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特許7319291タッチ検出回路、タッチ表示装置及びタッチ検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】タッチ検出回路、タッチ表示装置及びタッチ検出方法
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/955 20060101AFI20230725BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H03K17/955 A
G06F3/041 512
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020552722
(86)(22)【出願日】2019-08-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2019101023
(87)【国際公開番号】W WO2020215537
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】201910343219.4
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517380215
【氏名又は名称】北京集創北方科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Chipone Technology (Beijing) Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】Building 56,No.2 North Jing Yuan Street, Beijing Economic Technological Development Area,Daxing District,Beijing 100176,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュウ、チョン
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0238944(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0156853(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104049822(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0004349(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101676828(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0124544(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0243631(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/74-17/98
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量センシング信号を受信する反転入力端子、コモンモード電圧を受け取る非反転入力端子、及び検出信号を提供する出力端子を含むオペアンプと、
信号感度を高めるように、前記静電容量センシング信号を補償する補償コンデンサと、
前記補償コンデンサと前記反転入力端子、第1バイアス端子、第2バイアス端子及び第3バイアス端子との電気的な接続を導通又は切断するように、補償コンデンサに接続される複数のスイッチとを備え、
前記補償コンデンサは金属酸化物半導体コンデンサを含み、
前記複数のスイッチは、前記静電容量センシング信号を受信するように構成されている第1端と、前記補償コンデンサの上極板に接続されている第2端を有する第9スイッチを含み、
前記第9スイッチがオンになったとき、前記複数のスイッチを用いて、タッチ操作の検出に用いられて前記静電容量センシング信号を生成するベースコンデンサが前記補償コンデンサによって双方向に補償され、
前記第9スイッチがオフになったとき、前記複数のスイッチは前記補償コンデンサの上下極板に対する充電/放電を実現し、前記補償コンデンサの上下極板の電圧差のバランスをとり、
前記第1バイアス端子は正電圧源バイアス端子であり、前記第2バイアス端子は負電圧源バイアス端子であり、及び前記第3バイアス端子はアナロググランドバイアス端子であり、
前記正電圧源バイアス端子の出力電圧と前記負電圧源バイアス端子の出力電圧とは電圧値が等しく、電圧の極性が逆であり、
前記複数のスイッチは、
前記補償コンデンサの第1端と前記第1バイアス端子との間に接続される第4スイッチと、
前記補償コンデンサの第1端と前記第3バイアス端子との間に接続される第5スイッチと、
前記補償コンデンサの第2端と前記第1バイアス端子との間に接続される第6スイッチと、
前記補償コンデンサの第2端と前記第3バイアス端子との間に接続される第7スイッチと、
前記補償コンデンサの第2端と前記第2バイアス端子との間に接続される第8スイッチとをさらに含むことを特徴とするタッチ検出回路。
【請求項2】
前記タッチ検出回路は、
その第1端が第2スイッチを介して前記オペアンプの反転入力端子に接続され、その第2端が接地する前記ベースコンデンサと、
第1スイッチを介して前記ベースコンデンサの第1端に接続され、前記ベースコンデンサを充電するための電圧源と、
前記オペアンプの反転入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に直列に接続される第3スイッチと、
前記第3スイッチに並列に接続される第1コンデンサとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のタッチ検出回路。
【請求項3】
励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされる前の第1期間に、第4スイッチ及び第7スイッチを閉じ、前記補償コンデンサを第1電圧に充電し、
前記励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされた後の第2期間に、第6スイッチ及び第9スイッチを閉じ、前記補償コンデンサの電荷が前記ベースコンデンサに転送され、
