(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】血圧測定値を決定するための装置、方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
A61B5/022 100Z
A61B5/022 ZDM
(21)【出願番号】P 2020562566
(86)(22)【出願日】2019-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2019060989
(87)【国際公開番号】W WO2019214990
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-04-27
(32)【優先日】2018-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】アスバディ シマ
(72)【発明者】
【氏名】プレスラ クリスチャン ニコラエ
(72)【発明者】
【氏名】ミーリチ アリーナ
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-131356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0360374(US,A1)
【文献】特開平11-089801(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0282107(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3984450(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02- 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の血圧測定値を決定するための装置であって、
光センサが前記被験者の皮膚に当てられる力の或る範囲の間で、前記被験者の皮膚から反射された第1の波長範囲の光の強度、及び、前記被験者の皮膚から反射された、前記第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲の光の強度の測定値を、前記光センサから取得し、
前記当てられる力のそれぞれについて、前記第1の波長範囲の光の前記強度と前記第2の波長範囲の光の前記強度との比率を決定し、
前記当てられる力
の前記範囲の間における前記比率の積分に基づいて、前記被験者の血圧測定値を決定するプロセッサを含む、
装置。
【請求項2】
前記第1の波長範囲は、620nm~700nmの範囲の波長、又は、700nm~1mmの範囲の波長の光を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の波長範囲は、495nm~570nmの範囲の波長の光を含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記光センサが前記被験者の皮膚に当てられる力の前記範囲の関数としての前記第1の波長範囲の光の強度と前記第2の波長範囲の光の強度との決定された比率のプロットの下の面積として、前記当てられる力
の前記範囲の間における前記比率の積分を決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置と、前記光センサとを含む、被験者の血圧測定値を決定するためのシステムであって、
前記光センサは、前記光センサが前記被験者の皮膚に当てられる力の前記範囲の間で、前記被験者の皮膚から反射された前記第1の波長範囲の光の強度、及び、前記被験者の皮膚から反射された前記第2の波長範囲の光の強度の測定値を取得する、システム。
【請求項6】
前記光センサが前記被験者の皮膚に当てられる力の前記範囲を測定する力センサをさらに含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記被験者の皮膚に、前記第1の波長範囲の光及び前記第2の波長範囲の光を放出する光源をさらに含む、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
前記被験者の皮膚と接触可能な光学ヘッドをさらに含み、前記光学ヘッドは、前記光センサを含む、請求項5から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記光学ヘッドは、前記光源をさらに含む、請求項7に従属する請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
被験者の血圧測定値を決定するための方法であって、
光センサが前記被験者の皮膚に当てられる力の或る範囲の間で、前記被験者の皮膚から反射された第1の波長範囲の光の強度、及び、前記被験者の皮膚から反射された、前記第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲の光の強度の測定値を、前記光センサから取得するステップと、
前記当てられる力のそれぞれについて、前記第1の波長範囲の光の強度と前記第2の波長範囲の光の強度との比率を決定するステップと、
前記当てられる力
の前記範囲の間における前記比率の積分に基づいて、前記被験者の血圧測定値を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
内部に具現化されたコンピュータ可読コードを有するコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又はプロセッサによる実行時に、前記コンピュータ又は前記プロセッサに請求項10に記載の方法を実行させる、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被験者の血圧測定値を決定するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血圧は、被験者をモニタリングするための最も重要な生理学的パラメータの1つであると考えられている。これは特に危篤の被験者に当てはまる。血圧は、例えば、被験者の身体的又は生理学的状態の有用な指標を提供する。血圧を測定するためのさまざまな技術が存在している。技術は2つのカテゴリー、すなわち、侵襲的技術と非侵襲的技術とに分けられる。ほとんどの侵襲的技術は高価であり、操作に専門家を必要とすることから、一般的に、病院(特に集中治療室)でのみ使用される。したがって、非侵襲的技術は、訓練を受けていないユーザーが血圧測定値をより頻繁に取得する必要がある場合により実用的である可能性がある。
【0003】
被験者の血圧を測定するための最も一般的な非侵襲的技術は、収縮期血圧を上回るように膨らませられる、被験者の指、手首、又は上腕上のウェアラブルカフを使用することである。非侵襲的技術では、ウェアラブルカフを膨らませ、次に、ウェアラブルカフの収縮時の音、圧力、及び光学系の変化に基づいて血圧測定を行う必要がある。このような技術の例としては、被験者の指の周りのウェアラブルカフを膨らませ、単一の赤外線フォトプレチスモグラム(PPG)信号をモニタリングすることが挙げられる。この技術の変形では、代わりに空気圧信号をモニタリングする。これらの技術でモニタリングされた信号は、次に、血圧測定値を決定するために使用される。被験者の血圧を測定するための他の非侵襲的技術は、ウェアラブルカフの使用を必要としない。このような非侵襲的技術の例として、血液が被験者の体の循環系のいくつかの場所を通過する速度である脈波伝播速度(PWV)を測定し、心電図(ECG)信号などの電気信号と、フォトプレチスモグラム(PPG)信号などの光信号との相関関係に基づいている脈通過時間遅延を測定することが挙げられる。
