(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】コネクタ装置、及びコネクタ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/504 20060101AFI20230726BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20230726BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20230726BHJP
B29C 65/16 20060101ALI20230726BHJP
B23K 26/57 20140101ALN20230726BHJP
【FI】
H01R13/504
H01R13/52 E
H01R43/00 B
B29C65/16
B23K26/57
(21)【出願番号】P 2020039413
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【氏名又は名称】山野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】山下 卓也
(72)【発明者】
【氏名】平林 辰雄
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-40992(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084537(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/039244(WO,A1)
【文献】特開2014-103091(JP,A)
【文献】特開2010-98097(JP,A)
【文献】特開平10-76528(JP,A)
【文献】実開平3-59673(JP,U)
【文献】特開2014-194899(JP,A)
【文献】特開2014-177051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/504
H01R 13/52
H01R 43/00
B29C 65/16
B23K 26/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
コネクタと、
モールド樹脂部とを備え、
前記回路基板は、導体路を備え、
前記コネクタは、
樹脂で構成される筒状のハウジングと、
前記ハウジングの内側から前記ハウジングの軸方向外側に突出し、前記導体路に接続される端子とを備え、
前記モールド樹脂部は、前記回路基板と、前記ハウジングの外側に位置する前記端子と、前記ハウジングの一部とをまとめて覆い、
前記ハウジングと前記モールド樹脂部とは、互いの構成材料が溶着されてなる溶着部を備え、
前記溶着部は、
前記ハウジングの全周にわたって設けられており、
前記ハウジングの周方向における最大幅と最小幅との差が、前記最大幅の30%以下である、
コネクタ装置。
【請求項2】
前記ハウジングの周方向に沿って4点以上の複数の測定点を備え、
前記複数の測定点による前記溶着部の平均幅に対する前記最大幅の比率が130%以下であり、
前記平均幅に対する前記最小幅の比率が70%以上である請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、全周にわたって設けられる突起部を備え、
前記溶着部は、前記突起部に設けられる請求項1又は請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記モールド樹脂部の透過率が40%以上である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
前記モールド樹脂部の透過率は、波長が940nmのレーザーの光量a1と、前記モールド樹脂部の構成材料からなる厚さ2mmの試験片を前記レーザーが透過した光量b1との比率(b1/a1)×100である。
【請求項5】
前記ハウジングの透過率が10%以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
前記ハウジングの透過率は、波長が940nmのレーザーの光量a2と、前記ハウジングの構成材料からなる厚さ2mmの試験片を前記レーザーが透過した光量b2との比率(b2/a2)×100である。
【請求項6】
前記モールド樹脂部は、ポリアミド樹脂、又はポリエステルを含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、ポリエステルを含む請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項8】
前記モールド樹脂部と前記ハウジングとはいずれも、ポリエステルを含む請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項9】
前記モールド樹脂部は、大気に接する表面を有する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項10】
前記モールド樹脂部は、射出成形体である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項11】
前記回路基板と前記コネクタとは、コントロールユニットを構成する請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項12】
回路基板及びコネクタを含む組物を準備する工程と、
前記組物の一部をモールド樹脂部で覆った一体物を構成する工程と、
前記一体物にレーザーを照射する工程とを備え、
前記回路基板は、導体路を備え、
前記コネクタは、
樹脂で構成される筒状のハウジングと、
前記ハウジングの内側から前記ハウジングの軸方向外側に突出し、前記導体路に接続される端子とを備え、
前記一体物を構成する工程では、前記回路基板と、前記ハウジングの外側に位置する前記端子と、前記ハウジングの一部とをまとめて前記モールド樹脂部で覆い、
前記レーザーを照射する工程では、前記モールド樹脂部を通して前記ハウジングの全周にレーザーを一括照射し、前記ハウジングと前記モールド樹脂部の互いの構成材料を溶着する、
コネクタ装置の製造方法。
【請求項13】
前記レーザーを照射する工程では、前記モールド樹脂部を前記ハウジング側に押し付けた状態で行う請求項12に記載のコネクタ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ装置、及びコネクタ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、回路基板とコネクタの一部とが筐体に収納された電子装置を開示する。筐体は、ケースとカバーとを組み付けて構成される。シール材は、ケースとカバーとの間に介在され、筐体の内部空間を防水空間とする。以下、電子装置をコネクタ装置と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のコネクタ装置は、筐体を備えることで大型である。また、上述のコネクタ装置は、筐体を構成するケースとカバーとの間にシール材を介在することで防水性能を確保しており、部品点数が多く、製造作業が煩雑になり易い。
【0005】
