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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】ドーピングシステム及びドーピング方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20230725BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20230725BHJP
   H01G 13/00 20130101ALN20230725BHJP
【FI】
H01M4/139
H01G11/86
H01G13/00 381
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020567394
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2019046830
(87)【国際公開番号】W WO2020152986
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2019009585
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】307037543
【氏名又は名称】武蔵エナジーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】直井 雅也
(72)【発明者】
【氏名】小島 健治
(72)【発明者】
【氏名】相田 一成
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-16199(JP,A)
【文献】特開2018-56548(JP,A)
【文献】特開2018-113447(JP,A)
【文献】特開2017-11068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00- 4/62
H01G11/00-11/86
H01G13/00-13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーピングシステムを用いて、活物質を含む層を有する帯状の電極における前記活物質にアルカリ金属をドープするドーピング方法であって、
前記ドーピングシステムは、
アルカリ金属イオンを含む溶液を収容するように構成されたドープ槽と、
前記電極を、前記ドープ槽内を通過する経路に沿って搬送するように構成された搬送ユニットと、
前記ドープ槽に収容されるように構成された対極ユニットと、
前記搬送ユニットが備える搬送ローラと前記対極ユニットとを電気的に接続するように構成された接続ユニットと、
前記ドープ槽を通過した前記電極に付着した前記溶液を前記ドープ槽に回収するように構成された回収ユニットと、を備えるドーピング方法。
【請求項2】
請求項1に記載のドーピング方法であって、
前記回収ユニットは、前記電極から前記溶液を回収するように構成された回収ロールを備えるドーピング方法。
【請求項3】
請求項2に記載のドーピング方法であって、
前記回収ロールは、前記電極を加圧するように構成されたドーピング方法。
【請求項4】
請求項3に記載のドーピング方法であって、
前記回収ロールが前記電極を加圧する圧力は、0.1g/cm以上、100kg/cm以下であるドーピング方法。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載のドーピング方法であって、
前記回収ロールの少なくとも一部は弾性を有する材料から構成されるドーピング方法。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載のドーピング方法であって、
前記回収ロールの少なくとも一部は多孔質の材料から構成されるドーピング方法。
【請求項7】
請求項2~5のいずれか1項に記載のドーピング方法であって、
前記回収ロールの少なくとも一部はソリッドの材料から構成されるドーピング方法。
【請求項8】
請求項2~7のいずれか1項に記載のドーピング方法であって、
前記ドーピングシステムは、前記回収ロールの表面をクリーニングするように構成されたクリーニングユニットをさらに備えるドーピング方法。
【請求項9】
請求項2~8のいずれか1項に記載のドーピング方法であって、
前記ドーピングシステムは、2以上の前記回収ロールを備えるドーピング方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のドーピング方法であって、
前記ドーピングシステムは、洗浄液を収容するように構成された洗浄槽をさらに備え、
前記経路は、前記ドープ槽内を通過した後、前記洗浄槽内を通過する経路であり、
前記ドーピングシステムは、前記洗浄槽を通過した前記電極に付着した前記洗浄液を前記洗浄槽に回収するように構成された洗浄槽用回収ユニットをさらに備えるドーピング方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のドーピング方法であって、
前記ドーピングシステムは、電解液を収容するように構成された電解液処理槽をさらに備え、
前記経路は、前記ドープ槽内を通過する前に、前記電解液処理槽内を通過する経路であり、
前記ドーピングシステムは、前記電解液処理槽を通過した前記電極に付着した前記電解液を前記電解液処理槽に回収するように構成された電解液処理槽用回収ユニットをさらに備えるドーピング方法。
【請求項12】
活物質を含む層を有する帯状の電極における前記活物質にアルカリ金属をドープするドーピングシステムであって、
アルカリ金属イオンを含む溶液を収容するように構成されたドープ槽と、
前記電極を、前記ドープ槽内を通過する経路に沿って搬送するように構成された搬送ユニットと、
前記ドープ槽に収容されるように構成された対極ユニットと、
前記搬送ユニットが備える搬送ローラと前記対極ユニットとを電気的に接続するように構成された接続ユニットと、
前記ドープ槽を通過した前記電極に付着した前記溶液を前記ドープ槽に回収するように構成された回収ユニットと、
を備えるドーピングシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のドーピングシステムであって、
前記回収ユニットは、前記電極から前記溶液を回収するように構成された回収ロールを備えるドーピングシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のドーピングシステムであって、
前記回収ロールは、前記電極を加圧するように構成されたドーピングシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のドーピングシステムであって、
前記回収ロールが前記電極を加圧する圧力は、0.1g/cm以上、100kg/cm以下であるドーピングシステム。
【請求項16】
請求項13~15のいずれか1項に記載のドーピングシステムであって、
前記回収ロールの少なくとも一部は弾性を有する材料から構成されるドーピングシステム。
【請求項17】
請求項13~16のいずれか1項に記載のドーピングシステムであって、
前記回収ロールの少なくとも一部は多孔質の材料から構成されるドーピングシステム。
【請求項18】
請求項13~16のいずれか1項に記載のドーピングシステムであって、
前記回収ロールの少なくとも一部はソリッドの材料から構成されるドーピングシステム。
【請求項19】
請求項13~18のいずれか1項に記載のドーピングシステムであって、
前記回収ロールの表面をクリーニングするように構成されたクリーニングユニットをさらに備えるドーピングシステム。
【請求項20】
請求項13~19のいずれか1項に記載のドーピングシステムであって、
2以上の前記回収ロールを備えるドーピングシステム。
【請求項21】
請求項12~20のいずれか1項に記載のドーピングシステムであって、
洗浄液を収容するように構成された洗浄槽をさらに備え、
前記経路は、前記ドープ槽内を通過した後、前記洗浄槽内を通過する経路であり、
前記洗浄槽を通過した前記電極に付着した前記洗浄液を前記洗浄槽に回収するように構成された洗浄槽用回収ユニットをさらに備えるドーピングシステム。
【請求項22】
請求項12~21のいずれか1項に記載のドーピングシステムであって、
電解液を収容するように構成された電解液処理槽をさらに備え、
前記経路は、前記ドープ槽内を通過する前に、前記電解液処理槽内を通過する経路であり、
前記電解液処理槽を通過した前記電極に付着した前記電解液を前記電解液処理槽に回収するように構成された電解液処理槽用回収ユニットをさらに備えるドーピングシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本国際出願は、2019年1月23日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第2019-9585号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2019-9585号の全内容を本国際出願に参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示はドーピングシステム及びドーピング方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、電子機器の小型化・軽量化は目覚ましく、それに伴い、当該電子機器の駆動用電源として用いられる電池に対しても小型化・軽量化の要求が一層高まっている。
【0004】
このような小型化・軽量化の要求を満足するために、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が開発されている。また、高エネルギー密度特性及び高出力特性を必要とする用途に対応する蓄電デバイスとして、リチウムイオンキャパシタが知られている。更に、リチウムより低コストで資源的に豊富なナトリウムを用いたナトリウムイオン型の電池やキャパシタも知られている。
【0005】
このような電池やキャパシタにおいては、様々な目的のために、予めアルカリ金属を電極にドープするプロセス(一般にプレドープと呼ばれている)が採用されている。アルカリ金属を電極にプレドープする方法として、例えば、連続式の方法がある。連続式の方法では、帯状の電極をドープ溶液中で移送させながらプレドープを行う。連続式の方法は、特許文献1~4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-308212号公報
