(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】シートシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20230726BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20230726BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/01 570
B60N2/90
(21)【出願番号】P 2021153724
(22)【出願日】2021-09-22
(62)【分割の表示】P 2018038559の分割
【原出願日】2018-03-05
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
(72)【発明者】
【氏名】沼尻 浩行
(72)【発明者】
【氏名】藤田 郷詩
(72)【発明者】
【氏名】三好 貴子
(72)【発明者】
【氏名】古和 宗高
(72)【発明者】
【氏名】草野 惇至
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 隆一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 吉一
(72)【発明者】
【氏名】東 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 良祐
(72)【発明者】
【氏名】植竹 健斗
(72)【発明者】
【氏名】大塚 泰治
(72)【発明者】
【氏名】金田 悟
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202007011704(DE,U1)
【文献】特開2001-141580(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0052982(US,A1)
【文献】特開平04-309996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048-3/04895
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体に座っている着座者の動作を特定するための測定値を取得するセンサと、
前記センサから前記測定値を取得可能に前記センサと接続された制御部とを備えるシートシステムであって、
前記制御部は、
操作対象となる機器と通信可能に接続され、
前記測定値に基づいて、前記機器を操作するための信号を出力し、
前記センサは、前記シート本体に着座する着座者に対向する座面の状態を検知可能に配置され、
前記機器は、ディスプレイを含み、
前記制御部は、
前記測定値がしきい値を超えたことを条件として、前記測定値に基づいて、前記ディスプレイに表示されたカーソルまたはアイコンを操作する信号を出力可能であ
り、
前記制御部は、前記センサで検出した測定値に基づいて前記しきい値を設定するキャリブレーション処理部を有することを特徴とするシートシステム。
【請求項2】
前記キャリブレーション処理部は、着座者が動作していないときの前記センサの測定値の平均値に基づいて前記しきい値を設定することを特徴とする請求項1に記載のシートシステム。
【請求項3】
前記制御部は、着座者に動作を促した後、前記センサの測定値を取得し、前記測定値の変化が小さいときの値を集計して平均値を取得し、前記平均値に基づいて前記しきい値を設定することを特徴とする請求項1に記載のシートシステム。
【請求項4】
前記キャリブレーション処理部は、前記測定値の前回値と今回値の差の絶対値が所定値以下である場合の今回値を集計して前記平均値を算出することを特徴とする請求項3に記載のシートシステム。
【請求項5】
前記キャリブレーション処理部は、前記測定値のピーク値を取得し、前記しきい値を、前記ピーク値と前記平均値の間の値に設定することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のシートシステム。
【請求項6】
前記制御部は、着座者の動作の強度を決定する場合に、前記センサの測定値のピーク値と前記キャリブレーション処理部が取得した平均値との差を、前記キャリブレーション処理部が取得した平均値で割ることで、動作の強度を決定することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のシートシステム。
【請求項7】
前記キャリブレーション処理部は、前記平均値に所定値を乗じた値を前記しきい値として設定することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のシートシステム。
【請求項8】
前記センサは、圧力センサであり、前記シート本体に着座する着座者からの圧力値を取得可能であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者のシートに圧力センサ等を搭載して、着座者の着座姿勢を推定する装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の装置は、運転者の着座姿勢を評価して提示するだけであるので、あまり有効に利用できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、機器を操作することが可能なシートシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決する本発明は、乗物内に設置されたシート本体と、シート本体に座っている着座者の動作を特定するための測定値を取得するセンサと、センサから測定値を取得可能にセンサと接続された制御部とを備える乗物用シートである。
