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特許7319480体感品質に基づいた移動時通信のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-24
(45)【発行日】2023-08-01
(54)【発明の名称】体感品質に基づいた移動時通信のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/24 20090101AFI20230725BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20230725BHJP
   H04W 4/06 20090101ALI20230725BHJP
   H04W 4/42 20180101ALI20230725BHJP
   H04W 84/00 20090101ALI20230725BHJP
【FI】
H04W28/24
H04W24/08
H04W4/06 170
H04W4/42
H04W84/00 110
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2023065301
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2021512402の分割
【原出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2023089147
(43)【公開日】2023-06-27
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】16/146,673
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100196449
【弁理士】
【氏名又は名称】湯澤 亮
(72)【発明者】
【氏名】ティレラ、アンドリュー、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】トゥアゾンアヤシュ、ジーナ、シー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴィドヤルチ、シェレラス、エス.
(72)【発明者】
【氏名】フカヤ、ノブオ
(72)【発明者】
【氏名】レニー、ケビン、ビー.
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0099227(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105357691(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動時通信サービスのための方法であって、
・プロバイダネットワークを介して、トランスポートクラフトに配置された移動端末において移動時通信サービスを、測定時間窓にわたって受信する工程と、
・前記測定時間窓の間に前記移動端末で受信された移動時通信サービスの第1の測定を行い、トランスポートクラフトに配置された移動端末においてプロバイダネットワークを介して受信された移動時通信サービスに関するNLD(ネットワークレベル配信)測定値のセットを取得する工程と、
・前記測定時間窓にわたって、移動時通信サービスを、トランスポートクラフトに搭載された複数のコンテンツ消費装置にオンボードネットワークを介して提供する工程と、
・前記測定時間窓の間に前記オンボードネットワークを介して、トランスポートクラフトに搭載された前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置に提供された移動時通信サービスの第2の測定を行い、CLC(顧客レベル消費)測定値のセットを取得する工程と、
・NLD測定値のセット及びCLC測定値のセットの関数として、前記測定時間窓および前記トランスポートクラフトに関連するQoE(体感品質)スコアを計算する工程であって、前記QoEスコアは、前記トランスポートクラフトの一人以上の乗客により認識される移動時通信サービスの配信品質を示すものである、工程と、
・前記QoEスコアを事前定義されたトリガ閾値と比較する工程と、
・前記QoEスコアが前記事前定義されたトリガ閾値を超えることに応答して、サービスレベルトリガを出力する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
自動化トリガ応答動作に事前に関連付けられているサービスレベルトリガを検出する工程と、
前記検出に応答して、前記自動化トリガ応答動作の実行を指示する工程と、
をさらに含む方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記自動化トリガ応答動作は、サービスレベルトリガによって示された前記移動時通信サービスによる問題に対処するために、
サービスコールを通信すること、
修復スクリプトを実行すること、
ネットワークリソースの後続のプロビジョニングを調整すること、
前記問題によって影響を受けた1人以上の乗客のうちの少なくとも1人に補償を提供すること、
移動時通信サービスの消費に対する価格設定を調整すること、又は、
移動時通信サービスの配信に関連付けられた契約パートナーへの、通信に関するレポートを作成すること、
のうちの少なくとも1つの自動化された実行を指示することを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
サービスプロファイルメモリに記憶されたサービスレベルデータを前記QoEスコアの関数として更新する工程、をさらに含む方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記計算する工程に先立って、前記サービスプロファイルメモリに記憶されたサービスレベルデータの関数として、NLD測定値のセットのうちの少なくとも1つについて予想されたNLDレベル、又はCLC測定値のセットのうちの少なくとも1つについて予想されたCLCレベルのうちの少なくとも1つを示す、トランスポートクラフトに対する予想条件のセットを生成する工程をさらに含み、
前記計算する工程は、前記QoEスコアが、予想された品質と比較して、トランスポートクラフトの1人以上の乗客によって認識される移動時通信サービスの配信品質を示すように、予想条件のセットの関数として行われる、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、
前記更新する工程は、更新されたサービスレベルデータを、前記QoEスコア及び以前に計算された複数のQoEスコアの集計の関数として計算することを含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記CLC測定値のセットは、
前記測定時間窓において前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置によって使用された移動時通信サービスのデータ量、
前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置が、前記測定時間窓において移動時通信サービスを使用した時間の長さ、
前記測定時間窓において前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置によって、移動時通信サービスを消費するために使用された少なくとも1つの装置の種類、
前記測定時間窓において前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置によって、移動時通信サービスを消費するために使用された少なくとも1つのコンテンツ消費アプリケーション、
前記測定時間窓における前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置による移動時通信サービスの消費に含まれるトラフィックの種類、
前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置に関連付けられた1人以上の乗客のうちの少なくとも1人の乗客が、前記測定時間窓に関連する移動時通信サービスの消費を首尾よく購入したかどうか、又は、
前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置が、オンボードネットワークと首尾よく通信可能に接続されて、前記測定時間窓に関連して移動時通信サービスを消費したかどうか、
のうちの少なくとも1つを示す、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記NLD測定値のセットは、前記測定時間窓における移動時通信サービスの利用可能性の測定値と、前記測定時間窓における移動時通信サービスのデータ速度の測定値と、を含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記NLD測定値のセットは、プロバイダネットワークのプロバイダ側ノードとトランスポートクラフトとの間の少なくとも1つの通信リンクについてのリンクメトリック測定値を含む、方法
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記サービスレベルトリガは、トランスポートクラフトの1人以上の乗客の体感品質に関して複数の事前定義された望ましくない条件のうちの1つ以上を示す、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって
動時通信サービスは、前記NLD測定値のセットに対する少なくとも1つの目標NLDレベル、及び前記CLC測定値のセットに対する少なくとも1つの目標CLCレベルを示す契約QoE条件のセットに従って、トランスポートクラフトに配信され、
前記計算する工程は、更に、前記契約QoE条件のセットのうちの少なくとも1つの関数として行われる、方法
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記第2の測定は、前記複数のコンテンツ消費装置のうちの複数からCLCデータを集計することを含む、方法。
【請求項13】
移動時通信サービスを配信するためのシステムであって、
・トランスポートクラフトに配置された移動端末であって、
前記トランスポートクラフトに移動時通信サービスを提供するプロバイダネットワークと通信可能に接続するためのプロバイダネットワークインターフェースと、
前記トランスポートクラフトに配置された複数のコンテンツ消費装置と通信可能に接続するためのオンボードネットワークインターフェースであって、移動時通信サービスを前記トランスポートクラフト上の複数のコンテンツ消費装置にオンボードネットワークを介して提供するためのオンボードネットワークインターフェースと、を備える移動端末と、
・測定サブシステムであって、
測定時間窓の間に前記移動端末において受信された移動時通信サービスを測定し、トランスポートクラフトに配置された前記移動端末において前記プロバイダネットワークを介して受信された移動時通信サービスに関するNLD(ネットワークレベル配信)測定値のセットを取得するNLD(ネットワークレベル配信)サブシステムと、
前記測定時間窓の間に前記オンボードネットワークを介して、トランスポートクラフトに搭載された複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置に提供された移動時通信サービスの測定を行い、CLC(顧客レベル消費)測定値のセットを取得するCLC(顧客レベル消費)サブシステムと、を備える測定サブシステムと、
・前記測定サブシステムと通信するQoE(体感品質)スコアリングサブシステムであって、
NLD測定値のセット及びCLC測定値のセットの関数として、前記測定時間窓に関連するQoE(体感品質)スコアを計算し、ただし前記QoEスコアは、トランスポートクラフトの1人以上の乗客により認識される移動時通信サービスの配信品質を示すものであり、
前記QoEスコアを事前定義されたトリガ閾値と比較し、
前記QoEスコアが前記事前定義されたトリガ閾値を超えることに応答して、サービスレベルトリガを出力するQoE(体感品質)スコアリングサブシステムと、
を備えるシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、
前記QoEスコアリングサブシステムはさらに、自動化トリガ応答動作に事前に関連付けられているサービスレベルトリガを検出し、前記検出に応答して、前記自動化トリガ応答動作の実行を指示するように動作する、システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、
前記自動化トリガ応答動作は、前記サービスレベルトリガによって示された移動時通信サービスによる問題に対処するために、
サービスコールを通信すること、
修復スクリプトを実行すること、
ネットワークリソースの後続のプロビジョニングを調整すること、
前記問題によって影響を受けた1人以上の乗客のうちの少なくとも1人に補償を提供すること、
移動時通信サービスの消費に対する価格設定を調整すること、
移動時通信サービスの配信に関連付けられた契約パートナーへの、通信に関するレポートを作成すること、
のうちの少なくとも1つの自動化された実行を指示することを含む、システム。
【請求項16】
請求項13に記載のシステムであって、
前記QoEスコアリングサブシステムはさらに、サービスプロファイルメモリに記憶されたサービスレベルデータを前記QoEスコアの関数として更新するように動作する、システム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、
