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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】電子機器及び機器保持システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20230725BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20230725BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G06F1/16 312Z
G06F1/16 312G
G06F1/16 313A
H05K5/02 B
G09F9/00 351
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021090602
(22)【出願日】2021-05-28
(65)【公開番号】P2022182852
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000233778
【氏名又は名称】任天堂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100130269
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 盛規
(72)【発明者】
【氏名】宮武 惇一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 佑哉
(72)【発明者】
【氏名】西田 隆史
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-022177(JP,A)
【文献】特開2005-204005(JP,A)
【文献】特開2015-088899(JP,A)
【文献】特開2019-061687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16- 1/18
H05K 5/02
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングの前面側に設けられたディスプレイと、前記ハウジングの後面側に設けられたスタンドと、を備える電子機器であって、
前記ハウジングは、後壁と下壁との間に、前記後壁から下がるにつれて前方に延びる遷移壁を有し、前記遷移壁は窪み部と、該窪み部に連通して前記ハウジングの内部と外部とを連通させる通気孔とを有し、
前記スタンドは、該スタンドが前記ハウジングの後壁に近接した閉状態と、前記スタンドが前記ハウジングを載置面に対して角度のついた状態で支持することができるように前記スタンドの下端部が前記ハウジングの後壁から離間した開状態との間で移動することができるように、前記ハウジングに取り付けられ、
前記スタンドは、前記スタンドが閉状態にあるときに、前記スタンドの下端部が前記窪み部の一部を覆うように構成される、電子機器。
【請求項2】
前記スタンドは、前記スタンドが閉状態にあるときに前記ハウジングの後壁と対面して該後壁に沿って延びる内面と、前記スタンドが閉状態にあるときに前記ハウジングの後側を向く外面と、前記スタンドの内面と外面との間に形成されて該内面と該外面とを下方において連結する連結面とを有し、前記連結面は、前記スタンドが閉状態にあるときに前記ハウジングの前側を向くように形成される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記連結面は前記スタンドの外面に対して鋭角で延びる、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記遷移壁は、前記窪み部を画定する窪み画定壁を有し、該窪み画定壁は、前記窪み部の下側の側面を画定する下側面画定壁を有し、前記連結面は、前記スタンドが閉状態にあるときに、前記下側面画定壁とほぼ平行になるように形成される、請求項2又は3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記遷移壁には、前記スタンドが閉状態にあるときに前記スタンドによって覆われない領域に、前記遷移壁から外側に突出する突出部が設けられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記スタンドの下端部は、前記スタンドが閉状態にあるときに、下がるにつれて前方に延びるように湾曲している、請求項1~5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記スタンドの下端部は、前記スタンドが閉状態にあるときに、前記ハウジングの横幅方向において前記窪み部の全ての領域にて、前記窪み部の上側部分を覆うように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記窪み部は前記ハウジングの横幅方向に延び、
前記スタンドの下端部のうち前記スタンドが閉状態にあるときに前記窪み部を覆う領域では、前記スタンドの下縁が前記ハウジングの横幅方向に直線的に延びる、請求項1~7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記遷移壁は、前記窪み部を画定する窪み画定壁を有し、該窪み画定壁は、上下方向及び/又は前後方向に延び且つ前記ハウジングの横幅方向に並んで配置された複数のリブを有し、一部の隣り合うリブ同士の間には前記通気孔が形成されると共に、残りの隣り合うリブ同士の間は塞がれている、請求項1~8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記ハウジングの横幅方向において中央側に位置する前記リブ同士の間には前記通気孔が形成され、前記ハウジングの横幅方向において外側に位置する前記リブ同士の間は塞がれており、塞がれた部分の前方に位置する前記ハウジングの前壁の部分にはスピーカ孔が設けられる、請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記ハウジングは、当該電子機器を保持する機器保持装置に当該電子機器をその下面を下向きにして挿入するときに前記機器保持装置に設けられた突起部により案内されるガイド窪み部を有し、
前記ガイド窪み部は、前記後壁及び前記遷移壁に設けられて、前記ハウジングの後面から前方に向かって凹み且つ前記窪み部よりも上方まで延びるように形成され、
前記スタンドは、前記スタンドが閉状態にあるときに、前記ガイド窪み部を覆わないように切欠部を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項12】