【0004】
加えられる圧力と組み合わされた皮膚/組織のスペクトル測定値を使用する非侵襲的技術も存在する。特開2005-131356は、このような技術を用いた血圧測定装置の一例を開示している。この装置は、被験者の皮膚に取り付けられた本体を有し、本体は、被験者の皮膚内の動脈に向かって所定の波長を有する光を照射するための2つの発光要素と、装置の下流側で反射光によって生成された脈波を受信するための2つの受光要素と、圧力を変化させるように被験者の皮膚を押す圧脈波センサとを有する。最大血圧値は、圧脈波センサの押圧力を最大血圧値よりも高い圧力から継続的に下げていくことにより、受光要素によって検出された信号強度が所定の基準値を超えるという事実に基づいて決定される。
【0005】
しかし、非侵襲的技術を使用して血圧を継続的に測定することは困難であり、現在、継続的かつ非侵襲的なやり方で血圧を測定できる、実績のある精度及び信頼性を備えたデバイスはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、被験者の血圧測定値を決定するための既存の装置及び方法の制限は、それらが継続的かつ非侵襲的なやり方で血圧を正確かつ確実に測定することができないことである。したがって、既存の問題に対処する、被験者の血圧測定値を決定するための改良された装置及び方法を有することは価値があるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、第1の態様によれば、被験者の血圧測定値を決定するための装置が提供される。この装置は、光センサが被験者の皮膚に当てられる力の或る範囲の間で、被験者の皮膚から反射された第1の波長範囲の光の強度、及び、被験者の皮膚から反射された第2の波長範囲の光の強度の測定値を、光センサから取得するプロセッサを含む。プロセッサはさらに、当てられる力のそれぞれについて、第1の波長範囲の光の強度と第2の波長範囲の光の強度との比率を決定し、当てられる力に関する比率の積分に基づいて、被験者の血圧測定値を決定する。
【0008】
いくつかの実施形態では、第2の波長範囲は、第1の波長範囲とは異なる。いくつかの実施形態では、第1の波長範囲は、赤色波長範囲又は赤外線波長範囲である。いくつかの実施形態では、第2の波長範囲は、緑色波長範囲である。
【0009】
いくつかの実施形態では、プロセッサはさらに、光センサが被験者の皮膚に当てられる力の範囲の関数として、第1の波長範囲の光の強度と第2の波長範囲の光の強度との決定された比率をプロットする。いくつかの実施形態では、当てられる力に関する比率の積分は、プロットの下の領域を含む。
【0010】
第2の態様によれば、被験者の血圧測定値を決定するためのシステムが提供される。このシステムは、上記の装置と光センサとを含む。光センサは、光センサが被験者の皮膚に当てられる力の或る範囲の間で、被験者の皮膚から反射された第1の波長範囲の光の強度、及び、被験者の皮膚から反射された第2の波長範囲の光の強度の測定値を取得する。
【0011】
いくつかの実施形態では、システムはさらに、光センサが被験者の皮膚に当てられる力の範囲を測定する力センサを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、システムはさらに、被験者の皮膚に第1の波長範囲の光及び第2の波長範囲の光を放出する光源を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、システムはさらに、被験者の皮膚と接触可能な光学ヘッドを含む。いくつかの実施形態では、光学ヘッドは、光センサを含む。いくつかの実施形態では、光学ヘッドはさらに、光源を含む。
【0014】
第3の態様によれば、被験者の血圧測定値を決定するための方法が提供される。この方法は、光センサが被験者の皮膚に当てられる力の或る範囲の間で、被験者の皮膚から反射された第1の波長範囲の光の強度、及び、被験者の皮膚から反射された第2の波長範囲の光の強度の測定値を、光センサから取得するステップを含む。方法はまた、当てられる力のそれぞれについて、第1の波長範囲の光の強度と第2の波長範囲の光の強度との比率を決定するステップと、当てられる力に関する比率の積分に基づいて、被験者の血圧測定値を決定するステップとを含む。
【0015】
第4の態様によれば、コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータ可読媒体は、内部に具体化されているコンピュータ可読コードを有し、コンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又はプロセッサによる実行時に、コンピュータが又は、プロセッサに上記の方法を実行させる。
【0016】
上記の態様及び実施形態によれば、既存のシステムの制限が対処される。特に、上記の態様及び実施形態によれば、継続的かつ非侵襲的なやり方で血圧を正確かつ確実に測定することが可能である。これは、当てられる力に依存し、かつ、当てられる力がわかっているという事実を利用することによって可能になる。このようにして、上記の態様及び実施形態によれば、血液の光学的特性を測定できるだけでなく(脈波伝播速度技術などの場合)、血液の機械的特性を測定することも可能である。これは、血圧は最終的には機械的特性だからである。上記の態様及び実施形態はまた、ウェアラブルカフを被験者の体の一部の周りで膨らませる必要がある既存の技術よりも被験者にとってより快適である。したがって、既存の問題を克服する、被験者の血圧測定値を決定するための改良された装置及び方法が提供される。
【0017】
これら及び他の態様は、以下に説明する実施形態から明らかであり、参照して解明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
次に、例示的な実施形態を、例としてのみ、以下の図面を参照して説明する。
【0019】
【
図1】
図1は、一実施形態によるシステムで使用されている、被験者の血圧測定値を決定するための装置の概略図である。
【
図2】
図2は、別の実施形態によるシステムで使用されている、被験者の血圧測定値を決定するための装置の概略図である。
【
図3】
図3は、一実施形態による、被験者の血圧測定値を決定するために使用されているシステムの概略図である。
【
図4】
図4は、一実施形態による、被験者の血圧測定値を決定するための方法を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、一実施形態による、光センサが被験者の皮膚に当てられる力の或る範囲の間での被験者の皮膚から反射された光の強度の測定値の図である。
【
図6A】
図6Aは、一実施形態による参照血圧測定と比較した、既存の技術を使用して被験者について決定された血圧測定値の図である。
【
図6B】
