノムのポリヌクレオチド配列」は、染色体に由来する(単離された)配列を意味し、従って、これは、染色体の連続部分に相当する。
【0096】
一実施形態では、「複合ポリヌクレオチド配列」とは、少なくとも部分的に相補性があり、少なくとも部分的にゲノムである配列を指す。一実施形態では、複合配列は、本明細書で開示のポリペプチドをコードするのに必要ないくつかのエキソン配列、およびその間に介在するいくつかのイントロン配列を包含し得る。一実施形態では、イントロン配列は、他の遺伝子を含む、任意の供給源のものであり得、典型的には、保存されたスプライシングシグナル配列を含む。一実施形態では、イントロンの配列は、シス作用性の発現調節エレメントを含む。
【0097】
一実施形態では、発現後および分泌の前に、シグナルペプチドを、操作された前駆体凝固因子から切断して、シグナルペプチドを欠いた操作された成熟凝固因子をもたらす。別の実施形態では、分泌後に前記操作された成熟凝固因子が活性化される。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示のポリヌクレオチドは、PCR技術、または当業者に既知の任意の他の方法もしくは手順を用いて調製される。いくつかの実施形態では、この手順は、2つの異なるDNA配列の連結反応を含む(例えば、"Current Protocols in Molecular Biology",eds.Ausubel et al.,John Wiley & Sons,1992、を参照されたい)。
【0099】
一実施形態では、操作された凝固因子をコードする、本明細書で開示のポリヌクレオチドを、発現ベクター(すなわち、核酸構築物)に挿入して、組み換えポリペプチドの発現を可能にする。一実施形態では、本明細書で開示の発現ベクターは、このベクターを原核生物中での複製および組込みを好適にする追加の配列を含む。一実施形態では、本明細書で開示の発現ベクターは、このベクターを真核生物中での複製および組込みを好適にする追加の配列を含む。一実施形態では、本明細書で開示の発現ベクターは、このベクターを原核生物および真核生物の両方での複製および組込みを好適にするシャトルベクターを含む。いくつかの実施形態では、クローニングベクターは、転写および翻訳開始配列(例えば、プロモーター、エンハンサー)および転写および翻訳のターミネーター(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含む。
【0100】
一実施形態では、種々の原核または真核細胞を宿主発現系として用いて、本明細書で開示の凝固因子を発現させることができる。いくつかの実施形態では、これらには、ポリペプチドコード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌などの微生物;ポリペプチドコード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母;組換えウィルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウィルス、CaMV;タバコモザイクウィルス、TMV)で感染させた植物細胞系またはポリペプチドコード配列を含むTiプラスミドなどの組換えプラスミド発現ベクターで形質転換した植物細胞系が含まれるが、これらに限定されない。
【0101】
いくつかの実施形態では、非細菌の発現系を用いて(例えば、CHO細胞などの哺乳動物発現系)本明細書で開示の凝固因子を発現させる。一実施形態では、哺乳動物細胞において本明細書で開示のポリヌクレオチドを発現させるために用いられる発現ベクターは、CMVプロモーターおよびネオマイシン耐性遺伝子を含むpCI-DHFRベクターである。pCI-dhfrベクターの構築は、国際出願第PCT/IL2016/050645号中の一実施形態により記載される。この特許出願は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示の細菌系で、いくつかの発現ベクターを、発現されるポリペプチドのための用途に応じて有利に選択できる。一実施形態では、大量のポリペプチドが所望される。一実施形態では、おそらく、タンパク質産物の精製が容易な細菌の周辺質中または培地中に発現産物を導く疎水性シグナル配列との融合物として、高レベルのタンパク質産物の発現を指示するベクターが望まれる。一実施形態では、特定の融合タンパク質は、ポリペプチドの回収に役立たせるように、特定の切断部位を用いて設計される。一実施形態では、このような操作に適合可能なベクターとしては、限定されないが、pETシリーズのE.coli発現ベクターが挙げられる[Studier et al.,Methods in Enzymol.185:60-89(1990)]。
【0103】
一実施形態では、酵母発現系が使用される。一実施形態では、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含む多数のベクターを、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第5,932,447号に開示の酵母で使用できる。別の実施形態では、酵母染色体への外来DNA配列の組込みを促進するベクターが使用される。
【0104】
一実施形態では、本明細書で開示の発現ベクターはさらに、例えば、配列内リボソーム進入部位(IRES)およびプロモーター-キメラポリペプチドのゲノム組込みのための配列などの単一のmRNA由来のいくつかのタンパク質の翻訳を可能にする追加のポリヌクレオチド配列を含み得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、組み換えウィルスベクターは、本明細書で開示の凝固因子のインビボ発現に有用である。この理由は、組み換えウィルスベクターは、水平感染および標的特異性などの利点を提供するからである。一実施形態では、水平感染は、例えば、レトロウィルスのライフサイクルでは固有であり、単一の感染した細胞が多くの子孫ビリオンを生成する(分離して近隣の細胞に感染する)プロセスである。一実施形態では、結果として、広い領域が急速に感染され、そのほとんどがもとのウィルス粒子で最初に感染されたのではなかった。一実施形態では、外部に伝染できないウィルスベクターが生成される。一実施形態では、この特徴は、望ましい目的が、限られた数の標的細胞にのみ特定の遺伝子を導入することである場合に有用であり得る。
【0106】
一実施形態では、種々の方法を用いて、本明細書で開示の発現ベクターを細胞に導入できる。このような方法は、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory,New York(1989,1992),in Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Md.(1989),Chang et al.,Somatic Gene Therapy,CRC Press,Ann Arbor,Mich.(1995),Vega et al.,Gene Targeting,CRC Press,Ann Arbor Mich.(1995),Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,Butterworths,Boston Mass.(1988)およびGilboa et at.[Biotechniques 4(6):504-512,1986]に一般的に記載されており、例えば、組換えウィルスベクターによる安定なまたは一時的な遺伝子導入、リポフェクション、電気穿孔および感染を含む。さらに、ポジティブ-ネガティブ選択法に関する米国特許第5,464,764号および同第5,487,992号を参照されたい。これらの特許は参照により本明細書に組み込まれる。
【0107】
いくつかの実施形態では、ウィルス感染による核酸の導入は、リポフェクションおよび電気穿孔などの他の方法を上回るいくつかの利点を提供する。この理由は、ウィルスの感染性の性質に起因して、より高い遺伝子導入効率が得られる可能性があるためである。
【0108】
一実施形態では、本明細書で開示の操作された凝固因子はまた、本明細書において、上記で記載された、任意の適切な投与方式を使用して個体に投与される核酸構築物から発現され得る(すなわち、インビボの遺伝子療法)ことが理解されよう。一実施形態では、この核酸構築物は、適切な細胞中へ、適切な遺伝子送達ビークル/方法(遺伝子導入、形質導入、相同組み換えなど)を介して、および必要に応じて発現系に導入され、次いで修飾された細胞が、培養により増殖されて、個体に戻される(すなわち、エキソビボの遺伝子療法)。
【0109】
一実施形態では、植物発現ベクターが使用される。一実施形態では、ポリペプチドコード配列の発現は、いくつかのプロモーターにより推進される。いくつかの実施形態では、ウィルスプロモーター、例えば、CaMVの35S RNAおよび19S RNAプロモーター[Brisson et al.,Nature 310:511-514(1984)]、またはTMVに対するコートタンパク質プロモーター[Takamatsu et al.,EMBO J.6:307-311(1987)]を用いる。別の実施形態では、例えば、RUBISCOの小サブユニット[Coruzzi et al.,EMBO J.3:1671-1680(1984)およびBrogli et al.,Science 224:838-843(1984)]またはヒートショックプロモーター、例えば、大豆hsp17.5-Eまたはhsp17.3-B[Gurley et al.,Mol.Cell.Biol.6:559-565(1986)]などの植物プロモーターが使用される。一実施形態では、構築物は、Tiプラスミド、Riプラスミド、植物ウィルスベクター、直接DNA形質転換、微量注入、電気穿孔、および当業者に公知の他の技術を用いて植物細胞に導入される。例えば、Weissbach & Weissbach [Methods for Plant Molecular Biology,Academic Press,NY,Section VIII,pp 421-463(1988)]を参照されたい。当技術分野で公知である昆虫および哺乳動物宿主細胞系などの他の発現系も本発明で使用することができる。
【0110】
挿入されたコード配列(ポリペプチドをコードする)の転写および翻訳のための必須のエレメントを含む以外に、本明細書で開示の発現構築物はまた、発現されたポリペプチドの安定性、産生、精製、収率または活性を最適化するように操作された配列を含むことができることは理解されよう。
【0111】
いくつかの実施形態では、形質転換細胞を、効果的な条件下で培養し、それにより、大量の組み換え操作された凝固因子の発現を可能にする。いくつかの実施形態では、効果的な培養条件としては、限定されないが、タンパク質生成を可能にする有効な培地、バイオリアクター、温度、pHおよび酸素条件が挙げられる。一実施形態では、有効培地とは、細胞が培養されて本明細書で開示の組み換えポリペプチドが産生される任意の培地を指す。いくつかの実施形態では、培地は典型的には、同化可能な炭素、窒素およびリン酸源、ならびに適切な塩、鉱物、金属、および他の栄養素、例えばビタミンを有する水溶液を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示の細胞は、従来の発酵バイオリアクター、振盪フラスコ、試験管、マイクロタイターディッシュおよびペトリ皿中で培養できる。いくつかの実施形態では、培養は、組み換え細胞に適切な温度、pHおよび酸素含量で行われる。いくつかの実施形態では、培養条件の決定は、当業者の専門知識の範囲内である。
【0112】
いくつかの実施形態では、産生のために用いられるベクターおよび宿主系に応じて、得られた本明細書で開示の操作された凝固因子は、組み換え細胞内に残るか、発酵培地中に分泌されるか、E.coli中の細胞周辺腔などの2つの細胞膜の間の空間に分泌されるか、または細胞もしくはウィルス膜の外表面上に保持される。
【0113】
一実施形態では、培養の所定の時間後に、組み換え操作された凝固因子の回収が実施される。
【0114】
一実施形態では、本明細書で用いられる「組み換え操作された凝固因子を回収する」という語句は、ポリペプチドを含有する発酵培地全体を収集することを指すものであって、分離または精製の追加のステップを意味する必要はない。
【0115】
一実施形態では、本明細書で開示の操作された凝固因子は、限定されないが、アフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、濾過、電気泳動、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、コンカナバリンAクロマトグラフィー、等電点電気泳動および示差的可溶化などの種々の標準的なタンパク質精製技術を用いて精製される。
【0116】
一実施形態では、疎水性相互作用カラムの種類は、Capto Phenil Impress(CIP)カラムである。
【0117】
一実施形態では、回収を容易にするために、発現されるコード配列を、本明細書で開示の操作された凝固因子および融合された切断可能部分をコードするように設計できる。一実施形態では、ポリペプチドがアフィニティクロマトグラフィーによって、(例えば、切断可能な部分に特異的なカラム上への固定によって、)容易に単離されるように、融合タンパク質を設計できる。一実施形態では、切断部位が、操作された凝固因子と切断可能部分との間となるように設計し、この部位で融合タンパク質を特異的に切断する適切な酵素または薬剤での処理によって、ポリペプチドが、クロマトグラフィーカラムから放出され得る[例えば、Booth et al.,Immunol.Lett.19:65-70(1988)、およびGardella et al.,J.Biol.Chem.265:15854-15859(1990)を参照]。
【0118】
一実施形態では、本明細書で開示の操作された凝固因子は、「実質的に純粋な」形態で回収される。別の実施形態では、実質的に純粋な操作された凝固因子は、活性型の凝固因子をさらに含み得る。別の実施形態では、実質的に純粋な型は、少なくとも90%純粋である。別の実施形態では、実質的に純粋な型は、少なくとも95~99%純粋である。
【0119】
一実施形態では、本明細書で開示の操作された凝固因子はまた、インビトロの発現系を用いても合成できる。一実施形態では、インビトロの合成方法は、当該分野で周知であり、この系の構成成分は、市販されている。
【0120】
いくつかの実施形態では、組み換え操作された凝固因子は、合成および精製され、それらの治療効力は、インビボまたはインビトロのいずれかでアッセイし得る。一実施形態では、本明細書で開示の組み換え操作された凝固因子の結合活性は、当業者に既知の種々のアッセイを用いて確認できる。
【0121】
本明細書に記載される構成要素またはステップを含む本明細書で開示のポリペプチド、組成物、製剤および方法は、別の実施形態では、それらの構成要素もしくはステップからなってもよく、または別の実施形態では、それらの構成要素もしくはステップから本質的になってもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、「含む(comprise)」という用語は、CTP修飾凝固因子などの、示された活性薬剤の包含、ならびに製薬産業で既知であるような他の活性剤、および薬学的に許容可能なキャリア、賦形剤、エモリエント、安定剤などの包含を意味する。いくつかの実施形態では、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、その唯一の有効成分が示された有効成分である組成物であって、示された有効成分の治療効果には直接関与せずに、製剤を安定化、保存などするための他の化合物が含まれてもよい組成物を意味する。いくつかの実施形態では、「本質的に~からなる」という用語は、有効成分の放出を容易にする成分を意味してもよい。いくつかの実施形態では、「~からなる」という用語は、有効成分、および薬学的に許容可能なキャリア、または賦形剤を含む組成物を意味する。
【0122】
別の実施形態では、第VII因子(FVII)ポリペプチドおよび前記FVIIポリペプチドのカルボキシ末端に結合した3個のゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)からなるCTP修飾ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが本明細書で開示される。別の実施形態では、第VII因子(FVII)ポリペプチドおよび前記FVIIaポリペプチドのカルボキシ末端に結合した3個のゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む組成物が本明細書で開示される。一実施形態では、CTP修飾FVIIは、シグナルペプチドを含む。別の実施形態では、CTP修飾FVIIは、シグナルペプチドを含まない。
【0123】
一実施形態では、本明細書で上記した組み換え凝固因子が本明細書で開示される。一実施形態では、本明細書で上記した操作された凝固因子が本明細書で開示される。一実施形態では、本明細書で上記した操作された凝固因子は、CTP修飾凝固因子と呼ばれる。
【0124】
一実施形態では、凝固因子のカルボキシ末端に結合されるCTPは、カルボキシ末端に直列に結合される。
【0125】
一実施形態では、本明細書に記載の操作された凝固因子は、非CTP修飾凝固因子と比較して、同等であるか、または改善された生物学的活性を有する。別の実施形態では、本明細書に記載の操作された凝固因子は、非CTP修飾凝固因子と比較して同等または改善された薬理学的評価値を有する。別の実施形態では、本明細書に記載の操作された凝固因子は、非CTP修飾凝固因子と比較して同等または改善された薬物動態を有する。別の実施形態では、本明細書に記載の操作された凝固因子は、非CTP修飾凝固因子と比較して、同等または改善された薬力学を有する。
【0126】
別の実施形態では、用語の「CTPペプチド」、「カルボキシ末端ペプチド」および「CTP配列」は、本明細書において同義に用いられる。別の実施形態では、カルボキシ末端ペプチドは、完全長CTPである。
【0127】
他の実施形態では、操作された凝固因子という用語は、成熟した凝固因子のアミノ酸配列を意味する。他の実施形態では、操作された凝固因子という用語は、シグナル配列またはシグナルペプチドを含む凝固因子のアミノ酸配列を意味する。
【0128】
別の実施形態では、「シグナル配列」および「シグナルペプチド」は本明細書では同義に用いられ、全く同じ特性および意味を有する。別の実施形態では、「配列」は、ポリヌクレオチド分子に関連するときには、コード部分を指す場合がある。別の実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1個のCTPを含む操作された凝固因子は、少なくとも1個のCTPを含まない同じ凝固因子と比較して、増強されたインビボ生物学的活性を有する。一実施形態では、この生物学的活性の増強は、少なくともいくつかの生物学的活性を維持すると同時に、操作された凝固因子がより長い半減期であることから生じる。別の実施形態では、この生物学的活性の増強は、CTP修飾から生じる生物学的活性の増強から生じる。別の実施形態では、この生物学的活性の増強は、CTP修飾凝固因子のより長い半減期と、増強された機能との両方から生じる。
【0129】
いくつかの実施形態では、凝固因子のカルボキシ末端の少なくとも1個のCTP配列は、凝固因子の分解に対する増強された保護を可能とする。いくつかの実施形態では、凝固因子のカルボキシ末端の少なくとも1個のCTP配列は、クリアランスに対する増強された保護を可能とする。いくつかの実施形態では、凝固因子のカルボキシ末端の少なくとも1個のCTP配列は、クリアランス時間の延長を可能とする。いくつかの実施形態では、凝固因子のカルボキシ末端の少なくとも1個のCTP配列は、そのCmaxを高める。いくつかの実施形態では、凝固因子のカルボキシ末端の少なくとも1個のCTP配列は、そのTmaxを高める。いくつかの実施形態では、凝固因子のカルボキシ末端の少なくとも1個のCTP配列は、そのT1/2を延長させる。
【0130】
別の実施形態では、本発明の複合体化凝固因子を、非修飾の複合体化凝固因子と同じ方式で用いる。別の実施形態では、本発明の複合体化凝固因子は、循環半減期および血漿中滞留時間の延長、クリアランスの低下、およびインビボでの臨床活性の増大をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の複合体化凝固因子の特性の改善に起因して、この複合体は、同じ凝固因子の非修飾型よりも低頻度で投与される。
【0131】
別の実施形態では、投与頻度の低下により、治療計画の改善がもたらされ、これは一実施形態では、患者の服薬遵守を向上させ、治療の転帰の改善、ならびに患者の生活の質の改善につながる。別の実施形態では、従来の凝固因子の複合体と比較して、本発明の複合体の分子量とリンカー構造とを有する複合体は、効力の改善、安定性の改善、AUCレベルの上昇、および循環半減期の延長がもたらされることが明らかになった。
【0132】
組成物および使用方法
【0133】
別の実施形態では、本明細書で開示の操作された凝固因子は、それ自体個々に提供し得る。一実施形態では、本明細書で開示の操作された凝固因子は、薬学的に許容可能なキャリアと混合された医薬組成物の一部として個体に提供できる。
【0134】
一実施形態では、「医薬組成物」または「医薬製剤」は、生理学的に適切なキャリアおよび賦形剤などの他の化学成分を含む、本明細書で記載の1種または複数の有効成分の配合物を意味する。医薬組成物または「医薬製剤」の目的は、生物に対する化合物の投与を容易にすることである。特定の実施形態では、「医薬組成物」または「医薬製剤」は、医薬品剤形の薬物を提供する。特定の実施形態では、「医薬組成物」または「医薬製剤」は、持続放出技術、経皮貼付剤、または当該技術分野において既知の任意の剤形を含む。
【0135】
別の実施形態では、「有効成分」とは、生物学的効果を説明可能な、目的のポリペプチド配列を意味する。
【0136】
別の実施形態では、本明細書で開示の任意の組成物は、任意の形態で、目的の操作された凝固因子のカルボキシ末端にのみ結合する少なくとも1個のCTP配列を含む。一実施形態では、混合製剤が本明細書で開示される。一実施形態では、「混合製剤」は、上記で定義した組み合わせ相手が、独立して投与されるか、または特徴量の組み合わせ相手との異なる一定の組み合わせの使用により、すなわち、同時に、並行して、別々にまたは順次投与され得るという意味において、特に「パーツキット」を定義する。いくつかの実施形態では、パーツキットのパーツは、その後、例えば、同時にまたは経時的に交互に、すなわち、異なる時点でおよびパーツキットの任意のパーツについて等しい時間間隔または異なる時間間隔で投与することができる。いくつかの実施形態では、合計量に対する一定比率の組み合わせ相手を、混合製剤として投与することができる。一実施形態では、例えば、治療される患者の亜集団のニーズまたは異なるニーズが特定の疾患、疾患の重症度、年齢、性別、または体重によるものであり得る単一患者のニーズに対処するために、混合製剤を変更することができ、これは当業者が容易に行うことができる。
【0137】
別の実施形態では、FVIIaポリペプチドおよび前記FVIIaのカルボキシ末端に結合した3個のゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)からなるCTP修飾第VIIa因子(FVIIa)ポリペプチドを含む医薬組成物または医薬製剤が本明細書で開示される。
【0138】
別の実施形態では、本明細書において、本明細書に記載の複合体化凝固因子を含む組成物が提供される。別の実施形態では、本明細書において、本明細書に記載の複合体化凝固因子を含む医薬組成物が提供される。別の実施形態では、本明細書において、治療有効量の、本明細書に記載の複合体化凝固因子を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、複合体化凝固因子の治療有効量は、治療される特定の状態、治療される患者の状態、および組成物中の他の成分などの因子に応じて決定される。
【0139】
一実施形態では、本開示は、本開示の組成物、処方、および方法での使用のための医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本開示は、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドからなるポリペプチドを含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、医薬製剤は、緩衝液および等張化剤をさらに含む。別の実施形態では、緩衝液は20mMのクエン酸塩および13.3mMのグリシンであり、等張化剤は150mMのNaClである。別の実施形態では、製剤は約6.4のpHである。別の実施形態では、緩衝液は20mMのクエン酸塩および13.3mMのグリシンであり、等張化剤は150mMのNaClで、pHは6.4である。別の実施形態では、緩衝液は20mMのクエン酸塩および100mMのアルギニン、2%トレハロースであり、pHは6.2である。別の実施形態では、製剤は液体製剤である。別の実施形態では、製剤は凍結乾燥製剤である。別の実施形態では、液体製剤は、凍結乾燥したCTP修飾凝固因子を使って形成し得る。別の実施形態では、CTP修飾凝固因子は、FVII-CTP3である。別の実施形態では、CTP修飾凝固因子は、FVIIa-CTP3である。
【0140】
別の実施形態では、本明細書で提供される医薬製剤を含む週1回剤形が本明細書で提供される。別の実施形態では、本明細書で提供される医薬製剤を含む1日1回剤形が本明細書で提供される。別の実施形態では、本明細書で提供される医薬製剤を含む1日おきの剤形が本明細書で提供される。別の実施形態では、本明細書で提供される医薬製剤を含む3日毎の剤形が本明細書で提供される。別の実施形態では、本明細書で提供される医薬製剤を含む週2回剤形が本明細書で提供される。別の実施形態では、本明細書で提供される医薬製剤を含む週2回剤形が本明細書で提供される。別の実施形態では、本明細書で提供される医薬製剤を含む毎週1回剤形が本明細書で提供される。別の実施形態では、本明細書で提供される医薬製剤を含む2週1回(2週毎)剤形が本明細書で提供される。
【0141】
別の実施形態では、凝固因子および前記凝固因子のカルボキシ末端に結合した3個の絨毛性ゴナドトロピンCTPからなるポリペプチドを含む製剤が本明細書で開示され、前記ポリペプチドは、必要に応じて、シグナルペプチドからなり、前記製剤は安定性が増加している。一実施形態では、製剤は少なくとも1年間は安定である。別の実施形態では、製剤は少なくとも2年間は安定である。
【0142】
一実施形態では、CTPで修飾された凝固因子は、液体製剤に処方される。別の実施形態では、CTPで修飾された第VII因子は、液体製剤に処方される。別の実施形態では、CTPで修飾された第VIIa因子は、液体製剤に処方される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、鼻腔内用の剤形に処方される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、注入可能剤形に処方される。
【0143】
別の実施形態では、本開示の方法は、凝固因子療法の使用において、服薬遵守を向上させることを含み、該方法は、CTPにより修飾された凝固因子を、それを必要としている対象に提供し、それにより、凝固因子治療薬の使用において、服薬遵守を向上させることを含む。
【0144】
別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に1日1回投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子を含むポリペプチドは、対象に2日毎に1回投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に3日毎に1回投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に4日毎に1回投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に5日毎に1回投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に6日毎に1回投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に1週1回投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に7~14日毎に1回投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に10~20日毎に1回投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に5~15日毎に1回投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に15~30日毎に1回投与される。
【0145】
一実施形態では、本明細書で開示の製剤は、シリンジまたはペン型デバイスを介した注入用の液体製剤に処方される。
【0146】
一実施形態では、本明細書で提供される製剤は、塩化ベンザルコニウムおよびチメロサールなどの防腐剤;エデト酸ナトリウムなどのキレート剤;リン酸、クエン酸および酢酸などの緩衝剤;塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、およびマンニトールなどの等張化剤;アスコルビン酸、アセチルシスチン、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;芳香剤;セルロースおよびその誘導体を含むポリマーなどの粘度調整剤;ポリビニルアルコール、ならびに必要に応じてこれらの水性組成物のpHを調整するための酸および塩基も含む。組成物は、局所麻酔薬、または他の活性物質も含む。組成物はスプレー、ミスト、および点滴薬などとして使用することができる。
【0147】
一実施形態では、本明細書に記載の凝固因子は、ヒト凝固因子である。
【0148】
別の実施形態では、本明細書に記載の複合体化凝固因子は、血液凝固異常または血液凝固障害に罹患している対象の治療に有用である。別の実施形態では、血液凝固異常または血液凝固障害は血友病である。別の実施形態では、本明細書に記載の複合体化凝固因子は、血友病の予防的治療に有用であり、従って、出血および関連の合併症のリスクを低減させるのに有用である。別の実施形態では、出血および関連合併症のリスクの低減は、自然発生的出血のリスクを減らす。別の実施形態では、出血および関連合併症のリスクの低減は、過度の出血のリスクを減らす。別の実施形態では、本明細書に記載の複合体化凝固因子は、外因的に投与された凝固因子に対して阻害性の抗体を発生させるリスクを低減させながら、血友病に罹患している対象を治療するのに有用である。別の実施形態では、本明細書に記載の複合体化凝固因子は、血友病に罹患している対象を治療するのに、従って、恒常性を誘導するのに有用である。
【0149】
一実施形態では、本明細書で開示のCTP修飾凝固因子は、いくつかの治療用途を有する。別の実施形態では、本明細書で開示のCTP修飾凝固因子は、いくつかの予防的用途を有する。
【0150】
別の実施形態では、本明細書に記載の複合化凝固因子は、過剰な出血もしくは内出血を受けた対象、または長いプロトロンビン時間(PT)もしくは部分トロンボプラスチン時間(PTT)を有する対象の治療に有用である。別の実施形態では、本明細書に記載の複合体化凝固因子は、ビタミンK欠乏または肝疾患などの出血の原因となる後天性の状態を有する対象の治療に有用である。別の実施形態では、本明細書に記載の複合体化凝固因子は、後天性(他の疾患に起因する)または遺伝性、軽度または重度、継続的または一時的な凝固因子の欠損がある対象の治療に有用である。別の実施形態では、本明細書に記載の複合体化凝固因子は、血友病Aに罹患している対象の治療に有用である。別の実施形態では、本明細書に記載の複合体化凝固因子は、血友病Bに罹患している対象の治療に有用である。別の実施形態では、本明細書に記載の複合体化凝固因子は、肝疾患もしくは癌などの慢性疾患、急速に凝固因子を使い果たす播種性血管内凝固症候群(DIC)などの急性状態、またはビタミンK欠乏症、もしくはワーファリンなどのビタミンKアンタゴニストによる治療(第II因子、第VII因子、第IX因子、および第X因子の産生には、ビタミンKを要する)に起因する後天性の欠陥がある対象の治療に有用である。別の実施形態では、本明細書に記載の複合体化凝固因子は、限定するものではないが、肝疾患、尿毒症、癌、骨髄障害、ヘビ毒に対する暴露、ビタミンK欠乏、抗凝固療法、抗凝固剤ワーファリンの偶発的摂取、複数回輸血(貯蔵血液単位は、その凝固因子の一部を失う)、またはそれらの組み合わせなどの凝固の不均衡を生じる疾患に罹患している対象の治療に有用である。別の実施形態では、対象の深部静脈血栓症を治療する方法が本明細書で開示され、該方法は、本明細書で開示のCTP修飾凝固因子を投与することを含む。別の実施形態では、血友病の対象の無制御出血を防ぐ方法が本明細書で開示され、該方法は、本明細書で開示のCTP修飾凝固因子を投与することを含む。別の実施形態では、血友病の対象の出血症状を防ぐ方法が本明細書で開示され、該方法は、本明細書で開示のCTP修飾凝固因子を投与することを含む。別の実施形態では、血友病B(先天性の第IX因子欠損)の対象の出血症状を制御する方法が本明細書で開示される。
【0151】
一実施形態では、本発明の組成物は、本明細書に記載の製剤を含む。別の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載の製剤を投与することを含む。別の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載の製剤を含む組成物を投与することを含む。
【0152】
一実施形態では、血液凝固障害または血液凝固異常を予防または治療する方法が本明細書で開示される。別の実施形態では、対象の血友病を予防または治療する方法が本明細書で開示され、該方法は、本明細書で開示のCTP修飾凝固因子を投与することを含む。別の実施形態では、対象の血友病を予防および治療する方法が本明細書で開示され、該方法は、本明細書で開示のCTP修飾凝固因子を投与することを含む。別の実施形態では、対象の血友病を治療する方法が本明細書で開示され、該方法は、本明細書で開示のCTP修飾第VIIa因子を投与することを含む。
【0153】
一実施形態では、血友病は、血友病Aである。別の実施形態では、血友病は、血友病Bである。別の実施形態では、血液凝固障害または血液凝固異常を予防または治療する本発明の方法は、FVIIIまたはFIXに対する阻害物質を伴うそれぞれ血友病AまたはBの患者の血友病を予防または治療する。別の実施形態では、本発明の方法は、後天性血友病(阻害物質を伴わない血友病)の患者を予防または治療するための方法である。別の実施形態では、血液凝固障害または血液凝固異常を予防または治療する本発明の方法は、阻害物質を伴わない血友病AまたはBを予防または治療する。別の実施形態では、血友病は、重篤な血友病である。別の実施形態では、血友病は、中等度の血友病である。別の実施形態では、血友病は、阻害物質を伴うまたは伴わない、中等度から重篤までの血友病である。用語の「中程度から重篤までの血友病」は、3%以下のFVIIIまたはFIXを有する対象を意味することは、当業者には理解されよう。別の実施形態では、重篤な血友病は、約0~1%に相当する凝固因子レベルを包含し得る。別の実施形態では、血友病は、中等度の血友病であり、これは、別の実施形態では、凝固因子のレベルが1~5%である血友病を表す。別の実施形態では、血友病は、軽度の血友病であり、これは、別の実施形態では、凝固因子のレベルが5~50%である血友病を表す。
【0154】
別の実施形態では、対象の血液凝固障害または血液凝固異常を予防または治療する方法が本明細書で開示され、該方法は、FVIIaポリペプチドおよび前記FVIIaポリペプチドのカルボキシ末端に結合した3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)を含むCTP修飾第VII因子(FVII)ポリペプチドを前記対象に投与し、それにより、前記対象の血液凝固障害または血液凝固異常を予防または治療することを含む。
【0155】
別の実施形態では、対象の血友病を予防または治療する方法が本明細書で開示され、該方法は、FVIIaポリペプチドおよび前記FVIIaポリペプチドのカルボキシ末端に結合した3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)を含むCTP修飾第VIIa因子(FVIIa)ポリペプチドを、前記対象に投与し、それにより、前記対象の血友病を予防または治療することを含む。
