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特許7319266血管内流体移動デバイス、システム、および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】血管内流体移動デバイス、システム、および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/808 20210101AFI20230725BHJP
   A61M 60/13 20210101ALI20230725BHJP
   A61M 60/139 20210101ALI20230725BHJP
   A61M 60/178 20210101ALI20230725BHJP
   A61M 60/221 20210101ALI20230725BHJP
   A61M 60/237 20210101ALI20230725BHJP
   A61M 60/414 20210101ALI20230725BHJP
   A61M 60/50 20210101ALI20230725BHJP
   A61M 60/81 20210101ALI20230725BHJP
   A61M 60/861 20210101ALI20230725BHJP
   A61M 60/865 20210101ALI20230725BHJP
【FI】
A61M60/808
A61M60/13
A61M60/139
A61M60/178
A61M60/221
A61M60/237
A61M60/414
A61M60/50
A61M60/81
A61M60/861
A61M60/865
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020526316
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 US2018060815
(87)【国際公開番号】W WO2019094963
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】62/585,155
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/634,769
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/607,878
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512052029
【氏名又は名称】シファメド・ホールディングス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】サラヒエ,アムル
(72)【発明者】
【氏名】ソール,トム
(72)【発明者】
【氏名】エッシュ,ブレディ
(72)【発明者】
【氏名】ケルロ,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルデブラント,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】バルガイ,ダニエル
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0303831(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0030649(US,A1)
【文献】国際公開第2017/159849(WO,A1)
【文献】特表2009-530041(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00764448(EP,A2)
【文献】特開2014-091049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/00-60/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内血液ポンプであって、前記血管内血液ポンプが:
流体ルーメンを備える折り畳み可能なハウジングであって、前記流体ルーメンが遠位端および近位端を有する、折り畳み可能なハウジングと;
折り畳み可能な近位側羽根車から軸方向において離間される折り畳み可能な遠位側羽根車であって、前記遠位側羽根車および前記近位側羽根車の少なくとも一部分が軸方向において前記流体ルーメンの前記遠位端と前記近位端との間に配置される、折り畳み可能な遠位側羽根車と
を備え、
前記遠位側羽根車が拡大状態において拡大形態を有し、前記近位側羽根車が拡大状態において拡大形態を有し、
前記遠位側羽根車の前記拡大形態が前記近位側羽根車の前記拡大形態とは異なり、
前記近位側羽根車が遠位端を有し、前記遠位側羽根車が近位端を有し、前記近位側羽根車の前記遠位端と前記遠位側羽根車の前記近位端との間の距離は、前記折り畳み可能なハウジングの長手方向軸に沿って、2cmから7cmである、
血管内血液ポンプ。
【請求項2】
前記折り畳み可能な遠位側羽根車が遠位側ブレードを有し、前記近位側羽根車が近位側ブレードを有し、前記遠位側ブレードが前記近位側ブレードとは異なるピッチを有する、請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項3】
前記遠位側ブレードが複数の遠位側ブレードのうちの1つの遠位側ブレードであり、前記近位側ブレードが複数の近位側ブレードのうちの1つの近位側ブレードであり、前記複数の遠位側ブレードが前記複数の近位側ブレードの各々とは異なるピッチを有する、請求項2に記載の血液ポンプ。
【請求項4】
前記近位側羽根車が、主として遠心方向の流れを提供するように、形作られ、寸法決定され、および配置され、前記遠位側羽根車が、主として軸方向の流れを提供するように形作られおよび寸法決定される、請求項2に記載の血液ポンプ。
【請求項5】
遠位側羽根車および近位側羽根車が流体を同じ方向に移動させるように適合および構成される、請求項1に記載の血液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、あらゆる目的のために参照によりその開示が本明細書に完全に組み込まれる以下の米国仮特許出願:2017年11月13日に出願された米国仮特許出願第62/585,155号;2017年12月19日に出願された米国仮特許出願第62/607,878号;および2018年2月23日に出願された米国仮特許出願第62/634,769号の優先権を主張するものである。
参照による組み込み
[0002]本明細書で言及されるすべての刊行物および特許出願は、各々の個別の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることを具体的にかつ個別に示されるような場合と同様の程度で、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0003]心臓病を有する患者は心臓および脈管構造を通って流れる血流を運ぶ能力を大幅に低下させている可能性があり、それにより例えば、バルーン血管形成術およびステント送達などの矯正手技中に有意なリスクを呈する可能性がある。特には矯正手技中においてこれらの患者の心臓流出路の容積または安定性を改善するための手法に対する需要が存在する。
【0003】
[0004]大動脈内バルーンポンプ(IABP:Intra-aortic balloon pump)が、心不全患者を治療するなど、循環機能を支援するのに通常使用される。IABPを使用することは、高リスク経皮的冠動脈インターベンション(HRPCI:high-risk percutaneous coronary intervention)中に患者を支援すること、心臓性ショックの後で患者の血流を安定させること、急性心筋梗塞(AMI:acute myocardial infarction)を患っている患者を治療すること、または非代償性心不全を治療することなどの、心不全患者の治療において一般的なものである。このような循環支援は単独でまたは薬理学的治療と共に利用され得る。
【0004】
[0005]IABPは、通常、大動脈内に配置されて心収縮に対して逆拍動のかたちで膨張および収縮させられることにより、機能する。機能のうちの1つは、循環系に対して追加の支援を行うことである。
【0005】
[0006]より最近では、心臓系に接続されるかたちで身体内に挿入され得る最小侵襲的回転血液ポンプが開発されており、患者の心臓の左側の生来の血液圧送能力を向上させることを目的として左心室から大動脈の中に動脈血を圧送することなどを行う。別の知られている方法として、患者の心臓の右側の生来の血液圧送能力を向上させることを目的として右心室から肺動脈まで静脈血を圧送するということもある。全体的な目的は、心臓に追加的なストレスを与える可能性がある医療手技中などにおいて、患者の心臓筋の仕事量を低減して患者を安定させること、心臓移植の前に患者を安定させること、または患者を継続的に支援すること、である。
【0006】
[0007]現在利用可能な最小の回転血液ポンプは、外科的介入を必要としないようにするためにアクセスシースを通して、または血管アクセスグラフトを通して、患者の脈管構造の中に経皮的に挿入され得る。この種類のデバイスの呼称は、経皮的に挿入される心室補助デバイスである。
【0007】
[0008] 心室補助デバイスおよび低下した心臓血流を治療するための同様の血液ポンプの分野において追加的な改善を実現することが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0009]本開示の一態様は血管内血液ポンプであり、この血管内血液ポンプが、流体ルーメンを備えるハウジング(任意選択で、折り畳み可能である)であって、流体ルーメンが遠位端(任意選択で、流入路に隣接する)および近位端(任意選択で、流出路に隣接する)を有する、ハウジングと;近位側羽根車(任意選択で、折り畳み可能である)から軸方向において離間される遠位側羽根車(任意選択で、折り畳み可能である)であって、遠位側羽根車および近位側羽根車の少なくとも一部分が軸方向において流体ルーメンの遠位端と近位端との間に配置される、遠位側羽根車と、を備え、遠位側羽根車が拡大状態において拡大形態を有し、近位側羽根車が拡大状態において拡大形態を有し、遠位側羽根車の拡大形態が近位側羽根車の拡大形態とは異なる。
【0009】
[0010]遠位側羽根車が遠位側ブレードを有することができ、近位側羽根車が近位側ブレードを有することができ、遠位側ブレードが近位側ブレードとは異なるピッチを有する。遠位側ブレードが複数の遠位側ブレードのうちの1つの遠位側ブレードであってよく、近位側ブレードが複数の近位側ブレードのうちの1つの近位側ブレードであってよく、複数の遠位側ブレードが複数の近位側ブレードの各々とは異なるピッチを有することができる。