【文献】特開2008-77963号公報
【文献】特開2012-49543号公報
【文献】特開2012-49544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プレドープを行うとき、帯状の電極は、ドープ溶液を収容するドープ槽内を通過する経路に沿って搬送される。ドープ槽を通過した電極には、ドープ溶液が付着している。すなわち、電極はドープ槽からドープ溶液を持ち出す。電極がドープ槽から持ち出すドープ溶液の量が多いと、ドープ溶液の使用量が増えてしまう。
【0008】
本開示の1つの局面では、電極がドープ槽から持ち出すドープ溶液の量を抑制できるドーピングシステム及びドーピング方法を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の1つの局面は、ドーピングシステムを用いて、活物質を含む層を有する帯状の電極における前記活物質にアルカリ金属をドープするドーピング方法である。前記ドーピングシステムは、アルカリ金属イオンを含む溶液を収容するように構成されたドープ槽と、前記電極を、前記ドープ槽内を通過する経路に沿って搬送するように構成された搬送ユニットと、前記ドープ槽に収容されるように構成された対極ユニットと、前記搬送ユニットが備える搬送ローラと前記対極ユニットとを電気的に接続するように構成された接続ユニットと、前記ドープ槽を通過した前記電極に付着した前記溶液を前記ドープ槽に回収するように構成された回収ユニットと、を備える。
【0010】
本開示の1つの局面であるドーピング方法は、回収ユニットを備えるドーピングシステムを用いる。そのため、本開示の1つの局面であるドーピング方法は、電極がドープ槽から持ち出すドープ溶液の量を抑制できる。
【0011】
本開示の別の局面は、活物質を含む層を有する帯状の電極における前記活物質にアルカリ金属をドープするドーピングシステムである。ドーピングシステムは、アルカリ金属イオンを含む溶液を収容するように構成されたドープ槽と、前記電極を、前記ドープ槽内を通過する経路に沿って搬送するように構成された搬送ユニットと、前記ドープ槽に収容されるように構成された対極ユニットと、前記搬送ユニットが備える搬送ローラと前記対極ユニットとを電気的に接続するように構成された接続ユニットと、前記ドープ槽を通過した前記電極に付着した前記溶液を前記ドープ槽に回収するように構成された回収ユニットと、を備える。
【0012】
本開示の別の局面であるドーピングシステムは、回収ユニットを備えることにより、電極がドープ槽から持ち出すドープ溶液の量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】電極の構成を表す平面図である。
図2図1におけるII-II断面を表す断面図である。
図3】ドーピングシステムの構成を表す説明図である。
図4】ドープ槽の構成を表す説明図である。
図5】対極ユニットの構成を表す説明図である。
図6】第1状態にある回収ユニットの構成を表す説明図である。
図7】第2状態にある回収ユニットの構成を表す説明図である。
図8】第2実施形態の回収ユニットの構成を表す説明図である。
図9】第3実施形態の回収ユニットの構成を表す説明図である。
図10】第4実施形態の回収ユニットの構成を表す説明図である。
図11】第5実施形態の回収ユニットの構成を表す説明図である。
【符号の説明】
【0014】
1…電極、3…集電体、5…活物質層、11…ドーピングシステム、15…電解液処理槽、17、19、21…ドープ槽、23…洗浄槽、25、27、29、31、33、35、37、37、40、41、43、45、46、47、49、51、52、53、55、57、58、59、61、63、64、65、67、69、70、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93…搬送ローラ、101…供給ロール、103…巻取ロール、105…支持台、107…循環濾過ユニット、109、110、111、112、113、114…電源、117…タブクリーナー、119、203、205、245…回収ユニット、121…端部センサ、131…上流槽、133…下流槽、137、139、141、143…対極ユニット、149、151…空間、153…導電性基材、155…アルカリ金属含有板、157…多孔質絶縁部材、161…フィルタ、163…ポンプ、165…配管、171…固定部、173…回転部、175、211、221、223、251、265、267、269、271…支持板、177、191、213、215、225、227、253、255、257、259、273、275、277、279…リムーバーロール、179…転写用ロール、181…液排出ロール、183…スクレーパー、183A…先端、185…液滴ガイド、187、217、235、239、261、291、295、297、299…回転軸、189…支持板、189A…本体部、189B…レバー部、193…転写用ロール、195…液排出ロール、197…スクレーパー、197A…先端、199…液滴ガイド、207…第1部、209…第2部、229、231、281、283、285、287…バネ、221A…本体部、221B…レバー部、241、243…液滴ガイド、247…第1部、249…第2部、265A…本体部、265B…レバー部、267A…中央部、267B…第1アーム部、267C…第2アーム部
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
1.電極1の構成
図1図2に基づき、電極1の構成を説明する。電極1は帯状の形状を有する。電極1は、集電体3と、活物質層5とを備える。集電体3は帯状の形状を有する。活物質層5は、集電体3の両面にそれぞれ形成されている。
【0016】
集電体3として、例えば、銅、ニッケル、ステンレス等の金属箔が好ましい。また、集電体3は、前記金属箔上に炭素材料を主成分とする導電層が形成されたものであってもよい。集電体3の厚みは、例えば、5~50μmである。
【0017】
活物質層5は、例えば、活物質及びバインダー等を含有するスラリーを集電体3上に塗布し、乾燥させることにより作製できる。
【0018】
前記バインダーとして、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、NBR等のゴム系バインダー;ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、特開2009-246137号公報に開示されているようなフッ素変性(メタ)アクリル系バインダー等が挙げられる。
【0019】
前記スラリーは、活物質及びバインダーに加えて、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分として、例えば、カーボンブラック、黒鉛、気相成長炭素繊維、金属粉末等の導電剤;カルボキシルメチルセルロース、そのNa塩又はアンモニウム塩、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等の増粘剤が挙げられる。
【0020】
活物質層5の厚さは特に限定されない。活物質層5の厚さは、例えば、5~500μm、好ましくは10~200μm、特に好ましくは10~100μmである。活物質層5に含まれる活物質は、アルカリ金属イオンの挿入/脱離を利用する電池又はキャパシタに適用可能な電極活物質であれば特に限定されない。活物質は、負極活物質であってもよいし、正極活物質であってもよい。
【0021】
負極活物質は特に限定されない。負極活物質として、例えば、黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、黒鉛粒子をピッチや樹脂の炭化物で被覆した複合炭素材料等の炭素材料;リチウムと合金化が可能なSi、Sn等の金属若しくは半金属又はこれらの酸化物を含む材料等が挙げられる。炭素材料の具体例として、特開2013-258392号公報に記載の炭素材料が挙げられる。リチウムと合金化が可能な金属若しくは半金属又はこれらの酸化物を含む材料の具体例として、特開2005-123175号公報、特開2006-107795号公報に記載の材料が挙げられる。
【0022】
正極活物質として、例えば、コバルト酸化物、ニッケル酸化物、マンガン酸化物、バナジウム酸化物等の遷移金属酸化物;硫黄単体、金属硫化物等の硫黄系活物質が挙げられる。正極活物質、及び負極活物質のいずれにおいても、単一の物質から成るものであってもよいし、2種以上の物質を混合して成るものであってもよい。
【0023】
活物質層5が含む活物質は、後述するドーピングシステム11を用いて、アルカリ金属がプレドープされる。活物質にプレドープするアルカリ金属として、リチウム又はナトリウムが好ましく、特にリチウムが好ましい。電極1をリチウムイオン二次電池の電極の製造に用いる場合、活物質層5の密度は、好ましくは1.50~2.00g/ccであり、特に好ましくは1.60~1.90g/ccである。
【0024】
2.ドーピングシステム11の構成
ドーピングシステム11の構成を、図3図5に基づき説明する。図3に示すように、ドーピングシステム11は、電解液処理槽15と、ドープ槽17、19、21と、洗浄槽23と、搬送ローラ25、27、29、31、33、35、37、39、40、41、43、45、46、47、49、51、52、53、55、57、58、59、61、63、64、65、67、69、70、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93(以下ではこれらをまとめて搬送ローラ群と呼ぶこともある)と、供給ロール101と、巻取ロール103と、支持台105と、循環濾過ユニット107と、6つの電源109、110、111、112、113、114と、タブクリーナー117と、回収ユニット119と、端部センサ121と、を備える。
【0025】
搬送ローラ群は搬送ユニットに対応する。電源109、110、111、112、113、114は接続ユニットに対応する。なお、本明細書では、ローラとは、電極1の搬送に使用される回転物を意味する。ロールとは、ローラを除く円筒形の物体を意味する。
【0026】
電解液処理槽15は、上方が開口した角型の槽である。電解液処理槽15の底面は、略U字型の断面形状を有する。電解液処理槽15は、仕切り板123を備える。仕切り板123は、その上端を貫く支持棒125により支持されている。支持棒125は図示しない壁等に固定されている。仕切り板123は上下方向に延び、電解液処理槽15の内部を2つの空間に分割している。
【0027】