前記QoEスコアリングサブシステムはさらに、計算に先立って、前記サービスプロファイルメモリに記憶されたサービスレベルデータの関数として、NLD測定値のセットのうちの少なくとも1つについて予想されたNLDレベル、又はCLC測定値のセットのうちの少なくとも1つについて予想されたCLCレベルのうちの少なくとも1つを示す、トランスポートクラフトに対する予想条件のセットを生成するように動作し、
前記QoEスコアリングサブシステムは、予想された品質と比較した、トランスポートクラフトの1人以上の乗客によって認識された移動時通信サービスの配信品質を示すように、予想条件のセットの関数として前記QoEスコアを計算する、システム。
【請求項18】
請求項16に記載のシステムであって、
前記QoEスコアリングサブシステムは、更新されたサービスレベルデータを、前記QoEスコア及び以前に計算された複数のQoEスコアの集計の関数として計算する、システム。
【請求項19】
請求項13に記載のシステムであって、
前記CLC測定値のセットは、
・前記測定時間窓において前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置によって使用された移動時通信サービスのデータ量、
・前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置が、前記測定時間窓において移動時通信サービスを使用した時間の長さ、
・前記測定時間窓において前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置によって、移動時通信サービスを消費するために使用された少なくとも1つの装置の種類、
・前記測定時間窓において前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置によって、移動時通信サービスを消費するために使用された少なくとも1つのコンテンツ消費アプリケーション、
・前記測定時間窓における前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置による移動時通信サービスの消費に含まれるトラフィックの種類、
・前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置に関連付けられた1人以上の乗客のうちの少なくとも1人の乗客が、前記測定時間窓に関連する移動時通信サービスの消費を首尾よく購入したかどうか、
・前記複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置が、オンボードネットワークと首尾よく通信可能に接続されて、前記測定時間窓に関連して移動時通信サービスを消費したかどうか、
のうちの少なくとも1つを示す、システム。
【請求項20】
請求項13に記載のシステムであって、
前記NLD測定値のセットは、前記測定時間窓における移動時通信サービスの利用可能性の測定値と、前記測定時間窓における移動時通信サービスのデータ速度の測定値と、を含む、システム
【請求項21】
請求項13に記載のシステムであって、
前記NLD測定値のセットは、プロバイダネットワークのプロバイダ側ノードとトランスポートクラフトとの間の少なくとも1つの通信リンクについてのリンクメトリック測定値を含む、システム
【請求項22】
請求項13に記載のシステムであって、
前記サービスレベルトリガは、トランスポートクラフトの1人以上の乗客の体感品質に関して複数の事前定義された望ましくない条件のうちの1つ以上を示す、システム
【請求項23】
請求項13に記載のシステムであって、
移動時通信サービスは、前記NLD測定値のセットに対する少なくとも1つの目標NLDレベル、及び前記CLC測定値のセットに対する少なくとも1つの目標CLCレベルを示す契約QoE条件のセットに従って、前記トランスポートクラフトに配信され、
前記QoEスコアリングサブシステムは、QoEスコアを、前記契約QoE条件のセットのうちの少なくとも1つの関数として計算する、システム。
【請求項24】
請求項13に記載のシステムであって、
前記測定サブシステムは、前記複数のコンテンツ消費装置のうちの複数からCLCデータを集計する、システム
【請求項25】
移動時通信サービスを配信するためのシステムであって、
1つ以上のプロセッサと
・サービスレベルデータ及びプロセッサ可読命令が記憶された非一過性データメモリと、を備え、
前記プロセッサ可読命令は実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
・測定時間窓の間に移動端末で受信された移動時通信サービスの第1の測定を行い、トランスポートクラフトに配置された移動端末においてプロバイダネットワークを介して受信された移動時通信サービスに関するNLD(ネットワークレベル配信)測定値のセットを取得する工程と、
・前記測定時間窓にわたって、移動時通信サービスを、トランスポートクラフトに搭載された複数のコンテンツ消費装置にオンボードネットワークを介して提供する工程と、
・前記測定時間窓の間に前記オンボードネットワークを介して、トランスポートクラフトに搭載された前記複数のコンテンツ消費装置に提供された移動時通信サービスの第2の測定を行い、CLC(顧客レベル消費)測定値のセットを取得する工程と、
・NLD測定値のセット及びCLC測定値のセットの関数として、前記測定時間窓および前記トランスポートクラフトに関連するQoE(体感品質)スコアを計算する工程であって、前記QoEスコアは、トランスポートクラフトの一人以上の乗客により認識された移動時通信サービスの配信品質を示すものである、工程と、
・前記QoEスコアを事前定義されたトリガ閾値と比較する工程と、
前記QoEスコアが前記事前定義されたトリガ閾値を超えることに応答して、サービスレベルトリガを出力する工程と、
を実行させる、システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年9月28日に出願された米国非仮出願第16/146,673号に対する優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
実施形態は、概して通信システムに関し、より具体的には、体感品質に基づいた通信サービスを移動中のトランスポートクラフトに通信システムを介して提供することに関する。
【背景技術】
【0003】
通信サービス及びコンテンツサービスの個人顧客又は企業顧客は、典型的には、インターネットサービスプロバイダ、テレビサービスプロバイダ、オーバーザトップメディアサービスプロバイダなどのサービスのプロバイダとの比較的長期的な(例えば、月間、年間など)契約関係を結ぶ。それらの顧客は一般に、特定の契約レベルのサービスを期待しており、顧客が、望ましくないレベルのサービスを体感する場合、サービスプロバイダに接触して、望ましくないレベルのサービスを報告しようとすることが多い。例えば、不満をもった顧客は、サービスの休止、明確な速度低下、構成の問題などがあるときはいつでも、それらのインターネットサービスプロバイダに接触するであろう。顧客にとって望ましい体感を保証できるようにするために、このようなサービスプロバイダは、典型的には、それらの問題に適時に対処するために問題及び業務を報告するように顧客に奨励する。
【0004】
トランスポートクラフトでの移動中に、(例えば、ストリーミングメディア、電子メール、インターネットなどのための)通信リソースを消費することをユーザが望むことが、より一般的になっている。例えば、乗客は、自動車、航空機、バス、列車、船舶、又は他のトランスポートクラフトによる移動中に、携帯電話、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、統合メディア端末、及び/又は他の移動端末機を携帯することができる。多くの場合、通信サービスの一部又は全ては、トランスポートクラフトと通信するリモートネットワーク(例えば、インターネット)を介して、乗客に提供される。このような場合には、通信プロバイダとトランスポートクラフトを運行する輸送プロバイダとの間には、契約関係が存在することが多い。特定のレベルのサービスが通信プロバイダによって提供されることを確実にするために、いくつかのこのようなプロバイダは、そのサービスが時間の割合で利用可能であり、かつ/又はいくつかの契約されたデータ速度閾値を満たすことを定期的にチェックする傾向にある。
【0005】
多くの場合、通信プロバイダと輸送プロバイダとの間には比較的長期的な契約関係が存在するが、通信プロバイダと乗客との間には比較的短期的な関係のみが存在し得る。例えば、航空路線の乗客は、単一フライトの一部期間の間だけ航空路線のインターネットサービスを使用することができる。サービスが技術的に利用可能であり、少なくとも最低限のデータ速度を航空機に提供する間でも、乗客が依然として、いくつかの理由のため、不十分なサービスを体感するか、又はサービスをまったく体感できないことがある。しかし、輸送プロバイダ及び通信プロバイダの両者は、エンドユーザの体感の理解が不十分な場合があり、このことは、それらのプロバイダが、自分らのエンドユーザの体感に関して生じる問題を認識して、適切に対処する能力を妨げることがある。
【発明の概要】
【0006】
とりわけ、体感品質(QoE)に基づく移動時通信サービスを提供するためのシステム及び方法について説明する。例えば、移動時通信サービスは、1つ以上のトランスポートクラフトのコンテンツ消費装置にネットワークを介して提供される。測定窓の間に、移動時通信サービスの配信を測定して、ネットワークレベル配信(以下、NLDとも称する)測定値を取得することができ、コンテンツ消費装置のうちの1つ以上による移動時通信サービスの消費を測定して、顧客レベル消費(以下、CLCとも称する)測定値を取得することができる。NLD及びCLC測定値を使用して、1つ以上のトランスポートクラフトの1人以上の乗客によって認識される、配信されたサービスの品質を示すQoEスコアを計算することができる。QoEスコアを使用して、記憶されたサービスレベルデータを更新することができる。更新は、1つ以上のサービスレベルトリガを発生させることができ、これは、QoE関連条件に対処するために自動是正動作をトリガすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示は、添付の図面と併せて説明される。
【0008】
図1】様々な実施形態の状況を提供する衛星通信システムの簡略図を示す。
【0009】
図2】移動時通信サービスを配信するための例示的な通信システムを示し、ここでは、様々な実施形態による測定及びスコアリング構成要素が主にプロバイダ側ネットワークノードに配置されている。
【0010】
図3】移動時通信サービスを配信するための例示的な通信システムを示し、ここでは、様々な実施形態による測定及びスコアリング構成要素が主にトランスポートクラフトに配置されている。
【0011】
図4】移動時通信サービスを配信するための例示的な通信システムを示し、ここでは、様々な実施形態による測定構成要素が主にトランスポートクラフトに配置されており、スコアリング構成要素が主にプロバイダ側ネットワークノードに配置されている。
【0012】
図5】様々な実施形態による、移動時メディアサービスを配信するための例示的な方法のフロー図を示す。
【0013】
添付の図面では、類似の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照符号を有することができる。更に、同じ種類の様々な構成要素は、類似の構成要素の中で区別する第2の符号による参照符号に従うことによって区別することができる。第1の参照符号のみが本明細書で使用される場合、説明は、第2の参照符号に関係なく、同じ第1の参照符号を有する類似の構成要素のうちのいずれか1つに適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、数多くの具体的な詳細が説明される。しかしながら、当業者であれば、本発明は、これらの具体的な詳細を伴わずに実施することができることを認識するべきである。いくつかの例では、回路、構造、及び技法は、本発明を不明瞭にすることを避けるために詳細に示されていない。
【0015】
図1は、様々な実施形態の状況を提供する衛星通信システム100の簡略図を示す。衛星通信システム100は概して、本明細書に記載されるように、リリース時間ベースの優先順位付けに従って、1つ以上のコンテンツソースから複数のトランスポートクラフト110へのオンボードコンテンツの配信を促進にする。例えば、旅客用航空機は、シート内モバイル、個人用モバイル、又は他の装置を介して、移動時通信サービス(例えば、飛行時エンターテイメント、飛行時インターネット接続など)を提供するためのオンボードシステムを有し得る。旅客用航空機が飛行している間に、そのオンボードシステムは、衛星通信システム100の1つ以上のキャリアと通信することができ、それによって、移動時通信サービスを乗客に配信することができる。
【0016】
トランスポートクラフト110及び輸送関連サービスは、航空会社などの輸送プロバイダによって乗客に提供することができ、輸送プロバイダは、移動時通信サービスに関して自身の乗客に肯定的な体感を提供することを望む。肯定的な乗客体感を生じさせるために、輸送プロバイダは、移動時通信サービスが、望ましいデータ速度(例えば、乗客の使用をサポートするための十分に高いスループット、帯域幅など)において、少なくとも、望ましいレベルの利用可能性(例えば、ネットワークのダウンタイムをほとんど又は全く感じられない、又は他のサービス損失を感じない)及び望ましいレベルのアクセシビリティ(例えば、適切な価格、種々異なるアプリケーション及び/又は装置の種類のサポートなど)を有することを確実にすることを求めるであろう。移動時通信サービスは、衛星通信会社などの通信プロバイダによって提供することができ、通信プロバイダは、通信サービスが提供されるプロバイダネットワークの一部又は全ての構成要素を提供し、かつ運用することができる。場合によっては、通信プロバイダは、輸送プロバイダと完全に又は部分的に関連している。他の場合には、通信プロバイダは、輸送プロバイダとは別個である。このような場合、輸送プロバイダは、通信プロバイダとの契約関係を介して望ましい乗客体感を確実にすることができる。
