IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧 ▶ 住友電工焼結合金株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】コア、ステータ、及び回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/16 20060101AFI20230725BHJP
   H02K 1/02 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H02K1/16 C
H02K1/02 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020532293
(86)(22)【出願日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 JP2019027594
(87)【国際公開番号】W WO2020022094
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】P 2018141841
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593016411
【氏名又は名称】住友電工焼結合金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 達哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 悠一
(72)【発明者】
【氏名】上野 友之
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 聖
(72)【発明者】
【氏名】廣野 伸一
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-079120(JP,A)
【文献】登録実用新案第3009745(JP,U)
【文献】特開2017-093707(JP,A)
【文献】特開平07-164156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/16
H02K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキシャルギャップ型の回転電機のロータ又はステータに備わるコアであって、
前記コアは、圧粉成形体で構成されるブロック状の第一部材及び板状の第二部材を備え、
前記第一部材は、前記第二部材に対向する第一面と、前記第一面に形成される第一連結部とを備え、
前記第二部材は、前記第一面に対向する第二面と、前記第二面に形成され、前記第一連結部に連結する第二連結部とを備え、
前記第一連結部及び前記第二連結部の一方が突起、他方が前記突起に対応する形状を有する窪みで構成されており、
前記第一連結部を前記第一面に直交する方向から見た正面形状、及び前記第二連結部を前記第二面に直交する方向から見た正面形状が、環形状又は一部が繋がっていない断続的な環形状である、
コア。
【請求項2】
前記第一部材はティースであり、
前記第二部材はヨークである請求項1に記載のコア。
【請求項3】
前記第一部材は鍔部を有するティースであり、
前記第二部材はヨークである請求項1に記載のコア。
【請求項4】
前記第一部材はティースとヨークとの一体物であり、
前記第二部材は前記ヨークとは別の板状片であり、
前記板状片は、前記ティースにおける前記ヨークとは反対側の端面に配置され、前記端面の輪郭線からはみ出す鍔部を備える請求項1に記載のコア。
【請求項5】
前記第一部材はティースであり、
前記第二部材はヨーク及び前記ヨークとは別の板状片であり、
前記板状片は、前記ティースにおける前記ヨークとは反対側の端面に配置され、前記端面の輪郭線からはみ出す鍔部を備える請求項1に記載のコア。
【請求項6】
前記第一連結部の前記正面形状、及び前記第二連結部の前記正面形状が、非円環形状である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコア。
【請求項7】
前記窪みにおける底面と内壁面との繋ぎ目、及び前記内壁面と前記第一面又は第二面との繋ぎ目が丸められており、
前記突起における頂面と外壁面との繋ぎ目、及び前記外壁面と前記第一面又は第二面との繋ぎ目が丸められている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコア。
【請求項8】
前記窪みの深さ、及び前記突起の高さは、0.5mm以上で、かつ前記第一部材と前記第二部材のうち、厚みが小さい方の厚みの30%以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のコア。
【請求項9】
前記窪みの幅、及び前記突起の幅は、0.5mm以上10mm以下である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のコア。
【請求項10】
前記窪みにおける底面と内壁面との繋ぎ目、及び前記内壁面と前記第一面又は前記第二面との繋ぎ目、並びに
前記突起における頂面と外壁面との繋ぎ目、及び前記外壁面と前記第一面又は前記第二面との繋ぎ目が丸められており、
前記各繋ぎ目の丸みの曲率半径が0.5mm以上4.0mm以下である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のコア。