制御部は、乗物内に配置された操作対象となる機内機器と通信可能に接続され、測定値に基づいて、機内機器を操作するための信号を出力するように構成される。
【0007】
このような構成によれば、制御部が、センサから取得された測定値を、機内機器を操作するための信号として機内機器に出力するので、乗物用シートに座った着座者は、シート本体上で、例えば、上体や脚を動かすなどの動作をすることで、機内機器を操作することができる。
このため、従来であれば、機内機器を操作する場合に、機内機器や、その機内機器のコントローラを手で操作しなければならなかったところを、シート上の動作によって行うことが可能となる。例えば、手を使いたくない場合や、手を使えない身障者などであっても、体の一部を動かしたり、一部の筋肉に力を入れたりするなどして機内機器を操作することも可能となる。
【0008】
センサは、シート本体に着座する着座者に対向する座面の状態を検知可能に配置されていることが望ましい。
【0009】
この構成によれば、着座者が座面の状態を変えることで機内機器の操作が可能であるので、操作が容易である。
【0010】
機内機器は、ディスプレイを含み、制御部は、ディスプレイに表示されたカーソルまたはアイコンを操作する信号を出力可能であってもよい。
【0011】
このような構成によれば、機内機器が、パソコン、ナビゲーションシステムまたはスマートフォンなどのディスプレイがあるものである場合に、これらを操作することが可能となる。
なお、カーソルは、ディスプレイ上の位置やアイコンを指示するマークであり、パソコンであれば、通常、マウスで操作するポインタや、マウスやキーボードによっで操作する、反転文字や色の違いなどによって表示されることが多い選択の表示などを含む。また、アイコンは、ディスプレイに表示される操作対象となる画像のことであり、パソコンにおけるフォルダ、ファイル、ボタンや、ゲームのアプリケーションにおけるキャラクタ、ナビゲーションシステムにおけるボタンなどを含む。
【0012】
制御部は、測定値が所定のしきい値を超えたことを条件として、測定値に基づいて信号を出力することが望ましい。
【0013】
このような構成によれば、意図せずに誤って機内機器を操作をすることを抑制することができる。
【0014】
制御部は、測定値に基づいて信号を出力する第1動作モードと、信号を出力しない第2動作モードとを有し、機内機器または他の機器を介して着座者に動作を促す通知をした後でのみ第1動作モードで動作することができる。
【0015】
前記した乗物用シートにおいて、センサは、シート本体に着座する着座者からの圧力値を取得可能である構成とすることができる。
【0016】
センサは、圧力センサであり、圧力センサは、第1圧力センサと、当該第1圧力センサと異なる位置に配置された第2圧力センサとを含むことができる。この場合、制御部は、第1圧力センサから得られた測定値に基づく機内機器の操作として第1操作が割り当てられ、第2圧力センサから得られた測定値に基づく機内機器の操作として第2操作が割り当てられていてもよい。
【0017】
この構成によれば、第1圧力センサと第2圧力センサという別のセンサによって得られた測定値に基づいて、それぞれ第1操作と第2操作を実行することができるので、誤操作を抑制することができる。
【0018】
制御部は、センサから得られた測定値の変化に基づいて信号を出力する構成とすることができる。
【0019】
前記した乗物用シートにおいて、乗物には、複数のシート本体が設けられ、各シート本体にはセンサが設けられ、制御部は、各シート本体から測定値を取得し、測定値に基づいて信号を出力する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、乗物用シートに座った着座者は、乗物用シートによって機内機器を操作することができる。
【0021】
また、着座者が座面の状態を変えることで機内機器の操作が可能であるので、操作が容易である。
【0022】
また、測定値が所定のしきい値を超えたことを条件として、測定値に基づいて信号を出力することで、意図せずに誤って機内機器を操作をすることを抑制することができる。
【0023】
また、第1圧力センサから得られた測定値に基づく機内機器の操作として第1操作が割り当てられ、第2圧力センサから得られた測定値に基づく機内機器の操作として第2操作が割り当てられていることで、誤操作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一実施形態に係る乗物用シートを使ったシステムの全体構成を説明する図である。
【
図3】センサの配置を説明する図であり、(a)はシートバックを前から見た図、(b)はシートクッションを上から見た図である。
【
図4】センサの配置を説明する、シートの断面図である。
【
図5】乗物用シートおよびシステムの構成を説明するブロック図である。
【
図6】キャリブレーション時に取得した圧力の変化を示すグラフである。
【
図9】制御装置の処理の一例を示すフローチャートであり、ゲームの参加の処理部分である。
【
図10】制御装置の処理の一例を示すフローチャートであり、キャリブレーション処理部分である。
【
図11】制御装置の処理の一例を示すフローチャートであり、レース処理部分である。
【
図12】アプリの処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】ゲーム進行処理のキャリブレーション処理部分である。
【
図17】100m走ゲームのスタート画面の一例である。
【
図19】100m走ゲームのゴール時の画面の一例である。
【
