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特許7319236情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20230725BHJP
【FI】
G06Q30/0601 330
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020139438
(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公開番号】P2022035250
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】助光 康大
(72)【発明者】
【氏名】小川 知紘
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】河原 鷹志
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 雄規
(72)【発明者】
【氏名】舛田 恵一
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-236218(JP,A)
【文献】特開2001-067401(JP,A)
【文献】特開2018-156460(JP,A)
【文献】特開2019-219977(JP,A)
【文献】特開2018-147056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの位置履歴、現在位置またはスケジュール情報に基づいて現時点より先の前記ユーザの行動を予測し、前記ユーザの行動に関して予測された情報に基づいてコンテンツを閲覧することに適した時間を隙間時間として推定し、前記隙間時間に関する隙間時間情報と前記隙間時間に対応するユーザ状況とを含む隙間時間推定情報を取得する隙間時間推定部と、
前記ユーザがユーザ端末で前記コンテンツを閲覧するときの閲覧速度を含む閲覧速度推定情報を取得する閲覧速度取得部と、
前記隙間時間推定情報および前記閲覧速度推定情報に基づいて、前記ユーザが前記隙間時間を含む所定期間内に閲覧可能な前記コンテンツの情報量である予測閲覧量を演算する閲覧量予測部と、
前記予測閲覧量に応じたコンテンツ情報量を有する配信対象コンテンツを選択するコンテンツ選択部と、を備え
前記隙間時間推定部は、現時点よりも先の推定対象期間に含まれる複数の前記隙間時間を推定することで、複数の前記隙間時間推定情報を取得し、
前記推定対象期間における複数の前記隙間時間の分布状況に応じて、前記推定対象期間における複数の配信タイミングを判定する配信タイミング判定部をさらに備え、
前記閲覧量予測部は、各前記配信タイミングに対応する各期間を前記所定期間とし、前記所定期間内に閲覧可能な前記コンテンツの情報量をそれぞれ前記予測閲覧量として演算する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記閲覧速度推定情報は、前記ユーザ状況に対応する前記閲覧速度を含む
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置において、
前記予測閲覧量に基づいて、前記コンテンツの配信に対する課金額を決定する課金額決定部を、さらに備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記コンテンツ選択部は、前記隙間時間推定情報に基づいて、前記配信対象コンテンツのカテゴリを選択する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータにより、ユーザが所有するユーザ端末にコンテンツに関する配信情報を配信する情報処理方法であって、
前記コンピュータは、隙間時間推定部、閲覧速度取得部、閲覧量予測部、コンテンツ選択部および配信タイミング判定部を備え、
前記コンピュータは、
前記隙間時間推定部が、前記ユーザの位置履歴、現在位置またはスケジュール情報に基づいて現時点より先の前記ユーザの行動を予測し、前記ユーザの行動に関して予測された情報に基づいて前記コンテンツを閲覧することに適した時間を隙間時間として推定し、前記隙間時間に関する隙間時間情報と前記隙間時間に対応するユーザ状況とを含む隙間時間推定情報を取得する隙間時間推定ステップと、
前記閲覧速度取得部が、前記ユーザが前記ユーザ端末で前記コンテンツを閲覧するときの閲覧速度を含む閲覧速度推定情報を取得する閲覧速度取得ステップと、
前記閲覧量予測部が、前記隙間時間推定情報および前記閲覧速度推定情報に基づいて、前記ユーザが前記隙間時間を含む所定期間内に閲覧可能な前記コンテンツの情報量である予測閲覧量を演算する閲覧量予測ステップと、
前記コンテンツ選択部が、前記予測閲覧量に応じたコンテンツ情報量を有する配信対象コンテンツを選択する選択ステップと、を実施し、
前記隙間時間推定ステップにおいて、前記隙間時間推定部は、現時点よりも先の推定対象期間に含まれる複数の前記隙間時間を推定することで、複数の前記隙間時間推定情報を取得し、
前記配信タイミング判定部が、前記推定対象期間における複数の前記隙間時間の分布状況に応じて、前記推定対象期間における複数の配信タイミングを判定する配信タイミング判定ステップをさらに実施し、
前記閲覧量予測ステップにおいて、前記閲覧量予測部は、各前記配信タイミングに対応する各期間を前記所定期間とし、前記所定期間内に閲覧可能な前記コンテンツの情報量をそれぞれ前記予測閲覧量として演算する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータにより読み込み実行される情報処理プログラムであって、
前記コンピュータを、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させる
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザにコンテンツを配信する情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンなどのモバイル端末の普及にともない、デジタルコンテンツ(書籍や動画等)の配信提供サービスが多く展開されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電子書籍を定期購読している登録ユーザに対して、電子書籍の配信が可能となった旨を通知する配信サーバが開示されている。この配信サーバは、登録ユーザからの電子書籍の配信の要求に応答して、登録ユーザが所有するユーザ端末に電子書籍を配信する。
