(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】解凍庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20230725BHJP
F25D 11/02 20060101ALI20230725BHJP
A23L 3/365 20060101ALI20230725BHJP
A23L 3/28 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
F25D23/00 302M
F25D11/02 L
A23L3/365 Z
A23L3/28
(21)【出願番号】P 2020015298
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】井口 晃
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/194877(WO,A1)
【文献】特開平6-257762(JP,A)
【文献】国際公開第2011/105024(WO,A1)
【文献】特開平7-270044(JP,A)
【文献】特開平11-299864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
F25D 11/02
A23L 3/365
A23L 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍食品を庫内で解凍するための解凍庫であって、
内箱(13)と外箱(14)との間に発泡断熱材(15)を充填してなり、冷凍食品が収容される収納室(3)を備える断熱箱体(4)と、
収納室(3)の前面開口(6)を開閉する扉(7)と、
断熱箱体(4)を構成する内箱(13)の発泡断熱材(15)側の外面に接触するように配設されて、庫内空気を冷却する冷却器(65)と、
庫内空気を循環させる送風機(23)と、
庫内空気を加熱する加熱器(26)と、
紫外線光を出射する紫外線ランプ(24)と、
を備え、
内箱(13)の収納室(3)側の内面は鏡面とされており、
送風機(23)、加熱器(26)、および紫外線ランプ(24)は、収納室(3)内の左右の一方の側面に沿うように配された送風ユニット(17)に組み付けられており、該送風ユニット(17)を除く収納室(3)内に冷凍食品が収納される収納領域(R)が設定されており、
紫外線ランプ(24)は、送風ユニット(17)内に形成されたランプ室(50)内に配設されており、
ランプ室(50)を区画する区画壁(66)に、紫外線ランプ(24)から出射された紫外線光の収納領域(R)への照射を許す第1開口(57)と、紫外線光の送風機(23)に向けた照射を許す第2開口(58)と、紫外線光の加熱器(26)に向けた照射を許す第3開口(59)とが形成されていることを特徴とする、解凍庫。
【請求項2】
区画壁(66)は、送風ユニット(17)を構成して収納領域(R)に臨む側面ケース(28)と、送風機(23)と紫外線ランプ(24)との間に配された第1仕切壁(52)と、加熱器(26)と紫外線ランプ(24)との間に配された第2仕切壁(53)とを含み、
側面ケース(28)に第1開口(57)が形成され、第1仕切壁(52)に第2開口(58)が形成され、第2仕切壁(53)に第3開口(59)が形成されている、請求項1記載の解凍庫。
【請求項3】
ランプ室(50)は、側面ケース(28)と第1仕切壁(52)と第2仕切壁(53)と第3仕切壁(54)とより四方向が区画されており、
第3仕切壁(54)に、紫外線ランプ(24)から出射された紫外線光を第2仕切壁(53)側に変向させるための第1反射壁(54a)と、紫外線光を側面ケース(28)側に変向させるための第2反射壁(54b)とが形成されている、請求項2記載の解凍庫。
【請求項4】
