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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】パワートレイン
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/55 20100101AFI20230725BHJP
   B62M 6/50 20100101ALI20230725BHJP
   B62M 11/14 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B62M6/55
B62M6/50
B62M11/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020512528
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2018073399
(87)【国際公開番号】W WO2019043123
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-03
(31)【優先権主張番号】BE2017/5605
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】520064621
【氏名又は名称】イーツー ドライブス
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デレバル,アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドフリンド,シモン
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-132440(JP,A)
【文献】国際公開第2016/034574(WO,A1)
【文献】特開2013-141979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/40-6/75
B62M 11/14
B62M 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・第1の回転軸(25)を中心に回転するように配置されたクランク軸(2)と、
・第1の回転軸(25)を中心に回転するように配置された出力スプロケット(3)と、
・第1のモータ(40)と、
・第2のモータ(50)と、
・第1のギア要素、第2のギア要素および太陽歯車(13)を含む遊星歯車セットと、を備え、
該クランク軸(2)および該第2のモータ(50)は、該遊星歯車セットの最初の入力を形成するために、該第1のギア要素を介して該遊星歯車セットに接続されており、
該第1のモータ(40)は、該遊星歯車セットの第2の入力を形成するために、該太陽歯車(13)を介して該遊星歯車セットに接続されており、
該第2のギア要素は、該遊星歯車セットの出力を形成するために、該遊星歯車セットを該出力スプロケット(3)に接続しており、
該第1のギア要素、該第2のギア要素および該太陽歯車(13)は、該第1の回転軸(25)とは異なる同一の第2の回転軸(15)を中心に回転するように配置されており、
該クランク軸(2)から該出力スプロケット(3)への機械的な動力の伝達を可能にするように配置された第1のワンウェイクラッチ(71)をさらに備え、
該第1のワンウェイクラッチ(71)は、該出力スプロケット(3)が該クランク軸(2)よりも遅く回転するのを防ぐように、該クランク軸(2)と該出力スプロケット(3)との間に位置する、ペダル車両のためのパワートレイン(1)。
【請求項2】
前記第1のギア要素は、前記遊星歯車セットのリングギア(11)であり、前記第2のギア要素は、前記遊星歯車セットの遊星キャリア(12)である、請求項1に記載のパワートレイン(1)。
【請求項3】
前記第1のギア要素は、前記遊星歯車セットの遊星キャリア(12)であり、前記第2のギア要素は、前記遊星歯車セットのリングギア(11)である、請求項1に記載のパワートレイン。
【請求項4】
前記クランク軸(2)に固定式に取り付けられている歯車(22)が、前記第1のギア要素に固定式に取り付けられている歯車(23)と直接噛み合っている、および/または前記第2のモータ(50)のロータに固定されている歯車(29)が前記第1のギア要素と直接噛み合っている、および/または前記第1のモータ(40)のロータが、前記太陽歯車(13)に固定的に取り付けられる、および/または前記第2のギア要素に固定式に取り付けられている歯車(28)が、前記出力スプロケット(3)に固定式に取り付けられている歯車(24)と直接噛み合っている、請求項1から3のいずれか一項に記載のパワートレイン(1)。
【請求項5】
前記第1のモータを制御するために速度比パラメータをさらに使用するように構成された制御ユニットを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のパワートレイン(1)。
【請求項6】
前記制御ユニットは、回転速度設定値を決定し、該回転速度設定値を前記第1のモータ(40)に課すように構成されており、前記回転速度設定値は、前記第2のモータ(50)の角度位置の測定要素によって取得された前記第2のモータ(50)の回転速度と、速度比パラメータとに正比例するように決定されている、請求項5に記載のパワートレイン(1)。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記第2のモータ(50)を制御するために、前記パワートレインの速度比パラメータおよび支援レベルパラメータをさらに使用する、請求項5又は6に記載のパワートレイン(1)。
【請求項8】
前記制御ユニットは、電流設定値またはトルク設定値を決定し、該電流設定値またはトルク設定値を前記第2のモータ(50)に課すように構成されており、前記電流設定値またはトルク設定値は、前記第1のモータ(40)の電流の測定要素によって取得された前記第1のモータ(40)のトルクまたは電流に正比例するように決定されており、また前記パワートレインの速度比パラメータおよび前記パワートレインの支援レベルパラメータとに基づいて決定されている、請求項7に記載のパワートレイン(1)。
【請求項9】
前記クランク軸(2)と前記第1のギア要素は、前記第1のギア要素が前記クランク軸(2)よりも速く回転するように接続されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のパワートレイン(1)。
【請求項10】
前記出力スプロケット(3)と前記第2のギア要素は、前記第2のギア要素が前記出力スプロケット(3)よりも速く回転するように接続されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のパワートレイン(1)。