【請求項11】
前記第一連結部は窪みで、前記第二連結部は突起である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のコア。
【請求項12】
前記第一連結部は突起で、前記第二連結部は窪みである請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のコア。
【請求項13】
前記第一連結部の前記正面形状、及び前記第二連結部の前記正面形状が、レーストラック形状、又は各頂点が丸められた三角形、長方形、台形、及び菱形から選択されるいずれかの形状である請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のコア。
【請求項14】
前記第一面の面積を100%としたとき、前記第一連結部の外周輪郭線よりも内側の面積が10%以上80%以下、
前記第二面の面積を100%としたとき、前記第二連結部の外周輪郭線よりも内側の面積が10%以上80%以下である請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のコア。
【請求項15】
前記第一部材は、前記第一面における前記第一連結部の環形状の内側に形成される第三連結部を備え、
前記第二部材は、前記第二面における前記第二連結部の環形状の内側に形成される第四連結部を備え、
前記第三連結部は、前記第一面よりも前記第一連結部の反対側に突出する形状、又は窪んだ形状を備え、
前記第四連結部は、前記第三連結部に対応する形状を備える請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のコア。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のコアと、
前記コアに備わる各ティースに配置されるコイルとを備える、
ステータ。
【請求項17】
ロータとステータとが、前記ロータの回転軸の軸方向に並ぶアキシャルギャップ型の回転電機であって、
前記ステータが請求項16に記載のステータである、
回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コア、ステータ、及び回転電機に関する。
本出願は、2018年7月27日付の日本国出願の特願2018-141841に基づく優先権を主張し、前記日本国出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロータとステータとが、ロータの回転軸に沿った方向に対向して配置されるアキシャルギャップ型の回転電機(電動機・発電機)が開示されている。この回転電機に用いられるステータは、バックヨーク(ヨーク)及び複数のティースを有する電機子コア(コア)と、各ティースに配置されるコイルとを備える。ヨークは、円環形状の部材である。ティースは、ロータの回転軸方向にヨークから突出するブロック状の部材である。
【0003】
特許文献1の電機子コアは、別々に作製したティースとヨークとを連結することで構成されている。より具体的には、ティースに設けた柱状の凸部と、ヨークに設けた凹部(貫通孔・窪み)と、を嵌め合わせることで、ヨークとティースとを連結している。また、特許文献1では、積層鋼板でヨークを構成し、圧粉磁心(圧粉成形体)でティースを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2007/114079号
【発明の概要】
【0005】
本開示のコアは、
アキシャルギャップ型の回転電機のロータ又はステータに備わるコアであって、
前記コアは、圧粉成形体で構成されるブロック状の第一部材及び板状の第二部材を備え、
前記第一部材は、前記第二部材に対向する第一面と、前記第一面に形成される第一連結部とを備え、
前記第二部材は、前記第一面に対向する第二面と、前記第二面に形成され、前記第一連結部に連結する第二連結部とを備え、
前記第一連結部及び前記第二連結部の一方が突起、他方が前記突起に対応する形状を有する窪みで構成されており、
前記第一連結部を前記第一面に直交する方向から見た正面形状、及び前記第二連結部を前記第二面に直交する方向から見た正面形状が、環形状又は一部が繋がっていない断続的な環形状である。
【0006】
本開示のステータは、
本開示のコアと、
前記コアに備わる各ティースに配置されるコイルとを備える。
【0007】
本開示の回転電機は、
ロータとステータとが、前記ロータの回転軸の軸方向に並ぶアキシャルギャップ型の回転電機であって、
前記ステータが本開示のステータである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に示すアキシャルギャップ型の回転電機に備わるステータの上面図である。
図2図2は、図1のステータの一部を示す斜視図である。
図3図3は、図2のIII-III断面図である。
図4図4は、図1のステータに備わるティースの下面図である。
図5A図5Aは、図4のV-V断面図である。
図5B図5Bは、図5Aにおける丸で囲った部分の拡大図である。
図6図6は、図4のVI-VI断面図である。
図7図7は、図1のステータに備わるヨークの上面図である。
図8A図8Aは、図7のVIII-VIII断面図である。
図8B図8Bは、図8Aにおける丸で囲った部分の拡大図である。
図9図9は、図7のIX-IX断面図である。
図10図10は、実施形態1のアキシャルギャップ型の回転電機の部分縦断面図である。
図11図11は、実施形態2に示す回転電機のティースとヨークの連結状態を説明する部分断面図である。
