(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】薬品依頼の履行システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20230725BHJP
【FI】
G16H20/10
(21)【出願番号】P 2021112788
(22)【出願日】2021-07-07
(62)【分割の表示】P 2020066202の分割
【原出願日】2013-03-14
【審査請求日】2021-07-27
(32)【優先日】2012-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514000967
【氏名又は名称】バクスター・コーポレーション・イングルウッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER CORPORATION ENGLEWOOD
【住所又は居所原語表記】9540 S.Maroon Circle,Suite 400,Englewood,CO 80112 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デニス・アイ・シュナイダー
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-211603(JP,A)
【文献】特開2002-215808(JP,A)
【文献】特開2003-058639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬局薬品管理システムであって、
プロセッサを含んだ依頼作成管理システム
を含み、
前記プロセッサがメモリに格納された機械可読命令を実行することで、前記依頼作成管理システムを下記のように構成し、すなわち
薬品依頼管理クライアントにおいて受信した複数の薬品依頼を体系化し、ここで当該体系化には、前記複数の薬品依頼の体系化若しくは管理に関連する優先順位付け、
及びスケジュール作
成のうちの一種以上を含み、
複数の薬局ワークステーションと通信し、
前記複数の薬局ワークステーションのうちから適切な薬局ワークステーションを選択して、前記複数の薬品依頼のうちのひとつを送り、
前記適切な薬局ワークステーションから、薬品依頼メタデータを受信し、前記薬品依頼メタデータは、製品のバーコードスキャン、および薬品含有ユニットを調製するにあたっての使用中もしくは使用後の装置の画像を含み、かつ
前記薬品依頼メタデータを、薬品依頼管理ネットワークへと送信する
ことを特徴とする、薬局薬品管理システム。
【請求項2】
前記適切な薬局ワークステーションが、患者のケアプロバイダーの有する薬局の場所にあり、かつ前記適切な薬局ワークステーションが、
発注に基づいて、配合された薬品含有ユニットへの薬品依頼を生成するように構成し、
依頼履行ロジックを実行して、決定データを評価し、遠隔の複数の履行場所のうちから選択される遠隔の履行場所を定め、ここで前記決定データは、前記適切な薬局ワークステーションにおいて前記遠隔の複数の履行場所の各々から受信された情報に少なくとも一部が基づくものであり、
遠隔の選択履行場所に前記薬品依頼を通信する依頼ルータを実行するように構成し、ここで前記遠隔の選択履行場所はワークステーションを含み、前記ワークステーションは、前記薬品依頼に関して前記ワークステーションにおいて特有のワークフローを準備し提示するためのものであり、かつ前記ワークステーションが、前記ワークフローに基づき前記薬品含有ユニットの調製に関するデータを記録するように構成され、
前記適切な薬局ワークステーションと通信して機能しかつ前記遠隔の選択履行場所における前記薬品依頼の履行に関する前記データを受信して格納する薬品依頼データベースと通信する
ことを行うように機能するものであり、
前記適切な薬局ワークステーションは、前記薬品依頼データベースに格納された前記データを、前記配合された薬品含有ユニットに関連づける
ことを特徴とする、請求項1に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項3】
前記患者のケアプロバイダーが、所管規制機関により薬品依頼を作成することが許可された事業体からなる、請求項2に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項4】
前記患者のケアプロバイダーには、
救急治療場所、
病院、
在宅医療支援薬局(HIP)、
医院または
独立インフュージョンクリニック、
の1つまたは2つ以上が含まれる、請求項2または3に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項5】
前記薬品依頼データベースが、前記薬品依頼に対応させて薬品依頼メタデータを保存する、請求項2~4のいずれか1項に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項6】
前記薬品含有ユニットが、
・特定の患者に投与することが指定されている医薬を含む患者特定のユニット
・特定の患者に投与することが後に指定される医薬を含む患者非特定のユニットまたは
・薬局における患者特定のユニットまたは患者非特定のユニットの調製で用いられる薬品構成成分提供源のユニット
の少なくとも1つを含有する、請求項2に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項7】
前記薬品含有ユニットが、前記患者のケアプロバイダーにより投与が求められる栄養補助剤または栄養補助剤の構成成分を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項8】
前記薬品含有ユニットが、前記適切な薬局ワークステーションにおいて複数の薬品含有ユニットを含むキット中に受け取られ、前記複数の薬品含有ユニットが、前記キットに対応するキット識別子とそれぞれ関連付け可能な対応する薬品依頼をそれぞれ有し、前記キット識別子は、前記適切な薬局ワークステーションにおける複数の薬品含有ユニットの取扱いに用いられる容器上の機械読み取り可能な標示を含む請求項2~7のいずれか1項に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項9】
前記薬品含有ユニットが、前記患者のケアプロバイダーにおいて患者に対して投与される、請求項2~4および7のいずれか1項に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項10】
コストデータおよびタイミングデータが、前記薬品依頼データベースに保存される、請求項2~9のいずれか1項に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項11】
タイミングデータが、
薬品依頼履行リードタイムデータ、
薬品依頼利用可能性データ、
薬品依頼送達スケジュールデータ、
薬品依頼有効性タイミングデータまたは、
薬品構成成分有効性タイミングデータ、
の少なくとも1つを含む、請求項2~10のいずれか1項に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項12】
前記依頼履行ロジックが、前記適切な薬局ワークステーションのユーザーにより少なくとも一部がカスタマイズ可能である、請求項2~11のいずれか1項に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項13】
前記依頼履行ロジックは、コストデータおよびタイミングデータの両方と関連付けて薬品依頼を処理する、請求項2~12のいずれか1項に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項14】
前記依頼履行ロジックが、コストデータおよびタイミングデータの各々に関連する選択可能な重み付けパラメータを含む、請求項13に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項15】