前記ハウジングの横幅方向における前記切欠部の長さは、前記ハウジングの横幅方向における前記ガイド窪み部の長さよりも長い、請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
前記窪み部は、前記ハウジングの横幅方向において、前記ガイド窪み部の両側に設けられる、請求項11又は12に記載の電子機器。
【請求項14】
前記窪み部は、前記ハウジングの横幅方向において、前記ハウジングの半分以上に亘って延びる、請求項1~13のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項15】
前記スタンドは、前記ハウジングの横幅方向において、前記ハウジングの半分以上の長さを有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項16】
請求項11~13のいずれか1項に記載の電子機器と、該電子機器を保持する機器保持装置とを有する電子機器保持システムであって、
前記機器保持装置は、前記電子機器を下面を下向きにして前記機器保持装置に挿入したときに、前記電子機器に設けられたガイド窪み部を案内する突起部を有する、機器保持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器及び機器保持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像を表示する表示面を有するディスプレイと、ディスプレイを収容する筐体と、筐体を支持するスタンドとを有する電子機器が知られている(例えば、特許文献1)。特に、特許文献1に記載の電子機器では、一つのスタンドの一端がヒンジにより回動可能に筐体に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-216776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電子機器では、スタンドの構成に改良の余地があった。
【0005】
上記課題に鑑みて、本開示の目的は、改良された構造を有するスタンドを備えた電子機器等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0007】
(1)ハウジングと、前記ハウジングの前面側に設けられたディスプレイと、前記ハウジングの後面側に設けられたスタンドと、を備える電子機器であって、
前記ハウジングは、後壁と下壁との間に、前記後壁から下がるにつれて前方に延びる遷移壁を有し、前記遷移壁は窪み部と、該窪み部に連通して前記ハウジングの内部と外部とを連通させる通気孔とを有し、
前記スタンドは、該スタンドが前記ハウジングの後壁に近接した閉状態と、前記スタンドが前記ハウジングを載置面に対して角度のついた状態で支持することができるように前記スタンドの下端部が前記ハウジングの後壁から離間した開状態との間で移動することができるように、前記ハウジングに取り付けられ、
前記スタンドは、前記スタンドが閉状態にあるときに、前記スタンドの下端部が前記窪み部の一部を覆うように構成される、電子機器。
(2)前記スタンドは、前記スタンドが閉状態にあるときに前記ハウジングの後壁と対面して該後壁に沿って延びる内面と、前記スタンドが閉状態にあるときに前記ハウジングの後側を向く外面と、前記スタンドの内面と外面との間に形成されて該内面と該外面とを下方において連結する連結面とを有し、前記連結面は、前記スタンドが閉状態にあるときに前記ハウジングの前側を向くように形成される、上記(1)に記載の電子機器。
(3)前記連結面は前記スタンドの外面に対して鋭角で延びる、上記(2)に記載の電子機器。
(4)前記遷移壁は、前記窪み部を画定する窪み画定壁を有し、該窪み画定壁は、前記窪み部の下側の側面を画定する下側面画定壁を有し、前記連結面は、前記スタンドが閉状態にあるときに、前記下側面画定壁とほぼ平行になるように形成される、上記(2)又は(3)に記載の電子機器。
(5)前記遷移壁には、前記スタンドが閉状態にあるときに前記スタンドによって覆われない領域に、前記遷移壁から外側に突出する突出部が設けられる、上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の電子機器。
(6)前記スタンドの下端部は、前記スタンドが閉状態にあるときに、下がるにつれて前方に延びるように湾曲している、上記(1)~(5)のいずれか一つに記載の電子機器。
(7)前記スタンドの下端部は、前記スタンドが閉状態にあるときに、前記ハウジングの横幅方向において前記窪み部の全ての領域にて、前記窪み部の上側部分を覆うように構成される、上記(1)~(6)のいずれか一つに記載の電子機器。
(8)前記窪み部は前記ハウジングの横幅方向に延び、
前記スタンドの下端部のうち前記スタンドが閉状態にあるときに前記窪み部を覆う領域では、前記スタンドの下縁が前記ハウジングの横幅方向に直線的に延びる、上記(1)~(7)のいずれか一つに記載の電子機器。
(9)前記遷移壁は、前記窪み部を画定する窪み画定壁を有し、該窪み画定壁は、上下方向及び/又は前後方向に延び且つ前記ハウジングの横幅方向に並んで配置された複数のリブを有し、一部の隣り合うリブ同士の間には前記通気孔が形成されると共に、残りの隣り合うリブ同士の間は塞がれている、上記(1)~(8)のいずれか一つに記載の電子機器。
(10)前記ハウジングの横幅方向において中央側に位置する前記リブ同士の間には前記通気孔が形成され、前記ハウジングの横幅方向において外側に位置する前記リブ同士の間は塞がれており、塞がれた部分の前方に位置する前記ハウジングの前壁の部分にはスピーカ孔が設けられる、上記(9)に記載の電子機器。
(11)前記ハウジングは、当該電子機器を保持する機器保持装置に当該電子機器をその下面を下向きにして挿入するときに前記機器保持装置に設けられた突起部により案内されるガイド窪み部を有し、
前記ガイド窪み部は、前記後壁及び前記遷移壁に設けられて、前記ハウジングの後面から前方に向かって凹み且つ前記窪み部よりも上方まで延びるように形成され、
前記スタンドは、前記スタンドが閉状態にあるときに、前記ガイド窪み部を覆わないように切欠部を有する、上記(1)~(10)のいずれか一つに記載の電子機器。
(12)前記ハウジングの横幅方向における前記切欠部の長さは、前記ハウジングの横幅方向における前記ガイド窪み部の長さよりも長い、上記(11)に記載の電子機器。
(13)前記窪み部は、前記ハウジングの横幅方向において、前記ガイド窪み部の両側に設けられる、上記(11)又は(12)に記載の電子機器。
(14)前記窪み部は、前記ハウジングの横幅方向において、前記ハウジングの半分以上に亘って延びる、上記(1)~(13)のいずれか一つに記載の電子機器。
(15)前記スタンドは、前記ハウジングの横幅方向において、前記ハウジングの半分以上の長さを有する、上記(1)~(14)のいずれか一つに記載の電子機器。
