(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】高い耐応力亀裂性及び優れた加工性のためのポリオレフィン樹脂ブレンド
(51)【国際特許分類】
C08L 23/04 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
C08L23/04
(21)【出願番号】P 2021516688
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(86)【国際出願番号】 EP2019074614
(87)【国際公開番号】W WO2020064380
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-05-26
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517301210
【氏名又は名称】タイ ポリエチレン カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】514163756
【氏名又は名称】エスシージー ケミカルズ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】トライラヌン,サランヤ
(72)【発明者】
【氏名】ナンタセットフォング,ウイロウ
(72)【発明者】
【氏名】チーヴァスリラングラング,ワチャリー
【審査官】今井 督
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02746334(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン組成物であって、溶融ブレンドを含み、前記溶融ブレンドが、
a)第1のマルチモーダルポリエチレンであって、90,000越~200,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する中重量平均分子量又は200,000越~1,000,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する高重量平均分子量を有し、ISO1183による密度が0.950超~0.965g/cm
3であり、ISO1133によるMFR
2が0.3~2.0g/10分である、第1のマルチモーダルポリエチレン、及び
b)第2のマルチモーダルポリエチレンであって、200,000越~1,000,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する高重量平均分子量を有し、ISO1183による密度が0.940~0.950g/cm
3であり、ISO1133によるMFR
2が0.03~0.15g/10分である、第2のマルチモーダルポリエチレン
を含み、
ここで、ポリマー組成物は、ISO16770によるフルノッチクリープ試験(FNCT)が少なくとも58時間であり、ISO179による23℃の温度でのシャルピー衝撃強度が少なくとも4kJ/m
2であり、
前記第1のマルチモーダルポリエチレンがトリモーダルポリエチレンであって、前記第2のマルチモーダルポリエチレンがトリモーダルポリエチレンであるか、または、前記第1のマルチモーダルポリエチレンがバイモーダルポリエチレンであって、前記第2のマルチモーダルポリエチレンがトリモーダルポリエチレンであるか、または、前記第1のマルチモーダルポリエチレンがトリモーダルポリエチレンであって、前記第2のマルチモーダルポリエチレンがバイモーダルポリエチレンであり、
前記トリモーダルポリエチレンが、
(A)前記トリモーダルポリエチレンの総重量に基づいて30~65重量%の低分子量ポリエチレンであって、ISO1133によるMFR
2が500~1,000g/10分であり、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量(Mw)が20,000~90,000g/モルである、低分子量ポリエチレン、
(B)前記トリモーダルポリエチレンの総重量に基づいて5~40重量%の、200,000越~1,000,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する第1の高分子量ポリエチレン、及び
(C)前記トリモーダルポリエチレンの総重量に基づいて20~60重量%の、200,000越~1,000,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する第2の高分子量ポリエチレン
を含み、
前記第1の高分子量ポリエチレン及び第2の高分子量ポリエチレンは重量平均分子量が異なる、ポリエチレン組成物。
【請求項2】
前記ポリマー組成物のFNCTが58~100時間である、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項3】
前記ポリエチレン組成物の23℃の温度でのシャルピー衝撃強度が4~10kJ/m
2である、請求項1又は2に記載のポリエチレン組成物。
【請求項4】