コストデータおよびタイミングデータに関連する重み付けパラメータが、前記適切な薬局ワークステーションのユーザーによりカスタマイズ可能である、請求項14に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項16】
前記依頼履行ロジックが、少なくとも部分的に決定データに基づいて自動的に遠隔の選択履行場所を選択するように作動可能である、請求項2~15のいずれか1項に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項17】
前記依頼ルータが、前記遠隔の選択履行場所に前記薬品依頼を自動的に送るように作動可能である、請求項2~16のいずれか1項に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項18】
前記適切な薬局ワークステーションが、前記遠隔の選択履行場所からの依頼の拒否を受信し、前記依頼履行ロジックが、前記遠隔の複数の履行場所のうちの別の1つを選択する際に使用するための別の決定データを生成するべく薬品依頼を再処理する、請求項2~17のいずれか1項に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項19】
前記遠隔の複数の履行場所とは別の遠隔の履行場所における追加的な薬品依頼の履行に関するデータを、前記薬品依頼データベースが受信し保存する、請求項2~18のいずれか1項に記載の薬局薬品管理システム。
【請求項20】
前記データが、
以下の少なくとも1つを示す薬品提供源データ、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分のメーカ、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分のロット番号、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分の有効期限、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分の製造番号または
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分の識別を示す薬品コード、
以下の少なくとも1つを示す生産流通管理(COC)データ、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットを所有している事業体の名簿、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関する処置を講じたユーザの名簿であって、各々のユーザにより講じられた特定の処置に相関させたもの、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの物理的移動に対応する追跡情報、
以下の少なくとも1つを示す履行データ、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに通ずる画像データ、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分から得られたスキャンデータ、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関する分析データ、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関する少なくとも1つの薬剤師レビューに対応する薬剤師レビューデータ、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関連したベストプラクティスに対応するコンプライアンスデータ、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに対応する滅菌状態の評価データ、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに対応する処置の一覧表、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに対応する処置に対応するタイムスタンプデータまたは
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関連して生じたライフサイクルに関する事象の一覧表または
以下の少なくとも1つを示す環境データ、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが暴露されてきた温度、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが暴露されてきた温度および対応する時間、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが冷蔵されているかどうか、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが冷凍されているかどうか、
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが受けた温度プロファイルまたは
薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが受けた力に対応する加速度計データ、
の少なくとも1つを含む、請求項2~19のいずれか1項に記載の薬局薬品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2012年8月31日に出願された「薬品依頼の履行システムおよび方法」と題する米国仮特許出願第61/695,831号に基づく優先権を主張し、その出願全体が本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、患者に対する投与のために患者のケアプロバイダーにより配給されるべき薬品依頼の履行システムおよび関連方法に関する。
【背景技術】
【0003】
患者のケアプロバイダーは、医療サービス提供の過程で、患者に対する投与のために薬品を日常的に配給する。これに関し、薬品の配給と投与は、所管規制機関による許可が求められることがある。薬品は、所与の患者のケアプロバイダーの場所にある薬局か提携する別の薬局によってまたは第三者ソースにより調製および/またはさもなければ配給され得る。たとえば、多くの病院には院内薬局があり、該薬局で調製後に薬品が配給され得る。
【0004】
数多くの要因が、薬品依頼の履行上、患者のケアプロバイダーに対して物流上の課題を提起することがある。たとえば、所与の患者のケアプロバイダーにより一回ごとに配給される薬品は、対応する患者に対して薬品の適時の配給と投与を確実にするために、付随する履行タイミング要件が異なることがある。さらに、幅広い潜在的な薬品に対応するために薬局が抱える必要がある在庫の範囲を維持することは難しい場合があり、特に、有効期限が設定されている、取り扱い/貯蔵条件がある、及び/又はさもなければ供給不足を経験したことのある薬品成分に関連して、維持が難しいことがある。また、特定のタイプの薬品を調製するには、一般には手に入れることのできない特殊な装置、設備および技能が求められ、それにより外注の選択肢が制限される。さらに、費用対効果が、多くの患者のケアプロバイダーに対して適用できないこともある。
【0005】
上記に加えて、薬品に関して詳細な記録管理を重視することが、医療分野で増大し続けている。このような記録管理は、薬品の調製と取扱いに関する種々のデータの入手と保存を伴うことがある。これに関し、このような記録管理に関連した管理上の負担が増え続けている。
現在、薬品の入手に関する既存の手法は、限定されたおよび/または静的データが選択に利用される供給源選択プロセスおよび/または供給源選択の選択肢が別の方法で制限された提供源選択プロセスを主に伴う。
【発明の概要】
【0006】
本開示は概して、患者に対する投与のために患者のケアプロバイダーにより配給されるべき薬品依頼の履行のための改良システムおよび関連方法に関する。