前記励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされる前の第3期間に、第5スイッチ及び第7スイッチを閉じ、前記補償コンデンサの上下極板を放電し、
前記励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされた後の第4期間に、第8スイッチ及び第9スイッチを閉じ、前記補償コンデンサを第2電圧に充電するとともに、前記ベースコンデンサの電荷が前記補償コンデンサに転送されることを特徴とする請求項に記載のタッチ検出回路。
【請求項4】
前記第1電圧は前記第2電圧の絶対値に等しいことを特徴とする請求項に記載のタッチ検出回路。
【請求項5】
前記電圧源の出力電圧は正電圧と負電圧との間で切り替えることができることを特徴とする請求項2に記載のタッチ検出回路。
【請求項6】
ディスプレイパネル、及び
請求項1~のいずれか一項に記載されており、検出信号を提供するためのタッチ検出回路を備えることを特徴とするタッチ表示装置。
【請求項7】
前記ディスプレイパネルは、ブラウン管ディスプレイパネル、デジタル光処理ディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル、発光ダイオードディスプレイパネル、有機発光ダイオードディスプレイパネル、量子ドットディスプレイパネル、Mirco-LEDディスプレイパネル、Mini-LEDディスプレイパネル、電界放出ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、電気泳動ディスプレイパネル又はエレクトロウェッティングディスプレイパネルを含むことを特徴とする請求項に記載のタッチ表示装置。
【請求項8】
励起信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジがトリガーされる前の期間に、電圧源により前記励起信号に基づいて前記ベースコンデンサを充電することと、
励起信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジがトリガーされた後の期間に、前記補償コンデンサにより前記ベースコンデンサを補償することとを含み、
前記補償コンデンサが前記ベースコンデンサを補償するとき、前記第1のバイアス端子、前記第2のバイアス端子、及び前記第3のバイアス端子により前記励起信号に基づいて、前記補償コンデンサの前記上極板と下極板間を充電/放電することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のタッチ検出回路を用いてタッチを検出するタッチ検出方法。
【請求項9】
前記励起信号が高レベルの場合、前記電圧源の出力電圧は正電圧であり、前記励起信号が低レベルの場合、前記電圧源の出力電圧は負電圧であることを特徴とする請求項に記載のタッチ検出方法。
【請求項10】
前記タッチ検出方法は、前記補償コンデンサが前記ベースコンデンサを補償するとき、オペアンプによって前記ベースコンデンサの変化量を検出して出力することをさらに含むことを特徴とする請求項に記載のタッチ検出方法。
【請求項11】
前記ベースコンデンサの補償方法は、
前記励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされる前の第1期間に、前記補償コンデンサを第1電圧に充電することと、
前記励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされた後の第2期間に、前記補償コンデンサの電荷を前記ベースコンデンサに転送することと、
前記励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされる前の第3期間に、前記補償コンデンサの上下極板を放電することと、
前記励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされた後の第4期間に、前記補償コンデンサを第2電圧に充電し、同時に前記ベースコンデンサの電荷を前記補償コンデンサに転送することとを含むことを特徴とする請求項に記載のタッチ検出方法。
【請求項12】
前記電荷は正電荷であることを特徴とする請求項11に記載のタッチ検出方法。
【請求項13】
前記第1電圧は前記第2電圧の絶対値に等しいことを特徴とする請求項11に記載のタッチ検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2019年4月26日に提出された、出願番号が201910343219.4で、発明の名称が「タッチ検出回路、タッチ表示装置及びタッチ検出方法」の中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てを参照として本願に援用する。
本発明はタッチ制御技術分野に関し、具体的にタッチ検出回路、タッチ表示装置及びタッチ検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の静電容量式タッチ装置の検出方法には、自己容量検出と相互容量検出に基づく2つの基本的な手段があり、2つの基本的な手段はいずれも、導体(人間の指など)が静電容量式タッチ装置に近づいて、引き起こった小さな静電容量の変化を検出することによって識別操作を実現する。一般に、導体が装置に近づいて引き起こった静電容量の変化量は、装置が持っている測定静電容量よりもはるかに小さく、これらの測定静電容量には、画面自体の静電容量と画面の寄生静電容量が含まれる。測定静電容量の存在により、検出回路の有効な検出範囲が制限され、それにより小さな静電容量変化の検出感度の向上が制限される。
【0003】
この技術的な問題を解決するために、従来技術では、元のタッチ検出回路に補償コンデンサを増設する方法を採用することが多く、補償コンデンサの充電及び放電プロセスを制御し、測定コンデンサの電量から所定電量を減少することにより、測定コンデンサの容量変化量が、未補償コンデンサの容量変化量に対して増加し、それにより検出回路の感度を高める。
【0004】
従来の技術では、ほとんどの補償コンデンサは、MIM(Metal-Insulator-Metal、金属-絶縁体-金属)コンデンサ又はMOM(Metal-Oxide-Metal、金属-酸化物-金属)コンデンサを使用して、画面のベースコンデンサを補償する。ただし、MIMコンデンサ又はMOMコンデンサには大きな問題があり、それらの単位面積あたりの容量が非常に小さいため、ベースコンデンサが大きい画面である場合、非常に多くのMIMコンデンサ又はMOMコンデンサが必要になり、これにより、チップ面積がより大きくなり、チップの小型化に資せず、チップの製造コストが増加する。したがって、検出回路の感度の向上を実現することに基づいて、チップの小型化を実現することは、当業者にとって解決すべき問題となっている。