【0017】
従来、望ましい乗客体感を確実にするためには、通信プロバイダのサービスが、少なくともいくつかの契約された時間の割合で利用可能であること、及び/又はいくつかの契約されたデータ速度閾値を満たすことを定期的にチェックすることだけを通信プロバイダに義務付ける傾向があった。しかしながら、このような定期的なチェックは、望ましいレベルのサービスがエンドユーザ(例えば、乗客)に提供されているかどうかを正確に反映しない傾向がある。例えば、客観的測定値が、特定の時間において特定の飛行機フライトでネットワークが利用可能であり、少なくとも最低限のレベルのデー速度を提供していることを示す場合であっても、いくつかの他の問題が、そのフライトの一部又は全ての乗客に対して、特定のアプリケーションを使用したネットワーク接続のトラブルを引き起こし、又はそうでなくても望ましくない乗客体感を引き起こすことがある。このような場合には、輸送クルーが、その問題に対処する機会又は能力をほとんど有さないことがしばしばであり、乗客は、その問題を報告する動機をほとんど有さない場合があり、かつ/又は、(例えば、報告する個人がその問題を十分に理解していないため、あるいは技術者が事後にその問題をデバッグすることが実現困難であるなどのために)報告されてもその問題の原因又は修復を判断することが困難である場合がある。
【0018】
本明細書に記載される実施形態は、移動時通信サービスを配信することに関して、望ましい体感品質(以下、QoEとも称する)を維持するための新規な手法を提供する。例えば、プロバイダネットワークの構成要素は、移動時通信サービスが提供されている間に、測定時間窓にわたってネットワークレベル配信(以下、NLDとも称する)測定値及び顧客レベル消費(以下、CLCとも称する)測定値を取得するために使用される。NLD測定値及びCLC測定値の関数(例えば、加重平均など)としてQoEスコアを計算することができ、それらの測定値は、客観的メトリック及び主観的メトリックの両方に基づくことができる。計算されたQoEスコアは、1つ以上のトランスポートクラフトの1人以上の乗客によって認識される、配信されたサービス品質(以下、QoSとも称する)をリアルタイムで示すことができる。いくつかの実施形態では、QoEスコアは、1つ以上のサービスレベルトリガを発生するために自動的に使用することができ、このサービスレベルトリガは、1つ以上の自動化トリガ応答動作の実行により、必要に応じてQoEにおいて検出された変化に少なくとも部分的に対処することができる。
【0019】
実施形態では、多くの異なるやり方で多くの異なる種類のメトリックを使用することができる。NLD測定値は概して、(例えば、それら配信されたサービスが1人以上の乗客によって消費されているかどうかにかかわらず)移動時通信サービスを配信する際のネットワークの有効性を示す客観的測定値を含む。NLD測定値は、例えば、ネットワーク全体にわたって、サブネットワークにわたって、あるいはネットワークの1つ以上のリンクにわたってなど様々なレベルで取得することができる。CLC測定値は概して、移動時通信サービスを消費する際の乗客の有効性を示す主観的測定値を含む(かつ、客観的測定値も含むことができる)。CLC測定値はまた、例えば、各乗客個人について、又は、乗客の大きな若しくは小さな群について、あるいは1つ以上のシミュレートされたコンテンツ消費装置などについて、様々なレベルで取得することができる。2種類の測定値を、計算されたQoEに異なるやり方で反映することができる。例えば、移動時通信サービスが、(例えば、NLD測定値によれば)特定の乗客に客観的に利用可能であっても、CLC測定値は、1つ以上の乗客用コンテンツ消費装置が、乗客シートにおける無線受信不良(又は、有線インターフェース不良)、装置の技術的制限、及び/又は他の理由のために困難を被っていることを示すことができる。更に、特定のCLC測定値は(例えば、乗客用コンテンツ消費装置又はシミュレートされたコンテンツ消費装置によって)客観的に測定することができるが、客観的測定値を、QoEスコア計算の主観的部分と組み合わせることもでき、又はQoEスコア計算の主観的部分に寄与することができる。例えば、CLC測定値は、測定時間窓にわたるビデオバッファイベントの数の客観的測定値を含むことができ、このビデオバッファイベントの数を、QoEスコアの計算の一部として、かつ/又はサービスレベルトリガの出力の一部として、ビデオバッファイベントの閾値と比較することができる(以下に説明する)。また、ビデオバッファイベントの閾値は、いくつのビデオバッファイベントがあると、配信されたQoSに乗客によって認識されるような悪影響を及ぼす傾向があるかを主観的に測定することによって決定してもよい。
【0020】
使用された特定のメトリックに応じて、1つ以上の種類のQoEスコアを計算し、かつ/又は使用して、サービスレベルトリガを発生することができる。いくつかの実現形態では、一般的なQoEスコアは、配信されたQoS全体の認識度を示すように計算される。他の実現形態では、ウェブブラウジングQoEスコアが、通常のウェブブラウジング行動のための移動時通信サービスの使用に関連して、配信されたQoSの認識度を示すように計算される。いくつかの実現形態では、ビデオストリーミングQoEスコアが、ビデオストリーミングサービスのための移動時通信サービスの使用に関連して、配信されたQoSの認識度を示すように計算される。他の実現形態では、他の種類の行動のための移動時通信サービスの使用に関連して、配信されたQoSの認識度を示すために別の種類のQoEスコアを計算することができる。これら形式のQoEスコアのいずれも、1人以上の乗客、1つ以上のトランスポートクラフト、1つ以上の測定時間窓、及び/又は他の好適なパラメータに関連して計算することができる。
【0021】
これら及び他の特徴は、プロバイダネットワークの構成要素を使用して提供することができる。本明細書で使用するとき、プロバイダネットワークは、プロバイダ側構成要素、クラフト側構成要素、及びプロバイダ側構成要素をクラフト側構成要素と通信可能に接続するプロバイダネットワークのうちの一部又は全てを含むことができる。プロバイダ側構成要素は、1つ以上のゲートウェイ端末150及びプロバイダ側ネットワークノード245を含むことができる。場合によっては、プロバイダ側構成要素はまた、1つ以上のコンテンツネットワーク160、1つ以上のコンテンツサーバ180、及び/又はトランスポートクラフト110から離れて配置された任意の他の好適な構成要素を含むことができる。クラフト側構成要素は、オンボード通信システム112を含むことができ、このオンボード通信システムは、トランスポートクラフト110に配置された任意の他の好適な通信関連構成要素を備える移動端末230を有することができる。プロバイダネットワークは、通信リンク(例えば、衛星通信リンク135)、リレー(例えば、衛星105)、及び/又はトランスポートクラフトとプロバイダ側構成要素との間に配置された任意の他の好適な構成要素を含むことができる。
【0022】
図示した実施形態は、衛星105、1つ以上のプロバイダ側ネットワークノード245(例えば、ゲートウェイ、コアノードなど)、及びコンテンツネットワーク160を介して1つ以上のコンテンツサーバ180と通信するトランスポートクラフト110を示す。通信システム100は、スポットビーム135を介して衛星105と通信する単一の航空機としてのトランスポートクラフト110と共に例示されているが、このような説明は限定することを意図するものではなく、実施形態では、多くの異なる状況で運用することができる。例えば、通信システム100は、1つ以上のトランスポートクラフト(複数可)110(例えば、航空機、列車、バス、小型飛行船、クルーズ船舶など)を含むことができ、このトランスポートクラフトは、衛星通信システム、空対地通信システム、ハイブリッド衛星、及び空対地通信システム、セルラー通信システムなどの任意の好適な通信リンクを含む、任意の1つ以上の好適な通信アーキテクチャ(複数可)を介して通信する。
【0023】
典型的には、トランスポートクラフト110が移動する性質のために、通信アーキテクチャは、少なくとも1つの無線通信リンクを必要とする可能性が高い。いくつかの実施形態では、トランスポートクラフト110(複数可)は、複数のキャリアを有する通信システムと通信することができる。「キャリア」という用語は概して、1つ以上のトランスポートクラフト110及び/又はコンテンツ消費装置120が、(例えば、特定のスポットビームカバーエリアにサービスを提供する)衛星通信システムのスポットビーム135、(例えば、特定のスポットビームカバーエリア内の一部又は全ての端末にサービスを提供する)衛星通信システムのスポットビーム内の特定のキャリア周波数帯域及び/又は偏光、(例えば、特定のセルカバーエリア内のセルラー端末にサービスを提供する)セルラーキャリア周波数帯域などの無線通信リンクを含むために使用される。例えば、特定のキャリアとの通信は、特定の周波数、偏光などを使用して、それぞれの無線リンクを介して通信することを含み得る。通信システムアーキテクチャは、複数のキャリアを使用して、複数のキャリアカバーエリア(例えば、スポットビームカバーエリア、セルカバーエリアなど)で構成された大きなサービスエリアにサービスを提供することを含む、様々な特徴を提供することができる。キャリアカバーエリアは、複数のキャリアによって特定の地理的領域に(例えば、同時に)サービスが提供されるように、部分的に又は完全に重なり合うことができる。トランスポートクラフト110は通信ネットワークを介して移動するので、複数のキャリアカバーエリアを通って移動することができ、その結果、通信サービスは、時間にわたり異なるキャリアを介してトランスポートクラフト110に提供され得る。例えば、大西洋間又は国際飛行機の飛行中、飛行機内の乗客のコンテンツ消費装置120は、多くのキャリアカバーエリアを通って移動することができる。また、それらのカバレージエリアにサービスを提供する異なるキャリを経時的に使用して、移動中にカバーされた大きな地理的領域(例えば、横断領域は、単一のキャリアカバーエリアよりも大きい)でのトランスポートクラフト110との通信を維持し、かつ/又は、複数のキャリアにわたる負荷平衡化を容易にする、キャリアによる端末のグループ化などの他の特徴を提供することができる。移動中にトランスポートクラフト110を、あるキャリアから別のキャリアに移行させることは、それらのキャリア間の通信サービスの「ハンドオーバー」を必要とすることがあるが、これは、保留中の複数のマルチキャスト通信及び/又は、いくつかの場合には、他の複数のサービスにわたるハンディングを必要とすることがある。
【0024】
トランスポートクラフト110の乗客による移動時通信サービスの使用は、プロバイダネットワークを介した様々な種類のコンテンツの通信を含むことができる。例えば、コンテンツは、メディアコンテンツストリーミング(例えば、オーバーザトップテレビ、映画、又はラジオプログラミング)、ライブテレビ又はラジオ再生、インターネットブラウジング、ソーシャルメディア、又はオンラインゲーム対話、電子メール、テキスト、又は他のメッセージング対話などを含むことができる。例えば、このようなコンテンツは、コンテンツネットワーク160及びゲートウェイ150(及び/又は他のプロバイダ側ネットワークノード245)を介したコンテンツサーバ(複数可)180に由来する、かつ/又はそれを宛先とすることができる。コンテンツネットワーク160は、インターネット、IPネットワーク、イントラネット、広域ネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、仮想LAN(VLAN)、光ファイバネットワーク、ケーブルネットワーク、公衆交換電話網(PSTN)、公衆交換データネットワーク(PSDN)、公衆陸上モバイルネットワークなどの任意の種類の適切なネットワーク、及び/又は本明細書に記載されるような任意の他の種類のネットワークをサポートする通信を含むことができる。ネットワーク160は、有線接続及び無線接続の両方、並びに光リンクを含むことができる。
【0025】
コンテンツサーバ(複数可)180は、任意の好適なアーキテクチャで衛星105を介してアクセス可能であり得る。例えば、コンテンツサーバ(複数可)180に記憶されたコンテンツを、コンテンツサーバ(複数可)180によって発生することができ、かつ/又はネットワーク160を介してコンテンツサーバ(複数可)180によって受信することができ、また、コンテンツサーバ(複数可)180は、ゲートウェイ150、コアノード、又は通信インフラストラクチャの任意の他の好適な位置に配置してもよい。コンテンツは、飛行中に、衛星105及びオンボード通信システム112を介して、コンテンツサーバ(複数可)180から(例えば、コンテンツ消費装置120からのこのような媒体の要求に応じて)コンテンツ消費装置120に通信することができる。図の複雑さを回避するために1つのコンテンツサーバ180のみが示されているが、コンテンツ消費装置120によって受信されたコンテンツは、1つ以上の位置にある1つ以上のコンテンツサーバ180(複数可)からのものであってもよい。いくつかの場合、移動時通信サービスの提供は、コンテンツ消費装置120からのこのようなコンテンツに対する要求(例えば、明示的又は暗黙的要求)に応じてコンテンツを提供することを含む。他の場合には、移動時通信サービスの提供は、クライアント要求に応じずに、コンテンツをトランスポートクラフト110及び/又は特定のコンテンツ消費装置120にプッシュすることを含む。例えば、コンテンツは、スケジュールに基づいて、又は予備位置決めのために、コンテンツ消費装置120にプッシュすることができ、コンテンツは、任意の好適な通信プロトコル及び/又はスキーマなどを使用して、トランスポートクラフト110にブロードキャストするか、又はマルチキャストすることができる。