【0010】
[0011]近位側羽根車が、主として遠心方向の流れを提供するように、形作られ、寸法決定され、および配置され得、遠位側羽根車が、主として軸方向の流れを提供するように形作られおよび寸法決定され得る。
【0011】
[0012]遠位側羽根車および近位側羽根車が流体を同じ方向に移動させるように適合および構成され得る。
【0012】
[0013]本開示の一態様は血管内血液ポンプであり、この血管内血液ポンプが:流体ルーメンを備えるハウジング(任意選択で、折り畳み可能である)であって、流体ルーメンが遠位端(任選選択で、流入路に隣接する)および近位端(任意選択で、流出路に隣接する)を有する、ハウジングと;近位側羽根車(任意選択で、折り畳み可能である)から軸方向において離間される遠位側羽根車(任意選択で、折り畳み可能である)であって、遠位側羽根車の少なくとも一部分が軸方向において流体ルーメンの遠位端と近位端との間に配置される、遠位側羽根車と、を備え、ハウジングが拡大形態にあって近位側羽根車が拡大形態にあるとき、近位側羽根車の近位端が流体ルーメンの近位端の近位側に配置される。
【0013】
[0014]折り畳み可能なハウジングが拡大形態にあって折り畳み可能な遠位側羽根車が拡大形態にあるとき、遠位側羽根車の遠位端が遠位端のさらに遠位側に配置されない。
【0014】
[0015]本開示の一態様は血管内血液ポンプを被術者の中に配置する方法であって、この方法が:ポンプを収容する流体ルーメンの第1の端部を左心室の中に配置することと;血液ポンプの遠位側羽根車を左心室の中に配置することと;血液ポンプの近位側羽根車を上行大動脈の中に配置することと;ポンプを収容する流体ルーメンの第2の端部を上行大動脈の中に配置することと;大動脈弁に跨るように流体ルーメンの中央領域の少なくとも一部分を配置することであって、中央領域が近位側羽根車の遠位端と遠位側羽根車の近位端との間を延在する、配置することと;左心室の中に配置される流体ルーメンの第1の端部と上行大動脈の中に配置される流体ルーメンの第2の端部との間に流路を作ることであって、その結果、遠位側羽根車および近位側羽根車が流体ルーメンを通して血液を圧送することができる、流路を作ることと、を含む。
【0015】
[0016]この方法が、遠位側羽根車を起動することにより遠位側羽根車のところに軸方向流れを作ることと、近位側羽根車を起動することにより遠心方向構成要素および軸方向構成要素を有する流れを流出路のところに生じさせることと、をさらに含むことができる。
【0016】
[0017]本開示の一態様は血管内血液ポンプであり、この血管内血液ポンプが、流体ルーメンを備えるハウジングであって、流体ルーメンが遠位端および近位端を有する、ハウジングと;近位側羽根車から軸方向において離間される遠位側羽根車であって、遠位側羽根車および近位側羽根車の少なくとも一部分が軸方向において流体ルーメンの遠位端と近位端との間に配置される、遠位側羽根車と、;遠位端を有する近位側羽根車および近位端を有する遠位側羽根車と、を備え、近位側羽根車の遠位端と遠位側羽根車の近位端との間の流体ルーメンの長さは、ハウジングの長手方向軸に沿って1.5cmから25cmである。いくつかの例示の実施形態では、この距離は、2cmから20cm、2cmから15cm、2cmから10cm、2cmから8cm、2cmから7cm、または2cmから6cmであってよい。
【0017】
[0018]ハウジングが折り畳み可能なハウジングであってよく、近位側羽根車が折り畳み可能な羽根車であってよく、遠位側羽根車が折り畳み可能な羽根車であってよい。
【0018】
[0019]血液ポンプが、軸方向において近位側羽根車と遠位側羽根車との間に配置される少なくとも1つのフローディフューザをさらに備えることができ、少なくとも1つのフローディフューザが、遠位側羽根車と近位側羽根車との間において流体ルーメンの中の流体の渦を低減するように構成される。
【0019】
[0020]本開示の一態様が血管内血液ポンプであり、この血管内血液ポンプが:流体ルーメンの第1の端部および流体ルーメンの第2の端部から延在する流体ルーメンを備える折り畳み可能なハウジングと;折り畳み可能な近位側羽根車から軸方向において離間される折り畳み可能な遠位側羽根車であって、折り畳み可能な遠位側羽根車および折り畳み可能な近位側羽根車の少なくとも一部分が軸方向において流体ルーメンの流体ルーメンの第1の端部と流体ルーメンの第2の端部との間に配置される、折り畳み可能な遠位側羽根車と、;遠位端を有する近位側羽根車および近位端を有する遠位側羽根車と、;軸方向において近位側羽根車の遠位端と遠位側羽根車の近位端との間に配置される少なくとも1つのフローディフューザと、を備え、少なくとも1つのフローディフューザは、遠位側羽根車と近位側羽根車との間において流体ルーメンの中の流体の渦を低減するように構成される。
【0020】
[0021]近位側羽根車の遠位端と遠位側羽根車の近位端との間の距離は、折り畳み可能なハウジングの長手方向軸に沿って、1.5cmから25cmである。この距離は、2cmから20cm、2cmから15cm、2cmから10cm、2cmから8cm、2cmから7cm、または2cmから6cmであってよい。
【0021】
[0022]折り畳み可能なハウジングが、拡大状態において、近位側羽根車の遠位端と遠位側羽根車の近位端との間において折り畳み可能なハウジングの中に形成される湾曲部を有することができ、ここでは、湾曲部の遠位側のハウジングの遠位側領域が、軸に沿って湾曲部の近位側にあるハウジングの近位側領域に軸方向において位置合わせされない。
【0022】
[0023]本開示の一態様が血管内血液ポンプであり、この血管内血液ポンプが、遠位端から近位端まで延在する流体ルーメンを備える折り畳み可能なハウジングと;折り畳み可能な近位側羽根車から軸方向において離間される折り畳み可能な遠位側羽根車であって、折り畳み可能な遠位側羽根車および折り畳み可能な近位側羽根車の少なくとも一部分が軸方向において流体ルーメンの遠位端と近位端との間に配置される、折り畳み可能な遠位側羽根車と、;遠位端を有する近位側羽根車および近位端を有する遠位側羽根車と、を備え、ハウジングは、拡大状態において、近位側羽根車の遠位端と遠位側羽根車の近位端との間においてハウジングの中に形成される湾曲部を有し、その結果、湾曲部の遠位側のハウジングの遠位側領域が、軸に沿って湾曲部の近位側にあるハウジングの近位側領域に軸方向において位置合わせされない。
【0023】
[0024]血液ポンプが、軸方向において近位側羽根車と遠位側羽根車との間に配置される少なくとも1つのフローディフューザをさらに有することができ、少なくとも1つのフローディフューザが、遠位側羽根車と近位側羽根車との間において流体ルーメンの中の流体の渦を低減するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】[0025]導管と、複数の羽根車と、拡大可能部材とを有する例示の作用部分を示す側面図である。
図2】[0026]導管と、複数の羽根車と、複数の拡大可能部材とを有する例示の作用部分を示す側面図である。
図3A】[0027]導管と、複数の羽根車と、複数の拡大可能部材とを有する例示の作用部分を示す図である。
図3B】導管と、複数の羽根車と、複数の拡大可能部材とを有する例示の作用部分を示す図である。
図3C】導管と、複数の羽根車と、複数の拡大可能部材とを有する例示の作用部分を示す図である。
図3D】導管と、複数の羽根車と、複数の拡大可能部材とを有する例示の作用部分を示す図である。
図4】[0028]導管と、複数の拡大可能部材と、複数の羽根車とを有する作用部分の例示の配置を示す図である。
図5】[0029]例示の作用部分を示す図である。
図6A】[0030]図6Aは、ポンプ部分を有する例示の医療デバイスの少なくとも一部分を示す図であり、少なくとも2つの異なる羽根車が異なる速度で回転し得る。
図6B】[0031]図6Bは、ポンプ部分を有する例示の医療デバイスの少なくとも一部分を示す図であり、少なくとも2つの異なる羽根車が異なる速度で回転し得る。
図6C】[0032]図6Cは、異なるピッチを有する少なくとも2つの羽根車を備えるポンプ部分を有する例示の医療デバイスの少なくとも一部分を示す図である。
図7】[0033]ポンプ部分を有する例示の医療デバイスの少なくとも一部分を示す図である。
図8】[0034]隣接する羽根車の間においてその中に形成される湾曲部を備える、複数の羽根車を備えるポンプ部分を示す図である。
図9】[0035]複数の羽根車を備えるポンプ部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[0036]本開示は、医療デバイスと、システムと、使用および製造の方法とに関連する。本明細書の医療デバイスが生理学的脈管内の配置されるように適合される遠位側作用部分を有することができ、遠位側作用部分が、流体に作用する1つまたは複数の構成要素を有する。例えば、本明細書の遠位側作用部分が、回転時に血液などの流体の移動を促進することができる1つまたは複数の回転部材を有することができる。
【0026】
[0037]システム、デバイス、または使用方法の態様に関連する本明細書の開示のうちの任意の開示が、本明細書の任意適切な他の開示に組み込まれ得る。例えば、デバイスまたは方法の1つの態様のみを説明する図は、本開示の1つの部品またはいずれかの部品の記述において具体的に記載されない場合でも、他の実施形態に含まれ得る。したがって、特に明記しない限り、本開示の異なる部分の組み合わせが本明細書に含まれることを理解されたい。
【0027】
[0038]図1はポンプ部分1600を有する例示の血管内流体ポンプの遠位側部分を示す側面図であり、ここでは、ポンプ部分1600が近位側羽根車1606および遠位側羽根車1616を有し、近位側羽根車1606および遠位側羽根車1616の両方が駆動ケーブル1612に動作可能に接続される。図1ではポンプ部分1600が拡大形態であるが、低プロフィールで送達され得るようにするために、送達形態となるように折り畳まれるように適合される。羽根車が駆動ケーブル1612に取り付けられ得る。駆動ケーブル1612が図示されない外部モータに動作可能に接続され、細長いシャフト1610を通って延在する。「ポンプ部分」および「作用部分」というフレーズ(または、それらの派生語)は、別途指示されない限り、本明細書では代替可能に使用され得る。限定しないが、例えば、「ポンプ部分」1600は本明細書では「作用部分」と称されてもよい。
【0028】
[0039]ポンプ部分1600が、近位側羽根車1606の近位端より近位側に延在する近位端1620と、遠位側羽根車1616の遠位端より遠位側に延在する遠位端1608とをこの実施形態では有する拡大可能部材1602をさらに有する。拡大可能部材1602が、羽根車の軸方向長さに沿って、羽根車の径方向外側に配置される。拡大可能部材1602が、折り畳み可能および拡大可能となるように、医療技術分野で知られている多くの種類の拡大可能構造と同様の手法で構築され得、またそれらと同様の材料から作られ得る。これらの手法または方法の実施例が本明細書で提供される。適切な材料の例には、限定しないが、ポリウレタンおよびポリウレタンエラストマが含まれる。