【0007】
1つの態様では、改良システムは、患者のケアプロバイダー用に提供された依頼生成器と依頼履行ロジックを備える。依頼生成器は、患者のケアプロバイダーにより配給されて患者に投与される少なくとも1つの薬品含有ユニットの薬品依頼を生成するように用いることができる。依頼履行ロジックは、薬品依頼を処理して薬品依頼を履行する複数の異なる履行場所のうちの1つを選択する際に用いられる決定データを提供するためのコンピュータを使用した手段により実行することができる。決定データは、複数の履行場所の各々に対応する薬品依頼履行コストデータおよび/または薬品依頼履行タイミングデータのうちの1つに少なくとも一部が基づいてもよい。このシステムは、薬品依頼に対して調製を行うための複数の履行場所から選択された選択履行場所に所与の薬品依頼を送るための依頼ルータをさらに含んでいてもよい。
【0008】
したがって、このシステムは、たとえば、履行場所についての薬品の在庫/入手可否を記録する知的作業から、患者のケアプロバイダーのユーザを解放するおよび/またはその知的作業において患者のケアプロバイダーのユーザを支援する。さらにまた、ユーザは、適切な履行場所から患者のケアプロバイダーのニーズに最適な薬品を入手することができる。また、このシステムは、依頼ルータが患者のケアプロバイダーのユーザとの対話の必要なしに選択履行場所に薬品依頼を送ることができるので、人間と機械の改良された対話を実現する。本明細書において、患者のケアプロバイダーのユーザという用語は、患者のケアプロバイダーの従業員または所有者などの人間に関連してもよいが、それには限定されない。
【0009】
決定データを提供する依頼履行ロジックを有するシステムの提供により、費用対効果の向上の実現および/または患者のケアプロバイダーによる適時の薬品依頼の履行の実現が容易にできることが理解できるだろう。たとえば、決定データは、所与の薬品依頼に関連して利用する異なる履行場所間の得失を評価する際に患者のケアプロバイダーを支援するために提供することができる。
【0010】
企図される実施態様では、複数の履行場所のうちの少なくとも1つまたは2つ以上は、患者のケアプロバイダーに対して遠隔地にあってもよい。さらに、複数の履行場所のうちの少なくとも別の1つは、その患者のケアプロバイダーに対応する患者のケアプロバイダーの場所にあってもよい。たとえば、患者のケアプロバイダーは、院内薬局または他の提携する薬局を有してもよい。したがって、このシステムは、患者のケアプロバイダーのユーザが、個々の履行場所にアクセスする必要なしに、数多くの履行場所のうちの最適なものを自動的に選択できるようになる。さらに、患者のケアプロバイダーのユーザは、1つまたは2つ以上の履行場所の処理力にアクセスするおよび/またはそれを利用することにより、患者のケアプロバイダーの場所での処理力を低減し得る。
【0011】
企図される実施態様では、患者のケアプロバイダーは、所管規制機関により薬品依頼を配給することが許可された事業体からなってもよい。さらに、患者のケアプロバイダーは、所管規制機関により薬品依頼を作成することが許可された事業体であってもよい。
【0012】
主要な例として、患者のケアプロバイダーは、
・救急治療場所
・病院
・在宅医療支援薬局(HIP)
・医院または
・独立インフュージョンクリニック
のうちの少なくとも1つが含まれ得る。
【0013】
企図されるシステムに関連して、所与の薬品依頼に対応する薬品含有ユニットは選択履行場所から患者のケアプロバイダーが入手することができ、患者のケアプロバイダーにより配給されて患者に投与することができる。これに関し、薬品含有ユニットは、
・特定の患者に投与することが指定されている薬品を含む患者特定のユニット
・特定の患者に投与することが後に指定される薬品を含む患者非特定のユニットまたは
・患者特定のユニットまたは患者非特定のユニットの調製で用いられる薬品構成成分提供源のユニット(例:調製後に特定の患者に投与することが指定されるユニット)
のうちの1つを含むことができる。
【0014】
いくつかの例では、薬品含有ユニットは、患者のケアプロバイダーにより投与が求められる栄養補助剤または栄養補助剤の構成成分を含んでもよい。例として、薬品含有ユニットは、非経口栄養補助剤(例:完全静脈栄養法または総合栄養混合液)からなってもよい。
いくつかの実施形態では、薬品含有ユニットは、遠隔履行場所から患者のケアプロバイダーにより受け取られてもよく、薬品含有ユニットは、複数の薬品含有ユニットを含むキット(例:対応する複数の薬品の取扱いに用いられる容器など)と関連付けられてもよい。関連付けは、薬品含有ユニット毎に、対応するキットを識別するデータベースおよび/またはデータベースのテーブルで得られてもよく定義されてもよい。したがって、薬品含有ユニット毎およびキット毎に、厳密に1つの特定の薬品含有ユニットと1つの特定のキットとの間に直接関係があってもよい。これに関し、キットを含む複数の薬品含有ユニットに対応する種々の薬品依頼は、対応するキット識別子に関連付けることができ、それにより種々の記録管理機能(たとえば、本明細書で以下に参照される特定の薬品依頼メタデータの入手および維持)を容易にする。たとえば、キット識別子(例:対応する複数の薬品の取扱いに用いられる容器上の機械読み取り可能な標示など)は、関連する薬品の場所、取扱いなどに関連するデータ収集を容易にするのに利用することができる。したがって、このシステムは、特定の薬品含有ユニットに対して多数の薬品含有ユニット(すなわち、薬品含有ユニットのキット)を簡便かつ効率的に与えることができ、それぞれの個別/特定の薬品に対する情報を別個に入手/記録する必要なしに、それに関する記録を維持することができる。とくに、一連の製品を体系化する複雑さに鑑みて、このシステムは、薬品のキットを提供すると同時に、特定の薬品を簡便かつ自動的に入手するようにする。このシステムは、依頼生成器および/または依頼履行ロジックおよび/または依頼ルータを実行するまたはその一部である演算環境を特に備える。
【0015】
上述の通り、このシステムは、複数の履行場所の各々に対応する、薬品依頼履行コストデータおよび/または薬品依頼履行タイミングデータの少なくとも1つに一部が基づいた決定データを提供するための依頼履行ロジックを含むことができる。このようなデータは、薬品依頼データベースに保存されるまたは別の方法で維持されてもよい。
【0016】
薬品依頼履行タイミングデータは、
・薬品依頼履行リードタイムデータ
・薬品依頼利用可能性データ
・薬品依頼引渡しスケジュールデータ
・薬品依頼有効性タイミングデータおよび/または
・薬品構成成分有効性タイミングデータ
の少なくとも1つを含むことができる。
【0017】
薬品依頼履行コストデータは、所与の履行場所による所与の薬品依頼履行コストを示すデータを含むことができる。
【0018】
企図されるシステムの実施態様では、複数の履行場所の各々は、所与の履行場所に対応する薬品依頼履行コストデータおよび/または薬品依頼履行タイミングデータのすべてまたは少なくとも一部を提供することができる。すなわち、このようなデータ(単に、薬品依頼データという)は、薬品依頼データベースに履行場所により提供されることができる。たとえば、このデータは、定期的な要請/応答またはその他に基づいて提供されてもよい。別の例として、このデータは、所定のタイプまたは他の特定された薬品に関連して提供されてもよい。
【0019】
いくつかの実施態様では、依頼履行ロジックは、薬品依頼データベースに保存された薬品依頼履行コストデータおよび/または薬品依頼履行タイミングデータとの関連で、(例:コンピュータによる)薬品依頼を処理するための1つまたは2つ以上のアルゴリズム(例:コンピュータ可読の媒体)を有することができる。1つの手法では、アルゴリズムは、(例:ソフトウェアプログラムの指示/ユーザ入力を介して)薬品依頼履行コストデータおよび/または薬品依頼履行タイミングデータの各々に関連したパラメータの重み付けを選択的に確立することができる。
【0020】
