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  • 特許-履物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】履物
(51)【国際特許分類】
   A43B 7/14 20220101AFI20230726BHJP
   A43B 7/142 20220101ALI20230726BHJP
   A43B 13/14 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
A43B7/14 A
A43B7/142
A43B13/14 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021156901
(22)【出願日】2021-09-27
(65)【公開番号】P2023047787
(43)【公開日】2023-04-06
【審査請求日】2021-09-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509292010
【氏名又は名称】軽部 央
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】軽部 央
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】長馬 望
【審判官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特許第6184626(JP,B1)
【文献】国際公開第2006/107283(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3128881(JP,U)
【文献】登録実用新案第3047224(JP,U)
【文献】特開2004-97401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00 - 23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の足の甲を覆うアッパーと、
前記アッパーに接続され、前記着用者の足裏を支持するソールと、を具備し、
前記ソールが、接地面側に、第1の球体を脱着可能かつ揺動可能に受ける第1の窪みを有し、足裏側に、第2の球体を脱着可能かつ揺動可能に受ける第2の窪みを有し、
前記第2の窪みが前記着用者の土踏まずに対応する位置に配置され、前記第1の窪みが前記第2の窪みよりもつま先側に配置されており
前記第1及び第2の窪みの曲率半径がそれぞれ前記第1及び第2の球体の半径と略同一か又はそれらよりも大きく、
前記第1及び第2の窪みの曲率半径が同じであること、
を特徴とする履物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーニングないしエクササイズに好適なサンダル等の履物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1(特開平7-136001号公報)は、ソールに全長の中心よりも後方部位から後端までの後方下部を切除した踵切除部を形成し、踵切除部より前方かつ全長中心より若干前方に靴重心を設定させるようにしたトレーニングシューズを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-136001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したトレーニングシューズでは、着用者の前後方向のバランスを強化することはできても、左右方向のバランスを鍛えることには適さない。また、上述したトレーニングシューズは、着用者の足裏を直接的かつ効果的に刺激するものではない。しかも、上述したトレーニングシューズは通常の歩行に適さない。
【0005】
そこで、本発明は、着用者の前後方向及び左右方向のバランスを総合的かつ飛躍的に強化するとともに着用者の足裏を直接的かつ効果的に刺激することができ、通常歩行にも利用可能なサンダル等の履物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決すべく、本発明は、
着用者の足の甲を覆うアッパーと、
前記アッパーに接続され、前記着用者の足裏を支持するソールと、を具備し、
前記ソールが、接地面側に、第1の球体を脱着可能かつ揺動可能に受ける第1の窪みを、足裏側に、第2の球体を脱着可能かつ揺動可能に受ける第2の窪みを、それぞれ有すること、
を具備することを特徴とする履物、を提供する。
【0007】
本発明の履物では、前記第1及び第2の窪みの曲率半径がそれぞれ前記第1及び第2の球体の半径よりも大きいこと、が好ましい。
【0008】
また、本発明の履物では、前記第1及び第2の窪みの曲率半径が実質的に同じであること、が好ましい。
【0009】