図6Bは、一実施形態による参照血圧測定と比較した、本明細書に説明される装置を使用して被験者について決定された血圧測定値の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記のように、本明細書では、既存の問題を克服する、被験者の血圧測定値を決定するための改良された装置及び方法が提供される。本明細書で言及される被験者は、例えば、患者又は任意の他の被験者であってよい。
【0021】
図1及び
図2は、一実施形態による、被験者102の血圧測定値を決定するための装置100を示している。
図1及び
図2に示されるように、装置100は、プロセッサ104を含む。簡単に言えば、装置100のプロセッサ104は、光センサ(又は光検出器)106から、光センサ106を被験者102の皮膚110に当てられる力の或る範囲の間で、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度、及び、被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度の測定値を取得する。
【0022】
光センサ106は、負荷ユニット(図示せず)の一部を形成する。負荷ユニットは、力の範囲内の所定の力を被験者に加える。負荷ユニットはさらに、プロセッサ104に結合される。プロセッサ104は、加えられた力のデータを受け取り、また、負荷ユニット(又は光センサ106)により加えられる力を制御する。言い換えれば、プロセッサ104は、光センサから光の強度の測定値を取得し、光センサが被験者の皮膚に当てられる力の或る範囲の間で負荷ユニット(又はセンサ106)から読み取り値を受け取る。いくつかの実施形態では、負荷ユニットは、機械的アクチュエータ、例えば、直流(DC)リニアアクチュエータ又は他の任意の機械式アクチュエータを含んでいてもよい。しかし、負荷ユニットの例が提供されているが、当業者は、他の例や、負荷ユニットが被験者に力の或る範囲での所定の力を加えるように動作するやり方も認識するであろう。
【0023】
より詳細には、被験者102の皮膚110に入る第1の波長範囲の光108及び第2の波長範囲の光112は、被験者102の皮膚110内の1つ又は複数の細胞(例えば、血液細胞)から反射される。例えば、
図1及び
図2に示されるように、第1の波長範囲の光108及び第2の波長範囲の光112は、被験者102の皮膚110内の1つ又は複数の血管14から反射される。事実上、第1の波長範囲の光108及び第2の波長範囲の光112は、皮膚110及び皮膚110の下の血液含有組織によって反射される。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、第2の波長範囲は、第1の波長範囲とは異なる。第2の波長範囲は、第1の波長範囲とは異なっていてよいが、いくつかの実施形態では、第2の波長範囲及び第1の波長範囲は、重複する範囲である。いくつかの実施形態では、第1の波長範囲は、赤色波長範囲である。したがって、いくつかの実施形態によれば、第1の波長範囲の光108は、620nm~700nmの範囲の波長の光108を含む。他の実施形態では、第1の波長範囲は、赤外線波長範囲である。したがって、いくつかの実施形態によれば、第1の波長範囲の光108は、700nm~1mmの範囲の波長の光108を含む。いくつかの実施形態では、第2の波長範囲は、緑色波長範囲である。したがって、いくつかの実施形態によれば、第2の波長範囲の光112は、495nm~570nmの範囲の波長の光112を含む。皮膚110のスペクトル応答は、緑色波長範囲で大きな吸収を示す。そのため、緑色波長範囲は、血圧の変動を検出するための最適な条件を提供する。
【0025】
装置100のプロセッサ104は、当てられる力のそれぞれについて、第1の波長範囲の光108の強度の第2の波長範囲の光112の強度に対する比率を決定する。装置100のプロセッサ104はまた、当てられる力に関する比率の積分に基づいて、被験者102の血圧測定値を決定する。
【0026】
装置100のプロセッサ104は、本明細書に説明される様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて多くのやり方で実装できる。いくつかの実施形態では、プロセッサ104は、1つ又は複数のプロセッサを含むことができ、これらのプロセッサはそれぞれ、本明細書に説明される方法の個々の又は複数のステップを実行できる。特定の実装形態では、プロセッサ104は、それぞれが本明細書に説明される方法の個々の又は複数のステップを実行する、又は実行するための複数のソフトウェア及び/又はハードウェアモジュールを含む。プロセッサ104は、本明細書に説明される様々な機能を実行するように(例えば、ソフトウェア又はコンピュータプログラムコードを使用して)プログラムできる1つ又は複数のマイクロプロセッサ、1つ又は複数のマルチコアプロセッサ及び/又は1つ又は複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)、1つ又は複数の処理ユニット、及び/又は、1つ又は複数のコントローラ(1つ又は複数のマイクロコントローラなど)を含む。プロセッサ104は、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェア(例えば、増幅器、前増幅器、アナログ-デジタル変換器(ADC)及び/又はデジタル-アナログ変換器(DAC))と、他の機能を実行するための1つ又は複数のプロセッサ(例えば、1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ、DSP、及び関連する回路)の組み合わせとして実装される。
【0027】
被験者102の血圧測定値を決定するためのシステムも提供される。
図1及び
図2に示されるように、システム10、20は、本明細書に説明される装置100を含む。システム10、20はまた、光センサ106を含む。
図1及び
図2には示されていないが、いくつかの実施形態では、装置100自体が光センサ106を含む。
図1及び
図2に示されるような他の実施形態では、光センサ106は、代わりに、装置100の外部(すなわち、別個又は遠隔)にある。例えば、いくつかの実施形態では、光センサ106は、別個のエンティティであるか又は別の装置(例えば、デバイス)の一部である。光センサ106は、被験者102の皮膚110に当てるために構成されている。光センサ106は、被験者102の皮膚110に直接、又は被験者102の皮膚110に間接的に(例えば、光ファイバ及び/又は光プローブなどの1つ又は複数の他の構成要素を介して)当てるられる。
【0028】
光センサ106は、光センサ106を被験者102の皮膚110に当てられる力の或る範囲の間で、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度、及び、被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度の測定値を取得する。したがって、光センサ106は、第1の波長範囲の光108及び第2の波長範囲の光112に敏感である。
【0029】
いくつかの実施形態では、
図1及び