【0026】
トランスポートクラフト110への移動時通信サービスの提供は、(例えば、1つ以上の衛星通信リンク135及び衛星105を介して)ネットワークのプロバイダ側構成要素とオンボード通信システム112との間の相互作用を伴うことができる。実施形態では、オンボード通信システム112は移動端末230を含み、この移動端末230は、アンテナシステム170、送受信機172、モデム174、ネットワークアクセスユニット(NAU)176及び無線アクセスポイント(WAP)178を含むことができる。いくつかの実現形態では、オンボード通信システム112は、衛星105からの往路ダウンリンク信号の受信及び衛星105への復路アップリンク信号の送信を提供することができ、トランスポートクラフト110のコンテンツ消費装置120とプロバイダネットワークのプロバイダ側構成要素との間の双方向データ通信をサポートすることができる。コンテンツ消費装置120は、例えば、乗客によってトランスポートクラフト110に持ち込まれたパーソナル電子装置(PED)などの、モバイル装置(例えば、スマートフォン、ラップトップ、タブレット、ネットブックなど)を含むことができる。更なる例として、コンテンツ消費装置120は、乗客シートバックシステム、又はトランスポートクラフト110にある他の装置を含むことができる。コンテンツ消費装置120は、有線及び/又は無線であり得る通信リンクを介してネットワークアクセスユニット176と通信することができる。通信リンクは、例えば、WAP178によってサポートされる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)などのローカルエリアネットワークの一部であり得る。1つ以上のWAP178は、トランスポートクラフト110の周りに分散配置することができ、ネットワークアクセスユニット176と連携して、例えば、WLAN拡張サービスセット(ESS)などの一部として、トラフィックスイッチング及びルーティング機能を提供することができる。
【0027】
動作中、ネットワークアクセスユニット176は、コンテンツ消費装置120から受信したアップリンクデータをモデム174に提供し、送受信機172に送信するために変調されたアップリンクデータ(例えば、送信中間周波数(IF)信号)を生成することができる。送受信機172は、変調されたアップリンクデータをアップコンバートし、次いで増幅して、アンテナシステム170を介して衛星105に送信するための復路アップリンク信号を生成することができる。同様に、送受信機172は、アンテナシステム170を介して衛星105から往路ダウンリンク信号を受信することができる。送受信機172は、往路ダウンリンク信号を増幅し、かつダウンコンバートして、モデム174によって復調される、変調ダウンリンクデータ(例えば、受信IF信号)を生成することができる。モデム174からの復調されたダウンリンクデータは、コンテンツ消費装置120へルーティングするために、ネットワークアクセスユニット176に提供することができる。モデム174は、ネットワークアクセスユニット176と統合され得るか、又はいくつかの実施例では、別個の構成要素であり得る。
【0028】
トランスポートクラフト110が通信システム100のキャリアを介して移動するので、それらのトランスポートクラフト110の乗客は、それらのコンテンツ消費装置120を使用して移動時通信サービスを消費することができる。本明細書に記載されているいくつかの実施形態は、乗客が消費する、又は消費しようとする移動時通信サービスに、少なくとも望ましいレベルのQoEを保証することを努める。これは、トランスポートクラフト110の乗客に関して客観的QoE関連情報と主観的QoE関連情報の両方を取得して利用するために、プロバイダネットワークにわたる様々な構成要素を使用することを伴うことができる。
【0029】
図2は、様々な実施形態による、望ましい乗客QoEをサポートするように、移動時通信サービスを配信するための例示的な通信システム200を示す。通信システム200は、図1を参照して説明した通信システム100の部分の実現例とすることができる。例えば、図1のように、図2の通信システム200は、プロバイダネットワーク240を介して1つ以上のプロバイダ側ネットワークノード245と通信する1つ以上のトランスポートクラフト110を含む。プロバイダネットワーク240は、図1に示す衛星通信ネットワーク、又は任意の他の好適なネットワーク(1つ若しくは複数)を含むことができる。
【0030】
トランスポートクラフト110は、それに配置された移動端末230を有することができ、この移動端末は、オンボードネットワーク225を介して複数のコンテンツ消費装置120と通信する。移動端末230の実施形態は、移動時通信サービスをトランスポートクラフト110に提供するプロバイダネットワーク240と通信可能に接続されたプロバイダネットワークインターフェース232を含むことができる。また、移動端末230の実施形態は、オンボードネットワーク225を介してコンテンツ消費装置120と通信可能に接続するためのオンボードネットワークインターフェース234を含むことができる。
【0031】
図示した実施形態では、プロバイダ側ネットワークノード245は、測定サブシステム250、QoEスコアリングサブシステム270、及び、サービスレベルデータが記憶されたサービスプロファイルメモリ260を含む(以下に説明する)。測定サブシステム250の実施形態は、測定時間窓の間に移動時通信サービスの配信を測定して、NLD測定値のセットを取得するためのネットワークレベル配信(NLD)サブシステム252を含む。いくつかの実施形態では、NLD測定値のセットは、測定時間窓における移動時通信サービスの利用可能性の測定値を含む。一実現形態では、NLDサブシステム252は、通信ネットワークを繰り返し(例えば、定期的に)ピングして、接続が持続しているかどうかを判定し、測定時間窓にわたるピングの結果を記録して、利用可能性の測定値を取得する。別の態様では、NLDサブシステム252は、通信ネットワークの1つ以上のリンクのデータ速度を定期的又は連続的に測定して、任意の要求又は応答データがリンク(複数可)を横断しているかどうかを判定する。データがリンク(複数可)を横断しない任意の期間を、利用可能性がない期間として記録することができ、NLDサブシステム252は、それに応じて、利用可能性の測定値を取得することができる。他の実施形態では、NLD測定値のセットは、測定時間窓における移動時通信サービスのデータ速度の測定値を含む。他の実施形態では、NLD測定値のセットは、通信ネットワークのプロバイダ側ノードとトランスポートクラフトとの間の少なくとも1つの通信リンクに関するリンクメトリック測定値を含む。例えば、リンクメトリックは、リンク待ち時間、帯域幅、ハンドオーバー状態、及び/又は任意の他の好適なリンクメトリックを表すことができる。これら及び/又は他の種類のNLD測定値のいずれも、往路リンク性能の測定値(通信ネットワークのリンクを横断する往路リンクトラフィックに関するNLD測定値)及び/又は復路リンク性能の測定値(通信ネットワークのリンクを横断する復路リンクトラフィックに関するNLD測定値)を含むことができる。本明細書で使用するとき、往路リンク通信は概してトランスポートクラフト110に送信された通信を指し、復路リンク通信は概して、トランスポートクラフト110から送信された通信を指す。例えば、往路リンク通信は、プロバイダ側ノード(複数可)245からトランスポートクラフト110に(又は、図1を参照すると、ゲートウェイ150から1つ以上の衛星通信リンク135を介して、1つ以上のトランスポートクラフト110に)送信することができ、また、復路リンク通信は、トランスポートクラフト110からプロバイダ側ノード(複数可)245に(又は、図1を参照すると、トランスポートクラフト110から1つ以上の衛星通信リンク135を介して、ゲートウェイ150に)送信することができる。
【0032】
NLDサブシステム252は、任意の好適なやり方でNLD測定値を取得することができる。例えば、測定サブシステム250は、速度テスト及び/又は他のネットワークテストを実行して、ネットワークが利用可能であり、特定のデータ速度を提供しているかどうかをチェックすることができる。プロバイダ側ネットワークノード245にNLDサブシステム252を配置することにより、複数のトランスポートクラフト110にわたって測定値を取得し、かつ/又は集計することを容易にすることができる。例えば、NLD測定値は、トランスポートクラフト毎に、キャリア/ビーム毎に、隊列毎に、トランスポートクラフト型式毎に、移動経路毎に、乗客の種別毎に、コンテンツ消費装置型式毎に、コンテンツ消費アプリケーション形式毎に、サービスの等級毎に、地形毎に、時間(例えば、時刻、季節)毎に、トランスポートクラフトキャパシティ毎に、などで集計することができる。いくつかの実現形態では、集計は多次元であってよい。例えば、NLD測定値は、トランスポートクラフト型式毎のキャリア毎に集計することができる。
【0033】
測定サブシステム250の実施形態はまた、コンテンツ消費装置120のうちの少なくとも1つによる、測定時間窓での移動時通信サービスの消費を測定して、CLC測定値のセットを取得するための顧客レベル消費(CLC)サブシステム254を含む。いくつかの実施形態では、NLD測定値の一部又は全ては客観的測定値であり、CLC測定値の一部又は全ては主観的測定値である。いくつかの実施形態では、1つ以上の主観的CLC測定値は、1つ以上のコンテンツ消費装置120を介して1人以上の乗客(複数可)にプロンプトを通信し、測定時間窓における移動時通信サービスの消費に関する主観的フィードバックデータを要求することによって取得される。例えば、乗客(複数可)がコンテンツ消費装置(複数可)120を使用して、移動時通信サービスを消費する間、又はその後のいずれかの時点で、プロンプトを通信することができる。このような一実施形態では、移動時メディアサービスは、(例えば、トランスポートクラフトプロバイダによって、あるいは通信プロバイダなどによって提供される)専用アプリケーションを介して、又は標準アプリケーション(例えば、標準的なインターネットブラウザ)を介して消費される。アプリケーションは、サービスへのログイン中にプロンプトを表示することができるグラフィカルユーザインターフェース要素、ポップアップなどを含み、サービスの消費中に特定の条件を検出することに応答して、サービスと対話するなどを含む。主観的フィードバックデータは、プロンプトに応答して、少なくとも1つのコンテンツ消費装置を介して1人以上の乗客のうちの少なくとも1人から受信することができ、CLC測定値の少なくとも一部分は、主観的フィードバックデータに従って生成することができる。
【0034】
CLCサブシステム254は、追加的に又は代替的に、任意の好適なやり方で1つ以上の客観的CLC測定値を取得することができる。例えば、CLCサブシステム254は、プロバイダ側ディープパケット監視エンジン、トラフィックシェーパーなど(例えば、及び/又は以下に説明するような1つ以上のシミュレートされたコンテンツ消費装置(SCCD)222)を含むことができ、又はそれと通信することができる。このような構成要素は、どの種類のコンテンツが消費されているか、それぞれの種類のコンテンツがどれだけ消費されているか、どのアプリケーション又はアプリケーション形式がコンテンツを消費するために使用されているかなどを判定するために、トランスポートクラフト110及び/又は個々のコンテンツ消費装置120と通信されたトラフィックを監視することができる。NLDサブシステム252と同様に、プロバイダ側ネットワークノード245にCLCサブシステム254を配置することにより、複数のトランスポートクラフト110全体から測定値を取得し、かつ/又は集計することを容易にすることができる。CLC測定値は、NLD測定値の集計と同じ又は異なるやり方で(例えば、より高い又はより低い分解度で、あるいは同じ又は異なる変数などにわたって)集計することができる。例えば、いくつかの実現形態では、通信プロトコル形式、アプリケーション形式、ブラウザ形式などによって、CLC測定値を集計することができる。
【0035】
一実現形態では、CLC測定値のセットは、測定時間窓において1つ以上のコンテンツ消費装置120によって使用された(例えば、アップロード及び/又はダウンロードの使用を含む)移動時通信サービスのデータ量を示す。別の実現形態では、CLC測定値のセットは、1つ以上のコンテンツ消費装置120が測定時間窓において移動時通信サービスを使用した時間の長さを示す。別の実現形態では、CLC測定値のセットは、測定時間窓において1つ以上のコンテンツ消費装置120によって、移動時通信サービスを消費するために使用された少なくとも1つの装置の種類(例えば、スマートフォン、ラップトップ、タブレットなどの装置形式、パーソナルモバイル機器、シートバック端末、共有ケーブルディスプレイなどの装置の設置、スクリーンサイズ、オペレーティングシステムなどの装置特性)を示す。別の実現形態では、CLC測定値のセットは、測定時間窓において1つ以上のコンテンツ消費装置120によって、移動時通信サービスを消費するために使用された少なくとも1つのコンテンツ消費アプリケーション(例えば、オーバーザトップメディアストリーミング、インターネットチャット、インターネットブラウジング、電子メールなど)を示す。別の実現形態では、CLC測定値のセットは、測定時間窓における1つ以上のコンテンツ消費装置120による移動時通信サービスの消費に含まれるトラフィックの種類を示す。別の実現形態では、CLC測定値のセットは、1つ以上のコンテンツ消費装置120に関連付けられた乗客のうちの少なくとも1人が、測定時間窓に関連して通信サービスの消費を首尾よく購入したかどうかを示す。別の実現形態では、CLC測定値のセットは、1つ以上のコンテンツ消費装置120が、移動端末230と首尾よく通信可能に接続されて、測定時間窓に関連して移動時通信サービスを消費したかどうかを示す。