(16)上記(11)~(13)のいずれか一つに記載の電子機器と、該電子機器を保持する機器保持装置とを有する電子機器保持システムであって、
前記機器保持装置は、前記電子機器を下面を下向きにして前記機器保持装置に挿入したときに、前記電子機器に設けられたガイド窪み部を案内する突起部を有する、機器保持システム。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、改良された構造を有するスタンドを備えた電子機器等が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、電子機器を後下方から見た斜視図である。
図2図2は、電子機器の正面図である。
図3図3は、スタンドが閉状態にある場合の、電子機器の背面図である。
図4図4は、スタンドが最も開かれた状態にある場合の、電子機器の背面図である。
図5図5は、スタンドが閉状態にある場合の、電子機器の底面図である。
図6図6は、スタンドが最も開かれた状態にある場合の、電子機器の底面図である。
図7図7は、スタンドが閉状態にある場合の、電子機器の側面図である。
図8図8は、スタンドが最も開かれた状態にある場合の、電子機器の側面図である。
図9図9は、スタンドが閉状態にある場合の、電子機器を後下方から見た拡大斜視図である。
図10図10は、スタンドが開いた状態にある場合の、電子機器を後下方から見た拡大斜視図である。
図11図11は、スタンドが開いた状態にあり且つメッシュ部材が取り外された状態にある場合の、電子機器を後下方から見た拡大斜視図である。
図12図12は、図1図3及び図9における、線XII-XIIに沿った断面図である。
図13図13は、内側部材の斜視図である。
図14図14は、電子機器及び機器保持装置の前面を、斜め上方から見た斜視図である。
図15図15は、機器保持装置の平面図である。
図16図16は、機器保持装置の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0011】
<電子機器の全体構成>
図1図8を参照して、一つの実施形態に係る電子機器1の全体構成について説明する。電子機器1は、ディスプレイを備えた略直方体状の機器であり、例えばポータブルゲーム機、タブレット、モバイルモニタなどである。特に、本実施形態では、電子機器1は、床面や卓上面などの載置面上に載置して用いられる持ち運び可能な機器である。
【0012】
図1は、電子機器1を後下方から見た斜視図であり、図2は電子機器1の正面図である。図3及び図4は電子機器1の背面図であり、図5及び図6は電子機器1の底面図であり、図7及び図8は電子機器1を左側から見た側面図である。図3図5及び図7は、後述するスタンドが閉じられた閉状態にある場合、図4図6及び図8は、スタンドが最も開かれた状態にある場合をそれぞれ示している。
【0013】
主に図1図3に示したように、電子機器1は、略直方体状のハウジング10と、ハウジング10の一つの側面側に設けられたディスプレイ40と、ディスプレイ40が設けられた側面とは反対側のハウジング10の側面側に設けられたスタンド50とを有する。
【0014】
本明細書では、ハウジング10に対してディスプレイ40が設けられた方向を前方、ハウジング10に対してスタンド50が設けられた方向を後方と称する。したがって、ディスプレイ40はハウジング10の前面に設けられ、スタンド50はハウジング10の後面に設けられる。また、通常の向きで載置面に対して垂直に電子機器1を立てて置いたときに電子機器1を後方から見て、上方向、下方向、左方向、右方向をそれぞれ電子機器1及びその構成部品の上方、下方、左方、右方と称し、また、電子機器1の左右方向を横幅方向とも称する。
【0015】
≪ハウジングの構成≫
主に図1図3に示したように、ハウジング10は、ハウジング10の前方側に設けられた前壁11、ハウジング10の後方側に設けられた後壁12、並びにこれら前壁11と後壁12との間に設けられた上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16を有する。特に、上壁13はハウジング10の上側に、下壁14はハウジング10の下側に、左壁15はハウジング10の左側に、右壁16はハウジング10の右側にそれぞれ設けられる。本実施形態では、これら上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16は、前壁11及び後壁12に対して垂直に延びる。なお、垂直に延びることは、壁同士が厳密に垂直に延びることのみならず、実質的に垂直に延びることを含む。また、本実施形態では、前壁11及び後壁12は平坦に形成される。加えて、本実施形態では、上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16も平坦に形成される。なお、平坦であるとは全体が厳密に平坦であることに限らず、実質的に平坦であることを含む。
【0016】
また、主に図2図7及び図8に示したように、ハウジング10は、前壁11と上壁13の間に一定の曲率で湾曲した前上遷移壁17を有し、前壁11と下壁14との間に一定の曲率で湾曲した前下遷移壁18を有する。加えて、主に図1図3図7及び図8に示したように、ハウジング10は、後壁12と上壁13の間に一定の曲率で湾曲した後上遷移壁19を有し、後壁12と下壁14との間に一定の曲率で湾曲した後下遷移壁20を有する。特に、本実施形態では、前上遷移壁17の曲率と前下遷移壁18の曲率とはほぼ同一であり、後上遷移壁19の曲率と後下遷移壁20の曲率とはほぼ同一である。また、後上遷移壁19及び後下遷移壁20の曲率は、前上遷移壁17及び前下遷移壁18の曲率よりも小さい。
【0017】
なお、本実施形態では、遷移壁17~20は湾曲している。しかしながら、前上遷移壁17及び前下遷移壁18は、前壁11から上がるにつれて後側に延びていれば如何なる形状であってもよい。同様に、後上遷移壁19及び後下遷移壁20は、後壁12から下がるにつれて前方に延びていれば如何なる形状であってもよい。したがって、例えば、後下遷移壁20は、後壁12及び下壁14に対して一定角度(例えば、45°)で傾斜した壁であってもよいし、後壁12に対して所定距離だけ前方側にずれた後壁12と平行な壁であってもよい。
【0018】
また、本実施形態では、前壁11と上壁13及び下壁14との間、及び後壁12と上壁13及び下壁14との間に遷移壁が設けられている。しかしながら、少なくとも後壁12と下壁14との間に後下遷移壁20が設けられていれば、他の部分に遷移壁が設けられなくてもよい。この場合、例えば、前壁11と上壁13及び下壁14とは直角の角部を形成するように直接連結される。また、本実施形態では、前壁11と左壁15及び右壁16との間、及び後壁12と左壁15及び右壁16との間には遷移壁が設けられていないが、これらの間に遷移壁が設けられてもよい。
【0019】
≪ハウジングの前壁及びディスプレイ≫