図2に示されるように、光センサ106は、単一の光センサ106を含む。これらの実施形態のいくつかでは、単一の光センサ106が、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度の測定値と、被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度の測定値との両方を取得できる。したがって、いくつかの実施形態によれば、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度の測定値を取得する光センサ106は、被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度の測定値を取得するものと同じ光センサ106である。例えば、光センサ106は、被験者102の皮膚110から反射された少なくとも2つの波長範囲の光108、112の強度の測定値を取得する多波長光センサである。
【0030】
他の実施形態では、図示されていないが、光センサ106は、少なくとも2つの光センサを含む。これらの実施形態のいくつかでは、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度の測定値を取得する光センサ以外の光センサは、被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度の測定値を取得する。したがって、いくつかの実施形態によれば、異なる光センサが、異なる波長範囲の光108、112の強度の測定値を取得する。
【0031】
被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度の測定値及び/又は被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度の測定値を取得するために使用できる光センサ106の例としては、光検出器、フォトダイオード、光電子増倍管、又は第1の波長範囲及び/若しくは第2の波長範囲の光108、112の強度の測定値を取得するのに適した他の任意のタイプの光センサが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
図1及び
図2に示されるように、いくつかの実施形態によれば、システム10、20は、光源114を含む。光源114は、被験者102の皮膚110に、第1の波長範囲の光108及び第2の波長範囲の光112を放出する。すなわち、光源114は、第1の波長範囲の光108と、続いて被験者102の皮膚110から反射される第2の波長範囲の光112とを放出する。いくつかの実施形態では、光源114は、第1の波長範囲及び第2の波長範囲の両方の光108、112を放出する単一の発光体を含む。他の実施形態では、光源114は、2つ以上の発光体を含み、ここで、少なくとも1つの発光体が、第1の波長範囲の光108を放出し、少なくとも1つの他の発光体が、第2の波長範囲の光112を放出する。
【0033】
これらの実施形態のいくつかでは、第1の波長範囲の光108を放出する少なくとも1つの発光体と、第2の波長範囲の光112を放出する少なくとも1つの他の発光体とは振動させられる。例えば、第1の波長範囲の光108を放出する少なくとも1つの発光体は、第2の波長範囲の光112を放出する少なくとも1つの他の発光体とは異なる時間に光を放出するように動作可能である。これらの実施形態では、光センサ106は、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲及び第2の波長範囲の光パルスを同期させる。このようにして、電力消費量を低くすることができ、また、単一の光センサ106のみを使用することも可能である。他の実施形態では、第1の波長範囲の光108を放出する光源114以外の光源(図示せず)は、第2の波長範囲の光112を放出する。したがって、いくつかの実施形態では、異なる光源が、異なる波長範囲の光108、112を放出する。
【0034】
第1の波長範囲の光108及び/又は第2の波長範囲の光112を放出するために使用される光源114(又は光源114の発光体)の例としては、太陽などの自然若しくは周囲の光源(若しくは発光体)、他の任意の自然若しくは周囲の光源(若しくは発光体)や、広帯域光源(若しくは発光体)、発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、白熱電球などの人工光源(若しくは発光体)、他の任意の人工光源(又は発光体)や、他の任意の光源(若しくは発光体)、又は、第1の波長範囲及び/又は第2の波長範囲の光108、112を放出するのに適している光源(若しくは発光体)の任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。自然又は周囲の光源(又は発光体)を使用して、より複雑でないシステムを提供し、より少ない電力が消費されることを保証する。
【0035】
図1は、人工光源114を含むシステム10を示し、一方、
図2は、自然光源114を含むシステム20を示す。いくつかの実施形態では、光源114(又は光源114の発光体)は、第1の波長範囲の光108及び/又は第2の波長範囲の光112を含む白色光を放出する。他の実施形態では、光源114(又は光源114の発光体)は、他の任意の波長範囲の光がない状態で、第1の波長範囲の光108及び/又は第2の波長範囲の光112のみを放出する。
【0036】
図1に示されるようないくつかの実施形態では、光源114は、第1の光ファイバ113及び第1の光プローブ115を介して、第1の波長範囲の光108及び/又は第2の波長範囲の光112を放出する。これらの実施形態では、第1の光プローブ115は、被験者102の皮膚110と接触可能である。したがって、いくつかの実施形態では、第1の光ファイバ113は、光源114によって放出された第1の波長範囲の光108及び/又は第2の波長範囲の光112を、例えば、第1の光プローブ115を介して、被験者102の皮膚110に転送する。
【0037】
同様に、
図1に示されるようないくつかの実施形態では、光センサ106は、第2の光ファイバ105及び第2のプローブ107を介して、第1の波長範囲の光108及び/又は第2の波長範囲の光112の強度の測定値を取得する。これらの実施形態では、第2の光プローブ107は、被験者102の皮膚110と接触可能である。したがって、これらの実施形態による光センサ106は、第2の光ファイバ105及び第2のプローブ107を介して、被験者102の皮膚110に間接的に当てられる。第2の光ファイバ105は、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108及び/又は第2の波長範囲の光112を、例えば、第2の光プローブ107を介して、光センサ106に転送する。
【0038】
いくつかの実施形態では、光センサ106と光源114との間の距離は、1~10mmの範囲、例えば1.5か~9.5mmの範囲、例えば2~9mmの範囲、例えば1.5~8.5mmの範囲、例えば2~8mmの範囲、例えば2.5~7.5mmの範囲、例えば3~7mmの範囲、例えば3.5~6.5mmの範囲、例えば4~6mmの範囲、例えば4.5~5.5mmの範囲の距離である。例えば、いくつかの実施形態では、光センサ106と光源114との間の距離は、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mmから選択される距離、これらの値の間の任意の非整数の距離から選択される距離、又は1~10mmの範囲内の他の任意の距離であってよい。光センサ106と光源114との間の10mm以下の距離は、光源114から光センサ106に到達する光が、取得されるべき光の強度の測定のために十分高い強度を有することを確実にする一方で、光センサ106と光源114との間の1mm以上の距離は、光源114によって放出された光が、より大きな血管から信頼できる信号を得るのに十分な深さで被験者102の皮膚110に透過することを確実にする。
