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特許7319427高密度本体及び低密度フェースを有するゴルフクラブヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】高密度本体及び低密度フェースを有するゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20230725BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20230725BHJP
【FI】
A63B53/04 C
A63B53/04 G
A63B53/04 K
A63B102:32
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076647
(22)【出願日】2022-05-06
(62)【分割の表示】P 2017560781の分割
【原出願日】2016-05-23
(65)【公開番号】P2022106917
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】62/165,712
(32)【優先日】2015-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/287,196
(32)【優先日】2016-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コリー ベーコン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ジャーツソン
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/099727(US,A1)
【文献】特開2009-46767(JP,A)
【文献】特開2003-117032(JP,A)
【文献】特開2013-59680(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0078984(KR,A)
【文献】特開平11-57083(JP,A)
【文献】特開2003-126314(JP,A)
【文献】特開2007-117484(JP,A)
【文献】特開2002-186692(JP,A)
【文献】特表2007-525290(JP,A)
【文献】米国特許第6743117(US,B2)
【文献】米国特許第6220971(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00-53/14
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の比重を有する第1の材料を備える本体であって、上部と、前記上部とは反対の下部と、ヒールと、前記ヒールとは反対のトウと、後端部と、を備える、前記本体と、
第2の比重を有する第2の材料を含むストライクフェースと、を備え、
前記本体は、さらに、前記本体の前記上部及び前記ストライクフェースの後面に隣接する第1の支持部材と、前記第1の支持部材から間隔を空けて配置されており、前記本体の下部及び前記ストライクフェースの前記後面に隣接する第2の支持部材と、を備え、
前記第2の比重が前記第1の比重より小さく、
前記第1の比重が7.8以上であり、
前記第1の比重と前記第2の比重との比が1.7以上であり、
前記第1の支持部材の長さが、前記第2の支持部材の長さよりも短く、
前記第1の支持部材の幅が、前記第2の支持部材の幅よりも大きい、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記第1の比重と前記第2の比重との比が1.7~3.5である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記第1の比重が8.0以上である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記第1の比重が9.0以上である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記第1の比重が13.0以上である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記第2の比重が4.6以下である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記クラブヘッドは、ウッド型のクラブヘッドである、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記クラブヘッドは、アイアン型のクラブヘッドである、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記クラブヘッドは、パター型のクラブヘッドである、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
7.8を超える第1の比重を有する第1の材料を備える本体であって、上部と、前記上部とは反対の下部と、ヒールと、前記ヒールとは反対のトウと、後端部と、を備える、前記本体と、
4.6以下の第2の比重を有する第2の材料を備えるストライクフェースと、を備え、
前記第2の比重が前記第1の比重より小さく、
前記第1の比重と前記第2の比重との比が2.0以上であり、
前記第1の材料が、18.0重量%以上のクロムを有する鋼合金を備え、
前記第2の材料が、チタン合金を備える、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記第1の比重と前記第2の比重との比が2.5以上である、請求項10に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記第1の比重と前記第2の比重との比が3.0以上である、請求項10に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記第1の比重と前記第2の比重との比が3.5以上である、請求項10に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
7.8以上の第1の比重を有する第1の材料を備える本体であって、上部と、前記上部とは反対の下部と、ヒールと、前記ヒールとは反対のトウと、後端部と、を備える、前記本体と、