いくつかの用途では、依頼履行ロジックは、所与の患者のケアプロバイダーによりカスタマイズ可能であるように提供されてもよい。例として、所与の患者のケアプロバイダーは、アルゴリズムの重み付けパラメータの設定をしてもよくおよび/または追加ロジックパラメータを定義してもよい。
【0021】
特定の実施形態では、依頼履行ロジックは、生成された決定データに基づいて所与の薬品依頼を履行する履行場所を自動的に選択するように作動可能とすることができる。このような自動選択機能は、所定のタイプの薬品依頼との関連で確立されてもよいことが理解できるだろう。さらに、いくつかの実施態様では、依頼ルータは、自動的に選択履行場所に対して薬品依頼を自動的に送るように作動可能であってもよい。したがって、このシステムは、人間との対話の必要なしに、効率的な薬剤薬品依頼の履行を可能にすることができる。とくに、ルータは人間が犯すことがあるエラーを生みにくいので、このシステムによって一層フェールセーフになることにより効率を向上させることができる。
【0022】
いくつかの構成では、選択履行場所は、送られた所定の薬品依頼を選択的、自動的および/または半自動的に拒否するように構成されてもよい(例:予期しないまたはその他の事態の際など)。それを受けて、依頼の拒否は、履行ロジックおよび薬品依頼データベースに対して(例:選択的、自動的および/または半自動的に)履行場所により通信されてもよく、依頼履行ロジックは、異なる履行場所を選択するのに使用する決定データを提供するのにさらに利用される。それに応じて、薬品依頼データベースは、薬品依頼に関連して更新することができる。
【0023】
企図される実施態様では、所定の薬品依頼を履行するために選択された履行場所は、薬品依頼の履行に関して薬品依頼データベースに薬品依頼メタデータを供給するように構成することができる。これに関し、選択履行場所は、所与の薬品依頼に合致する薬品の調製、取扱いなどに関連する薬品依頼メタデータを入手して薬品依頼データベースに薬品依頼メタデータを供給するべく所定の手順に従ってもよくおよび/またはデータ収集手段を利用してもよい。それを受けて、このシステムは、所与の薬品依頼に合致する患者のケアプロバイダーが、薬品依頼データベースから対応する薬品依頼メタデータの少なくとも一部にアクセスできるように提供されてもよい。
【0024】
薬品依頼メタデータは、以下のタイプのデータのうちの1つまたはそれ以上を含むことが出来る。
・以下の少なくとも1つを示す薬品提供源データ
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分のメーカ
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分のロット番号
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分の有効期限
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分の製造番号
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分の識別を示す薬剤コード
・以下の少なくとも1つを示す生産流通管理(COC)データ
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットを所有している事業体の名簿
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関連する処置を講じたユーザの名簿であって、各々のユーザにより講じられた特定の処置と相関させたもの
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの物理的移動に対応する追跡情報
・以下の少なくとも1つを示す履行データ
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに通ずる画像データ
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分から得られたスキャンデータ
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関する分析データ
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関する少なくとも1つの薬剤師レビューに対応する薬剤師レビューデータ
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関連したベストプラクティスに対応するコンプライアンスデータ
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに対応する滅菌状態の評価データ
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに対応する処置の一覧表
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに対応する処置に対応するタイムスタンプデータまたは
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関連して生じたライフサイクルに関する事象の一覧表または
・以下の少なくとも1つを示す環境データ
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが暴露されてきた温度
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが暴露されてきた温度および対応する時間
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが冷蔵されているかどうか
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが冷凍されているかどうか
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが受けた温度プロファイルまたは
-薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが受けた力に対応する加速度計データ。
【0025】
薬品依頼メタデータの入手およびアクセス性によって、薬品履行システムの管理機能を向上できることが理解出来るだろう。薬品依頼メタデータは、特に、コンピュータにより使用および/または保存され、上記データの記録および/または整理の(知的)作業から患者のケアプロバイダーのユーザを解放するおよび/またはその作業において患者のケアプロバイダーのユーザを支援する。とくに、本発明による(コンピュータ支援)システムなしでは、上記データ管理およびデータ処理は不可能であろう。
【0026】
種々の実施形態では、企図されるシステムは、複数の履行場所の各々において依頼ルータから薬品依頼を受け取るために依頼ルータと動作通信する分散型薬品依頼管理クライアントを含む分散型薬品依頼管理システムを含んでいてもよい。それを受けて、このシステムは、分散型薬品依頼管理クライアント、薬品依頼データベースおよび依頼ルータを含む薬品依頼管理ネットワークをさらに含んでいてもよい。このような実施形態では、このシステムは、対応する薬品依頼メタデータの少なくとも一部が、離れた物理的位置にあるように維持されてもよい。
【0027】
別の態様では、分散型薬品依頼管理システムは、患者のケアプロバイダーによって配給するために少なくとも1つの薬品含有ユニットの薬品依頼を生成する依頼生成器および薬品依頼を保存するように作動可能である薬品依頼データベースを備えることができる。このシステムは、薬品依頼を履行できる複数の履行場所にある複数の薬品依頼管理クライアントをさらに含んでいてもよい。薬品依頼管理ネットワークは、複数の薬品依頼管理クライアント、薬品依頼データベースおよび依頼生成器の各々と動作通信するように提供されてもよく、薬品依頼管理ネットワークは、複数の履行場所から選ばれた選択履行場所の薬品依頼管理クライアントに薬品依頼を提供するように作動可能である。このシステムは、患者のケアプロバイダーが、対応する患者に対する配給と投与のために選択履行場所から薬品依頼に合致した薬品含有ユニットを入手するように、提供されてもよく、選択履行場所は、薬品依頼に対応して薬品依頼データベースに保存するために薬品依頼管理ネットワークに薬品依頼メタデータを提供する。