仕切り板123の下端に、搬送ローラ33が取り付けられている。仕切り板123と搬送ローラ33とは、それらを貫く支持棒127により支持されている。なお、仕切り板123の下端付近は、搬送ローラ33と接触しないように切り欠かれている。搬送ローラ33と、電解液処理槽15の底面との間には空間が存在する。
【0028】
ドープ槽17の構成を図4に基づき説明する。ドープ槽17は、上流槽131と下流槽133とから構成される。上流槽131は供給ロール101の側(以下では上流側とする)に配置され、下流槽133は巻取ロール103の側(以下では下流側とする)に配置されている。
【0029】
まず、上流槽131の構成を説明する。上流槽131は上方が開口した角型の槽である。上流槽131の底面は、略U字型の断面形状を有する。上流槽131は、仕切り板135と、4個の対極ユニット137、139、141、143と、を備える。
【0030】
仕切り板135は、その上端を貫く支持棒145により支持されている。支持棒145は図示しない壁等に固定されている。仕切り板135は上下方向に延び、上流槽131の内部を2つの空間に分割している。仕切り板135の下端に、搬送ローラ40が取り付けられている。仕切り板135と搬送ローラ40とは、それらを貫く支持棒147により支持されている。なお、仕切り板135の下端付近は、搬送ローラ40と接触しないように切り欠かれている。搬送ローラ40と、上流槽131の底面との間には空間が存在する。
【0031】
対極ユニット137は、上流槽131のうち、上流側に配置されている。対極ユニット139、141は、仕切り板135を両側から挟むように配置されている。対極ユニット143は、上流槽131のうち、下流側に配置されている。
【0032】
対極ユニット137と対極ユニット139との間には空間149が存在する。対極ユニット141と対極ユニット143との間には空間151が存在する。対極ユニット137、139、141、143は、電源109の一方の極に接続される。対極ユニット137、139、141、143は同様の構成を有する。ここでは、図5に基づき、対極ユニット137、139の構成を説明する。
【0033】
対極ユニット137、139は、導電性基材153と、アルカリ金属含有板155と、多孔質絶縁部材157とを積層した構成を有する。導電性基材153の材質として、例えば、銅、ステンレス、ニッケル等が挙げられる。アルカリ金属含有板155の形態は特に限定されず、例えば、アルカリ金属板、アルカリ金属の合金板等が挙げられる。アルカリ金属含有板155の厚さは、例えば、0.03~6mmである。
【0034】
多孔質絶縁部材157は、板状の形状を有する。多孔質絶縁部材157は、アルカリ金属含有板155の上に積層されている。多孔質絶縁部材157が有する板状の形状とは、多孔質絶縁部材157がアルカリ金属含有板155の上に積層されている際の形状である。多孔質絶縁部材157は、それ自体で一定の形状を保つ部材であってもよいし、例えばネット等のように、容易に変形可能な部材であってもよい。
【0035】
多孔質絶縁部材157は多孔質である。そのため、後述するドープ溶液は、多孔質絶縁部材157を通過することができる。そのことにより、アルカリ金属含有板155は、ドープ溶液に接触することができる。
【0036】
多孔質絶縁部材157として、例えば、樹脂製のメッシュ等が挙げられる。樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。メッシュの目開きは適宜設定できる。メッシュの目開きは、例えば、0.1μm~10mmであり、0.1~5mmであることが好ましい。メッシュの厚みは適宜設定できる。メッシュの厚みは、例えば、1μm~10mmであり、30μm~1mmであることが好ましい。メッシュの目開き率は適宜設定できる。メッシュの目開き率は、例えば、5~98%であり、5~95%であることが好ましく、50~95%であることがさらに好ましい。
【0037】
多孔質絶縁部材157は、その全体が絶縁性の材料から成っていてもよいし、その一部に絶縁性の層を備えていてもよい。
【0038】
下流槽133は、基本的には上流槽131とは同様の構成を有する。ただし、下流槽133の内部には、搬送ローラ40ではなく、搬送ローラ46が存在する。また、下流槽133が備える対極ユニット137、139、141、143は、電源110の一方の極に接続される。
【0039】
ドープ槽19は、基本的にはドープ槽17と同様の構成を備える。ただし、ドープ槽19の内部には、搬送ローラ40、46ではなく、搬送ローラ52、58が存在する。また、ドープ槽19の上流槽131が備える対極ユニット137、139、141、143は、電源111の一方の極に接続される。また、ドープ槽19の下流槽133が備える対極ユニット137、139、141、143は、電源112の一方の極に接続される。
【0040】
ドープ槽21は、基本的にはドープ槽17と同様の構成を備える。ただし、ドープ槽21の内部には、搬送ローラ40、46ではなく、搬送ローラ64、70が存在する。また、ドープ槽21の上流槽131が備える対極ユニット137、139、141、143は、電源113の一方の極に接続される。また、ドープ槽21の下流槽133が備える対極ユニット137、139、141、143は、電源114の一方の極に接続される。
【0041】
洗浄槽23は、基本的には電解液処理槽15と同様の構成を有する。ただし、洗浄槽23の内部には、搬送ローラ33ではなく、搬送ローラ75が存在する。
【0042】
搬送ローラ群のうち、搬送ローラ37、39、43、45、49、51、55、57、61、63、67、69は、導電性の材料から成る。搬送ローラ群のうち、その他の搬送ローラは、軸受部分を除き、エラストマーから成る。搬送ローラ群は、電極1を一定の経路に沿って搬送する。搬送ローラ群が電極1を搬送する経路は、供給ロール101から、電解液処理槽15の中、ドープ槽17の中、ドープ槽19の中、ドープ槽21の中、洗浄槽23の中、タブクリーナー117の中を順次通り、巻取ロール103に至る経路である。
【0043】
その経路のうち、電解液処理槽15の中を通る部分は、まず、搬送ローラ29、31を経て下方に移動し、次に、搬送ローラ33により移動方向を上向きに変えられるという経路である。
【0044】
また、上記の経路のうち、ドープ槽17の中を通る部分は以下のとおりである。まず、搬送ローラ37により移動方向を下向きに変えられ、上流槽131の空間149を下方に移動する。次に、搬送ローラ40により移動方向を上向きに変えられ、上流槽131の空間151を上方に移動する。次に、搬送ローラ41、43により移動方向を下向きに変えられ、下流槽133の空間149を下方に移動する。次に、搬送ローラ46により移動方向を上向きに変えられ、下流槽133の空間151を上方に移動する。最後に、搬送ローラ47により移動方向を水平方向に変えられ、ドープ槽19に向かう。
【0045】
また、上記の経路のうち、ドープ槽19の中を通る部分は以下のとおりである。まず、搬送ローラ49により移動方向を下向きに変えられ、上流槽131の空間149を下方に移動する。次に、搬送ローラ52により移動方向を上向きに変えられ、上流槽131の空間151を上方に移動する。次に、搬送ローラ53、55により移動方向を下向きに変えられ、下流槽133の空間149を下方に移動する。次に、搬送ローラ58により移動方向を上向きに変えられ、下流槽133の空間151を上方に移動する。最後に、搬送ローラ59により移動方向を水平方向に変えられ、ドープ槽21に向かう。
【0046】
また、上記の経路のうち、ドープ槽21の中を通る部分は以下のとおりである。まず、搬送ローラ61により移動方向を下向きに変えられ、上流槽131の空間149を下方に移動する。次に、搬送ローラ64により移動方向を上向きに変えられ、上流槽131の空間151を上方に移動する。次に、搬送ローラ65、67により移動方向を下向きに変えられ、下流槽133の空間149を下方に移動する。次に、搬送ローラ70により移動方向を上向きに変えられ、下流槽133の空間151を上方に移動する。最後に、搬送ローラ71により移動方向を水平方向に変えられ、洗浄槽23に向かう。
【0047】
また、上記の経路のうち、洗浄槽23の中を通る部分は、まず、搬送ローラ73により移動方向を下向きに変えられて下方に移動し、次に、搬送ローラ75により移動方向を上向きに変えられるという経路である。
【0048】
供給ロール101は、電極1を巻き回している。すなわち、供給ロール101は、巻き取られた状態の電極1を保持している。供給ロール101に保持されている電極1における活物質には、未だアルカリ金属がドープされていない。
【0049】
搬送ローラ群は、供給ロール101に保持された電極1を引き出し、搬送する。巻取ロール103は、搬送ローラ群により搬送されてきた電極1を巻き取り、保管する。なお、巻取ロール103に保管されている電極1は、ドープ槽17、19、21において、プレドープの処理を受けている。そのため、巻取ロール103に保管されている電極1における活物質には、アルカリ金属がドープされている。
【0050】
支持台105は、電解液処理槽15、ドープ槽17、19、21、及び洗浄槽23を下方から支持する。支持台105は、その高さを変えることができる。循環濾過ユニット107は、ドープ槽17、19、21にそれぞれ設けられている。循環濾過ユニット107は、フィルタ161と、ポンプ163と、配管165と、を備える。
【0051】
ドープ槽17に設けられた循環濾過ユニット107において、配管165は、ドープ槽17から出て、ポンプ163、及びフィルタ161を順次通り、ドープ槽17に戻る循環配管である。ドープ槽17内ドープ溶液は、ポンプ163の駆動力により、配管165、及びフィルタ161内を循環し、再びドープ槽17に戻る。このとき、ドープ溶液中の異物等は、フィルタ161により濾過される。異物として、ドープ溶液から析出した異物や、電極1から発生する異物等が挙げられる。フィルタ161の材質は、例えば、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂である。フィルタ161の孔径は適宜設定できる。フィルタ161の孔径は、例えば、0.2~50μmである。
【0052】
ドープ槽19、21に設けられた循環濾過ユニット107も、同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。なお、図3図4において、ドープ溶液の記載は便宜上省略している。
【0053】
