特許 7319648 フォークリフト用抜け止め装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-07-25

(45)【発行日】2023-08-02

(54)【発明の名称】フォークリフト用抜け止め装置

(51)【国際特許分類】

   B66F 9/12 20060101AFI20230726BHJP

【ＦＩ】

B66F9/12 D

B66F9/12 E

【請求項の数】 5

(21)【出願番号】P 2019008286

(22)【出願日】2019-01-22

(65)【公開番号】P2020117331

(43)【公開日】2020-08-06

【審査請求日】2021-11-24

(73)【特許権者】

【識別番号】591172799

【氏名又は名称】港製器工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001586

【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】趙 恩基

【審査官】中田 誠二郎

(56)【参考文献】

【文献】特開平１０－１０１０７６（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開昭５７－０１３５９９（ＪＰ，Ｕ）

【文献】実開昭６２－１２４９９６（ＪＰ，Ｕ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６６Ｆ ９／００－１１／０４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

フォークを挿入可能な断面を有し、第１の方向に伸びる一対のフォークポケットを含み、
前記一対のフォークポケットの各々は、前記第１の方向に交わる第２の方向に間隔を開けて配置され、
前記一対のフォークポケットの各々は、フォークを挿入するための、第１の方向の一方端に設けられた形状の開口部と、
開口部の近傍に設けられ、前記第１および第２の方向に交わる第３の方向において、その一方側に設けられ、第３の方向に移動可能なフリッププランジャと、
フォークポケットの前記第２の方向の両端面に設けられた第１の軸を中心として回動自在に設けられた外れ止めアームと、
外れ止めアームに設けられた第２の軸を中心として回動自在に設けられたアーム引っ張りリンクと、を含み、
前記外れ止めアームは、一端を第１の軸に接続された一対の外側外れ止めアームと、
一対の外側外れ止めアームの他端に接続された外れ止め部を含み、
アーム引っ張りリンクは、一端を第２の軸に接続された一対の外側アーム引っ張りリンクと、
一対の外側アーム引っ張りリンクの他端に接続されたプランジャ当接部を含み、
前記フリッププランジャは、一対のフォークを持ち上げたとき、前記プランジャ当接部を第３の方向に持ち上げ、
外れ止め部は、前記フリッププランジャを介して前記プランジャ当接部が持ち上げられたとき、第２の軸を介して第１の軸を中心として第３の方向に持ち上げられ、
それによって、一対のフォークを持ち上げたとき、外れ止め部は、フォークの後端に係合して、一対のフォークポケットをフォークに固定し、
前記フリッププランジャのフォークをガイドする形状は、前記第２の方向から見たとき三角形である、フォークリフト用抜け止め装置。

【請求項2】

前記フリッププランジャは、フリッププランジャ回転軸を中心に第３の方向に回転可能であり、
前記フリッププランジャ回転軸は、前記フリッププランジャの前記第１の方向であって、前記開口部と反対側に位置する、請求項１に記載のフォークリフト用抜け止め装置。

【請求項3】

前記フリッププランジャは、前記第２の方向から見たとき、前記開口部から挿入されるフォークをガイドする形状を有する、請求項１または２に記載のフォークリフト用抜け止め装置。

【請求項4】

前記一対のフォークポケットは、その第３の方向に固定して配置されたフォーク支持部によって、第２の方向に間隔を開けて配置される、請求項１～３のいずれかに記載のフォークリフト用抜け止め装置。

【請求項5】

前記フォーク支持部はその上、または、その下に搬送物を保持する、請求項４に記載のフォークリフト用抜け止め装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

この発明はフォークリフトで品物を搬送中に、フォークから搬送物が落下するのを防ぐ、フォークリフト用抜け止め装置に関し、特に、フォークを持ち上げたとき、自動的に作動するフォークリフト用抜け止め装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来から、フォークリフトで品物を搬送中にフォークからフォークに載置された搬送物が落下する場合があった。このような場合に対処するための構成が、例えば、特許第５４７５１７４号公報（特許文献１）に開示されている。特許文献１によれば、フォークリフトへの装着に当たっては、フィンガーバー用アタッチメントをフィンガーバーに固着しておき、左右のフォークを左右のフォークホルダの奥まで挿入し、連結バーでフレーム部材の上部とフィンガーバー用アタッチメントの上部を連結すると共に、フォークの背面に位置させた止めピンを差し込んで下部の抜け止めをしている。すなわち、従来では、フォークの背面にピンを差し込んで搬送物のフォークからの抜け止めとしていた。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特許第５４７５１７４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