図12A図12Aは、実施形態3に示す回転電機のティースとヨークの連結状態を説明する部分断面図である。
図12B図12Bは、図12Aにおける丸で囲った部分の拡大図である。
図13A図13Aは、実施形態4に示す回転電機のティースとヨークの連結状態を説明する部分断面図である。
図13B図13Bは、図13Aにおける丸で囲った部分の拡大図である。
図14図14は、実施形態5に示す回転電機のティースと板状片の連結状態を説明する部分断面図である。
図15図15は、実施形態6に示す回転電機のティースと板状片の連結状態を説明する部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示が解決しようとする課題]
コアの磁気特性を向上させ、かつコアの生産性を向上させることが望まれている。そのためには、ヨークとティースの両方を高密度の圧粉成形体で構成することが有効と考えられる。圧粉成形体を高密度化するには、高い成形圧(面圧)で軟磁性粉末を圧縮成形する必要がある。しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載される形状のヨークとティースでは、部分的に密度が低い部分ができ易いことが分かった。また、特許文献1に記載される形状のヨークとティースは、一度の圧縮成形で完成させられない場合があることも分かった。
【0010】
本開示は、全体的に高密度で、かつ生産性に優れる圧粉成形体のコアを提供することを目的の一つとする。また、本開示は、上記コアを備えるステータを提供することを別の目的の一つとする。更に、本開示は、上記ステータを備える回転電機を提供することを別の目的の一つとする。
【0011】
[本開示の効果]
本開示のコアは、全体的に高密度で、生産性に優れる。また、本開示のステータは、磁気特性と生産性に優れる。更に、本開示の回転電機は、出力特性と生産性に優れる。
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
本発明者らは、ブロック状のティースと板状のヨークとを各々、圧粉成形体で形成する際の問題点を検討した。その結果、ティースとヨークとを連結させる凹部と凸部が特許文献1に記載されるような単純な形状であることが問題となることが分かった。圧縮成形で凸部を有するティースを作製する場合、凸部の角となる部分に軟磁性粉末が行き渡り難く、凸部(特に凸部の角)の密度が他の部分よりも低くなり易い。凸部の密度が低いと、凸部の強度が低下し、凸部が破損し易くなる。そのため、ティースとヨークとを連結できなくなる恐れがある。また、圧縮成形で凹部を有するヨークを作製する場合、凹部の縁となる部分に軟磁性粉末が行き渡り難い。そのため、凹部を有するヨークを作製するには、ヨークの全体形状を形成する圧縮成形を行った後、更に凹部を完成させるための圧縮成形を行わなければならない。つまり、一度の圧縮成形で凹部を有するヨークを完成させることができない。これらの問題点を踏まえて本発明者らは、凹部と凸部の形状を特定の形状とすることで上記問題点を解決できることを見出した。
【0013】
上記知見に基づき、本開示の実施態様を以下に列記して説明する。
【0014】
<1>実施形態に係るコアは、
アキシャルギャップ型の回転電機のロータ又はステータに備わるコアであって、
前記コアは、圧粉成形体で構成されるブロック状の第一部材及び板状の第二部材を備え、
前記第一部材は、前記第二部材に対向する第一面と、前記第一面に形成される第一連結部とを備え、
前記第二部材は、前記第一面に対向する第二面と、前記第二面に形成され、前記第一連結部に連結する第二連結部とを備え、
前記第一連結部及び前記第二連結部の一方が突起、他方が前記突起に対応する形状を有する窪みで構成されており、
前記第一連結部を前記第一面に直交する方向から見た正面形状、及び前記第二連結部を前記第二面に直交する方向から見た正面形状が、環形状又は一部が繋がっていない断続的な環形状である。
【0015】
上記コアには局所的に軟磁性粉末の密度が低い箇所が殆ど無いため、上記コアは全体的に高密度である。局所的に低密度な箇所がコアに形成されないのは、第一連結部と第二連結部を構成する突起と窪みの正面形状が環形状又は断続的な環形状となっているからである(以下、環形状及び断続的な環形状の両方を含めて、単に環形状と表現することがある)。突起を環形状とすると、突起と、突起の環形状の内方部分及び外方部分と、の間に高低差ができる。その高低差によって、圧縮成形時に、突起と、突起よりも低くなった内方部分及び外方部分と、の間で軟磁性粉末が流動し易くなる。また、窪みを環形状とすることで、窪みと、窪みの環形状の内方部分及び外方部分と、の間に高低差ができる。その高低差によって、圧縮成形時に、窪みと、窪みよりも高くなった内方部分及び外方部分と、の間で軟磁性粉末が流動し易くなる。突起と窪みの周辺における軟磁性粉末の流動性が向上すれば、当該周辺の密度の低下を抑制できる。
【0016】
上記コアは生産性に優れる。上述したように、コアの圧縮成形時における突起と窪みの周辺の軟磁性粉末の流動性が高く、一度の圧縮成形で全体的に高密度なコアを作製できるからである。また、軟磁性粉末の流動性が高いため、局所的に低密度な箇所を有する不良品の発生率が下がる。
【0017】
<2>実施形態に係るコアの一形態として、
前記第一部材はティースであり、
前記第二部材はヨークである形態を挙げることができる。
【0018】