前記バイモーダルポリエチレンが、前記バイモーダルポリエチレンの総重量に基づいて、それぞれ、40~60重量%のエチレンホモポリマー及び40~60重量%のエチレンコポリマーを含み、前記エチレンコポリマーが、前記エチレンコポリマー中のモノマーの総量に対して少なくとも0.30モル%の量のコモノマーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項5】
前記コモノマーが、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される、
請求項4に記載のポリエチレン組成物。
【請求項6】
前記バイモーダルポリエチレンのISO1133によるMFR
2が0.02~1.0g/10分であり、且つ/又はISO1138による密度が0.945~0.960g/cm
3である、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項7】
前記バイモーダルポリエチレンのゲル浸透クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量が100,000~400,000g/モルである、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項8】
前記トリモーダルポリエチレンのゲル浸透クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量が80,000~500,000g/モルである、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項9】
前記溶融ブレンドが、前記溶融ブレンドの総重量に基づいて、それぞれ、70~97重量%の前記第1のマルチモーダルポリエチレンと、3~30重量%の前記第2のマルチモーダルポリエチレンとを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項10】
ISO1133によるMFR
2が0.05~2.0g/10分である、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項11】
ISO1183による密度が0.945~0.960g/cm
3である、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項12】
ゲル浸透クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量が80,000~500,000g/モルであり、且つ/又は多分散指数が10~25である、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な分子量及び密度のエチレンポリマーのブレンドを含むポリマー組成物に関する。より具体的には、本発明は、射出成形、圧縮成形、及びブロー成形から得られる成形品、特に、このポリマー組成物を含むキャップ及びクロージャー(closure)に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第2746334号は、99.0~99.5重量%の低分子量バイモーダルHDPE成分と0.5~10重量%の高分子量バイモーダルHDPEとを含むポリエチレンブレンドであって、ブレンドの密度が少なくとも940kg/m3であり、50℃、6MPaでのフルノッチクリープ試験(ISO16770)によって測定されるFNCTが少なくとも30時間である、改善されたESCRを有するポリエチレンブレンドを開示している。
【0003】
米国特許第6,822,051号は、約200時間以上のNCTL耐応力亀裂性を有するバイモーダル高分子量HDPEと、24時間のNCTL耐応力亀裂性を有するHDPEとを含むポリマーブレンドを開示している。このブレンドの組成物は、プロファイル、パイプ、化学廃棄物の用途、例えば衛生下水道又は灌漑配管システムに使用することができる。
【0004】
米国特許第3,717,054号は、波形HDPEパイプの製造に使用される、向上した物性、加工性、及び耐環境応力亀裂性を有する溶融ブレンドHDPE組成物を開示している。
【0005】
米国特許第7867588号は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状中低密度ポリエチレン樹脂、及び高密度ポリエチレンの溶融ブレンドであって、密度が0.945~0.960g/cm3、メルトフローインデックスが0.1~0.4であり、雨水管の製造及び衛生下水道用途に使用することができる溶融ブレンドに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許第2746334号
【文献】米国特許第6,822,051号
【文献】米国特許第3,717,054号