【0039】
図1及び
図2に示されるように、いくつかの実施形態によれば、システム10、20は、力センサ116を含む。力センサ116は、光センサ106を被験者102の皮膚110に当てられる力の範囲を測定する。光センサ106が被験者102の皮膚110に当てられる力の範囲を測定するために使用される力センサ116の例としては、圧力センサ、容量センサ、磁気センサ、又は光センサ106を被験者102の皮膚110に当てられる力の範囲を測定するのに適した他の任意のタイプの力センサが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、力センサ116は、光センサ106が被験者102の皮膚110に当てられる接触圧力の範囲を検出することによって、光センサ106を被験者102の皮膚110に当てられる力の範囲を測定する。
【0040】
いくつかの実施形態では、
図1及び
図2に示されるように、システム10、20は、光学ヘッド118を含む。被験者102の皮膚110と接触可能である光学ヘッド118は、負荷ユニットを含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、光学ヘッド118、光源114、第1の光ファイバ113、第1の光プローブ115、光センサ106、第2の光ファイバ105、第2の光プローブ107、及び力センサ116うちのいずれか1つ又は複数を含む。システム10、20が光学ヘッド118を含むいくつかの実施形態では、光学ヘッド118は、光源114、第1の光ファイバ113、第1の光プローブ115、光センサ106、第2の光ファイバ105、第2の光プローブ107、及び力センサ116のうちのいずれか1つ又は複数を含む。システム20が、
図2に示されるような自然光源114を含む実施形態では、光学ヘッド118は、光源114から放出された光が被験者102の皮膚110へと通過する開口又は透明な窓120を含む。光学ヘッド118は、光の強度の測定値への環境からの干渉の影響を最小限に抑える。干渉の例としては、例えば、人工光源の実施形態の場合の周囲光、空気、又は光の強度の測定に影響を及ぼす環境からの他の任意干渉が挙げられる。
【0041】
前述のように、光学ヘッド118は、被験者102の皮膚110と接触可能である。いくつかの実施形態では、例えば、光学ヘッド118は、使用中、被験者102の体の一部の皮膚110の所定の位置に固定されるか又は保持される。例えば、いくつかの実施形態では、光学ヘッド118の表面は、被験者102の体の一部の皮膚110に光学ヘッド118を所定の位置に固定又は保持するための接着剤を含む。他の実施形態では、バンド(又はストラップ)122が、光学ヘッド118を含む。バンド122は、被験者102の体の一部の周りに着用(例えば、取り付けられる)して、被験者102の体の一部の皮膚110の所定の位置に光学ヘッド118を固定又は保持する。例えば、いくつかの実施形態では、光学ヘッド118は、バンド122に統合する。他の実施形態では、光学ヘッド118は、バンド122の下に配置される。したがって、光学ヘッド118は、腕時計、スマートウォッチ、ヘッドバンド、又は被験者の皮膚110と接触可能な他の任意の物体など、被験者102の皮膚110と接触可能な任意の物体に統合又はその下に配置される。
【0042】
光学ヘッド118は、被験者102の体の任意の部分の皮膚110の所定の位置に固定されるか又は保持される。例えば、いくつかの実施形態では、被験者102の体の一部は、被験者102の手首、被験者102の前腕、又は被験者の他の任意の周辺部位など、被験者102の体の周辺部位である。他の実施形態では、被験者102の体の一部は、被験者102の頭部(例えば、額)、被験者102の胸部、又は被験者102の体の他の任意の中心部分など、被験者102の体の中心部位である。被験者102の体の中心部位は、例えば、被験者102の体の周辺部位よりも光の強度のより安定した測定値を提供する。いくつかの実施形態では、被験者102の体の一部は、骨構造を含む被験者102の体の一部である。このようにして、光学ヘッド118は、被験者102の体の一部の皮膚110の所定の位置に固定される又は保持されるときに、よりよく支持される。また、複雑な皮膚の変形を回避することができ、腱、筋肉、脂肪などの軟組織の光学応答からの干渉が少ないため、光強度の測定をより正確にできる。
【0043】
図3は、一実施形態に従って使用されている例示的な光学ヘッド118を示している。例示的な光学ヘッド118は、被験者102の皮膚110に、第1の波長範囲の光108及び第2の波長範囲の光112を放出する光源114を含む。例示的な光学ヘッド118はまた、光センサ106が被験者102の皮膚110に当てられる力の或る範囲の間で、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度、及び、第2の波長範囲の光112の強度の測定値を取得する光検出器106を含む。
図3の図示された例示的な実施形態では、バンド(又はストラップ)122が、光学ヘッド118を含む。バンド122は、被験者102の体の一部の周りに着用されて、被験者102の体の一部の皮膚110の所定の位置に光学ヘッド118を固定又は保持する。
図3の図示された例示的な実施形態では、被験者の体の一部は、被験者102の前腕(又は、より具体的には手首)である。しかし、前述のように、光学ヘッド118は、他の任意のやり方で、被験者102の体の他の任意の部分の皮膚110の所定の位置に固定されるか又は保持されてもよい。
【0044】
図1、
図2又は
図3には示されていないが、いくつかの実施形態では、装置100は、通信インターフェース(又は通信回路)を含む。あるいは又はさらに、通信インターフェースは、装置100の外部(例えば、別個又は遠隔)であってもよい。いくつかの実施形態では、光学ヘッド118又は光学ヘッド118を含むデバイスが、通信インターフェースを含む。通信インターフェースは、装置100又は装置100の構成要素が、本明細書に説明されているもののいずれかなど、1つ又は複数の他の構成要素と通信及び/又は接続することを可能にするためのものであってよい。例えば、通信インターフェースは、装置100のプロセッサ104が、光源114、光検出器106、力センサ116、及び/又は他の任意の構成要素のうちのいずれか又は複数と通信及び/又は接続することを可能にするためのものである。通信インターフェースは、装置100又は装置100の構成要素が、任意の適切なやり方で通信及び/又は接続することを可能にする。例えば、通信インターフェースは、装置100又は装置100の構成要素が、無線で、有線接続を介して、又は、他の任意の通信(又はデータ転送)メカニズムを介して、通信及び/又は接続することを可能にする。いくつかの無線の実施形態では、例えば、通信インターフェースは、装置100又は装置100の構成要素が、無線周波数(RF)、ブルートゥース(登録商標)、又は他の任意の無線通信技術を使用して通信及び/又は接続することを可能にする。
【0045】
図1、
図2又は