ティースとヨークとを別部材とすることで、コアを作製するための金型を単純な形状にできる。そのため、ティースとヨークの密度を均一化し易い。また、コアに備わる複数のティースを一つの金型で作製できる。そのため、コアの生産性を向上させることができる。
【0019】
<3>実施形態に係るコアの一形態として、
前記第一部材は鍔部を有するティースであり、
前記第二部材はヨークである形態を挙げることができる。
【0020】
ティースの端面に鍔部を設けることで、ティースに配置するコイルがティースから外れ難くなる。
【0021】
<4>実施形態に係るコアの一形態として、
前記第一部材はティースとヨークとの一体物であり、
前記第二部材は前記ヨークとは別の板状片であり、
前記板状片は、前記ティースにおける前記ヨークとは反対側の端面に配置され、前記端面の輪郭線からはみ出す鍔部を備える形態を挙げることができる。
【0022】
ティースの端面に鍔部を設けることで、ティースに配置するコイルがティースから外れ難くなる。この鍔部を含む板状片とティースとを別部材とすることで、ティースにコイルを配置した後に鍔部を形成することができる。そのため、コアへのコイルの配置を容易にできる。
【0023】
<5>実施形態に係るコアの一形態として、
前記第一部材はティースであり、
前記第二部材はヨーク及び前記ヨークとは別の板状片であり、
前記板状片は、前記ティースにおける前記ヨークとは反対側の端面に配置され、前記端面の輪郭線からはみ出す鍔部を備える形態を挙げることができる。
【0024】
この構成はつまり、ティースと、ヨークと、鍔部を有する板状部材と、が別々の構成である。この構成であれば、圧紛成形体で構成される各部材の密度のバラツキを抑制できる。
【0025】
<6>実施形態に係るコアの一形態として、
前記第一連結部の前記正面形状、及び前記第二連結部の前記正面形状が、非円環形状である形態を挙げることができる。
【0026】
上記構成によれば、第一部材と第二部材とを連結した後、第一面(第二面)上で両部材が相対的に回転することを抑制できる。
【0027】
<7>実施形態に係るコアの一形態として、
前記窪みにおける底面と内壁面との繋ぎ目、及び前記内壁面と前記第一面又は第二面との繋ぎ目が丸められており、
前記突起における頂面と外壁面との繋ぎ目、及び前記外壁面と前記第一面又は第二面との繋ぎ目が丸められている形態を挙げることができる。
【0028】
上記繋ぎ目を丸めることで、圧縮成形時の突起及び窪みの近傍における軟磁性粉末の流動性を向上させられる。
【0029】
<8>実施形態に係るコアの一形態として、
前記窪みの深さ、及び前記突起の高さは、0.5mm以上で、かつ前記第一部材と前記第二部材のうち、厚みが小さい方の厚みの30%以下である形態を挙げることができる。
【0030】
窪みの深さと突起の高さを0.5mm以上とすることで、突起と窪みとの連結強度を十分に確保できる。また、窪みの深さと突起の高さを第一部材と第二部材のうち、厚みが小さい方の厚みの30%以下とすることで、圧縮成形時の軟磁性粉末の流動性の低下、及び金型への負荷を抑制できる。
【0031】
<9>実施形態に係るコアの一形態として、
前記窪みの幅、及び前記突起の幅は、0.5mm以上10mm以下である形態を挙げることができる。
【0032】
窪みの幅と突起の幅を0.5mm以上とすることで、突起と窪みとの連結強度を十分に確保できる。特に、突起の幅を1.0mm以上とすることで、突起の機械的強度を十分に確保できる。また、窪みの幅と突起の幅を10mm以下とすることで、圧縮成形時の軟磁性粉末の流動性の低下を抑制できる。
【0033】
<10>実施形態に係るコアの一形態として、
前記窪みにおける底面と内壁面との繋ぎ目、及び前記内壁面と前記第一面又は前記第二面との繋ぎ目、並びに
前記突起における頂面と外壁面との繋ぎ目、及び前記外壁面と前記第一面又は前記第二面との繋ぎ目が丸められており、
前記各繋ぎ目の丸みの曲率半径が0.5mm以上4.0mm以下である形態を挙げることができる。
【0034】
突起及び窪みにおける面と面との繋ぎ目を丸めることで、第一部材と第二部材の圧縮成形時における軟磁性粉末の流動性を向上させられる。その結果、第一部材及び第二部材において、局所的に密度が低い箇所ができ難い。特に、繋ぎ目の丸みの曲率半径を0.5mm以上4.0mm以下とすることで、上記流動性を向上させ易い。
【0035】
<11>実施形態に係るコアの一形態として、
前記第一連結部は窪みで、前記第二連結部は突起である形態を挙げることができる。
【0036】
第二連結部が形成される第二部材は板状である。そのため、第二連結部を突起とすることで、第二部材全体の機械的強度を向上できる。
【0037】
<12>実施形態に係るコアの一形態として、
前記第一連結部は突起で、前記第二連結部は窪みである形態を挙げることができる。
【0038】
第二連結部が形成される第二部材は板状である。そのため、第二連結部を窪みとすることで、第一部材と第二部材とを接着する際に組立作業性が向上する。
【0039】
<13>実施形態に係るコアの一形態として、
前記第一連結部の前記正面形状、及び前記第二連結部の前記正面形状が、レーストラック形状、又は各頂点が丸められた三角形、長方形、台形、及び菱形から選択されるいずれかの形状である形態を挙げることができる。
【0040】
上述した形状であれば、第一連結部と第二連結部の正面形状が複雑になり過ぎない。そのため、第一連結部と第二連結部の機械的強度が低下し難い。また、上記構成には第一部材と第二部材を作製する金型を作製し易いというメリットもある。
【0041】
<14>実施形態に係るコアの一形態として、