そこで、本開示は、小型で製造し易い上に、防水性能に優れるコネクタ装置を提供することを目的の一つとする。また、本開示は、小型かつ防水性能に優れるコネクタ装置を容易に得られるコネクタ装置の製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るコネクタ装置は、
回路基板と、
コネクタと、
モールド樹脂部とを備え、
前記回路基板は、導体路を備え、
前記コネクタは、
樹脂で構成される筒状のハウジングと、
前記ハウジングの内側から前記ハウジングの軸方向外側に突出し、前記導体路に接続される端子とを備え、
前記モールド樹脂部は、前記回路基板と、前記ハウジングの外側に位置する前記端子と、前記ハウジングの一部とをまとめて覆い、
前記ハウジングと前記モールド樹脂部とは、互いの構成材料が溶着されてなる溶着部を備え、
前記溶着部は、
前記ハウジングの全周にわたって設けられており、
前記ハウジングの周方向における最大幅と最小幅との差が、前記最大幅の30%以下である。
【0007】
本開示に係るコネクタ装置の製造方法は、
回路基板及びコネクタを含む組物を準備する工程と、
前記組物の一部をモールド樹脂部で覆った一体物を構成する工程と、
前記一体物にレーザーを照射する工程とを備え、
前記回路基板は、導体路を備え、
前記コネクタは、
樹脂で構成される筒状のハウジングと、
前記ハウジングの内側から前記ハウジングの軸方向外側に突出し、前記導体路に接続される端子とを備え、
前記一体物を構成する工程では、前記回路基板と、前記ハウジングの外側に位置する前記端子と、前記ハウジングの一部とをまとめて前記モールド樹脂部で覆い、
前記レーザーを照射する工程では、前記モールド樹脂部を通して前記ハウジングの全周にレーザーを一括照射し、前記ハウジングと前記モールド樹脂部の互いの構成材料を溶着する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るコネクタ装置は、小型で製造し易い上に、防水性能に優れる。本開示に係るコネクタ装置の製造方法は、小型かつ防水性能に優れるコネクタ装置を容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るコネクタ装置の概略を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るコネクタ装置の概略を示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III切断線で切断したコネクタ装置の概略を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るコネクタ装置の製造方法において準備する組物の概略を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るコネクタ装置の製造方法において組物の一部をモールド樹脂部で覆って得られる一体物の概略を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るコネクタ装置の製造方法における一体物にレーザーを照射する工程を説明する説明図である。
【
図7】
図7は、変形例に係るコネクタ装置の概略を部分的に示す側面図である。
【
図8】
図8は、接着性能を評価するせん断引張試験で使用した試験片を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
(1)本開示の一態様に係るコネクタ装置は、
回路基板と、
コネクタと、
モールド樹脂部とを備え、
前記回路基板は、導体路を備え、
前記コネクタは、
樹脂で構成される筒状のハウジングと、
前記ハウジングの内側から前記ハウジングの軸方向外側に突出し、前記導体路に接続される端子とを備え、
前記モールド樹脂部は、前記回路基板と、前記ハウジングの外側に位置する前記端子と、前記ハウジングの一部とをまとめて覆い、
前記ハウジングと前記モールド樹脂部とは、互いの構成材料が溶着されてなる溶着部を備え、
前記溶着部は、
前記ハウジングの全周にわたって設けられており、
前記ハウジングの周方向における最大幅と最小幅との差が、前記最大幅の30%以下である。
【0012】
本開示のコネクタ装置は、コネクタのハウジングの全周にわたって設けられる溶着部を備える。よって、本開示のコネクタ装置は、ハウジングの全周にわたって、ハウジングとモールド樹脂部との密着性に優れる。そのため、本開示のコネクタ装置は、ハウジングとモールド樹脂部との隙間から水等の液体が浸入することを抑制できる。液体の浸入を抑制できることで、モールド樹脂部で覆われる回路基板や端子等の導電部材に液体が付着することを抑制できる。
【0013】
溶着部は、ハウジングの周方向における最大幅と最小幅との差が、最大幅の30%以下である。よって、溶着部は、ハウジングの周方向において幅のばらつきが小さいと言える。溶着部の幅のばらつきが小さいことで、ハウジングとモールド樹脂部との接着強度のばらつきを小さくできる。接着強度のばらつきが小さいと、密着性が向上し易い。以上より、本開示のコネクタ装置は、防水性能に優れる。
【0014】
本開示のコネクタ装置は、回路基板や端子等の導電部材をモールド樹脂部で覆っている。よって、本開示のコネクタ装置は、導電部材を収納する筐体を別途備える必要がない。また、本開示のコネクタ装置は、上述したように溶着部により防水性能に優れるため、シール材を別途備える必要がない。そのため、本開示のコネクタ装置は、部品点数が少なく、筐体を組み立てる作業やシール材を配置する作業を省略でき、製造性に優れる。以上より、本開示のコネクタ装置は、小型で製造し易い。
【0015】
(2)本開示のコネクタ装置の一例として、
前記ハウジングの周方向に沿って4点以上の複数の測定点を備え、
前記複数の測定点による前記溶着部の平均幅に対する前記最大幅の比率が130%以下であり、
前記平均幅に対する前記最小幅の比率が70%以上である形態が挙げられる。
【0016】
上記形態は、溶着部の幅がハウジングの周方向に沿って一様であると言える。溶着部の幅が一様であることで、ハウジングとモールド樹脂部との接着強度をハウジングの周方向に沿って一定にし易い。よって、上記形態は、防水性能により優れる。
【0017】
(3)本開示のコネクタ装置の一例として、
前記ハウジングは、全周にわたって設けられる突起部を備え、
前記溶着部は、前記突起部に設けられる形態が挙げられる。
【0018】
溶着部は、代表的には、レーザー溶着により構成される。レーザー溶着では、モールド樹脂部を通してハウジングにレーザーを照射し、ハウジングとモールド樹脂部との境界面で熱を発生させることで、その熱によりハウジングとモールド樹脂部の互いの構成材料が溶着される。ここでは、モールド樹脂部はレーザーを透過し、ハウジングはレーザーを吸収する。レーザーを吸収したハウジングは発熱し、その発熱によってハウジングの構成材料が溶融する。ハウジングにおける溶融熱がモールド樹脂部に伝わることでモールド樹脂部が発熱し、その発熱によってモールド樹脂部が溶融する。溶融したハウジングの構成材料とモールド樹脂部の構成材料とで溶着部が構成される。
【0019】
上記形態は、突起部に溶着部を備える。つまり、上記形態は、突起部でレーザーによる熱を発生させることで、溶着部が構成される。突起部で熱を発生させることで、その熱は突起部に集中し易く、強固な溶着部が構成され易い。よって、上記形態は、防水性能により優れる。