ランプ室(50)の内部に光触媒(C)が配置されている、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の解凍庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍食品などの冷凍品を庫内で解凍するための解凍庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の分野において、庫内を殺菌するための紫外線発光ランプからなる殺菌装置を設けることは、特許文献1、2、3などに公知である。特許文献1の冷却庫では、収納室15の左側壁10Lに沿うように冷却ファン22と冷却器21とを備える冷却ユニット20が配置され、この冷却ユニット20に対峙する収納室15の右側壁10Rに紫外線発光ランプ54を備えるランプ収納ケース53が埋設されている。特許文献2の冷却庫も同様であり、収納室15の左側壁10Lに沿うように冷却ファン22と冷却器21とを備える冷却ユニット20が配置され、この冷却ユニット20に対峙する収納室15の右側壁10Rに紫外線発光ランプ40を備えるランプ収納ケース33が埋設されている。特許文献3の冷却庫では、収納室26の天井面26Aに凹み形成された取付孔86に、紫外線発光ランプ90を収納したケース87が嵌め込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-35120号公報
【文献】特開2008-224121号公報
【文献】特開2008-106978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3に示すように、収納室の壁面に紫外線発光ランプが埋設されていると、ランプからの紫外線光を収納室内に向けて照射することができるので、収納室内に浮遊、或いは収納室の壁面に付着する雑菌を殺菌することができる。但し、特許文献1~3の構成では、冷却ユニット内の冷却ファンの表面や、冷却器の表面など、紫外線光の届かないデッドゾーンが形成されることが避けられず、これらの冷却ファンや冷却器等の表面に付着した雑菌に対する殺菌作用が得られない。また、氷点下の雑菌が繁殖し難い状況下で稼働される冷蔵庫に比べて、冷凍食品などの冷凍品の解凍を担う解凍庫では、稼働温度が高く、雑菌が繁殖しやすい。このため、解凍庫では、より厳密な殺菌作用が求められ、紫外線光が届かないデッドゾーンは可及的に小さいことが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、紫外線光の届かないデッドゾーンの形成を抑えて、殺菌能力と殺菌効率に優れた解凍庫を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、冷凍食品を庫内で解凍するための解凍庫を対象とする。解凍庫は、内箱13と外箱14との間に発泡断熱材15を充填してなり、冷凍食品が収容される収納室3を備える断熱箱体4と、収納室3の前面開口6を開閉する扉7と、断熱箱体4を構成する内箱13の発泡断熱材15側の外面に接触するように配設されて、庫内空気を冷却する冷却器65と、庫内空気を循環させる送風機23と、庫内空気を加熱する加熱器26と、紫外線光を出射する紫外線ランプ24とを備える。内箱13の収納室3側の内面は鏡面とされている。送風機23、加熱器26、および紫外線ランプ24は、収納室3内の左右の一方の側面に沿うように配された送風ユニット17に組み付けられており、該送風ユニット17を除く収納室3内に冷凍食品が収納される収納領域Rが設定されている。紫外線ランプ24は、送風ユニット17内に形成されたランプ室50内に配設されている。ランプ室50を区画する区画壁66に、紫外線ランプ24から出射された紫外線光の収納領域Rへの照射を許す第1開口57と、紫外線光の送風機23に向けた照射を許す第2開口58と、紫外線光の加熱器26に向けた照射を許す第3開口59とが形成されている。
【0007】
区画壁66は、送風ユニット17を構成して収納領域Rに臨む側面ケース28と、送風機23と紫外線ランプ24との間に配された第1仕切壁52と、加熱器26と紫外線ランプ24との間に配された第2仕切壁53とを含む。側面ケース28に第1開口57が形成され、第1仕切壁52に第2開口58が形成され、第2仕切壁53に第3開口59が形成されている。
【0008】
ランプ室50は、側面ケース28と第1仕切壁52と第2仕切壁53と第3仕切壁54とより四方向が区画されている。第3仕切壁54に、紫外線ランプ24から出射された紫外線光を第2仕切壁53側に変向させるための第1反射壁54aと、紫外線光を側面ケース28側に変向させるための第2反射壁54bとが形成されている。
【0009】