【0029】
[0040]ポンプ部分1600が拡大可能部材1602に結合される導管1604をさらに有し、拡大可能部材1602が長さLを有し、羽根車の間を軸方向に延在する。導管1604が2つの羽根車の間に流体ルーメンを形成して提供する。使用時、流体が、導管1604によって提供されるルーメンを通って移動する。本明細書の導管は不透過性であるか、あるいはルーメンを画定することができる限りにおいては、半透過性であってもよいかまたはさらには多孔性であってもよい。また、特に明記しない限り、本明細書の導管は可撓性である。本明細書の導管が、ポンプ部分の少なくとも一部分の周りを完全に(つまり、360度で)延在する。ポンプ部分1600内で、導管が拡大可能部材1602の周りを完全に延在するが、拡大可能部材1602の近位端1602または遠位端1608までは延在しない。拡大可能部材の構造が、流入「I」を可能にするための少なくとも1つの入口アパーチャと、流出「O」を可能にするための少なくとも1つの流出アパーチャとを作る。導管1604が、導管を有さない場合に作用部分1600が有することになる動力学と比較して、羽根車の圧送の動力学を改善する。
【0030】
[0041]拡大可能部材1602が多様な構成を有することができ、多様な材料から作られ得る。例えば、拡大可能部材1602は、拡大可能ステントまたはステント状デバイスのように、あるいは本明細書で提供される任意の他の例のように、形成され得る。限定しないが、例えば、拡大可能部材1602が、24個の端部を有する網(24-end braid)などの開いた網状の構成を有してもよい。しかし、より多くのまたは少ない編み込みのワイヤーが使用されてもよい。拡大可能部材のための例示の材料には、ニチノール、コバルト合金、およびポリマーが含まれる。しかし、他の材料が使用されてもよい。拡大可能部材1602が示されるような拡大形態を有し、ここでは、羽根車の間を軸方向に延在する拡大可能部材の中央領域1622の最外寸法と比較して、少なくとも、拡大可能部材が羽根車の径方向外側に配置されるところの領域の拡大可能部材の最外寸法(作用部分の長手方向軸を基準として直角に測定される)の方が大きい。駆動ケーブル1612がこの実施形態では長手方向軸と同軸である。使用時、中央領域が大動脈弁などの弁を跨るように配置され得る。いくつかの実施形態では、拡大可能部材1602が、拡大可能部材内で羽根車が軸方向に存在するところでは12~24F(4.0~8.0mm)の最外寸法まで拡大するように、かつ羽根車の間の中央領域1622内で10~20F(3.3~6.7mm)の最外寸法まで拡大するように、適合されて構築される。中央領域の外側寸法が小さいことで、弁に作用する力を低減することができ、それにより弁に対するダメージを低減するかまたは最小にすることができる。羽根車の領域での拡大可能部材の寸法が大きいことで、使用時に作用部分を軸方向において安定させるのを補助することができる。拡大可能部材1602が概略ダンベル構成を有する。拡大可能部材1602が、羽根車領域から中央領域1622へと移行するところでテーパ状となりさらには拡大可能部材1602の遠位端および近位端のところでもやはりテーパ状となる外側形態を有する。
【0031】
[0042]拡大可能部材1602がシャフト1610に結合される近位端1620と、遠位側先端部1624に結合される遠位端1608とを有する。羽根車および駆動ケーブル1612が、拡大可能部材と導管との組立体の中で回転する。駆動ケーブル1612が遠位側先端部1624を基準として軸方向において安定させられるが、遠位側先端部1624を基準として自由に回転することができる。
【0032】
[0043]いくつかの実施形態では、拡大可能部材1602が、拡大可能部材にかかる端から端までの引張張力(pulling tension)によって折り畳まれ得る。これには、折り畳まれた状態での外側寸法を有するような折り畳み構成となるまで拡大可能部材1602を軸方向に伸ばすような線形の動きが含まれてよい(限定しないが、例えば、5~20mmだけ移動するなど)。また、拡大可能部材1602は、拡大可能部材/導管の組立体の上でシースなどの外側シャフトを押し込んでそれにより折り畳み状態の送達形態となるように拡大可能部材および導管を折り畳むことによっても、折り畳まれ得る。
【0033】
[0040]羽根車1606および1616はまた、縮小した最外寸法(作用部分の長手方向軸に対して直角に測定される)となるように1つまたは複数のブレードを伸ばすかまたは径方向に圧縮させるように、適合されて構築される。限定しないが、例えば、本明細書の羽根車のうちの任意の羽根車が、米国特許第7,393,181号で説明される羽根車のうちの任意の羽根車などのように、ばね特性を有するプラスチック配合物から作られる1つまたは複数のブレードを有することができる。米国特許第7,393,181号の開示が参照により本明細書に組み込まれ、また本開示により別の意味で示されない限りにおいて本明細書の実施形態に組み込まれ得る。別法として、例えば、1つまたは複数の折り畳み可能な羽根車が、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,533,716号で説明されるようなワイヤーフレームなどの、ワイヤーフレームに交差するウェビングとして機能するポリマーまたは他の材料を有する超弾性ワイヤーフレームを備えることができる。
【0034】
[0045]作用部分1600の流入形態および/または流出形態は大部分が本質的に軸方向であってよい。
[0046]医療デバイスを折り畳んだり拡大したりするための、例示の、被覆物の中に収容する(sheathing)および被覆物から出す(unsheathing)手法および概念は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,841,976号または米国特許第8,052,749号で説明されて示される手法および概念などから、知られている。
【0035】
[0047]図2は、流体移動システムの例示の実施形態の遠位側部分の配備構成(体外で示される)を示す側面図である。例示のシステム1100が、作用部分1104(本明細書に記載されるように本明細書ではポンプ部分とも称され得る)と、作用部分1104から延在する細長い部分1106とを有する。細長い部分1106が、簡潔さのための図示されないシステムのさらに近位側の領域まで延在してよく、このさらに近位側の領域が例えばモータを有することができる。作用部分1104が、作用部分1104の長手方向軸LAに沿って軸方向において離隔される、第1の拡大可能部材1108および第2の拡大可能部材1110を有する。本文脈の軸方向において離隔されるとは、第1の拡大可能部材の全体が、作用部分1104の長手方向軸LAに沿って、第2の拡大可能部材の全体から軸方向において離隔される、ことを意味する。第1の拡大可能部材1108の第1の端部1122が第2の拡大可能部材1110の第1の端部1124から軸方向において離隔される。
【0036】
[0048]第1の拡大可能部材1108および第2の拡大可能部材1110の各々が、概して、複数のアパーチャ1130を画定するように互いを基準として配置される複数の細長いセグメントを有する。第2の拡大可能部材1110内の、複数のアパーチャ1130のうちの1つのアパーチャのみに参照符号が付される。拡大可能部材が多種多様な構成を有することができ、多種多様な手法で構築され得、これは、限定しないが、例えば、米国特許第7,841,976号の構成または構築のうちの任意の構成または構築などであるか、または自己拡大する金属の内部人工装具材料として説明される、米国特許第6,533,716号のチューブなどである。限定しないが、例えば、拡大可能部材の一方または両方が網状形態を有することができるか、または管状要素をレーザ切断することにより少なくとも部分的に形成され得る。
【0037】
[0049]作用部分1104が、第1の拡大可能部材1108および第2の拡大可能部材1110に結合されて配備形態において軸方向において第1の拡大可能部材1108と第2の拡大可能部材との間を延在する導管1112をさらに有する。導管1112の中央領域1113が一定の軸方向距離1132に跨るように延びており、ここでは作用部分が第1の拡大可能部材1108および第2の拡大可能部材1110を有さない。中央領域1113は軸方向において拡大可能部材の間にあるとみなされてよい。導管1112の遠位端1126は第2の拡大可能部材1110の遠位端1125の程度までは遠位側に延在せず、導管の近位端1128は第1の拡大可能部材1108の近位端1121の程度までは近位側に延在しない。
【0038】
[0050]本明細書の開示が拡大可能部材に結合される導管に言及する場合、本文脈での結合されるという用語は、導管が拡大可能部材に直接に取り付けられてその結果として導管が拡大可能部材に物理的に接触する、ということを必要としない。しかし、直接に取り付けられない場合でも、本文脈での結合されるという用語は、拡大可能部材が拡大するかまたは折り畳まれるときに導管も異なる構成および/またはサイズへと移行し始めることになるように、導管および拡大可能部材が一体に接合される、ことを意味する。したがって、本文脈での結合されるとは、導管を結合している拡大可能部材が拡大形態と折り畳み形態との間で移行する場合に導管が移動することになる、ことを意味する。
【0039】
[0051]本明細書の導管のうちの任意の導管がある程度まで変形可能であってよい。例えば、導管1112が、図2に示される形態の方へと作用部分1104が配備されるときの、例えば使用時の弁組織(例えば、小葉)または代替の弁からの力に反応して、導管の中央領域1113を径方向内側(LAに向かう方向)へとある程度で変形させるのを可能にする1つまたは複数の材料で作られてよい細長い部材1120を有する。いくつかの実施形態では、導管が拡大可能部材の間で強固に伸ばされ得る。別法として、導管は、適合性を向上させるような緩みを有するように設計されてもよい。これは、大動脈弁などの脆弱な構造に跨って作用部分が配置される場合に所望される可能性があり、それにより弁内の点応力(point stress)を最小にするようなかたちで弁が導管を圧縮するのを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、導管が、近位側拡大可能部材および遠位側拡大可能部材に取り付けられる膜を有することができる。本明細書の任意の導管のために使用され得る例示の材料には、限定しないが、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、延伸ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートが含まれ、これには、その任意の組み合わせも含まれる。