【0020】
(4)本開示のコネクタ装置の一例として、
前記モールド樹脂部の透過率が40%以上である形態が挙げられる。
前記モールド樹脂部の透過率は、波長が940nmのレーザーの光量a1と、前記モールド樹脂部の構成材料からなる厚さ2mmの試験片を前記レーザーが透過した光量b1との比率(b1/a1)×100である。
【0021】
溶着部は、上述したように、レーザー溶着により構成される。モールド樹脂部の透過率が40%以上であることで、レーザーは、モールド樹脂部で吸収され難く、ハウジングの表面まで到達し易い。そのため、上記形態は、ハウジングとモールド樹脂部との境界面でレーザーによる熱を発生させ易く、溶着部を構成し易い。
【0022】
(5)本開示のコネクタ装置の一例として、
前記ハウジングの透過率が10%以下である形態が挙げられる。
前記ハウジングの透過率は、波長が940nmのレーザーの光量a2と、前記ハウジングの構成材料からなる厚さ2mmの試験片を前記レーザーが透過した光量b2との比率(b2/a2)×100である。
【0023】
溶着部は、上述したように、レーザー溶着により構成される。ハウジングの透過率が10%以下であることで、レーザーは、ハウジングで吸収され易い。そのため、上記形態は、ハウジングとモールド樹脂部との境界面でレーザーによる熱を発生させ易く、溶着部を構成し易い。
【0024】
(6)本開示のコネクタ装置の一例として、
前記モールド樹脂部は、ポリアミド樹脂、又はポリエステルを含む形態が挙げられる。
【0025】
ポリアミド樹脂は、機械的強度等に優れる。そのため、ポリアミド樹脂を含むモールド樹脂部は、モールド樹脂部で覆われる部材を機械的に保護し易い。ポリエステルは、電気絶縁性、耐水性等に優れる。そのため、ポリエステルを含むモールド樹脂部は、モールド樹脂部で覆われる部材を電気的かつ化学的に保護し易い。
【0026】
(7)本開示のコネクタ装置の一例として、
前記ハウジングは、ポリエステルを含む形態が挙げられる。
【0027】
上記形態は、端子等を電気的かつ化学的に保護し易い。
【0028】
(8)本開示のコネクタ装置の一例として、
前記モールド樹脂部と前記ハウジングとはいずれも、ポリエステルを含む形態が挙げられる。
【0029】
上記形態は、モールド樹脂部とハウジングとが同種の樹脂を含むことで、モールド樹脂部とハウジングとの溶解度パラメータを近くし易い。そのため、上記形態は、モールド樹脂部とハウジングとの互いのなじみ性が良い。よって、上記形態は、防水性能により優れる。また、上記形態は、溶着部が同種の樹脂を含むことで、溶着部自体の強度が高くなり易い。よって、上記形態は、モールド樹脂部とハウジングとの密着性がより高い。
【0030】
(9)本開示のコネクタ装置の一例として、
前記モールド樹脂部は、大気に接する表面を有する形態が挙げられる。
【0031】
上記形態は、モールド樹脂部の表面が最外層に位置する。即ち、上記形態は、回路基板等を収納する筐体が備わっていない。よって、上記形態は、小型化し易い。
【0032】
(10)本開示のコネクタ装置の一例として、
前記モールド樹脂部は、射出成形体である形態が挙げられる。
【0033】
射出成形体は、射出成形により作製できる。射出成形は、圧力をかけながらモールド樹脂部の構成材料を成形金型内に充填して回路基板やハウジング等を覆う。そのため、射出成形は、注型成形に比べて、モールド樹脂部の構成材料を成形金型の隅々まで充填し易い。よって、上記形態は、回路基板やハウジングとモールド樹脂部との間に隙間が形成され難い。隙間が形成され難いことで、隙間内の水蒸気が結露して水滴が生成され難い。また、上記形態は、射出成形により作製することで、モールド樹脂部の形状の自由度が高い。
【0034】
(11)本開示のコネクタ装置の一例として、
前記回路基板と前記コネクタとは、コントロールユニットを構成する形態が挙げられる。
【0035】
上記形態は、ハウジングとモールド樹脂部との間の防水性能が高いことで長期にわたって使用できる。そのため、上記形態は、コントロールユニットに好適に利用できる。また、上記形態は、小型であることからも、コントロールユニットに好適に利用できる。
【0036】
(12)本開示の一態様に係るコネクタ装置の製造方法は、
回路基板及びコネクタを含む組物を準備する工程と、
前記組物の一部をモールド樹脂部で覆った一体物を構成する工程と、
前記一体物にレーザーを照射する工程とを備え、
前記回路基板は、導体路を備え、
前記コネクタは、
樹脂で構成される筒状のハウジングと、
前記ハウジングの内側から前記ハウジングの軸方向外側に突出し、前記導体路に接続される端子とを備え、
前記一体物を構成する工程では、前記回路基板と、前記ハウジングの外側に位置する前記端子と、前記ハウジングの一部とをまとめて前記モールド樹脂部で覆い、
前記レーザーを照射する工程では、前記モールド樹脂部を通して前記ハウジングの全周にレーザーを一括照射し、前記ハウジングと前記モールド樹脂部の互いの構成材料を溶着する。
【0037】
本開示のコネクタ装置の製造方法は、コネクタのハウジングの全周にレーザーを一括照射する。以下、このレーザーの照射形態を一括型と呼ぶ。レーザーの照射は、一括型以外に、ハウジングの周方向に走査させながら行うこともできる。以下、このレーザーの照射形態を走査型と呼ぶ。
【0038】
レーザー溶着では、ハウジングとモールド樹脂部との境界面で熱が発生する。一括型の照射の場合、上記境界面で発生する熱がいずれの箇所でも実質的に均一となり易い。そのため、一括型の照射の場合、ハウジングとモールド樹脂部の互いの構成材料が溶着されてなる溶着部について、幅のばらつきが小さい溶着部を構成することができる。具体的には、ハウジングの周方向における最大幅と最小幅との差が最大幅の30%以下となるような溶着部をハウジングの全周にわたって構成することができる。一方、走査型の照射の場合、上記境界面で発生した熱が走査方向にも伝わることで、熱が不均一となり易い。よって、走査型の照射の場合、走査が進むにつれて溶着が行われ易く、走査が進むにつれて幅が大きくなるような溶着部が構成され易い。
【0039】
一括型の照射の場合、レーザーの出射口をハウジングの周方向に沿って複数並列して配置し、その複数のレーザーの出射口からレーザーを同時に照射することが挙げられる。レーザーの出射口は、ハウジングの周面上にレーザースポットが均等に並列されるように配置される。よって、一括型の照射の場合、レーザーを照射する装置を小型化し易い。一方、走査型の照射の場合、レーザーの出射口をハウジングの周方向に沿って走査させる必要がある。よって、走査型の照射の場合、レーザーの出射口を走査させる機構が必要となり、装置が大型化し易い。
【0040】
以上より、本開示のコネクタ装置の製造方法は、一括型の照射であり、溶着部を備えるコネクタ装置を容易に得られる。
【0041】
(13)本開示のコネクタ装置の製造方法の一例として、
前記レーザーを照射する工程では、前記モールド樹脂部を前記ハウジング側に押し付けた状態で行う形態が挙げられる。
【0042】
モールド樹脂部をハウジング側に押し付けることで、ハウジングとモールド樹脂部との間に隙間が形成され難い。ハウジングとモールド樹脂部との間に実質的に隙間がない状態でレーザーを照射することで、ハウジングとモールド樹脂部との構成材料が溶着され易く、ハウジングとモールド樹脂部との密着性が向上し易い。