【文献】米国特許第7867588号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ポリマー組成物を提供することを目的とする。このポリマー組成物は、従来技術の欠点を克服し、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、及び押出しから成形粒子、特に容器のクロージャーを製造するのに特に適しており、剛性と加工性との良好なバランスを伴いつつ特に耐応力亀裂性に関して従来技術の欠点を克服し、例えばキャップにおける高い耐応力亀裂性、及び射出中の良好な加工性を達成する。この目的は、独立請求項に従って達成される。好ましい実施形態は、従属項から生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、ポリエチレン組成物であって、溶融ブレンドを含み、溶融ブレンドが、a)第1のマルチモーダルポリエチレンであって、中程度の重量平均分子量又は高い重量平均分子量を有し、ISO1183による密度が0.950超~0.965g/cm3であり、ISO1133によるMFR2が0.3~2.0g/10分、好ましくは0.8~10.0g/10分である、第1のマルチモーダルポリエチレン、及びb)第2のマルチモーダルポリエチレンであって、高い重量平均分子量を有し、ISO1183による密度が0.940~0.950g/cm3であり、ISO1133によるMFR2が0.03~0.15g/10分、好ましくは0.003~0.05g/10分である、第2のマルチモーダルポリエチレンを含み、ここで、ポリマー組成物は、ISO16770によるフルノッチクリープ試験(FNCT)が少なくとも58時間であり、ISO179による23℃の温度でのシャルピー衝撃強度が少なくとも4kJ/m2である、ポリエチレン組成物によって特に達成される。
【0009】
驚くべきことに、本発明のポリエチレン組成物は、公知の樹脂と比較して、耐応力亀裂性、剛性、及び加工性のバランスがより良好であることが本発明者らによって見出された。本発明によって、本明細書で定義される第1のマルチモーダルポリエチレンと第2のマルチモーダルポリエチレンとのブレンドが、射出成形、押出成形、圧縮成形、及びブロー成形中に望ましい機械特性及び加工性の両方を示すことが見出された。これらの効果は、以下に述べる準備された実施形態(又は好ましい実施形態の組み合わせ)についてさらに顕著である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、「からなる(consisting of)」であり得る。例えば、溶融ブレンドを含むポリエチレン組成物は、溶融ブレンドからなるポリエチレン組成物であり得る。
【0011】
一実施形態では、ポリマー組成物のFNCTは、58~100時間、好ましくは60~90時間、より好ましくは60~85時間、最も好ましくは60~77時間である。
【0012】
別の実施形態では、ポリエチレン組成物の23℃の温度でのシャルピー衝撃強度は、4~10kJ/m2、好ましくは4.5~9kJ/m2、より好ましくは5~9kJ/m2、最も好ましくは5.5~9kJ/m2である。
【0013】
さらに、第1のマルチモーダルポリエチレンはバイモーダルポリエチレン又はトリモーダルポリエチレンであり、第2のマルチモーダルポリエチレンはバイモーダルポリエチレン又はトリモーダルポリエチレンであり、好ましくは第1のマルチモーダルポリエチレン及び第2のマルチモーダルポリエチレンのうちの一方はバイモーダルポリエチレンであり、第1のマルチモーダルポリエチレン及び第2のマルチモーダルポリエチレンのうちの他方はトリモーダルポリエチレンであり、さらに好ましくは第1のマルチモーダルポリエチレンはバイモーダルポリエチレンであり、第2のマルチモーダルポリエチレンはトリモーダルポリエチレンである。
【0014】
さらに好ましくは、第1のマルチモーダルポリエチレンはバイモーダルポリエチレンであり、第2のマルチモーダルポリエチレンはトリモーダルポリエチレンである。
【0015】
好ましい一実施形態では、バイモーダルポリエチレンは、それぞれバイモーダルポリエチレンの総重量に基づいて、40~60重量%、好ましくは54~55重量%のエチレンホモポリマー及び40~60重量%、好ましくは45~55重量%のエチレンコポリマーを含み、エチレンコポリマーは、エチレンコポリマー中のモノマーの総量に対して少なくとも0.30モル%、好ましくは0.30~1.0モル%、さらに好ましくは0.40~10モル%の量のコモノマーを含む。
【0016】
より好ましくは、コモノマーは、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは1-ブテンである。
【0017】
さらなる実施形態では、バイモーダルポリエチレンのISO1133によるMFR2は0.02~1.0g/10分、好ましくは0.3~1.0g/10分であり、且つ/又はISO1138による密度は0.945~0.960g/cm3である。
【0018】
別の実施形態では、バイモーダルポリエチレンのゲル浸透クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量は、100,000~400,000g/モル、好ましくは120,000~350,000g/モル、さらに好ましくは140,000~320,000g/モルである。
【0019】
好ましくは、トリモーダルポリエチレンは、