【0040】
[0052]本明細書の導管のうちの任意の導管が、例えば、25.4μm(1thou)から381μm(15thou)まで、38.1μm(1.5thou)から381μm(15thou)まで、38.1μm(1.5thou)から254μm(10thou)まで、または50.8μm(2thou)から254μm(10thou)まで、といったように、127~508μm(5~20thousandths of an inch(thou))の厚さを有することができる。
【0041】
[0053]本明細書の導管のうちの任意の導管、または導管の少なくとも一部分が、血液に対して不透過性であってよい。図2では、作用部分1104が、導管1112の遠位端1126から導管1112の近位端1128まで延在するルーメンを有する。このルーメンは中央領域1113内では導管1112によって画定されるが、軸方向において中央領域1113に隣接する領域では、導管と、拡大可能部材の一部分と、の両方によって画定されるとみなされてよい。しかし、この実施形態では、ルーメンを存在させるものは導管の材料であり、この導管の材料が血液が導管を通過するのも防止する。
【0042】
[0054]1つまたは複数の拡大可能部材に固着される本明細書の導管のうちの任意の導管は、別の意味で示されない限りにおいて、1つまたは複数の拡大可能部材の径方向外側にまたは1つまたは複数の拡大可能部材の径方向内側にあるいはその両方に導管が配置されることになるように、固着され得、拡大可能部材が導管材料で充填されてよい。
【0043】
[0055]近位側拡大可能部材および遠位側拡大可能部材が、ルーメンを作るために導管を開いた構成で維持するのを補助し、一方で後で説明するように各々が羽根車のための作動環境も作る。配備形態時、拡大可能部材の各々が、それぞれの羽根車を基準として離隔される関係で維持され、それにより羽根車が拡大可能部材に接触することなく拡大可能部材内で回転するのを可能にする。作用部分1104が第1の羽根車1116および第2の羽根車1118を有し、第1の羽根車1116が第1の拡大可能部材1108内で径方向に配置され、第2の羽根車1118が第2の拡大可能部材1110内で径方向に配置される。この実施形態では、2つの羽根車が、別個の分離される羽根車ではあるが、共通の駆動機能(例えば、駆動ケーブル1117)に動作可能に接続され、その結果、駆動機能が作動されるときに2つの羽根車が一体に回転するようになる。この配備形態では、軸方向において拡大可能部材1108および1110が離隔されるのとちょうど同じように、羽根車1116および1118が長手方向軸LAに沿って軸方向において離隔される。
【0044】
[0056]羽根車1116および1118は、それぞれ、拡大可能部材1108および1110の端部の中で軸方向にも存在する(拡大可能部材1108および1110内で径方向に存在することに加えて)。本明細書の羽根車は、拡大可能部材が拡大可能部材の中央領域から作用部分の長手方向軸に向かって延在するストラット(例えば、側面図においてテーパ状であるストラット)を有する場合であっても、拡大可能部材内で軸方向に存在するとみなされてよい。図2では、第2の拡大可能部材1110が第1の端部1124(近位端)から第2の端部1125(遠位端)まで延在する。
【0045】
[0057]図2では、羽根車1118の遠位側部分が導管1112の遠位端1126を越えて遠位側に延在し、羽根車1116の近位側部分が導管1112の近位側部分1128を越えて近位側に延在する。この図では、この配備構成において、各羽根車の一部分がこの導管内で軸方向に存在する。
【0046】
[0058]図2に示される例示の実施形態では、羽根車1116および1118が共通の駆動機能1117に動作可能に接続され、この実施形態では、羽根車の各々が駆動機構1117に結合され、駆動機構1117がシャフト1119および作用部分1104を通って延在する。駆動機能1117が、例えば、回転時に羽根車も回転させるような細長い駆動ケーブルであってよい。この実施例では、示されるように、駆動機構1117が遠位側先端部1114まで延在して軸方向において遠位側先端部1114を基準として固定されるが、駆動機構1117は作動時に遠位側先端部1114を基準として回転するようにも適合される。したがって、この実施形態では、駆動機構1117の回転時に、羽根車および駆動機構1117が一体に回転する。駆動機能を回転させるのに、モータ(外部モータ)を用いる機構などの、任意の数の知られている機構が使用されてよい。
【0047】
[0059]拡大可能部材および導管は、回転動作を可能とするようには羽根車および駆動機構に接続されない。この実施形態では、近位側拡大可能部材1108の近位端1121がシャフト1119に結合され、シャフト1119が細長い部分1106のシャフト(例えば、外側カテーテルシャフト)であってよい。近位側拡大可能部材1108の遠位端1122が中央管状部材1133に結合され、駆動機構1117が中央管状部材1133を通って延在する。中央管状部材1133が導管1112内の近位側拡大可能部材1108から遠位側に延在し、さらには遠位側拡大可能部材1110の近位端1124に結合される。したがって、駆動機構1117が中央管状部材1133の中で中央管状部材1133を基準として回転する。中央管状部材1133が近位側拡大可能部材1108から遠位側拡大可能部材1110まで軸方向に延在する。遠位側拡大可能部材1110の遠位端1125が示されるように遠位端1114に結合される。駆動機構1117は先端部1114を基準として回転するように適合されるが、軸方向において先端部1114に対して固定される。
【0048】
[0060]作用部分1104が、折り畳まれてその配備形態(図2に示される)よりも小さいプロフィールとなるように適合および構成される。これにより、作用部分1104が折り畳み可能ではない場合において必要となるよりも低プロフィールの送達デバイス(より小さいFrenchサイズ)を使用して作用部分1104を送達することが可能となる。本明細書で具体的に記述されない場合であっても、任意の拡大可能部材および羽根車がより小さい送達形態となるようにある程度まで折り畳み可能となるように適合および構成され得る。
【0049】
[0061]本明細書の作用部分は、作用部分を基準として移動可能である外側シースを用いる手法などの、従来の手法を使用して折り畳み状態の送達構成となるように折り畳まれ得る(例えば、シースおよび作用部分の一方または両方を軸方向に移動させることによる)。限定しないが、例えば、以下の参考文献で示される任意のシステム、デバイス、または方法が、本明細書の作用部分を折り畳むのを促進するのに使用され得る:その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7841,976号または米国特許第8,052,749号。
【0050】
[0062]図3A~3Eが、図2に示される作用部分にいくつかの点で類似する例示の作用部分を示している。作用部分340は、作用部分が拡大されるときに軸方向において互いから離隔される2つの拡大可能部材と、2つの拡大可能部材の間を延在する導管とを有するという点が作用部分1104に類似する。図3Aが斜視図であり、図3Bが側断面図であり、図3Cおよび3Dが図3Bの図の断面の拡大側断面図である。
【0051】
[0063]作用部分340が近位側羽根車341および遠位側羽根車342を有し、近位側羽根車341および遠位側羽根車342が駆動ケーブルに結合されかつ動作可能に接続され、駆動ケーブルがその中にルーメンを画定する。ルーメンが、作用部分を所望のロケーションまで送達するのに使用され得るガイドワイヤーを収容するようにサイズ決定され得る。駆動ケーブルが、この実施形態では、第1のセクション362(例えば、巻かれた状態の材料)と、近位側羽根車341を結合させるところの第2のセクション348(例えば、管状部材)と、第3のセクション360(例えば、巻かれた状態の材料)と、遠位側羽根車342を結合させるところの第4のセクション365(例えば、管状材料)とを有する。これらの駆動ケーブルのセクションのすべてが等しい内径を有し、その結果ルーメンが一定の内径を有することになる。これらの駆動ケーブルのセクションが知られている取り付け手法を使用して互いに固着され得る。第4のセクション365の遠位端が作用部分の遠位側領域まで延在し、それにより、作用部分を位置決めするために作用部分を例えばガイドワイヤー上で前進させるのを可能にする。この実施形態では、第2のセクションおよび第4のセクションが第1のセクションおよび第3のセクションより高い剛性を有してよい。例えば、第2のセクションおよび第4のセクションが管状であってよく、第1のセクションおよび第3のセクションが剛性を低減するために巻かれた状態の材料であってよい。
【0052】
[0064]作用部分340が、近位側拡大可能部材343と、遠位側拡大可能部材344とを有し、近位側拡大可能部材343および遠位側拡大可能部材344の各々が羽根車のうちの1つの羽根車の径方向外側を延在する。拡大可能部材が、図3B~3Dで見ることができるように、羽根車の遠位端および近位端を越えて軸方向に延在してもよい遠位端および近位端を有する。2つの拡大可能部材に対して導管356が結合され、導管356が近位端353および遠位端352を有する。2つの拡大可能部材の各々が、複数の近位側ストラットおよび複数の遠位側ストラットを有する。近位側拡大可能部材343の中の近位側ストラットがシャフトセクション345まで延在してシャフトセクション345に固着され、シャフトセクション345が軸受361に結合され、駆動ケーブルが軸受361を通って延在し、回転するように構成およびサイズ決定される。近位側拡大可能部材343の遠位側ストラットが中央管状部材346の近位側領域(この事例では、近位端)まで延在してこの近位側領域に固着され、中央管状部材346が軸方向において拡大可能部材の間に配置される。中央管状部材346の近位端が図3Cに示されるように軸受349に結合され、駆動ケーブルが軸受349を通って延在し、回転する。遠位側拡大可能部材344の近位側ストラットが中央管状部材346の遠位側領域(この事例では、遠位端)まで延在してこの遠位側領域に固着される。さらに、軸受350が図3Dに示されるように中央管状部材346の遠位側領域に結合される。駆動ケーブルが軸受350を通って延在し、軸受350を基準として回転する。遠位側拡大可能部材の遠位側ストラットがシャフトセクション347(図3Aを参照)まで延在してシャフトセクション347に固着され、シャフトセクション347が遠位端の一部分とみなされてよい。シャフトセクション347が軸受351(図3Dを参照)に結合され、駆動ケーブルが軸受351を通って延在し、軸受351を基準として回転する。遠位側先端部が、スラスト軸受であってよい軸受366(図3Dを参照)をさらに有する。本記述に明確に含まれていない場合であっても、作用部分340はいくつかの点において作用部分1104に類似してよいか等しくてよい。この実施形態では、導管356が、作用部分1104の場合とは異なり、少なくとも羽根車の端部と同じ程度のところまで延在する。いずれの実施形態も、他の実施形態に記載される位置まで導管を延在させるように、修正され得る。いくつかの実施形態では、セクション360が、巻かれた状態の代わりに、管状セクションであってもよい。