従来のフォークリフトで品物を搬送中に、フォークから搬送物が落下するのを防ぐ、フォークリフト用抜け止め装置は、上記のように構成されていた。このような構成では、フォークリフトのフォークに載置物を取り付けた後で、フォークの背面に人間が止めピンを挿入する必要があり、フォークへの取り付けに人手と時間がかかるという問題があった。

【0005】

この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、フォークに取り付けられるフォークリフト用搬送装置をフォークに簡単に固定できる、フォーク抜け止め装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

この発明に係るフォークリフト用抜け止め装置は、フォークを挿入可能な断面を有し、第１の方向に伸びる一対のフォークポケットを含み、一対のフォークポケットの各々は、第１の方向に交わる第２の方向に間隔を開けて配置され、一対のフォークポケットの各々は、フォークを挿入するための、第１の方向の一方端に設けられた開口部と、開口部の近傍に設けられ、第１および第２方向に交わる第３方向において、その一方側に設けられ、第３方向に移動可能なフリッププランジャと、フォークポケットの第２方向の両端面に設けられた第１の軸を中心として回動自在に設けられた外れ止めアームと、外れ止めアームに設けられた第２の軸を中心として回動自在に設けられたアーム引っ張りリンクと、を含み、外れ止めアームは、一端を第１の軸に接続された一対の外側外れ止めアームと、一対の外側外れ止めアームの他端に接続された外れ止め部を含み、アーム引っ張りリンクは、一端を第２の軸に接続された一対の外側アーム引っ張りリンクと、一対の外側アーム引っ張りリンクの他端に接続されたプランジャ当接部を含み、プランジャ当接部は、一対のフォークを持ち上げたとき、フリッププランジャを第３の方向に持ち上げ、外れ止め部は、プランジャ当接部を介してフリッププランジャが持ち上げられたとき、第２の軸を介して第１の軸を中心として第３の方向に持ち上げられ、それによって、一対のフォークを持ち上げたとき、外れ止め部は、フォークの後端に係合して、一対のフォークポケットをフォークに固定する。

【0007】

好ましくは、フリッププランジャは、フリッププランジャ回転軸を中心に回転可能であり、フリッププランジャ回転軸は、フリッププランジャの第１方向であって、開口部と反対側に位置する。

【0008】

さらに好ましくは、フリッププランジャは、第２方向から見たとき、開口部から挿入されるフォークをガイドする形状を有する。

【0009】

フリッププランジャフォークをガイドする形状は、第２方向から見たとき三角形であってもよい。

【0010】

一対のフォークポケットは、その第３の方向に固定して配置されたフォーク支持部によって、第２の方向に間隔を開けて配置されるのが好ましい。

【発明の効果】

【0011】

搬送時にフォークを上昇させることによって、フリッププランジャが持ち上がり、それによって、第１レバーが持ち上がって第１レバーに接続された後部がフォークの後端部まで持ち上げられ、フォークと箱体が一体化される。

【0012】

その結果、フォークに取り付けられるフォークリフト用搬送装置をフォークに簡単に固定できる、フォーク抜け止め装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【0013】

【図1】この発明の一実施の形態に係るフォーク抜け止め装置を示す斜視図である。

【図2】それぞれがフォーク抜け止め装置を有する一対のフォークポケットを有するフォークリフト用搬送装置を示す斜視図である。

【図3】フォークリフトのフォークにフォークリフト用搬送装置を取り付ける手順を示す側面図である。

【図4】フォークリフトのフォークにフォークリフト用搬送装置を挿入した状態を示す側面図である。

【図5】フォークリフトのフォークにフォークリフト用搬送装置を挿入してフォーク抜け止め装置を作動した状態を示す斜視図である。

【図6】フォークリフトでフォークリフト用搬送装置を持ち上げた状態を示す側面図である。

【図7】フォークリフト用搬送装置を有するスプレッダの斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0014】