4.6以下の第2の比重を有する第2の材料を含むストライクフェースと、を備え、
前記本体は、さらに、前記本体の前記上部及び前記ストライクフェースの後面に隣接する第1の支持部材と、前記第1の支持部材から間隔を空けて配置されており、前記本体の下部及び前記ストライクフェースの前記後面に隣接する第2の支持部材と、を備え、
前記第2の比重が前記第1の比重より小さく、
前記第1の比重と前記第2の比重との比が1.7以上であり、
前記第2の材料が、チタン合金を備え、
前記第1の支持部材の長さが、前記第2の支持部材の長さよりも短く、
前記第1の支持部材の幅が、前記第2の支持部材の幅よりも大きい、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記第1の材料が、7.5重量%以上のタングステンと、7.5重量%以上のニッケルと、を有する鋼合金を備える、請求項14に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記第1の比重と前記第2の比重との比が2.0以上である、請求項14に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書に完全に組み込まれている、2015年5月22日に出願された米国仮特許出願第62/165,712号及び2016年1月26日に出願された米国仮特許出願第62/287,196号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、高密度本体及び低密度フェースを有するゴルフクラブヘッドに関する。詳細には、本開示は、ウッド型ゴルフクラブヘッド、アイアン型ゴルフクラブヘッド、ウェッジ型ゴルフクラブヘッド、及び、パター型ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0003】
ゴルフクラブヘッドには、ウッド型クラブヘッド(例えば、ドライバ及びフェアウェイウッド)、アイアン型クラブヘッド(例えば、アイアン及びウェッジ)、及び、パター型クラブヘッドが含まれる。ゴルフクラブヘッドの設計は様々であり、一般に、ヘッド重心位置を最適化し、クラブヘッドの慣性モーメントを増加させることを目的とする。ヘッド重心位置は、ゴルフボールの方向、軌道、距離、及びスピンを含む、ゴルフクラブの性能特性に影響する。クラブヘッドの慣性モーメントの増加により、オフセンターヒットの場合のボールの軌道及び方向の一貫性が高まる。多くのゴルフクラブヘッドは、ウェイトポート又はインサートを使用することにより、ヘッド重心位置を最適化し、クラブヘッドの慣性モーメントを増加させるように設計される。これらの設計は、複雑な製造プロセス及び組立てプロセスを必要とする場合がある。加えて、ウェイトポートの使用は、クラブヘッドの全体的な空気力学に影響することがある。従って、当分野では、ゴルフクラブヘッドの重量をより均一に分散させて、重心位置を最適化し、クラブヘッドの慣性モーメントを増加できるようにすることが求められている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】実施形態のゴルフクラブヘッドの正面斜視図である。
図2図1のゴルフクラブヘッドの側断面図である。
図3図1のゴルフクラブヘッドの別の正面斜視図である。
図4図1のゴルフクラブヘッドの別の側断面図である。
図5図1のゴルフクラブヘッドの別の側断面図である。
図6】別の実施形態のゴルフクラブヘッドの側断面図である。
図7】別の実施形態のゴルフクラブヘッドの側断面図である。
図8】別の実施形態のゴルフクラブヘッドの正面斜視図である。
図9図8のゴルフクラブヘッドの線2-2に沿った斜視断面図である。
図10図8のゴルフクラブヘッドの別の正面斜視図である。
図11図8のゴルフクラブヘッドの線4-4に沿った別の斜視断面図である。
図12図8のゴルフクラブヘッドの線4-4に沿った別の斜視断面図である。
図13】別の実施形態のゴルフクラブヘッドの後面斜視図である。
図14図13のゴルフクラブヘッドの線7-7に沿った斜視断面図である。
図15】本発明の実施形態によるゴルフクラブヘッドを製造する例示的な方法のフローチャートである。
【0005】
本開示の他の態様は、詳細な説明及び添付図面を検討することにより明らかになろう。
【0006】
図示の単純化及び明瞭化のために、図面は概略的な構成を示し、周知の特徴及び技法に関する説明及び詳細は、本開示を不必要に曖昧にするのを避けるために省略される場合がある。さらに、図面内の要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、これらの図面中の要素のうちの一部の寸法が、本開示の実施形態の理解の向上を助けるために、他の要素に対して誇張される場合がある。異なる図面中の同一の参照数字は、同一の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下で説明する実施形態において、ゴルフクラブヘッドは、高密度材料から作られた本体と、より低密度の材料から作られたフェースと、を備える。本体の材料の比重とフェースの材料の比重との比は、約1.7以上であり得る。フェースよりも実質的に高い密度を持つ本体を有するクラブヘッドは、クラブヘッドの慣性モーメントを増加させ、高密度本体及びより低密度のフェースのないクラブヘッドよりも、ヘッド重心をクラブヘッドの下部近くに位置決めする。クラブヘッドの下部側に重心を位置決めすることにより、ウッド型クラブヘッドでは、ボールにかかるスピンを低減させ、アイアン型クラブヘッドでは、ボールのローンチ角を増加させる。本体に高密度材料を使用し、フェースにより低密度の材料を使用することにより、重心から離れたクラブヘッドの最外周囲への重量の分散を最大化して、クラブヘッドの慣性モーメントを最大化する。さらに、本体に高密度材料を使用してクラブヘッドの慣性モーメントを増加させることは、ウェイトポート及びウェイトインサートを使用することに比べて、高い慣性モーメントを有するクラブヘッドを製造するより簡単な手段を提供する。高密度本体及び低密度フェースを使用してクラブヘッドの慣性モーメントを増加させ、ヘッド重心位置を最適化することができると、クラブヘッドの所望の性能特性の達成を助け得る。
【0008】