【0053】
[0065]代替的実施形態では、本明細書の羽根車のうちの任意の羽根車の少なくとも一部分が流体ルーメンの外側を延在する。例えば、羽根車の一部分のみが近位方向または遠位方向において流体ルーメンの端部を越えて延在してよい。いくつかの実施形態では、流体ルーメンの外側を延在する羽根車の一部分が羽根車の近位側部分であり、近位端を有する(例えば、図2の近位側羽根車を参照)。いくつかの実施形態では、流体ルーメンの外側を延在する羽根車の部分が羽根車の遠位側部分であり、遠位端を有する(例えば、図2の遠位側羽根車を参照)。本明細書の開示が流体ルーメンの外側を(つまり、端部を越えて)延在する羽根車に言及する場合、これは、図2などにおいて、側面図または上面図で最も容易に見ることができるような構成要素の軸方向の相対位置に言及することを意図される。
【0054】
[0066]しかし、流体ルーメンの別の端部のところにある第2の羽根車は流体ルーメンを越えて延在していなくてよい。例えば、例示の代替的デザインが、流体ルーメンの近位端を越えて近位側に延在する近位側羽根車(図2の近位側羽根車と同様)を有することができ、流体ルーメンが遠位側羽根車の遠位端を越えて遠位側に延在しない(図3のように)。別法として、遠位側羽根車の遠位端が流体ルーメンの遠位端を越えて遠位側に延在していてよいが、近位側羽根車の近位端が流体ルーメンの近位端を越えて近位側に延在しない。本明細書のポンプ部分のうちの任意のポンプ部分では、いずれの羽根車も流体ルーメンの端部を越えて延在しなくてよい。
【0055】
[0067]本明細書で特定の例示のロケーションが示され得るが、流体ポンプは身体内の多種多様なロケーションで使用可能となり得る。配置のためのいくつかの例示のロケーションには、弁に跨るように延びていることおよび弁の一方側または両側に配置されることといったような、大動脈弁または肺動脈弁の近傍が含まれ、また大動脈弁の事例では任意選択で、上行大動脈内に位置する一部分が含まれる。いくつかの他の実施形態では、例えば、ポンプが使用時にさらに下流に配置されてもよく、下行大動脈などの中に配置されてもよい。
【0056】
[0068]図4が、図2のシステム100からの作用部分1104の例示の配置を示している。図4に示される1つの相違点は、導管が図3A~3Dの場合のように少なくとも羽根車の端部と同じ程度のところまで延在することである。図4が、大動脈弁を跨るように定位置に配置される配備構成の作用部分1104を示している。作用部分1104が、示されるように、限定しないが、例えば、大腿動脈アクセス(知られているアクセス手技)を介して、送達され得る。簡潔さのために示されないが、システム100が外側シースまたは外側シャフトをさらに有することができ、大動脈弁の近くのロケーションまでの送達中に作用部分1104が外側シースまたは外側シャフトの中に配置される。シースまたはシャフトが近位側に移動させられ得(上行大動脈「AA」の方に向かい、左心室「LV」から離れる)、それにより作用部分1104を配備して拡大するのを可能にする。例えば、シースが第2の拡大可能部材1110を拡大するのを可能にするために後退させられ得、継続して近位側に移動することにより第1の拡大可能部材1108を拡大させるのを可能にする。
【0057】
[0069]この実施形態では、第2の拡大可能部材1110が拡大して配備形態として配置されており、その結果、遠位端1125が左心室「LV」の中にあり、大動脈弁小葉「LV」の遠位側にあり、さらには環状部分の遠位側にある。さらに、近位端1124が小葉「VL」の遠位側に配置されている。しかし、いくつかの実施形態では、近位端1124が小葉VL内で軸方向にわずかに延在してもよい。この実施形態は、その長さに沿って測定する(長手方向軸に沿って測定する)場合に第2の拡大可能部材1110の少なくとも半分を左心室の中の存在させるような方法の実施例である。さらに、示されるように、これは、第2の拡大可能部材1110の全体が左心室の中に存在するような方法の実施例でもある。また、これは、第2の羽根車1118の少なくとも半分が左心室の中に配置されるような方法の実施例でもあり、さらには第2の羽根車1118の全体が左心室の中に配置されるような実施形態でもある。
【0058】
[0070]外側シャフトまたは外側シースを継続して引っ込めることにより(および/または、外側シースまたは外側シャフトを基準として作用端部1104を遠位側に移動させることにより)、中央領域113が解放されて配備されるようになるまで、導管1112を解放することが継続される。拡大可能部材1108および1110が拡大することで、導管1112が図4に示されるようにより開いた構成となる。したがって、この実施形態では導管1112が拡大可能部材と等しい自己拡大特性を有さないが、作用端部の配備時に導管がより開いた配備構成をとるようになる。導管1112の中央領域1113の少なくとも一部分が大動脈弁との接合領域のところに配置される。図3では、小葉VLを越えて遠位側に延在する短い長さの中央領域1113が存在するが、中央領域1113の少なくとも一部分が軸方向において小葉の中に存在する。
【0059】
[0071]外側シャフトまたは外側シースを継続して引っ込めることにより(および/または、外側シースまたは外側シャフトを基準として作用端部1104を遠位側に移動させることにより)、第1の拡大可能部材1108が配備される。この実施形態では、第1の拡大可能部材1108が拡大されて配備構成として配置され(示されるように)、その結果、近位端1121が上行大動脈AA内に存在することになり、小葉「LV」の近位側にくることになる。さらに、遠位端1122が小葉VLの近位側に配置されているが、いくつかの方法では、遠位端1122が小葉VL内で軸方向にわずかに延在してもよい。この実施形態は、その長さに沿って測定する(長手方向軸に沿って測定する)場合に第1の拡大可能部材1110の少なくとも半分を上行大動脈内に存在させるような方法の実施例である。さらに、示されるように、これは、第1の拡大可能部材1110の全体がAAの中に存在するような方法の実施例でもある。また、これは、第1の羽根車1116の少なくとも半分がAAの中に配置されるような方法の実施例でもあり、さらには第1の羽根車1116の全体がAAの中に配置されるような実施形態でもある。
【0060】
[0072]作用部分1104を配備する間のまたは作用部分1104を配備した後の任意の時間で、作用部分のこの位置が、X線透視検査下などの任意の手法でアクセスされ得る。作用部分の位置は配備中または配備後の任意の時間で調整され得る。例えば、第2の拡大可能部材1110が解放された後であるが第1の拡大可能部材1108が解放される前において、作用部分1104が軸方向に移動させられ得(遠位側に、または近位側に)、それにより作用部分を再配置する。加えて、例えば、作用部分の全体がシースから解放されて所望の最終位置に達した後で、作用部分が再配置され得る。
【0061】
[0073]最初の配備の後で再配置が行われる場合であっても、図4に示される構成要素の位置(解剖学的構造を基準とする)が作用部分1104の多様な構成要素のための例示の最終位置としてみなされることを理解されたい。
【0062】
[0074]本明細書の1つまたは複数の拡大可能部材が、自己拡大すること、機械的作動を介すること(例えば、拡大可能部材にかかる1つまたは複数の軸方向の力を介すること、拡大可能部材内で径方向に配置されて膨張して拡大可能部材を径方向外側に押し込む別個のバルーンを用いて、拡大されること、など)、またはその組み合わせなどの、多様な手法で、拡大されるように構成され得、そのようなかたちで拡大され得る。
【0063】
[0075]本明細書で使用される拡大とは、一般に、1つまたは複数の構成要素が拡大されるときの具体的な手法に関係なく、より大きい径方向の最外寸法(長手方向軸を基準とする)を有するより大きいプロフィールへの再構成を意味するものである。例えば、自己拡大するおよび/または径方向外向きの力を受けるステントが、本明細書でこの用語が使用される場合と同じ意味として、「拡大」することができる。展開するかまたは広がるデバイスがより大きいプロフィールをとることができ、本明細書でこの用語が使用される場合と同じ意味として、拡大するとみなされ得る。
【0064】
[0076]羽根車が、同様に、その構成に応じた多様な手法で拡大されるように適合されて構成され得、そのようなかたちで拡大され得る。例えば、1つまたは複数の羽根車が、シースから解放されるとき、この羽根車のデザインの材料および/または構成を理由として、別のより大きいプロフィールの構成まで、またはそのような構成の方へ、自動で戻る(例えば、その両方が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,533,716号または米国特許第7,393,181号を参照されたい)。したがって、いくつかの実施形態では、外側拘束具を引っ込めることで、他の作動を一切用いずに、拡大可能部材および羽根車の両方をより大きいプロフィールの配備構成へと自然に戻すことが可能となる。
【0065】
[0077]図4の実施例で示されるように、作用部分が、大動脈弁のいずれかの側において離隔される第1および第2の羽根車を有し、第1および第2の羽根車の各々が別個の拡大可能部材内に配置される。これは、作用部分が単一の細長い拡大可能部材を有するようないくつかのデザインとは対照的である。弁の全体に跨って延在する単一の概略管状の拡大可能部材とは異なり、作用部分1104が、拡大可能部材1108および1110の間を延在する導管1112を有する。導管が拡大可能バスケットよりも高い可撓性および変形可能性を有し、それにより、拡大可能部材が大動脈弁小葉に跨るように延びている場合に起こるような小葉のロケーションのところでの作用部分のより大きい変形を可能にする。これは、被術者の中に作用部分が配備された後で小葉に与えるダメージを低減することができる。
【0066】