以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図１は、この発明の一実施の形態に係るフォーク抜け止め装置を示す斜視図であり、図２は、それぞれがフォーク抜け止め装置を有する一対のフォークポケットを有するフォークリフト用搬送装置を示す斜視図である。

【0015】

図１および図２を参照して、この実施の形態に係るフォークリフト用抜け止め装置１０は、フォークを挿入可能な、例えば、矩形断面を有し、第１の方向（フォークの伸びる方向）に伸びる一対のフォークポケット１１ａ，１１ｂを含む。一対のフォークポケット１１ａ，１１ｂの各々は、第１の方向に交わる第２の方向（横方向）に間隔を開けて配置される。この横方向の間隔は、一対のフォークポケット１１ａ，１１ｂの上部に設けられた一対のフォーク支持部２３ａ，２３ｂによって固定される。なおここでは、フォーク支持部２３ａ，２３ｂを一対設けた場合について説明したが、これに限らず、１つでもよいし、３つ以上であってもよい。さらに、その位置は上部に限らず、下部でもよい。

【0016】

フォークリフト用抜け止め装置１０は、一対のフォークポケット１１ａ，１１ｂの各々に設けられ、フォークリフトのフォーク２４（図３参照）を挿入するための、矩形状の開口部１７ａ，１７ｂの近傍に設けられ、第１および第２の方向に交わる第３の方向（上方向）に移動可能なフリッププランジャ１４と、フォークポケット１１ａ，１１ｂのそれぞれの横方向の両端面に設けられたヒンジ（第１の軸）１２１ｃを中心として開口部１７ａ，１７ｂの前方を通って回動自在に設けられた、外側外れ止めアーム１２１ａ，１２１ｂを有する外れ止めアーム１２を含む。なお、開口部の形状は、任意の形状であってもよい。

【0017】

なお、フリッププランジャ１４は、フォーク支持部２３ａに設けられたフリッププランジャヒンジ１５ｂ，１５ｃに回転自在に支持されたフリッププランジャ回転軸１５ａで支持されている。なお、図１においては、フォーク支持部２３ａ，２３ｂの図示を省略している。

【0018】

フォークリフト用抜け止め装置１０は、さらに、外れ止めアーム１２を上下方向へ移動するアーム引っ張りリンク１３を含み、アーム引っ張りリンク１３は、外れ止めアーム１２の外側外れ止めアーム１２１ａ，１２１ｂの略中央部の上側に設けられた回転軸（第２の軸）１３１ｃ，１３１ｅ（図示省略）を中心として、外側外れ止めアーム１２１ａ，１２１ｂの上方でそのヒンジ１２１ｃ側に回動自在に設けられる、外側アーム引っ張りリンク１３１ａ，１３１ｂ，１３１ｄを含む。外側アーム引っ張りリンク１３１ａ，１３１ｂ，１３１ｄは、フリッププランジャ１４の上部１４ａに当接しながら回動する。

【0019】

外れ止めアーム１２は、一端をヒンジ１２１ｃに接続された一対の外側外れ止めアーム１２１ａ，１２１ｂと、一対の外側外れ止めアーム１２１ａ，１２１ｂの他端に接続された外れ止め部１２１ｄを含む。

【0020】

次に、フォークリフト用抜け止め装置１０の具体的な動作について図３および図４を参照して説明する。図３はフォークリフトのフォークにフォークリフト用搬送装置を取り付ける手順を示す側面図であり、ここでは、フォークリフト用搬送装置２０にフォークが挿入される前の状態を示す図である。図４は、フォークリフトのフォークにフォークリフト用搬送装置２０を挿入した状態を示す側面図である。また、ここでは、フォークリフトの詳細については図示を省略している。

【0021】

まず、図３を参照して、フォークリフトのフォーク固定部２２に固定されたフォーク２４を、地面３０に裁置された、図１の状態にあるフォークリフト用抜け止め装置１０の開口部１７に対向して配置する。

【0022】

フリッププランジャ１４は、長手方向の側面から見たとき、開口部１７側が斜辺１４ｂで、水平に伸びる上面１４ａと上面１４ａから垂直下方に伸びる下辺１４ｃを有する三角形の断面を有する三角柱である。このとき、フォークポケット１１の内部空間には、フォークリフト用抜け止め装置１０の構成要素のうちの、フリッププランジャ１４の斜面１４ｂおよび下辺１４ｃのみが突出している。