(A)トリモーダルポリエチレンの総重量に基づいて、30~65重量%、好ましくは43~65重量%、最も好ましくは44~60重量%の低分子量ポリエチレンであって、ISO1133によるMFR2が500~1,000g/10分であり、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量(Mw)が20,000~90,000g/モルである、低分子量ポリエチレン、
(B)トリモーダルポリエチレンの総重量に基づいて、5~40重量%、好ましくは10~20重量%、最も好ましくは10~15重量%の第1の高分子量ポリエチレン又は第1の超高分子量ポリエチレン、及び
(C)トリモーダルポリエチレンの総重量に基づいて、20~60重量%、好ましくは25~60重量%、最も好ましくは35~55重量%の第2の高分子量ポリエチレン又は第2の超高分子量ポリエチレン
を含む。
【0020】
第1、第2、及び第3の反応器内のトリモーダル重合は、異なる処理条件下で行われる。結果として、各反応器で得られるポリエチレンは、異なる分子量を有する。これらは、気相中のエチレン及び水素の濃度、温度、又は各反応器に供給されるコモノマーの量の差であり得る。所望の特性、特に所望の分子量のそれぞれのホモポリマー又はコポリマーを得るための適切な条件は、当分野で周知である。当業者であれば、自身の一般的な知識に基づいて、それぞれの条件をこれに基づいて選択することができる。好ましくは、低分子量ポリエチレン又は中分子量ポリエチレンは、第1の反応器内で製造され、一方、高分子量ポリエチレン又は超高分子量ポリエチレンは、それぞれ第2及び第3の反応器内で製造される。
【0021】
第1の反応器という用語は、低分子量ポリエチレン又は中分子量ポリエチレンが製造される段階を指す。第2の反応器という用語は、第1の高分子量ポリエチレン又は超高分子量ポリエチレンが製造される段階を指す。第3の反応器という用語は、第2の高分子量ポリエチレン又は超高分子量が製造される段階を指す。
【0022】
低分子量ポリエチレンポリマー(LMW)という用語は、重量平均分子量(Mw)が20,000超~90,000g/モルである重合エチレンモノマーを意味する。
【0023】
中分子量ポリエチレンポリマー(MMW)という用語は、重量平均分子量(Mw)が90,000超~200,000g/モルである重合エチレンモノマーを意味する。
【0024】
高分子量ポリエチレンポリマー(HMW1)という用語は、重量平均分子量(Mw)が200,000超~1,000,000g/モルである重合エチレンモノマーを意味する。
【0025】
超高分子量ポリエチレンポリマー(HMW2)という用語は、重量平均分子量(Mw)が1,000,000超~5,000,000g/モルである重合エチレンモノマーを意味する。
【0026】
LMW又はMMWは、ホモポリマーを得るために、コモノマーの非存在下で第1の反応器内で製造される。さらに、MMW、HMW1、又はHMW2エチレンコポリマーは、第2及び第3の反応器内で製造される。共重合に有用なα-オレフィンコモノマーとしては、C4~12の、好ましくは1-ブテン及び1-ヘキセンが挙げられ、最も好ましくは1-ブテンである。
【0027】
より好ましくは、トリモーダルポリエチレンのゲル浸透クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量は、80,000~500,000g/モル、好ましくは80,000~400,000g/モル、好ましくは150,000~350,000g/モル、最も好ましくは150,000~300,000g/モルである。
【0028】
マルチモーダルポリエチレンの調製
本発明のマルチモーダルポリエチレンは、チーグラー・ナッタ触媒又はシングルサイト又はメタロセン触媒を使用して、少なくとも2段以上の重合の連続多段スラリー重合を使用して調製され得る。
【0029】
バイモーダルポリエチレンの調製
バイモーダルポリエチレンは、チーグラー・ナッタ触媒を使用して、ヘキサン希釈剤での連続二段スラリー重合を使用して製造され得る。このエチレンは、低平均分子量(LMW)画分であるポリエチレンホモポリマー画分を得るために、コモノマーの非存在下で第1の反応器内で重合させられる。このLMWポリエチレンは、密度が0.965g/cm3より高く、MFR2が10~1000g/10分の範囲、より好ましくは100~900g/10分の範囲にある。第1の反応器内の温度は70~90℃、好ましくは80~85℃の範囲にある。ポリエチレンの分子量を制御するために、水素が第1の反応器に供給される。第1の反応器は、250~900kPa、好ましくは400~850kPaの圧力で操作される。
【0030】
第二に、エチレンは、α-オレフィンコモノマーを伴うか伴わずに重合させられて、第1の反応器から得られるLMWポリエチレンの存在下で、高分子量画分である高分子量(HMW)ポリエチレンを形成することができる。共重合に有用なα-オレフィンコモノマーとしては、C4~12の、好ましくは1-ブテン及び1-ヘキセンが挙げられ、より好ましくは1-ブテンである。第2の反応器の重合条件は、第1の反応器の重合条件とは著しく異なる。第2の反応器内の温度は、65~90℃、好ましくは68~80℃の範囲にある。第2又は第3の反応器内の重合圧力は、100~3000kPa、好ましくは150~900kPa、より好ましくは150~400kPaの範囲にある。