前記第一面の面積を100%としたとき、前記第一連結部の外周輪郭線よりも内側の面積が10%以上80%以下、
前記第二面の面積を100%としたとき、前記第二連結部の外周輪郭線よりも内側の面積が10%以上80%以下である形態を挙げることができる。
【0042】
第一面(第二面)の面積とは、第一面(第二面)を直交方向から見たときの第一面(第二面)の平面面積である。つまり、第一面(第二面)の面積には、第一連結部(第二連結部)の外周輪郭線よりも内側の面積も含まれる。上記構成によれば、第一連結部を備える第一部材と、第二連結部を備える第二部材と、の連結を強固にできる。
【0043】
<15>実施形態に係るコアの一形態として、
前記第一部材は、前記第一面における前記第一連結部の環形状の内側に形成される第三連結部を備え、
前記第二部材は、前記第二面における前記第二連結部の環形状の内側に形成される第四連結部を備え、
前記第三連結部は、前記第一面よりも前記第一連結部の反対側に突出する形状、又は窪んだ形状を備え、
前記第四連結部は、前記第三連結部に対応する形状を備える形態を挙げることができる。
【0044】
第一連結部と第二連結部との連結に加えて、第三連結部と第四連結部とを連結させることで、第一部材と第二部材とをより強固に連結できる。
【0045】
<16>実施形態に係るステータは、
上記<1>から<15>のいずれかのコアと、
前記コアに備わる各ティースに配置されるコイルとを備える。
【0046】
上記ステータは磁気特性に優れる。ステータに備わるコアが、実施形態に係る高密度のコアであるからである。また、上記ステータは生産性に優れる。ステータに備わるコアが、実施形態に係る生産性に優れるコアであるからである。
【0047】
<17>実施形態に係る回転電機は、
ロータとステータとが、前記ロータの回転軸の軸方向に並ぶアキシャルギャップ型の回転電機であって、
上記<16>のステータである。
【0048】
上記回転電機は出力特性に優れる。回転電機に備わるステータが、磁気特性に優れるステータであるからである。また、上記回転電機は生産性に優れる。回転電機に備わるステータが、生産性に優れるステータであるからである。
【0049】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係るコア、ステータ、及び回転電機の具体例を図面に基づいて説明する。図中の同一符号は同一又は相当部分を示す。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0050】
<実施形態1>
≪回転電機≫
実施形態1では、図10に示すアキシャルギャップ型の回転電機1を例にして説明を行う。回転電機1は、発電機でも良いし、電動機(モータ)でも良い。回転電機1は、ハウジング10内に配置されるロータ2とステータ3とを備える。
【0051】
・ロータ
ロータ2は、平板状の複数の磁石22と、これら磁石22を支持する円環形状の保持板21とを備える。保持板21は、シャフト20に固定され、シャフト20と共に回転する。磁石22は保持板21に埋め込まれている。磁石22は、シャフト20の周方向に間隔をあけて配置されている。また、磁石22は、ロータ2の回転軸方向(シャフト20の軸方向)に着磁されている。シャフト20の周方向に隣り合う磁石22の磁化方向は互いに逆になっている。
【0052】
・ステータ
ステータ3は、コア30と、コア30のティース4に配置されるコイル31とを備える。ステータ3は、シャフト20の軸方向にロータ2に対向して配置され、ハウジング10に固定されている。ステータ3とシャフト20との間には軸受23が配置されており、ステータ3は回転しない。本実施形態の回転電機1は、このステータ3、特にステータ3に備わるコア30に特徴がある。
【0053】
≪コア≫
図1~3に示すコア30は、ティース4とヨーク5とを備える。本例では、コア30に12個のティース4が形成されている。ティース4の数は特に限定されない。アキシャルギャップ型の回転電機1の場合、隣り合う2個のティース4でヨーク5を介した磁気回路を形成するため、ティース4の個数は2n(nは自然数)個とすることが好ましい。本例では、ティース4をブロック状の第一部材とし、ヨーク5を板状の第二部材とし、ティース4とヨーク5とを別個に作製する。別個に作製したティース4とヨーク5は、図3に示す連結機構9によって連結される。連結機構9の詳細は後述する。
【0054】
・ティース
ティース(第一部材)4の説明にあたっては、主として図4,5A,5B,6を参照する。本例のティース4は、ヨーク5(図3)とは反対側の端部にフランジ(鍔部45)を有する概略台形柱状の部材である。ティース4の形状は特に限定されない。例えば、ティース4は概略三角柱状であっても構わない。その他、ティース4の形状は、円柱状や四角柱状などでも良い。
【0055】
ティース4は、第一面40と周面41と端面42とを備える。第一面40は、平坦面であって、ヨーク5(図3)に対向するティース4の下面である。端面42は、第一面40とは反対側にあるティース4の上面である。周面41は、第一面40と端面42とを繋ぐ面である。ティース4の第一面40には、後述する連結機構9の第一連結部91が形成されている。
【0056】
ティース4に備わる鍔部45は無くても構わない。しかし、アキシャルギャップ型の回転電機1(図10)の場合、ロータ2と対向するティース4の対向面積が大きい方が性能向上に有利である。そのため、本例のティース4におけるヨーク5と反対側の端部には、ティース4の突出方向に直交する方向に張り出す鍔部45が形成されている。本例の鍔部45の外周輪郭線は、第一面40の外周輪郭線にほぼ相似している。この鍔部45は、ティース4に配置されるコイル31がティース4から外れることを抑制する役割もある。