【0004】
また、特許文献2には、ユーザに適切なサイズのコンテンツを適切なタイミングで提供する配信サーバが開示されている。この配信サーバは、電車での移動時間等をユーザの拘束時間として推定し、この拘束時間に合わせてコンテンツのサイズを調整することで配信コンテンツを準備し、この配信コンテンツをユーザの拘束時間の開始タイミングに合わせてユーザ端末に提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-4392号公報
【文献】特開2018-147056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示の従来技術は、全てのユーザに同一のコンテンツを配信するものであり、ユーザがコンテンツを閲覧するために使える時間が考慮されていない。このため、次回配信時までに閲覧を完了できないほどの情報量を有するコンテンツがユーザに配信される場合がある。この場合、ユーザは、配信されたコンテンツの情報量に対して閲覧可能なコンテンツの情報量の割合が低いと感じるため、コンテンツの配信を受けることに対する意欲が低下してしまう可能性がある。
【0007】
一方、特許文献2に記載の従来技術では、ユーザの拘束時間に合わせて配信コンテンツのサイズ(コンテンツ情報量)が調整されるため、ユーザは配信コンテンツを拘束時間内に閲覧完了させることができる。
しかし、特許文献2に記載の従来技術は、電車移動等、ユーザに拘束時間が発生することを機会としてコンテンツ配信を行うものであり、コンテンツ配信の機会が限られてしまう。すなわち、様々な隙間時間にもコンテンツを閲覧したいというユーザの要求が満たされない。また、仮に、特許文献2に記載の従来技術を、拘束時間だけでなく、様々な隙間時間に適用することを試みた場合、隙間時間のうちのコンテンツ閲覧時間の割合は、当該隙間時間におけるユーザの状況によって異なるため、様々な隙間時間を有するユーザに対して適切な情報量のコンテンツを配信することが困難である。
【0008】
本発明は、様々な隙間時間を有するユーザに対して適切な情報量のコンテンツを配信することができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報処理装置は、ユーザの行動情報に基づいて現時点より先の隙間時間を推定し、前記隙間時間に関する隙間時間情報と前記隙間時間に対応するユーザ状況とを含む隙間時間推定情報を取得する隙間時間推定部と、前記ユーザがユーザ端末でコンテンツを閲覧するときの閲覧速度を含む閲覧速度推定情報を取得する閲覧速度取得部と、前記隙間時間推定情報および前記閲覧速度推定情報に基づいて、前記ユーザが前記隙間時間を含む所定期間内に閲覧可能な前記コンテンツの情報量である予測閲覧量を演算する閲覧量予測部と、前記予測閲覧量に応じたコンテンツ情報量を有する配信対象コンテンツを選択するコンテンツ選択部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の情報処理装置において、隙間時間がコンテンツ閲覧時間に使用される割合は、当該隙間時間におけるユーザの状況に関連する。また、コンテンツ閲覧時間におけるユーザのコンテンツ閲覧量は、ユーザの閲覧速度に関連する。ユーザ状況を含めた隙間時間推定情報と閲覧速度推定情報とに基づいて予測閲覧量を演算することにより、ユーザによるコンテンツの予測閲覧量を正確に演算することができる。これにより、様々な隙間時間を有するユーザに対して適切な情報量のコンテンツを配信対象コンテンツとして選択することができる。また、ユーザは、隙間時間を含む所定期間内にコンテンツの閲覧を完了できるため、コンテンツの配信を受けることに対するユーザの意欲を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1第1参考形態に係る情報処理システムの概略構成を示す概略図。
図2】第1参考形態のサーバ装置の概略構成を示すブロック図。
図3】第1参考形態のユーザ端末の概略構成を示すブロック図。
図4】第1参考形態における配信設定判定方法を示すフローチャート。
図5】第1参考形態における配信方法を示すフローチャート。
図6本発明の一実施形態のサーバ装置の概略構成を示すブロック図。
図7前記実施形態における配信設定判定方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1参考形態]
第1参考形態について図面に基づいて説明する。
[コンテンツ配信システムの概要]
図1は、第1参考形態のコンテンツ配信システム1を示す概略図である。
第1参考形態のコンテンツ配信システム1は、図1に示すように、情報処理装置であるサーバ装置10、サーバ装置10に対してインターネットを介して接続された複数のユーザ端末20を備える。
このコンテンツ配信システム1は、サーバ装置10からユーザ端末20にコンテンツを提供するシステムであり、ユーザが所定期間内に閲覧可能であるコンテンツの情報量(予測閲覧量)を推定し、この予測閲覧量に応じたコンテンツ情報量のコンテンツを配信する。
以下、このようなコンテンツ配信システム1の構成について詳細に説明する。
【0013】
[サーバ装置10の構成]
図2は、サーバ装置10の概略構成を示すブロック図である。
サーバ装置10は、一般的なコンピュータにより構成されており、図2に示すように、通信部11、記憶部12、プロセッサ13等の、コンピュータを構成する各部を備えている。
なお、サーバ装置10を構成するコンピュータの数は特に限定されない。第1参考形態では、説明の簡略化のため、1台のコンピュータによってサーバ装置10が構成される例を示すが、複数のコンピュータをネットワークで接続して構築されるクラウドサーバをサーバ装置10としてもよい。
【0014】
通信部11は、インターネットに接続され、インターネットを介してユーザ端末20や金融機関が所有する決済サーバ(図示略)等の各装置と通信する。
【0015】
記憶部12は、サーバ装置10を制御するための各種情報やコンテンツ配信プログラム(情報処理プログラム)を記録する。