【0028】
上述の機能の種々のものおよびその組合せは、分散型薬品依頼管理システムで利用されてもよいことが理解できるだろう。
【0029】
別の態様では、患者に対する投与のために患者のケアプロバイダーにより配給されるべき薬品依頼の履行方法が提供される。いくつかの実施態様では、この方法は、患者のケアプロバイダーが依頼生成器を用いることにより薬品依頼を生成することを含んでもよく、薬品依頼は、患者に対する投与のための少なくとも1つの薬品含有ユニットに関する。この方法は、患者のケアプロバイダーが使用し、コンピュータを使用した手段により実行される依頼履行ロジックを用いることにより、薬品依頼を処理することをさらに含み、前記処理によって、薬品依頼を履行するための複数の履行場所の1つを選択する際に用いられる決定データを提供する。これに関し、決定データは、複数の履行場所の各々に対応する薬品依頼履行コストデータまたは薬品依頼履行タイミングデータのうちの1つに少なくとも一部が基づいていてもよい。さらに、この方法は、薬品依頼を作成するための複数の履行場所から選択された選択履行場所に依頼ルータが薬品依頼を送ることを含んでもよい。
【0030】
いくつかの実施態様では、この方法は、依頼履行ロジックの作動により、決定データに少なくとも一部が基づいて選択履行場所を自動的に選択することをさらに含んでいてもよい。追加的にまたは代替的に、この方法は、ルータの作動により、薬品依頼の履行のための選択履行場所に薬品依頼を自動的に送ることをさらに含んでもよい。種々の方法の実施態様では、この方法は、本明細書に記載のシステムの任意の特性を備えたシステムを採用してもよい。
【0031】
さらに別の態様によると、コンピュータ読取可能媒体に保存し得るおよび/またはコンピュータ処理可能なデータストリームとして実行し得るコンピュータプログラム製品が提供され、このコンピュータプログラム製品は、コンピュータ処理可能な指示を含み、その指示がコンピュータのメモリに読み込まれてコンピュータにより実行されると、コンピュータは以上に概要を記載し、かつ以下にさらなる具体例で記載されたこの方法を実行する。
【0032】
本発明のさらに多くの特徴と長所は、以下に提供される実施態様の説明を考慮して当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、薬品依頼を履行するシステムの1つの実施態様である。
【
図2】
図2は、
図1のシステム実施形態に用いられる実施態様を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、薬品依頼の履行のシステム100の実施態様を図示する。薬品依頼は、少なくとも1つの薬品含有ユニットに対応してもよい。含有ユニットは、たとえば、
・注射器
・薬瓶
・バッグまたは
・患者に対する薬品の投与に用いられるまたは患者に投与のための薬品の調製過程で用いられる別の薬品容器
の1つを含んでもよい。
【0035】
システム100は、薬品依頼生成に用いることのできる数多くの構成要素を含んでもよく、薬品依頼の履行のための履行場所を選択する際に使用する決定データを作成し、選択履行場所に所与の薬品依頼を送る。これに関し、システム100の構成要素は、依頼生成器20、依頼履行ロジック30および依頼ルータ40をそれぞれ含んでいてもよい。例として、依頼生成器20、依頼履行ロジック30および依頼ルータ40は、患者のケアプロバイダー10の場所にあってもよい。
【0036】
依頼生成器20は、患者70に投与するために患者のケアプロバイダー10により用いられるまたは配給される薬品に対応する薬品依頼を生成できる。依頼生成器20は、データストリームを含む指令に基づいて自動的にまたは部分的に自動化されて薬品依頼を生成するように作動可能であってもよい。例として、この指令は、医師により処方される薬品に対応し得る。
【0037】
1つの手法では、依頼生成器20は、薬品依頼生成のためにデータストリームからデータを解析するまたは別の方法でデータを引き出すように作動可能であってもよい。追加してまたは択一的に、依頼生成器20は、ユーザから直接(ユーザインターフェースを介したデータ入力によりなど)受け取られたデータに基づいて薬品依頼を生成してもよい。
【0038】
依頼生成器20は、依頼履行ロジック30による処理のために薬品依頼を提供するように作動可能であってもよい。依頼履行ロジック30は、所与の薬品依頼の履行のための複数の履行場所の1つを選択する際に用いられる決定データを提供するための、コンピュータを使用した手段(ハードウエアおよび/またはソフトウエアなどを含む)を備えることができる。コンピュータを使用した手段は、プロセッサーにより実行され得る持続性の機械可読指示を保存するように作動可能であるメモリを含むことができる。依頼履行ロジック30は、決定データの生成のために依頼履行ロジック30により用いられてもよいデータベースをさらに含んでもよくまたはそのデータベースにアクセスしてもよい。
【0039】
決定データを提供するために依頼履行ロジック30により利用されるデータは、薬品依頼を履行する能力を有する複数の潜在的な履行場所に対応する薬品依頼調製コストデータおよび/または薬品依頼調製タイミングデータを少なくとも含んでいてもよい。たとえば、
図1に示す通り、遠隔履行場所60a、遠隔履行場所60bまたは履行場所55は、すべて、薬品依頼の履行のための潜在的な履行場所であってもよい。
【0040】
これに関して、依頼履行ロジック30は、ユーザに決定データを提供してもよい(ユーザインターフェースデバイスを介して患者のケアプロバイダー10においてユーザに提供されるなど)。その後、ユーザは、薬品依頼の履行のための複数の履行場所のうちの1つを(ユーザインターフェースにおける入力を介してなど)選択することができる。1つの実施態様では、依頼履行ロジック30は、所定の薬品依頼に関する決定データに少なくとも一部が基づいて、履行場所を自動的に選択してもよい。随意に、履行場所がユーザにより選択されるか自動的に選択されるかの決定は、所与の薬品依頼の識別可能な特徴に少なくとも一部が依存してもよい(薬品タイプ、薬品の量、時期的要件または薬品依頼に関連する他のデータに依存してなど)。これに関し、潜在的な時間の節約とコスト削減が実現され得る。
【0041】
上述の通り、依頼ルータ40は、薬品依頼の履行のための選択履行場所に薬品依頼を送るように設けられ得る。
図1に概略的に示す通り、少なくとも1つの現地履行場所(履行場所55など)および/または少なくとも1つの現地外の履行場所(履行場所60a、60bなど)が、所定の薬品依頼を履行するように選択可能であってもよい。
【0042】
選択履行場所の相対位置にかかわらず、依頼ルータ40は、選択履行場所に薬品依頼を通信するように作動可能であってもよい。依頼ルータ40は、ユーザ(患者のケアプロバイダー10のユーザなど)から選択履行場所の識別を受け取ってもよくまたは依頼履行ロジック30による履行場所の自動選択に基づいて選択履行場所に薬品依頼の指令を自動的に送ってもよい。
【0043】
1つまたはそれ以上の履行場所60a、60bは、送られた所与の薬品依頼を選択的、自動的および/または半自動的に拒否するように構成されてもよい(例:予期しない事態の際に)。それを受けて、依頼に対する拒否は、依頼履行ロジック30および薬品依頼データベース90に対して履行場所60aまたは60bにより(選択的、自動的および/または半自動的になど)通信されてもよく、依頼履行ロジック30は、異なる履行場所を選択するのに使用するための決定データを提供するようにさらに利用される。それに応じて、薬品依頼データベース90は、薬品依頼に関連して更新されてもよい。
【0044】