図20】100m走ゲームの結果画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の乗物用シートSは、例えば、車両CRに設置される車両用シートとして構成される。乗物用シートSは、シート本体S0と制御装置100とからなる。車両CRには、例えば、2つの前席と2つの後席の4つのシートに乗物用シートSが設けられている。そして、車両CRでは、この4つの乗物用シートSの間で情報を統合し、これらを連携して動作させるとともに、機内機器の一例であるスマートフォンSPと通信を行う制御装置100が設けられている。スマートフォンSPは、機内機器の一例であるとともに、制御装置100とともに本発明の制御部を構成する。
このように車両CRには、制御装置100と、複数のシート本体S0と、スマートフォンSPとによって、乗物用シートSのシステムSYSが構成されている。なお、各着座者PのスマートフォンSPと、各シート本体S0とは、予め、制御装置100を介した通信により対応づけられているものとする。
【0026】
本実施形態の乗物用シートSは、機内機器であるスマートフォンSP上で、100m走のゲームを提供するものとする。スマートフォンSPはディスプレイDSP(
図2参照)を含み、制御装置100は、シート本体S0上で、左右の脚を交互に上下させることで、ディスプレイDSP上に表示されたゲーム内のキャラクタを走らせる操作をする信号を出力する。
【0027】
図2に示すように、シート本体S0は、シートクッションS1およびシートバックS2を有する。シートクッションS1とシートバックS2には、表皮の下に複数の圧力センサPS1~PS6が設けられている。圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0に座っている着座者Pの動作を特定するための測定値を取得するセンサである。圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0に着座する着座者Pに対向する座面の状態を検知可能に配置され、シート本体S0に座っている着座者Pからの圧力値を取得する。制御装置100は、各圧力センサPS1~PS6から、圧力値を取得可能に圧力センサPS1~PS6と接続されている。
【0028】
各圧力センサPS1~PS6は、乗物用シートSの左右の中心に対して左右対称に1対ずつ設けられている。
具体的には、
図3(b)にも示すようにシートクッションS1には、圧力センサPS1~PS3が設けられている。
【0029】
圧力センサPS1は、着座者Pの坐骨の最下部に対応する位置に設けられている。この位置では、着座者Pの荷重が最も大きくかかる。圧力センサPS1は、例えば、乗物用シートSの左右の中心Cから、左右に60~70mm、例えば、65mm離れた位置に配置することができる。
【0030】
圧力センサPS2は、圧力センサPS1の少し前に配置されており、例えば、圧力センサPS1よりも前方に50~60mm、例えば、55mm離れた位置で、中心Cから左右に65~75mm、例えば、70mm離れた位置に配置することができる。圧力センサPS1および圧力センサPS2は、シートクッションS1における着座者Pの臀部に対応する位置に配置された第1クッションセンサの一例である。第1クッションセンサは、少なくとも1つの右のクッションセンサ(圧力センサPS1,PS2)と、少なくとも1つの左のクッションセンサ(圧力センサPS1,PS2)とを含む。
【0031】
圧力センサPS1および圧力センサPS2は、いずれも、着座者Pの臀部からの圧力を測定するためのものであり、いずれか一方のみが設けられていてもよい。圧力センサPS1および圧力センサPS2を合わせて、第1クッションセンサSC1とする。
【0032】
圧力センサPS3は、圧力センサPS1および圧力センサPS2から前方に大きく離れて配置されている。圧力センサPS3は、シートクッションS1における第1クッションセンサSC1よりも前に位置する第2クッションセンサの一例である。圧力センサPS3を第2クッションセンサSC2とする。
【0033】
圧力センサPS3は、着座者Pの大腿の下に位置し、着座者Pの大腿からの圧力値を測定可能である。圧力センサPS3は、例えば、圧力センサPS2よりも110~130mm、例えば、120mm前(圧力センサPS1よりも175mm前)で、中心Cから左右に65~75mm、例えば、70mm離れた位置に配置することができる。
【0034】
図4に示すように、第2クッションセンサSC2は、シートバックS2の座面S21から、シートクッションS1の座面S11に沿って280mm前方の位置E1よりも前に位置することが望ましい。なお、第1クッションセンサSC1は、位置E1よりも後ろに位置する。ここでの位置E1は、シートクッションS1の座面S11に、L字形の曲尺M1の一方の定規M11を沿わせ、他方の定規M12をシートバックS2の座面S21に当てたときの、一方の定規M11の寸法で測定することとする。シートバックS2の形状(例えば、ランバーサポート)を調整できる場合には、いずれかの形状において、この要件を満たしていればよい。第2クッションセンサSC2をこのような位置に配置することで、第2クッションセンサSC2により、着座者Pの大腿の上下の動きを良好に検出することができる。
【0035】
図2および
図3(a)に示すように、シートバックS2には、圧力センサPS4~PS6が設けられている。圧力センサPS4は、着座者Pの腰の後ろに対応する位置に設けられている。圧力センサPS4は、例えば、乗物用シートSの左右の中心Cから、左右に45~55mm、例えば、50mm離れた位置に配置することができる。
【0036】