また、記憶部12は、コンテンツを記録するコンテンツ蓄積部121、コンテンツ詳細蓄積部122、ユーザに関するユーザ情報を記憶するユーザ情報蓄積部123、および、後述する閲覧量予測モデルを記録するモデル記憶部124を備える。
なお、第1参考形態では、サーバ装置10の記憶部12に、コンテンツ蓄積部121、コンテンツ詳細蓄積部122、ユーザ情報蓄積部123およびモデル記憶部124が設けられる例を示すが、サーバ装置10とネットワークを介して通信可能に接続された他のデータサーバやクラウドストレージに、これらの情報が記録される構成としてもよい。例えば、コンテンツやコンテンツ詳細情報を記憶するコンテンツデータサーバ、ユーザ情報を記憶するユーザデータサーバ等が、サーバ装置10とネットワークを介して通信可能に設けられてもよい。
【0016】
コンテンツ蓄積部121は、コンテンツを蓄積する。コンテンツは、開始点から終了点までが連続する内容を有し、ユーザ端末20でコンテンツを再生するときに、開始点から終了点までが順次再生されるコンテンツである。
第1参考形態では、コンテンツとして、テキストにより構成されたコンテンツ(例えば、ニュース記事や小説など)を例示する。このような記事は、コンテンツ配信者から入稿されることで、コンテンツ蓄積部121に蓄積される。
また、各コンテンツには、コンテンツを識別するためのコンテンツIDが関連付けられている。
【0017】
コンテンツ詳細蓄積部122は、コンテンツ蓄積部121に蓄積される各コンテンツの詳細を示すコンテンツ詳細情報を記録する。
なお、第1参考形態では、コンテンツ蓄積部121とは別に、コンテンツ詳細蓄積部122を備える構成を例示するが、コンテンツ詳細情報が、対応するコンテンツに関連付けられてコンテンツ蓄積部121に記録されていてもよい。
【0018】
コンテンツ詳細情報には、コンテンツIDおよびコンテンツ情報量が含まれる。
コンテンツIDは、コンテンツ詳細情報がどのコンテンツに対応するかを示す識別情報である。
コンテンツ情報量は、コンテンツを閲覧するためにかかる時間の判断基準となる情報量である。第1参考形態では、テキストにより構成されたコンテンツについて説明しているため、コンテンツ情報量とは、コンテンツを構成するテキスト量(例えば文字数)である。
なお、コンテンツ詳細情報には、寄稿者情報(例えば記者名または作者名)、寄稿日時情報、カテゴリ情報などが、さらに含まれてもよい。
【0019】
ユーザ情報蓄積部123は、複数のユーザ情報を記録する。
ユーザ情報には、ユーザID、ユーザ属性情報、決済方法情報、行動情報、隙間時間推定情報、遷移操作情報、閲覧速度推定情報、配信設定情報、および、配信履歴等が含まれる。
ユーザIDは、ユーザを識別する識別情報である。
ユーザ属性情報は、ユーザの様々な属性を記録する。例えば、ユーザの性別、年齢層、居所等の個人情報が含まれてもよく、ユーザの趣味等の嗜好性が記録されていてもよい。
決済方法情報は、コンテンツの閲覧に対してユーザが課金を行う場合の課金額の決済の方法を示す情報であり、例えば、クレジット決済、銀行振込決済、電子マネー決済等を利用できる。
【0020】
行動情報は、ユーザの行動に関してユーザ端末20から取得された情報である。第1参考形態では、行動情報として、例えばユーザの位置履歴等のライフログ、ユーザのスケジュール情報などが記録される。
位置履歴は、ユーザの位置の推移を示す情報であり、例えば、ユーザ端末20が備えるGPS等の測位センサーにより検出される位置と、位置が測位された日時とを含む。
スケジュール情報は、ユーザにより予定されたイベントの日時情報や目的地情報などを含む。
なお、行動情報には、さらにコンテンツ閲覧履歴が記録されてもよい。
【0021】
隙間時間推定情報は、ユーザの隙間時間に関する情報である。隙間時間推定情報の詳細については後述する。
【0022】
遷移操作情報は、ユーザがユーザ端末20でコンテンツの表示範囲を遷移させるために入力した遷移操作(スクロール操作またはページ遷移操作)に関する情報である。
なお、第1参考形態では、ユーザ端末20で閲覧アプリケーションが実行されると、コンテンツの開始点を含む冒頭部分がユーザ端末20の表示画面に表示される。そして、ユーザがユーザ端末20に対してコンテンツの表示範囲を遷移させるための遷移操作(例えばスクロール操作またはページ遷移操作)を行った場合、閲覧アプリケーションは、表示部21に表示されるコンテンツの表示範囲を遷移させる。この遷移操作により、ユーザはコンテンツを読み進めることができる。
例えば、遷移操作情報は、1回の閲覧ごとに、閲覧されたコンテンツIDと、ユーザが遷移操作を行った1以上の操作日時と、各遷移操作によってユーザ端末20の表示部21に新たに表示されたコンテンツの表示量と、を含む。
あるいは、閲覧速度推定情報は、1回の閲覧ごとに、閲覧されたコンテンツIDと、ユーザがコンテンツを閲覧開始した時点から閲覧終了した時点までに関する日時および時間帯を示す閲覧時間情報と、当該時間内にユーザ端末20の表示部21に表示されたコンテンツの表示量とを含んでもよい。
なお、1回の閲覧とは、連続した時間帯に実施された閲覧である。また、コンテンツの表示量は、例えばテキストの文字数や再生時間などで表される。
【0023】
閲覧速度推定情報は、ユーザがコンテンツを閲覧するときの閲覧速度に関する情報である。閲覧速度推定情報の詳細については後述する。
【0024】
配信設定情報は、コンテンツ配信情報の配信設定に関する情報であり、例えば、ユーザの予測閲覧量や、コンテンツの配信に対する課金額などを含む。
配信履歴は、ユーザに配信されたコンテンツに関する情報であり、コンテンツIDおよび配信日時などを含む。
【0025】
モデル記憶部124は、閲覧量予測モデルを記録する。
閲覧量予測モデルは、公知の機械学習のアルゴリズムにより生成されるモデルであって、ユーザの隙間時間推定情報およびユーザの閲覧速度推定情報を入力とし、ユーザが所定期間内に閲覧可能なコンテンツの情報量である予測閲覧量の演算を行い、結果を出力する。
なお、第1参考形態において、閲覧量予測モデルは、ユーザ毎に記憶されている。すなわち、閲覧量予測モデルは、ユーザ毎にパーソナライズされる。
また、閲覧量予測モデルは、例えば、隙間時間と当該隙間時間にユーザがコンテンツを実際に閲覧した時間との割合、および、ユーザの実際のコンテンツ閲覧量を、教師データとした機械学習によって適宜更新されてもよい。
【0026】