【発明の概要】
【0005】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は、チップ面積を削減し、チップコストを削減できるタッチ検出回路、タッチ表示装置、及びタッチ検出方法を提供する。
【0006】
本発明によって提供されるタッチ検出回路は、静電容量センシング信号を受信する反転入力端子、コモンモード電圧を受け取る非反転入力端子、及び検出信号を提供する出力端子を含むオペアンプと、信号感度を高めるように、前記静電容量センシング信号を補償する補償コンデンサと、前記補償コンデンサと前記反転入力端子、第1バイアス端子、第2バイアス端子及び第3バイアス端子との電気的な接続を導通又は切断するように、補償コンデンサに接続される複数のスイッチであって、前記複数のスイッチは前記反転入力端子と前記補償コンデンサ第1端との間に接続される第9スイッチを含み、前記複数のスイッチは前記第9スイッチがオフになったときに前記補償コンデンサの上下極板に対する充電/放電を実現し、前記補償コンデンサの上下極板の電圧差のバランスをとる、複数のスイッチとを備えることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記補償コンデンサは金属酸化物半導体コンデンサを含む。
【0008】
好ましくは、前記タッチ検出回路は、その第1端が第2スイッチを介して前記オペアンプの反転入力端子に接続され、その第2端が接地するベースコンデンサと、第1スイッチを介して前記ベースコンデンサの第1端に接続されて、前記ベースコンデンサを充電するための電圧源と、前記オペアンプの反転入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に直列に接続される第3スイッチと、前記第3スイッチに並列に接続される第1コンデンサとをさらに備える。
【0009】
好ましくは、前記複数のスイッチは、前記補償コンデンサの第1端と前記第1バイアス端子との間に接続される第4スイッチと、前記補償コンデンサの第1端と前記第3バイアス端子との間に接続される第5スイッチと、前記補償コンデンサの第2端と前記第1バイアス端子との間に接続される第6スイッチと、前記補償コンデンサの第2端と前記第3バイアス端子との間に接続される第7スイッチと、前記補償コンデンサの第2端と前記第2バイアス端子との間に接続される第8スイッチとをさらに含む。
【0010】
好ましくは、前記第1バイアス端子は正電圧源バイアス端子であり、前記第2バイアス端子は負電圧源バイアス端子であり、及び前記第3バイアス端子はアナロググランドバイアス端子である。
【0011】
好ましくは、励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされる前の第1期間に、第4スイッチ及び第7スイッチを閉じ、前記補償コンデンサを第1電圧に充電し、前記励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされた後の第1期間に、第6スイッチ及び第9スイッチを閉じ、前記補償コンデンサの電荷がベースコンデンサに転送され、前記励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされる前の第1期間に、第5スイッチ及び第7スイッチを閉じ、前記補償コンデンサの上下極板を放電し、前記励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされた後の第1期間に、第8スイッチ及び第9スイッチを閉じ、前記補償コンデンサを第2電圧に充電するとともに、前記ベースコンデンサの電荷が前記補償コンデンサに転送される。
【0012】
好ましくは、前記正電圧源バイアス端子の出力電圧は前記負電圧源バイアス端子の出力電圧の電圧に等しく、電圧の極性が逆である。
【0013】
好ましくは、前記第1電圧は前記第2電圧の絶対値に等しい。
【0014】
好ましくは、前記電圧源の出力電圧は、正電圧と負電圧の間で切り替えることができる。
【0015】
本発明によって提供されるタッチ表示装置は、ディスプレイパネル、及び上述したいずれかの実施例に記載される、検出信号を提供するためのタッチ検出回路を備えることを特徴とする。
【0016】
好ましくは、前記ディスプレイパネルは、ブラウン管ディスプレイパネル、デジタル光処理ディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル、発光ダイオードディスプレイパネル、有機発光ダイオードディスプレイパネル、量子ドットディスプレイパネル、Mirco-LEDディスプレイパネル、Mini-LEDディスプレイパネル、電界放出ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、電気泳動ディスプレイパネル又はエレクトロウェッティングディスプレイパネルを含む。
【0017】
本発明によって提供されるタッチ検出方法は、励起信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジがトリガーされる前の第1期間に、電圧源が前記励起信号に基づいてベースコンデンサを充電することと、励起信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジがトリガーされた後の第1期間に、補償コンデンサが前記ベースコンデンサを補償することとを含み、前記補償コンデンサが前記ベースコンデンサを補償するとき、複数のバイアス端子が前記励起信号に基づいて、前記補償コンデンサの上下極板を充電/放電することを特徴とする。
【0018】
好ましくは、前記複数のバイアス端子は、正電圧源バイアス端子、負電圧源バイアス端子及びアナロググランドバイアス端子を含む。
【0019】
好ましくは、前記補償コンデンサは金属酸化物半導体コンデンサを含む。
【0020】
好ましくは、前記励起信号が高レベルの場合、前記電圧源の出力電圧は正電圧であり、前記励起信号が低レベルの場合、前記電圧源の出力電圧は負電圧である。
【0021】
好ましくは、前記タッチ検出方法は、前記補償コンデンサが前記ベースコンデンサを補償するとき、オペアンプによって前記ベースコンデンサの変化量を検出して出力することをさらに含む。
【0022】