【請求項11】
前記第2のモータ(50)は、前記第1のギア要素が前記第2のモータ(50)よりも遅く回転するように前記第1のギア要素に接続される、請求項1から10のいずれ一項に記載のパワートレイン(1)。
【請求項12】
前記ペダル車両の前進運動に相当する回転方向での前記第2のモータ(50)による前記クランク軸(2)の駆動を防止するように配置された第2のワンウェイクラッチ(72)をさらに備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のパワートレイン(1)。
【請求項13】
・前記第1のモータ(40)の角度位置の測定要素、
・前記第2のモータ(50)の角度位置の測定要素、
・前記第1のモータの電流測定要素(40)、および
・前記第2のモータ(50)の電流の測定要素の
うちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のパワートレイン(1)。
【請求項14】
前記第1のモータ(40)、前記第2のモータ(50)に接続され、前記第1のモータ(40)の角度位置、前記の第2のモータ(50)の角度位置、前記第1のモータ(40)の電流、および前記第2のモータ(50)の電流に従って前記第1のモータ(40)および前記第2のモータ(50)を制御するように構成されている制御ユニットを更に備え、該制御ユニットは、電流制御またはトルク制御に従って前記第2のモータ(50)を制御し、角度位置制御または角速度制御に従って前記第1のモータ(40)を制御するように構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のパワートレイン(1)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のパワートレイン(1)を備えるペダル車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペダル車両、特に自転車または電動自転車用のパワートレインに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、遊星歯車システム、クランク軸、出力スプロケット、第1のモータおよび第2のモータを備える、自転車用のパワートレインを記載している。遊星歯車システムは、リングギア、太陽歯車および遊星キャリアを備える。
【0003】
このシステムでは、遊星キャリアは二重遊星を備え、これは製造したり組み立てたりするのに複雑であり、高価でもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/034574号
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的の1つは、製造が簡単で、軽量で、頑丈で、コンパクトなサイズのペダル車両用のパワートレインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明は、ペダル車両用のパワートレインを提案しており、これは、
・第1の回転軸を中心に回転するように配置されたクランク軸と、
・第1の回転軸を中心に回転するように配置された出力スプロケットと、
・第1のモータと、
・第2のモータと、
・第1のギア要素、第2のギア要素および太陽歯車を含む遊星歯車システムであって、
クランク軸および第2のモータは、遊星歯車セットへの最初の入力を形成するために、第1のギア要素を介して遊星歯車セットに接続されており、
第1のモータは、遊星歯車セットへの第2の入力を形成するために、太陽歯車を介して遊星歯車セットに接続されており、
第2のギア要素は、遊星歯車セットからの出力を形成するために、遊星歯車セットを出力スプロケットに接続している、遊星歯車システムと、を備え、
第1のギア要素、第2のギア要素および太陽歯車は、第1の回転軸とは異なる第2の回転軸を中心に回転するように配置されている。
【0007】
本発明によるパワートレインでは、第1のギア要素、第2のギア要素および太陽歯車は、クランク軸および出力スプロケットの回転軸から空間的にずらされた回転軸を有する。これにより、太陽歯車のサイズをクランク軸の直径と無関係にすることができる。これにより、より小さな直径の太陽歯車を取り付けることが可能になり、その結果、遊星歯車比を増大させることができる。したがって、二重遊星を使用せずに遊星歯車セットに関して十分な比率を獲得することが可能である。これにより、パワートレインが製造し易く、組み立て易くなり、またより安価にすることが可能になる。
【0008】
本発明によるパワートレインはまた、第1のモータと出力スプロケットとの間に大きな減速比を得ることを可能にする。実際、このような減速比は、遊星歯車セット比と、第2のギア要素と出力スプロケットとの間の減速比とに依存する。
【0009】
パワートレインの利点の1つは、クランク軸と遊星歯車セットの第1のギア要素との間のギア比を低下させることが可能であることである。その結果、遊星歯車セットのすべての要素がより速く、かつより少ないトルクで回転することになる。これにより、それらが被る機械的なストレスが低下する。
【0010】
本発明によるパワートレインの別の利点は、第1のモータ軸がクランク軸と異なるため、位置センサを第1のモータ軸の中心に容易に配置することが可能であることである。
【0011】
本発明によるパワートレインの別の利点は、第1のモータ軸がクランク軸と異なるため、第1のモータが比較的簡素であり得ることである。
【0012】
本発明によるパワートレインの別の利点は、同じハウジング内で電気的支援と自動ギアボックスを合体させることである。
【0013】
本発明によるパワートレインの別の利点は、継続的に可変の伝達比を提供することである。
【0014】
クランク軸と出力スプロケットが同じ回転軸を有するという事実により、クランク軸が、出力スプロケットを後輪に連結するチェーンの邪魔にならないようにすることができる。これにより、チェーンを短くすることが可能になる。また、これにより、ペダル車両上でのパワートレインの位置決めにも大きな自由度が与えられる。さらに、これにより、クランク軸と後輪との間のスペースを最小限に抑えることができ、このことは、ペダル車両により優れた操縦性を与える。
【0015】
好ましくは、パワートレインは、以下の測定要素、
・第1のモータの角度位置の測定要素、
・第2のモータの角度位置の測定要素、
・第1のモータの電流の測定要素および
・第2のモータの電流の測定要素のうちの少なくとも1つを備える。
【0016】
好ましくは、パワートレインは、第1のモータ、第2のモータに接続され、第1のモータの角度位置、第2のモータの角度位置、第1のモータの電流および第2のモータの電流に従って、第1のモータおよび第2のモータを制御するように構成された制御ユニットを備え、該制御ユニットは、電流制御またはトルク制御に従って第2のモータを制御するように構成されている。