プロセッサ13は、CPU等の演算回路、RAM等の記録回路により構成される。プロセッサ13は、記憶部12に記録されている情報処理プログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
そして、プロセッサ13は、コンテンツ配信プログラム(情報処理プログラム)を読み込み実行することで、図2に示すように、隙間時間推定部131、閲覧速度取得部132、閲覧量予測部133、課金額決定部134、コンテンツ選択部135、配信部136、課金処理部137として機能する。
【0027】
隙間時間推定部131は、ユーザの隙間時間に関する隙間時間推定情報を生成する。
なお、ユーザの隙間時間としては、徒歩移動時の信号停止時間、公共交通機関に乗車時の移動時間、カフェなどの飲食施設での滞在時間、就寝前のリラックス時間、および、その他のコンテンツ閲覧時間などが挙げられる。
【0028】
閲覧速度取得部132は、ユーザがユーザ端末20でコンテンツを閲覧するときの閲覧速度に関する閲覧速度推定情報を生成する。
【0029】
閲覧量予測部133は、ユーザが所定期間内に閲覧可能なコンテンツの情報量である予測閲覧量を演算する。具体的には、閲覧量予測部133は、ユーザの隙間時間推定情報およびユーザの閲覧速度推定情報を閲覧量予測モデルに入力することで、閲覧量予測モデルから出力される予測閲覧量を取得する。
【0030】
課金額決定部134は、予測閲覧量に基づいて、コンテンツの配信に対する課金額を決定する。
【0031】
コンテンツ選択部135は、コンテンツ詳細蓄積部122を参照し、予測閲覧量に応じたコンテンツ情報量のコンテンツを配信対象コンテンツとして選択する。
配信部136は、コンテンツ選択部135により選択された配信対象コンテンツの配信情報を生成し、ユーザ端末20に対して配信情報を提供する。
【0032】
課金処理部137は、配信対象コンテンツを要求したユーザに対して、課金額決定部134により決定された課金額の支払いを請求する課金処理(決済処理)を実施する。課金処理部137による課金処理に関しては、周知の技術を利用でき、例えば、ユーザ情報と、課金額と、を含む請求情報を、ユーザが指定した決済機関が管理する決済サーバに送信する。
【0033】
[ユーザ端末20の構成]
図3は、ユーザ端末20の概略構成を示す図である。
ユーザ端末20は、ユーザが管理するコンピュータであり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピューター等により構成されている。
ユーザ端末20は、一般的なコンピュータが有する基本的な構成を有し、図3に示すように、コンテンツを表示させる表示部21、ユーザの操作を受け付ける入力操作部22、各種情報を記録する端末記録部23、各種情報を演算処理する端末プロセッサ24、サーバ装置10等と通信する端末通信部25等を備えている。
【0034】
表示部21は、各種情報を表示させるディスプレイである。
入力操作部22は、ユーザの入力操作に応じた操作信号を受け付ける。入力操作部22としては、例えば、表示部21と一体型のタッチパネルにより構成されていてもよく、キーボードやマウス等により構成されていてもよい。
端末記録部23は、各種プログラムや各種データを記憶する。端末記録部23に記憶されるプログラムとして、上述した閲覧アプリケーションが含まれる。
また、端末記録部23には、コンテンツに対するユーザの遷移操作に関する遷移操作情報と、ユーザの行動に関する行動情報とが蓄積される。
【0035】
端末プロセッサ24は、端末記録部23に記憶されるプログラムを読み込み実行することで、各種機能を提供する。
例えば、端末プロセッサ24は、閲覧アプリケーションを実施することで表示制御部241、および、ユーザ情報送信部242等として機能する。
【0036】
表示制御部241は、サーバ装置10から配信される配信情報やコンテンツなどを表示部21に表示させる。また、表示制御部241は、ユーザによりスクロール操作またはページ遷移操作が実施されることで、表示部21に表示されるコンテンツの表示範囲を遷移させる。
【0037】
ユーザ情報送信部242は、端末記録部23に蓄積された遷移操作情報および行動情報を、所定の周期で、ユーザIDと共にサーバ装置10に送信する。
なお、ユーザ情報送信部242が遷移操作情報および行動履歴の各情報を送信するタイミングは、同時でも良いし、別々でもよい。また、ユーザ情報送信部242が各情報を送信するタイミングは、例えば、閲覧アプリケーションが起動される度でもよい。
【0038】
[情報処理方法]
次に、第1参考形態のコンテンツ配信システム1において実施される情報処理方法について説明する。
なお、サーバ装置10は、ユーザ端末20から、ユーザ属性等の基本的なユーザ情報を予め取得しており、当該ユーザ情報がユーザ情報蓄積部123に記録(登録)されている。
また、隙間時間推定部131は、ユーザ端末20から行動情報を予め取得しており、取得された行動情報をユーザ情報蓄積部123に記憶させている。同様に、閲覧速度取得部132は、ユーザ端末20から遷移操作情報を予め取得しており、取得された遷移操作情報をユーザ情報蓄積部123に記憶させている。
【0039】
(配信設定判定方法)
まず、第1参考形態の情報処理システムにおける配信設定判定方法について説明する。
図4は、第1参考形態の配信設定判定処理を示すフローチャートである。なお、図4のフローチャートは、任意の周期で実施されればよく、例えばユーザ端末20から行動情報が取得されるタイミングで実施されてもよい。
【0040】
まず、隙間時間推定部131は、ユーザ端末20から取得したユーザの行動情報に基づいてユーザの隙間時間を推定し、この隙間時間に関する隙間時間推定情報を取得(生成)する(ステップS1;隙間時間推定ステップ)。
具体的には、第1参考形態の隙間時間推定部131は、ユーザの行動情報(例えばユーザの位置履歴等のライフログ、ユーザ端末20で検出される現在位置、ユーザのスケジュール情報等)に基づいて、ユーザの拠点、ユーザの移動先、ユーザの移動方法、および、ユーザの移動目的などを予測する。なお、ユーザの行動予測方法については、公知の技術(例えば、特開2019-114047号公報、特開2015-184764号公報等)を用いることができる。そして、隙間時間推定部131は、ユーザの行動に関して予測された各情報に基づいて、コンテンツを閲覧することに適した時間を隙間時間として推定し、この隙間時間に関する隙間時間推定情報を生成する。