図2に示したように、前壁11には、ディスプレイ40が配置される。本実施形態では、ディスプレイ40は、前壁11のほぼ全面に亘って設けられ、平坦な表面を有する。ディスプレイ40は、電子機器1内に設けられた映像制御装置(図示せず)から出力される信号に従って、静止画や動画を表示する機器である。ディスプレイ40は、例えば、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイである。ディスプレイ40は、その表面上に、入力装置として機能するタッチパネルを備えてもよい。
【0020】
また、図2及び図5に示したように、前下遷移壁18には、前下遷移壁18を貫通するスピーカ孔21が設けられる。したがって、スピーカ孔21は、ディスプレイ40の下方においてハウジング10に設けられる。本実施形態では、前下遷移壁18には、左右に1つずつ合計2つのスピーカ孔21が設けられ、左側のスピーカ孔21は左壁15に近接して配置され、右側のスピーカ孔21は右壁16に近接して配置される。
【0021】
スピーカ孔21が設けられた領域の後方に位置するハウジング10の内部には、スピーカ孔21以外が閉じられたスピーカ空間(図示せず)が形成される。また、この領域のハウジング10の内部にはスピーカ(図示せず)がスピーカ空間に曝されるように設けられる。したがって、スピーカ孔21は、このスピーカで発生した音をハウジング10の外部に出すために用いられる。
【0022】
なお、本実施形態では、スピーカ孔21は、前下遷移壁18に設けられているが、前壁11に設けられてもよい。この場合、スピーカ孔21は、例えば、ディスプレイ40の下方又は側方に配置される。また、この場合であっても、スピーカ孔21は、左右に1つずつ左壁15又は右壁16に近接して配置されてもよい。
【0023】
≪ハウジングの側壁≫
上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16を含む側壁には、例えば、操作ボタンなどの入力部材(図示せず)が設けられ得る。加えて、本実施形態では、電子機器1は、コントローラなどの別体の操作入力機器と通信することができるように構成されてもよい。この場合、別体の操作入力機器は、ハウジング10の左壁15及び右壁16に取り付けることができるように形成されてもよく、ハウジング10の左壁15及び右壁16には操作入力装置を取り付けるための取付具(例えば、レール)が設けられてもよい。
【0024】
加えて、上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16を含む側壁には、メモリカードなどの記憶媒体を挿入するスロット、他の機器(例えば、ヘッドホン、マイク、他のディスプレイなど)と接続するための雄型コネクタが挿入される雌型コネクタ(ポート、レセプタクル)などが設けられ得る。コネクタは、USB等の一般的な規格に準拠した形態のコネクタであってもよいし、独自の規格に基づいた形態のコネクタであってもよい。
【0025】
本実施形態では、主に図1図5及び図6に示したように、下壁14は、横幅方向のほぼ中央に、雌型コネクタ45を有する。加えて、本実施形態では、下壁14は、雌型コネクタ45の左右両側に、雌型コネクタ45から離間して、位置決め用の溝部46を有する。位置決め用の溝部46は、円錐状又は切頭円錐状に形成され、後述する機器保持装置100に電子機器1を載置するときに、機器保持装置100に対して電子機器1を位置決めするのに用いられる。
【0026】
≪ハウジングの後壁及びスタンド≫
主に図1図3及び図4に示したように、後壁12上にはスタンド50が設けられる。スタンド50は、ハウジング10を載置面に対して角度のついた状態で支持するために用いられる。本明細書では、スタンド50の向きについては、スタンド50が後述する閉状態にあるとき(図1に示した状態にあるとき)を基準に説明する。したがって、スタンド50が図1に示した閉状態にあるときに、後壁12の下方に位置する後下遷移壁20上に重なる領域をスタンド50の下端部51と称する。
【0027】
スタンド50は、主に図1図3及び8に示したように、ほぼ平坦な1つの板状に形成される。スタンド50の上下方向の長さ(スタンド50が後述する閉状態にあるときの、ハウジング10の上下方向におけるスタンド50の長さ)は、ハウジング10の上下方向の長さの3~9割の長さとされてもよく、4~7割の長さとされてもよい。なお、本実施形態ではハウジング10の上下方向の長さの半分(5割)の長さである。また、スタンド50の横幅方向の長さは、ハウジング10の横幅方向の長さの半分以上とされてもよく、7割以上とされてもよい。本実施形態ではハウジングの横幅方向の長さの9割程度である。スタンド50は、ハウジング10の横幅方向中央に対して左右両側に位置するように配置され、本実施形態では、ハウジング10の横幅方向の中央平面に対して対称になるように配置される。
【0028】
図4図6及び図8に示したように、スタンド50は、ヒンジ部材60によってハウジング10に取り付けられる。本実施形態では、ヒンジ部材60は、スタンド50の上端付近において横幅方向に延びる揺動軸線X(図4)を中心に、スタンド50が揺動することができるようにスタンド50をハウジング10に取り付ける。図4に示したように、本実施形態では、電子機器1には2つのヒンジ部材60が設けられる。一方のヒンジ部材60は、スタンド50の左端上方においてスタンド50の前面に固定されると共に、ハウジング10の上下方向中央の左側においてハウジング10の後壁12に固定される。他方のヒンジ部材60は、スタンド50の右端上方においてスタンド50の前面に固定されると共に、ハウジング10の上下方向中央の右側においてハウジング10の後壁12に固定される。なお、図4では、スタンド50が開いて閉状態に対してスタンド50の上下が逆になっているため、スタンド50の下側がヒンジ部材60に固定されているように描かれている。
【0029】
スタンド50は、ヒンジ部材60により、スタンド50がハウジング10の後壁に近接した閉状態と、スタンド50がハウジング10を載置面に対して角度のついた状態で支持することができるようにスタンド50の下端部51がハウジング10の後壁から離間した開状態との間で揺動する。
【0030】
図1図3図5及び図7は、スタンド50が閉状態にあるときの、電子機器1を示している。これら図面からわかるように、スタンド50は、閉状態にあるときには、スタンド50の後面が、スタンド50に覆われていない領域のハウジング10の後壁12の後面と面一になるように位置する。スタンド50が閉状態にあるときには、スタンド50の前面は少なくとも部分的にハウジング10の後壁12または後下遷移壁20と接触しており、スタンド50はそれ以上前方側に揺動することができない。
【0031】