【0031】
トリモーダルポリエチレンの調製
トリモーダルポリエチレンは、チーグラー・ナッタ触媒を使用して、ヘキサン希釈剤での連続三段スラリー重合を使用して製造され得る。このエチレンは、密度が0.965g/cm3より高く、MFR2がLMWでは10~1000g/10分、より好ましくは100~900g/10分の範囲、MMWでは0.1~10g/10分の範囲にある高密度LMWポリエチレン又はMMWポリエチレンを得るために、コモノマーの非存在下で第1の反応器内で重合させられる。第1の反応器内の温度は70~90℃、好ましくは80~85℃の範囲にある。ポリエチレンの分子量を制御するために、水素が第1の反応器に供給される。気相中の水素とエチレンとのモル比は、目標とするMFRに応じて様々であり得る。ただし、好ましいモル比は、0.01~8.0、より好ましくは0.01~6.0の範囲にある。第1の反応器は、250~900kPa、好ましくは400~850kPaの圧力で操作される。場合によっては、第1の反応器から得られた重合ポリエチレンに含まれる未反応水素は、第2の反応器に移される前に、98.0~99.8重量%の水素量、好ましくは98.0~99.5重量%の水素量、最も好ましくは98.0~99.1重量%の水素量まで除去される。
【0032】
第2又は第3の反応器の重合条件は、第1の反応器の重合条件とは著しく異なる。第2及び第3の反応器内の温度は、65~90℃、好ましくは68~80℃の範囲にある。第2又は第3の反応器内の重合圧力は、100~3000kPa、好ましくは150~900kPa、より好ましくは150~400kPaの範囲にある。
【0033】
第2及び第3の反応器において、エチレンは、α-オレフィンコモノマーを伴うか伴わずに重合させられて、第1の反応器から得られるLMWポリエチレン又はMMWポリエチレンの存在下で、HMW1又はHMW2ポリエチレンを形成することができる。共重合に有用なα-オレフィンコモノマーとしては、C4~12の、好ましくは1-ブテン及び1-ヘキセンが挙げられ、より好ましくは1-ブテンである。
【0034】
溶融ブレンドが1つを超えるバイモーダルポリエチレン又は1つを超えるトリモーダルポリエチレンを含む場合、すなわち、第1及び第2のマルチモーダルポリエチレンの両方がバイモーダルポリエチレンである場合、又は第1及び第2のマルチモーダルポリエチレンの両方がトリモーダルポリエチレンである場合、これらのバイモーダル又はトリモーダルポリエチレンのそれぞれは、互いに独立して、上記の好ましい条件のうち1つ又はそれ以上を満たし得る。
【0035】
好ましい一実施形態では、溶融ブレンドは、それぞれ溶融ブレンドの総重量に基づいて、70~97重量%、好ましくは80~95重量%の第1のマルチモーダルポリエチレンと、3~30重量%、好ましくは5~20重量%の第2のマルチモーダルポリエチレンとを含む。
【0036】
好ましい一実施形態では、ポリエチレン組成物は、ISO1133によるMFR2が0.05~2.0g/10分、好ましくは0.1~2.0g/10分、より好ましくは0.3~1.5g/10分、さらに好ましくは0.3~1.0g/10分である。
【0037】
より好ましい実施形態では、ポリエチレン組成物は、ISO1183による密度が0.945~0.960g/cm3、好ましくは0.950~0.959g/cm3、さらに好ましくは0.952~0.957g/cm3である。
【0038】
最も好ましい実施形態では、ポリエチレン組成物は、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量が、80,000~500,000g/モル、好ましくは80,000~400,000g/モル、最も好ましくは100,000~200,000g/モルであり、且つ/又は多分散指数が、10~25、好ましくは15~22である。
【0039】
本発明の目的は、本発明のポリエチレン組成物を含む物品によってさらに達成される。
【0040】
これに関して、物品は、ブロー成形品、パイプ、フィルム、キャップ、クロージャー、ワイヤ、ケーブル、及びシートから選択されるものであることが好ましい。
【0041】
好ましくは、物品は、射出成形、押出成形、ブロー成形、又は圧縮成形によって得られる。
【0042】
本発明によれば、上記の実施形態のうちの2つ以上を組み合わせた、本発明のポリエチレン組成物の調製がもたらされ得る。
【0043】
本発明に関して、溶融ブレンドは、それぞれの構成成分を溶融し、溶融した構成成分を混合することによって得られる、2つ以上の構成成分のブレンドである。
【0044】