説明及び特許請求の範囲内の、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」などの用語は、もしあれば、類似する要素の区別に使用され、必ずしも特定の逐次的又は経時的順序の説明に使用されない。そのように使用される用語は、適切な状況下では交換可能であり、よって、本明細書に記載される実施形態は、例えば、本明細書に例示される又は他の方法で記載されるものとは異なる順序で操作可能である。さらに、「含む」及び「有する」という用語ならびにそれらの任意の変化形は、非排他的包含を網羅することが意図され、よって、要素の一覧を含む、プロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置が、それらの要素に必ずしも限定されず、明示的に列記されない、又は、係るプロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置に固有の他の要素を含んでよい。
【0009】
説明及び特許請求の範囲内の、「左」、「右」、「前」、「後」、「上部」、「下部」、「~の上」、「~の下」などの用語は、もしあれば、説明のために使用され、必ずしも永久相対位置を説明するために使用されない。そのように使用される用語は、適切な条件下では交換可能であり、よって、本明細書に記載される装置、方法、及び/又は製造物品の実施形態は、例えば、本明細書に例示される又は他の方法で記載されるものとは別の配向で操作可能である。
【0010】
本開示の実施形態について詳細に説明する前に、本開示は、その適用が、以下の説明に記載され、以下の図面に示される構成の詳細及び部品の配置に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実行又は実施することが可能である。
【0011】
図1図5は、本体10と、ストライクフェース14と、ヘッド重心16と、を有するゴルフクラブヘッド100の実施形態を示す。ストライクフェース14は、幾何学的中心18と、前面22と、後面26と、を含む。本体10は、上部30と、上部30とは反対の下部34と、ヒール40と、ヒール40とは反対のトウ44と、前端部46と、前端部46とは反対の後端部48と、ホーゼル軸56を画定するホーゼル52と、を含む。一部の実施形態において、ホーゼル52は、切欠き又は凹部(図示せず)を含んでもよい。
【0012】
図1図5の例示した実施形態において、ストライクフェース14は、クラブヘッド100の前端部46の一部を画定し、台形状である。さらに、ストライクフェース14の前面22は複数の溝58を含む。
【0013】
図1図2は、地面1100に対してアドレス位置にあるクラブヘッド100を示す。図1は、ホーゼル軸56が、クラブヘッド100の正面図において、地面1100とある角度で位置決めされることを示す。さらに、ホーゼル軸56は、クラブヘッド100の側面図において、地面1100に直交する。クラブヘッド100のストライクフェース14は、ストライクフェース14の幾何学的中心18に接するロフト面1200と、ストライクフェース14の幾何学的中心18を通って延びる前面1300と、を画定する。前面1300は、クラブヘッド100がアドレス位置にあるときに、地面1100に直交する。
【0014】
図3図4を参照すると、ヘッド重心16が、x軸1400、y軸1500、及び、z軸1600を含む座標系の原点を画定する。x軸1400、y軸1500、及び、z軸1600は、互いに垂直である。x軸1400は、クラブヘッド100のヒール40からトウ44へ、ヘッド重心16を通って、ロフト面1200に平行に延びる。y軸1500は、クラブヘッド100の上部30から下部34へ、ヘッド重心16を通って、ロフト面1200に平行に延びる。z軸1600は、クラブヘッド100のストライクフェース14から後端部48へ、ヘッド重心16を通って、ロフト面1200に直交して延びる。
【0015】
図示した実施形態において、図5を参照すると、本体10は、第1の支持部材64と、第2の支持部材68と、を含む。第1の支持部材64は、本体10の上部30及びストライクフェース14の後端部48に隣接する。第2の支持部材68は、本体10の下部34及びストライクフェース14の後端部48に隣接する。第1の支持部材64は、第1の長さ72及び第1の幅76を有し、第2の支持部材68は、第2の長さ82及び第2の幅86を有する。第1の支持部材64の第1の長さ72は、本体10により支持されるストライクフェース14の上部(即ちストライクフェース14の上部30の近くの部分)のフェース高さに対する長さ72を画定する。さらに、第2の支持部材68の第2の長さ82は、本体10により支持されるストライクフェース14の下部(即ちストライクフェース14の下部34の近くの部分)のフェース高さに対する長さ82を画定する。
【0016】
図5を続けて参照すると、本体10は、さらに、キャビティ90を含む。キャビティ90は、ストライクフェース14の後面26からずれて、本体10の後端部48近くに配置される。例示した実施形態において、キャビティ90は開いており、ウェイト(図示省略)を受容するように構成される。さらに、例示した実施形態において、キャビティ90は、矩形状であり、ヒール40及び/又はトウ44に対する様々な位置で一定の形状及び断面積を有する。
【0017】
図6は、本体10と、ストライクフェース14と、ヘッド重心と、を有するゴルフクラブヘッド200の別の実施形態を示す。ストライクフェース14は、幾何学的中心と、前面22と、後面26と、を含む。本体10は、上部30と、上部30とは反対の下部34と、ヒールと、ヒールとは反対のトウと、前端部46と、前端部46とは反対の後端部48と、ホーゼル軸を画成するホーゼルと、を含む。一部の実施形態において、ホーゼルは、切欠き又は凹部(図示省略)を含んでもよい。
【0018】
例示した実施形態において、図6を参照すると、ストライクフェース14の上部及び下部は、クラブヘッド200の本体10により支持される。ストライクフェース14の上部は、第1の長さ72に沿って本体10により支持され、ストライクフェース14の下部は、第2の長さ82に沿って本体10により支持される。
【0019】
図6を続けて参照すると、本体10は、さらに、キャビティ90を含む。キャビティ90は、ストライクフェース14の後面26からずれて、本体10の後端部48近くに配置される。例示した実施形態において、キャビティ90は開いており、ウェイト(図示省略)を受容するように構成される。さらに、例示した実施形態において、キャビティ90は、三角形状であり、ヒール及び/又はトウに対する様々な位置で一定の形状を有する。キャビティ90の断面積は、クラブヘッド200のヒール及び/又はトウからの位置によって変化する。例えば、ストライクフェース14の後面26からキャビティ90がずれる距離は、キャビティ90の中心近くよりもヒール及びトウの近くで大きい。従って、キャビティ90の断面積は、キャビティ90の中心と比べてヒール及びトウの近くで減少する。