なお、コンテンツを閲覧することに適した時間(すなわち隙間時間)は、例えば、徒歩移動時の信号停止時間、公共交通機関に乗車時の移動時間、カフェなどの飲食施設での滞在時間、病院の待ち時間、就寝前のリラックス時間、および、その他のコンテンツ閲覧時間などが該当する。
【0041】
ここで、隙間時間推定部131により生成される隙間時間推定情報は、現時点よりも先の隙間時間に関する情報であり、隙間時間に関する隙間時間情報と、隙間時間に対応するユーザ状況とを含む。
隙間時間情報は、隙間時間の開始日時、曜日、時間量などを含む。
ユーザ状況は、例えば、「移動中」または「滞在中」のいずれかを示す情報を含み、さらに、ユーザの移動手段(例えば公共交通手段または徒歩)、または、ユーザの滞在場所(例えば自宅、飲食施設、病院など)を示す情報を含む。
【0042】
次いで、閲覧速度取得部132は、ユーザ端末20から取得したユーザの遷移操作情報および行動情報に基づいて、閲覧速度推定情報を取得(生成)する(ステップS2;閲覧速度取得ステップ)。
具体的には、閲覧速度取得部132は、遷移操作情報に含まれる操作日時(または閲覧時間情報)に基づいて、ユーザの行動履歴(例えば位置履歴)を参照することで、ユーザがコンテンツの遷移操作を実施したときのユーザ状況を推定する。そして、閲覧速度取得部132は、推定されたユーザ状況ごとに、任意の単位時間あたりのコンテンツの表示量である閲覧速度を算出し、推定されたユーザ状況と、各ユーザ状況における閲覧速度とを対応付けることで、閲覧速度推定情報を生成する。
すなわち、閲覧速度取得部132により生成される閲覧速度推定情報は、複数のユーザ状況と、各ユーザ状況に対応する閲覧速度とを含む。
なお、ユーザ状況は、上述したように、例えば、「移動中」または「滞在中」のいずれかを示す情報を含み、さらに、ユーザの移動手段(例えば公共交通手段または徒歩)、または、ユーザの滞在場所(例えば自宅、飲食施設、病院など)を示す情報を含む。
また、ステップS1と、ステップS2との順序は、逆であってもよい。
【0043】
次に、閲覧量予測部133は、ステップS1で生成された隙間時間推定情報と、ステップS2で生成された閲覧速度推定情報とを、閲覧量予測モデルに入力し、閲覧量予測モデルから出力される予測閲覧量を取得する(ステップS3;閲覧量予測ステップ)。予測閲覧量は、ユーザ情報蓄積部123における配信設定情報に記録される。
【0044】
ここで、ユーザの隙間時間は、ユーザがコンテンツを閲覧することに適した時間であるため、隙間時間が多いほど、隙間時間を含む所定期間内においてユーザにより閲覧されるコンテンツの情報量が多くなる。すなわち、ユーザの隙間時間は、コンテンツの予測閲覧量に関連する。
また、ユーザがコンテンツを閲覧するときの閲覧速度が速いほど、ユーザが所定期間に閲覧可能なコンテンツの情報量が多くなる。すなわち、ユーザがコンテンツを閲覧するときの閲覧速度もまた、コンテンツの予測閲覧量に関連する。
さらに、隙間時間がコンテンツ閲覧時間に使用される割合は、当該隙間時間におけるユーザの状況に関連する。
よって、閲覧量予測モデルは、ユーザの隙間時間に関する隙間時間情報および当該隙間時間に対応するユーザ状況を含む隙間時間推定情報と、ユーザの閲覧速度を含む閲覧速度推定情報とを入力されることで、隙間時間を含む所定期間内においてユーザにより閲覧可能なコンテンツの情報量である予測閲覧量を出力することができる。
なお、第1参考形態において、隙間時間を含む所定期間とは、隙間時間が存在する期間であればよい。
【0045】
また、閲覧速度推定情報は、単にユーザの閲覧速度を含むのではなく、ユーザが置かれる各ユーザ状況に対応する閲覧速度を含む。このため、隙間時間のユーザ状況に対応する閲覧速度を利用することができるため、予測閲覧量をより正確に予測することができる。
【0046】
課金額決定部134は、ステップS3で閲覧量予測部133により取得された予測閲覧量に基づいて、コンテンツの配信に対する課金額を決定する(ステップS4)。具体的には、課金額決定部134は、予測閲覧量が多いほど課金額を高く設定し、予測閲覧量が少ないほど課金額を低く設定する。課金額は、ユーザ情報蓄積部123における配信設定情報に記録される。
以上により、図4に示すフローチャートが終了する。
【0047】
(配信方法)
第1参考形態の情報処理システムにおけるコンテンツ配信方法について説明する。
図5は、第1参考形態のコンテンツ配信処理を示すフローチャートである。
まず、コンテンツ選択部135は、現在がユーザの配信タイミングであるか否かを判定する(ステップS11)。例えば、コンテンツ選択部135は、上述のステップS1で生成された隙間時間推定情報を参照し、現在が隙間時間の開始日時に達しているか否かを判定し、Yesの場合に配信タイミングであると判定する。なお、Noの場合、コンテンツ選択部135は、ステップS11を繰り返す。
【0048】
コンテンツ選択部135は、現在が配信タイミングであると判定した場合、コンテンツ詳細蓄積部122のコンテンツ詳細情報およびユーザ情報蓄積部123の配信履歴を参照し、コンテンツ蓄積部121に記録されているコンテンツであって、かつ、ユーザに未配信のコンテンツから配信対象コンテンツを選択する(ステップS12;選択ステップ)。
ここで、コンテンツ選択部135は、隙間時間推定情報(隙間時間情報またはユーザ状況)に基づいて配信対象コンテンツのカテゴリを選択し、選択されたカテゴリに対応する複数のコンテンツから、上述のステップS3で生成された予測閲覧量に応じたコンテンツ情報量を有するコンテンツを、配信対象コンテンツとして選択する。
なお、カテゴリは、大カテゴリおよび小カテゴリを含んでもよい。例えば、大カテゴリとして、動画コンテンツ、テキストコンテンツ、画像コンテンツなどが挙げられる。また、小カテゴリとして、ニュース、エンターテイメント、ノンフィクションなどが挙げられる。
また、予測閲覧量に応じたコンテンツ情報量とは、例えば、予測閲覧量に対して所定の誤差範囲のコンテンツ情報量である。
【0049】
ステップS12におけるカテゴリ選択の具体例として、コンテンツ選択部135は、隙間時間推定情報のうちの隙間時間情報に基づき、隙間時間の時間の長さや時間帯に応じて、配信対象コンテンツのカテゴリを選択することができる。例えば、隙間時間の時間帯が朝である場合、コンテンツ選択部135は、ニュースカテゴリを選択することができる。