【0036】
いくつかの実施形態では、いくつかのCLC測定値は、1つ以上のシミュレートされたコンテンツ消費装置(SCCD)222の使用によって影響を受け得る。各SCCD222は、1つ以上の実際のコンテンツ消費装置120の挙動をシミュレートする、移動サーバ230上で実行される実行可能プログラムとして実装することができる。代替的に、1つ以上のSCCD222は、シミュレーションプログラムを実行する実際の又は仮想マシンとして実装することができる。SCCD222を使用して、例えば、通常の消費者の行動、変則的な消費者行動、コンテンツ消費装置の特定の故障モード、特定の種類のコンテンツ消費装置の特性(例えば、ブランド、ブラウザ、オペレーティングシステム、ソフトウェアアップデートなど)、特定の使用事例の特性(例えば、アプリの形式、コンテンツの種類など)、及び/又は他の条件をシミュレートすることができる。
【0037】
いくつかの実現形態では、SCCD222は、ウェブブラウジンに関するメトリック(例えば、ウェブページのロード時間など)を生成するために使用され、それによってウェブブラウジングQoEスコアを計算することに寄与する。例えば、SCCD222が実行可能なプログラムは、SCCD222によって要求される1つ以上のウェブページの事前定義されたセットを含むことができる。プログラムを(例えば、異なる回数で)繰り返し実行することにより、SCCD222に、1つ以上のウェブページの同じ事前定義されたセットを毎回要求させ(例えば、プロバイダ側ノード245から)、それにより、ウェブページロード時間について複数の測定サンプルを経時的に取得することができる。測定サンプルを使用して(例えば、自動的に)、許容可能なウェブページロード時間(又は許容可能な範囲のウェブページのロード時間)を定義し、適合しないサンプル(許容できないウェブページのロード時間を示す)を検出することができる。このような一実現形態では、SCCD222は、いくつかの反復の過程で、かつ/又は経時的にウェブページのロード時間を記録し、記録されたウェブページロード時間を自動的に特徴付けて、許容可能なウェブページロード時間を定義し、定義された許容可能なウェブページロード時間を使用して、記録されたウェブページロード時間における異常を検出し、かつ/又はその後に記録されたウェブページのロード時間における異常を検出する。別のこのような実現形態では、SCCD222は、いくつかの反復の過程で、かつ/又は経時的にウェブページのロード時間を記録し、記録されたウェブページのロード時間をCLCサブシステム254に送信する。CLCサブシステム254は、記録されたウェブページのロード時間を自動的に特徴付けて、許容可能なウェブページロード時間を定義し、定義された許容可能なウェブページロード時間を使用して、記録されたウェブページのロード時間における異常を検出し、かつ/又はその後に記録されたウェブページのロード時間を検出することができる。
【0038】
いくつかの実現形態では、SCCD222は、ビデオストリーミングに関するメトリック(例えば、ビデオ起動遅延、ビデオ再バッファリングなど)を生成するために使用され、それによって、ビデオストリーミングQoEスコアを計算することに寄与する。例えば、SCCD222が実行可能なプログラムは、SCCD222によって要求される1つ以上のビデオファイルの事前定義されたセットを含むことができる。プログラムを(例えば、異なる回数で)繰り返し実行することにより、SCCD222に、1つ以上のビデオファイルの同じ事前定義されたセットを毎回要求させ(例えば、プロバイダ側ノード245から)、それにより、ビデオ起動遅延のための複数の測定サンプルを取得することができる。測定サンプルを使用して(例えば、自動的に)、ビデオ起動遅延を定義し、適合しないサンプル(許容できないビデオ起動遅延を示す)を検出することができる。同様に、SCCD222を使用してビデオファイルをストリームする間、特定の期間(例えば、5分)にわたって再バッファリングイベントの数をカウントすることができ、この数を使用して許容可能な閾値を設定することができ、かつ/又はこの数を既存の閾値と比較して、許容不能な数の再バッファリングイベントを検出することができる。
【0039】
他の実施形態では、SCCD222を使用して、一般的なQoEスコア及び/又は特定の種類の活動に関連する様々なQoEスコアを計算するのに寄与するために、任意の他の好適なメトリックを生成することができる。これら及び/又は他の実現形態の一部では、SCCD222を使用して取得されたCLC測定値は、NLD測定値(例えば、移動時通信サービスの利用可能性、移動時通信サービスの往路リンクデータ速度など)と組み合わせて、1つ以上のQoEスコアを計算することに更に寄与することができる。例えば、測定サブシステム250がNLD測定値及びCLC測定値を取得している間、1つ以上のSCCD222は、様々な種類のトラフィックの生成及び/又は消費をシミュレートするために、移動端末230上で実行することができる(例えば、これにより、CLC測定値の測定に影響を与え、かつ/又は更に寄与する)。このことは、トランスポートクラフト110の通常の移動中に(例えば、乗客を輸送する間の測定時間窓の間)、あるいはトランスポートクラフト110のシミュレートョンされた移動中に(例えば、トランスポートクラフト110が駐機している間、若しくは点検されている間)、又は任意の他の好適な時間で行うことができる。
【0040】
移動時通信サービスは、トランスポートクラフト110の移動時間の一部又は全ての間に、それらのコンテンツ消費装置120(及び/又はSCCD222)を介して、乗客に提供される。同様に、NLD及び/又はCLC測定値が得られる測定時間窓は、トランスポートクラフト110の移動時間の一部又は全てとすることができる。例えば、航空機の乗客は、離陸若しくは着陸中、又は飛行中の他の部分の間は、移動時通信サービスにアクセスすることを許可されない場合があるが、バスの乗客は、乗客がバスに乗っている時間全体にわたって、移動時通信サービスにアクセスすることが許可され得る。したがって、いくつかの実現形態では、乗客が移動時通信サービスにアクセスすることを許可されている間の、トランスポートクラフト110の移動時間の部分に応じて測定時間窓を設定する。また、より多数の又はより少数の乗客が移動時通信サービスを使用しようとする時間、あるいは移動時通信サービスがより大きな又はより小さな信頼性をもってトランスポートクラフト110に提供される時間等が、トランスポートクラフト110の移動中に存在することがある。したがって、いくつかの実現形態では、特定の故障モード又は他の条件が発生しやすいこのような時間に対応するように測定時間窓を設定する。他の実現形態では、測定時間窓は、活動のサンプルを事前定義された時間にわたって記録するように設定される。例えば、測定時間窓は、トランスポートクラフトの移動時間のおよそ半分である10分の窓に設定することができる。他の実現形態では、測定時間窓は、トリガイベントに応答して設定することができる。例えば実現形態では、1つ以上のトランスポートクラフト110に関連して、時間の長さについての測定を自動的にトリガすることができる。このトリガは、(例えば、スケジュールに基づいて契約上発行された、あるいはサービス技術者によって発行された、などの)明示的な測定要求に応答して、QoEに影響を及ぼし得るネットワークイベントの検出(例えば、ネットワーク停止、ネットワーク使用における急増の検出など)に応答して、あるいはQoEの指標の低下の検出に応答して(例えば、トランスポートクラフト110の1人以上の乗客に対するQoEの低下の検出は、そのトランスポートクラフト110の他の乗客に対するQoEの測定、あるいは同じキャリアによってサービスが提供される他のトランスポートクラフト110に対するQoEの測定をトリガすることができる)に応答して、かつ/又は任意の他の好適なトリガイベントに応答して行うことができる。
【0041】
QoEスコアリングサブシステム270の実施形態では、特定の測定時間窓に関連するQoEスコアを、NLD測定値及びCLC測定値の関数として計算するために、測定サブシステム250と通信する。QoEスコアは、コンテンツ消費装置120を介したそれら乗客の移動時通信サービスの消費(又は消費の欠如)に関連して、1つ以上のトランスポートクラフト110の1人以上の乗客によって認識されるサービスの配信品質(QoS)を示すことができる。QoEスコアを計算した後、QoEスコアリングサブシステム270の実施形態では、サービスプロファイルメモリ260に記憶されたサービスレベルデータを適宜更新することができる。いくつかの実施形態では、サービスプロファイルメモリ260を更新することは、サービスプロファイルメモリ260に新しいデータを記憶すること、及び/又はデータの上書きを行うことを伴う。他の実施形態では、更新は、更新されたサービスレベルデータに従って更新された統計、メトリック、傾向、及び/又は他のデータを計算することと、サービスプロファイルメモリ260にそれらの更新を記憶することと、を含み得る。
【0042】
サービスプロファイルメモリ260を更新することにより、サービスレベルデータのいくつかの部分が事前定義されたトリガ閾値を超える(例えば、最大閾値レベルを超えるか、又は最小閾値レベルを下回る)場合に、QoEスコアリングサブシステム270は、サービスレベルトリガ275を出力することができる。いくつかの実施形態では、サービスレベルトリガ275は、トランスポートクラフト110の1人以上の乗客に対して、QoEに関する1つ以上の事前定義された望ましくない条件を示すことができる。他の実施形態では、サービスレベルトリガ275は、(例えば、契約した、又は保証されたQoEレベルを超える場合)トランスポートクラフトの1人以上の乗客に対して、QoEに関する1つ以上の例外的に望ましい条件を示すことができる。
【0043】
QoEスコアリングサブシステム270は、NLD測定値及びCLC測定値の関数として、任意の好適なやり方でQoEスコアを計算することができる。いくつかの実施形態では、計算は、各々が相応の重み付けを有する事前定義された係数の数に基づく。計算に使用される重み付け及び/又は関数は、QoEスコアリングサブシステム270によって出力されるサービスレベルトリガ275の種類に依存し得る。計算は、任意の好適な分解度(1つ若しくは複数)で実行することができ、したがって、計算は、集計、補間、外挿、相関などを含むことができる。例えば、この計算は、特定のトランスポートクラフト、特定の顧客又は顧客のグループ、特定の装置型式、特定のアプリケーション又はデータ形式、特定のサービス等級、特定の移動経路などに関連付けられた1つ以上のQoEスコアをもたらすことができる。いくつかの実施形態では、移動時通信サービスは、トランスポートクラフトに、NLD測定値のセットに対する少なくとも1つの目標NLDレベル、及びCLC測定値のセットに対する少なくとも1つの目標CLCレベルを指示する契約QoE条件のセットに従って配信される。このような実施形態では、QoEスコアリングサブシステム270は、契約QoE条件のセットのうちの少なくとも1つの関数として更にQoEスコアを計算することができる。例えば、移動時メディアサービスの提供は、通信プロバイダと輸送サービスプロバイダとの間の契約、又は通信プロバイダと乗客との間の契約、又は通信プロバイダと乗客との間の契約によって(例えば、エンドユーザライセンス契約、使用契約条項、ロイヤルティプログラム契約などによって)管理することができ、また、契約は、QoEに関連する、約束された、保証された、又は他のレベルのサービスを提供することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、QoEスコアリングサブシステム270は、事前に又は動的に生成された予想QoE条件に従って、QoEスコアを計算する。例えば実施形態では、1つ以上のトランスポートクラフト110について、トランスポートクラフト型式について、移動経路について、あるいはキャリアなどについて予想QoE条件のセットを生成することができる。いくつかの実現形態では、予想QoE条件の一部又は全ては、例えば、契約義務、通常の動作予想などに従って手動で生成される。他の実現形態では、予想QoE条件の一部又は全ては、サービスプロファイルメモリ260に記憶されたサービスレベルデータの関数として、QoEスコアリングサブシステム270によって自動的に生成される。例えば、機械学習モデル、統計モデル、傾向分析などを使用して、特定のトランスポートクラフト110のための通常の運用範囲内にあると考えられる、経過日数、乗客キャパシティの値の幅を生成することができる。生成された予想QoE条件は、NLD測定値のセットのうちの少なくとも1つについての予想NLDレベル、又はCLC測定値のセットのうちの少なくとも1つについての予想CLCレベルのうちの少なくとも1つを示すことができる。次いで、QoEスコアサブシステム270はQoEスコアを、このQoEスコアが、予想QoSと比較して、トランスポートクラフトの1人以上の乗客によって認識される配信QoSを示すように、計算することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、QoEスコアリングサブシステム270によって生成されたサービスレベルトリガ275は、1つ以上の自動化トリガ応答動作と事前に関連付けることができる。このような実施形態では、プロバイダ側ネットワークノード245は、自動化された応答サブシステム280を更に含むことができる。自動化された応答サブシステム280は、サービスレベルトリガ275を検出することができ、検出に応答して自動化トリガ応答動作の実行を指示することができる。