電源109の一方端子は、搬送ローラ37、39と接続する。また、電源109の他方の端子は、ドープ槽17の上流槽131が備える対極ユニット137、139、141、143と接続する。電極1は搬送ローラ37、39と接触する。電極1と対極ユニット137、139、141、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽17の上流槽131において、電極1と対極ユニット137、139、141、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0054】
電源110の一方の端子は、搬送ローラ43、45と接続する。また、電源110の他方の端子は、ドープ槽17の下流槽133が備える対極ユニット137、139、141、143と接続する。電極1は搬送ローラ43、45と接触する。電極1と対極ユニット137、139、141、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽17の下流槽133において、電極1と対極ユニット137、139、141、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0055】
電源111の一方の端子は、搬送ローラ49、51と接続する。また、電源111の他方の端子は、ドープ槽19の上流槽131が備える対極ユニット137、139、141、143と接続する。電極1は搬送ローラ49、51と接触する。電極1と対極ユニット137、139、141、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽19の上流槽131において、電極1と対極ユニット137、139、141、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0056】
電源112の一方の端子は、搬送ローラ55、57と接続する。また、電源112の他方の端子は、ドープ槽19の下流槽133が備える対極ユニット137、139、141、143と接続する。電極1は搬送ローラ55、57と接触する。電極1と対極ユニット137、139、141、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽19の下流槽133において、電極1と対極ユニット137、139、141、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0057】
電源113の一方の端子は、搬送ローラ61、63と接続する。また、電源113の他方の端子は、ドープ槽21の上流槽131が備える対極ユニット137、139、141、143と接続する。電極1は搬送ローラ61、63と接触する。電極1と対極ユニット137、139、141、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽21の上流槽131において、電極1と対極ユニット137、139、141、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0058】
電源114の一方の端子は、搬送ローラ67、69と接続する。また、電源114の他方の端子は、ドープ槽21の下流槽133が備える対極ユニット137、139、141、143と接続する。電極1は搬送ローラ67、69と接触する。電極1と対極ユニット137、139、141、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽21の下流槽133において、電極1と対極ユニット137、139、141、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0059】
タブクリーナー117は、電極1の幅方向Wにおける端部を洗浄する。回収ユニット119は、電解液処理槽15、ドープ槽17、19、21、及び洗浄槽23のそれぞれに配置されている。回収ユニット119は、電極1が槽から持ち出す液を回収し、槽に戻す。回収ユニット119の詳しい構成は後述する。回収ユニット119のうち、電解液処理槽15に配置されているものは、電解液処理槽用回収ユニットに対応する。回収ユニット119のうち、洗浄槽23に配置されているものは、洗浄槽用回収ユニットに対応する。
【0060】
端部センサ121は、電極1の幅方向Wにおける端部の位置を検出する。図示しない端部位置調整ユニットは、端部センサ121の検出結果に基づき、供給ロール101及び巻取ロール103の幅方向Wにおける位置を調整する。端部位置調整ユニットは、電極1の幅方向Wにおける端部が、タブクリーナー117により洗浄される位置となるように、供給ロール101及び巻取ロール103の幅方向Wにおける位置を調整する。
【0061】
3.回収ユニット119の構成
回収ユニット119の構成を、図6図7に基づき説明する。回収ユニット119は、固定部171と、回転部173とを備える。固定部171は図示しない壁等に固定されている。
【0062】
固定部171は、支持板175と、リムーバーロール177と、転写用ロール179と、液排出ロール181と、スクレーパー183と、液滴ガイド185と、を備える。なお、リムーバーロール177及び後述するリムーバーロール191は回収ロールに対応する。スクレーパー183及び後述するスクレーパー197はクリーニングユニットに対応する。
【0063】
支持板175は板状部材である。リムーバーロール177は、支持板175に対し回転可能に取り付けられている。リムーバーロール177の軸方向は、水平であり、搬送ローラ群により搬送される電極1の幅方向Wと平行である。リムーバーロール177は、中央の軸部を除き、弾性を有する材料から構成されていることが好ましい。リムーバーロール177は、多孔質の材料から構成されていることがさらに好ましい。
【0064】
弾性を有する材料として、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリビニルアルコールゴム、ポリウレタンゴム、ポリオレフィン系ゴム、フッ素ゴム、シリコンゴムスポンジ、ニトリルブタジエンラバー、水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンラバー、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム等が挙げられる。
【0065】
転写用ロール179は、支持板175に対し回転可能に取り付けられている。転写用ロール179の軸方向は、リムーバーロール177の軸方向と平行である。転写用ロール179の外周面は、リムーバーロール177の外周面と接している。転写用ロール179は、中央の軸部を除き、弾性を有する多孔質の材料から構成されている。転写用ロール179を構成する材料として、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリビニルアルコールゴム、ポリウレタンゴム、ポリオレフィン系ゴム、フッ素ゴム、シリコンゴムスポンジ、ニトリルブタジエンラバー、水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンラバー、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム等の多孔質材料が挙げられる。
【0066】
液排出ロール181は、支持板175に対し、回転可能に取り付けられている。液排出ロール181の軸方向は、リムーバーロール177の軸方向と平行である。液排出ロール181は、転写用ロール179を構成する材料よりも硬い材料により構成される。液排出ロール181の外周面は、転写用ロール179の外周面に押し付けられている。その結果、転写用ロール179は、液排出ロール181と接触する部分の周囲では圧縮され、体積が減少する。
【0067】
スクレーパー183の先端183Aは、リムーバーロール177の外周面に接している。液滴ガイド185は板状の部材である。液滴ガイド185は支持板175に取り付けられている。液滴ガイド185の位置は、リムーバーロール177、転写用ロール179、液排出ロール181、及びスクレーパー183の下方である。液滴ガイド185は、回収ユニット119の幅方向における中央に近づくほど下がるように傾斜している。
【0068】
回転部173は、固定部171に対し、回転軸187を中心に回転可能となるように取り付けられている。回転部173は、支持板189と、リムーバーロール191と、転写用ロール193と、液排出ロール195と、スクレーパー197と、液滴ガイド199と、を備える。
【0069】
支持板189は板状部材である。支持板189は、矩形の本体部189Aと、レバー部189Bとから構成される。レバー部189Bは、本体部189Aの上端付近から、横方向に突出している。
【0070】
リムーバーロール191は、本体部189Aに対し、回転可能に取り付けられている。リムーバーロール191の軸方向は、リムーバーロール177の軸方向と平行である。リムーバーロール191は、中央の軸部を除き、弾性を有する材料から構成されていることが好ましい。リムーバーロール191は、多孔質の材料から構成されていることがさらに好ましい。リムーバーロール191を構成する材料は、例えば、リムーバーロール177を構成する材料と同じである。
【0071】
転写用ロール193は、本体部189Aに対し、回転可能に取り付けられている。転写用ロール193の軸方向は、リムーバーロール177の軸方向と平行である。転写用ロール193の外周面は、リムーバーロール191の外周面と接している。転写用ロール193は、中央の軸部を除き、弾性を有する多孔質の材料から構成されている。転写用ロール193を構成する材料は、例えば、転写用ロール179を構成する材料と同じである。
【0072】
液排出ロール195は、本体部189Aに対し、回転可能に取り付けられている。液排出ロール195軸方向は、リムーバーロール177の軸方向と平行である。液排出ロール195は、転写用ロール193を構成する材料よりも硬い材料により構成される。液排出ロール195の外周面は、転写用ロール193の外周面に押し付けられている。その結果、転写用ロール193は、液排出ロール195と接触する部分の周囲では圧縮され、体積が減少している。
【0073】
スクレーパー197の先端197Aは、リムーバーロール191の外周面に接している。液滴ガイド199は板状の部材である。液滴ガイド199は本体部189Aに取り付けられている。液滴ガイド199の位置は、リムーバーロール191、転写用ロール193、液排出ロール195、及びスクレーパー197の下方である。液滴ガイド199は、回収ユニット119の幅方向における中央に近づくほど下がるように傾斜している。
【0074】