【0057】
ティース4は、軟磁性粉末を圧縮成形した圧粉成形体である。軟磁性粉末は、軟磁性粒子の集合体である。軟磁性粉末としては、例えば、純鉄(純度99質量%以上)、及び、Fe-Si-Al系合金(センダスト)、Fe-Si系合金(ケイ素鋼)、Fe-Al系合金、Fe-Ni系合金(パーマロイ)などの鉄基合金から選択される少なくとも一種の粉末が挙げられる。軟磁性粒子は、その表面に絶縁被覆を有することが好ましい。軟磁性粒子の表面に絶縁被覆が形成されていることで、軟磁性粒子同士の電気的絶縁を確保できる。そのため、渦電流損に起因するティース4の鉄損を低減できる。絶縁被覆としては、例えば、リン酸塩被覆やシリカ被覆などが挙げられる。
【0058】
軟磁性粒子の平均粒径は、10μm以上300μm以下とすると良い。軟磁性粒子の平均粒径を10μm以上とすることによって、軟磁性粉末の流動性を落とすことがなく、圧粉成形体の保磁力およびヒステリシス損の増加を抑制できる。逆に、軟磁性粒子の平均粒径を300μm以下とすることによって、高周波域において発生する圧粉成形体の渦電流損を効果的に低減できる。より好ましい軟磁性粒子の平均粒径は、40μm以上260μm以下である。ここで、平均粒径とは、粒径のヒストグラム中、粒径の小さい粒子からの質量の和が総質量の50%に達する粒子の粒径、つまり50%粒径をいう。
【0059】
圧粉成形体の相対密度は90%以上であることが好ましく、高密度化により圧粉成形体の磁気特性を向上できる。より好ましい相対密度は93%以上である。相対密度とは、圧粉成形体(軟磁性粉末)の真密度に対する、圧粉成形体の密度の比率(%)のことである。
【0060】
・ヨーク
ヨーク5の説明にあたっては主として図7,8A,8B,9を参照する。図7に示すように、ヨーク5は円環形状の部材である。本例のヨーク5は一つの部材で構成されている。ヨーク5は複数の分割片を組み合わせて構成することもできる。例えば、扇状の分割片を繋ぎ合わせて円環形状のヨーク5を形成できる。
【0061】
ヨーク5は、第二面50と裏面52と内側の縁面53と外側の縁面54とを備える。第二面50は、図3に示すように第一面40に対向する面である。第二面50は、第一面40に平行な平坦面である。そのため、ティース4の第一面40の全面が、第二面50に面接触する。ヨーク5の裏面52は、第二面50に平行なヨーク5の下面である。縁面53は、ヨーク5の円環の内側で第二面50と裏面52とを繋ぐ面である。縁面53の内側には、シャフト20(図10)を貫通させる貫通孔55が形成されている。縁面54は、ヨーク5の円環の外側で第二面50と裏面52とを繋ぐ面である。ヨーク5の第二面50には、後述する連結機構9の第二連結部92が形成されている。
【0062】
ヨーク5は、ティース4と同様に圧粉成形体で構成されている。ヨーク5を構成する圧粉成形体の組成は、ティース4を構成する圧粉成形体の組成と同じでも良いし、異なっていても良い。また、ヨーク5の密度も、ティース4の密度と同じでも良いし、異なっていても良い。
【0063】
・連結機構
連結機構9は、第一連結部91と第二連結部92とを備える。第一連結部91は、第一面40に形成される窪みであり、第二連結部92は、第二面50から突出する突起である。第一連結部91(窪み)の内形は、第二連結部92(突起)の外形に対応する形状となっている。そのため、第一連結部91に第二連結部92を嵌め込むことで、第一連結部91の内周面に第二連結部92の外周面が面接触する。その結果、ティース4とヨーク5とが連結される。
【0064】
・・第一連結部
図4,5A,5Bに基づいて、第一連結部91(窪み)の形状を詳しく説明する。図4に示すように、第一連結部91を第一面40と直交する方向から見た正面形状は環形状になっている。本例の第一連結部91の正面形状は、レーストラック形状となっている。第一連結部91の正面形状は、円環形状であっても良いし、本例のレーストラック形状を含む非円環形状であっても良い。レーストラック形状以外の非円環形状としては、例えば各頂点が丸められた三角形、長方形(正方形を含む)、台形、又は菱形などの多角形状、環の一部が繋がっていないC字形やU字形などの断続的な環形状を挙げることができる。第一連結部91の正面形状が非円環形状であれば、ティース4とヨーク5とを連結した後、第一面40(第二面50)上で、ティース4がヨーク5に対して回転することを抑制できる。図4の例示とは異なり、第一連結部91をヨーク5(図1)の径方向の内方側と外方側に二分したとき、分割線(図4の二点鎖線参照)を挟む紙面上側の部分と下側の部分とが非線対称となっても良い。その場合、ヨーク5に対するティース4の向きが限定されるので、ティース4の向きを間違えることが無くなる。
【0065】
第一連結部91(窪み)の環形状の内側は、第一面40と同じ高さになっている。本例とは異なり、第一連結部91の環形状の内側は、第一面40よりも窪んでいても良いし、後述する実施形態3のように第一面40から突出していても良い。
【0066】
本例では、ティース4における第一連結部91の数は一つである。一つのティース4に複数の第一連結部91を設けることもできる。複数の第一連結部91を形成する場合、一部を窪み、残りを突起とすることもできる。
【0067】