【0020】
図7は、本体10と、ストライクフェース14と、ヘッド重心16と、を有するゴルフクラブヘッド300の別の実施形態を示す。ストライクフェース14は、幾何学的中心と、前面22と、後面26と、を含む。本体10は、上部30と、上部30とは反対の下部34と、ヒールと、ヒールとは反対のトウと、前端部46と、前端部46とは反対の後端部48と、ホーゼル軸を画成するホーゼルと、を含む。一部の実施形態において、ホーゼルは、切欠き又は凹部(図示省略)を含んでもよい。
【0021】
例示した実施形態において、図7を参照すると、ストライクフェース14の上部及び下部は、クラブヘッド300の本体10によって支持される。ストライクフェース14の上部は、第1の長さ72に沿って本体10によって支持され、ストライクフェース14の下部は、第2の長さ82に沿って本体10によって支持される。
【0022】
図7を続けて参照すると、本体10は、さらに、キャビティ90を含む。キャビティ90は、ストライクフェース14の後面26に直接的に隣接しており、本体10の後端部48近くに配置される。例示した実施形態において、キャビティ90は開いており、ウェイト(図示省略)を受容するように構成される。さらに、例示した実施形態において、キャビティ90は、矩形状であり、ヒール及び/又はトウに対する様々な位置で一定の形状及び断面積を有する。
【0023】
図8図12は、本体10と、ストライクフェース14と、ヘッド重心16と、を有するゴルフクラブヘッド400の別の実施形態を示す。ストライクフェース14は、幾何学的中心18と、前面22と、後面26と、を含む。本体10は、上部30と、上部30とは反対の下部34と、ヒール40と、ヒール40とは反対のトウ44と、前端部46と、前端部46とは反対の後端部48と、ホーゼル軸56を画定するホーゼル52と、を含む。一部の実施形態において、ホーゼル52は、切欠き又は凹部(図示省略)を含んでよい。
【0024】
図8図12の例示した実施形態において、ストライクフェース14は、クラブヘッド400の前端部46の一部を画定し、台形状である。ストライクフェース14は、突出する後面26を含む。ストライクフェース14の前面22は、さらに、複数の溝58を含む。
【0025】
例示した実施形態において、図12を参照すると、ストライクフェース14の上部及び下部は、クラブヘッド400の本体10によって支持される。ストライクフェース14の上部は、第1の長さ72に沿って本体10によって支持され、ストライクフェース14の下部は、第2の長さ82に沿って本体10にそって支持される。
【0026】
図12を続けて参照すると、本体10は、さらに、キャビティ90を含む。キャビティ90は、ストライクフェース14の突出する後面26に直接的に隣接しており、本体10の後端部48近くに配置される。例示した実施形態において、キャビティ90は開いており、ウェイト(図示省略)を受容するように構成される。さらに、例示した実施形態において、キャビティ90は、矩形状であり、ヒール40及び/又はトウ44に対する様々な位置で一定の形状を有する。
【0027】
図13図14は、本体10と、ストライクフェース14と、ヘッド重心16と、を有するゴルフクラブヘッド500の別の実施形態を示す。ストライクフェース14は、幾何学的中心と、前面22と、後面26と、を含む。本体10は、上部30と、上部30とは反対の下部34と、ヒール40と、ヒール40とは反対のトウ44と、前端部46と、前端部46とは反対の後端部48と、ホーゼル軸を画定するホーゼルと、を含む。一部の実施形態において、ホーゼルは、切欠き又は凹部(図示せず)を含んでよい。
【0028】
図13図14の例示した実施形態において、ストライクフェース14は、クラブヘッドの前端部46の一部を画定し、台形状である。ストライクフェース14は、凹状の後面26と、前面22の複数の溝58と、を含む。
【0029】
例示した実施形態において、図14を参照すると、ストライクフェース14の上部及び下部は、クラブヘッド500の本体10によって支持される。ストライクフェース14の上部は、第1の長さ72に沿って本体10によって支持され、ストライクフェース14の下部は、第2の長さ82に沿って本体10によって支持される。例示した実施形態において、本体10は、さらに、キャビティ90を含む。キャビティ90は囲まれており、クラブヘッド500の中空内部92を画定する。
【0030】
図1図3、及び図10を参照すると、多くの実施形態において、本明細書に記載されたクラブヘッド(例えばクラブヘッド100、400、500)のストライクフェース14は、クラブヘッドの前端部46の一部を画定し、台形状である。他の実施形態において、ストライクフェース14はクラブヘッドの前端部46全体を画定することができる。さらに、他の実施形態において、ストライクフェースは、多角形、又は、例えば円形、楕円形、正方形、矩形、三角形、もしくは、本体10の前端部46に位置決め可能な他の形状などの少なくとも1つの曲面を有する形状を含む任意の形状であってもよい。
【0031】
図1図3、及び図10を参照すると、多くの実施形態において、本明細書に記載されたクラブヘッド(例えばクラブヘッド100、400、500)のストライクフェース14は、複数の溝58を含む。他の実施形態において、ストライクフェース14の前面22に溝58がなくてもよく、又は、ストライクフェース14の前面22の一部が溝58を含んでもよい。例えば、溝は、ストライクフェース14の前面22の0%超~100%未満の割合に及ぶことができる。例えば、溝58は、ストライクフェース14の前面22の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は、0%超~100%未満の他の割合に及ぶことができる。
【0032】
図1図14を参照すると、多くの実施形態において、本明細書に記載されたクラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)は、キャビティ90を含む。他の実施形態において、クラブヘッドにキャビティがなくてもよい。さらに、他の実施形態において、クラブヘッドは開いた、又は、囲まれたキャビティを含んでもよい。さらに、クラブヘッドは、矩形、正方形、円形、楕円形、台形、又は、他の多角形、又は、少なくとも1つの曲面を有する形状などの任意の断面形状を有するキャビティを含むことができる。他の実施形態において、クラブヘッドは、ヒール40からトウ44まで一定の断面形状を持つキャビティを有してもよく、又は、クラブヘッドは、ヒール40からトウ44まで変化する断面形状を持つキャビティを有してもよい。