本明細書で使用される「マルチモーダル」という用語は、特に明記しない限り、分子量分布に関するマルチモーダル性を指す。通常、少なくとも2つのポリエチレン画分を含むポリエチレン組成物であって、それらの画分が異なる重合条件下で製造され、結果として画分の(重量平均)分子量及び分子量分布が異なるポリエチレン組成物は、「マルチモーダル」と呼ばれる。接頭辞「マルチ」は、ポリマー中に存在する識別可能なポリマー画分の数に関する。本明細書では、接頭辞「マルチ」を使用して、ポリマー中の2つ若しくは3つ、又は3つを超える識別可能な成分、好ましくは2つ若しくは3つの成分を指すことがある。マルチモーダルポリマーの分子量分布曲線の形状、すなわち、その分子量の関数としてのポリマー重量分率のグラフの外観は、しばしば2つ以上の極大値を示すか、又は典型的には個別の画分の曲線と比較して明確に広がっている。
【0045】
本明細書で使用されるバイモーダルという用語は、先に説明したとおり、ポリマー中に識別可能な2つの成分を含むマルチモーダルポリマーを指す。本明細書で使用されるトリモーダルという用語は、先に定義したとおり、ポリマー中に識別可能な3つの成分を含むマルチモーダルポリマーを指す。
【0046】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び実施例から得ることができる。
【0047】
定義及び測定方法
MFR2及びMFR5:ポリマーの流動性を決定するポリマーのメルトフローレートは、2.16及び5kgの荷重で190℃の試験条件下でISO1133に従って測定し、g/10分単位で示した。
【0048】
密度:ポリマーの密度は、ペレットが液柱勾配管に沈むレベルを、公知の密度を有する標準と比較して観察することによって測定した。この方法は、ISO1183-2に従って100℃でアニーリングした後の固体プラスチックの測定である。
【0049】
コモノマー含有量:コモノマー含有量は、高分解能13C-NMRによってモル%単位で測定した。13C-NMRスペクトルを、極低温10mmプローブを用いて500MHz ASCENDTM、Brukerで記録した。TCBを主要溶媒として使用し、TCE-d2をロック剤(locking agent)として4:1の体積比で使用した。NMR実験を120℃で実施し、パルス角90°でパルスプログラムの逆ゲート13C(zgig)を用いた。完全スピンの回復のために、遅延時間(D1)を10秒に設定した。
【0050】
多分散指数(PDI)及び分子量:重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及びZ平均分子量(Mz)をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)でg/モル単位で分析した。多分散指数はMw/Mnで計算した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC):約8mgの試料を8mlの1,2,4-トリクロロベンゼンに160℃で90分間溶解した。次いで、試料溶液200μlを、赤外線検出器(Polymer Char)であるIR5を備えた高温GPCに、カラムゾーンでは145℃、検出器ゾーンでは160℃で0.5ml/分の低速で注入した。データは、GPC One(登録商標)ソフトウェア、Polymer Charで処理した。
【0051】
結晶化度:結晶化度は、ASTM D 3418に準拠した示差走査熱量測定(DSC)による特性評価にしばしば使用される。試料をピーク温度及びエンタルピーによって同定し、ピーク面積から結晶化度%を計算した。
【0052】
ずり減粘指数(Shear thinning index)[1/100](SHI[1/100]):レオロジーパラメーターは、Anton-Paarからの制御応力レオメーターMCR-301型を使用して測定する。形状は、測定間隔1mmの直径25mmのプレート/プレートである。動的振動せん断は、窒素雰囲気下190℃で角周波数(ω)0.01~600rad/秒で実施する。試料の調製は、190℃で圧縮成形することにより、25mmの円板になるように実施する。ずり減粘指数は、特定のせん断速度1[1/秒]及び100[1/秒]での複素粘度の比から得られる。
【0053】
引張弾性率:試験片(タイプ1B)を圧縮し、ISO527-2に従って試験を実施した。引張弾性率は、速度1mm/分で引張モードで万能引張試験機を使用して行った。
【0054】
シャルピー衝撃強度:シャルピー衝撃強度試験をISO179に従って実施して、材料の耐衝撃性を測定した。その衝撃エネルギーを測定する。通常、ノッチ付き試料を使用して23℃の温度での衝撃エネルギーを測定する。
【0055】
フルノッチクリープ試験(FNCT):ISO16770によるフルノッチクリープ試験は、2%Arkopal溶液中50℃で6MPaの定荷重でのポリマーの耐応力亀裂性を測定するための好ましい方法であった。
【実施例】
【0056】
以下に記載する例示的なポリエチレン組成物を、「マルチモーダルポリエチレンの調製」に関する上述の概説に従って調製した。各実施例の組成物は、表1及び表2に示すように、異なる成分及び配合を使用して、温度220℃で二軸押出機による溶融ブレンド技法を使用して調製した。各実施例のポリマーブレンド組成物の特性を表3に示す。
【0057】
比較例1
比較例1は、表1の成分#4に示すポリマー組成物を有する反応器から、チーグラー・ナッタ触媒から製造されたトリモーダルポリエチレン組成物である。第1のエチレンホモポリマー、第2のエチレンコポリマー、及び第3のエチレンコポリマーの%重量分率比は50:10:40である。比較例1は、組成物中のコモノマーとして1-ブテンを使用している。