また、コンテンツ選択部135は、隙間時間推定情報のうちのユーザ状況に基づき、配信対象コンテンツのカテゴリを選択することができる。例えば、ユーザ状況が「電車で移動中」の場合、ニュース動画のカテゴリを選択し、ユーザ状況が「カフェに滞在中」の場合、ショートムービーのカテゴリを選択し、ユーザ状況が「就寝前」の場合、小説のカテゴリを選択することができる。
なお、上述のカテゴリ選択処理には、配信対象コンテンツのカテゴリと隙間時間推定情報との対応関係が記録されたテーブルが利用されてもよいし、ユーザの行動履歴に基づいた機械学習によって生成されたモデルが利用されてもよい。
【0050】
なお、選択されたカテゴリに対応し、かつ、予測閲覧量に応じたコンテンツ情報量を有するコンテンツが複数存在する場合、コンテンツ選択部135は、ユーザの閲覧履歴との親和度や、多数のユーザに閲覧されているコンテンツの人気度など、他の条件を利用して複数のコンテンツのスコアを算出し、スコアの高いコンテンツを選択してもよい。
【0051】
次に、配信部136は、配信対象コンテンツの配信情報を生成し(ステップS13)、生成された配信情報をユーザ端末20に提供する(ステップS14;配信ステップ)。
配信情報は、例えば、コンテンツID、コンテンツのタイトル、コンテンツ情報量、課金額、および、配信要求ボタン等を含む。また、配信情報は、「今回の配信分は50円です。閲覧すると課金されます」などの案内文を含んでもよい。
配信情報の具体的な提供方法は、特に限定されないが、例えばプッシュ通知またはメールマガジンが挙げられる。
【0052】
ユーザ端末20が配信情報を受信すると、表示制御部241は、表示部21に、配信情報を所定のフォーマットで表示させる(ステップS21)。
【0053】
この後、ユーザにより配信要求ボタンを選択する操作が入力されると、ユーザ端末20は、サーバ装置10に対し、コンテンツ提供要求を送信する(ステップS22)。なお、このコンテンツ提供要求は、ユーザID、および、コンテンツIDを含む。
【0054】
サーバ装置10の配信部136は、ステップS22で送信されたコンテンツ提供要求を受信すると、コンテンツ提供要求に含まれるコンテンツIDに基づいて、コンテンツ蓄積部121から配信対象コンテンツを読み出し、ユーザ端末20に提供する(ステップS15)。
これにより、ユーザ端末20の表示制御部241は、表示部21に、サーバ装置10から送信されたコンテンツを表示させる(ステップS23)。
【0055】
この後、課金処理部137は、課金処理を実施する(ステップS16)。具体的には、課金処理部137は、ユーザ情報の決済方法情報と、上述のステップS4で決定された課金額とに基づいて、ユーザに対する課金処理を実施する。
例えば、課金処理部137は、所定の金融機関サーバに対して、ユーザ情報と課金額とを含む決済請求を送信する。これにより、金融機関サーバが決済処理を実施する。
なお、ステップS15とステップS16の順序は逆であってもよい。
以上により、図5に示すフローチャートが終了する。
【0056】
[第1参考形態の作用効果]
第1参考形態では、サーバ装置10は、記憶部12とプロセッサ13とを備え、プロセッサ13は、記憶部12に記憶される情報処理プログラムを読み込み実行することで、隙間時間推定部131、閲覧速度取得部132、閲覧量予測部133、および、コンテンツ選択部135として機能する。隙間時間推定部131は、ユーザの行動情報に基づいて現時点より先の隙間時間を推定し、隙間時間に関する隙間時間情報と隙間時間に対応するユーザ状況とを含む隙間時間推定情報を取得する。閲覧速度取得部132は、ユーザがユーザ端末20でコンテンツを閲覧するときの閲覧速度を含む閲覧速度推定情報を取得する。閲覧量予測部133は、隙間時間推定情報および閲覧速度推定情報に基づいて、ユーザが隙間時間を含む所定期間内に閲覧可能なコンテンツの情報量である予測閲覧量を演算する。コンテンツ選択部135は、予測閲覧量に応じたコンテンツ情報量を有する配信対象コンテンツを選択する。
この第1参考形態において、隙間時間がコンテンツ閲覧時間に使用される割合は、当該隙間時間におけるユーザ状況に関連する。また、コンテンツ閲覧時間におけるユーザのコンテンツ閲覧量は、ユーザの閲覧速度に関連する。ユーザ状況を含めた隙間時間推定情報と閲覧速度推定情報とに基づいて予測閲覧量を演算することにより、ユーザによるコンテンツの予測閲覧量を正確に演算することができる。これにより、様々な隙間時間を有するユーザに対して適切な情報量のコンテンツを配信対象コンテンツとして選択することができる。また、ユーザは、隙間時間を含む所定期間内にコンテンツの閲覧を完了できるため、コンテンツの配信を受けることに対するユーザの意欲を向上できる。
【0057】
第1参考形態において、閲覧速度推定情報は、ユーザ状況に対応する閲覧速度を含むことが好ましい。
ここで、ユーザの閲覧速度は、コンテンツを閲覧するときのユーザ状況に応じて変動する傾向がある。第1参考形態の閲覧速度推定情報は、ユーザ状況に対応する閲覧速度を含むため、この閲覧速度推定情報に基づいて予測閲覧量を演算することで、予測閲覧量をより正確に求めることができる。
【0058】
第1参考形態において、サーバ装置10のプロセッサ13は、予測閲覧量に基づいて、コンテンツの配信に対する課金額を決定する課金額決定部134としてさらに機能する。
この第1参考形態では、ユーザに対してコンテンツを読み切る達成感を与えつつ、コンテンツ情報量に応じた課金額を決定することで、ユーザが適切だと感じる課金額を提示することができ、ユーザのコンテンツ配信に対する課金率を高めることができる。
【0059】
第1参考形態において、コンテンツ選択部135は、隙間時間推定情報に基づいて、配信対象コンテンツのカテゴリを選択する。
この第1参考形態では、ユーザの隙間時間に適したカテゴリの配信対象コンテンツを選択することができるため、コンテンツの配信を受けることに対するユーザの意欲をより向上できる。
【0060】
[第2参考形態]
本発明の第2参考形態について説明する。
第2参考形態は、現時点よりも先の推定対象期間に含まれる複数の隙間時間を推定することで複数の隙間時間推定情報を取得し、これら複数の隙間時間を含む所定期間内に閲覧可能なコンテンツの情報量を予測閲覧量として演算する点で、第1参考形態と相違する。
以下、第1参考形態と同様の構成については、第1参考形態と同様の符号を付してその説明を簡略化または省略する。
【0061】