好ましくは、前記ベースコンデンサの補償方法は、前記励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされる前の第1期間に、前記補償コンデンサを第1電圧に充電することと、前記励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされた後の第1期間に、前記補償コンデンサの電荷を前記ベースコンデンサに転送することと、前記励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされる前の第1期間に、前記補償コンデンサの上下極板を放電することと、前記励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされた後の第1期間に、前記補償コンデンサを第2電圧に充電し、と同時に前記ベースコンデンサの電荷を前記補償コンデンサに転送することとを含む。
【0023】
好ましくは、前記電荷は正電荷である。
【0024】
好ましくは、前記第1電圧は前記第2電圧の絶対値に等しい。
【0025】
本発明の有益な効果は、本発明はタッチ検出回路、タッチ表示装置及びタッチ検出方法を提供し、金属酸化物半導体コンデンサをベースコンデンサとしてサンプリングすることにより、タッチ検出回路のベースコンデンサを補償し、チップ面積を効果的に削減し、金属酸化物半導体コンデンサの単位面積当たりの静電容量がMIMコンデンサの2倍であるため、補償コンデンサの面積もある程度削減させ、チップコストを大幅に削減したことである。
【0026】
対応するスイッチ回路を配置することにより、NCAPコンデンサの両端を複数のバイアス源に接続させ、該複数のバイアス源によってNCAPコンデンサの上下極板を充電/放電し、NCAP上下極板の電圧差が異なるときの静電容量の差を効果的になくした。
【0027】
本発明は、ベースコンデンサCbの正/負電圧の充電変換中に、補償コンデンサCcの上極板及び下極板を同時にアナロググランドに接続させ、これにより、補償コンデンサCcの上極板及び下極板の残留電荷を解放し、ベースコンデンサCbに対する補償コンデンサCcの補償効果をさらに向上させる。
本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点は、以下の図面を参照した本発明の実施例の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は従来の技術によるタッチ検出回路の概略構造図を示す。
図2図2は本発明の実施例によって提供されるタッチ検出回路の概略構造図である。
図3図3は本発明の実施例によって提供されるタッチ検出回路の制御タイミング図を示す。
図4図4は本発明の実施例によって提供されるタッチ検出方法のフローチャートを示す。
図5図5は本発明の実施例によって提供されるベースコンデンサ補償方法のフローチャートを示す。
【本発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を理解しやすくするために、以下、添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。本発明の好ましい実施例が図面に示されている。しかしながら、本発明は、異なる形態で実施されてもよく、本明細書に記載される実施例に限定されない。それどころか、これらの実施例を提供する目的は、本発明の開示内容についての理解をより徹底的かつ包括的にすることである。
【0030】
本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、特に定義されない限り、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0031】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
【0032】
図1は従来の技術によるタッチ検出回路の概略構造図を示す。
【0033】
図1に示すように、タッチ検出回路は、ベースコンデンサCb、第1コンデンサCf、補償コンデンサCc、オペアンプAMP、第1スイッチS1、第2スイッチS2、第3スイッチS3、第4スイッチS4及び第5スイッチS5を含み、ベースコンデンサCbが各ピクセルポイントの接地コンデンサである。
【0034】
ベースコンデンサCbの第1端が同時に第1スイッチS1の第1端及び第2スイッチS2の第1端に接続され、ベースコンデンサCbの第2端が接地し、第1スイッチS1の第2端が電圧源に接続され、第2スイッチS2の第2端がオペアンプAMPの反転入力端子に接続され、第3スイッチS3がオペアンプAMPの出力端子と反転入力端子との間に接続され、第1コンデンサCfが第3スイッチS3に並列に接続され、オペアンプAMPの非反転入力端子がコモンモード電圧VCMを受け取り、オペアンプAMPの出力端子が検出信号Voを出力し、補償コンデンサCcの第1端がオペアンプAMPの反転入力端子に接続され、補償コンデンサCcの第2端がそれぞれ第4スイッチS4の第1端及び第5スイッチS5の第1端に接続され、第4スイッチS4の第2端及び第5スイッチS5の第2端がそれぞれ第1補償電圧源及び第2補償電圧源に接続される。
【0035】
図1に示すタッチ検出回路の構造図において、タッチによるベースコンデンサCbの変化量は、ベースコンデンサCbと並列に接続されたタッチコンデンサΔCに相当する。電圧源、第1補償電圧源及び第2補償電圧源は正電圧源VDD及び負電圧源VSSから選ばれる任意の1種を含む。
【0036】
図1に示すタッチ検出回路はψ1及びψ22つの期間を含み、ψ1期間には主にベースコンデンサCbを充電し、ψ2期間には主にベースコンデンサCbを補償する。同時に、図1の回路図では、記号ψ1及びψ2は、ψ1期間に、ψ1に対応するスイッチが閉じられ、ψ2に対応するスイッチがオフになり、ψ2期間には、ψ1に対応するスイッチがオフになり、ψ2に対応するスイッチが閉じられることを示す。
【0037】
第1期間ψ1内に、第1スイッチS1、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が全部閉じられ、第2スイッチS2及び第5スイッチS5がいずれもオフになる。ベースコンデンサCbが第1スイッチS1を介して充電され、補償コンデンサCcが第4スイッチS4を介して充電され、電圧源が例えば、正電圧源VDDであり、対応して、第1補償電圧源が例えば、負電圧源VSSである。充電完了後、ベースコンデンサCbの両端電圧がVCCであり、補償コンデンサCcの両端電圧がVSSである。このとき、オペアンプAMPがユニティゲインバッファとして接続され、ユニティゲインバッファの相関特性により、オペアンプAMPの出力端子電圧が非反転入力端子電圧に等しく、いずれもコモンモード電圧VCMである。
【0038】