【0017】
2つの値の間には直接の数学的関係があるため、位置制御と速度制御との間には基本的な違いはないということは興味深いことである。角速度は、角度位置の時間導関数である。例えば、一定の角速度で回転するようにモータを制御することは、時間の関数として線形に徐々に進む角度位置をたどるようにモータを制御することと同じである。
【0018】
好ましくは、第1の回転軸と第2の回転軸は平行である。好ましくは、第2のモータの回転軸もまたそれらと平行である。
【0019】
この文献の枠内では、2つの接続された、または連結された要素は、直接または間接的に接続される場合、または連結される場合がある。例えば、それらは、少なくとも1つの中間歯車、ベルトおよび/またはローラを介して直接または間接的に噛み合う場合もある。
【0020】
この文献の枠内では、「入力」および「出力」という用語は、運動学的連鎖の中での入力および出力という意味で理解すべきである。入力は好ましくは機械的動力の入力であり、出力は好ましくは機械的動力の出力である。
【0021】
この文献の枠内では、遊星歯車セット比は遊星歯車セットの減速である。単一の遊星を備えた遊星歯車セットの場合、それはリングギアの直径と太陽歯車の直径との比である。
【0022】
この文献の枠内では、ペダル車両は、例えば自転車、モペット、三輪車であり得る。
【0023】
この文献の枠内では、ギア要素は、例えば、1つの歯車、または機械的にトルクがかけられた、もしくはお互いに噛み合った複数の歯車であり得る。
【0024】
この文献の枠内では、「回転軸を中心に回転するように配置された」要素は、好ましくは、この軸を中心として概して対称的な要素である。
【0025】
この文献の枠内では、2つの物体間の「固定比」は、それらの回転速度が一定の比率であることを意味する。
【0026】
この文献の機構では、「パワートレインのギア比」とは、クランク軸と出力スプロケットとの間に存在するギア比を指す。
【0027】
この文献の機構では、「パワートレインの支援レベル」とは、サイクリストによって与えられた動力に対する、電気的支援によって与えられた動力部分を指す。これは、2つのモータの出力を2つのモータの出力とサイクリストの動力との合計で割ることによって計算することができる。それは、「支援レベルパラメータ」とも呼ばれる場合がある。これは、制御インターフェースを介してサイクリストによって手動で制御されるか、または他のパラメータの機能の制御ユニットによって自動的に計算され得るパラメータである。
【0028】
この文献の枠内では、二重遊星には、同心円状にかつ固定式に取り付けられた大きな歯車と、小さな歯車とが含まれる。
【0029】
この文献の枠内では、角度位置の測定は角速度の測定に相当する。実際、本発明によるパワートレインは好ましくは、このモータの角度位置からモータの一方の角速度を決定する手段を含む。
【0030】
この文献の枠内では、電流の測定値はトルクの測定値に相当する。実際、本発明によるパワートレインは好ましくは、このモータに供給される電流からモータの一方のトルクを決定する手段を含む。
【0031】
遊星歯車システムには、リングギア、遊星キャリアおよび太陽歯車が含まれる。遊星キャリアには遊星が含まれる。太陽歯車は、内側太陽歯車またはサンと呼ばれる場合もある。リングギアは外側リングギアと呼ばれる場合もある。太陽歯車とリングギアは、遊星を介して接続されていることが好ましい。
【0032】
好ましくは、遊星キャリアは単一の遊星のみを含む。実際、本発明によるパワートレインは、二重遊星の使用を回避することを可能にする。
【0033】
第1のモータは、ロータおよびステータを含む。第2のモータは、ロータおよびステータを含む。第1のモータのロータは、太陽歯車を介して遊星歯車セットに接続されており、第2のモータのロータは、第1のギア要素を介して遊星歯車セットに接続されている。
【0034】
好ましくは、第1のモータのロータは、第2の回転軸に従って回転するように配置されている。好ましくは、第2のモータのロータは、第1の回転軸および第2の回転軸とは異なる第3の回転軸に従って回転するように配置されている。
【0035】
好ましくは、パワートレインは、制御ユニットが配置されるプリント回路基板を含む。
【0036】
好ましくは、パワートレインは、1つまたはいくつかのバッテリーを含む。
【0037】
好ましくは、出力スプロケットは、クランク軸を囲むように配置され、かつクランク軸と同軸の中空シャフトに固定される。
【0038】
本発明の一実施形態では、出力スプロケットは、好ましくはチェーン、シャフトトランスミッションまたはベルトによってペダル車両の後輪ピニオンに連結される。
【0039】
クランク軸の回転は、ペダル車両を使用しているサイクリストのペダルを踏む動作から生じる。クランクシャフトを入力として取り入れる遊星歯車セットの使用によって、サイクリストが提供する回転と出力スプロケットの回転とのギア比の変更が可能になる。
【0040】
本発明の一実施形態では、第1のモータの役割は、パワートレインのギア比を管理することである。その機能の1つは、所定の伝達比を提供することである。この伝達比は、クランク軸の角速度と出力スプロケットの角速度との比である。例えば、この伝達比は、ペダル車両のユーザが提供する速度比パラメータに基づいて決定される、またはサイクリストに自動ギアシフトを提供するために制御ユニットによって決定される場合がある。この決定は、ギアシフトアルゴリズムによって実現することができる。第1のモータは好ましくは、例えば第1のモータを制御する制御ユニットを介して角度位置または角速度によって制御されることで、角度位置または角速度設定値が考慮されることになる。
【0041】
本発明の一実施形態では、第2のモータの役割は、パワートレインの正当な支援レベルを管理することである。その機能の1つは、クランクにトルクを加えることにより、サイクリストの運動を支援することである。好ましくは、支援レベルは、とりわけ支援レベルパラメータに基づいて制御ユニットによって決定される。支援レベルパラメータは、ユーザによって決定される、またはパワートレインの制御ユニットによって自動的に決定される場合がある。支援レベルは、パワートレインのギア比とは無関係であることが望ましい。第2のモータは好ましくは、例えば第2のモータを制御する制御ユニットを介して電流またはトルクによって制御されることで、電流またはトルクの設定値が考慮されることになる。
【0042】
好ましくは、制御ユニットは、第1のモータの角度位置の測定要素、第2のモータの角度位置の測定要素、第1のモータに供給される電流の測定要素および第2のモータに供給される電流の測定要素に電気的に接続される。
【0043】
第1および第2のモータの制御は、例えば、本発明の第1の実施形態において以下の方法で行うことができる。
【0044】
自転車の後輪の角速度