【0156】
別の実施形態では、対象の血友病を血友病する方法が本明細書で開示され、該方法は、本明細書に記載の1個または複数のCTP修飾凝固因子を前記対象に投与することを含む。したがって、一実施形態では、対象の血友病を治療する方法が本明細書で開示され、該方法は、FVIIaポリペプチドおよび前記FVIIaポリペプチドのカルボキシ末端に結合した3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)を含むCTP修飾第VIIa因子(FVIIa)ポリペプチドを、前記対象に投与し、それにより、前記対象の血友病を治療することを含む。一実施形態では、CTP修飾FVIIaは、同じ組成物中で同時に投与される。別の実施形態では、CTP修飾FVIIaは、別々の組成物として、同時に投与される。別の実施形態では、CTP修飾FVIIaは、別々の組成物として、別々の時点に投与される。
【0157】
別の実施形態では、対象の血友病を予防または治療する方法が本明細書で開示され、該方法は、FVIIaポリペプチドおよび前記FVIIaポリペプチドのカルボキシ末端に結合した3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)を前記対象に投与し、それにより、前記対象の血友病を予防または治療することを含む。
【0158】
別の実施形態では、対象の血友病を予防または治療する方法が本明細書で開示され、該方法は、FVIIaポリペプチドおよび前記FVIIaポリペプチドのカルボキシ末端に結合した3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)を含むCTP修飾第VIIa因子ポリペプチドを、前記対象に皮下または静脈内投与し、それにより、前記対象の血友病を予防または治療することを含む。いくつかの実施形態では、対象の血友病を予防または治療する方法が本明細書で提供され、該方法は、対象にCTP修飾凝固因子を投与し、それにより、前記対象の血友病を防止するステップを含み、該CTP修飾凝固因子は、前記凝固因子ポリペプチドのカルボキシ末端に結合した3~5個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)を含み、前記CTP修飾凝固因子は、配列番号5または7からなる群より選択される。別の実施形態では、前記CTP修飾凝固因子は、配列番号5または7からなる群から選択される。別の実施形態では、前記CTP修飾凝固因子は、配列番号7からなる。別の実施形態では、配列番号7からなる前記CTP修飾凝固因子は、活性化FVII(FVIIa)を含む。
【0159】
別の実施形態では、対象の血友病を治療する方法が本明細書で開示され、該方法は、FVIIaポリペプチドおよび前記FVIIaポリペプチドのカルボキシ末端に結合した3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)を含む活性化CTP修飾第VII因子(FVIIa)ポリペプチドを、前記対象に投与し、それにより、前記対象の血友病を治療することを含む。
【0160】
別の実施形態では、皮下(SC)投与は、組み換えFVIIと比較して、CTP修飾FVIIのより高いバイオアベイラビリティをもたらす。別の実施形態では、NovoSeven(登録商標)のSC投与に比較した場合、FVIIa-CTP3のSC投与後、半減期はより長く、バイオアベイラビリティ(AUC SC/AUC IV)はより大きい。別の実施形態では、皮下注射MOD-5014は、組み換えFVII(NovoSeven(登録商標))と比較して、マウス生存の改善を示す。
【0161】
一実施形態では、MOD-5014は、FVIIa-CTP3(C末端に結合した3個のCTPペプチドを有する)である。一実施形態では、MOD-5014は、長時間作用型凝固因子を提供する。一実施形態では、MOD-5014は、組換え型ヒトFVIIaと比較して、より持続性で、長期の血液凝固反応をもたらす。用語のMOD-5014またはFVIIa-CTP3は、全く同じ特性および意味を持ち、同義に使用してよく、また、一実施形態では、アミノ酸配列番号7を含むジスルフィド結合二本鎖ヘテロダイマー構造体を意味し得ることは当業者なら理解されよう。さらに、当業者なら、本明細書での、CTP修飾凝固因子、例えば、FVII-CTP3の説明において、用語のFVII-CTP3は、特定の場合には、不活性形態のFVII-CTP3を意味し得ることを理解するであろう。当業者なら、どの形態が活性などの関連する詳細に基づいて言及されているかを確実にわかるであろう。同様に、用語のMOD-5014は、用語のFVIIa-CTP3と同義、すなわち、CTP修飾凝固因子の活性型を表すが、特定の場合には、用語のMOD-5014は、FVIIの活性型またはFVII-CTP3をコードするヌクレオチド配列の意味に使用され得る。このヌクレオチド配列は、その後、細胞から発現および分泌され、精製されて、インビトロで活性化され、MOD-5014分子中に存在する活性型のFVIIaを生ずる。
【0162】
一実施形態では、組織因子経路阻害物質(TFPI)によるMOD-5014の失活は、用量依存性である。一実施形態では、TFPIによるMOD-5014の失活は、TFPIによる組換えFVIIa(NovoSeven(登録商標))の用量依存性失活パターンへの類似性を示す。一実施形態では、MOD-5014は、抗トロンビンIIIにより阻害される。一実施形態では、抗トロンビンIIIによるMOD-5014の阻害は、ヘパリンの存在下で増強される。一実施形態では、抗トロンビンIIIによるMOD-5014の阻害は、ヘパリンの存在下または非存在下で、組換えFVIIa(NovoSeven(登録商標))の阻害パターンとの類似性を示す。
【0163】
一実施形態では、MOD-5014は、用量依存性方式でトロンビンを生成する。一実施形態では、MOD-5014はトロンビン生成の誘導期を短くする。一実施形態では、MOD-5014は血液凝固時間を短くする。一実施形態では、MOD-5014は血餅形成の効率を高める。一実施形態では、MOD-5014の投与は対象における血液凝固時間を短くする。一実施形態では、MOD-5014の投与は対象における血餅形成の効率を高める。一実施形態では、MOD-5014によるトロンビンの生成は、組換えFVIIa(NovoSeven(登録商標))により産生されるものに類似である。一実施形態では、MOD-5014によるトロンビンの生成の誘導期の短縮は、組換えFVIIa(NovoSeven(登録商標))により生ずるものに類似である。一実施形態では、MOD-5014による血液凝固時間の短縮は、組換えFVIIa(NovoSeven(登録商標))によりもたらされるものに類似である。一実施形態では、MOD-5014による血液凝固形成効率の上昇は、組換えFVIIa(NovoSeven(登録商標))によりもたらされるものに類似である。
【0164】
本明細書にて提供される場合、血液凝固因子、例えば、FVII因子へのCTPの結合は、血液凝固因子の半減期を延長する。実施例は、CTP結合、例えば、FVIIAに結合した3個のCTPは、血液凝固活性に影響を与えるようには見えない。一実施形態では、FVIIへのCTP結合は、血餅形成を妨害しない。一実施形態では、FVIIへのCTP結合は、血餅形成効率の上昇を妨げない。一実施形態では、FVIIへのCTP結合は、血液凝固時間の短縮を妨げない。一実施形態では、リン脂質のFVIIへの結合は、CTPの血液凝固因子への結合後にも維持される。一実施形態では、FVIIAへのCTP結合は、血餅形成を妨げない。一実施形態では、FVIIAへのCTP結合は、血餅形成効率の上昇を妨げない。一実施形態では、FVIIAへのCTP結合は、血餅形成の減少を妨げない。一実施形態では、リン脂質のFVIIAへの結合は、CTPの血液凝固因子への結合後にも維持される。
【0165】
別の実施形態では、対象の血友病を治療する方法が本明細書で開示され、該方法は、本明細書に記載のCTP修飾凝固因子を前記対象に投与することを含む。
【0166】
他の実施形態では、操作された凝固因子は、血友病B患者の治療のためのものである。MOD-5014の大きな哺乳動物(イヌ)への投与の結果。MOD-5014の投与により、血液凝固のための効果的で安全な長時間作用型FVIIaが提供された(国際出願第PCT/IL2016/050645号を参照されたい。この特許は全体が本明細書に組み込まれる)。MOD-5014を使用した治療は、予防型または応需型であってよい。一実施形態では、対象の血友病を治療する方法が本明細書で開示され、該方法は、MOD-5014を前記対象に投与し、それにより、前記対象の血友病を治療することを含む。一実施形態では、対象の過度の出血を防止する方法が本明細書で開示され、該方法は、MOD-5014を前記対象に投与し、それにより、前記対象の過度の出血を防止することを含む。一実施形態では、対象の血友病を予防的に治療する方法が本明細書で開示され、該方法は、MOD-5014を前記対象に投与し、それにより、前記対象の血友病を予防的に治療することを含む。
【0167】
一実施形態では、MOD-5014による対象の血友病の治療は、組換えFVIIa(NovoSeven(登録商標))と比べて、MOD-5014の投与頻度の低減を含む。一実施形態では、MOD-5014による対象の血友病の予防的治療は、組換えFVIIa(NovoSeven(登録商標))と比べて、MOD-5014の投与頻度の低減を含む。一実施形態では、MOD-5014による対象の血友病の予防は、組換えFVIIa(NovoSeven(登録商標))と比べて、MOD-5014の投与頻度の低減を含む。
【0168】
一実施形態では、カルボキシ末端に3個のCTPを直列に含む第VII凝固因子は、NovoSeven(登録商標)との対比でその凝固活性を維持すると同時に、改善されたPKプロファイルを示す。
【0169】
別の実施形態では、本明細書で開示の組成物、製剤および方法は、FVIIIまたはFIXに対する阻害物質を伴う血友病AまたはBの患者における、および後天性の血友病の患者における出血症状の治療のためのものであり;FVIIIまたはFIXに対する阻害物質を伴う血友病AまたはBの患者における、および後天性の血友病の患者における、外科的介入または侵襲手術における出血の防止のためのものであり;先天性のFVII欠損症の患者での出血症状の治療および先天性のFVII欠損症の患者での外科的介入または侵襲手術における出血の防止のためのものである。後天性血友病は、以前に通常の止血であった患者で、凝固因子、大抵の場合FVIIIに対する、自己抗体が発生した、自然発生的自己免疫障害である。FVIIIに対する自己抗体の発生は、FVIII欠損に繋がり、これにより、凝固カスケードの内因性経路を介した第IXa因子および第VIIIa因子複合体によるトロンビンの生成が不十分になる。次の状態は、後天性血友病Aと関連し得る:特発性、妊娠、自己免疫障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、皮膚疾患(例えば、乾癬、天疱瘡)、呼吸器疾患(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患)、アレルギー性薬物反応、糖尿病、急性B型肝炎感染、急性C型肝炎感染、悪性病変-固形腫瘍(前立腺、肺、結腸、膵臓、胃、胆管、頭頸部、子宮頸部、乳房、黒色腫、腎臓)、血液系腫瘍。当業者なら、自己免疫障害は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、側頭動脈炎、シェーグレン症候群、自己免疫性溶血性貧血、グッドパスチャー症候群、重症筋無力症、グレーブス病、自己免疫性甲状腺機能低下症を含み得ることは理解されよう。当業者なら、アレルギー反応は、ペニシリンおよびその誘導体、スルファミド、フェニトイン、クロラムフェニコール、メチルドパ、デポ・チオキサンテン、インターフェロンアルファ、フルダラビン、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)ワクチン接種、デスベンラファキシンから起こり得ることは理解されよう。当業者なら、血液系腫瘍には、慢性リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、および赤白血病を含み得ることは理解されよう。したがって、一実施形態では、対象の後天性血友病を治療する方法が本明細書で提供され、該方法は、本明細書で提供されるいずれかの組成物を対象に投与することを含む。
【0170】
別の実施形態では、本明細書で開示の組成物、製剤、および方法は、筋肉出血の治療または予防のためのものである。別の実施形態では、本明細書で開示の組成物、製剤、および方法は、関節出血の治療または予防のためのものである。別の実施形態では、本明細書で開示の組成物、製剤、および方法は、鼻血および歯茎出血、粘膜出血、中枢神経系への出血の治療的または予防的な処置を提供する。別の実施形態では、本明細書で開示の組成物、製剤、および方法は、消化管または脳出血の治療的または予防的な処置を提供する。別の実施形態では、本明細書で開示の組成物、製剤、および方法は、低頻度の軽度出血の治療的または予防的な処置を提供する。別の実施形態では、本明細書で開示の組成物、製剤、および方法は、低頻度の中等度の出血の治療的または予防的な処置を提供する。別の実施形態では、本明細書で開示の組成物、製剤、および方法は、高頻度の軽度出血の治療的または予防的な処置を提供する。別の実施形態では、本明細書で開示の組成物、製剤、および方法は、高頻度の中等度の出血の治療的または予防的な処置を提供する。
【0171】
一実施形態では、本明細書で開示の組成物、製剤、および方法は、無症候性の血友病の治療的または予防的な処置を提供する。別の実施形態では、本明細書で開示の組成物、製剤、および方法は、軽度から中度の血友病の治療的または予防的な処置を提供する。別の実施形態では、本明細書で開示の組成物、製剤、および方法は、重篤な血友病の治療的または予防的な処置を提供する。
【0172】
一実施形態では、本明細書で開示の組成物、製剤、および方法は、一実施形態では、制御不能な出血であり、別の実施形態では、脳内出血である、出血の治療的または予防的な処置を提供する。別の実施形態では、本明細書で開示の組成物、製剤、および方法は、新生児凝固障害、重度の肝疾患、高リスクの外科的手術、外傷性失血、骨髄移植、血小板減少症および血小板機能障害、経口抗凝固薬の緊急逆転、第V因子、第VII因子、第X因子および第XI因子の先天性の欠損症、またはフォン・ヴィレブランド病、一実施形態では、フォン・ヴィレブランド因子に対する阻害物質を伴うフォン・ヴィレブランド病の治療的または予防的な処置を提供する。
【0173】
一実施形態では、本明細書で開示のCTP修飾凝固因子は、対象における、本明細書に記載の血友病または関連の疾患の治療のためのものである。一実施形態では、対象はヒトである。別の実施形態では、対象はヒトの小児である。別の実施形態では、対象は、家畜(domesticated animal)である。別の実施形態では、対象は哺乳動物である。別の実施形態では、対象は、家畜(farm animal)である。別の実施形態では、対象はサルである。別の実施形態では、対象はウマである。別の実施形態では、対象は雌ウシである。別の実施形態では、対象はマウスである。別の実施形態では、対象は、ラットである。別の実施形態では、対象は、イヌである。別の実施形態では、対象は、ネコである。別の実施形態では、対象は、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、マウスまたはシカである。一実施形態では、対象は、雄性である。別の実施形態では、対象は、雌性である。一実施形態では、対象は、小児であり、別の実施形態では、青年期であり、別の実施形態では、成体であるか、または、別の実施形態では、より高齢の対象である。別の実施形態では、対象は、小児の対象であり、別の実施形態では、高齢の対象である。
【0174】
別の実施形態では、「生理学的に許容可能なキャリア」および「薬学的に許容可能なキャリア」という語句は同義に用いられ、生物体に対して顕著な刺激を生じず、また、投与された化合物の生物学的活性および特性を阻害しないキャリアまたは希釈剤を意味する。アジュバントはこれらの語句に包含される。一実施形態では、薬学的に許容可能なキャリアに含まれる成分の内の1つは、例えば、有機媒体および水性媒体の両方の中で広範な溶解度を有する生体適合性ポリマーであるポリエチレングリコール(PEG)とすることができる。
【0175】
別の実施形態では、「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加された不活性物質を意味する。一実施形態では、賦形剤としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖類および様々な種類のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールを挙げることができる。
【0176】
薬物の処方および投与のための技術は、参照により本明細書に組み込まれる、"Remington's Pharmaceutical Sciences,"Mack Publishing Co.,Easton,PA、の最新版に見られる。
【0177】
投薬範囲の種々の実施形態は、本発明により意図されている。本明細書で開示の操作された凝固因子の投与量は、一実施形態では、0.005~100mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、0.005~5mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、0.01~50mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、0.1~20mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、0.1~10mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、0.01~5mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、0.001~0.01mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、0.001~0.1mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、0.1~5mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、0.5~50mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、0.2~15mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、0.8~65mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、1~50mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、5~10mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、8~15mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、10~20mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、20~40mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、60~120mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、12~40mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、40~60mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、50~100mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、1~60mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、15~25mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、5~10mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、55~65mg/日の範囲である。
【0178】
別の実施形態では、投与量は、50~500mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、50~150mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、100~200mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、150~250mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、200~300mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、250~400mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、300~500mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、350~500mg/日の範囲である。
【0179】
一実施形態では、投与量は、20mg/日である。一実施形態では、投与量は、30mg/日である。一実施形態では、投与量は、40mg/日である。一実施形態では、投与量は、50mg/日である。一実施形態では、投与量は、0.01mg/日である。別の実施形態では、投与量は、0.1mg/日である。別の実施形態では、投与量は、1mg/日である。別の実施形態では、投与量は、0.530mg/日である。別の実施形態では、投与量は、0.05mg/日である。別の実施形態では、投与量は、50mg/日である。別の実施形態では、投与量は、10mg/日である。別の実施形態では、投与量は、20~70mg/日である。別の実施形態では、投与量は、5mg/日である。
【0180】
一実施形態では、CTP修飾凝固因子の投与量は、1~5mg/日である。一実施形態では、CTP修飾凝固因子の投与量は、1~3mg/日である。別の実施形態では、CTP修飾凝固因子の投与量は、2mg/日である。
【0181】
別の実施形態では、投与量は、1~90mg/日の範囲である。別の実施形態では、投与量は、1~90mg/2日である。別の実施形態では、投与量は、1~90mg/3日である。別の実施形態では、投与量は、1~90mg/4日である。別の実施形態では、投与量は、1~90mg/5日である。別の実施形態では、投与量は、1~90mg/6日である。別の実施形態では、投与量は、1~90mg/週である。別の実施形態では、投与量は、1~90mg/9日である。別の実施形態では、投与量は、1~90mg/11日である。別の実施形態では、投与量は、1~90mg/14日である。
【0182】
別の実施形態では、凝固因子の投与量は、10~50mg/日である。別の実施形態では、投与量は、10~50mg/2日である。別の実施形態では、投与量は、10~50mg/3日である。別の実施形態では、投与量は、10~50mg/4日である。別の実施形態では、投与量は、10~50マイクログラムmg/5日である。別の実施形態では、投与量は、10~50mg/6日である。別の実施形態では、投与量は、10~50mg/週である。別の実施形態では、投与量は、10~50mg/9日である。別の実施形態では、投与量は、10~50mg/11日である。別の実施形態では、投与量は、10~50mg/14日である。
【0183】
別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、経鼻剤形で処方される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、注射可能剤形で処方される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、0.0001mg~0.6mgの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に0.001mg~0.005mgの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に0.005mg~0.01mgの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、0.01mg~0.3mgの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に0.2mg~0.6mgの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、凝固因子は、そのアミノ末端にCTPを含まない。
【0184】
別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に1~100マイクログラムの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に10~80マイクログラムの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に20~60マイクログラムの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に10~50マイクログラムの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、40~80マイクログラムの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に10~30マイクログラムの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に30~60マイクログラムの範囲の用量で投与される。
【0185】
別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、0.2mg~2mgの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、2mg~6mgの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、4mg~10mgの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、5mg~15mgの範囲の用量で投与される。
【0186】
一実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に、10μg/kg~1000μg/kgの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に、25μg/kg~600μg/kgの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に、50μg/kg~400μg/kgの範囲の用量で投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に、約25μg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に、約50μg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に、約100μg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に、約200μg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に、約300μg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に、約400μg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に、約500μg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、CTPにより修飾された凝固因子は、対象に、約600μg/kgの用量で投与される。
【0187】
一実施形態では、CTP修飾FVIIaの投与量は、同じ期間にわたって患者に対して組換えFVIIa(例えば、NovoSeven(登録商標))の推奨投与量で投与されるFVIIaの量の50%を含む。一実施形態では、CTP修飾FVIIの投与量は、同じ期間にわたって患者に対して組み換えFVIIの推奨投与量で投与されるFVIIの量の50%を含む。例えば、NovoSeven(登録商標)は、術前または術後に患者に対して2時間ごとに90mg/kgの用量(すなわち、85kgの患者には、2時間毎に7.65mg、または12時間にわたって6用量で45.9mg)で投与される場合、本明細書で開示のCTP修飾凝固因子は、組み換えFVIIaの患者の12時間用量の50%である用量で投与されてよい(すなわち、12時間で23mgの用量を1回に投与される)。
【0188】
別の実施形態では、CTP修飾凝固因子の投与量は、それが、非CTP修飾凝固因子を用いて投与される凝固因子の量の45%を含むような投与量である。別の実施形態では、CTP修飾凝固因子の投与量は、これが、非CTP修飾凝固因子を用いて投与される凝固因子の量の10%を含むような投与量である。別の実施形態では、CTP修飾凝固因子の投与量は、これが、非CTP修飾凝固因子を用いて投与される凝固因子の量の25%を含むような投与量である。別の実施形態では、CTP修飾凝固因子の投与量は、これが、非CTP修飾凝固因子を用いて投与される凝固因子の量の35%を含むような投与量である。別の実施形態では、CTP修飾凝固因子の投与量は、これが、非CTP修飾凝固因子を用いて投与される凝固因子の量の75%を含むような投与量である。別の実施形態では、CTP修飾凝固因子の投与量は、これが、非CTP修飾凝固因子を用いて投与される凝固因子の量の100%を含むような投与量である。しかし、この投与量が、非CTP修飾凝固因子と同じ量の凝固因子(例えば、FIX)を含む場合でさえ、これは、組み換え凝固因子と比較してその半減期が延長されているために低頻度で投与されると言う点で、対象にとってはやはり有利である。
【0189】
別の実施形態では、複合体化凝固因子の治療有効量は、FVIIaについては、10μg/Kg~500μg/Kgである。別の実施形態では、複合体化凝固因子の治療有効量は、1日1回投与で、体重1kgあたり150~250IUである。別の実施形態では、複合体化凝固因子を含む医薬組成物は、ヒト患者に対して種々の手段で投与するのに有効な製剤含量で処方される。
【0190】
一実施形態では、CTP修飾凝固因子は、対象に毎週を基本として投与される。別の実施形態では、CTP修飾凝固因子は、対象に週2回投与される。別の実施形態では、CTP修飾凝固因子は、対象に、隔週(2週毎に1回)を基本として投与される。別の実施形態では、CTP修飾凝固因子は、対象に、月2回投与される。別の実施形態では、CTP修飾凝固因子は、対象に、月1回投与される。別の実施形態では、CTP修飾凝固因子は、対象に、毎日を基本として投与される。別の実施形態では、CTP修飾凝固因子は、対象に2日毎に投与される。
【0191】
別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、3日毎に1回投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、4日毎に1回投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、5日毎に1回投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、6日毎に1回投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、7~14日毎に1回投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、10~20日毎に1回投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、5~15日毎に1回投与される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、対象に、15~30日毎に1回投与される。
【0192】
別の実施形態では、本開示の方法は、凝固因子療法の使用において、服薬遵守を向上させることを含み、該方法は、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した少なくとも1個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)を含むポリペプチドを、それを必要としている対象に提供し、それにより、凝固因子療法の使用において服薬遵守を向上させることを含む。
【0193】
別の実施形態では、本開示の方法は、凝固因子療法の必要な慢性疾患に罹患している患者の服薬遵守を向上させることを含む。別の実施形態では、本開示の方法は、本明細書において上記のCTPで凝固因子を修飾することによって、凝固因子の投与頻度を低減できる。
【0194】
別の実施形態では、服薬遵守という用語は、アドヒアランス(患者が能動的に治療に参加すること)を含む。別の実施形態では、本開示の方法は、凝固因子の投与の頻度を低減させることによって、凝固因子療法の必要な患者の服薬遵守を向上させることを含む。別の実施形態では、凝固因子の投与頻度の低減は、CTP修飾凝固因子をより安定にするCTP修飾により達成される。別の実施形態では、凝固因子の投与頻度の低減は、凝固因子のT1/2の増大の結果として達成される。別の実施形態では、凝固因子の投与頻度の低減は、凝固因子のクリアランス時間の増大またはクリアランス速度の低下の結果として達成される。
【0195】
別の実施形態では、凝固因子の投与の頻度の低下は、凝固因子のAUC値が増大する結果として達成される。
【0196】
別の実施形態では、本明細書において、凝固因子の投与頻度を低減させる方法が提供され、該方法は、1~10個のCTPを凝固因子のカルボキシ末端に結合し、それにより、凝固因子の投与頻度を低減させるステップを含む。別の実施形態では、本明細書において、凝固因子の投与頻度を低減させる方法が提供され、該方法は、1~5個のCTPを凝固因子のカルボキシ末端に結合し、それにより、凝固因子の投与頻度を低減させるステップを含む。別の実施形態では、本明細書において、凝固因子の投与頻度を低減させる方法が提供され、該方法は、3個のCTPを凝固因子のカルボキシ末端に結合し、それにより、凝固因子の投与頻度を低減させるステップを含む。別の実施形態では、本明細書において、凝固因子の投与頻度を低減させる方法が提供され、該方法は、3~5個のCTPを凝固因子のカルボキシ末端に結合し、それにより、凝固因子の投与頻度を低減させるステップを含む。
【0197】
別の実施形態では、本明細書において、凝固因子療法の使用における服薬遵守を向上させる方法が提供され、該方法は、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した1~10個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドを、それを必要とする対象に提供し、それにより、凝固因子療法の使用における服薬遵守を向上させることを含む。別の実施形態では、本明細書において、凝固因子療法の使用における服薬遵守を向上させる方法が提供され、該方法は、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した1~5個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドを、それを必要としている対象に提供し、それにより、凝固因子療法の使用における服薬遵守を向上させることを含む。別の実施形態では、本明細書において、凝固因子療法の使用における服薬遵守を向上させる方法が提供され、該方法は、凝固因子およびその凝固因子のカルボキシ末端に結合した3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドを、それを必要としている対象に提供し、それにより、凝固因子療法の使用における服薬遵守を向上させることを含む。別の実施形態では、本明細書において、凝固因子療法の使用における服薬遵守を向上させる方法が提供され、該方法は、凝固因子およびその凝固因子のカルボキシ末端に結合した3~5個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドを、それを必要としている対象に提供し、それにより、凝固因子療法の使用における服薬遵守を向上させることを含む。