【0033】
図1図14を参照すると、クラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)の本体10は、第1の密度及び第1の体積を有する第1の材料を含む。本体10の第1の密度は第1の比重に対応する。この第1の比重は、第1の密度と摂氏4度(4℃)の水の密度との比である。
【0034】
クラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)の本体10は、第1の材料を含む。一部の実施形態において、第1の材料は、単一の材料を含んでいてもよい。一部の実施形態において、第1の材料は、各々が異なる密度及び異なる比重を有する材料の組合せ又は複数の材料を含んでいてもよい。これらの実施形態において、本体10の複数の材料の各密度は、クラブヘッドの本体10の第1の密度となるように平均され得る。同様に、本体10の複数の材料の各比重は、本体10の第1の比重となるように平均され得る。
【0035】
第1の材料は、7.8を超える第1の比重を有する任意の適切な材料であってよい。例えば、第1の材料は、約7.8~14の第1の比重を有することができる。即ち、第1の材料は、約7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0以上、又は7.8を超える他の値の第1の比重を有することができる。
【0036】
第1の材料は、ビスマス、黄銅、カドミウム、コバルト、エルビウム、ハフニウム、ホルミウム、鉛、鉛鉱、酸化鉛、ルテチウム、モリブデン、ニッケル、オスミウム、パラジウム、レニウム、ロジウム、ルテニウム、銀、タンタル、タリウム、トリウム、ツリウム、タングステン、炭化タングステン、ウラン、その他の金属、複合材料、金属合金、又は、その他の均質材料もしくは不均質材料を含む任意の適切な材料であってもよく、第1の材料の第1の比重は約7.8を超える。第1の材料は、7.8を超える比重を有することができるが、アルミニウム、ケイ素鉄、グラファイト、インジウム、鉄、鋳鉄、練鉄、方鉛鉱、マンガン、ニッケル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリメチルペンテン、セレン、鋼(全ての種類)、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛、又は、これらの他の合金など7.8未満の比重を有する材料を含む第1の材料(例えば、金属合金)の一部を有してもよい。
【0037】
例えば、第1の材料は、約18~19.5重量%のクロム、約8.0~9.5重量%のニッケル、約8.0~10.0重量%のタングステンを有し、残りの合金組成が鉄及び他の微量元素(例えば炭素、ケイ素、マンガン、銅、モリブデン)を含む鋼合金であってもよい。この例では、第1の材料は、約8.25の比重を有する。
【0038】
さらなる例として、第1の材料は、約6.0~7.0重量%のクロム、約19~20重量%のニッケル、約15.5~16.5重量%のタングステンを有し、残りの合金組成が鉄及び他の微量元素(例えば炭素、ケイ素、マンガン、銅、モリブデン)を含む鋼合金であってもよい。この例では、第1の材料は、約8.80の比重を有する。
【0039】
さらなる例として、第1の材料は、約12~13.5重量%のクロム、約48~50重量%のニッケル、約18.0~21.5重量%のタングステン、約1.5~2.0重量%のモリブデンを有し、残りの合金組成が鉄及び他の微量元素(例えば炭素、ケイ素、マンガン、及び銅)を含む鋼合金であってもよい。この例では、第1の材料は、約9.30の比重を有する。
【0040】
第1の材料が鋼合金を含む例では、タングステン組成を増加させることにより、第1の材料の比重を高めることができる。一部の例において、鋼合金を含む第1の材料は、7.5重量%以上のタングステン、8.0重量%以上のタングステン、9.0重量%以上のタングステン、10重量%以上のタングステン、15重量%以上のタングステン、又は、20重量%以上のタングステンを含むことができる。さらに、第1の材料が鋼合金を含む例では、ニッケル組成を増加させることにより、第1の材料の比重を高めることができる。一部の例において、鋼合金を含む第1の材料は、7.5重量%以上のニッケル、10重量%以上のニッケル、15重量%以上のニッケル、25重量%以上のニッケル、30重量%以上のニッケル、又は、45重量%以上のニッケルを含むことができる。
【0041】
例示した実施形態において、クラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)のストライクフェース14は、第2の密度及び第2の体積を有する第2の材料から作られる。ストライクフェース14の第2の密度は、第2の比重に対応する。この第2の比重は、第2の密度と摂氏4度(4℃)の水の密度との比である。
【0042】
クラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)のストライクフェース14は、第2の材料を含む。一部の実施形態において、第2の材料は、単一の材料を含んでいてもよい。他の実施形態において、第2の材料は、各々が異なる密度及び異なる比重を有する複数の材料を含んでいてもよい。これらの実施形態において、ストライクフェース14の複数の材料の各密度は、クラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)のストライクフェース14の第2の密度となるように平均され得る。同様に、ストライクフェース14の複数の材料の各比重は、ストライクフェース14の第2の比重となるように平均され得る。さらに、他の実施形態において、ストライクフェース14の第2の材料は可変密度及び可変比重を有してもよく、第2の材料の平均密度が第2の密度であり、第2の材料の平均比重が第2の比重である。
【0043】
第2の材料は、約4.6以下の第2の比重を有する任意の適切な材料であってもよい。例えば、第2の材料は、約2.0~約4.5の第2の比重を有することができる。即ち、第2の材料は、約2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、又は、約4.6以下の他の値の第2の比重を有することができる。一部の実施形態において、第2の材料は、約4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.3、3.3、3.2、3.1、又は3.0以下の第2の比重を有することができる。