は、出力スプロケットの角速度

に比例しており、

式中

は、自転車の後輪の角速度と出力スプロケットの角速度との伝達比である。出力スプロケットの角速度は次の式で与えられ、
式中
は遊星キャリアと出力スプロケットとの比率であり、

はクランク軸とリングギアとの比率であり、

は第1のモータの角速度であり、

はクランクの角速度であり、Rは遊星歯車セットの減速比である。
【0045】
クランクの角速度は、第2のモータの測定された角速度

から決定することができ、
式中
は、第2のモータとリングギアとの減速比である。
【0046】
制御ユニットは、速度比パラメータ

(英語の歯車係数に対する)および第2のモータの測定された角速度
に依拠して、第1のモータに課される角速度

を決定することで、

パラメータ

が一定の場合、後輪の角速度はクランクの角速度に比例するようになる
【0047】
したがって、

は第1のモータに課される角速度設定値である。同様にして、この速度設定値

の単なる積分値である位置設定値をそれに割り当てることにより、第1のモータを位置制御することが可能である。
【0048】
第1のモータのトルク

は、
によって与えられ、
式中

はクランクのトルクであり、

は出力スプロケットのトルクである。
【0049】
例えば、出力スプロケットに供給される総エネルギーに対する電力の比率に等しい、支援レベルパラメータAF(英語の支援因数に対する)を考慮することができる。
【0050】
動力がトルクに角速度を乗じたものに等しいことを考慮することによって、方程式
から第1のモータのトルク