ランプ室50の内部には光触媒Cを配置することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る解凍庫では、送風ユニット17内に紫外線ランプ24を設けるとともに、送風ユニット17のランプ室50を区画する区画壁66に、紫外線ランプ24から出射された紫外線光の収納領域Rへの照射を許す第1開口57と、紫外線光の送風機23への照射を許す第2開口58と、紫外線光の加熱器26への照射を許す第3開口59とを形成した。これによれば、紫外線ランプ24から出射された紫外線光を、収納領域Rのみならず、送風ユニット17内の送風機23と加熱器26に向けて照射することができるので、収納領域Rのみに向けて紫外線光を照射していた従来構成に比べて、収納室3内における紫外線光の届かないデッドゾーンを小さくすることができる。したがって、本発明によれば、送風ユニット17の内部を含む庫内全体に紫外線光を照射することができるので、殺菌能力と殺菌効率に優れた解凍庫を得ることができる。特に、従来構成のように冷却ユニットに対峙する収納室の側壁に紫外線発光ランプを配設する構成では、送風ファンや加熱器に対して紫外線光を照射することは困難であるが、本発明のように送風機23や加熱器26とともに、紫外線ランプ24を送風ユニット17に組付けていると、確実に、送風機23や加熱器26に対して紫外線光を照射させることができる点で優れている。また、断熱箱体4を構成する内箱13の収納室3側の内面を鏡面としたこと、および冷却器65を内箱13の発泡断熱材15側の外面に接触するように配設して、内箱13の収納室3側の内面に凹凸を無くしたことにより、内箱13の内面において紫外線光が反射するときに光が減衰することを抑えるとともに、収納室3内にデッドゾーンが生じることを抑えて、収納室3内の全体に向けて紫外線光を照射させることができるので、この点でも殺菌能力と殺菌効率に優れた解凍庫を得ることができる。
【0011】
送風ユニット17を構成する側面ケース28に第1開口57が形成されていると、紫外線ランプ24から出射された紫外線光を収納領域Rに送るための導光路を別途設ける構成に比べて、構成の簡素化を図りながら、確実に紫外線光を収納領域Rに向けて照射させることができる。
【0012】
区画壁66を構成する第3仕切壁54に、紫外線ランプ24から出射された紫外線光を第2仕切壁53側に変向させるための第1反射壁54aと、紫外線光を側面ケース28側に変向させるための第2反射壁54bとが設けられていると、紫外線ランプ24の全方向から出射された紫外線光を加熱器26、或いは収納領域Rに指向させることができる。これにより、加熱器26や収納領域Rに向かう紫外線光の出力を大きくすることができるので、より確実且つ効率的に庫内全体を殺菌することができる。
【0013】
ランプ室50の内部に光触媒Cを配置すると、紫外線ランプ24からの紫外線光により光触媒Cを励起し、その酸化還元反応によって有機物を分解し、雑菌類を殺菌することができる。したがって、紫外線ランプ24から出射される紫外線光により、雑菌などを直接殺菌することに加えて、さらに殺菌能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る解凍庫の要部の縦断正面図である。
【
図7】本発明に係る解凍庫の別の実施例の要部を示す横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例) 本発明に係る解凍庫の実施例を
図1~
図6に示す。本実施例における前後、左右、上下とは、
図1乃至
図4に示す交差矢印と、矢印の近傍の前後、左右、上下の表記に従う。
図2に示すように、本実施例に係る解凍庫1は、中間枠2で区分された上下2つの収納室3・3を備える断熱箱体4からなる本体ケース5と、各収納室3・3の前面に形成された前面開口6を開閉する断熱扉7とを備える。本体ケース5の上方には、機械室8が設けられており、その内部には、冷却装置を構成する圧縮機9、凝縮器10、凝縮器ファン11などが設置されている。
【0016】
図3に示すように、本体ケース5を構成する断熱箱体4は、内箱13と、内箱13と所定間隔を置いて配された外箱14と、これら内箱13と外箱14との間に充填された発泡断熱材15とで構成される。
図1および
図2に示すように、収納室3・3の内部には、内箱13の左側面13Lに沿うように送風ユニット17が配置されており、収納室3・3の残りの右側の領域が解凍対象となる冷凍食品の収納領域Rとされている。内箱13と外箱14とはステンレス等の金属からなり、内箱13の内面、すなわち内箱13の収納室3側の内面は鏡面とされている。