レバー部189Bの先端には、重り201が取り付けられる。重り201により、回転部173は、図6図7に示すX方向に回転するように付勢される。
【0075】
回転部173がX方向に回転すると、回収ユニット119は、図6に示す状態(以下では第1状態とする)になる。第1状態では、リムーバーロール177とリムーバーロール191とが電極1を両側から挟む。リムーバーロール177及びリムーバーロール191は、0.1g/cm以上、100kg/cm以下の圧力で電極1を加圧する。リムーバーロール177及びリムーバーロール191が電極1を加圧する圧力は、1g/cm以上、5kg/cm以下であることが好ましく、5g/cm以上、500g/cm以下であることがより好ましい。活物質層5が含む活物質にアルカリ金属をドープするときは、回収ユニット119を第1状態とする。
【0076】
回転部173を、図6図7に示すY方向に回転させると、回収ユニット119は、図7に示す状態(以下では第2状態とする)になる。第2状態では、リムーバーロール191はリムーバーロール177から離れる。第2状態では、リムーバーロール177及びリムーバーロール191は電極1を加圧しない。電極1を通紙するときは、回収ユニット119を第2状態とする。
【0077】
4.ドープ溶液の組成
ドーピングシステム11を使用するとき、電解液処理槽15、及びドープ槽17、19、21に、ドープ溶液を収容する。ドープ溶液は、アルカリ金属イオンと、溶媒とを含む。ドープ溶液は電解液である。
【0078】
溶媒として、例えば、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒として、非プロトン性の有機溶媒が好ましい。非プロトン性の有機溶媒として、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1-フルオロエチレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)等が挙げられる。
【0079】
また、前記有機溶媒として、第4級イミダゾリウム塩、第4級ピリジニウム塩、第4級ピロリジニウム塩、第4級ピペリジニウム塩等のイオン液体を使用することもできる。前記有機溶媒は、単一の成分から成るものであってもよいし、2種以上の成分の混合溶媒であってもよい。有機溶媒は、単一の成分から成るものであってもよいし、2種以上の成分の混合溶媒であってもよい。
【0080】
前記ドープ溶液に含まれるアルカリ金属イオンは、アルカリ金属塩を構成するイオンである。アルカリ金属塩は、好ましくはリチウム塩又はナトリウム塩である。アルカリ金属塩を構成するアニオン部として、例えば、PF 、PF(C 、PF(CF 等のフルオロ基を有するリンアニオン;BF 、BF(CF) 、BF(CF、B(CN) 等のフルオロ基又はシアノ基を有するホウ素アニオン;N(FSO 、N(CFSO 、N(CSO 等のフルオロ基を有するスルホニルイミドアニオン;CFSO 等のフルオロ基を有する有機スルホン酸アニオンが挙げられる。
【0081】
前記ドープ溶液におけるアルカリ金属塩の濃度は、好ましくは0.1モル/L以上であり、より好ましくは0.5~1.5モル/Lの範囲内である。アルカリ金属塩の濃度がこの範囲内である場合、アルカリ金属のプレドープが効率よく進行する。
【0082】
前記ドープ溶液は、さらに、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1-フルオロエチレンカーボネート、1-(トリフルオロメチル)エチレンカーボネート、無水コハク酸、無水マレイン酸、プロパンスルトン、ジエチルスルホン等の添加剤を含有することができる。
【0083】
前記ドープ溶液は、ホスファゼン化合物等の難燃剤をさらに含有することができる。難燃剤の添加量は、アルカリ金属をドープする際の熱暴走反応を効果的に制御する観点から、ドープ溶液100質量部に対して1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましい。また、難燃剤の添加量は、高品質のドープ電極を得る観点から、ドープ溶液100質量部に対して20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。
【0084】
5.ドーピングシステム11の使用方法
まず、電極1に対しドーピングを行うための準備として、以下のことを行う。電極1を供給ロール101に巻き回す。次に、電極1を供給ロール101から引き出し、上述した経路に沿って巻取ロール103まで通紙する。このとき、回収ユニット119は第2状態としておく。そして、電解液処理槽15と、ドープ槽17、19、21と、洗浄槽23とを上昇させ、図3に示す定位置へセットする。
【0085】
電解液処理槽15、及びドープ槽17、19、21にドープ溶液を収容する。ドープ溶液は、前記「4.ドープ溶液の組成」で述べたものである。洗浄槽23に洗浄液を収容する。洗浄液は有機溶剤である。回収ユニット119を第1状態にする。
【0086】
次に、搬送ローラ群により、供給ロール101から巻取ロール103まで、上述した経路に沿って電極1を搬送する。電極1がドープ槽17、19、21内を通過するとき、活物質層5に含まれる活物質にアルカリ金属がプレドープされる。
【0087】
電極1は搬送ローラ群により搬送されながら、洗浄槽23で洗浄される。次に、電極1は巻取ロール103に巻き取られる。電極1は、正極であってもよいし、負極であってもよい。正極を製造する場合、ドーピングシステム11は、正極活物質にアルカリ金属をドープし、負極を製造する場合、ドーピングシステム11は、負極活物質にアルカリ金属をドープする。
【0088】
アルカリ金属のドープ量は、リチウムイオンキャパシタの負極活物質にリチウムを吸蔵させる場合、負極活物質の理論容量に対して好ましくは70~95%であり、リチウムイオン二次電池の負極活物質にリチウムを吸蔵させる場合、負極活物質の理論容量に対して好ましくは10~30%である。
【0089】
6.ドーピングシステム11が奏する効果
(1A)ドーピングシステム11は複数の回収ユニット119を備える。複数の回収ユニット119は、電解液処理槽15、ドープ槽17、19、21、及び洗浄槽23のそれぞれに配置されている。ドープ槽17、19、21に配置されている回収ユニット119は、電極1がドープ槽17、19、21から持ち出すドープ溶液の量を抑制する。ドープ槽17、19、21に配置されている回収ユニット119の効果を説明する。
【0090】
ドープ槽17、19、21を通過した電極1は上方に進み、図6に示すように、回収ユニット119に入る。電極1の表面にはドープ溶液が付着している。リムーバーロール177、191は電極1を両側から挟む。電極1に付着していたドープ溶液は、リムーバーロール177、191により吸収される。
【0091】
転写用ロール179は、リムーバーロール177に含まれているドープ溶液を吸収する。そのため、リムーバーロール177は、電極1に付着しているドープ溶液をさらに吸収することができる。
【0092】
転写用ロール193は、リムーバーロール191に含まれているドープ溶液を吸収する。そのため、リムーバーロール191は、電極1に付着しているドープ溶液をさらに吸収することができる。
【0093】
液排出ロール181は転写用ロール179を圧縮する。そのため、転写用ロール179が含んでいたドープ溶液は、転写用ロール179から排出され、落下する。落下したドープ溶液は、液滴ガイド185によりガイドされ、ドープ槽17、19、21に戻る。転写用ロール179は、ドープ溶液を排出することで、リムーバーロール177に含まれているドープ溶液をさらに吸収することが可能になる。
【0094】
液排出ロール195は転写用ロール193を圧縮する。そのため、転写用ロール193が含んでいたドープ溶液は、転写用ロール193から排出され、落下する。落下したドープ溶液は、液滴ガイド199によりガイドされ、ドープ槽17、19、21に戻る。転写用ロール193は、ドープ溶液を排出することで、リムーバーロール191に含まれているドープ溶液をさらに吸収することが可能になる。
【0095】
このようにして回収ユニット119は、電極1に付着しているドープ溶液を回収し、ドープ槽17、19、21に戻す。その結果、回収ユニット119は、電極1がドープ槽17、19、21から持ち出すドープ溶液の量を抑制する。
【0096】
同様にして、電解液処理槽15に配置された回収ユニット119は、電極1に付着しているドープ溶液を回収し、電解液処理槽15に戻す。その結果、回収ユニット119は、電極1が電解液処理槽15から持ち出すドープ溶液の量を抑制する。
【0097】
同様にして、洗浄槽23に配置された回収ユニット119は、電極1に付着している洗浄液を回収し、洗浄槽23に戻す。その結果、回収ユニット119は、電極1が洗浄槽23から持ち出す洗浄液の量を抑制する。
【0098】
(1B)回収ユニット119は、リムーバーロール177、191を用いて液を回収する。そのため、回収ユニット119は、一層効率的に液を回収することができる。液とは、ドープ溶液又は洗浄液である。
【0099】
(1C)リムーバーロール177、191が電極1を加圧する圧力は、0.1g/cm以上、100kg/cm以下である。電極1を加圧する圧力が0.1g/cm以上であることにより、回収ユニット119は、一層効率的に液を回収することができる。電極1を加圧する圧力が100kg/cm以下であることにより、回収ユニット119は、電極1が損傷することを抑制できる。
【0100】
(1D)リムーバーロール177、191は弾性を有する材料から構成される。そのため、リムーバーロール177、191と電極1との密着性が高い。その結果、回収ユニット119は、一層効率的に液を回収することができる。
【0101】
(1E)リムーバーロール177、191は多孔質の材料から構成されることが好ましい。リムーバーロール177、191が多孔質の材料から構成される場合、リムーバーロール177、191は、電極1に付着している液を一層容易に吸収することができる。その結果、回収ユニット119は、一層効率的に液を回収することができる。
【0102】
(1F)回収ユニット119は、スクレーパー183、197を備える。スクレーパー183は、リムーバーロール177の外周面をクリーニングすることができる。スクレーパー197は、リムーバーロール191の外周面をクリーニングすることができる。
【0103】
回収ユニット119は、スクレーパー183、197を備えることにより、リムーバーロール177、191の外周面の汚れ等が電極1の表面に付着することを抑制できる。
<第2実施形態>