更に、本発明の履物では、前記第2の窪みが前記着用者の土踏まずに対応する位置に配置され、前記第1の窪みが前記第2の窪みよりもつま先側に配置されていること、が好ましい。
【0010】
更にまた、本発明の履物では、前記ソールが足裏側に複数の突起を更に有すること、が好ましい。
【0011】
本発明の履物は、サンダル、スポーツシューズ、ビジネスシューズ等の種々の履物に適用可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上記のような構成を有することによって、着用者の前後方向及び左右方向のバランスを総合的かつ飛躍的に強化するとともに着用者の足裏を直接的かつ効果的に刺激することができ、通常歩行にも利用可能なサンダル等の履物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係るサンダル1の概略を示す斜視図である。
図2】サンダル1の上面図、底面図及び側面図である。
図3図2(A)のA-B-C線端面図である。
図4】サンダル1の使用状態の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る履物のうちのサンダルの代表的な実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本発明はこれら図面に限定されるものではない。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。
【0015】
サンダル1は、着用者の身体の前後方向及び左右方向におけるバランス感覚や体幹を鍛えるための総合的なトレーニングないしエクササイズのために使用されるとともに、着用者の足裏の刺激のためにも使用され、更には通常歩行にも利用できる。図1に示すように、サンダル1はアッパー2及びソール3を含む。
【0016】
アッパー2は、着用者の足9の甲を覆う部材である(図4(A),(B)参照)。アッパー2は、例えば合成ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニルなどからなる樹脂材料で作製されていてもよいし、例えば生地、皮革のような素材で作製されていてもよい。また、甲の全部又は一部を覆っていればよく、一部を覆う場合は紐状態形状であってもい。アッパー2とソール3とは樹脂の一体成型により作製されてもよい。
【0017】
ソール3は、足6の裏を支持する部材であり、例えば図2(C)に示すようにアッパー2の下縁に接続されている。ソール3は、例えば合成ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニルなどからなる樹脂材料で作製されてよい。ソール3は、1種類の樹脂で作製されてもよいし、複数種類の樹脂を積層することで作製されてもよい。
【0018】
図2(B)及び図3に示すように、ソール3は、接地面側(履いた際に地面に接触する部分)に窪み4(第1の窪み)を有する。この窪み4は、例えばボール7のような球体(第1の球体)を受けるためのものであり(図4(B)参照)、ボール7をソール3に脱着可能な態様で嵌まり込むように保持ないし固定する。あるいは、窪み4は、ボール7をソール3に脱着可能でかつ搖動可能な態様で受けるものであってもよい。
【0019】
ここで、ボール7としては、専用のものでもよいし、他のスポーツで使用されるボールで代用してもよい。後者の例としてはゴルフボール、テニスボール、野球ボールが挙げられるが、着用者が上から乗ったときに壊れないものがよい。
【0020】
窪み4は、ボール7を受けることのできる形状であればどのような形状であってもよく、例えば半球状又は円筒状が挙げられる(図3参照)。ただし、窪み4は、ボール7が直接足に接触することを防止するため、ソール3を貫通しないように形成されている(図4(B)参照)。一方で、窪み4は、捻挫などの怪我を防止するべく、トレーニングないしエクササイズ中にボール7が不意に外れない程度の深さであることが望ましい。
【0021】
図3に示すように、窪み4は、窪み5よりもつま先側(図3における右側)に配置されることが好ましい。本実施形態では窪み4は足9の指の付け根付近に位置するが、窪み4は土踏まず、踵などの他の位置に配置されてもよく、足裏の前部分、中心部分及び後部分のうちの少なくともいずれかにおいてボールを保持させ、バランス感覚や体幹を鍛えることができる
【0022】
窪み4は、例えばボール7の半径r1(図4(B)参照)と略同一か又は若干大きい曲率半径R1(図2(B)参照)を有する。これにより、ボール7は、着用者の動作に応じて窪み4において適度に保持されるか又は揺動することができ、いずれの場合でも着用者はボール7に乗るようにしてバランス感覚が鍛えられる。
【0023】
図2(A)及び図3に示すように、ソール3は、足裏側(履いた際に足裏が接触する部分)に窪み5(第2の窪み)を有する。この窪み5は、ボール8のような球体(第2の球体)を受けるためのものであり、ボール8をソール3に脱着可能な態様で嵌まり込むように保持ないし固定する。あるいは、窪み4は、ボール8をソール3に脱着可能でかつ搖動可能な態様で受けるものであってもよい。ここで、ボール8としては、上述したボール7を利用可能である。