図4図6及び図8は、スタンド50が開状態、特に最も開かれた状態にあるときの、電子機器1を示している。これら図面からわかるように、スタンド50は、開状態では、閉状態に対して、揺動軸線Xを中心に任意の角度α(図8)だけ揺動されている。本実施形態では、スタンド50は、図8に示したように、最も開かれた状態において、閉状態に対して約150°(最大角度)揺動されている。また、本実施形態では、ヒンジ部材60は、最大角度までの任意の揺動角度でスタンド50を固定することができるヒンジ、例えばトルクヒンジである。ただし、ヒンジ部材60は、揺動角度が例えば30°程度の小さい所定角度以下であるときは、スタンド50が自律的に閉状態に戻るように構成されてもよい。
【0032】
なお、本実施形態では、電子機器1には、1つの板状のスタンド50のみが設けられている。しかしながら、電子機器1は、横幅方向に分割された複数のスタンド50を有してもよい。ただし、この場合であっても、スタンド50は、複数のスタンド50全ての合計の横幅方向の長さは、ハウジング10の横幅方向の長さの半分以上、或いは7割以上になるように形成される。
【0033】
また、スタンド50は、スタンド50がハウジング10の後壁に近接した閉状態と、スタンド50がハウジング10を載置面に対して角度のついた状態で支持することができるようにスタンド50の下端部がハウジング10の後壁から離間した開状態との間で移動することができれば、如何なる態様でハウジング10に取り付けられてもよい。したがって、例えば、スタンド50は、ハウジング10の左壁15及び右壁16に固定されたヒンジ部材により、左壁15及び右壁16に取り付けられてもよい。また、図示した実施形態では、2つのヒンジ部材60は左右で同一の揺動軸線を中心にスタンド50を揺動させていたが、2つのヒンジ部材60は左右で上下方向などにずれた揺動軸線を中心にスタンド50を揺動させてもよい。また、固定された揺動軸線をもたなくてもよい。また、ヒンジ部材60の代わりに、スタンド50を前後方向に平行移動させる移動機構が設けられてもよい。
【0034】
また、主に図4に示したように、ハウジング10の後壁12には凹部22が設けられる。凹部22は、横幅方向及び上下方向において、スタンド50とほぼ同じ大きさを有する。本実施形態では、凹部22の横幅方向の長さは、スタンド50の横幅方向の長さよりも僅かに大きい。一方、本実施形態では、凹部22の上下方向の長さは、スタンド50の上下方向の長さよりも小さく、また凹部22は後壁12の下縁まで延びる。また、ハウジング10の前後方向における凹部22の深さは、スタンド50の厚さとほぼ同一であると共に、スタンド50の厚さよりも僅かに大きい。
【0035】
加えて、凹部22は、凹部22の他の領域よりも深さ22が深く形成されたヒンジ収容部23を有する。ヒンジ収容部23は、スタンド50が閉状態にあるときに、ヒンジ部材60と対向する位置に配置される。そして、ヒンジ収容部23は、スタンド50が閉状態にあるときに、ヒンジ部材60を収容する。
【0036】
本実施形態では、スタンド50が閉状態にあるときには、スタンド50は凹部22内に嵌まるように位置する。特に、本実施形態では、スタンド50は、スタンド50が閉状態にあるときに、ハウジング10の後壁12の凹部22以外の後面と、スタンド50の後面とがほぼ面一になるように配置される。ただし、上述したように、凹部22の上下方向の長さがスタンド50の上下方向の長さよりも小さく、且つ凹部22が後壁12の下縁まで延びていることから、スタンド50が閉状態にあるときには、スタンド50の下端部51は後壁12よりも下方まで延びて後下遷移壁20上に位置することになる。
【0037】
≪後下遷移壁の構成≫
次に、図9図13も参照して、後下遷移壁20の構成及びスタンド50の下端部51の構成について説明する。図9図11は、電子機器1を後下方から見た拡大斜視図である。図9はスタンド50が閉状態にあり、図10及び図11はスタンド50が開いていて凹部22上にない状態を示している。さらに、図10はメッシュ部材が取り付けられた状態、図11はメッシュ部材が取り外された状態を示している。また、図12は、図1図3及び図9における、線XII-XIIに沿った断面図である。加えて、図13は、内側部材26の斜視図である。
【0038】
図9及び図10に示したように、後下遷移壁20は、窪み部30と、突出部37とを有する。窪み部30は、横幅方向において窪み部30の横幅方向における外側よりもハウジング10の内側に向かって凹んでいる部分である。本実施例においては、窪み部30は横幅方向において後下遷移壁20の窪み部30以外の部分よりもハウジング10の内側に向かって凹んでいる部分である。また、突出部37は、後下遷移壁20の突出部37以外の部分よりもハウジング10の外側に向かって突出している部分である。また、窪み部30の底面画定壁31b(後述)上にはメッシュ部材35が配置される。
【0039】
窪み部30は、本実施形態では、図1図3図6に示したように、ハウジング10の横幅方向の中央に対して両側に1つずつ設けられ、よって後下遷移壁20には合計して2つの窪み部30が設けられる。各窪み部30は、ハウジング10の横幅方向に延びる。また、2つの窪み部30は、後下遷移壁20上の同一の横幅方向に延びる直線上に位置し、特に本実施形態では互いに横幅方向に位置する。
【0040】
左側の窪み部30の横幅方向の長さは、後下遷移壁20の左半分の横幅方向の長さの半分以上9割以下であってもよく、6割以上8割以下であってもよい。本実施形態では7割程度である。同様に、右側の窪み部30の横幅方向の長さは、後下遷移壁20の右半分の横幅方向の長さの半分以上9割以下であってもよく、6割以上8割以下であってもよい。本実施形態では7割程度である。したがって、窪み部30全体は、横幅方向において、ハウジング10の半分以上9割以下であってもよく、6割以上8割以下であってもよく、7割程度であってもよい。本実施形態では、左側の窪み部30の横幅方向の長さは、右側の窪み部30の横幅方向の長さと同一である。
【0041】
また、窪み部30は、湾曲した後下遷移壁20の周方向(すなわち、後下遷移壁20の上下方向及び前後方向において後下遷移壁20の表面に沿った方向)において、後下遷移壁20のほぼ中央に設けられる。本実施形態では、左側の窪み部30と右側の窪み部30とは後下遷移壁20の周方向において同一の位置に設けられると共に同一の長さを有する。特に、本実施形態では、2つの窪み部30は、ハウジング10の横幅方向の中央平面に対して対称になるように形成される。
【0042】
図9図12に示したように、窪み部30は、後下遷移壁20に設けられた窪み画定壁31によって画定される。窪み画定壁31は、窪み部30の側面を画定する側面画定壁31aと、窪み部30の底面を画定する底面画定壁31bとを有する。側面画定壁31aは、底面画定壁31bの周りに設けられ、底面画定壁31bの下方に設けられた下側面画定壁31cと、底面画定壁31bの左右(横幅方向両側)に設けられた横側面画定壁31dとを有する。側面画定壁31aは、後下遷移壁20の窪み部30以外の部分と底面画定壁31bとの間に延びる。