1.第1実施形態との相違点
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0104】
前述した第1実施形態では、回収ユニット119は、転写用ロール179、193、及び液排出ロール181、195を備えていた。これに対し、第2実施形態では、回収ユニット119は、転写用ロール179、193、及び液排出ロール181、195を備えない点で、第1実施形態と相違する。
【0105】
2.ドーピングシステム11が奏する効果
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1B)~(1F)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0106】
(2A)ドーピングシステム11は複数の回収ユニット119を備える。複数の回収ユニット119は、電解液処理槽15、ドープ槽17、19、21、及び洗浄槽23のそれぞれに配置されている。ドープ槽17、19、21に配置されている回収ユニット119は、電極1がドープ槽17、19、21から持ち出すドープ溶液の量を抑制する。ドープ槽17、19、21に配置されている回収ユニット119の効果を説明する。
【0107】
ドープ槽17、19、21を通過した電極1は上方に進み、図8に示すように、回収ユニット119に入る。電極1の表面にはドープ溶液が付着している。リムーバーロール177、191は電極1を両側から挟む。電極1に付着していたドープ溶液は、リムーバーロール177、191により吸収される。
【0108】
リムーバーロール177、191が含むドープ溶液の量が多くなると、ドープ溶液はリムーバーロール177、191から落下する。落下したドープ溶液は、液滴ガイド185、199によりガイドされ、ドープ槽17、19、21に戻る。
【0109】
このようにして回収ユニット119は、電極1に付着しているドープ溶液を回収し、ドープ槽17、19、21に戻す。その結果、回収ユニット119は、電極1がドープ槽17、19、21から持ち出すドープ溶液の量を抑制する。
【0110】
同様にして、電解液処理槽15に配置された回収ユニット119は、電極1に付着しているドープ溶液を回収し、電解液処理槽15に戻す。その結果、回収ユニット119は、電極1が電解液処理槽15から持ち出すドープ溶液の量を抑制する。
【0111】
同様にして、洗浄槽23に配置された回収ユニット119は、電極1に付着している洗浄液を回収し、洗浄槽23に戻す。その結果、回収ユニット119は、電極1が洗浄槽23から持ち出す洗浄液の量を抑制する。
<第3実施形態>
1.第1実施形態との相違点
第3実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0112】
図9に示すように、第3実施形態のドーピングシステム11は、回収ユニット119に加えて、回収ユニット203を備える。回収ユニット203は回収ユニット119の上方に配置されている。
【0113】
回収ユニット203は、基本的には回収ユニット119と同様の構成を備える。ただし、回収ユニット203は、液滴ガイド185及び液滴ガイド199を備えない。回収ユニット203は、回収ユニット119と同様の機能を有する。
【0114】
回収ユニット203が備えるリムーバーロール177と、回収ユニット119が備えるリムーバーロール177とは、電極1の長手方向に沿って並んでいる。また、回収ユニット203が備えるリムーバーロール191と、回収ユニット119が備えるリムーバーロール191とは、電極1の長手方向に沿って並んでいる。
【0115】
2.ドーピングシステム11が奏する効果
以上詳述した第3実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0116】
(3A)ドーピングシステム11は、回収ユニット119に加えて、回収ユニット203を備える。そのため、ドーピングシステム11は、ドープ槽17、19、21、電解液処理槽15、及び洗浄槽23から電極1が持ち出す液の量を一層抑制できる。
<第4実施形態>
1.第1実施形態との相違点
第4実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0117】
第4実施形態のドーピングシステム11は、回収ユニット119に代えて、図10に示す回収ユニット205を備える。
【0118】
回収ユニット205は、第1部207と、第2部209とを備える。第1部207と第2部209とは、電極1を挟むように配置されている。第1部207は、支持板211と、2つのリムーバーロール213、215と、を備える。リムーバーロール213、215は回収ロールに対応する。
【0119】
支持板211は板状部材である。支持板211の形状はL字状である。支持板211は、図示しない壁等に対し、回転軸217を中心に回転可能に取り付けられている。回転軸217の軸方向は、水平であり、搬送ローラ群により搬送される電極1の幅方向Wと平行である。
【0120】
リムーバーロール213、215は、支持板211に対し、回転可能に取り付けられている。リムーバーロール213、215は、回転軸217の下方に位置する。リムーバーロール215は、リムーバーロール213の下方に位置する。第1状態のとき、リムーバーロール213、215は電極1に接する。第1状態のとき、リムーバーロール213、215は、電極1の長手方向に沿って並んでいる。リムーバーロール213、215の軸方向は、水平であり、搬送ローラ群により搬送される電極1の幅方向Wと平行である。リムーバーロール213、215は、第1実施形態におけるリムーバーロール177と同様の構成を備える。
【0121】
第2部209は、支持板221と、支持板223と、リムーバーロール225、227と、重り233と、を備える。支持板221は板状部材である。支持板221の形状はL字形状である。支持板221は、上下方向に延びる本体部221Aと、横方向に延びるレバー部221Bとにより構成される。リムーバーロール225、227は回収ロールに対応する。
【0122】
支持板221は、図示しない壁等に対し、回転軸235を中心に回転可能に取り付けられている。回転軸235は、本体部221Aの上端付近に位置する。回転軸235の軸方向は、水平であり、搬送ローラ群により搬送される電極1の幅方向Wと平行である。
【0123】
レバー部221Bに、重り233が取り付けられている。支持板211は、重り233により、A方向に回転するように付勢されている。A方向は、リムーバーロール225、227が電極1に接近する方向である。支持板223は、上下方向に延びる板状部材である。支持板223は、支持板221に対し、回転軸239を中心に回転可能に取り付けられている。回転軸239の軸方向は、水平であり、搬送ローラ群により搬送される電極1の幅方向Wと平行である。
【0124】
リムーバーロール225、227は、支持板223に対し、回転可能に取り付けられている。リムーバーロール225、227は、回転軸235の下方に位置する。リムーバーロール227は、リムーバーロール225の下方に位置する。第1状態のとき、リムーバーロール225、227は電極1に接する。第1状態のとき、リムーバーロール225、227は、電極1の長手方向に沿って並んでいる。リムーバーロール225、227の軸方向は、水平であり、搬送ローラ群により搬送される電極1の幅方向Wと平行である。リムーバーロール225、227は、第1実施形態におけるリムーバーロール191と同様の構成を備える。
【0125】
バネ229の一方の端部は支持板221に固定されている。バネ229の反対側の端部は、支持板223のうち、リムーバーロール225を支持する部分に接している。バネ229は、リムーバーロール225を、電極1の方向に付勢する。バネ231の一方の端部は支持板221に固定されている。バネ231の反対側の端部は、支持板223のうち、リムーバーロール227を支持する部分に接している。バネ231は、リムーバーロール227を、電極1の方向に付勢する。
【0126】
第1部207の下方に、液滴ガイド241が配置されている。液滴ガイド241は、第1部207から垂れてきた液をドープ槽17、19、21に戻す。第2部209の下方に、液滴ガイド243が配置されている。液滴ガイド243は、第2部209から垂れてきた液をドープ槽17、19、21に戻す。
【0127】
2.ドーピングシステム11が奏する効果
以上詳述した第4実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0128】
(4A)ドーピングシステム11は、電極1の長手方向に沿って並んでいるリムーバーロール213、215を備える。また、ドーピングシステム11は、電極1の長手方向に沿って並んでいるリムーバーロール225、227を備える。そのため、ドーピングシステム11は、ドープ槽17、19、21、電解液処理槽15、及び洗浄槽23から電極1が持ち出す液の量を一層抑制できる。
【0129】
(4B)リムーバーロール225、227は、支持板221に対し、回転軸239を中心に回転可能である。そのため、ドーピングシステム11では、リムーバーロール225、227が電極1へ当接するときの圧力を調節し易い。
<第5実施形態>
1.第1実施形態との相違点
第5実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0130】
第5実施形態のドーピングシステム11は、回収ユニット119に代えて、図11に示す回収ユニット245を備える。
【0131】
回収ユニット245は、第1部247と、第2部249とを備える。第1部247と第2部249とは、電極1を挟むように配置されている。第1部247は、支持板251と、4つのリムーバーロール253、255、257、259と、を備える。リムーバーロール253、255、257、259は回収ロールに対応する。
【0132】
支持板251は板状部材である。支持板251の形状はL字状である。支持板251は、図示しない壁等に対し、回転軸261を中心に回転可能に取り付けられている。回転軸261の軸方向は、水平であり、搬送ローラ群により搬送される電極1の幅方向Wと平行である。
【0133】
リムーバーロール253、255、257、259は、支持板251に対し、回転可能に取り付けられている。リムーバーロール253、255、257、259は、回転軸261の下方に位置する。第1状態のとき、リムーバーロール253、255、257、259は、電極1に接する。第1状態のとき、リムーバーロール253、255、257、259は、電極1の長手方向に沿って並んでいる。リムーバーロール253、255、257、259の軸方向は、水平であり、搬送ローラ群により搬送される電極1の幅方向Wと平行である。リムーバーロール253、255、257、259は、第1実施形態におけるリムーバーロール177と同様の構成を備える。