【0198】
別の実施形態では、本明細書において、対象における血液凝固障害または血液凝固異常を予防または治療する方法が提供され、該方法は、前記対象に、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した1~10個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドを提供し、それにより、前記対象の血液凝固障害または血液凝固異常を治療することを含む。別の実施形態では、本明細書において、対象における血液凝固障害または血液凝固異常を予防または治療する方法が提供され、該方法は、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した1~5個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドを、それを必要としている対象に提供し、それにより、前記対象における血液凝固障害または血液凝固異常を予防または治療することを含む。別の実施形態では、本明細書において、対象における血液凝固障害または血液凝固異常を予防または治療する方法が提供され、該方法は、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドを、それを必要としている対象に提供し、それにより、前記対象における血液凝固障害または血液凝固異常を予防または治療することを含む。
【0199】
別の実施形態では、本明細書において、対象における血友病を予防する方法が提供され、該方法は、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドを、それを必要としている対象に提供し、それにより、前記対象における血友病を予防することを含む。別の実施形態では、本明細書において、対象における血友病を予防する方法が提供され、該方法は、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した3~5個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドを、それを必要としている対象に提供し、それにより、前記対象における血友病を予防することを含む。
【0200】
別の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、意外にも、SC投与後に血流中により効果的に吸収される(国際出願第PCT/IL2016/050645号を参照。この出願は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる)。皮下にFVIIaを投与可能であることは、予防適用に用いることが可能であるので、利点として機能する。また、皮下注射は、患者にとって自己注射が遙かに容易であり、また、患者がごく若く、血管が小さく見つけるのが困難である場合に有利である。
【0201】
別の実施形態では、本明細書において、対象の血友病を治療する方法が提供され、該方法は、前記対象に、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した1~10個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドを投与し、それにより、前記対象の血友病を治療することを含む。別の実施形態では、本明細書において、対象の血友病を治療する方法が提供され、該方法は、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した1~5個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドを、それを必要としている対象に投与し、それにより、前記対象の血友病を治療することを含む。別の実施形態では、本明細書において、対象の血友病を治療する方法が提供され、該方法は、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した3個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドを、それを必要としている対象に提供し、それにより、前記対象の血友病を治療することを含む。別の実施形態では、本明細書において、対象の血友病を治療する方法が提供され、該方法は、凝固因子および凝固因子のカルボキシ末端に結合した3~5個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドを含むポリペプチドを、それを必要としている対象に提供し、それにより、前記対象の血友病を治療することを含む。
【0202】
一実施形態では、経口投与は、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、チュアブル錠、懸濁剤、および乳剤などを含む単位剤形を含む。このような単位剤形は、本開示の目的の凝固因子の安全で有効な量を含み、その各々が、一実施形態では、約0.7または3.5mg~約280mg/70kg、または別の実施形態では、約0.5または10mg~約210mg/70kgである。経口投与用の単位剤形の調製に適する薬学的に許容可能なキャリアは、当技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、錠剤は典型的には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトースおよびセルロースなどの不活性希釈液;デンプン、ゼラチンおよびスクロースなどの結合剤;デンプン、アルギン酸およびクロスカルメロースなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸および滑石などの潤滑剤として、従来の薬学的に適合性のアジュバントを含む。一実施形態では、二酸化ケイ素などの流動促進剤を用いて、粉末混合物の流動特性を改善することができる。一実施形態では、FD&C染料などの着色剤は、外観のために添加することができる。アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミント、およびフルーツフレーバーなどの甘味料および香味剤は、チュアブル錠に有用なアジュバントである。カプセル剤は通常、上記で開示した1種または複数の固体希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、キャリア成分の選択は、本発明の目的にとって重要ではない味、コストおよび貯蔵安定性などの二次的考慮事項に依存し、当業者によって容易になされ得る。
【0203】
一実施形態では、経口剤形は、所定の放出プロファイルを含む。一実施形態では、本明細書で開示の経口剤形は、持続放出錠剤、カプセル剤、トローチ剤またはチュアブル錠を含む。一実施形態では、本明細書で開示の経口剤形は、徐放錠剤、カプセル剤、トローチ剤またはチュアブル錠を含む。一実施形態では、本明細書で開示の経口剤形は、即時放出錠剤、カプセル剤、トローチ剤またはチュアブル錠を含む。一実施形態では、経口剤形は、当業者に既知の薬学的有効成分の目的の放出プロファイルに応じて処方される。
【0204】
経口組成物は、いくつかの実施形態では、溶液剤、乳剤、懸濁剤などを含む。いくつかの実施形態では、このような組成物の調製に適切な薬学的に許容可能なキャリアは、当該分野で周知である。いくつかの実施形態では、液体経口組成物は、約0.001%~約0.933%、または別の実施形態では、約0.01%~約10%の目的の化合物(単一または複数)を含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、本発明の方法における使用のための組成物は、溶液または乳剤を含み、いくつかの実施形態では、これは、本明細書で開示の化合物、および必要に応じて、局所の鼻腔投与を意図する他の化合物の安全かつ有効な量を含む水性の溶液または乳剤である。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.001%~約10.0%(w/v)の本発明の化合物、さらに好ましくは、約00.1%~約2.0の該化合物を含み、これは、経鼻投与による化合物の全身送達に用いられる。
【0206】
別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、筋肉に注射される(筋肉内注射)。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、皮下に注射される(皮下注射)。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、筋肉中に注射される。別の実施形態では、凝固因子および少なくとも1個のCTP単位を含むポリペプチドは、皮膚に注射される。別の実施形態では、本明細書に記載される凝固因子は、全身投与により投与される。別の実施形態では、本明細書に記載される凝固因子は、静脈内注射により投与される。別の実施形態では、投与には、非経口、肺、経口、局所、経皮、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、経鼻、眼内、眼、硬膜外、頬側、直腸、経粘膜、腸または非経口送達であってもよく、これには、髄内注射、およびくも膜下腔内または直接の脳室内投与が挙げられる。
【0207】
別の実施形態では、製剤は、全身的な方法よりもむしろ局所的に、例えば、製剤の注入により患者の身体の特定の領域に直接投与される。
【0208】
一実施形態では、投与の経路は、腸内であってもよい。別の実施形態では、経路は、結膜、経皮、皮内、動脈内、膣、直腸、腫瘍内、癌周囲、経粘膜、筋肉内、血管内、脳室内、頭蓋内、鼻腔内、舌下、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0209】
別の実施形態では、医薬組成物および医薬製剤は、液状調製物の静脈内注射、動脈内注射または筋肉内注射により投与される。いくつかの実施形態では、液体製剤は、溶液、懸濁液、分散液、乳剤、油類などを含む。一実施形態では、医薬組成物および医薬製剤は、静脈内投与され、したがって、静脈内投与に適した形態で処方される。別の実施形態では、これらの医薬組成物および医薬製剤は動脈内投与され、したがって、動脈内投与に適した形態で処方される。別の実施形態では、これらの医薬組成物および医薬製剤は筋肉内投与され、したがって、筋肉内投与に適した形態で処方される。
【0210】
さらに、別の実施形態では、医薬組成物および医薬製剤は体表面に局所的に投与され、したがって、局所投与に適した形態で処方される。適切な局所製剤としては、ゲル、軟膏、クリーム、ローション、および点滴薬などを挙げることができる。局所投与のために、本明細書で開示の化合物は、医薬キャリアの有無にかかわらず、追加の適切な治療薬と組み合わされ、生理学的に許容される希釈剤中の液剤、懸濁剤、または乳剤として調製、適用される。
【0211】
一実施形態では、本明細書で開示の医薬組成物および医薬製剤は、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠化、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入または凍結乾燥のプロセスなどの、当技術分野で公知のプロセスによって製造される。
【0212】
一実施形態では、本発明による使用のための医薬組成物および医薬製剤は、製薬的に用いることができる、有効成分の製剤への処理を容易にする、賦形剤および助剤を含む1種または複数の生理学的に許容可能なキャリアを用いて従来の方式で処方される。一実施形態では、製剤は、選択される投与経路に依存する。
【0213】
一実施形態では、本開示の注射剤は水溶液として処方される。一実施形態では、本開示の注射剤は、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理的塩緩衝液などの生理的に適合する緩衝液で処方される。いくつかの実施形態では、経粘膜投与のために、透過すべき障壁に適する浸透剤が製剤に使用される。このような浸透剤は当該技術分野において一般に既知である。
【0214】
一実施形態では、本明細書に記載の製剤は、例えば、ボーラス注入または持続注入による非経口投与用に処方される。いくつかの実施形態では、注射のための製剤は、単位剤形で、例えば、アンプルで、または複数用量容器で、必要に応じて添加された防腐剤とともに提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、油状または水性のビークル中の、懸濁液、溶液または乳剤であり、処方剤、例えば、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤を含む。
【0215】
組成物はまた、いくつかの実施形態では、塩化ベンザルコニウムおよびチメロサールなどの防腐剤;キレート剤、例えば、エデト酸ナトリウムなど;緩衝液、例えば、リン酸塩、クエン酸塩および酢酸塩;等張化剤、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトールなど;酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、アセチルシスチン、メタ重亜硫酸ナトリウムなど;芳香剤;粘度調整剤、例えば、ポリマー、例えば、セルロースおよびその誘導体;ならびにポリビニルアルコールおよび酸および塩基(必要に応じてこれらの水性組成物のpHを調節するための)を含む。組成物はまた、いくつかの実施形態では、局所麻酔薬または他の活性成分も含む。組成物はスプレー、ミスト、および点滴薬などとして使用することができる。
【0216】
いくつかの実施形態では、非経口投与のための医薬組成物および医薬製剤として、水溶性型の活性調製物の水溶液が挙げられる。さらに、有効成分の懸濁液は、いくつかの実施形態では、必要に応じて、油または水ベースの注射用懸濁剤として調製される。適切な親油性溶媒またはビークルには、いくつかの実施形態では、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチル、トリグリセリドもしくはリポソームなどの合成脂肪酸エステルが含まれる。水性注射用懸濁剤は、いくつかの実施形態では、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなどの、懸濁剤の粘度を増加させる物質を含む。別の実施形態では、懸濁液はまた、適切な安定化剤、または有効成分の溶解度を高めて、高度に濃縮された溶液の調製を可能にする薬剤を含む。
【0217】
別の実施形態では、活性化合物を、小胞、特に、リポソームに入れて送達できる(Langer,Science 249:1527-1533(1990);Treat et al.,in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez-Berestein and Fidler(eds.)、Liss,New York,pp.353-365(1989);Lopez-Berestein,ibid.,pp.317-327;J.E.Diederichsら、Pharm./nd.56(1994)267-275を参照されたい)。
【0218】
別の実施形態では、制御放出系で送達される医薬組成物は、静脈内注入、植込み型浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、または他の投与方式用として処方される。一実施形態では、ポンプが使用される(Langer,supra;Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwald et al.,Surgery 88:507(1980);Saudek et al.,N.Engl.J.Med.321:574(1989)、を参照されたい)。別の実施形態では、ポリマー材料を用いることができる。さらに別の実施形態では、制御放出系は、治療標的、すなわち脳の近位に置くことができ、したがって、全身投与量の内のわずかしか必要としない(例えば、Goodson,in Medical Applications of Controlled Release,supra,vol.2,pp.115-138(1984)を参照されたい)。他の制御放出系は、Langerによる概説(Science 249:1527-1533(1990))で考察されている。
【0219】
いくつかの実施形態では、有効成分は、適切なビークル、例えば、無菌の発熱物質不含水ベースの溶液を用いた使用前の構成のために、粉末形態である。組成物は、いくつかの実施形態では、霧化および吸入投与用に処方される。別の実施形態では、組成物は噴霧化手段を備えた容器に入れられる。
【0220】
一実施形態では、本発明の製剤は、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を用いて、坐剤または停留浣腸などの直腸用組成物に処方される。
【0221】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示の状況での使用に適切な医薬組成物および医薬製剤としては、有効成分が使用目的を達成するために有効な量で含まれる組成物が挙げられる。いくつかの実施形態では、治療有効量は、疾患の症状を防止、軽減もしくは緩和するか、または治療される対象の生存を延長させるために効果的な有効成分の量を意味する。
【0222】
一実施形態では、治療有効量の決定は十分に当業者の能力の範囲内にある。
【0223】
薬学的に許容可能なキャリアまたはその成分として機能し得る物質のいくつかの例としては、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、およびメチルセルロースなどのセルロースおよびその誘導体;粉末トラガカント;麦芽、ゼラチン;タルク、ステアリン酸およびステアリン酸マグネシウムなどの固体潤滑剤;硫酸カルシウム;落花生油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびカカオ油などの植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール;アルギン酸;Tween(商標)ブランドの乳化剤などの乳化剤;ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤;着色剤;香味剤;錠剤化剤、安定化剤;酸化防止剤;防腐剤;発熱物質を含まない水;等張食塩水;ならびにリン酸緩衝液が挙げられる。化合物と組み合わせて使用される薬学的に許容可能なキャリアの選択は、基本的に化合物が投与される方法により決定される。化合物が注入される場合に、一実施形態では、薬学的に許容可能なキャリアは、pHが約7.4に調整されている、血液適合性懸濁剤を有する無菌の生理食塩水である。
【0224】
加えて、組成物は、結合剤(例えば、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、デンプングリコール酸ナトリウム)、様々なpHおよびイオン強度の緩衝液(例えば、トリス塩酸塩、酢酸塩、リン酸塩)、表面への吸収を防ぐためのアルブミンまたはゼラチンなどの添加剤、界面活性剤(例えば、Tween20、Tween80、プルロニックF68、胆汁酸塩)、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、透過促進剤、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール)、安定化剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、増粘剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアーガム)、甘味料(例えば、アスパルテーム、クエン酸)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動助剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング(例えば、ポロキサマーまたはポロキサミン)、コーティング剤およびフィルム形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリレート、ポリメタクリレート)ならびに/またはアジュバントをさらに含む。
【0225】
シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および懸濁剤用のキャリアの典型的な成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトールおよび水を挙げることができる。懸濁液については、典型的な懸濁剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロース(例えば、Avicel(商標)、RC-591)、トラガカントおよびアルギン酸ナトリウムが含まれ、典型的な湿潤剤としては、レシチンおよびポリエチレンオキシドソルビタン(例えば、ポリソルベート80)を挙げることができる。典型的な防腐剤としては、メチルパラベンおよび安息香酸ナトリウムを挙げることができる。別の実施形態では、経口液体組成物はまた、上記に開示した甘味料、香味剤および着色剤などの1種または複数の成分も含む。
【0226】
これらの組成物はまた、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなどの高分子化合物の粒子状製剤の中もしくはその上への活性物質の取り込み、またはリポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、単層もしくは多層小胞、赤血球ゴースト、もしくはスフェロプラスト上への活性物質の取り込みも含む。このような組成物は、物理的状態、溶解度、安定性、インビボ除去速度、およびインビボクリアランス速度に影響を及ぼす。
【0227】
ポリマー(例えば、ポロキサマーまたはポロキサミン)でコーティングされた粒子組成物、および組織特異的な受容体、リガンドもしくは抗原に対する抗体に結合した化合物、または組織特異的受容体のリガンドに結合した化合物も本開示に包含される。
【0228】
いくつかの実施形態では、化合物は、共有結合したポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはポリプロリンなどの水溶性ポリマーにより修飾される。別の実施形態では、修飾された化合物は、対応する非修飾化合物よりも静脈内注射後の血中半減期が実質的に長い。一実施形態では、修飾により、水溶液中の化合物の溶解度が増加し、凝集が排除され、化合物の物理的および化学的安定性が高まり、化合物の免疫原性および反応性が著しく低下する。別の実施形態では、そのようなポリマー-化合物の付加物を、非修飾化合物よりも少ない頻度で、または低用量で投与することにより、目的のインビボ生物活性が実現される。
【0229】
いくつかの実施形態では、有効量または用量の調製は、最初はインビトロアッセイから推定できる。一実施形態では、動物モデルにおいて用量を処方することができ、そのような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。
【0230】
一実施形態において、本明細書に記載の有効成分の毒性および治療効力は、インビトロ、細胞培養、または実験動物において、標準的医薬手順により決定できる。一実施形態では、これらのインビトロおよび細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトに使用される一連の投与量を処方するのに用いることができる。一実施形態では、投与量は、用いられる剤形および利用される投与経路に応じて変わる。一実施形態では、正確な処方、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師が選択することができる[例えば、Fingl,et al.,(1975)"The Pharmacological Basis of Therapeutics",Ch.1 p.1、を参照されたい]。
【0231】
一実施形態では、治療すべき状態の重症度および応答性に応じて、投薬は、数日~数週間続く治療の過程を伴う、または治癒が得られるか、または病態の縮小が達成されるまでの単回または複数回投与であり得る。
【0232】
一実施形態では、投与されるべき組成物の量は、当然、治療される対象、苦痛の重篤度、投与方式、処方医の判断などに依存するであろう。
【0233】
一実施形態では、適合可能な医薬キャリア中で処方される本発明の調製物を含む組成物も調製され、適切な容器に入れられて、適応症状の治療に関してラベル表示される。
【0234】
別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子は、複合有機賦形剤および安定化剤、例えば、非イオン性表面活性剤(すなわち、サーファクタント)、様々な糖類、有機ポリオールおよび/またはヒト血清アルブミンと組み合わされた凍結乾燥(すなわち、フリーズドライ)製剤である。別の実施形態では、医薬組成物は、記載のような、注射用滅菌水中の凍結乾燥凝固因子を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、記載のような、注射用滅菌PBS中の凍結乾燥凝固因子を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、記載のような、注射用滅菌0.9%NaCl中の凍結乾燥凝固因子を含む。
【0235】
別の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の凝固因子および複合キャリア、例えば、ヒト血清アルブミン、ポリオール、糖類、および陰イオン性界面活性安定化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の凝固因子と、ラクトビオン酸と、酢酸塩/グリシン緩衝剤とを含む。別の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の凝固因子およびインターフェロン組成物の水中溶解度を高めるアミノ酸、例えば、アルギニンまたはグルタミン酸を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥された、本明細書に記載の凝固因子およびグリシンまたはヒト血清アルブミン(HSA)、緩衝液(例えば、酢酸塩)および等張剤(例えば、NaCl)を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥された、本明細書に記載の凝固因子およびリン酸緩衝剤、グリシン、HSAを含む。
【0236】
別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、約4~7.2のpHを有する緩衝溶液中では安定化する。別の実施形態では、凝固因子を含む医薬組成物は、約4~8.5のpHを有する緩衝溶液中に存在する。別の実施形態では、凝固因子を含む医薬組成物は、約6~7のpHを有する緩衝溶液中に存在する。別の実施形態では、凝固因子を含む医薬組成物は、約6.5のpHを有する緩衝溶液中に存在する。別の実施形態では、凝固因子を含む医薬組成物は、約6.4のpHを有する緩衝溶液中に存在する。別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、安定化剤としてのアミノ酸で安定化され、いくつかの場合には、塩で安定化される(アミノ酸が、荷電側鎖を含まない場合)。
【0237】
別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、アミノ酸の安定化剤を約0.3重量%~5重量%含む液体組成物である。
【0238】
別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、投薬精度および製品安全性をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、注射可能な用途に用いられる、生物活性のある安定した液体製剤を提供する。別の実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥されていない、本明細書に記載の凝固因子を含む。
【0239】
別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、液体状態での長期貯蔵を可能として、投与前の貯蔵および輸送を容易にする液体製剤を提供する。
【0240】
別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、固形脂質をマトリックス材料として含む。別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む注射可能な医薬組成物は、固形脂質をマトリックス材料として含む。別の実施形態では、噴霧凝固による脂質微粒子の生成は、Speiser(Speiser and al.,Pharm.Res.8(1991)47-54)によって記載されており、その後、経口投与用の脂質ナノペレットが生成される(Speiser、欧州特許第0167825号(1990))。別の実施形態では、使用される脂質(例えば、非経口栄養用の乳剤中に存在する脂肪酸からなるグリセリド)は、体内で耐容性良好である。
【0241】
別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、高分子微小粒子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、ナノ粒子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、リポソームを含む。別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、脂質乳剤を含む。別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、ミクロスフェアを含む。別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、脂質ナノ粒子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、両親媒性脂質を含む脂質ナノ粒子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載の凝固因子を含む医薬組成物は、薬物と、脂質マトリックスと、界面活性剤とを含む脂質ナノ粒子を含む。別の実施形態では、脂質マトリックスは、少なくとも50%w/wのモノグリセリド含量を有する。
【0242】
一実施形態では、本明細書で開示の組成物は、有効成分を含有する1個または複数の単位剤形を含む、パックまたはディスペンサー装置、例えば、FDA認可キットにいれて提供される。一実施形態では、パックは、例えば、金属またはブリスターパックなどのプラスチックホイルを含む。一実施形態では、パックまたはディスペンサー装置は、投与のための説明書が添付されている。一実施形態では、パックまたはディスペンサーは、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関により定められた形式で容器に添付された通知が同梱されており、この通知は、組成物の形態またはヒトもしくは動物への投与の当局による承認を反映する。このような通知は、一実施形態では、処方薬または承認された製品添付文書について米国食品医薬品局によって承認されたラベリングである。
【0243】
一実施形態では、本明細書で開示の凝固因子が、追加の活性剤と共に個体に提供されることで、各薬剤単独での治療と比較して、改善された治療効果が達成され得ることが理解されよう。別の実施形態では、併用療法に関連する有害な副作用を回避するための方策(例えば、補助剤の投与および選択)がとられる。
【0244】
製造
【0245】
一実施形態では、ヒト絨毛性ゴナドトロピンペプチド(CTP)修飾ヒト第VIIa因子ポリペプチドの製造方法が開示され、該方法は、(a)所定の数の細胞に前記CTP修飾第FVII因子をコードするコード部分を含む発現ベクターを安定に遺伝子導入し、前記遺伝子導入細胞が前記CTP修飾第VII因子を発現し、場合により、分泌するステップ;(b)前記CTP修飾第FVII因子を過剰発現する細胞クローンを得るステップ;(c)溶液中で前記クローンを所定の規模に増殖するステップ;(d)前記クローンを含む前記溶液をハーベストするステップ;(e)前記クローンを含む前記溶液を濾過して、清澄化ハーベスト溶液を得るステップ;および(f)前記清澄化ハーベスト溶液を精製および活性化して、目的の濃度のCTP修飾第FVII因子を有する精製タンパク質溶液を得て、それにより、ヒト絨毛性ゴナドトロピンペプチド(CTP)修飾第VII因子ポリペプチドを製造するステップを含む。別の実施形態では、CTP修飾凝固第VII因子が分泌される。別の実施形態では、CTP修飾凝固第VII因子が分泌されない。CTP修飾第VII因子の製造において、遺伝子導入は初期ステップである。最終の高発現クローンが選択されると、それぞれの製造は、マスターセルバンク(MCB)の解凍、増殖、ハーベストおよび精製を含む。(クローン増殖からハーベストまでについて記載している実施例3、ステップ1~5;および精製および活性化について記載しているステップ6~14を参照されたい)。一実施形態では、ヒト絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチド(CTP)修飾ヒト活性第VII因子(FVIIa)ポリペプチドを製造する方法が開示され、前記ポリペプチドは、FVIIのC末端に直列に結合した3個のCTP分子を含み、該方法は、所定の数の細胞に前記CTP修飾FVIIをコードするコード部分を含む発現ベクターを安定に遺伝子導入し、前記遺伝子導入細胞が前記CTP修飾FVIIを発現し、分泌するステップ;前記CTP修飾FVIIを過剰発現する細胞クローンを得るステップ;溶液中で前記クローンを所定の規模に増殖するステップ;前記クローンを含む前記溶液をハーベストするステップ;前記クローンを含む前記溶液を濾過して、前記CTP修飾FVIIを含む清澄化ハーベスト溶液を得るステップ;および前記清澄化ハーベスト溶液からCTP修飾FVIIを精製および活性化して、目的の濃度のCTP修飾FVIIaを有する精製タンパク質溶液を得て、それにより、CTP修飾FVIIa製造するステップを含み、前記製造したCTP修飾FVIIaは、次記:
a.少ない酸化型;
b.高い比率のカルボキシル化グルタミン酸残基;
c.少なくとも60%の荷電N-グリカン;または
d.少なくとも10,500U/mgの効力;
の内の少なくとも1つを含み、製造されたCTP修飾FVIIaのアミノ酸配列は、配列番号7で示される。
【0246】
一実施形態では、本明細書で開示のポリヌクレオチドを、発現ベクター(すなわち、核酸構築物)に挿入して、組み換えポリペプチドの発現を可能にする。一実施形態では、本明細書で開示の発現ベクターは、このベクターを原核生物中での複製および組込みを好適にする追加の配列を含む。一実施形態では、本明細書で開示の発現ベクターは、このベクターを真核生物中での複製および組込みを好適にする追加の配列を含む。一実施形態では、本明細書で開示の発現ベクターは、このベクターを原核生物および真核生物の両方での複製および組込みを好適にするシャトルベクターを含む。いくつかの実施形態では、クローニングベクターは、転写および翻訳開始配列(例えば、プロモーター、エンハンサー)および転写および翻訳のターミネーター(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含む。
【0247】
一実施形態では、CTP修飾FVIIaポリペプチドの製造方法は、発現ベクターの使用を含むステップを含み、前記発現ベクターは、プロモーター、CTP修飾FVIIポリペプチドのためのコード配列、およびポリアデニル化配列を含む。別の実施形態では、ポリアデニル化配列は、シミアンウィルス(SV)40ポリアデニル化配列である。
【0248】
一実施形態では、種々の原核または真核細胞を宿主発現系として用いて、本明細書で開示のポリペプチドを発現させることができる。いくつかの実施形態では、これらには、ポリペプチドコード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌などの微生物;ポリペプチドコード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母;組換えウィルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウィルス、CaMV;タバコモザイクウィルス、TMV)で感染させた植物細胞系またはポリペプチドコード配列を含むTiプラスミドなどの組換えプラスミド発現ベクターで形質転換した植物細胞系が含まれるが、これらに限定されない。