上述の通り、履行場所は、患者のケアプロバイダー10に対して遠隔地にある1つまたはそれ以上の遠隔履行場所60a、60bを含んでいてもよい。さらにまた、患者のケアプロバイダー10には、薬局50を含み得る患者のケアプロバイダーの場所が含まれていてもよい。それを受けて、薬局50には、薬局50内にある履行場所55が含まれていてもよい。患者のケアプロバイダー10は、患者のケアプロバイダーの場所に対して現地外にある薬局50に提携していてもよいことも理解されよう。いずれにせよ、履行場所55、60a、60bの各々は、薬品依頼を履行することができ、薬局50に対する薬品依頼に対応する薬品を提供し得る。それを受けて、薬局50は、患者70に投与のための薬品に対して配給するように作動可能であってもよい。
【0045】
さらに、
図1に図示した通り、薬品依頼管理ネットワーク80は、遠隔履行場所60a、60b並びに患者のケアプロバイダー10と動作通信していてもよい。薬品依頼管理ネットワーク80は、薬品依頼データベース90と作動可能に通信していてもよい。薬品依頼データベース90は、所与の薬品依頼の各々に対応して、一又は二以上のセットのデータ、またはデータの一部を保存するように作動可能であってもよい。
【0046】
薬品依頼データベース90は、1つまたは2つ以上の患者のケアプロバイダーの場所または遠隔履行場所から遠隔地にあるかまたはこれらの場所の地元にある単一の場所に存在することができる。薬品依頼データベース90は、患者のケアプロバイダーの場所または遠隔履行場所のいずれかから異なる別個の場所に設けられてもよい。さらに、薬品依頼データベース90は数多くの部分またはインスタンスを有してもよく、それらの各々は患者のケアプロバイダーの場所または遠隔履行場所に対応するまたはそれから離れた別個の場所に存在することができる。
【0047】
たとえば、薬品依頼データベース90は、薬品依頼に関する薬品依頼メタデータを保存してもよい。さらにまた、薬品依頼データベース90は、依頼履行ロジック30により採用された薬品依頼履行コストデータおよび薬品依頼履行タイミングデータを保存し、薬品依頼を履行するための複数の履行場所のうちの1つを選択する際に使用するための決定データを生成してもよい。これに関し、遠隔履行場所60a、60bは、薬品依頼データベース90にそれぞれ各々の履行場所に対応する薬品依頼履行コストデータおよび薬品依頼履行タイミングデータを提供するように、薬品依頼データベース90と作動通信していてもよい。
【0048】
薬品依頼データベース90は、遠隔履行場所60a、60b並びに患者のケアプロバイダー10から遠隔地にあってもよい。代替的に、薬品依頼データベース90は、遠隔履行場所60a、60bのうちの1つまたは患者のケアプロバイダー10の場所にあってもよい。いずれにせよ、薬品依頼データベース90に対するアクセスは、薬品依頼管理ネットワーク80を介して容易化され得る。
【0049】
患者のケアプロバイダー10には、患者に投与するための薬品含有ユニットの配給と調製が所管規制機関(薬務局など)により許可された事業体が含まれ得ることが理解できるだろう。これに関し、患者のケアプロバイダーには、患者に投与するための薬品含有ユニットを調合または別の方法で調製できる許可された事業体が含まれ得る。主として、患者のケアプロバイダーの例として、
・救急治療場所
・病院
・在宅医療支援薬局(HIP)
・医院
・独立インフュージョンクリニックまたは
・薬品を調製することが許可された他の適切な医療事業体
などが挙げられる。
【0050】
1つの用途では、患者のケアプロバイダーは、提携薬局を有する病院であってもよい。提携薬局は、病院に関連して院内にあってもよくまたは病院が院外の薬局と提携していてもよいことは理解されよう。いずれにせよ、薬品依頼に関連する薬品について、患者のケアプロバイダーの場所で患者のケアプロバイダーにより患者に投与され得る。院外の薬局の場合、院外の薬局は、複数の異なる提携病院の場所でサービスを提供してもよい。
【0051】
上述の通り、依頼生成器20により生成された薬品依頼は、各々、患者に投与するための薬品含有ユニットに対応し得る。薬品含有ユニットは、特定の患者に対する投与のために指定される薬品からなる患者特定のユニットであってもよい。1つの実施態様では、薬品含有ユニットは、特定の患者に対する投与のために後に指定される患者非特定のユニットを含んでいてもよい。1つの実施態様では、薬品含有ユニットは、患者特定のユニットおよび/または患者非特定のユニットの調製に用いられる薬品提供源ユニット(調合されたまたは他の構成成分など)であってもよい。
【0052】
種々の実施態様では、薬品含有ユニットは、調製することが規制機関による免許または他の許可が求められるさまざまな異なる物質に対応し得る。薬品依頼に対応し得る薬品含有ユニットの例として、
・配合された無菌製剤
・注射用薬品
・化学療法製剤または
・患者のケアプロバイダーによる投与を必要とする栄養補助剤(無菌注射用栄養補助剤)
などが挙げられる。
【0053】
栄養補助剤は、完全静脈栄養法(TPN)またはTPNの構成成分を含んでいてもよい。さらにまた、栄養補助剤は、部分栄養補助剤を含んでいてもよい。栄養補助剤は、栄養補助剤またはそれらの構成成分を別々にまたは組み合わせてまたは他の形態で、プレミックスバッグ、基剤および添加構成成分を含んでいてもよい。栄養補助剤は、静脈注射を介する投与のためにあってもよく、食べられる形態または補給チューブなどによる使用目的であってもよい。
【0054】
依頼生成器20により生成される薬品依頼は、薬品依頼の1つまたはそれ以上の性状または要件を示すデータを含んでいてもよい。これに関し、薬品依頼には、
・薬品の識別
・薬品の量
・薬品の濃度
・薬品依頼に関連する薬品に対して投与すべき患者に関連する情報
・薬品依頼に関連する薬品に関するスケジュール情報(投与時間)または
・薬品依頼に関連する薬品に関する他の適切な情報
などが含まれていてもよい。
【0055】
1つの実施態様では、薬品依頼に対応する前述のデータまたは他の関連データのいずれかを含むまたはそれに関連する薬品依頼は、薬品依頼データベース90に保存されてもよい。
【0056】
いずれにせよ、依頼履行ロジック30は、どの履行場所が薬品依頼を履行できてもよい。または最適であってもよいかの決定に用いられる決定データを決定するために、薬品依頼を受け取り、複数の履行場所に関して薬品依頼調製タイミングデータおよび/または薬品依頼調製コストデータに関連する薬品依頼(薬品の識別、薬品の量、薬品の濃度、予定される配給時間など)を比較するように作動可能であってもよい。
【0057】
1つの例では、依頼履行ロジック30は、複数の履行場所から単数または複数のどの履行場所が、その履行場所が薬品依頼に関して予定された配給時刻の前に薬品依頼を履行できるかどうかに基づいて、薬品依頼を履行できるかを決定してもよい。これに関し、薬品依頼履行タイミングデータは、たとえば、
・薬品依頼履行リードタイムデータ
・薬品依頼利用可能性データ
・薬品依頼引渡しスケジュールデータ
・薬品依頼有効性タイミングデータまたは
・薬品構成成分有効性タイミングデータ。
などを含んでいてもよい。
【0058】
予定された投与時間に合わせて薬品依頼を履行できるこれらの履行場所のうち、薬品依頼履行コストデータは、次に、適格な履行場所のどれが薬品依頼の履行に関して最低コストを示すかを決定するのに用いられてもよい。これに関し、薬品依頼に関連する薬品の予定された投与に間に合うように履行できる最低履行コストの履行場所は、選択履行場所として特定されてもよい。しかしながら、たとえば、決定データの生成に用いられる薬品依頼履行コストデータ、薬品依頼履行タイミングデータまたは他の関連情報の考慮の間の異なる均衡をとってもよい他のロジックも適用されてもよい。その際は、適用されるロジックは、所与の患者のケアプロバイダー10により選択的に確立されてもよい。たとえば、アルゴリズムは、薬品依頼履行タイミングデータに対する薬品依頼履行コストデータの相対的な重要性に関連した重み付けパラメータにより確立されてもよい。1つの例では、患者のケアプロバイダー10は、データの重み付けを予め決定するまたはそれを支配してもよい。その他の要因またはデータも、決定データに到達するように用いられるアルゴリズムにおいて重み付けされてもよい。