【0043】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の詳細を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
【0044】
<コネクタ装置>
実施形態のコネクタ装置1は、
図1及び
図2に示すように、回路基板2とコネクタ3とを備える。回路基板2は、導体路20を備える。コネクタ3は、ハウジング31と端子32とを備える。ハウジング31は、樹脂で構成される筒状である。端子32は、ハウジング31の軸方向外側に突出し、導体路20に接続される。実施形態のコネクタ装置1は、回路基板2と、ハウジング31の外側に位置する端子32と、ハウジング31の一部とをまとめて覆うモールド樹脂部4を備える点を特徴の一つとする。また、実施形態のコネクタ装置1は、ハウジング31の全周にわたって設けられる溶着部5を備える点を特徴の一つとする。溶着部5は、代表的には、レーザー溶着により構成される。溶着部5は、レーザーによる熱によって、ハウジング31とモールド樹脂部4の互いの構成材料が溶着されて構成される。以下、各構成を詳細に説明する。各図において、溶着部5はクロスハッチングで示す。
【0045】
〔回路基板〕
回路基板2は、半導体リレー等の電子部品(図示略)やコネクタ3等が実装される板状部材である。回路基板2は、プリント基板を用いることができる。回路基板2は、導体路20を備える。導体路20は、回路基板2の電気回路を構成する導電部材のうち、表面に露出している箇所をいう。導体路20は、例えば、回路基板2の導電パターン21、回路基板2に実装された電子部品の端子(図示略)、電子部品の端子やコネクタ3の端子32と導電パターン21とを接続する半田22等を含む。回路基板2は、後述するモールド樹脂部4に埋設される。
【0046】
〔コネクタ〕
コネクタ3は、相手側コネクタ(図示略)が接続される接続部材である。相手側コネクタは、ワイヤーハーネスを介して車載電装品等と接続されている。コネクタ3は、回路基板2に実装される。コネクタ3は、ハウジング31と端子32とを備える。コネクタ3は、更に取付部33と固定部材34(
図2)とを備える。コネクタ3は、回路基板2の延長面に対して間隔を有するように配置されている。
図1及び
図2に示すコネクタ3は、回路基板2よりも上方に配置されている。
【0047】
〈ハウジング〉
ハウジング31は、相手側コネクタが嵌め込まれる筒状部材である。ハウジング31は、相手側コネクタが嵌め込まれる側が開口し、その開口側と反対側が閉塞した有底筒状である。この閉塞した面には、後述する端子32が貫通する。つまり、端子32は、この閉塞した面を通ってハウジング31の内側から外側に向かって引き出される。以下、この閉塞した面を閉塞端面と呼ぶことがある。ハウジング31の外側に位置する端子32は、この閉塞端面から突出する。ハウジング31における閉塞端面及び閉塞端面近傍は、全周にわたって後述するモールド樹脂部4に埋設される。
【0048】
本例では、ハウジング31の横断面の形状は、レーストラック形状である。ハウジング31の横断面とは、ハウジング31の軸方向と直交する方向に切断した断面である。レーストラック形状とは、互いに平行かつ同じ長さの一対の直線部の端部同士を円弧部でつないだ形状である。
【0049】
≪透過率≫
ハウジング31の透過率は、低いことが好ましい。ハウジング31の透過率は、波長が940nmのレーザーの光量a2と、ハウジング31の構成材料からなる厚さ2mmの試験片を上記レーザーが透過した光量b2との比率(b2/a2)×100である。透過率の低いハウジング31は、上記レーザーを吸収し易い。即ち、透過率の低いハウジング31は、上記レーザーによって溶け易い。そのため、後述する溶着部5が形成され易い。ハウジング31の透過率は、例えば、10%以下が好ましい。透過率が10%以下のハウジング31は、上記レーザーを吸収し易く溶け易いため、溶着部5を形成し易い。ハウジング31の透過率は、更に7%以下が好ましく、特に5%以下が好ましい。ハウジング31の色は、不透明な黒色や灰色等であることが好ましい。これらの色は、上記レーザーを吸収し易い。
【0050】
≪材質≫
ハウジング31は、例えば、ポリエステルを含むことが好ましい。ポリエステルは、電気絶縁性、耐水性等に優れる。そのため、ポリエステルを含むハウジング31は、ハウジング31の内側にある端子32等を機械的、電気的、化学的に保護し易い。ポリエステルとしては、代表的には、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が挙げられる。ハウジング31は、更に、着色剤を含んでいることが好ましい。着色剤は、ハウジング31の透過率が低くなるものが挙げられる。着色剤としては、例えば、カーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックを含むことで、ハウジング31の色が黒色となり易い。
【0051】
〈端子〉
端子32は、相手側コネクタと回路基板2とを電気的に接続する。端子32は、ハウジング31の閉塞端面を貫通し、ハウジング31の内側から外側に向かって引き出される。端子32のうち、ハウジング31の内側に位置する部分は、ハウジング31の軸方向に沿って設けられている。ハウジング31の内側に位置する端子32の一端は、相手側コネクタに電気的に接続される。端子32のうち、ハウジング31の外側に位置する部分は、回路基板2側に延びるように屈曲されている。本例の端子32は、実質的に直角に屈曲された金属線で構成されている。ハウジング31の外側に位置する端子32の他端は、回路基板2の導電パターン21に電気的に接続される。端子32の他端と導電パターン21との電気的な接続には、半田22が利用できる。端子32はプレスフィット端子でもよい。この場合、端子32は圧入によって導電パターン21と電気的に接続される。よって、端子32がプレスフィット端子の場合、半田22を省略できる。端子32の他端は、回路基板2を貫通する。ハウジング31の外側に位置する端子32は、モールド樹脂部4に埋設される。
【0052】
〈取付部〉
取付部33は、ハウジング31に一体に設けられている。本例では、取付部33は、ハウジング31の一部として一体成形されている。取付部33は、ハウジング31の閉塞端面から回路基板2側に延びるようにL字状に屈曲されている。本例の取付部33は、実質的に直角に屈曲された丸棒部材で構成されている。本例では、二つの取付部33が、端子32を挟むように設けられている。取付部33の端面には、ネジ穴が設けられている。このネジ穴には、後述する固定部材34が取り付けられる。取付部33の端面と固定部材34とで回路基板2を挟むことで、回路基板2とハウジング31とが固定される。取付部33は、モールド樹脂部4に埋設される。
【0053】
〈固定部材〉
固定部材34は、ハウジング31を回路基板2に固定する。固定部材34には、例えばネジを用いることができる。本例の固定部材34は、樹脂製のネジで構成されている。本例では、二つの固定部材34がそれぞれ、回路基板2に設けられた挿通孔(図示略)に貫通され、各取付部33に取り付けられる。固定部材34の取付部33に対する取り付けによって、ハウジング31が回路基板2に固定される。固定部材34の一部は、回路基板2の表面から突出している。固定部材34は、モールド樹脂部4に埋設される。
【0054】
〔モールド樹脂部〕