第2期間ψ2内に、第1スイッチS1、第3スイッチS3及び第4スイッチS4が全部オフになり、第2スイッチS2及び第5スイッチS5が閉じられ、これによりオペアンプAMPが線形領域で動作し、このとき、オペアンプAMPの非反転入力端子と反転入力端子の電位が等しいと見なされ、この特性が仮想短絡と呼ばれ、バーチャルショートと略される。オペアンプAMPのこの特性により、このとき、オペアンプAMPの非反転入力端子及び反転入力端子の電圧はいずれもコモンモード電圧VCMである。
【0039】
タッチ検出回路には第4スイッチS4、第5スイッチS5及び補償コンデンサCcがない場合、このとき、オペアンプAMPの非反転入力端子と反転入力端子との電位が等しくなるまで、ベースコンデンサCbと第1コンデンサCfとの間で電荷の転送が続く。この過程で、オペアンプAMPにより出力される検出信号Voが変化し、第1期間ψ1内の検出信号VoがVoψ1であり、第2期間ψ2内の検出信号VoがVoψ2である場合、検出信号Voの変化量ΔVoが下式であり、
電荷保存則によると、下式が得られる。
【0040】
オペアンプAMPの出力端子がアナログ-デジタル変換回路に接続され、該アナログ-デジタル変換回路が検出信号Voの変化量に基づいてタッチコンデンサΔCを取得する。
【0041】
ベースコンデンサCbの静電容量値が大きすぎる(最大、数百pFに達することができる)ため、実際の使用時、タッチコンデンサΔCの静電容量値(通常は約1pFのみ)を取得するだけでよく、これにより、検出信号Voの変化量ΔVoが小さくなりすぎて、検出感度を下げる。
【0042】
従来技術の検出回路には、第4スイッチS4、第5スイッチS5及び補償コンデンサCcを増設したため、第2補償電圧源が例えばVDDであり、第5スイッチS5を閉じることにより、補償コンデンサCcの両端電圧がVDD-VSSにあり、ベースコンデンサCbと補償コンデンサCcとの間に電荷の転送が発生し、ベースコンデンサCb電量が減少するため、ベースコンデンサCbの静電容量の変化量(即ち、タッチコンデンサΔC)が補償コンデンサCcのないときに対して増加し、したがって、検出回路の感度を向上させる。
【0043】
従来の技術では、検出回路の感度を改善することができるが、その補償コンデンサは主にMIMコンデンサ又はMOMコンデンサを使用して、画面のベースコンデンサを補償する。ただし、MIMコンデンサ又はMOMコンデンサには大きな問題があり、それらの単位面積あたりの静電容量は非常に小さいため、ベースコンデンサが大きい画面の場合、非常に多くのMIMコンデンサ又はMOMコンデンサが必要になり、これにより、チップの面積がより大きくなり、チップの小型化に資せず、チップの製造コストも増加する。
【0044】
図2は本発明の実施例によって提供されるタッチ検出回路の概略構造図を示す。
【0045】
図2に示すように、本実施例において、タッチ検出回路は、ベースコンデンサCb、第1コンデンサCf、補償コンデンサCc、複数のスイッチ、オペアンプAMP、第1スイッチS1、第2スイッチS2及び第3スイッチS3を含む。
【0046】
オペアンプAMPは、静電容量センシング信号を受信する反転入力端子、コモンモード電圧VCMを受け取る非反転入力端子、及び検出信号を提供する出力端子Voを含む。
【0047】
本実施例において、オペアンプAMPの出力端子はアナログ-デジタル変換回路に接続され、該アナログ-デジタル変換回路は検出信号Voの変化量に基づいてタッチコンデンサΔCを取得する。
【0048】
本実施例において、第3スイッチS3はオペアンプAMPの出力端子と反転入力端子との間に接続され、第1コンデンサCfが第3スイッチS3に並列に接続される。
【0049】
補償コンデンサCcは信号の感度を高めるように、静電容量センシング信号を補償する。
【0050】
本実施例において、補償コンデンサCcの第1端は第2スイッチS2を介してベースコンデンサCbの第1端に接続され、補償コンデンサCcがベースコンデンサCbを補償する。
【0051】
好ましくは、本実施例において、補償コンデンサCcはNCAPコンデンサ(即ち、Nウェルコンデンサ又は金属酸化物半導体コンデンサ)を採用し、該Nウェルコンデンサの単位面積当たりの静電容量が従来の金属絶縁層の金属コンデンサの2倍であり、それは、基本ドーピングタイプに従ってドーピングされた基本ドーピング領域と、好ましくは基本ドーピング領域に隣接し、基本ドーピングタイプに従ってドーピングされ、そのドーパントの最大濃度が基本ドーピング領域におけるドーパントの最大濃度よりも高い少なくとも1つのドーピング接続領域と、基本ドーピング領域から所定の距離で離れて配置され、MOSトランジスタ(金属酸化物半導体)の構造に応じてゲート領域とも呼ばれる電極領域と、電極領域と基本ドーピング領域との間に配置される誘電体とを含む。
【0052】
さらに、補償コンデンサCcはより高い単位面積当たりの静電容量を有する他のコンデンサをさらに含んでもよい。
【0053】
複数のスイッチは、補償コンデンサCcに接続され、補償コンデンサCcとオペアンプAMPの反転入力端子、第1バイアス端子、第2バイアス端子及び第3バイアス端子との電気的な接続を導通又は切断する。
【0054】
本実施例において、該複数のスイッチは補償コンデンサCcの第1端とオペアンプAMPの反転入力端子との間に接続される第9スイッチS9を含む。第9スイッチS9はステアリングスイッチとして、導通すると、補償コンデンサCcとオペアンプAMPの反転入力端子とを導通し、補償コンデンサCcによりベースコンデンサCbに対する双方向(電荷転送方向)補償を実現し、第9スイッチS9がオフになったとき、該複数のスイッチは、補償コンデンサCcの上下極板を充電/放電し、前記補償コンデンサCcの上下極板の電圧差のバランスをとる。
【0055】
さらに、複数のスイッチは第4スイッチS4、第5スイッチS5、第6スイッチS6、第7スイッチS7及び第8スイッチS8をさらに含み、該複数のスイッチが導通するとき、補償コンデンサCcの第1端及び第2端をそれぞれ複数のバイアス端子に接続させ、補償コンデンサCcの上下極板の電圧差のバランスを取り、金属酸化物半導体コンデンサを補償コンデンサとして使用するときの、補償コンデンサCcの静電容量の差をさらになくす。
【0056】
さらに、該複数のスイッチの導通は、励起信号によって制御される。
【0057】
第4スイッチS4が補償コンデンサCcの第1端と第1バイアス端子(正電圧源)VDPとの間に接続され、第5スイッチS5が補償コンデンサCcの第1端と第3バイアス端子(アナロググランド)VSSとの間に接続され、第6スイッチS6が補償コンデンサCcの第2端と第1バイアス端子(正電圧源)VDPとの間に接続され、第7スイッチS7が補償コンデンサCcの第2端と第3バイアス端子(アナロググランド)VSSとの間に接続され、第8スイッチS8が補償コンデンサCcの第2端と第2バイアス端子(負電圧源)VDNとの間に接続される。