【0024】
窪み5は、ボール8を受けることのできる形状であればどのような形状であってもよく、例えば半球状又は円筒状が挙げられる(図3参照)。ただし、窪み5は、ソール3を貫通しないように形成されている(図4(B)参照)。一方で、窪み5は、捻挫などの怪我を防止するべく、トレーニングないしエクササイズ中にボールが不意に外れない程度の深さであることが望ましい。
【0025】
本実施形態では、窪み5は、土踏まずに対応する位置に形成されている(図4(A)参照)窪み5に載置されたボール8が着用者の足9を押圧することで、着用者の足裏を刺激し、血行促進、代謝促進、不調改善、リラックス効果等を期待できる
【0026】
窪み5は、例えばボール8の半径r2(図4(A)参照)と略同一か又は若干大きい曲率半径R2(図2(A)参照)を有する。これにより、ボール8は、着用者の動作に応じて窪み5において適度に保持されるか又は揺動することができ、いずれの場合でも着用者はボール8に乗るようにして足裏を刺激する(つまりマッサージする)ことができる。
【0027】
例えば図2(A),(C)に示すように、ソール3の足裏側(上面側)には、複数の突起6が設けられている。突起6は、着用者の足裏を満遍なく刺激するように、ソール3の足裏面に亘って分布している。突起6の配置及び形状に特段の制限はないが、本実施形態では、指の付け根部分にはソール3の幅方向に亘る幅広い突起が形成され、踵部分には比較的大きな径の突起が形成され、その他の部分には比較的小さな径の突起が形成されている。突起6の多くは略円錐台状ないしドーム状であるが、これに限られるものではない。
【0028】
このような構成を有するサンダル1の使用方法を説明する。
図4(B)に例示するように、着用者は、地面Lに置いたボール7をソール3の窪み4で受けた状態で、着用したサンダル1をボール7の上に乗せる。この状態では、着用者はボール7を介して地面Lと接触するところ、ボール7が窪み4において保持されるか又は揺動することから、特に足9の内外(すなわち着用者の左右)及び前後に対するバランスを取り辛くなる。
【0029】
そのため、着用者は足裏の前側(つまり踵を浮かせた状態)で足9の内外側のバランスを取ろうとする。このように着用者がバランスを保持するように努めることで、着用者のバランス感覚や体幹が効果的に鍛えられる。このとき、突起6は足裏の刺激とともに足裏の滑止めとして機能する。
【0030】
あるいは、図4(A)に例示するように、着用者は、窪み5にボール8を入れた状態で、サンダル1を履くことができる。着用者の足6はボール8から押圧されて刺激を受ける。このとき、ボール8が窪み5内で揺動し、足9の土踏まず上を転がることで、着用者は、全身の器官や内臓につながる末梢神経の集まる足裏のうち特に土踏まずを刺激することができる。したがって、サンダル1は、特に消化器系につながる神経を集中的に刺激することができる。しかも、着用者の足6は突起6からも押圧による刺激を受けるから、サンダル1は、土踏まず以外の足裏部位をも刺激することができる。
【0031】
なお、窪み4,5の両方にボール7,8の両方を装着することで、着用者は、バランスの保持が更に困難になることから、バランス感覚及び体幹がよりハードに鍛えられ、更に効果的かつ総合的なバランストレーニング(エクササイズ)を実施しながら足裏をマッサージすることも可能である。
【0032】
あるいは、着用者は、ボール7,8をサンダル1に装着することなくサンダル1を履くことで、通常歩行を行うことができる。上述したように、ボール7,8はソール3の窪み4,5に固定されるものではないから、ボール7,8をサンダル1から外すことは容易である。よって、サンダル1を履きかえることなく、通常の歩行の場面とトレーニングないしエクササイズの場面とを直ちに切り替えることができる。このとき、着用者は、突起6による足6の押圧により刺激を受けながら歩行することができる。
【0033】
このように、本実施形態に係るサンダル1は、着用者の左右方向及び前後方向のバランスを強化するとともに着用者の足裏を直接的かつ効果的に刺激することができ、通常の歩行にも利用可能である。
【0034】
また、着用者は、サンダル1をボール7の上に乗せたり、サンダル1にボール8を乗せたりするだけで簡単にトレーニングないしエクササイズを開始することができる。トレーニングないしエクササイズの終了後には、サンダル1からボール7,8を外すことで、そのまま履物として使用することもできる。
【0035】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それらも本発明に含まれる。上記実施形態ではサンダルについて説明したが、本発明に係る履物はスポーツシューズやビジネスシューズ等の種々の履物にも適用できる。
【符号の説明】
【0036】
1 サンダル
2 アッパー
3 ソール
4,5 窪み
6 突起
7,8 ボール
9 足
図1
図2
図3
図4