【0017】
収納室3には、ホテルパン等のトレイ18を水平に支持するための棚受構造が設けられている。棚受構造は、収納領域Rの右端となる内箱13の右側面13Rに設けられた棚柱19と、収納領域Rの左端となる送風ユニット17の正面ケース28と、これら棚柱19と正面ケース28のそれぞれに開設された掛止穴20(
図3参照)と、掛止穴20に装着されてトレイ18を受け止める多数組のトレイ受枠21(
図1、
図2参照)とで構成される。掛止穴20は、上下方向に沿って一定のピッチで形成されており、各段の掛止穴20にトレイ受枠21を掛止することにより、トレイ18を水平姿勢で多段状に支持することができる。
【0018】
図1に示すように、送風ユニット17には、送風機23と紫外線ランプ24とが組付けられている。より詳しくは、送風ユニット17は、送風機23と紫外線ランプ24とが組付けられた縦長ブロック状のユニットケース25と、このユニットケース25の裏側(左側)に配置された加熱器26とで構成される。ユニットケース25は、左方に位置する背面ケース27と、該背面ケース27にヒンジ29(
図4参照)を介して結合された右方に位置する正面ケース(側面ケース)28とで半割状に構成される。正面ケース28は、両ケース27・28の開口縁どうしが対向する閉姿勢と、両ケース27・28の開口縁どうしが離れる開姿勢との間で、背面ケース27に対して揺動可能に支持されており、両ケース27・28の前面に形成されたスナップ錠30(
図2参照)により閉姿勢に保持される。送風機23と紫外線ランプ24とは正面ケース28に固定されており、スナップ錠30を解錠操作したうえで、正面ケース28を開姿勢とすることで、前方側から送風機23や紫外線ランプ24などにアクセスして、清掃処理等のメンテナンスを行うことができる。
【0019】
図1および
図4において符号31は、背面ケース27の各コーナー部に配されたブラケットを示す。これらブラケット31により、送風ユニット17は、内箱13の左側面13Lと背面ケース27とが離間するとともに、内箱13の下面13Dとユニットケース25の下面とが離間する半宙吊り状態で収納室3内に固定されている。
【0020】
正面ケース28は、閉姿勢において左向きに開口する有底容器状に形成されている。正面ケース28の右側面34は、前後方向の両端部に凸部35・35を有し、中央部に凹部36を有する段付状とされており(
図4参照)、両凸部35には、先の棚受構造を構成する掛止穴20が開設されている(
図3参照)。
図1および
図5に示すように、凹部36には円状の開口37が形成され、該開口37に連続して円筒状の風洞部38が形成されている。風洞部38に組付けられる送風機23は、モーター40と、モーター40の出力軸に支持されたプロペラファン41とを備える軸流ファンであり、モーターケース42から4方向に伸びるアーム43により、正面ケース28に固定されている。
図3に示すように、正面ケース28の開口37には、放射状に組まれた複数本の線材45と、同心円状に組まれた複数本の線材46とからなるフロントガード47が組付けられている。
【0021】
図1および
図5に示すように、正面ケース28の送風機23の上方には、紫外線ランプ24を組み付けるためのランプ室50が設けられている。ランプ室50は、正面ケース28の右側面34の凹部36と、該右側面34の内面に固定された仕切板51とで区画されている。仕切板51は、下壁(第1仕切壁)52と左壁(第2仕切壁)53と上壁(第3仕切壁)54と、前後壁とを有し、右方に開口を有する断面略コ字形の長尺のプレス成型品からなる。仕切板51の上壁54は、中央部が低いV字状に形成されており、左壁53に連続して右下がり状に形成された第1反射壁54aと、第1反射壁54aに連続して右上がり状に形成された第2反射壁54bとを備える。以上のような仕切板51を正面ケース28の右側面34の内面に固定することにより、該正面ケース28に、上下および左右が区画された、断面が略長方形状のランプ室50を構成することができる。換言すれば、ランプ室50を区画する区画壁66は、正面ケース28と、仕切板51の下壁52、左壁53、および上壁54とを含み、この区画壁66によりランプ室50は、上下および左右の四方向が区画されている。紫外線ランプ24に臨む仕切板51の内外面の全体、つまり下壁52、左壁53、上壁54、および前後壁には、これらの内外面を覆う状態で酸化チタン光触媒(以下「光触媒」と記す。)Cが薄膜状に形成されている。