【0058】
本実施例において、補償コンデンサCc、複数のスイッチ及び複数のバイアス端子により補償モジュール100を構成し、該補償モジュール100は外部信号に対する補償を実現する。該補償モジュール100は他の回路にも適用できることが理解できる。
【0059】
ベースコンデンサCbは各ピクセルポイントの接地コンデンサである。その第1端は第2スイッチS2を介してオペアンプAMPの反転入力端子に接続され、第2端は接地する。
【0060】
電圧源は第1スイッチS1を介してベースコンデンサCbの第2端に接続され、該電圧源は正電圧源VDP及び負電圧源VDNから選ばれる任意の1種を含む。
【0061】
好ましくは、本実施例において、電圧源の出力電圧は、励起信号に応じて正電圧と負電圧の間で切り替えることができ、例えば、励起信号が高レベルの場合、電圧源は正電圧VDPを出力し、励起信号が低レベルの場合、電圧源は負電圧VDNを出力する。
【0062】
図2に示すタッチ検出回路の構造図において、タッチによるベースコンデンサCbの変化量は、静電容量センシング信号に対応して、ベースコンデンサCbに並列に接続されたタッチコンデンサΔCに相当する。
【0063】
好ましくは、本実施例において、正電圧源VDPと負電圧源VDNとの電圧絶対値が等しく、即ち、正電圧源VDPと負電圧源VDNとの電圧値が等しく、電圧の極性が逆である。
【0064】
以下、図3を参照しながら、本実施例のタッチ検出回路の動作原理をさらに説明する。図3は、本発明の実施例によって提供されるタッチ検出回路の制御タイミング図を示す。
【0065】
なお、本実施例において、図3に示すように、タッチ検出回路の動作タイミングは第1期間t1、第2期間t2、第3期間t3及び第4期間t4に分けられる。t1及びt3期間はベースコンデンサの充電期間に対応し、t2及びt4期間はベースコンデンサに対して電荷補償を行う期間に対応する。
【0066】
図3を参照し、本実施例において、励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされる前の第1期間で第1期間t1を表し、励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされた後の第1期間で第2期間t2を表し、励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされる前の第1期間で第3期間t3を表し、励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされた後の第1期間で第4期間t4を表す。さらに、第1期間t1から第2期間t2への遷移時点で、励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされ、第3期間t3から第4期間t4への遷移時点で、励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされる。
【0067】
各段階に対応するタイミング図では、スイッチS4からS9に対応する制御信号について、高レベル信号は対応するスイッチの閉じ状態に対応し、低レベル信号は対応するスイッチのオフ状態に対応する。
【0068】
図2を結合し、タッチ検出回路の工作原理は具体的に以下のとおりである。
【0069】
励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされる前の第1期間t1内に、励起信号は低レベルであり、電圧源は負電圧源VDNに切り替えられる。このとき、第1スイッチS1と第3スイッチS3が閉じられ、第2スイッチS2がオフになり、ベースコンデンサCbが第1スイッチS1を介して負電圧充電を開始し、充電完了後、その両端の第1電圧はVDNに対応する。
【0070】
同時に、第4スイッチS4及び第7スイッチS7が閉じられ、第5スイッチS5、第6スイッチS6及び第8スイッチS8がオフになり、補償コンデンサCcの上極板が第4スイッチS4を介して正電圧源VDPに接続され、下極板が第7スイッチS7を介してアナロググランドVSSに接続され、正電圧源VDPが補償コンデンサCcの上極板を充電開始し、充電完了後、その両端電圧がVDPになり、このときの補償コンデンサCcの電荷がCc*(VDP-VSS)になる。
【0071】
励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされた後の第1期間t2内に、励起信号は高レベルであり、電圧源は正電圧源VDPに切り替えられる。このとき、第2スイッチS2は閉じられ、第1スイッチS1及び第3スイッチS3はオフになり、ベースコンデンサCbはもはや充電されず、ベースコンデンサCbの第1端が第2のスイッチS2を介してノードVINに接続される。
【0072】
同時に、第6スイッチS6及び第9スイッチS9が閉じられ、第4スイッチS4、第5スイッチS5、第7スイッチS7及び第8スイッチS8がオフになる。補償コンデンサCcの上極板は第9スイッチS9を介してノードVIN(ノードVINの電圧もVDPである)に接続され、補償コンデンサCcの下極板は第6スイッチS6を介して正電圧源VDPに接続される。このとき、補償コンデンサCcの電荷は全部ノードVINに転送され、ノードVINを介してベースコンデンサCbに転送される。したがって、転送した電荷はQ1=VDP*Ccである。
【0073】
励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされる前の第1期間t3内に、励起信号は変わらずに高レベルであり、電圧源は正電圧源VDPである。このとき、第1スイッチS1及び第3スイッチS3が閉じられ、第2スイッチS2がオフになり、ベースコンデンサCbが第1スイッチS1を介して正電圧充電され、充電完了後、その両端の第2電圧がVDPになる。
【0074】
同時に、第5スイッチS5及び第7スイッチS7が閉じられ、第4スイッチS4、第6スイッチS6、第8スイッチS8及び第9スイッチS9がオフになり、補償コンデンサCcの上極板及び下極板がそれぞれ第5スイッチS5及び第7スイッチS7を介してアナロググランドVSSに接続され、このとき、補償コンデンサCcの電荷がゼロになり、補償コンデンサCcの上極板及び下極板の残留電荷を解放することができ、ベースコンデンサCbに対する補償コンデンサCcの補償効果をさらに向上させる。
【0075】