自動化トリガ応答動作は、サービスレベルトリガ275によって示された、移動時通信サービスによる問題に対処するためのタスクの自動的な実行の指示を含み得る。一実現形態では、タスクは、サービスコールを通信することを含む。例えば、自動化されたサービスコールは、乗客の体感を何らかのやり方で(例えば、移動端末の1つ以上の構成要素をリセットすることによって、あるいは使用を通じて顧客をガイドすることなどによって)改善することができるかどうかを知るためにクラフトの乗務員(例えば、フライトアテンダント)に発行することができ、あるいは地上要員に(例えば、目的地空港の地上クルーに、移動端末による潜在的にサービス可能な問題を通知するために発行することができ、又は(例えば通信プロバイダが、問題を記録し、是正動作を行い、サービスをスケジュールするなどができるように)通信プロバイダに発行することができる。別の実現形態では、タスクは、修復スクリプトを実行することを含む。例えば、自動修復スクリプトを自動的に使用して、移動端末の1つ以上の部分をリブートし、ネットワーク接続を再確立し、ソフトウェアを更新し、ウイルス又は他のソフトウェアエラーをチェックし、(例えば、異なるブラウザを促すか、特定のソフトウェアをダウンロードするなどして)是正動作を提案することができる。別の実現形態では、タスクは、ネットワークリソースの後続のプロビジョニングを調整することを含む。例えば、帯域幅割り当て、トラフィックシェーピング、及び/又は他のプロビジョニングは、影響を受けたトランスポートクラフトに対してリアルタイムで調整することができ、スケジュールされたプロビジョニングは、影響を受けたトランスポートクラフトが移動することになる将来の時間のために、あるいは同じ又は別のトランスポートクラフトが、影響を受けたルートを横断するようにスケジュールされる将来の時間などのために調整することができる。別の実現形態では、タスクは、問題によって影響を受けた1人以上の乗客のうちの少なくとも1人に補償を提供すること、又は移動時通信サービスの消費のための価格設定を調整することを含む。例えば、1人以上の影響を受けた乗客は、コストなしで、又は低減されたコストでより高いサービスレベルへのアクセスを自動的に行うことができ、通信又は他のサービス(例えば、将来のフライトでのインターネットアクセス、将来のフライトでの食事又はドリンクのためのクーポン、ロイヤルティプログラムクレジットなどの)の払い戻し、又は割引を自動的に受けることができる。別の実現形態では、タスクは、移動時通信サービスの配信に関連付けられた契約パートナーへの、通信についてのレポートを生成することを含む。例えば、輸送サービスプロバイダは、移動時通信サービスの配信のために通信プロバイダと契約することができ、この契約は、通信プロバイダに対して、QoE関連メトリクスを輸送サービスプロバイダに通知することを要求することができる。
【0046】
本明細書に記載されるように、QoEスコアは、様々な次元にわたって、様々な分解度で計算することができる。例えば、QoEスコアは、1人以上の乗客、1つ以上の航空機、1つ以上の行動態様(例えば、ウェブブラウジング、ビデオストリーミングなど)、1つ以上のアプリケーション形式、及び/又は別の次元の任意の好適な組み合わせにわたって計算することができる。計算されるQoEスコアの種類及び/又は出力されるサービスレベルトリガ275の種類に応じて、サービスレベルデータを、様々なやり方でサービスプロファイルメモリ260において更新することができ、サービスレベルデータを更新するために使用される関数は、実施形態毎に変化し得る。いくつかの実施形態では、サービスレベルデータは、特定のQoEスコアに直接対応するように更新される(例えば、サービスプロファイルメモリ260内のサービスレベルデータのセットの各データは、対応する以前に計算されたQoEスコアである)。例えば、測定時間窓にわたり特定の航空機の乗客にわたって計算されたQoEスコアは、移動時通信サービスが(例えば、特定のNLD測定値によれば)望ましいデータ速度で利用可能であるように見えても、(例えば、特定のCLC測定値によれば)ユーザの感じ方が不良であることを示す。このような実施例では、サービスレベルデータは、計算されたQoEスコアを反映するように更新することができ、特定のサービスレベルトリガ275の出力を引き起こすことができ、このサービスレベルトリガは、移動端末230を自動的にリセットすることができる。
【0047】
他の場合には、サービスレベルデータは、同じ又は異なる測定時間窓にわたって計算された複数のQoEスコアを集計するようにして更新される。例えば、複数の測定時間窓の各々にわたり複数の航空機の各々の複数の乗客の各々について、それぞれのQoEスコアが経時的に計算される。サービスレベルデータの更新は、(例えば、特定の測定時間窓における特定の航空機の全ての乗客に対して、あるいは複数の測定時間窓にわたって1人の乗客に対してなどで、QoEスコアを集計することによって)1つ以上の次元にわたって、かつ/又は、(例えば、特定の航空機の特定の客室内の全ての乗客に対して、あるいは航空機の隊列の全ての搭乗者に対してなど)1つ以上の分解度で、それぞれのQoEスコアの一部又は全てを集計することを含むことができる。更に、各QoEスコアは、1つ以上の集計の一部とすることができる(例えば、ある集計は、特定の測定時間窓における特定の航空機の全ての乗客を含み、別の集計は、複数の時間窓における複数の航空機にわたる何人かの同じ乗客を含む)。場合によっては、集計は、例えば、補間、外挿、又は統計的傾向を計算することによる、フィルタリング及び/又はソーティングによる、あるいは機械学習アルゴリズムを介して処理することによる、などの更なる処理及び/又は計算を含む。更新されたサービスレベルデータによって反映された集計は、その後、多くの種類のサービスレベルトリガ275が、いつ出力されるかを通知するために使用することができる。例えば、個別の乗客のそれぞれのQoEスコアを集計することは、複数の乗客に対して単一のQoEスコアを計算するのと同様のやり方で使用することができる(例えば、上記の例では、サービスレベルトリガ275が、移動端末230の自動的リセットを引き起こす)。集計されたサービスレベルデータを使用して、より長期間及び/又は巨視的にQoE傾向を検出し、かつ対処することができる。例えば、サービスレベルデータは、大きな隊列の特定の航空機型式の各々のビジネスクラスの客室に着席したときに、乗客が不良なQoEを体感する傾向があることを示すことができ、このようなサービスレベルデータは、サービスレベルトリガ275を出力させることができる。このサービスレベルトリガは、特定の航空機型式のビジネスクラスの客室への移動時通信サービスの配信を体系的に検査することを開始させる。
【0048】
図2を参照して説明した様々な実施形態では、測定サブシステム250及びQoEスコアリングサブシステム270の構成要素は、プロバイダ側ネットワークノード245に配置される。したがって、これらの実施形態では、NLD測定値及びCLC測定値が取得され、トランスポートクラフト110から離れたネットワークのプロバイダ側部分においてQoEスコアが計算される。他の実施形態では、測定及び/又は計算構成要素の様々な部分は、トランスポートクラフト110などのネットワークの他の部分に配置することができる。これら別の実施形態の一部を図3及び4に示す。
【0049】
図3は、移動時通信サービスを配信するための例示的な通信システム300を示す。この通信システムでは、様々な実施形態によるシステム300の構成要素が実質的に個々のトランスポートクラフト110内に配置されており、望ましい乗客QoEをサポートする。通信システム300は、図1を参照して説明した通信システム100の部分の実現例とすることができる。例えば、図示したトランスポートクラフト110は、プロバイダネットワーク240を介して1つ以上のプロバイダ側ネットワークノード245(図示せず)と通信する多数のトランスポートクラフト110のうちの1つを代表することができる。
【0050】
図2のように、トランスポートクラフト110は、オンボードネットワーク225を介していくつかのコンテンツ消費装置120と通信する移動端末230を含む。いくつかの実施形態ではまた、移動端末230によって実装される1つ以上のSCCD222を含むことができる。移動端末230は、プロバイダネットワーク240と通信可能に接続するプロバイダネットワークインターフェース232を含むことができ、このプロバイダネットワークインターフェースを介して移動時通信サービスが、トランスポートクラフト110に提供される。更に移動端末230は、オンボードネットワーク225を介してコンテンツ消費装置120と通信可能に接続するオンボードネットワークインターフェース234を含むことができる。図2とは異なり、図3の移動端末230は、測定サブシステム250、QoEスコアリングサブシステム270、及びサービスプロファイルメモリ260を含む(すなわち、各トランスポートクラフト110に配置された各移動端末230、又はトランスポートクラフト110の一部は、測定サブシステム250のそれぞれのインスタンス、QoEスコアリングサブシステム270、及びサービスプロファイルメモリ260を含むことができる)。
【0051】
トランスポートクラフト110に搭載した測定サブシステム250は、NLDサブシステム252及びCLCサブシステム254を含む。NLDサブシステム252は、プロバイダネットワークインターフェース232を監視して、プロバイダネットワーク240と移動端末230との間の1つ以上のネットワーク接続についてNLD測定値を取得することができる。例えば、NLD測定値は、ネットワーク利用可能性、データ速度、帯域幅、ハンドオーバーステータス、通信プロトコル、変調及び/若しくは符号化方式、並びに/又は任意の他の好適なNLD測定値を含み得る。CLCサブシステム254は、オンボードネットワークインターフェース234を監視して、移動端末230とコンテンツ消費装置120との間の1つ以上のネットワーク接続のCLC測定値を取得するために、オンボードトラフィックシェーパー、オンボードディープパケット監視エンジン、及び/又は他の構成要素を含むことができる。例えば、CLC測定値は、いくつのコンテンツ消費装置120が移動時通信サービスを消費しているか、どの形式のコンテンツ消費装置120(例えば、スクリーンサイズ、及び/又は特定の装置形式などの装置カテゴリ)が移動時通信サービスを消費するために使用されているか、どのアプリケーション(例えば、メッセージング、オーバーザトップメディアストリーミング及び/又は特定のアプリケーションなどのアプリケーションカテゴリなど)が移動時通信サービスを消費するために使用されているか、どの種類のトラフィック(例えば、データプロトコルなど)がオンボードネットワーク225を横断しているか、及び/又は任意の他の好適なCLC測定値を含むことができる。
【0052】
図示した実施形態では、次いで、オンボードQoEスコアリングサブシステム270が、取得されたNLD測定値及びCLC測定値を使用して、QoEスコアを計算することができる。例えば、QoEスコアリングサブシステム270は、サービスプロファイルメモリ260を更新して、サービスレベルトリガ275を発生するかどうかを決定することができる。サービスレベルトリガ275がQoEスコアリングサブシステム270によって発生される場合、いくつかの実施形態では、サービスレベルトリガ275を記録することができる。例えば、記録されたサービスレベルトリガ275は、後続のメンテナンス又は後続の是正動作のために使用することができる。他の実施形態では、QoEスコアリングサブシステム270は、構成要素を含むことができ、又はオンボードの自動化された応答サブシステム280(図示せず)と通信して、(例えば、接続を再起動すること、診断スクリプトを実行するなどによって)自動的に是正動作を行うことができる。
【0053】
図4は、QoEスコアリングサブシステム270及びサービスプロファイルメモリ260がプロバイダ側ネットワークノード245に配置されていることを除いて、図3のシステム300と同様の例示的な通信システム400を示す。例えば、図3のように、トランスポートクラフト110は、各々が、(プロバイダネットワークインターフェース232を介して)プロバイダネットワーク240と通信し、オンボードネットワーク225を介して(オンボードネットワークインターフェース234を介して)いくつかのコンテンツ消費装置120と通信する移動端末230を含む1つ又は複数のトランスポートクラフト110を代表することができる。各移動端末230は、NLDサブシステム252及びCLCサブシステム254を含むことができるオンボード測定サブシステム250を含むことができる。いくつかの実施形態ではまた、移動端末230によって実装され得る1つ以上のSCCD222を含むことができる。
【0054】
複数のトランスポートクラフト110のオンボード測定サブシステム250によって取得されたNLD測定値及びCLC測定値は、プロバイダネットワーク240を介してQoEスコアリングサブシステム270(例えば、複数のQoEスコアリングサブシステム270)に通信することができる。図示の実施形態では、QoEスコアリングサブシステム270は、取得されたNLD測定値及びCLC測定値を使用して、1つ以上のQoEスコアを計算することができる。例えば、QoEスコアは、単一の測定時間窓にわたる単一のトランスポートクラフト110からの測定値を使用して生成することができ、又は複数の測定時間窓にわたり単一のトランスポートクラフト110から集計することができ、あるいは1つ以上の測定時間窓にわたる単一のキャリアにおける複数のトランスポートクラフト110から集計することができ、更に1つ以上の測定時間窓にわたり複数のキャリアにおいて複数のトランスポートクラフト110から集計することなどができる。受信されたNLD測定値及びCLC測定値を使用して、サービスプロファイルメモリ260を更新し、サービスレベルトリガ275を発生するかどうかを決定することができる。サービスレベルトリガ275がQoEスコアリングサブシステム270によって発生された場合、実施形態では、今後の動作を行う際に使用するためにサービスレベルトリガ275を記録することができ、かつ/又は、自動的に是正動作を行うための構成要素(例えば、図示されていない自動化された応答サブシステム280)を含むことができる。