[0078]加えて、小葉から単一の拡大可能部材の中央領域にかかる力が拡大可能部材の他の領域まで軸方向に平行移動することができ、それにより可能性として1つまたは複数の羽根車のロケーションのところでの拡大可能部材の所望されない変形を引き起こす。これが外側拡大可能部材を羽根車に接触させる可能性があり、それにより羽根車の回転に望まれずに干渉することになる。各々の羽根車の周りの別個の拡大可能部材を有するデザインにより、また具体的には各拡大可能部材および各羽根車が両端部(すなわち、遠位端および近位端)のところで支持されるようなデザインにより、高いレベルの精度で拡大可能部材を基準として羽根車が配置されることになる。2つの別個の拡大可能部材が、単一の拡大可能部材と比較してより高い信頼性でその配備形態を維持することが可能となり得る。
【0067】
[0079]本明細書で上述したように、9Fのシースの中に送達され得るようにするために作用部分を再構成すること、ならびに配備および/または試験中に現在の一部の製品を用いる場合では不可能であるような十分な流量を使用時に達成することが可能であることが所望される可能性がある。例えば、一部の製品は十分に小さい送達プロフィールとなるように再構成されるには大きすぎる可能性があり、一方で一部の小型のデザインでは所望の高流量を達成することができない可能性がある。図1、2、3A~3D、および4の実施例の例示の利点は、例えば、第1および第2の羽根車が所望の流量を達成するために一体に働くことができこと、および、軸方向において離隔される2つの羽根車を有することで、作用部分の全体が、所望の流量を達成するために単一の羽根車を使用するようなデザインよりも小さい送達プロフィールへと再構成され得ること、である。したがって、これらの実施形態は、所望の小さい送達プロフィールさらには所望の高流量の両方を達成するために、軸方向において離隔されるより小さい再構成可能な複数の羽根車を使用するものである。
【0068】
[0080]したがって、本明細書の実施形態は、十分に高い流量を維持しながら小さい送達プロフィールを達成することができ、他方で作用部分のより高い変形可能性および可撓性を有する中央領域を作るものである。この実施形態の例示の利益が上に記述されている(例えば、ダメージを受けやすい弁小葉と連携するかたちで接触する)。
【0069】
[0081]図5が、図1に示される作用部分に類似する作用部分を示す。作用部分265が、近位側羽根車266と、遠位側羽根車267とを有し、近位側羽根車266および遠位側羽根車267の両方が駆動シャフト278に結合され、駆動シャフト278が遠位側軸受ハウジング272の中まで延在する。作用部分の近位端のところに類似の近位側軸受ハウジングが存在する。作用部分が、概して270として示される拡大可能部材と、拡大可能部材に固着されて拡大可能部材のほぼ全長に沿って延在する導管268とをさらに有する。拡大可能部材270が、遠位側先端部273に固着されるストラット支持体273まで延在してストラット支持体273に固着される遠位側ストラット271を有し、ストラット支持体273が遠位側先端部273に固着される。拡大可能部材270が、近位側ストラット支持体に固着される近位側ストラットをさらに有する。図1の構造部に類似のすべての構造部が、明確には記述されない場合であっても、参照によりこの実施形態に組み込まれる。拡大可能部材265が、拡大可能部材の周縁部に沿って配置される螺旋状テンション部材269をさらに有し、螺旋テンション部材269が示されるような拡大部材の拡大構成時に螺旋構成を有する。螺旋テンション部材269が、折り畳み時に回転式に巻く(rotation wrap)のを誘発するように配置および適合される。作用部分265が、拡大可能部材と相互作用することを理由として羽根車の渦巻き状の折り畳みを促進するために一方または両方の羽根車を比較的低い速度で回転させるのと同時に、示される拡大構成から折り畳まれ得る。螺旋テンション部材269(または、螺旋構成の拡大可能部材セル)が集合体のテンション部材として機能する。また、この螺旋テンション部材269は以下のことを目的として構成される:拡大可能バスケットを折り畳むためにその長手方向に沿って張力により拡大可能バスケットを引っ張るときに(例えば、約2倍の長さにするなどいったように、長い距離にわたって伸ばすことにより)、テンション部材269が直線的なアライメントとなるように引っ張られ、さらにそれにより折り畳み中に拡大可能部材の所望のセグメントが回転させられ/捻じられ、さらにそれにより、拡大可能部材およびブレードが折り畳まれるときに羽根車ブレードが径方向内側に巻かれるようになる。このようなテンション部材の例示の構成が、螺旋形態時に、折り畳み時の拡大可能部材の最大長さとほぼ等しい曲線構成を有することになる。代替的実施形態では、折り畳まれるときに、折り畳み可能な羽根車を包囲する拡大可能部材の一部分のみが回転させられる。
【0070】
[0082]伸ばすことにより(ひいては、羽根車ブレードを巻いて折り畳むことにより)折り畳まれるときに拡大可能部材を回転させることになるように作用部分を構築するための代替の手法が存在する。二重の羽根車のデザインであっても、任意の拡大可能部材がこのような構造部を有するように構築され得る。例えば、用語の一般に知られている意味と同じ意味として、複数の「セル」(例えば、レーザ切断される細長い部材)を有する拡大可能部材を用いる場合、拡大可能部材が、螺旋構成などの特定の構成を一体に画定する複数の特定のセルを有することができ、ここでは、この構成を画定するセルが、拡大可能部材内の他のセルとは異なる物理特性を有する。いくつかの実施形態では、拡大可能部材が網状構成を有することができ、ねじれ領域がワイヤーのグループの全体を構築することができるか、または網状のワイヤーの有意な部分(例えば、半分以上)を構築することができる。このような捻じれた網状構成は、例えば、網状にするプロセス中に、特には網状構成の最大径の部分の長さにわたる範囲において、ワイヤーをその上で網状にするところのマンドレルをその引っ張り時に捻じることなどにより、完成され得る。この構成は、成形されたマンドレルの上で巻かれた状態のプロフィールをヒートセットする前に網状構成を機械的に捻じることなどの、構成プロセスの第2のオペレーション中に、完成されてもよい。
【0071】
[0083]本明細書の導管のうちの任意の導管が、第1の端部(例えば、遠位端)と第2の端部(例えば、近位端)との間において導管の中にある流体ルーメンを作るように、機能し、またそのように構成され、またこのような流体ルーメンを作る材料で作られ得る。流体が、流入領域の中に入って流体ルーメンを通って流出領域から外に出るように、流れる。本明細書では流入領域に入る流れに「I」が付されてよく、流出領域のところで外に出る流れに「O」が付されてよい。本明細書の導管のうちの任意の導管が不透過性であってよい。本明細書の導管のうちの任意の導管が別法として半透過性であってよい。本明細書の導管のうちの任意の導管が多孔性であってもよいが、やはりそこを通る流体ルーメンを画定することになる。いくつかの実施形態では、導管が膜であるか、または比較的薄い他の層状部材である。他の意味で示されない限り、本明細書の導管のうちの導管が拡大可能部材に固着され得、その結果、導管が固着時に拡大可能部材の内側および/または外側で径方向に存在してあってよい。例えば、導管が拡大可能部材内で径方向に延在してよく、その結果、導管の内側表面が拡大可能部材に固着される場合に拡大可能部材内で径方向に存在する。
【0072】
[0084]本明細書の拡大可能部材のうちの任意の拡大可能部材が、多様な材料でまた多様な手法で構築され得る。例えば、拡大可能部材が網状構成を有してよいか、または拡大可能部材がレーザ加工によって形成され得る。材料がニチノールなどの変形可能なものであってよい。材料がニチノールなどの変形可能なものであってよい。拡大可能部材が自己拡大式であってよいか、または少なくとも部分的に能動的に拡大するように適合され得る。
【0073】
[0085]いくつかの実施形態では、拡大可能部材が、送達カテーテル、ガイドカテーテル、またはアクセスシースなどの収容用の管状部材の中から解放されるときに自己拡大するように適合される。いくつかの代替的実施形態では、拡大可能部材が、拡大可能部材の遠位端および近位端のうちの少なくとも一方を互いの方に移動させるようなプルロッドの作動などの、能動的な拡大により拡大するように適合される。代替的実施形態では、配備構成が、1つまたは複数の拡大可能構造の構成の影響を受けてよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の拡大可能部材が、少なくとも部分的に、導管を通って流れる血液の影響により、配備され得る。上記の拡大機構の任意の組み合わせが使用され得る。
【0074】
[0086]本明細書の血液ポンプおよび流体移動デバイス、システム、ならびに方法は、身体内の多様なロケーションで使用され得、身体内の多様なロケーションに配置され得る。本明細書では特定の実施例が提示され得るが、作用部分が本明細書で具体的に説明される身体内の領域とは異なる身体内の領域にも配置され得ることを理解されたい。
【0075】
[0087]医療デバイスが複数の羽根車を有するような本明細書の実施形態のうちの任意の実施形態では、デバイスが、羽根車を多様な速度で回転させるように適合され得る。図6Aが、内側駆動部材1338および外側駆動部材1336の両方に結合されるギアセット1340を有する医療デバイスを示しており、内側駆動部材1338および外側駆動部材1336がそれぞれ遠位側羽根車1334および近位側羽根車1332に動作可能に接続される。駆動装置が、内側駆動部材1338の回転を始動するモータ1342をさらに有する。内側駆動部材1338が外側駆動部材1336を通って延在する。モータ1332が作動することにより、減速比(underdrive ratio)および加速比(overdrive ratio)を理由として2つの羽根車が多様な速度で回転するころになる。ギアセット1340が、近位側羽根車または遠位側羽根車のいずれかをもう一方より迅速に駆動するように適合され得る。本明細書のデバイスのうちの任意のデバイスが、羽根車を多様な速度で駆動するための本明細書のギアセットのうちの任意のギアセットを有することができる。
【0076】
[0088]図6Bが、異なる羽根車を異なる速度で回転させるようにやはり適合される二重羽根車デバイス(1350)の代替的実施形態の一部分を示している。ギアセット1356が内側駆動部材1351および外側駆動部材1353の両方に結合され、内側駆動部材1351および外側駆動部材1353がそれぞれ遠位側羽根車1352および近位側羽根車1354に結合される。デバイスが図6Aのようなモータをさらに有する。図6Aおよび6Bは、ギアセットが近位側羽根車を遠位側羽根車より低速でまたは高速で駆動するように如何にして適合され得るかを示す。
【0077】
[0089]図7は、第1および第2の羽根車を多様な速度で回転させることができる流体ポンプ1370の例示の代替的実施形態を示す。第1のモータ1382が遠位側羽根車1372に結合されるケーブル1376を駆動し、対して第2のモータ1384が近位側羽根車1374に結合される外側駆動部材1378を駆動する(ギアセット1380を介する)。駆動ケーブル1376が外側駆動部材1378を通って延在する。モータが個別に制御され得、動作させられ得、したがって2つ羽根車の速度が別個に制御され得る。このシステムのセットアップが、複数の羽根車を有する本明細書の任意のシステムと共に使用され得る。