に基づいて、所望の支援レベルパラメータに到達するのに適切な第2のモータのトルクを決定することが可能である。
【0051】
したがって、
は、第2のモータに加えられるトルクまたは電流の設定値である。
【0052】
好ましくは、モータ制御は、フィードバック制御とも呼ばれる情報フィードバックを伴う制御である。
【0053】
本発明によるパワートレインは、コースターブレーキとして機能することができ、これにより、制動エネルギーを回収してバッテリーを再充電することが可能になる。好ましくは、パワートレインはこのとき、後輪が、運動を出力スプロケットに伝達するようにチェーンを駆動することができるように構成される。これは、例えば、後輪のピニオンを後輪のハブに固定式に取り付けることによって実現することができる。したがって、ペダル車両が坂道を下る場合、チェーンが回転し、出力スプロケットを駆動する。これにより、第1のモータおよび/またはクランクが通常の動作方向に回転する。サイクリストがブレーキをかけたい場合には、クランクを後方に、つまり通常の操作方向とは反対方向に作動させることができる。クランクの位置は、第2のモータの角度位置測定要素によって、例えば第2のセンサを利用して決定することができる。好ましくは、第2のモータは、制御ユニットによって制御されない。好ましくは、第1のモータは、モータが発電機として作用するという事実に相当する負のトルク設定値で、トルクまたは電流によって制御される。この負のトルク設定値は、クランクによって実行される負の角度に比例することが好ましい。このような角度の測定値は、サイクリストがクランクを後方に作動させる瞬間にゼロに設定される。したがって、サイクリストがクランクを後方に作動させた瞬間に、第1のモータが自転車にブレーキをかけ始める。その結果、サイクリストは第1のモータの制動トルクに比例するトルクを感じ、クランクを前方に戻すように動かす。したがって、それは安定したシステムである。サイクリストが後方に押すほど、第1のモータはより大きくブレーキをかける。サイクリストがクランクに対する後方への圧力を解除した場合、クランクは前方に戻り、第1のモータが停止して自転車にブレーキをかける。出力スプロケットが遊星キャリアに接続されている場合、遊星キャリアは差動装置として作用する。その結果、それは、第1のモータを通常の動作方向に回転させる傾向がある。この時点で、第1のモータは発電機として制御されて自転車にブレーキをかけ、よってバッテリーに電力を伝達する。このシステムは、例えば発雷信号システムのようにバックペダル動作によって作動させることができる。ブレーキ力、および結果としてバッテリーに供給されるエネルギー量は、サイクリストが加えているバックペダル力に従って制御することができる。
【0054】
本発明の第1の実施形態では、第1のギア要素は遊星歯車セットのリングギアであり、第2のギア要素は遊星歯車セットの遊星キャリアである。
【0055】
この実施形態によれば、クランク軸は、好ましくは固定比でリングギアに接続され、第2のモータのロータは、好ましくは固定比でリングギアに接続されており、第1のモータのロータは、好ましくは固定比で太陽歯車に接続され、太陽歯車とリングギアは遊星歯車セットへの2つの入力を形成し、遊星キャリアは遊星歯車セットの出力を形成し、遊星キャリアは、好ましくは固定比で出力スプロケットに接続されている。
【0056】
本発明の第2の実施形態では、第1のギア要素は遊星歯車セットの遊星キャリアであり、第2のギア要素は遊星歯車セットのリングギアである。
【0057】
この実施形態によれば、クランク軸は、好ましくは固定比で遊星キャリアに接続されて
おり、第2のモータのロータは、好ましくは固定比で遊星キャリアに接続されており、第1のモータのロータは、好ましくは固定比で太陽歯車に接続されており、遊星キャリアと太陽歯車は遊星歯車セットの2つの入力を形成し、リングギアは遊星歯車セットの出力を形成し、リングギアは、好ましくは固定比で出力スプロケットに接続されている。
【0058】
本発明の一実施形態では、クランク軸は第1のギア要素と直接噛み合っている、および/または第2のモータのロータは第1のギア要素と直接噛み合っている、および/または第1のモータのロータは太陽歯車に固定式に取り付けられる、および/または第2のギア要素は出力スプロケットと直接噛み合っている。
【0059】
本発明の一実施形態では、制御ユニットは、とりわけ速度比パラメータ(GC)に従って第1のモータを制御するように構成される。
【0060】
本発明の一実施形態では、制御ユニットは、回転速度設定値を決定し、該回転速度設定値を第1のモータに課すように構成されており、回転速度設定値は、第2のモータの角度位置測定要素によって取得された第2のモータの回転速度と、速度比パラメータ(GC)とに正比例するように決定されている。
【0061】
本発明の一実施形態では、制御ユニットは、とりわけパワートレインの速度比パラメータ(GC)および支援レベルパラメータ(AF)に従って第2のモータを制御する。
【0062】
本発明の一実施形態では、制御ユニットは、電流設定値またはトルク設定値を決定し、該電流設定値またはトルク設定値を第2のモータに課すように構成されており、電流設定値またはトルク設定値は、第1のモータの電流測定要素によって取得された第1のモータのトルクまたは電流に正比例するように決定されており、またパワートレインの速度比パラメータ(GC)およびパワートレインの支援レベルパラメータ(AF)に従って決定されている。
【0063】
本発明の一実施形態では、クランク軸と第1のギア要素は、第1のギア要素がクランク軸よりも速く回転するように接続されている。
【0064】
これにより、減速(速度の向上)が可能になる。したがって、トルクが低くなることから、遊星歯車セットは、機械的ストレスをほとんど受けることがない。