【0023】

斜辺１４ｂは、フォークポケット１１へフォーク２４を挿入する場合に、フォーク２４を図中で左下方向（すなわち、下の奥側）へガイドするような傾斜を有している。

【0024】

このようにフォーク２４が挿入された状態を図４（Ａ）に示す。この状態では、まだ、フォークリフト用抜け止め装置１０は作動していない。

【0025】

この状態からフォーク２４が持ち上げられると、フリッププランジャ１４はフリッププランジャ回転軸１５ａを中心に回転して、上方向に立ち上がる。この状態を図５に示す。

【0026】

このとき、アーム引っ張りリンク１３１ａ，１３１ｂ，１３１ｄは、上方向に持ち上げられ、それによって、外側アーム引っ張りリンク回転軸１３１ｃを介して、外れ止めアーム１２が引き上げられ、フォーク２４の後端の折り曲げ部２４ａの後部まで持ち上げられて、フォーク２４の後端の折り曲げ部２４ａの上に係合する（図４（Ｂ））。したがって、フォーク２４とフォークリフト用搬送装置２０は一体化される。

【0027】

その結果、フォーク２４に取り付けられるフォークリフト用搬送装置をフォークに簡単に固定できる。

【0028】

このようにして、フォーク２４と一体化されたフォークリフト用搬送装置２０の搬送状態を図６に示す。

【0029】

なお、この一体化状態を解除するには、フォークリフト用搬送装置２０を所望の位置へ搬送後、外れ止め部１２１ｄをフォーク２４の後端部から外し、フォークリフト用搬送装置２０からフォーク２４を抜けば良い。そうすれば、図４（Ｂ）から図４（Ａ）の状態になり、元の状態に戻る。

【0030】

次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図７はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図７を参照して、この実施の形態では、フォークリフト用搬送装置がスプレッダ２７に適用されている。

【0031】

図７を参照して、スプレッダ２７は、先の実施の形態と同様の一対のフォークリフト用抜け止め装置１０ａ，１０ｂと、その上部に設けられたフレーム２５と、フレーム２５の四隅に設けられ、フレーム２５の下部にコンテナを保持するコンテナ保持部２８ａ～２８ｄを有する。なお、ここで、フレーム２５は、先の実施の形態におけるフレーム支持部と同様に作動する。

【0032】

スプレッダ２７の内の、フォークリフトのフォークと一体化する部分（一対のフォークリフト用抜け止め装置１０ａ，１０ｂ）は、先の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。

【0033】

なお、上記実施の形態においては、外側アーム引っ張りリンク１３１ａ，１３１ｂが一般のリンクである場合について説明したが、これに限らず、ばねであってもよい。

【0034】

また、上記実施の形態においては、フリッププランジャが三角柱である場合について説明したが、これに限らず、直方体等であってもよい。

【0035】

以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。

【産業上の利用可能性】

【0036】

この発明によれば、フォークリフト用搬送装置をフォークに簡単に固定できる、フォーク抜け止め装置を提供できるため、フォークリフト用搬送装置として有利に利用される。

【符号の説明】

【0037】

１０ フォークリフト用抜け止め装置、１１ａ，１１ｂ フォークポケット、１２ａ，１２ｂ 外れ止めアーム、１３ａ，１３ｂ アーム引っ張りリンク、１４ フリッププランジャ、１５ フリッププランジャ回転部、１５ａ フリッププランジャ回転軸、１５ｂ，１５ｃ フリッププランジャヒンジ、１７ａ，１７ｂ 開口部、１８ プランジャ用開口部、２０フォークリフト用搬送装置、２１ フォークリフト、２２ フォーク固定部、２３ａ，２３ｂ フォーク支持部、２４ フォーク、２５ フレーム、２７ スプレッダ、３０ 地面、１２１ａ，１２１ｂ 外側外れ止めアーム、１２１ｃ ヒンジ、
１２１ｄ 外れ止め部、１２１ｅ 外れ止めアーム固定部、１３１ａ，１３１ｂ 外側アーム引っ張りリンク、１３１ｃ 回転軸、１３１ｄ プランジャ当接部、１３１ｅ プランジャ当接部軸。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】