モールド樹脂部4は、回路基板2や端子32等の導電部材を外部環境から機械的、電気的、化学的に保護する。モールド樹脂部4は、回路基板2と、ハウジング31の外側に位置する端子32と、ハウジング31の一部とをまとめて覆う。本例では、モールド樹脂部4は、回路基板2と、コネクタ3の大部分とをまとめて覆う。コネクタ3の大部分とは、ハウジング31における相手側コネクタが嵌め込まれる開口側の端部を除く領域である。
【0055】
モールド樹脂部4は、大気に接する表面を有する。大気に接するとは、コネクタ装置1がケース等で覆われておらず露出されており、コネクタ装置1における最外面を構成することをいう。本例では、モールド樹脂部4の表面は、全域にわたって大気に接する。即ち、コネクタ装置1は、ケースレスである。そのため、コネクタ装置1は小型である。
【0056】
≪透過率≫
モールド樹脂部4の透過率は、高いことが好ましい。モールド樹脂部4の透過率は、波長が940nmのレーザーの光量a1と、モールド樹脂部4の構成材料からなる厚さ2mmの試験片を上記レーザーが透過した光量b1との比率(b1/a1)×100である。透過率の高いモールド樹脂部4は、上記レーザーを吸収し難くハウジング31に到達させ易い。そのため、後述する溶着部5が形成され易い。モールド樹脂部4の透過率は、例えば、40%以上が好ましい。透過率が40%以上のモールド樹脂部4は、上記レーザーを透過させ易いため、溶着部5を形成し易い。モールド樹脂部4の透過率は、更に45%以上が好ましく、特に50%以上が好ましい。モールド樹脂部4の色は、無色透明や白色透明、不透明な白色などであることが好ましい。これらの色は、上記レーザーを透過させ易い。
【0057】
≪材質≫
モールド樹脂部4は、例えば、ポリアミド樹脂、又はポリエステルを含むことが好ましい。ポリアミド樹脂は、機械的強度等に優れる。そのため、ポリアミド樹脂を含むモールド樹脂部4は、モールド樹脂部4で覆われる部材を機械的に保護し易い。ポリエステルは、電気絶縁性、耐水性等に優れる。そのため、ポリエステルを含むモールド樹脂部4は、モールド樹脂部4で覆われる部材を電気的かつ化学的に保護し易い。
【0058】
ハウジング31とモールド樹脂部4とは同種の樹脂を含むことが好ましい。特に、ハウジング31とモールド樹脂部4とは、全く同じ樹脂で構成されることが好ましい。ハウジング31とモールド樹脂部4とが同種の樹脂を含むことで、ハウジング31とモールド樹脂部4との溶解度パラメータを近くし易い。そのため、ハウジング31とモールド樹脂部4とは互いになじみ性が良い。その上、後述する溶着部5が同種の樹脂を含むことで、溶着部5自体の強度が高くなり易い。よって、ハウジング31とモールド樹脂部4との密着性がより高い。例えば、ハウジング31がポリエステルを含む場合、モールド樹脂部4はポリエステルを含むことが好ましい。
【0059】
モールド樹脂部4は、射出成形体であることが好ましい。射出成形体は、射出成形により作製できる。射出成形は、圧力をかけながらモールド樹脂部4の構成材料を成形金型内に充填して回路基板2やハウジング31等を覆う。そのため、射出成形は、注型成形に比べて、モールド樹脂部4の構成材料を成形金型の隅々まで充填し易い。よって、射出成形体は、注型成形体に比べて、回路基板2やハウジング31等とモールド樹脂部4との間に隙間が形成され難い。隙間が形成され難いことで、隙間内の水蒸気が結露して水滴が生成され難い。また、射出成形体は、モールド樹脂部4の形状の自由度が高い。本例では、モールド樹脂部4は、四角柱で構成される。
【0060】
モールド樹脂部4の構成材料は、融点が180℃以上200℃以下であることが好ましい。上記構成材料の融点が180℃以上であることで、コネクタ装置1の使用時にモールド樹脂部4が溶けて変形することを防止できる。一方、上記構成材料の融点が200℃以下であることで、射出成形時の成形温度を200℃以下に設定することができ、その成形温度で半田22等が溶けることを防止できる。
【0061】
モールド樹脂部4は、射出成形体であるため、ゲートの痕跡部40を備える。痕跡部40は、モールド樹脂部4の成形時に金型のキャビティにモールド樹脂部4の構成材料を充填するためのゲートに対応する箇所である。射出成形により作製されたモールド樹脂部4には、ゲートに対応する部分を有する付属部が形成される。この付属部を除去することで、モールド樹脂部4にはゲートの痕跡部40が形成される。この付属部は、ゲートに対応する部分の他、スプルーに対応する部分を有することがあり、更にはランナーに対応する部分を有することもある。付属部の除去は、例えば、付属部を折り取ることで行える。ハウジング31の周辺には端子32等が配置されるため、射出成形時のゲートは、ハウジング31から離れた位置に設定されることが好ましい。よって、痕跡部40は、モールド樹脂部4におけるハウジング31とは反対側に設けられることが好ましい。
【0062】
〔溶着部〕
溶着部5は、
図3に示すように、ハウジング31とモールド樹脂部4の互いの構成材料が溶着されてなる。溶着とは、互いの構成材料が混ざり合っていること、互いの構成材料が相溶していること、せん断力によって界面破壊ではなく材料破壊が生じること、コネクタ3の表面が粗面になっていること、の少なくとも一つを満たすことをいう。界面破壊とは、ハウジング31とモールド樹脂部4との界面で破壊が生じることをいう。そのため、ハウジング31とモールド樹脂部4とが互いの界面に沿って剥離する。よって、ハウジング31及びモールド樹脂部4の一方の部材に他方の部材の構成材料が付着しない。材料破壊とは、ハウジング31とモールド樹脂部4の一方の部材の内部で破壊が生じることをいう。そのため、他方の部材における一方の部材との対向面に一方の部材の構成材料が付着した状態で両部材が分離する。溶着部5は、ハウジング31とモールド樹脂部4との密着性を高められる。
【0063】
溶着部5は、ハウジングの全周にわたって設けられている。そのため、ハウジング31とモールド樹脂部4との間から水等の液体が浸入することを抑制できる。よって、回路基板2や端子32等の導電部材に液体が付着することを抑制できる。
【0064】
溶着部5は、ハウジング31の周方向における最大幅と最小幅との差が、最大幅の30%以下である。よって、溶着部5は、ハウジング31の周方向において幅のばらつきが小さいと言える。溶着部5の幅のばらつきが小さいことで、ハウジング31とモールド樹脂部4との接着強度のばらつきを小さくできる。ハウジング31の周方向における溶着部5の最大幅に対する上記差の比率を、幅比率と呼ぶことがある。溶着部5における上記幅比率は、ハウジング31とモールド樹脂部4とを分離して溶着部5を露出し、ハウジング31の周方向に沿って溶着部5の幅を測定することで求められる。ハウジング31とモールド樹脂部4との分離は、例えば、ペンチなどの適当な工具を用いてモールド樹脂部4をハウジング31から剥離させることで行える。溶着部5における上記幅比率は、更に20%以下、特に10%以下であることが好ましい。
【0065】