【0065】
本発明の一実施形態では、出力スプロケットと第2のギア要素は、第2のギア要素が出力スプロケットよりも速く回転するように接続されている。
【0066】
これにより減速が可能になる。したがって、遊星歯車セットは比較的低いトルクを維持する。
【0067】
本発明の一実施形態では、第2のモータは、第1のギア要素が第2のモータのロータよりも遅く回転するように第1のギア要素に接続されている。これにより、トルクを低下させ、第2のモータのロータの回転速度を上げることが可能になり、それ故第2のモータのサイズを最小限に抑えること可能になる。
【0068】
本発明の一実施形態では、パワートレインは、とりわけプリント回路基板を含んでおり、第1のモータの角度位置測定要素は第1のセンサを含み、第2のモータの角度位置測定要素は第2のセンサを含んでおり、第1のセンサおよび第2のセンサは、プリント回路基板上に配置されていることが好ましい。
【0069】
プリント回路基板は平面であることが好ましい。
【0070】
好ましくは、第1の磁石が、第1のモータのロータ回転軸の一端に配置される。第1のセンサは、第1の磁石の前方に配置されることが好ましい。これにより、第1のモータの角度位置および/または角速度を容易に測定することが可能になる。
【0071】
好ましくは、第2の磁石が、第2のモータのロータ回転軸の一端に配置される。第2のセンサは、第2の磁石の前方に配置されることが好ましい。これにより、第2のモータの角度位置および/または角速度を容易に測定することが可能になる。
【0072】
本発明の一実施形態では、パワートレインはとりわけ、クランク軸から出力スプロケットへの機械的な動力の伝達を可能にするように配置されたワンウェイクラッチを含む。第1のワンウェイクラッチにはさまざまな位置が可能である。
【0073】
第1のワンウェイクラッチの機能は、たとえモータが作動していない場合でも、クランク軸から出力スプロケットへの完全に機械的な動力伝達を可能にすることである。したがって、万一モータに障害が発生した場合にも、サイクリストはいつでもペダルを踏んで帰宅することができる。好ましくは、このような作動モードは最小の機械的伝達比に相当する。この最小の機械的伝達比は、サイクリストが急な坂を登るときにも使用される。
【0074】
本発明の好ましい一実施形態では、第1のワンウェイクラッチは好ましくは、出力スプロケットがクランク軸よりも遅く回転するのを防ぐためにクランク軸と出力スプロケットとの間に直接配置される。
【0075】
これにより、クランク軸が出力スプロケットよりも速く回転するのを回避することが可能になる。ブロックされた位置では、クランク軸が出力スプロケットを直接駆動する。自由な位置では、出力スプロケットはクランク軸よりも速く回転することができる。この位置によって、パワートレインのとりわけ低い第1のギア比に到達することが可能になる。
【0076】
本発明の一実施形態では、第1のワンウェイクラッチは、遊星キャリアがリングギアよりも遅く回転するのを防ぐためにリングギアと遊星キャリアとの間に配置される。
【0077】
本発明の一実施形態では、第1のワンウェイクラッチは、第1のモータのロータが特定の方向に回転するのを阻止するために、第1のモータのロータと車両のフレームに対して固定される要素との間に配置される。車両のフレームに対して固定される要素は、例えば第1のモータまたはパワートレインのハウジングである。
【0078】
本発明の一実施形態では、パワートレインはさらに、ペダル車両の前方移動に対応する回転方向での第2のモータによるクランク軸の駆動を阻止するために配置された第2のワンウェイクラッチを含む。
【0079】
本発明はさらに、本発明の実施形態の1つによるパワートレインを含むペダル車両を提案する。
【0080】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面を参照する理解のために以下の詳細な説明を読むと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1】本発明の第1の実施形態の第1の変形例によるパワートレイン1を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態の第2の変形例を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態の第3の変形例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態の第4の変形例を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態によるパワートレインを示す図である。
図6】パワートレインの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本発明は、特有の具現化で図を参照して説明されるが、本発明はそれらに限定されない。記載される図面または図は単に概略的なものであり、限定的なものではない。
【0083】
本文書の文脈において、「第1」および「第2」という用語は、異なる要素を区別するためにのみ使用され、これらの要素間の順序を意味するものではありません。
【0084】
図面では、同一または類似の要素には同じ参照番号が付けられている場合がある。
【0085】
図1から図4は、本発明の第1の実施形態の4つの変形例によるパワートレイン1を示している。図5は、本発明の第2の実施形態によるパワートレイン1を示している。
【0086】
パワートレイン1は、同じ回転軸25のクランク軸2と出力スプロケット3とを含む。この軸は、第1の回転軸25と呼ばれる場合もある。好ましくは、クランク軸2は2つのクランクアーム21に固定される。