【0078】
[0090]いくつかの実施形態では、共通の駆動ケーブルまたは駆動シャフトが2つの(または、それより多くの)羽根車の回転を始動することができるが、2つの羽根車のブレードピッチ(旋回方向の湾曲角度(angle of rotational curvature))は異なっていてよく、遠位側羽根車または近位側羽根車がもう一方の羽根車より急傾斜の角度または緩やかな角度を有する。これにより、ギアセットを有する場合と同様の効果を生み出すことができる。図6Cが、近位側羽根車1364および遠位側羽根車1362に結合されさらにモータ(図示せず)に結合される共通の駆動ケーブル1366を有する医療デバイス(1360)の一部分を示す。本明細書の近位側羽根車が、本明細書の遠位側羽根車より高いピッチまたは低いピッチを有することができる。複数の羽根車を備える本明細書の作用部分(または、遠位側部分)のうちの任意の作用部分が、異なるピッチを有する第1および第2の羽根車を有するように修正され得る。
【0079】
[0091]本明細書の実施形態のうちの任意の実施形態で、ポンプ部分が、適合性のまたは半適合性の(まとめて、適合性と称す)外部構造を有することができる。種々の実施形態で、この適合性の部分が柔軟性を有する。種々の実施形態で、適合性の部分が圧力下で部分的にのみ変形する。例えば、ポンプの中央部分が適合性の外部構造で形成され得、その結果、弁の力に反応して変形するようになる。このようにして、弁小葉に対してのポンプの外力が低減される。これにより、作用部分が弁を横断するところのロケーションにおいて弁に対してダメージを与えるのを防止するのを補助することができる。
【0080】
[0092]図8が、第1、第2、および第3の軸方向において離間される羽根車152を有するポンプ部分の例示の実施形態を示しており、第1、第2、および第3の軸方向において離間される羽根車152の各々が拡大可能部材154の中に配置される。導管155が、本明細書の種々の実施形態で説明されるようにポンプ部分の長さにわたる範囲において延在してよく、それにより流体ルーメンを作って画定するのを補助することができる。しかし、代替的実施形態では、第1、第2、および第3の羽根車が、図1に示される場合と同様に、単一の拡大可能部材の中に配置され得る。図8では、流体ルーメンが遠位端から近位端まで延在する。遠位端および近位端の特徴は本明細書の他の箇所で説明される。図8の実施形態は、使用方法を含めた、本明細書で説明する任意適切な他の特徴を有することができる。
【0081】
[0093]図8の実施形態は、近位側羽根車の遠位端と遠位側羽根車の近位端との間において外側ハウジングの中に形成される少なくとも1つの湾曲部を有する外側ハウジングの例でもあり、ここでは、湾曲部の遠位側のハウジングの遠位側領域が、軸に沿って湾曲部の近位側にあるハウジングの近位側領域に軸方向において位置合わせされない。この実施形態では、ハウジング内に形成される2つの湾曲部150および151が存在し、これらの各々が2つの隣接する羽根車の間にある。
【0082】
[0094]使用方法において、ハウジングの中に形成される湾曲部が、図8に示される大動脈弁などの弁に跨るように配置され得る。この配置方法では、中央羽根車および最も遠位側の羽根車が左心室の中に配置され、最も近位側の羽根車が上行大動脈の中に配置される。湾曲部151が大動脈弁のすぐ下流側に配置される。
【0083】
[0095]湾曲部151または152などの湾曲部が本明細書の実施形態またはデザインのうちの任意の実施形態またはデザインに組み込まれ得る。湾曲部が予め形成される角度でであってよいかまたはin situで調整可能であってもよい。
【0084】
[0096]本明細書の実施形態のうちの任意の実施形態で、別の意味で示されない限りにおいて、外側ハウジングがその長さにわたる範囲において実質的に一様の直径を有することができる。
【0085】
[0097]図8では、ポンプが腋窩動脈を通るように配置されており、このポンプは大動脈弁にアクセスする例示の方法であり、あまり邪魔することなく、患者が歩行するのをおよび患者が活動的になるのを可能にする。本明細書のデバイスのうちの任意のデバイスが腋窩動脈を通るように配置され得る。しかし、本明細書の説明から、大腿アプローチを含めた種々の手法で、ポンプが大動脈弓の上の定位置に導入されてそこを横断させられ得る、ことが認識されよう。
【0086】
[0098]本開示の一態様が、近位側羽根車から軸方向において離間される遠位側羽根車を有する血管内血液ポンプである。一実施形態では、遠位側羽根車および近位側羽根車が互いから分離される。例えば、遠位側羽根車および近位側羽根車は、共通の駆動シャフトに個別に取り付けられることのみにより、接続され得る。これは複数のブレード列を有する羽根車とは異なる。遠位側羽根車というフレーズが本明細書で使用される場合の遠位側羽根車がポンプの最も遠位側の羽根車を必ずしも意味するわけではなく、遠位側羽根車より遠位側に配置される追加の羽根車が存在する場合であっても、近位側羽根車より遠位側に配置される羽根車を概して意味するものであってよい。同様に、近位側羽根車というフレーズが本明細書で使用される場合の近位側羽根車がポンプの最も近位側の羽根車を必ずしも意味するわけではなく、近位側羽根車より近位側に配置される追加の羽根車が存在する場合であっても、近位側羽根車より近位側に配置される羽根車を概して意味するものであってよい。軸方向の間隔(または、何らかの形のその派生語)は、ポンプ部分内に湾曲部を存在させる場合であっても、ポンプ部分の長さにわたる範囲において間隔を意味し、これはポンプ部分の長手方向軸などの沿うものである。種々の実施形態で、近位側羽根車および遠位側羽根車の各々がそれぞれのハウジングの中に配置され、正確で一定の先端隙間を維持するように構成され、羽根車の間のスパンが比較的高い柔軟性(または、完全な柔軟性)を有する流体ルーメンを有する。例えば、羽根車の各々が、径方向に折り畳まれるのに抵抗するために比較的高い剛性を有する外側壁を有するそれぞれのハウジングの中に配置され得る。羽根車の間のセクションが比較的高い剛性を有してよく、いくつかの実施形態では、このセクションが主としてその中の流体圧力により開いた状態で維持される。
【0087】
[0099]本明細書の実施形態で必要というわけではないが、近位側羽根車と遠位側羽根車との間の軸方向の間隔を最小にすることに利点がある場合もある。例えば、ポンプ部分が、例えば大動脈などの比較的急である湾曲部を有する解剖学的構造の部分を通して標的ロケーションに送達され得、さらには大動脈弁の中まで送達され得る。例えば、ポンプ部分が大腿動脈アクセスを介して大動脈弁まで送達され得る。解剖学的構造の中の湾曲部を通してシステムを送達するのを容易にすることを目的として比較的容易に湾曲することができるシステムを有することが有利である可能性がある。複数の羽根車が互いに非常に近くにあるようないくつかのデザインでは、複数の羽根車に跨る長さにわたる範囲において、システムが、複数の羽根車に跨る長さの全体にわたって比較的高いスティフネスを有することが可能となる。羽根車を軸方向において離間することにより、また任意選択で羽根車の間に比較的高い柔軟性を有する領域を設けることにより、より高い柔軟性を有して湾曲することがより容易でありさらには湾曲部を通ってより容易にかつより安全に前進させられ得る、システムの部分を作ることができる。追加の例示の利点として、この軸方向の間隔により、例えば弁(例えば、大動脈弁)のロケーションのところに配置され得るような比較的高い適合性の領域を羽根車の間に得ることが可能となる、ということがある。さらに、他にも潜在的な利点があり、また、本明細書の種々の実施形態と一般的な多段ポンプとの間には機能的な違いもある。一般的な多段ポンプは、機能的な狭い間隔のブレード列(羽根車と称される場合もある)を有し、その結果、ブレード列が同期化されるステージとして一体に機能することになる。遠位側羽根車を通過するときに流れが分離する可能性があることが認識されよう。本明細書で説明される種々の実施形態では、遠位側羽根車および近位側羽根車が十分に分離され得、その結果、遠位側羽根車からの流れの分離が大幅に低減されることになり(つまり、再合流する流れが増大する)、流れが近位側羽根車に入る前に局所的な乱流が消散することになる。
【0088】
[0100]遠位側羽根車および近位側羽根車を含む実施形態のうちの任意の実施形態または本明細書の記述の任意の部分で、近位側羽根車の遠位端と遠位側羽根車の近位端の間の軸方向の間隔が、ポンプ部分の長手方向軸に沿って、または流体ルーメンを有するハウジング部分の長手方向軸に沿って、1.5cmから25cmm(これらの値を含む)であってよい。この距離は、任意の羽根車を有するポンプ部分が拡大構成にあるときに、測定され得る。この例示の範囲は、大動脈を介する形で、例えば大動脈弁などの解剖学的構造の湾曲部分を通るようにポンプ部分が送達されるときに、本明細書で説明される柔軟性による利点を提供することができる。図9(患者の外側で拡大構成で示される)が、羽根車の間の軸方向の間隔を示しておりいくつかの実施形態では本明細書で記載されるように1.5cmから25cmであってよい長さLcを示している。2つ以上の羽根車が存在し得るような実施形態では、任意の2つの隣接する羽根車(つまり、2つの羽根車の間に任意の他の回転羽根車を有さない羽根車)が、本明細で説明される軸方向の間隔の距離うちの任意の距離だけ、軸方向において離間され得る。
【0089】