【0059】
企図される実施形態では、患者のケアプロバイダー10は、決定データを提供する上で考慮されるアルゴリズムおよび/または因子をカスタマイズ可能であってもよい。たとえば、患者のケアプロバイダーは、決定データにかかわらず、選択履行場所の選択を命令する最優先の条件を与えてもよい。最優先の条件は、特定の期間、特定期間に投与のための特定の種類または薬品依頼もしくは薬品依頼の履行に関する他の要因において生成される薬品依頼に基づいてもよい。
【0060】
依頼ルータ40に更に関連して、上記の通り、依頼ルータ40は、複数の履行場所のうちの選択された1つに薬品依頼を送るように作動可能であってもよい。それゆえに、依頼ルータ40は、遠隔履行場所60a、60bの各々並びに患者のケアプロバイダー10の薬局50にある履行場所55と直接通信してもよい。1つの実施態様では、依頼ルータ40から、選択履行場所に薬品依頼を送ることは、履行場所の選択時に実質的にリアルタイムで生じてもよい。1つの実施態様では、選択履行場所に薬品依頼を送ることは、依頼ルータ40または選択履行場所のいずれかにより開始されるように定期的に生じてもよい。依頼ルータ40は、履行場所が数多くの薬品依頼に関して選択履行場所として選択されている場合、同時に、単一の履行場所に一群または一団の個々の薬品依頼を送信するように作動可能であってもよい。
【0061】
1つの実施態様では、依頼ルータ40は、薬品依頼管理ネットワーク80を経由して履行場所に薬品依頼を提供してもよい。これに関し、依頼ルータ40は、依頼ルータ40と遠隔履行場所60a、60bとの間の直接通信よりはむしろ、薬品依頼管理ネットワーク80を経由して遠隔履行場所60a、60bに通信してもよい。
【0062】
各々の履行場所は、履行場所における薬品依頼の履行に関して、薬品依頼データベース90に(直接または薬品依頼管理ネットワーク80を介してなど)薬品依頼メタデータを提供するように作動可能であってもよい。薬品依頼メタデータは、薬品依頼に関する組成、調製、輸送または他のデータに関する詳細を含んでいてもよい。薬品依頼メタデータは、薬品依頼データベース90中の薬品依頼記録に対応させて維持されてもよい。薬品依頼メタデータは、薬品依頼の履行前、履行中または履行後に履行場所により定期的に更新されてもよい。このことは、患者のケアプロバイダー10が、遠隔履行場所による履行中に薬品依頼に関する情報を得るために薬品依頼データベース90にアクセスできるので、遠隔履行場所の場合に特に有利であってよい。しかしながら、現地の履行場所(履行場所55など)の場合でも、薬品依頼メタデータは、薬品依頼データベースに(薬品依頼に対応する記録を維持するためになど)さらに提供されてもよい。
【0063】
薬品依頼メタデータは、
・薬品提供源データ
・生産流通管理(COC)データ
・履行品質データまたは
・環境データ
などを含む薬品依頼に関する複数の異なるクラスのデータに対応するデータを含んでいてもよい。
【0064】
薬品提供源データは、たとえば、
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分のメーカ
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分のロット番号
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分の有効期限
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分の製造番号または
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分の識別を示す薬剤コード
などを示すデータを含んでいてもよい。
【0065】
生産流通管理(COC)データは、たとえば、
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットを所有している事業体の名簿
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関連する処置を講じたユーザの名簿であって、各々のユーザにより講じられた特定の処置と相関させたものまたは
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの物理的移動に対応する追跡情報
などを示すデータを含んでいてもよい。
【0066】
履行品質データは、たとえば、
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに通ずる画像データ
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分から得られたスキャンデータ
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関する分析データ
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関する少なくとも1つの薬剤師レビューに対応する薬剤師レビューデータ
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関連したベストプラクティスに対応するコンプライアンスデータ
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに対応する滅菌状態の評価データ
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに対応する処置の一覧表
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに対応する処置に対応するタイムスタンプデータまたは
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットに関連して生じたライフサイクルに関する事象の一覧表または
などを示すデータを含んでいてもよい。
【0067】
環境データは、たとえば、
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが暴露されてきた温度
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが暴露されてきた温度および対応する時間
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが冷蔵されているかどうか
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが冷凍されているかどうか
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが受けた温度プロファイルまたは
・薬品依頼に対応する薬品含有ユニットの構成成分または薬品依頼に対応する薬品含有ユニットが受けた力に対応する加速度計データ
などを示すデータを含んでいてもよい。
【0068】
したがって、薬品依頼を履行する履行場所は、現地の履行場所55であっても遠隔履行場所60aまたは60bであっても、薬品依頼に関連する薬品依頼メタデータを提供してもよい。
【0069】
なお、遠隔履行場所60aまたは60bの場合、遠隔履行場所は、患者70に投与するために患者のケアプロバイダー10に物理的配達に関する薬品依頼を発送してもよい。したがって、遠隔履行場所60a、60bは、患者のケアプロバイダー10に薬品依頼を運送するまたは他の方法で物理的手段により発送することができる。それゆえに、遠隔履行場所は、専用の運搬車両および/または第三者の配達サービスを利用してもよい。いずれにしても、薬品依頼を物理的手段により発送する方式は、薬品依頼の輸送に関連したデータの追跡を含んでいてもよい。
【0070】