【0022】
仕切板51の下壁52の前後には、断面ハット状のランプ台55が固定され、このランプ台55上に設置された固定ホルダー56を介して紫外線ランプ24が固定されている。紫外線ランプ24は、前後方向に長い直管蛍光灯状に形成されており、その両端に接続された図外のソケットを介して電力を受けると発光し、紫外線光を出射する。
【0023】
図3、
図5、および
図6に示すように、ランプ室50を仕切る正面ケース28の右側面34には、紫外線ランプ24から出射された紫外線光の収納室3の収納領域Rへの照射を許す第1開口57が形成されている。
図5および
図6に示すように、仕切板51の下壁52には、紫外線ランプ24から出射された紫外線光の送風機23への照射を許す第2開口58が形成されている。
図5および
図6に示すように、仕切板51の左壁53には、紫外線ランプ24から出射された紫外線光の加熱器26への照射を許す第3開口59が形成されている。これら各開口57・58・59は、前後方向に長い多数個のスリットで構成されている。
【0024】
背面ケース27と収納室3の左側面13Lとの間には、加熱器26が配されている。本実施例における加熱器26はシーズヒーターであり、そのヒーターパイプは、送風機23の上方に位置して前後方向に伸びる水平部61と、水平部61の前後端から下方に伸びる第1鉛直部62と、第1鉛直部62の下端から反転して上方に伸びる第2鉛直部63とを備える(
図3参照)。
図1において符号64は、加熱器26を背面ケース27に固定するためのホルダーを示す。
【0025】
図1乃至
図3において、符号65は、収納室3内の庫内空気の冷却を担う蒸発器である冷却器を示す。冷却器65は、内箱13の発泡断熱材15側の外面に接触するように配設されており、該内箱13を介して庫内空気を冷却する。より詳しくは、冷却器65は、蛇行状に形成された冷媒パイプであり、収納領域Rに臨む内箱13の後面13Bの発泡断熱材15側の外面に接触するように配設されている。この冷却器65への冷媒の供給を担う冷却装置は、上述した圧縮機9、凝縮器10、凝縮器ファン11などで構成される。
【0026】
以上のような構成からなる本実施例の解凍庫1においては、送風機23がオン操作されて、プロペラファン41が回転されると、フロントガード47を介して収納領域Rの庫内空気が送風ユニット17の右側面から吸い込まれ、次いで左方の内箱13の左側面13Lとの間の空間に送出される。送風ユニット17から送出された庫内空気は、左側面13Lに沿って流動し、内箱13と送風ユニット17との間を通って、内箱13の後面13B、下面13D、上面、断熱扉7の内面などに沿って流動して、収納室3の収納領域Rへと送り込まれる。このとき、加熱器26がオン操作されていると、庫内温度を上昇させることができる。逆に、冷却器65がオン操作されていると、庫内温度を低下させることができる。以上のように、加熱器26と冷却器65をオンオフ操作することで、庫内を所定の温度に保って、収納された食品に対して解凍処理を行うことができる。
【0027】
そして、図外のランプボタンを押すことにより、紫外線ランプ24を点灯させて、庫内の全体に対して殺菌処理を行うことができる。具体的には、紫外線ランプ24が点灯されると、当該ランプ24の照射領域から正面視で放射状に紫外線光が出射される。このように放射状に出射された紫外線光のうち、右方向に向かって出射された紫外線光は、第1開口57を介して収納領域Rに照射される。下方向に向かって出射された紫外線光は、第2開口58を介して送風機23に照射される。左方向に向かって出射された紫外線光は、第3開口59を介して加熱器26に照射される。上方向に向かって出射された紫外線光は、第1と第2の反射壁54a・54bでそれぞれ反射されて、第3開口59を介して加熱器26に照射され、また、第1開口57を介して収納領域Rに照射される。
【0028】
以上のように、本実施例の解凍庫1によれば、収納室3内の収納領域Rのみならず、送風ユニット17に組付けられた送風機23と加熱器26に対しても、紫外線光を照射して殺菌を行うことができるので、紫外線光の届かないデッドゾーンが庫内に生じることを抑えて、より確実且つ効率的に殺菌を行うことができる。このとき、内箱13の収納室3側の内面を鏡面としたので、紫外線光の届かないデッドゾーンが収納領域Rに生じることを防ぐことができ、より確実に収納領域Rに対して殺菌を行うことができる。