[0101]いくつかの実施形態が軸に沿って遠位側羽根車の近位端から軸方向において1.5cmから25cmだけ離間される近位側羽根車の遠位端を有するが、本明細書の開示は、1.5cmから25cmのこの概略的な範囲の中にある下位の範囲である任意の軸方向の間隔も含む。つまり、本開示は、その範囲内における1.5cm以上のあらゆる下限値を含むすべての範囲と、25cm以下のあらゆる上限値を含むすべての下位の範囲と、を含む。以下の例で例示の下位の範囲を示す。いくつかの実施形態では、近位側羽根車の遠位端が、軸に沿って遠位側羽根車の近位端から、1.5cmから20cm、1.5cmから15cm、1.5cmから10cm、1.5cmから7.5cm、1.5cmから6cm、1.5cmから4.5cm、1.5cmから3cmだけ、軸方向において離間される。いくつかの実施形態では、軸方向の間隔が、2cmから20cm、2cmから15cm、2cmから12cm、2cmから10cm、2cmから7.5cm、2cmから6cm、2cmから4.5cm、2cmから3cm、である。いくつかの実施形態では、軸方向の間隔が、2.5cmから15cm、2.5cmから12.5cm、2.5cmから10cm、2.5cmから7.5cm、または2.5cmから5cmである(例えば、3cmである)。いくつかの実施形態では、軸方向の間隔が、3cmから20cm、3cmから15cm、3cmから10cm、3cmから7.5cm、3cmから6cm、または3cmから4.5cmである。いくつかの実施形態では、軸方向の間隔が、4cmから20cm、4cmから15cm、4cmから10cm、4cmから7.5cm、4cmから6cm、または4cmから4.5cmである。いくつかの実施形態では、軸方向の間隔が、5cmから20cm、5cmから15cm、5cmから10cm、5cmから7.5cm、または5cmから6cmである。いくつかの実施形態では、軸方向の間隔が、6cmから20cm、6cmから15cm、6cmから10cm、または6cmから7.5cmである。いくつかの実施形態では、軸方向の間隔が、7cmから20cm、7cmから15cm、または7cmから10cmである。いくつかの実施形態では、軸方向の間隔が、8cmから20cm、8cmから15cm、または8cmから10cmである。いくつかの実施形態では、軸方向の間隔が、9cmから20cm、9cmから15cm、または9cmから10cmである。種々の実施形態で、羽根車の間の流体ルーメンが、比較的、支持されないかたちである。
【0090】
[0102]本明細書の実施形態のうちの任意の実施形態で、1つまたは複数の羽根車が、軸方向において羽根車の遠位端と羽根車の近位端との間で測定される長さ(図9では、それぞれ、「LSD」および「LSP」として示される)を有することができ、これが、0.5cmから10cm、またはその任意の下位の範囲である。以下の例で例示の下位の範囲を示す。いくつかの実施形態では、羽根車の軸方向の長さが、0.5cmから7.5cm、0.5cmから5cm、0.5cmから4cm、0.5cmから3cm、0.5cmから2cm、または0.5cmから1.5cmである。いくつかの実施形態では、羽根車の軸方向の長さが、0.8cmから7.5cm、0.8cmから5cm、0.8cmから4cm、0.8cmから3cm、0.8cmから2cm、または0.8cmから1.5cmである。いくつかの実施形態では、羽根車の軸方向の長さが、1cmから7.5cm、1cmから5cm、1cmから4cm、1cmから3cm、1cmから2cm、または1cmから1.5cmである。いくつかの実施形態では、羽根車の軸方向の長さが、1.2cmから7.5cm、1.2cmから5cm、1.2cmから4cm、1.2cmから3cm、1.2cmから2cm、または1.2cmから1.5cmである。いくつかの実施形態では、羽根車の軸方向長さが、1.5cmから7.5cm、1.5cmから5cm、1.5cmから4cm、1.5cmから3cm、または1.5cmから2cmである。いくつかの実施形態では、羽根車の軸方向長さが、2cmから7.5cm、2cmから5cm、2cmから4cm、または2cmから3cmである。いくつかの実施形態では、羽根車の軸方向長さが、3cmから7.5cm、3cmから5cm、または3cmから4cmである。いくつかの実施形態では、羽根車の軸方向長さが、4cmから7.5cm、または4cmから5cmである。
【0091】
[0103]本明細書の任意の実施形態のうちの任意の実施形態で、流体ルーメンが、図9で長さLとして示される、遠位端から近位端までの長さを有することができる。いくつかの実施形態では、流体ルーメンの長さLが、4cmから40cm、またはその中の任意の下位の範囲である。例えば、いくつかの実施形態では、長さLが、4cmから30cm、4cmから20cm、4cmから18cm、4cmから16cm、4cmから14cm、4cmから12cm、4cmから10cm、4cmから8cm、4cmから6cmであってよい。
【0092】
[0104]本明細書の実施形態のうちの任意の実施形態で、ハウジングが、少なくとも羽根車のロケーションである(および、任意選択で、羽根車の間のロケーションである)、図9で寸法Dとして示される、配備状態の直径を有することができる。いくつかの実施形態では、Dが0.3cmから1.5cm、またはその中の任意の下位の範囲であってよい。例えば、Dが、0.4cmから1.4cm、0.4cmから1.2cm、0.4cmから1.0cm、0.4cmから0.8cm、または0.4cmから0.6cmであってよい。いくつかの実施形態では、Dが、0.5cmから1.4cm、0.5cmから1.2cm、0.5cmから1.0cm、0.5cmから0.8cm、または0.5cmから0.6cmであってよい。いくつかの実施形態では、Dが、0.6cmから1.4cm、0.6cmから1.2cm、0.6cmから1.0cm、または0.6cmから0.8cmであってよい。いくつかの実施形態では、Dが、0.7cmから1.4cm、0.7cmから1.2cm、0.7cmから1.0cm、または0.7cmから0.8cmであってよい。
【0093】
[0105]本明細書の実施形態のうちの任意の実施形態で、羽根車が、図9で寸法Diとして示される、配備状態の直径を有することができる。いくつかの実施形態では、Diが1mm~30mm、またはその中の任意の下位の範囲であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、Diが、1mm~15mm、2mm~12mm、2.5mm~10mm、または3mm~8mmであってよい。
【0094】
[0106]本明細書の実施形態のうちの任意の実施形態で、先端隙間が羽根車の外径と流体ルーメンの内径との間に存在する。いくつかの実施形態では、先端隙間が0.01mm~1mmであってよく、0.05mmから0.8mmなど、または0.1mm~0.5mmなど、であってよい。
【0095】
[0107]本明細書の実施形態のうちの任意の実施形態で、フローディフューザまたはステータのうちの少なくとも1つが、カテーテルシャフトに沿って2つ以上の羽根車の間に位置する。このフローディフューザは、流体の渦を低減するのを、およびグループとしての複数の羽根車の効率を全体として向上させるのを、補助することができる。
【0096】
[0108]本明細書の実施形態のうちの任意の実施形態で、拡大可能シュラウドバスケットまたは拡大可能部材の流体出口のところの構造部が、カテーテルシャフトの外側寸法と拡大可能部材の外側寸法との間のアタッチメントのところにあるステント状のストラットなどの、フローディフューザとして機能するように成形され、血液の流れ方向を変化させるように方向付けられる捻じれを有するブレード形状であってよい。本明細書の実施形態のうちの任意の実施形態で、羽根車の下流側のカテーテルシャフトの1つまたは複数の部分が、血液流れの角度を変化させるようにおよび自然な大動脈の血流に近い速度まで血流を減速させるように、より大きい直径となるように張り出していてよい。羽根車の下流のより大きい直径のための例示のロケーションは、拡大可能シュラウドバスケットをカテーテルシャフトに取り付けるところのエリアのところまたはその近くにあるか、ならびに/あるいは羽根車に隣接するベアリングハウジングのところまたは内部モータの上もしくは内部モータに隣接するところにある。
本発明は、以下の態様を含む。
(態様1)
血管内血液ポンプであって、血管内血液ポンプが:
流体ルーメンを備える折り畳み可能なハウジングであって、流体ルーメンが遠位端および近位端を有する、折り畳み可能なハウジングと;
折り畳み可能な近位側羽根車から軸方向において離間される折り畳み可能な遠位側羽根車であって、遠位側羽根車および近位側羽根車の少なくとも一部分が軸方向において流体ルーメンの遠位端と近位端との間に配置される、折り畳み可能な遠位側羽根車と
を備え、
遠位側羽根車が拡大状態において拡大形態を有し、近位側羽根車が拡大状態において拡大形態を有し、
遠位側羽根車の拡大形態が近位側羽根車の拡大形態とは異なる、
血管内血液ポンプ。
(態様2)
折り畳み可能な遠位側羽根車が遠位側ブレードを有し、近位側羽根車が近位側ブレードを有し、遠位側ブレードが近位側ブレードとは異なるピッチを有する、態様1に記載の血液ポンプ。
(態様3)
遠位側ブレードが複数の遠位側ブレードのうちの1つの遠位側ブレードであり、近位側ブレードが複数の近位側ブレードのうちの1つの近位側ブレードであり、複数の遠位側ブレードが複数の近位側ブレードの各々とは異なるピッチを有する、態様2に記載の血液ポンプ。
(態様4)
近位側羽根車が、主として遠心方向の流れを提供するように、形作られ、寸法決定され、および配置され、遠位側羽根車が、主として軸方向の流れを提供するように形作られおよび寸法決定される、態様2に記載の血液ポンプ。
(態様5)
遠位側羽根車および近位側羽根車が流体を同じ方向に移動させるように適合および構成される、態様1に記載の血液ポンプ。
(態様6)
血管内血液ポンプであって、血管内血液ポンプが:
流体ルーメンを備える折り畳み可能なハウジングであって、流体ルーメンが遠位端および近位端を有する、折り畳み可能なハウジングと;
折り畳み可能な近位側羽根車から軸方向において離間される折り畳み可能な遠位側羽根車であって、遠位側羽根車の少なくとも一部分が軸方向において流体ルーメンの遠位端と近位端との間に配置される、折り畳み可能な遠位側羽根車と
を備え、
折り畳み可能なハウジングが拡大形態にあって折り畳み可能な近位側羽根車が拡大形態にあるとき、近位側羽根車の近位端が流体ルーメンの近位端の近位側に配置される、
血管内血液ポンプ。
(態様7)
折り畳み可能なハウジングが拡大形態にあって折り畳み可能な遠位側羽根車が拡大形態にあるとき、遠位側羽根車の遠位端が流体ルーメンの遠位端からさらに遠位側に配置されない、態様6に記載の血液ポンプ。
(態様8)
血管内血液ポンプを被術者の中に配置する方法であって、方法が:
ポンプを収容する流体ルーメンの第1の端部を左心室の中に配置するステップと;
血液ポンプの遠位側羽根車を左心室の中に配置するステップと;
血液ポンプの近位側羽根車を上行大動脈の中に配置するステップと;
ポンプを収容する流体ルーメンの第2の端部を上行大動脈の中に配置するステップと;
大動脈弁に跨るように流体ルーメンの中央領域の少なくとも一部分を配置するステップであって、中央領域が近位側羽根車の遠位端と遠位側羽根車の近位端との間を延在する、ステップと;
左心室の中に配置される流体ルーメンの第1の端部と上行大動脈の中に配置される流体ルーメンの第2の端部との間に流路を作るステップであって、その結果、遠位側羽根車および近位側羽根車が流体ルーメンを通して血液を圧送することができる、ステップと
を含む
方法。
(態様9)
遠位側羽根車を起動することにより遠位側羽根車のところに軸方向流れを作るステップと、近位側羽根車を起動することにより遠心方向構成要素および軸方向構成要素を有する、血液ポンプの流出を生じさせるステップと、をさらに含む、態様8に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9