【0058】
実施例1(本発明例)
実施例1は、それぞれ重量分率80%の第1のバイモーダルポリエチレン(成分#1)及び重量分率20%の第2のバイモーダルポリエチレン(成分#2)から溶融ブレンドすることによって調製した。成分#1は、チーグラー・ナッタ触媒系のバイモーダルポリエチレンであり、第1のエチレンホモポリマーと第2のエチレンコポリマーとの重量分率比は50:50である。成分#2も、チーグラー・ナッタ触媒系のバイモーダルポリエチレンであり、第1のエチレンホモポリマーと第2のエチレンコポリマーとの重量分率比は52:48である。成分#1及び成分#2は、組成物中のコモノマーとしていずれも1-ブテンを使用しており、成分#1及び成分#2の詳細な特性を表1に示す。
【0059】
実施例2~3(本発明例)
実施例2~3は、それぞれ重量分率85、90%の第1のバイモーダルポリエチレン(成分#1)及び重量分率15、10%の第2のトリモーダルポリエチレン(成分#3)から溶融ブレンドすることによって調製した。成分#3は、スラリー重合から製造された、チーグラー・ナッタ触媒系のトリモーダルポリエチレンであり、第1のエチレンホモポリマーと第2のエチレンコポリマーと第3のエチレンコポリマーとの重量分率比は43:19:38であり、コモノマーとして1-ブテンを使用している。成分#3の詳細な特性を表1に示す。
【0060】
実施例4(本発明例)
実施例4は、それぞれ重量分率80%の第1のトリモーダルポリエチレン(成分#4)及び重量分率20%の第2のバイモーダル(成分#2)から溶融ブレンドすることによって調製した。
【0061】
表3に示す結果は、本発明の試料(実施例1~4)が、剛性及び加工性を損なうことなく、フルノッチクリープ試験(FNCT)の2倍を超える結果に示されるように、有意に高い耐応力亀裂性を有し、また23℃でのシャルピー衝撃強度に示されるように、トリモーダルポリエチレン樹脂、すなわち比較例1よりも高い衝撃強度を有することを示した。ポリマーブレンドのより高い耐応力亀裂性及び衝撃強度は、比較例1と比較してより高いコモノマー含有量と、加えてより広いPDIに示されるより多量の高分子量部分に由来する。
【0062】
さらに、これらの本発明の実施例はまた、比較例1よりも低いMFR範囲を示すものの、SHI[1/100]によってバランスの取れた加工性を示す。非ニュートン性指数、すなわちSHI[1/100]が高いほど、押出成形、射出成形、及びブロー成形による加工性が優れていることを意味する。
【0063】
これらのポリマー特性から、成形品について利点があり得る。
【表1】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
比較例2は、表4に示すように、50重量%の第1のマルチモーダルポリエチレンと50重量%の第2のマルチモーダルポリエチレンとを含み、表5に示すように、23℃でのシャルピー衝撃強度は11.38kg/m2、FNCTは130時間、MFR2は0.07g/10分である(請求項12において、ポリエチレン組成物のMFR2は、0.05~2.0g/10分の範囲にある)。一般に第1のマルチモーダルポリエチレンよりも高分子量である第2のマルチモーダルポリエチレンの添加量がより多いと、結果としてESCR及び衝撃強度は増加し、MFR2は減少する。
【0069】
ESCR及び衝撃強度が高く、MFR2が低いブレンドは、加工性のバランスを取ることにおいて不利な点がある。したがって、上記のシャルピー衝撃強度及びMFR2を有する比較例2は、本発明による好ましい実施形態の範囲から逸脱しており、注射キャップ及びクロージャー用途にはあまり適していない。
【0070】
前述の記載及び特許請求の範囲に開示された特徴は、個別の場合及び任意の組み合わせの場合の両方において、本発明をその多様な形態で実現するために重要であり得る。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
ポリエチレン組成物であって、溶融ブレンドを含み、前記溶融ブレンドが、
a)第1のマルチモーダルポリエチレンであって、中重量平均分子量又は高重量平均分子量を有し、ISO1183による密度が0.950超~0.965g/cm3であり、ISO1133によるMFR2が0.3~2.0g/10分である、第1のマルチモーダルポリエチレン、及び
b)第2のマルチモーダルポリエチレンであって、高重量平均分子量を有し、ISO1183による密度が0.940~0.950g/cm3であり、ISO1133によるMFR2が0.03~0.15g/10分である、第2のマルチモーダルポリエチレン
を含み、
ここで、ポリマー組成物は、ISO16770によるフルノッチクリープ試験(FNCT)が少なくとも58時間であり、ISO179による23℃の温度でのシャルピー衝撃強度が少なくとも4kJ/m2である、ポリエチレン組成物。
項2.
前記ポリマー組成物のFNCTが、58~100時間、好ましくは60~90時間、より好ましくは60~85時間である、項1に記載のポリエチレン組成物。
項3.