溶着部5は、ハウジング31の周方向に沿って4点以上の複数の測定点を設けると、複数の測定点による溶着部5の平均幅に対する最大幅の比率が130%以下であり、上記平均幅に対する最小幅の比率が70%以上であることが好ましい。溶着部5の平均幅に対する最大幅の比率を、最大幅比率と呼ぶ。溶着部5の平均幅に対する最小幅の比率を、最小幅比率と呼ぶ。最大幅比率が130%以下であり、最小幅比率が70%以上であると、溶着部5の幅がハウジング31の周方向に沿って一様であると言える。溶着部5の幅が一様であることで、ハウジング31とモールド樹脂部4との接着強度をハウジング31の周方向に沿って一定にし易い。溶着部5における最大幅比率は、更に120%以下、特に110%以下であることが好ましい。溶着部5における最小幅比率は、更に80%以上、特に90%以上であることが好ましい。溶着部5は、最大幅比率が120%以下であり、最小幅比率が80%以上であることが好ましい。特に、溶着部5は、最大幅比率が110%以下であり、最小幅比率が90%以上であることが好ましい。なお、溶着部5における最大幅比率が105%以下であり、最小幅比率が95%以上であってもよい。
【0066】
〔用途〕
実施形態のコネクタ装置1は、自動車のエンジンコントロールユニットや自動車の電動ブレーキシステムのモジュール等に好適に利用できる。エンジンコントロールユニットとしては、例えば、燃料噴射制御のエンジンコントロールユニット(Fuel Injection Engine Control Unit:FI-ECU)が挙げられる。電動ブレーキシステムのモジュールとしては、電動機械ブレーキ(Electro Mechanical Brake:EMB)や電動パーキングブレーキ(Electronic Parking Brake:EPB)のモジュールが挙げられる。
【0067】
<コネクタ装置の製造方法>
実施形態のコネクタ装置の製造方法は、組物を準備する工程と、一体物を構成する工程と、レーザーを照射する工程とを備える。以下、
図4から
図6を参照して、コネクタ装置の製造方法の詳細を説明する。
【0068】
〔組物を準備する工程〕
組物を準備する工程では、
図4に示すように、上述した回路基板2とコネクタ3とが接続された組物100を準備する。組物100は、回路基板2の導電パターン21とコネクタ3の端子32とが半田22で電気的に接続されている。また、組物100は、コネクタ3の取付部33が固定部材34(
図2)によって回路基板2に固定されて構成されている。本例では、コネクタ3におけるハウジング31の横断面の形状は、レーストラック形状である。
【0069】
〔一体物を構成する工程〕
一体物を構成する工程では、
図5に示すように、組物100の一部をモールド樹脂部4で覆って一体物200を作製する。具体的には、一体物を構成する工程では、回路基板2と、コネクタ3におけるハウジング31の外側に位置する端子32と、ハウジング31の一部とをまとめてモールド樹脂部4で覆う。つまり、一体物を構成する工程では、組物100のうち、コネクタ3におけるハウジング31の相手側コネクタが嵌め込まれる開口を除く大部分をモールド樹脂部4で覆う。本例では、モールド樹脂部4は、四角柱で構成される。よって、モールド樹脂部4は、ハウジング31に対して四面で囲むことになる。
【0070】
〔レーザーを照射する工程〕
レーザーを照射する工程では、モールド樹脂部4を通してハウジング31にレーザーを一括照射し、ハウジング31とモールド樹脂部4の互いの構成材料を溶着する。レーザーの照射は、ハウジング31の外周面の法線方向におけるモールド樹脂部4の外側から行うことが挙げられる。モールド樹脂部4はレーザーを透過し、ハウジング31はレーザーを吸収する。レーザーを吸収したハウジング31は発熱し、その発熱によってハウジング31の構成材料が溶融する。ハウジング31における溶融熱がモールド樹脂部4に伝わることでモールド樹脂部4が発熱し、その発熱によってモールド樹脂部4が溶融する。溶融したハウジング31の構成材料とモールド樹脂部4の構成材料とが接着した状態で固化することで、溶着部5が構成される。
【0071】
レーザーの照射は、ハウジング31の全周に対して一括して行う。一括型の照射の場合、レーザーの出射口をハウジング31の周方向に沿って複数並列して配置し、その複数のレーザーの出射口からレーザーを同時に照射する。
【0072】
レーザーの出射口は、ハウジング31の周面上にレーザースポットが均等に並列されるように配置される。隣り合うレーザースポットは、若干重複していることが好ましい。隣り合うレーザースポット間に間隔を有していてもよいが、その間隔は十分に小さいことが好ましい。
【0073】
レーザースポットは、代表的には、円形である。レーザーの出射口は、ハウジング31の周面上におけるレーザースポットの中心が同一直線上に位置するように配置されることが好ましい。また、レーザーの出射口は、ハウジング31の周面上の隣り合うレーザースポットの重複領域において、レーザースポットの並列方向の最大長さが、レーザーのスポット径の1/8倍以上1/2倍以下となるように配置されることが好ましい。上記重複領域における最大長さがレーザーのスポット径の1/8倍以上であることで、ハウジング31の全周にわたって確実にレーザーを照射することができる。一方、上記重複領域における最大長さがレーザーのスポット径の1/2倍以下であることで、過度に多くのレーザーの出射口を必要としない。
【0074】
レーザー源の種類は、固体レーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー等が挙げられる。
【0075】
レーザーの波長は、例えば、800nm以上990nm以下、更に850nm以上990nm以下、特に930nm以上950nm以下が挙げられる。レーザーの波長は、940nmが好適である。レーザーの出力は、ハウジング31及びモールド樹脂部4の材質によるが、例えば、10W以上100W以下、更に20W以上90W以下、特に30W以上60W以下が挙げられる。
【0076】
レーザーの照射は、モールド樹脂部4をハウジング31側に押し付けた状態で行うことが好ましい。モールド樹脂部4をハウジング31側に押し付けることで、ハウジング31とモールド樹脂部4との間に隙間が形成され難い。ハウジング31とモールド樹脂部4との間に実質的に隙間がない状態でレーザーを照射することで、ハウジング31とモールド樹脂部4との構成材料が溶着され易く、ハウジング31とモールド樹脂部4との密着性が向上し易い。
【0077】
押付装置400による押し付け荷重は、1kgf以上10kgf以下とすることが挙げられる。押し付け荷重を1kgf以上とすることで、ハウジング31とモールド樹脂部4との間に隙間がより形成され難い。一方、押し付け荷重を10kgf以下とすることで、コネクタ装置1に過度の圧力がかかることによってモールド樹脂部4が変形したりすることを抑制できる。押し付け荷重は、更に2kgf以上8kgf以下、特に3kgf以上5kgf以下とすることが挙げられる。
【0078】
モールド樹脂部4をハウジング31側に押し付けた状態で、ハウジング31の全周にレーザーを一括照射する形態は、例えば、
図6に示すような押付装置400を用いて行える。押付装置400は、モールド樹脂部4の外周に配置される筒状部材である。押付装置400は、モールド樹脂部4の外形に対応した内周形状を有する。本例では、押付装置400の内周形状は、四角形状である。
【0079】
押付装置400は、周方向に分割される複数の分割片で構成されている。本例では、押付装置400は、四つの分割片で構成されている。各分割片は、モールド樹脂部4の各角部を押し付けるように構成されている。
【0080】