圧力センサPS5は、圧力センサPS4の少し上に配置されており、例えば、圧力センサPS4よりも上方に70~80mm、例えば、75mm離れた位置で、中心Cから左右に85~95mm、例えば、90mm離れた位置に配置することができる。圧力センサPS4および圧力センサPS5は、シートバックS2における下部に配置された第1バックセンサである。第1バックセンサは、少なくとも1つの右のバックセンサ(圧力センサPS4,PS5)と、少なくとも1つの左のバックセンサ(圧力センサPS4,PS5)とを含む。
【0037】
圧力センサPS4および圧力センサPS5は、いずれも、着座者Pの腰からの圧力を測定するためのものであり、いずれか一方のみが設けられていてもよい。圧力センサPS4および圧力センサPS5を合わせて、第1バックセンサSB1とする。
【0038】
圧力センサPS6は、圧力センサPS4および圧力センサPS5から上方に大きく離れて配置されている。圧力センサPS6は、シートバックS2における第1バックセンサSB1よりも上に配置された第2バックセンサである。圧力センサPS6を第2バックセンサSB2とする。
【0039】
圧力センサPS6は、着座者Pのの背中の上部に対応して位置し、着座者Pの肩甲骨からの圧力値を測定可能である。圧力センサPS6は、例えば、圧力センサPS5よりも190~210mm、例えば、200mm上(圧力センサPS1よりも275mm上)で、中心Cから左右に95~105mm、例えば、100mm離れた位置に配置することができる。
【0040】
図4に示すように、第2バックセンサSB2は、シートクッションS1の座面S11から、シートバックS2の座面S21に沿って300mm上方の位置E2よりも上に位置することが望ましい。なお、第1バックセンサSB1は、位置E2よりも下に位置する。ここでの位置E2は、シートバックS2の座面S21に、L字形の曲尺M2の一方の定規M21を沿わせ、他方の定規M22をシートクッションS1の座面S11に当てたときの、一方の定規M21の寸法で測定することとする。シートバックS2の形状(例えば、ランバーサポート)を調整できる場合には、いずれかの形状において、この要件を満たしていればよい。第2バックセンサSB2をこのような位置に配置することで、第2バックセンサSB2により、着座者Pの肩からの圧力を検出することができる。
【0041】
なお、以下の説明においては、圧力センサPS1~PS6で取得した圧力値を、それぞれP1~P6とし、右、左の圧力値を、それぞれ、P1R、P1Lのように、R,Lの添え字で示す。なお、圧力センサPS1~PS6は、例えば、外部からの圧力によって電気抵抗が変化する素子であり、圧力値が大きい程、検出信号の電圧が高くなる(もしくは低くなる)。そのため、圧力値の大小は、実際には、電圧値の大小によって比較するが、本明細書においては、理解の容易のため、圧力値の大小で判定する形で説明する。
【0042】
図5に示すように、制御装置100は、測定値取得部110と、処理部120と、通信部130と、記憶部190とを有している。また、スマートフォンSPは、ゲーム処理部210と記憶部290とを有している。制御装置100およびスマートフォンSPは、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、予め記憶されたプログラムを実行することで各機能部が実現されている。
【0043】
制御装置100には、ブルートゥース(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信を可能にする近距離通信機3Aが接続されている。制御装置100は、通信部130および近距離通信機3Aを介してスマートフォンSPと通信可能であり、スマートフォンSPにインストールされたアプリと連携してスマートフォンSPに所定の画面や音声を提供するとともに、スマートフォンSPで入力されたデータを取得することができるようになっている。
【0044】
測定値取得部110は、各圧力センサPS1~PS6から、一定の制御サイクルごとに圧力の測定値を取得する機能を有する。測定値取得部110が取得した測定値は、記憶部190に記憶され、処理部120で利用される。なお、記憶部190は、計算、処理等に必要なデータを適宜記憶するために使用される。
【0045】
処理部120は、スマートフォンSPと通信し、スマートフォンSPで提供される100m走ゲームのアプリを操作するための信号を送信する処理を実行する。処理部120は、Yes信号出力部121と、No信号出力部122と、キャリブレーション処理部124と、ステップ信号出力部125とを有する。
【0046】
処理部120は、圧力センサPS1~PS6の測定値に基づいて信号を出力する第1動作モードと、信号を出力しない第2動作モードとを有している。そして、スマートフォンSPを介して着座者Pに動作を促す通知をした後でのみ第1動作モードで動作することができる。具体的には、後述するように、スマートフォンSPから各種信号の受付信号を受けた後は、信号を出力する第1動作モードとなり、受付終了信号を受けた後は、信号を出力しない第2動作モードとなる。
【0047】
Yes信号出力部121およびNo信号出力部122は、処理部120が、スマートフォンSPから参加受付信号を受信した後に、着座者Pの動作に応じてYes信号またはNo信号をスマートフォンSPに出力する。
具体的には、Yes信号出力部121は、右の圧力センサPS6(第1圧力センサ)から得られた圧力値P6Rが所定のしきい値P6thを超えたことを条件として、Yes信号を出力する。また、No信号出力部122は、左の圧力センサPS6(第2圧力センサ)から得られた圧力値P6Lが所定のしきい値P6thを超えたことを条件として、No信号を出力する。
スマートフォンSPのゲーム処理部210においては、Yes信号に対してスマートフォンSPのゲームを開始する第1操作が割り当てられ、No信号に対してゲームを行わない選択をする第2操作が割り当てられている。