前記ポリエチレン組成物の23℃の温度でのシャルピー衝撃強度が、4~10kJ/m2、好ましくは4.5~9kJ/m2、より好ましくは5~9kJ/m2、最も好ましくは5.5~9kJ/m2である、項1又は2に記載のポリエチレン組成物。
項4.
前記第1のマルチモーダルポリエチレンがバイモーダルポリエチレン又はトリモーダルポリエチレンであり、前記第2のマルチモーダルポリエチレンがバイモーダルポリエチレン又はトリモーダルポリエチレンであり、好ましくは前記第1のマルチモーダルポリエチレン及び前記第2のマルチモーダルポリエチレンのうちの一方がバイモーダルポリエチレンであり、前記第1のマルチモーダルポリエチレン及び前記第2のマルチモーダルポリエチレンのうちの他方がトリモーダルポリエチレンであり、さらに好ましくは前記第1のマルチモーダルポリエチレンがバイモーダルポリエチレンであり、前記第2のマルチモーダルポリエチレンがトリモーダルポリエチレンである、項1から3のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
項5.
前記バイモーダルポリエチレンが、前記バイモーダルポリエチレンの総重量に基づいて、それぞれ、40~60重量%、好ましくは45~55重量%のエチレンホモポリマー及び40~60重量%、好ましくは45~55重量%のエチレンコポリマーを含み、前記エチレンコポリマーが、前記エチレンコポリマー中のモノマーの総量に対して少なくとも0.30モル%、好ましくは0.30~1.0モル%の量のコモノマーを含む、項4に記載のポリエチレン組成物。
項6.
前記コモノマーが、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、好ましくは1-ブテン及びそれらの混合物からなる群から選択される、項5に記載のポリエチレン組成物。
項7.
前記バイモーダルポリエチレンのISO1133によるMFR2が0.02~1.0g/10分、好ましくは0.3~1.0g/10分であり、且つ/又はISO1138による密度が0.945~0.960g/cm3である、項4から6のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
項8.
前記バイモーダルポリエチレンのゲル浸透クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量が、100,000~400,000g/モル、好ましくは120,000~350,000g/モル、さらに好ましくは140,000~320,000g/モルである、項4から7のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
項9.
前記トリモーダルポリエチレンが、
(A)前記トリモーダルポリエチレンの総重量に基づいて、30~65重量%、好ましくは43~65重量%、最も好ましくは44~60重量%の低分子量ポリエチレンであって、ISO1133によるMFR2が500~1,000g/10分であり、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量(Mw)が20,000~90,000g/モルである、低分子量ポリエチレン、
(B)前記トリモーダルポリエチレンの総重量に基づいて、5~40重量%、好ましくは10~20重量%、最も好ましくは10~15重量%の超高分子量ポリエチレン、及び
(C)前記トリモーダルポリエチレンの総重量に基づいて、20~60重量%、好ましくは25~60重量%、最も好ましくは35~55重量%の高分子量ポリエチレン
を含む、項4から8のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
項10.
前記トリモーダルポリエチレンのゲル浸透クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量が、80,000~500,000g/モル、好ましくは80,000~400,000g/モル、好ましくは150,000~350,000g/モル、最も好ましくは150,000~300,000g/モルである、項4から9のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
項11.
前記溶融ブレンドが、前記溶融ブレンドの総重量に基づいて、それぞれ、70~97重量%、好ましくは80~95重量%の前記第1のマルチモーダルポリエチレンと、3~30重量%、好ましくは5~20重量%の前記第2のマルチモーダルポリエチレンとを含む、項1から10のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
項12.
ISO1133によるMFR2が0.05~2.0g/10分、好ましくは0.1~2.0g/10分、より好ましくは0.3~1.5g/10分、さらに好ましくは0.3~1.0g/10分である、項1から11のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
項13.
ISO1183による密度が0.945~0.960g/cm3、好ましくは0.950~0.959g/cm3、さらに好ましくは0.952~0.957g/cm3である、項1から12のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
項14.
ゲル浸透クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量が、80,000~500,000g/モル、好ましくは80,000~400,000g/モル、最も好ましくは100,000~200,000g/モルであり、且つ/又は多分散指数が、10~25、好ましくは15~22である、項1から13のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
項15.
項1から14のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物を含む物品であって、好ましくはブロー成形品、パイプ、フィルム、キャップ、クロージャー、ワイヤ、ケーブル、又はシートである、物品。