図3には示されていないが、いくつかの実施形態では、装置100は、メモリを含む。あるいは又はさらに、メモリは、装置100の外部(例えば、別個又は遠隔)にある。いくつかの実施形態では、光学ヘッド118又は光学ヘッド118を含むデバイスが、メモリを含む。装置100のプロセッサ104は、メモリと通信する及び/又はメモリに接続される。メモリは、キャッシュや、ランダムアクセスメモリ(RAM)、静的RAM(SRAM)、動的RAM(DRAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、及び電気的に消去可能なPROM(EEPROM)などの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリを含むシステムメモリなど、任意のタイプの非一時的な機械可読媒体を含む。いくつかの実施形態では、メモリは、プロセッサ104によって実行されて、装置100を本明細書に説明された方法で動作させるプログラムコードを格納する。
【0046】
あるいは又はさらに、いくつかの実施形態では、メモリは、本明細書に説明される方法によって必要とされる、又はその結果として生じる情報を格納する。例えば、いくつかの実施形態では、メモリは、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度の測定値、被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度の測定値、第1の波長範囲の光108の強度と第2の波長範囲の光112の強度との比率、被験者102の決定された血圧測定値、又は本書に説明される方法によって必要とされる、又はその結果として生じる他の任意の情報若しくは情報の任意の組み合わせのうちのいずれか1つ又は複数を格納する。いくつかの実施形態では、装置100のプロセッサ104は、本明細書に説明される方法によって必要とされる、又はその結果として生じる情報を格納するようにメモリを制御する。
【0047】
図1、
図2又は
図3には示されていないが、いくつかの実施形態では、装置100は、ユーザーインターフェースを含む。あるいは又はさらに、ユーザーインターフェースは、装置100の外部(例えば、別個又は遠隔)にある。いくつかの実施形態では、光学ヘッド118又は光学ヘッド118を含むデバイスが、ユーザーインターフェースを含む。装置100のプロセッサ104は、ユーザーインターフェースと通信する及び/又は接続する。ユーザーインターフェースは、本明細書に説明される方法によって必要とされる、又はその結果として生じる情報をレンダリング(例えば、出力、表示、又は提供)する。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェースは、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度の測定値、被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度の測定値、第1の波長範囲の光108の強度の第2の波長範囲の光112の強度に対する比率、被験者102の決定された血圧測定値、又は、本明細書に説明される方法によって必要とされる、又はその結果生じる他の任意の情報若しくは情報の任意の組み合わせのうちのいずれか1つ又は複数をレンダリング(例えば、出力、表示または提供)する。あるいは又はさらに、ユーザーインターフェースは、ユーザー入力を受信する。例えば、ユーザーインターフェースは、ユーザーが情報又は指示を手動で入力し、装置100と対話する及び/又は制御することを可能にする。したがって、ユーザーインターフェースは、情報のレンダリング(又は、出力、表示、又は提供)を可能にし、あるいは又はさらに、ユーザーがユーザー入力を提供することを可能にする任意のユーザーインターフェースであってよい。いくつかの実施形態では、装置100のプロセッサ104は、本明細書に説明されるやり方で動作するようにユーザーインターフェースを制御する。
【0048】
例えば、ユーザーインターフェースは、1つ又は複数のスイッチ、1つ又は複数のボタン、キーパッド、キーボード、マウス、(例えば、タブレット、スマートフォン、又は他の任意のスマートデバイスなどのスマートデバイス上の)タッチスクリーン又はアプリケーション、ディスプレイ又はディスプレイ画面、タッチスクリーンなどのグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)、又は他の任意のビジュアルコンポーネント、1つ又は複数のスピーカ、1つ又は複数のマイク、又は他の任意のオーディオ構成要素、1つ又は複数のライト(発光ダイオードLEDライトなど)、触知又は触覚フィードバックを提供するための構成要素(振動機能、又は他の任意の触知フィードバック構成要素など)、拡張現実デバイス(拡張現実ガラス、又は他の任意の拡張現実デバイスなど)、スマートデバイス(スマートミラー、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチ、又は他の任意のスマートデバイスなど)、又は、他の任意のユーザーインターフェース若しくはユーザーインターフェースの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、情報をレンダリングするように制御されるユーザーインターフェースは、ユーザーがユーザー入力を提供することを可能にするものと同じユーザーインターフェースであってよい。
【0049】
図4は、一実施形態による、被験者102の血圧測定値を決定するための方法200を示している。方法200は、一般に、装置100のプロセッサ104によって、又はその制御下で実行されてよい。
図4のステップ202において、光センサ106が被験者102の皮膚110に当てられる力の或る範囲の間で、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度、及び、被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度の測定値が取得される。第1の波長範囲の光108の強度及び第2の波長範囲の光112の強度は、光センサ106を被験者102の皮膚110に当てられる力の関数として変化する。したがって、第1の波長範囲の光108の強度及び第2の波長範囲の光112の強度は、光センサ106を被験者102の皮膚110に当てられる力に依存する。
【0050】
被験者102の皮膚110に力が加えられる面積は、円形又は他の任意の形状である。面積は、較正によって決定される。したがって、面積は事前定義された面積とされる。事前定義された面積は、被験者102の快適さを確保するのに十分に大きく、被験者102の皮膚110の不均一性を回避するのに十分に小さいように設定される。いくつかの実施形態では、事前定義された面積は、0.1~2cm2の範囲の面積、例えば0.2~1.9cm2の範囲の面積、例えば0.3~1.8cm2の範囲の面積、例えば0.4~1.7cm2の範囲の面積、例えば0.5~1.6cm2の範囲の面積、例えば0.6~1.5cm2の範囲の面積、例えば0.7~1.4cm2の範囲の面積、例えば0.8~1.3cm2の範囲の面積、例えば0.9~1.2cm2の範囲の面積、例えば1~1.1cm2の範囲の面積である。
【0051】