【0029】
冷却器65を内箱13の発泡断熱材15側の外面に接触するように配設して、内箱13の収納室3側の内面に凹凸を無くしたことによっても、デッドゾーンが収納領域Rに生じることを防ぐことができる。内箱13の収納室3側の内面を鏡面としたことで、当該内面での反射時における紫外線光の減衰を抑えることができるので、より強い紫外線光を収納領域Rに照射させて、より効率的に殺菌を行うことができる。内箱13の左側面13Lに反射された紫外線光が送風ユニット17の裏面(左側面)や加熱器26の裏面(左側面)にも照射されることによる殺菌作用も期待できる。
【0030】
送風ユニット17を構成する側面ケース28に第1開口57を形成したので、紫外線ランプ24から出射された紫外線光を収納領域Rに送るための導光路を別途設ける構成に比べて、構成の簡素化を図りながら、確実に紫外線光を収納領域Rに向けて照射させることができる。
【0031】
区画壁66を構成する第3仕切壁54に、紫外線ランプ24から出射された紫外線光を第2仕切壁53側に変向させるための第1反射壁54aと、紫外線光を側面ケース28側に変向させるための第2反射壁54bとを設けたので、紫外線ランプ24の全方向から出射された紫外線光を加熱器26、或いは収納領域Rに指向させて、加熱器26や収納領域Rに向かう紫外線光の出力を大きくすることができるので、より確実且つ効率的に庫内全体を殺菌することができる。
【0032】
紫外線ランプ24に臨む仕切板51の内外面の全体に光触媒Cを形成したので、紫外線ランプ24からの紫外線光を受けて、光触媒Cが励起されることによる殺菌作用も期待できる。より具体的には、紫外線ランプ24から励起光である紫外線光を受けた光触媒Cは、その表面で発生する酸化還元反応によって有機物を分解するので、仕切板51の内外面に付着した雑菌類を殺菌することができる。紫外線ランプ24のランプ室50を区画する仕切板51の内外面の全体に光触媒Cを形成したので、光触媒Cに近接対向する位置から励起光である紫外線光を照射することができる。したがって、光触媒Cに対して、より多くの光エネルギーを供給することができ、光触媒Cの雑菌類に対する殺菌作用が効率的に発揮される点でも優れている。
【0033】
図7に本発明に係る解凍庫の別実施例を示す。この解凍庫1では、仕切板51の内面の全体に形成されていた光触媒Cを廃して、ランプ室50内の左壁53の内側に光触媒が塗布されたルーバー70を設置した点が先の実施例と異なる。ルーバー70は、縦方向に伸びる多数本のブレード71を備え、隣り合うブレード71の間には紫外線光を通過させるためのスリット72が形成されている。各ブレード71の表面には、光触媒Cが薄膜状に形成されている。それ以外の点は、先の実施例と同様であるので、同じ部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0034】
この別実施例に係る解凍庫1においても、ブレード71の表面に形成された光触媒Cに励起光である紫外線光が照射されると、該光触媒Cの表面で発生する酸化還元反応によって有機物を分解することができる。したがって、ブレード71の表面に付着した雑菌類を殺菌することができる。ランプ室50の内部に光触媒Cを配置することができるので、光触媒Cに近接対向する位置から励起光である紫外線光を照射することができる。したがって、光触媒Cに対して、より多くの光エネルギーを供給することができ、光触媒Cの雑菌類に対する殺菌作用が効率的に発揮される。
【0035】
上記の実施例では、収納室3の左寄りに送風ユニット17を配置したが、収納室3の右寄り、すなわち内箱13の右側面13Rに沿うように送風ユニット17が配置される形態を採ることもできる。この場合には、収納室3内に配置される各部材は上記実施例とは左右勝手違いに配置される。
【符号の説明】
【0036】
1 解凍庫
3 収納室
4 断熱箱体
6 前面開口
7 扉
13 内箱
14 外箱
15 発泡断熱材
17 送風ユニット
23 送風機
24 紫外線ランプ
26 加熱器
28 側面ケース(正面ケース)
50 ランプ室
52 第1仕切壁(仕切板の下壁)
53 第2仕切壁(仕切板の左壁)
54 第3仕切壁(仕切板の上壁)
54a 第1反射壁
54b 第2反射壁
57 第1開口
58 第2開口
59 第3開口
65 冷却器
66 区画壁
C 光触媒
R 収納領域