【0043】
窪み部30は、後下遷移壁20の周方向において、人の指先が入るような長さに亘って延びる。したがって、窪み部30の下側面画定壁31cと窪み部30の上縁との間の長さは、例えば2~10mm、または3~7mmである。
【0044】
図11及び図12に示したように、底面画定壁31bには、複数の通気孔32が設けられる。通気孔32は、窪み部30と連通すると共にハウジング10の内部と外部とを連通させる。通気孔32は、ハウジング10内の電子部品を冷却すべくハウジング10内に空気を取り込むため、またはハウジング10内の電子部品によって加熱された空気をハウジング10から外へ放出するために用いられる。なお、図9及び図10は、底面画定壁31b上にメッシュ部材35が取り付けられた状態を示しているため、図9及び図10では底面画定壁31b及び通気孔32が現れていない。
【0045】
図11に示したように、本実施形態では、各窪み部30の底面画定壁31bは、後下遷移壁20の周方向に延びる複数のリブ33を有する。リブ33は、横幅方向に並んで配置される。そして、一部の隣り合うリブ33同士の間に通気孔32が形成され、残りの隣り合うリブ同士の間は塞がれている。
【0046】
本実施形態では、各窪み部30に8つのリブ33が横幅方向に等間隔で配置される。このうちハウジング10の横幅方向において中央側に位置する6つのリブ33については、リブ33同士の間に通気孔32が形成される。一方、ハウジング10の横幅方向において外側(左壁15又は右壁16側)に位置する3つのリブ33については、リブ33同士の間は塞がれ、よってこれらリブ33同士の間には通気孔32は形成されない。特に、本実施形態では、このようにしてリブ33同士の間が塞がれた部分の前方には、閉じたスピーカ空間が設けられ、そのスピーカ空間の前方にはスピーカ孔21が配置される。したがって、リブ33同士の間が塞がれた部分は、ハウジング10の前下遷移壁18のスピーカ孔21が設けられた部分の後方に位置する。
【0047】
なお、本実施形態では、リブ33は、後下遷移壁20の周方向(前後方向及び上下方向)に延びると共に横幅方向に等間隔で配置される。しかしながら、リブ33は、窪み部30の底面を画定することができ且つ間に通気孔が形成されていれば、如何なる形状であってよい。したがって、リブ33は、例えば、周方向に対して傾斜して(上下方向又は前後方向に対して角度を持って)延びるように配置されてもよいし、互いに異なる間隔で配置されてもよい。或いは、リブ33は、格子状に形成されてもよい。また、リブ33は、窪み部30の形状によっては、上下方向に延びるように形成されてもよいし、前後方向に延びるように形成されてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、底面画定壁31bに通気孔32が設けられている。しかしながら、通気孔は、底面画定壁31b以外に設けられてもよい。したがって、通気孔は、底面画定壁31bではなく、又は底面画定壁31bに加えて、側面画定壁31aに設けられてもよい。
【0049】
さらに、本実施形態では、窪み画定壁31は、側面画定壁31a及び底面画定壁31bを有しているが、底面画定壁31bを有さなくてもよい。この場合には、窪み画定壁31は、側面画定壁31aのみを有し、底面画定壁31bの代わりに通気孔が設けられる。いずれにせよ、窪み部30が通気孔に連通していれば、窪み画定壁31及び通気孔は如何なる態様で形成されていてもよい。
【0050】
図9図10及び図12に示したように、底面画定壁31b上には、底面画定壁31bを覆うようにメッシュ部材35が配置される。メッシュ部材35は、後下遷移壁20に形成された通気孔よりも目が細かい網目状の部材であり、例えば、樹脂製の繊維など織物又は不織布として形成される。メッシュ部材35は、通気孔32を通って異物がハウジング10内に侵入することを抑制する。なお、メッシュ部材35は設けられなくてもよい。
【0051】
突出部37は、本実施形態では、図1図3図8に示したように、ハウジング10の横幅方向の中央に対して両側に1つずつ設けられ、よって後下遷移壁20には合計して2つの突出部37が設けられる。突出部37は、スタンド50が閉状態であるときにも露出するように、スタンド50が閉状態にあるときにスタンド50によって覆われない領域に設けられる。突出部37は、スタンド50を用いてハウジング10が載置面に対して角度のついた状態で支持されたときに載置面と接するように、後下遷移壁20の表面から円弧状に突出している。本実施形態では、ゴムなどの弾性体で形成される。
【0052】
なお、本実施形態では、後下遷移壁20は、図12及び図13に示したように、外側部材25、内側部材26、メッシュ部材35及び後壁部材28によって形成される。外側部材25は、後下遷移壁20の外面の多くの部分を形成する部材であり、また、窪み部30の側面画定壁31aの一部(左側面画定壁、右側面画定壁及び下側面画定壁)を形成する。内側部材26は、外側部材25よりもハウジング10の内側に配置された部材であり、底面画定壁31bを画成する。したがって、内側部材26は、図13に示したように、リブ33及び通気孔32を有する。また、後壁部材28は、後壁12を形成する部材であり、窪み部の側面画定壁31aの一部(上側面画定壁)を形成する。
【0053】
また、ハウジング10の後壁12及び後下遷移壁20は、図4図6及び図9に示したように、ガイド窪み部39を有する。ガイド窪み部39は、後述する機器保持装置100に電子機器1を載置するときに機器保持装置100に対して電子機器1を案内するのに用いられる。
【0054】
ガイド窪み部39は、後壁12のガイド窪み部39以外の部分よりも前方に向かって凹んでいる部分であり、後下遷移壁20を通って下方に開いている。また、ガイド窪み部39は、窪み部30よりも上方まで延びるように形成される。ガイド窪み部39は、後述する、機器保持装置100のガイド突起部131と相補的な形状を有すると共に、ガイド突起部131よりも僅かに大きく形成される。
【0055】
ガイド窪み部39は、本実施形態では、主に図1及び図4に示したように、ハウジング10の横幅方向においてほぼ中央に一つ設けられる。したがって、窪み部30は、ハウジングの横幅方向において、ガイド窪み部39の両側に設けられる。
【0056】
≪スタンドの下端部の構成≫
本実施形態では、スタンド50は、図12に示したように、スタンド50が閉状態にあるときにハウジング10の後壁12と対面してこの後壁12に沿って延びる内面50aと、スタンド50が閉状態にあるときにハウジング10の後側を向く外面50bと、内面50aと外面50bとの間に形成された連結面50cとを有する。
【0057】