【0249】
一実施形態では、本明細書で開示のポリペプチドを発現させるために、非細菌発現系(例えば、CHO細胞またはCHO細胞由来細胞などの哺乳動物発現系)が使用される。一実施形態では、哺乳動物細胞において本明細書で開示のポリヌクレオチドを発現させるために用いられる発現ベクターは、CMVプロモーターおよびネオマイシン耐性遺伝子を含むpCI-DHFRベクターである。
【0250】
一実施形態では、本明細書で開示の発現ベクターはさらに、例えば、配列内リボソーム進入部位(IRES)およびプロモーター-キメラポリペプチドのゲノム組込みのための配列などの単一のmRNA由来のいくつかのタンパク質の翻訳を可能にする追加のポリヌクレオチド配列を含み得る。
【0251】
いくつかの実施形態では、哺乳動物発現ベクターとして、pcDNA3、pcDNA3.1(+/-)、pGL3、pZeoSV2(+/-)、pSecTag2、pDisplay、pEF/myc/cyto、pCMV/myc/cyto、pCR3.1、pSinRep5、DH26S、DHBB、pNMT1、pNMT41、pNMT81(これらはInvitrogenから入手可能である)、pCI(これはPromegaから入手可能である)、pMbac、pPbac、pBK-RSVおよびpBK-CMV(これらはStrategeneから入手可能である)、pTRES(これはClontechから入手可能である)、ならびに、それらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0252】
いくつかの実施形態では、レトロウィルスなどの真核性ウィルス由来の調節エレメントを含む発現ベクターが、本明細書で開示の方法により用いられる。SV40ベクターは、pSVT7およびpMT2を含む。いくつかの実施形態では、ウシパピローマウィルス由来のベクターは、pBV-1MTHAを含み、エプスタイン・バーウィルス由来のベクターは、pHEBOおよびp2O5を含む。他の代表的なベクターとしては、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo-5、バキュロウィルスpDSVE、および真核細胞における発現に有効性を示すSV-40初期プロモーター、SV-40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌ウィルスプロモーター、ラウス肉腫ウィルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または他のプロモーターの指示下でタンパク質の発現を可能にする任意の他のベクターが挙げられる。
【0253】
一実施形態では、種々の方法を用いて、本明細書で開示のCTP修飾第VII因子をコードする発現ベクターを細胞に導入できる。遺伝子改変細胞または遺伝子導入細胞が得られる、ポリヌクレオチドまたは発現ベクターの真核生物宿主細胞への「遺伝子導入」は、当該技術分野において周知のいずれかの方法により実施でき、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory,New York(1989,1992),Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Md.(1989),Chang et al.,Somatic Gene Therapy,CRC Press,Ann Arbor,Mich.(1995),Vega et al.,Gene Targeting,CRC Press,Ann Arbor Mich.(1995),Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,Butterworths,Boston Mass.(1988)およびGilboa et at.[Biotechniques 4(6):504-512,1986]に記載されており、また、例えば、安定なまたは一時的な遺伝子導入、および電気穿孔を含む。さらに、ポジティブ-ネガティブ選択法に関する米国特許第5,464,764号および同第5,487,992号を参照されたい。遺伝子導入方法には、リポソーム媒介遺伝子導入、リン酸カルシウム共沈、電気穿孔、ポリカチオン(DEAEデキストランなど)媒介遺伝子導入、原形質融合、ウィルス感染(組換えウィルス感染を含む)および微量注入がさらに含まれるが、これらに限定されない。遺伝子導入は安定な遺伝子導入であるのが好ましい。特定の宿主細胞株および細胞型中で最適遺伝子導入頻度および本明細書で開示の目的のペプチドコードする異種遺伝子の発現を可能とする遺伝子導入法が好ましい。好適な方法は、常法により決定することができる。安定な形質移入体を得るために、構築物は、宿主細胞のゲノムまたは人工染色体/ミニ染色体中に組み込まれるか、またはエピソームとして位置し、宿主細胞内で安定に維持される。
【0254】
本明細書で開示内容の実施には、特に断りのない限り、当業者の技量の範囲内にある、細胞生物学、分子生物学、細胞培養、形態学、などの従来技術を採用することになる。これらの技術は、現在の文献中で完全に開示されている。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989);Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(1987,updated);Brown ed.,Essential Molecular Biology,IRL Press(1991);Goeddel ed.,Gene Expression Technology,Academic Press(1991);Bothwell et al.,eds.,Methods for Cloning and Analysis of Eukaryotic Genes,Bartlett Publ.(1990);Wu et al.,eds.,Recombinant DNA Methodology,Academic Press(1989);Kriegler,Gene Transfer and Expression,Stockton Press(1990);McPherson et al.,PCR:A Practical Approach,IRL Press at Oxford University Press(1991);Gait ed.,Oligonucleotide Synthesis(1984);Miller & Calos eds.,Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(1987);Butler ed.,Mammalian Cell Biotechnology(1991);Pollard et al.,eds.,Animal Cell Culture,Humana Press(1990);Freshney et al.,eds.,Culture of Animal Cells,Alan R.Liss(1987);Studzinski,ed.,Cell Growth and Apoptosis,A Practical Approach,IRL Press at Oxford University Press(1995);Melamed et al.,eds.,Flow Cytometry and Sorting,Wiley-Liss(1990);Current Protocols in Cytometry,John Wiley & Sons,Inc.(updated);Wirth & Hauser,Genetic Engineering of Animals Cells,in:Biotechnology Vol.2,Puhler ed.,VCH,Weinheim 663-744;the series Methods of Enzymology(Academic Press,Inc.),およびHarlow et al.,eds.,Antibodies:A Laboratory Manual(1987)を参照されたい。
【0255】
CTP修飾第VII因子をコードする目的の異種遺伝子を、各種方法、例えば、ウィルス形質転換、遺伝子導入または微量注入により本明細書で開示の細胞中に導入し得る。目的の異種遺伝子は、直鎖DNAとしてまたは発現ベクターの一部として細胞中に導入し得る。多くの真核生物の発現ベクターが既知であり、これらは、1種または複数の異種遺伝子の挿入およびそれらの発現のための複数のクローニング部位を可能とする。市販の業者には、特に、Stratagene,La Jolla,Calif.,USA;Invitrogen,Carlsbad,Calif.,USA;Promega,Madison,Wis.,USAまたはBD Biosciences Clontech,Palo Alto,Calif.,USAなどの会社が挙げられる。1種または複数の目的の遺伝子をコードするDNAまたは発現ベクターの細胞への遺伝子導入は、例えば、Sambrook et al.,1989 or Ausubel et al.,1994に記載のような従来の方法により実施される。好適な遺伝子導入方法には、例えば、リポソーム媒介遺伝子導入、リン酸カルシウム共沈、電気穿孔、ポリカチオン(例えば、DEAEデキストラン)媒介遺伝子導入、原形質融合、微量注入およびウィルス感染が挙げられる。DNA分子が宿主細胞のゲノムまたは人工染色体/ミニ染色体中に組み込まれるか、またはエピソームとして宿主細胞中に安定に含まれる、安定な遺伝子導入が実施されるのが好ましい。当該宿主細胞中で、最適な遺伝子導入頻度および1種または複数の目的の異種遺伝子の発現が得られる遺伝子導入方法が好ましい。
【0256】
いくつかの実施形態では、ウィルス感染による核酸の導入は、リポフェクションおよび電気穿孔などの他の方法を上回るいくつかの利点を提供する。この理由は、ウィルスの感染性の性質に起因して、より高い遺伝子導入効率が得られる可能性があるためである。
【0257】
一実施形態では、本明細書で開示のポリペプチドはまた、本明細書において、上記で記載された、任意の適切な投与方式を使用して個体に投与される核酸構築物から発現され得る(すなわち、インビボの遺伝子療法)ことが理解されよう。一実施形態では、核酸構造体は、適切な遺伝子送達ビヒクル/方法(トランスフェクション、トランスダクション、相同組換えなど)および必要となる発現系を介して適切な細胞に導入され、その後、修飾された細胞を培養で増殖させて、個体に戻す(即ち、エクスビボ遺伝子療法)。
【0258】
目的の異種遺伝子は通常、目的の遺伝子の転写を可能とするプロモーターに、および目的の遺伝子の転写および翻訳(発現)またはその効率の上昇を可能とする他の調節エレメントに機能的に連結されている。
【0259】
当業者なら、用語の「プロモーター」が、遺伝子もしくはそれに機能的に連結された配列の転写を可能とし、制御する、ポリヌクレオチド手順を包含し得ることを理解するであろう。プロモーターは、RNAポリメラーゼ結合部位および転写のための開始部位(転写開始部位)の認識配列を含む。特定の細胞型または宿主細胞中で目的の配列を発現するために、好適する機能性プロモーターを選択する必要がある。当業者なら、構成的、誘導性および抑制プロモーターを含む、種々の起源に由来する種々のプロモーターに精通しているであろう。これらは、例えば、ジェンバンクなどのデータバンクに寄託されており、商業的ソースまたは単独のソース由来のポリヌクレオチド配列内の別々の要素またはクローン化要素として得られる。誘導性プロモーターでは、プロモーターの作用は、シグナルに応答して増減し得る。誘導性プロモーターの一例は、テトラサイクリン(tet)プロモーターである。これは、テトラサイクリンオペレーター配列(teO)を含み、テトラサイクリン調節トランス活性化因子タンパク質(tTA)により誘導できる。テトラサイクリンの存在下では、tTAのtetOへの結合が阻害される。誘導性プロモーターの例は、jun、fos、メタロチオネインおよびヒートショックプロモーターである(Sambrook,J.,Fritsch,E.F.& Maniatis,T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989;Gossen,M.et al.,Curr Opi Biotech 1994,5,516-520も参照されたい)。真核生物中での高発現のために特に好適なプロモーターには、例えば、ハムスターのユビキチン/S27aプロモーター(国際公開第97/15664号)、SV40初期プロモーター、アデノウィルス主要後期プロモーター、マウスメタロチオネイン-1プロモーター、ラウス肉腫ウィルスの長末端反復配列領域およびヒトサイトメガロウィルスの初期プロモーターが存在する。その他の異種の哺乳動物プロモーターの例は、アクチン、免疫グロブリンまたはヒートショックプロモーターである。
【0260】
例えば、プロモーターは、転写活性を高めるために、エンハンサー配列に機能的に連結されてもよい。このために、1種または複数のエンハンサーおよび/またはいくつかのエンハンサー、例えば、CMVまたはSV40エンハンサー配列のコピーを使用し得る。例えば、プロモーターは、転写活性を高めるために、エンハンサー配列に機能的に連結されてもよい。このために、1種または複数のエンハンサーおよび/またはいくつかのエンハンサー、例えば、CMVまたはSV40エンハンサー配列のコピーを使用し得る。
【0261】
当業者なら、用語のエンハンサーは、シス位置でプロモーターの活性に作用することにより、このプロモーターに機能的に連結された遺伝子の転写を刺激するポリヌクレオチド配列を包含し得ることを理解するであろう。プロモーターと異なり、エンハンサーは、位置および向きと無関係であり、したがって、エンハンサーは、イントロン内もしくはコード領域内の、転写単位の前または後ろに配置できる。エンハンサーは、転写単位の直近およびプロモーターからかなりの距離の両方に配置し得る。プロモーターと物理的および機能的重なり合いを有することも可能である。当業者なら、ポリヌクレオチド配列(例えば、ATCCに寄託されたまたは商業的および単独ソース由来の)内の独立の要素またはクローン化要素として入手可能な種々の起源由来の(およびジェンバンクなどのデータバンクに寄託された、例えば、SV40エンハンサー、CMVエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、アデノウィルスエンハンサーなどの)多くのエンハンサーを知っているであろう。よく使用されるCMVプロモーターなどの多くのプロモーター配列は、エンハンサー配列も含む。ヒトCMVエンハンサーは、これまでに特定された最強のエンハンサーの1つである。誘導可能なエンハンサーの一例は、メタロチオネインエンハンサーであり、これは、グルココルチコイドまたは重金属により刺激できる。
【0262】
基本的には、調節エレメントは、プロモーター、エンハンサー、終端部およびポリアデニル化シグナルおよびその他の発現制御配列を含む。誘導性および構成的調節配列は、種々の細胞型用として既知である。「転写調節エレメント」は通常、発現される遺伝子配列、転写開始および終結部位ならびにポリアデニル化シグナルの上流にプロモーターを含む。
【0263】
当業者なら、用語の「転写開始部位」は、一次転写産物、すなわち、mRNA前駆体に組み込まれる最初の核酸に対応する構築物中の核酸を包含し得ることを理解するであろう。転写開始部位は、プロモーター配列と重なり合い得る。
【0264】
当業者なら、用語の「転写終結部位」が、通常、目的の遺伝子または転写されるべき遺伝子部分の3'末端にあり、RNAポリメラーゼRNAポリメラーゼによる転写の終止をもたらす、ヌクレオチド配列を包含することを理解するであろう。
【0265】
当業者なら、用語の「ポリアデニル化シグナル」は、真核生物のmRNAの3'末端にある特定の部位で開裂を起こし、切断した3'末端での約100~200アデニンヌクレオチド(ポリAテイル)の転写後組み込みを生じさせるシグナル配列を包含し得ることを理解するであろう。ポリアデニル化シグナルは、切断部位の約10~30ヌクレオチド上流の配列AATAAAおよび下流に位置する配列を含む。tkポリA、SV40後期および早期ポリAまたはBGHポリAなどの種々のポリアデニル化エレメントが知られている(例えば、米国特許第5,122,458号に記載されている)。
【0266】
「翻訳調節エレメント」は、発現されるそれぞれのポリペプチドに対し、翻訳開始部位(AUG)、停止コドンおよびポリAシグナルを含む。最適な発現のためには、すべての潜在的に不適切な追加の翻訳開始コドンまたは転写または発現レベルで発現に影響を与え得るその他の配列を排除するために、発現される核酸配列の5'-および/または3'-非翻訳領域を除去、付加または変更するのが望ましい場合がある。発現を促進するために、別の選択肢として、リボソームコンセンサス結合部位を開始コドンのすぐ上流に挿入してもよい。分泌ポリペプチドを産生するために、目的の遺伝子は通常、合成されたポリペプチドをER膜へおよびそれを通って輸送するシグナル前駆体ペプチドをコードするシグナル配列を含む。シグナル配列は、必ずではないが多くの場合、分泌タンパク質のアミノ末端に位置し、タンパク質がER膜を通って濾過された後で、シグナルペプチダーゼにより切断される。遺伝子配列は、必須ではないが、通常、それ自体のシグナル配列を含む。本来のシグナル配列が存在しない場合、異種シグナル配列を既知の方法により導入し得る。多くのこの種のシグナル配列が当業者に知られており、ジェンバンクおよびEMBLなどのデータバンクに順次寄託されている。
【0267】
当業者なら、用語の「ポリペプチド(複数)」、「ポリペプチド」またはその文法的等価物は、同じ意味で用いられ、アミノ酸配列またはタンパク質を包含し、および任意の長さのアミノ酸のポリマーを包含することを理解するであろう。この用語はまた、グリコシル化、リン酸化、アセチル化またはタンパク質プロセッシングなどの反応により翻訳後修飾されているタンパク質を含む。ポリペプチドの構造は、例えば、アミノ酸の置換、欠失または挿入により、およびその他のタンパク質とのその生物活性を維持したままの融合により、改変され得る。
【0268】
細胞中で1種または複数の目的の遺伝子産物を産生するために、細胞を無血清培地中、目的の遺伝子の発現を可能とする条件下で、懸濁培養により増殖させ得る。例えば、目的の遺伝子が構成的プロモーターの制御下にある場合、特別な誘導因子を加える必要はない。例えば、目的の遺伝子の発現が誘導性プロモーターの制御下にある場合、対応する誘導因子を、十分であるが非毒性の濃度で、細胞培地に加える必要がある。複数の継代により細胞を所望通り増殖でき、好適な細胞培養容器に移すことができる。遺伝子産物は、細胞産物、膜結合型産物または分泌産物として産生される。
【0269】
一実施形態では、CTP修飾第VIIa因子を製造するステップは、所定の数の細胞にCTP修飾第VII因子をコードするコード部分を含む発現ベクターを安定に遺伝子導入するステップを含む。別の実施形態では、CTP修飾第VIIa因子を製造するステップは、細胞に前記CTP修飾第VII因子をコードするコード部分を含む発現ベクターを安定に遺伝子導入するステップを含む。一実施形態では、細胞はCHO細胞である。別の実施形態では、細胞はDG44細胞である。別の実施形態では、細胞は、CTP修飾第VII因子の発現および分泌に好適する当該技術分野において既知の任意の細胞である。一実施形態では、発現したCTP修飾FVIIは、シグナルペプチドを欠いているFVII-CTP3チモーゲンである。別の実施形態では、発現したCTP修飾FVIIのアミノ酸配列は、配列番号7で示される。
【0270】
当業者なら、CTP修飾FVIIはチモーゲンとして不活性状態で発現され得るが、チモーゲンは精製プロセス中またはその後に活性化され得ることを理解するであろう。用語の「CTP修飾FVII」は、「CTP修飾FVII/FVIIa」と同義に使用し得、不活性および活性型のCTP修飾FVIIポリペプチドの両方を包含し得る。同様に、個々のCTP修飾第VII因子ポリペプチド、例えば、FVII/FVIIa-CTP3はまた、名称FVII/FVIIaを使用して、不活性または活性型または両方を表し得る。一実施形態では、活性化FVIIa-CTP3を含むCTP修飾ポリペプチドは、ジスルフィド結合で連結された軽鎖および重鎖を含む。
【0271】
別の実施形態では、遺伝子導入細胞は、CTP修飾第VII因子を発現する。別の実施形態では、発現および製造されたFVII/FVIIa-CTP3は、前記第VII/VIIa因子のカルボキシ末端に結合した2個のCTP、および前記第VII/VIIa因子のアミノ末端に結合した1個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドからなる。別の実施形態では、発現および製造されたCTP修飾第VII/VIIa因子は、前記第VII/VIIa因子のカルボキシ末端に結合した1個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドからなる。別の実施形態では、CTP修飾凝固第VII因子の発現は、高発現レベルである。別の実施形態では、前記CTP修飾第VII/VIIa因子は、高度グリコシル化されている。別の実施形態では、前記CTP修飾第VII/VIIa因子は、高度シアル化されている。別の実施形態では、前記CTP修飾第VII/VIIa因子は、高いO-グリカン含量を有する。別の実施形態では、前記CTP修飾第VII/VIIa因子は、高いN-グリカン含量を有する。別の実施形態では、前記CTP修飾第VII/VIIa因子は、高荷電N-グリカン含量を有する。別の実施形態では、前記CTP修飾第VII/VIIa因子は、高い比率のカルボキシグルタミン酸を有する。本明細書で詳細に記載のように、CTP修飾第VIIa因子は、異なるグリコシル化含量およびパターンを有し得る。本明細書で開示される方法により製造されたCTP修飾第VIIa因子は、本明細書で開示のいずれかのグリコシル化パターンおよび含量を含み得る。一般に、ここで提供される製造方法は、高グリコシル化含量および高い比率のグリコシル化されたグリコシル化部位を有するCTP修飾第VIIa因子を提供する。
【0272】
別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高O-グリカン含量は、少なくとも2mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高O-グリカン含量は、少なくとも4mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高O-グリカン含量は、少なくとも5mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高O-グリカン含量は、少なくとも6mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高O-グリカン含量は、少なくとも8mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高O-グリカン含量は、少なくとも10mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高O-グリカン含量は、少なくとも12mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高O-グリカン含量は、少なくとも14mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高O-グリカン含量は、少なくとも16mol/molである。
【0273】
一実施形態では、O-グリカンの高レベルまたは高含量は、本明細書で開示の製造プロセスの上流プロセスで促進される。別の実施形態では、O-グリカンの高レベルまたは高含量は、本明細書で開示の製造プロセスのクローンにより促進される。別の実施形態では、高O-グリカン含量または高レベルは、最終原薬が得られるまで維持される。
【0274】
別の実施形態では、前記CTP修飾第VII/VIIa因子は、高シアル酸含量を有する。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高シアル酸含量は、少なくとも4mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高シアル酸含量は、少なくとも6mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高シアル酸含量は、少なくとも8mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高シアル酸含量は、少なくとも10mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高シアル酸含量は、少なくとも12mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高シアル酸含量は、少なくとも14mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高シアル酸含量は、少なくとも15mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高シアル酸含量は、少なくとも17mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高シアル酸含量は、少なくとも18mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高シアル酸含量は、少なくとも20mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高シアル酸含量は、少なくとも22mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高シアル酸含量は、少なくとも25mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高シアル酸含量は、少なくとも27mol/molである。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高シアル酸含量は、少なくとも30mol/molである。
【0275】
別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも40%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも50%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも60%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも70%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも80%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも85%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも90%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも91%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも92%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも93%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも94%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも95%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも96%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも97%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも98%の比率である。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の前記高比率のカルボキシグルタミン酸は、少なくとも99%の比率である。当業者なら、カルボキシグルタミン酸残基の%は、カルボキシグルタミン酸残基ドメインレス(Glaドメインレス)%に反比例して表現され得、例えば、高比率のGlaが40%の場合、ドメインレスGlaは60%であることを理解するであろう。
【0276】
一実施形態では、CTP修飾第VIIa因子を製造するステップは、CTP修飾第VII因子を過剰発現する細胞クローンを得ることを含む。別の実施形態では、CTP修飾凝固第VII因子の発現は、最大限である。別の実施形態では、発現のレベルは、30~1500mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも30mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも40mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも50mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも60mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも70mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、50~70mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも200mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも300mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも400mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも500mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも600mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも700mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも800mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも900mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも1000mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも1100mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも1200mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも1300mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも1400mg/Lである。別の実施形態では、発現のレベルは、少なくとも1500mg/Lである。別の実施形態では、クローンは、培地中で増殖され、マスターセルバンク(MCB)およびワーキングセルバンク(WCB)を形成する。一実施形態では、ステップ(c)でのクローンはMCBから得られる。別の実施形態では、クローンはWCBから得られる。
【0277】
CTP修飾FVIIは、分泌遺伝子産物として細胞培地から得られる。しかし、タンパク質またはポリペプチドが分泌シグナルなしで発現される場合、遺伝子産物は、同様に、細胞ライセートから単離し得る。実質的にその他の組換えタンパク質および宿主細胞タンパク質を含まない純粋な均一産物を得るために、従来の精製手順が実施される。最初に、細胞および細胞デブリが培地またはライセートから除去される場合が多い。その後、目的の遺伝子産物から、混入可溶性タンパク質、ポリペプチドおよび核酸が、例えば、免疫親和性およびイオン交換カラム、アフィニティカラム、エタノール沈殿、逆相HPLCまたはセファデックス、ヒドロキシアパタイト、シリカまたはDEAE(本明細書の実施例参照)などの陽イオン交換樹脂によるクロマトグラフィーの分取により除かれる。当該技術分野において既知のおよび組換え宿主細胞により発現された異種のタンパク質の精製に繋がる一般方法は、当業者に既知であり、例えば、Harris et al.(Harris et al.,Protein Purification:A Practical Approach,Pickwood and Hames,eds.,IRL Press,Oxford,1995)およびScopes(Scopes,R.,Protein Purification,Springer Verlag,1988)による文献に記載されている。これらの方法は、本明細書で開示される方法の全体または一部として、採用し得る。
【0278】
別の実施形態では、無血清条件下の哺乳動物細胞中でのCTP修飾FVIIの調製方法が本明細書で開示され、該方法は、(i)哺乳動物細胞は、CTP修飾FVIIをコードする遺伝子を含むこと;(ii)哺乳動物細胞は、哺乳動物細胞の複製を可能とする無血清条件下で増殖されること;(iii)いずれの場合にも、無血清条件下で、少なくとも1つのこれらの哺乳動物細胞が細胞培養容器中に沈着すること;(iv)適切に沈着した哺乳動物細胞は無血清条件下で複製されること;(v)複製された細胞が、CTP修飾FVIIが発現される無血清条件で培養されること;および(vi)その後、CTP修飾FVII産物が細胞または培養上清から単離され、精製および活性化されること、を特徴とする。このプロセスの別の実施形態では、哺乳動物細胞は、CTP修飾FVIIの遺伝子が導入されている、遺伝子導入哺乳動物細胞である。したがって、本明細書で開示の方法はまた、上記プロセスのステップ(i)の前に、哺乳動物細胞が少なくともCTP修飾FVIIをコードする核酸を遺伝子導入することを特徴とする、組み換え遺伝子産物を調製する方法に関する。対応する哺乳動物細胞の安定な遺伝子導入が好ましい。
【0279】
無血清でタンパク質不含または既知組成の培地の例には、例えば、商業的に入手可能な培地 Ham's F12(Sigma,Deisenhofen,DE)、RPMI 1640(Sigma)、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM;Sigma)、基礎培地(MEM;Sigma)、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM;Sigma)、CDCHO(Invitrogen,Carlsbad,Calif.,USA)、CHO-S-SFMII(Invitrogen)、無血清CHO培地(Sigma)、CD-PowerCHO2培地(Lonza)および無タンパク質CHO培地(Sigma)が挙げられる。それぞれのこれらの培地は、必要に応じ、ホルモンおよび/またはその他の増殖因子(例えば、インスリン、トランスフェリン、上皮増殖因子、インスリン様増殖因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン酸塩)、緩衝液(例えば、ヘペス)、ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン)、グルタミン、グルコースまたはその他の同等栄養素、抗生物質および/または微量元素または市販のフィード、例えば、Power Feed A(Lonza)などの種々の化合物で補充できる。複製可能細胞が1種または複数の選択可能マーカーを発現する組み換え細胞の場合、抗生物質などの1種または複数の好適な選択剤を培地に添加することも可能である。
【0280】
挿入されたコード配列(ポリペプチドをコードする)の転写および翻訳のための必須のエレメントを含む以外に、本明細書で開示の発現構築物はまた、発現されたポリペプチドの安定性、産生、精製、収率または活性を最適化するように操作された配列を含むことができることは理解されよう。一実施形態では、CTP修飾FVIIをコードするヌクレオチド配列は、配列番号4で示される。
【0281】