【0055】
図5は、様々な実施形態による、移動時メディアサービスを配信するための例示的な方法500のフロー図を示す。いくつかの実施形態では、方法500は、図1~4に記載されるシステムの様々な構成要素を使用して実現される。方法500は、実施形態では、段階504で、測定時間窓にわたり、プロバイダネットワークを介する移動時通信サービスを、トランスポートクラフトに配置された移動端末を介してコンテンツ消費装置に提供することによってスタートする。移動時通信サービスは、オーバーザトップ又は他のストリーミングメディアサービス(例えば、映画、テレビ、音楽など)、インターネットブラウジングサービス(例えば、ウェブサイトコンテンツとの対話)、パーソナル通信サービス(例えば、電子メール、テキストなど)、及び/又はプロバイダネットワークを介して配信された任意の他の好適な通信サービスを含むことができる。プロバイダネットワークは、1つ以上のプロバイダ側ネットワークノードとトランスポートクラフトの移動端末との間で通信するために、任意の好適な衛星又は他の無線通信リンクを含むことができる。移動端末は、任意の好適なトランスポートクラフト(例えば、航空機、船舶、列車、バスなど)に配置された任意の好適な通信ハードウェア(例えば、送受信機、モデム、サーバなど)を含むことができる。コンテンツ消費装置は、トランスポートクラフトに設置された消費装置(例えば、シートバックディスプレイ端末、トランスポートクラフトに搭載された共有ディスプレイスクリーンなど)、個人用消費装置(例えば、乗客スマートフォン、タブレット又はラップトップコンピュータなど)、又は任意の他の好適なコンテンツ消費装置を含むことができる。
【0056】
測定時間窓は、トランスポートクラフトの乗客に移動時通信が提供される時間の一部又は全てを含むことができる。一実現形態では、測定時間窓は、トランスポートクラフトの移動時間全体を含む。別の実現形態では、測定時間窓は、移動時通信サービスの消費が許可されるトランスポートクラフトの移動時間の一部のみ(例えば、特定の航空機フライトが高度10,000フィートを超える時間)を含む。別の実現形態では、測定時間窓は、トランスポートクラフトの移動時間中のいくつかのサンプル時間(例えば、10分)である。
【0057】
段階508で、実施形態では、ネットワークレベル配信(NLD)測定値のセットを取得するために、測定時間窓の間の移動時通信サービスの配信を測定することができる。いくつかの実施形態では、NLD測定値のセットは、測定時間窓における移動時通信サービスの利用可能性の測定値を含む。他の実施形態では、NLD測定値のセットは、測定時間窓における移動時通信サービスのデータ速度の測定値を含む。他の実施形態では、NLD測定値のセットは、通信ネットワークのプロバイダ側ノードとトランスポートクラフトとの間の少なくとも1つの通信リンクに関するリンクメトリック測定値を含む。例えば、リンクメトリックは、リンク待ち時間、帯域幅、ハンドオーバー状態、及び/又は任意の他の好適なリンクメトリックを示すことができる。これら及び/又は他の種類のNLD測定値のいずれも、往路リンク性能の測定値(通信ネットワークのリンクを横断する往路リンクトラフィック関するNLD測定値)及び/又は復路リンク性能の測定値(通信ネットワークのリンクを横断する復路リンクトラフィックに関するNLD測定値)を含むことができる。いくつかの実現形態では、段階508での測定の一部又は全ては、移動端末によって実行することができる。例えば、移動端末は、速度テスト及び/又は他のネットワークテストを実行して、ネットワークが利用可能であるかどうか、そしてネットワークが特定のデータ速度を提供しているかどうかをチェックすることができる。特定の実現形態では、段階508での測定は、複数のコンテンツ消費装置からNLDデータを集計することを含むことができる。例えば、NLDデータは、トランスポートクラフト毎に、キャリア及び/又はビーム毎に、隊列毎に、トランスポートクラフト型式毎に、移動経路毎に、乗客の種別毎に、コンテンツ消費装置型式毎に、コンテンツ消費アプリケーション形式毎に、サービスの等級毎に、地形毎に、時間(例えば、時刻、季節)毎に、トランスポートクラフトキャパシティ毎に、などで集計することができる。いくつかの実施形態では、段階504における提供は、プロバイダ側ネットワークノードからトランスポートクラフトに、プロバイダネットワークを介して移動時通信サービスを通信することを含み、段階508における測定の少なくとも一部は、プロバイダ側ネットワークノードによって実行される。例えば、ゲートウェイ端末は、リンク条件を検出し、トランスポートクラフトの移動端末をピングするなどができる。
【0058】
段階512で実施形態では、顧客レベル消費(CLC)測定値のセットを取得するために、複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つによる、測定時間窓における移動時通信サービスの消費を測定することができる。いくつかの実施形態では、段階512における測定は、少なくとも1つのコンテンツ消費装置を介して、少なくとも1つのコンテンツ消費装置を使用しているトランスポートクラフトの1人以上の乗客のうちの少なくとも1人にプロンプトを通信することを含むことができる。このプロンプトは、少なくとも1つのコンテンツ消費装置による、測定時間窓における移動時通信サービスの消費に関して、1人以上の乗客のうちの少なくとも1人から主観的フィードバックデータを要求する。例えば、移動時メディアサービスは、(例えば、トランスポートクラフトプロバイダによって、あるいは通信プロバイダなどによって提供される)専用アプリケーションを介して、又は標準アプリケーション(例えば、標準的なインターネットブラウザ)を介して消費することができる。このアプリケーションは、サービスへのログイン中にプロンプトを表示することができるグラフィカルユーザインターフェース要素、ポップアップなどを含み、サービスの消費中の特定の条件の検出に応じたサービスとの対話などを含む。主観的フィードバックデータは、プロンプトに応答して、少なくとも1つのコンテンツ消費装置を介して1人以上の乗客のうちの少なくとも1人から受信することができ、CLC測定値の少なくとも一部分は、主観的フィードバックデータに従って生成することができる。いくつかの実現形態で段階512における測定は、移動端末によりCLC測定値のセットのうちの少なくとも1つを取得することを含む。例えば、移動端末(例えば、クラフト側ディープパケット監視エンジン、トラフィックシェーパーなど)は、接続されたコンテンツ消費装置、集計フィードバック、チェックリンクステータスなどをピングすることができる。いくつかのこのような実現形態では、本明細書に記載されるように、シミュレートされたコンテンツ消費装置をこのような測定に使用することができる。他の実現形態では、段階504における提供は、プロバイダ側ネットワークノードからトランスポートクラフトにプロバイダネットワークを介して移動時通信サービスを通信することを含み、段階512における測定の少なくとも一部は、プロバイダ側ネットワークノードによって実行される。例えば、プロバイダ側ゲートウェイノード(例えば、プロバイダ側ディープパケット監視エンジン、トラフィックシェーパーなど)の構成要素は、複数のトランスポートクラフトからのCLCデータを、キャリア又はビーム全体にわたって集計することができる。
【0059】
一実現形態では、CLC測定値のセットは、測定時間窓において複数のコンテンツ消費装置のうちの少なくとも1つのコンテンツ消費装置によって使用された(例えば、アップロード及び/又はダウンロードの使用を含む)移動時通信サービスのデータ量を示す。別の実現形態では、CLC測定値のセットは、少なくとも1つのコンテンツ消費装置が測定時間窓において移動時通信サービスを使用した時間の長さを示す。別の実現形態では、CLC測定値のセットは、測定時間窓において少なくとも1つのコンテンツ消費装置によって、移動時通信サービスを消費するために使用された少なくとも1つの装置の形式(例えば、スマートフォン、ラップトップ、タブレットなどの装置形式、パーソナルモバイル機器、シートバック端末、共有ケーブルディスプレイなどの装置の設置、スクリーンサイズ、オペレーティングシステムなどの装置特性)を示す。別の実現形態では、CLC測定値のセットは、測定時間窓において少なくとも1つのコンテンツ消費装置によって、移動時通信サービスを消費するために使用された少なくとも1つのコンテンツ消費アプリケーション(例えば、オーバーザトップメディアストリーミング、インターネットチャット、インターネットブラウジング、電子メールなど)を示す。別の実現形態では、CLC測定値のセットは、測定時間窓における少なくとも1つのコンテンツ消費装置による移動時通信サービスの消費に含まれるトラフィックの種類を示す。別の実現形態では、CLC測定値のセットは、少なくとも1つのコンテンツ消費装置に関連付けられた乗客のうちの少なくとも1人が、測定時間窓に関連して移動時通信サービスの消費を首尾よく購入したかどうかを示す。別の実現形態では、CLC測定値のセットは、少なくとも1つのコンテンツ消費装置が、移動サーバと首尾よく通信可能に接続されて、測定時間窓に関連して移動時通信サービスを消費したかどうかを示す。
【0060】
いくつかの実施形態では段階510で、移動時通信サービスをシミュレーションプロトコルに従って消費するために、シミュレートされたコンテンツ消費装置を移動端末によって測定時間窓内で実行することができる。このような実施形態では、段階512における測定は、測定時間窓におけるシミュレートされたコンテンツ消費装置による移動時通信サービスの消費を、測定時間窓内で測定して、CLC測定のセットの少なくとも一部分を取得することを含むことができる。シミュレートされたコンテンツ消費装置は、1つ以上のコンテンツ消費装置の挙動をシミュレートする、移動サーバ上で実行される実行可能プログラムである。このようなシミュレートされたコンテンツ消費装置は、通常の消費者行動、不規則な消費者行動、コンテンツ消費装置の特定の故障モードをシミュレートするために使用することができ、特定の種類のコンテンツ消費装置(例えば、ブランド、ブラウザ、オペレーティングシステム、ソフトウェアアップデートなど)、特定の使用事例の特性(例えば、アプリの種類、コンテンツの種類など)、及び/又は他の条件をシミュレートすることができる。
【0061】
段階516で、実施形態では、NLD測定値のセット及びCLC測定値のセットの関数として、測定時間窓及びトランスポートクラフトに関連する体感品質(QoE)スコアを計算することができる。本明細書に記載されるように、QoEスコアは、トランスポートクラフトの1人以上の乗客によって認識される配信サービス品質(QoS)を示す。段階516における計算は、各々が相応の重み付けを有する事前定義された係数の数に基づくことができる。計算に使用される重み付け及び/又は関数は、以降の段階524で出力されるトリガの種類に依存し得る。計算は、任意の好適な分解度で実行することができ、したがって、この計算は、集計、補間、外挿、相関などを含むことができる。例えば、この計算は、特定のトランスポートクラフト、特定の顧客又は顧客のグループ、特定の装置型式、特定のアプリケーション又はデータ形式、特定のサービス等級、特定の輸送経路などに関連付けられた1つ以上のQoEスコアをもたらすことができる。いくつかの実施形態では、移動時通信サービスは、NLD測定値のセットに対する少なくとも1つの目標NLDレベル、及びCLC測定値のセットに対する少なくとも1つの目標CLCレベルを示す契約QoE条件のセットに従って、トランスポートクラフトに配信される。このような実施形態では、段階516における計算は更に、契約QoE条件のセットのうちの少なくとも1つの関数として行うことができる。例えば、段階504における移動時メディアサービスの提供は、通信プロバイダと輸送サービスプロバイダとの間の契約、又は通信プロバイダと乗客との間の契約、又は通信プロバイダと乗客との間の契約によって(例えば、エンドユーザライセンス契約、使用契約条項、ロイヤルティプログラム契約などによって)管理することができ、また、この契約は、QoEに関連するサービス、約束された、保証された、又は他のレベルのサービスを提供することができる。
【0062】
段階520で、実施形態では、サービスプロファイルメモリに記憶されたサービスレベルデータを、QoEスコアの関数として更新することができる。いくつかの実施形態では、更新は、新しいデータを記憶すること、及び/又はサービスプロファイルメモリのデータを上書きすることを伴う。他の実施形態では、更新は、更新されたサービスレベルデータに従って更新された統計、メトリック、傾向、及び/又は他のデータを計算することを含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、段階530で、トランスポートクラフトに対する予想QoE条件が生成され、これは、計算が更に予想QoE条件のセットの関数として行われるようにして生成される。例えば、実施形態では、計算に先立って、サービスプロファイルメモリに記憶されたサービスレベルデータの関数として、NLD測定値のセットのうちの少なくとも1つについて予想されたNLDレベル、又はCLC測定値のセットのうちの少なくとも1つについて予想されたCLCレベルのうちの少なくとも1つを示す、トランスポートクラフトに対する(例えば、特定のトランスポートクラフト、トランスポートクラフト型式、移動経路、キャリアなどについての)予想QoE条件のセットを生成することができる。このような場合、段階516における計算は、QoEスコアが、予想されたQoSと比較して、トランスポートクラフトの1人以上の乗客によって認識される配信QoSを更に示すように行われる。