図12からわかるように連結面50cは、ハウジング10の前側を向くように形成される。特に、本実施形態では、連結面50cは、外面50bに対して鋭角で延びるように形成される。スタンド50の外面50bと連結面50cとの境界はスタンド50の下縁を形成する。スタンド50の下端部51がこのように形成されることによって、閉状態にあるスタンド50をユーザが開くときに、ユーザがスタンド50の連結面50cに指先をかけ易くなる。
【0058】
また、連結面50cは、スタンド50が閉状態にあるときに、後下遷移壁20に設けられた下側面画定壁31cとほぼ平行になるように形成される。具体的には、連結面50cは、スタンド50が閉状態にあるときに、下側面画定壁31cに対して15°以下、10°以下、又は5°以下になるように形成される。
【0059】
また、図12に示したように、スタンド50の下端部51は、スタンド50が閉状態にあるときに、後下遷移壁20の一部を覆う。本実施形態では、スタンド50の下端部51は、スタンド50が閉状態にあるときに、後方から見ると後下遷移壁20と部分的に重なる。本実施形態では、スタンド50の下端部51は、スタンド50が閉状態にあるときに下がるにつれて前方へ延びるように、特に本実施形態では後下遷移壁20の湾曲に沿うように、湾曲している。下端部51がこのように湾曲することにより、連結面50cをハウジング10の前側を向くように形成しても、連結面50cがそれほど急な鋭角に形成されることはなく、よってスタンド50の下端部51に厚みのない部分が形成されにくくなる。また、スタンド50(特に、スタンド50の下端部51)は後下遷移壁20の一部のみを覆うため、後下遷移壁20にはスタンド50に覆われない領域が存在する。
【0060】
加えて、本実施形態では、図12に示したように、スタンド50が閉状態にあるときに、スタンド50の内面50aの下縁が、窪み部30の上側の側面画定壁31a上に位置する。したがって、スタンド50の連結面50cが窪み部30の一部を覆う。特に、本実施形態では、横幅方向において窪み部30の全ての領域にて、スタンド50の連結面50cが窪み部30の上側部分を覆う。
【0061】
また、主に図1図3及び図9に示したように、スタンド50の下端部51には、横幅方向の中央において、スタンド50の下縁から上方に延びる切欠部52が設けられる。切欠部52は、スタンド50が閉状態にあるときに、ガイド窪み部39と前後方向において重なるように設けられる。したがって、スタンド50は、閉状態にあるときに、ガイド窪み部39を覆わないように形成される。特に、本実施形態では、切欠部52の横幅方向の長さは、ガイド窪み部39の横幅方向の長さよりも長い。したがって、スタンド50が閉状態にあるときに、後方から前方に向かって、切欠部52からガイド窪み部39へと段階的に横幅が狭まることになる。
【0062】
なお、本実施形態では、切欠部52は、その上下方向の全長に亘って、その横幅方向の長さが、ガイド窪み部39の横幅方向の長さよりも長い。しかしながら、切欠部52は、その上下方向の一部の領域のみにおいて、その横幅方向の長さが、ガイド窪み部39の横幅方向の長さよりも長くてもよい。また、この一部の領域は、切欠部52の上下方向の上側の領域であってもよいし、下側の領域であってもよい。
【0063】
スタンド50の下縁は、切欠部52を除いて、横幅方向に直線的に延びる。したがって、本実施形態では、スタンド50の下端部のうちスタンド50が閉状態にあるときに窪み部30を覆う領域では、スタンド50の下縁がハウジング10の横幅方向において直線的に延びる。
【0064】
なお、本実施形態では、スタンド50は、閉状態にあるときに、スタンド50の内面50aの下縁が、窪み部30の上側の側面画定壁31a上に位置するように形成されている。しかしながら、スタンド50は、閉状態にあるときに、スタンド50の内面50aの下縁が、窪み部30の上側の側面画定壁31aよりも下方に位置するように形成されてもよい。この場合であっても、スタンド50の下縁(連結面50cの下縁)は、窪み部30の下側の側面画定壁31aよりも上方に位置することが必要である。したがって、スタンド50の下端部が窪み部30全体を覆うのではなく、窪み部30を部分的に覆うことが必要である。特に、この場合、スタンド50の下縁と窪み部30の下側の側面画定壁31aとが、上下方向及び前後方向においてユーザの指先が入るだけの長さだけ離間されることが好ましい。
<効果>
【0065】
本実施形態では、後下遷移壁20に形成された窪み部30に通気孔32が形成される。このように、後壁12よりも前方に位置している後下遷移壁20に形成された窪み部30に通気孔32を設けることにより、電子機器1が後壁12を下にして載置面上に置かれているときや、電子機器1が下壁14を下にして載置面上に置かれているときであっても、通気孔32が設けられた窪み部30全体が載置面によって閉じられてしまうことがなくなる。
【0066】
また、本実施形態では、スタンド50の下端部51は、後下遷移壁20の一部を覆うように、特に窪み部30の一部を覆うように形成される。後下遷移壁20は、後壁12よりも前方に位置していることから、後下遷移壁20上にスタンド50の下縁が位置することにより、スタンド50が閉状態にあるときにユーザはスタンド50の下縁に指先をかけ易くなる。さらに、スタンド50の下端部51が窪み部30の一部を覆うことから、スタンド50の縁の一部が窪み部30上に位置することになり、ユーザは窪み部30に指先を入れることによって、スタンド50の下縁に指先をかけ易くなる。加えて、スタンド50の下端部51は、スタンド50が閉状態にあるときに、通気孔32が設けられた窪み部30の全体ではなく一部を覆うように構成されるため、スタンド50が閉状態にあるときであってもスタンド50により通気孔32が塞がれてしまうことが抑制される。
【0067】
また、本実施形態では、窪み部30は、横幅方向においてハウジングの半分以上に亘って延びる。同様に、スタンド50は、横幅方向において、ハウジング10の半分以上の長さを有する。したがって、ユーザは、横幅方向の広い領域において、スタンド50の下端部51に指先をかけることができる。また、スタンド50の横幅方向の長さが長く、また、スタンド50はハウジング10の横幅方向中央に対して両側に配置されるため、ハウジング10を安定して支持することができる。加えて、窪み部30は、中央に設けられたガイド窪み部39の両側に設けられるため、窪み部30はハウジング10の左右両側に配置されることになり、よってユーザはハウジング10の左右両側においてスタンド50に指先をかけてスタンド50を開くことができる。
【0068】
また、本実施形態では、スタンド50の下縁は、ハウジング10の横幅方向に直線的に延びる。加えて、本実施形態では、スタンド50の下端部は、ハウジング10の横幅方向において窪み部30の全ての領域にて、窪み部30の上側部分を覆うように構成される。このため、ユーザは、スタンド50の下縁に横幅方向の様々な位置から同じようにアクセスすることができる。
【0069】