この第2参考形態において、配信設定判定処理およびコンテンツ配信処理の各処理の流れは、図4および図5を参照して説明した第1参考形態とほぼ同様である。
ただし、上述のステップS1において、隙間時間推定部131は、ユーザ端末20から取得したユーザの行動情報に基づいて、現時点よりも先の推定対象期間に含まれる複数の隙間時間を推定する。そして、隙間時間推定部131は、推定された複数の隙間時間のそれぞれについて、隙間時間に関する隙間時間情報と、隙間時間に対応するユーザ状況と、を含む隙間時間推定情報を生成する。
なお、推定対象期間は、特に限定されず、例えば数日~1週間などの任意の日数が設定されていてもよい。また、ユーザに対してコンテンツの配信情報を定期的に配信するサービスを行っている場合、推定対象期間は、配信情報の次回配信時から次々回配信時までの期間であってもよい。
【0062】
また、上述のステップS3において、閲覧量予測部133は、ステップS1で生成された複数の隙間時間推定情報と、ステップS2で生成された閲覧速度推定情報とを、閲覧量予測モデルに入力し、閲覧量予測モデルから出力される予測閲覧量を取得する
ここで、閲覧量予測モデルは、ステップS1で推定された複数の隙間時間を含む所定期間(例えば推定対象期間)内に閲覧可能なコンテンツの情報量である予測閲覧量を出力する。すなわち、閲覧量予測モデルは、各隙間時間に閲覧可能なコンテンツの情報量の合計値に相当する予測閲覧量を出力する。
【0063】
なお、第2参考形態において、コンテンツ配信方法は、上記第1参考形態とほぼ同様である。ここで、配信タイミングは、所定期間内の最初の隙間時間の開始日時に設定されてもよいし、当該開始日時よりも前の任意の日時に設定されてもよい。
また、コンテンツ選択部135が配信対象コンテンツのカテゴリを選択する場合、例えば、ステップS1で推定された複数の隙間時間のうち、最も時間が長い隙間時間の隙間時間推定情報に基づいて配信対象コンテンツのカテゴリを選択してもよい。あるいは、隙間時間の合計時間が最も長いユーザ状況に基づいて、配信対象コンテンツのカテゴリを選択してもよい。
【0064】
[第2参考形態の作用効果]
第2参考形態では、上記第1参考形態と同様の効果を奏する。
また、第2参考形態では、隙間時間推定部131は、ユーザの行動情報に基づいて、現時点よりも先の推定対象期間に含まれる複数の隙間時間を推定することで、複数の隙間時間推定情報を取得する。そして、閲覧量予測部133は、複数の隙間時間を含む所定期間内に閲覧可能なコンテンツの情報量を予測閲覧量として演算する。
このような第2参考形態によれば、複数の隙間時間を使用することで閲覧を完了することができる程度のコンテンツ情報を有するコンテンツを、配信対象コンテンツとすることができる。これにより、ユーザは、コンテンツの読み応えを感じつつ、確実な期間内にコンテンツの閲覧を完了することができる。
このような第2参考形態には、例えば閲覧アプリケーションのしおり機能などの適用により、どこまで閲覧したか確認が容易なコンテンツを利用することが好ましい。
【0065】
本発明の実施形態]
本発明の実施形態について説明する。
実施形態は、現時点よりも先の推定対象期間に含まれる複数の隙間時間を推定することで複数の隙間時間推定情報を取得する点が第2参考形態と同様であるが、推定対象期間における複数の隙間時間の分布状況に基づいて、推定対象期間に複数の配信タイミングを設定する点で第2参考形態と相違する。
以下、第1参考形態と同様の構成については、第1参考形態と同様の符号を付してその説明を簡略化または省略する。
【0066】
図6は、本実施形態のサーバ装置10の構成を示すブロック図である。
実施形態において、モデル記憶部124は、閲覧量予測モデルだけでなく、配信タイミング判定モデルを記録する。
配信タイミング判定モデルは、公知の機械学習のアルゴリズムにより生成されるモデルであって、推定対象期間における複数の隙間時間推定情報を入力とし、推定対象期間における複数の隙間時間の分布状況に適した複数の配信タイミングの各日時を求める演算を行い、結果を出力する。
なお、本実施形態において、配信タイミング判定モデルは、ユーザ毎に記憶されている。すなわち、配信頻度判定モデルは、ユーザ毎にパーソナライズされる。
【0067】
また、実施形態において、サーバ装置10のプロセッサ13は、第1参考形態と同様、隙間時間推定部131、閲覧速度取得部132、閲覧量予測部133、課金額決定部134、コンテンツ選択部135、配信部136、課金処理部137等として機能するとともに、さらに、配信タイミング判定部138としても機能する。
【0068】
図7は、実施形態のコンテンツ配信設定処理を示すフローチャートである。
実施形態では、サーバ装置10は、第2参考形態と同様にステップS1を実施する。すなわち、隙間時間推定部131は、現時点よりも先の推定対象期間に含まれる複数の隙間時間を推定し、推定された複数の隙間時間のそれぞれについて、隙間時間に関する隙間時間情報と、隙間時間に対応するユーザ状況と、を含む隙間時間推定情報を生成する。
【0069】
次に、閲覧速度取得部132は、第1参考形態と同様にステップS2を実施する。すなわち、閲覧速度取得部132は、ユーザ端末20から取得したユーザの遷移操作情報および行動情報に基づいて、隙間時間推定情報を取得(生成)する。
【0070】
次に、配信タイミング判定部138は、ステップS1で取得された複数の隙間時間推定情報を配信タイミング判定モデルに入力し、配信タイミング判定モデルから出力される複数の配信タイミングに関する配信タイミング情報を取得する(ステップS5)。
配信タイミング情報は、複数の配信タイミングのそれぞれを指定する日時情報などを含む。この配信タイミング情報は、ユーザ情報蓄積部123における配信設定情報に記録される。
【0071】
ここで、コンテンツ配信システム1を利用する複数のユーザには、毎日コンスタントに一定量の隙間時間を有するユーザがいる一方、1週間のうちの1~2日に多くの隙間時間を有し、他の日は隙間時間をほぼ有さない等、日ごとの隙間時間の発生数や時間量にばらつきがあるユーザがいる。
隙間時間が少量である日が続く期間に配信情報を配信する場合、予測閲覧量に応じた少ない情報量のコンテンツであっても、ユーザが閲覧を完了できない可能性がある。
また、隙間時間が大量である日が続く期間に配信情報を配信する場合、予測閲覧量に応じた情報量が大きくなり過ぎてしまい、コンテンツを閲覧するユーザの意欲を削いでしまう可能性がある。
【0072】