いくつかの実施形態では、形質転換細胞を、効果的な条件下で培養し、それにより、大量の組換え型ポリペプチドの発現を可能にする。いくつかの実施形態では、効果的な培養条件としては、限定されないが、タンパク質生成を可能にする有効な培地、バイオリアクター、温度、pHおよび酸素条件が挙げられる。当業者なら、用語の「有効培地」とは、細胞が培養されて本明細書で開示の組み換えポリペプチドが産生される任意の培地を包含し得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、培地は典型的には、同化可能な炭素、窒素およびリン酸源、ならびに適切な塩、鉱物、金属、および他の栄養素、例えばビタミンを有する水溶液を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示の細胞は、従来の発酵バイオリアクター、振盪フラスコ、試験管、マイクロタイターディッシュおよびペトリ皿中で培養できる。いくつかの実施形態では、培養は、組み換え細胞に適切な温度、pHおよび酸素含量で行われる。いくつかの実施形態では、培養条件は、当業者の専門技術の範囲内である。
【0282】
一実施形態では、培養条件は、約20~80%の溶存酸素(DO)含量を含んでいた。別の実施形態では、DO含量は、約20~30%である。別の実施形態では、DO含量は、約30~40%である。別の実施形態では、DO含量は、約40~50%である。別の実施形態では、DO含量は、約50~60%である。別の実施形態では、DO含量は、約60~70%である。別の実施形態では、DO含量は、約70~80%である。
【0283】
一実施形態では、培養条件は、ある温度で開始するpHを含み、製造中に別のpHに変化する。別の実施形態では、約7.3のpHで開始され、バイオリアクターインキュベーション中に約6.7に変化する。別の実施形態では、約7.3、約7.2または約7.1のpHで開始され、バイオリアクターインキュベーション中に約6.7、約6.8、約6.9または約7.0に変化する。
【0284】
いくつかの実施形態では、産生のために用いられるベクターおよび宿主系に応じて、得られる本明細書で開示のポリペプチドは、組み換え細胞内に残るか、または培地中に分泌される。
【0285】
一実施形態では、培養の所定時間後に、組換え型ポリペプチドの回収が行われる。
【0286】
当業者なら、本明細書で使われる場合、「組換え型ポリペプチドの回収」という語句は、ポリペプチドを含有する培地全体を収集することを包含し、分離または精製の追加のステップを意味し得ることを理解するであろう。
【0287】
一実施形態では、本明細書で開示のポリペプチドは、限定されないが、アフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、濾過、電気泳動、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、コンカナバリンAクロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、等電点電気泳動および示差的可溶化などの種々の標準的なタンパク質精製技術を用いて精製される。
【0288】
一実施形態では、それぞれのカラムは、制御または非制御温度下で稼動できる。
【0289】
一実施形態では、全てのクロマトグラフィーステップは、ダウンフローモードで行われる。別の実施形態では、全てのクロマトグラフィーステップは、アップフローモードで運転される。
【0290】
一実施形態では、回収を容易にするために、発現されるコード配列を、本明細書で開示のポリペプチドをコードするように、および切断可能な部分に融合するように設計できる。一実施形態では、ポリペプチドがアフィニティクロマトグラフィーによって、(例えば、切断可能な部分に特異的なカラム上への固定によって、)容易に単離されるように、融合タンパク質を設計できる。一実施形態では、切断部位が、ポリペプチドと切断可能部分との間となるように設計し、この部位で融合タンパク質を特異的に切断する適切な酵素または薬剤での処理によって、ポリペプチドが、クロマトグラフィーカラムから放出され得る[例えば、Booth et al.,Immunol.Lett.19:65-70(1988)、およびGardella et al.,J.Biol.Chem.265:15854-15859(1990)を参照]。
【0291】
一実施形態では、本明細書で開示のポリペプチドは、「実質的に純粋な」形態で回収される。当業者なら、「実質的に純粋な」という語句は、本明細書に記載の用途でのタンパク質の効率的な使用を可能にする純度を包含し得ることを理解するであろう。このような形態はまた、本明細書で同様に開示の高度グリコシル化(O-グリカンおよび/またはN-グリカン)および高度シアル化型を含む。別の実施形態では、このような形態は、高い比率のカルボキシル化グルタミン酸残基および/または低い比率の酸化型を有する形態を含み得る。さらに別の実施形態では、本明細書で開示のCTP修飾FVIIポリペプチドは、実質的に純粋で、活性型のポリペプチドを含み得る。
【0292】
別の実施形態では、本明細書に記載のCTP修飾FVII/FVIIaの酸化パーセントは、20%未満の酸化である。別の実施形態では、本明細書に記載のCTP修飾FVII/FVIIaの酸化パーセントは、15%未満の酸化である。別の実施形態では、本明細書に記載のCTP修飾FVII/FVIIaの酸化パーセントは、10%未満の酸化である。別の実施形態では、本明細書に記載のCTP修飾FVII/FVIIaの酸化パーセントは、8%未満の酸化である。別の実施形態では、本明細書に記載のCTP修飾FVII/FVIIaの酸化パーセントは、5%未満の酸化である。別の実施形態では、本明細書に記載のCTP修飾FVII/FVIIaの酸化パーセントは、4%未満の酸化である。別の実施形態では、本明細書に記載のCTP修飾FVII/FVIIaの酸化パーセントは、3%未満の酸化である。
【0293】
一実施形態では、酸化型の減少および酸化型のレベルの制御は、上流から最終原薬までの全製造プロセスを通して実施される。
【0294】
別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも40%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも50%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも60%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも70%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも75%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも80%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも85%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも90%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも91%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも92%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも93%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも94%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも95%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも96%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも97%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも98%である。別の実施形態では、前記実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドの純度は、少なくとも99%である。さらなる実施形態では、純度パーセンテージは、97.3%、97.6%、97.4%および97.0%からなる群から選択される。
【0295】
一実施形態では、本明細書で開示の対象は、ヒト対象である。別の実施形態では、対象は、家畜(domesticated animal)である。別の実施形態では、対象は、ペットである。別の実施形態では、対象は哺乳動物である。別の実施形態では、対象は、家畜(farm animal)である。別の実施形態では、対象はサルである。別の実施形態では、対象はウマである。別の実施形態では、対象は雌ウシである。別の実施形態では、対象はマウスである。別の実施形態では、対象は、ラットである。別の実施形態では、対象は、イヌである。別の実施形態では、対象は、ネコである。別の実施形態では、対象は、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、マウスまたはシカである。一実施形態では、対象は、雄性である。別の実施形態では、対象は、雌性である。一実施形態では、対象は、小児であり、別の実施形態では、青年期であり、別の実施形態では、成体であるか、または、別の実施形態では、より高齢の対象である。別の実施形態では、対象は、小児の対象であり、別の実施形態では、高齢の対象である。
【0296】
一実施形態では、本明細書で開示のCTP修飾FVIIポリペプチドは、インビトロの発現系を用いて合成される。一実施形態では、インビトロ合成法は当技術分野で公知であり、系の構成要素は市販されている。
【0297】
一実施形態では、組換えDNA技術を用いてCTPで修飾された第VIIa因子の製造が実施される。
【0298】
いくつかの実施形態では、組換え型ポリペプチドは、合成および精製され、それらの治療効力は、インビボまたはインビトロのいずれかでアッセイできる。一実施形態では、本明細書で開示のCTPで修飾された組換え第VII/VIIa因子の結合活性は、種々のアッセイを用いて確認できる。
【0299】
一実施形態では、CTP修飾第VIIa因子を製造する方法は、前記WCBから前記CTP修飾第VII因子を最適に発現するクローンを得て、前記クローンを増殖させるステップを含む。別の実施形態では、CTP修飾第VIIa因子を製造する方法は、前記MCBから前記CTP修飾第VII因子を最適に発現するクローンを得て、前記クローンを増殖させるステップを含む。別の実施形態では、細胞クローンは、一連の継代培養ステップにより、生産バイオリアクターのレベルまで溶液中で増殖される。別の実施形態では、前記継代培養クローンを含む溶液がバイオリアクター中に播種される。別の実施形態では、バイオリアクターは、使い捨て型のバイオリアクターである。別の実施形態では、バイオリアクターには、ステンレス鋼バイオリアクター、ロッキングモーションバイオリアクター、例えば、GEのWaveシステム、灌流バイオリアクター、または任意の他の当該技術分野において既知のバイオリアクターシステムが含まれる。一実施形態では、バイオリアクターからの細胞の取り出しは、使い捨て型のフィルターシステムの使用により行われる。大規模製造が実施される場合、濾過システムの使用の前に、連続的な遠心分離を使用し得る。
【0300】
一実施形態では、細胞クローンは、さらに増殖されるか、またはバイオリアクターのサイズを大きくしながら、前記細胞を順次培養することにより目的の規模に達するまでスケールアップされる。別の実施形態では、バイオリアクターは、流加バッチ方式で運転される。別の実施形態では、バイオリアクターは、バッチ方式で運転される。別の実施形態では、バイオリアクターは、反復バッチ方式で運転される。別の実施形態では、バイオリアクターは、灌流方式で運転される。
【0301】
ピーク生存細胞密度は、採用したバイオリアクターのタイプにより異なる。一実施形態では、本明細書で開示の製造方法で試供したバイオリアクターのピーク生存細胞密度は、約0.2x106~1.4x106細胞/mlである。別の実施形態では、本明細書で開示の製造方法で試供したバイオリアクターのピーク生存細胞密度は、約0.05x106~100x106である。別の実施形態では、バイオリアクターのピーク生存細胞密度は、約0.05x106~0.5x106である。別の実施形態では、バイオリアクターのピーク生存細胞密度は、約0.5x106~5x106である。別の実施形態では、バイオリアクターのピーク生存細胞密度は、約5.0x106~50x106である。別の実施形態では、バイオリアクターのピーク生存細胞密度は、約50x106~100x106である。
【0302】
バイオリアクター使用のためのフィードスキームは、異なり得、例えば、特定の日から反復して毎日供給、または数日に固定して、など、さらに、添加フィード%は、数%から50%またはそれ超までと、異なり得る。
【0303】
当該技術分野において知られているように、DMSOを異なる濃度でバイオリアクターに加えてもよい。一実施形態では、バイオリアクターの使用中に0.1~3%のDMSOが加えられる。別の実施形態では、0.1~0.5%のDMSOが加えられる。別の実施形態では、0.5~1.0%のDMSOが加えられる。別の実施形態では、1.0~1.5%のDMSOが加えられる。別の実施形態では、1.5~2.0%のDMSOが加えられる。別の実施形態では、2.0~2.5%のDMSOが加えられる。別の実施形態では、2.5~3.0%のDMSOが加えられる。
【0304】
一実施形態では、CTP修飾第VIIa因子を製造する方法は、精製活性CTP修飾FVII溶液を得るために、清澄化ハーベスト溶液を精製および活性化するステップを含む。別の実施形態では、本明細書で提供される方法を用いて製造された精製タンパク質溶液は、少なくとも5~95%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、本明細書で提供される方法を用いて製造された精製タンパク質溶液は、少なくとも5%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、本明細書で提供される方法を用いて製造された精製タンパク質溶液は、少なくとも10%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、本明細書で提供される方法を用いて製造された精製タンパク質溶液は、少なくとも20%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、本明細書で提供される方法を用いて製造された精製タンパク質溶液は、少なくとも30%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、本明細書で提供される方法を用いて製造された精製タンパク質溶液は、少なくとも40%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも50%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも60%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも70%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも80%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも90%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、本明細書で提供される方法を用いて製造された精製タンパク質溶液は、少なくとも95%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。
【0305】
一実施形態では、清澄化ハーベストは、2~25℃で最大24時間保持される。別の実施形態では、清澄化ハーベストは、少なくとも5℃で最大1ヶ月間貯蔵される。
【0306】
一実施形態では、ステップで得られた清澄化ハーベストは、生物汚染度、細菌内毒素、特定のタンパク質含量、残留DNA、ウィルス、ウィルス様粒子、および/またはマイコプラズマ、またはこれらの任意の組み合わせの試験が行われる。
【0307】
一実施形態では、清澄化ハーベストの精製は、次記を含むステップを順次実施することにより行われる:(g)前記清澄化ハーベスト溶液を濃縮、透析濾過、および精製するステップであって、前記濃縮、透析濾過および精製が、前記清澄化ハーベスト溶液をアニオン交換カラムおよび疎水性相互作用カラムを順次通過させる中空繊維カセットまたはタンジェント流カセットにより行われるステップ;(h)ステップ後に得られた前記清澄化ハーベストを取得するステップ;(i)およびウィルスに毒性の溶液中でインキュベートすることにより前記清澄化ハーベスト中に存在するウィルスを不活化するステップであって、前記濃縮、透析濾過、活性化および精製の後に、前記清澄化ハーベスト溶液にアフィニティカラム、マルチモデルまたは混合モードカラム、疎水性相互作用カラム(HIC)、およびアニオン交換カラムを順次通過させるステップ;(j)ステップ(i)後の前記清澄化ハーベスト溶液を取得し、前記清澄化ハーベスト溶液からナノ濾過によりウィルスを物理的に除去するステップ;(k)ステップ(j)後の前記清澄化ハーベスト溶液を取得し、前記清澄化ハーベスト溶液を濃縮、透析濾過および精製し、最大限に精製した、前記高度グリコシル化型のCTP修飾FVII/FVIIaを含む清澄化ハーベストに到達するステップ。
【0308】
一実施形態では、CTP修飾FVIIは、精製中に活性化される。代替的実施形態では、CTP修飾FVIIは、精製後に活性化される。別の実施形態では、CTP修飾FVIIは、精製のいずれかのステップと同時に活性化される。
【0309】
一実施形態では、清澄化ハーベストを濃縮および濾過するための限外濾過および透析濾過は、中空繊維カートリッジ、または同等のTFFベースのUFDFステップを用いて実施し得る。カートリッジの公称分画分子量サイズは、10,000kDaである。別の実施形態では、膜カートリッジは、3kDa~30kDaの分画分子量サイズを有するPES/PS/RC膜に準拠し得る。別の実施形態では、UFDFステップは、クロマトグラフィーステップの間に実施され得る。別の実施形態では、UFDFステップは、アニオン交換カラムの使用の前に実施され得る。別の実施形態では、UFDFステップは、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)の使用の前に実施され得る。別の実施形態では、UFDFステップは、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)の使用の後で実施され得る。さらに別の実施形態では、UFDFは複数のステップで実施され得、例えば、UFDFはハーベスト後に、クロマトグラフィーステップの間に、またはナノ濾過によるウィルス除去後のステップとして、またはこれらの任意の組み合わせで実施し得る。
【0310】
別の実施形態では、アニオン交換カラムは、DEAE-セファロースFast Flowカラムである。別の実施形態では、DEAEカラムにより、高度グリコシル化型の前記CTP修飾第VII/VIIa因子を精製する。一実施形態では、グリコシル化が大きいほど、CTP修飾第VII/VIIa因子の薬力学が良好になる。別の実施形態では、アニオン交換カラムは、例えば、Capto DEAEアニオン交換カラムまたはEshmuno Qなどの他の樹脂などの当該技術分野において既知のアニオン交換カラムを含んでよい。
【0311】
一実施形態では、疎水性カラムは、フェニル疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムである。フェニルHICの使用サイクル数は、約1~10の範囲であり得る。一実施形態では、1~3サイクルが好ましい。別の実施形態では、1~5サイクルが好ましい。別の実施形態では、1~6サイクルが好ましい。別の実施形態では、1~7サイクルが好ましい。別の実施形態では、1~8サイクルが好ましい。別の実施形態では、1~9サイクルが好ましい。別の実施形態では、1~10サイクルが好ましい。別の実施形態では、当該技術分野において既知の緩衝液が洗浄および溶出に使用される。一実施形態では、溶出緩衝液は、プロピレングリコールを加えた硫酸アンモニウムを含む。一実施形態では、溶出緩衝液は、エチレングリコールを加えた硫酸アンモニウムを含む。
【0312】
一実施形態では、ヒドロキシアパタイト混合モードカラムは、セラミックヒドロキシアパタイト混合モードカラムを含む。CHTの使用サイクル数は、約1~10の範囲であり得る。一実施形態では、1~3サイクルが好ましい。別の実施形態では、1~5サイクルが好ましい。別の実施形態では、1~6サイクルが好ましい。別の実施形態では、1~7サイクルが好ましい。別の実施形態では、1~8サイクルが好ましい。別の実施形態では、1~9サイクルが好ましい。別の実施形態では、1~10サイクルが好ましい。CHTカラムからの溶出は、約3~10カラム体積(CV)の間で実施され得る。一実施形態では、溶出は約3CVで実施される。別の実施形態では、溶出は約4CVで実施される。別の実施形態では、溶出は約5CVで実施される。別の実施形態では、溶出は約6CVで実施される。別の実施形態では、溶出は約7CVで実施される。別の実施形態では、溶出は約8CVで実施される。別の実施形態では、溶出は約9CVで実施される。別の実施形態では、溶出は約10CVで実施される。
【0313】
一実施形態では、混入により清澄化ハーベスト中に存在し得るウィルスは、清澄化ハーベスト中で不活化される。別の実施形態では、ウィルスは1%のトリトン-X100溶液を用いて不活化される。別の実施形態では、ウィルスは0.2~2%の%トリトン-X100溶液を用いて不活化される。別の実施形態では、ウィルスは0.5%トリトン-X100溶液を用いて不活化される。別の実施形態では、ウィルスは1~4%のトリトン-X100溶液を用いて不活化される。別の実施形態では、ウィルスは0.2~0.5%のトリトン-X100溶液を用いて不活化される。別の実施形態では、ウィルスは0.5~1.0%のトリトン-X100溶液を用いて不活化される。別の実施形態では、ウィルスは2%のトリトン-X100溶液を用いて不活化される。別の実施形態では、ウィルスは3%のトリトン-X100溶液を用いて不活化される。別の実施形態では、ウィルスは4%のトリトン-X100溶液を用いて不活化される。別の実施形態では、ウィルスは5~10%のトリトン-X100溶液を用いて不活化される。別の実施形態では、トリトン-X100溶液中でのウィルス不活性化は、約0.5~24時間の間行われる。別の実施形態では、トリトン-X溶液中でのウィルス不活性化は、約0.5~1時間の間行われる。別の実施形態では、トリトン-X溶液中でのウィルス不活性化は、約1~2時間の間行われる。別の実施形態では、トリトン-X溶液中でのウィルス不活性化は、約2~3時間の間行われる。別の実施形態では、トリトン-X溶液中でのウィルス不活性化は、約3~4時間の間行われる。別の実施形態では、トリトン-X溶液中でのウィルス不活性化は、約4~6時間の間行われる。別の実施形態では、トリトン-X溶液中でのウィルス不活性化は、約6~8時間の間行われる。別の実施形態では、トリトン-X溶液中でのウィルス不活性化は、約8~10時間の間行われる。別の実施形態では、トリトン-X溶液中でのウィルス不活性化は、約10~12時間の間行われる。別の実施形態では、トリトン-X溶液中でのウィルス不活性化は、約12~24時間の間行われる。
【0314】
当業者なら、当該技術分野において利用可能な他の濃度、またはこれらのウィルスに毒性の他の溶液、例えば、ナトリウムコラートおよびツイーン80を本明細書で開示の方法で使用し得ることを理解するであろう。別の実施形態では、トリ-n-n-ブチルホスフェート(TNBP)およびポリソルベート80(ツイーン80)を用いて、ステップ(h)でウィルスが不活化される。
【0315】
一実施形態では、ウィルスは、ナノ濾過を用いて物理的に除去される。当業者なら、当該技術分野において既知の任意のウィルス除去用フィルターを本明細書で開示の方法で適用し得ることを理解するであろう。別の実施形態では、ナノ濾過は、PlanovaまたはPlanova型フィルターカートリッジ(1~60mm2)を用いて実施される。このような方法は、その後、当該技術分野において既知の方法を使用して、清澄化ハーベストからのウィルス除去の確認が行われる。
【0316】
一実施形態では、本明細書で開示される方法は、高度グリコシル化CTP修飾第VII/VIIa因子の少なくとも20%の回収率を達成する。別の実施形態では、該方法は、高度グリコシル化CTP修飾第VII/VIIa因子の、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.9%の回収率を達成する。
【0317】
一実施形態では、高度グリコシル化CTP修飾第VII/VIIa因子の精製後、本明細書で開示される方法は、前記CTP修飾ポリペプチドの特性を明らかにすることを含む。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子の純度が決定される。別の実施形態では、グリコシル化が測定される。別の実施形態では、グリコシル化部位占有率が決定される。一実施形態では、製造されたCTP修飾第VII/VIIa因子の純度、グリコシル化物含量およびグリコシル化部位占有率が決定される。
【0318】
別の実施形態では、本明細書で開示の方法で利用される細胞クローンは、凍結セルバンクで貯蔵される。別の実施形態では、細胞クローンは、凍結乾燥セルバンクで貯蔵される。
【0319】
別の実施形態では、本明細書で開示の方法と組成物のセルバンクは、マスターセルバンクである。別の実施形態では、セルバンクは、ワーキングセルバンクである。別の実施形態では、セルバンクは、優良医薬品製造基準(GMP)セルバンクである。別の実施形態では、セルバンクは、臨床グレードの材料の製造向けである。別の実施形態では、セルバンクは、ヒト使用のための規制実施に準ずる。別の実施形態では、セルバンクは、当該技術分野において既知の任意の他のタイプのセルバンクである。
【0320】
「優良医薬品製造基準」は、別の実施形態では、米国連邦規則の(21CFR210-211)により規定される。別の実施形態では、「優良医薬品製造基準」は、その他の臨床グレードの製造のためのまたはヒトの摂取のための標準、例えば、米国以外の国の標準により規定される。それぞれの可能性は、本明細書で開示の別々の実施形態を表す。
【0321】
別の実施形態では、細胞を増殖用の培地は、メトトレキセート(MXT)を含む。別の実施形態では、培地は、メトトレキセート不含培地である。別の実施形態では、培地中に存在するMXTの濃度は、約0.1~2uMである。別の実施形態では、培地中に存在するMXTの濃度は、約0.1~0.5uMである。別の実施形態では、培地中に存在するMXTの濃度は、約0.5~1.0uMである。別の実施形態では、培地中に存在するMXTの濃度は、約1.0~1.5uMである。別の実施形態では、培地中に存在するMXTの濃度は、約1.5~2.0uMである。用語の「培地」は、本明細書で開示のCTP修飾第VII因子を含む細胞の増殖または培養に好適する液体またはゲルまたは粉末を包含し得ることはよく理解されよう。このような培地は、代わりに、「増殖培地」または「培養培地」と呼ばれることもあり、限定されないが、栄養培地、栄養強化培地、最少培地、鑑別培地、輸送培地、または選択培地を含み得る。さらなる態様では、選択培地は、製造プロセス中に、特定の群の細胞を選択するために好適し得る。
【0322】
一実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも5~95%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも5%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも10%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも15%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも20%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも30%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも40%のCTP修飾第VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも50%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも60%のCTP修飾第VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも70%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも80%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも90~95%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも95.1~99.9%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。別の実施形態では、精製タンパク質溶液は、少なくとも100%のCTP修飾第VII/VIIa因子を含む。
【0323】
一実施形態では、製造されたCTP修飾凝固因子は、高のγ-カルボキシル化%を含む。当業者なら、凝固因子のパーセント(%)ガンマカルボキシル化は、CTP修飾凝固因子の効力と直接相関を有し得ることを理解するであろう。一実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、少なくとも50%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、少なくとも60%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、少なくとも70%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、少なくとも80%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、少なくとも90%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、少なくとも92%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、少なくとも93%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、少なくとも94%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、少なくとも95%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、少なくとも96%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、少なくとも97%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、少なくとも98%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、少なくとも99%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、少なくとも100%のガンマカルボキシル化を含む。
【0324】
別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、40~50%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、50~60%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、60~70%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、70~80%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、80~85%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、85~90%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、90~92%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、90~95%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、95~97%のガンマカルボキシル化を含む。別の実施形態では、FVII-CTP3またはFVIIa-CTP3のガンマカルボキシル化%は、95~100%のガンマカルボキシル化を含む。
【0325】
一実施形態では、低γ-カルボキシル化物の除去は、本明細書で開示の製造プロセスのマルチモデルまたは混合モードクロマトグラフィーステップで実施される(
図17、ステップ9参照)。
【0326】
一実施形態では、製造されたCTP修飾第VII/VIIa因子は、高度グリコシル化されている。当業者なら、用語の「高度グリコシル化」は、CTP修飾第VII/VIIa因子に関する場合、総CTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチドの約70~80%のグリコシル化レベルを包含し得ることをよく理解するであろう。別の実施形態では、高度グリコシル化CTP修飾第VII/VIIa因子は、少なくとも70%のグリコシル化レベルを有する。別の実施形態では、高度グリコシル化CTP修飾第VII/VIIa因子は、少なくとも80%のグリコシル化レベルを有する。別の実施形態では、この用語は、総CTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチドの約81~90%のグリコシル化レベルを包含し得る。別の実施形態では、高度グリコシル化CTP修飾第VII/VIIa因子は、少なくとも90%のグリコシル化レベルを有する。別の実施形態では、この用語は、総CTP修飾第VIIa因子ポリペプチドの約91~95%のグリコシル化レベルを包含し得る。別の実施形態では、この用語は、総CTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチドの約95.1~99%のグリコシル化レベルを包含し得る。別の実施形態では、この用語は、総CTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチドの100%のグリコシル化レベルを包含し得る。高度グリコシル化CTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチドは、長時間作用型第VII/VIIa因子のための使用方法における有益な特性を有し、投与頻度の低減を支援し得る。高グリコシル化レベルは、組換え第VII/VIIa因子に比較して、CTP修飾第VII/VIIa因子、例えば、CTP修飾第VIIa因子の流体力学体積の顕著な増加に寄与する。これは、CTP修飾第VIIa因子の循環時間の延長をもたらし得る。
【0327】
一実施形態では、CTP当たりのO-グリカンの数は、少なくとも4~6である。別の実施形態では、CTP当たりのO-グリカンの数は、4~6である。別の実施形態では、CTP当たりのO-グリカンの数は、少なくとも4~8である。別の実施形態では、CTP当たりのO-グリカンの数は、4~8である。一実施形態では、CTP当たりのO-グリカンの数は、少なくとも6~8である。一実施形態では、CTP当たりのO-グリカンの数は、6~8である。別の実施形態では、CTP当たりのO-グリカンの数は、少なくとも4である。別の実施形態では、CTP当たりのO-グリカンの数は、少なくとも5である。別の実施形態では、CTP当たりのO-グリカンの数は、少なくとも6である。別の実施形態では、CTP当たりのO-グリカンの数は、少なくとも7である。別の実施形態では、CTP当たりのO-グリカンの数は、8である。
【0328】