【0044】
第2の材料は、バリウム、ベリリウム、エポキシ、ガラス、グラファイト、石膏、炭化鉄、鉄スラグ、マンガン、磁鉄鉱、プラスチック、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリメチルペンテン、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリウレタン、ルビジウム、セレン、スカンジウム、チタン、チタン合金(例えばTi-6-4)、その他の金属、複合材料、金属合金、又は、その他の均質材料もしくは不均質材料を含む任意の適切な材料であってもよく、第2の材料の第2の比重は、約4.6以下である。第2の材料は、4.6未満の比重を有することができるが、アルミニウム青銅合金、ビスマス、黄銅、カドミウム、コバルト、エルビウム、ケイ素鉄、方鉛鉱、グラファイト、ハフニウム、ホルミウム、インジウム、鉄、鋳鉄、練鉄、鉛、鉛鉱、酸化鉛、ルテチウム、モリブデン、ニッケル、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、鋼(全ての種類)、タンタル、タリウム、トリウム、ツリウム、スズ、タングステン、バナジウム、亜鉛、又は、これらの他の合金などの、4.6超の比重を有する材料を含む第2の材料(例えば、金属合金)の特定の部分を有してもよい。
【0045】
例示した実施形態において、第1の比重は第2の比重よりも実質的に大きい。即ち、第1の比重と第2の比重との比は約1.7以上である。例えば、第1の比重と第2の比重との比は、約1.7~3.5、約1.8~3.5、約1.9~3.5、約1.8~3.0、又は約1.9~3.0であってもよい。即ち、第1の比重と第2の比重との比は、約1.7、1.72、1.74、1.76、1.78、1.8、1.82、1.84、1.86、1.88、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、又は、約1.7を超える他の値であってもよい。
【0046】
第1の比重及び第2の比重は、第1の密度及び第2の密度のそれぞれに直接関係する。従って、本体10の第1の密度は、ストライクフェース14の第2の密度よりも大きい。逆に、ストライクフェース14の第2の密度は、本体10の第1の密度よりも小さい。
【0047】
多くの実施形態において、本明細書で説明するクラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)により、本体10の第1の比重とストライクフェース14の第2の比重との比がより小さい類似のクラブヘッドよりも、ヘッド重心16がクラブヘッドの下部34の近くに位置決めされる。ヘッド重心16の位置がクラブヘッドの下部34により近いことによって、ウッド型クラブヘッド(例えば、ドライバ、フェアウェイウッド、及びハイブリッド)の場合にボールにかかるスピンを低減させ、アイアン型クラブヘッド(例えば、アイアン及びウェッジ)の場合にボールのランチ角を増加させる。
【0048】
本明細書で説明するように、クラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)により、本体10の第1の比重とストライクフェース14の第2の比重との比がより小さい類似のクラブヘッドと比べて、クラブヘッドの慣性モーメントがさらに増加する。一般に、ヘッド重心16から離れて分散される重量又は質量が増加するにつれて、クラブヘッドの慣性モーメントが増加する。ストライクフェース14の第2の材料に対して高い密度を有する本体10の第1の材料により、ヘッド重心16から離れて位置する重量が増加するため、クラブヘッド100の慣性モーメントが増加する。さらに、本体10の第1の材料に対して低い密度を有するストライクフェース14の第2の材料により、ヘッド重心16の近くに位置する重量が低減するため、クラブヘッド100の慣性モーメントが増加する。
【0049】
クラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)の慣性モーメントの増加により、ボールの方向、軌道、及び距離の一貫性が高まる。即ち、y軸1500周りのクラブヘッドの慣性モーメントが増加すると、ボールの方向の一貫性が高まり、x軸1400周りのクラブヘッドの慣性モーメントが増加すると、ボールの軌道及び距離の一貫性が高まる。言い換えると、y軸1500及びx軸1400周りのクラブヘッド100の慣性モーメントが増加すると、オフセンターヒットをクラブヘッド100のオンセンターヒットと同様に作用させることができる。
【0050】
多くの実施形態において、クラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)であって、第1の比重と第2の比重とが上述した比を有するクラブヘッド100、200、300、400、500の場合、第1の比重と第2の比重との比がより小さい類似のクラブヘッドと比べて、y軸1500周りのクラブヘッドの慣性モーメントが最大約30%まで増加し、x軸1400周りのクラブヘッドの慣性モーメントが最大約20%まで増加する。
【0051】
本明細書で説明した、増加した慣性モーメントを有するクラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)は、所望の許容性又は他の性能特性を達成するためにウェイトを組み込む必要性、又は、クラブヘッドのサイズを大きくする必要性をなくすことができる。一般的に、クラブヘッドの慣性モーメントを増加させるために、クラブヘッドのサイズを大きくし、ウェイトを組み込む。クラブヘッド内のウェイトをなくすことにより、製造ステップの数が減り、在庫の量が減り、材料コストが減ることによって、製造プロセスを簡単にすることができる。
【0052】
本体が高密度の第1の材料を有し、フェースが低密度の第2の材料を有することによって、クラブヘッドの慣性モーメントを増加させたクラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)によって、クラブヘッドの慣性モーメントを増加させるためにウェイト部材を使用するクラブヘッドと比べて、より均一なクラブヘッド100の外観も得られる。さらに、クラブヘッドの均一な外観によって、空気力学的な利点が得られるため、スイング速度が速くなる。従って、ボールの飛距離が増加し得る。