【0134】
第2部249は、支持板265と、支持板267と、支持板269と、支持板271と、リムーバーロール273、275、277、279と、バネ281、283、285、287と、重り289と、を備える。リムーバーロール273、275、277、279は回収ロールに対応する。支持板265は板状部材である。支持板265の形状はL字形状である。支持板265は、上下方向に延びる本体部265Aと、横方向に延びるレバー部265Bとにより構成される。
【0135】
支持板265は、図示しない壁等に対し、回転軸291を中心に回転可能に取り付けられている。回転軸291は、本体部265Aの上端付近に位置する。回転軸291の軸方向は、水平であり、搬送ローラ群により搬送される電極1の幅方向Wと平行である。
【0136】
レバー部265Bに、重り289が取り付けられている。支持板265は、重り289により、A方向に回転するように付勢されている。A方向は、リムーバーロール273、275、277、279が電極1に接近する方向である。
【0137】
支持板267はU字形状の板状部材である。支持板267は、中央部267Aと、第1アーム部267Bと、第2アーム部267Cと、を備える。中央部267Aは上下方向に延びる。第1アーム部267Bは、中央部267Aの上端から、中央部267Aの長さの1/4だけ下がった位置を起点として電極1の方向に延びる。第2アーム部267Cは、中央部267Aの下端から、中央部267Aの長さの1/4だけ上がった位置を起点として電極1の方向に延びる。支持板267は、支持板265に対し、回転軸295を中心に回転可能に取り付けられている。回転軸295は、中央部267Aのうち、上下方向における中央に位置する。回転軸295の軸方向は、水平であり、搬送ローラ群により搬送される電極1の幅方向Wと平行である。
【0138】
支持板269は上下方向に延びる板状部材である。支持板269は、第1アーム部267Bに対し、回転軸297を中心に回転可能に取り付けられている。支持板271は上下方向に延びる板状部材である。支持板271は、第2アーム部267Cに対し、回転軸299を中心に回転可能に取り付けられている。回転軸297、299の軸方向は、水平であり、搬送ローラ群により搬送される電極1の幅方向Wと平行である。
【0139】
リムーバーロール273、275は、支持板269に対し、回転可能に取り付けられている。第1状態のとき、リムーバーロール273、275は電極1に接する。第1状態のとき、リムーバーロール273、275は、電極1の長手方向に沿って並んでいる。リムーバーロール273、275の軸方向は、水平であり、搬送ローラ群により搬送される電極1の幅方向Wと平行である。リムーバーロール273、275は、第1実施形態におけるリムーバーロール191と同様の構成を備える。
【0140】
リムーバーロール277、279は、支持板271に対し、回転可能に取り付けられている。第1状態のとき、リムーバーロール277、279は電極1に接する。第1状態のとき、リムーバーロール277、279は、電極1の長手方向に沿って並んでいる。リムーバーロール277、279の軸方向は、水平であり、搬送ローラ群により搬送される電極1の幅方向Wと平行である。リムーバーロール277、279は、第1実施形態におけるリムーバーロール191と同様の構成を備える。
【0141】
バネ281の一方の端部は支持板267に固定されている。バネ281の反対側の端部は、支持板269のうち、リムーバーロール273を支持する部分に接している。バネ281は、リムーバーロール273を、電極1の方向に付勢する。
【0142】
バネ283の一方の端部は支持板267に固定されている。バネ283の反対側の端部は、支持板269のうち、リムーバーロール275を支持する部分に接している。バネ283は、リムーバーロール275を、電極1の方向に付勢する。
【0143】
バネ285の一方の端部は支持板267に固定されている。バネ285の反対側の端部は、支持板271のうち、リムーバーロール277を支持する部分に接している。バネ285は、リムーバーロール277を、電極1の方向に付勢する。
【0144】
バネ287の一方の端部は支持板267に固定されている。バネ287の反対側の端部は、支持板271のうち、リムーバーロール279を支持する部分に接している。バネ287は、リムーバーロール279を、電極1の方向に付勢する。
【0145】
第1部247の下方に、液滴ガイド241が配置されている。液滴ガイド241は、第1部247から垂れてきた液をドープ槽17、19、21に戻す。第2部249の下方に、液滴ガイド243が配置されている。液滴ガイド243は、第2部249から垂れてきた液をドープ槽17、19、21に戻す。
【0146】
2.ドーピングシステム11が奏する効果
以上詳述した第5実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0147】
(5A)ドーピングシステム11は、電極1の長手方向に沿って並んでいるリムーバーロール253、255、257、259を備える。また、ドーピングシステム11は、電極1の長手方向に沿って並んでいるリムーバーロール273、275、277、279を備える。そのため、ドーピングシステム11は、ドープ槽17、19、21、電解液処理槽15、及び洗浄槽23から電極1が持ち出す液の量を一層抑制できる。
【0148】
(5B)リムーバーロール273、275は、支持板267に対し、回転軸297を中心に回転可能である。また、リムーバーロール277、279は、支持板267に対し、回転軸299を中心に回転可能である。さらに、支持板267は、支持板265に対し、回転軸295を中心に回転可能である。そのため、ドーピングシステム11では、リムーバーロール273、275、277、279が電極1に当接するときの圧力を調節し易い。
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0149】
(1)回収ユニット119は、リムーバーロール177、191を備えないものであってもよい。例えば、回収ユニット119は、ロール以外の部材を備え、その部材を電極1に押し当てるものであってもよい。また、回収ユニット119は、例えば、風を電極1に噴きつける、電極1を振動させる等の方法で、電極1から液を除去し、槽に戻してもよい。
【0150】
(2)リムーバーロール177、191を構成する材料は、弾性を有さない材料、ソリッドの材料であってもよい。ソリッドの材料とは、密実の材料、又は少孔質の材料を意味する。ソリッドの材料として、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等が挙げられる。
【0151】
(3)回転部173をX方向に付勢する方法は他の方法でもよい。例えば、バネの弾性力により、回転部173をX方向に付勢してもよい。
【0152】
(4)上記各実施形態において、電源と搬送ローラと各対極ユニットとの接続の態様は、搬送ローラ及び各対極ユニットが、それぞれのドープ槽ごとに異なる電源と接続する態様であったが、他の態様であっても良い。例えば、電極1の一方の面と対向する対極ユニットと、他方の面と対向する対極ユニットとを、別々の電源に接続する態様(以下では態様Aとする)であってもよい。態様Aの場合、電極1の各々の面ごとにドープされるアルカリ金属の量が均等になる。
【0153】
態様Aでは、ドープ槽17の上流槽131が備える対極ユニット137、143は、電源109の一方の極に接続される。対極ユニット139、141は電源110の一方の極に接続される。ドープ槽17の下流槽133が備える対極ユニット137、143は、電源109の他方の極に接続される。対極ユニット139、141は、電源110の他方の極に接続される。
【0154】
また、ドープ槽19の上流槽131が備える対極ユニット137、143は、電源111の一方の極に接続される。対極ユニット139、141は電源112の一方の極に接続される。ドープ槽17の下流槽133が備える対極ユニット137、143は、電源111の他方の極に接続される。対極ユニット139、141は、電源112の他方の極に接続される。
【0155】
また、ドープ槽21の上流槽131が備える対極ユニット137、143は、電源113の一方の極に接続される。対極ユニット139、141は電源114の一方の極に接続される。ドープ槽21の下流槽133が備える対極ユニット137、143は、電源113の他方の極に接続される。対極ユニット139、141は、電源114の他方の極に接続される。
【0156】
搬送ローラ群のうち、搬送ローラ37、41、43、47、49、53、55、59、61、65、67、71は、導電性の材料から成る。搬送ローラ群のうち、その他の搬送ローラは、軸受部分を除き、エラストマーから成る。
【0157】
電源109の一方の端子は、搬送ローラ37、41、43、47と接続する。また、電源109の他方の端子は、ドープ槽17の上流槽131及び下流槽133が備える対極ユニット137、143と接続する。電極1は搬送ローラ37、41、43、47と接触する。電極1と対極ユニット137、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽17の上流槽131及び下流槽133において、電極1と対極ユニット137、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0158】
電源110の一方の端子は、搬送ローラ37、41、43、47と接続する。また、電源110の他方の端子は、ドープ槽17の上流槽131及び下流槽133が備える対極ユニット139、141と接続する。電極1は搬送ローラ41、47と接触する。電極1と対極ユニット139、141とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽17の上流槽131及び下流槽133において、電極1と対極ユニット139、141とは電解液を介して電気的に接続する。
【0159】
態様Aでは、上記のとおり、電極1の片側の面が相対する対極ユニット137、143を電源109の一方の端子に、電極1のもう片側の面が相対する対極ユニット139、141を電源110の一方の端子にそれぞれ接続することで、電極1の表側へドープされるアルカリ金属の量と、電極1の裏側へドープされるアルカリ金属の量とが均等になるようにコントロールしている。