【0048】
キャリブレーション処理部124は、処理部120が、スマートフォンSPからキャリブレーション開始信号を受信した後、左右の圧力センサPS3の圧力値P3R,P3Lを取得する。そして、そのときに座っている着座者Pの平均的な圧力であるノーマル圧力P3nと、圧力値のピーク検出のためのしきい値P3thを決定するとともに、その着座者Pの平均的な脚を動かす周期であるノーマルステップ周期TSnを算出してスマートフォンSPに出力する。
【0049】
具体的には、着座者Pが脚を交互に上げた場合、圧力値P3
R,P3
Lは、例えば
図6のように変化する。
図6において、圧力が急に小さくなっている部分は、着座者Pが脚を上げたことにより、センサPS3の部分の圧力が小さくなっていることを示す。つまり、圧力が小さくなっていない140付近の圧力値が、脚を上げていないときの平均なノーマル圧力P3
nとなる。ノーマル圧力P3
nを算出するには、例えば、圧力値P3
R,P3
Lの前回値と今回値の差(今回値P3(n)から前回値P3(n-1)を引いた値とする。)の絶対値が所定値以下である場合(つまり、値の変化が小さいとき)の今回値を集計して平均すればよい。
【0050】
また、しきい値P3thは、脚を上げている最中であることを判定するためのしきい値であり、例えば、
図6の場合であれば、100~120程度の値を用いればよい。このため、しきい値P3thは、ノーマル圧力P3
nに所定値を乗じた値を用いることができる。例えば、ノーマル圧力P3
nに0.6~0.9程度の所定値を乗じた値をしきい値P3thとすることができる。
【0051】
ノーマルステップ周期TSnは、圧力値P3R,P3Lのピーク同士の時間間隔であるステップ周期TSの平均値である。
圧力値P3R,P3Lは、各圧力値P3R,P3Lが、しきい値P3thより小さい(上側から下側へ超えた)という条件下で、前回値と今回値の差が負から正に変化したときにピークに達したと判定することができ、このときの前回値P3(n-1)をピーク値Pmとすることができる。
【0052】
ステップ信号出力部125は、処理部120が、スマートフォンSPからレース開始信号を受信した後に、着座者Pの動作に応じて圧力値P3R,P3Lのピークを検出し、ピーク値Pmを算出する。ピークの検出およびピーク値Pmの算出は、キャリブレーション処理部124と同様に行うことができる。そして、脚を上げた大きさであるステップ強度F(FR,FL)を算出する。ステップ強度Fは、ピークの大きさ、つまり、ノーマル圧力P3から、ピーク値Pmを引いた値とすることができる。本実施形態においては、着座者Pの体格の大きさによる違いをなくすため、ノーマル圧力P3nで規格化した値とする。例えば、ステップ強度Fは、
F=(P3n-Pm)/P3n
とする。ステップ信号出力部125は、圧力値P3R,P3Lのピークを検出すると、ピーク値Pmおよびステップ強度FをスマートフォンSPに出力する。このように、ステップ信号出力部125は、圧力センサPS3から得られた圧力値P3の変化に基づいて信号を出力している。
【0053】
一方、スマートフォンSPのゲーム処理部210は、アプリが立ち上げられたときにゲームの進行処理を実行する。ゲーム処理部210は、参加受付処理部211と、キャリブレーション指示部212と、キャラクタ移動処理部213と、オノマトペ判定部214と、結果出力部219とを有している。ゲーム処理部210は、制御装置100から受信した信号を、その受信時刻とともに記憶部290に記憶する。なお、記憶部290は、計算、処理等に必要なデータを適宜記憶するために使用される。また、ゲーム処理部210は、算出した走行距離Lや、運動の結果などのデータを、適宜、制御装置100に送信して、他の乗物用シートSに対応したスマートフォンSPとデータを共有するように構成されている。制御装置100は、これらのデータを記憶部190に蓄積する。
【0054】
参加受付処理部211は、ディスプレイDSP上に参加を受け付ける開始画面を表示するとともに、参加受付信号を制御装置100に送信し、所定時間の間、制御装置100からのYes信号またはNo信号を受け付ける。開始画面は、例えば、
図15のような画面であり、着座者Pに動作を促す通知として、「参加しますか?肩でシートを押してください」の文字と、「No 左肩 右肩 Yes」の表示をディスプレイDSPに出力する。なお、Yes、Noの表示は、ディスプレイDSPにタッチしてそれぞれYes信号またはNo信号をスマートフォンSPに入力できるボタンの機能を持たせてもよい。参加受付処理部211は、Yes信号を受信した場合には、ゲーム進行処理に進む処理を行い、No信号を受信した場合には、ゲーム進行処理に進まずにアプリを終了させる。ゲーム処理部210は、Yes信号およびNo信号のいずれも受信せずに所定時間が経過した場合には、受付終了信号を制御装置100に送信してアプリを終了させる。
【0055】
キャリブレーション指示部212は、キャリブレーション画面を表示するとともに、キャリブレーション開始信号を制御装置100に送信し、所定時間の間、制御装置100からキャリブレーションに関する信号を受け付ける。所定時間が経過したら、キャリブレーション指示部212は、キャリブレーション終了信号を制御装置100に出力する。
【0056】
キャラクタ移動処理部213は、100m走のレース中に、ステップ強度Fを受信すると、ディスプレイDSP上のキャラクタをゴールへ向けて移動させる。このときの移動量は、ステップ強度Fの大きさに応じたものである。キャラクタ移動処理部213は、例えば、F[m]分だけゴールへ向けてキャラクタを移動させる。
【0057】