【0053】
高密度の第1の材料から作られた本体10を有するクラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)は、製造中及び衝撃時に同様の力に耐えるために、より低密度の第1の材料よりも低い降伏強度を必要とし得る。従って、より低い降伏強度を有する高密度の第1の材料を使用可能であるため、クラブヘッドを容易に曲げることができ、所望のロフト角及びライ角を達成することによって、製造がさらに簡単になり得る。材料の降伏強度がより低いことによってクラブヘッドの曲げが容易になると、ホーゼルの切欠き又は凹部が不要になり得る。切欠きは、通常、曲げの間にクラブヘッドの本体から応力を逸らすために使用されるからである。さらに、高密度の第1の材料から作られた本体10を有するクラブヘッドは、クラブヘッドの減衰特性を向上させて、衝撃時のクラブヘッドの騒音及び振動を防ぐことができる。
【0054】
図15は、本発明の実施形態による、クラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)を製造する例示的な方法を示す。方法は、第1の比重を有する第1の材料から作られ、上部30と、上部30とは反対の下部34と、ヒール40と、ヒール40とは反対のトウ44と、後端部48と、を有する本体10を設けるステップと、第2の比重を有する第2の材料から作られたストライクフェース14を設けるステップと、ストライクフェース14を本体10に結合してクラブヘッドを形成するステップと、を含む。
【0055】
クラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)を製造する方法は例示的なものにすぎず、本明細書に示す実施形態に限定されるものではない。この方法を、本明細書に詳細に図示又は記載されていない多くの異なる実施形態又は実施例で使用することができる。一部の実施形態において、記載された方法のプロセスを適切な順序で実行することができる。他の実施形態において、プロセスの1つ又は複数を組み合わせても、切り離しても、省いてもよい。
【0056】
クラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)の本体10を、鋳造、機械加工、ラピッドプロトタイピング、層ごとの印刷、選択的レーザ焼結、直接金属レーザ焼結、ステレオリソグラフィ、3D印刷、又は、他の方法により製造することができる。同様に、クラブヘッドのストライクフェース14を、鋳造、機械加工、ラピッドプロトタイピング、層毎の印刷、選択的レーザ焼結、直接金属レーザ焼結、ステレオリソグラフィ、3D印刷、又は、他の方法により製造することができる。本体10とストライクフェース14とを、スエージ加工、溶接、ろう付け、又は、本体10をストライクフェース14に連結可能な他の方法により組み立てることができる。
【0057】
例示した実施形態において、クラブヘッド(例えばクラブヘッド100、200、300、400、500)は、アイアン型クラブヘッドとして示される。しかしながら、クラブヘッドは、ウッド型クラブヘッド(例えば、ドライバもしくはフェアウェイウッド)、アイアン型クラブヘッド(例えば、アイアンもしくはウェッジ)、又は、パター型クラブヘッドを含む任意のタイプのクラブヘッドであってもよい。
【0058】
(実施例)
(実施例1)
一実施例において、8.25の第1の比重を有する第1の材料から作られた本体10と、4.4の比重を有する第2の材料から作られたストライクフェース14と、を有する図1図5に示すクラブヘッド100は、7.8の比重を有する第1の材料から作られた本体10と、4.6の比重を有する第2の材料から作られたストライクフェース14と、を有する同様のクラブヘッドと比べて、y軸1500周りのクラブヘッドの慣性モーメントが最大約15%増加し、x軸1400周りのクラブヘッドの慣性モーメントが最大約5%増加することを示した。
【0059】
本実施例において、第1の材料は、約18~19.5重量%のクロム、約8.0~9.5重量%のニッケル、約8.0~10.0重量%のタングステンを有し、残りの合金組成は鉄及び他の微量元素(例えば炭素、ケイ素、マンガン、銅、モリブデン)を含む鋼合金を含む。さらに、本実施例において、第2の材料は、約6重量%のアルミニウム、4重量%のバナジウムを有し、残りの組成はチタン及び他の微量元素(例えば酸素及び鉄)を含むチタン合金(Ti-6-4)を含む。
【0060】
(実施例2)
別の実施例において、約9.3の第1の比重と、約4.4の第2の比重と、を有する図1図5に示すクラブヘッド100(即ち、第1の比重と第2の比重との比が約2.27である例示的なクラブヘッド100)により、以下の表1に示すように、第1の比重と第2の比重との比が1.7未満である類似のクラブヘッド(即ち、コントロールクラブヘッド)と比べて、x軸1400周りの慣性モーメント(Ixx)が平均で7.3%増加し、y軸1500周りの慣性モーメント(Iyy)が平均で7.2%増加した。
【0061】
本実施例において、第1の材料は、約12~13.5重量%のクロム、約48~50重量%のニッケル、約18.0~21.5重量%のタングステン、約1.5~2.0重量%のモリブデンを有し、残りの合金組成は鉄及び他の微量元素(例えば炭素、ケイ素、マンガン、及び銅)を含む鋼合金を含む。さらに、本実施例において、第2の材料は、約6重量%のアルミニウム、4重量%のバナジウムを有し、残りの組成はチタン及び他の微量元素(例えば酸素及び鉄)を含むチタン合金(Ti-6-4)を含む。
【0062】
【表1】
【0063】
本実施例において、コントロールクラブヘッドの第1の比重は約7.8であり、コントロールクラブヘッドの第2の比重は約7.8であり、コントロールクラブヘッドの第1の比重と第2の比重との比は約1.0である。さらに、本実施例において、クラブヘッド100及びコントロールクラブヘッドのx軸1400周りの慣性モーメントとy軸1500周りの慣性モーメントとは、全米ゴルフ協会(USGA)のゴルフクラブヘッドの慣性モーメントを測定する手順、改訂1.0、2006年4月を使用して判定された。表1は上記の結果を示す。
【0064】
1つ又は複数の記載された要素の置き換えは、再構築であって修正ではない。さらに、利益、他の利点、及び問題の解決手段が、特定の実施形態に関連して説明されている。しかしながら、利益、利点、問題の解決手段、ならびに、任意の利益、利点、又は解決手段をもたらし又は顕著にし得る1つ又は複数の要素は、特許請求の範囲のいずれか又はすべての不可欠な、必要な、又は必須の特徴もしくは要素と解釈されるべきではない。