一実施形態では、1個の結合CTPを有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも4~6である。別の実施形態では、1個の結合CTPを有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも6~8である。別の実施形態では、1個の結合CTPを有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも4~8である。別の実施形態では、2個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも8~12である。別の実施形態では、2個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも12~16である。別の実施形態では、2個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも8~16である。別の実施形態では、3個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも12~18である。別の実施形態では、3個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも18~24である。別の実施形態では、3個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも12~24である。別の実施形態では、4個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも16~24である。別の実施形態では、4個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも24~32である。別の実施形態では、4個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも16~32である。別の実施形態では、5個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも20~30である。別の実施形態では、5個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも30~40である。別の実施形態では、5個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも20~40である。別の実施形態では、6個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも24~36である。別の実施形態では、6個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも36~48である。別の実施形態では、6個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも24~48である。別の実施形態では、7個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも28~35である。別の実施形態では、7個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも42~56である。別の実施形態では、7個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも28~56である。別の実施形態では、8個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも32~48である。別の実施形態では、8個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも48~64である。別の実施形態では、8個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも32~64である。別の実施形態では、9個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも36~54である。別の実施形態では、9個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも54~72である。別の実施形態では、9個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも36~72である。別の実施形態では、10個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも40~60である。別の実施形態では、10個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも60~80である。別の実施形態では、5個の結合CTP単位を有するCTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチド当たりのO-グリカンの数は、少なくとも40~80である。
【0329】
一実施形態では、CTPあたりのO-グリカン占有率は少なくとも70%である。別の実施形態では、CTPあたりのO-グリカン占有率は少なくとも80%である。別の実施形態では、CTPあたりのO-グリカン占有率は少なくとも90%である。別の実施形態では、CTPあたりのO-グリカン占有率は100%である。
【0330】
一実施形態では、CTP修飾FVII/FVIIaあたりの高い比率のN-グリカンは荷電される。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、少なくとも40%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、少なくとも50%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、少なくとも60%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、少なくとも70%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、少なくとも80%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、少なくとも85%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、少なくとも90%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、少なくとも95%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、100%を含む。
【0331】
別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約40%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約50%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約60%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約70%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約80%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約85%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約90%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約95%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約100%を含む。
【0332】
別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約10%~30%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約20%~40%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約30%~40%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約20%~50%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約40%~50%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約30%~60%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約50%~60%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約40%~70%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約60%~70%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約50%~80%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約70%~80%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約55%~85%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約80%~85%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約60%~90%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約85%~90%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約65%~95%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約90%~95%を含む。別の実施形態では、荷電しているCTP修飾FVII/FVIIa当たりのN-グリカンの比率は、約95%~100%を含む。
【0333】
一実施形態では、荷電しているN-グリカンの高レベルは、本明細書で開示の製造プロセスの上流プロセスで促進される。別の実施形態では、60%を超える荷電N-グリカンが初期DSP段階に到達し、最終原薬が得られるまで、このレベルが維持される。
【0334】
一実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子は、高度シアル化されている。当業者なら、用語の「高度シアル化」は、CTP修飾第VII/VIIa因子に関する場合、総CTP修飾第VIIa因子ポリペプチドの約70~80%のシアル化レベルを包含し得ることを理解するであろう。別の実施形態では、この用語は、総CTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチドの約80~90%のシアル化レベルを包含し得る。別の実施形態では、この用語は、総CTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチドの約90~95%のシアル化レベルを包含し得る。別の実施形態では、この用語は、総CTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチドの約95.1~99%のシアル化レベルを包含し得る。別の実施形態では、この用語は、総CTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチドの100%のシアル化レベルを包含し得る。別の実施形態では、CTP修飾第VIIa因子のO-グリカン構造は、モノシアル化コア1を含む。
【0335】
一実施形態では、本明細書に記載のCTP修飾FVII/FVIIaの高い比率のシアル化およびO結合型グリカン含量は、CTP修飾FVII/FVIIaの効力を増大する。別の実施形態では、本明細書に記載のCTP修飾FVII/FVIIaの高い比率のシアル化およびO結合型グリカン含量は、CTP修飾FVII/FVIIaの流体力学体積を増大させる。
【0336】
一実施形態では、本明細書に記載のCTP修飾FVII/FVIIaは、効力を有する。別の実施形態では、CTP修飾FVII/FVIIaは、実質的に純粋な活性CTP修飾FVIIポリペプチドである。別の実施形態では、CTP修飾FVII/FVIIaは、本明細書に記載の方法を用いて製造される。別の実施形態では、効力は少なくとも5,000U/mgである。別の実施形態では、効力は少なくとも7,500U/mgである。別の実施形態では、効力は少なくとも10,000U/mgである。別の実施形態では、効力は少なくとも10,500U/mgである。別の実施形態では、効力は少なくとも15,000U/mgである。別の実施形態では、効力は少なくとも20,000U/mgである。別の実施形態では、効力は少なくとも25,000U/mgである。別の実施形態では、効力は少なくとも27,500U/mgである。別の実施形態では、効力は少なくとも30,000U/mgである。別の実施形態では、効力は少なくとも35,000U/mgである。別の実施形態では、効力は少なくとも40,000U/mgである。さらなる実施形態では、効力は、15,563U/mg、16,720U/mg、22,478U/mgおよび23,608U/mgからなる群から選択される。
【0337】
一実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチドは、前記第VII/VIIa因子のカルボキシ末端に結合した2個のCTP、および前記第VII/VIIa因子のアミノ末端に結合した1個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドからなる。別の実施形態では、CTP修飾第VII/VIIa因子ポリペプチドは、前記第VII/VIIa因子のカルボキシ末端に結合した1個の絨毛性ゴナドトロピンカルボキシ末端ペプチドからなる。
【0338】
一実施形態では、前記CTP修飾第VII/VIIa因子をコードするコード部分を含む発現ベクターはまた、プロモーター、前記CTP修飾ポリペプチドのためのコード配列、およびポリアデニル化配列も含む。一実施形態では、ポリアデニル化配列は、シミアンウィルス(SV)40ポリアデニル化配列である。
【0339】
一実施形態では、CTP修飾第VII因子は、30~1500mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも30mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも40mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも50mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも60mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも70mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも50~70mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも80mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも90mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも70~100mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも100mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも200mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも100~200mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも300mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも200~300mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも400mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも300~400mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも500mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも500~600mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも600mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも600~700mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも700mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも701~800mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも800mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも801~900mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも900mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも901~1000mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも1000mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも1001~1100mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも1100mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも1101~1200mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも1200mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも1201~1300mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも1300mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも1301~1400mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも1400mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも1401~1500mg/Lのレベルで発現される。別の実施形態では、CTP修飾第VII因子は、少なくとも1500mg/Lのレベルで発現される。
【0340】
当業者なら、用語の「発現」は、宿主細胞内の異種核酸配列の転写および/または翻訳を包含し得ることを理解するであろう。宿主細胞中での所望の産物/目的のタンパク質の発現のレベルは、本実施例にあるように、細胞中に存在する対応するmRNAまたはcDNAの量、または選択配列によりコードされる所望のポリペプチド/目的のタンパク質の量を基準にして決定し得る。例えば、選択配列から転写されたmRNAは、ノーザンブロットハイブリダイゼーション、リボヌクレアーゼRNA保護、細胞RNAに対するインサイツハイブリダイゼーションまたはPCRにより定量できる(Sambrook et al.,1989;Ausubel et al.,1987更新、を参照されたい)。選択配列によりコードされるタンパク質は、各種方法、例えば、ELISAにより、ウェスタンブロッティングにより、ラジオイムノアッセイにより、免疫沈殿により、タンパク質の生物活性をアッセイすることにより、タンパク質を免疫染色法した後のFACS分析(Sambrook et al.,1989;Ausubel et al.,1987更新、を参照されたい)またはホモジニアス時間分解蛍光法(HTRF)アッセイにより、定量できる。一実施形態では、CTP修飾第VIIa因子の定量化は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)の使用を含む。別の実施形態では、RP-HPLCは、C-18カラムを含む。別の実施形態では、RP-HPLCは、C-8カラムを含む。別の実施形態では、本明細書で開示の方法は、RP-HPLCを用いて、ハーベスト中のCTP修飾第VII因子を定量する(実施例3ステップ2~5を参照されたい)。別の実施形態では、本明細書で開示の方法は、RP-HPLCを用いて、ハーベスト中のCTP修飾第VII因子を精製中に定量する。
【0341】
別の実施形態では、本明細書で開示のセルバンク、または凍結ストックは、90%を超える解凍時の生存率を示す。別の実施形態では、貯蔵は、無期限の時間の間である。
【0342】
別の実施形態では、貯蔵は、2週間である。別の実施形態では、貯蔵は、3週間である。別の実施形態では、貯蔵は、1ヶ月間である。別の実施形態では、貯蔵は、2ヶ月間である。別の実施形態では、貯蔵は、3ヶ月間である。別の実施形態では、貯蔵は、5ヶ月間である。別の実施形態では、貯蔵は、6ヶ月間である。別の実施形態では、貯蔵は、9ヶ月間である。別の実施形態では、貯蔵は、1年間である。
【0343】
別の実施形態では、本明細書で開示のセルバンク、または凍結ストックは、本明細書で開示の所定の培地中で細胞の培養物を増殖すること、グリセロール含有溶液中で培養物を凍結すること、および-20℃未満の温度で細胞クローンを貯蔵すること、を含む方法により凍結保存される。別の実施形態では、温度は、約-70℃である。別の実施形態では、温度は、約-70~-80℃である。別の実施形態では、本明細書で開示の任意の所定の培地をこの方法で用い得る。それぞれの所定の培地は、本明細書で開示の別々の実施形態を表す。
【0344】
本明細書で開示の方法および組成物の別の実施形態では、培養は、セルバンクから接種される。別の実施形態では、培養は、凍結ストックから接種される。別の実施形態では、培養は、種菌から接種される。別の実施形態では、培養は、コロニーから接種される。別の実施形態では、培養は、対数期の中間部増殖相で接種される。別の実施形態では、培養は、ほぼ対数期の中間部増殖相で接種される。別の実施形態では、培養は、別の増殖相で接種される。
【0345】
本明細書で開示の方法および組成物の別の実施形態では、凍結に使用される溶液は、2~20%の量のDMSOを含む。別の実施形態では、量は2%である。別の実施形態では、量は20%である。別の実施形態では、量は1%である。別の実施形態では、量は1.5%である。別の実施形態では、量は3%である。別の実施形態では、量は4%である。別の実施形態では、量は5%である。別の実施形態では、量は2%である。別の実施形態では、量は2%である。別の実施形態では、量は7%である。別の実施形態では、量は7.5%である。別の実施形態では、量は9%である。別の実施形態では、量は10%である。別の実施形態では、量は12%である。別の実施形態では、量は14%である。別の実施形態では、量は16%である。別の実施形態では、量は18%である。別の実施形態では、量は22%である。別の実施形態では、量は25%である。別の実施形態では、量は30%である。別の実施形態では、量は35%である。別の実施形態では、量は40%である。
【0346】
別の実施形態では、添加剤はショ糖である。別の実施形態では、添加剤は、いずれか他の束一的添加剤または、当該技術分野において既知の抗凍結特性を有する添加剤である。それぞれの可能性は、本明細書で開示の別々の実施形態を表す。
【0347】
一実施形態では、本明細書で開示の方法でおよび組成物のために使用される凍結溶液は、馴化培地およびDMSOを含む。一実施形態では、本明細書で開示の方法でおよび組成物のために使用される凍結溶液は、約46.255%の馴化培地および7.5%のDMSOを含む。
【0348】
一実施形態では、細胞培養物は、当該技術分野において定型化した技術により増殖される。別の実施形態では、一定のpHが細胞培養物の増殖中維持される。別の実施形態では、pHは、約7.0で維持される。別の実施形態では、pHは、約6である。別の実施形態では、pHは、約6.5である。別の実施形態では、pHは、約7.5である。別の実施形態では、pHは、約8である。別の実施形態では、pHは、6.5~7.5である。別の実施形態では、pHは、6~8である。別の実施形態では、pHは、6~7である。別の実施形態では、pHは、7~8である。
【0349】
別の実施形態では、一定温度が細胞培養物の増殖中維持される。別の実施形態では、温度は、約37℃で維持される。別の実施形態では、温度は、37℃である。別の実施形態では、温度は、25℃である。別の実施形態では、温度は、27℃である。別の実施形態では、温度は、28℃である。別の実施形態では、温度は、30℃である。別の実施形態では、温度は、32℃である。別の実施形態では、温度は、34℃である。別の実施形態では、温度は、35℃である。別の実施形態では、温度は、36℃である。別の実施形態では、温度は、38℃である。別の実施形態では、温度は、39℃である。
【0350】
別の実施形態では、一定の溶存酸素濃度が細胞培養物の増殖中維持される。別の実施形態では、溶存酸素濃度は飽和の20%で維持される。別の実施形態では、濃度は飽和の15%である。別の実施形態では、濃度は飽和の16%である。別の実施形態では、濃度は飽和の18%である。別の実施形態では、濃度は飽和の22%である。別の実施形態では、濃度は飽和の25%である。別の実施形態では、濃度は飽和の30%である。別の実施形態では、濃度は飽和の35%である。別の実施形態では、濃度は飽和の40%である。別の実施形態では、濃度は飽和の45%である。別の実施形態では、濃度は飽和の50%である。別の実施形態では、濃度は飽和の55%である。別の実施形態では、濃度は飽和の60%である。別の実施形態では、濃度は飽和の65%である。別の実施形態では、濃度は飽和の70%である。別の実施形態では、濃度は飽和の75%である。別の実施形態では、濃度は飽和の80%である。別の実施形態では、濃度は飽和の85%である。別の実施形態では、濃度は飽和の90%である。別の実施形態では、濃度は飽和の95%である。別の実施形態では、濃度は飽和の100%である。別の実施形態では、濃度は飽和のほぼ100%である。
【0351】
本明細書で開示の方法および組成物の別の実施形態では、培養物は、容器当たり2リットル(L)の最大体積を有する培地中で増殖される。別の実施形態では、培地は、容器当たり200mlの最大体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり300mlの最大体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり500mlの最大体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり750mlの最大体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり1Lの最大体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり1.5Lの最大体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり2.5Lの最大体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり3Lの体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり5Lの体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり少なくとも5Lの体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり少なくとも10Lの体積を有する。
【0352】
別の実施形態では、培地は、容器当たり2Lの最小体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり500mlの最小体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり750mlの最小体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり1Lの最小体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり1.5Lの最小体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり2.5Lの最小体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり3Lの最小体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり4Lの最小体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり5Lの最小体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり6Lの最小体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり8Lの最小体積を有する。別の実施形態では、培地は、容器当たり10Lの最小体積を有する。
【0353】
別の実施形態では、凍結ステップは、培養物が1x106生存細胞(VC)/mlの密度を有するときに、実施される。別の実施形態では、バイオマスは、1.5x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、1.5x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、2x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、3x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、4x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、5x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、7x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、9x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、10x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、12x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、15x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、20x107VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、25x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、30x107VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、33x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、40x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、50x106VC/mlである。別の実施形態では、バイオマスは、50x106を超えるVC/mlである。
【0354】
本明細書で開示の方法および組成物の別の実施形態では、細胞培養物は、液体窒素中で急速冷凍され、続けて、最終凍結温度で貯蔵される。別の実施形態では、培養物は、よりゆるやかな方法で、例えば、培養物のバイアルを最終貯蔵温度中に置くことにより、凍結される。別の実施形態では、培養物は、当該技術分野において既知のいずれか他の細胞培養物の凍結のための方法で凍結される。
【0355】
当業者なら、用語の「細胞培養」および「組織培養」は、同義に使用され、液体培地中の、または液体培地を保持するガラス、プラスチックまたは寒天などの表面上の懸濁培養における、インビトロでの細胞の維持を意味することを理解するであろう。一般に、「細胞培養」は、一定の好適なpHを維持するために緩衝する培地を必要とする。細胞培養で使用される培地は通常、必要な栄養素の十分な供給を含むように配合され、特定の細胞が維持されるように浸透圧を調整でき、温度および気相も好適な許容限度内に制御される。細胞培養技術は当該技術分野において周知である。例えば、Morgan et al.,1993 Animal Cell Culture,BIOS Scientific Publishers,Oxford,UK;およびAdams,R.L.P.1990 Cell Culture for Biochemists,Second Edition,Elsevier、を参照されたい。
【0356】
当業者なら、用語の「継代」は、細胞集団の継代培養(subculturing)の行為を包含し得ることを理解するであろう。当業者なら、用語の「継代培養」は、無菌培地、一実施形態では、新しい無菌培地で、前の培養からの試料を有する培地、の接種により確立された細胞培養を包含し得ることを理解するであろう。
【0357】
また、当業者なら、用語の「細胞株」は、継代培養技術を用いた、初代培養物由来の細胞集団を包含し得ることを理解するであろう。したがって、初代培養物は、2つまたはそれ以上の新しい培養物に継代培養でき、継代培養は、定期的間隔で数ヶ月間反復されて、細胞株が維持される。継代培養は、確立された細胞培養技術を用いて実施できる。
【0358】
一実施形態では、継代培養された細胞株、および不死化細胞株は、ケラチン、ホルモン受容体および増殖因子受容体などのそれらの特定の機能的マーカーの発現により特定できる。
【0359】
いくつかの態様では、培養は、増殖因子を加えた無血清限定培地中で実施し得る。他の態様では、培地は血清を含み、増殖因子を添加、または添加しない。このような変更は、当業者により細胞増殖を最適化するように経験的に決定し得る。
【0360】
また、当業者なら、用語の「細胞株」は、無制限のインビトロ増殖の潜在能力を有するとして特徴付けられる単一外植片由来の細胞集団を包含し得ることを理解するであろう。細胞株は、初代培養物から、その生存能力に基づいて単離でき、培養により増殖を継続できる。すべての新生細胞集団がインビトロで無期限に増殖する能力を有しているとは限らないが、腫瘍組織から最初に得た細胞株は、インビボで形質転換されているかもしれない。さらに、細胞株は通常、多くの回数の分裂を通してそれらの分化特性を保持している。
【0361】
好適な細胞培養基材は通常、滅菌でき、毒性因子を浸出させず、顕微鏡画像を歪ませない容器である。したがって、ガラスおよびプラスチックから形成されたプレートが本明細書での好適な基材であるプラスチック容器は、細胞付着を促進するように、当該技術分野において既知の技術を使用してさらに処理され得る(Ramsey et al.,1984 In vitro 20:802)。好適な組織培地は通常、等張性、緩衝性の、無機塩、アミノ酸、ビタミンおよび種々のサプリメントを加えた、エネルギー源を与える基本栄養素培地からなる。サプリメントには、血清(例えば、ウシ胎仔血清、など)、細菌混入を防ぐまたは選択条件を与えるための種々の抗生物質、付着および成長因子、などを含み得る。限定されないが、例えば、基礎培地(MEM)、Rosewell Park Memorial Institute(RPMI)1640またはダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)などの多くの培地配合物が当技術分野において知られている。好適な組織培養条件もまた、当技術分野で既知である。例えば、Morgan et al.,1993 Animal Cell Culture,BIOS Scientific Publishers Ltd.,Oxford,UK;およびAdams,R.L.P.1990 Cell Culture for Biochemists,Second Edition,Elsevier、を参照されたい。本明細書で開示の別の実施形態では、CTP修飾第VIIa因子の製造方法は、無血清プロセスである。本明細書で開示の別の実施形態では、CTP修飾第VIIa因子の製造方法は、動物由来物不含プロセスである。
【0362】