オノマトペ判定部214は、100m走のレース中に、着座者Pの走っている様子を表現するオノマトペ(「よちよち」などの擬態語)を判定し、ディスプレイDSP上に出力する。オノマトペの判定は、例えば、着座者Pが脚を動かしている周期であるステップ周期TSを
図7に示した判定条件と比較して行うことができる。なお、ステップ周期TSは、制御装置100から受信したステップ強度Fの周期であるが、ステップ強度Fを受信する間隔は一定ではないので、例えば、過去の20m分の平均の周期で算出することができる。
【0058】
本実施形態においては、着座者Pの個人差の影響を減らすため、ステップ周期TSをノーマルステップ周期TSnで割った値をしきい値と比較してオノマトペの表現を判定する。例えば、TS/TSnが1.5以上で周期が長い場合には、「ふらふら」とし、1.2以上、1.5未満の場合には「のっしのっし」、0.7以上、1.2未満の場合には「すたすた」、0.7未満の場合には「どたどた」などと決められている。
【0059】
結果出力部219は、着座者Pが100m走ゲームでゴールした後、運動の結果とアドバイスを決定してディスプレイDSP上に出力する。また、運動の結果は、制御装置100に送信する。
具体的には、結果出力部219は、運動の結果として、運動レベルと、運動量と、運動強度と、アドバイスを決定する。
【0060】
運動レベルは、100m走る間のステップ数に基づき、
図8の運動レベル判定テーブルを参照して判定する。例えば、運動レベル判定テーブルは、ステップ数が60以下の場合、「ゆっくりお散歩」、61~110の場合、「日常の歩き」、111~140の場合、「ウォーキング」、141~240の場合、「ジョギング」、240以上の場合、「ダッシュ」などと設定されている。
【0061】
運動量は、例えば、100m走る間のステップ強度Fの累積値で求めることができる。
【0062】
運動強度は、METs(Metabolic equivalents)で示す。運動強度の値は、例えば、100[m]走る間のステップ数に、所定の係数を掛けることで決めることができる。
【0063】
アドバイスは、記憶部290に予め記憶しておいたアドバイステーブルを参照して決めることができる。アドバイステーブルは、例えば、ステップ数、100mのゴールタイム、平均のステップ周期などのパラメータと、予め決めておいたアドバイスとを対応させたものとしておく。そして、100m走のゴール後に、これらのパラメータからアドバイスを検索して決定することができる。
【0064】
そして、結果出力部219は、運動レベルと、運動量と、運動強度と、アドバイスを決定した後、ディスプレイDSP上にこれらの結果を表示する。
【0065】
次に、ゲーム処理部210の他の処理も含めて、制御装置100およびアプリの処理の一例をフローチャートを参照して説明する。
【0066】
まず、制御装置100の処理について説明する。
図9~
図12の処理は、繰り返し行われる。
図9に示すように、処理部120は、まず、ゲーム参加に関するステップS11~17を実行する。具体的には、まず、参加受付信号を受信したか否かを判定する(S11)。
参加受付信号を受信した場合(S11,Yes)、処理部120は、圧力値P6
R,P6
Lを取得し(S12)、右の圧力値P6
Rがしきい値P6thより大きいか判定する(S13)。P6
RがP6thより大きい場合(S13,Yes)、Yes信号を送信して(S14)、ゲーム参加に関する処理を終了する。
P6
RがP6thより大きくなかった場合(S13,No)、処理部120は、左の圧力値P6
LがP6thより大きいか判定する(S15)。P6
LがP6thより大きい場合(S15,Yes)、No信号を送信して(S16)、ゲーム参加に関する処理を終了する。
【0067】
P6LがP6thより大きくなかった場合(S15,No)、処理部120は、受付終了信号を受信したか否か判定し(S17)、受信していない場合(S17,No)、ステップS12からの処理を繰り返し、受信した場合(S17,Yes)、ゲーム参加に関する処理を終了する。
【0068】
ゲーム参加に関する処理の後、処理部120のキャリブレーション処理部124は、
図10に示すように、キャリブレーション処理に関するステップS21~S26を実行する。
処理部120は、キャリブレーション開始信号を受信したか否か判定し(S21)、受信した場合(S21,Yes)、圧力値P3
R,P3
Lを取得し、記憶する(S22)。そして、キャリブレーション終了信号を受信したか否かを判定し、受信するまで(S23,No)ステップS22~S23を繰り返し、受信したら(S23,Yes)、ステップS24に進む。
【0069】
ステップS24において、キャリブレーション処理部124は、所定期間取得して記憶した圧力値P3
R,P3
Lに基づいてノーマル圧力P3
nを算出する。そして、ノーマル圧力P3
nからしきい値P3thを設定する(S25)。さらに、ノーマルステップ周期TS
nを算出し、スマートフォンSPに送信する(S26)。
ステップS21において、キャリブレーション開始信号を受信していない場合(No)、キャリブレーション処理部124は、キャリブレーション処理を行うことなくステップS30(
図11参照)へ進む。
【0070】
次に、処理部120は、ステップS30~S40のレースに関する処理を行う。
図11に示すように、まず、処理部120は、スマートフォンSPからレース開始信号を受信したか否か判定する(S30)。レース開始信号を受信していない場合(S30,No)、処理部120は処理を終了する。レース開始信号を受信した場合(S30,Yes)、ステップ信号出力部125は、圧力値P3
R,P3
Lを取得し、記憶する(S31)。
【0071】