励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされた後の第1期間t4内に、励起信号は低レベルであり、電圧源は負電圧源VDNに切り替えられる。このとき、第2スイッチS2は閉じられ、第1スイッチS1及び第3スイッチS3はオフになり、ベースコンデンサCbはもはや充電されず、ベースコンデンサCbの第1端は第2スイッチS2を介してノードVINに接続される。
【0076】
同時に、第8スイッチS8及び第9スイッチS9は閉じられ、第4スイッチS4、第5スイッチS5、第6スイッチS6及び第7スイッチS7がオフになり、補償コンデンサCcの上極板が第9スイッチS9を介してノードVIN(このとき、ノードVINの電圧もVSSである)に接続され、第2スイッチS2を介してベースコンデンサCbの第1端に接続され、補償コンデンサCcの下極板が第8スイッチS8を介して負電圧源VDNに接続される。このとき、VDNが補償コンデンサCcの下極板を充電開始し、補償コンデンサCcの電荷がCc*(VSS-VDN)である。補償コンデンサCcの電荷はベースコンデンサCbからノードVINを介して転送されてきたため、このとき、補償コンデンサCcに転送された電荷がQ2=(-VDN*Cc)である。
【0077】
本発明の実施例において、正電圧源VDPと負電圧源VDNの絶対値は等しいので、VDP=(-VDN)である。したがって、励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされた後の第1期間内に、補償コンデンサCcからノードVINに転送された電荷は、励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされた後の第1期間にノードVINから補償コンデンサCcに転送された電荷に等しいため、補償コンデンサCcの上下極板間の電圧差を同じにするように制御し、静電容量の差をなくすことができる。
【0078】
好ましくは、第1電圧VDNは第2電圧VDPの絶対値に等しく、電圧の極性が逆である。
【0079】
本実施例において、上記転送された電荷は全部正電荷である。
【0080】
本実施例において、一方では、ベースコンデンサCbと補償コンデンサCcの間の電荷の転送により、ベースコンデンサCbの電量を減らすことができ、式(1.2)から、ベースコンデンサCbの静電容量の変化量(即ち、タッチコンデンサΔC))が補償コンデンサCcのないときに対して増加し、検出回路の感度が向上されたと分かる。同時に、ベースコンデンサCbの正/負電圧充電変換中に、本発明は、補償コンデンサCcの上極板及び下極板の残留電荷を解放し、ベースコンデンサCbに対する補償コンデンサCcの補償効果をさらに向上させることができる。
【0081】
他方、本発明の実施例は、タッチ検出回路では、NCAPコンデンサ(Nウェルコンデンサ又は金属酸化物半導体コンデンサ)を補償コンデンサCcとして使用するため、チップ面積を効果的に削減させ、チップコストも削減させた。
【0082】
図4は本発明の実施例によって提供されるタッチ検出方法のフローチャートを示す。図5は本発明の実施例によって提供されるベースコンデンサ補償方法のフローチャートを示す。
【0083】
図4に示すように、図2を参照して、本実施例において、タッチ検出方法は主にタッチ検出回路に対しステップS100~ステップS300を実行する。
【0084】
ステップS100において、励起信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジがトリガーされる前の第1期間には、電圧源により、励起信号に基づいてベースコンデンサを充電する。
【0085】
本実施例において、励起信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジがトリガーされる前の第1期間内に、第1スイッチS1が閉じられ、電圧源が第1スイッチS1を介してベースコンデンサCbを充電する。同時に、第2スイッチS2はオフになり、補償コンデンサCcはベースコンデンサCbを電荷補償せず、第3スイッチS3は閉じられ、演算増幅器AMPは動作しない。
【0086】
さらに、電圧源の電圧極性は励起信号によって決定され、励起信号が高レベルの場合、電圧源はベースコンデンサCbを正電圧VDPで充電し、励起信号が低レベルの場合、電圧源はベースコンデンサCbを負電圧VDNで充電する。
【0087】
ステップS200では、励起信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジがトリガーされた後の第1期間内に、補償コンデンサによってベースコンデンサを補償する。
【0088】
本実施例において、励起信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジがトリガーされた後の第1期間内に、ベースコンデンサCbの充電が完了した後、第1スイッチS1及び第3スイッチS3を切断するとともに、同時に第2スイッチS2を閉じ、S210からステップS240を実行し、補償コンデンサCcによってベースコンデンサCbを補償する。
【0089】
さらに、補償コンデンサがベースコンデンサを補償するとき、複数のバイアス端子により、励起信号に基づいて補償コンデンサの上下極板を充電/放電する。複数のバイアス端子は、正電圧源バイアス端子、負電圧源バイアス端子及びアナロググランドバイアス端子を含む。
【0090】
図5に示すように、本実施例において、補償コンデンサによるベースコンデンサの補償方法は、以下のステップを含む。
【0091】
ステップS210では、励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされる前の第1期間内に、補償コンデンサを第1電圧に充電する。
【0092】
本実施例において、励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされる前の第1期間内に、励起信号は低レベルであり、電圧源はベースコンデンサCbを負電圧VDNで充電し、同時に第4スイッチS4と第7スイッチS7を閉じ、補償コンデンサCcを正電圧で充電し、補償コンデンサCcの両端の電圧差を第1電圧VDPにする。
【0093】
ステップS220では、励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされた後の第1期間内に、補償コンデンサの電荷をベースコンデンサに転送する。
【0094】
本実施例において、励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされた後の第1期間内に、ベースコンデンサCbは充電完了され、その上極板の電圧がVDNになる。このとき、励起信号の立ち上がりエッジがトリガーされ、第1スイッチS1及び第3スイッチS3をオフにするとともに、第2スイッチS2を閉じ、補償コンデンサCcによってベースコンデンサCbを補償する。