1つの実施態様では、遠隔履行場所は、患者のケアプロバイダー10に1つまたはそれ以上の薬品依頼をまとめて送付してもよい。これに関し、キットが、遠隔履行場所から患者のケアプロバイダー10に送付されてもよい。キットは、同じ患者のケアプロバイダー10に向かうことになる複数の薬品依頼を含んでいてもよい。それゆえに、キットは、キット識別表示を含んでいてもよい。キットに配された各々の薬品依頼は、キット識別表示に相関付けられてもよい。これに関し、キットが患者のケアプロバイダーに、一旦、受け取られると、キット識別表示が、キットに関連する複数の薬品依頼の各々が同様に受け取られたことを決定するために用いられてもよい。さらにまた、キットに関連すると識別された薬品依頼のいずれかの1つも、キットに関連する他の薬品依頼の各々が受け取られていることを示してもよい。
【0071】
したがって、遠隔履行場所も、薬品依頼管理ネットワーク80に対してキット識別表示およびキットに関連した相関薬品依頼を提供してもよい。それを受けて、キット識別表示およびキットに関連した相関薬品依頼に関するデータは、患者のケアプロバイダー10および/または保存用の薬品依頼データベース90に提供されてもよい。
【0072】
1つの実施態様では、各々の履行場所は、薬品依頼管理クライアントを含んでいてもよい。薬品依頼管理クライアントは、薬品依頼管理ネットワーク80と作動通信することができ、薬品依頼管理クライアントは、薬品依頼管理ネットワーク80と薬品依頼に対応するデータを受信/送信するように作動可能である。これに関し、薬品依頼管理クライアントは、上記の通り、薬品依頼メタデータを生成または文書化するように、薬品依頼に関連する薬品の調製を支援するために履行場所によって利用され得る。
【0073】
図2は、薬品依頼に対する調製および/または管理を支援するために履行場所200において用いられてもよい薬品依頼作成管理クライアント210の実施態様を図示する。クライアント210は、履行場所におけるシック・クライアント又はシン・クライアントであってもよい。たとえば、クライアント210は、履行場所においてウエブ上のサービスにアクセスすることによりデバイス上で実行されるウエブブラウザーなどのシン・クライアントであってもよい。これに関し、依頼受領インターフェース220が、薬品依頼を受け取るように設けられてもよい。上記にしたがう限り、依頼受領インターフェース220は、依頼ルータ40と直接通信してもよくまたは薬品依頼管理ネットワーク80を経由して依頼ルータ40と作動可能に通信していてもよい。
【0074】
薬品依頼は、依頼作成管理システム230に伝えられてもよい。依頼作成管理システム230は、薬品依頼作成管理クライアント210において受け取られた薬品依頼を体系化232するように作動可能であってもよい。体系化は、薬品依頼の体系化または管理に関連する優先順位付け、スケジュール作成または他の作業を含んでいてもよい。依頼作成管理システム230は、適切なワークステーション240に薬品依頼を送る234ように作動可能であってもよい。これに関し、異なる作業またはワークフローに各々が適してもよい複数のワークステーション240が設けられてもよい。それゆえに、薬品依頼の性質に応じて、特定のタイプのワークステーション240が、依頼を作成するために用いられてもよい。
【0075】
これに関し、薬品依頼作成管理システム230は、1つまたはそれ以上のワークステーション240と作動通信していてもよい。薬品依頼を送る234ことは、薬品の性質またはタイプおよび種々のワークステーション240の能力に少なくとも一部が基づいてもよい。1つの実施態様では、たとえば、技術者のスケジュール、ワークステーションスケジュール、ワークステーション位置または他の情報などの他のパラメータは、特定のワークステーション240に薬品依頼を送る234ために単独でまたは組み合わせて用いられてもよい。
【0076】
ワークステーション240において、薬品依頼の作成に使用するためのワークフローが調製242されてもよい。これに関し、ワークステーション240において現在作成されている薬品依頼に特定のワークフローが、ワークステーション240においてユーザに対して作成または提示されてもよい。したがって、ユーザは提示された作成済みのワークフローに基づいて薬品依頼に対応する薬品を調製するための一連の工程に従ってもよい。
【0077】
薬品依頼の作成中および/または作成後に、ワークステーション240は、医療指示の作成をチェック244するのを支援するように用いられてもよい。たとえば、ワークステーション240は、薬品の調製に関する文書の記録、たとえば、製品のバーコードスキャン、薬品を調製するにあたって使用中または使用後の装置の画像、または薬品の調製に関するその他の情報などの記録を可能にしてもよい。このデータは、上記の薬品依頼メタデータの少なくとも一部に対応してもよい。
【0078】
チェック244のために収集されたこのような情報は、薬品依頼が履行場所200から出る前に、作成された薬品依頼を薬剤師が確認できるように、適切な人材(薬剤師など)が見る目的で保存されてもよい。1つの実施態様では、ワークステーション240において収集された情報および/またはデータは、ネットワーク(薬品依頼管理ネットワーク80など)を介して薬剤師が利用できるようにされてもよい。これに関し、択一的または追加の薬剤師(患者のケアプロバイダー10における薬剤師など)が、薬品依頼の履行に関連する薬品の同時または追加の審査を提供してもよいことも理解されよう。いずれにせよ、薬品依頼の確認に携わる薬剤師は、ネットワーク80を介して情報および/またはデータに遠隔で(例:履行場所ではあるが薬品が調製された部屋の外、或いは、履行場所敷地内から完全に離れた場所)アクセスしてもよい。
【0079】
一旦、薬品依頼が作成242済みのワークフローに従って作成されてワークステーション240においてチェックされる242と、薬品依頼作成管理システム230は、薬品依頼データベース90に保存および/または患者のケアプロバイダー10に対する許可を目的として薬品依頼管理ネットワーク80に薬品依頼メタデータを送付してもよい。それを受けて、薬品依頼作成管理システム230は、患者のケアプロバイダー10への薬品依頼の発送238を管理してもよい。これに関し、薬品依頼作成管理システム230は、薬品依頼管理ネットワーク80に薬品依頼に関するデータを提供することに加えて、患者のケアプロバイダー10に薬品依頼を物理的手段で発送することを監視してもよい。
【0080】
患者のケアプロバイダーは、患者のケアに要する薬品の提供源へのアクセスが現状では制限されている。この制限は、各々の特定のタイプの薬品に関する静的選択のみができるこれらのシステムとプロセスの現行の制限に主に由来する。これらの静的選択は、完全に手動の調達/評価プロセスを通して決定されることが多く、一時的に再検討されるだけである。このことは、提供者の薬品に対するニーズを満たす最適コストより高い結果になることが多く、異なる調達アプローチを必要とする事象-著しい供給/需要変化を生じる薬剤不足または局所的事態など-に効率的かつ迅速に応えるための患者のケアプロバイダーの能力を著しく制限する。
【0081】
本発明を実施すると、患者のケアプロバイダーは、各々の特定のタイプの薬品の提供源を選択するために一連の動的に適用されるルールを規定できることになる。この動的応答能力は、薬品に対するニーズを時間的により信頼性のある形で満たすことが可能となり、局所的事象および供給の問題に対してより効率的かつ効果的な応答が可能となり、そして、新たな提供源を考慮した低コストの薬品が可能になる。
【0082】
本発明の上記の説明は、例示と説明を目的として提示されているものである。さらにまた、この説明は、本明細書に開示された形態に本発明を限定することを意図してはいない。それゆえに、上記の教示と相応である変更と変形および関連技術の技能と知識は、本発明の範囲内にある。上記の実施態様は、本発明を実施する既知のモードについて説明し、当業者がこのようなまたは他の実施態様においておよび本発明の単数または複数の特定の適用または用途により必要とされる種々の変形を伴って本発明を利用できるようにすることがさらに意図されている。添付された請求項は、先行技術により可能とされる範囲で択一的な実施態様を含むと解釈されるものであることが意図されている。