いくつかの実施形態では、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度及び被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度の取得された測定値は、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度及び被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度の交流(AC)成分の測定値を含む。いくつかの実施形態では、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度及び被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度の取得された測定値は、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度及び被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度の直流(DC)成分の測定値を含む。いくつかの実施形態では、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度及び被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度の取得された測定値は、被験者102の皮膚110から反射された第1の波長範囲の光108の強度及び被験者102の皮膚110から反射された第2の波長範囲の光112の強度のAC成分及びDC成分の測定値を含む。
【0052】
図4のステップ204において、当てられる力のそれぞれについて、第1の波長範囲の光108の強度と第2の波長範囲の光112の強度との比率が決定される。いくつかの実施形態では、第1の波長範囲の光108の強度の第2の波長範囲の光112の強度に対する決定された比率は、最も低い当てられる力について決定された第1の波長範囲の光108の強度の第2の波長範囲の光112の強度に対する比率を使用して正規化されてもよい。
【0053】
図4のステップ206において、当てられる力に関する比率の積分に基づいて、被験者102の血圧測定値が決定される。いくつかの実施形態では、当てられる力の範囲は、0.1~5Nの範囲、例えば0.4~4.7Nの範囲、例えば0.7~4.4Nの範囲、例えば1~4.1Nの範囲、例えば1.3~3.8Nの範囲、例えば1.6~3.5Nの範囲、例えば1.9~3.2Nの範囲、例えば2.2~2.9Nの範囲、例えば2.5N~2.6Nの範囲である。力の範囲は、較正によって決定される。
【0054】
いくつかの実施形態では、当てられる力の範囲は、被験者102の血圧(例えば、較正段階中に測定される)及び被験者102の皮膚110に力が加えられる面積に基づいて決定される。より具体的には、当てられる力は、被験者102の血圧の値に、被験者102の皮膚110に力が加えられる面積を掛けることによって決定される。したがって、当てられる力の或る範囲の間で、最小の当てられる力は、被験者102の血圧のより低い値(例えば、較正段階中に測定される)に、被験者102の皮膚110に力が加えられる面積を掛けることによって決定される。例えば、面積が1cm2であり、被験者102の血圧のより低い値が20mmHgである場合、最小の当てられる力は、(20mmHg)*(1cm2)として決定され、これは、約0.26Nに相当する。同様に、当てられる力の或る範囲の間で最大の当てられる力は、被験者102の血圧のより高い値(例えば、較正段階中に測定される)に、被験者102の皮膚110に力が加えられる面積を掛けることによって決定される。例えば、面積が1cm2であり、被験者102の血圧のより高い値が200mmHgである場合、最大の当てられる力は、(200mmHg)*(1cm2)として決定され、これは、約2.6Nに相当する。したがって、この例では、当てられる力の範囲は0.26~2.6Nである。
【0055】
いくつかの実施形態では、血圧は、較正定数(又は較正値)及び当てられる力に関する比率の積分の関数である。較正定数は、例えば、6mmHg/gの値を有する。したがって、いくつかの実施形態では、当てられる力に関する比率の積分を血圧測定値に変換する際に使用するために、較正定数を決定する。いくつかの実施形態では、較正定数は、血圧と当てられる力に関する比率の積分との間の相関を決定するために複数の被験者に対して実行される試験を通じてなど、前に(例えば、較正段階で)決定されてもよい。相関が線形である場合、当てられる力に関する比率の積分は、当てられる力に関する比率の積分の値に較正定数を掛けることによって、血圧測定値に変換される。較正定数は、前述のようなメモリに格納される。したがって、いくつかの実施形態によれば、血圧BP測定値は、以下のように決定される。
【数1】
ここで、Cは較正定数であり、I
1は第1の波長範囲の光108の強度であり、I
2は第2の波長範囲の光112の強度であり、Fは光センサ106が被験者102の皮膚110に当てられる力である。較正定数は、例えば、大規模なデータ分析によって決定される。いくつかの実施形態では、較正定数は、メモリに格納される。前述のように、装置100は、いくつかの実施形態では、メモリを含み、又は、メモリは、他の実施形態では、装置100の外部(すなわち、別個又は遠隔)にある。
【0056】
いくつかの実施形態では、当てられる力に関する比率の積分に基づいて被験者102について決定される血圧測定値は、収縮期血圧の値である。比率が正規化されている実施形態では、当てられる力に関する正規化された比率の積分に基づいて、被験者の血圧測定値を決定する。
【0057】
いくつかの実施形態では、さらなる装置100のプロセッサ104は、第1の波長範囲の光108の強度と第2の波長範囲の光112の強度との決定された比率を、光センサ106が被験者102の皮膚110に当てられる力の範囲の関数としてプロットする。これらの実施形態では、当てられる力に関する比率の積分は、プロットの下の面積を含む。したがって、これらの実施形態によれば、プロセッサ104は、光センサ106が被験者102の皮膚110に当てられる力の範囲の関数としての第1の波長範囲の光108の強度と第2の波長範囲の光112の強度との決定された比率のプロットの下の面積に基づいて、被験者102の血圧測定値を決定する。
【0058】
図5は、そのようなプロットの例である。より詳細には、
図5は、一実施形態による、光センサ106が3人の異なる被験者102a、102b、102cの皮膚110に当てられる力の或る範囲の間で、被験者102a、102b、102cの第1の波長範囲の光108の強度と第2の波長範囲の光112の強度との決定された比率の図である。
図5の縦軸は、3人の異なる被験者102a、102b、102cのそれぞれについての第1の波長範囲の光108の強度と第2の波長範囲の光112の強度との比率である。この例示的な図では、第1の波長範囲の光108は、800nmの赤外線波長範囲のものであり、第2の波長範囲の光112は、550nmの緑色波長範囲のものである。
図5の横軸は、光センサ106が被験者102a、102b、102cの皮膚110に当てられる力(又は負荷)である。
【0059】