また、本実施形態では、一部の隣り合うリブ33同士の間には通気孔32が形成されているのに対して、残りの隣り合うリブ33同士の間は塞がれて通気孔32が形成されない。このように通気孔32の断面積を小さくすることにより空気の流入経路を最適化することができる。また、本実施形態では、スピーカ孔21に通じる閉じたスピーカ空間の後方にリブ33同士の間が塞がれた部分が配置される。したがって、通気孔32が設けられていない部分を、冷却用の空気を流入させることのできないスピーカ空間の後方に配置することで、ハウジング10内の空間配置を最適化することができる。
【0070】
<機器保持システム>
上述した電子機器1と、電子機器1を保持する機器保持装置100とは、機器保持システムを構成する。機器保持装置100は、電子機器1を保持するとともに、電子機器1の充電や、電子機器1と他の機器との間の通信を行うために用いられる。
【0071】
図14図16を参照して、機器保持装置100の構成について説明する。図14は、電子機器1及び機器保持装置100の前面を、斜め上方から見た斜視図である。図15は機器保持装置100の平面図であり、図16は機器保持装置100の左側面図である。
【0072】
図14図16に示したように、機器保持装置100は、電子機器1が載置される載置部110と、載置部110の前方に配置された前方ガイド部120と、載置部110の後方に配置された後方ガイド部130とを有する。なお、機器保持装置100は必ずしもこれら構成要素を全て備えている必要はなく、例えば前方ガイド部120及び後方ガイド部130の少なくとも一方を有していなくてもよい。
【0073】
載置部110は、機器保持装置100が電子機器1を保持するときに電子機器1が載置される部分である。載置部110は、図14に示したように、横幅方向の長さが、電子機器1の横幅方向の長さよりも僅かに大きくなるように形成される。図15及び図16に示したように、載置部110は、その上面の中央に、雄型コネクタ111と、雄型コネクタ111の周りに設けられたカバー部材112とを有する。
【0074】
雄型コネクタ111は、電子機器1に設けられた雌型コネクタ45に対応するコネクタであり、例えば雌型コネクタ45と同一の規格に準拠したコネクタである。雄型コネクタ111は、雌型コネクタ45に接続されて、電子機器1と機器保持装置100や外部の機器との間でデータを送受信するのに、或いは電子機器1に電力を供給するのに用いられる。雄型コネクタ111は、載置部110の上面から、上向きに延びるように配置される。具体的には、雄型コネクタ111は、機器保持装置100に電子機器1が保持されているときに、電子機器1の雌型コネクタ45に差し込まれるように配置される。また、雄型コネクタ111は、横方向に倒れないように載置部110に固定される。したがって、雄型コネクタ111は、電子機器1の雌型コネクタ45が差し込まれたときに、電子機器1を保持する。
【0075】
カバー部材112は、載置部110の上面から上方に突出すると共に、雄型コネクタ111の周りを覆うように配置される。カバー部材112には、その中央にコネクタ用開口113が設けられ、また、コネクタ用開口の両側にカバー部材112の上面から突出した円錐状又は切頭円錐状の突起114が設けられる。コネクタ用開口113は、この中を雄型コネクタ111が通ることができるように形成される。また、突起114は、電子機器1を機器保持装置100に載置するときに電子機器1の溝部46と協動して電子機器1を位置合わせすることができるように、溝部46に対応する位置にそれぞれ設けられる。カバー部材112は、上下方向(電子機器1の機器保持装置100への載置方向)に移動することができ、且つ電子機器1が機器保持装置100に保持されていないときに雄型コネクタ111を覆うように構成される。
【0076】
前方ガイド部120及び後方ガイド部130は、それぞれ、載置部110の前側及び後側に配置されて、載置部110よりも上方に延びる。前方ガイド部120は電子機器1を機器保持装置100に載置するときに電子機器1の前面を案内する。また、後方ガイド部130は電子機器1を機器保持装置100に載置するときに電子機器1の後面を案内する。
【0077】
図15及び図16に示したように、後方ガイド部130の前面には、後方ガイド部130の前面から前方へ突出したガイド突起部131が設けられる。ガイド突起部131は、載置部110の上面から上方に向かって延びる。また、ガイド突起部131は、横幅方向において、後方ガイド部130のほぼ中央に設けられ、よって電子機器1が機器保持装置100に保持されるときにガイド窪み部39及び切欠部52に対応する位置に設けられる。
【0078】
ガイド突起部131は、電子機器1に設けられたガイド窪み部39及び切欠部52と相補的な形状を有すると共に、ガイド窪み部39及び切欠部52よりも小さく形成される。したがって、ガイド突起部131は、電子機器1が機器保持装置100に保持されているときに、ガイド窪み部39及び切欠部52内に嵌まる。また、ガイド突起部131は、電子機器1を機器保持装置100に載置すべく前方ガイド部120と後方ガイド部130との間に下面を下向きにして挿入したときに、電子機器1のガイド窪み部39及び切欠部52を案内する。
【0079】
本実施形態では、ガイド突起部131は機器保持装置100の横幅方向のほぼ中央に設けられ、同様に、ガイド窪み部39は電子機器1の横幅方向のほぼ中央に設けられる。このため、電子機器1を機器保持装置100に載置するときに横幅方向のほぼ中央において、機器保持装置100に対する電子機器1の案内が行われる。この結果、電子機器1を機器保持装置100に載置する際に、電子機器1を適切に案内することができる。
【0080】
なお、上記実施形態では、機器保持装置100は、電子機器1の下面が下向きになった状態で電子機器1を保持している。しかしながら、機器保持装置100は、電子機器1の後面が下向きになった状態で電子機器1を保持してもよい。この場合、電子機器1を機器保持装置100に載置するときには、電子機器1は後面を下向きにして機器保持装置100に挿入される。上述したように、本実施形態では、スタンド50が閉状態にあるときに、後方から前方に向かって、切欠部52からガイド窪み部39へと段階的に横幅が狭まることになる。このように段階的に横幅が狭まることにより、切欠部52及びガイド窪み部39は、電子機器1を機器保持装置100に載置するときに電子機器1を適切に案内することができる。
【0081】
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0082】
1 電子機器
10 ハウジング
11 前壁
12 後壁
20 後下遷移壁
22 凹部
30 窪み部
31 窪み画定壁
32 通気孔
33 リブ
40 ディスプレイ
50 スタンド
60 ヒンジ部材
100 機器保持装置
図1
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