【0160】
電源111の一方の端子は、搬送ローラ49、43、55、59と接続する。また、電源111の他方の端子は、ドープ槽19の上流槽131及び下流槽133が備える対極ユニット137、143と接続する。電極1は搬送ローラ49、43、55、59と接触する。電極1と対極ユニット137、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽19の上流槽131及び下流槽133において、電極1と対極ユニット137、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0161】
電源112の一方の端子は、搬送ローラ49、43、55、59と接続する。また、電源112の他方の端子は、ドープ槽19の上流槽131及び下流槽133が備える対極ユニット137、143と接続する。電極1は搬送ローラ49、43、55、59と接触する。電極1と対極ユニット137、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽19の上流槽131及び下流槽133において、電極1と対極ユニット137、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0162】
態様Aでは、上記のとおり、電極1の片側の面が相対する対極ユニット137、143を電源111の一方の端子に、電極1のもう片側の面が相対する対極ユニット139、141を電源112の他方の端子にそれぞれ接続することで、電極1の表側へドープされるアルカリ金属の量と、電極1の裏側へドープされるアルカリ金属の量とが均等になるようにコントロールしている。
【0163】
電源113の一方の端子は、搬送ローラ61、65、67、71と接続する。また、電源113の他方の端子は、ドープ槽21の上流槽131及び下流槽133が備える対極ユニット137、143と接続する。電極1は搬送ローラ61、65、67、71と接触する。電極1と対極ユニット137、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽21の上流槽131及び下流槽133において、電極1と対極ユニット137、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0164】
電源114の一方の端子は、搬送ローラ61、65、67、71と接続する。また、電源114の他方の端子は、ドープ槽21が備える対極ユニット139、141と接続する。電極1は搬送ローラ61、65、67、71と接触する。電極1と対極ユニット139、141とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽21において、電極1と対極ユニット139、141とは電解液を介して電気的に接続する。
【0165】
態様Aでは、上記のとおり、電極1の片側の面が相対する対極ユニット137、143を電源113の一方の端子に、電極1のもう片側の面が相対する対極ユニット139、141を電源114の他方の端子にそれぞれ接続することで、電極1の表側へドープされるアルカリ金属の量と、電極1の裏側へドープされるアルカリ金属の量とが均等になるようにコントロールしている。
【0166】
(5)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0167】
(6)上述したドーピングシステムの他、当該ドーピングシステムを構成要素とするシステム、当該ドーピングシステムの制御装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、ドーピング方法、電極製造方法、電極製造方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
<実施例>
(各実施例及び比較例1で使用する電極1の製造)
長尺の帯状の集電体3を用意した。集電体3は負極集電体である。集電体3のサイズは、幅150mm、長さ100m、厚さ8μmであった。集電体3の表面粗さRaは0.1μmであった。集電体3は銅箔から成っていた。集電体3の両面に、それぞれ負極活物質層5を形成した。
【0168】
集電体3の片側に形成された負極活物質層5の塗工量は50g/mであった。負極活物質層5は、集電体3の長手方向に沿って形成された。負極活物質層5は、集電体3の幅方向Wにおける端部から幅130mmにわたって形成された。集電体3の幅方向Wにおけるもう一方の端部での負極活物質層未形成部は20mmであった。負極活物質層未形成部とは、負極活物質層5が形成されていない部分である。その後、乾燥、及びプレスを行うことにより、電極1を得た。
【0169】
負極活物質層5は、負極活物質、カルボキシメチルセルロース、アセチレンブラック、バインダ及び分散剤を、質量比で88:3:5:3:1の比率で含んでいた。負極活物質は、Si系活物質と黒鉛系活物質の混合物であった。負極活物質は、Si系活物質と、黒鉛系活物質とを、質量比で2:8の比率で含んでいた。アセチレンブラックは導電剤に対応する。
【0170】
図3に示すドーピングシステム11を用意し、電極1を通紙した。また、ドープ槽17、19、21にそれぞれ対極ユニット139、141、143を設置した。次に、ドープ槽17、19、21内に電解液を供給した。電解液は、1.0MのLiPFを含む溶液であった。電解液の溶媒は、EC(エチレンカーボネート)とEMC(エチルメチルカーボネート)とDMC(ジメチルカーボネート)とを、1:1:1の体積比で含む混合液であった。
【0171】
次に、ドーピングシステム11に通紙した電極1及び対極ユニット139、141、143を電流・電圧モニター付き直流電源に接続し、電極1を0.1m/minの速度で搬送しながら、5Aの電流を通電した。このとき、電極1が備える負極活物質層95の幅方向Wにおける中心と、対極ユニット51が備えるリチウム金属板の幅方向Wにおける中心とが一致していた。通電時間は、不可逆容量を考慮した上、負極活物質層5におけるリチウムドープ割合が負極の放電容量C2の15%になる時間とした。
【0172】
なお、不可逆容量は、リチウムをドープした後の電極1の放電容量を測定することにより予め見積もっておいた。この工程により、負極活物質層95中の負極活物質にリチウムがドープされ、電極1はプレドープされた負極となった。なお、電極1はリチウムイオン二次電池用負極である。
【0173】
電極1を、洗浄槽7を通過させた後、巻き取った。洗浄槽7には、25℃のDMC(ジメチルカーボネート)を収容しておいた。以上のようにして、プレドープされた電極1を製造した。
(実施例1)
上記のように製造した電極1を、再び、ドーピングシステム11に通紙した。また、ドープ槽17、19、21内に電解液を供給した。リムーバーロール177及びリムーバーロール191の材質はEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)とした。リムーバーロール177及びリムーバーロール191が電極1を加圧する圧力は、57.5 g/cmとした。
【0174】
3m/minの速度で30分間電極1を搬送した。電極1は、回収ユニット119を通過するとき、リムーバーロール177、191に挟まれた。ドープ槽17、19、21における電解液の減少量は323gであった。電解液の液減少量は、1mの電極1当たり、10.8g/mであった。
(実施例2)
基本的には実施例1と同様の操作を行った。ただし、リムーバーロール177及びリムーバーロール191が電極1を加圧する圧力を、139.2g/cmとした。ドープ槽17、19、21における電解液の減少量は209gであった。電解液の減少量は、1mの電極1当たり、7.0g/mであった。実施例2において、電解液の減少量が実施例1と比較して少なくなった理由は、リムーバーロール177及びリムーバーロール191が電極1を加圧する圧力を強めることで、リムーバーロール177及びリムーバーロール191と電極1の接触が改善され、ドープ槽17、19、21に一層多くの電解液が戻ったためであると考えられる。
(実施例3)
基本的には実施例1と同様の操作を行った。ただし、リムーバーロール177及びリムーバーロール191の材質を、オレフィン系スポンジとした。ドープ槽17、19、21における電解液の減少量は230gであった。電解液の減少量は、1mの電極1当たり、7.7g/mであった。実施例3において、電解液の減少量が実施例1と比較して少なくなった理由は、リムーバーロール177及びリムーバーロール191の材質をオレフィン系スポンジにすることで、リムーバーロール177及びリムーバーロール191が電極1を加圧する圧力が小さくても、リムーバーロール177及びリムーバーロール191と電極1との接触が改善され、ドープ槽17、19、21に一層多くの電解液が戻ったためであると考えられる。
【0175】
また、実施例3では、実施例2と比較して電解液の減少量は大きく変わらなかった。この理由は、実施例2及び実施例3の条件では、電極1内に含浸した電解液以外の、電極1の表面に付着した電解液のほとんどがリムーバーロール177及びリムーバーロール191によって搾り取られ、ドープ槽17、19、21に戻っているためであると考えられる。
(実施例4)
基本的には実施例3と同様の操作を行った。ただし、リムーバーロール177及びリムーバーロール191が電極1を加圧する圧力を、139.2g/cmとした。ドープ槽17、19、21における電解液の減少量は221gであった。電解液の減少量は、1mの電極1当たり、7.4g/mであった。
【0176】
上記結果から、リムーバーロール177及びリムーバーロール191の材質がオレフィン系スポンジの場合は、電極1を加圧する圧力を変えても電解液の減少量に大きな差は見られないことが分かった。この理由は、オレフィン系スポンジから成るリムーバーロール177及びリムーバーロール191は、電極1を加圧する圧力が小さくても、電極1の表面の電解液を十分取り除き、ドープ槽17、19、21に戻すためであると考えられる。
(比較例1)
基本的には実施例1と同様の操作を行った。ただし、リムーバーロール177及びリムーバーロール191を使用しなかった。ドープ槽17、19、21における電解液の減少量は840gであった。電解液の減少量は、1mの電極1当たり、28g/mであった。上記結果から、搬送速度3m/minにて、リムーバーロール177及びリムーバーロール191を使用しない状態では、実施例1と比較して、電解液の減少量が2倍以上大きくなることが分かった。
図1
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図11