本例の第一連結部91(窪み)の幅は、図5Bに示すように、深さ方向に向うに従って徐々に狭くなっている。つまり、第一連結部91の底面9dの幅は、第一連結部91の開口部の幅よりも狭くなっている。また、内壁面9iは、底面9dから開口部に向うに従って拡がる方向に傾斜している。このような形状の窪みは、圧縮成形時の軟磁性粉末の流動性を向上させることに寄与する。もちろん、窪みは、深さ方向に幅が一様であっても構わない。ここで、第一連結部91の幅とは、第一連結部91の環形状の周方向(図5Bの紙面厚み方向)に直交する方向の長さのことである。
【0068】
第一連結部91(窪み)における底面9dと内壁面9iとの繋ぎ目は丸められている。また、内壁面9iと第一面40との繋ぎ目も丸められている。両繋ぎ目を丸めることで、圧縮成形時の軟磁性粉末の流動性を向上させることができる。例えば、丸みの曲率半径は0.5mm以上4.0mm以下とすることができる。より好ましい曲率半径は1.0mm以上3.0mm以下である。
【0069】
第一連結部91(窪み)の幅wは、0.5mm以上10mm以下とすることが好ましい。幅wは、窪みの開口部の幅である。幅wを0.5mm以上とすることで、第一連結部91(窪み)と第二連結部92(突起)との連結強度を十分に確保できる。また、幅wを10mm以下とすることで、圧縮成形時の軟磁性粉末の流動性の低下を抑制できる。より好ましい幅wは0.5mm以上4mm以下、更に好ましい幅wは1.0mm以上3.0mm以下である。
【0070】
第一連結部91(窪み)の深さdは、0.5mm以上で、かつ第一部材と第二部材のうち、厚みが小さい方(本例ではヨーク5)の厚みの30%以下とすることが好ましい。深さdは、第一面40から底面9dまでの垂線の長さである。深さdを0.5mm以上とすることで、第一連結部91(窪み)と第二連結部92(突起)との連結強度を十分に確保できる。また、深さdをヨーク5の厚みの30%以下とすることで、圧縮成形時の軟磁性粉末の流動性の低下を抑制できる。より好ましい深さdは、1.0mm以上で、かつ第一部材と第二部材のうち、厚みが小さい方の厚みの25%以下である。
【0071】
第一面40における第一連結部91の外周輪郭線(図4参照)の大きさは適宜選択することができる。例えば、第一面40の面積を100としたとき、第一連結部91の外周輪郭線よりも内側の面積は10%以上80%以下とすることができる。第一面40に占める第一連結部91の外形の面積割合を10%以上80%以下とすることで、ティース4とヨーク5との連結を強固にできる。より好ましい面積割合は20%以上70%以下である。
【0072】
・・第二連結部
図7,8に基づいて、第二連結部92(突起)の形状を詳しく説明する。既に述べたように、第二連結部92は、第一連結部91に対応する形状を備えている。そのため、図7に示すように、第二連結部92を第二面50と直交する方向から見た正面形状は、第一連結部91の正面形状と同じ形状・同じ大きさとなっている。
【0073】
第二連結部92(突起)の環形状の内側は、第二面50と同じ高さになっている。本例とは異なり、第二連結部92の環形状の内側は、第二面50よりも突出していても良いし、後述する実施形態4のように第二面50よりも窪んでいても良い。
【0074】
本例の第二連結部92(突起)の幅は、図8Bに示すように、頂面9tに向うに従って徐々に細くなっている。つまり、第二連結部92の頂面9tの幅は、第二連結部92の根元の幅よりも狭くなっている。また、外壁面9oは、根元から頂面9tに向うに従って狭まる方向に傾斜している。このような形状の突起は、圧縮成形時の軟磁性粉末の流動性を向上させることに寄与する。ここで、第二連結部92の幅とは、第二連結部92の環形状の周方向(図8Bの紙面厚み方向)に直交する長さのことである。
【0075】
第二連結部92(突起)における頂面9tと外壁面9oとの繋ぎ目、及び外壁面9oと第二面50との繋ぎ目は、第一連結部91(窪み)の形状に合わせて丸められている。突起の両繋ぎ目を丸めることで、圧縮成形時の軟磁性粉末の流動性を向上させることができる。
【0076】
第二連結部92(突起)の幅wは、図5Bの第一連結部91(窪み)の幅wと同じである。幅wは、突起の根元の幅である。また、第二連結部92(突起)の高さhは、図5Bの第一連結部91(窪み)の深さdと同じである。高さhは、第二面50の延長面から頂面9tまでの垂線の長さである。突起の幅wと高さhの限定は、突起の機械的強度の向上に寄与する。また、突起の幅wと高さhの限定は、圧縮成形時の突起近傍における軟磁性粉末の流動性の向上に寄与する。
【0077】
≪本実施形態の効果≫
実施形態のコア30(図1)には局所的に軟磁性粉末の密度が低い箇所が殆ど無いため、コア30は全体的に高密度である。局所的に低密度な箇所がコア30に形成されないのは、第一連結部91と第二連結部92を構成する突起と窪みの正面形状が環形状又は断続的な環形状となっているからである。
【0078】
実施形態のコア30は生産性に優れる。コア30の圧縮成形時における突起と窪み周辺の軟磁性粉末の流動性が高く、一度の圧縮成形で全体的に高密度なコア30を作製できるからである。また、軟磁性粉末の流動性が高いため、局所的に低密度な箇所を有する不良品の発生率が下がることも、コア30の生産性が向上する要因である。
【0079】
本例ではティース4とヨーク5とを別部材としている。そのため、コア30を作製するための金型を単純な形状にできる。その結果、ティース4とヨーク5の密度を均一化し易い。また、コア30に備わる複数のティース4を一つの金型で作製できる。その結果、コア30の生産性を向上させることができる。
【0080】