そこで、配信タイミング判定モデルは、推定対象期間における複数の隙間時間の分布状況、すなわち推定対象期間内の単位時間ごと(例えば1日ごと)に隙間時間の合計時間がどのように分布しているかに応じて、推定対象期間内に複数の配信タイミングを設定する。
例えば、推定対象期間が1週間であって、平日の隙間時間の合計時間が少なく、休日の隙間時間の合計時間が多い場合、平日期間内に1回/2日のペース配分で配信タイミングが設定され、休日に2回/1日のペース配分で配信タイミングが設定される。
【0073】
次に、閲覧量予測部133は、ステップS1で生成された隙間時間推定情報と、ステップS2で推定された閲覧速度推定情報と、ステップS5で取得された配信タイミング情報とを、閲覧量予測モデルに入力する。これにより、閲覧量予測モデルは、各配信タイミングに対応する期間内に閲覧可能なコンテンツの情報量である予測閲覧量を出力する(ステップS6)。
なお、本実施形態の閲覧量予測部133は、配信タイミングから次の配信タイミングまで、または、推定対象期間における最後の配信タイミングから当該推定対象期間の終点までの期間を、それぞれ配信タイミングに対応する期間(所定期間)とし、各期間の予測閲覧量を取得する。
ここで、各配信タイミングに対応する期間は、1以上の隙間時間を含めばよい。配信タイミングに対応する期間が複数の隙間時間を含む場合、上記第2参考形態と同様、閲覧量予測モデルは、各隙間時間に閲覧可能なコンテンツの情報量の合計値を、当該期間の予測閲覧量として出力する。
【0074】
その後、課金額決定部134は、各配信タイミングに対応する予測閲覧量に基づいて、各配信タイミングに対応する課金額を決定する(ステップS4)。以上により、図7に示すフローチャートが終了する。
【0075】
なお、実施形態において、コンテンツ配信方法は、上記第1参考形態とほぼ同様である。ここで、配信タイミングは、配信タイミング情報に含まれる複数の配信タイミングの各日時情報に基づいて判定可能である。
また、コンテンツ選択部135が配信対象コンテンツのカテゴリを選択する場合、例えば、配信タイミングごとに、当該配信タイミングに対応する期間に含まれる1以上の隙間時間のうち、最も時間が長い隙間時間の隙間時間推定情報に基づいて、配信対象コンテンツのカテゴリを選択してもよい。あるいは、隙間時間の合計時間が最も長いユーザ状況に基づいて、配信対象コンテンツのカテゴリを選択してもよい。
【0076】
実施形態の作用効果]
実施形態では、第1参考形態と同様の効果を奏する。
また、実施形態では、隙間時間推定部131は、ユーザの行動情報に基づいて、現時点よりも先の推定対象期間に含まれる複数の隙間時間を推定することで、複数の隙間時間推定情報を取得する。そして、配信タイミング判定部138は、推定対象期間における複数の隙間時間の分布状況に応じて、推定対象期間における複数の配信タイミングを判定し、閲覧量予測部133は、各配信タイミングに対応する各期間を所定期間とし、各所定期間内に閲覧可能なコンテンツの情報量を、それぞれ、予測閲覧量として演算する。
このような第3実施形態によれば、ユーザ毎の隙間時間のばらつきに応じて配信タイミングを設定することができ、ユーザの閲覧意欲をより向上させることができる。
【0077】
[変形例]
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、以下に示される変形をも含むものである。
【0078】
(変形例1)
上記各実施形態では、本発明のコンテンツとして、テキストにより構成されたコンテンツ(例えば、ニュース記事や小説など)を例示しているが、様々な種類のコンテンツでもよい。
例えば、本発明のコンテンツは、ページ単位の画像により構成された漫画コンテンツなどでもよい。この場合、コンテンツ情報量は、コンテンツを構成するページ数である。
また、本発明のコンテンツは、動画コンテンツでもよい。この場合、コンテンツ情報量は、標準再生時間であり、遷移操作情報は、動画コンテンツの再生倍速などである。
また、本発明のコンテンツは、学習コンテンツでもよい。この場合、コンテンツ情報量は、学習コンテンツによる平均学習時間、学習コンテンツを構成するページ数、または、学習コンテンツに含まれる問題数などのいずれかであればよい。
【0079】
(変形例2)
上記各実施形態において、コンテンツ選択部135は、コンテンツ蓄積部121に保存されているコンテンツを分割することで、予測閲覧量に応じたコンテンツ情報量を有するコンテンツを生成してもよい。例えば、テキストにより構成されたコンテンツでは、テキスト間に挿入されている句点や段落を分割点として、コンテンツを分割することができる。
【0080】
(変形例3)
上記各実施形態において、隙間時間または閲覧速度に対応するユーザ状況は、ユーザの気分や感情を示す情報を含んでもよい。ユーザの気分や感情は、例えばユーザが身に着けるウェアラブル機器によって取得することができる。
【0081】
(変形例4)
上記各実施形態では、サーバ装置10が閲覧速度推定情報を生成しているが、サーバ装置10は、ユーザ端末20で生成された閲覧速度推定情報を、ユーザ端末20から取得してもよい。
【0082】
(変形例5)
上記各実施形態では、コンテンツ選択部135は、隙間時間推定情報(隙間時間情報またはユーザ状況)に基づいて配信対象コンテンツのカテゴリを選択し、選択されたカテゴリに対応し、かつ、予測閲覧量に応じたコンテンツ情報量を有するコンテンツを、配信対象コンテンツとして選択するが、本発明はこれに限られない。すなわち、コンテンツ選択部135は、少なくとも予測閲覧量に応じたコンテンツ情報量を有するコンテンツを、配信対象コンテンツとして選択する処理を行えばよい。
【符号の説明】
【0083】
1…コンテンツ配信システム、10…サーバ装置、11…通信部、12…記憶部、121…コンテンツ蓄積部、122…コンテンツ詳細蓄積部、123…ユーザ情報蓄積部、124…モデル記憶部、13…プロセッサ、131…隙間時間推定部、132…閲覧速度取得部、133…閲覧量予測部、134…課金額決定部、135…コンテンツ選択部、136…配信部、137…課金処理部、138…配信タイミング判定部、20…ユーザ端末、21…表示部、22…入力操作部、23…端末記録部、24…端末プロセッサ、241…表示制御部、242…ユーザ情報送信部、25…端末通信部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7