【0087】
パワートレイン1は、第1のモータ40と、第2のモータ50とを含む。第1のモータ40は、ステータ46と、磁石48を含むロータ47とを含む。ロータ47は、第2の回転軸15を中心に回転するように配置されている。第2のモータ50は、ステータ56と、磁石58を含むロータ57とを含む。ロータ57は、第3の回転軸35を中心に回転するように配置されている。
【0088】
パワートレイン1は、第1のモータ40の電流の測定要素と、第2のモータ50の電流の測定要素とを含む。
【0089】
パワートレイン1はさらに、好ましくはプリント回路基板60に固定された制御ユニットを含む。プリント回路基板60は好ましくは、第2の回転軸15および第3の回転軸35に対して垂直に配置される。
【0090】
好ましくは、第1の磁石43が第1のモータシャフト40の端部に固定され、第2の磁石53が第2のモータシャフト50の端部に固定される。
【0091】
好ましくは、第1のセンサ41は、第2の回転軸15にほぼ一致するようにプリント回路基板60に固定される。第1のセンサ41および第1の磁石43は、第1のモータ40の角度位置の測定要素の一部である。
【0092】
好ましくは、第2のセンサ51は、第3の回転軸35とほぼ一致するようにプリント回路基板60に固定される。第2のセンサ51および第2の磁石53は、第2のモータ50の角度位置の測定要素の一部である。
【0093】
制御ユニットは、第1のモータ40の角度位置、第2のモータ50の角度位置、第1のモータ40の電流および第2のモータ50の電流に応じて、第1のモータ40および第2
のモータ50を制御し、これらの情報は、測定要素によって制御ユニットに供給されている。
【0094】
制御ユニットは、電流またはトルクによって第2のモータ50を制御する。制御ユニットは、角度位置または角速度によって第1のモータ40を制御する。
【0095】
パワートレイン1は、第1のギア要素、第2のギア要素および太陽歯車13を含む遊星歯車セットを含む。
【0096】
本発明の第1の実施形態(図1図4)では、第1のギア要素はリングギア11であり、第2のギア要素は遊星キャリア12である。好ましくは、遊星キャリア12は少なくとも1つの遊星16を含む。好ましくは、リングギア11は、少なくとも1つの遊星16に噛み合っている。好ましくは、太陽歯車13は、少なくとも1つの遊星16に噛み合っている。
【0097】
本発明の一実施形態では、第1の歯車22がクランク軸2に固定式に取り付けられている。第1の歯車22は、第2の歯車23と噛み合っている。第2の歯車23は、リングギア11に固定式に取り付けられている。好ましくは、第1の歯車22は、第2の歯車23の直径よりも大きい直径を有する。
【0098】
本発明の一実施形態では、第3の歯車24が出力スプロケット3に固定式に取り付けられている。第3の歯車24は、第4の歯車28と噛み合っている。第4の歯車28は、遊星キャリア12と共に回転するように、遊星キャリア12に固定式に取り付けられている。好ましくは、第3の歯車24は、第4の歯車28の直径よりも大きい直径を有する。
【0099】
本発明の一実施形態では、第5の歯車29は、ロータ57と共に回転するように、第2のモータ50のロータ57に結合され、好ましくは固定される。第5の歯車29は、リングギア11と噛み合っている。
【0100】
通常の動作では、本発明の第1の実施形態によるパワートレインは以下のように動作する。クランク軸2および第2のモータ50が、リングギア11を駆動する。リングギア11は、遊星歯車セットの最初の入力である。第1のモータ40が、太陽歯車13を駆動し、これは遊星歯車セットの第2の入力である。リングギア11および太陽歯車13が、遊星キャリア12を駆動し、これは遊星歯車セットの出力である。遊星キャリア12は、出力スプロケット3を駆動する。
【0101】
好ましくは、本発明によるパワートレイン1は、少なくとも1つのワンウェイクラッチを含む。
【0102】
図1図4に示された本発明の第1の実施形態の4つの変形例ならびに図5に示された本発明の第2の実施形態では、パワートレイン1は、たとえモータ40、50が作動していない場合でも、クランク軸2から出力スプロケット3への完全に機械的な動力伝達を可能にする機能を有する第1のワンウェイクラッチ71を含む。
【0103】
本発明の第1の実施形態の第1の変形例(図1)および第4の変形例(図4)では、第1のワンウェイクラッチ71は、クランク軸2と出力スプロケット3との間に配置される。例えば、第1のワンウェイクラッチ71は、第1の歯車22と第3の歯車24との間に配置することができる。ブロックされた位置では、ワンウェイクラッチ71は、クランク軸2が出力スプロケット3に固定式に取り付けられるようにする。自由位置では、出力スプロケット3は、クランク軸2よりも速く自由に回転する。
【0104】
本発明の第1の実施形態の第2の変形例(図2)では、第1のワンウェイクラッチ71は、リングギア11と遊星キャリア12との間に配置されている。したがって、遊星キャリア12がリングギア11よりも遅く回転するのを回避することが可能になる。ブロックされた位置では、ワンウェイクラッチ71は、リングギア11が遊星キャリア12に固定式に取り付けられるようにする。自由位置では、遊星キャリア12は、リングギア11よりも速く自由に回転する。
【0105】
本発明の第1の実施形態の第3の変形例(図3)では、第1のワンウェイクラッチ71は、第1のモータ40のロータ47と、車両のフレームに固定されるパワートレインのハウジング45との間に配置される。ブロックされた位置では、ワンウェイクラッチ71は、ロータ47がハウジング45に固定式に取り付けられるようにする。したがって、ロータ47は速度ゼロでブロックされる。自由位置では、ロータ47は、ハウジング45よりも速く自由に回転する。