【0065】
ゴルフのルールは時々変わることがあるため(例えば、全米ゴルフ協会(USGA)、英国ゴルフ協会(R&A)のようなゴルフ標準化組織及び/又は管理機関によって、新しい規制が採用される、又は古いルールが削除もしくは修正されることがある)、本明細書で説明した装置、方法、及び製造物品に関連するゴルフ用具は、任意の特定の時点でゴルフのルールに適合することも適合しないこともある。従って、本明細書で説明した装置、方法、及び製造物品に関連するゴルフ用具は、適合する又は適合しないゴルフ用具として、広告される、販売用に供される、かつ/又は販売される可能性がある。本明細書で説明した装置、方法、及び製造物品は、この点について限定されない。
【0066】
上記の例は、ドライバ型ゴルフクラブに関連して説明することがされ得るが、本明細書で説明した装置、方法、及び製造物品は、フェアウェイウッド型ゴルフクラブ、ハイブリッド型ゴルフクラブ、アイアン型ゴルフクラブ、ウェッジ型ゴルフクラブ、又はパター型ゴルフクラブなど他のタイプのゴルフクラブに適用され得る。又は、本明細書で説明した装置、方法、及び製造物品は、ホッケースティック、テニスラケット、釣り竿、スキーストックなど他のタイプのスポーツ用品に適用され得る。
【0067】
さらに、本明細書に開示した実施形態及び限定は、実施形態及び/又は限定が、(1)特許請求の範囲に明示されていない、かつ(2)均等論に基づいて特許請求の範囲における明示的な要素及び/又は限定の均等物であるか、又は潜在的な均等物である場合、供与の原則に基づいて一般に供与されることはない。
【0068】
本開示の様々な特徴及び利点が以下の特許請求の範囲に記載される。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
第1の比重を有する第1の材料を備える本体であって、上部と、前記上部とは反対の下部と、ヒールと、前記ヒールとは反対のトウと、後端部と、を備える、前記本体と、
第2の比重を有する第2の材料を含むストライクフェースと、を備え、
前記第2の比重が前記第1の比重より小さく、
前記第1の比重と前記第2の比重との比が約1.7以上である、
ゴルフクラブヘッド。
(項目2)
前記第1の比重と前記第2の比重との比が約1.7~約3.5である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目3)
前記第1の比重が約7.8以上である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目4)
前記第1の比重が約8.0以上である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目5)
前記第1の比重が約9.0以上である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目6)
前記第1の比重が約11.0以上である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目7)
前記第1の比重が約13.0以上である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目8)
前記第2の比重が約4.6以下である、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目9)
前記クラブヘッドは、ウッド型のクラブヘッドである、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目10)
前記クラブヘッドは、アイアン型のクラブヘッドである、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目11)
前記クラブヘッドは、パター型のクラブヘッドである、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目12)
7.8を超える第1の比重を有する第1の材料を備える本体であって、上部と、前記上部とは反対の下部と、ヒールと、前記ヒールとは反対のトウと、後端部と、を備える、前記本体と、
4.6以下の第2の比重を有する第2の材料を備えるストライクフェースと、を備え、
前記第2の比重が前記第1の比重より小さく、
前記第1の比重と前記第2の比重との比が約1.7以上である、
ゴルフクラブヘッド。
(項目13)
前記第1の材料が、7.5重量%以上のタングステンと、7.5重量%以上のニッケルと、を有する鋼合金を備える、項目12に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目14)
前記第2の材料がチタン合金を備える、項目13に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目15)
前記第1の比重と前記第2の比重との比が約2.0以上である、項目12に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目16)
前記第1の比重と前記第2の比重との比が約2.5以上である、項目12に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目17)
前記第1の比重と前記第2の比重との比が約3.0以上である、項目12に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目18)
前記第1の比重と前記第2の比重との比が約3.5以上である、項目12に記載のゴルフクラブヘッド。
(項目19)
第1の比重を有する第1の材料から作られる本体であって、上部と、前記上部とは反対の下部と、ヒールと、前記ヒールとは反対のトウと、後端部と、を有する、前記本体を設けるステップと、
第2の比重を有する第2の材料から作られたストライクフェースを設けるステップであって、記第2の比重が前記第1の比重より小さく、前記第1の比重と前記第2の比重との比が約1.7以上である、前記ステップと、
前記ストライクフェースを前記本体に結合してクラブヘッドを形成するステップと、
を備える、
ゴルフクラブヘッドを製造する方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15