そして、右の圧力値P3Rがしきい値P3thより小さいか判定し(S32)、小さい場合(S32,Yes)、さらに、圧力値P3Rの前回値と今回値からピークを検出したか判定する(S33)。ピークを検出した場合(S33,Yes)、ステップ信号出力部125は、ノーマル圧力P3nと圧力値P3Rからステップ強度FRを算出する(S34)。そして、算出したステップ強度FRをスマートフォンSPに送信する(S35)。
一方、右の圧力値P3Rがしきい値P3thより小さくなかった場合(S32,No)、または、ピークを検出しなかった場合(S33,No)、ステップ信号出力部125は、ステップ強度FRの算出、送信をすることなくステップS36へ進む。
【0072】
ステップS36~S39において、ステップ信号出力部125は、左の圧力値P3Lについて、ピークの検出とステップ強度FLの算出、送信の処理を行う。これらの処理は、ステップS31~S35と同様であるので説明を省略する。
【0073】
ステップS40において、処理部120は、レース終了信号を受信したか否か判定し、受信していない場合(S40,No)、ステップS31からの処理を繰り返し、受信した場合(S40,Yes)、処理を終了する。
【0074】
次に、スマートフォンSPのアプリ(ゲーム処理部210)における処理を説明する。
スマートフォンSPは、アプリが立ち上げられると、アプリの処理を開始し、
図12に示すように、開始画面をディスプレイDSP上に表示する(S110)。開始画面は、例えば、
図15に示すような画面である。開始画面においては、「参加しますか?肩でシートを押してください」の文字とともに、左肩がNo、右肩がYesであることを教える説明が表示されている。また、参加することができる残り時間が表示される。
【0075】
そして、参加受付処理部211は、制御装置100に参加受付信号を送信する(S111)。参加受付処理部211は、Yes信号を受信したか否か判定し(S112)、受信した場合(S112,Yes)、受付終了信号を制御装置100に送信し(S118)、ゲーム進行処理(S200)の後、処理を終了する。ゲーム進行処理については後述する。
【0076】
参加受付処理部211は、Yes信号を受信していない場合(S112,No)、No信号を受信したか否か判定し(S113)、受信した場合(S113,Yes)、処理を終了する。
一方、No信号を受信していない場合(S113,No)、残り時間を示すカウントを表示し(S114)、カウントが0になったか判定する(S115)。カウントが0になっていない場合(S115,No)、ステップS112からの参加受付を継続し、カウントが0になった場合(S115,Yes)、受付終了信号を制御装置100に送信し(S116)、処理を終了する。
【0077】
図13に示すように、ゲーム進行処理(S200)においては、まず、キャリブレーション指示部212が、ディスプレイDSP上にキャリブレーション画面を表示する(S211)。キャリブレーション画面は、例えば、
図16に示すような、「ウォーミングUP 座ったまま脚を交互に上げてください」の文字による指示と、キャリブレーションを行う残り時間を表示している。ディスプレイDSP上には、シート等のキャラクタCH1が走っているアニメーションを表示すると、着座者Pが何をするべきかわかりやすい。
【0078】
そして、キャリブレーション指示部212は、制御装置100にキャリブレーション開始信号を送信する(S212)。そして、残り時間のカウントを更新してディスプレイDSP上に表示し(S213)、カウントが0になったか判定する(S214)。カウントが0になっていない場合(S214,No)、ステップS213のカウントダウンの表示を継続し、カウントが0になった場合(S214,Yes)、キャリブレーション終了信号を制御装置100に送信する(S215)。
【0079】
キャリブレーションが終了すると、ゲーム処理部210は、
図14に示すように、レース開始画面を表示する(S220)。レース開始画面は、例えば、
図17に示すような画面であり、「位置について!ヨーイ」の文字と、スタートまでのカウントダウンの数字が表示されている。また、レース画面には100mの競争レーンと、シートのキャラクタCH2,CH3が各レーンに表示されている。
例えば、レーンは複数表示されており、同時に参加する他の着座者Pがいる場合、プレイヤーを示す「あなた」の文字と、他のシートの参加者であることを示す「SEAT2」の文字が各レーンに表示される。
【0080】
レース開始画面において、カウントダウン後(フロー省略)、レースがスタートすると、ゲーム処理部210は、レース開始信号を制御装置100に送信する(S221)。そして、キャラクタ移動処理部213は、ステップ強度FR,FLを受信したか否か判定する(S222)。受信した場合(S222,Yes)、キャラクタ移動処理部213は、ステップ強度FR,FLの大きさに応じてキャラクタCH2を移動させる処理を行う(S223)。そして、走行距離Lを更新し、走行距離Lを制御装置100に送信する。また、キャラクタ移動処理部213は、ディスプレイDSP上に、残り距離を表示する(S224)。
【0081】
次に、オノマトペ判定部214は、ステップ周期TSおよびノーマルステップ周期TS
nから表示すべきオノマトペを決定し、ディスプレイDSP上に表示する(S225)。これにより、レース中は、
図18に示すように、キャラクタCH2,CH3が各レーンを走っているアニメーションと、残り距離と、「すたすた」などの擬態語が表示される。また、ゲーム処理部210はスタートからの時間も表示する。
キャラクタ移動処理部213は、ステップ強度F
R,F
Lを受信していない場合(S222,No)、ステップS223~S225を実行することなくステップS226へ進む。
【0082】
そして、ゲーム処理部210は、制御装置100から、他のシートの着座者PのキャラクタCH3の走行距離Lを取得し、必要に応じて他のシートのキャラクタCH3を移動させる(S226)。