本明細書で開示の方法および組成物の別の実施形態では、培養物の貯蔵温度は、-20~-80℃である。別の実施形態では、温度は、-20℃よりかなり低い。別の実施形態では、温度は、-70℃より暖かくない。別の実施形態では、温度は、-70℃である。別の実施形態では、温度は、約-70℃である。別の実施形態では、温度は、-20℃である。別の実施形態では、温度は、約-20℃である。別の実施形態では、温度は、-30℃である。別の実施形態では、温度は、-40℃である。別の実施形態では、温度は、-50℃である。別の実施形態では、温度は、-60℃である。別の実施形態では、温度は、-80℃である。別の実施形態では、温度は、-30~-70℃である。別の実施形態では、温度は、-40~-70℃である。別の実施形態では、温度は、-50~-70℃である。別の実施形態では、温度は、-60~-70℃である。別の実施形態では、温度は、-30~-80℃である。別の実施形態では、温度は、-40~-80℃である。別の実施形態では、温度は、-50~-80℃である。別の実施形態では、温度は、-60~-80℃である。別の実施形態では、温度は、-70~-80℃である。別の実施形態では、温度は、-70℃より低温である。別の実施形態では、温度は、-80℃より低温である。
【0363】
別の実施形態では、凍結保存のために、細胞は、-70℃未満の温度に到達するまで、凍結保護物質を含む培地中でゆっくり凍結され、その後、バイアルを液体窒素冷凍庫に移され、-130℃未満の温度で維持される。
【0364】
本明細書で開示の方法および組成物の別の実施形態では、凍結保存、または凍結貯蔵、は、最大24時間である。別の実施形態では、凍結保存または凍結貯蔵は、最大2日間、最大3日間、最大4日間、最大1週間、最大2週間、最大3週間、最大1ヶ月間、最大2ヶ月間、最大3ヶ月間、最大5ヶ月間、最大6ヶ月間、最大9ヶ月間、または最大1年間である。それぞれの上記の可能性は、本明細書で開示のある実施形態である。
【0365】
別の実施形態では、凍結保存または凍結貯蔵は、最小1週間、最小2週間、最小3週間、最小1ヶ月間、最小2ヶ月間、最小3ヶ月間、最小5ヶ月間、最小6ヶ月間、最小9ヶ月間、最小1年間、最小1.5年間、最小2年間、最小3年間、最小5年間、最小7年間、最小10年間、または10年より長期間である。それぞれの上記の可能性は、本明細書で開示のある実施形態である。
【0366】
本明細書で開示の方法および組成物の別の実施形態では、細胞は、長期間の凍結保存または凍結貯蔵後の解凍の後で増殖を示す。別の実施形態では、細胞は、新しい培地にセルバンクまたは種菌由来の細胞での接種の約15~22時間後以内に増殖を示す。別の実施形態では、細胞は、新しい培地にセルバンクまたは種菌由来の細胞での接種の約12~20時間後以内に増殖を示す。一実施形態では、生存率、遺伝的安定性、および表現型安定性を確保するために、細胞株は指数増殖期で維持される必要がある(定期的に継代培養を介して)。
【0367】
「長期間」の凍結保存、または凍結貯蔵は、別の実施形態では、1ヶ月間である。別の実施形態では、期間は2ヶ月間である。別の実施形態では、期間は3ヶ月間である。別の実施形態では、期間は5ヶ月間である。別の実施形態では、期間は6ヶ月間である。別の実施形態では、期間は9ヶ月間である。別の実施形態では、期間は1年間である。別の実施形態では、期間は1.5年間である。別の実施形態では、期間は2年間である。別の実施形態では、期間は2~7年間である。別の実施形態では、期間は少なくとも7年間である。別の実施形態では、期間は少なくとも10年間である。
【0368】
別の実施形態では、本明細書で開示の方法および組成物の細胞は、凍結保存後の解凍後、90%を超える生存率を保持する。別の実施形態では、解凍時の生存率は、凍結保存期間後、ほぼ100%である。別の実施形態では、解凍時の生存率は、ほぼ90%である。別の実施形態では、解凍時の生存率は、少なくとも90%である。別の実施形態では、解凍時の生存率は、80%を超える。
【0369】
別の実施形態では、本明細書で開示のセルバンク、凍結ストック、またはワクチン投与バッチは、所定の細胞培養培地中で増殖される。このような培地は当技術分野において既知であり、限定されないが、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(ATCC(登録商標)No.30-2002)、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)(ATCC(登録商標)No.30-2005)、Hybri-Care培地(ATCC(登録商標)No.46-X)、マッコイ5AおよびRPMI-1640(ATCC(登録商標)No.30-2007)、ハム栄養混合物(ATCC(登録商標)CCL-61(商標))、PowerCHO(商標)既知組成の無血清CHO培地(Lonzaカタログ番号12-771Q)、または当該技術分野において既知の任意のその他の培地を含み得る。別の実施形態では、これらの培地は、当業者により経験的に決定されるように、抗生物質または動物血清で補充され得る。
【0370】
一実施形態では、大規模の量で哺乳動物細胞の培養を可能とするバイオリアクターおよび方法が本明細書で開示される。さらに、および別の実施形態では、前記バイオリアクターおよび方法は、大規模な量の増殖であっても、最適条件下で、哺乳動物細胞の培養を可能とし、したがって、バイオリアクターの大きさに関係しないプロセス性能および製品品質を可能とする。バイオリアクター内のインキュベーションの継続時間は、規模およびバイオリアクターシステムの変化によってのみ変わってよく、例えば、持続時間は8~9日でよく、または15~16日であってもよい。別の実施形態では、バイオリアクター中でのインキュベーション期間は、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日またはそれ超である。別の実施形態では、灌流バイオリアクターが用いられる場合、インキュベーション期間は最大7~120日であってよい。
【0371】
別の実施形態では、pH、溶存酸素圧(DOT)および温度などのプロセスパラメーターに関して均一環境下で、バイオリアクター内で良く混合された細胞懸濁液および配合栄養素フィードを維持して、哺乳動物細胞の培養を可能とする大規模バイオリアクターが本明細書で開示される。別の実施形態では、バイオリアクターは、使い捨て型のバイオリアクターである。
【0372】
本明細書に開示される方法は、特許請求の範囲による、真核細胞、特に哺乳動物細胞の培養のための、バイオリアクター、バイオリアクターシステムおよび方法の提供により、根源的な技術的問題を解決する。
【0373】
一実施形態では、バイオリアクターは、少なくとも250リットル(L)の容積を有する。別の実施形態では、バイオリアクターは、少なくとも500Lの容積を有する。別の実施形態では、容積は、少なくとも1,000L、少なくとも2,000L、少なくとも5,000L、少なくとも10,000L、少なくとも12,000Lまたは少なくとも15,000Lである。
【0374】
別の実施形態では、細胞は、容積が次第に増加するバイオリアクター中で継代培養される(実施例参照)。
【0375】
当該技術分野において一般に知られているように、本開示の修飾ペプチドおよびタンパク質は、目的の用途に応じて、標識、薬物、標的化薬剤、キャリア、固体支持体などに結合され得る。標識された形態の修飾生物製剤を用いて、それらの代謝的運命を追跡してもよく、この目的の好適な標識としては、特に、放射性同位体標識、例えば、ヨウ素131、テクネチウム99、インジウム111などが挙げられる。また、標識を用いて、アッセイ系での修飾タンパク質またはペプチドの検出を媒介してもよく、この場合、酵素標識、蛍光標識、発色標識などと同様に放射性同位体も用い得る。このような標識の使用は、このペプチドまたはタンパク質が、それ自体、抗体またはレセプターリガンドなどの標的化薬剤である場合、特に有益である。
【0376】
ほかのものと共に、同様の連結技術を使用して、本開示の修飾ペプチドおよびタンパク質を固体支持体に対して結合してもよい。結合された場合、次に、これらの修飾ペプチドおよびタンパク質を、特定の反応を呈する目的の成分の分離のためのアフィニティ試薬として使用し得る。
【0377】
最終的に、本開示の修飾ペプチドおよびタンパク質を用いて、これらの新規の化合物と特異的免疫反応性である抗体を生成し得る。これらの抗体は、非修飾のペプチドまたはタンパク質の生物学的活性の性質に応じて、種々の診断および治療用途に有用である。本開示は、本明細書に記載のFVII、またはFVIIaと免疫反応性である抗体を提供することを理解されたい。一実施形態では、このような抗体を用いて、内在性の凝固因子から投与されたCTP修飾凝固因子を識別または特定し得る。別の実施形態では、この抗体を用いて、投与されたCTP修飾凝固因子の場所を特定してもよい。
【0378】
本発明の追加の目的、利点、および新規特徴は、限定を意図するものではない次の実施例を考察することにより、当業者に明らかとなるであろう。さらに、上記本明細書中で詳述されたような、および、下記の特許請求の範囲のセクションにおいて請求されるような本明細書で開示の様々な実施形態および態様のそれぞれに関する実験的裏付けが下記の実施例において明らかになる。
【0379】
実施例
【0380】
一般に、本明細書で使用される命名法および本発明で使用される検査法には、分子、生化学、微生物学および組み換えDNA技術が含まれている。これらの技術は文献に詳細に説明されている。例えば、「Molecular Cloning:A laboratory Manual」,Sambrook et al.(1989);「Current Protocols in Molecular Biology」,第I-III巻、Ausubel,R.M.編(1994);Ausubel et al.「Current Protocols in Molecular Biology」,John Wiley & Sons,Baltimore,Maryland(1989);Perbal,「A Practical Guide to Molecular Cloning」,John Wiley & Sons,New York(1988);Watson et al.,「Recombinant DNA」,Scientific American Books,New York;Birren et al.,(編)「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」,第1-4巻,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1998);以下に示された方法論:米国特許第4,666,828号、第4,683,202号、第4,801,531号、第5,192,659号および第5,272,057号;「Cell Biology:A Laboratory Handbook」,第I-III巻 Cellis,J.E.,編.(1994);「Culture of Animal Cells - A Manual of Basic Technique」,Freshney,Wiley-Liss,N.Y.(1994),第3版;「Current Protocols in Immunology」,第I-III巻 Coligan J.E.,編(1994);Stites et al.,(編),「Basic and Clinical Immunology」(第8版),Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994);Mishell and Shiigi(編),「Selected Methods in Cellular Immunology」,W.H.Freeman and Co.,New York(1980)」;を参照のこと。利用可能な免疫アッセイは、特許および科学文献に広範に記載されており、例えば、米国特許第3,791,932号、第3,839,153号、第3,850,752号、第3,850,578号、第3,853,987号、第3,867,517号、第3,879,262号、第3,901,654号、第3,935,074号、第3,984,533号、第3,996,345号、第4,034,074号、第4,098,876号、第4,879,219号、第5,011,771号および第5,281,521号;「Oligonucleotide Synthesis」,Gait,M.J.,編(1984);「Nucleic Acid Hybridization」,Hames,B.D.,およびHiggins S.J.,編(1985);「Transcription and Translation」,Hames,B.D.,およびHiggins S.J.,編.(1984);「Animal Cell Culture」,Freshney,R.I.,編(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」,IRL Press,(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」,Perbal,B.,(1984)および「Methods in Enzymology,Vol.1-317,Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」,Academic Press,San Diego,CA(1990);Marshak et al.,「Strategies for Protein Purification and Characterization-A Laboratory Course Manual」,CSHL Press(1996)」を参照のこと;これらの全てが、参照により組み込まれる。その他の一般的な文献は、本明細書全体を通して提供される。
【0381】
実施例1
FVIII欠乏症の血友病性マウスにおけるFVII-CTP3の実現可能性試験
【0382】
FVII-CTP、FVII-CTP2およびFVII-CTP3ハーベストのPKプロファイル試験および凝固活性を、市販のFVIIと比較する試験を実施した。FVII-CTP3は、FVII-CTPおよびFVII-CTP2のハーベストまたはrhFVIIに対してその凝固活性を維持しつつ、改善されたPKプロファイルを示した。FVII-CTP3のインビトロおよびインビボ特性をさらに特徴付けるため、同タンパク質を発現し分泌する安定なミニプールを作製し、精製および活性化プロセスを開発した。
【0383】
本試験では、FVIIa-CTP3の薬物動態学的特性および薬力学的特性を、FVIII欠損マウスで試験した。このタンパク質のPKプロファイルを評価した。FVIIaの比活性ベースのPKプロファイルを明らかにし、市販品のNovoSeven(登録商標)と比較した。さらに、尾静脈切断後にFVIII欠乏マウスの凝固を誘導するFVIIa-CTP3の持続性インビボ止血能を試験した(生存試験)。
【0384】
試験目的:
【0385】
FVIII欠乏マウスに、同等の活性用量のFVIIa-CTP3と市販のrhFVIIa(NovoSeven(登録商標))を単回IV投与した後、薬物動態パラメーターおよび薬力学パラメーターを両物質で比較して評価すること。
【0386】
同等の活性用量のFVIIa-CTP3およびNovoSeven(登録商標)を単回IV投与した後、尾静脈切断による負荷を与えることにより(生存試験)、FVIII欠乏マウスの恒常性を維持するFVIIa-CTP3のインビボ能力を決定すること。
【0387】
FVII-CTP3ハーベストの生成:
【0388】
pCI-DHFRベクターを用いてDg44細胞でFVII-CTP
3を社内で発現させた(
図1)。安定に遺伝子導入させたプール#71を振盪フラスコ中、25ng/LのビタミンK3(Sigma社)の存在下で増殖させた。細胞懸濁物を培養し、生存率が60~80%に低下した後にハーベストした。このハーベストを濾過し、-70℃で凍結した。
【0389】
ハーベストのFVII抗原レベルの決定:
【0390】
ヒトFVII ELISAキット(Zymotest HyPhen)を用いてFVII抗原レベルを決定した(表1)。プールしたハーベストバッチ毎に抗原レベルを算出した。
【0391】
【0392】
【0393】
プロセスの概要
【0394】
短時間の精製試験の後、2つのカラムを用いた以下の精製プロセスを実施した。VII-Selectアフィニティカラム(GE)およびセラミックハイドロキシアパタイト1型(HA)、40μm(Bio Rad)を用いて、FVII-CTP3 γ-カルボキシル化濃縮タンパク質を精製した。精製FVII-CTP3をCaCl2の存在下、2~8℃で一晩インキュベートすることにより自己活性化を誘導した。精製プロセスは開発の最終段階にあり、最適化されつつあることから、精製段階のほとんどがほぼ同じものであるが、その一部については、2つのバッチで同一のものではない。
【0395】
10kDa中空繊維またはPelliconカセットを用いた限外濾過/透析濾過(UFDF)
【0396】
清澄化したハーベストを、4℃で週末を通して解凍した(2~3日)。
【0397】
バッチ31では、分画分子量が10KDaの中空繊維カートリッジ(GE Healthcare社、カタログ番号UFP-10-C-4X2MA)を用いて、清澄化ハーベスト(12リットル)を(連続2回の実施で)4倍に濃縮した。濃縮ハーベストを1~2体積のTBS(50mMトリス、150mM NaCl、pH7.4)に対し透析濾過した。
【0398】
バッチ38では、分画分子量が10KDaのPellicon 2(Millipore)カセットを用いて、清澄化ハーベスト(8.5リットル)を4倍に濃縮した。濃縮ハーベストを直接VII-Selectカラムにロードした。
【0399】
両方の限外濾過を、氷冷緩衝液を用いて氷上で実施した。UFDF試料を0.22μmで濾過した後、ロードした。
【0400】
FVII-Selectカラムでの捕捉
【0401】
TBS(pH7.4)で予め平衡化したVII-Selectカラム(XK16/20、CV 18ml)にUFDFまたは濃縮ハーベストをロードした。カラムを50mMトリス-HCl、0.5M NaCl pH7.5で洗浄し、50mMトリス-HCl、1M NaCl 50%(v/v)、プロピレングリコール pH7.5でFVII-CTP3を溶出した。このプロセスを2つの連続するサイクルで同じカラムを用いて実施した。
【0402】
セラミックヒドロキシアパタイトカラムでのγ-カルボキシル化ベース分離
【0403】
溶出産物を10mMのリン酸ナトリウム pH6.8で1:10に希釈し、セラミックヒドロキシアパタイトカラム(XK16/20、CV 24ml)にロードした。カラムを59mMのリン酸ナトリウム pH6.8で洗浄し、第VII因子のγ-カルボキシル化濃縮画分を500mMのリン酸ナトリウム pH6.8で溶出した。この本プロセスを2つの連続するサイクルで同じカラムにて実施した。各バッチで2つのサイクルの溶出物をプールし、1.7~2mg/mlに濃縮し、20mMトリス-HCl、100mM NaCl pH8.2による透析濾過を実施して体積を減らし、活性化ステップ用の材料を調製した。
【0404】
FVII活性化
【0405】
精製FVII-CTP3を1mg/mlに希釈し、20mMのトリス-HCl、100mM NaClおよび1mM CaCl2 pH8.2中、2~8℃で24時間インキュベートした。予備処方緩衝液(20mMのクエン酸緩衝液、240mM NaCl、13.3mM グリシン、pH6.9)への緩衝液交換(UFDF)によって、活性化を停止させた。
【0406】
FVII-CTP3およびFVIIa-CTP3の分析特性:
【0407】
SDS-PAGEおよびウエスタンブロット
【0408】
Precision Plus Dual Color Protein Marker(Bio-Rad)を用いて12%トリス-グリシンゲルに精製FVII-CTP
3およびFVIIa-CTP
3をロードした。クマシーブリリアントブルー試薬でゲルを染色することによりSDS-PAGEクマシー解析を実施した(1レーン当たりのタンパク質5μgまたは10μg)。抗ヒトFVIIポリクローナルAb(R&D systems、AF2338)、抗ヒトγ-カルボキシル化モノクローナル抗体(American Diagnostics、カタログ番号499、3570)および抗CTPポリクローナルAbを用いてウエスタンブロット解析を実施した(1レーン当たりのタンパク質1μg)。還元条件下では、FVII-CTP
3は、75KDaに移動し、およびFVIIa-CTP
3は、それぞれ
図3A~3Hでバンド2および3として示される、2つの主なバンド、50kDaの重鎖および25kDaの軽鎖、として移動した。
【0409】
この精製手順は、不純物を減少しながら、FVII-CTP
3部分を顕著に濃縮した。この精製プロセスの収率は25~30%FVIIであった(ELISAによる)。精製過程で喪失したタンパク質のほとんどは、FVIIの発色活性が低いか、活性を全く示さないものであった。クマシー染色SDS-PAGEに基づけば、還元FVIIa-CTP
3には、予測されたバンドよりも多くのものが含まれている。約75kDa付近まで移動したバンドは非活性化FVIIを表す(
図3A~3H、バンド1)。このバンドはMWがわずかに異なる2つのバンドからなり、このMWの差はγ-カルボキシル化含有量の差を反映しているものと思われる。MWが20kDaより小さいさらなるバンドが観察された。これは重鎖の分解産物であることが既に報告された。
【0410】
FVII-CTP3の発色活性:
【0411】
市販の発色活性試験キットであるBIOPHEN(Hyphen BioMed 221304)を用いて、FVII-CTP
3ハーベスト、プロセス中の画分および精製FVII-CTP
3の、ヒト正常プール血漿に対するインビトロ効力の比較評価を実施した。FVII-CTP
3ハーベストおよびタンパク質を系列希釈し、用量反応曲線を正常ヒト血漿の基準調製物に対し比較することにより、その効力を評価した。FVII-CTP
3精製後、発色活性は大幅に改善され、非活性画分は主にHAカラムにより分離された(
図4)。FVII発色活性と、モノクローナル抗Gla抗体を用いたウエスタンブロットでのFVII検出との間には強い相関が認められた。ハーベストのEC50により反映されるFVII発色活性の効力は、カルボキシル化FVII画分および非カルボキシル化FVII画分の両方の影響を受ける。FVII-CTP
3のγ-カルボキシル化画分の精製および濃縮後、活性は改善され、FVII活性に対するγ-カルボキシル化の重要な寄与を示している(
図4)。このパラメーターはFVIIの適切なインビボ活性に極めて重要であり、クローン開発プログラムでさらに取り組むことになる。
【0412】
A280によるタンパク質測定
【0413】
ProtParamアルゴリズム(http://web.expasy.org/protparam)を用いてFVIIa-CTP3およびNovoSeven(登録商標)の理論的吸光係数を算出した。この計算はアミノ酸配列に基づくものである。算出されたFVII-CTP3およびNovoSeven(登録商標)の吸光係数は、それぞれ1.186および1.406である。これら値は280nmでの1g/Lの吸光度を表す。
【0414】
2つのタンパク質の間の吸光係数の相違は、NovoSeven(登録商標)と比較したFVIIa-CTP3の分子量の増大のみに由来する。この理由は、CTPは、芳香族残基およびシステイン残基を欠き、従って、吸光度に寄与しないからである。
【0415】
最終FVII、およびVII-Selectカラムの溶出から開始するプロセス内の精製試料に対し、A280によるタンパク質測定を用いる。
【0416】
FVIIa抗原レベルの決定
【0417】
ヒトFVIIa ELISAキット(IMUBIND、American Diagnostica)を用いてFVIIa抗原レベルを決定した。各々のバッチについて抗原レベルを計算した。ただし、この手段は活性産物の量を示すものではなかったため、注入用量の決定に有用なものではなかった。
【0418】
FVIIa-Staclot(登録商標)VIIa-rTFの凝固アッセイ
【0419】
FVIIaは一本鎖FVIIの鎖内切断により得られる。天然の組織因子(TF)はFVIIaの補因子である。FVIIは、TFと結合すると、第X因子から第Xa因子への活性化を仲介し、それ自体はFVIIaに変換される。可溶性組織因子は天然の組織因子の細胞外部分である。この因子は、もはや自己活性化によるFVIIの活性化ができないが、組織因子と結合したFVIIaはFXをFXaに活性化できる。
【0420】
このアッセイに用いる組換え可溶性組織因子(rsTF)は、FVIIaの特異性を利用してFVIIa凝固試験を構成するものである。rsTFは、FVIIa、カルシウムおよびリン脂質の存在下では、FVIIをFVIIaに活性化することなく血漿の凝固を引き起こす。
【0421】
このシステムで観察される凝固時間は被験試料中のFVIIa含有量と逆相関があり、試料中にFVIIが存在することによる干渉を受けない。
【0422】
Omri Laboratories(Nes-Ziona、イスラエル)でアッセイを実施した。各試験の前に、再構成後のNovoSeven(登録商標)およびFVIIa-CTP3の両方についてFVIIa活性を評価した。NovoSeven(登録商標)の活性にはバイアルで報告された予測活性との相関は認められなかったが、この不一致は活性評価手法の違いに起因するものと思われる。タンパク質濃度を考慮しない体積当たりのFVIIa凝固活性を表39にまとめる。
【0423】
【0424】
FVIIa-CTP3の比活性
【0425】
A280に基づきFVIIaの比活性を算出し(活性/mlをタンパク質濃度で除して算出する)、これを表3に示す。MWが異なる2つの分子の比活性を比較する際には、活性を正規化するために補正を実施しなければならない(すなわち、分子量の差により、NovoSeven(登録商標)1mg中の活性部位の数はFVIIa-CTP3の1.185倍である)。換算係数の計算は以下の式で表される:
【0426】
【0427】
【0428】
FVIIa-CTP3のPK-PD試験:
【0429】
試験の概要
【0430】
用量6.4E6 U/kg体重(160,000U/動物)のFVIIa-CTP3およびrhFVIIa(NovoSeven(登録商標)、NS)をC57B FVIII欠損マウスに単回静脈内注射で投与した。投与から0.166時間後、0.5時間後、2時間後、4時間後、8時間後、12時間後、24時間後、34時間後、48時間後、58時間後および72時間後、交互に4匹のマウスの後眼窩から血液試料を採取した(表4)。クエン酸処理血漿(0.32%)をサンプリング直後に調製して、-20℃で分析時まで保存した。FVIIaの凝固活性レベルを評価し、詳細なPK解析を実施した。試験はOmri Laboratories(Nes-Ziona、イスラエル)で実施した。
【0431】
【0432】
FVIII欠損マウスにおけるFVIIa-CTP3のPKプロファイル
【0433】
Staclot(登録商標)VIIa-rTFキット(Stago、Parsippany,NJ)を用いて血液試料中のFVIIa活性を定量化した。各タンパク質の薬物動態プロファイルを算出し、各時点の4匹の前記の平均値を示す。
図5に実験全体を通したFVIIaのPKプロファイルを示す。FVIIaの回収率を表6に示す。PKパラメーターのまとめを表7に示す。
【0434】
NovoSeven(登録商標)またはFVIIa-CTP
3のいずれかを投与した後の凝固活性値を表5にまとめている。FVIIa-CTP
3およびNovoSeven(登録商標)は、投与から0.5時間後に活性が最大値に達した。NovoSeven(登録商標)の最大活性値はFVIIa-CTP
3の最大活性値の43%に達するにとどまった。FVIIa-CTP
3凝固活性は、長期間維持され、これは、活性が延長されたことを示している。NovoSeven(登録商標)治療マウスの凝固活性は、12時間より後の時点では検出不能であったが、FVII-CTP
3治療マウスは、投与後48時間でも測定可能な活性を保持し続けていた(表5および
図5)。
【0435】
FVIIaに直列にCTPコピーを3個付加することにより、投与後の最大活性の測定およびインビトロ解析に基づく予測活性との比較で、FVIIaの回収率の100%の増大がみられた(表6)ほか、半減期および平均滞留時間(MRT)が5倍になった。曝露時間(AUC)は3倍に増加した(表7)。
【0436】
【0437】
【0438】
【0439】
トロンビン生成アッセイ(TGA)
【0440】
トロンビンの生成は凝固カスケードの基礎となる部分であり、したがって、特定の個体がいかにうまくトロンビンを生成し得るかは、出血または血栓症のリスクと相関があると思われる。トロンビン生成を分析する際に一般的に測定する変数としては、遅延時間、トロンビン生成がピーク値に達するまでの時間、ピーク値、内因性トロンビン産生能[ETP](すなわち、曲線下面積およびテール)、トロンボグラム(「TG」)の経時変化が挙げられる。遅延時間の後、トロンビンのバーストがみられる。しかし、トロンビン全体の95%超が未形成である場合、遅延時間終了時に凝固が起こる。Omri Laboratories社にて、ヒト血友病血漿を補充したThrombinoscope試薬を用いてトロンビン生成アッセイを実施した。TGAは、NovoSeven(登録商標)およびFVIIa-CTP
3の注入に起因するマウス血漿での凝固能を反映する。FVIIa-CTP
3またはNovoSeven(登録商標)のいずれかを投与した後のマウス血漿のTGAパラメーター値を
図6A~6Cに示す。FVIIa-CTP
3投与後、3つ全てのパラメーター(トロンビン生成速度、生成されたトロンビンおよびKIIaの最大量)によって、NovoSeven(登録商標)治療を上回るFVII-CTP
3の利点が示される。これによって、さらに、NovoSeven(登録商標)と比較して、FVII-CTP
3の潜在的な長時間作用型の優位性という考えが強化される。
【0441】
FVIIa-CTP3の尾静脈切断(TVT)試験:
【0442】
試験の概要
【0443】
FVIIa-CTP3に関するPK/PD試験から得られたデータによって、FVIIa-CTP3の機能への洞察が得られ、FVIIa-CTP3は、NovoSeven(登録商標)と比較した場合、薬物動態学的利点を有することが示された。しかし、このタンパク質が外傷事象後にインビボで血餅を誘導する能力は未だ実証されていない。FVIIa-CTP3の止血能を評価するため、出血負荷に同じFVIII欠損マウスモデルを用いた。
【0444】
FVIII欠損マウスにFVIIa-CTP3またはNovoSeven(登録商標)の単回静脈内注入を実施した。FVIIa血餅活性アッセイで評価した各薬物の効力から算出した等価FVIIa活性を与える量(1.6E05単位、200μl)の薬物をマウスに投与した(表8)。投与量は、NovoSeven(登録商標)が9mg/kg、FVII-CTP3が活性の低下により40mg/kgであった。対照群にはビークル200μlを注入した。
【0445】
投与から15分後(注入1)、24時間後(注入2)または48時間後(注入3)、尾静脈を尾端から2.7cm横切開し、マウスの生存を24時間にわたって記録した。
【0446】
【0447】
A280によりタンパク質濃度を測定した。
【0448】
結果
【0449】
ビークル注入対照群の3回の注入データ(5匹の動物x注入3回)をまとめて、
図7A~7Dに示す。尾静脈切断から24時間後の生存率は30%であった。
【0450】
NovoSeven(登録商標)治療マウスおよびFVIIa-CTP
3治療マウスは、FVIIa投与から15分後に尾静脈切断を実施した後も正常な止血活性を示した。FVIIa-CTP
3治療動物およびNovoSeven(登録商標)治療動物の生存率は100%であった(
図7A~7D)。
【0451】
PK/PD試験で示されたFVII-CTP
3のクリアランス速度の低下は、投与から24時間後に実施した尾静脈切断の後に最も明白にわかる。NovoSeven(登録商標)では生存率の低下が観察された。対照群と同様に、10時間以内に50%が死亡した。それまでの間、90%のFVIIa-CTP
3治療マウスが生存した(
図7A~7D)。この結果から、FVIIa-CTP
3治療による長時間作用型の有効性が強調される。
【0452】
投与から48時間後、FVIIa-CTP
3またはNovoSeven(登録商標)で治療したグループに生存率の低下がみられた(
図7C)。FVIIa-CTPマウスにわずかな改善がみられたが、その差は統計的有意性に達するものではなかった。
【0453】
考察:
【0454】
組換えタンパク質へのCTP融合により、同等の活性が維持されたままタンパク質の循環半減期が延長される。閾値サイズの70KDaを超えるタンパク質のクリアランス低下の背後にある機序は、腎クリアランスに関して十分に理解されているが、CTP融合によって、さらなるお墨付きが得られる。CTP融合は、タンパク質遮蔽物を迂回してタンパク質分解による切断からタンパク質を保護し、高い負電荷によって、タンパク質の放射状分子量を増大させ、肝クリアランス受容体に対するタンパク質の親和性を低下させるものと考えられる。
【0455】
本試験は、FVIIへのCTP融合がタンパク質の半減期およびクリアランスに及ぼす影響を具体的に理解すること、およびこの修飾を施した後のFVIIの比活性の実例に取り組むことを目的としたものである。FVIII欠損マウスにFVIIa-CTP3または市販の組換えFVIIa(NovoSeven(登録商標))を同等の用量(単位ベース)で単回IV注入により投与し、PK活性ベースの解析を実施した。FVIIa-CTP3は、それぞれ、その半減期およびAUCの5倍および3.5倍の増大で反映されるとおり、優れた寿命を示した。Staclot(登録商標)活性キットにより算出したFVIIa-CTPの比活性(U/mg)をA280により測定したタンパク質濃度で除した商は、NovoSeven(登録商標)の比活性の5分の1~4分の1未満であることがわかった。
【0456】
CTPがインビボでFVIIaの止血効果にどのように影響するかに関する理解を深めるため、FVIIa-CTP3が出血を減らす能力について調査した。血友病マウスモデルを用いた尾静脈切断出血モデルでは、rFVIIa投与によって、負荷動物の生存率を改善し、失血死を回避できる。本明細書に記載される試験では、動物にFVIIa-CTP3またはNovoSeven(登録商標)を投与した。両分子とも、投与から0.25時間後に切断を実施した場合、恒常性を維持することができた。投与から24時間後に切断を実施した場合、FVIIa-CTP3治療群において活性持続時間の有意な延長が示された。ビークル治療群の生存率は、予想よりも高く、かつ以前の試験で得られたよりも高い(今回の試験の50%に対し、前回の試験では20%、データ示さず)。治療動物のパーセント生存率については、今後、投与から36時間後を含めたさらに早い時点で評価する。
【0457】
結論として、FVIIa-CTP3はNovoSeven(登録商標)と比較して、血友病マウスにおける活性持続時間が長い、換言すれば、止血効果の持続時間が長いことが示された。データを考え合わせると、FVIIへのCTPの融合は、血友病患者の予防的処置を大幅に改善する可能性を秘めた技術であることが示唆される。
【0458】
実施例2
市販の組換えhFVIIaと比較したMOD-5014の生化学的特性-カルボキシ末端ペプチド(CTP)が第VIIa因子の活性に及ぼす効果
【0459】
計画の理論的根拠およびまとめ
【0460】
これらの試験は、MOD-5014の生化学的特性を本明細書でMOD-5000と称する市販の組換えhFVIIaと比較して評価するようデザインしたものである。
【0461】
実施する試験:
・MOD-5014の合成基質切断
・合成基質切断により測定されるMOD-5014の組織因子(TF)結合
・第X因子(FX)活性化により測定されるMOD-5014のTF結合
・TF結合MOD-5014によるFX活性化の動力学
・FX活性化により測定されるMOD-5014の脂質結合
・脂質結合MOD-5014による因子活性化の動力学
・アンチトロンビン(AT)によるMOD-5014の不活化
・TFPIによるMOD-5014の不活化
【0462】
データ全体から、MOD-5000と比較したとき、MOD-5014は作用機序がほぼ同じであり、触媒活性がわずかに低いことが示唆される。これらの結果から、TF結合MOD-5014の活性はわずかに低下しており、TFから独立していると、さらにいくぶん低下することがわかった。
【0463】
これらの影響は、反応の大きさよりはむしろ反応速度が主として反映されたものであり、経時変化全体を測定できる反応は確かに終了まで進行する。
【0464】
AT阻害速度のわずかな低下は、MOD-5014のインビボ半減期が長くなり、適切な阻害応答が起こることを示唆している。
【0465】
実験材料
・MOD-5014 GMP-1:2.5mg/ml(A280に基づいて)
・NovoSevenロット番号CU60430:0.943mg/ml(A280に基づいて)、MOD-5000と呼ぶ。
【0466】
MOD-5014の合成基質切断
【0467】
論理的根拠:合成基質の切断は、もっぱら機能的活性部位が利用可能性に依存しているはずである。