【0095】
さらに、補償コンデンサCcが充電完了された後、その上極板電圧がVDPになり、このとき、第4スイッチS4及び第7スイッチS7をオフにするとともに、第6スイッチS6及び第9スイッチS9を閉じ、補償コンデンサCc上極板の電荷を第9スイッチS9及び第2スイッチS2を介してベースコンデンサCbに転送し、ベースコンデンサCbに対する補償を完了する。
【0096】
ステップS230では、励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされる前の第1期間内に、補償コンデンサの上下極板を放電する。
【0097】
本実施例において、励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされる前の第1期間内に、励起信号が高レベルであり、このとき、第2スイッチS2がオフになり、第1スイッチS1と第3スイッチS3が閉じられ、電圧源が第1スイッチS1を介して、ベースコンデンサCbを正電圧で充電する。同時に、第6スイッチS6及び第9スイッチS9がオフになり、第5スイッチS5及び第7スイッチS7が閉じられ、補償コンデンサCcの上下極板がアナロググランドVSSに接続され、補償コンデンサCcの上下極板の残留電荷を解放する。
【0098】
ステップS240では、励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされた後の第1期間内に、補償コンデンサを第2電圧に充電させ、同時にベースコンデンサの電荷が補償コンデンサに転送される。
【0099】
本実施例において、励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされた後の第1期間内に、ベースコンデンサCbが充電完了され、その上極板の電圧がVDPである。このとき、励起信号の立ち下がりエッジがトリガーされ、第1スイッチS1及び第3スイッチS3をオフにするとともに、第2スイッチS2を閉じ、補償コンデンサCcによってベースコンデンサCbを補償する。
【0100】
さらに、第2スイッチS2が閉じられると、補償コンデンサCcが放電されて上極板の電圧がゼロになり、このとき、第5スイッチS5及び第7スイッチS7を切断して、第8スイッチS8及び第9スイッチS9を閉じ、補償コンデンサCcを負電圧で充電する。補償コンデンサCcの上極板の電荷は、第2スイッチS2及び第9スイッチS9を介して転送された、ベースコンデンサCbの上極板からの電荷であり、したがって、補償コンデンサCcを充電している際、同時に補償コンデンサCcがベースコンデンサCbを補償している。
【0101】
補償コンデンサCcが充電完了後、その上下極板両端の電圧差は第2電圧VDNになる。
【0102】
好ましくは、本実施例において、補償コンデンサCcがベースコンデンサCbを補償するとき、電荷が2つの方向に転送され、本実施例における正電圧源VDPと負電圧源VDNとは電圧が等しく、逆極性を持つため、電荷転送時、ベースコンデンサCbから補償コンデンサCcに転送された電荷と補償コンデンサCcからベースコンデンサCbに転送された電荷とは等しく、補償コンデンサCcの上下極板の電圧の電圧差を同じにするように制御可能であり、金属酸化物半導体コンデンサを補償コンデンサとして使用するときの静電容量の差をなくすことができる。
【0103】
好ましくは、第1電圧は第2電圧の絶対値に等しい。
【0104】
好ましくは、上記の説明では、関した電荷は全部正電荷である。
【0105】
ステップS300では、補償コンデンサがベースコンデンサを補償するとき、オペアンプによってベースコンデンサの変化量を検出して出力する。
【0106】
本実施例において、補償コンデンサCcがベースコンデンサCbを補償するとき、第3スイッチS3がオフになり、このとき、オペアンプAMPが作動し、オペアンプAMPのバーチャルショート特性によって、ベースコンデンサCbの変化量を検出するとともに、検出信号Voを出力することができる。
【0107】
好ましくは、補償コンデンサCcは金属酸化物半導体コンデンサである。さらに、単位面積あたりの静電容量がより大きいその他のコンデンサを含んでもよい。
【0108】
従来の技術と比べると、本発明の実施例によって提供されるタッチ検出回路は、補償コンデンサとしてNCAPを使用するため、チップの面積を大幅に削減させ(例えば、約50%)、タッチ検出回路の感度の向上を実現した上で、チップの小型化を実現し、製造コストを節約した。
【0109】
本発明は、ディスプレイパネル、及び図2図3に記載のタッチ検出回路を備えるタッチ表示装置をさらに開示する。該タッチ表示装置において、タッチ検出回路によりベースコンデンサCcの変化量に基づいて検出信号Voを出力し、識別操作を実現する。
【0110】
好ましくは、本実施例において、ディスプレイパネルは、ブラウン管ディスプレイパネル、デジタル光処理ディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル、発光ダイオードディスプレイパネル、有機発光ダイオードディスプレイパネル、量子ドットディスプレイパネル、Mirco-LEDディスプレイパネル、Mini-LEDディスプレイパネル、電界放出ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、電気泳動ディスプレイパネル又はエレクトロウェッティングディスプレイパネルを含む。
【0111】
本実施例において、上記タッチ検出回路を用いて製造されたタッチ表示装置は、体積がコンパクトで、低コストで、検出感度が高いなどの利点を有する。
【0112】
なお、本文では、用語「含む」、「含有」又はその他の変形は、非排他的な包含を網羅することを意図しているため、一連の要素を含むプロセス、方法、物品又はデバイスには、これらの要素だけでなく、明示的にリストされていない他の要素、又はそのようなプロセス、方法、物品又はデバイスに固有の要素を含む。「1つの...を含む」という文で定義される要素について、さらに制限がなければ、前記要素を含むプロセス、方法、物品又はデバイスにおいて他の同一の要素があることも除外されない。
【0113】
なお、明らかに、上述実施例は、本発明の単なる例示であり、実施形態を限定することを意図していない。上記の説明に照らして、当業者は様々な形態の他の変更又は変形を行うことができる。ここで、すべての実施形態を挙げる必要はなく、挙げることもできない。それから生じる明らかな変更又は変形は、依然として本発明の保護範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5