【0083】
次に、キャラクタ移動処理部213は、走行距離Lが100以上か否か判定し(S227)、100未満であれば、ステップS222からのレースの処理を繰り返す。一方、走行距離Lが100以上になったら(S227,Yes)、レース終了信号を制御装置100に送信する(S228)。レース終了時は、例えば、
図19のような画面を表示する。この画面では残りの距離が0mになり、ゴール時のタイムが表示される。
【0084】
そして、結果出力部219は、運動の結果として、運動レベルと、運動量と、運動強度と、アドバイスを決定し、これらをディスプレイDSP上に出力する(S229)。結果画面は、例えば、
図20のような画面である。結果画面においては、今までの制御装置100に蓄積されたデータから、これまでの競技者の中での順位を表示するとよい。また、結果が良かった場合には、喜んだ顔のキャラクタCH5を表示し、良くなかった場合には、残念な顔をしたキャラクタを表示するとよい。
結果出力部219が運動の結果を表示すると、アプリの処理は終了する。
【0085】
以上のようにして、本実施形態の乗物用シートSによれば、次のような効果を奏することができる。
制御装置100は、圧力センサPS1~PS6から取得された圧力値を、スマートフォンSPのゲームアプリを操作するための信号としてスマートフォンSPに出力するので、乗物用シートSに座った着座者Pは、シート本体S0上で、脚や肩を動かすことによってスマートフォンSPの操作をすることができる。
このため、従来であれば、スマートフォンSPの操作を手で行わなければならなかったところ、シート本体S0上で体を動かすことにより操作することが可能となる。このため、乗り物内において疲れたときなどに適度に体を動かしてリフレッシュすることができる。
【0086】
また、圧力センサPS1~PS6は、着座者Pに対向する座面S11,S21の状態を検知可能であることで、着座者Pが圧力センサPS1~PS6に対してアクセスし易い。すなわち、着座者が座面の状態を変えることで機内機器の操作が可能であるので、スマートフォンSPの操作を行いやすい。
【0087】
また、Yes信号やNo信号は、圧力値P6がしきい値P6thを超えたことを条件として出力され、ステップ強度Fも、圧力値P3がしきい値P3thを上から下へ超えたことを条件として出力されるので、着座者Pの意図に反して、誤ってスマートフォンSPを操作することを抑制することができる。
【0088】
また、右の圧力センサPS6の測定値に基づいてYes信号を出力し、左の圧力センサPS6の測定値に基づいてNo信号を出力するので、誤操作を抑制することができる。
【0089】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0090】
例えば、前記実施形態においては、ゲームの一例として100m走のゲームの操作に本発明を適用したが、他のゲームの操作に適用することもできる。また、操作対象となる機内機器は、スマートフォンに限らず、パソコン、ナビゲーションシステムなどであってもよい。また、これらのディスプレイがある機器に限らず、電話、オーディオなどであってもよい。なお、本発明において、機内機器は、乗物自体(乗物の運転操作を対象とすること)は含まない。しかし、乗物の運転以外の操作であれば、機内機器は乗物に固定的に備えられたものであってもよく、その操作は、エアコンや、窓ガラスの上下動の操作であってもよい。
このように、乗物用シート上の動作で機内機器を操作できるようにすることで、手を使いたくない場合や、手を使えない身体障害者などであっても、体の一部を動かしたり、一部の筋肉に力を入れたりするなどして機内機器を操作することも可能となる。
【0091】
前記実施形態においては、センサとして圧力センサを例示したが、センサは、他の種類のセンサ、例えば、静電容量センサなどであってもよい。また、圧力を測定する場合、圧力分布センサを採用することもできる。
【0092】
前記実施形態においては、制御装置100とスマートフォンSPの一部が全体として制御部を構成していたが、制御装置だけが制御部を構成してもよいし、スマートフォンだけが制御部を構成してもよい。また、いわゆるクラウドコンピュータのような、別の場所に設けられたコンピュータと通信を行い、当該クラウドコンピュータが制御部の一部または全部を構成することもできる。
【0093】
また、本発明でいう機内機器を操作するための信号は、モータなどを駆動する電力自体であってもよい。
【0094】
前記実施形態においては、無線通信により制御装置とスマートフォンを接続していたが、有線の通信により接続されていてもよい。
【0095】
前記実施形態においては、機内機器を操作するための動作として、脚の上げ下げと、肩をシートバックに押し付ける動作のみを例示したが、上体をひねる動作や、前後や左右または回すように揺らす動作、おしりを揺らす動作など他の動作で機内機器を操作するように構成してもよい。
【0096】
前記実施形態においては、乗物用シートとして自動車の車両に搭載されるシートを例示したが、乗物用シートは、自動車以外の鉄道などの車両のシートであってもよいし、車両以外の船舶、航空機などのシートであってもよい。
【0097】
また、本明細書に記載した各実施形態および各変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0098】
100 制御装置
110 測定値取得部
120 処理部
210 ゲーム処理部
CR 車両
DSP ディスプレイ
P 着座者
PS1~PS6 圧力センサ
S 乗物用シート
S0 シート本体
S11 座面
S21 座面
SP スマートフォン
SYS システム