本明細書に説明されるように、或る力の範囲で被験者102の皮膚110に光センサ106が当てられる効果は、力が増加するにつれて、被験者102の皮膚110の色がより白く(又は赤みがより薄く)見えることである。これは、被験者102の皮膚110内の血液が、皮膚110や、光センサ106を被験者102の皮膚110に当てた場所の真下の組織から除去されることによる。被験者102の皮膚110に対する光センサ106の圧力は、皮膚の色をより白く(又は赤みがより薄く)見えるようにする。分光学の観点では、第1の波長範囲の光108の強度及び第2の波長範囲の光112の強度は、光センサ106が被験者102の皮膚110に当てられる力が増加するときに増加する。しかし、第2の波長範囲の光112の強度は、光センサ106が被験者102の皮膚110に当てられる力が増加するとき、第1の波長範囲の光108の強度よりも大きい度合いで増加する。したがって、
図5に示されるように、第1の波長範囲の光108の強度と第2の波長範囲の光112の強度との比率は、光センサ106が被験者102の皮膚110に当てられる力が増加するとき、減少する。これは、第2の波長範囲の光112の強度(第1の波長範囲の光108の強度と比較して力の増加とともに最大の変動を有する)が比率の分母にあるためである。
【0060】
図5に示すプロットを分析して、プロットの下の面積に基づいて血圧測定値を決定する。例えば、各プロットの下の面積は、積分によって計算する。プロットの下のこの面積は、血圧と直接相関している。相関が線形である場合、面積に較正定数を掛けて、血圧値の測定値を決定する。各被験者l02a、l02b、l02cの線の色は、
図5の右側に示されているカラーチャートに基づく決定された血圧の指標を提供する。したがって、第1の波長範囲の光108の強度と第2の波長範囲の光112の強度との比率と、これらの被験者102a、102b、102cの血圧との間には相関関係があることがわかる。特に、第1の波長範囲の光108の強度の第2の波長範囲の光112の強度に対する比率が高いほど、血圧は高くなる。
【0061】
図5を参照して、次に、一例に従って、各被験者102a、102b、102cの血圧(BP)測定値を決定するために前述の式をどのように使用できるかを説明する。各被験者102a、102b、102cについて、当てられる力に関する(第1の波長範囲の光の強度の第2の波長範囲の光の強度に対する)比率の積分が計算される。つまり、
図5に示されている曲線の積分(又はその下の面積)が計算される。積分のために力の範囲が50g~500gであると仮定すると、最初の被験者102aについての当てられる力に関する比率の積分は31.5gであり、2番目の被験者102bでは22gであり、3番目の被験者102cでは14.5gである。較正定数Cは事前定義されている。血圧測定値は、積分値に較正定数Cを掛けることによって決定される。較正定数Cの値が6mmHg/gであると仮定すると、最初の被験者102aの血圧測定値は、(3l.5g*6mmHg/g)=190mmHgと決定され、2番目の被験者102bの血圧測定値は、(22g*6mmHg/g)=132mmHgと決定され、3番目の被験者102cの血圧測定値は、(l4.5*6mmHg/g)=87mmHgであると決定される。
【0062】
図6Aは、参照血圧測定値(600としてラベル付けされている)と比較した、既存の技術を使用して被験者102について決定された血圧測定値(602としてラベル付けされている)の図である。既存の技術は、血圧測定値を決定するために赤外線フォトプレチスモグラム(PPG)信号がモニタリングされる被験者102の指の周りで膨らまされるウェアラブルカフを含むものである。
図6Bは、参照血圧測定値(604としてラベル付けされている)と比較した、一実施形態による、
図4を参照して前述した装置100及び方法200を使用して被験者102について決定された血圧測定値(606としてラベル付けされている)の図である。より具体的には、
図6A及び
図6Bの血圧測定値は、収縮期血圧測定値である。参照血圧測定値は、他の任意の技術、例えば、血圧測定値を取得するために、被験者の体の一部の周りでウェアラブルカフを膨らませることを伴う前述の手法から取得する。
【0063】
図6A及び
図6Bに示されるように、概して、
図4を参照して前述した装置100及び方法200を使用して被験者102について決定された血圧測定値606は、既存の技術を使用して被験者102について決定された血圧測定値602が参照血圧測定値600に一致するよりも、参照血圧測定値604により厳密に一致する。
図4を参照して前述した装置100及び方法200を使用して被験者102について決定された血圧測定値606は、依然として外れ値を有するが、
図6A及び
図6Bから、
図4を参照して前述した装置100及び方法200は、既存の技術よりも向上された相関を提供することがわかる。したがって、
図4を参照して前述した装置100及び方法200は、より正確で信頼性の高い血圧測定値を提供する。
【0064】
コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品も提供される。コンピュータ可読媒体は、その中に具体化されたコンピュータ可読コードを有する。コンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又はプロセッサによる実行時に、コンピュータ又はプロセッサが本明細書に説明される方法のいずれかを実行するように構成される。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータプログラム製品を運ぶ任意のエンティティ又はデバイスであってよい。例えば、コンピュータ可読媒体は、ROM(CD-ROM又は半導体ROMなど)又は磁気記録媒体(ハードディスクなど)などのデータストレージを含んでよい。さらに、コンピュータ可読媒体は、電気又は光ケーブルを介して、又は無線又は他の手段によって伝達される、電気又は光信号などの伝達可能なキャリアであってよい。コンピュータプログラム製品がそのような信号で具体化されるとき、コンピュータ可読媒体は、そのようなケーブル又は他のデバイス又は手段によって構成されてよい。あるいは、コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品が埋め込まれている集積回路であってよく、集積回路は、本明細書に説明される方法を実行するように適合されているか、又はその実行に使用される。
【0065】
したがって、本明細書では、被験者の血圧測定値を決定するための改良された装置及び方法が提供される。
【0066】
開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求された発明を実施する際に当業者によって理解及び達成されうる。請求項において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形は複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に引用される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているというだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体といった適切な媒体上に記憶及び/又は分散されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介するといった他の形式で分配されてもよい。請求項中の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。