【0468】
方法:MOD-5000およびMOD-5014をモル基準で同じ濃度に希釈した。次いで、同じ濃度を固定濃度の基質Pefachrome FVIIa(メチルスルホニル-D-シクロヘキシルアラニル-2-アミノブチリル-アルギニン-p-ニトロアニリド)に加え、黄色の出現によって、基質の切断をモニターした。
【0469】
結果
【0470】
濃度:FVIIa 360nM;基質 500μM
【0471】
分析:既知の吸光係数を用いて、405nmでの吸光度をp-ニトロアニリンの濃度に変換した。p-ニトロアニリンの濃度を時間に対してプロットし、基質切断速度を決定した。
【0472】
データを下記の数式に当てはめた。
【0473】
【0474】
k1=27.5モル pNA/分/モルVIIa
【0475】
結論:モル濃度基準では、MOD-5000とMOD-5014は基質切断速度が同じである(
図8)。その後の試験では、基質切断の測定値を希釈およびピペット操作の対照として用いる。
【0476】
合成基質切断により測定されるMOD-5014のTf結合
【0477】
論理的根拠:第VIIa因子がTFと結合すると、第VIIa因子の立体構造変化が起こり、それにより基質切断速度が増大する。このことは、基質切断の増大を用いて第VIIa因子とTFとの結合をモニターすることが可能であることを意味する。
【0478】
方法:様々な濃度のMOD-5000およびMOD-5014を固定濃度のTFに加え、5分間インキュベートした。基質(Pefachrome FVIIa)を加えた。405nmでの基質の切断を黄色の出現によりモニターした。
【0479】
結果:
【0480】
濃度:FVIIa 0~25nM、TF 8.7nM;基質500μM
【0481】
分析:TFの濃度が予測Kdを十分に上回っているとき、全てのFVIIaが低濃度でTFと結合するはずである。基質切断速度はVIIa/TF複合体の基質切断速度となる。FVIIaの濃度がTFの濃度を上回ると、基質切断速度は遊離FVIIaの基質切断速度まで低下するはずである。FVIIaとTFはモル比1:1の複合体を形成することから、基質切断速度の変化が起こるときのFVIIaの濃度がFVIIaの推定濃度の判断材料となる。
【0482】
データを下記の数式に当てはめた。
【0483】
【0484】
MOD-5000 MOD-5014
k1 27.5 27.5モル pNA/分/モルVIIa
k1 365 3575モル pNA/分/モルVIIa/TF
【0485】
結論:MOD-5000(NovoSeven)とMOD-5014は予測されたTF濃度(8.7nM)で同じ変曲点を示している(
図9)。このことは、基質切断により予測されるMOD-5000およびMOD-5014のモル濃度が正しいことを裏付けるものである。MOD-5014は、TFと結合したとき、MOD-5000よりも基質切断速度が極わずかに低かった(98%)(
図9)。
【0486】
第X因子活性化により測定されるMOD-5014のTf結合
【0487】
論理的根拠:FVIIaによるFXの切断は、FVIIa/TF複合体による切断に比べて速度が遅い。したがって、FX活性化の速度を測定することによりFVIIaとTFとの結合を評価できる。
【0488】
方法:様々な濃度のMOD-5000およびMOD-5014を固定濃度のTFに加え、FX活性化の速度を測定した。合成基質Pefachrome FXa(メトキシカルボニル-D-シクロヘキシルアラニル-グリシル-アルギニンパラニトロアニリド)の切断により第X因子活性化を評価した。検量線により合成基質の切断をFXa濃度に変換する。FVIIaもFVIIa/TFもかなりの速度でFX基質を切断することはない。
【0489】
結果
【0490】
濃度:FVIIa 0~2nM;TF 10pM;FX 135nM;基質500μM
【0491】
血漿中の第X因子の濃度は8μg/mL(約135nM)である。
【0492】
分析:FX活性化の速度は、FVIIaがTFと結合するのに伴い増大するはずである。TFがすべてFVIIaで飽和されると、FX活性化の速度が最大値に達する(
図10)。
【0493】
データを下記の数式に当てはめた。
【0494】
【0495】
MOD-5000 MOD-5014
Vmax 1.40 1.30 nM FXa/分
Kd 3.3 3.0 pM
ヒル値 0.93 0.91
【0496】
結論:FVIIaのTFに対する結合で、極わずかな負の協同性(ヒル値<1)が存在する。これは、MOD-5000とMOD-5014で同じである。TFと結合すると、MOD-5014のFX活性化の速度はMOD-5000に比べてわずかに低下する(93%)。MOD-5014のTFに対する親和性はMOD-5000のものと同程度である(
図10)。
【0497】
FX濃度の関数としてのFX活性化の速度
【0498】
論理的根拠:TFと結合するとMOD-5014の活性化速度がわずかに低下するのは、FXaに対する親和性が低下するか、FXが複合体と結合したときにその回転率が低下する結果であると考えられる。FX活性化の速度をFX濃度の関数として測定することにより、複合体の動力学的パラメーターを確立した。
【0499】
方法:様々な濃度のFXを固定濃度のFVIIa/TF複合体とインキュベートした。
【0500】
合成基質(Pefachrome FXa)の切断により第X因子活性化を評価した。検量線により合成基質の切断をFXa濃度に変換した。
【0501】
結果
【0502】
濃度:FVIIa 1nM;TF 5pM;FX 0~1500nM;基質500μM
【0503】
分析:FX添加量の増大に伴い、FVIIa/TF複合体がすべてFXと結合する時点まで、FXと結合するFVIIa/TF複合体が増加したはずである。上記の時点での反応は、FXが活性化される速度により制限された。したがって、FX活性化の速度はFXの濃度の増大とともに増大したはずであり、曲線の形状は漸近的に最大速度に近づくものとなっている(
図123)。
【0504】
データを下記の数式に当てはめた。
【0505】
【0506】
MOD-5000 MOD-5014
Vmax 1.78 1.64 nM FXa/分
Km 140 120 nM
【0507】
結論:TFと結合すると、MOD-5014はFXの回転率がMOD-5000に比べてわずかに低下した(92%)。FXとMOD-5014/TF複合体との結合は、FXとMOD-5000/TF複合体との結合と同じであった(
図11)。
【0508】
FX活性化により測定されるMOD-5014の脂質結合
【0509】
論理的根拠:血小板上での第X因子活性化はFVIIaの止血効果に寄与すると考えられる。この血小板活性は、低TF環境下またはTF不在下で起こると考えられる。TF不在下での第X因子活性化は脂質小胞上で試験できる。
【0510】
方法:脂質上でのFVIIaによる第X因子活性化は、酵素(FVIIa)およびタンパク質基質(FX)の両者の結合の関数となる。脂質の比をPC:PE:PS=41:44:14とし、高活性化血小板の組成を模倣するよう設計した。脂質は大型の単層小胞(200nm)として調製した。漸増濃度の小胞をFVIIaおよびFXに添加した。合成基質(Pefachrome FXa)の切断により第X因子活性化を評価した。検量線により合成基質の切断をFXa濃度に変換した。
【0511】
結果
【0512】
濃度:FVIIa 20nM;FX 500nM;脂質0~1000μM;基質500μM。
【0513】
分析:FXa生成速度を脂質小胞の濃度に対してプロットした(
図12A)。予想された通り、脂質濃度の増大に伴い反応に利用可能な表面積が増大するため、FXa生成が増大した。脂質が十分な濃度になったとき、FVIIaとFXが異なる脂質小胞上に分離したため反応速度が低下した。この鋳型反応は、この系で予想されることである。データを方程式に当てはめることはせず、示した線は視覚的参照用のみにとどめる。MOD-5000とMOD-5014との間のFXa生成速度の差は、脂質に対する親和性の差によるものではなかった。このことは、それぞれの最大値に対する相対FXa生成速度を脂質濃度に対してプロットした
図12Bからわかる。
【0514】
結論:TF不在下でのFX活性化の速度は、MOD-5000よりもMOD-5014の方が低い(約60%)。MOD-5014の脂質に対する親和性はMOD-5000のものと同じである。
【0515】
脂質結合MOD-5014によるFX活性化の動力学
【0516】
論理的根拠:TF不在下でMOD-5014のFX活性化の速度がMOD-5000に比べて低下するは、FXaに対する親和性が低下するか、FXが脂質表面で酵素と結合するとその回転率が低下する結果であると考えられる。
【0517】
方法:様々な濃度のFXを固定濃度のFVIIaおよび脂質小胞とインキュベートした。合成基質(Pefachrome FXa)の切断により第X因子活性化を評価した。検量線により合成基質の切断をFXa濃度に変換した。
【0518】
結果
【0519】
濃度:FVIIa 20nM;FX 0~2500nM;脂質100μM;基質500μM。
【0520】
分析:FX添加量の増大に伴い、FVIIaがすべてFXと結合する時点まで、FXと結合する脂質表面のFVIIaが増加したはずである。上記の時点での反応は、FXが活性化される速度により制限される。したがって、FX活性化の速度はFXの濃度の増大とともに増大し、曲線の形状は漸近的に最大速度に近づくものとなるはずである。予想される通り、FVIIaのFXに対する親和性はTF不在下で低下し(Kmが大きくなり)、FXa生成速度はTF不在下で低下している(
図13)。
【0521】
データを下記の数式に当てはめた。
【0522】
【0523】
MOD-5000 MOD-5014
Vmax 0.253 0.115 nM FXa/分
Km 878 848 nM FXa/分
【0524】
結論:TF不在下では、脂質表面でのFX活性化の速度はMOD-5014の方がMOD-5000よりも低い(45%)。脂質表面でのFXとMOD-5014との結合はFXとMOD-5000との結合と同じであった(
図13)。
【0525】
ATによるMOD-5014の不活性化
【0526】
論理的根拠:FVIIaのインビボでのクリアランスのかなりの部分が、ATとのFVIIa複合体の形成を介するものであると考えられる。この反応の速度は、インビトロでFVIIaがTFと結合する場合にのみ測定可能である。このインビトロの反応が測定可能な速度で進行するには、さらに、天然のグリコサミノグリカンの作用を模倣すると考えられる高濃度のヘパリンが必要である。
【0527】
方法:第VIIa因子をTFとインキュベートして複合体を形成させた。この複合体をATおよびヘパリンとインキュベートした。決まった時間間隔で、ポリブレン(臭化ヘキサジメトリン)を添加してヘパリンを中和することにより反応を停止させた。合成基質(Pefachrome FVIIa)の切断により残存FVIIa/TF活性を測定した。このアッセイに用いた濃度でポリブレンが基質切断を変化させることはなかった。
【0528】
結果
【0529】
濃度:FVIIa 10nM;TF 11nM;AT 1μM;ヘパリン5U/mL;FVIIa/TF 8.2nM;ポリブレン100μg/mL;基質500μM。
【0530】
分析:基質切断速度として測定したFVIIa/TFの濃度を、分で表した時間に対してプロットした(
図14)。予想された通り、AT/ヘパリンによって、FVIIaが阻害され、それによりFVIIa/TF活性が低下した。
【0531】
データを下記の数式に当てはめた。
【0532】
【0533】
MOD-5000 MOD-5014
V0 11.89 11.93
k 0.354 0.217 分-1
【0534】
結論:T=0での活性の値がほぼ同じであったことから、反応物中に存在する量はMOD-5000とMOD-5014とで同じであったことがわかる。MOD-5014の阻害速度はMOD-5000よりもわずかに遅かった(62%)(
図14)。両反応とも完全に阻害するまで進行した。
【0535】
TFPIによるMOD-5014の不活化
【0536】
論理的根拠:TFPIはFVIIa/TF複合体の生理的阻害剤である。TFPIのK2ドメインはFXaとの最初の複合体を形成する。この複合体はFVIIa/TPIと結合し、そこでTFPIのK1ドメインがFVIIaと相互作用する。したがって、FVIIa/TFによって、FXが活性化されると、複合体が阻害され、FVIIa-TFPI間の作用が停止するはずである。
【0537】
方法:第VIIa因子とTFを一緒にインキュベートして複合体を形成させた。この複合体をTFPI/FX/FXa基質に添加した。合成基質(Pefachrome FXa)の切断により第X因子活性化を評価した。検量線により合成基質の切断をFXa濃度に変換した。
【0538】
結果
【0539】
濃度-阻害:FVIIa 1nM;TF 20pM;FX 135nM;TFPI 0~5nM;基質500μM。
【0540】
解析:予想された通り、初期のFXa生成は、全ての反応で同じ速度で起こった(
図15A~C)。TFPIの存在下では、FVIIa/TFPI複合体がTFPI/FXaにより阻害されたため、FXa生成速度が遅くなった(下の2つのパネル)。TFPI複合体の作用停止は、TFPIの濃度が高いほど短時間でみられた(下の2つのパネル)。FVIIa/TFPIの作用が停止する前に形成されたFXaの量は、TFPIとFVIIa/TFとの相互作用の尺度となる。MOD-5014はFXa生成速度がわずかに低く、そのためFXa/TFPI複合体の形成が遅くなったことから、反応がプラトーに達するまでに要した時間は、MOD-5000よりもMOD-5014の方が長かった。
【0541】
結論:上のパネルからわかるように、TFPIによるFXaのMOD-5014/TF生成阻害の濃度依存性は、MOD-5000のものと極めて類似している。MOD-5014の方がTFPI阻害に対する感受性がわずかに高い(124%)と思われ、あるいは、これはFXa生成速度がわずかに遅いことによるアーティファクトであると思われる。
【0542】
実施例3
CTP修飾活性化第VII因子の還元
【0543】
目的
【0544】
製造方法の目的は、合成培地中でCHO細胞を用いた組換えDNA技術により流加バッチ上流プロセス、およびこれに続く、高度グリコシル化され、高度にγ-カルボキシル化されたMOD-5014を産生する、堅牢で規模拡大可能な下流プロセスを開発することであった。換言すれば、最も高い含量のγ-カルボキシル化を有するMOD-5014を産生および生成し、プロセスおよび製造関連不純物を効率的に除去することであった。O-グリカン、N-グリカン、シアル酸の比率、酸化関連型、効力(STA-CLOT分析により試験)、Glaドメインの比率(あるいは、非カルボキシル化グルタミン酸残基の比率、および非活性化FVII比率)を分析することは重要であった。
【0545】
製造手順
【0546】
遺伝子導入および安定クローン選択
【0547】
MOD-5014をコードするcDNAをCHO細胞(dhfr陰性CD DG44細胞、これは、タンパク質不含培地中での増殖および浮遊増殖に適応されている)に遺伝子導入し、限界希釈ステップにより安定クローンを生成した。最大産生クローンを増幅し、最終クローンをさらなる開発用に選択した。
【0548】
動物成分不含培地を、マスターおよびワーキングセルバンク(MCB;WCB)の誘導の全体を通して使用した。安定クローンを細胞培養の限界希釈ステップにより単離した。最高産生クローンを漸増濃度の選択可能剤を用いて増幅した。クローン細胞集団倍化数(PDL)、CTP修飾第VII因子の生産性(ピコグラム/細胞/日、PCD)、および選択培地中での最大達成細胞密度に基づいて、最大産生クローンを単離し、R&Dバンクの調製、続けて、適当と認められたマスターセルバンク(MCB)およびワーキングセルバンク(WCB)の製造に使用した。
【0549】
上流プロセス:
【0550】
MOD-5014を発現しているCHO細胞の安定クローンをマスターセルバンク(MCB)の単一バイアルから接種し(
図16のステップ1)、ビタミンKを補充した無血清合成培地中で流加バッチ手法を用いて、1000Lまたは2000Lのバイオリアクターに段階的に拡大した(
図16のステップ2~4)。
【0551】
産生細胞培養上清の生物汚染度、細菌内毒素、生産性および外来性ウィルスの試験をした。このプロセスを、50Lおよび200Lバイオリアクターを播種用バイオリアクターとして使用して(
図16のステップ3)、および1000Lまたは2000Lバイオリアクターをスケールアップ用として使用して(
図16のステップ4)、実施した。全ての産物の接触面は使い捨て型としたが、廃棄できない製品接触装置は製品専用とした。これらの装置は、バッチ間で洗浄し、消毒した。1000Lまたは2000Lバイオリアクターに接種する前に、培養物を50Lおよび200Lに拡大した。最終スケールアップおよび流加バッチバイオリアクター産生を、2000Lの使い捨て型バイオリアクターで実施した。細胞の取り出しは、使い捨て型フィルターシステム(Milliporeデプスフィルター)を用いて行った。
【0552】
細胞増殖を、製造バイオリアクター、1000または2000Lで実施した(
図16,ステップ4)。
【0553】
培養物をバイオリアクター中で37℃、50%溶存酸素(DO)およびpH7.1で約11日間(細胞の生存率に依存)インキュベートした。運転中、ハーベストまでにpHが6.9に変化し、フィード(Cell Boost 6)を加え、ビタミンK3を加えた。さらに、DMSOをバイオリアクターに加えた。目的の濃度に維持するために、培養物にグルコースフィード溶液を加え、また、目的の培養物濃度に維持するために、1Mの重炭酸ナトリウム塊を加えた。所定の基準を用いて、ハーベストを実施した。最初の4日間は、細胞計数、生存率および代謝分析のために毎日サンプリングした。5日目からは、細胞計数、生存率および代謝分析のために、9日目からは、前記に加えて、ElisaまたはHPLC親和性法による比生産性のために、1日2回サンプリングした。
【0554】
本明細書で提供される実施例は、流加バッチ方式を使用したが、当業者なら、通常、類似の増殖および生成スキームを使用する灌流方式を開発可能であろう。あるいは、当業者なら、インキュベーション期間が7~120日までにもなり得る灌流法を開発可能であろう。
【0555】
【0556】
使い捨て型の濾過プロセストレインを用いて、ハーベストを実施した。ハーベストを清澄化するために、深層濾過および0.2μm濾過を実施した。清澄化後、0.45/0.2μm濾過を実施した。デプスフィルターをフラッシングし、残留液体をシステムから空気を使って吹き飛ばした。濾過プロセスは、15L/分以下のポンプ速度および最大定格圧力で実施した。後で、フィルターをトリス塩酸緩衝液で洗浄し、加圧空気で吹き出し、製品回収率を高めた。
【0557】
清澄化ハーベストを、生物汚染度、細菌内毒素、特定のタンパク質含量を、ELISAまたはHPLC親和性法、SDS-PAGE、ウエスタンブロット、HCP ELISAアッセイ、残留DNA、インビトロウィルスアッセイ、ウィルス様粒子、S+Lおよびマイコプラズマを検査した。
【0558】
精製活性化プロセス
【0559】
精製スキームを
図17に記載している。精製プロセスは、4種のクロマトグラフィーカラムをベースにした。タンパク質を、親和性クロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製した。タンパク質は陰イオン交換クロマトグラフィーのステップで活性化した。精製プロセスは、ウィルス不活化およびナノ濾過ステップも含む。
【0560】
限外濾過および透析濾過1-UFDF1(ステップ6)
【0561】
清澄化ハーベストを、タンジェント流濾過(TFF)ベース限外濾過および透析濾過(UF/DF)ステップを用いて濃縮および透析濾過を行った。カートリッジの公称分画分子量サイズは、30kDaとした。濃縮および透析濾過ハーベストを、ELISA、HPLC親和性法により特定のタンパク質含量を検査し、SDS-PAGE、ウエスタンブロット、および/またはHCP ELISAを用いてエンドトキシンおよび生物汚染度を評価した。
【0562】
インキュベーションによるウィルス不活化(ステップ7)
【0563】
材料を0.22μmのフィルターを通して滅菌混合バッグ中へ濾過した。次に、ウィルス内容物を不活性化するために溶液、例えば、トリス/10%トリトン溶液を、最終濾液に加え、トリトン濃度を1%(w/w)にした。インキュベーション後、アフィニティカラムへのロード前に、産物溶液を、再度0.2μmフィルターユニットを用いて再度濾過した。SDS-PAGEおよびウエスタンブロット分析を用いて、濾過したウィルス不活化産物の、エンドトキシンおよび生物汚染度の検査をした。
【0564】
親和性クロマトグラフィー(ステップ8)
【0565】
このステップでは、アフィニティカラムを使用した。カラムの所定のベッド高さまで充填した。産物量に応じて、このステップを2~4回実施した。アッセイ中にトリトンにより干渉が生じるという理由で、トリトンの添加前に、特定のタンパク質を特定した。アフィニティカラムを平衡化し、ウィルス不活化プールをロードした後、洗浄した第2の洗浄を行い、材料を溶出し、その後、翌日の処理のために2~8℃で貯蔵した。全てのクロマトグラフィーステップを、ダウンフローモードで行った。
【0566】
溶出液の、特定のタンパク質産物、エンドトキシン、残留DNA、シアル酸含量、γ-カルボキシル化パーセント、荷電N-グリカン、残留浸出親和性リガンドおよび生物汚染度の検査を、280nmでの吸光度、RP-HPLC、AIEX HPLC、SEC-HPLC、HCP ELISA、SDS-PAGE、およびウエスタンブロットなどの当該技術分野において周知の技術を用いて行った。
【0567】
マルチモデルまたは混合モードクロマトグラフィー(ステップ9)
【0568】
マルチモデルまたは混合モードクロマトグラフィー樹脂を充填したカラムをこのステップで用いた。カラムの所定のベッド高さまで充填した。産物量に応じて、このステップを1~4回実施した。カラムを平衡化し、希釈した親和性溶出液をロードし、洗浄して、溶出液を収集し、さらなる処理まで2~8℃で貯蔵した。溶出液の、特定のタンパク質産物、エンドトキシン、残留DNA、シアル酸含量、γ-カルボキシル化パーセント、荷電N-グリカン、残留浸出親和性リガンドおよび生物汚染度の検査を、280nmでの吸光度、RP-HPLC、AIEX HPLC、SEC-HPLC、HCP ELISA、SDS-PAGE、およびウエスタンブロットなどの技術を用いて行った。
【0569】
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)(ステップ10)
【0570】
このステップでは、HIC樹脂を使用した。カラムの所定のベッド高さまで充填した。産物量に応じて、HICクロマトグラフィーを1~4回実施した。硫酸アンモニウムを用いて、マルチモデルまたは混合モードタンパク質カラム溶出液を調節することにより、HICロードを調製した。カラムを平衡化し、調節および0.2μmフィルター濾過したマルチモデルまたは混合モードカラム溶出液をロードした後、洗浄した。産物を溶出し、その後、さらなる処理まで、2~8℃で貯蔵した。溶出液の特定のタンパク質濃度を280nmでの吸光度およびSEC-HPLCにより検査した。加えて、溶出液のエンドトキシンおよび生物汚染度も検査した。
【0571】
HIC溶出液の限外濾過および透析濾過(ステップ11)
【0572】
HIC溶出液を濃縮および透析濾過して体積を縮減し、アニオン交換カラムステップ用の材料を調製した。pHおよび導電率が範囲内にあると判定されると、システムを排液し、0.5/0.2μm濾過ステップを用いて、滅菌バッグ中に濾過した。最終量の濃縮および透析濾過したHIC溶出液を、さらなる処理まで2~8℃で貯蔵した。溶出液の、特定のタンパク質産物、エンドトキシン、残留DNA、シアル酸含量、γ-カルボキシル化パーセント、荷電N-グリカン、残留浸出親和性リガンドおよび生物汚染度の検査を、280nmでの吸光度、RP-HPLC、AIEX HPLC、SEC-HPLC、HCP ELISA、SDS-PAGE、およびウエスタンブロットなどの技術を用いて行った。
【0573】
陰イオン交換クロマトグラフィー(ステップ12)
【0574】
陰イオン交換樹脂を充填したカラムをこのステップで用いた。カラムの所定のベッド高さまで充填した。ロードを濃縮、透析濾過HIC溶出液画分とした。FVIIからFVIIaへの活性は、アニオン交換カラム上で起こった。活性化および洗浄ステップ後、産物を溶出し、さらなる処理のために収集した。溶出液のpHを、必要に応じ調節した。その後、溶出液を0.45/0.2μmフィルターを通して濾過した。さらなる処理まで、材料を2~8℃で貯蔵した。全てのクロマトグラフィーステップは、ダウンフローモードで実施される。溶出液の、特定のタンパク質濃度、残留DNA、および生物汚染度の検査を、280nmでの吸光度、RP-HPLC、AIEX HPLC、SEC-HPLC、HCP ELISA、SDS-PAGE、およびウエスタンブロットにより行った。
【0575】
ナノ濾過によるウィルス除去(ステップ13)
【0576】
Asahi Planova 20Nウィルスフィルターを用いて、ウィルス除去を実施した。0.45/0.2μmまたは0.1μmの膜のフィルターを、ナノ濾過(Planova 20Nフィルター)のプレフィルターとして用いた。Asashi Planova 20Nフィルターを陰イオン交換溶出緩衝液または処方緩衝液で作製した最終配合物でプレ平衡化し、プライマー塗布した。陰イオン交換溶出液を連続圧力でフィルタートレインを通過させて、滅菌バイオプロセスバッグ中に収集した。フィルタートレイン(planovaフィルター)を陰イオン交換溶出緩衝液または処方緩衝液でフラッシングして、産物回収を最大化した。製造業者推奨手順に従った使用の前、および使用後に、フィルターの健全性を試験した。使用後試験には、同様に製造業者の手順に従った、金粒子試験が含まれる。ウィルス濾液の特定のタンパク質を、280nmでの吸光度、RP-HPLC、AIEX HPLC、SEC-HPLC、SDS-PAGEにより検査した。加えて、ウィルス濾液のエンドトキシンおよび生物汚染度も検査した。
【0577】
UFDF-3および濾過ならびに原薬(DS)の貯蔵(ステップ14)
【0578】
ウィルス濾液をバルク濾過および充填に備えて、標的DS濃度(2~100mg/mlで変化し得る)に濃縮した。最終ステップには、0.2μmのフィルターと通す除菌濾過による濾過が含まれた。3~30KDaの分画分子量を有する使い捨てまたは再使用可能カセットをこのステップで使用した。第1のステップで産物を5~25mg/mlタンパク質に濃縮し、20mMのクエン酸塩、150mMのNaCl、13.3mMのグリシン、pH6.4または20mMのクエン酸塩、100mMのアルギニン、2%のトレハロース、pH6.2(≧7DF体積)に対し透析濾過した。UFDF-3プールの特定のタンパク質を280nmでの吸光度により検査した。加えて、UFDF-3プールのエンドトキシンおよび生物汚染度も検査した。
【0579】
最終産物濃度を調節し、ポリソルベート80(PS-80)を加えて、0.04%の最終濃度とした。あるいは、添加をしなかった。調節したUFDF-3産物をMillipak 100またはMillipak 200フィルターで濾過した。濾過産物溶液を分取し、70±5℃の温度で凍結した。処方プールの産物濃度をA280により検査した。処方緩衝液を、20mMのクエン酸塩、100mMのアルギニン、2%のトレハロース、0.04%のS80、pH6.2とした。
【0580】
結果
【0581】
使用精製プロセスは、マルチモデルステップ中(
図21)に、高度γ-カルボキシル化MOD-5014、高度グリコシル化MOD-5014産物を収集し、精製した。さらに、高度グリコシル化MOD-5014の初期比率は、上流細胞培養プロセスからもたらされ、精製プロセスを通して一定に維持される(
図19)。このプロセスは、プロセス関連不純物、例えば、酸化型およびマルチモデルおよびHIC精製ステップ中のその他の関連型(
図20)などを除去する高い能力を示し、高品質産物が得られた。
【0582】
精製MOD-5014産物の還元SDS-PAGE分析を
図18に示す。次の単離産物が特定された(番号は右側):75kDa-非活性化型のMOD-5014(1);55kDa-MOD-5014重鎖-CTP-CTP-CTP(2);25kDa-MOD-5014軽鎖(4);低分子量(LMW)型(3、5、および6)。
【0583】
表9は、2つの異なる医薬品受託製造機関(CMO)における試験運転(ER)、および異なるGMP(適性製造基準)運転のための製造プロセスの結果を示す。詳細事項には、効力、非活性化MOD-5014パーセント(%)、酸化型パーセント(%);カルボキシル化されなかった(Glaドメインレス)グルタミン酸残基パーセント(%)、シアル酸含量(mol/mol)、およびO-グリカン含量(mol/mol)が含まれる。
【0584】
【0585】
さらに、CMO-1の結果は、荷電N-グリカンのパーセントは、85.3(ER)および84.2(GMP1)であったことを示した。
【0586】
結論
【0587】
結論として、MOD-5014の臨床開発および商業製造の支援に好適する大規模流加バッチ製造プロセスを開発した。結果は、このプロセスを、高度グリコシル化長時間作用型FVIIa-CTP(MOD-5014)の製造のための再現可能な流加バッチ製造プロセスとして支援する。精製MOD-5014産物は、高含量レベルのO-グリカンおよびシアル酸を有した。精製産物は、最小限レベルの非活性化FVIIおよびGlaドメインレス(カルボキシル化されなかったグルタミン酸残基)を有した。
【0588】
実施例4
薬物製品(DP)の製造
【0589】
薬物製品(DP)の薬剤処方プロセスは、原薬(DS)の解凍から開始される。薬物製品は、処方緩衝液を用いて原薬(DS)を必要濃度へ希釈するか、または希釈なしで無菌濾過して、標準的2Rバイアルまたはその他の一次包装、例えば、カートリッジまたはプレフィルシリンジへの充填により実現される。当業者なら、用語の「原薬」(DS)が、医薬品有効成分(API)を包含するか、またはこれと等価であり得ることを理解するであろう。一実施形態では、本明細書で記載のCTP修飾第VII因子は、バルク精製薬物を含む原薬(DS)である。また、当業者なら、用語の「薬物製品」(DP)が最終的に処方され、最終容器、例えば、バイアル中に無菌条件下で分注された薬物を包含し得ることを理解するであろう。一実施形態では、本明細書で記載のCTP修飾第VII因子は、最終的に処方されたCTP修飾第VII因子を含む薬物製品(DP)である。
【0590】
CTP修飾凝固第VII因子の特性評価
【0591】
ハーベスト中のCTP修飾ポリペプチド含量および高グリコシル化型の比率は、特定のRP-HPLC法により決定される。ハーベスト中の総タンパク質は、ブラッドフォード分析により測定した。選択クローンにより産生されたハーベスト中の特定のタンパク質比率は、ハーベスト中の総タンパク質の約70%である。さらに、製造上流プロセスは、低グリコシル化型に比べて、高い比率の高度グリコシル化CTP修飾タンパク質を可能とするように開発されている。高度グリコシル化型は、標的型であり、その理由は、これがCTP修飾ポリペプチドの半減期のより長い延長をもたらすためである。
【0592】
O-グリカン含量
【0593】
グリカンを放出させ、2-アミノベンズアミド(2AB)でグリカンを標識し、浄化してNP-HPLCで分析することにより、グリコプロファイリングを実施する。簡単に説明すると、O-グリカン含量アッセイを行って、O-グリカンの数、モル/(CTP修飾第VII因子モル)を計算する。O-グリカンの末端ガラクトース単位をβ-ガラクトシダーゼによりタンパク質から酵素切断する。これらの遊離ガラクトース単位は、CarboPac PA20カラムで分離され、パルスドアンペロメトリによる検出される。ガラクトース(Gal)は、ガラクトース参照基準による外部較正を用いて定量される。ガラクトースの含量は、O-グリカン構造、Gal-GalNAcの含量と直接関連し得る。原薬および薬物製品バッチの分析により、安定したバッチ間一貫性が示された。この予想外の安定したグリコシル化含量は、重要であり、CTP当たりのO-グリカン数は、当該技術分野において既知のものより改善されている。
【0594】
未処理の分子量分析試料
【0595】
異なるDSバッチの分子量分析を、O結合型グリコシル化部位の数の情報を得ることを目的として、実施する。未処理の試料ならびにノイラミニダーゼを用いた脱シアル化試料、およびO-グリコシダーゼを用いた脱グリコシル化試料をオンラインLC/ES-MSにより分析した。高%のセリン占有率を示す結果は、当該技術分野において既知のレベルに比較して(本明細書で製造したCTP修飾第VII因子における6までと比較して、4のみのセリングリコシル化)、予想外である。
【0596】
CTP修飾タンパク質試料のO結合型グリコシル化部位占有率
【0597】
4つの異なるDSバッチのO-グリコシル化部位占有率を、分子当たりのO結合型グリコシル化部位の数の情報を得ることを目的として、Mスキャンで求める。試料のノイラミニダーゼを用いた脱シアル化とそれに続く還元/カルボキシメチル化試料のトリプシン消化を行った。処理試料に対し、最終的にオンラインLC/ES-MSを実施し、MSデータの解釈を、指定ソフトウェアを用いて実施する。トリプシン消化混合物の分析から得たデータの評価により、100%のタンパク質配列のマッピングを可能とするシグナルが得られる。O-グリコシル化は、N末端およびC末端CTP領域の両方で起こり得る。占有部位は、プロリンの後ろのセリン残基として特定され、また、セリン反復領域の4個のセリンの内の2個であると特定される。合計で18セリン残基までが、O-グリカンのための結合着部位として機能し得る。バッチ管で有意な差異は検出されていない。
【0598】
純度
【0599】
RP-HPLCは、それらの極性に応じて分子を分離する。より高い極性からより少ない極性の溶媒への移動相勾配液を、強い極性を有する分子を低い極性の分子より早期に溶出するのに用いる。関連型は、220nmでの紫外検出を用いて未変性タンパク質から分離される。関連型の相対的ピーク面積(面積%)および主ピークは、対応するピーク面積を積分することにより算出できる。原薬および薬物製品の主ピークは、97%を超えるピーク面積からなり、高度に精製された産物であり、有効な精製プロセスであることを示す。
【0600】
サイズ排除HPLCは、分子をサイズに従って分離するクロマトグラフィー技術である。選択された分取領域内で、より大きな分子はより小さい分子より早期に溶出される。分離機序は、非吸着性であり、分子は、無勾配条件下で溶出される。SECは、標的分子の高分子量型(ダイマーおよびポリマーなど)からのモノマーの分離を可能とする。SEC法は、原薬および薬物製品中のダイマーとポリマーの含量を分析するために開発されている。
【0601】
RP-HPLC含量法
【0602】
本方法は、逆相クロマトグラフィーによる中間体試料の含量測定および中間体試料中の非グリコシル化CTP修飾ポリペプチド%の測定のために使用されている。逆相-HPLCは、それらの極性により分子を分離する。比較的非極性分子は、カラム材料に結合し、一方、荷電および極性分子は、カラムとの相互作用を行うことなく、溶出される。
【0603】
結合分子は、極性からより少ない極性の溶液の勾配を使用して溶出される。最強の極性の分子が最初に、続けて、より少ない極性の分子が溶出される。検出は、214nmでの吸収により実施される。
【0604】
ウィルス除去
【0605】
最終薬物製品の内在性および外来性ウィルスの混入に対処し、これを減らす製造プロセスの能力は、予備評価の対象となっている。製造プロセスのスケールダウンしたセグメントに添加した3種のモデルウィルスを用いて、これらのステップが添加ウィルス集団を不活化または除去する能力を定量化するGLP準拠試験が、試験製品のための適用可能なガイダンスに従って実施されている。log10調節力価として表現したウィルスの量を用いて、入力値から出力値を差し引くことにより、log10クリアランス指数が容易に決定される。log10数として、クリアランス指数は、全評価ステップに対して全体のクリアランス指数を得るために加算的である。A-MuLVは、CHOレトロウィルスの存在の可能性を表すモデルウィルスであると考えられ、混入したA-MuLVウィルスを不活化し、除去するための採用した手段は、少なくともantilog10(log10の逆対数)のクリアランス指数、例えば、22のウィルス対数減少係数(LRF)を実現し、全体プロセスは、ウィルス除去に対し極めて優れた能力を有することを示す。抵抗性無エンベロープ小型ウィルスであるPPVに対して、ナノ濾過ステップにより、強力な除去が達成される。
【0606】
本開示の特定の特徴について本明細書で例示および記載してきたが、今では、当業者なら多くの修正、置換、変更および等価物を思いつくであろう。したがって、添付の「特許請求の範囲」は、そのような修正および変更のすべてを本開示の真の趣旨の範囲内に入るとして、包含することを意図するものであることが理解されるべきである。
【配列表】