【0064】
段階524で、実施形態では、更新に応答してサービスレベルトリガを出力し、サービスレベルデータの少なくとも一部分が、事前定義されたトリガ閾値を超えるようにする。例えば、サービスレベルトリガの種類に応じて、事前定義されたトリガ閾値を超えることは、事前定義された最大閾値を上回るレベル、又は事前定義された最小閾値を下回るレベルに到達することを含むことができる。いくつかの実施形態では、サービスレベルトリガは、トランスポートクラフトの1人以上の乗客に対して、QoEに関連する1つ以上の事前定義された望ましくない条件を示すことができる。他の実施形態では、サービスレベルトリガは、トランスポートクラフトの1人以上の乗客に対して、QoEに関連する1つ以上の(例えば、契約された、又は保証されたQoEレベルを超える)例外的に望ましい条件を示すことができる。上述のように、いくつかの実施形態では、(例えば、専用アプリケーションなどを介して)乗客から主観的フィードバックデータを収集する。いくつかの実施形態では、主観的フィードバックデータは、1つ以上のトリガ閾値を較正するために使用される。例えば、経時的に数人の乗客から収集された主観的フィードバックデータは、特定の種類のサービスレベルトリガ275が過度に頻繁に、又は過度にまれに出力されていることを示し、あるいはトリガ閾値が高すぎる又は低すぎることを示し、そしてトリガ閾値を上昇させるか、又は低下させることができることを示すことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、段階526で、段階524でのサービスレベルトリガの出力を検出することができる。このような実施形態では、サービスレベルトリガは、自動化トリガ応答動作と事前に関連付けることができる。いくつかのこのような実施形態では、段階528で、検出に応答して自動化トリガ応答動作の実行を指示することができる。自動化トリガ応答動作は、サービスレベルトリガによって示された、移動時通信サービスによる問題に対処するためのタスクを自動的に実行することを指示できる。一実現形態では、タスクは、サービスコールを通信することを含む。例えば、自動化されたサービスコールは、(例えば、移動端末の1つ以上の構成要素をリセットすることによって、あるいは使用を通じて顧客をガイドすることなどによって)乗客の体感を何らかの方法で改善することができるかどうかを知るために、クラフトの乗務員(例えば、フライトアテンダント)に発行することができ、あるいは地上要員(例えば、目的地空港の地上クルーに、移動端末による潜在的にサービス可能な問題を通知するために)に発行することができ、(例えば、問題を記録すること、是正動作を行うこと、サービスをスケジュールすることなどができるように)通信プロバイダに発行することができる。別の実現形態では、タスクは、修復スクリプトを実行することを含む。例えば、自動修復スクリプトを自動的に使用して、移動端末の1つ以上の部分をリブートし、ネットワーク接続を再確立し、ソフトウェアを更新し、ウイルス又は他のソフトウェアエラーをチェックし、(例えば、異なるブラウザを促すか、特定のソフトウェアをダウンロードするなどして)是正動作を提案することができる。別の実現形態では、タスクは、ネットワークリソースの後続のプロビジョニングを調整することを含む。例えば、帯域幅割り当て、トラフィックシェーピング、及び/又は他のプロビジョニングは、影響を受けたトランスポートクラフトに対してリアルタイムで調整することができ、スケジュールされたプロビジョニングは、影響を受けたトランスポートクラフトが移動中になる将来の時間のために、あるいは同じ又は別のトランスポートクラフトが影響を受けたルートを横断するようにスケジュールされる将来の時間のために調整することができる。別の実現形態では、タスクは、問題によって影響を受ける1人以上の乗客のうちの少なくとも1人に補償を提供すること、又は移動時通信サービスの消費のための価格設定を調整することを含む。例えば、1人以上の影響を受けた乗客は、コストなしで、又は引き下げられたコストでより高いサービスレベルへ自動的にアクセスすることができ、通信又は他のサービス(例えば、将来のフライトでのインターネットアクセス、将来のフライトでの食事又はドリンクのためのクーポン、ロイヤルティプログラムクレジットなど)の払い戻し、又は割引を自動的に受けることができる。別の実現形態では、タスクは、移動時通信サービスの配信に関連付けられた契約パートナーへの、通信に関するレポートを作成することを含む。例えば、輸送サービスプロバイダは、移動時通信サービスの配信のために通信プロバイダと契約することができ、この契約は、通信プロバイダに対して、輸送サービスプロバイダにQoE関連メトリクスを通知することを要求することができる。
【0066】
本明細書に開示される方法は、記載される方法を達成するための1つ以上の動作を含む。方法及び/又は動作は、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく互いに入れ換えることができる。換言すれば、具体的な動作の順序が指定されない限り、具体的な動作の順序及び/又は使用は、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく修正することができる。
【0067】
説明される関数は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせで実現することができる。ソフトウェアで実装される場合、関数は、有形コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令として記憶され得る。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスすることができる任意の利用可能な有形媒体であり得る。例として、限定するものではないが、このようなコンピュータ可読媒体としては、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、若しくは他の磁気記憶装置、又は命令若しくはデータ構造の形態で望ましいプログラムコードを搬送若しくは記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の有形媒体を挙げることができる。ディスク(Disk)及びディスク(Disc)は、本明細書で使用するとき、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、及びBlu-ray(登録商標)ディスクが挙げられ、ディスクは通常、データを磁気的に複製し、一方、ディスクは、レーザで光学的にデータを複製する。
【0068】
したがって、コンピュータプログラム製品は、本明細書に提示される操作を実行することができる。例えば、このようなコンピュータプログラム製品は、その上に有形に記憶された(及び/又は符号化された)命令を有するコンピュータ可読な有形媒体であってもよく、命令は、本明細書に記載される操作を実行するための1つ以上のプロセッサによって実行可能である。コンピュータプログラム製品は、包装材料を含むことができる。ソフトウェア又は命令はまた、送信媒体を介して送信することができる。例えば、ソフトウェアは、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(digital subscriber line、DSL)、又は赤外線、ラジオ、若しくはマイクロ波などの無線技術などの送信媒体を使用して、ウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信することができる。
【0069】
更に、本明細書に記載される方法及び技術を実行するためのモジュール及び/又は他の適切な手段は、本明細書に記載される方法を実行するための手段の転送を容易にするために、好適な端末によってダウンロードし、あかつ/又は他の方法で取得することができる。代替的に、本明細書に記載される様々な方法は、記憶手段(例えば、RAM、ROM、CD又はフロッピーディスクなどの物理的記憶媒体など)を介して提供することができ、それにより、ユーザ端末及び/又は基地局は、記憶手段を装置に連結又は提供する際に様々な方法を得ることができる。更に、本明細書に記載される方法及び技術を装置に提供するための任意の他の好適な技術を利用することができる。機能を実現する特徴はまた、様々な位置に物理的に位置決めすることもでき、これは、機能の部分が異なる物理的位置に実現されるように分散することを含む。
【0070】
本発明を説明する際に、以下の用語が使用される。単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、品目への言及は、1つ以上の品目への参照を含む。「ones」という用語は、1つ、2つ、又はそれ以上を指し概して、ある量の一部又は全ての選択に適用される。「複数」という用語は、品目のうちの2つ以上を指す。「約」と言う用語は、量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状、及び他の特性を意味するが、正確である必要はなく、許容可能な許容誤差、変換係数、丸め、測定誤差などを反映し、当業者に既知の他の要因を反映する。「実質的に」という用語は、列挙された特性、パラメータ、又は値が正確に達成される必要はなく、例えば、許容誤差、測定誤差、測定精度制限、及び当業者に既知の他の要因を含む偏差又は変動が、特性が提供されることを意図した効果を除外しない量で生じ得ることを意味する。数値データは、本明細書では、範囲フォーマットで表現又は提示され得る。このような範囲形式は単に便宜上及び簡潔さのために使用され、したがって、範囲の限度として明示的に列挙される数値だけでなく、各数値及びサブ範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含される個々の数値又は部分範囲の全てを含むと解釈されるように、柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例示として、「約1~5」の数値範囲は、約1~約5の明示的に列挙された値だけでなく、示された範囲内の個々の値及び部分範囲も含むと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲に含まれるのは、2、3及び4などの個々の値、並びに1~3、2~4及び3~5などのサブ範囲である。この同じ原理は、1つの数値(例えば、「約1よりも大きい」)のみを列挙した範囲に適用され、範囲の広さ又は記載される特性にかかわらず適用されるべきである。便宜上、複数の品目を共通のリストに提示することができる。しかしながら、これらのリストは、リストの各メンバーが別個の固有の部材として個別に識別されるかのように解釈されるべきである。したがって、このようなリストの個々のメンバーは、反対に指示することなく、共通のグループにおけるそれらの提示にのみ基づいて、同じリストの任意の他のメンバーのデフェーサ等価物として解釈されるべきではない。更に、「及び」及び「又は」という用語は、項目のリストと共に使用される場合、列挙された項目のうちの任意の1つ以上を単独で、又は他の列挙された項目と組み合わせて使用することができるという点で、広範に解釈されるべきである。「代替的に」と言う用語は、2つ以上の代替物のうちの1つの選択を指し、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、列挙された代替物のみ又は列挙された代替物のうちの1つのみに選択を限定することを意図するものではない。本明細書で使用するとき、「結合された」と言う用語は、構成要素が互いに直接接続されることを必要としない。代わりに、この用語はまた、1つ以上の他の構成要素が結合された構成要素の間に含まれ得る間接的接続を有する構成も含むことが意図される。例えば、このような他の構成要素は、増幅器、減衰器、アイソレータ、指向性カプラ、冗長スイッチなどを含むことができる。また、特許請求の範囲を含めて、本明細書で使用されるとき、「少なくとも1つの」によって前置きされた項目のリストにおいて使用される「又は」は、例えば、「少なくとも1つのA、B、又はC」のリストが、A又はB又はC又はAB又はAC又はBC又はABC(すなわち、A及びB及びC)を意味するように、離接的なリストを示す。更に、「例示的な」と言う用語は、記載された例が他の例よりも好ましいか、又はより良好であることを意味するものではない。本明細書で使用するとき、要素の「セット」は、それらの要素の「1つ以上」を意味することを意図しているが、ただし、セットは、2つ以上の、又は明示的にヌルセットであることが明示的に必要とされる。
【0071】
本明細書に記載される技法に対する様々な変更、置換、及び改変は、添付の特許請求の範囲によって定義される教示の技術から逸脱することなく行うことができる。更に、本開示及び特許請求の範囲の範囲は、上記のプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、及び動作の特定の態様に限定されない。本明細書に記載の対応する態様と実質的に同じ機能を実行するか、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在する又は今後開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又は動作を利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又は動作をその範囲内に含む。

図1
図2
図3
図4
図5