本例ではヨーク5に形成する第二連結部92を突起としている。そのため、第二連結部92を設けたことによるヨーク5の機械的強度の低下を抑制できる。
【0081】
上記実施形態のコア30を備えるステータ3(図10)は磁気特性に優れる。ステータ3の磁性粉末の密度が高いからである。また、ステータ3は生産性に優れる。ステータ3に備わるコア30の生産性が高いからである。
【0082】
上記実施形態のステータ3を備える回転電機1は出力特性に優れる。回転電機1に備わるステータ3の磁気特性が高いからである。また、回転電機1は生産性に優れる。回転電機1に備わるステータ3の生産性が高いからである。
【0083】
<実施形態2>
実施形態2では、実施形態1とは異なるコア30を図11に基づいて説明する。図11の見方は実施形態1の図3と同じである。
【0084】
図11のコア30では、ティース4の第一連結部91が突起、ヨーク5の第二連結部92が窪みとなっている。突起及び窪みの形状・寸法は、実施形態1と同じとすることができる。本例の構成によっても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0085】
<実施形態3>
実施形態3では、ティース4が第三連結部93を有し、ヨーク5が第四連結部94を有するコア30を図12A,12Bに基づいて説明する。
【0086】
第三連結部93は、第一面40における第一連結部91の環形状の内側に形成され、第一面40から突出する突起である。本例の第三連結部93の高さhは、第二連結部92(突起)の高さhよりも大きくなっている。第三連結部93の高さhは、第一面40から突起の頂面までの垂線の長さである。高さhの好ましい範囲は、高さhの好ましい範囲と同じである。
【0087】
図12Aに示されるように、第四連結部94は、第二面50における第二連結部92の環形状の内側に形成され、第二面50よりも低くなった窪みである。第四連結部94(窪み)の内形は、第三連結部93(突起)の外形に対応する形状を備える。そのため、図12Bに示されるように、本例の第四連結部94(窪み)の深さdは、第三連結部93(突起)の高さhと同じ大きさである。
【0088】
本例の構成によれば、実施形態1~2のコア30よりも、ティース4とヨーク5とを強固に連結することができる。
【0089】
<実施形態4>
実施形態4では、実施形態3と異なるコア30を図13A,13Bに基づいて説明する。
【0090】
図13Aに示されるように、本例の第三連結部93は、第一面40における第一連結部91の環形状の内側に形成される窪みである。一方、第四連結部94は、第二面50における第二連結部92の環形状の内側に形成される突起である。
【0091】
本例でも、第三連結部93(窪み)の内形は、第四連結部94(突起)の外形に対応する形状を備える。そのため、図13Bに示されるように、本例の第三連結部93の深さdは、第四連結部94高さhと同じである。
【0092】
<実施形態5>
実施形態5では、ティース4と、ティース4におけるヨーク5とは反対側に配置される板状片6と、を連結したコア30を図14に基づいて説明する。
【0093】
本例のティース4は、ヨーク5と一体に形成されている。実施形態1~4のコア30のように、ティース4とヨーク5とを別体としても構わない。その場合、コア30を構成する部品点数は増えるものの、コア30全体の密度を均一にし易い。
【0094】
板状片6は、ティース4におけるヨークとは反対側の端面42に設けられる。この板状片6は、ティース4とは別に作製され、ティース4に連結される。つまり、ティース4が第一部材、板状片6が第二部材である。また、ティース4(第一部材)の端面42は、板状片6(第二部材)に対向する第一面40でもある。板状片6のうち、第一面40に対向する対向面60は、第二面50である。
【0095】
ティース4の第一面40には、環形状の窪みで構成される第一連結部91が形成されている。また、板状片6の第二面50には、環形状の突起で構成される第二連結部92が形成されている。
【0096】
本例の構成によれば、ティース4にコイル31(図10)を配置した後、ティース4に鍔部45を形成できる。この場合、コイル31の配置が非常に容易になる。
【0097】
<実施形態6>
ティース4におけるヨーク5とは反対側に配置される板状片6を備える構成として、実施形態6では、実施形態5とは異なるコア30を図15に基づいて説明する。
【0098】
本例では、ティース4の第一面40には、環形状の突起で構成される第一連結部91が形成されている。また、板状片6の第二面50には、環形状の窪みで構成される第二連結部92が形成されている。本例の構成によっても、ティース4にコイル31(図10)を配置した後、ティース4に鍔部45を形成できる。
【0099】
<実施形態7>
実施形態1~6で説明したコア30は、ステータに用いられるものである。このコアは、ロータに用いることもできる。
【符号の説明】
【0100】
1 回転電機
10 ハウジング
2 ロータ
20 シャフト、21 保持板、22 磁石、23 軸受
3 ステータ
30 コア、31 コイル
4 ティース(第一部材)
40 第一面、41 周面、42 端面、45 鍔部
5 ヨーク(第二部材)
50 第二面、52 裏面、53 内側の縁面、54 外側の縁面、55 貫通孔
6 板状片(第二部材)
60 対向面
9 連結機構
91 第一連結部、92 第二連結部、93 第三連結部、94 第四連結部
9d 底面、9i 内壁面、9o 外壁面、9t 頂面
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15