押付装置400は、外周側に位置する金属部410と、内周側に位置するガラス部420とで構成される。金属部410には、押付装置400の周方向に沿って複数のレーザーの出射口が設けられいる。具体的には、金属部410には、外周面から内周面に向かって光ファイバー411が貫通しており、その光ファイバー411の先端がレーザーの出射口である。レーザーの出射口は、金属部410の内周面に面して設けられている。ガラス部420は、モールド樹脂部4に直接的に接する。各出射口から出射されたレーザーは、ガラス部420を介してモールド樹脂部4の外側に照射され、モールド樹脂部4を透過してハウジング31で吸収される。光ファイバー411及び出射口は、ハウジング31におけるレーザースポットの間隔が等間隔になるように配置される。本例では、ハウジング31の横断面の形状がレーストラック形状である。そのため、光ファイバー411及び出射口は、ハウジング31の外周面を構成する直線部及び円弧部のそれぞれの外周面の法線方向にレーザーが照射されるように配置されている。
【0081】
<効果>
実施形態のコネクタ装置1は、以下の効果を奏することができる。
【0082】
(1)防水性能に優れる。溶着部5によりハウジング31とモールド樹脂部4との密着性を高められるため、ハウジング31とモールド樹脂部4との隙間から液体の浸入を抑制し易いからである。特に、ハウジング31の全周にわたって幅のばらつきが小さい溶着部5が構成されるため、強固な溶着部5が構成され易い。よって、モールド樹脂部4で覆われる回路基板2や端子32等の導電部材に液体が付着することを抑制できる。
【0083】
(2)小型化し易い。モールド樹脂部4で回路基板2や端子32等の導電部材をまとめて覆っていることで、回路基板2等を収納する筐体を別途備える必要がないからである。筐体を備えないことで、筐体間を防水するシール材も備える必要がない。
【0084】
(3)製造し易い。実施形態のコネクタ装置1は、上述したように溶着部5により防水性能に優れるため、筐体及びシール材が不要なため、部品点数が少なく、筐体を組み立てる作業やシール材を配置する作業を省略できるからである。特に、ハウジング31の全周にレーザーを一括照射して溶着部5を構成しているため、溶着部5の幅のばらつきを容易に小さくできる上に、レーザーを照射する装置を小型化し易い。
【0085】
<変形例>
上述したコネクタ装置1は、
図7に示すように、ハウジング31に突起部311を備えることができる。突起部311は、ハウジング31におけるモールド樹脂部4と接触する全周にわたって設けられる。突起部311を備える場合、溶着部5は、突起部311に設けられる。以下の説明は、上述したコネクタ装置1との相違点である突起部311を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0086】
突起部311は、溶着部5を構成する際に、レーザーの熱を集中的に吸収する機能を有する。突起部311の形状や寸法は、レーザー溶着の前後で実質的に変化しない。
【0087】
突起部311は、レーザーの熱を集中的に吸収できる形状を適宜選択できる。突起部311は、ハウジング31の軸方向に平行な先端面311sを備えることが好ましい。突起部311に先端面311sを備えることで、突起部311におけるレーザーを受ける面を安定して確保し易い。また、突起部311が先端面311sを備えることで、レーザーの熱が発生する領域を突起部311の先端側に設け易く、熱が突起部311の基端側に伝わることを抑制し易い。
【0088】
突起部311の横断面形状は、特に限定されない。突起部311の横断面形状は、四角形であることが挙げられる。突起部311の横断面形状は、突起部311が延びる方向と直交する方向に切断した切断面における形状である。突起部311が突出する方向は、ハウジング31の径方向である。突起部3がハウジング31の周方向に延びる形態は、ハウジング31の周方向に沿って設けられる構成でもよいし、波形など、ハウジング31の周方向からずれる屈曲した構成であってもよい。突起部311の横断面形状が四角形であると、突起部311の形状が単純であり、突起部311とモールド樹脂部4との密着性を向上し易い。また、突起部311の横断面形状が四角形であると、突起部311を製造し易い。突起部311の横断面形状は、三角形であってもよい。他に、突起部311の横断面形状は、先端面311sが円弧面で構成される半円形であってもよい。突起部311の横断面形状は、台形であってもよい。突起部311の横断面形状は、先端側から基端側に向かって幅が狭くなるような逆台形であってもよい。
【0089】
突起部311の最大幅は、1mm以上2mm未満であることが好ましい。突起部311の最大幅が1mm以上であることで、レーザーを受ける面を確保し易く、レーザーの熱が突起部311に集中し易い。一方、突起部311の最大幅が2mm未満であることで、レーザーの強度分布にもよるが、レーザーの熱が突起部311に集中し易い。突起部311の最大幅は、更に1mm以上1.7mm以下、特に1mm以上1.5mm以下であることが挙げられる。
【0090】
突起部311の最大高さは、0.2mm以上0.5mm以下であることが好ましい。突起部311の最大高さが0.2mm以上であることで、レーザーの熱が発生する領域を突起部311の先端側に設け易く、熱が突起部311の基端側に伝わることを抑制し易い。一方、突起部311の最大高さが0.5mm以下であることで、レーザーによる熱の拡散が一定になり易く、突起部311における構成材料の溶融が一定になり易い。突起部311の最大高さは、更に0.2mm以上0.4mm以下、特に0.2mm以上0.3mm以下であることが挙げられる。
【0091】
本例のコネクタ装置1は、ハウジング31に複数の凹部312を備える。各凹部312は、ハウジング31の全周にわたって設けられている。更に、各凹部312は、ハウジング31の軸方向に並列されている。突起部311は、隣り合う凹部312の側壁を構成するように設けられている。凹部312には、モールド樹脂部4が充填される。そのため、凹部312に充填されるモールド樹脂部4がアンカーとなることに加え、突起部311が一様な高さで凹部312を備えない場合に比較して、ハウジング31とモールド樹脂部4との接触面積を大きくできる。よって、凹部312を備えることで、ハウジング31とモールド樹脂部4との密着性が向上され易い。
【0092】
本例では、二つの凹部312が設けられている。複数の凹部312のうち、ハウジング31の閉塞端面側に位置する凹部312は、上記閉塞端面につながる切欠きで構成されている。ハウジング31の閉塞端面側とは、
図7の右側である。複数の凹部312のうち、ハウジング31の開口側に位置する凹部312は、両側に側壁を有する溝で構成されている。ハウジング31の開口側とは、
図7の左側である。
【0093】
本例の凹部312の深さは、突起部311の最大高さと同じである。このような凹部312によって突起部311を構成することで、凹部312がない場合に比較して、ハウジング31の外表面から突出する突起部311の突出量を小さくできる。ハウジング31の外表面からの突起部311の突出量が小さいと、ハウジング31の外表面からのモールド樹脂部4の厚さを小さくし易く、小型化し易い。
【0094】
凹部312は、三つ以上であってもよい。この場合、二つの突起部311が、ハウジング31の軸方向に並列して設けられる。凹部312は、一つであってもよい。この場合、突起部311の側壁は、一方が凹部312の側壁で構成され、他方がハウジング31の閉塞端面で構成される。凹部312はなくてもよい。この場合、突起部311は、ハウジング31の外表面から突出することになる。