【0106】
さらに、本発明によるパワートレイン1は、第2のモータ50がクランク軸2を前方に駆動するのを防止する機能を果たす第2のワンウェイクラッチ72を含むことが可能である。第2のワンウェイクラッチ72の可能なものが図4に示されている。第2のワンウェイクラッチ72は、図1から図3に示される第1のワンウェイクラッチ71の様々な位置と互換性がある。
【0107】
第2のワンウェイクラッチ72は、例えば、第1の歯車22とクランク軸2との間に配置することができる。第2のワンウェイクラッチ72は、クランク軸2が前方に作動される際、第1の歯車22を駆動するが、第1の歯車22はクランク軸2を前方に駆動することはできない。
【0108】
第2のワンウェイクラッチ72は、そのおかげで第2のモータ50がクランク軸2を作動させずに回転することができるため、より大きな制御の柔軟性を提供する。これにより、例えばサイクリストがクランクを作動させずに、スロットルの助けを借りて電動化を利用することが可能になる。
【0109】
図5は、本発明の第2の実施形態によるパワートレイン1を示している。本発明の第2の実施形態は、主に遊星歯車セットの配置によって本発明の第1の実施形態と異なっている。図5および図1の同一および類似の要素は、以下で詳細には説明されない。
【0110】
本発明の第2の実施形態では、第1のギア要素は遊星キャリア12であり、第2のギア要素はリングギア11である。好ましくは、遊星キャリア12は少なくとも1つの遊星16を含む。好ましくは、リングギア11は、少なくとも1つの遊星16に噛み合っている。好ましくは、太陽歯車13は、少なくとも1つの遊星16に噛み合っている。
【0111】
図5に示す実施形態では、第1の歯車22は、クランク軸2と共に回転するように、クランク軸2に結合され、好ましくは固定されている。第1の歯車22は、第2の歯車23と噛み合っている。第2の歯車23は、遊星キャリア12と共に回転するように、遊星キャリア12に結合され、好ましくは固定されている。好ましくは、第1の歯車22は、第2の歯車23の直径よりも大きい直径を有する。
【0112】
図5に示す実施形態では、第3の歯車24は、出力スプロケット3と共に回転するように、出力スプロケット3または出力スプロケット3に固定された中空シャフトに結合され、好ましくは固定されている。第3の歯車24は、第4の歯車28と噛み合っている。第4の歯車28は、リングギア11と共に回転するようにリングギア11に結合され、好ま
しくは固定されている。好ましくは、第3の歯車24は、第4の歯車28の直径よりも大きい直径を有する。
【0113】
通常の動作では、本発明の第2の実施形態によるパワートレインは以下のように動作する。クランク軸2および第2のモータ50は、遊星キャリア12を駆動する。遊星キャリア12は、遊星歯車セットの最初の入力である。第1のモータ40は、遊星歯車セットの第2の入力である太陽歯車13を駆動する。太陽歯車13は、遊星キャリア12を駆動する。遊星キャリア12は、遊星歯車セットの出力であるリングギア11を駆動する。リングギア11は、出力スプロケット3を駆動する。
【0114】
好ましくは、本発明の第2の実施形態によるパワートレイン1は、たとえモータ40、50が稼働していない場合でも、クランク軸2から出力スプロケット3への完全に機械的な動力伝達を可能にするための機能などを有するワンウェイクラッチ71を含む。好ましくは、第1のワンウェイクラッチ71は、クランク軸2と出力スプロケット3との間に配置される。第1のワンウェイクラッチ71は、第1のモータ40のロータと第1のモータ40のモータハウジングとの間に位置することも可能である。
【0115】
さらに、本発明の第2の実施形態によるパワートレイン1は、第2のモータ50がクランク軸2を駆動することを防止する機能などを有する第2のワンウェイクラッチを含むことができる。
【0116】
本発明によるパワートレインの配置は、国際公開第2013/160477号パンフレットに記載されているパワートレインの変形例または既知のパワートレインの他の変形例と互換性があることは興味深いことである。
【0117】
図6は、パワートレイン101の別の例を示している。これは、国際公開第2016/034574号の図6を参照して説明したパワートレインに非常に似ている。本文書の図6に示されるパワートレインの特異性は、クランク軸105と遊星歯車セット106との間の接続が、ベルト104またはチェーンを介して連結された大きな歯車103と、小さな歯車102とを介して行われることである。
【0118】
言い換えると、本発明は、ペダル車両用のパワートレイン1について言及している。パワートレイン1は、クランク軸2と、第1の回転軸25を中心に回転する出力スプロケット3とを含む。クランク軸2と出力スプロケット3との間の結合は、第1の回転軸25に関して空間的にずらされた第2の回転軸15の周りを回転するリングギア11、遊星キャリア12および太陽歯車13を含む遊星歯車セットを通る。
【0119】
本発明を特定の実施形態に関連して説明してきたが、これらは純粋に例示的な値を有するものであり、限定するものと見なすべきではない。概して、本発明は、上記で例示および/または説明された例に限定されない。「備える(comprise)」、「含む(include)」、「包含する(contain)」などの動詞およびそれらの活用形の使用は、言及した要素以外の要素の存在を決して排除するものではない。要素を始めて取り入れるための不定冠詞「a」、「an」、または定冠詞「the」の使用は、これらの要素が複数存在することを排除するものではない。請求項の参照番号は、その範囲を制限するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6