【0095】
[試験例]
溶着部を備えるコネクタ装置を作製し、コネクタのハウジングとモールド樹脂部との接着性能を調べた。接着性能の評価は、
図8に示す試験片500を用いて行った。試験片500は、コネクタのハウジングとモールド樹脂部との接合箇所を模擬した部材である。
【0096】
<試験片>
〔試料No.1-1〕
ハウジングにおけるモールド樹脂部との接合箇所を模擬した吸収材510を準備した。吸収材510は、透過率が1%のPBT樹脂で構成される。吸収材510は、周長が50mmのレーストラック状の柱状材である。
【0097】
準備した吸収材510の一部を覆うように透過材520を射出成形した。透過材520は、透過率が40%の熱可塑性ポリエステル樹脂で構成される。熱可塑性ポリエステル樹脂は、東洋紡株式会社製バイロショット(登録商標)を用いた。透過材520は、吸収材510の軸方向の第一端面側から5mmの範囲を覆うように成形した。透過材520は、四角柱材である。吸収材510と透過材520とが重複する領域の長さは、50mmとした。この重複する領域の長さは、吸収材510の周方向に沿った長さのことである。透過材520の周長は、76mmであった。
【0098】
吸収材510と透過材520とが重複する領域において、透過材520を吸収材510側に押し付けた状態で、透過材520を通して吸収材510の全周にレーザーを一括照射した。レーザーの一括照射は、
図6に示す押付装置400を用いて行った。押し付け荷重は、2kgfとした。レーザー源は、ファイバーレーザーとした。各レーザーのスポット径は2.0mmとした。レーザーの波長は、940nmとした。その結果、吸収材510の全周にわたって溶着部550が形成された。
【0099】
〔試料No.1-2〕
試料No.1-2では、透過材520は、吸収材510の軸方向の第一端面側から3mmの範囲を覆うように成形した。そして、試料No.1-2では、試料No.1-1に対して、レーザーの照射方法を変更した。試料No.1-2では、吸収材510と透過材520とが重複する領域において、透過材520を通して吸収材510の全周にレーザーを走査させて照射した。レーザーの走査は、吸収材510及び透過材520に対して一周回させた。つまり、レーザーの走査開始位置と走査終了位置とは実質的に同じである。レーザーの走査速度は、50mm/minとした。走査型の照射では、レーザーのスポット径は1.5mmとした。その他の条件は、試料No.1-1と同様である。その結果、吸収材510の全周にわたって溶着部550が形成された。
【0100】
<溶着部の幅のばらつきの測定>
得られた各試料の試験片500について、吸収材510と透過材520とを分離して溶着部550を露出し、吸収材510の周方向に沿って溶着部550の幅を測定した。ここでは、吸収材510と透過材520との分離は、ペンチを用いて透過材520を吸収材510から剥離することで行った。そして、吸収材510の周方向における溶着部550の最大幅に対する最大幅と最小幅との差の比率を求めた。この比率を幅比率と呼ぶ。その結果を表1に示す。
【0101】
また、吸収材510の周方向に沿って7点の測定点を設け、その7点の測定点による溶着部550の平均幅を求めた。試料No.1-2では、レーザーの走査開始位置を測定点1、レーザーの走査終了位置を測定点7とし、測定点1と測定点7との間で等間隔に測定点2から測定点6を設定した。試料No.1-2では、レーザーの走査開始位置と走査終了位置とが実質的に同じである。しかし、試料No.1-2では、その同じ位置において、溶着部550に段差が生じる。測定点1及び測定点7における各幅は、溶着部550の段差から測定可能である。試料No.1-1では、試料No.1-2と同様の位置に各測定点を設定した。試料No.1-1でも、測定点1及び測定点7における各幅は、溶着部550の段差から測定可能である。そして、平均幅に対する最大幅の比率と、平均幅に対する最小幅の比率とを求めた。平均幅に対する最大幅の比率を最大幅比率と呼ぶ。平均幅に対する最小幅の比率を最小幅比率と呼ぶ。各測定点における溶着部550の幅、最大幅比率、及び最小幅比率の結果を表1に示す。
【0102】
<接着性能の評価>
得られた各試料の試験片500について、せん断引張試験を行って、接着性能の評価を行った。せん断引張試験の装置には、株式会社島津製作所製のオートグラフAGS-Xシリーズを用いた。せん断引張試験は、
図8の白抜き矢印に示すように、吸収材510と透過材520とを長さ方向に沿って互いが離れる方向へ引っ張り、吸収材510と透過材520とが分離したときの最大引張応力を求めた。各試料の測定数は5とした。最大引張応力の平均値を表1に示す。
【0103】
また、吸収材510と透過材520における接着面を目視にて観察した。その結果、いずれの試料も溶着部550において、材料破壊が生じていた。材料破壊では、吸収材510及び透過材520の一方の内部で破壊が生じており、分離した他方の表面に一方の構成材料が付着していた。
【0104】
【0105】
表1に示すように、一括型の照射を行った試料No.1-1は、幅比率が10%以下と小さい。また、一括型の照射を行った試料No.1-1は、最大幅比率が110%以下と小さく、最小幅比率が90%以上と大きい。つまり、一括型の照射を行った試料No.1-1は、溶着部の幅が吸収材の周方向に沿って一様であると共に、ばらつきが小さい。よって、一括型の照射を行った試料No.1-1は、吸収材と透過材との接着強度を高めることができ、密着性が向上したと考えられる。一方、走査型の照射を行った試料No.1-2は、幅比率が57%と非常に大きい。また、走査型の照射を行った試料No.1-2は、最大幅比率が140%と大きく、最小幅比率が60%と小さい。つまり、走査型の照射を行った試料No.1-2は、溶着部の幅が吸収材の周方向に沿って不均一であると共に、ばらつきが大きい。走査型の照射の場合、レーザーによる熱が走査方向にも伝わり、走査が進むにつれて溶着が行われ易い。そのため、試料No.1-2では、走査が進むにつれて幅が大きくなるような溶着部が構成されたと考えられる。実際に、試料No.1-2では、走査開始位置の測定点1での幅が最も小さく、走査が進むにつれて幅が徐々に大きくなり、走査終了位置の測定点7での幅が最も大きくなっていた。走査型の照射を行った試料No.1-2は、溶着部の幅が吸収材の周方向に沿って不均一であると共に、ばらつきが大きいことで、吸収材と透過材との接着強度が低く、密着性が低下したと考えられる。
【0106】
一括型の照射は、吸収材の全周にわたって溶着部を同時に構成することができる。そのため、走査型の照射と比較して、レーザー照射の装置を簡易にできると考えられる。
【0107】
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0108】
1 コネクタ装置
2 回路基板
20 導体路、21 導電パターン、22 半田
3 コネクタ
31 ハウジング、311 突起部、311s 先端面、312 凹部
32 端子、33 取付部、34 固定部材
4 モールド樹脂部
40 痕跡部
5 溶着部
100 組物
200 一体物
400 押付装置
410 金属部、411 光ファイバー、420 ガラス部
500 試験片
510 吸収材、520 透過材、550 溶着部